(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-11
(45)【発行日】2024-03-19
(54)【発明の名称】ブランチケーブル
(51)【国際特許分類】
H02G 15/08 20060101AFI20240312BHJP
H02G 1/14 20060101ALI20240312BHJP
H02G 1/06 20060101ALI20240312BHJP
H01B 7/00 20060101ALI20240312BHJP
H01B 7/36 20060101ALI20240312BHJP
H01R 4/70 20060101ALN20240312BHJP
【FI】
H02G15/08
H02G1/14
H02G1/06
H01B7/00 305
H01B7/36 Z
H01R4/70 K
(21)【出願番号】P 2020159523
(22)【出願日】2020-09-24
【審査請求日】2023-08-09
(73)【特許権者】
【識別番号】501418498
【氏名又は名称】矢崎エナジーシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】山田 貴大
(72)【発明者】
【氏名】林 正幸
(72)【発明者】
【氏名】内田 桂
(72)【発明者】
【氏名】田澤 和俊
【審査官】北嶋 賢二
(56)【参考文献】
【文献】特開平6-196212(JP,A)
【文献】特開2005-39981(JP,A)
【文献】特開2018-181632(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 15/08
H02G 1/14
H02G 1/06
H01B 7/00
H01B 7/36
H01R 4/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれの導体の少なくともいずれか一方がアルミニウム又はアルミニウム合金からなりそれぞれ該導体に被覆が覆われた幹線及び分岐線と、
前記幹線及び前記分岐線それぞれの所定位置の前記被覆を除去して露出されたそれぞれの前記導体同士を電気的に接続してなる接続部分を覆う絶縁処理部と、
を備え、
該絶縁処理部は、識別部材を備え、
該識別部材は、前記絶縁処理部とは別体の筒状に形成され、且つ、前記接続部分を前記絶縁処理部が覆った状態において該絶縁処理部と一体成形され、且つ、前記識別部材の外面に前記幹線及び前記分岐線それぞれの前記導体の材料を識別可能な識別表示が形成される
ことを特徴とするブランチケーブル。
【請求項2】
請求項1に記載のブランチケーブルにおいて、
前記識別部材は、該識別部材の軸方向の両端のうち少なくともいずれか一方の端部に前記絶縁処理部と係合可能に形成された係合部を設ける
ことを特徴とするブランチケーブル。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のブランチケーブルにおいて、
前記識別部材は、該識別部材の内面に凹部と凸部とが前記識別部材の軸方向に沿って連続して形成される
ことを特徴とするブランチケーブル。
【請求項4】
請求項1、2又は3に記載のブランチケーブルにおいて、
前記識別部材は、前記絶縁処理部における当該ブランチケーブルを挿通する挿通孔の内面と接触する箇所に配置され、且つ、前記絶縁処理部における前記識別部材が配置される箇所以外の箇所よりも高い硬度となるように形成される
ことを特徴とするブランチケーブル。
【請求項5】
請求項1、2、3又は4に記載のブランチケーブルにおいて、
前記識別表示は、前記幹線及び前記分岐線それぞれの前記導体の材料を識別可能な着色、ストライプ、又は、印字である
ことを特徴とするブランチケーブル。
【請求項6】
それぞれの導体の少なくともいずれか一方がアルミニウム又はアルミニウム合金からなりそれぞれ該導体に被覆が覆われた幹線及び分岐線と、
前記幹線及び前記分岐線それぞれの所定位置の前記被覆を除去して露出されたそれぞれの前記導体同士を電気的に接続してなる接続部分を覆う絶縁処理部と、
を備え、
該絶縁処理部は、該絶縁処理部の外面に前記幹線及び前記分岐線それぞれの前記導体の材料を識別可能な識別表示が形成される
ことを特徴とするブランチケーブル。
【請求項7】
請求項6に記載のブランチケーブルにおいて、
前記識別表示は、前記幹線及び前記分岐線それぞれの前記導体の材料を識別可能な着色、又は、印字である
ことを特徴とするブランチケーブル。
【請求項8】
請求項6に記載のブランチケーブルにおいて、
前記識別表示として、前記絶縁処理部の外面に複数の突起を設ける
ことを特徴とするブランチケーブル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マンションやビルディング、集合住宅、工場、トンネル等の低圧配線に用いられるブランチケーブルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、マンションやビルディング等に配線される(敷設される)電力ケーブルは、現場にて幹線と分岐線との電気的な接続、また、絶縁処理が施されていた。そのため現場では時間がとられ、工期が長くなってしまう(施工性が悪くなる)という問題点があった。この問題点の解消として現場での加工削減を目的とし、予め自社工場内で幹線と分岐線とが接続・絶縁処理されるブランチケーブル(その他、「分岐付ケーブル」と呼ばれることもある)での提供が一般的になった。
