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▶ モンディ・アクチェンゲゼルシャフトの特許一覧

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-11
(45)【発行日】2024-03-19
(54)【発明の名称】熱抽出紙
(51)【国際特許分類】
   D21H 11/00 20060101AFI20240312BHJP
   D21H 15/02 20060101ALI20240312BHJP
   A47J 31/06 20060101ALI20240312BHJP
【FI】
D21H11/00
D21H15/02
A47J31/06
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2021533522
(86)(22)【出願日】2019-12-11
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-09
(86)【国際出願番号】 EP2019084568
(87)【国際公開番号】W WO2020120535
(87)【国際公開日】2020-06-18
【審査請求日】2022-05-19
(31)【優先権主張番号】A374/2018
(32)【優先日】2018-12-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AT
(73)【特許権者】
【識別番号】515233650
【氏名又は名称】モンディ・アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シュバイガー,エリーザベト
(72)【発明者】
【氏名】イェプストル,フランツ
(72)【発明者】
【氏名】カインツ,ラインハルト
【審査官】川井 美佳
(56)【参考文献】
【文献】特開平03-200558(JP,A)
【文献】特開2018-059249(JP,A)
【文献】特開2017-036521(JP,A)
【文献】特開2007-262603(JP,A)
【文献】特表2016-501782(JP,A)
【文献】特表2021-520456(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 31/00-31/60
B01D 23/00-37/08
B32B 1/00-43/00
D04H 1/00-18/04
D21B 1/00-D21J7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
セルロース、並びに酸及び/又は塩基をベースとするpH改質剤のような、セルロース製造に必要な製造助剤から実質的になる熱抽出紙であって、該紙が長さ加重平均で少なくとも2.0mmの繊維長、より特には長さ加重平均で少なくとも2.5mmの繊維長を有するセルロースを専ら含み、及び該紙が縦方向及び横方向で実質的に等しく、少なくとも7.5%、より特には少なくとも8.5%になる等方性伸び特性を有しており、
当該熱抽出紙からの水抽出物の塩化物含量が0.7mg/l未満で、当該熱抽出紙からの水抽出物のアルミニウム含量が0.1mg/l未満であることを特徴とする、熱抽出紙。
【請求項2】
硫酸(HSO)又は苛性ソーダ(NaOH)がpH改質剤として含まれることを特徴とする、請求項1に記載の熱抽出紙。
【請求項3】
セルロースが針葉樹由来のセルロースから選択され、モミ、トウヒ、マツ、カラマツ及びダグラスファ、又はこれらの2つ以上の混合物から選択されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の熱抽出紙。
【請求項4】
針葉樹で構成されるセルロースの最大15%、好ましくは最大10%が、ブナ、オーク、ヨーロッパポプラ、ポプラ、アカシア、ハンノキ、楓、栗、トゥペロ、プラタナス、ライム及びユーカリ又はこれらの2つ以上の混合物から選択される落葉樹由来のセルロースによって置換されることを特徴とする、請求項3に記載の熱抽出紙。
【請求項5】
縦方向(MD)における伸び特性が、横方向(CD)における伸び特性から最大で1.5%逸脱することを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の熱抽出紙。
【請求項6】
0~250g/mの間という単位面積当たりの重量を有することを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の熱抽出紙。
【請求項7】
15秒~25秒の間、特に20秒~23秒の間のGurleyによる空気透過率を有することを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の熱抽出紙。
【請求項8】
