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特許7453141環境コンディショニング機械的試験システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-11
(45)【発行日】2024-03-19
(54)【発明の名称】環境コンディショニング機械的試験システム
(51)【国際特許分類】
   G01N 3/04 20060101AFI20240312BHJP
   G01B 11/00 20060101ALI20240312BHJP
   G01N 19/00 20060101ALI20240312BHJP
   G01N 17/00 20060101ALI20240312BHJP
【FI】
G01N3/04 P
G01B11/00 G
G01N19/00
G01N17/00
【請求項の数】 24
(21)【出願番号】P 2020526310
(86)(22)【出願日】2018-11-13
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-02-04
(86)【国際出願番号】 US2018060845
(87)【国際公開番号】W WO2019094976
(87)【国際公開日】2019-05-16
【審査請求日】2021-11-12
(31)【優先権主張番号】62/585,516
(32)【優先日】2017-11-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512038610
【氏名又は名称】ブルカー ナノ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BRUKER NANO,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】アシフ、サイド アマヌラ サイド
(72)【発明者】
【氏名】サイランコフスキ、エドワード
(72)【発明者】
【氏名】ノバコフスキ、バルトシュ
(72)【発明者】
【氏名】シュタウファー、ダグラス ディ.
【審査官】北条 弥作子
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-521734(JP,A)
【文献】特開平10-150078(JP,A)
【文献】特開2011-242394(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0152706(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0252874(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0242577(US,A1)
【文献】米国特許第05202542(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 3/00~ 3/62
G01N 17/00~19/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プローブを有する機械的試験機器を加熱するように構成されたプローブ加熱ジャケットにおいて、前記プローブ加熱ジャケットは、
前記機械的試験機器に連結されるように構成された少なくとも1つの固締インターフェースと、
前記少なくとも1つの固締インターフェースから延びている加熱素子と、を備え、前記加熱素子は、
前記少なくとも1つの固締インターフェースに連結されているジャケット壁を有し、
前記ジャケット壁は、プローブ用中空部の周りに延びており、前記ジャケット壁は、前記プローブ用中空部内に前記機械的試験機器の前記プローブを受け入れ、前記加熱素子は、プローブ間隙で前記プローブから機械的に分離され、
前記プローブ加熱ジャケットは、前記プローブのプローブ先端を現す、プローブ加熱ジャケット。
【請求項2】
前記ジャケット壁は前記プローブ用中空部に面する内面を有し、前記内面は、熱を前記プローブ間隙越しに前記プローブに方向付ける、請求項1に記載のプローブ加熱ジャケット。
【請求項3】
前記ジャケット壁が放射加熱素子である、請求項1に記載のプローブ加熱ジャケット。
【請求項4】
前記ジャケット壁が誘導加熱素子である、請求項1に記載のプローブ加熱ジャケット。
【請求項5】
前記機械的試験機器と前記プローブとをさらに備える、請求項1に記載のプローブ加熱ジャケット。
【請求項6】
前記プローブは、前記ジャケット壁の前記プローブ用中空部に受け入れられ、前記プローブは、前記加熱素子から機械的に分離しており、前記プローブは、前記プローブ間隙によって前記ジャケット壁の内面から離間している、請求項5に記載のプローブ加熱ジャケット。
【請求項7】
前記機械的試験機器は、前記プローブ用中空部内で前記プローブを移動させ、前記プローブの移動は、前記ジャケット壁から機械的に分離している、請求項5に記載のプローブ加熱ジャケット。
【請求項8】
前記機械的試験機器の移動は、前記プローブ加熱ジャケット及び前記プローブを対応して移動させる、請求項5に記載のプローブ加熱ジャケット。
【請求項9】
前記ジャケット壁はジャケットプロファイルを有し、
前記プローブはプローブプロファイルを有し、前記プローブプロファイルは前記ジャケットプロファイルと対応し、前記加熱素子及び前記プローブの間にプローブ間隙が設けられ、
前記ジャケット壁は、前記プローブに近接して、前記対応するジャケットプロファイル及びプローブプロファイルに応じて前記プローブを取り囲む、請求項5に記載のプローブ加熱ジャケット。
【請求項10】
機械的試験システムにおいて、
材料の試料の1つ以上の機械的特性を試験する可動プローブを有する機械的試験機器と、
前記機械的試験機器を加熱するプローブ加熱ジャケットと、を備え、前記プローブ加熱ジャケットは、
前記機械的試験機器に連結する少なくとも1つの固締インターフェースと、
前記少なくとも1つの固締インターフェースから延びている加熱素子と、を備え、前記加熱素子は、
前記少なくとも1つの固締インターフェースに連結されているジャケット壁を有し、
前記ジャケット壁は、プローブ用中空部の周りに延びており、前記ジャケット壁は、前記プローブ用中空部内に前記機械的試験機器のプローブを受け入れ、前記加熱素子は、プローブ間隙で前記プローブから機械的に分離し、
前記プローブのプローブ先端は前記プローブ加熱ジャケットよりも外側に延びている、機械的試験システム。
【請求項11】
前記機械的試験機器は、前記プローブ用中空部内で前記プローブを移動させ、前記プローブの移動は、前記ジャケット壁から機械的に分離している、請求項10に記載の機械的試験システム。
【請求項12】
プローブの移動には、前記プローブ用中空部内での並進、回転又は横方向引っ掻き移動のうちの1つ以上を含み、前記ジャケット壁は、前記プローブを前記1つ以上の移動のそれぞれに伴い機械的に分離する、請求項11に記載の機械的試験システム。
【請求項13】
前記ジャケット壁はジャケットプロファイルを有し、
前記プローブはプローブプロファイルを含み、前記プローブプロファイルは前記ジャケットプロファイルと対応し、前記加熱素子及び前記プローブの間にプローブ間隙が設けられ、
前記ジャケット壁は、前記プローブに近接して、前記対応するジャケットプロファイル及びプローブプロファイルに応じて前記プローブを取り囲む、請求項10に記載の機械的試験システム。
【請求項14】
前記加熱素子は、放射加熱素子、対流加熱素子、又は誘導加熱素子である、請求項13に記載の機械的試験システム。
【請求項15】
環境コンディショニングチャンバをさらに備えており、前記チャンバは、調節された環境を提供し、前記調節された環境は、前記チャンバの周囲環境とは異なる1つ以上の環境特徴を有する、請求項10に記載の機械的試験システム。
【請求項16】
前記1つ以上の環境特徴は、温度、圧力、湿度又は流体組成からなる、請求項15に記載の機械的試験システム。
【請求項17】
前記プローブ加熱ジャケットは、前記環境コンディショニングチャンバ内に配置される、請求項15に記載の機械的試験システム。
【請求項18】
試料ステージと、システムフレームに連結された機械的試験機器と、を有する機械的試験アセンブリを用いて熱機械的ドリフトを補正するための方法において、
前記機械的試験機器のプローブを、前記試料ステージに連結されている試料と係合する工程であって、前記機械的試験機器、前記試料又は前記試料ステージのうちの1つ以上が熱機械的ドリフトを受ける、前記機械的試験機器のプローブを係合する工程と、
前記機械的試験機器に連結されるように構成された少なくとも1つの固締インターフェースを有する加熱素子で前記プローブを加熱する工程と、
前記係合されたプローブを前記試料に対して負荷により変位させる工程と、
前記変位又は前記負荷のうちの1つ以上を測定する工程と、
前記変位及び前記負荷に応じて前記プローブを用いて前記試料の1つ以上の特徴を判定する工程と、
前記試料に対する前記プローブの前記測定された変位、又は前記判定された1つ以上の特徴のうちの1つ以上における前記熱機械的ドリフトを補正する工程と、を備え、前記熱機械的ドリフトを補正する工程は、
前記システムフレームに対する前記プローブの変位を独立して測定する工程と、非接触センサを用いて前記システムフレームに対する前記試料の変位を独立して測定する工程と、を含んでなる、方法。
【請求項19】
前記プローブの前記変位又は前記試料の前記変位を測定する工程は、直交位相検波又は干渉縞計数方式のうちの1つ以上を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記非接触センサは、レーザー干渉計、ファイバ光変位センサ、共焦点センサ、又は静電容量センサのうちの1つ以上からなる、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記非接触センサがレーザー干渉計であり、前記独立して測定する工程は、
1つ以上の光ファイバに入るコヒーレント光ビームを発生させる工程と、
前記1つ以上の光ファイバを通してファイバ端部に前記コヒーレント光ビームを伝送する工程と、
前記コヒーレント光ビームを第1成分ビームと第2成分ビームとに分割する
工程と、
前記第1成分ビームを媒体とのファイバインターフェースに反射する工程と、
前記第2成分ビームを前記試料、前記試料ステージ又は前記機械的試験機器に反射する工程と、
光学検出器で前記第1成分ビーム及び前記第2成分ビームを結合する工程と、
前記結合された第1成分ビーム及び前記第2成分ビームを同期復調することによって、前記システムフレームに対する前記試料、前記試料ステージ、又は前記機械的試験機器の変位を判定する工程と、を備える、請求項18に記載の方法。
【請求項22】
前記熱機械的ドリフトを補正する工程は、前記プローブと前記試料との係合又は前記1つ以上の特徴の測定それぞれの能動的又は受動的な補正のうちの少なくとも1つを含んでなる、請求項18に記載の方法。
【請求項23】
前記熱機械的ドリフトを補正する工程は、前記熱機械的ドリフトを打ち消すために、前記プローブ又は前記試料のうちの1つ以上の並進駆動を含む熱機械的ドリフトの能動的補正を含んでなる、請求項18に記載の方法。
【請求項24】
前記熱機械的ドリフトを補正する工程は、前記試料の前記1つ以上の特徴の前記判定中、前記熱機械的ドリフトの差し引きを含む熱機械的ドリフトの受動的補正を含んでなる、請求項18に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は環境コンディショニング機械的試験システムに関する。
【背景技術】
【0002】
材料(例、金属、ポリマー、複合物等)は、複数の機械的及び電気機械的特性(例、ヤング率、硬さ、延性、抵抗、静電容量等)を有する。材料の機械的及び電気機械的特性を試験するために、1つ以上の機器を使用する。いくつかの例では、ある環境における材料の機械的及び電気機械的特性は、環境の特徴(例、温度、湿度又は流体組成)によって変化する。
【発明の概要】
【0003】