【0003】
近年、さらなる施工性の向上を目的として、従来の銅又は銅合金からなる導体を有するケーブル(以下、本明細書では、「銅ケーブル」と呼ぶものとする)よりも軽量のアルミニウム又はアルミニウム合金からなる導体を有するケーブル(以下、本明細書では、「アルミケーブル」と呼ぶものとする)を使用する特許文献1に開示された技術(以下、本明細書では、「従来技術」と呼ぶものとする)が提案されている。
【0004】
特許文献1の
図1に図示する分岐付ケーブル100は、幹線ケーブル150と、幹線ケーブル150に分岐接続された複数の支線ケーブル110と、を備えている。幹線ケーブル150は、主たる第1幹線ケーブル50と、第1幹線ケーブル50の下端部に接続された第2幹線ケーブル60と、を有している。第1幹線ケーブル50は、幹線ケーブル150の半分以上を占める長さを有している。第1幹線ケーブル50の導体は、アルミニウム又はアルミニウム合金からなるものである。第2幹線ケーブル60の導体は、銅又は銅合金からなるものである。
【0005】
特許文献1の
図1に図示する支線ケーブル110は、一端部が第1幹線ケーブル50に接続された第1支線ケーブル10と、第1支線ケーブル10の他端部に接続された第2支線ケーブル20と、を有している。第1支線ケーブル10は、支線ケーブル110の半分以上を占める長さを有している。第1支線ケーブル10の導体は、アルミニウム又はアルミニウム合金からなるものである。第2支線ケーブル20の導体は、銅又は銅合金からなるものである。
【0006】
特許文献1の
図1に図示する第1支線ケーブル10の一端側の導体は、第1幹線ケーブル50の導体51に電気的に接続されている。第1幹線ケーブル50の導体と、第1支線ケーブル10の導体と、を接続した箇所は、絶縁処理部(特許文献1では、インジェクションモールド80)にて覆われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、従来技術では、アルミケーブルは、ケーブルと機器(分電盤、電機設備等)との接続又はケーブル同士の接続の際、酸化被膜の除去や電気腐食への対策等の技術的課題があることから導体の取り扱いに注意する必要がある。しかしながら、ブランチケーブルの導体として、どの材料が用いられているかは外観からは識別し難いという問題点があった。
【0009】
また、従来の銅ケーブルからアルミケーブルに変更することでケーブルのサイズが大きくなることから、ブランチケーブルにおける絶縁処理部が大きくなる。このように、絶縁処理部が大きくなることによりブランチケーブルを挿通する挿通孔へ挿通し難くなり、ブランチケーブルの配線に係る施工性が悪くなる虞があるという問題点があった。
【0010】
本発明は、上記した事情に鑑みてなされたもので、導体の材料の識別が従来技術よりも容易になるとともに、配線に係る施工性が従来技術よりも向上するブランチケーブルを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(1)上記課題を解決するためになされた請求項1記載の本発明のブランチケーブルは、それぞれの導体の少なくともいずれか一方がアルミニウム又はアルミニウム合金からなりそれぞれ該導体に被覆が覆われた幹線及び分岐線と、前記幹線及び前記分岐線それぞれの所定位置の前記被覆を除去して露出されたそれぞれの前記導体同士を電気的に接続してなる接続部分を覆う絶縁処理部と、を備え、該絶縁処理部は、識別部材を備え、該識別部材は、前記絶縁処理部とは別体の筒状に形成され、且つ、前記接続部分を前記絶縁処理部が覆った状態において該絶縁処理部と一体成形され、且つ、前記識別部材の外面に前記幹線及び前記分岐線それぞれの前記導体の材料を識別可能な識別表示が形成されることを特徴とする。
【0012】
上記(1)のような特徴を有する本発明によれば、識別部材の外面に形成された識別表示により、幹線及び分岐線それぞれの導体の材料を外観から識別することができる。したがって、幹線及び分岐線それぞれの導体の少なくともいずれか一方がアルミニウム又はアルミニウム合金からなることを外観から容易に識別することができる。
【0013】
(2)請求項2記載の本発明のブランチケーブルは、請求項1に記載のブランチケーブルにおいて、前記識別部材は、該識別部材の軸方向の両端のうち少なくともいずれか一方の端部に前記絶縁処理部と係合可能に形成された係合部を設けることを特徴とする。
【0014】
上記(2)のような特徴を有する本発明によれば、識別部材が絶縁処理部と一体成形された状態において、係合部と絶縁処理部とが係合される。係合部と絶縁処理部とが係合されることにより、識別部材が絶縁処理部から外れ難くなる。
【0015】
(3)請求項3記載の本発明のブランチケーブルは、請求項1又は2に記載のブランチケーブルにおいて、前記識別部材は、該識別部材の内面に凹部と凸部とが前記識別部材の軸方向に沿って連続して形成されることを特徴とする。
【0016】
