(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-11
(45)【発行日】2024-03-19
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法および情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/0241 20230101AFI20240312BHJP
【FI】
G06Q30/0241
(21)【出願番号】P 2021152549
(22)【出願日】2021-09-17
【審査請求日】2022-09-16
(73)【特許権者】
【識別番号】500257300
【氏名又は名称】LINEヤフー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】平澤 謙章
【審査官】原 忠
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-067290(JP,A)
【文献】特開2001-142826(JP,A)
【文献】特開2020-160938(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
未来に発生する広告枠の発生回数を予測する予測部と、
前記予測部によって予測された前記発生回数に応じて、前記広告枠に対して配信予約を受け付けた広告コンテンツそれぞれの配信確率を算出する算出部と、
前記広告コンテンツの配信回数の実測値を用いたフィードバック制御によって前記算出部によって算出される前記配信確率を更新する更新部と
を備え
、
前記更新部は、
前記広告コンテンツの単位時間当たりの配信目標回数に応じて、前記フィードバック制御によって更新する前記配信確率の変動幅を変更し、
前記配信確率の変動幅は、
前記配信目標回数が少ないほど小さい値であり、前記配信目標回数が多いほど大きい値である
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記更新部は、
前記広告コンテンツの累積配信回数が当該累積配信回数の目標値である目標累積配信回数に近づくように前記配信確率を更新すること
を特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記予測部は、
前記発生回数を時間帯毎に予測し、
前記更新部は、
前記時間帯毎に前記変動幅を変更すること
を特徴とする請求項
1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記更新部は、
前記フィードバック制御における比例項に対して、単位時間毎の前記配信目標回数に対応する係数を乗算することで、前記配信確率の変動幅を変更すること
を特徴とする請求項
1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記予測部は、
前記広告枠が表示される表示媒体へのアクセス数の履歴を用いて、前記発生回数を予測すること
を特徴とする請求項1~
4のいずれか一つに記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記予測部は、
前記アクセス数に影響を与えるイベント情報に応じて、前記発生回数を予測すること
を特徴とする請求項
5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記予測部は、
前記広告枠の属性毎に前記発生回数を予測し、
前記更新部は、
前記属性毎に前記広告コンテンツそれぞれの前記配信確率を更新すること
を特徴とする請求項1~
6のいずれか一つに記載の情報処理装置。
【請求項8】
コンピュータが実行する情報処理方法であって、
未来に発生する広告枠の発生回数を予測する予測工程と、
前記予測工程によって予測された前記発生回数に応じて、前記広告枠に対して配信予約を受け付けた広告コンテンツそれぞれの配信確率を算出する算出工程と、
前記広告コンテンツの配信回数の実測値を用いたフィードバック制御によって前記算出工程によって算出される前記配信確率を更新する更新工程と
を含
み、
前記更新工程は、
前記広告コンテンツの単位時間当たりの配信目標回数に応じて、前記フィードバック制御によって更新する前記配信確率の変動幅を変更し、
前記配信確率の変動幅は、
前記配信目標回数が少ないほど小さい値であり、前記配信目標回数が多いほど大きい値である
ことを特徴とする情報処理方法。
【請求項9】
未来に発生する広告枠の発生回数を予測する予測手順と、