機械的試験システムに機械的試験機器(例、プローブ先端を有するプローブ)が含まれ、システムは、例えば、試料を押し込むこと、引っ張ること、又は引っ掻くことによって、材料試料の機械的特性を試験する。いくつかの例では、機械的試験機器が加熱され、例えば、材料の試料の温度に実質的に等しくなるまで機械的機器が加熱される。試料の温度に等しい温度(例、それに近い温度を含む)までプローブを加熱することによって、試料と機械的試験機器との間の熱伝達が最小に抑えられる。したがって、試料とプローブとの係合時(例、材料の試料を引っ張ること、引っ掻くこと、又は押し込むことによって)、機械的試験機器により行われる試験の精度及び正確さが改善される。
【0004】
本発明者らは、特に、解決するべき問題が、機器の形状及びサイズを含む機械的試験機器の機械的もしくは電気機械的特性に影響を与えることなく、又はそれを動かすことなく(例、膨張もしくは収縮、熱機械的ドリフト等により)、機械的試験機器の温度を変えることを含むことができると認識した。加えて、本発明者らは、特に、解決するべき問題が、機械的試験機器に近似の熱伝達を局所化することを含むことができることを認識した。さらに、本発明者らは、特に、解決するべき問題が、機械的試験機器の温度を変えるために利用される加熱素子に印加される応力及びひずみを軽減することを含むことができることを認識した。
【0005】
この主題は、機械的試験機器から機械的に分離される加熱素子を提供することによる等、この問題の解決策の提供を助けることができる。例えば、また、いくつかの実施例では、加熱素子の一部は、機械的試験機器にごく近接しており、機器に対して複数の方向から熱伝達を可能にするために機器を取り囲みながら、同時に機器を格納して、伝達された熱の漏出を最小に抑える。加えて、加熱素子は、間隙(例、空間、距離、空洞、キャビティ等)によって機械的試験機器から隔てられている。加熱素子を機械的試験機器にごく近接して配置することは(例、プローブの先端をプローブの遠位端に配置する)、機械的試験機器への熱伝達を局所化する。したがって、機械的試験システムの他の部分への熱伝達は最小に抑えられるため、システムの他の部分を加熱する影響が低減される。
【0006】
機械的に分離した加熱素子で機械的試験機器を加熱するのに対し、他の実施例では、加熱素子は、機械的試験機器の近位端(例、プローブのベース)に直接連結する。加熱素子が発生させた熱は、機械的試験機器を通して機械的試験機器の遠位端に向かって伝導し、そこで、機械的試験機器は試料と係合する。いくつかの実施例では、加熱素子は、機械的試験機器と直接連結されているため、機械的試験機器の加熱が機械的試験機器の機械的反応に影響する(機器に質量を追加する)。代替的に又は追加で、加熱は、機器に連結されているトランスデューサであって、機械的試験機器の変位を測定し、(及び任意選択で)機械的試験機器を駆動し、又は機械的試験機器に加えられる力を測定する、トランスデューサに影響を及ぼす。本明細書で説明するように加熱素子を機械的試験機器から機械的に分離することは、機械的試験機器の加熱をプローブ(例、試料と係合することになる構成要素)に局所化しながら、機器の他の部分の分散加熱と、関連する欠点とを最小に抑える。したがって、機械的試験機器によって行われる試験の精度及び正確さが向上する。
【0007】
加えて、加熱素子を機械的試験機器から機械的に分離することは、加熱素子に印加される応力及びひずみを軽減する。例えば、いくつかの実施例では、加熱素子は、機械的試験機器に直接連結され、機械的試験機器を、機械的又は電気機械的特性の試験を実施する試料と係合させる。一実施例において、機械的試験システムは、機械的試験機器に力を加える(例、試料を押し込むため、試料を引っ張るため、又は試料を引っ掻くため)。加熱素子を可動プローブ等の機械的試験機器に連結させているため、加えられる力は加熱素子にも印加される。いくつかの例では、加熱素子への力の印加は、加熱素子の寿命又は信頼性を減じ、加熱素子に必要なメンテナンス(例、加熱素子の交換)を増やす。他の例では、加熱素子の追加質量が機器の機械的性能(動き、指定された動きもしくは力に対する信号の忠実度等)及び感度を減じる。本明細書で説明するように、加熱素子を機械的試験機器から機械的に分離することによって、機械的試験機器の動き及び感知に対する加熱素子の質量の影響が最小に抑えられる。したがって、加熱素子及び機械的試験機器の両方の動作寿命又は信頼性が向上する。
【0008】
本発明の第1の実施形態によれば、プローブを有する機械的試験機器を加熱するように構成されたプローブ加熱ジャケットにおいて、前記プローブ加熱ジャケットは、
前記機械的試験機器に連結されるように構成された少なくとも1つの固締インターフェースと、
前記少なくとも1つの固締インターフェースから延びている加熱素子とを備え、前記加熱素子は、
前記少なくとも1つの固締インターフェースに連結されているジャケット壁を有し、
前記ジャケット壁は、プローブ用中空部の周りに延びており、前記ジャケット壁は、前記プローブ用中空部内に前記機械的試験機器の前記プローブを受け入れ、前記加熱素子は、プローブ間隙で前記プローブから機械的に分離されている、プローブ加熱ジャケットを要旨とする。
【0009】
第2の実施形態は第1の実施形態において、前記ジャケット壁は前記プローブ用中空部に面する内面を有し、前記内面は、熱を前記プローブ間隙越しに前記プローブに方向付けることを要旨とする。
【0010】
第3の実施形態は第1の実施形態において、前記ジャケット壁が放射加熱素子であることを要旨とする。
第4の実施形態は第1の実施形態において、前記ジャケット壁が誘導加熱素子であることを要旨とする。
【0011】
第5の実施形態は第1の実施形態において、前記機械的試験機器と前記プローブとをさらに備えることを要旨とする。
第6の実施形態は第5の実施形態において、前記プローブは、前記ジャケット壁の前記プローブ用中空部に受け入れられ、前記プローブは、前記加熱素子から機械的に分離しており、前記プローブは、前記プローブ間隙によって前記ジャケット壁の前記内面から離間していることを要旨とする。
【0012】
第7の実施形態は第5の実施形態において、前記機械的試験機器は、前記プローブ用中空部内で前記プローブを移動させ、前記プローブの移動は、前記ジャケット壁から機械的に分離していることを要旨とする。
【0013】
第8の実施形態は第7の実施形態において、
前記プローブは、前記加熱ジャケットに対して1つ以上の自由度を有することを要旨とする。
【0014】
第9の実施形態は第5の実施形態において、前記ジャケット壁はジャケットプロファイルを有し、
前記プローブはプローブプロファイルを有し、前記プローブプロファイルは前記ジャケットプロファイルと対応し、前記加熱素子及び前記プローブの間にプローブ間隙が設けられ、
前記ジャケット壁は、前記プローブに近接して、前記対応するジャケットプロファイル及びプローブプロファイルに応じて前記プローブを取り囲むことを要旨とする。
【0015】
第10の実施形態によれば、機械的試験システムにおいて、
材料の試料の1つ以上の機械的特性を試験する可動プローブを有する機械的試験機器と、
前記機械的試験機器を加熱するプローブ加熱ジャケットとを備え、前記プローブ加熱ジャケットは、
前記機械的試験機器に連結する少なくとも1つの固締インターフェースと、
前記少なくとも1つの固締インターフェースから延びている加熱素子と備え、前記加熱素子は、
前記少なくとも1つの固締インターフェースに連結されているジャケット壁を有し、
前記ジャケット壁は、プローブ用中空部の周りに延びており、前記ジャケット壁は、前記プローブ用中空部内に前記機械的試験機器のプローブを受け入れ、前記加熱素子は、プローブ間隙で前記プローブから機械的に分離していることを要旨とする。
【0016】
第11の実施形態は第10の実施形態において、前記機械的試験機器は、前記プローブ用中空部内で前記プローブを移動させ、前記プローブの移動は、前記ジャケット壁から機械的に分離していることを要旨とする。
【0017】
第12の実施形態は第11の実施形態において、
プローブの移動には、前記プローブ用中空部内での並進、回転又は横方向引っ掻き移動のうちの1つ以上を含み、前記ジャケット壁は、前記プローブを前記1つ以上の移動のそれぞれに伴い機械的に分離することを要旨とする。
【0018】
第13の実施形態は第10の実施形態において、
前記ジャケット壁はジャケットプロファイルを有し、
前記プローブはプローブプロファイルを含み、前記プローブプロファイルは前記ジャケットプロファイルと対応し、前記加熱素子及び前記プローブの間にプローブ間隙が設けられ、
前記ジャケット壁は、前記プローブに近接して、前記対応するジャケットプロファイル及びプローブプロファイルに応じて前記プローブを取り囲むことを要旨とする。
【0019】
第14の実施形態は第13の実施形態において、前記加熱素子は、放射加熱素子、対流加熱素子、又は誘導加熱素子であることを要旨とする。
第15の実施形態は第10の実施形態において、環境コンディショニングチャンバをさらに備えており、前記チャンバは、調節された環境を提供し、前記調節された環境は、前記チャンバの周囲環境とは異なる1つ以上の環境特徴を有することを要旨とする。
【0020】
第16の実施形態は第15の実施形態において、前記1つ以上の環境特徴は、温度、圧力、湿度又は流体組成からなることを要旨とする。
第17の実施形態は第15の実施形態において、前記プローブ加熱ジャケットは、前記環境コンディショニングチャンバ内に配置されることを要旨とする。
【0021】
第18の実施形態によれば、材料の機械的特性を試験するための方法において、
ジャケット壁を有するプローブ加熱ジャケットのプローブ用中空部内に機械的試験機器のプローブを配置する工程であって、前記ジャケット壁は、前記プローブのプローブプロファイルと対応するジャケットプロファイルを有し、前記ジャケット壁は、前記ジャケットプロファイルの前記プローブプロファイルへの対応に応じて前記プローブに近接している、機械的試験機器のプローブを配置する工程と、
前記プローブ加熱ジャケットの加熱素子に通電する工程と、
前記ジャケットプロファイルの前記プローブプロファイルへの対応に応じたプローブ間隙を通して前記ジャケット壁から前記プローブに熱を方向付けて、前記プローブの温度を変える工程と、
機械的又は電気機械的試験を行うために前記プローブを移動させる工程とを備え、
前記プローブの移動中、前記プローブは、前記ジャケット壁から機械的に分離している、方法を要旨とする。
【0022】
第19の実施形態は第18の実施形態において、前記プローブを移動させる工程は、前記プローブ用中空部内での並進、回転又は横方向引っ掻き移動のうちの1つ以上を行い、前記ジャケット壁は、前記1つ以上の移動のそれぞれに伴い前記プローブを機械的に分離することを要旨とする。
【0023】
第20の実施形態は第18の実施形態において、前記プローブを材料の試料と係合する工程をさらに備えることを要旨とする。
第21の実施形態は第18の実施形態において、前記プローブを前記試料と係合する工程は、機械的試験機器を用いて前記プローブに力を加える工程からなることを要旨とする。
【0024】
第22の実施形態によれば、試料ステージと、システムフレームに連結された機械的試験機器とを有する機械的試験アセンブリを用いて熱機械的ドリフトを補正するための方法において、
前記機械的試験機器のプローブを、前記試料ステージに連結されている試料と係合する工程であって、前記機械的試験機器、前記試料又は前記試料ステージのうちの1つ以上が熱機械的ドリフトを受ける、前記機械的試験機器のプローブを係合する工程と、
前記係合されたプローブを前記試料に対して負荷により変位させる工程と、
前記変位又は前記負荷のうちの1つ以上を測定する工程と、
前記変位及び前記負荷に応じて前記プローブを用いて前記試料の1つ以上の特徴を判定する工程と、
前記試料に対する前記プローブの前記測定された変位、又は前記判定された1つ以上の特徴のうちの1つ以上における前記熱機械的ドリフトを補正する工程とを備え、前記熱機械的ドリフトを補正する工程は、
前記システムフレームに対する前記プローブの変位を独立して測定する工程と、非接触センサを用いて前記システムフレームに対する前記試料の変位を独立して測定する工程とを含んでなることを要旨とする。
