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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-11
(45)【発行日】2024-03-19
(54)【発明の名称】固相混合物、充填剤及びカラム
(51)【国際特許分類】
   B01J 20/281 20060101AFI20240312BHJP
   B01J 20/283 20060101ALI20240312BHJP
   B01J 20/285 20060101ALI20240312BHJP
   G01N 30/88 20060101ALI20240312BHJP
   G01N 30/06 20060101ALI20240312BHJP
   G01N 30/08 20060101ALI20240312BHJP
   G01N 1/10 20060101ALI20240312BHJP
   B01J 20/02 20060101ALI20240312BHJP
   B01D 15/00 20060101ALI20240312BHJP
   B01D 15/08 20060101ALI20240312BHJP
   B01D 15/38 20060101ALI20240312BHJP
【FI】
B01J20/281 X
B01J20/283
B01J20/285 N
B01J20/285 S
B01J20/285 M
G01N30/88 E
G01N30/06 E
G01N30/08 L
G01N1/10 C
B01J20/22 D
B01J20/02 A
B01D15/00 101
B01D15/08
B01D15/38
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2021037510
(22)【出願日】2021-03-09
(65)【公開番号】P2022137827
(43)【公開日】2022-09-22
【審査請求日】2022-06-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000004271
【氏名又は名称】日本電子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112874
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 薫
(72)【発明者】
【氏名】福沢 世傑
(72)【発明者】
【氏名】高橋 康司
【審査官】高田 亜希
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2007/105773(WO,A1)
【文献】実開昭54-177996(JP,U)
【文献】特表2012-522074(JP,A)
【文献】Oxidaction Reactions using Sodium Metaperiodate Supported on Silica Gel,Journal of the Chemical Society, Perkin Transactions 1,2015年07月26日,P2970-2973
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 30/00 -30/96
B01J 20/00 -20/292
G01N 33/48 -33/98
B01D 15/00 -15/42
G01N 1/10
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸化剤及び/又は該酸化剤の塩と、固相粒子とを含む、固相混合物であって、
前記酸化剤及び/又は前記酸化剤の塩は固相状態にあり、
前記酸化剤は、過ヨウ素酸又は四酢酸鉛であり、且つ、
前記酸化剤の塩は、過ヨウ素酸の塩であり、
前記固相混合物は、前記固相粒子に、前記固相状態にある酸化剤及び/又は前記酸化剤の塩が混合されて形成された混合物であり、且つ
1,2-ジオール構造を有するビタミンDを選択的に結合・酸化することによって1,2-ジオール構造以外のジオール構造を有するビタミンDを抽出する、
前記固相混合物。
【請求項2】
前記酸化剤が、1,2-ジオール化合物に対して選択的な酸化能力を有する化合物である、請求項1に記載の固相混合物。
【請求項3】
前記固相粒子が、珪藻土、シリカゲル、デキストラン及びポリマーから選ばれる少なくとも1種の粒子である、請求項1又は2に記載の固相混合物。
【請求項4】
前記ポリマーが、ポリスチレン、ポリメタクリレート及びポリビニルアルコールから選ばれる少なくとも1種である、請求項3に記載の固相混合物。
【請求項5】
前記固相粒子の質量に対する前記酸化剤及び又は前記酸化剤の塩の質量が、4%~20%である、請求項1~4のいずれか一項に記載の固相混合物。
【請求項6】
前記固相粒子は、親水性官能基を有する固相粒子である、請求項1~5のいずれか一項に記載の固相混合物。
【請求項7】
前記固相混合物は、1,2-ジオール構造を有するビタミンDを選択的に結合・酸化することによって1,2-ジオール構造以外のジオール構造を有するビタミンDを抽出するために用いられる、請求項1~6のいずれか一項に記載の固相混合物。
【請求項8】
1,2-ジオール化合物を選択的に結合・酸化することによって1,3-ジオール化合物を抽出する、請求項1~7のいずれか一項に記載の固相混合物。
【請求項9】
前記1,2-ジオール化合物が、1,2-ジオール構造を有するビタミンDであり、
前記1,3-ジオール化合物が、1,3-ジオール構造を有するビタミンDである、請求項8に記載の固相混合物。
【請求項10】
前記固相混合物は、1,2-ジオール構造を有するビタミンDを選択的に結合・酸化することによって1,3-ジオール構造を有するビタミンDを抽出するために用いられる、請求項1~9のいずれか一項に記載の固相混合物。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか一項に記載の固相混合物を含む、充填剤。