前記予測手順によって予測された前記発生回数に応じて、前記広告枠に対して配信予約を受け付けた広告コンテンツそれぞれの配信確率を算出する算出手順と、
前記広告コンテンツの配信回数の実測値を用いたフィードバック制御によって前記算出手順によって算出される前記配信確率を更新する更新手順と
をコンピュータに実行させ
、
前記更新手順は、
前記広告コンテンツの単位時間当たりの配信目標回数に応じて、前記フィードバック制御によって更新する前記配信確率の変動幅を変更し、
前記配信確率の変動幅は、
前記配信目標回数が少ないほど小さい値であり、前記配信目標回数が多いほど大きい値である
ことを特徴とする情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法および情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、インターネットの飛躍的な普及に伴い、インターネットを介した広告配信が盛んに行われている。たとえば、広告配信に関する技術として、単位時間当たりに設定した広告予算を超過した場合に、超過額に応じた期間を設定し、広告配信を停止する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術では、たとえば、広告コンテンツ毎に予め設定された配信回数を適切に配信することについては考慮されていなかった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、広告コンテンツ毎に予め設定された配信回数を適切に配信することができる情報処理装置、情報処理方法および情報処理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る情報処理装置は、未来に発生する広告枠の発生回数を予測する予測部と、前記予測部によって予測された前記発生回数に応じて、前記広告枠に対して配信予約を受け付けた広告コンテンツそれぞれの配信確率を算出する算出部と、前記広告コンテンツの配信回数の実測値を用いたフィードバック制御によって前記算出部によって算出される前記配信確率を更新する更新部とを備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、広告コンテンツ毎に予め設定された配信回数を適切に配信することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態に係る情報処理の一例を示す図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る情報処理装置の構成例を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る配信履歴情報記憶部に記憶する情報の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る在庫情報記憶部に記憶する情報の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係る広告コンテンツ記憶部に記憶する情報の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係る配信目標回数の模式図である。
【
図7】
図7は、実施形態に係るフィードバック制御の一例を示すフローチャートである。
【
図8】
図8は、実施形態に係る情報処理装置の機能を実現するコンピュータの一例を示すハードウェア構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本願に係る情報処理装置、情報処理方法および情報処理プログラムを実施するための形態(以下、「実施形態」と記載する。)について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施形態により本願に係る情報処理装置、情報処理方法および情報処理プログラムが限定されるものではない。
【0010】
[実施形態]
〔1.情報処理〕
まず、
図1を用いて、実施形態に係る情報処理の一例について説明する。
図1は、実施形態に係る情報処理の一例を示す図である。なお、かかる情報処理方法は、たとえば、
図1に示す情報処理装置10によって実行される。
【0011】
図1に示す情報処理装置10は、たとえば、広告主200から入稿を受け付けた広告を利用者Uのユーザ端末50へ配信する情報処理装置である。なお、情報処理装置10は、たとえば、サーバ装置やクラウドシステム等によって実現される。
【0012】
ユーザ端末50は、ユーザが所有する端末装置であり、情報処理装置10とのデータ通信によって、情報処理装置10から配信される広告をウェブページ上に設定された広告枠に表示する端末である。ユーザ端末50として、たとえば、スマートフォン、タブレット端末、パソコン、ウェアラブル端末などが挙げられる。
