(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-11
(45)【発行日】2024-03-19
(54)【発明の名称】自在継手組立体
(51)【国際特許分類】
A61B 17/74 20060101AFI20240312BHJP
F16D 3/16 20060101ALI20240312BHJP
F16D 1/112 20060101ALI20240312BHJP
【FI】
A61B17/74
F16D3/16 M
F16D3/16 E
F16D1/112
(21)【出願番号】P 2021543214
(86)(22)【出願日】2020-01-22
(86)【国際出願番号】 US2020014555
(87)【国際公開番号】W WO2020154365
(87)【国際公開日】2020-07-30
【審査請求日】2023-01-11
(32)【優先日】2019-01-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-01-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519307827
【氏名又は名称】エンコア・メディカル・エル・ピー・(ディー/ビー/エー・ディージェーオー・サージカル)
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ケヴィン・マイケル・ウィルス
(72)【発明者】
【氏名】アダム・シャレンバーグ
【審査官】羽月 竜治
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第04065941(US,A)
【文献】米国特許第09080611(US,B2)
【文献】米国特許第04114401(US,A)
【文献】米国特許第06386074(US,B1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0166495(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B
F16D
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングおよび前記ハウジング内にある穴部を有し、ボールおよび第1のピンを前記穴部に少なくとも部分的に受け入れるように構成されたソケットと、
長手方向に延びる駆動シャフトと、
を備えるデバイスであって、
前記ボールは、前記駆動シャフトに結合され、前記ソケット内に少なくとも部分的に配置され、かつ前記ソケット内で回転するように構成され、前記ボールは、前記ボール
の表面上に細長い開口部を備え、前記細長い開口部は、前記ボールを貫通する穴部を含み、かつ
前記穴部は、前記細長い開口部の
内周よりも小さい内径を有し、前記細長い開口部
は、前記駆動シャフトの長手方向と整列された長手方向に延びており、前記ピンは、前記ソケットに結合され、かつ前記ソケット内に少なくとも部分的に配置され、前記ピンは、第1の長手方向軸を備え、かつ前記ソケットの両側の間の前記ボールの前記細長い開口部を貫通して延びており、
前記デバイスは、
前記ボールに対して、少なくとも一方向に力を加えるように付勢された付勢機構であって、前記付勢機構は、ばねと、前記ボールと前記ばねとの間に位置する接触構成要素と、を備え、前記接触構成要素は、前記ボールに接触する表面を有し、前記付勢機構は、第2のピンにより前記ソケットに結合される、付勢機構と、
前記ソケットと一体の内側構成要素を有する工具を保持し、かつ前記第2のピンにより前記内側構成要素および前記ソケットに結合される外側構成要素を有するフィッティングと、
をさらに備え、
前記ボールは、前記細長い開口部と位置合わせされた平面内で、前記ピンの前記第1の長手方向軸周りで部分的に回転し、かつ前記ピンの前記第1の長手方向軸に対して直角な第2の軸周りで部分的に回転するように構成される、デバイス。
【請求項2】
前記付勢機構は、前記デバイスの長手方向軸に沿った方向において前記ボールに対して付勢力を加える表面を含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記細長い開口部は、前記ボールの第1の表面から、前記第1の表面の反対側の前記ボールの第2の表面まで延びる、請求項1
