(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-11
(45)【発行日】2024-03-19
(54)【発明の名称】無線通信システム
(51)【国際特許分類】
H04W 24/08 20090101AFI20240312BHJP
H04W 72/0453 20230101ALI20240312BHJP
H04W 4/44 20180101ALI20240312BHJP
【FI】
H04W24/08
H04W72/0453
H04W4/44
(21)【出願番号】P 2020159090
(22)【出願日】2020-09-23
【審査請求日】2023-03-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000001122
【氏名又は名称】株式会社日立国際電気
(74)【代理人】
【識別番号】100116687
【氏名又は名称】田村 爾
(74)【代理人】
【識別番号】100098383
【氏名又は名称】杉村 純子
(74)【代理人】
【識別番号】100155860
【氏名又は名称】藤松 正雄
(72)【発明者】
【氏名】山本 和弘
【審査官】青木 健
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-007197(JP,A)
【文献】特開2003-244052(JP,A)
【文献】国際公開第2018/061202(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W 4/00 - 99/00
H04B 7/24 - 7/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信機及び受信機を備えた複数の拠点を陸上に有する陸上側サブシステムと、送信機及び受信機を備えた1つの拠点を海上に有する海上側サブシステムとの間で短波帯の無線通信を行う無線通信システムにおいて、
前記陸上側サブシステムおよび前記海上側サブシステムのそれぞれが、電波伝搬特性を予測する電波伝搬予測部と、自サブシステムの拠点の受信機から通信品質情報を収集する通信品質収集部と、前記電波伝搬予測部により予測された電波伝搬特性と前記通信品質収集部により収集された通信品質情報を用いて、
複数の陸上の拠点のうちサブシステム間通信に使用する1つの拠点およびサブシステム間通信に使用する周波数を選択する送受信機制御部とを備えたことを特徴とする無線通信システム。
【請求項2】
請求項1に記載の無線通信システムにおいて、
前記送受信機制御部は、前記電波伝搬予測部により予測された電波伝搬特性を前記通信品質収集部により収集された通信品質情報を用いて調整した結果に基づいて、
サブシステム間通信に使用する
拠点および周波数を選択することを特徴とする無線通信システム。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の無線通信システムにおいて、
前記海上側サブシステムは、前記通信品質収集部により収集された通信品質情報の蓄積量が不十分な場合のために、前記陸上側サブシステムに蓄積された通信品質情報が事前に登録されていることを特徴とする無線通信システム。
【請求項4】
請求項1又は請求項2に記載の無線通信システムにおいて、
前記海上側サブシステムは、前記通信品質収集部により収集された通信品質情報の蓄積量が不十分な場合のために、前記陸上側サブシステムとの通信時に、前記陸上側サブシステムに蓄積された通信品質情報を受信することを特徴とする無線通信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送信機及び受信機を備えた1つ以上の拠点を有するサブシステム間で短波帯の無線通信を行う無線通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
短波帯(HF帯)の無線通信システムでは、一般的に電離層伝搬を利用して通信が行われる。この電離層伝搬を利用することで、短波帯の無線通信システムでは見通し外の長距離通信が可能となる。その一方で、電離層は季節や時間帯、太陽活動等に影響を受けるので、季節や時間帯によっては拠点間で通信可能な周波数が変化するという特徴がある。
【0003】