上記(3)のような特徴を有する本発明によれば、識別部材が絶縁処理部と一体成形された状態において、識別部材の内面に凹部と凸部とが形成されていない場合(識別部材の内面が平面状に形成されている場合)に比べて絶縁処理部との接触面積が増加する。上記識別部材が絶縁処理部と一体成形されると凹部及び凸部と絶縁処理部とが係合されることにより、識別部材が絶縁処理部から外れ難くなる。
【0017】
(4)請求項4記載の本発明のブランチケーブルは、請求項1、2又は3に記載のブランチケーブルにおいて、前記識別部材は、前記絶縁処理部における当該ブランチケーブルを挿通する挿通孔の内面と接触する箇所に配置され、且つ、前記絶縁処理部における前記識別部材が配置される箇所以外の箇所よりも高い硬度となるように形成されることを特徴とする。
【0018】
上記(4)のような特徴を有する本発明によれば、識別部材は、絶縁処理部における識別部材が配置される箇所以外の箇所よりも高い硬度であることから、絶縁処理部における識別部材が配置される箇所以外の箇所に対し摩擦係数が小さくなる。したがって、ブランチケーブルを挿通する挿通孔の内面と接触しても、挿通孔への通線性、及び、ブランチケーブルの配線に係る施工性が従来よりも向上する。
【0019】
また、本発明によれば、識別部材は、上記の通り、硬質の素材にて成形されていることから、上記硬質の素材を用いない場合と比べて体積抵抗率が大きくなる。したがって、識別部材の絶縁に必要な厚さを上記硬質の素材を用いない場合と比べて薄くすることができる。識別部材の絶縁に必要な厚さが上記の通り薄くなることから、絶縁処理部が従来よりも小さくなる。
【0020】
(5)請求項5記載の本発明のブランチケーブルは、請求項1、2、3又は4に記載のブランチケーブルにおいて、前記識別表示は、前記幹線及び前記分岐線それぞれの前記導体の材料を識別可能な着色、ストライプ、又は、印字であることを特徴とする。
【0021】
上記(5)のような特徴を有する本発明によれば、識別部材の外面の施された(設けられた)着色、ストライプ、又は、印字により、幹線及び分岐線それぞれの導体の材料を外観から視覚的に識別することができる。したがって、幹線及び分岐線それぞれの導体の少なくともいずれか一方がアルミニウム又はアルミニウム合金からなることを外観から、より容易に識別することができる。
【0022】
(6)上記課題を解決するためになされた請求項6記載の本発明のブランチケーブルは、それぞれの導体の少なくともいずれか一方がアルミニウム又はアルミニウム合金からなりそれぞれ該導体に被覆が覆われた幹線及び分岐線と、前記幹線及び前記分岐線それぞれの所定位置の前記被覆を除去して露出されたそれぞれの前記導体同士を電気的に接続してなる接続部分を覆う絶縁処理部と、を備え、該絶縁処理部は、該絶縁処理部の外面に前記幹線及び前記分岐線それぞれの前記導体の材料を識別可能な識別表示が形成されることを特徴とする。
【0023】
上記(6)のような特徴を有する本発明によれば、絶縁処理部の外面に形成された識別表示により、幹線及び分岐線それぞれの導体の材料を外観から識別することができる。したがって、幹線及び分岐線それぞれの導体の少なくともいずれか一方がアルミニウム又はアルミニウム合金からなることを外観から容易に識別することができる。
【0024】
(7)請求項7記載の本発明のブランチケーブルは、請求項6に記載のブランチケーブルにおいて、前記識別表示は、前記幹線及び前記分岐線それぞれの前記導体の材料を識別可能な着色、又は、印字であることを特徴とする。
【0025】
上記(7)のような特徴を有する本発明によれば、絶縁処理部の外面の施された(設けられた)着色、又は、印字により、幹線及び分岐線それぞれの導体の材料を外観から視覚的に識別することができる。したがって、幹線及び分岐線それぞれの導体の少なくともいずれか一方がアルミニウム又はアルミニウム合金からなることを外観から、より容易に識別することができる。
【0026】
(8)請求項8記載の本発明のブランチケーブルは、請求項6に記載のブランチケーブルにおいて、前記識別表示として、前記絶縁処理部の外面に複数の突起を設けることを特徴とする。
【0027】
上記(8)のような特徴を有する本発明によれば、絶縁処理部の外面に設けられた突起により、幹線及び分岐線それぞれの導体の材料を外観から視覚的に識別することができる。したがって、幹線及び分岐線それぞれの導体の少なくともいずれか一方がアルミニウム又はアルミニウム合金からなることを外観から、より容易に識別することができる。
【0028】
また、本発明によれば、絶縁処理部の外面に設けられた突起により、ブランチケーブルを挿通する挿通孔の内面との接触面積を、絶縁処理部の外面に突起を設けない場合に比べて減らすことができる。したがって、ブランチケーブルを挿通する挿通孔への通線性が従来よりも向上する。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、導体の材料の識別が従来技術よりも容易になるとともに、ブランチケーブルの配線に係る施工性を従来技術よりも向上させることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】本発明に係るブランチケーブルの実施例1における絶縁処理部付近を拡大して示す斜視図である。
【