または2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記駆動シャフトは、第3の長手方向軸を画定し、前記ボールは、前記第3の長手方向軸周りで回転可能である、請求項1
または2に記載のデバイス。
【請求項5】
前記駆動シャフトの前記第3の長手方向軸は、前記ピンの前記第1の長手方向軸、および前記第2の軸により画定される平面に対して直角である、請求項
4に記載のデバイス。
【請求項6】
前記ソケットに結合されるフィッティングをさらに備え、前記フィッティングは、第4の長手方向軸を備え、前記フィッティングは、前記フィッティングの前記第4の長手方向軸周りで回転するように構成される、請求項1、2、
および4のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項7】
前記フィッティングは、手術用ドリルビット、または手術用ドライバである、請求項
6に記載のデバイス。
【請求項8】
前記ボールに結合され、第3の長手方向軸を備える駆動シャフトと、前記ソケットに結合され、第4の長手方向軸を備えるフィッティングと、をさらに備え、ここで、前記フィッティングは、前記駆動シャフトのその第3の長手方向軸周りの回転により、その第4の長手方向軸周りで回転するように構成される、請求項1
または2に記載のデバイス。
【請求項9】
前記駆動シャフトは、前記ボールと一体化される、請求項
8に記載のデバイス。
【請求項10】
前記ピンの前記第1の長手方向軸周りの前記駆動シャフトの回転は、前記駆動シャフトを、第1の位置から第2の位置へと移動させる、請求項
8に記載のデバイス。
【請求項11】
前記第2の軸周りの前記駆動シャフトの回転は、前記駆動シャフトを第3の位置から第4の位置へと移動させる、請求項
8に記載のデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権出願の参照
本出願は、2019年1月25日に出願された「UNIVERSAL JOINT ASSEMBLY」と題する米国仮出願第62/797,101号、および2020年1月21日に出願された「UNIVERSAL JOINT ASSEMBLY」と題する米国非仮出願第16/748,276号の優先権を主張するものである。上記の項目のそれぞれの開示全体が、本明細書に完全に記載された場合と同様に本明細書の一部となり、含まれるすべてがすべての目的で参照により組み込まれる。
【0002】
本開示は、様々な回転軸に沿って、2つの結合された部材の動きを可能にする組立体に関する。より詳細には、この開示は、ボールおよびソケット構成を備える自在継手組立体の機構に関する。
【背景技術】
【0003】
背景は、導入目的で提供され、読者が詳細な説明を理解するのを助けるためのものである。背景は、特許請求の範囲に対する何らかの従来技術を認めるものと解釈すべきではない。
【0004】
自在継手組立体は、外科手術用具を含む様々な工具に対して医療分野で使用される。自在継手組立体は、外科手術用具が様々な角度で使用され得るように、外科手術用具の構成を調整するために使用することができる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示のデバイス、システム、および方法は、いくつかの機能を有しており、そのいずれの1つも、単にその望ましい属性を扱うだけではない。添付の特許請求の範囲によって述べられる本発明の範囲を限定することなく、いくつかの革新性のあるものを次に簡単に論ずるものとする。本明細書で提供されるこの論議、および他のセクションを検討した後、本開示の機構が、どのように他の自在継手組立体を超えていくつかの利点を提供するかが理解されよう。
【0006】
自在継手組立体は、外科手術用具を含む様々な工具に対して医療分野で使用される。自在継手組立体は、外科手術用具を様々な角度で使用できるように、外科手術用具の構成を調整するために使用することができる。
【0007】
