(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-11
(45)【発行日】2024-03-19
(54)【発明の名称】無停電電源装置
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20240312BHJP
H01M 10/44 20060101ALI20240312BHJP
H01M 10/48 20060101ALI20240312BHJP
H02J 7/02 20160101ALI20240312BHJP
H02J 9/06 20060101ALI20240312BHJP
【FI】
H02J7/00 302C
H01M10/44 P
H01M10/48 P
H02J7/00 L
H02J7/02 J
H02J9/06 120
(21)【出願番号】P 2020141011
(22)【出願日】2020-08-24
【審査請求日】2022-08-09
(73)【特許権者】
【識別番号】501137636
【氏名又は名称】東芝三菱電機産業システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松岡 一正
【審査官】下林 義明
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-144301(JP,A)
【文献】特開平04-334935(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00 - 7/12
H02J 7/34 - 7/36
H02J 9/00 - 11/00
H01M 10/42 - 10/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流電圧を直流電圧に変換する交流直流変換器と、直流電圧を交流電圧に変換して交流負荷に供給する直流交流変換器とを含む電力変換装置と、
前記直流交流変換器と並列に接続され、前記直流電圧を蓄電して、前記交流負荷に電力を供給するための蓄電装置と、
前記電力変換装置および前記蓄電装置を制御するコントローラとを備え、
前記蓄電装置は、各々が、内部スイッチを有し、互いに並列に接続された複数の蓄電池ユニットを含み、
前記コントローラは、各前記蓄電池ユニットの前記内部スイッチの導通/非導通を指示することにより、前記複数の蓄電池ユニットの一部の蓄電池ユニットを前記直流交流変換器と接続状態とし、前記複数の蓄電池ユニットの残りの蓄電池ユニットを非接続状態とし、所定条件に従って接続状態を順次切り替え、
前記コントローラは、
前記所定条件を満たす場合に、前記複数の蓄電池ユニットのうちの非導通状態に設定する少なくとも1つの蓄電池ユニットを選択し、
前記複数の蓄電池ユニットのうちの非導通状態の蓄電池ユニットの前記内部スイッチを導通に設定し、
前記複数の蓄電池ユニットの浮動電圧が第1の電圧よりも高い第2の電圧となるように前記電力変換装置に指示し、
前記複数の蓄電池ユニットの浮動電圧が前記第2の電圧になった場合に、前記複数の蓄電池ユニットの浮動電圧が前記第1の電圧となるように前記電力変換装置に指示し、
前記複数の蓄電池ユニットのうちの選択した少なくとも1つの蓄電池ユニットの前記内部スイッチを非導通に設定する、無停電電源装置。
【請求項2】
前記電力変換装置は、前記直流交流変換器と並列に接続され、前記直流電圧を降圧して前記蓄電装置に供給するチョッパ回路をさらに含み、
前記コントローラは、前記チョッパ回路に対して前記蓄電装置に供給する前記直流電圧が前記第1の電圧あるいは前記第2の電圧となるように指示する、請求項1記載の無停電電源装置。
【請求項3】
前記所定条件は、所定期間経過毎である、請求項1または2に記載の無停電電源装置。
【請求項4】
前記交流負荷に対して並列に接続され、前記交流負荷との接続が切替可能に設けられた複数の電力変換装置が設けられ、
前記複数の電力変換装置は、前記所定条件に従って切り替えられる、請求項1~3のいずれか一項に記載の無停電電源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、無停電電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、商用電源が停電した場合に蓄電池より電力を負荷へ供給し、復電した場合に商用電源から電力を負荷に供給する無停電電源装置が知られている。
