(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-11
(45)【発行日】2024-03-19
(54)【発明の名称】貯蔵庫、貯蔵システム及び画像認識方法
(51)【国際特許分類】
F25D 23/00 20060101AFI20240312BHJP
G16Y 10/80 20200101ALI20240312BHJP
G16Y 40/35 20200101ALI20240312BHJP
【FI】
F25D23/00 301K
F25D23/00 307
G16Y10/80
G16Y40/35
(21)【出願番号】P 2020207280
(22)【出願日】2020-12-15
【審査請求日】2023-04-27
(73)【特許権者】
【識別番号】399048917
【氏名又は名称】日立グローバルライフソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001678
【氏名又は名称】藤央弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】小松 佑人
(72)【発明者】
【氏名】浜田 宏一
(72)【発明者】
【氏名】仁木 亨
(72)【発明者】
【氏名】森 泰久
【審査官】五十嵐 公輔
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-244906(JP,A)
【文献】特開2003-042626(JP,A)
【文献】特開2020-101967(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第110455027(CN,A)
【文献】特開2004-276733(JP,A)
【文献】国際公開第2019/102616(WO,A1)
【文献】特開2017-040425(JP,A)
【文献】特開2019-168134(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 23/00
F25D 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサとメモリを有する制御部と、
開閉可能な扉と、を有する貯蔵庫であって、
前記扉の開度を検出する開度センサと、
前記扉が開放された場合に前記貯蔵庫の庫内を上方から撮影可能なカメラと、
前記扉が開いた場合に前記庫内を前記カメラへ反射する反射鏡と、を有し、
前記制御部は、
前記開度センサが検出する開度が所定の閾値を超えた場合には、前記カメラで前記庫内と前記反射鏡の可視光画像をカメラ画像として撮影する撮影部と、
前記カメラで撮影した前記カメラ画像から物品を認識する認識部と、
前記認識された物品の情報をテキストで出力する認識結果出力部と、
を有
し、
前記カメラは、魚眼又は広角のレンズで構成され、貯蔵庫の上面から前方へ向けて突出した位置で前記レンズを下方に向けて配置し、
前記反射鏡は、前記カメラの端部又は端部よりも貯蔵庫の前方で下方へ向けて突出することを特徴とする貯蔵庫。
【請求項2】
請求項1に記載の貯蔵庫であって、
前記制御部は、
前記カメラ画像から、前記レンズから直接撮影した貯蔵庫内の第1の画像と、前記レンズから前記反射鏡を介して撮影した貯蔵庫内の第2の画像と、を抽出して、前記第1の画像と前記第2の画像から前記魚眼又は広角のレンズの歪みを除去した平面画像に変換し、前記第1の画像の平面画像と第2の画像の平面画像を合成して認識用画像を生成する画像変換部をさらに有し、
前記認識部は、
前記認識用画像から物品を認識することを特徴とする貯蔵庫。
【請求項3】
請求項2に記載の貯蔵庫であって、
前記画像変換部は、
前記認識用画像を生成する際に、前記第2の画像の平面画像を庫内上部の平面画像として、前記第1の画像の平面画像に合成することを特徴とする貯蔵庫。
【請求項4】
請求項2に記載の貯蔵庫であって、
前記認識結果出力部は、
前記庫内の物品の認識結果のうち食品の種類と数量を食材リストとして出力することを特徴とする貯蔵庫。
【請求項5】
請求項4に記載の貯蔵庫であって、
前記認識結果出力部は、
前記食材リストの食品の数量が、予め設定された数量未満の食品について外部へ発注することを特徴とする貯蔵庫。
【請求項6】
プロセッサとメモリを有する制御部と、
開閉可能な扉と、を有する貯蔵庫であって、
前記扉の開度を検出する開度センサと、
前記扉が開放された場合に前記貯蔵庫の庫内を上方から撮影可能なカメラと、
前記扉が開いた場合に前記庫内を前記カメラへ反射する反射鏡と、を有し、
前記制御部は、
前記開度センサが検出する開度が所定の閾値を超えた場合には、前記カメラで前記庫内と前記反射鏡の可視光画像をカメラ画像として撮影する撮影部と、
前記カメラで撮影した前記カメラ画像から物品を認識する認識部と、
前記認識された物品の情報をテキストで出力する認識結果出力部と、
を有し、
前記認識部は、
前記カメラ画像のうち前記反射鏡の画像に曇りの有無を検出し、前記反射鏡の画像に曇りがある場合には、画像を認識する機械学習モデルを、通常用学習モデルから曇り用学習モデルへ切り替えることを特徴とする貯蔵庫。
【請求項7】
プロセッサとメモリを有する制御部と、開閉可能な扉と、を含む貯蔵庫と、
前記貯蔵庫とネットワークを介して接続されて、プロセッサとメモリを有するサーバと、を含む貯蔵システムであって、
前記貯蔵庫は、
前記扉の開度を検出する開度センサと、
前記扉が開放された場合に前記貯蔵庫の庫内を上方から撮影可能なカメラと、
前記扉が開いた場合に前記庫内を前記カメラへ反射する反射鏡と、を有し、
前記制御部は、
前記開度センサが検出する開度が所定の閾値を超えた場合には、前記カメラで前記庫内と前記反射鏡の画像をカメラ画像として撮影する撮影部と、
前記カメラ画像を前記サーバへ送信する画像送信部と、を有し、
前記サーバは、
前記貯蔵庫から前記カメラ画像を受信する送受信部と、
前記カメラで撮影した前記カメラ画像から物品を認識する認識部と、
前記認識された物品の情報をテキストで出力する認識結果出力部と、
を有し、
前記カメラは、魚眼又は広角のレンズで構成され、貯蔵庫の上面から前方へ向けて突出した位置で前記レンズを下方に向けて配置し、
前記反射鏡は、前記カメラの端部又は端部よりも貯蔵庫の前方で下方へ向けて突出することを特徴とする貯蔵システム。
【請求項8】