1つの革新性は、ハウジングおよびハウジング内にある穴部を有するソケットを備えるデバイスを含み、ソケットは、ボールおよびピンを穴部に少なくとも部分的に受け入れるように構成され、ボールは、ソケット内に少なくとも部分的に配置され、かつソケット内で回転するように構成され、ボールは、ボールを貫通して延びる細長い開口部を備え、またピンは、ソケットに結合され、かつ少なくとも部分的にソケット内に配置され、ピンは、第1の長手方向軸を備え、かつソケットの両側の間でボールの細長い開口部を貫通して延びる。様々な実施形態によれば、ボールは、細長い開口部と位置合わせされた平面内で、ピンの第1の長手方向軸周りで部分的に回転するように、かつピンの第1の長手方向軸に対して直角な第2の軸周りで部分的に回転するように構成される。本明細書で例示され、かつ述べられるこれらのものを含むデバイスの実施形態は、多くの他の態様(もしくは機能)、またはより少ない態様を有することができる。一態様では、デバイスは、少なくとも一方向にボールに対して力を加えるように付勢された弾性機構をさらに含む。弾性機構は、1つまたは複数の構成要素を含むことができる。いくつかの実施形態では、弾性機構の構成要素は、ボールの表面に接触する。いくつかの実施形態では、弾性機構は、ソケットに結合される。いくつかの実施形態では、弾性機構は、ばねを備える。いくつかの実施形態では、弾性機構は、弾性機構からボールに向けた方向で、デバイスの長手方向軸に沿った方向においてボールに付勢力を加えるように構成される。いくつかの実施形態では、細長い開口部は、幅および長さを有し、幅は、ピンの直径以上である。いくつかの実施形態では、細長い開口部は、ボールの第1の表面から、第1の表面とは反対のボールの第2の表面へと延びる。
【0008】
1つの革新性は、ソケット、ボール、およびピンを有する自在継手を含む。ソケットは、ボールおよびピンを受け入れるように構成される。ボールは、ソケット内で回転するように構成される。ボールは、貫通する開口部を有する。開口部は、細長くすることができ、幅寸法よりも長さ寸法が大きい。ピンは、ソケットに結合される。ピンは、第1の長手方向軸を有し、かつソケットの両側の間でボールの開口部を貫通して延びる。ボールは、ピンの第1の長手方向軸周りで、かつピンの第1の長い軸に対して直角な第2の軸周りで回転するように構成される。
【0009】
別の態様は、ボールに結合された駆動シャフトである。駆動シャフトは、第3の長手方向軸を有し、かつ第3の長手方向軸周りで回転するように構成される。いくつかの実施形態では、駆動シャフトの第3の長手方向軸は、ピンの第1の長手方向軸および第2の軸によって画定された平面に直角である。
【0010】
別の態様は、ソケットに結合されたフィッティングである。フィッティングは、第4の長手方向軸を有し、かつフィッティングの第4の長手方向軸周りで回転するように構成される。いくつかの実施形態では、フィッティングは、工具に結合するように構成されたクイック接続(quick connect)フィッティングである。いくつかの実施形態では、フィッティングは、手術用ドリルビット、または手術用ドライバである。
【0011】
別の態様は、ソケットに結合される弾性機構である。弾性機構は、少なくとも1つの方向にボールに対して圧力を加えるように付勢される。いくつかの実施形態では、弾性機構は、ばねである。
【0012】
別の態様は、ボールに結合された駆動シャフト、およびソケットに結合されたフィッティングを有する自在継手である。駆動シャフトは、第3の長手方向軸を備え、フィッティングは、第4の長手方向軸を備える。フィッティングは、駆動シャフトの、その第3の長手方向軸周りの回転により、その第4の長手方向軸周りで回転するように構成される。いくつかの実施形態では、駆動シャフトは剛性がある。いくつかの実施形態では、駆動シャフトの外側面は、滑らかである。いくつかの実施形態では、駆動シャフトは、ボールと一体化される。ピンの第1の長手方向軸周りでの駆動シャフトの回転は、駆動シャフトを第1の位置から第2の位置へと移動させる。第2の軸周りの駆動シャフトの回転は、駆動シャフトを第3の位置から第4の位置へと移動させる。
【0013】
別の革新性は、自在継手、駆動シャフト、およびドライバ端部を有する外科手術用具である。自在継手は、第1の継手部材および第2の継手部材を有する。第2の継手部材は、第1の軸および第2の軸周りで、第1の継手部材に対して回転するように構成され、第2の軸は第1の軸に対して直角である。駆動シャフトは、第2の継手部材に結合され、かつ第1の軸および第2の軸により形成された平面に対して直角に延びる第3の軸周りで回転するように構成される。ドライバ端部は、第1の継手部材に結合される。第3の軸周りの駆動シャフトの回転により、ドライバ端部の第4の長手方向軸周りでドライバ端部を回転させる。第2の継手部材は、全体的に球形であり、また第1の継手部材は、第2の継手部材を受け入れるように構成される。いくつかの実施形態では、駆動シャフトは、第2の継手部材と一体である。いくつかの実施形態では、駆動シャフトは剛性がある。