【0003】
また、冗長制御として常時負荷に給電する複数台の無停電電源装置(UPS)で構成される無停電電源システムも提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一方で、複数台のUPSが設けられる構成であっても常に動作状態にあるため、装置寿命の延長ができるわけではない。また、蓄電池についても蓄電寿命の延長ができるわけではない。UPSの交換作業が容易ではない環境において装置寿命を延長することは重要な課題である。
【0006】
本開示は、上記の課題を解決するためになされたものであって、装置寿命を延長することが可能な無停電電源装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
ある局面に従う無停電電源装置は、交流電圧を直流電圧に変換する交流直流変換器と、直流電圧を交流電圧に変換して交流負荷に供給する直流交流変換器とを含む電力変換装置と、直流交流変換器と並列に接続され、直流電圧を蓄電して、交流負荷に電力を供給するための蓄電装置と、電力変換装置および蓄電装置を制御するコントローラとを備える。蓄電装置は、各々が、内部スイッチを有し、互いに並列に接続された複数の蓄電池ユニットを含み、コントローラは、各蓄電池ユニットの内部スイッチの導通/非導通を指示することにより、複数の蓄電池ユニットの一部の蓄電池ユニットを直流交流変換器と接続状態とし、複数の蓄電池ユニットの残りの蓄電池ユニットを非接続状態とし、所定条件に従って接続状態を順次切り替える。
【0008】
好ましくは、コントローラは、所定条件を満たす場合に、複数の蓄電池ユニットの一部の蓄電池ユニットのうち少なくとも1つの蓄電池ユニットの浮動電圧が第1の電圧よりも高い第2の電圧となるように電力変換装置に指示し、少なくとも1つの蓄電池ユニットの浮動電圧が第2の電圧になった場合に、複数の蓄電池ユニットのうちの残りの蓄電池ユニットの内部スイッチを導通に設定し、少なくとも1つの蓄電池ユニットの内部スイッチを非導通に設定し、複数の蓄電池ユニットのうちの残りの蓄電池ユニットの浮動電圧が第1の電圧となるように電力変換装置に指示する。
【0009】
好ましくは、電力変換装置は、直流交流変換器と並列に接続され、直流電圧を降圧して蓄電装置に供給するチョッパ回路をさらに含み、コントローラは、チョッパ回路に対して蓄電装置に供給する直流電圧が第1の電圧あるいは第2の電圧となるように指示する。
【0010】
好ましくは、所定条件は、所定期間経過毎である。
【0011】
好ましくは、交流負荷に対して並列に接続され、交流負荷との接続が切替可能に設けられた複数の電力変換装置が設けられ、複数の電力変換装置は、所定条件に従って切り替えられる。
【発明の効果】
【0012】
一実施例によれば、無停電電源装置は、装置寿命を延長することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】実施形態に基づく無停電電源装置1の回路構成を説明する図である。
【
図2】実施形態に基づく蓄電装置6の構成を説明する図である。
【
図3】実施形態に基づく蓄電装置6の運用について説明する図である。
【
図4】実施形態に従う蓄電池ユニットの切り替えについて説明する図である。
【
図5】実施形態に従うコントローラ20の切り替え処理のフローについて説明する図である。
【
図6】実施形態に従う電力変換装置10-1,10-2の切り替え処理について説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中の同一または相当部分については、同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0015】
図1は、実施形態に基づく無停電電源装置1の回路構成を説明する図である。
【0016】
図1に示されるように、無停電電源装置1は、交流負荷に対して互いに並列接続された複数の電力変換装置10-1,10-2と、無停電電源装置1を制御するコントローラ20とを含む。電力変換装置10-1,10-2は、入力側として交流入力電源4およびバイパス入力電源2に接続される。また、電力変換装置10-1,10-2は、蓄電装置6とも接続される。
【0017】
