(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-11
(45)【発行日】2024-03-19
(54)【発明の名称】振れ補正機能付き光学ユニット
(51)【国際特許分類】
G03B 5/00 20210101AFI20240312BHJP
H04N 23/55 20230101ALI20240312BHJP
H04N 23/68 20230101ALI20240312BHJP
G03B 30/00 20210101ALI20240312BHJP
【FI】
G03B5/00 J
H04N23/55
H04N23/68
G03B30/00
(21)【出願番号】P 2020145287
(22)【出願日】2020-08-31
【審査請求日】2023-07-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】ニデックインスツルメンツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142619
【氏名又は名称】河合 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100125690
【氏名又は名称】小平 晋
(74)【代理人】
【識別番号】100153316
【氏名又は名称】河口 伸子
(72)【発明者】
【氏名】武井 宏光
【審査官】門田 宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-20467(JP,A)
【文献】特開2015-161692(JP,A)
【文献】特開2018-169499(JP,A)
【文献】特開2014-235383(JP,A)
【文献】特開2016-99538(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 5/00 - 5/08
G02B 7/02 - 7/16
H04N 5/222- 5/257
H04N 23/00
H04N 23/40 -23/76
H04N 23/90 -23/959
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カメラモジュールを備える可動体と、
前記可動体を前記カメラモジュールの光軸と交差する第1軸回りに回転可能に支持するとともに前記光軸と交差し且つ前記第1軸と交差する第2軸回りに回転可能に支持する揺動支持機構と、
前記揺動支持機構を介して前記可動体を支持する固定体と、
前記固定体に配置されるコイルと、前記可動体に配置される磁石を備えた振れ補正用磁気駆動機構と、を有し、
前記固定体は、前記可動体の外周側を囲むケースを備え、
前記コイルは、前記ケースの表面に配置されるフレキシブルプリント基板に固定され、
前記ケースは、前記フレキシブルプリント基板を前記光軸方向および前記光軸と交差する方向に位置決めする位置決め部を備え、
前記フレキシブルプリント基板は、前記位置決め部と嵌合する嵌合部を備えることを特徴とする振れ補正機能付き光学ユニット。
【請求項2】
前記位置決め部は、前記ケースから内周側へ突出する突起を備え、
前記嵌合部は、前記フレキシブルプリント基板の前記光軸方向の縁に設けられた切欠き部を備えることを特徴とする請求項1に記載の振れ補正機能付き光学ユニット。
【請求項3】
前記突起は、前記ケースから内周側へ突出して前記光軸方向に屈曲することを特徴とする請求項2に記載の振れ補正機能付き光学ユニット。
【請求項4】
前記突起は、前記ケースに設けられた開口部の縁に繋がる切り曲げ部であることを特徴とする請求項2または3に記載の振れ補正機能付き光学ユニット。
【請求項5】
前記開口部は、前記ケースと前記フレキシブルプリント基板との間に接着剤を入れる接着剤塗布孔であることを特徴とする請求項4に記載の振れ補正機能付き光学ユニット。
【請求項6】
前記ケースは、前記可動体の外周側を囲む胴部と、前記胴部から内周側へ張り出す端板部を備え、
前記位置決め部は、前記端板部の外周縁において前記胴部の内周面に沿って延びる凹溝を備え、
前記嵌合部は、前記フレキシブルプリント基板の前記光軸方向の縁に設けられた突出部を備えることを特徴とする請求項1から5の何れか一項に記載の振れ補正機能付き光学ユニット。
【請求項7】
前記コイルは、第1コイルおよび第2コイルを備え、
前記磁石は、前記第1コイルと対向する第1磁石、および、前記第2コイルと対向する第2磁石を備え、
前記フレキシブルプリント基板は、前記第1コイルが固定される第1コイル固定部、および、前記第2コイルが固定される第2コイル固定部を備え、
前記嵌合部は、前記第1コイル固定部に設けられた第1嵌合部と、前記第2コイル固定部に設けられた第2嵌合部を備え、
前記位置決め部は、前記第1嵌合部と嵌合する第1位置決め部、および、前記第2嵌合部と嵌合する第2位置決め部を備えることを特徴とする請求項1から6の何れか一項に記載の振れ補正機能付き光学ユニット。
【請求項8】
前記可動体を前記光軸を中心に回転可能に支持する回転支持機構と、
前記固定体に配置される第3コイルおよび前記可動体に配置される第3磁石を備えてお
り前記可動体を前記光軸回りに回転させるローリング補正用磁気駆動機構を有し、
前記フレキシブルプリント基板は、前記第3コイルが固定される第3コイル固定部を備え、
前記嵌合部は、前記第3コイル固定部に設けられた第3嵌合部を備え、
前記位置決め部は、前記第3嵌合部と嵌合する第3位置決め部を備えることを特徴とする請求項7に記載の振れ補正機能付き光学ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラモジュールを揺動させて振れ補正を行う振れ補正機能付き光学ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
携帯端末や移動体に搭載される光学ユニットの中には、携帯端末や移動体の移動時の撮影画像の乱れを抑制するために、カメラモジュールが搭載される可動体を、光軸回り、光軸と直交する第1軸回り、および光軸と第1軸とに直交する第2軸回りに回転させるものがある。特許文献1には、この種の振れ補正機能付き光学ユニットが記載される。
【0003】
特許文献1の振れ補正機能付き光学ユニットは、カメラモジュールを備える可動体と、固定体と、固定体に対して可動体を光軸と交差する軸周りに回転可能に支持する揺動支持機構を有する。可動体からは、カメラモジュールに接続されるフレキシブルプリント基板が引き出されている。また、可動体には、振れ補正用駆動機構のコイルが配置され、コイルに給電するためのフレキシブルプリント基板が接続される。
【0004】
特許文献2には、振れ補正用駆動機構のコイルを固定体に配置し、磁石を可動体に配置した振れ補正機能付き光学ユニットが記載されている。コイルへの給電用のフレキシブルプリント基板は、可動体を囲むケース(上カバー)の内面に沿うように屈曲して引き回されており、面接着によりケースに固定される。コイルは、フレキシブルプリント基板を介してケースの内面に固定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2018-169499号公報
【文献】特開2014-235383号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
フレキシブルプリント基板をケースに沿って引き回し、フレキシブルプリント基板を介してコイルをケースに固定する場合、コイルの位置精度を高めるためには、ケースに対するフレキシブルプリント基板の位置精度を高める必要がある。また、ケースにフレキシブルプリント基板およびコイルを組み付ける作業の簡略化および自動化を図りたいという要望がある。しかしながら、フレキシブルプリント基板をケースの内面に精度良く、且つ簡単に位置決めできる構造は提案されていない。
【0007】