少なくとも630kPa/100g・m-2、790kPa/130g・m-2又は1020kPa/180g・m-2の破裂抵抗を有することを特徴とする、請求項1~3及び5~のいずれか一項に記載の熱抽出紙。
【請求項9】
落葉樹部分を有する熱抽出紙が、少なくとも400kPa/100g・m-2、520kPa/130g・m-2又は630kPa/180g・m-2の破裂抵抗を有することを特徴とする、請求項1、2及び4~のいずれか一項に記載の熱抽出紙。
【請求項10】
圧縮された熱抽出紙であることを特徴とする、請求項1~のいずれか一項に記載の熱抽出紙。
【請求項11】
圧縮された熱抽出紙がカレンダー処理された熱抽出紙であることを特徴とする、請求項10に記載の熱抽出紙。
【請求項12】
表面エネルギーが33mJ/m超、好ましくは35mJ/m超、特に好ましくは38mJ/m超に設定されていることを特徴とする、請求項1~11のいずれか一項に記載の熱抽出紙。
【請求項13】
茶及び/又はコーヒー調理用の閉鎖カプセルを製造する方法における請求項1~12のいずれか一項に記載の熱抽出紙の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セルロース並びに、酸及び/又は塩基をベースとするpH改質剤のような、セルロース製造に絶対に必要な製造助剤から実質的になる熱抽出紙に関する。
【背景技術】
【0002】
コーヒーフィルター、茶フィルターとして又は他の目的で使用される熱抽出紙は、それらが食品部門で使用される場合に、特に一定の要件を満足しなければならない。使用される原料(この場合、木片又はセルロース)だけでなく、添加剤が厳密に標準化されており、ごく少数の定められた物質からしか選択できない場合がある。
【0003】
選ばれた目的によって、ここでの添加剤のリストは異なっており、特に、温水による抽出後の抽出物の全乾燥残渣が10mg/dmの量を超えないことが必要であり、特に紙の製造に通常使用される添加剤については、ほとんど使用しないようにしなければならない。
【0004】
これに関連して、その後の目的によって要件が異なり、例えば茶の調理に適した紙は調理袋として使用できないことが実証されている。
【0005】
しかし、当技術分野では、従来のコーヒーフィルター及び茶フィルターに加えて、例えば、ホットコーヒー又は熱い茶又はスープを販売できる飲料カップの製造に用いることができる、又は用いることができるかもしれない複数の特殊な紙も知られている。したがって、例えば、紙を加工して飲料カップ等を形成する方法を用いる方法が、EP1985437A1号から知られており、このカップは、例えば、ホットコーヒー又は熱い茶用に、その成形直後に食品部門で使用することができる。
【0006】
EP1343629B1号には紙の容器も記載されており、該紙の容器は非常に伸縮性のあるクラフト紙から製造され、その壁には内向き又は外向きに伸びる部分がある。ここに述べた紙は特殊な紙であり、容器の構築に適しており、容器は、例えば、熱い飲料を直接収容することができ、それを使用すると購入者自身が負傷する可能性がない、すなわち、ある断熱効果も有している。
【0007】
WO2018/002223A1号から、飲料を製造するための抽出可能な物質のための一人分の量の容器が知られるようになり、該容器は一方では香りが漏れず、他方では生分解性である。
【0008】
WO2017/144009A1号は、セルロースと、少なくともミクロフィブリル化又はナノフィブリル化セルロースを含む複合材料及びこの材料から製造された製品を記載している。
【0009】
原紙を作製する方法及び該原紙がEP2374930A1号から知られており、該紙は筆記用紙を作るために藁由来のセルロース及び工業用セルロースを少なくとも含んでいる。
【0010】
従来のコーヒーフィルターに加えて、近年、煎じられるコーヒーを含むカプセルの需要がますます大きくなってきている。というのもこの種のカプセルを収容でき、コーヒー又は茶を淹れる機械が産業市場だけでなく、特に個人の家庭でもますます使用されるようになってきているからである。この種の機械を使用する場合、廃プラスチックカプセル若しくは金属カプセル又は両方の材料から作られたカプセルが過剰に生成しており、現在、その大部分は廃棄又は有害廃棄物として処理されている。海洋真中等の最も近づきにくい場所で発見されるプラスチック廃棄物の問題はますます増加しているため、プラスチックは、再利用され、問題の増加ができるだけ低減されるような方法で処分されるべきである。金属カプセル、特にアルミニウムカプセルは、極めて高価であり、その製造中に高いエネルギー支出が必要であるため、カプセルを用いて動作するコーヒーマシンのための新規な種類の容器であって、このコーヒーマシンを使用して、コーヒーで満たされたカプセルを、複雑な再処理に供する必要がなく、かつ環境へのリスクなく、淹れることができる容器が必要とされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】欧州特許出願公開第1985437号明細書
