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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-11
(45)【発行日】2024-03-19
(54)【発明の名称】電源タップ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/66 20060101AFI20240312BHJP
   H01R 25/00 20060101ALI20240312BHJP
   H01R 13/652 20060101ALI20240312BHJP
   H02M 5/10 20060101ALI20240312BHJP
【FI】
H01R13/66
H01R25/00 A
H01R13/652
H02M5/10 A
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021136091
(22)【出願日】2021-08-24
(65)【公開番号】P2023030772
(43)【公開日】2023-03-08
【審査請求日】2023-09-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000223182
【氏名又は名称】TOA株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004196
【氏名又は名称】弁理士法人ナビジョン国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松本 泰
【審査官】鎌田 哲生
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-185308(JP,A)
【文献】特開2000-331756(JP,A)
【文献】特開2000-184715(JP,A)
【文献】特表2005-509388(JP,A)
【文献】特開平11-225481(JP,A)
【文献】米国特許第5675300(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/56-13/72
H01R 25/00-25/16
H02M 5/00- 5/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部から交流電源が供給される二極入力端子と、
接地電位に接続される接地端子と、
外部へ交流電源を供給する二極出力端子と、
前記二極入力端子及び前記二極出力端子を接続するトランスと、を備え、
前記二極入力端子は、前記トランスの一次巻線に接続され、
前記2以上の二極出力端子は、前記トランスの二次巻線に接続され、
前記接地端子は、前記二次巻線の中間タップに接続されることを特徴とする電源タップ。
【請求項2】
前記中間タップは、前記二次巻線の略中央に設けられることを特徴とする請求項1に記載の電源タップ。
【請求項3】
前記二極出力端子は、前記電子機器の二極プラグを反転させて差し込むことができるプラグソケットを構成することを特徴とする請求項1に記載の電源タップ。
【請求項4】
前記二極入力端子は、商用電源の二極コンセントに対し反転させて差し込むことができるプラグを構成することを特徴とする請求項1に記載の電源タップ。
【請求項5】
2以上の前記二極出力端子を備え、
前記2以上の二極出力端子は、前記トランスの二次巻線に互いに並列に接続されることを特徴とする請求項1に記載の電源タップ。
【請求項6】
前記接地端子は、感電防止用の保安アースに接続されることを特徴とする請求項1に記載の電源タップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源タップに係り、さらに詳しくは、1又は2以上の電子機器に対し交流電源を供給する電源タップの改良に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、商用電源は、伝送効率が良好な高電圧交流電源として伝送された後、トランスにより低電圧交流電源に変換され、需要家施設内に供給される。例えば、6600Vの高電圧電源が需要家施設近傍まで伝送され、100Vの低電圧電源に変換された後、一般家庭、オフィス、工場などの施設内に供給される。
【0003】
図6は、商用電源が需要家施設内に供給される様子を示した図である。高電圧交流電源は、電柱により支持された伝送線を用いて需要家施設近傍まで伝送され、柱上トランス33により低電圧交流電源に変換された後、需要家施設に伝送される。柱上トランス33の二次巻線は、両端がライブ線L1,L2、中間タップがニュートラル線Nにそれぞれ接続されている。ニュートラル線Nは、接地された出力線(中性線)であり、ライブ線L1,L2は、接地されていない出力線(電圧線)である。
【0004】
需要家施設内には、コンセント32が設けられている。コンセント32は、電源供給用のプラグソケットであり、一対の電極端子32L,32Nを備えている。電子機器の電源プラグをコンセント32に差し込むことにより、当該電子機器に電源を供給することができる。コンセント32が設けられるコンセントパネル3には、保安アース端子32Eを備えているものもある。
