(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-11
(45)【発行日】2024-03-19
(54)【発明の名称】作業システム及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/0639 20230101AFI20240312BHJP
G06Q 50/04 20120101ALI20240312BHJP
【FI】
G06Q10/0639
G06Q50/04
(21)【出願番号】P 2021162771
(22)【出願日】2021-10-01
【審査請求日】2022-10-03
【審判番号】
【審判請求日】2023-10-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】岸本 愛
(72)【発明者】
【氏名】浜 靖典
(72)【発明者】
【氏名】堀 翔太
(72)【発明者】
【氏名】今井 洋輔
(72)【発明者】
【氏名】菊池 雄行
【合議体】
【審判長】伏本 正典
【審判官】松尾 俊介
【審判官】梶尾 誠哉
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-200235号公報(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御部を備えた作業システムであって、
前記制御部は、
記憶装置に記憶されている
設定可能なミッション候補から作業中の作業者に特別な評価を行うミッションを設定し、
設定したミッションの開始を、予め決められたルールに従ったタイミング又はランダムなタイミングで作業者に提示し、
入力装置から受け付けた撮影画像、前記作業者の作業内容、又は前記作業者の状態に基づいて前記作業者による前記ミッションの結果を判定し、
前記結果に応じて出力装置から出力する、
作業システム。
【請求項2】
前記予め決められたルールは、
前記入力装置から受け付けた前記作業者の状態を推定するために必要な情報に基づいて推定した前記作業者の集中力、作業に対する慣れ、又は覚醒状態が所定の条件を満たす場合である、
請求項1記載の作業システム。
【請求項3】
前記制御部は、前記結果を前記作業者に出力する、
請求項1又は2記載の作業システム。
【請求項4】
前記制御部は、
前記作業者から前記ミッションを開始するタイミングの設定を受け付け、設定された前記タイミングに基づいて前記ミッションを開始する、
請求項1乃至3の何れか一項に記載の作業システム。
【請求項5】
前記制御部は、前記ミッションの開始を音楽の再生で前記作業者に提示する、
請求項1乃至4の何れか一項に記載の作業システム。
【請求項6】
前記制御部は、前記ミッションの結果を音楽の再生、ライトの点灯、又はライトの点滅で前記出力装置から出力する、
請求項1乃至5の何れか一項に記載の作業システム。
【請求項7】
前記制御部は、
前記入力装置から受け付けた前記作業者の状態を推定するために必要な情報に基づいて、前記作業者の集中力、作業に対する慣れ、又は覚醒状態を推定し、
推定した前記作業者の集中力、作業に対する慣れ、又は覚醒状態に基づいて前記ミッションを設定する、
請求項1乃至6の何れか一項に記載の作業システム。
【請求項8】
前記ミッションは、前記作業者が行う作業の目標作業時間、前記作業を行う作業者の適切な作業姿勢、又は前記作業に対する作業精度が、前記ミッションの内容として設定されている、
請求項1乃至7の何れか一項に記載の作業システム。
【請求項9】
前記制御部は、前記ミッションに設定された前記内容と、前記作業者が行った作業に掛かった作業時間、前記作業者が前記作業を行っている際の作業姿勢、又は前記作業者が行った作業の作業精度との差異に基づき、前記ミッションの結果を判定する、
請求項8記載の作業システム。
【請求項10】
前記制御部は、前記作業者の作業の丁寧さ、又は標準動作とのズレに基づき、前記ミッションの結果を判定する、
請求項9記載の作業システム。
【請求項11】
前記制御部は、前記作業者の集中力の度合い、又は集中力が所定値以上であった継続時間に基づき、前記ミッションの結果を判定する、
請求項9又は10記載の作業システム。
【請求項12】
コンピュータに、
記憶装置に記憶されている
設定可能なミッション候補から作業中の作業者に特別な評価を行うミッションを設定し、
