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  • 特許-シリンダヘッド 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-11
(45)【発行日】2024-03-19
(54)【発明の名称】シリンダヘッド
(51)【国際特許分類】
   F02F 1/36 20060101AFI20240312BHJP
   F02F 1/38 20060101ALI20240312BHJP
   F01P 3/02 20060101ALI20240312BHJP
   F02F 1/24 20060101ALI20240312BHJP
【FI】
F02F1/36 A
F02F1/38 B
F01P3/02 H
F01P3/02 G
F02F1/24 F
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2021513825
(86)(22)【出願日】2019-09-09
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-04
(86)【国際出願番号】 AT2019060290
(87)【国際公開番号】W WO2020051607
(87)【国際公開日】2020-03-19
【審査請求日】2022-09-09
(31)【優先権主張番号】A50789/2018
(32)【優先日】2018-09-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AT
(73)【特許権者】
【識別番号】597083976
【氏名又は名称】アー・ファウ・エル・リスト・ゲー・エム・ベー・ハー
【氏名又は名称原語表記】AVL LIST GMBH
【住所又は居所原語表記】HANS-LIST-PLATZ 1,A-8020 GRAZ,AUSTRIA
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】クランプファー,マルティン
(72)【発明者】
【氏名】ツルク,アンドレアス
【審査官】竹村 秀康
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第08939116(US,B2)
【文献】特開2009-264255(JP,A)
【文献】再公表特許第2010/074273(JP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02F 1/00-1/42
F02F 7/00
F01P 3/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中間デッキ(Z)によって互いに分離された少なくとも一つの上側部分冷却室(O)および一つの下側部分冷却室(U)を有し、
燃焼室に延出しかつ前記中間デッキ(Z)を貫通する単一壁設計の要素(1)を有し、
前記二つの部分冷却室(O、U)間の前記要素(1)の領域に少なくとも一つの流れ接続部が形成された、内燃機関用のシリンダヘッドにおいて、
前記流れ接続部は、前記要素(1)上の少なくとも一つの凹み(2)であって、前記下側部分冷却室(U)に向かってテーパが付いた凹み(2)、によって形成され、
前記上側部分冷却室(O)から前記下側部分冷却室(U)にクーラントが流れ、
前記中間デッキ(Z)は、前記要素(1)が配置される実質的に円錐形の凹み(4)を有ることを特徴とする、シリンダヘッド。
【請求項2】
前記凹み(2)は、前記下側部分冷却室(U)に向かって連続的にテーパが付いている請求項1に記載のシリンダヘッド。
【請求項3】
前記凹み(4)は、前記中間デッキ(Z)の円錐加工によって生成される請求項1に記載のシリンダヘッド。
【請求項4】
前記要素(1)における少なくとも一つの凹み(2)が溝形状の設計であり、該凹み(2)は、バルブブリッジ(V)の方向に開放し、該凹み(2)の基底(5)が前記要素(1)の内部にある状態で整列していることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載のシリンダヘッド。
【請求項5】
各バルブブリッジ(V)に向かって開放した少なくとも一つの凹み(2)が前記要素(1)に形成されることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載のシリンダヘッド。
【請求項6】
少なくとも一つのチャネル(3)が前記要素(1)に設けられ、該チャネル(3)は、前記上側部分冷却室(O)と前記下側部分冷却室(U)の間の流れ接続に役立つことを特徴とする、請求項1からのいずれか一項に記載のシリンダヘッド。