図4】第一識別部材の変形例1を示す分解斜視図である。
【
図5】
図4に図示する半割体のB-B間断面図である。
【
図9】本発明に係るブランチケーブルの実施例2における絶縁処理部付近を拡大して示す斜視図である。
【
図10】ブランチケーブルの実施例2の変形例1を示す斜視図である。
【
図11】ブランチケーブルの実施例2の変形例2を示す斜視図である。
【
図12】ブランチケーブルの実施例2の変形例3を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、
図1-
図8を参照しながら、本発明に係るブランチケーブルの実施例1について、
図9-
図12を参照しながら、本発明に係るブランチケーブルの実施例2について、それぞれ説明する。
【実施例1】
【0032】
図1は本発明に係るブランチケーブルの実施例1における絶縁処理部付近を拡大して示す斜視図、
図2は第一識別部材の分解斜視図、
図3は
図2におけるA-A間断面図、
図4は第一識別部材の変形例1を示す分解斜視図、
図5は
図4に図示する半割体のB-B間断面図、
図6は第一識別部材の変形例2を示す図、
図7は第一識別部材の変形例3を示す図、
図8は第一識別部材の変形例4を示す図である。なお、図中の矢印は、上下、前後の各方向を示している(矢印の方向は一例であるものとする)。また、実施例1と同一の構成部材には同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0033】
図1において、引用符号1は本発明のブランチケーブルを示す。ブランチケーブル1は、マンションやビルディング、集合住宅、工場、トンネル等の低圧配線に用いられる。ブランチケーブル1は、分岐付ケーブルと呼ばれることもある。このようなブランチケーブル1は、幹線2と、複数の分岐線3と、絶縁処理部4と、第一識別部材5及び第二識別部材6と、を備えて構成されている。以下、ブランチケーブル1の各構成について説明する。
【0034】
まず、幹線2について説明する。
図1に図示する幹線2は、図示しない導体と、導体の外周面を覆うように形成される被覆7と、を備えている。幹線2の導体は、アルミニウム又はアルミニウム合金からなる素線を撚り合わせて形成されている(本実施例における幹線2は、所謂「アルミケーブル」であると言える)。幹線2は、特に図示しないが、幹線2の中間における被覆7が適宜長さで除去(皮むき)されている。幹線2における被覆7が除去された箇所は、「幹線側導体露出部」と呼ぶものとする。
【0035】
つぎに、分岐線3について説明する。
図1に図示する分岐線3は、図示しない導体と、導体の外周面を覆うように形成される被覆8と、を備えている。本実施例における分岐線3の導体は、銅又は銅合金からなる素線を撚り合わせて形成されている(本実施例における分岐線3は、所謂「銅ケーブル」であると言える)。分岐線3は、特に図示しないが、分岐線3の端末における被覆8が適宜長さで除去(皮むき)されている。分岐線3における被覆8が除去された箇所は、「分岐線側導体露出部」と呼ぶものとする。
【0036】
なお、本実施例では、上記の通り、幹線2の導体は、アルミニウム又はアルミニウム合金からなるものであり、分岐線3の導体は、銅又は銅合金からなるものであるが、これに限定されるものではない。その他、幹線2の導体が銅又は銅合金からなるものであり、分岐線3の導体がアルミニウム又はアルミニウム合金からなるものであってもよいものとする。また、幹線2及び分岐線3それぞれの導体がアルミニウム又はアルミニウム合金からなるものであってもよいものとする。
【0037】
ここで、幹線2と分岐線3との接続部分について説明する。
幹線2及び分岐線3には、特に図示しないが、それぞれの導体同士を電気的に接続してなる接続部分が形成されている。分岐線3は、接続部分を介して幹線2から分岐されている。接続部分は、幹線側導体露出部と、分岐線側導体露出部と、を電気的に接続することにより形成されている。接続部分は、幹線側導体露出部と、分岐線側導体露出部と、が溶接されて形成されている。本実施例では、上記溶接として、超音波溶接を採用するものとする(溶接技術での接続であればよく、その他、例えば、抵抗溶接、スポット溶接等であってもよいものとする)。
【0038】
つぎに、絶縁処理部4について説明する。
図1に図示する絶縁処理部4は、接続部分を覆うようにして形成されている。具体的には、塩化ビニール樹脂、ポリエチレン等を用いたモールド成形により、
図1に図示するような形状に形成されている。なお、絶縁処理部4は、幹線2の被覆7及び分岐線3の被覆8も覆うようにして形成されている。
【0039】
絶縁処理部4は、
図1に図示するように、後述する第一識別部材5及び第二識別部材6と一体成形されるものである。絶縁処理部4は、特に図示しないが、第一識別部材5及び第二識別部材6と一体成形される際、第一識別部材5及び第二識別部材6それぞれの内側に入り込むようになっている。また、絶縁処理部4は、上記一体成形された状態において、第一識別部材5及び第二識別部材6それぞれの内面(例えば、
図2及び
図3に図示する第一識別部材5を構成する半割体9、10の内面15)に密着するように形成されている。
【0040】
つぎに、第一識別部材5及び第二識別部材6について説明する。