【文献】欧州特許第1343629号明細書
【文献】国際公開第2018/002223号
【文献】国際公開第2017/144009号
【文献】欧州特許出願公開第2374930号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、現在、コーヒーマシンのためのカプセルの製造に適しており、さらに熱い飲料の調理にも安全に使用できる熱抽出紙を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この目的を達成するために、本発明による熱抽出紙は、該紙が長さ加重平均で少なくとも2.0mm、特に長さ加重平均で少なくとも2.5mmの繊維長を有するセルロースを含み、縦方向及び横方向において実質的に等しく、少なくとも7.5%、特に少なくとも8.5%になる等方性伸び特性を有することを本質的に特徴とする。長さ加重平均で少なくとも2.0mm、特に長さ加重平均で少なくとも2.5mmの繊維長を有するセルロースを含む紙が選択されることにおいて、紙は、成功裏に製造され、その引張強さ又は破裂強度は、従来の紙、特にクラフト紙と比較して大幅に増加する。さらに、熱抽出紙が、縦方向及び横方向において実質的に等しく、少なくとも7.5%、特に少なくとも8.5%になる等方性伸び特性を有することにおいて、この種の紙は、希望通りに成形し、伸ばすことができ、また、この種の紙を使用して、繊維構造を引き裂いたり、破壊したりすることなく、カプセルマシーンに必要な小型容器形状を達成することが可能であり、したがって高温及び高圧に対しても寸法的に安定かつ耐久性のある紙を提供することが可能である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
長さ加重平均で少なくとも2.5mmの繊維長を有するセルロースは、その繊維長が平均して2.5mmになるセルロースを意味すると理解され、その平均からの偏差は、可能な限り小さく、好ましくは±0.8mm以下、好ましくは±0.4mm以下、特に好ましくは±0.2mm以下である。
【0015】
長さ加重平均で少なくとも2.0mm、特に長さ加重平均で2.5mmの長さ荷重繊維長のセルロースを用いることにおいて、特に繊維長が極端に短いセルロース繊維からなる微細材料画分が防止又は抑制される。この種の紙を用いると、特に一定の特性が成功裏に達成され、それは、例えば、望ましくない微細材料又はバラスト材料が該紙から製造される飲料への混入を恐れることなく、より高圧でのカプセルマシーンにおけるコーヒーカプセルとしての使用に適している。特に、構成成分が熱抽出紙を有する可能性があり、特に製造補助資材又は添加剤由来の多量の抽出物が最終製品に含まれる可能性のある熱い飲料の製造には、非常に詳細な規定が存在することを考慮すると、添加剤の数を法的要件に基づいて制限しなければならないだけでなく、むしろ、熱抽出紙には、不可欠ではない添加剤が実質的に含まれておらず、特に、セルロース自体に由来する汚染物質が該紙から製造される飲料に混入することがないことを保証しなければならないことは、当業者に絶対に明らかである。
【0016】
特に、消泡剤、沈降防止剤、でんぷん、定着剤、サイズ剤、充填剤等の製造補助材料の添加をなしで済ませる熱抽出紙が、最大1000m/分の機械速度を有する現代の高速進展抄紙機を用いて製造に成功したことは、この種の製造補助材料を加えることのみによって機械速度を上げることができたため、予見できなかった。
【0017】
したがって、本発明によれば、熱抽出紙は、その製造中に硫酸(HSO)及び苛性ソーダ(NaOH)等の無機酸及び無機塩基のみをpH改質剤として使用するように開発されている。特に塩素含有量を低く保つことは、抽出中の温水による最終生成物中への易溶性塩化物の導入を防ぐために重要である。窒素含量の増加は熱抽出紙を用いて製造した飲料等の味を変化させる可能性があるので、水抽出物中の窒素含量も同様に制限しなければならない。したがって好ましくは水抽出物中の窒素含有量は、乾燥材料1g当たり0.015mg未満に限定される。
【0018】
本発明の開発によれば、セルロースは針葉樹由来のセルロースから選択され、モミ、トウヒ、マツ、カラマツ及びダグラスファの群から選択される。針葉樹は繊維長が長いことで知られており、通常、特に、高い引張強さを有さなければならない紙の製造に用いられる。本発明によれば、長さ加重されるだけでなく、1つの同じ木材種類又はトウヒ及びマツの混合物のような2つの規定された木材種類の混合物に由来することが好ましいセルロースを選択する試みがなされる。
【0019】