本発明の課題は、このような点に鑑みて、ケースの内周面にフレキシブルプリント基板を精度良く、且つ、簡単に位置決めできる構造を提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明の振れ補正機能付き光学ユニットは、カメラモジュールを備える可動体と、前記可動体を前記カメラモジュールの光軸と交差する第1軸回りに回転可能に支持するとともに前記光軸と交差し且つ前記第1軸と交差する第2軸回りに回転可能に支持する揺動支持機構と、前記揺動支持機構を介して前記可動体を支持する固定体と、前記固定体に配置されるコイルと、前記可動体に配置される磁石を備えた振れ補正用磁気駆動機構と、を有し、前記固定体は、前記可動体の外周側を囲むケースを備え、前記コイルは、前記ケースの表面に配置されるフレキシブルプリント基板に固定され、
前記ケースは、前記フレキシブルプリント基板を前記光軸方向および前記光軸と交差する方向に位置決めする位置決め部を備え、前記フレキシブルプリント基板は、前記位置決め部と嵌合する嵌合部を備えることを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、振れ補正用磁気駆動機構のコイルは、固定体を構成するケースの表面に配置されるフレキシブルプリント基板を介してケースに固定される。フレキシブルプリント基板は、ケースに設けられた位置決め部と嵌合する嵌合部を備えているため、フレキシブルプリント基板をケースに対して精度良く、且つ簡単に位置決めできる。これにより、コイルの位置精度を高めることができる。また、ケースにフレキシブルプリント基板およびコイルを組み付ける作業が簡単である。
【0010】
本発明において、前記位置決め部は、前記ケースから内周側へ突出する突起を備え、前記嵌合部は、前記フレキシブルプリント基板の前記光軸方向の縁に設けられた切欠き部を備えることが好ましい。このようにすると、突起を切欠き部に嵌めることにより、フレキシブルプリント基板を周方向に位置決めできる。
【0011】
本発明において、前記突起は、前記ケースから内周側へ突出して前記光軸方向に屈曲することが好ましい。このようにすると、フレキシブルプリント基板の縁を突起の先端部によって係止できるので、フレキシブルプリント基板がケースから外れないように保持できる。
【0012】
本発明において、前記突起は、前記ケースに設けられた開口部の縁に繋がる切り曲げ部である。このようにすると、板金加工によりケースを製造する際、切り曲げ加工によりケースの側面に突起を形成できる。従って、突起を備えたケースを安価に製造できる。
【0013】
本発明において、前記開口部は、前記ケースと前記フレキシブルプリント基板との間に接着剤を入れる接着剤塗布孔である。このように、突起を形成する際にできた開口部を利用して、フレキシブルプリント基板を位置決めした後に、ケースの外側からケースとフレキシブルプリント基板との隙間に接着剤を入れることができる。従って、フレキシブルプリント基板をケースに強固に固定できる。
【0014】
本発明において、前記ケースは、前記可動体の外周側を囲む胴部と、前記胴部から内周側へ張り出す端板部を備え、前記位置決め部は、前記端板部の外周縁において前記胴部の内周面に沿って延びる凹溝を備え、前記嵌合部は、前記フレキシブルプリント基板の前記光軸方向の縁に設けられた突出部を備えることが好ましい。このようにすると、突出部を凹溝に嵌めることにより、フレキシブルプリント基板を周方向に位置決めできるとともに、フレキシブルプリント基板がケースから外れないように保持できる。また、凹溝の底面に突出部の先端を突き当てることにより、フレキシブルプリント基板を光軸方向に位置決めできる。
【0015】
本発明において、前記コイルは、第1コイルおよび第2コイルを備え、前記磁石は、前記第1コイルと対向する第1磁石、および、前記第2コイルと対向する第2磁石を備え、前記フレキシブルプリント基板は、前記第1コイルが固定される第1コイル固定部、および、前記第2コイルが固定される第2コイル固定部を備え、前記嵌合部は、前記第1コイル固定部に設けられた第1嵌合部と、前記第2コイル固定部に設けられた第2嵌合部を備え、前記位置決め部は、前記第1嵌合部と嵌合する第1位置決め部、および、前記第2嵌合部と嵌合する第2位置決め部を備えることが好ましい。このようにすると、複数のコイル固定部をそれぞれ、位置決め部と嵌合部とを嵌合させることによって位置決めできる。よって、複数のコイル固定部をそれぞれ、ケースに対して精度良く、且つ簡単に位置決めできる。
【0016】
本発明において、前記可動体を前記光軸を中心に回転可能に支持する回転支持機構と、前記固定体に配置される第3コイルおよび前記可動体に配置される第3磁石を備えており前記可動体を前記光軸回りに回転させるローリング補正用磁気駆動機構を有し、前記フレキシブルプリント基板は、前記第3コイルが固定される第3コイル固定部を備え、前記嵌合部は、前記第3コイル固定部に設けられた第3嵌合部を備え、前記位置決め部は、前記第3嵌合部と嵌合する第3位置決め部を備えることが好ましい。このように、本発明は、光軸回りの振れ補正を含む3方向の振れ補正を行う振れ補正機能付き光学ユニットに適用できる。3方向の振れ補正を行う場合には、2方向の振れ補正を行う場合よりもコイルの数が多いが、本発明では、全てのコイル固定部をそれぞれ、ケースに対して精度良く、且つ簡単に位置決めできる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、振れ補正用磁気駆動機構のコイルは、固定体を構成するケースの表面に配置されるフレキシブルプリント基板を介してケースに固定される。フレキシブルプリント基板は、ケースに設けられた位置決め部と嵌合する嵌合部を備えているため、フレキシブルプリント基板をケースに対して精度良く、且つ簡単に位置決めできる。これにより、コイルの位置精度を高めることができる。また、ケースにフレキシブルプリント基板およびコイルを組み付ける作業が簡単である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明を適用した補正機能付き光学ユニットの斜視図である。
【
図2】
図1の振れ補正機能付き光学ユニットを光軸方向の一方側から見た分解斜視図である。
【
図3】
図1の振れ補正機能付き光学ユニットを光軸方向の他方側から見た分解斜視図である。
【
図4】振れ補正機能付き光学ユニットをXZ平面で切断した断面図である。
【
図5】振れ補正機能付き光学ユニットをXY平面で切断した断面図である。
【
図6】振れ補正機能付き光学ユニットを第1軸およびZ軸を含む平面で切断した断面図である。
【
図7】振れ補正機能付き光学ユニットを第2軸およびZ軸を含む平面で切断した断面図である。
【
図9】振れ補正機能付き光学ユニットの主要部を示す平面図である。
【
図10】ストッパーケース、フレキシブルプリント基板、およびコイルを光軸方向の他方側から見た斜視図である。
【
図11】ストッパーケースにフレキシブルプリント基板およびコイルを固定した状態を示す斜視図である。
【
図12】ストッパーケースおよびフレキシブルプリント基板の断面図(
図11のA-A位置およびB-B位置で切断した断面図)である。
【
図13】第1コイル固定部、第2コイル固定部、および第3コイル固定部の平面図である。
【
図14】第1凹形状部分の断面図(
図13(a)のC-C位置で切断した断面図)である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、図面を参照して、本発明を適用した振れ補正機能付き光学ユニットの実施形態を説明する。
【0020】
(全体構成)
図1は、本発明を適用した振れ補正機能付き光学ユニット1の斜視図である。
図2は、
図1の振れ補正機能付き光学ユニット1を光軸方向の一方側(+Z方向)から見た分解斜視図である。
図3は、
図1の振れ補正機能付き光学ユニット1を光軸方向の他方側(-Z方向)から見た分解斜視図である。
図4は、振れ補正機能付き光学ユニット1をXZ平面で切断した断面図である。
図5は、振れ補正機能付き光学ユニット1をXY平面で切断した断面図である。
図6は、振れ補正機能付き光学ユニット1を第1軸R1およびZ軸を含む平面で切断した断面図である。
図7は、振れ補正機能付き光学ユニット1を第2軸R2およびZ軸を含む平面で切断した断面図である。