【0025】
第23の実施形態は第22の実施形態において、前記プローブの前記変位又は前記試料の前記変位を測定する工程は、直交位相検波又は干渉縞計数方式のうちの1つ以上を含むことを要旨とする。
【0026】
第24の実施形態は第22の実施形態において、前記非接触センサは、レーザー干渉計、ファイバ光変位センサ、共焦点センサ、又は静電容量センサのうちの1つ以上からなることを要旨とする。
【0027】
第25の実施形態は第22の実施形態において、前記非接触センサがレーザー干渉計であり、前記独立して測定する工程は、
1つ以上の光ファイバに入るコヒーレント光ビームを発生させる工程と、
前記1つ以上の光ファイバを通してファイバ端部に前記コヒーレント光ビームを伝送する工程と、
前記コヒーレント光ビームを第1成分ビームと第2成分ビームとに分割する工程と、
前記第1成分ビームを媒体とのファイバインターフェースに反射する工程と、
前記第2成分ビームを前記試料、前記試料ステージ又は前記機械的試験機器に反射する工程と、
光学検出器で前記第1成分ビーム及び前記第2成分ビームを結合する工程と、
前記結合された第1成分ビーム及び前記第2成分ビームを同期復調することによって、前記システムフレームに対する前記試料、前記試料ステージ、又は前記機械的試験機器の変位を判定する工程とを備えることを要旨とする。
【0028】
第26の実施形態は第22の実施形態において、前記熱機械的ドリフトを補正する工程は、前記プローブと前記試料との係合又は前記1つ以上の特徴の測定それぞれの能動的又は受動的な補正のうちの少なくとも1つを含んでなることを要旨とする。
【0029】
第27の実施形態は第22の実施形態において、前記熱機械的ドリフトを補正する工程は、前記熱機械的ドリフトを打ち消すために、前記プローブ又は前記試料のうちの1つ以上の並進駆動を含む熱機械的ドリフトの能動的補正を含んでなることを要旨とする。
【0030】
第28の実施形態は第22の実施形態において、前記熱機械的ドリフトを補正する工程は、前記試料の前記1つ以上の特徴の前記判定中、前記熱機械的ドリフトの差し引きを含む熱機械的ドリフトの受動的補正を含んでなることを要旨とする。
【0031】
第29の実施形態によれば、機械的試験アセンブリにおける熱機械的ドリフトを補正するシステムにおいて、
熱機械的ドリフトを受けるシステムフレームと、
前記システムフレームに連結されている試料ステージと、
前記システムフレームに連結されている機械的試験機器であって、試料と係合して、前記試料に対する深さを負荷により変位させるように構成された可動プローブを含む、機械的試験機器と、
前記機械的試験機器に連結されているレーザー干渉計システムであって、前記レーザー干渉計システムは、
前記プローブと前記機械的試験機器の残りの部分との間に連結されている第1干渉計であって、前記機械的試験機器の残りの部分に対する前記プローブのプローブ変位を判定するように構成された、第1干渉計と、
前記機械的試験機器と前記システムフレームとの間に連結されている第2干渉計であって、前記機械的試験機器に対する前記試料ステージ又は前記試料の試料変位を判定するように構成された、第2干渉計とを備える、レーザー干渉計システムと、
前記プローブ変位と前記試料変位との差を判定し、
前記プローブ変位と前記試料変位との前記判定された差を用いて、前記機械的試験機器を前記システムフレームの前記熱機械的ドリフトから分離する、分離・測定モジュールとを備える、システムを要旨とする。
【0032】
第30の実施形態は第29の実施形態において、第1ファイバ端部及び第2ファイバ端部を揺動して、変調された光学信号を提供する電気機械的発振器をさらに備えることを要旨とする。
【0033】
第31の実施形態は第29の実施形態において、前記第1干渉計又は前記第2干渉計のファイバを動的に伸長させて、前記ファイバ内の熱誘導されたドリフトを軽減するファイバストレッチャをさらに備えることを要旨とする。
【0034】
第32の実施形態は第31の実施形態において、前記ファイバストレッチャが電気機械的素子を備えることを要旨とする。
この概要は、本特許出願の主題の概要を提供することを意図している。本発明の排他的又は網羅的な説明を提供することを意図しているわけではない。本特許出願に関するさらなる情報を提供するために詳細な説明を記載する。
【0035】
必ずしも縮尺通りには描かれていない図面において、同じ符号は、異なる図において同様な構成要素を表したものでありうる。異なる添字を有する同じ符号は、同様な構成要素の異なる例を表したものでありうる。図面は、全体として、制限ではなく例として、本文書で述べる様々な実施形態を例示する。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】多自由度試料ステージを含むマルチ機器アセンブリの一実施例の等角切欠図。
図2図1に図示する多自由度試料ステージを含む試験アセンブリの斜視図。
図3図2に図示する試験アセンブリの詳細斜視図。
図4】加熱ジャケットの一実施例の斜視図。
図5図4の加熱ジャケットの側面図。
図6図4の加熱ジャケットにプローブが受け入れられた状態の、加熱ジャケットの上面図。
図7】機械的試験機器の側面図。
図8図7の機械的試験機器の斜視図。
図9】材料の機械的特性を試験するための方法の一実施例を示す図。
図10】機械的試験アセンブリにおける熱機械的ドリフトを補正するためのシステムの模式図。
図11】干渉計システムの模式図。
図12】機械的試験アセンブリを用いて熱機械的ドリフトを補正するための方法の一実施例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0037】
図1は、例示的なマルチ機器アセンブリ100の一部切欠図を示す。図示するように、マルチ機器アセンブリ100は、試験アセンブリ112と、第1、第2、第3及び第4の機器104、106、108、110を含む複数の機器(例、顕微鏡)とを取り囲む機器チャンバ102を含む。図示するように、第1から第4の機器104~110のそれぞれは、試験アセンブリ112に隣接するエリアのあたりに集められている。例えば、第1から第4の機器104~110は、配列されて、試験アセンブリ112付近(例えば、多自由度試料ステージ116に隣接する)局所的な一致領域を画定するか又は該領域の中に、機器軸及び焦点又は作動距離(例、作動領域)を含む。以下さらに詳細に説明するように、アセンブリ100は、アセンブリ100の1つ以上の構成要素の温度を変える加熱器を含む。加えて、アセンブリ100は、アセンブリ100の1つ以上の構成要素における熱機械的ドリフトを分離して補償するために、1つ以上のシステムを含む。例えば、アセンブリ100の1つ以上の構成要素の位置は、構成要素の温度変化に応じて、他の構成要素に対して変えてもよい(例、マイクロメータ又はナノメータレベルの小規模の移動)。さらに、試験アセンブリ112の構成要素である多自由度試料ステージ116は、試料ステージ面(例、図2及び図3に図示する試料ステージ面208)上の試料(例、図3に図示する試料300)を、第1から第4の機器104~110の機器のうちの2つ以上の機器に対して複数の向きに向けるように構成されている。
【0038】
図1に図示されるように、試験アセンブリ112は、本明細書で前述したように、機器チャンバ102内に配置される。図示されるように、試験アセンブリ112は、例えば、圧子、スクラッチ(横方向移動)機械的試験機器、引張試験機器等の機械的試験機器114を含む。機械的試験機器114は、多自由度試料ステージ116等の試料ステージの試料面ステージ上に存在する試料と相互作用するように構成されている。例えば、多自由度試料ステージ116は、機械的試験機器114と相互作用するために材料の試料を配置するように構成されると同時に、第1から第4の機器104~110のうちの1つ以上による観察及びさらなる操作を可能にする。
【0039】
マルチ機器アセンブリ100を含む実施例では、アセンブリは、1つ以上の機器を含む。例えば、あるこのような機器は、例えば、電子銃等の第1機器104と、電子後方散乱検出器等の第2機器108とを含む、走査電子顕微鏡等の顕微鏡機器である。別のオプションでは、マルチ機器アセンブリ100は、二次電子後方散乱検出器等の第3機器110と、集束イオンビームガン等の第4機器106とを含む。一実施例において、第4機器106は、試料ステージ面に配置される試料をさらに加工するように構成されたツールである。例えば、第4機器106は、ある実施例において、集束イオンビームガンであり、さらなる調査及び機械的試験機器114及び第1から第3機器104~108のうちの1つ以上との相互作用のために、試料の部分を除去して、前に利用できなかった試料の部分を露出させるように構成されている。
【0040】
アセンブリは、圧力、温度、大気組成、湿度等を含むがこれだけに限定されない、1つ以上の環境特徴を制御するように構成された環境チャンバ118を任意選択で含む。環境コンディショニングシステムのための例示的なサブシステムは、真空チャンバ(例、負圧、雰囲気圧又は高圧試験のうちの1つ以上のために構成された圧力チャンバ)、超低温冷却システム、湿度システム、大気組成及び高温システムを含むが、これだけに限定されない。環境チャンバ118を含む例示的なシステム100において、10-4Pa(10-6Torr)から133322Pa(1000Torr)までの圧力変動が可能な機器エンクロージャ(例、エンクロージャは圧力容器である)の一部としてチャンバが含まれる。トランスデューサ、プローブ、光学イメージングシステム、及びステージ(1つ以上の自由度を含む)は、圧力容器(機器エンクロージャ)内に収まる。
【0041】
温度及び湿度等の1つ以上の他の環境特徴を制御する他の様々な環境サブシステムがステージ(例、試料ステージ116)に任意選択で取り付けられ、圧力容器内に収まる。これらのシステムは、試料とプローブとに近接するゾーンに局所化される。例えば、これらのシステムは、試料とプローブとを取り囲むハウジング内に含まれ、したがって機器エンクロージャの残りの部分に比べて小さな空間容積に影響する。これが、(例、加熱のための)エネルギー入力、指定された環境特徴値に達するまでのアプローチ時間、及びシステム要件を最小に抑えながら、測定に不都合になりうる特徴(ドリフト等)も最小に抑えるので、試験の安定性が向上する。
【0042】
図2は、前の図1で図示した試験アセンブリ112の一実施例を示す。前述したように、試験アセンブリ112は、試験機器、例えば、機械的試験機器114を含む。試験アセンブリ112は、機器114を用いて試験するために、試料を支持して提示するように構成されたステージを含む。例えば、図2に図示する実施例では、ステージは、多自由度試料ステージ116を含む。
【0043】
試験アセンブリ112は、機械的試験機器114及びステージ(この実施例では、多自由度試料ステージ116)のそれぞれを受け入れて取り付けるようなサイズ及び形状にされている、試験アセンブリプラットフォーム200を含む。試験アセンブリプラットフォーム200は、アセンブリ取付台202をさらに含む。一実施例におけるアセンブリ取付台202は、マルチ機器アセンブリ100の取付ステージ101(図1を参照)を用いて配置され、これに係合するように構成されている。機器104~110を含むシステムでは、アセンブリ取付台202は、機器104~110に対する試験アセンブリ112の作動を可能にする。さらに、多自由度試料ステージ116(含まれる場合)は、多自由度試料ステージ116の試料ステージ面上に配置される試料に、追加の向き及び位置決め能力を提供する。
【0044】
再び図2を参照すると、多自由度試料ステージ116は、図示される実施例では、直線ステージアセンブリ204を含む。一実施例において、直線ステージアセンブリは、1つ以上の直線軸に沿って試料ステージ面208を配置するように構成されたX、Y及びZの直線ステージを含む。加えて、多自由度試料ステージ116は、直線ステージアセンブリ204に連結されている回転・傾斜ステージアセンブリ206を任意選択で含む。一実施例において、回転・傾斜ステージアセンブリ206は、直線ステージアセンブリ204と連続して連結されている。別の実施例では、回転・傾斜ステージのうちの1つ以上が、直線ステージアセンブリ204の直線ステージのうちの1つ以上の間に置かれる。
