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▶ エー. ダブリュー. チェスタートン カンパニーの特許一覧

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-11
(45)【発行日】2024-03-19
(54)【発明の名称】RFIDセンサ一体型メカニカルシール
(51)【国際特許分類】
   F16J 15/34 20060101AFI20240312BHJP
【FI】
F16J15/34 Z
F16J15/34 E
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021516753
(86)(22)【出願日】2019-09-27
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-04
(86)【国際出願番号】 US2019053472
(87)【国際公開番号】W WO2020069324
(87)【国際公開日】2020-04-02
【審査請求日】2022-09-26
(31)【優先権主張番号】62/737,623
(32)【優先日】2018-09-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512115807
【氏名又は名称】エー. ダブリュー. チェスタートン カンパニー
【氏名又は名称原語表記】A.W. CHESTERTON COMPANY
【住所又は居所原語表記】860 Salem Street, Groveland, MA 01834 (US).
(74)【代理人】
【識別番号】100136630
【弁理士】
【氏名又は名称】水野 祐啓
(74)【代理人】
【識別番号】100201514
【弁理士】
【氏名又は名称】玉井 悦
(72)【発明者】
【氏名】ストロンク, ジョン, エム.
【審査官】宮下 浩次
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0161587(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0298796(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16J 15/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
メカニカルシール組立品(10)であって、
外表面に複数のセンサ開口部(58)が形成されたハウジング(52)を有し、前記複数のセンサ開口部(58)は第1のセンサ開口部(58)及び第2のセンサ開口部(58)を含前記第1のセンサ専用開口部(58)及び前記第2のセンサ専用開口部(58)は前記ハウジング(52)の内表面までには至らない深さを有する、グランド組立品(50)と、
シャフトの周囲に配置され、且つ前記グランド組立品(50)内に配置された、スリーブ組立品(60)と、
前記スリーブ組立品(60)に回転可能に結合された、回転シールリング(20)と、
前記回転シールリング(20)と動作可能に接触するように配置されて、前記回転シールリング(20)との間にシールを形成する、静止シールリング(30)と、
前記第1のセンサ専用開口部(58)内に配置された第1のセンサ(80)及び前記第2のセンサ専用開口部(58)内に配置された第2のセンサ(82)と、
を備え、
前記第1のセンサ(80)及び前記第2のセンサ(82)はRFIDセンサであり、前記第1のセンサ(80)は高周波数RFIDセンサであり、前記第2のセンサ(82)は超高周波数RFIDセンサである、
メカニカルシール組立品(10)
【請求項2】
前記第1のセンサ専用開口部(58)及び前記第2のセンサ専用開口部(58)は互いに隣接している、請求項に記載のメカニカルシール組立品(10)
【請求項3】
前記第1のセンサ専用開口部(58)及び前記第2のセンサ専用開口部(58)は互いから周方向に分離している、請求項に記載のメカニカルシール組立品(10)
【請求項4】
前記第1のセンサ(80)及び前記第2のセンサ(82)は熱可塑性材料で被覆されている、請求項に記載のメカニカルシール組立品(10)
【請求項5】