設定したミッションの開始を、予め決められたルールに従ったタイミング又はランダムなタイミングで作業者に提示し、
入力装置から受け付けた撮影画像、前記作業者の作業内容、又は前記作業者の状態に基づいて前記作業者による前記ミッションの結果を判定し、
前記結果に応じて出力装置から出力する、
手順を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、作業システム及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
誤品検査を行う作業者の集中力を回復させることができる物品検査装置は従来から知られている。例えば従来の物品検査装置は、外観形状を比較する単調な作業を繰り返し行う作業者の集中力が低下して検査ミスを発生し易いという問題点を解決するため、時々、故意に偽の外観形状を表示することで、単調な作業の繰り返しを中断し、作業者の集中力を回復させていた(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1は、外観形状を比較する単調な作業に特化した内容であり、外観形状を比較する単調な作業以外に適用する内容についての記載がない。
【0005】
本開示の目的は、作業中の作業者の集中力を向上させる作業システム及びプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、制御部を備えた作業システムであって、前記制御部は、作業中の作業者に特別な評価を行うミッションを設定し、設定したミッションの開始を作業者に提示し、前記作業者による前記ミッションの結果を判定し、前記結果に応じて出力する。
【0007】
本開示によれば、作業中の作業者に特別な評価を行うミッションを設定してミッションの開始を作業者に提示することで、作業中の作業者の集中力を向上できる。
【0008】
前記制御部は、前記結果を前記作業者に出力してもよい。
【0009】
本開示によれば、作業者はミッションの結果を認識できる。
【0010】
前記制御部は、前記作業者から前記ミッションを設定するタイミングの設定を受け付け、設定された前記タイミングに基づいて前記ミッションを設定してもよい。
【0011】
本開示によれば、作業者から設定を受け付けたミッションを設定するタイミングに基づいてミッションを設定できる。
【0012】
前記制御部は、前記作業者の状態を推定し、推定した前記状態に基づいて前記ミッションを設定してもよい。
【0013】
本開示によれば、推定した作業者の状態に基づいてミッションを設定できる。
【0014】
前記ミッションは、前記作業者が行う作業の目標作業時間、前記作業を行う作業者の適切な作業姿勢、又は前記作業に対する作業精度が、前記ミッションの内容として設定されてもよい。
【0015】
前記制御部は、前記ミッションに設定された前記内容と、前記作業者が行った作業に掛かった作業時間、前記作業者が前記作業を行っている際の作業姿勢、又は前記作業者が行った作業の作業精度と、に基づき、前記ミッションの結果を判定してもよい。
【0016】
本開示のプログラムは、コンピュータに、作業中の作業者に特別な評価を行うミッションを設定し、設定したミッションの開始を作業者に提示し、前記作業者による前記ミッションの結果を判定し、前記結果に応じて出力する、手順を実行させる。
【0017】
本開示によれば、作業中の作業者に特別な評価を行うミッションを設定してミッションの開始を作業者に提示することで、作業中の作業者の集中力を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本実施形態に係る作業システムが作業者の集中力を向上させる方法の一例の説明図である。
【
図2】本実施形態に係る作業システムの一例の構成図である。
【
図3】本実施形態に係るコンピュータの一例のハードウェア構成図である。
【
図4】本実施形態に係る作業システムの一例の機能ブロック図である。
【
図5】本実施形態に係る作業システムの処理の一例のフローチャートである。
【
図6】本実施形態に係る作業システムのミッションの開始の提示及びミッションの結果の出力の一例の説明図である。
【
図7】本実施形態に係る作業システムのミッションの開始の提示及びミッションの結果の出力の一例の説明図である。
【