【0005】
コンセント32には、様々な形状のものがあるが、日本では、JIS C 8303に定められた平行型の二極コンセントが広く普及している。平行型の二極コンセントは、一対の電極端子32L,32Nが互いに平行に配置されたプラグソケットであり、二極プラグを180度回転させても差し込むことができる。つまり、二極コンセントに対し、二極プラグの極性を反転させて接続することができ、このような反転接続により、二極コンセント及び二極プラグ間で接続される電極の組み合わせが入れ替わる。
【0006】
二極コンセントは、接地されたニュートラル端子と、接地されていないライブ端子とにより構成される。図6では、ニュートラル線Nに接続された電極端子32Nがニュートラル端子であり、ライブ線L1又はL2に接続された電極端子32Lがライブ端子である。同様にして、電子機器の電源プラグも、フレーム接地されたニュートラル端子と、フレーム接地されていないライブ端子とにより構成される。
【0007】
感電防止の観点からは、ニュートラル端子同士を接続し、ライブ端子同士を接続する構成(以下、「正接続」という。)が望ましい。しかし、二極コンセントは、二極プラグの極性を反転して接続することが物理的に可能であり、一方のニュートラル端子が他方のライブ端子と接続された状態(以下、「逆接続」という。)でも、ほとんどの電子機器は正常に動作する。このため、ほとんどのユーザは、正接続と逆接続の違いを意識しておらず、50%の確率で電子機器が逆接続の状態で使用されていると考えられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
例えば、2つの音響装置をケーブルで接続し、アナログ音響信号を送受信する音響システムの場合、一方の音響装置がコンセントに正接続され、他方の音響装置がコンセントに逆接続されていると、ノイズが混入するという問題があった。
【0009】
図7は、コンセント32に電子機器2の電源プラグを接続したときの回路構成の一例を示した図である。図中の(a)には、正接続の場合が示され、(b)には、逆接続の場合が示されている。電子機器2はトランス23を内蔵し、その一次巻線の両端に電源プラグの電極端子が接続されている。電極端子20Nは、フレームグランドに接続されたニュートラル端子であり、電極端子20Lは、フレームグランドに接続されていないライブ端子である。
【0010】
電子機器2は、電源プラグをコンセントに逆接続することにより、接地電位を介在させた電流ループが形成され、電磁波を放出することが知られている。この電磁波がノイズ混入の原因の一つであると考えられる。また、正接続の電子機器と逆接続の電子機器との間には基準電位に大きな電位差が生じることが原因の一つであると考えられる。
【0011】
全ての電子機器2がコンセント32に正接続されていれば、この種のノイズは発生しない。しかし、ほとんどのユーザが、コンセント32及び電子機器2の電源プラグにライブ端子及びニュートラル端子の区別があることを認識しておらず、また、物理的に逆接続も可能であることから、ノイズの混入を防止することが困難であるという問題があった。
【0012】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、二極コンセントに対し反転させて差し込むことが可能な電源プラグを有する電子機器におけるノイズの混入を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明による第1の実施態様による電源タップは、外部から交流電源が供給される二極入力端子と、接地電位に接続される接地端子と、外部へ交流電源を供給する二極出力端子と、前記二極入力端子及び前記二極出力端子を接続するトランスと、を備え、前記二極入力端子が、前記トランスの一次巻線に接続され、前記二極出力端子が、前記トランスの二次巻線に接続され、前記接地端子が、前記二次巻線の中間タップに接続されるように構成される。
【0014】
このような構成を採用することにより、二極出力端子の各出力端子の中間電位を接地電位にすることができる。このため、一方の出力端子を接地電位にする場合に比べて、接地電位から見たときの各出力端子の最大電圧を抑制することができる。このため、電源ケーブルからの電磁波の発生を抑制し、電子機器へのノイズの混入を抑制することができる。
【0015】
また、二極出力端子に電子機器の二極プラグを接続する際、二極出力端子に対する二極プラグの接続が逆向きになったことにより、接地電位から見たときの当該二極プラグの各電位に生じる変動幅を抑制することができる。このため、2以上の電子機器を互いに接続している場合に、電子機器間の電位差に起因して発生するノイズの混入を抑制することができる。なお、2以上の電子機器は、同一の電源タップの異なる二極出力端子に接続されていてもよいし、異なる電源タップにそれぞれ接続されていてもよい。
【0016】
本発明による第2の実施態様による電源タップは、上記構成に加えて、前記中間タップが、前記二次巻線の略中央に設けられるように構成される。