交流入力電源4およびバイパス入力電源2は、電力変換装置10-1,10-2に交流電力を供給する交流電源である。これらの入力電源の各々は、たとえば商用交流電源もしくは自家用発電機等によって構成される。
【0018】
入力交流電源の一例として三相三線(3φ3W)式を示す。ただし、入力交流電源の種類は三相三線式に限定されず、たとえば三相四線式の電源でもよいし、単相三線式の電源でもよい。
【0019】
電力変換装置10-1,10-2は、同一の構成であり、電磁接触器(コンタクタ)14,15,17,18,19と、コンバータ(CNV)11と、インバータ(INV)12と、チョッパ(CHP)13と、サイリスタスイッチ16とを備える。
【0020】
コンタクタ14は、交流入力電源4とコンバータ11との間の通電経路に介挿接続される。コンタクタ14は、コントローラ20からの指令に応答して開放(オン)および閉成(オフ)する。コンバータ11は、交流入力電源4から供給される交流電力を直流電力に変換する。インバータ12は、直流電力を所定電圧および所定周波数の交流電力に変換する。チョッパ13は、コンバータ11から出力された直流電圧の電圧レベルを変換して蓄電装置6に供給する。なお、コンバータ11、インバータ12およびチョッパ13の各々は、コントローラ20によって制御される。
【0021】
コンタクタ17および19は、出力端子とインバータ12との間の通電経路に介挿接続される。コンタクタ17および19は、コントローラ20からの指令に応答して開放(オン)および閉成(オフ)する。
【0022】
コンタクタ15は、出力端子から交流負荷に出力される交流出力を、インバータ12の出力と、サイリスタスイッチ16およびコンタクタ15からなるバイパス回路の出力との間で切換えるためのものである。
【0023】
サイリスタスイッチ16およびコンタクタ15は、バイパス入力端子と出力端子との間に並列に接続される。サイリスタスイッチ16は、出力端子から交流負荷に出力される交流出力を、インバータ12の出力からバイパス入力電源2からの交流電力に高速に切換えるためのスイッチである。コンタクタ15は、バイパス入力端子から出力端子までの通電経路に介挿接続される。コンタクタ15は、バイパス入力電源2からの交流電力を無停電電源装置から出力される交流出力として維持するためのものである。コンタクタ15、サイリスタスイッチ16およびコンタクタ17および19は、コントローラ20からの指令に応答して閉成(オン)および開放(オフ)する。
【0024】
コンタクタ18は、蓄電装置6とチョッパ13との間に設けられる。コンタクタ18は、コントローラ20からの指令に応答して閉成(オン)および開放(オフ)する。
【0025】
蓄電装置6は、交流入力電源4が交流電力を供給できないとき(たとえば停電時)において、インバータ12に直流電力を供給するための装置である。
【0026】
本例においては、一例として蓄電装置6は、電力変換装置10-1,10-2に対して共通に設けられる。なお、それぞれ独立して蓄電装置6を設ける構成としてもよい。
【0027】
交流入力電源4から交流電力を供給されている通常時には、コンバータ11によって生成された直流電力が蓄電装置6に蓄えられるとともに、インバータ12によって交流電力に変換されて交流負荷に供給される。一方、交流入力電源4からの交流電力の供給が停止した停電時には、コンバータ11の運転が停止され、蓄電装置6に蓄えられた直流電力がインバータ12によって交流電力に変換されて交流負荷に供給される。したがって、無停電電源装置によれば、停電時でも蓄電装置6に蓄えられた電力を用いて交流負荷の運転を継続することができる。
【0028】
コントローラ20は、通常時および停電時において、交流負荷に供給する交流電力を発生させるために、コンバータ11およびインバータ12を制御する。一例として、CPU(Central Processing Unit)と、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)などの記憶部とを含むマイクロコンピュータを主体として構成される。そして、コントローラ20は、予めROMなどに格納されたプログラムをCPUがRAMに読出して実行することによって、コンバータ11、インバータ12等を制御する。また、コントローラ20は、このコンバータ11およびインバータ12の制御に加えて、コンタクタ14,15,17,19と、サイリスタスイッチ16およびバイパス回路を制御する。さらに、コントローラ20は、蓄電装置6を制御する。なお、コントローラ20の少なくとも一部は、電子回路等のハードウェアにより所定の数値・論理演算処理を実行するように構成されてもよい。