このような特徴があるため、短波帯を使用する無線通信システムでは、複数の周波数を用いることで、24時間且つ365日の通信を維持できるシステム構成を採るのが一般的である。しかしながら、1つの通信のために複数の周波数を使用することは、周波数の利用効率が悪いといった問題がある。
【0004】
短波帯の無線通信システムに関し、これまでに種々の発明が提案されている。例えば、特許文献1には、それぞれの陸上局から送信される電波の伝搬状況に基づいて、船舶局との無線通信に適した陸上局を選択する技術が開示されている。特許文献2には、複数の単舞通信システムのそれぞれに対する最適な通信拠点を予測して動的に配置する共に、通信拠点と移動する通信局の位置に対して最適な使用周波数を割り当てる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2013-183393号公報
【文献】特開2018-7197号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の通り、従来の無線通信システムでは、短波帯の無線通信を24時間且つ365日維持するためには複数の周波数を用いる必要があり、周波数の利用効率が悪いといった問題があった。
本発明は、上記のような従来の事情に鑑みて為されたものであり、短波帯の無線通信システムにおける周波数の利用効率を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、本発明に係る無線通信システムは以下のように構成される。
すなわち、送信機及び受信機を備えた1つ以上の拠点を有するサブシステム間で短波帯の無線通信を行う無線通信システムにおいて、各サブシステムは、電波伝搬特性を予測する電波伝搬予測部と、自サブシステムの拠点の受信機から通信品質情報を収集する通信品質収集部と、電波伝搬予測部により予測された電波伝搬特性と通信品質収集部により収集された通信品質情報を用いて、他サブシステムとの通信に使用する周波数を選択する送受信機制御部とを備えたことを特徴とする。
【0008】
ここで、送受信機制御部は、電波伝搬予測部により予測された電波伝搬特性を通信品質収集部により収集された通信品質情報を用いて調整した結果に基づいて、他サブシステムとの通信に使用する周波数を選択するようにしてもよい。
【0009】
また、送受信機制御部は、自サブシステムが複数の拠点を有する場合に、他サブシステムとの通信に使用する1つの拠点を複数の拠点の中から選択するようにしてもよい。
【0010】
また、サブシステムの少なくとも一方は、海上を移動する拠点を有する海上側サブシステムであってもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、短波帯の無線通信システムにおける周波数の利用効率を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施形態に係る無線通信システムにおける陸上側サブシステムの構成例を示す図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る無線通信システムにおける海上側サブシステムの構成例を示す図である。
【
図3】通信品質収集部による収集データを蓄積する通信品質データベースを例示する図である。
【
図4】電波伝搬予測部による予測結果を例示する図である。
【
図5】電波伝搬予測部の予測結果に対応する抽出データを例示する図である。
【
図6】海上拠点との通信に適した陸上拠点及び周波数の選択方式について説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。
図1には、本発明の一実施形態に係る無線通信システムにおける陸上側サブシステムの構成例を示してある。また、
図2には、同無線通信システムにおける海上側サブシステムの構成例を示してある。
【0014】
陸上側サブシステムは、陸上の地域的に離れた複数の拠点(
図1では、拠点A、拠点B、拠点Cの3拠点)を有し、各拠点は送信機11及び受信機12を備えている。また、陸上側サブシステムは、電波伝搬特性を予測する電波伝搬予測部14と、陸上拠点の受信機12から通信品質情報を収集する通信品質収集部16と、陸上拠点の送信機11及び受信機12を制御する送受信機制御部15と、陸上側サブシステム内の機器間のデータ伝送に使用されるネットワーク部13とを備えている。