本発明の開発によれば、熱抽出紙用セルロースは、針葉樹から構成されるセルロースの最大15%、好ましくは最大10%が、ブナ、オーク、ヨーロッパポプラ、ポプラ、アカシア、ハンノキ、楓、栗、トゥペロ、プラタナス、ライム及びユーカリ又はこれらの2種以上の混合物から選択される落葉樹木からのセルロースによって置換されるように選択される。熱抽出紙の特性を実質的に変化させずに維持することができるように、落葉性の針葉樹由来のセルロースの最大15%、特に最大10%が、針葉樹由来のものよりも繊維長が短い落葉樹由来のセルロースによって置換され得る。この置換にもかかわらず、特に熱抽出紙の破断点伸び特性は、本発明に従ってうまく維持される。
【0020】
本発明の開発によれば、紙の等方伸び特性は縦方向(MD)におけるにおけるにおける破断点伸びが、横方向(CD)における破断点伸びから最大で1.5%しか逸脱しないような方法で選択される。このような等方性伸び挙動を用いることにより、例えば、この種の紙からカプセルを成形する場合であっても、望ましくない弱化、ひいては材料特性の一方向での変化を確実に防止できることを保証することが可能である。
【0021】
本発明に従ったこの種の熱抽出紙は、開発に対応するように、単位面積当たり70~250g/mの間の重量を有することができる。ここでは、単位面積当たりの重量は、抽出中又は適用中に加えられる圧力に応じて選択され、約80~150g/mの範囲にあることが多い。
【0022】
食品又は高級食品の抽出への全ての要件に適しているために、本発明の開発によれば、熱抽出紙からの温水抽出物の塩化物含量が0.7mg/l未満、熱抽出紙からの温水抽出物のアルミニウム含量が0.1mg/l未満となるような方法で、熱抽出紙が選択される。特に、低い塩化物含量と同様に、補助剤に由来するアルミニウム含量の低下は、食品及び高級食品の分野での熱抽出紙の使用を可能にする。
【0023】
温水又は蒸気及び圧力の適用の間、熱抽出紙が引裂かれたり、多量の材料が混入しすぎたり、漏れがなくなるように荷重を加えられることを確実に防止するために、本発明はこのような方法で開発され、少なくとも630kPa/100g・m-2、790kPa/130g・mm-2又は1020kPa/180g・mm-2の破裂抵抗性を有するという特徴を有する。本発明に従うと可能なように、熱抽出紙は落葉樹部分を有し、破裂抵抗は、他の特性が実質的に影響されることなく、混合された落葉樹の量及び種類に応じて低下する。本発明の開発によれば、この種の熱抽出紙、落葉樹部分を有する熱抽出紙は、少なくとも400kPa/100g・m-2、520kPa/130g・m-2又は630kPa/180g・m-2の破裂抵抗を有する。
【0024】
特にこの種の紙の希望するクレーピング(creping)を確実に維持又は達成するために、それを圧縮し、適宜、さらにカレンダー処理し、特にクルパック(Clupak)プラントで圧縮され、カレンダー、特にシューカレンダーでカレンダー処理されるように、熱抽出紙を開発する。ゴムブランケットとシリンダとの間で紙を既知の方法で圧縮する「クルパック機」において熱抽出紙を圧縮する場合、予備乾燥部における速度は、本発明による熱抽出紙の後段乾燥部における速度とは異なるように選択され、予備乾燥部における速度は後段乾燥部における速度よりも大きいように選択される。本発明による熱抽出紙の等方性伸び挙動に関して、縦方向における約2%の伸びは、ここで使用したセルロースによって達成される。縦方向のさらなる伸びの値は、もっぱらクルパック機の特定の動作様式のために達成される。このように、クルパック機を用いた予備乾燥段階では、予備乾燥段階で850m/分、後段乾燥段階で803m/分の速度で機械を稼働すれば、繊維の伸びに加えて縦方向に少なくとも5.5%が付加的に成功裏に達成された。横方向の伸びは、本発明によれば、少なくとも25%の固形分のコンシステンシーを有するセルロースパルプを粉砕ギャップ中で機械的処理に付す高コンシステンシー粉砕によって達成される。カレンダーの、特にシューカレンダーによる任意の工程は、破裂強度又は引張強さが同時に不利に影響されることなく、熱抽出紙の以前のクレペッド(creped)表面の平滑化を可能にする。シューカレンダーで、例えば、50~170mmのシュー長さ、最高10Mpaのニップ圧力、最高280℃のカレンダーローラーの表面温度、及びまた、カレンダーギャップの直前に加えられる最高3g/mの加えられる蒸気量の選択は、所望の平滑化挙動にプラスに影響する。
【0025】
本発明の開発によれば、熱抽出紙には、硫酸塩で加熱した漂白していないセルロースを使用した。未漂白セルロースを使用することにおいて、そうでなければ必要となるであろう漂白剤の使用は避けられ、このことは全体として、カプセルコーヒーマシーンにおけるカプセルとしての熱抽出紙の適合性を向上させる。
【0026】