請求項7に記載の貯蔵システムであって、
前記サーバは、
前記カメラ画像から、前記レンズから直接撮影した貯蔵庫内の第1の画像と、前記レンズから前記反射鏡を介して撮影した貯蔵庫内の第2の画像と、を抽出して、前記第1の画像と前記第2の画像から前記魚眼又は広角のレンズの歪みを除去した平面画像に変換し、前記第1の画像の平面画像と第2の画像の平面画像を合成して認識用画像を生成する画像変換部をさらに有し、
前記認識部は、
前記認識用画像から物品を認識することを特徴とする貯蔵システム。
【請求項9】
請求項8に記載の貯蔵システムであって、
前記画像変換部は、
前記認識用画像を生成する際に、前記第2の画像の平面画像を庫内上部の平面画像として、前記第1の画像の平面画像に合成することを特徴とする貯蔵システム。
【請求項10】
請求項8に記載の貯蔵システムであって、
前記認識結果出力部は、
前記庫内の物品の認識結果のうち食品の種類と数量を食材リストとして出力することを特徴とする貯蔵システム。
【請求項11】
プロセッサとメモリを有する制御部と、開閉可能な扉と、を含む貯蔵庫と、
前記貯蔵庫とネットワークを介して接続されて、プロセッサとメモリを有するサーバと、を含む貯蔵システムであって、
前記貯蔵庫は、
前記扉の開度を検出する開度センサと、
前記扉が開放された場合に前記貯蔵庫の庫内を上方から撮影可能なカメラと、
前記扉が開いた場合に前記庫内を前記カメラへ反射する反射鏡と、を有し、
前記制御部は、
前記開度センサが検出する開度が所定の閾値を超えた場合には、前記カメラで前記庫内と前記反射鏡の画像をカメラ画像として撮影する撮影部と、
前記カメラ画像を前記サーバへ送信する画像送信部と、を有し、
前記サーバは、
前記貯蔵庫から前記カメラ画像を受信する送受信部と、
前記カメラで撮影した前記カメラ画像から物品を認識する認識部と、
前記認識された物品の情報をテキストで出力する認識結果出力部と、
を有し、
前記認識部は、
前記カメラ画像のうち前記反射鏡の画像に曇りの有無を検出し、前記反射鏡の画像に曇りがある場合には、画像を認識する機械学習モデルを、通常用学習モデルから曇り用学習モデルへ切り替えることを特徴とする貯蔵システム。
【請求項12】
プロセッサとメモリを有する制御部と、
開閉可能な扉と、を有する貯蔵庫で庫内の画像を認識する画像認識方法であって、
前記プロセッサが、開度センサによって前記扉の開度を検出する検出ステップと、
前記プロセッサが、前記開度センサの開度が所定の閾値を超えた場合には、前記貯蔵庫の庫内を上方から撮影可能なカメラで、前記庫内及び前記庫内を前記カメラへ反射する反射鏡の可視光画像をカメラ画像として撮影する撮影ステップと、
前記プロセッサが、前記カメラで撮影した前記カメラ画像から物品を認識する認識ステップと、
前記プロセッサが、前記認識された物品の情報をテキストで出力する認識結果出力ステップと、
を含み、
前記カメラは、魚眼又は広角のレンズで構成され、貯蔵庫の上面から前方へ向けて突出した位置で前記レンズを下方に向けて配置し、
前記反射鏡は、前記カメラの端部又は端部よりも貯蔵庫の前方で下方へ向けて突出することを特徴とする画像認識方法。
【請求項13】
プロセッサとメモリを有する制御部と、
開閉可能な扉と、を有する貯蔵庫で庫内の画像を認識する画像認識方法であって、
前記プロセッサが、開度センサによって前記扉の開度を検出する検出ステップと、
前記プロセッサが、前記開度センサの開度が所定の閾値を超えた場合には、前記貯蔵庫の庫内を上方から撮影可能なカメラで、前記庫内及び前記庫内を前記カメラへ反射する反射鏡の可視光画像をカメラ画像として撮影する撮影ステップと、
前記プロセッサが、前記カメラで撮影した前記カメラ画像から物品を認識する認識ステップと、
前記プロセッサが、前記認識された物品の情報をテキストで出力する認識結果出力ステップと、
を含み、
前記認識ステップは、
前記カメラ画像のうち前記反射鏡の画像に曇りの有無を検出し、前記反射鏡の画像に曇りがある場合には、画像を認識する機械学習モデルを、通常用学習モデルから曇り用学習モデルへ切り替えることを特徴とする画像認識方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食材等を貯蔵する貯蔵庫及び貯蔵システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
食材等を貯蔵する冷蔵庫などの貯蔵庫では、外部から庫内の食材等の在庫状況を取得して外部へ送信する手法が従来から提案されている。例えば、冷蔵庫内に小型カメラを設けて、小型カメラで撮影した庫内の画像を外部へ送信して、携帯端末等で画像を確認する技術が知られている(例えば、特許文献1)。
【0003】
特許文献1では、外部からの指令に応じて扉を閉じた状態で冷蔵庫の庫内を撮影して外部へ送信し、庫内の画像を提供する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の技術では、冷蔵庫の庫内の画像を外部で受信しても、どのような食材がいくつ貯蔵されているかを迅速に把握するのは難しい、という課題があった。すなわち、携帯端末等に庫内の画像だけが表示されても、携帯端末のユーザは画像から食材を認識して庫内の食材の種類と数を特定する必要があるため、時間と労力を要していた。
【0006】
そこで本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、貯蔵庫の庫内に貯蔵されている物品の種類と数量を外部へ出力することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、プロセッサとメモリを有する制御部と、開閉可能な扉と、を有する貯蔵庫であって、前記扉の開度を検出する開度センサと、前記扉が開放された場合に前記貯蔵庫の庫内を上方から撮影可能なカメラと、前記扉が開いた場合に前記庫内を前記カメラへ反射する反射鏡と、を有し、前記制御部は、前記開度センサが検出する開度が所定の閾値を超えた場合には、前記カメラで前記庫内と前記反射鏡の画像をカメラ画像として撮影する撮影部と、前記カメラで撮影した前記カメラ画像から物品を認識する認識部と、前記認識された物品の情報をテキストで出力する認識結果出力部と、を有する。
【発明の効果】
【0008】
したがって、本発明は、貯蔵庫内の物品のリストをテキストで生成することで、どのような食材(物品)がいくつ入っているかを迅速に把握することが可能となる。