【請求項12】
請求項11に記載の充填剤を充填してなる、カラム。
【請求項13】
請求項1~10のいずれか一項に記載の固相混合物、請求項11に記載の充填剤、又は、請求項12に記載のカラムを用いる、1,3-ジオール構造を有するビタミンDの抽出方法。
【請求項14】
請求項1~10のいずれか一項に記載の固相混合物、請求項11に記載の充填剤、又は、請求項12に記載のカラムを用いて、1,3-ジオール構造を有するビタミンDを抽出すること、及び、
抽出された前記ビタミンDを検出又は定量すること、
を含む質量分析方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固相混合物、充填剤及びカラムに関する。
【背景技術】
【0002】
生体中のビタミンD代謝物の検出・定量は臨床検査、食品栄養、公衆衛生の分野で需要が多い。なかでも、生理活性作用を持つ最も重要な代謝物は活性型ビタミンDと呼ばれている1α,25-ジヒドロキシビタミンDであり、その選択的な抽出は極めて重要である。
【0003】
例えば、非特許文献1では、抗1α,25-ジヒドロキシビタミンD抗体カラムによる1α,25-ジヒドロキシビタミンDの免疫抽出に関する技術が提案されている。また、非特許文献2では、血漿抽出物の過ヨウ素酸処理に関する技術が提案されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【文献】Improved sensitivity of serum/plasma 1α,25-dihydroxyvitamin D quantification by DAPTAD derivatization. Ishige, T.; Satoh, M.; Ogawa, S.; Nishimura, N.; Matsushita, K.; Higashi, T.; Nomura, F. Clin. Chem. Acta 2017, 473, 173-179.
【文献】Simultaneous measurement of plasma vitamin D3 metabolites, including 4β,25-dihydroxyvitamin D3, using liquid chromatography-tandem mass spectrometry. Wang, Z.; Senn, T.; Kalhorn, T.; Zheng, X. E.; Zheng, S.; Davis, C. L.; Hebert, M. F.; Lin, Y. S.; Thummel, K. E. Anal. Biochem. 2011, 418, 126-133.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、非特許文献1及び2で提案された技術では、生体中のビタミンD代謝物(特には、1α,25-ジヒドロキシビタミンD)の検出・定量において、更なる迅速化の実現や、更なる簡便化の実現や、更なる低コスト化の実現が図れないおそれがある。
【0006】
そこで、本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、生体中のビタミンD代謝物(特には、1α,25-ジヒドロキシビタミンD)の検出・定量において、更なる迅速化や、更なる簡便化や、更なる低コスト化を実現できる固相混合物、その固相混合物を含む充填剤、及びその充填剤を充填してなるカラムを提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上述の主目的を解決するために鋭意研究を行った結果、驚くべきことに、生体中のビタミンD代謝物(特には、1α,25-ジヒドロキシビタミンD)の検出・定量において、更なる迅速化や、更なる簡便化や、更なる低コスト化を実現できる固相混合物、その固相混合物を含む充填剤、及びその充填剤を充填してなるカラムの開発に成功し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明では、第1の側面として、
酸化剤及び/又は該酸化剤の塩と、固相粒子とを含む、固相混合物を提供する。
【0009】
本発明に係る第1の側面において、
前記酸化剤が、1,2-ジオール化合物に対して選択的な酸化能力を有する化合物であってもよい。
【0010】
本発明に係る第1の側面において、
前記酸化剤が、過ヨウ素酸又は四酢酸鉛であってもよい。
【0011】
本発明に係る第1の側面において、
前記酸化剤の塩が、過ヨウ素酸の塩であってもよい。
【0012】
本発明に係る第1の側面において、
前記固相粒子が、珪藻土、シリカゲル、デキストラン及びポリマーから選ばれる少なくとも1種の粒子であってもよい。
【0013】
本発明に係る第1の側面において、
前記ポリマーが、ポリスチレン、ポリメタクリレート及びポリビニルアルコールから選ばれる少なくとも1種であってもよい。
【0014】
本発明に係る第1の側面において、
前記固相粒子の質量に対する前記酸化剤及び又は前記酸化剤の塩の質量が、4%~20%であってもよい。
【0015】
本発明に係る第1の側面において、
1,2-ジオール化合物を選択的に結合・酸化することによって1,2-ジオール化合物以外のジオール化合物を抽出してもよい。
【0016】
本発明に係る第1の側面において、
前記1,2-ジオール化合物が、1,2-ジオール構造を有するビタミンDであってもよく、
前記1,2-ジオール化合物以外のジオール化合物が、1,2-ジオール構造以外のジオール構造を有するビタミンDであってもよい。
【0017】
本発明に係る第1の側面において、
1,2-ジオール化合物を選択的に結合・酸化することによって1,3-ジオール化合物を抽出してもよい。