【0013】
ここで、たとえば、情報処理装置10の事業者(以下、単に事業者)は、未来に発生する広告枠を広告主200に対して前もって販売し、広告主200が購入した数量の広告枠に対して広告主200の広告を配信する。
【0014】
この場合、広告主200は、自身の広告を表示する広告枠を予約して購入することとなるので、情報処理装置10は、広告主200が購入した広告枠に対して広告コンテンツの配信を担保する必要が生じる。
【0015】
具体的な処理の流れとして、まず、情報処理装置10は、たとえば、広告枠を表示する表示媒体(同図に示す例では、ニュースサイト)へのアクセス数の履歴から、未来に発生する広告枠の発生回数を予測する予測処理を行う(ステップS01)。
【0016】
たとえば、情報処理装置10は、表示媒体へのアクセス数を解析し、その傾向から表示媒体への未来のアクセス数を予測することで、未来に発生する広告枠の発生数量を予測する。そして、情報処理装置10は、未来に発生する広告枠を在庫とみなし、広告主200に対し販売する(ステップS02)。
【0017】
より具体的な例として、情報処理装置10は、所定期間における所定のターゲット条件(たとえば、30代男性など)に対応する広告枠の在庫数を広告主200に対して提示し、広告主200は、必要な数の広告枠の在庫を情報処理装置10を介して購入する。
【0018】
また、これに伴い、情報処理装置10は、広告主200から広告枠に表示する広告コンテンツの入稿を受け付けるとともに(ステップS03)、入稿を受け付けた広告コンテンツを広告コンテンツ記憶部に記憶する。
【0019】
つづいて、情報処理装置10は、たとえば、所定周期(たとえば、1日)毎に、広告コンテンツそれぞれについて配信確率を算出する(ステップS04)。たとえば、情報処理装置10は、所定周期ごとに発生する広告枠の発生回数の予測値と、当該広告枠に配信可能な広告コンテンツそれぞれの配信目標数に応じて配信確率を算出する。
【0020】
ここで、配信確率とは、各広告コンテンツの配信目標回数が広告枠の発生回数(予測値)に占める割合であり、配信確率に応じて各広告コンテンツを配信した場合に、各広告コンテンツの配信回数がそれぞれ配信目標数となるように設定される。
【0021】
たとえば、特定の広告枠に対して2つの広告コンテンツを配信可能であり、広告コンテンツそれぞれの配信目標回数が6対4の比率である場合、当該広告枠に対する広告コンテンツそれぞれの配信確率は60%および40%となる。
【0022】
つづいて、情報処理装置10は、たとえば、ユーザ端末50から広告枠に対する広告の配信リクエストを受け付けた場合に(ステップS05)、配信確率に応じた割合で広告コンテンツが配信されるように配信リクエスト元のユーザ端末50へ広告コンテンツを配信する(ステップS06)。
【0023】
上記の一連の処理によって、広告コンテンツを配信するにあたり、広告枠の発生回数の予測値から広告コンテンツの配信回数の実測値(すなわち、広告枠の発生回数の実測値)との間に乖離が生じると、広告コンテンツそれぞれの配信回数が想定していた値からずれてしまう。
【0024】
そのため、実施形態に係る情報処理装置10は、フィードバック制御によって配信確率の更新処理を行う(ステップS07)。たとえば、情報処理装置10は、広告コンテンツの累積配信回数Nが当該累積配信回数の目標値である目標累積配信回数Tに近づくようにPD(Proportional Differential)制御を用いて配信確率を更新する。
【0025】
ここで、累積配信回数Nとは、たとえば、所定周期内(たとえば1日)における広告コンテンツの配信目標回数の累積値である。また、目標累積配信回数Tとは、たとえば、所定周期内で目標配信回数を達成するために設定された値であり、たとえば、広告枠の単位時間当たりの配信目標回数を積分した値となる。
【0026】
たとえば、配信リクエストが多い時間帯ほど、単位時間あたりの広告コンテンツの配信回数は多くなり、単位時間当たりの配信目標回数は多くなる。このため、たとえば、配信リクエストが多い時間帯においては、目標累積配信量の増加幅は大きくなることになる。
【0027】
たとえば、配信確率をp(t)とした場合に、PD制御は、以下の式(1)によって示すことができる。
【0028】
【0029】
上記式(1)において、e(t)は時刻tにおける目標累積配信回数Tと累積配信回数Nとの偏差であり、u(t)は時刻tにおける単位時間当たりの配信確率の変動幅に対応する。なお、KpおよびKdは、それぞれ比例ゲイン、微分ゲインである。