【0009】
本明細書において開示される主題の、少なくとも一つの実施の詳細は、添付されている図面と以下の記述の中で述べられる。開示される主題のその他の特徴、態様、効果は、以下の開示、図面、請求項により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施例1を示し、冷蔵システムの一例を示すブロック図である。
【
図2】本発明の実施例1を示し、冷蔵庫の上部の一例を示す斜視図である。
【
図3】本発明の実施例1を示し、カメラの取り付け位置の一例を示す冷蔵庫の部分断面図である。
【
図4】本発明の実施例1を示し、カメラで撮影したカメラ画像の一例を示す図である。
【
図5】本発明の実施例1を示し、魚眼のカメラ画像を平面画像に変換した画像の一例を示す図である。
【
図6】本発明の実施例1を示し、制御部で行われる処理の一例を示すフローチャートである。
【
図7】本発明の実施例1を示し、携帯端末に表示される食材リストの一例を示す図である。
【
図8】本発明の実施例2を示し、制御部で行われる処理の一例を示すフローチャートである。
【
図9】本発明の実施例2を示し、携帯端末に表示される発注画面の一例を示す図である。
【
図10】本発明の実施例2を示し、ストックテーブルの一例を示す図である。
【
図11】本発明の実施例3を示し、認識部の一例を示す図である。
【
図12】本発明の実施例3を示し、制御部で行われる処理の一例を示すフローチャートである。
【
図13】本発明の実施例4を示し、冷蔵システムの一例を示すブロック図である。
【
図14】本発明の実施例4を示し、冷蔵庫の制御部で行われる処理の一例を示すフローチャートである。
【
図15】本発明の実施例4を示し、分析サーバで行われる処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0012】
図1は、本発明の実施例1を示し、冷蔵システムの一例を示すブロック図である。冷蔵システムは、ネットワーク6に接続された冷蔵庫1と、ネットワーク6に接続されて冷蔵庫1から庫内の食材リストを受信して表示する携帯端末7と、ネットワーク6に接続されたネットスーパー8と、レシピサイト9を含む。
【0013】
冷蔵庫1は、開閉自在に取り付けられた左右の扉13-Lと扉13-Rと、扉13-L、13-Rに取り付けられた複数のポケット15と、庫内に形成された上段の棚14-Uと、中段の棚14-Mと、下段の棚14-Lと、を含む。
【0014】
なお、以下の説明では、棚の上段、中段、下段の区別をしない場合には「-」以降を省略した符号「14」を用いる。同様に、扉の左右を区別しない場合には「-」以降を省略した符号「13」を用いる。
【0015】
冷蔵庫1には後述するように扉13の開度を検出する開度センサ16がそれぞれ設けられる。また、冷蔵庫1の上部には、後述するように、庫内を撮影するカメラ17が取り付けられる。
【0016】
冷蔵庫1を制御する制御部10は、プロセッサ2と、記憶装置3と、ネットワーク6に接続された通信部5と、開度センサ16及びカメラ17に接続されたI/Oインタフェース4を含む。なお、記憶装置3は、DRAMや内容を保持する不揮発性の記憶媒体等で構成することができる。
【0017】
記憶装置3には、撮影部31と、画像バッファ32と、画像変換部33と、認識部34と、認識結果出力部37と、庫内制御部38がプログラムとしてロードされてプロセッサ2によって実行される。
【0018】
プロセッサ2は、各機能部のプログラムに従って処理を実行することによって、所定の機能を提供する機能部として稼働する。例えば、プロセッサ2は、画像変換プログラムに従って処理を実行することで画像変換部33として機能する。他のプログラムについても同様である。さらに、プロセッサ2は、各プログラムが実行する複数の処理のそれぞれの機能を提供する機能部としても稼働する。計算機及び計算機システムは、これらの機能部を含む装置及びシステムである。
【0019】
撮影部31は、I/Oインタフェース4を介してカメラ17からカメラ画像を取得して画像バッファ32に格納する。なお、カメラ17は、魚眼又は広角のレンズ18(
図3参照)を有する。また、撮影部31は、後述するように、開度センサ16が検出した扉13の開度が所定の閾値Th1を超え、且つ、扉13が停止した場合にカメラ17で冷蔵庫1の庫内を撮影し、撮影した画像をカメラ画像として画像バッファ32へ格納する。
【0020】
なお、庫内を撮影する扉13の開度は、左右の開度センサ16の少なくとも一方が所定の閾値Th1を超えた場合で、扉13が停止した状態で撮影を行ってもよい。あるいは、左右の開度センサ16の双方が所定の閾値Th1を超えた場合にカメラ17による撮影を行ってもよい。
【0021】
画像変換部33は、魚眼又は広角のレンズで撮影されたカメラ画像を平面画像に変換する。魚眼又は広角のレンズで撮影された画像を平面画像に展開する技術は、公知又は周知の技術を適用すればよいので、本実施例では詳述しない。
【0022】
認識部34は、学習ベース画像認識部35と、ルールベース画像認識部36を含んで、それぞれ、変換された平面画像から庫内の食品(又は物品)を認識する。学習ベース画像認識部35は、例えば、予め学習が行われたニューラルネットワーク等の機械学習モデルを含み、平面画像を入力して、認識結果をテキストで出力する。
【0023】
ルールベース画像認識部36は、平面画像を入力して、ルールベースによって庫内の食品(又は物品)を認識する。ルールベース画像認識部36は、入力された平面画像に対して領域分割を行ってから各領域毎に物品のラベリングを行って、認識したラベルの内容をテキストで出力する。なお、学習ベース画像認識部35と、ルールベース画像認識部36は、それぞれ周知又は公知の技術を適用すればよいので、本実施例では詳述しない。
【0024】
認識結果出力部37は、学習ベース画像認識部35の認識結果と、ルールベース画像認識部36の認識結果を受け付けて、食材リストを生成する。認識結果出力部37は、認識部34から機械学習モデルによる認識結果と、ルールベースによる認識結果を用いることで、誤認識を補正して画像からの食品(又は物品)の認識精度を向上させることができる。
【0025】