前記熱可塑性材料はポリエーテルエーテルケトン(PEEK)材料である、請求項に記載のメカニカルシール組立品(10)
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本発明は、その内容を引用して本明細書に援用する2018年9月27日付けの「MECHANICAL SEAL WITH INTEGRATED RFID SENSOR」と題する米国特許仮出願第62/737,623号の優先権を主張する。
【0002】
発明の分野
本発明は、固定ハウジング構成要素に対してシャフト又はロッドを密封するためのメカニカルシール組立品に関する。本発明は、一般にメカニカルシールに関し、より詳細には、センサを使用するメカニカルシールに関する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
従来のメカニカルシール組立品は、流体密シールを提供するために、例えば機械装置における多種多様な環境及び設定において使用されてきた。通常、こうした密封組立品は、固定機械ハウジング内に取り付けられ且つそのハウジングから突出する回転シャフト又はロッドの周囲に設けられる。
【0004】
分割メカニカルシールを含む従来のメカニカルシールは、圧密且つ流体密シールを提供するために、多種多様な機械的装置で使用されている。通常、こうしたメカニカルシールは、固定ハウジング内に取り付けられ且つそのハウジングから突出する回転シャフトの周囲に設けられる。メカニカルシール組立品は、通常はシャフトの出口でハウジングの外側にボルト止めされており、よって加圧プロセス流体がハウジングから流出するのを防いでいる。典型的なメカニカルシールは面型(原語:face-type)メカニカルシールを含むが、この面型メカニカルシールには、シャフトの周囲に同心状に配置されると共に、軸方向に互いから離間された一対の密封リングが含まれる。各密封リングは、付勢クリップ又はばねを含む従来の付勢機構によって互いに密封接触するように付勢された密封面を備えている。通常は、1つのシールリングが静止状態を維持し(即ち、静止シールリング)、他方のシールリングがシャフトに固定され且つ一体的に回転する(即ち、回転シールリング)。このメカニカルシールは、シールリングの密封面を互いに密封接触するように付勢することによって、加圧プロセス流体が外部環境に漏れ出すのを防ぐ。通常、回転シールリングは、機器シャフトの周囲に同心状に配置されたホルダ又はスリーブ組立品内に取り付けられる。同様に、グランド組立品は、中実であっても、又はねじで互いに固定した一対のグランド半割れを備えてもよい。静止シール要素は、典型的にはグランド組立品内に取り付けられる。
【0005】
メカニカルシールの維持に関わる共通の問題として、メカニカルシールは、保守人員によるアクセスの困難な場所に取り付けられる場合が多い。更に、商業施設や産業施設では、多数のメカニカルシールを使用する場合があり、保守人員によるこれらの目視検査には多くの時間を要する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
発明の概要
本発明の目的は、メカニカルシールであって、メカニカルシールの選択パラメータを感知又は検出するための、例えば無線周波数識別(radio frequency identification:RFID)センサなどの1つ以上のセンサを使用したメカニカルシールを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、同じ又は異なる周波数で動作する、例えばRFIDセンサなどの複数のセンサを使用したメカニカルシール組立品に関する。これらのセンサは、低周波数領域又は高周波数領域のうちの1つ以上、あるいは超高周波数領域の1つ以上の帯域、あるいはこれらの周波数領域の任意の組み合わせで動作することができる。
【0008】
一実施形態では、本発明のメカニカルシール組立品は、複数のセンサ開口部が形成されたハウジングを有し、複数のセンサ開口部は第1のセンサ開口部及び第2のセンサ開口部を含む、グランド組立品と、シャフトの周囲に配置され、且つグランド組立品内に配置された、スリーブ組立品と、スリーブ組立品に回転可能に結合された回転シールリングと、回転シールリングと動作可能に接触するように配置されて回転シールリングとの間にシールを形成する、静止シールリングと、第1のセンサ開口部内に配置された第1のセンサ及び第2のセンサ開口部内に配置された第2のセンサと、を備える。好適な一実施形態では、第1及び第2のセンサはRFIDセンサである。