最後に、例えば、この種の熱抽出紙の水の吸収を防止し、したがってその中に含まれる製品の湿潤を確実に防止し、及び/又は対応する芳香の保護を保証するために、本発明は、紙が被覆された様式で構築されるように開発され得る。熱抽出紙上に適切ならば適用されるべき少なくとも1つの被膜が本発明による熱抽出紙によく付着し、不注意に剥離しないように、本発明の開発によれば、紙の表面エネルギーは33mJ/m超、好ましくは35mJ/m超、特に好ましくは38mJ/m超に設定される。表面エネルギーは、紙及び紙の表面に近い層の極性画分及び分散性画分の和を意味すると理解される。表面エネルギーに関して紙の上面及び裏との間の相違は、好ましくは3mJ/m、特に好ましくは2mJ/mとなる。その結果、適用される被膜の場合、紙の両側が等しく機能し、被膜が不注意に片側において剥離しないことを保証することができる。熱抽出紙の表面エネルギーは、使用したセルロース及び抄紙機上の不可欠な製造助剤から生じる。したがって、セルロースの選択等によってその設定は可能である。
【0027】
熱抽出紙の被覆は、例えば、ラミネーション、ライニング、押出被覆又はライニングから選択される以下の方法の1つによって行うことができる。この種の被膜の形成に用いる被覆材料は主に熱抽出の法的食品安全規制を満たすプラスチックである。というのも熱抽出紙と被膜の複合全体でさえこれらの法的食品安全規制に適合しなければならないためである。ポリ乳酸又はポリビニルアルコール等、生分解性又は堆肥化可能でもあるプラスチックが特に好ましい。しかし、例えば、ポリエチレン又はポリプロピレンのような、それぞれに対応する他の材料も使用することができる。熱抽出紙の片側又は両側を被覆することができ、紙の各側に対し、被膜には異なる数及び種類のプラスチック又は材料を使用することができる。対応する層の厚さは、それぞれの材料及びさらに所望のバリア特性に適合されるべきであり、1層当たり5~25μmの間、特に7~20μmであり、全体として約50μmより厚くない。
【0028】
熱抽出紙は、漂白して使用したり、好ましくは漂白しないで使用できることは言うまでもない。
【0029】
好ましくは、熱抽出紙は、茶及び/又はコーヒー調理用の閉鎖カプセルを製造するための方法に使用することができる。この種の使用では、その等方性伸び特性のため、成形中及び使用中の紙の不注意な引裂を防止することができる。
【実施例
【0030】
本発明を例示的な実施形態に基づいて以下でより詳細に説明する。製造された製品の特性の記述に使用される測定値に関しては、以下については、その測定又は決定のために規格が求められ、同じものが以下に再び別々に列挙されないことを述べておく必要がある。
【0031】
【表1】
【0032】
[実施例1]
<本発明による第1の熱抽出紙の製造>
カッパ数45の80%~81%のトウヒ及び19%~20%のマツ材から専ら製造された未漂白のクラフト硫酸セルロースを熱抽出紙の製造に用いた。98%硫酸を、疑似ニュートラルに1000m/分を超える最大速度で稼働され、特に熱抽出紙を約504m/分で製造するために稼働されたサック抄紙機上のpH値を下げ、設定するために専ら使用した。得られた白い水は6.2~約7.5のpHを有している。ミョウバン、でんぷん、沈降防止剤、消泡剤、タルク又はサイズ剤のような紙の製造に通常使用される化学物質は使用してはならず、製造される紙へこれらの物質が残留しないように確実にするために、熱抽出紙の製造の少なくとも1時間前に、機械の対応する添加剤の開口部を閉じる。同様に、長さの短い繊維による熱抽出紙の汚染を防ぐために、残留繊維を別の抄紙機又は別の廃棄物容器に移す。この変更は、製造開始の数時間前、好ましくは少なくとも3時間前に行われることさえある。ここでは、固有の破損がなく、乾燥した破損もなく、切り落としも熱抽出紙の製造時にパルプにフィードバックされないような方法で抄紙機を稼動させる。これらの流れを、製造中に中間容器として知られるものに導く。
【0033】
初期材料は高コンシステンシー粉砕、続いて低コンシステンシー粉砕を受け、高コンシステンシー粉砕の場合、材料密度を30%~35%の間に設定し、低コンシステンシー粉砕の場合は4%~6%の間に設定する。さらに、高コンシステンシー粉砕の場合、横方向の伸びを制御し、低コンシステンシー粉砕を16秒を超える多孔度(Gurley)の達成に従って制御する。上述した例示的な実施形態において、特定の粉砕負荷は、高コンシステンシー粉砕では220~240kWh/t、低コンシステンシー粉砕では120~145kWh/tの間にある。
【0034】
熱抽出紙を蒸気被覆するために、従来のスチームブローボックスを使用し、このボックスは、少なくとも2.0barの圧力、152℃の温度で紙上にスチームをあてる。同様に、高圧のフードも使う。
【0035】
抄紙機はFoudrinierワイヤー、特にFoudrinierワイヤー部を備えている。熱抽出紙を、2つの従来のニップ及びシュープレスを持つプレス部で、60kN/mの第1ニップ圧力、90kN/mの第2ニップ圧力、500kN/mのシュープレス圧力でプレスする。プレス部のフェルト調整はUhleボックス及び高圧スプレーパイプで行う。Uhleボックスの真空は1.5~2mWsの間で操作し、高圧スプレーパイプは15barで操作する。
【0036】