認識結果出力部37は、機械学習モデルとルールベースによる認識結果から、食品の種類と数を集計して、庫内の食材リストを生成する。そして、認識結果出力部37は、生成された食材リストを予め設定された携帯端末7に送信するよう通信部5に指令する。携帯端末7は、図示しないアプリケーションを実行しており、冷蔵庫1から受信した食材リストを表示部に出力する。
【0026】
庫内制御部38は、図示しないモータやコンプレッサを制御して、冷蔵庫1の庫内の温度や湿度を制御する。庫内制御部38については周知又は公知の技術を適用すればよいので、本実施例では詳述しない。
【0027】
図2は、冷蔵庫1の上部の一例を示す斜視図である。冷蔵庫1は上部に天板11を有し、冷蔵庫1の前方側の天板11の左右にはヒンジ部12がそれぞれ取り付けられて、左右の扉13がヒンジ部12によって開閉自在に支持される。本実施例では、左右の扉13が観音開きで冷蔵庫1の開口部110を開閉する例を示す。
【0028】
左右のヒンジ部12の上端には扉13の開度(角度)を検出する開度センサ16が取り付けられる。天板11の上面には、左右のヒンジ部12の中間に冷蔵庫1の開口部110よりも冷蔵庫1の前方へ突出し、扉13が開いたときに庫内を情報から撮影するカメラ17が取り付けられる。
【0029】
図3は、カメラ17の取り付け位置の一例を示す冷蔵庫1の部分断面図である。カメラ17は、冷蔵庫1の前方へ向けて端部(又は端面)170を開口部110(天板11の端部)から所定量だけ突出させて天板11の上面に取り付けられる。
【0030】
開口部110よりも前方に突出したカメラ17の下面には、冷蔵庫1の庫内を撮影するレンズ18が下方に向けて設けられる。レンズ18は、魚眼又は広角が採用される。本実施例では、レンズ18として魚眼レンズを採用した例を示す。
【0031】
開口部110から突出したカメラ17の端部170には、下方に向けて突出したミラー19が設けられる。ミラー19は、冷蔵庫1の庫内のうち、少なくとも上段の棚14-U及び中段の棚14-Mの上面の物品をカメラ17へ向けて反射する反射鏡として機能する。
【0032】
なお、扉13の開閉の際に、ミラー19と扉13が干渉する場合には、ミラー19を折りたたみ可能又は変位可能な構造にすればよい。また、図示の例では、ミラー19は、カメラ17の端部170に取り付けられた例を示したが、これに限定されるものではなく、端部170よりも冷蔵庫1の前方に配置されてもよい。
【0033】
図4は、カメラ17で撮影したカメラ画像40の一例を示す図である。魚眼のレンズ18で撮影したカメラ画像40は、レンズ18から直接撮影した冷蔵庫1の庫内及び左右の扉13のポケット15と、ミラー19に反射した上段の棚14-Uと中段の棚14-M及び下段の棚14-Lの上面に載置された食品が含まれる。
【0034】
魚眼のレンズ18であっても、レンズ18から直接撮影した画像では、最上段の棚14-Uの上面の物品は一部しか撮影することができない。これに対して、ミラー19で反射された画像では、最上段の棚14-Uの上面に置かれた食品を庫内の奥まで撮影することができる。
【0035】
ただし、魚眼のレンズ18で撮影したカメラ画像40をそのまま使用して認識部34の学習ベース画像認識部35やルールベース画像認識部36に食品の認識を実施させるのは難しい。すなわち、機械学習モデルの学習フェーズでは、歪みのない画像で学習を実施するため、魚眼又は広角のレンズ18で歪んだカメラ画像40をそのまま認識することは難しい。
【0036】
このため、画像変換部33は、魚眼のレンズ18で撮影した歪みを含む画像を平面画像に変換する。
図5は、魚眼のカメラ画像40を平面画像に変換した画像の一例を示す図である。
【0037】
画像変換部33は、魚眼のレンズ18で撮影したカメラ画像40から、レンズ18から直接撮影した庫内直接画像(第1の画像)45と、レンズ18からミラー19を介して撮影したミラー画像(第2の画像)41を抽出して、庫内直接画像45とミラー画像41のそれぞれについてレンズ18の歪みを除去した平面画像に変換する。
【0038】
庫内直接画像45は、右扉画像42と、庫内正面画像43と、左扉画像44から構成され、
図4のカメラ画像40の略上半分の領域である。ミラー画像41は、
図4のカメラ画像40の下部のミラー19に反射した庫内の画像である。
【0039】
画像変換部33は、庫内直接画像45のうち、右扉画像42を平面画像に変換して右扉展開画像52を生成し、庫内正面画像43を平面画像に変換して正面展開画像53を生成し、左扉画像44を平面画像に変換して左扉展開画像54を生成する。
【0040】
また、画像変換部33は、ミラー画像41を平面画像に変換して上段展開画像51を生成する。
【0041】
そして、画像変換部33は、歪みを除去した右扉展開画像52と正面展開画像53と左扉展開画像54に上段展開画像51を合成して認識用画像50を生成する。
【0042】
画像変換部33は、レンズ18から直接撮影するのが難しい最上段の棚14-Uの上面に載置されている食品の画像を、ミラー画像41から平面画像に展開した上段展開画像51とし、他の平面画像と結合することで庫内全体の食品又は物品を映し出した認識用画像50を生成することが可能となる。
【0043】
図6は、制御部10で行われる処理の一例を示すフローチャートである。この処理は、扉13が開いた場合に開始される。
【0044】
まず、撮影部31は、開度センサ16の検出値から扉13の開度(角度)を取得する(S1)。次に、撮影部31は、開度センサ16の検出値(角度)の変化率から扉13の角速度を算出する。なお、角度の変化率は、前回値からの変化率や、所定時間(100ms等)内の変化率を用いることができる。また、角速度は、扉13の開き方向が正の値とし、扉13を閉じる方向を負の値とする。
【0045】
撮影部31は、扉13の角速度が開き方向(正の値)であるか否かを判定する(S3)。開き方向であればステップS4へ進み、閉じ方向であれば処理を終了する。ステップS4では、扉13の開度が予め設定した閾値Th1以上であるか否かを判定する。扉13の開度が閾値Th1以上であればステップS5へ進み、開度が閾値Th1未満であればステップS1に戻って上記処理を繰り返す。閾値Th1は、例えば、100度など扉13のポケット15に載置されている食品が撮影可能な値に設定される。
【0046】
ステップS5では、扉13が停止したか否かを判定し、停止した場合にはステップS6へ進み、開閉中であればステップS1に戻って上記処理を繰り返す。ステップS6では、撮影部31がカメラ17の可視光画像を取得して、カメラ画像40として画像バッファ32に格納する。