【0029】
図2は、実施形態に基づく蓄電装置6の構成を説明する図である。
図2に示されるように蓄電装置6は、複数の蓄電池ユニット6-1~6-5とを含む。蓄電池ユニット6-1~6-5の各々は、同一の構成である。蓄電池ユニット6は、一例としてリチウムイオン電池である。
【0030】
蓄電池ユニット6-1は、各々、蓄電セル8-1と、内部スイッチ7-1と、内部コントローラ9-1とを含む。内部コントローラ9-1は、蓄電池ユニット6-1の充電状態を監視するとともに、内部スイッチ7-1の導通/非導通を制御する。内部コントローラ9-1は、蓄電池ユニット6-1の充電状態をコントローラ20に通知する。
【0031】
他の蓄電池ユニット6-2~6-5についても蓄電池ユニット6-1と同様であるのでその詳細な説明については繰り返さない。
【0032】
図3は、実施形態に基づく蓄電装置6の運用について説明する図である。
【0033】
図3に示されるように、本例においては、蓄電装置6の複数の蓄電池ユニット6-1~6-5を一斉に全て動作させるのではなく、一部の蓄電池ユニットを動作させて、残りの蓄電池ユニットを停止させる。そして、所定条件に従って動作させる蓄電池ユニットを順次切り替える。具体的には、蓄電池ユニット6-1~6-5の内部スイッチ7-1~7-5の導通/非導通を指示することにより、複数の蓄電池ユニット6-1~6-5の一部の蓄電池ユニットをコンバータ11と接続状態とし、複数の蓄電池ユニット6-1~6-5の残りの蓄電池ユニットを非接続状態とし、所定条件に従って接続状態を順次切り替える。
【0034】
本例においては、所定条件として1月毎に順次切り替える場合が示されている。
【0035】
一例として、最初の1ヶ月について、蓄電池ユニット6-1を停止させ、他の蓄電池ユニット6-2~6-5を動作させる。次の一ヶ月について、蓄電池ユニット6-2を停止させ、他の蓄電池ユニット6-1、6-3~6-5を動作させる。次の一ヶ月について、蓄電池ユニット6-3を停止させ、他の蓄電池ユニット6-1、6-2、6-4、6-5を動作させる。次の一ヶ月について、蓄電池ユニット6-4を停止させ、他の蓄電池ユニット6-1~6-3、6-5を動作させる。次の一ヶ月について、蓄電池ユニット6-5を停止させ、他の蓄電池ユニット6-1~6-4を動作させる。
【0036】
これにより全ての蓄電池ユニット6-1~6-5が動作するのではなく、一部の蓄電池ユニットを停止(休止)させて順次切り替える方式により、所定期間における各蓄電池ユニット6-1~6-5の動作時間を短縮することが可能となる。すなわち、装置寿命として動作時間が規定されている場合に従来方式と比較して、蓄電池ユニットを有する蓄電装置6の寿命を延命させることが可能である。
【0037】
図4は、実施形態に基づく蓄電池ユニットの切り替えについて説明する図である。
図4に示されるように、蓄電池ユニットの切り替えの際には、所定の制御を実行する。
【0038】
具体的には、コントローラ20は、所定条件が成立した場合には複数の蓄電池ユニット6-1~6-5の1つ選択する。ここで、選択した蓄電池ユニットは、後に非導通状態に設定される。本例においては、一例として蓄電池ユニット6-1を選択した場合が示されている。また、コントローラ20は、全ての蓄電池ユニット6-1~6-5を導通状態に設定する。具体的には、非導通状態であった蓄電池ユニット6-5を導通状態に設定する。
【0039】
次に、本例においては浮動電圧を+5V上昇させる指示を出力する。コントローラ20は、チョッパ13に指示して浮動電圧を+5V上昇させる。本例においては、チョッパ13は、通常時の第1の電圧から5V上昇した第2の電圧に浮動電圧を設定する。
【0040】
蓄電池ユニット6-1~6-5の電圧は、第1の電圧から5V上昇した第2の電圧に設定された状態で蓄電される。
【0041】
次に、コントローラ20は、チョッパ13に指示して浮動電圧を元の電圧に戻す。具体的には、浮動電圧を第2の電圧から第1の電圧に戻す。
【0042】
次に、コントローラ20は、蓄電池ユニット6-1を非導通状態に設定する。これにより、蓄電池ユニット6-1は停止する。
【0043】