【0045】
さらに別の実施例では、機械的試験機器114は、試験機器アセンブリプラットフォーム200に連結されて、その間に機械的試験機器直線ステージ210(例、X軸等の軸に沿って機器を相対的に移動させるように構成されたステージ)が置かれる。一実施例において、機械的試験機器直線ステージ210は、機械的試験機器114を試料ステージ面208及び第1から第4の機器104~110のうちの1つ以上に対して移動させるように構成された1つ以上の直線ステージ(X、Y又はZの直線ステージのうちの1つ以上)を含む。
【0046】
図2でさらに図示されるように、作動・感知ケーブル配線212が、試験アセンブリ112の1つ以上の部分、例えば、直線ステージアセンブリ204の直線ステージのそれぞれ及び回転・傾斜ステージアセンブリ206の回転・傾斜ステージのそれぞれまで延びている。加えて、別の実施例では、作動・感知ケーブル配線212は、機械的試験機器114及び機械的試験機器直線ステージに設けられている。作動・感知ケーブル配線212は、1つ以上のステージのそれぞれ、機械的試験機器等の作動を容易にする。別の実施例において、作動・感知ケーブル配線212は、直線ステージアセンブリ204、回転・傾斜ステージアセンブリ206、及び機械的試験機器直線ステージ210のステージのそれぞれに設けられるエンコーダに連結されて、本明細書で説明するように、機器及び試料ステージ面208の正確な作動及び位置決め及び向きの測定を容易にする。
【0047】
さらに、多自由度試料ステージ116は、機器104~110及び機械的試験機器114のいずれとも不要に衝突することなく、機器110の一致領域(例、1つ以上の機器104~110の焦点がアラインするか又は一致する場所)内に試料ステージ面208を配置するように構成されている。任意選択で、機械的試験機器直線ステージ210上の機械的試験機器114は、試料ステージ(例、多自由度試料ステージ116)の動きと協働するように構成されて、多様な向きの試料ステージ面208との機械的試験の相互作用が可能になることを確保する。いくつかの実施例では、機械的試験機器114及び試料ステージの動きが協働して、試料を1つ以上の機器104~110にアラインさせる。例えば、試料を機械的試験機器114にアラインさせながら、機器104~110の1つ以上に対してもその試料の向きを合わせる。
【0048】
図3は、図2に図示する試験アセンブリの詳細斜視図である。試験アセンブリ112は、機械的試験機器114を含む。機器114は、試料ステージ面208に連結されている試料300と係合して試験するように構成され、試料300の1つ以上の機械的又は電気機械的特性を試験する。いくつかの実施例では、試料300は、金属、合金、ポリマー、セラミック、ガラス、複合物、半導体、生物学的試料等のうちの1つ以上を含む。
【0049】
機械的試験機器114は、プローブ先端320を有するプローブ310を含む。プローブ310は、試料300と選択的に係合し(例、押し込む、引っ掻く等)、力、変形(押し込み深さ)等うちの1つ以上を測定する(例えば、試料300の1つ以上の特性(例、硬さ、ヤング率等)を評価する)。別の実施例において、機器114は、試料300と選択的に連結するためにクランプ部材を含み、機器114は、試料300に引張力を印加して、試料300の1つ以上の特性(例、引張強さ、ポワソン比等)を試験する。
【0050】
図3にさらに図示するように、試験アセンブリ112は、機械的試験機器114の1つ以上の部分を加熱するように構成された加熱ジャケット330を含む。一実施例において、加熱ジャケット330は、少なくともプローブ先端320を含むプローブ310を加熱する。別の実施例では、加熱ジャケット330は、例えば引張試験で使用される、プローブ310に設けられているクランプ部材(例、クランプ部材の1つ以上の顎部)を任意選択で加熱する。本明細書でさらに詳細に説明するように、加熱ジャケット330は、1つ以上のジャケット支持支柱370を用いて機械的試験アセンブリ114に連結されている。図3に図示される実施例において、加熱ジャケット330は、ジャケットベース340及びサポートインターフェース350を含む。1つ以上のジャケット支持支柱370は、固締インターフェース350に連結されて、加熱ジャケット330を機械的試験機器114に連結させる。加えて、ジャケット支持支柱370は、1つ以上の導電部材375を任意選択で含み、1つ以上の導電部材は、電気信号を加熱ジャケット330に供給するために加熱ジャケット330と電気的に連通しており、それによって、加熱ジャケット330が通電され、熱が発生する。
【0051】
試験アセンブリ112の1つ以上の部分(例、プローブ先端320)を加熱することは、試験アセンブリ112の構成要素間の熱伝達を最小に抑える。したがって、試験アセンブリ112が行う試験の正確さが改善される。一実施例において、試料300を試料ステージ116(例、図2に図示する試料ステージ面208)に連結させる。試料300の温度を、例えば、試料ステージ面208に近接して配置される加熱コイルを用いて、任意選択で変える。この実施例では、試料300が加熱されて、機器114(例、プローブ先端320)が試料300と相互作用すると、試料300から機械的試験機器114に熱が伝達する。いくつかの実施例では、試料300と機器114との間の熱伝達は、試験アセンブリ112の試験結果の正確さに影響する。試料からプローブ先端320に伝達される熱で(又は逆に冷やされた試料で)、試料300の温度が低下する。いくつかの実施例では、試料300の機械的又は電気機械的特性は、試料300の温度によって変わる。したがって、試験アセンブリ112が行う試験の結果の正確さは、試料300へ、又は試料300から伝達される熱(及びその後の温度変化)によって影響を受ける。加えて、プローブへ、又はプローブから(例、試料から)伝達される熱は、プローブの寸法を変化させ、したがって熱伝達に基づく膨張又は収縮に起因して、力又は変位のいずれか、又は両方の測定に測定誤差が引き起こされる。
【0052】
再び図3を参照すると、加熱ジャケット330は、試料300から機械的試験機器114への熱伝達を最小に抑える。例えば、加熱ジャケット330は、試験前(及び任意選択で試験中)に機器114を加熱して、機器114(例、プローブ先端320)の温度を試料300の温度に実質的に一致することを確実にする。したがって、試料300と機器114との間の熱伝達が最小に抑えられ、試験アセンブリ112によって行われる試験の正確さが向上する。
【0053】
本明細書でさらに詳細に説明するように、加熱ジャケット330は、加熱素子360及びジャケットベース340を含む。加熱素子360は、加熱ベース340から延びている。本明細書でさらに説明するように、加熱素子360は、プローブ310を受け入れるように構成されている。加えて、加熱素子360は、プローブ310及びプローブ先端320から機械的に分離されている。例えば、加熱ジャケット330は、機械的試験機器114に連結されて、プローブ310は、プローブ310に物理的に接触又は係合することなく、機械的試験機器114から離れて連結されている。加熱ジャケット330は、ジャケット330とプローブ310との間で非接触熱伝達をなすように構成されている。
【0054】
図4は、加熱ジャケット330の一実施例の斜視図である。加熱ジャケット330は、加熱素子360を含む。図4にさらに図示するように、加熱素子360は、内面及び外面410、412を有するジャケット壁400を含む。ジャケット壁400の内面410は、プローブ用中空部420を取り囲み(例、格納、包囲、部分的な格納もしくは包囲等)、そこにプローブ310を受け入れる。例えば、プローブ310は、プローブ用中空部420に配置される(例、図6に図示されるように)。プローブ用中空部420は、任意選択でジャケットベース340を貫通して延び、加熱ジャケット330によるプローブ310の受け入れを容易にする。本明細書で説明されるように、ジャケット壁400(例えば、内面410)は、プローブのプロファイルに対応するジャケットプロファイルを有し、プローブ310に対するジャケット壁400の、近接するが切り離された位置付けを容易にし、プローブの熱伝達を高めながら、プローブ310が機械的に分離されたままにする。
【0055】
図4に図示する実施例では、ジャケットベース340は、第1端部430A及び第2端部430Bを含む。1つ以上のジャケット支持支柱370は、第1端部430A及び第2端部430Bに連結され、加熱ジャケット330をプローブ310にごく近接して配置しながら、その間の機械的分離を維持する(例、プローブ間隙で)。支柱370に関連付けられている1つ以上の導電部材375は、加熱ジャケット330の動作のために、第1及び第2の端部430A、430B間に電力を伝える。例えば、導電部材375は、加熱ジャケット330の第1及び第2の端部430A、B間に電気を導電する。
【0056】
加熱ジャケット330は、中実コアに、二ケイ化モリブデン、プラチナ合金等を含むが、これに限定されず、中実コアは、応力を最小化する形状特徴を加熱ジャケット330に与えるために、任意選択で(例、電気放電加工により)機械加工される。例えば、複数の溝440を加熱ジャケット330に任意選択で含め、第1端部430Aから第2端部430Bまで電気を迂回させることによって、加熱ジャケット330をジャケット壁400に沿って抵抗加熱する。加えて、複数の溝440は、ジャケット330の様々なセグメント450及びコーナー460の断面積のバリエーションにより、加熱ジャケット340の抵抗(ひいては加熱)の調整を容易にする。したがって、溝440は、加熱素子360が発生させた熱の制御を容易にする。さらに、切り抜き440は、プローブ用中空部420に対して横方向にジャケット壁400の膨張及び収縮を容易にしながら、ジャケット壁400の半径方向の膨張又は収縮及びそれに応じたプローブとの係合を最小に抑える。
【0057】
図5は、図4の加熱ジャケットの側面図である。加熱ジャケット330は、ジャケットベース340及び加熱素子360を含む。前述したように、加熱素子360(ジャケット壁400を含む)は、第1脚部500Aと第2脚部500Bとでジャケットベース340に連結されている。第1脚部500Aは、この実施例ではジャケット壁400の蛇行セグメントとコーナーとを含む加熱素子360を通じて、第2脚部500Bと電気的に連通している。したがって、第1脚部500Aを通じて伝送される電気信号は、加熱素子360を通じて第2脚部500Bに伝送されて、ジャケット壁400での加熱を始める。
【0058】
図6は、図4の加熱ジャケット330にプローブ310が受け入れられた状態の、加熱ジャケットの上面図である。図示されるように、プローブ310は、加熱ジャケット330のプローブ用中空部420に受け入れられている。プローブ310と加熱素子360との間(例、ジャケット壁400とプローブ310との間)にプローブ間隙600が設けられている。ジャケット壁400の内面410等のジャケット壁400は、プローブ310のプローブプロファイル620に対応するジャケットプロファイル610を含む。対応するプロファイルは、プローブ310の受け入れ、プローブ310の機械的分離を容易にすると同時に、ジャケット壁400で発生した熱を、介在するプローブ間隙600越しにプローブ310に直ちに、かつ確実に伝える。この実施例では、加熱素子360がプローブ310から機械的に分離されているため、加熱素子360は、プローブ310に熱を伝導しない。代わりに、加熱素子(例、ジャケット壁400)は、加熱の1つ以上の非接触モード、例えば、熱伝達の放射又は対流モード及び誘導加熱(本明細書で説明される)により、プローブ310に熱を伝達する。
【0059】