【0018】
本発明に係る第1の側面において、
前記1,2-ジオール化合物が、1,2-ジオール構造を有するビタミンDであってもよく、
前記1,3-ジオール化合物が、1,3-ジオール構造を有するビタミンDであってもよい。
【0019】
本発明に係る第1の側面において、
前記酸化剤及び/又は前記酸化剤の塩が固相状態であってもよい。
【0020】
また、本発明では、第2の側面として、
本発明に係る第1の側面の固相混合物を含む、充填剤を提供する。
【0021】
さらに、本発明では、第3の側面として、
本発明に係る第2の側面の充填剤を充填してなる、カラムを提供する。
また、本発明は、
酸化剤及び/又は該酸化剤の塩と、固相粒子とを含む、固相混合物であって、
前記酸化剤及び/又は前記酸化剤の塩は固相状態にあり、
前記酸化剤は、過ヨウ素酸又は四酢酸鉛であり、且つ、
前記酸化剤の塩は、過ヨウ素酸の塩であり、
前記固相混合物は、前記固相粒子に、前記固相状態にある酸化剤及び/又は前記酸化剤の塩が混合されて形成された混合物であり、且つ
1,2-ジオール構造を有するビタミンDを選択的に結合・酸化することによって1,2-ジオール構造以外のジオール構造を有するビタミンDを抽出する、
前記固相混合物も提供する。
前記酸化剤が、1,2-ジオール化合物に対して選択的な酸化能力を有する化合物であってよい。
前記固相粒子が、珪藻土、シリカゲル、デキストラン及びポリマーから選ばれる少なくとも1種の粒子であってよい。
前記ポリマーが、ポリスチレン、ポリメタクリレート及びポリビニルアルコールから選ばれる少なくとも1種であってよい。
前記固相粒子の質量に対する前記酸化剤及び又は前記酸化剤の塩の質量が、4%~20%であってよい。
前記固相粒子は、親水性官能基を有する固相粒子であってよい。
前記固相混合物は、1,2-ジオール構造を有するビタミンDを選択的に結合・酸化することによって1,2-ジオール構造以外のジオール構造を有するビタミンDを抽出するために用いられてよい。
前記固相混合物は、1,2-ジオール化合物を選択的に結合・酸化することによって1,3-ジオール化合物を抽出するものであってよい。
前記1,2-ジオール化合物が、1,2-ジオール構造を有するビタミンDであり、
前記1,3-ジオール化合物が、1,3-ジオール構造を有するビタミンDであってよい。
前記固相混合物は、1,2-ジオール構造を有するビタミンDを選択的に結合・酸化することによって1,3-ジオール構造を有するビタミンDを抽出するために用いられてよい。
また、本発明は、前記固相混合物を含む充填剤も提供する。
また、本発明は、前記充填剤を充填してなるカラムも提供する。
また、本発明は、前記固相混合物、前記充填剤、又は、前記カラムを用いる、1,3-ジオール構造を有するビタミンDの抽出方法も提供する。
また、本発明は、前記固相混合物、前記充填剤、又は、前記カラムを用いて、1,3-ジオール構造を有するビタミンDを抽出すること、及び、
抽出された前記ビタミンDを検出又は定量すること、
を含む質量分析方法も提供する。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、生体中のビタミンD代謝物(特には、1α,25-ジヒドロキシビタミンD)の検出・定量において、更なる迅速化や、更なる簡便化や、更なる低コスト化が実現され得る。なお、ここに記載された効果は、必ずしも限定されるものではなく、本明細書中に記載されたいずれかの効果であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は、1α,25-ジヒドロキシビタミンD(1α,25(OH))及び4β,25-ジヒドロキシビタミンD(4β,25(OH))のSRMクロマトグラムを示す。
図2図2は、過ヨウ素酸の添加により4β,25(OH)が除去できることについてのSRMクロマトグラムを示す。
図3図3は、過ヨウ素酸の添加により4β,25(OH)が除去できることについてのSRMクロマトグラムを示す。
図4図4は、プール血清において、過ヨウ素酸の添加により4β,25(OH)が除去できることについてのSRMクロマトグラムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明を実施するための好適な形態について説明する。以下に説明する実施形態は、本発明の代表的な実施形態の一例を示したものであり、これにより本発明の範囲が狭く解釈されることはない。
【0025】
なお、説明は以下の順序で行う。
1.本発明の概要
2.第1の実施形態(固相混合物の例)
3.第2の実施形態(充填剤の例)
4.第3の実施形態(カラムの例)
5.実施例
5-1.実施例1
5-2.実施例2
5-3.実施例3
【0026】
<1.本発明の概要>
まず、本発明の概要について説明をする。本発明は、固相混合物、その固相混合物を含む充填剤及びその充填剤を充填してなるカラムに関する。
【0027】
LC-MS/MSは、クロマト分離とフラグメントイオンのm/z(質量電荷比)との組み合わせで高い分離能を持ち、24R,25-ジヒドロキシビタミンDについてはフラグメントイオンのm/zによって分離可能であるのに対し、4β,25-ジヒドロキシビタミンDについては、フラグメントイオンのm/zによって分離することができない。
【0028】
1α,25-ジヒドロキシビタミンD(1α,25(OH))、24R,25-ジヒドロキシビタミンD(24R,25(OH))、4β,25-ジヒドロキシビタミンD(4β,25(OH))の誘導体化試薬DAP-PA(1)による誘導体化反応の反応式は、以下のとおりである。誘導体化反応により、1α,25(OH)-DAPTAD誘導体(7)、24R,25(OH)-DAPTAD誘導体(8)及び4β,25(OH)-DAPTAD誘導体(9)が形成されて、この3つの誘導体を用いてLC-MS/MS分析が行われる。
【0029】
【化1】