図8】本実施形態に係る作業システムのミッションの開始の提示及びミッションの結果の出力の一例の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、本実施形態では作業者が例えば生産作業、検品作業、点検作業、修理作業、施工作業などの作業を行う作業場で利用可能な作業システムの例を説明する。本実施形態に係る作業システムは、作業場で利用可能な情報処理システムの一例である。以下では、作業者による作業が生産作業の例を説明するが、生産作業に限定するものではない。
[第1の実施形態]
本実施形態に係る作業システムは、例えば
図1に示すように、生産作業を行う作業者の集中力を向上させる。
図1は、本実施形態に係る作業システムが作業者の集中力を向上させる方法の一例の説明図である。本実施形態に係る作業システムは、例えば作業場において製品2の生産作業を行う作業者1に対し、ミッションを設定し、設定したミッションの開始を提示する。
【0020】
図1(A)は、設定したミッションの開始を表示により、作業者1に提示する例を表している。例えば作業システムの出力装置の一例である表示装置3は、作業者1から画面が見える位置に設置されており、設定したミッションの開始を作業者1に提示するための表示を行う。
【0021】
図1(B)は、設定したミッションの開始を音声により、作業者1に提示する例を表している。例えば作業システムの出力装置の一例であるスピーカ4は、作業者1から音声が聞こえる位置に設置されており、設定したミッションの開始を作業者1に提示するための音声出力を行う。
【0022】
ミッションは、例えば予め決められたルールに従ったタイミング、又はランダムなタイミングで開始される。予め決められたルールに従ったタイミングは、作業者1から受け付けたミッションを設定するタイミング、集中力などの作業者1の状態に従ったミッションを設定するタイミング、作業回数などの作業者1の作業に関する情報に従ったミッションを設定するタイミング、などである。ミッションを開始するタイミングは、次の製品2の生産作業を開始するタイミングに合わせるようにしてもよいし、合わせなくてもよい。
【0023】
また、ミッションは、例えば予め決められたルールに従った内容、又はランダムな内容が設定される。例えば予め決められたルールに従った内容は、生産作業を行う製品2に対応付いた内容、集中力などの作業者1の状態に従った内容、時間帯に従った内容、などである。
【0024】
ミッションは、生産作業中の作業者1に特別な評価を行うための課題、任務、又は目標などであればよい。特別な評価は作業者1に開始が提示されたあとで行われる評価の一例である。本実施形態に係る作業システムでは、設定したミッションの開始を例えば
図1に示すように作業者1に提示することで、ミッションの開始とミッションの内容とを、作業者1に認識させることができる。なお、本実施形態に係る作業システムはミッションの開始時、ミッションが開始されたことを作業者1に認識させる音楽を再生してもよい。本実施形態に係る作業システムはミッションの開始後、ミッション中であることを作業者1に認識させる音楽を再生してもよい。
【0025】
本実施形態に係る作業システムは、作業者1によるミッションの結果を後述のように判定し、判定の結果を出力する。例えば本実施形態に係る作業システムは、判定の結果の一例であるミッション成功又は失敗を表示装置3に表示又はスピーカ4から音声出力することで作業者1に認識させる。なお、本実施形態に係る作業システムはミッション成功又は失敗を、作業者1に認識させる音楽を再生してもよい。
【0026】
図2は、本実施形態に係る作業システムの一例の構成図である。作業システム10は例えば
図2(A)又は
図2(B)に示すように構成される。
図2(A)は作業システム10を情報処理装置12で構成した例である。
図2(B)は作業システム10を、サーバ装置14とクライアント装置16とが、インターネットやLANなどのネットワークを介してデータ通信可能に接続された構成例である。
【0027】
図2(A)の情報処理装置12は、PC、スマートフォン、又はタブレット端末などのコンピュータである。
図2(A)の情報処理装置12は、例えば
図1に示したミッションの設定、設定したミッションの開始の作業者1への提示、作業者1によるミッションの結果の判定、及び判定の結果の出力のための情報処理を行う。