【0014】
別の革新性は、外科手術用具を調整する方法である。外科手術用具は、自在継手、駆動シャフト、およびドライバ端部を有する。自在継手は、第1の継手部材と、第1の軸および第2の軸周りで第1の継手部材に対して回転するように構成された第2の継手部材と、を備え、第2の軸は、第1の軸に対して直角である。駆動シャフトは、第2の継手部材に結合され、かつ第1の軸および第2の軸により形成された平面に直角に延びる第3の軸周りで回転するように構成される。ドライバ端部は、第1の継手部材に結合される。ドライバ端部は、第4の長手方向軸を有する。第3の軸周りの駆動軸の回転により、その第4の長手方向軸周りでドライバ端部を回転させる。方法は、第2の継手部材を、第1の位置へと第1の軸周りで回転させることを含む。ドライバ端部および駆動シャフトは、第2の軸および第3の軸により画定される平面において第1の角度を画定する。方法は、第2の継手部材を、第2の軸周りで第2の位置へと回転させることを含むことができる。ドライバ端部および駆動シャフトは、第1の軸および第3の軸によって画定された平面内で第2の角度を画定する。方法は、第2の継手部材を、第1または第2の位置に固定することを含むことができる。第2の継手部材を固定する方法は、第2の継手部材に力を加えるように付勢されたばねを位置決めすることを含むことができる。
【0015】
本明細書で述べられるデバイスおよび方法の特徴および利点は、添付図面と併せて、以下の説明および添付の特許請求の範囲からより完全に明らかになろう。これらの図面は、本開示によるいくつかの実施形態だけを示しており、その範囲を限定するものと見なすべきではない。図面において、同様の参照番号または記号は、文脈がその他の形を指定しない限り、通常、同様の構成要素を識別する。いくつかの例では、図面は、縮尺を合わせて描かれていない可能性がある。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】例示的な実施形態による、いくつかの部品が透明な自在継手の斜視図である。
【
図2A】例示的な実施形態による、ピンが上部から底部へと延びた状態の自在継手の正面図であり、1つの位置にある自在継手を示す図である。
【
図2B】例示的な実施形態による、ピンが上部から底部へと延びた状態の自在継手の正面図であり、自在継手の構成要素が、ピンの長手方向軸(例えば、
図4で示される長手方向軸A)に直角な軸周りで回転された、別の位置にある自在継手を示している図である。
【
図3A】例示的な実施形態による、線3-3に沿った
図2Aで示された自在継手の断面図であり、1つの位置にある自在継手を示す図である。
【
図3B】例示的な実施形態による、線3-3に沿った
図2Aで示された自在継手の断面図であり、自在継手の構成要素が、ピンの長手方向軸(例えば、
図4で示される長手方向軸A)周りで回転される、別の位置にある自在継手を示す図である。
【
図4A】例示的な実施形態による、ボール、駆動シャフト、およびピンの上面図である。
【
図4B】例示的な実施形態による、ボール、駆動シャフト、およびピンの正面図である。
【
図5】外側のフィッティング構成要素を備える自在継手の斜視図である。
【
図6】外側のフィッティング構成要素が外された状態の自在継手の斜視図である。
【
図7】
図1で示された自在継手の側方断面図である。
【
図8】
図1で示された自在継手の側方斜視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下の詳細な説明は、本発明のいくつかの特定の実施形態を対象とする。しかし、本発明は、多くの異なる方法で実施することができる。本明細書の諸態様は、多くの様々な形態で実施できること、また本明細書で開示される任意の特定の構造、機能、またはその両方は、本発明の1つまたは複数の実施形態を単に表しているに過ぎないことは明らかである。本明細書で開示される態様は、いずれかの他の態様とは独立して実施することができ、またこれらの態様のその2つ以上のものは、様々な方法で組み合わせることができる。例えば、本明細書で記載された任意の数の諸態様を用いて、デバイスを実装することができ、あるいは方法を実施することができる。さらに、本明細書に記載された諸態様のうちの1つまたは複数のものに加えて、もしくはそれ以外の他の構造、機能、または構造および機能性を用いて、このような装置を実装できる、またこのような方法を実施することができる。