図8は、ジンバルバネ70の斜視図である。
図9は、振れ補正機能付き光学ユニット1の主要部を示す平面図である。
【0021】
振れ補正機能付き光学ユニット1は、レンズ2および撮像素子3を備えたカメラモジュール4を有する。振れ補正機能付き光学ユニット1は、例えば、カメラ付き携帯電話機、ドライブレコーダー等の光学機器や、ヘルメット、自転車、ラジコンヘリコプター等の移動体に搭載されるアクションカメラやウエアラブルカメラ等の光学機器に用いられる。このような光学機器では、撮影時に光学機器の振れが発生すると、撮像画像に乱れが発生する。振れ補正機能付き光学ユニット1は、撮影画像が傾くことを回避するため、ジャイロスコープ等の検出手段によって検出された加速度や角速度、振れ量等に基づき、カメラモジュール4の傾きを補正する。
【0022】
振れ補正機能付き光学ユニット1は、光軸L回り、光軸Lと直交する第1軸R1回り、並びに、光軸Lおよび第1軸R1と直交する第2軸R2回りにカメラモジュール4を回転させて振れ補正を行う。従って、振れ補正機能付き光学ユニット1は、ローリング補正、ピッチング補正、および、ヨーイング補正を行う。
【0023】
以下の説明では、互いに直交する3軸をX軸、Y軸、Z軸とする。Z軸は、レンズ2の光軸Lと一致する。X軸は、光軸Lと直交して、第1軸R1と第2軸R2との交点を通過する。また、X軸は、第1軸R1および第2軸R2と45°の角度で交差する。Y軸は、光軸LおよびX軸と直交して、第1軸R1および第2軸R2の交点を通過する。また、Y軸は、第1軸R1および第2軸R2と45°の角度で交差する。従って、X軸およびY軸を含む平面をXY平面とした場合に、第1軸R1および第2軸R2は、XY平面上に位置する。第1軸R1および第2軸R2は、Z軸回りで、X軸およびY軸に対して45度傾斜する。
【0024】
また、以下の説明では、X軸、Y軸、Z軸に沿った方向をX軸方向、Y軸方向、Z軸方向とする。X軸方向の一方側を-X方向、他方側を+X方向とする。また、Y軸方向の一方側を-Y方向、他方側を+Y方向とし、Z軸方向の一方側を-Z方向、他方側を+Z方向とする。-Z方向は、カメラモジュール4の反被写体側であり、光軸方向の他方側である。+Z方向は、カメラモジュール4の被写体側であり、光軸方向の一方側である。また、第1軸R1に沿った方向を第1軸R1方向、第2軸R2に沿った方向を第2軸R2方向とする。
【0025】
図1、
図2に示すように、振れ補正機能付き光学ユニット1は、カメラモジュール4を備える可動体5と、可動体5を光軸L回りに回転可能に支持する回転支持機構6を備える。従って、可動体5は、光軸L回りのロール方向ROLLに回転可能である。また、振れ補正機能付き光学ユニット1は、回転支持機構6を、第1軸R1回りに回転可能に支持するとともに、第2軸R2回りに回転可能に支持するジンバル機構7と、ジンバル機構7および回転支持機構6を介して可動体5を支持する固定体8を有する。
【0026】
従って、可動体5は、ジンバル機構7を介して、第1軸R1回りに揺動可能に支持されるとともに、第2軸R2回りに揺動可能に支持される。ここで、可動体5は、第1軸R1
回りの回転および第2軸R2回りの回転を合成することにより、X軸回りのヨー方向YAW、およびY軸回りのピッチ方向PITCHに回転可能である。従って、ジンバル機構7は、回転支持機構6を介して可動体5をX軸回りおよびY軸回りに揺動可能に支持する揺動支持機構である。
【0027】
振れ補正機能付き光学ユニット1は、可動体5に接続されるフレキシブルプリント基板14を備える。
図4、
図5に示すように、フレキシブルプリント基板14は、可動体5から+X方向に引き出されている。フレキシブルプリント基板14は、固定体8の外部に引き出され、不図示のコネクタを介して、振れ補正機能付き光学ユニット1が搭載される光学機器の基板などに接続される。
【0028】
また、振れ補正機能付き光学ユニット1は、
図5に示すように、可動体5を第1軸R1回りおよび第2軸R2回りに回転させる振れ補正用磁気駆動機構10を有する。振れ補正用磁気駆動機構10は、可動体5に対してX軸回りの駆動力を発生させる第1振れ補正用磁気駆動機構11と、可動体5に対してY軸回りの駆動力を発生させる第2振れ補正用磁気駆動機構12を備える。
図2、
図3、
図5に示すように、第1振れ補正用磁気駆動機構11は、可動体5の-Y方向に配置される第1マグネット111および第1コイル112を備える。第2振れ補正用磁気駆動機構12は、可動体5の-X方向に配置される第2マグネット121および第2コイル122を備える。
【0029】
さらに、振れ補正機能付き光学ユニット1は、
図2、
図3、
図5に示すように、可動体5を光軸L回りに回転させるローリング補正用磁気駆動機構13を有する。ローリング補正用磁気駆動機構13は、可動体5の+Y方向に配置されるローリング補正用マグネット131およびローリング補正用コイル132を備える。振れ補正機能付き光学ユニット1は、振れ補正用磁気駆動機構10およびローリング補正用磁気駆動機構13への給電用のフレキシブルプリント基板15を備える。フレキシブルプリント基板15は、固定体8に取り付けられている。
【0030】
(可動体)
図2~
図5に示すように、可動体5は、カメラモジュール4と、カメラモジュール4を囲む金属製のホルダ16を備える。カメラモジュール4は、Z軸方向から見て8角形のカメラモジュール本体4aと、カメラモジュール本体4aから+Z方向へ突出する円筒形の鏡筒部4bを備える。鏡筒部4bには、レンズ2(
図4参照)が保持される。ホルダ16は、カメラモジュール4を-Z方向から支持するホルダ底部161と、ホルダ底部161の外周縁から+Z方向へ立ち上がるホルダ枠部162を備える。ホルダ枠部162は、+X方向に開口する切欠き部160を備える。フレキシブルプリント基板14は、カメラモジュール4の内部に配置される撮像素子3に接続され、切欠き部160を通って可動体5の+X方向へ引き出されている。
【0031】
ホルダ16は磁性材料からなる。
図3、
図5に示すように、ホルダ枠部162の-Y方向の側面には、第1マグネット111が固定される。ホルダ枠部162の-X方向の側面には、第2マグネット121が固定される。第1マグネット111および第2マグネット121は、Z軸方向に分極着磁されている。また、ホルダ枠部162の+Y方向の側面には、ローリング補正用マグネット131が固定される。ローリング補正用マグネット131は、周方向に分極着磁されている。
【0032】
(固定体)
図1~
図5に示すように、固定体8は、可動体5およびフレキシブルプリント基板14を-Z方向から覆うカバーボトム20と、カバーボトム20に+Z方向から固定され可動体5の対角方向を囲むフレームケース30と、フレームケース30および可動体5の外周
側を囲むストッパーケース40を備える。カバーボトム20、フレームケース30、およびストッパーケース40は金属製であり、非磁性材料からなる。カバーボトム20は、例えば板厚0.15mmの板金部材であり、プレス加工により製造される。フレームケース30は、カバーボトム20よりも板厚が厚い(例えば板厚0.30mm)板金部材であり、プレス加工により製造される。ストッパーケース40は、カバーボトム20と板厚が等しく、プレス絞り加工により製造される。
図1、
図4に示すように、可動体5およびジンバル機構7の一部は、ストッパーケース40から+Z方向に突出する。
【0033】
また、固定体8は、可動体5から+X方向へ引き出されるフレキシブルプリント基板14の外周側を囲むFPCカバー50を備える。FPCカバー50は樹脂製であり、カバーボトム20に+Z方向から固定される。カバーボトム20は、+X方向の縁から+Z方向へ立ち上がる2か所の第1弾性係合部21を備えており、第1弾性係合部21は、FPCカバー50の+X方向の側面に設けられた第1係止部22に係止される。FPCカバー50は、+X方向の側面の-Z方向の端部を切り欠いた切欠き部51を備える。フレキシブルプリント基板14は、切欠き部51とカバーボトム20との隙間から固定体8の外部へ引き出されている。
【0034】
FPCカバー50の-X方向の端部は、後述するフレームケース30の矩形枠部31に嵌まる引っ掛け部52を備える(