【0028】
また、
図2(B)のサーバ装置14はPC又はワークステーションなどのコンピュータである。クライアント装置16は、PC、スマートフォン、又はタブレット端末などのコンピュータである。サーバ装置14とクライアント装置16とは連携して、例えば
図1に示したミッションの設定、設定したミッションの開始の作業者1への提示、作業者1によるミッションの結果の判定、及び判定の結果の出力のための情報処理を行う。
【0029】
図2(A)及び
図2(B)の作業システム10の構成は一例である。例えばサーバ装置14は、1台以上のコンピュータにより実現されてもよい。サーバ装置14は、クラウドコンピューティングにより実現してもよい。
図2(A)及び
図2(B)の作業システム10の構成は一例であって、用途や目的に応じて様々なシステム構成例があることは言うまでもない。
【0030】
図2の情報処理装置12、サーバ装置14、及びクライアント装置16は、例えば
図3に示すハードウェア構成のコンピュータ500により実現する。
【0031】
図3は、本実施形態に係るコンピュータの一例のハードウェア構成図である。
図3のコンピュータ500は、入力装置501、出力装置502、外部I/F503、RAM504、ROM505、CPU506、通信I/F507、及びHDD508などを備えており、それぞれがバスBで相互に接続されている。なお、入力装置501及び出力装置502はコンピュータ500に内蔵された形態であってもよいし、必要なときに接続して利用する外付けの形態であってもよい。
【0032】
入力装置501は、作業者1による入力操作を受け付けるタッチパネル、操作キーやボタン、キーボードやマウスなどを含む。また、入力装置501は作業者1の状態を推定するために必要な情報の一例である静止画又は動画を撮影するカメラなどの撮影装置、作業者1の状態を推定するために必要な情報の一例である脳波計データを計測する脳波計などを含む。
【0033】
出力装置502は、例えば表示装置3又はスピーカ4である。表示装置3は、例えば画面を表示する液晶や有機ELなどのディスプレイである。スピーカ4は、音声や音楽などの音データを出力する音声出力装置の一例である。通信I/F507は、コンピュータ500がネットワークを介してデータ通信を行うためのインターフェースである。
【0034】
また、HDD508は、プログラムやデータを格納している不揮発性の記憶装置の一例である。格納されるプログラムやデータには、コンピュータ500全体を制御する基本ソフトウェアであるOS、及びOS上において各種機能を提供するアプリケーションなどがある。なお、コンピュータ500はHDD508に替えて、記憶媒体としてフラッシュメモリを用いるドライブ装置(例えばソリッドステートドライブ:SSDなど)を利用するものであってもよい。
【0035】
外部I/F503は、外部装置とのインターフェースである。外部装置には、記録媒体503aなどがある。これにより、コンピュータ500は外部I/F503を介して記録媒体503aの読み取り及び/又は書き込みを行うことができる。記録媒体503aにはフレキシブルディスク、CD、DVD、SDメモリカード、USBメモリなどがある。
【0036】
ROM505は、電源を切ってもプログラムやデータを保持することができる不揮発性の半導体メモリ(記憶装置)の一例である。ROM505にはコンピュータ500の起動時に実行されるBIOS、OS設定、及びネットワーク設定などのプログラムやデータが格納されている。RAM504はプログラムやデータを一時保持する揮発性の半導体メモリ(記憶装置)の一例である。
【0037】
CPU506は、ROM505やHDD508などの記憶装置からプログラムやデータをRAM504上に読み出し、処理を実行することで、コンピュータ500全体の制御や機能を実現する演算装置である。CPU506は制御部の一例である。本実施形態に係るCPU506はプログラムを実行することで、後述する機能及び処理を実現できる。
【0038】
本実施形態に係る作業システム10の機能ブロックについて説明する。
図4は本実施形態に係る作業システムの一例の機能ブロック図である。なお、
図4の機能ブロック図は本実施形態の説明に不要な機能ブロックを適宜省略している。
【0039】