【0017】
このような構成を採用することにより、一方の出力端子を接地電位にする場合に比べて、接地電位から見たときの各出力端子の最大電圧を略半分に抑制することができる。このため、電源ケーブルからの電磁波の発生を効果的に抑制し、電子機器へのノイズの混入を効果的に抑制することができる。
【0018】
また、二極出力端子に電子機器の二極プラグを接続する際、二極出力端子に対する二極プラグの接続が逆向きになったことにより、接地電位から見たときの当該二極プラグの各電位に生じる変動幅を効果的に抑制することができる。このため、2以上の電子機器を互いに接続している場合に、電子機器間の電位差に起因して発生するノイズの混入を効果的に抑制することができる。
【0019】
本発明による第3の実施態様による電源タップは、上記構成に加えて、前記二極出力端子が、前記電子機器の二極プラグを反転させて差し込むことができるプラグソケットを構成する。
【0020】
このような構成を採用することにより、電源タップのプラグソケットに対し、電子機器の二極プラグを反転可能に差し込むことができるとともに、二極プラグを反転して差し込むことによって生ずるノイズの混入を抑制することができる。このため、電子機器のプラグ接続時の利便性を低下させることなく、ノイズの混入を抑制することができる。
【0021】
本発明による第4の実施態様による電源タップは、上記構成に加えて、前記二極入力端子が、商用電源の二極コンセントに対し反転させて差し込むことができるプラグを構成する。
【0022】
このような構成を採用することにより、商用電源の二極コンセントに対し、電源タップのプラグを反転可能に差し込むことができるとともに、当該プラグを反転して差し込むことによって生ずるノイズの混入を抑制することができる。このため、電源タップのプラグ接続時の利便性を低下させることなく、ノイズの混入を抑制することができる。
【0023】
本発明による第5の実施態様による電源タップは、上記構成に加えて、2以上の前記二極出力端子を備え、前記2以上の二極出力端子は、前記トランスの二次巻線に互いに並列に接続されるように構成される。
【0024】
このような構成を採用することにより、同一の電源タップに2以上の電子機器を接続することができる。
【0025】
本発明による第6の実施態様による電源タップは、上記構成に加えて、前記接地端子が、感電防止用の保安アースに接続されるするように構成される。
【0026】
このような構成を採用することにより、特別な接地線を準備する必要がなく、簡単な構成によりノイズの混入を防止することができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、二極コンセントに対し180度回転させて差し込むことが可能な電源プラグを有する電子機器におけるノイズの混入を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明の実施の形態による電源タップ1の外観の一例を示した図である。
図2図1の電源タップ1の回路構成の一例を示した図である。
図3】電源タップ1を用いて電子機器2に電源を供給する場合の一例を示した図である。
図4】電源タップ1を用いて電子機器2に電源を供給する場合の一例を示した図である。
図5】本発明の実施の形態による電源タップ1の回路構成の他の例を示した図である。
図6】商用電源が需要家施設内に供給される様子を示した図である。
図7】コンセント32に電子機器2の電源プラグを接続したときの回路構成の一例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1は、本発明の実施の形態による電源タップ1の外観の一例を示した図である。図中には、電源タップ1が、電子機器2及びコンセントパネル3とともに示されている。
【0030】
(1)コンセントパネル3
コンセントパネル3は、需要家施設内に設置された電源接続装置であり、例えば、住宅、オフィス、工場内の壁面に取り付けられている。コンセントパネル3には、1又は2以上のコンセント32と、必要に応じて保安アース端子32Eとが設けられている。
【0031】
コンセント32は、低電圧交流電源(例えば100V)を供給するためのプラグソケットであり、電子機器2の電源プラグ20を差し込むことができる。コンセント32は、一対の電源端子32N,32Lを備えている。電極端子32Nは、柱上トランス33のニュートラル線Nに接続されたニュートラル端子であり、柱上トランス33により接地されている。一方、電極端子32Lは、柱上トランス33のライブ線L1又はL2に接続されたライブ端子であり、交流電圧が印加されている。
【0032】
保安アース端子32Eは、感電防止を目的として設置されている電極端子であり、需要家施設内において接地されている。
【0033】
(2)電子機器2
電子機器2は、低電圧交流電源を駆動源とする電子回路を内蔵する機器であり、例えば、オーディオアンプ、ミキサー、イコライザーなどのノイズの影響を受けやすい音響機器である。電子機器2からは、電源ケーブルCBが引き出され、電源ケーブルCBの先端には、電源プラグ20が接続されている。