【0018】
損傷を受けた股関節は、痛みを生じ、移動性が低下する可能性があり、股関節置換手術を必要とする場合がある。股関節置換手術は、股関節の少なくとも一部を除去し、プロテーゼインプラントを用いて置換することを含む。全股関節置換手術において、損傷を受けた股関節の大腿骨頭と寛骨臼との両方が置換される。寛骨臼カップインプラントは、望ましくない部分を除去した後に寛骨臼に取り付けられる。大腿骨頭インプラントは、大腿骨ステム構成要素に接続される大腿骨頭構成要素を含む。大腿骨頭インプラントは、大腿管の中に大腿骨ステム構成要素を導入することにより、大腿骨に固定することができる。大腿骨頭構成要素は、寛骨臼カップインプラントに係合するように配置される。
【0019】
いくつかの状況では、例えば、不十分な骨の範囲、または骨粗しょう症の骨がある場合、骨ねじを使用して寛骨臼カップインプラントを定位置に保持する。ねじの配置は、患者の解剖学的構造および健康に依存する。ねじは、囲んでいる神経、動脈、および静脈を回避するように注意深く配置される。ねじは、通常、強度のある骨を貫通して配置される。しばしば、骨ねじのためのパイロット孔が、寛骨臼に穴開けされる。パイロット孔を穴開けし、ねじを配置するために、外科手術用具が使用される。偏心して穴開けすることは、寛骨臼カップにおける寛骨臼ライナの配置に影響する可能性がある。パイロット孔の配置、およびねじの配置は、不明瞭であり、直線的な外科手術用具を用いてアクセスすることは、困難になり得る。外科手術用具は、適正にパイロット孔を穴開けする、またはねじを配置するためには、曲げる必要があり得る。本明細書で述べられる自在継手組立体のいくつかの態様は、外科手術用具を、困難な領域にアクセスするように構成することができる。
【0020】
外科手術用具には、電気モータによって動力を与えることができ、工具を高いRPMにする。本明細書で述べられる自在継手組立体のいくつかの態様は、外科手術用具が電気モータにより動力を受け、困難な領域にアクセスするように構成することができる。自在継手で用いられる駆動シャフトは、剛性があり得る。剛性のある駆動シャフトは、可撓性のある駆動シャフトよりもより制御できるようになる。駆動シャフトは滑らかであり得る。滑らかな駆動シャフトは、駆動シャフトが、手術中に軟組織を捕捉する、または損傷を与え得る危険を低減する。少なくともこれらの態様は、駆動シャフトが、高いRPMで動作できるようにする。駆動シャフトは、手術用のパワーガン(power gun)により駆動することができる。
【0021】
自在継手は、ソケット内で回転するように構成されたボールと連通しているソケットを含むことができる。ボールは、ソケットの両側の間で延びかつボールを貫通する開口部を貫通して延びるピンにより、ソケットに結合することができる。開口部は、本明細書で示される実施形態で例示されるように、細長くすることができる。ボールの開口部は、ピンの長手方向軸周りで、かつピンの長手方向軸に対して直角に延びる軸周りでボールが回転できる形状および寸法であり得る。ボールは、2つの軸が交差する中心点周りで回転することができる。
【0022】
自在継手は、駆動シャフトをドライバ端部に接続することができる。ドライバ端部は、ドリルビット、ねじ駆動機構、モジュール式接続、クイック接続フィッティングなど、外科手術用具とすることができる。自在継手は、ドライバ端部が、駆動シャフトに対してある角度で方向付けられている間に、ドライバ端部の回転を可能にする。自在継手はまた、ドライバ端部の角度を、少なくとも2つの次元で、駆動シャフトに対して異なる角度に調整できるようにする。駆動シャフトは、ピンの長手方向軸、およびピンの長手方向軸に対して直角な軸により画定される平面に直角であり得る、その長手方向軸周りで回転するように構成することができる。駆動シャフトの回転は、駆動シャフトに結合されたソケットを回転させ、その結果ピンを回転させて、その長い軸周りでドライバ端部を回転させることができる。言い換えると、ピンは、ドライバ端部を回転させるために、ソケットと球体との間でトルクを送ることができる。