【0030】
ここで、式(1)によって配信確率を変化させたときの配信速度の変化(すなわち、u(t)に対する感度)は、配信リクエストの多い時間帯と、少ない時間帯とで異なるので、制御が乱れる場合がある。たとえば、配信リクエストが少ない時間帯(たとえば、深夜)には配信確率を変化させても、配信リクエストが相対的に少なく実際には配信回数は大きく変化しないので、差分が解消されにくい。
【0031】
そのため、配信クエストの少ない時間帯には配信リクエストが多い時間帯に比べて相対的に配信確率が大きく変動してしまう。たとえば、その配信確率を維持したまま、配信リクエストが回復する時間帯(たとえば、朝方)に移行すると配信回数が急激に増加して、配信ペースが大きく乱れるおそれがある。
【0032】
そのため、配信確率の変動幅であるu(t)を時間帯毎に変化させることで、配信確率の変動幅を変更することにしている。たとえば、u(t)は下記式(2)によって示すことができる。
【0033】
【0034】
式(2)に示すように、比例項(Kpe(t))に対して、q(t)を乗算する。ここで、q(t)は、単位時間(たとえば、15分)あたりに配信可能な配信回数(以下、配信目標回数)を示す。
【0035】
たとえば、配信目標回数が多い場合、q(t)は大きな値となり、配信目標回数が少ない場合、q(t)は小さな値となる。このため、比例項に対し、q(t)を乗算することで、配信リクエストが多い時間帯ほど、配信確率の変動幅を大きくし、配信リクエストが少ない時間帯ほど、配信確率の変動幅を小さくすることができる。
【0036】
これにより、たとえば、上記の例のように、配信リクエストが少ない時間帯から配信リクエストが回復する時間帯へ遷移する場合であっても、配信ペースの乱れを抑制することができる。
【0037】
このように、実施形態に係る情報処理装置10は、フィードバック制御によって配信確率を更新することで、広告コンテンツ毎に予め設定された配信回数を適切に配信することができる。
【0038】
〔2.情報処理装置の構成例〕
次に、
図2を用いて、情報処理装置10の構成例について説明する。
図2は、実施形態に係る情報処理装置10の構成例を示すブロック図である。
図2に示すように、情報処理装置10は、通信部110と、制御部120と、記憶部130とを有する。
【0039】
通信部110は、例えば、NIC(Network Interface Card)等によって実現される。そして、通信部110は、4G(Generation)、5G、LTE(Long Term Evolution)、WiFi(登録商標)若しくは無線LAN(Local Area Network)等といった各種の無線通信網若しくは各種の有線通信網といったネットワークを介して、外部装置との間で情報の送受信を行う。
【0040】
記憶部130は、例えば、RAM、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスク等の記憶装置によって実現される。また、記憶部130は、配信履歴情報記憶部131と、在庫情報記憶部132と、広告コンテンツ記憶部133とを有する。
【0041】
配信履歴情報記憶部131は、各広告コンテンツの配信履歴に関する情報を記憶する。
図3は、実施形態に係る配信履歴情報記憶部131に記憶する情報の一例を示す図である。
【0042】
図3に示すように、配信履歴情報記憶部131は、「時刻」、「リクエストID」、「ユーザ属性」、「広告ID」といった項目の情報を互いに対応付けて記憶する。「時刻」は、広告リクエストを受け付けた時刻である。
【0043】
「リクエストID」は、配信リクエストを識別するための識別子である。「ユーザ属性」は、配信リクエスト元のユーザ端末50を利用する利用者のユーザ属性を示す。なお、ユーザ属性は、広告枠の属性や、ターゲット条件と読み替えることにしてもよい。「広告ID」は、配信リクエストに対して配信した広告コンテンツを識別する識別子である。
【0044】
たとえば、同図に示す例では、時刻「T01」にリクエストID「R01」で識別される配信リクエストがあったことを示すとともに、その配信リクエスト元のユーザ属性が「G01」であり、広告ID「AD01」で識別される広告コンテンツを配信したことを示す。
【0045】
図2の説明に戻り、在庫情報記憶部132について説明する。在庫情報記憶部132は、未来に発生する広告枠の在庫に関する情報を記憶する。
図4は、実施形態に係る在庫情報記憶部132に記憶する情報の一例を示す図である。
【0046】