【0034】
電源プラグ20は、コンセント32に差し込んで使用するプラグであり、一対の電極端子20N,20Lを備えている。電極端子20N,20Lは、外部から低電圧交流電源が供給される入力端子であり、電子機器2への電源供給は、電極端子20N,20Lを介して行われる。電極端子20Nは、電子機器2内においてフレーム接地されたニュートラル端子であり、電極端子20Lは、フレーム接地されていないライブ端子である。
【0035】
感電防止の観点からは、ニュートラル端子20N,32N同士、ライブ端子20L,32L同士がそれぞれ接続されるように、電源プラグ20をコンセント32に差し込む必要がある。しかし、電源プラグ20は、180度回転させてコンセント32に差し込む反転接続が可能である。このような反転接続を行った場合、一方のニュートラル端子20N(32N)が他方のライブ端子32L(20L)に接続されることになり、感電防止の観点からは望ましくないが、ほとんどの電子機器2における通常動作には影響を与えない。
【0036】
図中には、2つの電子機器2がケーブルを介して互いに接続され、アナログ信号の送受信を行っている。このため、各電子機器2の電源プラグ20をコンセント32に差し込んだ場合、一方の電源プラグ20がコンセントに対し正接続され、他方の電源プラグ20がコンセント32に対し逆接続されていれば、ノイズが混入するおそれがある。
【0037】
(3)電源タップ1
電源タップ1は、電子機器2及びコンセント32間の電源供給路上に介在させ、電子機器2に混入するノイズを抑制する装置である。電源タップ1は、2以上のプラグソケット12が配置された筐体11を備える。また、筐体11からは、2本のケーブルCB1,CB2が引き出され、これらのケーブルCB1,CB2の先端には、電源プラグ10又は接地端子102がそれぞれ接続されている。
【0038】
電源プラグ10は、コンセント32に差し込んで使用するプラグであり、一対の電極端子100,101を備えている。電極端子100,101は、外部から低電圧交流電源が供給される入力端子であり、電源タップ1への電源供給は、電極端子100,101を介して行われる。
【0039】
接地端子102は、保安アース端子32Eに接続して使用する電極端子であり、接地電位に保持される。
【0040】
プラグソケット12は、電子機器2の電源プラグ20を差し込むことができるプラグソケットであり、一対の電極端子120,121を備えている。電極端子120,121は、外部へ低電圧交流電源を提供する出力端子であり、電子機器2への電源供給は、電極端子120,121を介して行われる。なお、電源タップ1は、1つのプラグソケット12を備え、1つの電子機器2のみを接続できる構成であってもよいし、2以上のプラグソケット12を備え、2以上の電子機器2を接続できる構成であってもよい。
【0041】
(4)回路構成
図2は、図1の電源タップ1の回路構成の一例を示した図である。電源タップ1は、トランス13を備えている。入力側の電極端子100,101は、トランス13の一次巻線131の両端にそれぞれ接続される。また、出力側の電極端子120,121は、トランス13の二次巻線132の両端にそれぞれ接続される。2以上のプラグソケット12を備える場合には、プラグソケット12が互いに並列に接続されるように、各プラグソケット12の電極端子120,121がトランス13の二次巻線132の両端にそれぞれ接続される。さらに、接地端子102は、二次巻線132の中間タップ133に接続されている。中間タップ133は、二次巻線132の略中央に設けられていることが望ましい。
【0042】
二次巻線132の中間タップ133を接地することにより、出力側の電極端子120,121の中間電位を接地電位にすることができる。このため、出力側の電極端子120,121の一方を接地する従来の方法に比べて、接地電位から見たときの電極端子120,121の最大電圧を抑制することができる。特に、中間タップ133が二次巻線132の略中央であれば、最大電圧を約半分にすることができる。このため、電源ケーブルCBから電磁波が放出されるのを抑制することができる。
【0043】
また、二次巻線132の中間タップ133を接地しているため、電源プラグ10又は電源プラグ20を差し込むときの向きを反転させた場合における接地電位から見た電源波形の変動を抑制することができる。特に、中間タップ133が二次巻線132の略中央であれば、位相が180度変化するのみであり、出力波形は変動しない。つまり、コンセント32に差し込む電源プラグ10の向きを180度回転させ、あるいは、プラグソケット12に差し込む電源プラグ20の向きを180度回転させた場合であっても、位相が180度変化するのみであり、出力波形は同一である。以下では、中間タップ133が二次巻線132の中点に設けられている場合について説明する。
【0044】
電源タップ1に2以上の電子機器2を接続した場合、プラグソケット12に差し込まれる各電源プラグ20の向きにかかわらず、接地電位から見たときの各電子機器2に供給される電源波形にずれが生じない。従って、2つの電子機器2を互いに接続した場合に、電子機器2間の電位差に起因してノイズが発生することを防止することができる。