したがって、蓄電池ユニット6-1が動作状態から停止状態に切り替えられる際には、蓄電池ユニット6-1の充電状態は、通常時の浮動電圧(第1の電圧)から+5V高い第2の電圧に設定された状態で停止される。蓄電池ユニット6-1の充電状態は、停止している際にその電圧レベルは徐々に放電により減少する。本例においては、蓄電池ユニット6-1の充電状態が第2の電圧に設定されてから放電により第1の電圧に低下したタイミングで再び切り替え処理を実行する。本例においては、充電状態は、放電により一ヶ月後に第2の電圧から第1の電圧に低下すると推定している。
【0044】
次に、コントローラ20は、所定条件として一ヶ月が経過したタイミングで蓄電池ユニットの切り替え処理を実行する。具体的には、コントローラ20は、蓄電池ユニット6-1~6-5のうちの蓄電池ユニット6-2を選択する。また、コントローラ20は、全ての蓄電池ユニット6-1~6-5を導通状態に設定する。具体的には、非導通状態であった蓄電池ユニット6-1を導通状態に設定する。
【0045】
次に、コントローラ20は、チョッパ13に指示して浮動電圧を+5V上昇させる。本例においては、チョッパ13は、通常時の第1の電圧から5V上昇した第2の電圧に浮動電圧を設定する。なお、本例においては、コントローラ20は、チョッパ13に指示して浮動電圧を+5V上昇させる方式について説明するが、チョッパ13が設けられていない構成(チョッパ13を介さずにコンバータ11と蓄電装置6とが接続されている構成)の場合には、コンバータ11に指示してコンバータ11の出力電圧を5V上昇させるように指示してもよい。
【0046】
蓄電池ユニット6-1~6-5の電圧は、第1の電圧から5V上昇した第2の電圧に設定された状態で蓄電される。
【0047】
次に、コントローラ20は、チョッパ13に指示して浮動電圧を元の電圧に戻す。具体的には、浮動電圧を第2の電圧から第1の電圧に戻す。
【0048】
次に、コントローラ20は、蓄電池ユニット6-2を非導通状態に設定する。これにより、蓄電池ユニット6-2は停止する。
【0049】
したがって、蓄電池ユニット6-2が動作状態から停止状態に切り替えられる際には、蓄電池ユニット6-2の充電状態は、通常時の浮動電圧(第1の電圧)から+5V高い第2の電圧に設定された状態で停止される。蓄電池ユニット6-2の充電状態は、停止している際にその電圧レベルは徐々に放電により減少する。本例においては、蓄電池ユニット6-2の充電状態が第2の電圧に設定されてから放電により第1の電圧に低下したタイミングで再び切り替え処理を実行する。本例においては、充電状態は、放電により一ヶ月後に第2の電圧から第1の電圧に低下すると推定している。それゆえ、停止状態から動作状態に切り替えられる際には、他の蓄電池ユニットの電圧差はないため充電電流が過剰に流れることも抑制することが可能である。
【0050】
他の蓄電池ユニットの切り替えの際についても同様である。
【0051】
当該方式で切り替え処理を実行することにより、蓄電池ユニット6-1~6-5を常に浮動電圧に維持しながら切り替え処理が可能となる。
【0052】
本例においては一例として、5V電圧を上昇させて、一ヶ月経過後に上昇させた電圧が浮動電圧の電圧レベルに低下する場合について説明したが、特に一ヶ月に限られず浮動電圧の電圧レベルが低下する期間に応じて切り替えるタイミングを変更するようにしてもよい。また、5Vではなく、さらに高い電圧に設定することにより切り替えるタイミングを変更するようにしてもよい。
【0053】
また、停止状態の充電池ユニットの電圧レベルを監視することにより、切り替えるタイミングを変更するようにしてもよい。具体的には、充電池ユニットの充電レベルを監視して、停止状態の充電池ユニットの電圧レベルが第1の電圧に低下したか否かを判断して、停止状態の充電地ユニットの電圧レベルが第1の電圧に低下したと判断した場合に所定条件が成立したと判断してもよい。そして、上記の切り替え処理を実行するようにしてもよい。
【0054】
図5は、実施形態に基づくコントローラ20の切り替え処理のフローについて説明する図である。
【0055】
図5に示されるように、コントローラ20は、所定条件が成立したか否かを判断する(ステップS2)。所定条件として、一例として一ヶ月が経過したかを条件とする。
【0056】