【0030】
図1を用いて説明をする。図1は、1α,25-ジヒドロキシビタミンD(1α,25(OH))及び4β,25-ジヒドロキシビタミンD(4β,25(OH))のSRMクロマトグラムを示す。なお、1α,25-ジヒドロキシビタミンD(1α,25(OH))は、13標識体である。分析条件を、下記の表1に示す。
【0031】
【表1】
【0032】
図1から明らかなように、1α,25-ジヒドロキシビタミンDと、4β,25-ジヒドロキシビタミンDとにおいては、クロマト分離が困難である。
【0033】
従って、現状では、抗1α,25-ジヒドロキシビタミンD抗体カラムによる免疫抽出でのみ、それらの単離・抽出が可能となっている。
【0034】
次に、従来の技術例1(抗1α,25-ジヒドロキシビタミンD抗体カラムによる1α,25-ジヒドロキシビタミンDの免疫抽出)及び技術例2(血漿抽出物の過ヨウ素酸処理)について説明する。従来の技術例1は以下のとおりである。
【0035】
遠心で抗体カラム中の緩衝液を遠心で除去する。血清0.2mLに内部標準物質を含むリン酸緩衝液0.3mLをカラムに展開し、ゆっくり回転させながら1時間インキュベーションする。遠心で検体希釈液を除去した後、洗浄液を添加して遠心除去する(2回繰り返す)。溶出液を添加し、遠心で溶出して回収する。溶出液を濃縮後、誘導体化試薬DAPTAD又はPTAD(0.2mg/mL、50μL)を添加し、室温1時間静置することで誘導体化する。濃縮後、再溶解溶媒(30%アセトニトリル溶液)33μLに溶解し、LC-MS/MS分析をする。
【0036】
技術例1のスキームをスキーム1として以下に示す。
【0037】
(スキーム1)
(1)遠心で抗体カラム中の緩衝液を遠心で除去。