本明細書で説明されるように、ジャケット壁400(図4に図示される)は、ジャケットプロファイル610を有する。例えば、ジャケットプロファイル610は、実質的に円形又は円筒形で、ジャケット壁400の内面の形状、輪郭又はサイズのうちの1つ以上に対応する。逆に、プローブ310は、プローブプロファイル620を有する。図6で提供される実施例では、プローブプロファイル620は、ジャケットプロファイル610に対応する。例えば、ジャケットプロファイル610は、概ね円形又は円筒形をなし、プローブプロファイル620に近似する形状、輪郭又はサイズのうちの1つ以上からなる。ジャケットプロファイル610とプローブプロファイル620との対応は、その間のプローブ間隙600が最小であることを確実にしながら、プローブ310がジャケット壁400から確実に機械的に分離する。一実施例において、ジャケットプロファイル610は、プローブプロファイル620よりもやや大きい寸法を有する。したがって、ジャケット330は、プローブ用中空部420(図4に図示される)にプローブ310を受け入れるためのサイズ及び形状にされている。同様に、ジャケットプロファイルは、任意選択でプローブプロファイル620に位置合わせして(例、同心状に、軸方向に、又は同様に)、プローブ310のプローブ用中空部420内への受け入れを促進する。したがって、ジャケットプロファイル610とプローブプロファイル620との対応は、(例、熱伝達の最小損失により)熱伝達の高い忠実度を確保しながら、ジャケット330の、プローブ310からの機械的な分離も維持する。
【0060】
再び図6に図示する実施例を参照すると、加熱素子360(例、ジャケット壁400の内面410)は、プローブ310にごく近接している。加えて、加熱素子360は、プローブ310の連続囲い、溝440の途切れを伴う連続囲い、ジャケット壁400の個々の部分間の間隙(例、柱、素子等の間の間隙)を伴う連続囲いのうちの1つ以上を含めて、プローブ310を取り囲む。ジャケット壁400をプローブ310にごく近接して配置することは、加熱素子360とプローブ310との間の熱伝達を高める。加えて、プローブ310を加熱素子360で取り囲むことは、熱を複数の方向からプローブ310に方向付けると同時に、加熱されたジャケット壁400を用いて、プローブ310に蓄積された熱の漏出(例、間隙により)を最小に抑えることで、熱伝達をさらに高める。例えば、熱伝達は、プローブ310に対して複数の方向から(例、図4に図示される、内面410からプローブ310の外周に沿って)達成されながら、ジャケット壁400の開口が任意選択で最小化されて、それに対応して熱の漏出を最小に抑える。
【0061】
図7は、機械的試験機器114の別の実施例の側面図である。機械的試験機器114は、プローブ310と加熱ジャケット330の別の実施例とを含む。この実施例では、加熱ジャケット330は、プローブ310に巻き付けられて、プローブ310から機械的に分離している。例えば、プローブ310は、プローブプロファイル620を有し、加熱ジャケット330は、ジャケットプロファイル610を有する。ジャケットプロファイル610は、プローブプロファイル620と対応し、ジャケットプロファイル610及びプローブプロファイル620は、プローブ間隙600を取り囲む。ジャケット壁400は、プローブ310にごく近接して配置されて、プローブ310を取り囲み(例、プローブ310に巻き付けて)、プローブ310に対して複数の方向からの熱伝達(又は誘導加熱)を可能にする。
【0062】
電気は、第1脚部500Aに伝送され、加熱ジャケット330を通して第2脚部500Bに伝送される。この実施例では、加熱ジャケット330は、プローブ310を誘導加熱して、プローブ310の温度を変える。例えば、加熱ジャケット330を通した電気の伝送は磁場を発生させ、それに応じて磁場はプローブ310を励磁し、それによってプローブ310を加熱する。この実施例では、加熱ジャケット330は、プローブ310から機械的に分離されており、熱伝達は、熱伝達の非接触モードである(例、誘導加熱)。
【0063】
別の実施例では、加熱ジャケット330は通路を含み、加熱ジャケット330を通して流体が揚送されて、プローブ310を加熱又は冷却する。例えば、冷やした流体(プローブ310の温度に対して)が第1脚部500Aに注ぎ込まれて、加熱ジャケット330を通る。流体は、加熱ジャケット330を流れて、プローブ310を冷却し(例、対流又は熱放射により)、流体は、例えば、加熱又は冷却のために、加熱ジャケット330の第2脚部500Bから出て、さらにジャケットを再循環する。
【0064】
図8は、図7の機械的試験機器の斜視図である。この実施例では、シールド800が加熱ジャケット330を実質的に取り囲んで、プローブ310への熱伝達を高める。一実施例において、シールド800は、本来であればプローブ310によって散逸される赤外線エネルギーを反射する。別の実施例では、シールド800は、加熱ジャケット330が発生させた磁場を方向付けて、プローブ310の誘導加熱を高める。さらに別の実施例では、シールド800は、図3図6に図示する加熱ジャケット330に近接して配置して、プローブ310を断熱するか、又は加熱素子360が発生させた赤外線エネルギーを素子360に向けて内側に反射し返すとともにプローブ310に向けて反射する。
【0065】
図9は、本明細書で説明する機械的試験機器114、プローブ310又は加熱ジャケット330のうちの1つ以上を含む、材料の機械的特性を試験するための方法900の一実施例を示す。方法900を説明する中で、本明細書で前述した1つ以上の構成要素、特徴、機能及び動作を参照する。便利な場合、構成要素、特徴、動作等に参照符号を付けて参照する。付けられる参照符号は例示的なものであり、排他的なものではない。例えば、方法900で説明する構成要素、特徴、機能、動作等は、本明細書で提供される対応する番号を付された要素及び本明細書で説明される他の対応する要素(番号を付されているものと付されていないものの両方)ならびにその均等物を含むが、これだけに限定されない。
【0066】
910で、機械的試験機器114のプローブ310が、ジャケット壁400を有する加熱ジャケット330のプローブ用中空部420内に配置される。ジャケット壁400は、プローブ310のプローブプロファイル620と対応するジャケットプロファイル610を有する。ジャケット壁400は、ジャケットプロファイル610のプローブプロファイル620への対応に応じて、プローブ310に近接している。
【0067】
920で、加熱ジャケット330の加熱素子360が通電される。例えば、加熱ジャケット330に電気信号(例、電流等)が送られて、素子360の抵抗加熱、素子の誘導等のうちの1つ以上を始める。
【0068】
930で、ジャケット壁400からの熱は、ジャケットプロファイル610のプローブプロファイル620への対応に応じて、プローブ310に向けられてプローブ間隙600越しに方向付けられ、プローブ310の温度を変える。別の実施例では、加熱は、ジャケット330を用いて発生させた磁場によりプローブ間隙600越しにプローブ310を誘導加熱することを含む(図7に図示するように)。
【0069】
940で、方法900は、機械的又は電気機械的試験を行うためにプローブ310を移動させることを含む。一実施例において、プローブ310を移動させることは、プローブ用中空部420内での並進、回転又は横方向引っ掻き移動のうちの1つ以上を含み、ジャケット壁400は、1つ以上の移動のそれぞれに伴いプローブ310を機械的に分離する。したがって、プローブ310は、加熱ジャケット330に対して1つ以上の自由度を有する(往復運動、回転等を含むが、これだけに限定されない)。
【0070】
方法900のいくつかの選択肢が次に起こる。例えば、プローブ310が試料300と係合する。一実施例において、プローブ310を試料300と係合することは、機械的試験機器114を用いてプローブ310に力を加えることを含む。
【0071】
図10は、機械的試験アセンブリにおける熱機械的ドリフトを補正するためのシステム1000の模式図である。システム1000は、システムフレーム1010及び機械的試験機器114を含む。いくつかの実施例において、システムフレーム1010は、図2に図示する試験アセンブリプラットフォーム200に対応する。システム1000は、システムフレーム1010に対する機械的試験機器114の作動及び位置決め(例、1つ以上の方向、例えば、システムフレーム1010に対して上又は下)を可能にする、MTI(機械的試験機器)アクチュエータ1020を任意選択で含む。いくつかの実施例では、MTIアクチュエータ1020は、図2に図示する機械的試験機器直線ステージ210に対応する。機械的試験機器114は、プローブ310を含み、プローブ310は、プローブアクチュエータ1025(容量型トランスデューサ等)によって作動されて、プローブ310を機器114に対して位置決めする。いくつかの実施例において、プローブアクチュエータにセンサ(例、トランスデューサ)が含まれて、例えば、プローブ310に印加される負荷(例、力)又はプローブ310の変位を判定する。別の実施例では、プローブアクチュエータ1025は、プローブ310の1つ以上の指定された負荷、変位を印加し、1つ以上の生じる負荷、変位等(例、印加された負荷又は変位に対して実際に生じる負荷又は変位)も測定するトランスデューサを含む。
【0072】
熱機械的ドリフトを補正するためのシステムは、干渉計システム1030を含む。図10に図示されるように、干渉計システム1030は、機械的試験機器114に連結されている。この実施例では、干渉計システム1030は、第1干渉計1040A及び第2干渉計1040Bを含む。第1干渉計1040Aは、プローブ310と機械的試験機器114の残りの部分との間に連結されている。第1干渉計1040Aは、機械的試験機器114の残りの部分に対するプローブ310のプローブ変位ΔXを判定する。プローブ変位ΔXは、プローブの移動に対応し、したがってプローブの移動を正確に表すものを提供して、試料と機械的試験機器の残りの部分とに対するプローブの実際の押し込み深さ又は他の変位に基づく値を測定する。
【0073】
一実施例において、第1干渉計1040Aは、第1コヒーレント光ビームを第1成分ビームと第2成分ビームとに分割する。第1コヒーレント光ビームは、光源、例えばレーザー発生器(例、図11に図示されるレーザー発生器1111)によって生成される。第1コヒーレント光ビームは、媒体、例えばファイバ端部(例、図11に図示される光ファイバ1120の劈開端部1125)を含む光ファイバ(例、光ファイバ1120)を通して伝送される。第1コヒーレント光ビームは、ファイバ端部に到達し、光キャビティを形成する第1成分ビームと第2成分ビームとに分割される。いくつかの実施例において、第1成分ビーム(例、参照ビーム)はファイバ端部から反射し返され、第2成分ビーム(例、アクティブビーム)は光ファイバを逃れて、ターゲット(例、プローブ310、又は例えば、プローブ先端320の反対のプローブ310の後側)に向かって伝送される。第2成分ビームは、ターゲットに反射されて、光ファイバに戻る。任意選択で、第1成分ビーム及び第2成分ビームは、光ファイバ内で結合(例、再結合)され、いくつかの実施例では、第1成分ビームは、第2成分ビームに干渉して干渉信号になる。
【0074】
光学検出器(例、図11に図示される光学検出器1117)は、干渉信号を検出する。いくつかの実施例において、成分ビーム又はコヒーレントビームは、波長変調、位相変調又はキャビティ変調のうちの1つ以上で変調される。検出された成分ビーム(例、干渉信号)は、(例、図11に図示される同期復調器1118により)処理されて、ターゲットとファイバ端部との間の変位を判定する。一実施例において、変位は、干渉縞計数方式を使って判定される。干渉縞計数方式は、結合された第1成分ビームと第2成分ビームとによって生成される干渉縞パターンを観察すること(例、光学検出器を用いて)を含む。この実施例では、結合された第1成分ビーム及び第2成分ビームは、位相がずれているため、成分ビームによる干渉(例、強め合う干渉又は弱め合う干渉)が観察されるときに、干渉縞パターン(例、明暗の縞模様の勾配)を生成する。干渉縞パターンの干渉縞間の距離は既知であり、例えば、干渉縞パターンの明線と暗線との間の距離は、第1コヒーレント光ビームの波長に対応する。システム1000は、干渉縞パターンを分析し、したがって、ファイバ端部とターゲットとの間の距離を判定する。例えば、システム1000は、明から暗への縞模様の変化を計数して、ファイバ端部に対するターゲットの距離の変化を判定する。したがって、第1干渉計1040Aは、機械的試験機器114の残りの部分に対するプローブ310のプローブ変位ΔXの判定を可能にする。加えて、プローブ変位は、一実施例において、プローブ310の先端の、試料への押し込み深さに対応する。本明細書で説明するように、プローブ変位は、別の実施例において、システムフレーム1010に対する機械的試験機器114の変位と組み合わせて使用して、熱機械的ドリフトを分離して除去するために押し込み深さの測定を改善する。