図4に示す例において、在庫情報記憶部132は、「ユーザ属性」、「期間」、「在庫数」といった項目の情報を互いに対応付けて記憶する。「ユーザ属性」は、配信リクエスト元のユーザ端末50を利用する利用者のユーザ属性を示す。「期間」は、対象となる期間を示す。「在庫数」は、未来に発生する広告枠の発生回数の予測値を示す。
【0047】
すなわち、同図に示す例では、ユーザ属性「G01」に属する利用者に関する広告枠の在庫が、期間「D01」において、1,000回が発生することを示す。
【0048】
図2の説明に戻り、広告コンテンツ記憶部133について説明する。広告コンテンツ記憶部133は、広告主200から入稿を受け付けた広告コンテンツに関する情報を記憶する。
【0049】
図5は、実施形態に係る広告コンテンツ記憶部133に記憶する情報の一例を示す図である。
図5に示すように、たとえば、広告コンテンツ記憶部133は、「広告ID」、「ユーザ属性」、「購入数」、「配信期間」といった項目の情報を互いに対応付けて記憶する。
【0050】
「広告ID」は、広告コンテンツを識別するための識別子である。「ユーザ属性」は、広告コンテンツの配信対象となる利用者のユーザ属性を示す。「配信回数」は、広告コンテンツの配信回数を示し、広告枠を購入した数量に対応する。
【0051】
「配信期間」は、広告コンテンツを配信する期間を示す。すなわち、同図示す例では、広告ID「AD01」で識別される広告コンテンツが、配信期間「D01」の期間に発生するユーザ属性「G01」の利用者の広告枠を「100000」回分購入したことを示す。
【0052】
図2の説明に戻り、制御部120について説明する。制御部120は、例えば、コントローラ(controller)であり、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)等によって、情報処理装置10内部の記憶装置に記憶されている各種プログラムがRAMを作業領域として実行されることにより実現される。
【0053】
図2に示すように、制御部120は、予測部121と、算出部122と、更新部123と、配信部124とを有する。
【0054】
予測部121は、未来に発生する広告枠の発生回数を予測する。たとえば、予測部121は、広告枠の属性毎に単位時間毎の発生回数を所定周期(たとえば、1日)で予測する。たとえば、予測部121は、配信履歴情報記憶部131を参照し、ユーザ属性毎の広告リクエストの傾向を単位時間毎に解析する。
【0055】
ここで、広告枠の属性とは、広告リクエスト元となるユーザのユーザ属性、すなわち、広告コンテンツのターゲット条件に対応する。すなわち、予測部121は、どのようなユーザ属性の広告枠が所定時間毎にどの程度発生するかといった情報を予測する。
【0056】
また、予測部121は、広告枠の発生回数を予測すると、その予測結果を算出部122へ渡す。なお、予測部121による予測結果については、たとえば、広告主200が広告枠を購入する際に、広告主200へ在庫(予測値-既に購入された数)としても提示される。
【0057】
算出部122は、予測部121によって予測された発生回数に応じて、広告枠に対して配信予約を受け付けた広告コンテンツそれぞれの配信確率を算出する。たとえば、算出部122は、所定周期(たとえば、1日)毎に、各広告コンテンツの配信確率を算出する。
【0058】
たとえば、算出部122は、広告枠の属性毎に配信可能な広告コンテンツの組み合わせを抽出し、それぞれの広告コンテンツの配信回数が配信目標回数に到達するように、広告コンテンツ毎の配信確率を算出する。
【0059】
また、算出部122は、配信確率の算出に伴い、広告コンテンツ毎に累積配信目標回数および各時刻における配信目標回数を算出する。
図6は、実施形態に係る配信目標回数の模式図である。
【0060】
図6に示すように、配信目標回数は、時刻によってそれぞれ異なる値が設定され、時刻毎の配信リクエストの発生回数の予測値に応じた値となる。すなわち、広告媒体へのアクセス数が多い時間帯(たとえば、12:00前後)には、配信目標回数が多く、広告媒体へのアクセス数が少ない時間帯(たとえば、4:00前後)には、配信目標回数が少なくなるように算出される。
【0061】
このように、広告コンテンツの表示媒体への各時刻のアクセス数に応じて、各時刻における配信目標回数を設定することで、各広告コンテンツを適切に配信することが可能となる。
【0062】
ここで、累積配信目標回数は、配信目標回数を積分した値であり、所定周期(たとえば、1日)において広告コンテンツを配信すべき配信回数に対応する。なお、算出部122は、累積配信目標回数を設定したうえで、各時刻の配信目標回数を算出してもよく、各時刻の配信目標回数を算出したうえで、その積分値を累積配信目標回数として設定することにしてもよい。また、たとえば、1つの広告コンテンツが複数の広告枠の属性に対して配信可能である場合、属性毎に配信目標回数および累積配信目標回数を算出するようにしてよい。なお、配信目標回数は、たとえば、ある時間に配信できるであろう最大の配信数である配信可能最大数であってもよい。