第一識別部材5及び第二識別部材6は、それぞれ、特許請求の範囲に記載される「識別部材」に相当するものである。
図1に図示する第一識別部材5及び第二識別部材6は、それぞれ、絶縁処理部4とは別体の筒状に形成されている。第一識別部材5及び第二識別部材6は、それぞれ、接続部分を絶縁処理部4が覆った状態において絶縁処理部4と一体成形されている。
【0041】
図1に図示するように、第一識別部材5及び第二識別部材6は、それぞれ、絶縁処理部4における所定の箇所に配置されている。ここで、上記「所定の箇所」とは、例えば、ブランチケーブル1を図示しない挿通孔に挿通する際、挿通孔の内面や縁部と接触する箇所であるものとする。
【0042】
図1に図示する第一識別部材5及び第二識別部材6は、それぞれ、絶縁処理部4における第一識別部材5及び第二識別部材6が配置される箇所以外の箇所よりも高い硬度となるように形成されている。具体的には、JIS硬度(ショアD)65以上の絶縁材料にて成形されている。
【0043】
本実施例では、
図1-
図3に図示するように、第一識別部材5は、一対の半割体9、10から構成されている。また、
図1に図示するように、第二識別部材6は、一対の半割体11、12から構成されている。以下、第一識別部材5(半割体9、10)について、より詳細に説明する。なお、第二識別部材6(半割体11、12)は、第一識別部材5と基本的な構成が同様であることから、詳細な説明を省略する。
【0044】
図2及び
図3に図示する第一識別部材5は、この軸方向の一端(
図2及び
図3における前端)に幹線挿通孔13が設けられている。幹線挿通孔13は、一対の半割体9、10を突き合わせ状態にしたときに、各半割体9、10それぞれの幹線挿通孔13同士が連通するように構成されている。第一識別部材5は、この軸方向の他端(
図2及び
図3における後端)に係合部14が設けられている。係合部14は、絶縁処理部4と第一識別部材5とが一体成形された状態において、絶縁処理部4と係合可能に形成されている。なお、係合部14は、第一識別部材5の軸方向の他端の他、軸方向の一端(
図3における前端)に設けられていてもよいものとする。
【0045】
図2及び
図3に図示する第一識別部材5は、半割体9の内面15に嵌合突起16が設けられるとともに、半割体10の内面15に嵌合孔17が設けられている。嵌合孔17は、一対の半割体9、10を突き合わせ状態にしたときに、嵌合突起16が嵌合可能に形成されている。
【0046】
図1に図示する第一識別部材5及び第二識別部材6は、それぞれの外面18に幹線2及び分岐線3それぞれの導体の材料を識別可能な識別表示(特許請求の範囲に記載される「識別表示」に相当するものである)が形成されている。本実施例では、上記「識別表示」として、半割体9、10、11、12それぞれに、幹線2及び分岐線3それぞれの導体の材料を識別するための着色が施されている。
【0047】
具体的には、
図1に図示する第一識別部材5及び第二識別部材6それぞれの上側(半割体9、11)は、「オレンジ色」に着色されている。また、
図1に図示する第一識別部材5及び第二識別部材6それぞれの下側(半割体10、12)は、「白色」に着色されている。ここで、「オレンジ色」は、銅ケーブル(本実施例では、分岐線3)が用いられていることを意味する表示であり、「白色」は、アルミケーブル(本実施例では、幹線2)が用いられていることを意味する表示と定義されるものとする(上記着色は一例であるものとする。その他の二種類の色にて幹線2及び分岐線3それぞれの導体の材料を識別してもよいものとする)。
【0048】
以上、説明した実施例1のブランチケーブル1は、第一識別部材5及び第二識別部材6を、
図4及び
図5に図示する変形例1、
図6に図示する変形例2、
図7に図示する変形例3、又は
図8に図示する変形例4に置き換えてもよいものとする。以下、
図4-
図8を参照しながら、第一識別部材及び第二識別部材の変形例1-4について説明する。
【0049】
<変形例1>
図4に図示する第一識別部材19は、一対の半割体20、21それぞれの内面22に凹部23及び凸部24が設けられる点において、第一識別部材5(
図2及び
図3参照)と異なっている。なお、第二識別部材の変形例1は、第一識別部材19と基本的な構成が同様であることから、詳細な説明を省略する。
【0050】
図4に図示するように、凹部23及び凸部24は、第一識別部材19の軸方向(
図4における前後方向)に沿って連続して形成されている。
図5に図示するように、凹部23は、断面V字状に形成されている。また、凸部24は、断面山形に形成されている。
【0051】
<変形例2>
図6に図示する第一識別部材25は、この内面26に凹部27及び凸部28が設けられる点において、第一識別部材19(
図4及び
図5参照)と異なっている。なお、第二識別部材の変形例2は、第一識別部材25と基本的な構成が同様であることから、詳細な説明を省略する。
【0052】
図6に図示するように、凹部27及び凸部28は、第一識別部材25の軸方向(
図6における前後方向)に沿って連続して形成されている。
図6に図示するように、凹部27は、断面凹状に形成されている。また、凸部28は、断面凸状に形成されている。
【0053】
<変形例3>