熱抽出紙の乾燥は、スラローム乾燥、接触乾燥、及び少なくとも170℃の熱風使用による対流乾燥を伴う乾燥部で行い、この温度では紙の自由収縮が許される。
【0037】
乾燥は、7%の残留湿度という目標値が達成されるまで行う。
【0038】
このようにして製造された熱抽出紙は、以下を有していた。
19.8秒の空気透過性(Gurley)
824kPa/134g・m-2の破裂強度、
134g/mの単位面積当たりの重量
縦方向で9.29%、横方向で7.93%の破断点伸び
【0039】
特性を調べるために、前記紙の2gを、規格:ISO6588-2:2012に従い設定した1時間の間100mlの水の逆流を用いる加熱による熱抽出に供した。
【0040】
繊維材料を濾別し、濾液中の塩化物イオン及びアルミニウムイオンを割り出した。塩化物含量0.63mg/l、アルミニウム含量0.077mg/lを達成できることが示された。
【0041】
[実施例2]
<本発明による第2の熱抽出紙の製造>
カッパ数40の77%~79%のトウヒ及び21%~23%のマツ材から専ら製造された未漂白のクラフト硫酸セルロースを熱抽出紙の製造に用いた。98%硫酸を、疑似ニュートラルで稼働され、1000m/分を超える最大速度を有し、特に熱抽出紙を約523m/分で製造するために稼働されたサック抄紙機上のpH値を下げ、設定するために専ら使用した。得られた白い水は6.2~約7.5のpHを有している。ミョウバン、でんぷん、沈降防止剤、消泡剤、タルク又はサイズ剤のような紙の製造に通常使用される化学物質は使用してはならず、製造される紙へこれらの物質が残留しないように確実にするために、乾燥抽出紙の製造の少なくとも1時間前に、機械の対応する添加剤の開口部を閉じる。同様に、長さの短い繊維による熱抽出紙の汚染を防ぐために、残留繊維を別の抄紙機又は別の廃棄物容器に移す。この変更は、製造開始の数時間前、好ましくは少なくとも3時間前に行われることさえある。ここでは、固有の破損がなく、乾燥した破損もなく、切り落としも熱抽出紙の製造時にパルプにフィードバックされないような方法で抄紙機を稼動させる。これらの流れを、製造中に中間容器として知られるものに導く。
【0042】
初期材料は高コンシステンシー粉砕、続いて低コンシステンシー粉砕を受け、高コンシステンシー粉砕の場合、材料密度を30%~35%の間に設定し、低コンシステンシー粉砕の場合は4%~6%の間に設定する。さらに、高コンシステンシー粉砕の場合、横方向の伸びを制御し、低コンシステンシー粉砕を16秒を超える多孔度(Gurley)の達成に従って制御する。上述した例示的な実施形態において、特定の粉砕負荷は、高コンシステンシー粉砕では210~230kWh/t、低コンシステンシー粉砕では110~135kWh/tの間にある。
【0043】
熱抽出紙を蒸気被覆するために、従来のスチームブローボックスを使用し、このボックスは、少なくとも2.0barの圧力、152℃の温度で紙上にスチームをあてる。同様に、高圧のフードも使う。
【0044】
抄紙機はFoudrinierワイヤー、特にFoudrinierワイヤー部を備えている。熱抽出紙を、2つの従来のニップ及びシュープレスを持つプレス部で、60kN/mの第1ニップ圧力、90kN/mの第2ニップ圧力、500kN/mのシュープレス圧力でプレスする。プレス部のフェルト調整はUhleボックス及び高圧スプレーパイプで行う。Uhleボックスの真空は1.5~2mWsの間で操作し、高圧スプレーパイプは15barで操作する。
【0045】
熱抽出紙の乾燥は、スラローム乾燥、接触乾燥、及び少なくとも170℃(平均180℃の場合)の熱風使用による対流乾燥を伴う乾燥部で行い、この温度では紙の自由収縮が許される。
【0046】
乾燥は、7%の残留湿度という目標値が達成されるまで行う。
【0047】
このようにして製造された熱抽出紙は、以下を有していた。
21.3秒の空気透過性(Gurley)
788kPa/129g・m-2の破裂強度、
129g/mの単位面積当たりの重量
縦方向で8.92%、横方向で8.16%の破断点伸び
【0048】
特性を調べるために、前記紙の2gを、規格:ISO6588-2:2012に従い設定した1時間の間100mlの水の逆流を用いる加熱による熱抽出に供した。
【0049】
繊維材料を濾別し、濾液中の塩化物イオン及びアルミニウムイオンを割り出した。塩化物含量0.52mg/l、アルミニウム含量0.065mg/lを達成できることが示された。
【0050】
[実施例3]
<本発明による第3の熱抽出紙の製造>