【0047】
扉13が停止した位置は、開度が閾値Th1以上で扉13の内側のポケット15が撮影可能な開度であるので、庫内の食品をより多く撮影することが可能となる。また、撮影部31は、扉13の動きが停止してからカメラ17で撮影を実施するため、ポケット15等の画像がブレるのを防いで、確実に静止画を取得することが可能となる。
【0048】
次に、画像変換部33は、ステップS6で撮影されたカメラ画像40を画像バッファ32から読み込んで、魚眼の画像を平面画像に展開する(S7)。画像変換部33は、
図5で示したように、魚眼のカメラ画像40からミラー画像41と、右扉画像42と庫内正面画像43と、左扉画像44を抽出して、それぞれ平面画像に変換し、上段展開画像51と、右扉展開画像52と、正面展開画像53と、左扉展開画像54を生成し、これらの平面画像を結合して認識用画像50を生成する。
【0049】
次に、学習ベース画像認識部35は、画像変換部33が生成した認識用画像50を入力して、機械学習モデルに食品の画像認識を実行させ、認識結果をテキストで出力する(S8)。ルールベース画像認識部36は、画像変換部33が生成した認識用画像50を入力して、食品の画像認識をルールベースで実行し、認識結果をテキストで出力する(S9)。
【0050】
なお、学習ベース画像認識部35とルールベース画像認識部36の処理順序は上記に限定されるものではなく、並列で実行してもよい。
【0051】
次に、認識結果出力部37は、学習ベース画像認識部35の認識結果と、ルールベース画像認識部36の認識結果を入力して、認識結果のテキストから食品の種類と数量を算出して食材リストを生成する(S10)。なお、認識結果出力部37は、認識結果のうち食品以外の物品は食材リストから除外しておく。
【0052】
認識結果出力部37は、学習ベース画像認識部35の認識結果とルールベース画像認識部36の認識結果の論理積によって、食品の種類と数を決定することができる。或いは、認識結果出力部37は、学習ベース画像認識部35の認識結果を、ルールベース画像認識部36の認識結果で補正してもよい。そして、認識結果出力部37は、予め設定された携帯端末7に、上記生成した食材リストを送信する。
【0053】
図7は、携帯端末7に表示される食材リスト72の一例を示す図である。図示の例は携帯端末7がスマートフォンで構成された例を示す。携帯端末7は、図示しないアプリケーションが稼働しており、ネットワーク6を介して冷蔵庫1と通信を行う。
【0054】
携帯端末7の表示画面71上には、冷蔵庫1から受信した食品の種類と数量が対になったテキストで構成された食材リスト72が表示される。冷蔵庫1のユーザは、携帯端末7の食材リスト72のテキストを参照することで、冷蔵庫1に貯蔵されている食品の種類と数量を迅速且つ容易に把握することが可能となる。
【0055】
なお、上記では撮影部31が冷蔵庫1の庫内を撮影してから食品の画像認識と食材リスト72の生成及び送信を実施する例を示したが、これに限定されるものではない。例えば、制御部10は、カメラ画像40の認識結果から算出された食材リスト72を記憶装置3に保持しておき、携帯端末7から食材リスト72の要求を受け付けた場合に、最新の食材リスト72を携帯端末7へ送信するようにしてもよい。
【0056】
以上のように、本実施例では、冷蔵庫1内の食品のリストをテキストで生成して携帯端末7へ送信することで、冷蔵庫1のユーザは携帯端末7を参照することで、外出中であってもどのような食材がいくつ入っているかを迅速に把握することが可能となる。
【0057】
また、本実施例では、扉13を開いた状態で、可視光画像で撮影したカメラ画像40から、食品の認識を行う際には野菜や食品の色合いなどを加味して画像認識を行うことができ、認識精度を向上させることができる。
【0058】
また、本実施例では、冷蔵庫1の天板11から開口部110よりも前方にカメラ17の端部170を突出させ、開口部110よりも突出したカメラ17の下面に魚眼又は広角のレンズ18を配置することで、扉13を開いた状態で冷蔵庫1の庫内を可視光画像で撮影することができる。
【0059】
さらに、カメラ17の端部170には、端部170から下方に向けて突出したミラー19を設置することで、庫内上段の棚14-Uの上面の食品を撮影することができる。これにより、レンズ18から直接撮影できない領域の食品についても撮影することが可能となり、冷蔵庫1に貯蔵されている食品を正確に撮影することが可能となる。
【0060】
また、画像変換部33が、魚眼画像を平面画像に変換することで、学習ベース画像認識部35の機械学習モデルは平面画像で学習しておけばよく、学習用の画像を容易に生成することができる。
【0061】
また、本実施例では、食品を貯蔵する装置として冷蔵庫1に本発明を適用する例を示したが、これに限定されるものではない。例えば、キッチンストッカーや床下収納庫等の食品を貯蔵する貯蔵庫や装置に本発明を適用してもよい。
【0062】
また、認識部34の機械学習モデルは、食品のパッケージの変更や追加などに応じて、最新の機械学習モデルに更新することができ、例えば、図示しないサーバから受信した機械学習モデルを学習ベース画像認識部35の機械学習モデルとして更新してもよい。
【0063】
また、上記では食材リストを携帯端末7へ出力する例を示したが、食材リストをレシピサイト9へ送信して、現在の食材リストで実現可能な料理のレシピを要求し、携帯端末7に表示させてもよい。
【実施例2】
【0064】
図8~
図10は、本発明の実施例2を示し、前記実施例1の食材リスト72に基づいてネットスーパー8に食材を発注する例を示す。
【0065】
本実施例では、冷蔵庫1のユーザが、冷蔵庫1に常時貯蔵しておきたい食品の種類と数をストックテーブルに設定して記憶装置3に格納しておく。そして、冷蔵庫1は最新の食材リストとストックテーブルを比較して、ストックテーブルの食品のうち不足しているものをネットスーパー8に発注する例を示す。
【0066】
図10は、ストックテーブル39の一例を示す図である。ストックテーブル39は、冷蔵庫1のユーザ等が携帯端末7等から予め設定したテーブルである。ストックテーブル39は、食品の種類を格納する品目391と、当該食品を常時貯蔵しておくべき数量を格納する定数392と、当該食品を発注するサイトを格納する発注先393をひとつのレコードに含む。
【0067】