作業システム10はプログラムを実行し、情報受付部50、画像受付部52、作業者状態推定部54、ミッション設定部56、タイミング判定部58、ミッション提示部60、結果判定部62、結果出力部64、ミッション候補記憶部70、及びミッション記憶部72を実現する。
【0040】
情報受付部50は本実施形態に係る作業システム10の処理に必要な作業者1による入力操作の情報を受け付ける。また、情報受付部50は本実施形態に係る作業システム10の処理に必要な情報の提供を受け付ける。情報受付部50は管理システムなどの作業システム10以外の情報処理システムから情報の提供を受け付けてもよい。
【0041】
画像受付部52は本実施形態に係る作業システム10の処理に必要な生産作業中の作業者1の静止画又は動画などの撮影画像を受け付ける。また、画像受付部52は本実施形態に係る作業システム10の処理に必要な生産作業中の製品2の静止画又は動画などの撮影画像を受け付ける。作業者状態推定部54は、生産作業中の作業者1の静止画又は動画などの撮影画像、作業中の作業者1の脳波計データに基づき、作業者1の集中力、生産作業に対する慣れ、覚醒状態などを推定する。作業者1の集中力、生産作業に対する慣れ、覚醒状態などを推定する処理は公知技術である。
【0042】
例えば特開2019-159941号公報には、脳波計を用いて、作業者の作業に対する集中の程度を推定可能な技術が記載されている。生産作業に対する慣れは、例えば作業者1の作業回数などから推定できる。また、覚醒状態は作業者の作業に対する集中の程度から推定してもよい。
【0043】
ミッション設定部56は本実施形態に係る作業システム10の処理に必要なミッションを設定する。ミッション設定部56は、例えばミッション候補記憶部70に記憶されているミッション候補から、例えば予め決められたルールに従った内容、又はランダムな内容のミッションを設定できる。
【0044】
ミッション候補記憶部70は設定可能なミッション候補が記憶されている。設定可能なミッションの候補は、例えば標準の目標作業時間以内で生産作業を完了させるミッションの内容、作業者1ごとの平均の作業時間以内で生産作業を完了させるミッションの内容、正しい姿勢で生産作業を行うミッションの内容、又はミス無く生産作業を行うミッションの内容である。
【0045】
タイミング判定部58は、ミッションを設定するタイミングを判定する。タイミング判定部58は、例えば予め決められたルールに従ったタイミング、又はランダムなタイミングを、ミッションを設定するタイミングとして判定する。タイミング判定部58は作業者1からミッションを設定するタイミングの入力操作を受け付けてもよい。また、タイミング判定部58は、作業者1からミッションを設定する入力操作を受け付け、その入力操作のタイミングを、ミッションを設定するタイミングとして判定してもよい。
【0046】
ミッション設定部56はタイミング判定部58が判定したミッションを設定するタイミングに基づいてミッションを設定し、ミッション記憶部72に記憶させる。ミッション記憶部72は設定されたミッションが記憶されている。
【0047】
ミッション提示部60は作業者1に対して設定されたミッションをミッション記憶部72から読み出し、ミッションの開始と、開始されたミッションの内容とを、例えば表示装置3への表示又はスピーカ4からの音声出力により作業者1に提示する。例えば表示装置3への表示又はスピーカ4からの音声出力により作業者1は、ミッションの開始と、開始されたミッションの内容とを、認識できる。
【0048】
結果判定部62は、作業者1によるミッションの結果を判定する。結果判定部62は情報受付部50が受け付けた情報、画像受付部52が受け付けた情報、又は作業者状態推定部54が推定した生産作業中の作業者1の状態に基づいて、ミッション成功又は失敗を判定する。結果出力部64は作業者1によるミッションの結果を、例えば表示装置3への表示又はスピーカ4からの音声出力により作業者1に提示する。表示装置3への表示又はスピーカ4からの音声出力は一例であって、例えば音楽又は音の種類によりミッション成功又は失敗を区別して、作業者1によるミッションの結果を出力してもよい。また、作業者1によるミッションの結果は、ライトの点灯や点滅等の表示によりミッション成功又は失敗を区別して出力してもよい。
【0049】