(2)血清0.2mLを含む検体希釈液0.5mLをカラムに展開。

(3)ゆっくり回転させながら1時間インキュベーション。

(4)遠心で検体希釈液を除去。

(5)洗浄液を添加し、遠心除去(2回繰り返す。)。

(6)溶出液を添加し、遠心で溶出。

(7)誘導体化試薬DAPTAD又はPTAD(0.2mg/mL、50μL)を添加し、室温1時間静置することで誘導体化する。

(8)再溶解溶媒(30%アセトニトリル溶液)33μLに溶解。

(9)LC-MS/MS分析。
【0038】
従来の技術例2は以下のとおりである。
【0039】
誘導体化後の試料を再溶解溶媒(50%メタノール溶液)0.3mLに溶解する。5%過ヨウ素酸ナトリウム水溶液30μLを添加し、1時間インキュベーションする。0.5mLの水を加えて酢酸エチル2mLで抽出する。濃縮後、再溶解溶媒(40%アセトニトリル溶液)40μLに溶解し、LC-MS/MS分析する。
【0040】
技術例2のスキームをスキーム2として以下に示す。
【0041】
(スキーム2)
(1)誘導体化後の試料を再溶解溶媒(50%メタノール溶液)0.3mLに溶解。

(2)5%過ヨウ素酸ナトリウム水溶液30μLを添加し、1時間インキュベーション。

(3)0.5mLの水を加えて酢酸エチル2mLで抽出。

(4)濃縮後、再溶解溶媒(40%アセトニトリル溶液)40μLに溶解。

(5)LC-MS/MS分析。
【0042】
技術例1は、高価な抗体を用いること、そして1時間インキュベーションをする必要があり、処理に要する時間が長いといった短所がある。本発明は抗原-抗体反応を用いた従来の1α,25-ジヒドロキシビタミンDの選択的抽出法に対し、生体試料中の夾雑物である4β,25-ジヒドロキシビタミンDが1,2-ジオール構造を有することに着目し、過ヨウ素酸による1,2-ジオール構造を有する化合物(例えば、4β,25-ジヒドロキシビタミンD)に対して、選択的な反応・分解による除去によって、結果として、1α,25-ジヒドロキシビタミンDの選択的抽出を行うものである。
【0043】
また、技術例2は、過ヨウ素酸で、4β,25-ジヒドロキシビタミンDを分解しているが、血漿中のビタミンDを除蛋白に続いて誘導体化した後に、過ヨウ素酸ナトリウム水溶液を添加して1時間インキュベーションして、酢酸エチル抽出を行うという手間と時間とを要する。本発明はカラムに、例えば、過ヨウ素酸ナトリウムを固体で添加するのみで(過ヨウ素酸ナトリウム水溶液を用いていないことが好ましい。)、簡便に製作でき、カラムを用いた通常の除蛋白処理と同様にカラムを通液するだけで4β,25-ジヒドロキシビタミンDを除去でき、迅速・簡便・安価に、1α,25-ジヒドロキシビタミンDを抽出する発明である。
【0044】
本発明は、例えば、質量分析を用いた、1α,25-ジヒドロキシビタミンDを精確に検出するために供する抽出カラムであり、LC-MS/MS(液体クロマトグラフィー―タンデム質量分析計)を検出手段と考えている.そして本発明は、質量分析計の製造メーカに限定されないで用いられるものである。臨床検査分野における1α,25-ジヒドロキシビタミンDの測定需要は非常に大きく、本発明は抗体を用いた免疫抽出法に比べて、低価格であり、処理時間が格段に短く、検査速度を飛躍的に高めることができる。
【0045】
以下、本発明を実施するための好適な形態について詳細に説明する。以下に説明する実施形態は、本発明の代表的な実施形態の一例を示したものであり、これにより本発明の範囲が狭く解釈されることはない。
【0046】
<2.第1の実施形態(固相混合物の例)>
本発明に係る第1の実施形態(固相混合物の例)の固相混合物は、酸化剤及び/又は酸化剤の塩と、固相粒子とを含む、固相混合物である。
【0047】
酸化剤は、1,2-ジオール化合物に対して選択的な酸化能力を有する化合物であり、酸化剤は、特に限定されることはないが、過ヨウ素酸又は四酢酸鉛が好適である。酸化剤の塩も、特に限定されることはないが、過ヨウ素酸の塩が好適である。酸化剤及び/又は酸化剤の塩は、固相状態であることが好適である。
【0048】
固相粒子は、親水性官能基を有してよく、例えば、珪藻土、シリカゲル、デキストラン及びヒドロキシル化された合成ポリマーから選ばれる少なくとも1種の粒子が挙げられる。ヒドロキシル化された合成ポリマーは、例えば、ポリスチレン、ポリメタクリレート及びポリビニルアルコールから選ばれる少なくとも1種が挙げられる。
【0049】
本発明に係る第1の実施形態の固相混合物においては、固相粒子の質量に対する酸化剤及び又は前記酸化剤の塩の質量は、随意の割合でよいが、4%~20%であることが好適である。
【0050】