ステップS20において、コントローラ20は、所定条件が成立したと判断した場合(ステップS20においてYES)には、導通状態の複数の蓄電池ユニットの中から1つの蓄電池ユニットを選択する(ステップS4)。次に、コントローラ20は、非導通状態の蓄電池ユニットを導通状態に設定する(ステップS6)。次に、コントローラ20は、浮動電圧を第1の電圧から第2の電圧に上昇するように指示する(ステップS8)。具体的には、コントローラ20は、チョッパ13に指示して浮動電圧を+5V上昇させる。次に、コントローラ20は、浮動電圧が第2の電圧以上であるか否かを判断する(ステップS10)。ステップS10において、コントローラ20は、浮動電圧が第2の電圧以上でないと判断した場合(ステップS10においてNO)には、ステップS8に戻り上記処理を繰り返す。
【0057】
一方、ステップS10において、コントローラ20は、浮動電圧が第2の電圧以上であると判断した場合(ステップS10においてYES)には、浮動電圧を第2の電圧から第1の電圧に下降するように指示する(ステップS12)。次に、コントローラ20は、選択した蓄電池ユニットを非導通状態に設定する(ステップS16)。次に、コントローラ20は、ステップS2に戻り、上記処理を繰り返す。具体的には、所定条件が成立した場合には、コントローラ20は、導通状態の複数の蓄電池ユニットの中から別の蓄電池ユニットを選択して、上記したように浮動電圧を上昇させた後、非導通状態に設定する。当該処理を繰り返す。
【0058】
当該方式で切り替え処理を実行することにより、蓄電池ユニット6-1~6-5を常に浮動電圧に維持することが可能である。また、蓄電池ユニット6-1~6-5の1つを順次停止させることが可能である。これにより全ての蓄電池ユニット6-1~6-5が動作するのではなく、一部の蓄電池ユニットを停止(休止)させて順次切り替える方式により、所定期間における各蓄電池ユニット6-1~6-5の動作時間を短縮することが可能となる。すなわち、装置寿命として動作時間が規定されている場合に従来方式と比較して、蓄電池ユニットを有する蓄電装置6の寿命を延命させることが可能である。
【0059】
なお、本例においては、5つの蓄電池ユニット6-1~6-5を順番に順次切り替える方式について説明したが、5つに限られずその個数は任意の個数を適宜選択することが可能である。また、動作を停止させる蓄電池ユニットの個数も1つに限られず複数の蓄電池ユニットを同時に停止させるようにしても良く、その個数は適宜選択することが可能である。
【0060】
図6は、実施形態に基づく電力変換装置10-1,10-2の切り替え処理について説明する図である。
図6に示されるように、一例として電力変換装置10-1と、電力変換装置10-2との動作を切り替える。具体的には、本例においては1年毎に切り替える場合が示されている。
【0061】
これにより全ての電力変換装置10-1、10-2が常に動作するのではなく、一部の電力変換装置10-2を停止(休止)させて順次切り替える方式により、所定期間における各電力変換装置10-1、10-2の動作時間を短縮することが可能となる。すなわち、装置寿命として動作時間が規定されている場合に従来方式と比較して、電圧変換回路を有する無停電電源装置の寿命を延命させることが可能である。
【0062】
なお、本例においては、1年毎に切り替える場合が示されているが、蓄電池ユニットと同様に一ヶ月毎に切り替えるようにしても良い。
【0063】
また、上記においては、2つの電力変換装置10-1、10-2を順次切り替える方式について説明したが、さらに複数の電力変換装置10を並列に接続して順次切り替えるようにすることも当然に可能である。
【0064】
上記の方式は、一例として、UPSの交換作業が容易ではない環境で特に効果的である。例えば、UPSを船に搭載するような場合、長期間の交換作業が容易ではない場合、装置寿命を延命させることにより電源を長期間安全に確保することが可能となり有用である。
【0065】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0066】
1 無停電電源装置、2 バイパス入力電源、4 交流入力電源、6 蓄電装置、6-1~6-5 蓄電池ユニット、7-1~7-5 内部スイッチ、8-1~8-5 蓄電セル、9-1~9-5 内部コントローラ、10 電力変換装置、11 コンバータ、12 インバータ、13 チョッパ、14,15,17,19 コンタクタ、16 サイリスタスイッチ、20 コントローラ。