【請求項7】
前記チャネル(3)の入口開口が、前記中間デッキ(Z)からの前記凹み(2)の始点(A)の距離(e)よりも大きな前記中間デッキ(Z)からの距離(a)を有することを特徴とする、請求項に記載のシリンダヘッド。
【請求項8】
前記チャネル(3)は、前記要素(1)における前記凹み(2)の基底(5)が配置される半径(T)よりも小さな前記要素(1)の半径(T)に配置されることを特徴とする、請求項6または7に記載のシリンダヘッド。
【請求項9】
前記チャネル(3)は、前記要素(1)の直径(D)に対して、0.02と0.2の間である比率(d/D)を有する直径(d)を有することを特徴とする、請求項6~8のいずれか一項に記載のシリンダヘッド。
【請求項10】
前記要素(1)は、前記中間デッキ(Z)に対して、前記上側部分冷却室(O)と前記下側部分冷却室(U)の間の流れ接続に役立つ環状間隙(R)を有することを特徴とする、請求項1からのいずれか一項に記載のシリンダヘッド。
【請求項11】
前記環状間隙(R)は、前記要素(1)の直径(D)に対して、0.05よりも小さな比率(B/D)を有する幅(B)を有することを特徴とする、請求項10に記載のシリンダヘッド。
【請求項12】
凹み(1)が、前記要素(1)の直径(D)に対して、0.2よりも小さな比率(w/D)を有する幅(w)を有することを特徴とする、請求項1から11のいずれか一項に記載のシリンダヘッド。
【請求項13】
前記流れ接続部は、前記上側部分冷却室(O)の領域に前記要素(1)に沿って第一の高さ(H)に入口横断面(A)を有し、該流れ接続部は、前記下側部分冷却室(U)の領域に前記要素(1)に沿って第二の高さ(H)に出口横断面(A)を有し、該入口横断面(A)および該出口横断面(A)は、互いに対して、1よりも大きな比率(A/A)にあることを特徴とする、請求項1から12のいずれか一項に記載のシリンダヘッド。
【請求項14】
前記要素(1)は、前記中間デッキ(Z)における前記流れ接続部からの領域において、最小直径(m)への狭窄部を有し、該最小直径(m)は、前記要素(1)の直径(D)に対して、0.3と0.8の間である比率(m/D)を有することを特徴とする、請求項1から13のいずれか一項に記載のシリンダヘッド。
【請求項15】
前記最小直径(m)は、前記要素(1)の直径(D)に対して0.4と0.6の間である比率(m/D)を有することを特徴とする請求項14に記載のシリンダヘッド。
【請求項16】
前記最小直径(m)は、前記要素(1)の直径(D)に対して0.46である比率(m/D)を有することを特徴とする請求項15に記載のシリンダヘッド。
【請求項17】
前記テーパの付いた凹み(2)は円錐形であることを特徴とする、請求項1から16のいずれか一項に記載のシリンダヘッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中間デッキによって互いに分離された少なくとも一つの上側部分冷却室および一つの下側部分冷却室を有し、単一壁設計であって、燃焼室に延出し、かつ前記中間デッキを貫通する要素を有する内燃機関のシリンダヘッドにおいて、前記二つの部分冷却室間の少なくとも一つの流れ接続部が前記要素の領域に形成されたシリンダヘッドに関する。
【0002】
前記シリンダヘッド内の高温を材料の許容範囲内に維持するためには、冷却室を介して前記シリンダヘッドを冷却するのが通例である。この目的のために、下側冷却区間から上側冷却区間へとクランクケースから、または、本発明のように、トップダウン冷却とも呼ばれるが、前記上側冷却区間から前記下側冷却区間へと、クーラントを前記シリンダヘッドに流そうとすることが規定される。
【0003】
これらの二つの異なるアプローチは、結果的に、前記シリンダヘッドおよび前記部分冷却室における流れ条件および冷却条件が非常に異なる。
【0004】
このような配置は、例えば、オーストリア特許第510857号明細書から知られている。これは、前記燃焼室内に延出する、スパークプラグまたはインジェクションノズル用の受容ソケット周りにあふれ開口を示している。当該あふれ開口は、前記中間デッキの輪郭によって予め決められ、製造可能性によって制限される。とりわけ、前記中間デッキを鋳造後に再加工することは容易ではない。これにより、熱的臨界区域、特に前記受容ソケット周りを冷却することがより困難になる。流れおよび受容ソケットの冷却は、前記中間デッキにおける前記開口の外形に左右される。
【0005】