【0009】
第1のセンサ及び第2のセンサは、無線周波数識別(RFID)センサ、温度センサ、圧力センサ、運動センサ及び湿度センサを含んでもよい。好適な一実施形態では、第1のセンサは高周波数RFIDセンサであり、第2のセンサは超高周波数RFIDセンサである。更に、第1のセンサ開口部及び第2のセンサ開口部は、互いに隣接していてもよいが、互いから周方向に分離又は離間していてもよい。
【0010】
更に、第1のセンサ及び第2のセンサは、例えばポリエーテルエーテルケトン(polyether ether ketone:PEEK)材料などの熱可塑性材料で被覆されていてもよい。
【0011】
本発明は更に、メカニカルシール組立品であって、複数のセンサ開口部が形成されたハウジングを有し、複数のセンサ開口部が第1のセンサ開口部及び第2のセンサ開口部を含む、グランド組立品と、シャフトの周囲に配置され、且つグランド組立品内に配置された、スリーブ組立品と、第1のセンサ開口部内に配置された第1のRFIDセンサ及び第2のセンサ開口部内に配置された第2のRFIDセンサと、を備え、第1のRFIDセンサは高周波数RFIDセンサであり、第2のRFIDセンサは超高周波数RFIDセンサである、メカニカルシール組立品に関する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
本発明のこれらの及びその他の特徴及び利点は、次の詳細な説明と添付の図面とを組み合わせて参照することでより完全に理解されるはずであり、図面の中の類似した参照記号は、これら複数図面を通して類似の部材を指す。これら図面は、本発明の原理を表すもので、縮尺は一定ではないが、相対的寸法を示す。
図1図1は、本発明の教示による、複数のセンサをグランド組立品内に取り付けるメカニカルシール組立品の斜視図である。
図2図2は、本発明の教示による、図1のメカニカルシール組立品の断面図である。
図3図3は、本発明の教示による、図1のメカニカルシール組立品のセンサ位置を図示した上部半透明斜視図である。
図4図4は、本発明の教示による、異なる位置に取り付けられた複数のセンサを図示した、メカニカルシール組立品の第2の実施形態の上部半透明斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は、回転シャフト又は他の適切な装置における密封を実現するためのメカニカルシール組立品を提供する。図示した実施形態に関連して本発明を以下の記載で説明する。当業者であれば、本発明は、多数の異なる応用例及び実施形態で実現可能であり、その使用は本明細書に記載した特定の実施形態に特に限定されないことは理解するはずである。
【0014】
本開示で使用する「シール組立品」及び「密封組立品」という用語は、シングルシール、分割シール、同心シール、螺旋シール、及び他のタイプの既知のシール及び密封組立品及び構成品を含む様々なタイプの密封組立品を含むことを意図している。
【0015】
「シャフト」という用語は、機械システムにおいてシールを取り付け可能な任意適切な装置を指すことを意図し、軸、ロッド、及び他の既知の装置を含む。
【0016】
本明細書で用いる「軸方向の」及び「軸方向に」という用語は、シャフトの軸に概ね平行な方向を示す。本明細書で用いる「半径方向の」及び「半径方向に」という用語は、シャフトの軸に概ね直角な方向を示す。「流体」及び「複数の流体」という用語は、液体、気体、及びそれらの組み合わせを指す。
【0017】
本明細書で用いる「軸方向内側」という用語は、シール組立品を使用する機械システムの近位に配置された固定装置及びシール組立品の部分を示す。反対に、本明細書で用いる「軸方向外側」という用語は、その機械システムから遠位の固定装置及びシール組立品の部分を示す。
【0018】
本明細書で用いる「半径方向内側」という用語は、シャフトに近位のシール組立品の部分を示す。反対に、本明細書で「半径方向外側」という用語は、そのシャフトから遠位のシール組立品の部分を示す。
【0019】
本明細書で用いる「固定装置」及び/又は「静止面」という用語は、グランドを有するシールが固定されるシャフト又はロッドを収容する任意適切な固定構造体を含むことを意図する。当業者であれば、グランド組立品がメカニカルシールの部分又は固定装置の部分を形成してもよいことも理解するはずである。