【0015】
送信機11は、送受信機制御部15からネットワーク部13を介して指示された設定内容(例えば、通信周波数)に自身の通信設定を変更できる能力を持つ。
【0016】
受信機12は、送受信機制御部15からネットワーク部13を介して指示された設定内容(例えば、通信周波数)に、自身の通信設定を変更できる能力を持つ。また、複数の周波数の信号を同時に受信して復調するStarring受信の能力も持つ。
【0017】
電波伝搬予測部14は、短波帯の電波伝搬特性を予測する能力を持つ。一般的には、短波帯の電波伝搬予測手法は、Recomemdation ITU-R P .533に規定されている。電波伝搬予測部14は、上記の電波伝搬予測手法を具現化したソフトウェア、又はそれと同等のもの(AIや機械学習による予測を含む)により実現することができる。本例の電波伝搬予測部14は、電波伝搬特性として受信電界強度を予測するが、他の情報を予測してもよい。
【0018】
通信品質収集部16は、陸上拠点の受信機12から通信品質情報を収集して蓄積すると共に、通信品質情報を係数化する能力を持つ。通信品質情報は、陸上拠点と海上拠点の間で行われた無線通信の品質に関する情報である。本例では、通信品質情報として受信電界強度を収集するが、電波伝搬予測部14が出力できる情報で且つ受信機12で取得できる情報であればよい。例えば、SNR(Signal to Noise Ratio;信号対雑音比)を、通信品質情報として用いることができる。電波伝搬予測部14により予測された電波伝搬特性を、通信品質収集部16により収集された通信品質情報を用いて調整することで、電波伝搬特性の予測精度を向上させることが可能である。
【0019】
図3には、通信品質収集部16よる収集データを蓄積する通信品質データベースを例示してある。
図3に示すように、陸上拠点と海上拠点の間で無線通信を行った際に測定された「受信電界強度」(実測値)が、無線通信時の「周波数」及び「日時」と共に記憶される。また、無線通信時の「太陽黒点数」、「陸上拠点位置情報」、「海上拠点位置情報」も併せて記憶される。ここで、太陽黒点の数は無線の通信状態に影響を及ぼすといわれている。太陽黒点数は、例えば、国立緊急開発法人情報通信研究機構宇宙的予報センターがインターネット上で開示している情報より取得することができる。
【0020】
送受信機制御部15は、電波伝搬予測部14により予測された電波伝搬特性及び通信品質収集部16により収集された通信品質収集に基づいて、海上拠点との通信に適した陸上拠点及び周波数を選択し、該当する陸上拠点の送信機11及び受信機12に通信周波数を指示する。
【0021】
ネットワーク部13は、送受信機制御部15から送信機11及び受信機12への指示や、受信機12から通信品質収集部16への通信品質情報などの各種の情報を伝搬する伝搬路としての役割を持つ。
【0022】
海上側サブシステムは、海上を移動する拠点(例えば、船舶)を有し、当該拠点は送信機21及び受信機22を備えている。また、海上側サブシステムは、電波伝搬特性を予測する電波伝搬予測部24と、海上拠点の受信機22から通信品質情報を収集する通信品質収集部26と、海上拠点の送信機21及び受信機22を制御する送受信機制御部25と、海上側サブシステム内の機器間の通信に使用されるネットワーク部23とを備えている。すなわち、海上側サブシステムは、拠点が一箇所であることを除き、陸上側サブシステムと同様な構成である。また、海上側サブシステムの各要素は、陸上側サブシステムの同名要素と同じ機能を持つため、具体的な説明を省略する。
【0023】
本例の無線通信システムの動作について、陸上側サブシステムを例にして説明する。
陸上側サブシステムは、海上拠点との通信に先立ち、以下のようにして、海上拠点との通信に最適な陸上拠点及び周波数を選択する。
【0024】
まず、現時点の日時、太陽黒点数、海上拠点位置が、電波伝搬予測部14に入力される。なお、陸上拠点は移動しない固定の拠点であり、陸上拠点位置は事前に設定済なので入力が省略される。電波伝搬予測部14は、これらの入力値に基づいて、海上拠点との通信に使用する候補として、陸上拠点及び周波数の組み合わせを複数選び出し、その組み合わせ毎に受信電界強度を予測する。電波伝搬予測部14の予測結果は、送受信機制御部15に送信される。