酸化剤は、1,2-ジオール化合物に選択的に結合し、酸化することで1,2-ジオール化合物を除去し、1,2-ジオール構造を有さない化合物(すなわち、1,2-ジオール化合物以外のジオール化合物)を抽出する。1,2-ジオール化合物以外のジオール化合物は、例えば、1,3-ジオール化合物が挙げられる。
【0051】
以下の反応式のように、工程S100において、1,2-ジオール化合物(1)は、過ヨウ素酸ナトリウム/水(NaIO/HO)と反応して、1,2-ジオール化合物と過ヨウ素酸との複合体化合物(3)が形成されるが、1,3-ジオール化合物(2)は、過ヨウ素酸ナトリウム/水(NaIO/HO)と反応しない。
【0052】
【化2】
【0053】
本発明に係る第1の実施形態の固相混合物は、ビタミンDのうち、1,2-ジオール構造を有する(4β,25-ジヒドロキシビタミンD(5)、24R,25-ジヒドロキシビタミンD(6)等)ものと選択的に結合・酸化することによって、4β,25-ジヒドロキシビタミンDと過ヨウ素酸との複合体化合物(5-1)が形成され、24R,25-ジヒドロキシビタミンDと過ヨウ素酸との複合体化合物(6-1)が形成される。1,2-ジオール構造を有さないビタミンDが抽出され得る。
【0054】
1,2-ジオール構造を有さない化合物の代表例として1,3-ジオール構造を有する1α,25-ジヒドロキシビタミンD(4)(又は(7))があり、また、1α,25-ジヒドロキシビタミンD(8)、(23S,25R)-1α,25-ジヒドロキシビタミンD 26,23-ラクトン(9)等も、1α,25-ジヒドロキシビタミンD(4)(及び(7))と同様に抽出され得る。
【0055】
【化3】
【0056】
【化4】
【0057】
【化5】
【0058】
本発明に係る第1の実施形態の固相混合物の使用形態としては、例えば、後述する本発明に係る第2の実施形態の充填剤に当該固相混合物を含ませて、その充填剤を、後述する本発明に係る第3の実施形態のカラムに充填して使用する(カラム法)ことが挙げられる。また、本発明に係る第1の実施形態の固相混合物の使用形態としては、例えば、固相混合物そのものを抽出対象溶液に混ぜる(バッチ法)ことが挙げられる。
【0059】
本発明に係る固相混合物は、カラム法又はバッチ法で生体試料(血液、血清、血漿、尿、唾液、髄液等)から1,2-ジオール構造を有するジヒドロキシビタミンD類を選択的に除去し、1,2-ジオール構造を有さない1α,25-ジヒドロキシビタミンD類等を抽出する。抽出された1α,25-ジヒドロキシビタミンD類は、LC-MS/MS法で検出・定量する。
【0060】
<3.第2の実施形態(充填剤の例)>
本発明に係る第2の実施形態(充填剤の例)の充填剤は、本発明に係る固相混合物(例えば、本発明に係る第1の実施形態の固相混合物)を含む、充填剤である。
【0061】
<4.第3の実施形態(カラムの例)>
本発明に係る第3の実施形態(カラムの例)のカラムは、本発明に係る充填剤(例えば、本発明に係る第2の実施形態の充填剤)を充填してなる、カラムである。
【0062】
<5.実施例>
以下に、実施例を挙げて、本発明の効果等について具体的に説明をする。なお、本発明の範囲は実施例に限定されるものではない。
【0063】
<5-1.実施例1>
[過ヨウ素酸添加の珪藻土カラムの製作]
珪藻土1gに過ヨウ素酸ナトリウム(0g、0.04g、0.06g、0.1g、0.15g、0.2g)のそれぞれを添加し、機械的によく混ぜて、5つの固相混合物を作製し、その5つの固相混合物のそれぞれを3mLのシリンジ型カラムに充填した。
【0064】
<5-2.実施例2>
[過ヨウ素酸添加カラム(珪藻土1gに、0.15gの過ヨウ素酸ナトリウムを添加する。)を用いた4β,25-ジヒドロキシビタミンDの除去]
4β,25-ジヒドロキシビタミンD標品(1.8pg、18pg、180pg、1800pg)及び内部標準物質(1α,25-ジヒドロキシビタミンD-13)のそれぞれを含む希釈液(30%アセトニトリル溶液)1mLをカラムに展開した。1分間静置し、ヘキサン0.6mLを添加して加圧溶出、溶出液は廃棄した。ヘキサン/酢酸エチル(1:1)0.6mLを添加して加圧溶出(2回繰り返す)した。溶出液を濃縮後、誘導体化試薬DAP-PA(0.5mg/mL、0.1mL)を添加し、80℃15分間加熱し誘導体化した。濃縮後、再溶解溶媒(50%アセトニトリル溶液)50μLに溶解し、LC-MS/MS分析を行った。
【0065】
実施例2のスキームをスキーム3として以下に示す。
【0066】
(スキーム3)
(1)4β,25-ジヒドロキシビタミンD標品(1.8pg、18pg、180pg、1800pg)及び内部標準物質(1α,25-ジヒドロキシビタミンD-13)のそれぞれを含む検体希釈液(30%アセトニトリル溶液)1mLをカラムに展開。