カッパ数40の78%~80%のトウヒ及び20%~22%のマツ材から専ら製造された未漂白のクラフト硫酸セルロースを熱抽出紙の製造に用いた。98%硫酸を、疑似ニュートラルで稼働され、1000m/分を超える、特に約670m/分の最大速度を有するサック抄紙機上のpH値を下げ、設定するために専ら使用した。得られた白い水は6.2~約7.5のpHを有している。ミョウバン、でんぷん、沈降防止剤、消泡剤、タルク又はサイズ剤のような紙の製造に通常使用される化学物質は使用してはならず、製造される紙へこれらの物質が残留しないように確実にするために、乾燥抽出紙の製造の少なくとも1時間前に、機械の対応する添加剤の開口部を閉じる。同様に、長さの短い繊維による熱抽出紙の汚染を防ぐために、残留繊維を別の抄紙機又は別の廃棄物容器に移す。この変更は、製造開始の数時間前、好ましくは少なくとも3時間前に行われることさえある。ここでは、固有の破損がなく、乾燥した破損もなく、切り落としも熱抽出紙の製造時にパルプにフィードバックされないような方法で抄紙機を稼動させる。これらの流れを、製造中に中間容器として知られるものに導く。
【0051】
初期材料は高コンシステンシー粉砕、続いて低コンシステンシー粉砕を受け、高コンシステンシー粉砕の場合、材料密度を30%~35%の間に設定し、低コンシステンシー粉砕の場合は4%~6%の間に設定する。さらに、高コンシステンシー粉砕の場合、横方向の伸びを制御し、低コンシステンシー粉砕を16秒を超える多孔度(Gurley)の達成に従って制御する。上述した例示的な実施形態において、特定の粉砕負荷は、高コンシステンシー粉砕では200~220kWh/t、低コンシステンシー粉砕では120~145kWh/tの間にある。
【0052】
熱抽出紙を蒸気被覆するために、従来のスチームブローボックスを使用し、このボックスは、少なくとも2.0barの圧力、152℃の温度で紙上にスチームをあてる。同様に、高圧のフードも使う。
【0053】
抄紙機はFoudrinierワイヤー、特にFoudrinierワイヤー部を備えている。熱抽出紙を、2つの従来のニップ及びシュープレスを持つプレス部で、60kN/mの第1ニップ圧力、90kN/mの第2ニップ圧力、550kN/mのシュープレス圧力でプレスする。プレス部のフェルト調整はUhleボックス及び高圧スプレーパイプで行う。Uhleボックスの真空は1.5~2mWsの間で操作し、高圧スプレーパイプは15barで操作する。
【0054】
熱抽出紙の乾燥は、スラローム乾燥、接触乾燥、及び少なくとも175℃の熱風使用による対流乾燥を伴う乾燥部で行い、この温度では紙の自由収縮が許される。
【0055】
乾燥は、7%の残留湿度という目標値が達成されるまで行う。
【0056】
このようにして製造された熱抽出紙は、以下を有していた。
20.3秒の空気透過性(Gurley)
671kPa/102g・m-2の破裂強度、
102g/mの単位面積当たりの重量
縦方向で9.12%、横方向で8.21%の破断点伸び
【0057】
特性を調べるために、前記紙の2gを、規格:ISO6588-2:2012に従い設定した1時間の間100mlの水の逆流を用いる加熱による熱抽出に供した。
【0058】
繊維材料を濾別し、濾液中の塩化物イオン及びアルミニウムイオンを割り出した。塩化物含量0.56mg/l、アルミニウム含量0.059mg/lを達成できることが示された。
【0059】
[実施例4]
<本発明による第4の熱抽出紙の製造>
カッパ数5未満の61%~65%のトウヒ及び25%~29%のマツ材及び10%のカバノキから製造された漂白されたクラフト硫酸セルロースを熱抽出紙の製造に用いた。98%硫酸を、疑似ニュートラルで稼働され、1000m/分を超える、特に約560m/分の最大速度を有するサック抄紙機上のpH値を下げ、設定するために専ら使用した。得られた白い水は6.2~約7.5のpHを有している。ミョウバン、でんぷん、沈降防止剤、消泡剤、タルク又はサイズ剤のような紙の製造に通常使用される化学物質は使用してはならず、製造される紙へこれらの物質が残留しないように確実にするために、乾燥抽出紙の製造の少なくとも1時間前に、機械の対応する添加剤の開口部を閉じる。同様に、長さの短い繊維による熱抽出紙の汚染を防ぐために、残留繊維を別の抄紙機又は別の廃棄物容器に移す。この変更は、製造開始の数時間前、好ましくは少なくとも3時間前に行われることさえある。ここでは、固有の破損がなく、乾燥した破損もなく、切り落としも熱抽出紙の製造時にパルプにフィードバックされないような方法で抄紙機を稼動させる。これらの流れを、製造中に中間容器として知られるものに導く。
【0060】
初期材料は高コンシステンシー粉砕、続いて低コンシステンシー粉砕を受け、高コンシステンシー粉砕の場合、材料密度を30%~35%の間に設定し、低コンシステンシー粉砕の場合は4%~6%の間に設定する。さらに、高コンシステンシー粉砕の場合、横方向の伸びを制御し、低コンシステンシー粉砕を16秒を超える多孔度(Gurley)の達成に従って制御する。上述した例示的な実施形態において、特定の粉砕負荷は、高コンシステンシー粉砕では140~170kWh/t、低コンシステンシー粉砕では60~80kWh/tの間にある。
【0061】
熱抽出紙を蒸気被覆するために、従来のスチームブローボックスを使用し、このボックスは、少なくとも2.0barの圧力、152℃の温度で紙上にスチームをあてる。同様に、高圧のフードも使う。