【0075】
別の実施例において、干渉縞パターンで直交位相点を検出する直交位相検波を用いて、変位を判定する。例えば、直交位相点(例、変曲点、又は、結合された成分ビームの強め合う干渉と弱め合う干渉との間の中間点)は、ファイバ端部とターゲットとの間の距離の変化に対して最大限の感度を提供する。
【0076】
第2干渉計1040Bは、機械的試験機器114とシステムフレーム1010との間に連結されている。第2干渉計は、機械的試験機器114に対する試料ステージ(例、図1図3に図示される試料ステージ116)又は試料300の試料変位ΔXを判定する。例えば、第2干渉計1040Bは、第2コヒーレント光ビームを第3成分ビーム(例、参照ビーム)と第4成分ビーム(例、アクティブビーム)とに分割する。任意選択で、第3成分ビーム及び第4成分ビームは、干渉信号に結合される。干渉信号を検出及び処理して、第2レーザー干渉計1040B(例、ファイバ端部)と試料ステージ又は試料300との間の変位を判定する。これにより、試料ステージ及びシステムフレーム1010に対する機械的試験機器114の位置(及び移動)の精密かつ正確な測定が容易になる。
【0077】
再び図10を参照すると、熱機械的ドリフトを補正するためのシステム1000は、干渉計システム1030と通信状態にある分離・測定モジュール1050を含む。モジュール1050は、干渉計システム1030から受信したデータを処理する処理装置(例、ASIC、CPU等)を任意選択で含む。一実施例において、モジュール1050は、プローブ変位ΔXと試料変位ΔXとの差を判定する。モジュール1050は、プローブ変位ΔXと試料変位ΔXとの判定された差を使用することによって、システムフレーム1010の熱機械的ドリフトからの機械的試験機器114の分離を容易にする。例えば、システムフレーム1000の熱機械的ドリフトは、試料300に対するプローブ114の押し込み深さの変位の判定に影響する。例えば、システム1000は、システムフレーム1010の熱機械的ドリフトに起因する一定期間にわたる可変押し込み深さ又は力と、フレーム1010の膨張又は収縮により生じる対応する変動とを読み取る。図10に図示される実施例では、第1干渉計1040Aは、プローブ310と機器1040の残りの部分との間に連結されているため、干渉計1040Aは、機器1040に対するプローブ310の変位を測定する。さらに、第2干渉計1040Bは、機器114と試料300(又は試料ステージ)との間に連結されているため、第2干渉計1040Bは、機械的試験機器1040に対する試料300の変位を測定する。プローブ変位ΔXと試料変位ΔXとの差は、システムフレーム1010の熱機械的ドリフトを含まない、試料に対するプローブの実際の変位(例、押し込み深さ等)に対応する。言い換えれば、干渉計システムを機械的試験機器1040に連結させて、プローブ310及び試料300の位置を測定することによって、システムフレーム1010及びフレーム1010の熱機械的ドリフトが効果的に分離され、検討対象から外される。したがって、システムフレーム1010の熱機械的ドリフトは、システム1000によって分離され除去されて、試料300に対するプローブ140の判定された押し込み深さの精度及び正確さが向上する。
【0078】
別の実施例において、本明細書で説明するシステム及び方法は、機械的試験機器、試料ステージ等のうちの1つ以上において、熱機械的ドリフトを最小に抑える(例、最小化又は排除する)。本明細書で説明するように、プローブ310は、試料300と任意選択で係合して、プローブ310の変位(押し込み深さ、引張引き込み等)及び試料300に印加される負荷に従って、試料300の1つ以上の特徴を判定する。機械的試験機器114、試料300又は試料ステージ(例、多自由度試料ステージ116)は、熱機械的ドリフトを受ける。システム1000は、任意選択で、これらの構成要素における熱機械的ドリフトの補正を容易にする。一実施例において、熱機械的ドリフトは、能動的又は受動的に補正される。例えば、熱機械的ドリフトは、プローブ310の試料300とのインターフェースで、試験中に能動的に補正される(例、係合及び試験時)。別の実施例では、測定中に受けた熱機械的ドリフトを、試験後に受動的に分離して除去する。
【0079】
一実施例において、熱機械的ドリフトは、判定された変位に対応する熱機械的ドリフトに対する補償(例、逆)スキームで、プローブ310又は試料300のうちの1つ以上の並進駆動(例、再位置決め又は作動)によって能動的に補正される。一実施例において、熱機械的ドリフトを抑える(例、取り消す、最小化する、相殺する等)ために、プローブ310を並進させる(例、作動させる)。例えば、試料300は、熱機械的ドリフトに起因して、試料ステージ又はシステムフレーム1000で並進する。試料300のドリフトを補正する(例、追跡する、追従する、打ち消す等)ために、プローブ310を並進駆動する。したがって、システム1000は、試料300の1つ以上の特徴を判定する正確さが改善する。別の実施例では、熱機械的ドリフトは、センサによって感知される負荷を変動させる(例、プローブ310に対する試料300の位置が熱機械的ドリフトにより変化するため、プローブ310と試料との間の力が変わる)。この実施例では、熱機械的ドリフトは、熱機械的ドリフトを補償するために負荷を変えることによって補正され、それにしたがって負荷は、プローブ310又は試料300に一貫して印加される。
【0080】
さらに別の実施例では、熱機械的ドリフトは、プローブ310の測定された変位又は試料300の判定された1つ以上の特徴から検出された熱機械的ドリフトを差し引くことによって受動的に補正される。例えば、プローブ310は、試料300と係合し、プローブ310に負荷を印加することによって試料に対して変位する。プローブ310の変位を測定する(例、センサ、例えばトランスデューサを用いて)。判定された熱機械的ドリフトをプローブ310の変位から差し引くことによって、プローブ310の測定される変位の正確さが改善する。別の実施例では、熱機械的ドリフトに対応する変動を利用して、熱機械的ドリフトに帰せられる負荷変動を差し引くことによって、測定される負荷を補正する。
【0081】
図11は、干渉計システム1030の模式図である。干渉計システム1030は、コヒーレント光ビーム(例、指定波長を含む光ビーム)を発生させるレーザー源1111を含む。加えて、システム1030は、レーザー源1111に連結されている光ファイバ1120を含む。光ファイバ1120は、システム1030の1つ以上の構成要素と任意選択で光学的に連結されて、構成要素間の1つ以上の光ビームの伝送を容易にする。一実施例において、光ファイバ1120は、レーザー源1111、サーキュレータ1112、ファイバストレッチャ1113、電気機械的発振器1114及び光学検出器1117を、任意選択で光学的に連結させる。
【0082】
サーキュレータ1112は、システム1030内で光学信号の伝送を容易にする。例えば、サーキュレータ1112は、任意選択で、レーザー発生器1030からターゲット1130に向けて第1コヒーレント光ビームを方向付ける。加えて、サーキュレータ1112は、任意選択で、第1成分ビーム及び第2成分ビーム(本明細書で説明される)を光学検出器1117に向けて光学的に方向付ける。
【0083】
ファイバストレッチャ1113は、ビームが光ファイバを通して伝送されるときに(例、第1コヒーレントビーム又は第1及び第2の成分ビーム)、光ファイバ1120を動的に伸長させて、1つ以上の光ビームの光路長を変化させる。光ファイバ1120は、システム1030を用いて実施される測定において、低周波の熱機械的ドリフトを生じさせる温度感度特性を含む。ファイバストレッチャ1113は、低周波測定を高周波ドメインにシフトし、そこでは、より高い周波数値が簡単にフィルタリングされて、システム1030内の熱機械的ドリフトを補正する。
【0084】
一実施例において、光ファイバ1120は、圧電素子への電流の印加で膨張及び収縮する圧電素子に光学的に巻き付けられている。この実施例では、光ファイバ1120が圧電素子に巻き付けられており、圧電素子が膨張及び収縮するため、それに応じて光ファイバ1120の光路長は、圧電素子の膨張と収縮とにより長くなったり短くなったりする。共振器1115がファイバストレッチャ1113と通信状態にあり、ファイバストレッチャ1113に電気信号を供給して光ファイバ1120を動的に伸長させる(例、数キロヘルツで)。
【0085】
本明細書で説明するように、システム1030は、電気機械的発振器1114を任意選択で含む。電気機械的発振器1114は、キャビティ長(例、ファイバ端部1125とターゲット1130との間の距離)を変調し、さらに干渉信号(例、干渉信号は、純粋な正弦波ではない)を変調する。一実施例において、光ファイバ1120は、ファイバ端部1125を含む。ファイバ端部1125は、任意選択で電気機械的発振器1114と連結されて、電気機械的発振器1114は、指定周波数及び指定振幅でファイバ端部1125を変調する(例、揺動させる、振動させる等)。一実施例において、動作周波数で復調された干渉信号の振幅が動作周波数の2倍(例、第1高調波)で復調された干渉信号の振幅に等しいようなファイバ端部1125の変調振幅。別の実施例では、ファイバ端部1125は、ファイバストレッチャ1113の動作周波数の異なる倍数の周波数で変調する。
【0086】
再び図11を参照すると、ファイバ端部1125は、ターゲット1130に差し向けられて、成分ビーム(例、第2成分ビーム、又はアクティブビーム)をターゲット1130に向けて送る。電気機械的発振器1114によるファイバ端部1125の変調は、ファイバ端部1125とターゲット1130との間の距離を変調する。したがって、光学検出器1117で受信された信号(例、結合された第1及び第2成分ビーム)が変調される。ファイバ端部1125を変調することで、信号雑音の除去が容易になり、ファイバ端部1125とターゲット1130との間(例、図3に図示される第2干渉計1040Bと試料300との間)の変位の判定が改善される。
【0087】
一実施例において、同期復調器1118は、電気機械的発振器1114がファイバ端部1125を変調するのと同じ周波数で、光学検出器1117をサンプリングする。この実施例では、ファイバ端部1125が変調され、光学検出器1117で受信された信号がそれに応じて変調されるため、信号の同期復調は、単一の干渉縞の干渉測定にとどまらず、ファイバ端部1125とターゲット1130との間の変位検出範囲に及ぶ。したがって、ファイバ端部1125に対するターゲットの距離(又は変位)の判定がこれによって改善される(例、結合された成分ビームの信号雑音比が改善される)。
【0088】
図12は、試料ステージ及び機械的試験機器を有する機械的試験アセンブリを用いて熱機械的ドリフトを補正するための方法1200の一実施例を示す。方法1200を説明する中で、本明細書で前述した1つ以上の構成要素、特徴、機能及び動作を参照する。便利な場合、構成要素、特徴、動作等に参照符号を付けて参照する。付けられる参照符号は例示的なものであり、排他的なものではない。例えば、方法1200で説明される構成要素、特徴、機能、動作等は、本明細書で提供される対応する番号を付された要素及び本明細書で説明される他の対応する要素(番号を付されているものと付されていないものの両方)ならびにその均等物を含むが、これだけに限定されない。
【0089】