【0063】
図2の説明に戻り、更新部123について説明する。更新部123は、広告コンテンツの配信回数の実測値を用いたフィードバック制御によって算出部122によって算出される配信確率を更新する。
【0064】
具体的には、更新部123は、広告コンテンツの累積配信回数が当該累積配信回数の目標値である目標累積配信回数に近づくように配信確率を更新する。たとえば、更新部123は、後述する配信部124によって配信される各広告コンテンツの配信回数の累積値(すなわち、累積配信回数)を広告コンテンツ毎にカウントする。
【0065】
そして、更新部123は、各広告コンテンツの累積配信回数が算出部122によって算出された目標累積配信回数に近づくように配信確率を更新する。たとえば、更新部123は、広告枠の属性毎に各広告コンテンツの配信確率を更新し、累積配信回数が目標累積配信回数より少ない場合には、配信確率を大きくなるように更新し、累積配信回数が目標累積配信回数より多い場合には、配信確率が小さくなるように更新する。
【0066】
ただし、上述のように、単に累積配信回数を目標累積配信回数に近づけるだけでは、たとえば、配信リクエストが少ない時間帯においては、配信確率が大きく変動してしまうので、更新部123は、上記式(2)のように、比例項に対し配信目標回数(q(t))を乗算するフィードバック制御によって配信確率の変動幅を変更する。
【0067】
これにより、配信確率の変動による配信回数の乱れを抑制することができるので、各広告コンテンツの配信ペースを適切に維持することが可能となる。なお、更新部123は、たとえば、PD制御に限らず、たとえば、PID制御を用いたフィードバック制御によって配信確率を更新することにしてもよい。
【0068】
PID制御は、たとえば、下記式(3)によって示すことができる。
【0069】
【0070】
すなわち、式(3)に示すように、比例項および積分項それぞれに対して、配信目標回数(q(t))を乗算したうえで、配信確率を更新することにしてもよい。この場合においても、配信目標回数が大きい時間帯ほど配信確率の変動幅を大きく、配信目標回数が小さい時間帯ほど配信確率の変動幅を小さくすることができるので、各広告コンテンツの配信ペースを適切に維持することができる。
【0071】
配信部124は、算出部122によって算出された配信確率あるいは更新部123による更新後の配信確率で各配信リクエスト元のユーザ端末50に対して広告コンテンツを配信する。
【0072】
まず、配信部124は、ユーザ端末50から配信リクエストを受け付けるとともに、配信リクエストに対して配信可能な広告コンテンツを抽出する。つづいて、配信部124は、たとえば、配信リクエストに対する各広告コンテンツの配信確率を参照し、各広告コンテンツが対応する配信確率となるように配信リクエストに対して配信する広告コンテンツを選択する。
【0073】
そして、配信部124は、選択した広告コンテンツを配信リクエスト元のユーザ端末50に対し配信を行う。これにより、各広告コンテンツが各広告リクエストに対して設定された配信確率で配信されることになるので、各広告コンテンツの配信ペースを適切に維持することができる。
【0074】
〔3.処理フロー〕
次に、
図7を用いて、実施形態に係る情報処理装置10が実行する処理手順について説明する。
図7は、実施形態に係るフィードバック制御の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【0075】
図7に示すように、まず、情報処理装置10は、たとえば、広告枠の発生回数を予測する(ステップS101)。つづいて、情報処理装置10は、広告枠の発生回数の予測値に基づき、広告枠毎に広告コンテンツそれぞれの配信確率を算出する(ステップS102)。
【0076】
つづいて、情報処理装置10は、各広告コンテンツの配信目標回数および累積目標回数を設定する(ステップS103)。なお、ステップS102およびステップS103の処理については、並列あるいは順序を逆にして実行することにしてもよい。
【0077】
つづいて、情報処理装置10は、配信確率に応じて広告コンテンツが配信されるように、広告コンテンツを配信し(ステップS104)、その後、フィードバック制御によって配信確率を更新する(ステップS105)。そして、情報処理装置10は、処理を終了する。
【0078】
〔4.変形例〕