図7(a)に図示する第一識別部材29及び第二識別部材30は、それぞれの半割体31、33の外面35にストライプ36が設けられる点において、第一識別部材5及び第二識別部材6(
図1参照)と異なっている。ストライプ36は、特許請求の範囲に記載される「識別表示」に相当するものである。本実施例では、ストライプ36には、幹線2又は分岐線3の導体の材料を識別するための着色が施されている。
【0054】
具体的には、
図7(a)に図示する第一識別部材29及び第二識別部材30それぞれの上側(半割体31、33)は、「オレンジ色」に着色されたストライプ36が設けられている。ストライプ36は、第一識別部材29及び第二識別部材30それぞれの軸方向(
図7(a)においては、前後方向)に沿って形成されている。また、第一識別部材29及び第二識別部材30それぞれの下側(半割体32、34)は、「白色」に着色されている。ここで、「オレンジ色」は、銅ケーブル(分岐線3)が用いられていることを意味する表示であり、「白色」は、アルミケーブル(幹線2)が用いられていることを意味する表示と定義されるものとする(上記着色は一例であるものとする。その他の二種類の色にて幹線2及び分岐線3それぞれの導体の材料を識別してもよいものとする)。
【0055】
その他、
図7(b)に図示するように、第一識別部材29及び第二識別部材30は、それぞれの半割体31、33の外面35にストライプ37を設けてもよいものとする。ストライプ37は、第一識別部材29及び第二識別部材30それぞれの周方向に沿って形成されている。
【0056】
<変形例4>
図8に図示する第一識別部材38及び第二識別部材39は、それぞれの半割体40~42の外面44に導体材料表示45、46が設けられる点において、第一識別部材5及び第二識別部材6(
図1参照)と異なっている。導体材料表示45、46は、特許請求の範囲に記載される「識別表示」に相当するものである。本実施例では、導体材料表示45、46は、幹線2又は分岐線3の導体の材料を識別するための表示(印字)である。
【0057】
具体的には、
図7(a)に図示する第一識別部材38及び第二識別部材39それぞれの上側(半割体40、42)の外面44には、導体材料表示45が設けられている。導体材料表示45は、銅の元素記号である「Cu」の文字が刻印されたものである。導体材料表示45は、銅ケーブル(分岐線3)が用いられていることを意味する表示である。
図7(b)に図示する第一識別部材29の下側(半割体41)の外面44には、導体材料表示46が設けられている。導体材料表示46は、アルミニウムの元素記号である「Al」の文字が刻印されたものである。導体材料表示46は、アルミケーブル(幹線2)が用いられていることを意味する表示である。
【0058】
なお、導体材料表示45、46は、上記のように刻印されたものに限らず、第一識別部材38及び第二識別部材39それぞれの外面44に印刷されたものであってもよいものとする。
【0059】
<その他の変形例>
なお、特に図示しないが、その他の変形例として、例えば、
図1に図示する第一識別部材5及び第二識別部材6それぞれに複数の突起を設けてもよいものとする。例えば、第一識別部材5及び第二識別部材6は、それぞれの半割体9、11の外面18に、後に参照する
図10に図示する突起64のような突起を設けてもよいものとする。また、第一識別部材5及び第二識別部材6は、それぞれの半割体10、12の外面18に、突起65(
図10参照)のような突起を設けてもよいものとする。
【0060】
上記突起を設ける場合、例えば、突起64(
図10参照)のような突起が設けられていれば、銅ケーブル(分岐線3)が用いられていることを表示し、突起65(
図10参照)のような突起が設けられていれば、アルミケーブル(幹線2)が用いられていることを表示するものと定義してもよいものとする(一例であるものとする)。
【0061】
以上、説明した通り、本実施例によれば、第一識別部材5、19、25、38及び第二識別部材6、30、39の識別表示(着色、ストライプ36、37、又は、導体材料表示45、46)により、ブランチケーブル1の配線作業において、ブランチケーブル1の取扱者は、幹線2及び分岐線3それぞれの導体の材料を外観から容易に識別することができる。したがって、幹線2及び分岐線3それぞれの導体の少なくともいずれか一方がアルミニウム又はアルミニウム合金からなることを外観から容易に識別することができる。
【0062】
また、本実施例によれば、第一識別部材5、19、25、38及び第二識別部材6、30、39が絶縁処理部4と一体成形された状態において、係合部14と絶縁処理部4とが係合されることにより、第一識別部材5、19、25、38及び第二識別部材6、30、39が絶縁処理部4から外れ難くなる。
【0063】
また、本実施例によれば、第一識別部材19、25及び第二識別部材が絶縁処理部4と一体成形された状態において、第一識別部材19、25及び第二識別部材の内面22、26に凹部23、27と凸部24、28とが形成されていない場合(第一識別部材及び第二識別部材の内面が平面状に形成されている場合)に比べて絶縁処理部4との接触面積が増加する。上記第一識別部材19、25及び第二識別部材が絶縁処理部4と一体成形されると凹部23、27と凸部24、28と絶縁処理部4とが係合されることにより、第一識別部材19、25及び第二識別部材が絶縁処理部4から外れ難くなる。