図3、
図5参照)。矩形枠部31に引っ掛け部52が+Z方向から嵌まることにより、フレームケース30にFPCカバー50の-X方向の端部が係止される。また、FPCカバー50の-X方向の端部における-Y方向の側面および+Y方向の側面には、それぞれ、係止部53が形成されている。ストッパーケース40の+X方向の端部は、係止部53に係合する係合孔49を備える。また、ストッパーケース40の-X方向の側面は、カバーボトム20の-X方向の縁から+Z方向へ立ち上がる2か所の第3弾性係合部26に係合する係合孔27を備える(
図3参照)。
【0035】
図5に示すように、フレキシブルプリント基板15は、ストッパーケース40の内面に沿って周方向に引き回されている。
図2、
図3、
図5に示すように、フレキシブルプリント基板15は、ストッパーケース40の-Y方向の側面に沿ってX軸方向に延びる第1コイル固定部151、ストッパーケース40の-X方向の側面に沿ってY軸方向に延びる第2コイル固定部152、ストッパーケース40の+Y方向の側面に沿ってX軸方向に延びる第3コイル固定部153を備える。第1コイル固定部151、第2コイル固定部152、および第3コイル固定部153は、ストッパーケース40の内周面に固定される。
【0036】
第1コイル固定部151には、第1振れ補正用磁気駆動機構11の第1コイル112が固定され、第2コイル固定部152には、第2振れ補正用磁気駆動機構12の第2コイル122が固定される。また、第3コイル固定部153には、ローリング補正用コイル132が固定される。第1コイル112、第2コイル122、およびローリング補正用コイル132は、フレキシブルプリント基板15に電気的に接続されている。また、第1コイル112、第2コイル122、およびローリング補正用コイル132は、フレキシブルプリント基板15を介してストッパーケース40に固定される。
【0037】
図2、
図3、
図5に示すように、ストッパーケース40は、可動体5の外周側を囲む胴部40Aを備える。胴部40Aは、可動体5の-Y方向においてX軸方向に延びる第1ケース壁41と、可動体5の-X方向においてY軸方向に延びる第2ケース壁42と、可動体5の+Y方向においてX軸方向に延びる第3ケース壁43を備える。また、ストッパーケース40は、胴部40Aの光軸方向の一方側(+Z方向)の端部から内周側へ張り出す端板部44を備える。端板部44は、第1軸R1方向の対角位置から内周側へ突出する第1ケース突起45Aと、第2軸R2方向の対角位置から内周側へ突出する第2ケース突起45Bを備える。また、端板部44は、第1軸R1上の2か所、および、第2軸R2上の
2か所に、それぞれ、フレームケース30との位置決め用のケース位置決め孔440が設けられている。
【0038】
第1ケース壁41、第2ケース壁42、および第3ケース壁43は、それぞれ、周方向の中央においてZ軸方向に延びる磁性部材配置溝48を備える。磁性部材配置溝48は内周側へ凹んでいる。
図5に示すように、第1ケース壁41に設けられた磁性部材配置溝48には、第1磁性部材113が配置される。第1磁性部材113は、可動体5をX軸回りの振れ補正における原点位置に位置決めするための磁気バネを構成する。また、第2ケース壁42に設けられた磁性部材配置溝48には、第2磁性部材123が配置される。第2磁性部材123は、可動体5をY軸回りの振れ補正における原点位置に位置決めするための磁気バネを構成する。
【0039】
図2、
図3に示すように、フレームケース30は、カバーボトム20に+Z方向から当接する矩形枠部31と、矩形枠部31の第1軸R1方向の対角位置から+Z方向へ立ち上がる一対の第1縦枠部32と、矩形枠部31の第2軸R2方向の対角位置から+Z方向へ立ち上がる一対の第2縦枠部33を備える。第1縦枠部32および第2縦枠部33は、カバーボトム20の第1軸R1方向の対角位置、および第2軸R2方向の対角位置に設けられた4箇所の第2弾性係合部23を係止する第2係止部24を備える。第2弾性係合部23を第2係止部24に係止することにより、カバーボトム20にフレームケース30が固定される。
【0040】
図2、
図3に示すように、一対の第1縦枠部32は、それぞれ、+Z方向へ延びる板部34と、板部34の幅方向の両側の縁から突出する2本の突部35を備える。また、一対の第2縦枠部33は、それぞれ、+Z方向へ延びる板部36と、板部36の幅方向の両側の縁のZ軸方向の略中央から突出する一対の腕部37と、各腕部37の+Z方向および-Z方向において板部36の幅方向の両側の縁から突出する4本の突部38を備える。突部35、38は、ストッパーケース40の内面に固定されるフレキシブルプリント基板15に沿ってY軸方向もしくはX軸方向に延びている。
【0041】
図1、
図6に示すように、一対の第1縦枠部32は、それぞれ、板部34の+Z方向の先端がストッパーケース40のケース位置決め孔440に挿入される。また、
図1、
図7に示すように、一対の第2縦枠部33は、それぞれ、板部36の+Z方向の先端がストッパーケース40のケース位置決め孔440に挿入される。本形態では、板部34、36の先端は、溶接によりストッパーケース40に固定される。
【0042】
一対の第2縦枠部33は、板部36から第2軸R2方向で対向する方向へ突出する第2軸側筒部39を備える。一対の腕部37は、第2軸側筒部39の周方向の両側に配置される。第2軸側筒部39には、円柱形状の第2軸側シャフト720が保持される。第2軸側シャフト720は、第2軸側筒部39から径方向内側へ突出する先端部が半球面を備えている。第2軸側シャフト720は、後述するように、ジンバル機構7の第2接続機構72を構成する。
【0043】
(回転支持機構)
図4、
図6、
図7に示すように、回転支持機構6は、ホルダ底部161の中央から-Z方向へ突出する軸部61と、軸部61の外周側を囲むベアリング62と、ベアリング62を介して軸部61に接続されるプレートホルダ63と、プレートホルダ63に固定される環状の吸着マグネット64を備える。吸着マグネット64は、単極着磁でもよいし、周方向に交互にS極とN極を配置した多極着磁であってもよい。軸部61は、バーリング加工によりホルダ16に形成される。ベアリング62は、軸部61の外周面に設けられた段部610に固定される内輪621と、内輪621の外周側を囲む外輪622と、内輪621
と外輪622の間を転動する球体623と、球体623を転動可能に保持する環状のリテーナ624を備える。
【0044】
プレートホルダ63は、内周面に外輪622が固定されるプレートホルダ筒部65と、プレートホルダ筒部65の+Z方向の端部から外周側へ延びるプレートホルダ環状部66と、プレートホルダ環状部66から第1軸R1方向の両側に突出して+Z方向に屈曲した一対のプレートホルダ延設部67を備える。吸着マグネット64はプレートホルダ環状部66に固定され、磁性部材であるホルダ底部161を吸引している。プレートホルダ環状部66とホルダ底部161との間には一定のギャップが設けられており、吸着マグネット64とホルダ底部161とは一定のギャップを保つ。
【0045】
図6に示すように、一対のプレートホルダ延設部67の先端部は、それぞれ、可動体5の外周側をZ軸方向に延びている。各プレートホルダ延設部67の先端部は、第1軸R1上を内周側へ凹む第1軸側凹曲面68を備える。第1軸側凹曲面68は、後述するように、ジンバル機構7の第1接続機構71を構成する。
【0046】
(弾性支持部材)
図2に示すように、カバーボトム20は、光軸Lを中心とする円形穴25を備える。円形穴25を挟んで第1軸R1方向に対向する2か所には、円筒形の弾性支持部材9が配置される。弾性支持部材9は、ゴム硬度が10以下の低硬度ゴムからなる。例えば、弾性支持部材9は、ゴム硬度が1ないし3のシリコン系のゴムからなる。本形態では、可動体5の底部に配置される回転支持機構6のプレートホルダ63を介して、可動体5および回転支持機構6の荷重を弾性支持部材9で受ける構造になっている(
図6参照)。弾性支持部材9は、可動体5および回転支持機構6の荷重が加わることにより、プレートホルダ63とカバーボトム20との間で10%程度の圧縮率でZ軸方向に圧縮されている。弾性支持部材9は、カバーボトム20に固定されるが、プレートホルダ63には固定されていない。