【0020】
本発明の例示的な実施形態のメカニカルシール組立品は、該メカニカルシール組立品内の選択位置に回転密封部材を取り付け且つ保持するための改良型回転シールリングホルダ又はスリーブ、並びに/あるいは該メカニカルシール組立品の固定部材を固定装置に接続するための改良型グランド組立品、並びに/あるいは固定装置内のプロセス流体を密封するための改良型シールリングを用いることができる。
【0021】
図1乃至3は、本発明の第1の実施形態によるメカニカルシール組立品10を示す。メカニカルシール組立品10は、第1軸12に沿って延伸するシャフト(図示せず)の周りに好適には同心円状に配置されると共に、ポンプ又は他の機械的装置のような固定装置の外側壁に固定されている。シャフトは、少なくとも部分的にはハウジング内部に又はハウジングに隣接して取り付けることができる。メカニカルシール組立品10は流体密シールを形成するように構成することができ、従ってプロセス媒体(例えば流体)が固定装置から逃げ出すのを防止する。流体密シールは、一対のシールリング20及び30として図示する密封部材で達成される。これら図示のシールリングは、互いに動作可能に密封接触するように配置されてその間にシールを形成する第1すなわち回転シールリング20と第2すなわち固定シールリング30とを含む。各シールリング20及び30はそれぞれ、1つ以上の付勢リング42及び複数の付勢ばね44を含み得る付勢組立品40によって相互に密封接触するよう付勢されている滑らかな弓形密封表面を備える。シールリング20及び30は、中実であっても、又はメカニカルシール組立品の取り付けを容易にするために一対のシールリング区分にそれぞれ分割されてもよい。シールリング20、30の密封表面は、広範囲の動作条件で動作可能な流体密シールを実現する。
【0022】
メカニカルシール組立品10は、グランド組立品50と、グランド組立品50内に着座するホルダ又はスリーブ組立品60とを更に含むことができる。スリーブ組立品60は、任意選択の形状又は外形を有してもよく、図示の実施形態では、シャフトの周囲に配置され、且つこれに回転可能に結合されたスリーブとして形成されている。スリーブ組立品は、グランド組立品によって形成される内部空間内に配置されている。スリーブ組立品60は、スリーブ部分64と、回転シールリング20を収容し且つ保持するための空間を画定するフランジ部分62とを有する。スリーブ組立品60上に、1つ以上のシール要素を着座させるための任意選択の数の溝が形成されていてもよい。例えば、スリーブ組立品60は、固定装置内のプロセス流体を密封するために、シール要素116、118を対応する溝内に着座させる。
【0023】
図示のメカニカルシール組立品10は、シールリング20、30とグランド組立品50との間に取り付けられたキャリア要素90を更に含むことができる。キャリア要素は、第1の軸12に沿って軸方向に移動するように構成されており、固定装置内のプロセス流体を大気から密封するためのOリングとして形成された複数のシール要素92を着座させる。平らなガスケット要素94が、キャリア要素90内に形成された対応する溝内に着座され、キャリア90を固定装置に対して密封する。キャリア要素90は更に、キャリア内の溝内に配置され且つスリーブ部分64と対面又は接触する制限ブッシングを取り付けることができる。
【0024】
メカニカルシール組立品10は、スリーブ組立品60のスリーブ部分64の軸方向外方部分に結合されたロックリング100を更に含む。ロックリング100は、スリーブ組立品60及び関連するシールリング20、30をメカニカルシール内でロックする役割を果たす。複数のスペーシング要素110を、ロックリング100内に形成された溝と嵌合させて、スリーブ組立品60、シールリング20、30及びキャリア要素90などの選択要素をメカニカルシール組立品10内で位置決めするために使用してもよい。スペーシング要素を、シール使用中に回転又は旋回してロックリングから離れるように構成してもよい。スペーシング要素は、その内容を引用して本明細書に援用する米国特許第6,935,632号に記載されている。スリーブ組立品60は、スリーブ組立品60、ひいてはシールリング20、30をシャフトに対してセンタリングするための複数のセンタリング要素102を更に含むことができる。