同様のシリンダヘッドが、ドイツ特許第102005031243号明細書から知られている。これは、インジェクタまたはスパークプラグであり得る構成要素周りに冷却インサートを示している。このインサートは、当該インサートが、前記実際の構成要素周りまたは当該構成要素の受容スリーブ周りの唯一のインサートであるように設計されている。前記冷却インサートは二重壁設計であり、当該冷却インサートの外壁は、本質的に前記構成要素周りに中空シリンダを形成している。このインサートの内部も中空設計である。前記クーラントは、前記上側部分冷却室から前記冷却インサートの前記外壁の窓を通って前記冷却インサートの前記内部に流入し、前記下側部分冷却室へ向かう。前記外壁の窓を通って、前記クーラントは、次に前記冷却インサートから流出して前記下側部分冷却室に流入する。前記上側部分冷却室と前記下側部分冷却室の間の前記流れ接続部は、前記外壁と内壁の間の空洞によって形成される。ここでの欠点は、前記空洞内の流れが、付加的な手段がなければ特に方向付けされることができないため、前記インサート内の流れが望ましくない乱流を示すことである。
【0006】
前記要素上の凹みを通るテーパの付いた流れ接続部を備える冷却チャネル配置が、例えば、英国特許出願公開第2009846号明細書または特開2009‐264255号公報から知られている。英国特許出願公開第2009846号明細書では、前記要素は表面に半円形の凹みを有する。しかし、この配置は、非常に薄肉の要素に対してのみ、過熱を引き起こすことなく可能である。結果として、スパークプラグによる前記リセプタクルの熱的に高い応力の区域における特別な流れ制御ができない。また、前記シリンダヘッドは、前記シリンダブロックからのクーラントによって冷却される。当該クーラントが前記リセプタクルに至るまでに、当該クーラントは、特に予室のスパークプラグに関して、十分な冷却が保証されることができない程度まで加熱される。特開2009‐264255号公報では、屈曲部を有する内腔を備える複雑なチャネル配置が前記リセプタクルに設けられている。これは前記クーラントの流速に対してより良い影響を得ることができるが、製造が非常に複雑である。下方からの流れのため、当該クーラントもまた、前記熱的に高い応力の区域に至るまでに強力に加熱され、十分な冷却が容易には保証されることができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】英国特許出願公開第2009846号明細書
【文献】特開2009‐264255号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、冷却が改善したシリンダヘッドを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的は、本発明によれば、前記流れ接続部が、前記下側部分冷却室に向かって―特に連続的に―テーパの付いた、前記要素上の少なくとも一つの凹みによって形成され、クーラントが前記凹みを通って前記上側部分冷却室から前記下側部分冷却室に流れる点で、最初に言及したシリンダヘッドによって達成される。
【0010】
これにより、予め決定することができる流れを得ることが容易になり、したがって、前記シリンダヘッドに要求されるように影響を受けることができる流れを得ることも容易になる。
【0011】
前記凹みは、前記要素全体からの孔など、前記要素の大きさと比べて小さい寸法を有する。
【0012】
前記要素における少なくとも一つの凹みが溝形状であり、当該凹みは、バルブブリッジの方向に開放し、当該凹みの基底が本質的に前記要素の内部にある状態で整列していると特に有利である。これにより、前記バルブ間の前記臨界区域が特に冷却されることができる。
【0013】
この効果をさらに高めるために、各バルブブリッジに向かって開口した少なくとも一つの凹みが前記要素に形成され、好ましくは各バルブブリッジに対して三つの凹みが前記要素に形成されると好都合である。
【0014】
前記中間デッキの形状が前記流れ接続部の前記テーパに寄与すると有利である。これは、前記中間デッキが、前記要素が配置される実質的に円錐形の凹みを有すると達成が特に容易であり、この凹みは、好ましくは、前記中間デッキの円錐加工によって作られる。この結果、前記要素周りの前記流速は、よい影響を受けて有利に増加することができる。
【0015】
これにより、副室周りの区域に、または前記燃焼室の方向に、前記流れを集中させることが容易になる。これらの熱的に高い応力の区域へのこの集中は、有利には、前記クーラントの流れが前記バルブブリッジに分流される前に行われる。この結果、前記区域に対する冷却効果が大幅に改善され、前記燃焼室に対する壁、すなわち、前記燃焼室プレートの冷却が改善される。
【0016】
特定の実施形態では、前記上側部分冷却室と前記下側部分冷却室の間の流れ接続に役立つ少なくとも一つのチャネルが前記要素に設けられると規定される。