図8は、本発明の実施例2を示し、制御部10で行われる処理の一例を示すフローチャートである。ステップS1~S10の食材リストの生成までは前記実施例1の
図6と同様である。
【0068】
ステップS21では、認識結果出力部37がストックテーブル39を読み込んで、食材リストの食品の数量とストックテーブル39の定数392と比較を行う。認識結果出力部37は、食材リストの食品の数量がストックテーブル39の定数392未満の食品の有無を判定する(S22)。食品の数量がストックテーブル39の定数392未満の食品があればステップS23へ進み、そうでない場合にはステップS24へ進む。
【0069】
ステップS23では、認識結果出力部37が食材リストの数量がストックテーブル39の定数392未満の品目391について、定数392との差分を発注数として算出し、発注リストを生成して、予め設定され携帯端末7に送信する。冷蔵庫1のユーザは、携帯端末7で受信した発注リストを確認して予め設定した発注先393に食品を注文する。
【0070】
一方、ステップS22では、不足している食品はないので、前記実施例1と同様に食材リストを予め設定され携帯端末7に送信する。
【0071】
図9は、携帯端末7に表示される発注リスト73の一例を示す図である。携帯端末7の表示画面71上には、冷蔵庫1から受信した発注リスト73が表示される。発注リスト73は、ストックテーブル39の定数392に達していない品目391と、定数392に対して不足している数量が対になって表示される。
【0072】
発注リスト73の下方には、発注先74と発注ボタン75が表示され、冷蔵庫1のユーザは、発注ボタン75を操作することで発注リスト73の内容が発注先74へ送信される。
【0073】
なお、図示の例では、単一の発注先74が表示される例を示すが、ストックテーブル39で品目391毎に異なる発注先393が設定されている場合には、発注リスト73に品目毎の発注先の名称を表示することができる。
【0074】
以上のように、本実施例によれば、冷蔵庫1のユーザが予めストックテーブル39を設定しておくことで、冷蔵庫1の認識結果出力部37は、不足した食品を自動的に補充することが可能となる。
【0075】
なお、認識結果出力部37が発注リスト73を生成するタイミングは、カメラ17で庫内を撮影した直後に限定されるものではなく、毎週或いは毎日等所定の周期など、予め設定されたタイミングで実施すればよい。
【実施例3】
【0076】
図11、
図12は本発明の実施例3を示し、前記実施例1に示したミラー19に曇りが発生した場合、学習ベース画像認識部35の機械学習モデルを切り替える例を示す。前記実施例1では、ミラー19に写った庫内の画像をミラー画像41として抽出し、学習ベース画像認識部35へ入力していた。
【0077】
食品を貯蔵する冷蔵庫1等の貯蔵庫は、台所など炊事を行う場所又はその近傍に設置されることが多い。炊事などの際に発生した蒸気でミラー19に曇りが発生する場合がある。
【0078】
曇りが発生したミラー19でカメラ画像40を取得した場合、学習ベース画像認識部35の機械学習モデルは、曇りのない画像で食品又は物品の学習を実施するため、曇りが発生したミラー画像41(上段展開画像51)では正確に食品を認識するのは難しい。
【0079】
本実施例では、学習ベース画像認識部35の機械学習モデルを曇りが発生した場合には、学習モデルを切り替えて、画像認識を実施する例を示す。
図11は、認識部34の一例を示す図である。認識部34の学習ベース画像認識部35は、通常学習モデル351と、曇り学習モデル352を有する。
【0080】
通常学習モデル351は、曇りのない画像で食品又は物品の学習を実施し、曇り学習モデル352は、曇りのある画像で食品又は物品の学習を実施したものである。学習ベース画像認識部35は、入力されたミラー画像41に曇りが発生しているか否かを判定し、ミラー画像41(上段展開画像51)に曇りが含まれていれば、機械学習モデルを曇り学習モデル352に切り替えて入力された画像の認識を実施する。
【0081】
なお、ミラー19等の曇りを検出する技術としては、例えば、特開平10-102435号公報や、特開平11-318810号公報など、公知又は周知の技術を適用することができる。
【0082】
図12は、制御部10で行われる処理の一例を示すフローチャートである。このフローチャートのステップS1~S11は、前記実施例1の
図6と同様であり、ステップS7とステップS8の間にステップS31~ステップS34を挿入した点が実施例1と相違する。
【0083】
ステップS31では、認識部34の学習ベース画像認識部35は画像変換部33で生成された認識用画像50を入力して、上段展開画像51に含まれる曇りを検出する。そして、ステップS32で、学習ベース画像認識部35は、上段展開画像51に曇りがあるか否かを判定する。
【0084】
学習ベース画像認識部35は、上段展開画像51に曇りがある場合にはステップS34へ進んで曇り学習モデル352を選択し、曇りがない場合にはステップS33へ進んで通常学習モデル351を選択する。
【0085】
そして、ステップS8では、学習ベース画像認識部35は、ステップS33又はS34で選択された機械学習モデルで認識用画像50から食品(又は物品)の認識を実施する。以降の処理は、前記実施例1と同様であり、食材リストを生成して携帯端末7に出力する。
【0086】
以上のように、本実施例では、学習ベース画像認識部35は、ミラー19に曇りがある場合には、機械学習モデルを曇り学習モデル352へ切り替えることで、ミラー画像41に曇りが含まれていても、誤認識を抑制することが可能となる。
【実施例4】
【0087】
図13~
図15は、本発明の実施例4を示し、前記実施例1に示した画像変換処理と、画像認識処理と、認識結果出力処理をネットワーク6に接続された分析サーバ100で実施する例を示す。
【0088】
前記実施例1では、冷蔵庫1の制御部10で実行されていた画像変換部33と、認識部34と、認識結果出力部37を分析サーバ100で実行する。また、冷蔵庫1の制御部10では、新たに人体検出部82と画像送信部81を実行する点が前記実施例1と相違する。
【0089】
本実施例では、分析サーバ100は、複数の冷蔵庫1からカメラ画像40を取得して、冷蔵庫1毎に食品を認識して食材リストを生成して冷蔵庫1毎に設定された携帯端末7へ送信する。また、人体検出部82は、カメラ画像40に冷蔵庫1のユーザ等の人体が写っている場合には、プライバシー保護の観点から当該カメラ画像40の分析サーバ100への送信を禁止する例を示す。