ところで、上述した実施形態では、フィードバック制御によって配信確率を更新することで、累積配信回数を目標累積配信回数に近づける場合について説明したが、これに限定されるものではない。
【0079】
すなわち、たとえば、表題媒体へのアクセス数に影響を与えるイベント情報を取得し、当該イベント情報に応じて、広告枠の発生回数を予測したうえで、目標累積配信回数側を適宜更新することにしてもよい。
【0080】
この場合においては、たとえば、当初予定していた目標累積配信回数を上回った分の配信回数については、次の周期(たとえば、次の日)から減算したうえで、次の周期における各広告コンテンツの配信確率を算出することにしてもよい。そして、余剰となった広告枠を適宜広告主200に対して新たに販売することにしてもよい。
【0081】
なお、イベント情報とは、たとえば、大規模な自然災害の発生、広告枠の表示媒体がニュースサイトである場合、突発的な事件等、たとえば、号外が発行されるような世間の関心度が高いと判定される出来事に関する情報である。
【0082】
〔5.効果〕
上述した実施形態に係る情報処理装置10は、未来に発生する広告枠の発生回数を予測する予測部121と、予測部121によって予測された発生回数に応じて、広告枠に対して配信予約を受け付けた広告コンテンツそれぞれの配信確率を算出する算出部122と、広告コンテンツの配信回数の実測値を用いたフィードバック制御によって算出部122によって算出される配信確率を更新する更新部123とを備える。したがって、実施形態に係る情報処理装置10によれば、広告コンテンツ毎に予め設定された配信回数を適切に配信することができる。
【0083】
また、上述した実施形態に係る更新部123は、広告コンテンツの累積配信回数が当該累積配信回数の目標値である目標累積配信回数に近づくように配信確率を更新する。したがって、実施形態に係る情報処理装置10によれば、目標累積配信回数に応じて、各広告コンテンツを適切に配信することができる。
【0084】
また、上述した実施形態に係る更新部123は、広告コンテンツの単位時間当たりの配信目標回数に応じて、フィードバック制御によって更新する配信確率の変動幅を変更する。したがって、実施形態に係る情報処理装置10によれば、配信確率の変化による配信ペースの乱れを抑制することができる。
【0085】
また、上述した実施形態に係る予測部121は、発生回数を時間帯毎に予測し、更新部123は、時間帯毎に変動幅を変更する。したがって、実施形態に係る情報処理装置10によれば、時間帯に応じた配信ペースを維持することができる。
【0086】
また、上述した実施形態に係る更新部123は、フィードバック制御における比例項に対して、単位時間毎の配信目標回数に対応する係数を乗算することで、配信確率の変動幅を変更する。したがって、実施形態に係る情報処理装置10によれば、配信確率の変動幅を適切に変更することができる。
【0087】
また、上述した実施形態に係る予測部121は、広告枠が表示される表示媒体へのアクセス数の履歴を用いて、発生回数を予測する。したがって、実施形態に係る情報処理装置10によれば、広告枠の発生回数を精度よく予測することができる。
【0088】
また、上述した実施形態に係る予測部121は、アクセス数に影響をあたるイベント情報に応じて、発生回数を予測する。したがって、実施形態に係る情報処理装置10によれば、広告枠の発生回数を精度よく予測することができる。
【0089】
また、上述した実施形態に係る予測部121は、広告枠の属性毎に発生回数を予測し、更新部は、属性毎に広告コンテンツそれぞれの配信確率を更新する。したがって、実施形態に係る情報処理装置10によれば、各広告枠に対して、適切に配信確率を制御することができる。したがって、実施形態に係る情報処理方法によれば、広告コンテンツ毎に予め設定された配信回数を適切に配信することができる。
【0090】
また、上述した実施形態に係る情報処理方法は、コンピュータが実行する情報処理方法であって、未来に発生する広告枠の発生回数を予測する予測工程と、予測工程によって予測された発生回数に応じて、広告枠に対して配信予約を受け付けた広告コンテンツそれぞれの配信確率を算出する算出工程と、広告コンテンツの配信回数の実測値を用いたフィードバック制御によって算出工程によって算出される配信確率を更新する更新工程とを含む。したがって、実施形態に係る情報処理方法によれば、広告コンテンツ毎に予め設定された配信回数を適切に配信することができる。
【0091】