【0047】
弾性支持部材9は、光軸Lを挟んで対称に配置され、カバーボトム20に固定される。本形態では、可動体5の重心は光軸上に位置するため、弾性支持部材9は、可動体5の重心を基準として対称に配置される。従って、弾性支持部材9によって可動体5および回転支持機構6の荷重を受けることにより、可動体5を振れ補正の原点位置に位置決めする際の位置精度を高めることができる。また、低硬度ゴムは防振性材料であるため、落下等による衝撃が加わった際に耐衝撃性を高めることができる。
【0048】
弾性支持部材9の形状は、円筒形に限定されるものではなく、他の形状を採用することもできる。例えば、半球状などの+Z方向に突出する凸形状を採用することができる。
【0049】
(ジンバル機構)
図2~
図5に示すように、ジンバル機構7は、ジンバルバネ70と、第1接続機構71と、第2接続機構72を備える。第1接続機構71は、ジンバルバネ70とプレートホルダ63とを第1軸R1回りに回転可能に接続する。第2接続機構72は、ジンバルバネ70とフレームケース30とを第2軸R2回りに回転可能に接続する。ジンバル機構7が構成されると、可動体5は、ジンバル機構7および回転支持機構6を介して固定体8に支持される。これにより、可動体5は、光軸L、第1軸R1、および第2軸R2が交差する交点を中心に揺動可能となる。
【0050】
ジンバルバネ70は、金属製の板バネからなる。
図2、
図3、
図8、
図9に示すように、ジンバルバネ70は、ホルダ16の外周側を囲むジンバルバネ枠部73と、ジンバルバネ枠部73の第1軸R1方向の対角位置から-Z方向に延びる一対の第1ジンバルバネ延
設部74と、ジンバルバネ枠部73の第2軸R2方向の対角位置から-Z方向に延びる一対の第2ジンバルバネ延設部75を備える。
【0051】
図8に示すように、ジンバルバネ枠部73は、第1軸R1方向の対角部分、および、第2軸R2方向の対角部分がそれぞれ-Z方向に傾斜する方向に屈曲したテーパ部731を備える。各テーパ部731は、周方向の中央部を外周側へ切り欠いた溝部732を備える。各溝部732には、ストッパーケース40に設けられた第1ケース突起45A、もしくは第2ケース突起45Bが配置される(
図9参照)。
【0052】
ジンバルバネ70の溝部732とストッパーケース40の第1ケース突起45Aおよび第2ケース突起45Bは、可動体5の揺動範囲を規制するストッパー機構を構成している。すなわち、第1ケース突起45Aが溝部732の-Z方向の縁に当たることにより、可動体5の第2軸R2周りの揺動範囲が規制され、第2ケース突起45Bが溝部732の-Z方向の縁に当たることにより、可動体5の第1軸R1周りの揺動範囲が規制される。
【0053】
ジンバルバネ枠部73は、可動体5から+X方向へ延びるフレキシブルプリント基板14との干渉を避けるジンバルバネ逃がし部76を備える。
図1、
図8に示すように、ジンバルバネ逃がし部76は、Y軸方向に離間した2か所のテーパ部731から+X方向へ屈曲して延びる一対の突出部761、突出部761の+X方向の先端から-Z方向へ屈曲してZ軸方向へ延びる一対の屈曲部762、一対の屈曲部762の-Z方向の先端に接続されY軸方向に直線状に延びる直線部763を備える。
図1に示すように、可動体5の底部から引き出されるフレキシブルプリント基板14は、一対の屈曲部762の間を通過する。
【0054】
図5、
図6に示すように、一対の第1ジンバルバネ延設部74の先端部は、第1軸R1上を外周側へ突出する第1軸側筒部77を備える。第1軸側筒部77には、円柱形状の第1軸側シャフト710が保持される。第1軸側シャフト710は、第1軸側筒部77から径方向内側へ突出する先端部が半球面を備える。第1接続機構71は、第1軸側シャフト710の先端部に設けられた半球面が、プレートホルダ延設部67の先端に設けられた第1軸側凹曲面68に点接触することにより構成される。これにより、回転支持機構6は、ジンバル機構7により、第1軸R1回りに回転可能に支持される。
【0055】
図5、
図8に示すように、一対の第1ジンバルバネ延設部74の先端部は、第1軸側筒部77の周方向の両側において内周側へ突出する一対の腕部78を備える。第1接続機構71が構成されると、一対の腕部78の間にプレートホルダ延設部67が配置される。また、一対のプレートホルダ延設部67は、内周側へ撓んでおり、第1軸側シャフト710に内周側から弾性接触する。
【0056】
図5、
図7に示すように、一対の第2ジンバルバネ延設部75の先端部は、第2軸R2上を内周側へ凹む第2軸側凹曲面79を備える。第2接続機構72は、フレームケース30の第2軸側筒部39に保持される第2軸側シャフト720の先端に設けられた半球面が第2ジンバルバネ延設部75の先端部に設けられた第2軸側凹曲面79に点接触することにより構成される。これにより、ジンバル機構7は、固定体8により、第2軸R2回りに回転可能に支持される。
【0057】
図5に示すように、第2接続機構72が構成されると、一対の第2ジンバルバネ延設部75の先端部は、フレームケース30の第2縦枠部33に設けられた一対の腕部37の間に配置される。一対の腕部37は、第2ジンバルバネ延設部75が第2縦枠部33から+Z方向に抜けることを規制する抜け防止部である。また、一対の第2ジンバルバネ延設部75は、内周側へ撓んでおり、第2軸側シャフト720に内周側から弾性接触する。
【0058】
(振れ補正用磁気駆動機構およびローリング補正用磁気駆動機構)
ジンバル機構7によって可動体5と固定体8とが接続されると、可動体5の-Y方向の側面に固定された第1マグネット111とストッパーケース40に固定された第1コイル112とが第1振れ補正用磁気駆動機構11を構成する。従って、第1コイル112への給電により、可動体5は、X軸回りに回転する。また、可動体5の-X方向の側面に固定された第2マグネット121とストッパーケース40に固定された第2コイル122とが第2振れ補正用磁気駆動機構12を構成する。従って、第2コイル122への給電により、可動体5はY軸回りに回転する。振れ補正用磁気駆動機構10は、第1振れ補正用磁気駆動機構11による可動体5のX軸回りの回転と、第2振れ補正用磁気駆動機構12による可動体5のY軸回りの回転と、を合成して、可動体5を第1軸R1回り、および第2軸R2回りに回転させる。
【0059】
さらに、ジンバル機構7が構成されると、可動体5の+Y方向の側面に固定されたローリング補正用マグネット131とストッパーケース40に固定されたローリング補正用コイル132とがローリング補正用磁気駆動機構13を構成する。従って、ローリング補正用コイル132への給電により、可動体5は、光軸L回りに回転する。
【0060】
(フレキシブルプリント基板の位置決め構造)
図10(a)は、ストッパーケース40を光軸方向の他方側(-Z方向)から見た斜視図であり、
図10(b)は、フレキシブルプリント基板15およびコイルを光軸方向の他方側(-Z方向)から見た斜視図である。
図11は、ストッパーケース40にフレキシブルプリント基板15およびコイルを固定した状態を示す斜視図である。
図12は、ストッパーケース40およびフレキシブルプリント基板15の断面図であり、
図12(a)は、
図11のA-A位置で切断した断面図であり、
図12(b)は、
図11のB-B位置で切断した断面図である。
【0061】
本形態では、ストッパーケース40は、フレキシブルプリント基板15を光軸方向および周方向に位置決めする位置決め部を備えており、フレキシブルプリント基板15は、ストッパーケース40の位置決め部と嵌合する嵌合部を備える。以下に説明するように、位置決め部は、ストッパーケース40に設けられたフック46および凹溝47である。また、嵌合部は、フレキシブルプリント基板15の-Z方向の縁に設けられた切欠き部155および+Z方向の縁に設けられた突出部156である。
【0062】
図11、
図12(a)に示すように、ストッパーケース40は、フレキシブルプリント基板15の-Z方向の縁を係止するフック46を備える。
図10(a)、