【0064】
また、本実施例によれば、第一識別部材5、19、25、38及び第二識別部材6、30、39は、絶縁処理部4における第一識別部材5、19、25、38及び第二識別部材6、30、39が配置される箇所以外の箇所よりも高い硬度であることから、絶縁処理部4における第一識別部材5、19、25、38及び第二識別部材6、30、39が配置される箇所以外の箇所に対し摩擦係数が小さくなる。したがって、ブランチケーブル1を図示しない挿通孔に挿通する際、挿通孔の内面や縁部と接触しても、挿通孔への通線性、及び、ブランチケーブル1の配線に係る施工性が従来よりも向上する。
【0065】
また、本実施例によれば、第一識別部材5、19、25、38及び第二識別部材6、30、39は、上記の通り、硬質の素材にて成形されていることから、上記硬質の素材を用いない場合と比べて体積抵抗率が大きくなる。したがって、第一識別部材5、19、25、38及び第二識別部材6、30、39の絶縁に必要な厚さを上記硬質の素材を用いない場合と比べて薄くすることができる。第一識別部材5、19、25、38及び第二識別部材6、30、39の絶縁に必要な厚さが上記の通り薄くなることから、絶縁処理部4が従来よりも小さくなる。
【0066】
また、本実施例によれば、第一識別部材5及び第二識別部材6に突起(
図10に図示するような突起64、65)を設けた場合、上記に加え、ブランチケーブル1を図示しない挿通孔に挿通する際、挿通孔の内面や縁部との接触面積を、第一識別部材5及び第二識別部材6に突起を設けない場合に比べて減らすことができる。したがって、挿通孔への通線性が従来よりも向上する。
【0067】
つぎに、本実施例の効果について説明する。
以上、
図1-
図8を参照しながら説明してきたように、本実施例によれば、導体の材料の識別が従来技術よりも容易になるとともに、ブランチケーブル1の配線に係る施工性を従来技術よりも向上させることができるという効果を奏する。
【実施例2】
【0068】
本発明に係るブランチケーブルは、実施例1の他、下記の実施例2を用いてもよいものとする。以下、
図9-
図12を参照しながら、実施例2について説明する。
【0069】
図9は本発明に係るブランチケーブルの実施例2における絶縁処理部付近を拡大して示す斜視図、
図10はブランチケーブルの実施例2の変形例1を示す斜視図、
図11はブランチケーブルの実施例2の変形例2を示す斜視図、
図12はブランチケーブルの実施例2の変形例3を示す斜視図である。なお、図中の矢印は、上下、前後の各方向を示している(矢印の方向は一例であるものとする)。また、実施例1と同一の構成部材には同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0070】
図9(a)において、引用符号51は、本発明に係るブランチケーブルの実施例2を示している。ブランチケーブル51は、絶縁処理部52を備えて構成されている点において実施例1と異なっている。以下、絶縁処理部52の構成について説明する。
【0071】
図9(a)に図示する絶縁処理部52は、接続部分を覆うようにして形成されている。絶縁処理部52は、この外面53に識別表示54が形成されている。識別表示54は、幹線2及び分岐線3それぞれの導体の材料を識別可能な表示として形成されている。
【0072】
本実施例では、上記識別表示54として、
図9(a)に図示するように、絶縁処理部52の外面53の上側と下側それぞれに、幹線2及び分岐線3それぞれの導体の材料を識別するための着色が施されている。
【0073】
具体的には、絶縁処理部52の上側は、「オレンジ色」に着色されている。また、絶縁処理部52の下側は、「白色」に着色されている。ここで、「オレンジ色」は、銅ケーブル(本実施例では、分岐線3)が用いられていることを意味する表示であり、「白色」は、アルミケーブル(本実施例では、幹線2)が用いられていることを意味する表示と定義されるものとする(上記着色は一例であるものとする。その他の二種類の色にて幹線2及び分岐線3それぞれの導体の材料を識別してもよいものとする)。
【0074】
なお、本実施例では、上記識別表示54として、
図9(b)に図示するように、絶縁処理部52の外面53の上側の一部(絶縁処理部52の前後方向における略中間部から後端にわたる部分)を「オレンジ色」に着色してもよいものとする。
【0075】
以上、説明した実施例2のブランチケーブル51は、
図10に図示する変形例1、
図11に図示する変形例2、又は
図12に図示する変形例3に置き換えてもよいものとする。以下、
図10-
図12を参照しながら、ブランチケーブル51の変形例1-3について説明する。
【0076】
<変形例1>
図10に図示するブランチケーブル61は、絶縁処理部62の外面63に複数の突起64、65が形成されている。突起64、65は、特許請求の範囲に記載される「識別表示」に相当するものである。突起64は、絶縁処理部62の外面63における上側に複数設けられている。突起64は、断面円弧状に形成されている。突起65は、絶縁処理部62の外面63における下側に複数条設けられている。突起65は、絶縁処理部62の軸方向(