【0017】
最も簡単で可能な配置を得るために、前記チャネルの入口開口は、前記中間デッキからの前記凹みの始点の距離よりも大きな前記中間デッキからの距離を有すると有利である。同じ利益は、前記チャネルが、前記要素における前記凹みの前記底部が配置される半径よりも小さい当該要素の半径に配置されると規定される一実施形態からも得られる。これにより、前記凹みの内側に前記チャネルを配置することが可能になり、前記要素だけでなく前記バルブブリッジも、前記凹みを通して全体的に冷却されることができる。内腔として設計されることができる前記チャネルを通して、前記要素の内側を特に冷却することができる。
【0018】
良好な冷却を達成するためには、前記チャネルは、前記要素の直径に対して、0.02と0.2の間、好ましくは0.06と0.1の間、特に約0.08である比率を有する直径を有すると有利である。
【0019】
冷却の視点からは、特定の実施形態において、前記要素は、前記中間デッキに対して、前記上側部分冷却室と前記下側部分冷却室の間の流れ連通に役立つ環状間隙を有すると規定されると好都合である。
【0020】
前記環状間隙を介した冷却は、当該環状間隙の幅が、前記要素の前記直径に対して、0.05未満、好ましくは0.02未満、特に0.015未満である比率を有すると好影響を受けることができる。
【0021】
同じ効果は、凹みが、前記要素の前記直径に対して、0.2未満、好ましくは0.1未満、特に約0.06である比率を有する幅を有する場合にも得ることができる。
【0022】
前記流れを加速させることによって前記冷却に好影響を与えて改善するためには、前記流れ接続部は、前記上側部分冷却室の領域内の前記要素に沿って第一の高さに入口横断面を有し、当該流れ接続部は、前記下側部分冷却室の領域内の前記要素に沿って第二の高さに出口横断面を有し、当該入口横断面と当該出口横断面は、互いに対して、1よりも大きく、好ましくは1.6より上であって、特に好ましくは約1.82である比率にあると有利である。
【0023】
前記流れは、前記要素が、前記中間デッキにおいて前記流れ接続部からの区域において最小直径への狭窄部を有する場合にも改善され、この最小直径と直径の比率は、0.3と0.8の間、特に0.4と0.6の間、特に好ましくは約0.46である。
下記では、非限定的な図面における実施形態を参照して、本発明をより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】第一の実施形態における本発明に係るシリンダヘッドの細部を図2の線I‐Iに係る断面で示す。
図2】前記シリンダヘッドの前記細部を図1の線II‐IIに係る断面で示す。
図3】要素周りの前記シリンダヘッドの概略的な流れ縦断面図を示す。
図4】第二の実施形態における本発明に係るシリンダヘッドの図1から図3と類似の前記細部の概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1は、内燃機関のシリンダヘッド(より詳細には図示せず)に配置された要素1を示す。図示の実施形態では、この要素1は、スパークプラグを受容するためのスリーブとして設計されている。図示しない一実施形態において、前記要素1は、別の構成要素を受容するように設計されることができ、または当該対応の構成要素自体であることもできる。
【0026】
前記シリンダヘッドではクーラントによる冷却が提供される。この目的のため、前記シリンダヘッドは、上側部分冷却室Oと、当該上側部分冷却室Oから中間デッキZによって分離された下側部分冷却室Uとを有する。前記上側部分冷却室Oおよび前記下側部分冷却室Uは流れ接続部を有する。
【0027】
図示の本実施形態では、この流れ接続部は、前記要素1における数個の凹み2およびチャネル3と、当該要素1周りの環状間隙Rとによって形成されている。前記凹み2は、この流れ接続部を、前記要素1が配置される前記中間デッキZにおける円錐形の凹み4とともに形成している。
【0028】
前記凹み2は、前記要素1における溝として設計されており、当該溝は始点Aから始まっている。当該始点Aは、前記溝の出口が始まる点を示し、当該出口は、図示の本実施形態では湾曲しているが、別の実施形態では真っ直ぐであることができる。前記溝の前記始点Aは、前記上側部分冷却室O内に配置され、前記中間デッキZから距離eを有する。前記凹み2を形成する前記溝の底部5は屈曲または屈折している。
【0029】