また、上述した実施形態に係る情報処理プログラムは、未来に発生する広告枠の発生回数を予測する予測手順と、予測手順によって予測された発生回数に応じて、広告枠に対して配信予約を受け付けた広告コンテンツそれぞれの配信確率を算出する算出手順と、広告コンテンツの配信回数の実測値を用いたフィードバック制御によって算出手順によって算出される配信確率を更新する更新手順とをコンピュータに実行させる。したがって、実施形態に係る情報処理プログラムによれば、広告コンテンツ毎に予め設定された配信回数を適切に配信することができる。
【0092】
〔6.ハードウェア構成〕
また、上述してきた実施形態に係る情報処理装置10は、例えば
図8に示すような構成のコンピュータ1000によって実現される。
図8は、実施形態に係る情報処理装置10の機能を実現するコンピュータの一例を示すハードウェア構成図である。コンピュータ1000は、CPU1100、RAM1200、ROM1300、HDD1400、通信インターフェイス(I/F)1500、入出力インターフェイス(I/F)1600、及びメディアインターフェイス(I/F)1700を有する。
【0093】
CPU1100は、ROM1300またはHDD1400に格納されたプログラムに基づいて動作し、各部の制御を行う。ROM1300は、コンピュータ1000の起動時にCPU1100によって実行されるブートプログラムや、コンピュータ1000のハードウェアに依存するプログラム等を格納する。
【0094】
HDD1400は、CPU1100によって実行されるプログラム、及び、かかるプログラムによって使用されるデータ等を格納する。通信インターフェイス1500は、ネットワーク(通信ネットワーク)Nを介して他の機器からデータを受信してCPU1100へ送り、CPU1100が生成したデータをネットワークNを介して他の機器へ送信する。
【0095】
CPU1100は、入出力インターフェイス1600を介して、ディスプレイやプリンタ等の出力装置、及び、キーボードやマウス等の入力装置(
図8では、出力装置および入力装置を総称して「入出力装置」と記載する)を制御する。CPU1100は、入出力インターフェイス1600を介して、入力装置からデータを取得する。また、CPU1100は、生成したデータを入出力インターフェイス1600を介して出力装置へ出力する。
【0096】
メディアインターフェイス1700は、記録媒体1800に格納されたプログラムまたはデータを読み取り、RAM1200を介してCPU1100に提供する。CPU1100は、かかるプログラムを、メディアインターフェイス1700を介して記録媒体1800からRAM1200上にロードし、ロードしたプログラムを実行する。記録媒体1800は、例えばDVD(Digital Versatile Disc)、PD(Phase change rewritable Disk)等の光学記録媒体、MO(Magneto-Optical disk)等の光磁気記録媒体、テープ媒体、磁気記録媒体、または半導体メモリ等である。
【0097】
例えば、コンピュータ1000が実施形態に係る情報処理装置10として機能する場合、コンピュータ1000のCPU1100は、RAM1200上にロードされたプログラムを実行することにより、制御部120の機能を実現する。コンピュータ1000のCPU1100は、これらのプログラムを記録媒体1800から読み取って実行するが、他の例として、他の装置からネットワークNを介してこれらのプログラムを取得してもよい。
【0098】
以上、本願の実施形態のいくつかを図面に基づいて詳細に説明したが、これらは例示であり、発明の開示の欄に記載の態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変形、改良を施した他の形態で本発明を実施することが可能である。
【0099】
〔7.その他〕
また、上記実施形態及び変形例において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。例えば、各図に示した各種情報は、図示した情報に限られない。
【0100】
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。
【0101】
また、上述してきた実施形態及び変形例は、処理内容を矛盾させない範囲で適宜組み合わせることが可能である。
【0102】
また、上述してきた「部(section、module、unit)」は、「手段」や「回路」などに読み替えることができる。例えば、予測部121は、予測手段や予測回路に読み替えることができる。
【符号の説明】
【0103】
10 情報処理装置
50 ユーザ端末
110 通信部
120 制御部
121 予測部
122 算出部
122 予測部
123 更新部
124 配信部
130 記憶部
131 配信履歴情報記憶部
132 在庫情報記憶部
133 広告コンテンツ記憶部
200 広告主