【0045】
また、互いに接続した2以上の電子機器2を異なる電源タップ1に接続した場合も、コンセント32に差し込まれる各電源プラグ10の向きにかかわらず、接地電位から見たときの各電子機器2に供給される電源波形にずれが生じない。従って、2つの電子機器2を互いに接続した場合に、電子機器2間の電位差に起因してノイズの発生を防止することができる。
【0046】
電源タップ1の入力側の電極端子100,101は、いずれも接地されておらず、ニュートラル及びライブの区別はない。同様にして、出力側の電極端子120,121も、いずれも接地されておらず、ニュートラル及びライブの区別はない。このため、コンセント32に対する電源プラグ10の差し込む向きを逆転させ、あるいは、プラグソケット12に対する電源プラグ20の差し込む向きを逆転させたとしても、出力波形の位相が変化するのみであり、接地電位からみた出力波形は同一である。
【0047】
保安アース端子32Eは、感電防止を目的として使用される電極端子であるが、本実施の形態による電源タップ1では、トランス13の二次巻線132の中間タップ133に接続することにより、ノイズ防止を目的として使用している。
【0048】
図3及び図4は、電源タップ1を用いて電子機器2に電源を供給する場合の一例を示した図である。図3及び図4を比較すれば、プラグソケット12に対する電源プラグ20の差し込む向きが180度異なっている。
【0049】
図3では、電極端子20Lが電極端子120に接続され、電極端子20Nが電極端子121に接続されている。一方、図4では、電極端子20Nが電極端子120に接続され、電極端子20Lが電極端子121に接続されている。
【0050】
図3及び図4のいずれの場合も、柱上トランス33のライブ線L1及びニュートラル線N間の電圧波形がトランス13に入力され、トランス13の出力が、電子機器2内のトランス23に入力されている。このため、電源プラグ20を差し込む向きが異なることにより、図3及び図4の電子機器2には、位相が180度異なる波形が入力されるが、基準電位(接地電位)は互いに一致し、基準電位から見た入力波形も一致している。従って、従来技術のように、ニュートラル端子同士を接続する必要はなく、電源プラグ20を差し込む向きによってノイズが発生することはない。
【0051】
図5は、本発明の実施の形態による電源タップ1の回路構成の他の例を示した図である。図2の回路構成と比較すれば、トランス13の構成が異なっている。トランス13は、2つのトランス要素13a及び13bにより構成されている。トランス要素13a,13bのコアは、互いの磁束を打ち消すように配置されているため、磁束の漏れを抑制し、効率を向上させることができる。
【0052】
トランス要素13a,13bの一次巻線の両端は、入力側の電源端子100,101にそれぞれ接続される。一次巻線はコアの磁束が打ち消しあうように形成される。トランス要素13a,13bの二次巻線は、出力電圧の極性が一致するように一端が互いに連結され、二次巻線の直列回路が形成される。二次巻線の直列回路の両端は、出力側の電極端子120,121にそれぞれ接続される。また、二次巻線の連結点は、トランス13の二次巻線の中間タップ133であり、接地端子102に接続される。このような構成を採用することにより、高効率のトランスを実現することができる。
【0053】
本発明の実施家の形態による電源タップ1や電子機器2は、EIA(Electronic Industries Alliance:米国電子工業会)規格やJIS(Japanese Industrial Standards:日本産業規格)規格で定められたユニットサイズの筐体に収められて構成されてもよい。ユニットサイズの一例は、EIA規格で定められた、幅19インチ(482.6mm)、高さ1.75インチ(44.45mm)の1Uと呼ばれるサイズである。この場合、電源タップ1は、電子機器2とともに、当該ユニットサイズの機器を複数収容可能なラックに収められる。ラック内において、各電子機器2の電源プラグ20が電源タップ1のプラグソケット12に差し込まれ、電源タップ1を除くラック内のすべての電子機器2が電源タップ1を介して給電される。このように構成することで、ラック単位で、ノイズが混入しない安定的な電源供給を行うことができる。
【符号の説明】
【0054】
1 電源タップ
10 電源プラグ
100,101 電極端子
102 接地端子
11 筐体
12 プラグソケット
120,121 電極端子
13 トランス
13a,13b トランス要素
131 一次巻線
132 二次巻線
133 中間タップ
2 電子機器
20 電源プラグ
20L 電極端子(ライブ端子)
20N 電極端子(ニュートラル端子)
23 トランス
3 コンセントパネル
32 コンセント
32L 電極端子(ライブ端子)
32N 電極端子(ニュートラル端子)
32E 保安アース端子
33 柱上トランス
L1,L2 ライブ線
N ニュートラル線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7