図5は本実施形態に係る作業システムの処理の一例のフローチャートである。ステップS10において、作業システム10はミッションを設定するタイミングの設定を作業者1等から受け付ける。作業システム10は作業者1がミッションを設定して欲しいタイミングの設定を受け付けてもよい。作業システム10はミッションを設定するタイミングの予め決められたルールの設定を受け付けてもよい。作業システム10はミッションを設定するタイミングをランダムとする設定を受け付けてもよい。作業システム10は作業者1が申告したタイミングを、ミッションを設定するタイミングとしてもよい。
【0050】
例えば作業システム10は作業回数、作業精度などの作業者1の作業に関する情報と対応付けて、ミッションを設定するタイミングの予め決められたルールの設定を行ってもよい。例えば作業システム10は生産作業中の作業者1の作業回数(作業を完了した製品2の個数など)が所定回数を超えたタイミング、又は作業者1のミス回数が所定回数を超えたタイミング、にミッションが設定されるようにルールを予め決めて設定できる。
【0051】
また、作業システム10は推定可能な生産作業中の作業者1の集中力、作業者1の生産作業に対する慣れ、又は覚醒状態などの作業者1の状態と対応付けて、ミッションを設定するタイミングの予め決められたルールの設定を行ってもよい。例えば作業システム10は生産作業中の作業者1の集中力が所定値よりも低下したタイミング、生産作業に対する慣れが所定値よりも上昇したタイミング、又は作業者1の覚醒状態が所定値よりも低下したタイミング、にミッションが設定されるようにルールを予め決めて設定できる。
【0052】
作業システム10は生産作業中の作業者1にミッションを設定するタイミングであると判定するまでステップS12の処理を繰り返す。例えば作業システム10は、ミッションを設定するタイミングであれば、ステップS14の処理に進み、生産作業中の作業者1に対してミッションを設定する。
【0053】
ステップS16において、作業システム10は設定したミッションの開始と、開始されたミッションの内容とを、例えば表示装置3への表示又はスピーカ4からの音声出力により作業者1に提示する。例えば表示装置3への表示又はスピーカ4からの音声出力により作業者1は、ミッションの開始と、開始されたミッションの内容とを、認識できる。
【0054】
生産作業中の作業者1は、ミッションの開始を認識できるので、開始されたミッションをイベントとして集中力を向上できる。開始されたミッションに成功した作業者1は報酬を得るようにしてもよい。報酬を与えることで、本実施形態に係る作業システム10は作業者1の集中力の更なる向上を期待できる。
【0055】
作業者1に設定されたミッションが終了すると、作業システム10はステップS18からステップS20の処理に進む。ステップS20において、結果判定部62は、作業者1によるミッションの結果を判定する。例えば結果判定部62は、開始されたミッションの内容、情報受付部50が受け付けた情報、画像受付部52が受け付けた情報、及び作業者状態推定部54が推定した生産作業中の作業者1の状態に基づいて、ミッション成功又は失敗を判定する。
【0056】
標準の目標作業時間以内で生産作業を完了させるミッションの内容であれば、作業システム10は、作業者1が生産作業を完了させるまでに掛けた作業時間が標準の目標作業時間以内か否かにより、ミッション成功又は失敗を判定する。正しい姿勢で生産作業を完了させるミッションの内容であれば、作業システム10は、生産作業中の作業者1の作業姿勢と、生産作業中の作業者1の適切な作業姿勢(模範姿勢)との差異が許容範囲内であるか否かにより、ミッション成功又は失敗を判定する。また、ミス無く生産作業を完了させるミッションの内容であれば、作業システム10は、生産作業中の作業者1のミスがあるか否かにより、ミッション成功又は失敗を判定する。
【0057】
ステップS20の作業者1によるミッションの結果の判定は、生産作業中の作業者1の作業の丁寧さ、標準動作とのズレ、ドライバなどの工具の当て方、炎の当て方、集中力の度合、眠気度合、集中力が所定値以上であった継続時間など、の情報を利用するようにしてもよい。
【0058】
ステップS22において、作業システム10は作業者1によるミッションの結果としてミッション成功又は失敗を、例えば表示装置3への表示又はスピーカ4からの音声出力により作業者1に提示する。作業システム10は作業者1による生産作業が終了するまでステップS12~S24の処理を繰り返す。
【0059】