【0025】
図4には、電波伝搬予測部14による予測結果を例示してある。
図4によれば、拠点AでXMHzの通信を行う場合の受信電界強度は50dBμV/mであり、拠点BでYMHzの通信を行う場合の受信電界強度は40dBμV/mであり、拠点CでZMHzの通信を行う場合の受信電界強度は30dBμV/mである。本例の電波伝搬予測部14は、予測結果の受信電界強度を太陽黒点数(本例では80)で除算した係数aも算出しており、拠点Aは0.625、拠点Bは0.500、拠点Cは0.375となっている。
【0026】
次に、送受信機制御部15は、電波伝搬予測部14の予測結果に対する重み付け係数を通信品質収集部16に要求する。通信品質収集部16は、通信品質データベースから、周波数、日時、陸上拠点と海上拠点の位置関係を検索キーに用いて、受信電界強度と太陽黒点数を抽出する。具体的には、例えば、候補に選ばれた陸上拠点及び周波数の組み合わせ毎に、周波数の誤差が所定範囲内で、現在と同じ季節・時間帯で、陸上拠点と海上拠点の各位置(緯度・経度)との誤差が所定範囲内の過去データを検索し、受信電界強度と太陽黒点数を抽出する。その後、通信品質収集部16は、抽出した受信電界強度と太陽黒点数に基づいて重み付け係数を導出し、送受信機制御部15へ送信する。
【0027】
図5には、電波伝搬予測部14の予測結果に対応する抽出データを例示してある。
図5によれば、過去に拠点AでXMHzの通信を行った第1事例は、受信電界強度は40dBμV/m、太陽黒点数は60であり、同様の通信を行った第2事例は、受信電界強度は30dBμV/m、太陽黒点数は70である。また、
図5には、受信電界強度を太陽黒点数で除算した係数bも併せて示してあり、第1事例は0.667、第2事例は0.429となっている。拠点BとYMHzの組み合わせ、拠点CとZMHzの組み合わせについても、同様にデータ抽出されている。
【0028】
送受信機制御部15は、電波伝搬予測部14による予測結果と、通信品質収集部16から取得した重み付け係数に基づいて、海上拠点との通信に適した陸上拠点及び周波数を選択する。本例では、
図6に示すように、候補に選ばれた陸上拠点及び周波数の組み合わせ毎に、通信品質収集部16で得られた係数bの平均を求め、電波伝搬予測部14で得られた係数aに係数bの平均値を乗算することで、指標値を算出する。
【0029】
図6によれば、拠点AとXMHzの組み合わせの指標値は0.3425、拠点BとYMHzの組み合わせの指標値は0.4225、拠点CとZMHzの組み合わせの指標値は0.2025である。指標値が最も大きい陸上拠点及び周波数の組み合わせが、現在の海上拠点との通信に最適な組み合わせとなる。つまり、本例では、拠点B及び周波数YMHzが、海上拠点との通信に最適な組み合わせとして選択される。
【0030】
送受信機制御部15は、海上拠点との通信に適した陸上拠点及び周波数を選択すると、該当する陸上拠点の送信機11及び受信機12に周波数を指示する。本例では、拠点Bの送信機11及び受信機12に、通信周波数としてYMHzを使用することを指示する。これにより、拠点Bの送信機11及び受信機12の通信周波数がYMHzに変更される。その結果、陸上側システムは、海上拠点への伝送データを拠点Bの送信機11により周波数YMHzで送信し、海上拠点からの伝送データを拠点Bの受信機12により周波数YMHzで待ち受けることになる。
【0031】
これまで陸上側サブシステムの動作について説明したが、海上側サブシステムでも同様な動作を行う。通信品質収集部26により収集した通信品質情報の蓄積量が十分な場合には、陸上側サブシステムと同様の演算結果を得ることができる。その結果、海上側サブシステムは、拠点Bへの伝送データを海上拠点の送信機21により周波数YMHzで送信し、拠点Bからの伝送データを海上拠点の受信機22により周波数YMHzで待ち受けることになる。
【0032】
なお、海上側サブシステムにおける通信品質情報の蓄積量が不十分な場合には、陸上側サブシステムとは異なる結果になる可能性がある。そこで、これを防ぐために、陸上側サブシステムに蓄積された通信品質情報を、事前に海上側サブシステムに登録するようにしてもよい。また、陸上側サブシステムと海上側サブシステムの通信時に、陸上側サブシステムに蓄積された通信品質情報を海上側サブシステムへ送信して、通信品質情報の同期を取るようにしてもよい。