(2)1分間静置。

(3)ヘキサン0.6mLを添加して加圧溶出、溶出液は廃棄。

ヘキサン/酢酸エチル(1:1)0.6mLを添加して加圧溶出(2回繰り返す)。

(4)溶出液を濃縮後、誘導体化試薬DAP-PA(0.5mg/mL、0.1mL)を添加し、80℃15分間加熱することで誘導体化。

(5)濃縮後、再溶解溶媒(50%アセトニトリル溶液)50μLに溶解。

(6)LC-MS/MS分析。
【0067】
実施例2のLC-MS/MS分析の分析結果を図2及び図3に示す。図2に示されるLC-MS/MS分析の分析結果を導き出すためのLC-MS/MS分析の分析条件を下記の表2に示す。また、図3に示されるLC-MS/MS分析の分析結果を導き出すためのLC-MS/MS分析の分析条件を下記の表3に示す。
【0068】
【表2】
【0069】
【表3】
【0070】
図2は、過ヨウ素酸(過ヨウ素酸ナトリウム)の添加により4β,25(OH)が除去できることについてのSRMクロマトグラムを示す。
【0071】
より詳しくは、図2の左側の図は、珪藻土のみのカラムでのSRMクロマトグラムを示す。そして、図2の左側の図において、上側の図から順に、4β,25-ジヒドロキシビタミンDの添加量を、1.8pg(44pg/mL)、18pg(440pg/mL)、180pg(4.4ng/mL)、1.8ng(44ng/mL)としたときのSRMクロマトグラムを示す。また、図2の右側の図は、珪藻土1g当たり、0.15gの過ヨウ素酸ナトリウムを添加したカラムでのSRMクロマトグラムを示す。そして、図2の右側の図において、上側の図から順に、4β,25-ジヒドロキシビタミンDの添加量を、1.8pg(44pg/mL)、18pg(440pg/mL)、180pg(4.4ng/mL)、1.8ng(44ng/mL)としたときのSRMクロマトグラムを示す。
【0072】
図2の左側の図の参照符号P1-1に示される領域を参照すれば、明らかなように、過ヨウ素酸(過ヨウ素酸ナトリウム)を添加しないと、4β,25(OH)は、除去されないで抽出されていることを確認した。一方、図2の右側の図の参照符号P1-2に示される領域を参照すれば、明らかなように、過ヨウ素酸(過ヨウ素酸ナトリウム)を添加すると、過ヨウ素酸(過ヨウ素酸ナトリウム)が、1,2-ジオール構造を有する4β,25(OH)に結合・酸化することで、4β,25(OH)が除去されて、抽出されていないことを確認した。
【0073】
図3は、過ヨウ素酸(過ヨウ素酸ナトリウム)の添加により4β,25(OH)が除去できることについてのSRMクロマトグラムを示す。
【0074】
より詳しくは、図3の左側の図は、珪藻土のみのカラムでのSRMクロマトグラムを示す。そして、図3の左側の図において、上側の図(m/z:635.3>357.0)が、4β,25-ジヒドロキシビタミンDを添加したとき(添加量は、180pg(4.4ng/mL)である。)のSRMクロマトグラムを示し、下側の図(m/z:638.3>357.0)が、1α,25-ジヒドロキシビタミンD-13を添加したとき(添加量は、180pg(4.4ng/mL)である。)のSRMクロマトグラムを示す。また、図3の右側の図は、珪藻土に過ヨウ素酸ナトリウムを添加した(15質量%)カラムでのSRMクロマトグラムを示す。そして、図3の右側の図において、上側の図(m/z:635.3>357.0)が、4β,25-ジヒドロキシビタミンDを添加したとき(添加量は、180pg(4.4ng/mL)である。)のSRMクロマトグラムを示し、下側の図(m/z:638.3>357.0)が、1α,25-ジヒドロキシビタミンD-13を添加したとき(添加量は、180pg(4.4ng/mL)である。)のSRMクロマトグラムを示す。
【0075】
図3の左側の図の参照符号P2-1に示される領域を参照すれば、明らかなように、過ヨウ素酸(過ヨウ素酸ナトリウム)を添加しないと、4β,25(OH)と、1α,25-ジヒドロキシビタミンD-13と除去されないで抽出されていることを確認した。一方、図3の右側の図の参照符号P2-2に示される領域を参照すれば、明らかなように、過ヨウ素酸(過ヨウ素酸ナトリウム)を添加すると、過ヨウ素酸(過ヨウ素酸ナトリウム)が、1,2-ジオール構造を有する4β,25(OH)に結合・酸化することで、4β,25(OH)が除去されて、抽出されないが、過ヨウ素酸(過ヨウ素酸ナトリウム)は、1,3-ジオール構造を有する1α,25-ジヒドロキシビタミンD-13には、結合・酸化することはないので、1α,25-ジヒドロキシビタミンD-13は除去されずに抽出されることを確認した。すなわち、1α,25-ジヒドロキシビタミンD(1α,25(OH))と、4β,25-ジヒドロキシビタミンD(4β,25(OH))とが識別され得る。
【0076】
<5-3.実施例3>
[過ヨウ素酸の添加カラム(珪藻土1gに、0.04gの過ヨウ素酸ナトリウム、0.06gの過ヨウ素酸ナトリウム、0.1gの過ヨウ素酸ナトリウム、0.15gの過ヨウ素酸ナトリウム及び0.2gの過ヨウ素酸ナトリウムのそれぞれを添加する。)を用いた1α,25-ジヒドロキシビタミンDの固液抽出]
血清0.2mL及び内部標準物質(1α,25-ジヒドロキシビタミンD-13)を含む検体希釈液(30%アセトニトリル溶液)1mLをカラムに展開した。1分間静置し、ヘキサン0.6mLを添加して加圧溶出、溶出液は廃棄した。ヘキサン/酢酸エチル(1:1)0.6mLを添加して加圧溶出(2回繰り返す)した。溶出液を濃縮後、誘導体化試薬DAP-PA(0.5mg/mL、0.1mL)を添加し、80℃15分間加熱し誘導体化した。濃縮後、再溶解溶媒(50%アセトニトリル溶液)50μLに溶解し、LC-MS/MS分析を行った。
【0077】
実施例3のスキームをスキーム4として以下に示す。
【0078】
(スキーム4)
(1)血清0.2mL及び内部標準物質(1α,25-ジヒドロキシビタミンD-13)を含む検体希釈液(30%アセトニトリル溶液)1mLをカラムに展開。