図示の本実施形態では、前記凹み2は、前記上側部分冷却室Oから前記中間デッキZ内の区域までの上側区域のみにおける溝として設計されている。前記下側部分冷却室Uに向かって、前記凹み2は、前記要素1が前記溝の端部にショルダ6で終わる直径Dを有するように設計されている。この場合、前記流れ接続部は、さらなる環状間隙の形状を有する前記凹み2によって形成される。この場合、前記環状間隙Rも、このさらなる環状間隙に合流する。
【0030】
前記下側部分冷却室Uの方向における前記ショルダ6からの要素1と中間デッキZの間の短い真っ直ぐな区間の後、要素1も円錐状にテーパが付いている。要素1上の円錐面は、中間デッキZ上の円錐面と同じ高さから始まる。これにより、前記クーラントが前記上側部分冷却室Oから前記下側部分冷却室Uに流入する流れ横断面が減少する。要素1上の前記真っ直ぐな円柱面から前記円錐面へのこの移行部において、要素1は角度αを有し、当該角度αは、図示の本実施形態では約40°である。この場合、他の実施形態では、前記角度αに関して異なる量も可能である。
【0031】
前記中間デッキZと要素1上の円錐区域の同様の形状により、この区域における前記クーラントは、ほぼ前記角度αで偏向する。
【0032】
前記下側部分冷却室Uの区域において、要素1は最小直径mを有する。要素1上のこの区域において、前記クーラントは、図示の本実施形態では前記下側部分冷却室Uに入り、90°より大きな角度で偏向する。同時に、前記凹み2は、前記最小直径mの要素1上にも続いている(これは、図3により詳細に見ることができ、ここでより詳細に説明する)。
【0033】
図示の本実施形態では、前記クーラントは、前記上側部分冷却室Oから矢印8に沿って、前記要素1周りに配置された前記均一な環状間隙Rに流入し、かつ前記凹み2および前記チャネル3または複数のチャネル3を通って前記下側部分冷却室Uに流入する。前記チャネル3および前記凹み2において、前記流れは、図示の本実施形態では少なくとも一回偏向され、前記横断面の前記テーパにより、前記クーラントの前記速度が相応に増加する。
【0034】
主流方向が前記上側部分冷却室Oから前記下側部分冷却室Uに向かう冷却システムはトップダウン冷却と呼ばれる。
【0035】
第一の高さH1において、一つのチャネル/複数のチャネル3、複数の凹み2および一つの環状間隙Rの総体をなす前記流れ接続部は入口横断面A1を有し、第二の高さH2において、前記流れ接続部は出口横断面A2を有する。出口横断面A2と入口横断面A1は、互いに対して1.8である比率A1/A2を有する。これにより、要素1の高さに沿って前記流れが加速する。
【0036】
さらに、図1は、前記要素1における前記チャネル3および前記凹み2の配置を示す。ここで、前記チャネル3は、本質的に、前記要素1の半径r1に当該要素1の回転軸7の方向のボアとして配置されている。前記凹み2の前記基底5は、実質的に前記要素における半径r2に配置されている。前記チャネル3が配置される前記半径r1は、前記要素1において前記基底5が配置される前記半径r2よりも小さい。
【0037】
図2では、前記要素1が各バルブブリッジVに対していくつかの凹み2を有していることが分かる。凹み2の数は、冷却要件および前記要素1の大きさによって変わり得る。
【0038】
図示の本実施形態では、各バルブブリッジVに対して三つの互いに平行な凹み2が設けられている。これらの凹み2は溝を表しており、当該溝の基底5は、いずれの場合も前記要素1の内部の方を向いている。
【0039】
前記要素1の前記内部には、前記チャネル3も、二つの凹み2間で延在するようにして見える。互いに対して90°に配置されるこれらの二つの凹み2は、前記要素1の内側により小さな深さtを有する。前記凹み2の幅wは、全ての凹み2に関して実質的に同じである。前記チャネル3は直径dを有する。
【0040】
図3は、要素1内および要素1周りの流れ縦断面図を概略的に示す。ここで、前記流速が前記下側部分冷却室Uの方向に増加していることが分かる。さらに、下側区域では、要素1上の前記凹み2が見えなくなる区域の後、前記深さtが底部に向かって、すなわち燃焼室に向かって再び増加していることが分かる。これにより、前記流れをより良好に案内することが可能になる。
【0041】
図4は、本発明に係る前記シリンダヘッドの第二の実施形態を示す。主な特徴は同一に設計されており、前記第一の実施形態との違いのみを以下に述べる。
【0042】
この第二の実施形態では、前記要素は、互いに隣接して配置された、二つのバルブブリッジVに向かって異なる深さtを有するそれぞれ五つの凹み2を有する。これらの二つの凹み2の群に対向して、当該要素1上にそれぞれ凹み2が四つだけ配置され、三つのチャネル3が間に設けられている。この図から分かるように、当該バルブブリッジVにはそれぞれ一つの冷却チャネルも設けられている。
図1
図2
図3
図4