【0025】
グランド組立品50及びスリーブ組立品60は、中実であっても、又はメカニカルシール組立品の組み立て及び取り付けを容易にするために一対の弓形区分に分割されてもよい。図示のグランド組立品50は、複数のボルト開口部54が形成された外部ハウジング部分52を有する一般的なハウジングを有する。ボルト開口部54は、グランド組立品50、ひいてはメカニカルシール組立品10を固定装置に固定するボルト(図示せず)を着座させるように構成されている。グランド組立品50は更に、グランドの内側領域、ひいてはシールと外部から供給される流体との間の流通を可能にするための、グランドハウジングの内表面と外表面との間に形成された1つ以上の流体開口部を有してもよい。流体開口部56は、このように、固定装置内のプロセス流体と、外部環境又は流体開口部に結合可能な外部流体源との間の流通を可能にする。流体開口部56を、バリア又はフラッシング流体などの選択流体を受け入れるように構成してもよい。
【0026】
外部ハウジング部分52は、それぞれセンサ80、82を取り付けるための大きさ及び構成の1つ以上、好適には一対のセンサ開口部58を更に含む。センサ開口部は、任意選択の形状を有してもよく、軸12に対して垂直であっても、又は軸12に対して傾斜しているか若しくは横向きであってもよい。センサ80、82は、無線周波数識別(RFID)センサ、温度センサ、圧力センサ、運動センサ、湿度センサなどの任意選択の種類のセンサであってもよい。一実施形態では、センサはRFIDセンサであるか、又は、無線周波により作動され、従ってRFIDセンサとして動作且つ機能する別の種類のセンサであってもよい。RFIDセンサ80、82は、タグと関連付けられた識別情報を格納することができ、従って、特定のメカニカルシール組立品10、ひいては固定装置の位置を識別するために使用可能である。これらのセンサに、システム要件及びユーザ要件に基づいて任意選択の種類の情報が格納されてもよい。RFIDセンサ80、82は、読取り専用センサ、読取り/書込みセンサ、又はこれらの組み合わせであってもよい。本発明での使用に適したRFIDセンサの好適な一例は、米国のInfochip社により製造販売されている。更に、RFIDセンサは、ローカル電源を含まず、代わりにRFIDリーダの電磁エネルギーに依存する受動型RFIDセンサであるか、又はローカル電源を含む能動型RFIDセンサであるか、あるいはこれらの組み合わせであってもよい。RFIDセンサは、当業で知られているように、RFIDリーダと接続されて動作するように構成されている。
【0027】
センサ開口部58を、メカニカルシールの種類及び具体的な顧客用途に基づいて、グランド組立品50の外部グランドハウジング部分52の選択位置に形成してもよい。例えば、センサ開口部を、取り付け後のシール及びセンサへのアクセス性と、設置時のセンサ信号のロバスト性とに基づいて、メカニカルシール組立品内に配置してもよい。好適な一実施形態では、グランド組立品50が一対のセンサ開口部58、58を有してもよく、またセンサ開口部は、グランド内の任意選択の位置に形成することができ、好適には互いに隣接して形成される、図3図4は、開口部が互いから空間的に分離されるように、センサ80、82がグランド組立品50の外部ハウジング部分52の周方向に異なる位置に取り付けられた、本発明の第2の実施形態を図示している。グランド組立品50は更に、グランド、ひいてはシールの内側領域と外部から供給される流体との間の流通を可能にするための、グランドハウジングの内表面と外表面との間に形成された1つ以上の流体開口部を有してもよい。流体開口部56は、このように、固定装置内のプロセス流体と、外部環境又は流体開口部に結合可能な外部流体源との間の流通を可能にする。流体開口部56を、バリア又はフラッシング流体などの選択流体を受け入れるように構成してもよい。当業者であれば、センサをグランド組立品50内以外の場所に取り付けてもよいことを容易に理解するはずである。例えば、センサを、グランド組立品の内側の、スリーブ組立品、シールリング、キャリア、ロックリングなどの別のシール構成要素に隣接した部分に取り付けるか、あるいはこれらの別のシール構成要素の上又は中に取り付けてもよい。当業者であれば、本明細書の教示に基づいて、任意の好適な数のセンサをメカニカルシール組立品と組み合わせて採用できることを理解するはずである。