(2)1分間静置。

(3)ヘキサン0.6mLを添加して加圧溶出、溶出液は廃棄。

(4)ヘキサン/酢酸エチル(1:1)0.6mLを添加して加圧溶出(2回繰り返す)

(5)溶出液を濃縮後、誘導体化試薬DAP-PA(0.5mg/mL、0.1mL)を添加し、80℃15分間加熱することで誘導体化。

(6)濃縮後、再溶解溶媒(50%アセトニトリル溶液)50μLに溶解。

(7)LC-MS/MS分析。
【0079】
実施例3のLC-MS/MS分析の分析結果を図4に示す。図4に示されるLC-MS/MS分析の分析結果を導き出すためのLC-MS/MS分析の分析条件を下記の表4に示す。
【0080】
【表4】
【0081】
図4は、プール血清において、過ヨウ素酸の添加により4β,25(OH)が除去できることについてのSRMクロマトグラムを示す。
【0082】
より詳しくは、図4において、上側の図から順に、珪藻土1gに過ヨウ素酸ナトリウムを添加していないカラムのSRMクロマトグラムを示し、珪藻土1gに0.04gの過ヨウ素酸ナトリウムを添加したカラムでのSRMクロマトグラムを示し、珪藻土1gに0.06gの過ヨウ素酸ナトリウムを添加したカラムでのSRMクロマトグラムを示し、珪藻土1gに0.1gの過ヨウ素酸ナトリウムを添加したカラムでのSRMクロマトグラムを示し、珪藻土1gに0.15gの過ヨウ素酸ナトリウムを添加したカラムでのSRMクロマトグラムを示し、珪藻土1gに0.2gの過ヨウ素酸ナトリウムを添加したカラムでのSRMクロマトグラムを示す。
【0083】
図4の参照符号P3に示される領域を参照すれば、明らかなように、過ヨウ素酸ナトリウムを添加しないと、4β,25(OH)は、除去されないで抽出されていることを確認した(図4の一番上側の図)。一方、過ヨウ素酸(過ヨウ素酸ナトリウム)を添加すると(珪藻土1gに対して0.04g~0.2gの過ヨウ素酸ナトリウムの添加)、過ヨウ素酸(過ヨウ素酸ナトリウム)が、1,2-ジオール構造を有する4β,25(OH)に結合・酸化することで、4β,25(OH)が除去されて、抽出されていないことを確認した。
【0084】
ところで、本発明は、上記各実施形態及び上記各実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更することが可能である。
【0085】
また、本明細書に記載された効果はあくまでも例示であって限定されるものではなく、また他の効果があってもよい。
【0086】
また、本発明は、以下のような構成を取ることもできる。
[1]
酸化剤及び/又は該酸化剤の塩と、固相粒子とを含む、固相混合物。
[2]
前記酸化剤が、1,2-ジオール化合物に対して選択的な酸化能力を有する化合物である、[1]に記載の固相混合物。
[3]
前記酸化剤が、過ヨウ素酸又は四酢酸鉛である、[1]又は[2]に記載の固相混合物。
[4]
前記酸化剤の塩が、過ヨウ素酸の塩である、[1]~[3]のいずれか一つに記載の固相混合物。
[5]
前記固相粒子が、珪藻土、シリカゲル、デキストラン及びポリマーから選ばれる少なくとも1種の粒子である、請求項1~4のいずれか一項に記載の固相混合物。
[6]
前記ポリマーが、ポリスチレン、ポリメタクリレート及びポリビニルアルコールから選ばれる少なくとも1種である、[5]に記載の固相混合物。
[7]
前記固相粒子の質量に対する前記酸化剤及び又は前記酸化剤の塩の質量が、4%~20%である、[1]~[6]のいずれか一つに記載の固相混合物。
[8]
1,2-ジオール化合物を選択的に結合・酸化することによって1,2-ジオール化合物以外のジオール化合物を抽出する、[1]~[7]のいずれか一つに記載の固相混合物。
[9]
前記1,2-ジオール化合物が、1,2-ジオール構造を有するビタミンDであり、
前記1,2-ジオール化合物以外のジオール化合物が、1,2-ジオール構造以外のジオール構造を有するビタミンDである、[8]に記載の固相混合物。
[10]
1,2-ジオール化合物を選択的に結合・酸化することによって1,3-ジオール化合物を抽出する、[1]~[7]のいずれか一つに記載の固相混合物。
[11]
前記1,2-ジオール化合物が、1,2-ジオール構造を有するビタミンDであり、
前記1,3-ジオール化合物が、1,3-ジオール構造を有するビタミンDである、[10]に記載の固相混合物。
[12]
前記酸化剤及び/又は前記酸化剤の塩が固相状態である、[1]~[11]のいずれか一つに記載の固相混合物。
[13]
[1]~[12]のいずれか一つに記載の固相混合物を含む、充填剤。
[14]
[13]に記載の充填剤を充填してなる、カラム。

図1
図2
図3
図4