【0090】
図13は、冷蔵システムの一例を示すブロック図である。本実施例の冷蔵システムは、前記実施例1の構成に加えてネットワーク6に接続された分析サーバ100を含む。分析サーバ100は、プロセッサ101と、メモリ102と、ストレージ装置103と、通信部104を含む計算機である。
【0091】
メモリ102には、送受信部61の他に、前記実施例1で冷蔵庫1の記憶装置3に格納されていた、画像変換部33と、認識部34と、認識結果出力部37が格納されてプロセッサ101によって実行される。本実施例では、実施例1と同一のものについては、同一の符号を付して説明を省略する。
【0092】
送受信部61は冷蔵庫1からカメラ画像40を受信してストレージ装置103へ格納し、認識結果出力部37が生成した食材リストを冷蔵庫1のユーザの携帯端末7へ送信する。
【0093】
ストレージ装置103は、冷蔵庫1から受信したカメラ画像40を格納する画像データ105を保持する。なお、カメラ画像40は、冷蔵庫1毎に識別子を付与されておりユーザの識別が可能となっている。
【0094】
冷蔵庫1の記憶装置3には、画像送信部81と、人体検出部82の他に、前記実施例1の撮影部31と、画像バッファ32と、庫内制御部38が格納されてプロセッサ2によって実行される。
【0095】
画像送信部81は、撮影されたカメラ画像40を分析サーバ100へ送信する。人体検出部82は、機械学習モデル等の画像認識部を含み、カメラ画像40に含まれる人体(又は人体の部分)を検出し、人体が検出された場合にはカメラ画像40が外部へ送信されるのを阻止する。
【0096】
図14は、冷蔵庫1の制御部10で行われる処理の一例を示すフローチャートである。このフローチャートのステップS1~S6は、前記実施例1の
図6と同様であるので、重複する説明は省略する。
【0097】
ステップS41では、人体検出部82が撮影部31から出力されたカメラ画像40を取得し、カメラ画像40から人体又は人体の部分を検出する。ステップS42では、人体検出部82が、カメラ画像40に人体が含まれるか否かを判定し、人体が含まれる場合にはステップS43へ進み、人体を含まない場合にはステップS44へ進む。
【0098】
ステップS43では、人体検出部82がカメラ画像40を破棄して、冷蔵庫1の外部へ人体を含むカメラ画像40が送信されるのを阻止する。一方、ステップS44では、人体検出部82がカメラ画像40を画像バッファ32へ格納する。
【0099】
上記処理により、冷蔵庫1の扉13を開閉する際に撮影されたカメラ画像40に人体が含まれる場合にはカメラ画像40は破棄されて、冷蔵庫1のユーザのプライバシーを保護することができる。一方、カメラ画像40に人体が含まれていない場合には画像バッファ32にカメラ画像40が蓄積される。
【0100】
画像送信部81は、予め設定されたタイミング(例えば、1日1回又は携帯端末7の指示等)で画像バッファ32のカメラ画像40のうち最新のカメラ画像40を分析サーバ100へ送信する。なお、画像送信部81は、送信するカメラ画像40に冷蔵庫1の識別子を付加する。
【0101】
分析サーバ100のストレージ装置103には、複数の冷蔵庫1から送信されたカメラ画像40が格納される。
【0102】
図15は、分析サーバ100で行われる処理の一例を示すフローチャートである。この処理は、カメラ画像40を受信した場合など所定のタイミングで実施される。送受信部61は、受信したカメラ画像40をストレージ装置103の画像データ105から取得して、画像変換部33へ入力する(S51)。
【0103】
以降のステップS52~S55の処理は、前記実施例1の
図6に示したステップS7~S11と同様であり、魚眼のカメラ画像40を平面画像に変換してから食品の認識を行って、認識結果出力部37で食材リストを生成して出力する。出力された食材リストは、送受信部61によって冷蔵庫1のユーザの携帯端末7に送信される。
【0104】
以上のように、本実施例では分析サーバ100が複数の冷蔵庫1のカメラ画像40を認識して食材リストを携帯端末7へ送信するので、冷蔵庫1の制御部10の処理負荷を低減して冷蔵庫1の製造コストを低減できる。
【0105】
また、食品のパッケージの変更や、新たな食品の出現などに応じて、学習ベース画像認識部35の機械学習モデルを更新する必要があるが、本実施例では分析サーバ100の機械学習モデルを更新すればよいので、機械学習モデルのメンテナンスにかかるコストを低減できる。
【0106】
また、冷蔵庫1の制御部10では、人体検出部82によってカメラ画像40を監視し、人体の部分が含まれるカメラ画像40を破棄することで外部へ送信されるのを防止し、冷蔵庫1のユーザのプライバシーを保護することが可能となる。
【0107】
<結び>
以上のように、上記実施例の冷蔵庫1は、以下のような貯蔵庫又は貯蔵システムとすることができる。
【0108】
(1)プロセッサ(2)とメモリ(3)を有する制御部(10)と、開閉可能な扉(13)と、を有する貯蔵庫(1)であって、前記扉(13)の開度を検出する開度センサ(16)と、前記扉(13)が開放された場合に前記貯蔵庫の庫内を上方から撮影可能なカメラ(17)と、前記扉(13)が開いた場合に前記庫内を前記カメラ(17)へ反射する反射鏡(ミラー19)と、を有し、前記制御部(10)は、前記開度センサ(16)が検出する開度が所定の閾値を超えた場合には、前記カメラ(17)で前記庫内と前記反射鏡(19)の画像をカメラ画像(41)として撮影する撮影部(31)と、前記カメラ(17)で撮影した前記カメラ画像(41)から物品を認識する認識部(34)と、前記認識された物品の情報をテキストで出力する認識結果出力部(37)と、を有することを特徴とする貯蔵庫。
【0109】
上記構成により、制御部10は、冷蔵庫1内の食品のリストをテキストで生成して外部へ出力することで、冷蔵庫1のユーザはどのような食材がいくつ入っているかを迅速に把握することが可能となる。
【0110】
(2)上記(1)に記載の貯蔵庫であって、前記カメラ(17)は、魚眼又は広角のレンズで構成され、貯蔵庫の上面から前方へ向けて突出した位置で前記レンズを下方に向けて配置したことを特徴とする貯蔵庫。
【0111】