1210で、機械的試験機器114のプローブ310を、試料ステージ(例、多自由度試料ステージ116)に連結されている試料300と係合し、機械的試験機器、試料又は試料ステージのうちの1つ以上が熱機械的ドリフトを受ける。1220で、係合されたプローブ310は、試料300に対して負荷により変位する。1230で、変位又は負荷のうちの1つ以上が測定される。1240で、変位及び負荷に応じて、プローブを用いて試料の1つ以上の特徴が判定される。
【0090】
1250で、試料に対するプローブの測定された変位(例、押し込み深さ、引き込み長さ等)又は判定された1つ以上の特徴のうちの1つ以上で、熱機械的ドリフトが補正される。1260で、熱機械的ドリフトを補正することは、システムフレームに対するプローブの変位を独立して測定することと、非接触センサを用いてシステムフレームに対する試料の変位を独立して測定することとを含む。方法1200のいくつかの選択肢が次に起こる。一実施例において、熱機械的ドリフトを補正することは、レーザー源からのコヒーレント光ビームを少なくとも第1及び第2の成分ビームに分割することを含む。加えて、熱機械的ドリフトを補正することは、第1成分ビームを、ファイバ1020のファイバ端部1025から、機械的試験機器114、試料300又は試料ステージのうちの1つに対して方向付けることを任意選択で含む。さらに、熱機械的ドリフトを補正することは、第1及び第2の成分ビームを結合することを任意選択で含む。さらになお、熱機械的ドリフトを補正することは、プローブと試料との間の差分変位を判定することを任意選択で含み、位相差は、システムフレーム1010等の構成要素の熱機械的ドリフトに対応し、ファイバ端部1025が機械的試験機器114(又は1040)に連結されて、(システムフレーム1010に対応する)試料300の動きを検出する。
【0091】
一実施例において、方法1200は、プローブ310の変位を判定することを含む。例えば、第1干渉計は、プローブ310又は機械的試験機器114(もしくは1040)(例、該機器の残りの部分)の機器ハウジングのうちの1つに向けて方向付けられる。第2干渉計は、機械的試験機器114(又は1040)の残りの部分に対するプローブの変位を測定する。差(一実施例におけるシステムフレーム1010の熱機械的ドリフトに対応する)を使用して試料300に対するプローブ310の変位を判定することによって、熱機械的ドリフトを分離して除去する。
様々な注記及び実施例
態様1は、主題(装置、システム、デバイス、方法、行為を行うための手段、又はデバイスによって行われたときにデバイスに行為を行わせることのできる命令を含むデバイス可読媒体、又は製品等)を含むこと又は使用することができ、例えば、プローブを有する機械的試験機器を加熱するように構成されたプローブ加熱ジャケットであって、プローブ加熱ジャケットは、機械的試験機器に連結するように構成された少なくとも1つの固締インターフェースと、少なくとも1つの固締インターフェースから延びている加熱素子とを備えており、加熱素子は、少なくとも1つの固締インターフェースに連結されているジャケット壁を含み、ジャケット壁は、プローブ用中空部の周りに延びており、ジャケット壁は、プローブ用中空部内に機械的試験機器のプローブを受け入れるように構成されており、加熱素子は、プローブ間隙でプローブから機械的に分離されている、プローブ加熱ジャケットを含むこと又は使用することができる。
【0092】
態様2は、ジャケット壁がプローブ用中空部に面する内面を含み、内面は、熱をプローブ間隙越しにプローブに方向付けるように構成されている、ことを含むこともしくは使用することができ、又はこれを任意選択で含むためにもしくは使用するために、任意選択で態様1の主題と組み合わせることができる。
【0093】
態様3は、ジャケット壁が放射加熱素子である、ことを含むこともしくは使用することができ、又はこれを任意選択で含むためにもしくは使用するために、任意選択で態様1又は2の1つ又は任意の組み合わせの主題と組み合わせることができる。
【0094】
態様4は、ジャケット壁が誘導加熱素子である、ことを含むこともしくは使用することができ、又はこれを任意選択で含むためにもしくは使用するために、任意選択で態様1~3の1つ又は任意の組み合わせの主題と組み合わせることができる。
【0095】
態様5は、機械的試験機器とプローブとを含むこともしくは使用することができ、又はこれを任意選択で含むためにもしくは使用するために、任意選択で態様1~3の1つ又は任意の組み合わせの主題と組み合わせることができる。
【0096】
態様6は、プローブは、ジャケット壁のプローブ用中空部に受け入れられて、プローブは、加熱素子から機械的に分離しており、プローブは、プローブ間隙によってジャケット壁の内面から離間している、ことを含むこともしくは使用することができ、又はこれを任意選択で含むためにもしくは使用するために、任意選択で態様5の主題と組み合わせることができる。
【0097】
態様7は、機械的試験機器は、プローブ用中空部内でプローブを移動させるように構成されており、プローブの移動は、ジャケット壁から機械的に分離している、ことを含むこともしくは使用することができ、又はこれを任意選択で含むためにもしくは使用するために、任意選択で態様5又は6の1つ又は任意の組み合わせの主題と組み合わせることができる。
【0098】
態様8は、プローブは、加熱ジャケットに対して1つ以上の自由度を有する、ことを含むこともしくは使用することができ、又はこれを任意選択で含むためにもしくは使用するために、任意選択で態様7の主題と組み合わせることができる。
【0099】
態様9は、ジャケット壁はジャケットプロファイルを含み、プローブはプローブプロファイルを含み、プローブプロファイルはジャケットプロファイルと対応し、その間にプローブ間隙が設けられ、加熱素子及びプローブ、ジャケット壁は、プローブに近接して、対応するジャケットプロファイル及びプローブプロファイルに応じてプローブを取り囲む、ことを含むこともしくは使用することができ、又はこれを任意選択で含むためにもしくは使用するために、任意選択で態様5~8の1つ又は任意の組み合わせの主題と組み合わせることができる。
【0100】
態様10は、主題(装置、システム、デバイス、方法、行為を行うための手段、又はデバイスによって行われたときにデバイスに行為を行わせることのできる命令を含むデバイス可読媒体、又は製品等)を含むこと又は使用することができ、例えば、材料の試料の1つ以上の機械的特性を試験するように構成された可動プローブを有する機械的試験機器と、機械的試験システムを加熱するように構成されたプローブ加熱ジャケットとを備える機械的試験システムであって、プローブ加熱ジャケットは、機械的試験機器に連結するように構成された少なくとも1つの固締インターフェースと、少なくとも1つの固締インターフェースから延びている加熱素子とを含み、加熱素子は、少なくとも1つの固締インターフェースに連結されているジャケット壁を含み、ジャケット壁は、プローブ用中空部の周りに延びており、ジャケット壁は、プローブ用中空部内に機械的試験機器のプローブを受け入れるように構成されており、加熱素子は、プローブ間隙でプローブから機械的に分離している、機械的試験システムを含むこと又は使用することができる。
【0101】
態様11は、機械的試験システムは、プローブ用中空部内でプローブを移動させるように構成されており、プローブの移動は、ジャケット壁から機械的に分離している、ことを含むこともしくは使用することができ、又はこれを任意選択で含むためにもしくは使用するために、任意選択で態様10の主題と組み合わせることができる。
【0102】
態様12は、プローブの移動は、プローブ用中空部内での並進、回転又は横方向引っ掻き移動のうちの1つ以上を含み、ジャケット壁は、1つ以上の移動のそれぞれに伴いプローブを機械的に分離する、ことを含むこともしくは使用することができ、又はこれを任意選択で含むためにもしくは使用するために、任意選択で態様11の主題と組み合わせることができる。
【0103】
態様13は、ジャケット壁はジャケットプロファイルを含み、プローブはプローブプロファイルを含み、プローブプロファイルはジャケットプロファイルと対応し、その間にプローブ間隙が設けられ、加熱素子及びプローブ、ジャケット壁は、プローブに近接して、対応するジャケットプロファイル及びプローブプロファイルに応じてプローブを取り囲む、ことを含むこともしくは使用することができ、又はこれを任意選択で含むためにもしくは使用するために、任意選択で態様10~12の1つ又は任意の組み合わせの主題と組み合わせることができる。
【0104】
態様14は、加熱素子は、放射加熱素子、対流加熱素子、又は誘導加熱素子である、ことを含むこともしくは使用することができ、又はこれを任意選択で含むためにもしくは使用するために、任意選択で態様13の主題と組み合わせることができる。
【0105】
態様15は、環境コンディショニングチャンバであって、チャンバは、調節された環境を提供するように構成されており、調節された環境は、チャンバの周囲環境とは異なる1つ以上の環境特徴を有する、環境コンディショニングチャンバを含むこともしくは使用することができ、又はこれを任意選択で含むためにもしくは使用するために、任意選択で態様10~14の1つ又は任意の組み合わせの主題と組み合わせることができる。
【0106】
態様16は、1つ以上の環境特徴は、温度、圧力、湿度又は流体組成を含む、ことを含むこともしくは使用することができ、又はこれを任意選択で含むためにもしくは使用するために、任意選択で態様15の主題と組み合わせることができる。
【0107】
態様17は、プローブ加熱ジャケットは、環境コンディショニングチャンバ内に配置される、ことを含むこともしくは使用することができ、又はこれを任意選択で含むためにもしくは使用するために、任意選択で態様15又は16の1つ又は任意の組み合わせの主題と組み合わせることができる。
【0108】
態様18は、主題(装置、システム、デバイス、方法、行為を行うための手段、又はデバイスによって行われたときにデバイスに行為を行わせることのできる命令を含むデバイス可読媒体、又は製品等)を含むこと又は使用することができ、例えば、材料の機械的特性を試験するための方法であって、ジャケット壁を有するプローブ加熱ジャケットのプローブ用中空部内に機械的試験機器のプローブを配置することであって、ジャケット壁は、プローブのプローブプロファイルと対応するジャケットプロファイルを含み、ジャケット壁は、ジャケットプロファイルのプローブプロファイルへの対応に応じてプローブに近接している、配置することと、プローブ加熱ジャケットの加熱素子に通電することと、ジャケットプロファイルのプローブプロファイルへの対応に応じてプローブ間隙を通してジャケット壁からプローブに熱を方向付けて、プローブの温度を変えることと、機械的又は電気機械的試験を行うためにプローブを移動させることと、を備えており、プローブの移動中、プローブは、ジャケット壁から機械的に分離している、方法を含むこと又は使用することができる。
【0109】
態様19は、プローブを移動させることは、プローブ用中空部内での並進、回転又は横方向引っ掻き移動のうちの1つ以上を含み、ジャケット壁は、1つ以上の移動のそれぞれに伴いプローブを機械的に分離する、ことを含むこともしくは使用することができ、又はこれを任意選択で含むためにもしくは使用するために、任意選択で態様18の主題と組み合わせることができる。
【0110】
態様20は、プローブを材料の試料と係合する、ことを含むこともしくは使用することができ、又はこれを任意選択で含むためにもしくは使用するために、任意選択で態様18又は19の1つ又は任意の組み合わせの主題と組み合わせることができる。
【0111】
態様21は、プローブを試料と係合することは、機械的試験機器を用いてプローブに力を加えることを含む、ことを含むこともしくは使用することができ、又はこれを任意選択で含むためにもしくは使用するために、任意選択で態様18~20の1つ又は任意の組み合わせの主題と組み合わせることができる。
【0112】