図11に示すように、フック46は、第1ケース壁41、第2ケース壁42、および第3ケース壁43の周方向の中央にそれぞれ1箇所ずつ形成されている。フック46は、第1ケース壁41、第2ケース壁42、および第3ケース壁43の周方向の中央に設けられた磁性部材配置溝48の底部から内周側に突出する突起であり、ストッパーケース40から内周側へ突出して光軸方向の一方側(+Z方向)へ屈曲している。本形態では、フック46は、磁性部材配置溝48の底部を内周側に切り起こして屈曲させた切り曲げ部である。そのため、磁性部材配置溝48の底部は、フック46を切り起こした位置に開口部46aが設けられており、フック46は、開口部46aの-Z方向の縁に繋がっている。
【0063】
図10(b)、
図11に示すように、フレキシブルプリント基板15は、フック46と嵌合する切欠き部155を備える。切欠き部155は、第1コイル固定部151、第2コイル固定部152、および第3コイル固定部153の-Z方向の縁の略中央に1箇所ずつ形成されており、+Z方向に切欠かれている。各切欠き部155がフック46と嵌合することにより、フレキシブルプリント基板15の-Z方向の端部は周方向に位置決めされる
。すなわち、第1コイル固定部151は、第1ケース壁41に対してX軸方向に位置決めされる。また、第2コイル固定部152は、第2ケース壁42に対してY軸方向に位置決めされ、第3コイル固定部153は、第3ケース壁43に対してX軸方向に位置決めされる。
【0064】
図12(a)に示すように、切欠き部155の縁は、フック46の先端部と第2ケース壁142との間に嵌まっている。従って、第2コイル固定部152の-Z方向の縁は、フック46の先端部によって係止される。同様に、第1コイル固定部151および第3コイル固定部153の-Z方向の縁は、フック46の先端部によって係止される。これにより、フレキシブルプリント基板15が径方向に位置決めされるので、フレキシブルプリント基板15がストッパーケース40から内周側に外れることが規制される。
【0065】
図10(a)、
図11に示すように、ストッパーケース40は、フレキシブルプリント基板15の+Z方向の縁を係止する凹溝47を備える。
図10(a)、
図11に示すように、凹溝47は、端板部44の外周縁に設けられ、+Z方向に凹んでいる。本形態では、凹溝47の深さは50μm程度であり、プレス加工により形成される。凹溝47は、第1ケース壁41、第2ケース壁42、および第3ケース壁43の内周面に沿って延びており、3箇所の磁性部材配置溝48の周方向の両側にそれぞれ2か所ずつ形成されている。
【0066】
図10(b)、
図11に示すように、フレキシブルプリント基板15は、凹溝47と嵌合する突出部156を備える。突出部156は、第1コイル固定部151、第2コイル固定部152、および第3コイル固定部153の+Z方向の縁の両端に1箇所ずつ形成されており、+Z方向に突出する。6箇所の突出部156がそれぞれ凹溝47と嵌合することにより、フレキシブルプリント基板15の+Z方向の端部は周方向に位置決めされる。
【0067】
フレキシブルプリント基板15をストッパーケース40に固定する工程は、以下の手順で行う。まず、フレキシブルプリント基板15をストッパーケース40の内周面に沿う形状に撓ませ、+Z方向の縁に設けられた6箇所の突出部156をそれぞれ凹溝47に差し込み、各突出部156の先端を凹溝47の底面に突き当てる(
図12(b)参照)。これにより、フレキシブルプリント基板15は光軸方向(Z軸方向)に位置決めされる。次に、3箇所のフック46に切欠き部155を嵌合させ、フック46によってフレキシブルプリント基板15の-Z方向の縁を係止する。これにより、第1コイル固定部151、第2コイル固定部152、第3コイル固定部153は、それぞれ、X軸方向およびY軸方向(周方向および径方向)に位置決めされるので、フレキシブルプリント基板15は、X軸方向、Y軸方向、およびZ軸方向の3軸方向に位置規制された状態で、ストッパーケース40に仮固定される。しかる後に、開口部46aを接着剤塗布孔として使用し、開口部46aからフレキシブルプリント基板15とストッパーケース40との隙間S(
図12(b)参照)に接着剤を流し込んで、フレキシブルプリント基板15をストッパーケース40に本固定する。
【0068】
(フレキシブルプリント基板に対するコイル線の接続構造)
図10(b)に示すように、フレキシブルプリント基板15には、第1コイル固定部151、第2コイル固定部152、第3コイル固定部153の-Z方向の縁にそれぞれ2か所ずつランド154が設けられている。各コイルからは、巻き始め側コイル線101と、巻き終わり側コイル線102が-Z方向に引き出されている。巻き始め側コイル線101と巻き終わり側コイル線102の先端は、それぞれ、異なるランド154に半田付けされている。
【0069】
図13(a)は、第1コイル固定部151の平面図である。
図13(b)は、第2コイル固定部152の平面図である。
図13(c)は、第3コイル固定部153の平面図であ
る。
図13において、コイルの固定位置およびコイル線の引き出し位置を破線で示す。本形態では、第1コイル112および第2コイル122は、長円形状の空芯コイルである。
図10(b)、
図13(a)に示すように、第1コイル112は、2本の有効辺がX軸方向と平行に延びている。
図10(b)、
図13(b)に示すように、第2コイル122は、2本の有効辺がY軸方向と平行に延びている。
図13(c)に示すように、ローリング補正用コイル132(第3コイル)は、光軸方向に平行に延びる2本の有効辺を備えた空芯コイルである。
【0070】
第1コイル112、第2コイル122、およびローリング補正用コイル132において、巻き始め側コイル線101は、各コイルの内周部から-Z方向に引き出されている。巻き始め側コイル線101は、コイルの内周部からコイルの厚さ方向の表面に沿ってコイルの外周縁まで延びる第1部分101aと、コイルの外周縁からさらに-Z方向に延びる第2部分101bを備えている。
図13(a)、
図13(b)に示すように、第1コイル112および第2コイル122では、巻き始め側コイル線101の第2部分101bは、-Z方向へ直線状に延びている。
図13(c)に示すように、ローリング補正用コイル132では、巻き始め側コイル線101の第2部分101bは、-Z方向に延びてから-X方向に屈曲してランド154へ引き回されている。
【0071】
巻き終わり側コイル線102は、各コイルの外周面から引き出されるので、各コイルに対して厚さ方向で重なっていない。
図13(a)、
図13(b)に示すように、第1コイル112および第2コイル122の巻き終わり側コイル線102は、-Z方向へ直線状に延びている。
図13(c)に示すように、ローリング補正用コイル132の巻き終わり側コイル線102は、-Z方向に延びてから+X方向に屈曲してランド154へ引き回されている。
【0072】
フレキシブルプリント基板15は、ポリイミド樹脂からなる可撓性基材15aと、可撓性基材15aの表面を覆い可撓性基材15aに設けられた配線パターンを絶縁するカバーレイフィルム15bを備える。なお、第1コイル固定部151、第2コイル固定部152、第3コイル固定部153は、可撓性基材15aの背面側に積層される補強板(図示せず)を備えていてもよい。
【0073】
第1コイル固定部151、第2コイル固定部152、第3コイル固定部153は、それぞれ、可撓性基材15aの表面にカバーレイフィルム15bが配置されたコイル設置面157と、可撓性基材15aの表面にカバーレイフィルム15bが配置されていない凹形状部分158を備える。凹形状部分158では、可撓性基材15aが露出するか、もしくは可撓性基材15aの表面に形成されたランド154が露出しており、可撓性基材15aが露出する部分では、カバーレイフィルム15bの厚さの分、コイル設置面157から凹んでいる。本形態では、ランド154を構成する銅箔の端部を、凹形状部分158を囲むカバーレイフィルム15bの端部によって押さえる構造になっている。
【0074】
図13(a)、
図13(b)、