上記構成により、扉13を開いた状態で、冷蔵庫1の上方に設けたカメラから下方の庫内を、可視光画像で撮影したカメラ画像40によって食品の認識を行うため際には食品の色合いなどを加味して画像認識を行うことができ、認識精度を向上させることができる。
【0112】
(3)上記(2)に記載の貯蔵庫であって、前記反射鏡(19)は、前記カメラ(17)の端部又は端部よりも貯蔵庫の前方で下方へ向けて突出することを特徴とする貯蔵庫。
【0113】
上記構成により、カメラ17の端部170には、端部170から下方に向けて突出したミラー19を設置することで、庫内上段の棚14-Uの上面の食品(又は物品)を撮影することができる。これにより、レンズ18から直接撮影できない領域の食品についても撮影することが可能となり、冷蔵庫1に貯蔵されている食品を正確に撮影することが可能となる。
【0114】
(4)上記(3)に記載の貯蔵庫であって、前記制御部(10)は、前記カメラ画像(41)から、前記レンズから直接撮影した貯蔵庫内の第1の画像と、前記レンズから前記反射鏡(19)を介して撮影した貯蔵庫内の第2の画像と、を抽出して、前記第1の画像と前記第2の画像から前記魚眼又は広角のレンズの歪みを除去した平面画像に変換し、前記第1の画像の平面画像と第2の画像の平面画像を合成して認識用画像を生成する画像変換部をさらに有し、前記認識部(34)は、前記認識用画像から物品を認識することを特徴とする貯蔵庫。
【0115】
上記構成により、画像変換部33は、魚眼画像を平面画像に変換することで、学習ベース画像認識部35の機械学習モデルは平面画像で学習を行うことができ、学習用の画像を容易に生成することができる。
【0116】
(5)上記(4)に記載の貯蔵庫であって、前記画像変換部は、前記認識用画像を生成する際に、前記第2の画像の平面画像を庫内上部の平面画像として、前記k第1の画像の平面画像に合成することを特徴とする貯蔵庫。
【0117】
上記構成により、画像変換部33は、ミラー画像41から歪みを取り除いた平面画像を上段展開画像51として認識用画像50に合成することで、レンズ18から直接撮影できない領域(上段の棚14-U)の食品についても画像認識を行うことが可能となる。
【0118】
(6)上記(4)に記載の貯蔵庫であって、前記認識結果出力部(37)は、前記庫内の物品の認識結果のうち食品の種類と数量を食材リストとして出力することを特徴とする貯蔵庫。
【0119】
上記構成により、冷蔵庫1のユーザは、テキストの情報で庫内の食品を把握することができる。
【0120】
(7)上記(6)に記載の貯蔵庫であって、前記認識結果出力部(37)は、前記食材リストの食品の数量が、予め設定された数量未満の食品について外部へ発注することを特徴とする貯蔵庫。
【0121】
上記構成により、冷蔵庫1のユーザが予めストックテーブル39を設定しておくことで、冷蔵庫1の認識結果出力部37は、不足した食品を自動的に補充することが可能となる。
【0122】
(8)上記(1)に記載の貯蔵庫であって、前記認識部(34)は、前記カメラ画像(41)のうち前記反射鏡(19)の画像に曇りの有無を検出し、前記反射鏡(19)の画像に曇りがある場合には、画像を認識する機械学習モデルを、通常用学習モデル(351)から曇り用学習モデル(352)へ切り替えることを特徴とする貯蔵庫。
【0123】
上記構成により、学習ベース画像認識部35は、ミラー19に曇りがある場合には、機械学習モデルを曇り学習モデル352へ切り替えることで、ミラー画像41に曇りが含まれていても、誤認識を抑制することが可能となる。
【0124】
(9)プロセッサ(2)とメモリ(3)を有する制御部(10)と、開閉可能な扉(13)と、を含む貯蔵庫(1)と、前記貯蔵庫(1)とネットワーク(6)を介して接続されて、プロセッサ(101)とメモリ(102)を有するサーバ(100)と、を含む貯蔵システムであって、前記貯蔵庫(1)は、前記扉(13)の開度を検出する開度センサ(16)と、前記扉(13)が開放された場合に前記貯蔵庫の庫内を上方から撮影可能なカメラ(17)と、前記扉(13)が開いた場合に前記庫内を前記カメラ(17)へ反射する反射鏡(19)と、を有し、前記制御部(10)は、前記開度センサ(16)が検出する開度が所定の閾値を超えた場合には、前記カメラ(17)で前記庫内と前記反射鏡(19)の画像をカメラ画像(41)として撮影する撮影部(31)と、前記カメラ画像(41)を前記サーバ(100)へ送信する画像送信部と、を有し、前記サーバ(100)は、前記貯蔵庫から前記カメラ画像(41)を受信する送受信部(61)と、 前記カメラ(17)で撮影した前記カメラ画像(41)から物品を認識する認識部(34)と、前記認識された物品の情報をテキストで出力する認識結果出力部(37)と、を有することを特徴とする貯蔵システム。
【0125】
上記構成により、分析サーバ100が複数の冷蔵庫1のカメラ画像40を認識して食材リストを携帯端末7へ送信するので、冷蔵庫1の制御部10の処理負荷を低減して冷蔵庫1の製造コストを低減できる。
【0126】
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に記載したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加、削除、又は置換のいずれもが、単独で、又は組み合わせても適用可能である。
【0127】
また、上記の各構成、機能、処理部、及び処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。また、上記の各構成、及び機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリや、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記録装置、又は、ICカード、SDカード、DVD等の記録媒体に置くことができる。
【0128】
また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
【符号の説明】
【0129】
1 冷蔵庫
2 プロセッサ
3 記憶装置
4 I/Oインタフェース
5 通信部
6 ネットワーク
7 携帯端末
8 ネットスーパー
10 制御部10
13 扉
16 開度センサ
17 カメラ
18 レンズ
19 ミラー
31 撮影部
32 画像バッファ
33 画像変換部
34 認識部
35 学習ベース画像認識部
36 ルールベース画像認識部
37 認識結果出力部