【0033】
以上のように、本例の無線通信システムは、送信機11及び受信機12を備えた複数の拠点を有する陸上側サブシステムと、送信機21及び受信機22を備えた1つの拠点を有する海上側サブシステムとを含む。陸上側サブシステムは、電波伝搬特性を予測する電波伝搬予測部14と、陸上側サブシステムの各拠点の受信機12から通信品質情報を収集する通信品質収集部16と、電波伝搬予測部14により予測された電波伝搬特性と通信品質収集部16により収集された通信品質情報を用いて、海上側サブシステムとの通信に使用する拠点及び周波数を選択する送受信機制御部15を備える。また、海上側サブシステムは、電波伝搬特性を予測する電波伝搬予測部24と、海上側サブシステムの拠点の受信機22から通信品質情報を収集する通信品質収集部26と、電波伝搬予測部24により予測された電波伝搬特性と通信品質収集部26により収集された通信品質情報を用いて、陸上側サブシステムとの通信に使用する周波数を選択する送受信機制御部25を備える。
【0034】
このような構成によれば、陸上側サブシステム及び海上側サブシステムは、サブシステム間の通信に使用する拠点及び周波数を、時々刻々と変換する短波帯の電波伝搬特性を考慮した上で選択することができる。しかも、電波伝搬予測の結果(予測値)だけでなく、同様な通信環境で得られた過去の通信品質情報(実測値)も考慮するので、より適切に拠点及び周波数を選択することができる。その結果、1つの通信に対して複数の周波数を使用せずに済むようになり、周波数の利用効率が向上する。
【0035】
仮に従来のシステムが1つの通信に対して3つの周波数を使用していたとした場合、本例の無線通信システムでは、残り2つの周波数を別の通信に利用できるようになる。これは、通信容量が3倍になることと同義である。また、本例の無線通信システムでは、上記のようにして選択された拠点及び周波数を無線通信に使用するように自動的に制御されるので、運用者の負担が軽減される。更に、運用者は短波帯の電波伝搬特性に関する知識を持つ必要が無くなるので、誰でも短波帯の通信を利用できるようになる。
【0036】
なお、上記の例では、受信電界強度に基づいて周波数選択を行ったが、電波伝搬特性を表す他の情報に基づいて周波数選択を行うようにしてもよい。また、電波伝搬特性を表す複数の情報の組み合わせに基づいて周波数選択を行うようにしてもよい。
【0037】
また、上記の例では、電波伝搬特性の予測値と実測値を係数化して組み合わせるという簡易な手法で、電波伝搬特性の予測精度の向上を実現したが、他の手法により電波伝搬特性の予測精度を向上させるようにしてもよい。例えば、AIや機械学習により得られた重み付け係数を用いて、電波伝搬特性の予測値を調整するようにしてもよい。
【0038】
以上、本発明について一実施形態に基づいて説明したが、本発明はここに記載された構成に限定されるものではなく、他の構成のシステムに広く適用することができることは言うまでもない。例えば、上記実施形態は、陸上側サブシステムと海上側サブシステムの間で短波帯通信を行うものであるが、第1の海上側サブシステムと第2の海上側サブシステムの間での短波帯通信にも本発明を適用することが可能である。
【0039】
また、本発明は、例えば、上記の処理に関する技術的手順を含む方法や、上記の処理をプロセッサにより実行させるためのプログラム、そのようなプログラムをコンピュータ読み取り可能に記憶する記憶媒体などとして提供することも可能である。
【0040】
なお、本発明の範囲は、図示され記載された例示的な実施形態に限定されるものではなく、本発明が目的とするものと均等な効果をもたらす全ての実施形態をも含む。更に、本発明の範囲は、全ての開示されたそれぞれの特徴のうち特定の特徴のあらゆる所望する組み合わせによって画され得る。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明は、送信機及び受信機を備えた1つ以上の拠点を有するサブシステム間で短波帯の無線通信を行う無線通信システムに利用することができる。
【符号の説明】
【0042】
11,21:送信機、 12,22:受信機、 13,23:ネットワーク部、 14,24:電波伝搬予測部、 15,25:送受信機制御部、 16,26:通信品質収集部