図13(c)に示すように、凹形状部分158は、各コイル固定部に2か所ずつ設けられている。すなわち、凹形状部分158は、巻き始め側コイル線101に接続されるランド154が配置される第1凹形状部分158aと、巻き終わり側コイル線102に接続されるランド154が配置される第2凹形状部分158bを備える。第1凹形状部分158aと第2凹形状部分158bは、各コイル固定部の-Z方向の縁に所定の間隔をあけて並んで配置される。第1コイル固定部151の-Z方向の縁には、第2凹形状部分158bと第1凹形状部分158aがX軸方向に離間して配置される。第2コイル固定部152の-Z方向の縁には、第2凹形状部分158bと第1凹形状部分158aがY軸方向に離間して配置される。第3コイル固定部153の-Z方向の縁には、第2凹形状部分158bと第1凹形状部分158aがX軸方向に離間して配置され
る。
【0075】
図13(a)、
図13(b)、
図13(c)に示すように、第1凹形状部分158aは、各コイルの内周部と重なる位置から、各コイル固定部の-Z方向の縁まで拡がる。第1凹形状部分158aは、-Z方向の縁にランド154が配置され、ランド154の+Z側は、可撓性基材15aが露出した状態になっている。一方、第2凹形状部分158bは、各コイル固定部の-Z方向の縁に設けられ、ランド154のみを露出させている。
【0076】
図13(a)、
図13(b)に示すように、第1コイル固定部151および第2コイル固定部152は、周方向に離間した2か所の円形孔159を備えており、円形孔159は、第1コイル112および第2コイル122の内周縁と重なる。第1凹形状部分158aは、ランド154から光軸方向(+Z方向)へ延びて、一方の円形孔159の縁まで拡がっている。第1コイル112および第2コイル122の巻き始め側コイル線101が引き出される引き出し位置は、円形孔159もしくは第1凹形状部分158aと重なる位置である。従って、巻き始め側コイル線101は、第1凹形状部分158aに収容されて第1コイル112および第2コイル122の外周側へ引き出される。
【0077】
図13(c)に示すように、第3コイル固定部153は、ローリング補正用コイル132と完全に重なる2か所の円形孔159を備える。第3コイル固定部153に設けられた第1凹形状部分158aは、ランド154から周方向(+X方向)へ延びて、一方の円形孔159の縁まで拡がっている。ローリング補正用コイル132の巻き始め側コイル線101が引き出される引き出し位置は、円形孔159もしくは第1凹形状部分158aと重なる位置である。従って、巻き始め側コイル線101は、第1凹形状部分158aに収容されてローリング補正用コイル132の外周側へ引き出される。
【0078】
図14は、第1凹形状部分158aの断面図であり、
図13(a)のC-C位置で切断した断面図である。上記のように、第1凹形状部分158aは、第1コイル112と重なる領域を備えており、この領域は、カバーレイフィルム15bの厚さの分コイル設置面157から凹んでいる。
図14に示すように、第1コイル112の内周部から引き出された巻き始め側コイル線101の第1部分101aは、第1コイル112と第1凹形状部分158aの底面との隙間S1に収容されるので、コイル設置面157と第1コイル112との間に巻き始め側コイル線101が挟まることはない。本形態では、コイル設置面157と第1凹形状部分158aとの段差が50μm~60μmであり、巻き始め側コイル線101の線径は55~70μmである。従って、第1凹形状部分158aに巻き始め側コイル線101の略全体を収容できるため、コイル設置面157からの第1コイル112の浮きを少なくすることができる。これにより、第1コイル112の位置精度を高めることができ、第1コイル112と第1マグネット111(第1磁石)とのギャップのばらつきを少なくすることができる。
【0079】
第2凹形状部分158bは、第1コイル112と重なる位置まで拡がっていないが、巻き終わり側コイル線102は第1コイル112の外周面から引き出されており、第1コイル112の厚さ方向の表面には巻き終わり側コイル線102が配置されない。従って、第2凹形状部分158bが第1コイル112と重なる位置まで拡がっていなくても、コイル設置面157から第1コイル112が浮き上がることはない。
【0080】
第2コイル122から引き出される巻き始め側コイル線101、および、ローリング補正用コイル132(第3コイル)から引き出される巻き始め側コイル線101についても、同様の構造により、第1凹形状部分158aに収容される。従って、第2コイル固定部152のコイル設置面157からの第2コイル122の浮きを少なくすることができる。また、第3コイル固定部153のコイル設置面157からのローリング補正用コイル13
2の浮きを少なくすることができる。従って、第2コイル122およびローリング補正用コイル132の位置精度を高めることができ、第2コイル122と第2マグネット121(第2磁石)とのギャップのばらつき、および、ローリング補正用コイル132とローリング補正用マグネット131(第3磁石)とのギャップのばらつきを少なくすることができる。従って、振れ補正用磁気駆動機構10、およびローリング補正用磁気駆動機構13の磁気回路特性を安定させることができる。
【0081】
(組立方法)
振れ補正機能付き光学ユニット1の組立は、以下(1)~(9)の手順で行うことができる。
(1)カバーボトム20に弾性支持部材9を固定する
(2)カバーボトム20にフレームケース30を+Z方向から組み付ける。続いてFPCカバー50をカバーボトム20およびフレームケース30に+Z方向から組み付ける。
(3)ホルダ16の外周面にマグネット(第1マグネット111、第2マグネット121、ローリング補正用マグネット131)を位置決めして固定し、ホルダ16の底部に回転支持機構6を組み付ける。
(4)前工程(3)で組み立てたホルダ16、回転支持機構6、およびマグネットを+Z方向から弾性支持部材9に載せる。
(5)ジンバルバネ70を回転支持機構6およびフレームケース30に接続する
(6)フレキシブルプリント基板15にコイル(第1コイル112、第2コイル122、ローリング補正用コイル132)を固定し、各コイルから引き出したコイル線をフレキシブルプリント基板15のランド154に電気的に接続する。
(7)ストッパーケース40の内面にフレキシブルプリント基板15を位置決めして固定する
(8)コイルおよびフレキシブルプリント基板15が固定されたストッパーケース40を+Z方向からジンバルバネ70およびフレームケース30に被せて、カバーボトム20およびFPCカバー50に係止する。
(9)フレキシブルプリント基板14が接続されたカメラモジュール4を+Z方向からホルダ16に組み付け、フレキシブルプリント基板14をFPCカバー50に収容する。
【0082】
(本形態の主な作用効果)
以上のように、本形態の振れ補正機能付き光学ユニット1は、カメラモジュール4を備える可動体5と、可動体5をカメラモジュール4の光軸Lと交差する第1軸R1回りに回転可能に支持するとともに光軸Lと交差し且つ第1軸R1と交差する第2軸R2回りに回転可能に支持するジンバル機構7(揺動支持機構)と、ジンバル機構7を介して可動体5を支持する固定体8と、固定体8に配置されるコイル(第1コイル112および第2コイル122)と、可動体5に配置される磁石(第1マグネット111および第2マグネット121)を備えた振れ補正用磁気駆動機構10と、を有する。固定体8は、可動体5の外周側を囲むストッパーケース40を備え、第1コイル112および第2コイル122は、ストッパーケース40の内周面に沿って周方向に延びるフレキシブルプリント基板15に固定される。ストッパーケース40は、フレキシブルプリント基板15を光軸方向および光軸と交差する方向に位置決めする位置決め部を備え、フレキシブルプリント基板15は、位置決め部と嵌合する嵌合部を備える。
【0083】
本形態では、ストッパーケース40の内周面に沿って周方向に延びるフレキシブルプリント基板15を介してコイルがストッパーケース40に固定される。フレキシブルプリント基板15は、ストッパーケース40に設けられた位置決め部(フック46、凹溝47)と嵌合する嵌合部(切欠き部155、突出部156)を備えるため、フレキシブルプリント基板15をストッパーケース40に対して精度良く、且つ簡単に位置決めできる。位置決め部(フック46、凹溝47)は、ストッパーケース40に対して光軸方向(Z軸方向