図5のフローチャートによれば、ステップS12において作業者1にミッションを設定するタイミングであると判定する度に、設定されたミッションの開始が作業者1に提示されることになる。したがって、作業者1は作業場において製品2の生産作業を繰り返すことで低下が予想される集中力を、ミッションの開始というイベントにより向上することができる。
【0060】
本実施形態に係る作業システム10では、例えば
図6~
図8に示すように、ミッションの開始の提示及びミッションの結果の出力を行う。
図6~
図8は、本実施形態に係る作業システムのミッションの開始の提示及びミッションの結果の出力の一例の説明図である。
【0061】
図6は、目標作業時間以内で生産作業を完了させるミッション例である。作業システム10は例えば表示装置3に「ミッション開始 60秒以内に作業を完了せよ!」という文章を表示装置3に表示することで、設定したミッションの開始とミッションの内容とを作業者1に提示する。
【0062】
作業システム10は、作業者1が生産作業に掛けた作業時間が目標作業時間以内であればミッションの結果を成功と判定し、表示装置3に「ミッション成功」の文章を表示することで、ミッションの結果を作業者1に出力する。また、作業システム10は、作業者1が生産作業に掛けた作業時間が目標作業時間以内でなければミッションの結果を失敗と判定し、表示装置3に「ミッション失敗」の文章を表示することで、ミッションの結果を作業者1に出力する。
【0063】
図7は、正しい姿勢で生産作業を完了させるミッション例である。作業システム10は例えば表示装置3に「ミッション開始 正しい姿勢で作業せよ!」という文章を表示装置3に表示することで、設定したミッションの開始とミッションの内容とを作業者1に提示する。
【0064】
作業システム10は、作業者1の撮影画像から作業者の姿勢を画像認識し、模範姿勢との差異が許容範囲内であればミッションの結果を成功と判定し、表示装置3に「ミッション成功」の文章を表示することで、ミッションの結果を作業者1に出力する。また、作業システム10は、作業者1の撮影画像から作業者の姿勢を画像認識し、模範姿勢との差異が許容範囲内でなければミッションの結果を失敗と判定し、表示装置3に「ミッション失敗」の文章を表示することで、ミッションの結果を作業者1に出力する。
【0065】
図8は、ミス無く生産作業を完了させるミッション例である。作業システム10は例えば表示装置3に「ミッション開始 ミス無く作業せよ!」という文章を表示装置3に表示することで、設定したミッションの開始とミッションの内容とを作業者1に提示する。
【0066】
作業システム10は、作業者1の撮影画像から作業者のミスを画像認識し、ミスが無ければミッションの結果を成功と判定し、表示装置3に「ミッション成功」の文章を表示することで、ミッションの結果を作業者1に出力する。また、作業システム10は、作業者1の撮影画像から作業者のミスを画像認識し、ミスがあればミッションの結果を失敗と判定し、表示装置3に「ミッション失敗」の文章を表示することで、ミッションの結果を作業者1に出力する。
【0067】
なお、作業者1の撮影画像から作業者のミスを画像認識により判定する処理は、例えば生産作業中の作業者1の撮影画像から作業者1の動作を認識し、標準動作とのズレを評価することで実行できる。
【0068】
以上、本実施形態について説明したが、特許請求の範囲の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。
【0069】
例えば上記の実施形態では、設定したミッションの開始及び内容を表示又は音声出力により作業者1に提示する例を説明したが、表示及び音声出力の両方で作業者1に提示するようにしてもよい。また、上記の実施形態では作業者1ごとにミッションを設定する例を説明したが、同一のチームなどの複数人の作業者1が所属するグループにミッションを設定してもよい。
【符号の説明】
【0070】
1 作業者
2 製品
3 表示装置
4 スピーカ
10 作業システム
12 情報処理装置
14 サーバ装置
16 クライアント装置
50 情報受付部
52 画像受付部
54 作業者状態推定部
56 ミッション設定部
58 タイミング判定部
60 ミッション提示部
62 結果判定部
64 結果出力部
70 ミッション候補記憶部
72 ミッション記憶部