【0062】
抄紙機はFoudrinierワイヤー、特にFoudrinierワイヤー部を備えている。熱抽出紙を、2つの従来のニップ及びシュープレスを持つプレス部で、60kN/mの第1ニップ圧力、90kN/mの第2ニップ圧力、550kN/mのシュープレス圧力でプレスする。プレス部のフェルト調整はUhleボックス及び高圧スプレーパイプで行う。Uhleボックスの真空は1.5~2mWsの間で操作し、高圧スプレーパイプは15barで操作する。
【0063】
熱抽出紙の乾燥は、スラローム乾燥、接触乾燥、及び少なくとも175℃の熱風使用による対流乾燥を伴う乾燥部で行い、この温度では紙の自由収縮が許される。
【0064】
乾燥は、7%の残留湿度という目標値が達成されるまで行う。
【0065】
このようにして製造された熱抽出紙は、以下を有していた。
22.1秒の空気透過性(Gurley)
604kPa/131g・m-2の破裂強度、
131g/mの単位面積当たりの重量
縦方向で9.16%、横方向で9.48%の破断点伸び
【0066】
特性を調べるために、前記紙の2gを、規格:ISO6588-2:2012に従い設定した1時間の間100mlの水の逆流を用いる加熱による熱抽出に供した。
【0067】
繊維材料を濾別し、濾液中の塩化物イオン及びアルミニウムイオンを割り出した。塩化物含量0.55mg/l、アルミニウム含量0.074mg/lを達成できることが示された。
【0068】
[実施例5]
<本発明による第5の熱抽出紙の製造>
カッパ数5未満の61%~65%のトウヒ及び25%~29%のマツ材及び10%のカバノキから製造された漂白されたクラフト硫酸セルロースを熱抽出紙の製造に用いた。98%硫酸を、疑似ニュートラルで稼働され、1000m/分を超える、特に約960m/分の最大速度を有するサック抄紙機上のpH値を下げ、設定するために専ら使用した。得られた白い水は6.2~約7.5のpHを有している。ミョウバン、でんぷん、沈降防止剤、消泡剤、タルク又はサイズ剤のような紙の製造に通常使用される化学物質は使用してはならず、製造される紙へこれらの物質が残留しないように確実にするために、乾燥抽出紙の製造の少なくとも1時間前に、機械の対応する添加剤の開口部を閉じる。同様に、長さの短い繊維による熱抽出紙の汚染を防ぐために、残留繊維を別の抄紙機又は別の廃棄物容器に移す。この変更は、製造開始の数時間前、好ましくは少なくとも3時間前に行われることさえある。ここでは、固有の破損がなく、乾燥した破損もなく、切り落としも熱抽出紙の製造時にパルプにフィードバックされないような方法で抄紙機を稼動させる。これらの流れを、製造中に中間容器として知られるものに導く。
【0069】
初期材料は高コンシステンシー粉砕、続いて低コンシステンシー粉砕を受け、高コンシステンシー粉砕の場合、材料密度を30%~35%の間に設定し、低コンシステンシー粉砕の場合は4%~6%の間に設定する。さらに、高コンシステンシー粉砕の場合、横方向の伸びを制御し、低コンシステンシー粉砕を16秒を超える多孔度(Gurley)の達成に従って制御する。上述した例示的な実施形態において、特定の粉砕負荷は、高コンシステンシー粉砕では100~120kWh/t、低コンシステンシー粉砕では110~130kWh/tの間にある。
【0070】
熱抽出紙を蒸気被覆するために、従来のスチームブローボックスを使用し、このボックスは、少なくとも2.0barの圧力、152℃の温度で紙上にスチームをあてる。同様に、高圧のフードも使う。
【0071】
抄紙機はFoudrinierワイヤー、特にFoudrinierワイヤー部を備えている。熱抽出紙を、2つの従来のニップ及びシュープレスを持つプレス部で、60kN/mの第1ニップ圧力、90kN/mの第2ニップ圧力、550kN/mのシュープレス圧力でプレスする。プレス部のフェルト調整はUhleボックス及び高圧スプレーパイプで行う。Uhleボックスの真空は1.5~2mWsの間で操作し、高圧スプレーパイプは15barで操作する。
【0072】
熱抽出紙の乾燥は、スラローム乾燥、接触乾燥、及び少なくとも175℃の熱風使用による対流乾燥を伴う乾燥部で行い、この温度では紙の自由収縮が許される。
【0073】
乾燥は、7%の残留湿度という目標値が達成されるまで行う。
【0074】
このようにして製造された熱抽出紙は、以下を有していた。
20.1秒の空気透過性(Gurley)
327kPa/71g・m-2の破裂強度、
71g/mの単位面積当たりの重量
縦方向で9.03%、横方向で9.51%の破断点伸び
【0075】
特性を調べるために、前記紙の2gを、規格:ISO6588-2:2012に従い設定した1時間の間100mlの水の逆流を用いる加熱による熱抽出に供した。
【0076】
繊維材料を濾別し、濾液中の塩化物イオン及びアルミニウムイオンを割り出した。塩化物含量0.52mg/l、アルミニウム含量0.069mg/lを達成できることが示された。