)、X軸方向、およびY軸方向の3方向にフレキシブルプリント基板15を位置決めできるので、フレキシブルプリント基板15の組立精度を改善できる。これにより、コイルの位置精度を高めることができるので、磁気回路特性のばらつきを少なくすることができる。また、位置決め部と嵌合部とを嵌合させることによって位置決めできるので、組立作業を容易化でき、自動組立を行うことも可能である。従って、組立コストを低減させることができる。
【0084】
本形態の位置決め部は、ストッパーケース40から内周側へ突出するフック46(突起)を備え、嵌合部は、フレキシブルプリント基板15の光軸方向の縁に設けられた切欠き部155を備える。従って、フック46を切欠き部155に嵌めることにより、フレキシブルプリント基板15を周方向に位置決めできる。
【0085】
本形態のフック46(突起)は、ストッパーケース40から内周側へ突出して光軸方向に屈曲する形状であるため、フレキシブルプリント基板15の縁をフック46の先端部によって係止できる。従って、フレキシブルプリント基板15がストッパーケース40から外れないように保持できる。
【0086】
また、フック46(突起)は、ストッパーケース40に設けられた開口部46aの縁に繋がる切り曲げ部であり、板金加工により容易に形成できる。従って、フック46を備えたストッパーケース40を安価に製造できる。
【0087】
本形態では、ストッパーケース40に設けられた開口部46aは、ストッパーケース40とフレキシブルプリント基板15との間に接着剤を入れる接着剤塗布孔として使用される。このように、フック46を形成する際にできた開口部46aを利用すれば、フレキシブルプリント基板15を位置決めした後に、ストッパーケース40の外側からストッパーケース40とフレキシブルプリント基板15との隙間に接着剤を入れることができる。従って、フレキシブルプリント基板15をストッパーケース40に強固に固定できる。
【0088】
本形態では、ストッパーケース40は、可動体5の外周側を囲む胴部40Aと、胴部40Aの光軸方向の一方側(+Z方向)の端部から内周側へ張り出す端板部44を備えており、位置決め部は、端板部44の外周縁において胴部40A(第1ケース壁41、第2ケース壁42、第3ケース壁43)の内周面に沿って延びる凹溝47を備える。また、嵌合部は、フレキシブルプリント基板15の光軸方向の一方側(+Z方向)の縁に設けられた突出部156を備える。従って、突出部156を凹溝47に嵌めることによってフレキシブルプリント基板15を周方向に位置決めできる。また、凹溝47の底部に突出部156の先端を突き当てることによってフレキシブルプリント基板15を光軸方向に位置決めできる。このように、本形態では、フレキシブルプリント基板15は、光軸方向の一方側(+Z方向)の端部が凹溝47と突出部156によって位置決めされ、光軸方向の他方側(-Z方向)の端部がフック46と切欠き部155によって位置決めされるので、ストッパーケース40に対してフレキシブルプリント基板15を精度良く、且つ、容易に位置決めされる。
【0089】
本形態では、フレキシブルプリント基板15は、第1コイル112が固定される第1コイル固定部151、および、第2コイル122が固定される第2コイル固定部152を備える。嵌合部は、第1コイル固定部151に設けられた切欠き部155および突出部156(第1嵌合部)と、第2コイル固定部152に設けられた切欠き部155および突出部156(第2嵌合部)を備える。位置決め部は、第1コイル固定部151に設けられた切欠き部155および突出部156(第1嵌合部)と嵌合するフック46および凹溝47(第1位置決め部)、および、第2コイル固定部152に設けられた切欠き部155および突出部156(第2嵌合部)と嵌合するフック46および凹溝47(第2位置決め部)を
備える。従って、第1コイル固定部151と第2コイル固定部152をそれぞれ、位置決め部と嵌合部とを嵌合させることによって位置決めできるため、複数のコイル固定部をそれぞれ、ストッパーケース40に対して精度良く、且つ簡単に位置決めできる。
【0090】
本形態は、光軸回りの振れ補正を含む3方向の振れ補正を行う振れ補正機能付き光学ユニット1であり、可動体5を光軸Lを中心に回転可能に支持する回転支持機構6と、可動体5を光軸L回りに回転させるローリング補正用磁気駆動機構13を有する。ジンバル機構7(揺動支持機構)は、回転支持機構6を介して可動体5を支持している。ローリング補正用磁気駆動機構13は、固定体8に配置されるローリング補正用コイル132(第3コイル)および可動体5に配置されるローリング補正用マグネット131(第3磁石)を備えており、フレキシブルプリント基板15は、ローリング補正用コイル132(第3コイル)が固定される第3コイル固定部153を備える。嵌合部は、第3コイル固定部153に設けられた切欠き部155および突出部156(第3嵌合部)を備えており、位置決め部は、第3コイル固定部153に設けられた切欠き部155および突出部156(第3嵌合部)と嵌合するフック46および凹溝47(第3位置決め部)を備える。3方向の振れ補正を行う場合には、2方向の振れ補正を行う場合よりもコイルの数が多いが、本発明では、全てのコイル固定部をそれぞれ、ストッパーケース40に対して精度良く、且つ簡単に位置決めできる。
【符号の説明】
【0091】
1…振れ補正機能付き光学ユニット、2…レンズ、3…撮像素子、4…カメラモジュール、4a…カメラモジュール本体、4b…鏡筒部、5…可動体、6…回転支持機構、7…ジンバル機構、8…固定体、9…弾性支持部材、10…振れ補正用磁気駆動機構、11…第1振れ補正用磁気駆動機構、12…第2振れ補正用磁気駆動機構、13…ローリング補正用磁気駆動機構、14、15…フレキシブルプリント基板、15a…可撓性基材、15b…カバーレイフィルム、16…ホルダ、20…カバーボトム、21…第1弾性係合部、22…第1係止部、23…第2弾性係合部、24…第2係止部、25…円形穴、26…第3弾性係合部、27…係合孔、30…フレームケース、31…矩形枠部、32…第1縦枠部、33…第2縦枠部、34…板部、35…突部、36…板部、37…腕部、38…突部、39…第2軸側筒部、40…ストッパーケース、40A…胴部、41…第1ケース壁、42…第2ケース壁、43…第3ケース壁、44…端板部、45A…第1ケース突起、45B…第2ケース突起、46…フック、46a…開口部、47…凹溝、48…磁性部材配置溝、49…係合孔、50…FPCカバー、51…切欠き部、52…引っ掛け部、53…係止部、61…軸部、62…ベアリング、63…プレートホルダ、64…吸着マグネット、65…プレートホルダ筒部、66…プレートホルダ環状部、67…プレートホルダ延設部、68…第1軸側凹曲面、70…ジンバルバネ、71…第1接続機構、72…第2接続機構、73…ジンバルバネ枠部、74…第1ジンバルバネ延設部、75…第2ジンバルバネ延設部、76…ジンバルバネ逃がし部、77…第1軸側筒部、78…腕部、79…第2軸側凹曲面、101…巻き始め側コイル線、101a…第1部分、101b…第2部分、102…巻き終わり側コイル線、111…第1マグネット、112…第1コイル、113…第1磁性部材、121…第2マグネット、122…第2コイル、123…第2磁性部材、131…ローリング補正用マグネット、132…ローリング補正用コイル、151…第1コイル固定部、152…第2コイル固定部、153…第3コイル固定部、154…ランド、155…切欠き部、156…突出部、157…コイル設置面、158…凹形状部分、158a…第1凹形状部分、158b…第2凹形状部分、159…円形孔、160…切欠き部、161…ホルダ底部、162…ホルダ枠部、440…ケース位置決め孔、610…段部、621…内輪、622…外輪、623…球体、624…リテーナ、710…第1軸側シャフト、720…第2軸側シャフト、731…テーパ部、732…溝部、761…突出部、762…屈曲部、763…直線部、L…光軸、R1…第1軸、R2…第2軸、S、S1…隙間