【0028】
RFIDセンサ80、82を、センサを外部環境から保護するために任意選択の材料で被覆してもよい。一実施形態では、センサ80、82はそれぞれ、熱可塑性材料などの可塑性材料で被覆することができる。そのような材料の1つが、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)材料であってもよい。材料が、化学的適合性、最適なセンサ設置及び全体としての機械的ロバスト性を実現できるように選択されてもよい。
【0029】
センサ80、82を、選択された波長又は周波数で放射又は動作を行うように構成してもよく、2つ以上のセンサがメカニカルシール組立品10のグランド組立品50内に取り付けられている場合には、これらのセンサは好適には、低周波数(例えば約120KHz~140KHz)、高周波数、及び/又は超高周波数、あるいはこれらの組み合わせなどの異なる周波数で放射を行う。例えば、一実施形態では、1つのRFIDセンサ80が高周波数(例えば約12~15MHz)で放射を行い、他方のセンサが超高周波数(例えば約850~960MHz又は約2.4~2.5GHz)で放射を行ってもよい。別の一実施形態では、これらのセンサは、同じ周波数で動作しても、又は低周波数、高周波数、及び超高周波数領域内の異なる周波数領域で動作してもよい。
【0030】
RFIDセンサ80、82を、摩擦嵌め又は圧入技術を含めた既知の技術を使用してセンサ開口部58、58内に配置及び固定してもよく、あるいは接着剤を使用してこれらの中に固定してもよい。
【0031】
上述のように、メカニカルシールのグランド内に形成されたセンサ開口部を、メカニカルシールの種類に応じて選択された角度で傾斜させるか又は角度付けしてもよい。センサ開口部の位置を、シールの向きの組み合わせを最適化又は補完するように選択してもよい。メカニカルシールは更に、RFID型センサの開放端挿入を可能にすると同時にセンサの意図しない飛び出しを防止する、特殊な設計のスロット深さ及び開口部直径を有してもよい。
【0032】
RFIDセンサを、シールの動作環境と化学的に適合性であることによって適切なレベルの化学的ロバスト性を発揮するように選択してもよい。こうすることで、RFID型センサを、センサによって送受信される無線周波信号に悪影響を及ぼしたり、これらと干渉したりすることなく、多種多様なメカニカルシールに開放端形式で使用且つ設置することが可能となる。この結果、センサ信号の比較的容易な読み取りが可能となり、また信号のより遠距離での有害な干渉を受けない読み取りが可能となる。更なる利点として、RFIDセンサは、操作者が動作中の、従って危険を伴う機器に接近することを必要とせずに、RFIDセンサから信号を取得することを可能にする。
【0033】
本発明で説明するメカニカルシール組立品10のいくつかの構成要素は、その内容を引用して本明細書に援用する、本願の譲受人に譲渡された米国特許第5,571,268号、同第7,708,283号及び同第10,352,457号に記載のメカニカルシール組立品と同様である。本発明のメカニカルシール組立品は、図示の中実シール、分割シール、螺旋シール、タンデムシール、カートリッジシール、EPSシール、平衡型シール、不平衡型シール、プッシャシール、ラビリンスシール、面シール、液圧シール、空圧シールなどを含めた任意の種類のメカニカルシールを含み得るメカニカルシールを含む。
【文献】米国特許第5571268号公報
【文献】米国特許第7708283号公報
【文献】米国特許第10352457号公報
【0034】
従って、本発明は、これまでの記載から明らかとなった目的に含まれる、既に記載した目的を有効に達成することが分かるはずである。本発明の範囲を逸脱することなく上記の構成に対して一定の変更を施すことが可能であるから、この説明に含まれ或いは添付の図面に示された事項全ては、例示的なものとして解釈されるべきであり、限定的な意味で解釈されるべきではない。
【0035】
更に、以下の特許請求の範囲は、ここに説明された本発明の全ての一般的特徴と具体的特徴とを網羅するものであり、また言語上本発明の範囲に含まれると言うことができる全ての言明をも網羅する。
【0036】
本発明を説明してきたが、新規なものと主張し特許証による保護を望むものは以下の通りである。
図1
図2
図3
図4