態様22は、主題(装置、システム、デバイス、方法、行為を行うための手段、又はデバイスによって行われたときにデバイスに行為を行わせることのできる命令を含むデバイス可読媒体、又は製品等)を含むこと又は使用することができ、例えば、試料ステージと、システムフレームに連結された機械的試験機器とを有する機械的試験アセンブリを用いて熱機械的ドリフトを補正するための方法であって、方法は、機械的試験機器のプローブを、試料ステージに連結されている試料と係合することであって、機械的試験機器、試料又は試料ステージのうちの1つ以上が熱機械的ドリフトを受ける、係合することと、係合されたプローブを試料に対して負荷により変位させることと、変位又は負荷のうちの1つ以上を測定することと、変位及び負荷に応じてプローブを用いて試料の1つ以上の特徴を判定することと、試料に対するプローブの測定された変位、又は判定された1つ以上の特徴のうちの1つ以上における熱機械的ドリフトを補正することとを備えており、補正することは、システムフレームに対するプローブの変位を独立して測定することと、非接触センサを用いてシステムフレームに対する試料の変位を独立して測定することとを含む、方法を含むこと又は使用することができる。
【0113】
態様23は、プローブの変位又は試料の変位を測定することは、直交位相検波又は干渉縞計数方式のうちの1つ以上を含む、ことを含むこともしくは使用することができ、又はこれを任意選択で含むためにもしくは使用するために、任意選択で態様22の主題と組み合わせることができる。
【0114】
態様24は、非接触センサは、レーザー干渉計、ファイバ光変位センサ、共焦点センサ、又は静電容量センサのうちの1つ以上を含む、ことを含むこともしくは使用することができ、又はこれを任意選択で含むためにもしくは使用するために、任意選択で態様22又は23の1つ又は任意の組み合わせの主題と組み合わせることができる。
【0115】
態様25は、非接触センサがレーザー干渉計であり、独立して測定することは、1つ以上の光ファイバに入るコヒーレントビームを発生させることと、1つ以上の光ファイバを通してファイバ端部にコヒーレント光ビームを伝送することと、コヒーレント光ビームを第1成分ビームと第2成分ビームとに分割することと、第1成分ビームを媒体とのファイバインターフェースに反射することと、第2成分ビームを試料、試料ステージ又は機械的試験機器に反射することと、光学検出器で第1成分ビーム及び第2成分ビームを結合することと、結合された第1成分ビーム及び第2成分ビームを同期復調することによって、システムフレームに対する試料、試料ステージ、又は機械的試験機器の変位を判定することとを含む、ことを含むこともしくは使用することができ、又はこれを任意選択で含むためにもしくは使用するために、任意選択で態様22~24の1つ又は任意の組み合わせの主題と組み合わせることができる。
【0116】
態様26は、熱機械的ドリフトを補正することは、プローブと試料との係合又は1つ以上の特徴の測定それぞれの能動的又は受動的な補正のうちの少なくとも1つを含む、ことを含むこともしくは使用することができ、又はこれを任意選択で含むためにもしくは使用するために、任意選択で態様22~25の1つ又は任意の組み合わせの主題と組み合わせることができる。
【0117】
態様27は、熱機械的ドリフトを補正することは、熱機械的ドリフトを打ち消すために、プローブ又は試料のうちの1つ以上の並進駆動を含む熱機械的ドリフトの能動的補正を含む、ことを含むこともしくは使用することができ、又はこれを任意選択で含むためにもしくは使用するために、任意選択で態様22~26の1つ又は任意の組み合わせの主題と組み合わせることができる。
【0118】
態様28は、熱機械的ドリフトを補正することは、試料の1つ以上の特徴の判定中、熱機械的ドリフトの差し引きを含む熱機械的ドリフトの受動的補正を含む、ことを含むこともしくは使用することができ、又はこれを任意選択で含むためにもしくは使用するために、任意選択で態様22か~ら27の1つ又は任意の組み合わせの主題と組み合わせることができる。
【0119】
態様29は、主題(装置、システム、デバイス、方法、行為を行うための手段、又はデバイスによって行われたときにデバイスに行為を行わせることのできる命令を含むデバイス可読媒体、又は製品等)を含むこと又は使用することができ、例えば、機械的試験アセンブリにおける熱機械的ドリフトを補正するシステムであって、熱機械的ドリフトを受けるシステムフレームと、システムフレームに連結されている試料ステージと、システムフレームに連結されている機械的試験機器であって、試料と係合して、試料に対する深さを負荷により変位させるように構成された可動プローブを含む機械的試験機器と、機械的試験機器に連結されているレーザー干渉計システムであって、レーザー干渉計システムは、プローブと機械的試験機器の残りの部分との間に連結されている第1干渉計であって、機械的試験機器の残りの部分に対するプローブのプローブ変位を判定するように構成された第1干渉計と、機械的試験機器とシステムフレームとの間に連結されている第2干渉計であって、機械的試験機器に対する試料ステージ又は試料の試料変位を判定するように構成された第2干渉計と、を含むレーザー干渉計システムと、プローブ変位と試料変位との差を判定し、プローブ変位と試料変位との判定された差を用いて、機械的試験機器をシステムフレームの熱機械的ドリフトから分離するように構成された分離・測定モジュールとを備える、システムを含むこと又は使用することができる。
【0120】
態様30は、第1ファイバ端部又は第2ファイバ端部を揺動して、変調された光学信号を提供するように構成された電気機械的発振器を含むこともしくは使用することができ、又は任意選択で含むためにもしくは使用するために、任意選択で態様29の主題と組み合わせることができる。
【0121】
態様31は、第1干渉計又は第2干渉計のファイバを動的に伸長させて、ファイバ内の熱誘導されたドリフトを軽減するように構成されたファイバストレッチャを含むこともしくは使用することができ、又は任意選択で含むためにもしくは使用するために、任意選択で態様29又は30の1つ又は任意の組み合わせの主題と組み合わせることができる。
【0122】
態様32は、ファイバストレッチャが電気機械的素子を含む、ことを含むこともしくは使用することができ、又は任意選択で含むためにもしくは使用するために、任意選択で態様31の主題と組み合わせることができる。
【0123】
態様33は、実施例1~20の機能のいずれか1つ以上を行うための手段を含むことができる主題、又は機械によって行われたときに、機械に実施例1~20の機能のいずれか1つ以上を行わせる命令を含む機械可読媒体、を含むこともしくは使用することができ、又はこれを含むためにもしくは使用するために、任意選択で態様1~33のいずれか1つ以上の任意の部分又は任意の部分の組み合わせと組み合わせることができる。
【0124】
これらの非制限的な実施例のそれぞれは単独で成立することができ、又は他の実施例の1つ以上との様々な入れ替え又は組み合わせで組み合わせることができる。
上記説明は、詳細な説明の一部を成す添付の図面の参照を含む。図面は、例示として、本発明を実施することのできる特定の実施形態を示している。これらの実施形態は、本明細書において、「実施例」ともいう。該実施例は、図示又は説明したものの他に要素を含むことができる。しかし、本発明者らは、図示又は説明される要素のみが設けられる実施例も企図している。また、本発明者らは、特定の実施例(又はその1つもしくは複数の態様)に関して、又は本明細書で図示又は説明する他の実施例(又はその1つもしくは複数の態様)に関してのどちらについても、図示又は説明する要素(又はその1つもしくは複数の態様)の組み合わせ又は入れ替えを使用した実施例も企図している。
【0125】
本文書と、参照によりそのように援用された任意の文書との間に矛盾した使用法がある場合、本文書の使用法が優先する。
本文書において、特許文書で一般的なように、用語「a」又は「an」は、任意の他の場合又は「少なくとも1つ」もしくは「1つ以上」の使用法とは独立して、1つ又は1つより多いものを含むために使用される。本文書において、用語「又は、もしくは(or)」は非排他的なものをいうために使用され、又は、そのため「A又はB」とは、別の指示がない限り、「AであるがBではない」、「BであるがAではない」及び「A及びB」を含む。本文書において、用語「含む(including)」及び「in which」は、それぞれ、用語「備える(comprising)」及び「wherein」のプレインイングリッシュの相当語として使用される。また、以下の特許請求の範囲において、「含む(including)」及び「備える(comprising)」はオープンエンドであり、すなわち、ある請求項においてこのような用語の後に挙げられるものに加えて要素を含むシステム、デバイス、物品、組成、配合又はプロセスは、なおその請求項の範囲内にあると見なされる。また、以下の特許請求の範囲において、用語「第1」、「第2」、及び「第3」等は単に標記として使用され、その対象に対して数字的な要件を課すことを意図していない。
【0126】
「平行な」、「垂直な」、「丸い」、又は「四角い」等の幾何学的な用語は、文脈により別のことが示されない限り、絶対的な数学的精密さを要求することを意図していない。代わりに、こうした幾何学的用語は、製造又は同等の機能による変型を許す。例えば、ある要素が「丸い」又は「略丸い」と記述される場合、厳密に円形ではない構成要素(例、やや長円である、又は多辺形であるもの)もなお、この記述によって包含される。
【0127】
本明細書で説明される方法の実施例は、少なくとも部分的に、機械又はコンピュータにより実施することができる。いくつかの実施例は、上記実施例で説明される方法を実行するために電子デバイスを構成するように動作可能な命令で符号化されたコンピュータ可読媒体又は機械可読媒体を含むことができる。該方法の実施態様は、例えばマイクロコード、アセンブリ言語コード、高水準言語コード等のコードを含むことができる。こうしたコードは、様々な方法を実行するためのコンピュータ可読命令を含むことができる。コードは、コンピュータプログラム製品の部分を形成してもよい。さらに、一実施例において、コードは、実行中又は他の時等、1つ以上の揮発性、不揮発性、又は揮発性の有形コンピュータ可読媒体に有形に格納することができる。これらの有形コンピュータ可読媒体の例には、ハードディスク、リムーバブル磁気ディスク、リムーバブル光学ディスク(例、コンパクトディスク及びデジタルビデオディスク)、磁気カセット、メモリカード又はメモリスティック、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み取り専用メモリ(ROM)等を含むことができるが、これだけに限定されない。
【0128】
上記説明は、例示的であることを意図しており、制限的なものではない。例えば、前述の実施例(又はその1つもしくは複数の態様)は、互いに組み合わせて使用してもよい。当業者が上記説明を検討することによる等して、他の実施形態を使用することができる。要約は、37 C.F.R.第1.72条(b)に準拠して提供されており、読む者が技術的開示の性質を素早く確認できるようにされている。これは、特許請求の範囲の範囲又は意味を解釈又は制限するために使用されないという了解のもとに提出されるものである。また、上記「発明を実施するための形態」において、開示を簡素化するために様々な特徴を一緒にまとめていることがある。これは、請求されていないが開示されている特徴が任意の請求項にとって必須のものであることを意図していると解釈されるべきではない。むしろ、発明の主題は、開示されている特定の実施形態のすべての特徴よりも少ない特徴に存在しうる。したがって、以下の特許請求の範囲は、実施例又は実施形態として「発明を実施するための形態」に援用され、各請求項は、個々の実施形態として単独で成立しており、該実施形態は、様々な組み合わせ又は入れ替えで互いに組み合わせることができることが企図されている。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲が適用される均等物の完全な範囲と合わせて、かかる特許請求の範囲を参照して判断するべきである。
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