図10における前後方向)の一端から他端にわたって延びるように形成されている。
【0077】
上記突起64、65は、特許請求の範囲に記載される「識別表示」に相当するものである。例えば、突起64が設けられていれば、銅ケーブル(分岐線3)が用いられていることを表示し、突起65が設けられていれば、アルミケーブル(幹線2)が用いられていることを表示するものと定義してもよいものとする(一例であるものとする)。
【0078】
<変形例2>
図11に図示するブランチケーブル71は、絶縁処理部72を備えて構成されている。ブランチケーブル71は、
図10に図示する絶縁処理部62において突起64に代えて突起73が複数設けられている点において上記変形例1のブランチケーブル61と異なっている。
図11に図示する突起73は、絶縁処理部72の軸方向(
図11における前後方向)の一端から他端にわたって延びるように形成されている。
図11に図示する突起73は、各突起73同士の間隔が、各突起65同士の間隔に比べて狭くなるように形成されている。
【0079】
<変形例3>
図12に図示するブランチケーブル81は、絶縁処理部82の外面83に導体材料表示84、85が形成されている。導体材料表示84、85は、特許請求の範囲に記載される「識別表示」に相当するものである。本実施例では、導体材料表示84、85は、幹線2又は分岐線3の導体の材料を識別するための表示(印字)である。
【0080】
具体的には、
図12に図示する導体材料表示84は、銅の元素記号である「Cu」の文字が刻印されたものである。導体材料表示84は、銅ケーブル(分岐線3)が用いられていることを意味する表示である。また、
図12に図示する導体材料表示85は、アルミニウムの元素記号である「Al」の文字が刻印されたものである。導体材料表示85は、アルミケーブル(幹線2)が用いられていることを意味する表示である。
【0081】
なお、導体材料表示84、85は、上記のように刻印されたものに限らず、絶縁処理部82の外面83に印刷されたものであってもよいものとする。
【0082】
<その他の変形例>
なお、特に図示しないが、その他の変形例として、絶縁処理部52の外面53(
図9参照)の上側にストライプを設けてもよいものとする。このストライプは、実施例1の変形例3におけるストライプ36(
図7(a)参照)のように、絶縁処理部52(
図9参照)の軸方向(
図9においては、前後方向)に沿って形成されているものとする。
【0083】
その他、上記ストライプは、
図7(b)に図示するストライプ37のように、絶縁処理部52(
図9参照)の周方向に沿って形成されるものであってもよいものとする。
【0084】
以上、説明した通り、本実施例によれば、絶縁処理部52、62、72、82に形成された識別表示(着色、突起64、65、73、導体材料表示84、85、又は、ストライプ)により、ブランチケーブル51、61、71、81の配線作業において、ブランチケーブル51、61、71、81の取扱者は、幹線2及び分岐線3それぞれの導体の材料を外観から容易に識別することができる。したがって、幹線2及び分岐線3それぞれの導体の少なくともいずれか一方がアルミニウム又はアルミニウム合金からなることを外観から容易に識別することができる。
【0085】
また、本実施例によれば、絶縁処理部62、72に突起64、65、73を設けることにより、ブランチケーブル61、71を図示しない挿通孔に挿通する際、挿通孔の内面や縁部との接触面積を、絶縁処理部62、72に突起64、65、73を設けない場合に比べて減らすことができる。したがって、挿通孔への通線性が従来よりも向上する。
【0086】
つぎに、本実施例の効果について説明する。
以上、
図9-
図12を参照しながら説明してきたように、本実施例によれば、実施例1と同様の効果を奏する。
【0087】
この他、本発明は本発明の主旨を変えない範囲で種々変更実施可能なことは勿論である。
【0088】
上記説明では、実施例1に係るブランチケーブル1(
図1参照)は、第一識別部材5が一対の半割体9、10から構成され、第二識別部材6が一対の半割体11、12から構成されているが、これに限らず、下記のような構成にしてもよいものとする。
【0089】
すなわち、本発明に係るブランチケーブルは、特に図示しないが、第一識別部材5(
図1参照)を、一対の半割体9、10が一体成形されるような構成にするとともに、第二識別部材6(
図1参照)を、一対の半割体11、12が一体成形されるような構成にしてもよいものとする。
【符号の説明】
【0090】
1、51、61、71、81…ブランチケーブル、 2…幹線、 3…分岐線、 4、52、62、72、82…絶縁処理部、 5、19、25、29、38…第一識別部材(識別部材)、 6、30、39…第二識別部材(識別部材)、 7、8…被覆、 9~12、20、21、31~34、40~43…半割体、 13…幹線挿通孔、 14…係合部、 15、22、26…内面、 16…嵌合突起、 17…嵌合孔、 18、35、44、53、63、83…外面、 23、27…凹部、 24、28…凸部、 36、37…ストライプ(識別表示)、 45、46、84、85…導体材料表示(識別表示)、 54…識別表示、 64、65、73…突起(識別表示)