【0023】
自在継手は、任意選択で、ボールに対して、少なくとも一方向に圧力を加えるように付勢されたばねを含むことができる。ばねは、望ましい構成にボールを調整した後、ソケット内でボールの位置を維持することができる。
【0024】
以下のものは、上記でリストアップされた図を参照して、本開示において述べられ、かつ列挙されるいくつかの構成要素のリストである。しかし、本明細書で別々に指定されるかどうかにかかわらず、諸図で示されたデバイスのいずれの態様も、本発明の様々な実施形態の一部を形成することができ、かつさらなる記述があるかどうかにかかわらず、このような態様に関する特許請求の範囲の限定に対するベースを提供することができる。列挙される構成要素は、以下のものを含む。
100 自在継手組立体
110 ソケット(ハウジング)
112 開放端部
114 ソケットの閉塞端部
120 ボール
121 穴部
122 駆動シャフトと概して一直線の細長い、開口部
123 ボールの外側面
124 ボールの表面の開口部の縁部
125 ボールの表面の開口部の近位縁部
126 ボールの近位端
127 ボールの表面の開口部の遠位縁部
128 接触構成要素の表面174に隣接する、ボールの遠位端
130 ピン
132 ボール開口部の内側面の近位内側部分
133 ボール開口部の内側面の遠位内側部分
134 ボール開口部の内側面の近位外側部分
135 ボール開口部の内側面の遠位外側部分
140 第1の部分の駆動シャフト
142 駆動シャフト
144 駆動シャフトの近位端
150 フィッティング
152 内側構成要素
154 外側構成要素
160 弾性(付勢)機構
161 ばね
162 ピン
163 ハウジングの第1の縁部
164 第1の縁部の反対側の、ハウジングの第2の縁部
166 駆動シャフトのテーパ状部分
167 第2の狭い部分の駆動シャフト
168 駆動シャフトの遠位端
170 ハウジングがボールを囲む量を示す角度インジケータ
171a インジケータの第1の側
171b インジケータの第2の側
172 弾性機構の接触構成要素
174 ボール120の表面に接触する接触構成要素172の表面
176 接触構成要素172のばね接触面
178 接触構成要素172の狭く細長い中心部分
【0025】
図1は、その下の構造が見えるように透明にした部分を備えるいくつかの実施形態による自在継手組立体100の例を示す。自在継手組立体100は、開放端部112および閉塞端部114を有するソケット(またはハウジング)110を含む。ソケット110は、ソケット110の開放端部112を通してボール120を受け入れるように構成される。ソケット110は、開放端部112を通してアクセスされる穴部121を含み、ボール120は、ソケット110の穴部121内に少なくとも部分的に配置される。ボール120は、ソケット110に隣接する外側面123を有する。
【0026】
ボール120は、外側面123に開口部(または細長い開口部)122を含み、その開口部は、ボール120の一方の側からボール120の反対側へと、ボールを貫通して延びる。
図1で示されるように、開口部122は、ボール120の表面の開口部122の外周の周りに、縁部124を有する。細長い開口部122は、短い方向と長い方向とを有する。
図1で示された例では、長い方向において、細長い開口部122は、駆動シャフト140の第1の部分の長手方向軸と整列することができる。細長い開口部122の長い方向において、縁部124は、開口部の近位縁部125から、開口部の遠位縁部127へと延びる。いくつかの実施形態では、開口部122は、それが、開口部の中央(ボール120の中心において)のどちらの側からも縁部124までの開口部の範囲に沿って、等しい断面を有するように、ボール120を貫通している。示された実施形態を含むいくつかの実施形態では、開口部122は、例えば、縁部124に沿って、ボール120の表面における断面積に対して、ボール120に対する内側で、小さい断面積を有する。
【0027】
いくつかの実施形態では、開口部122は、ボール120の中心において最小の断面積を有する。開口部122を貫通して延びるピン130は、ソケット110の内側の両側部分に結合することができる。ピン130の2つの端部は、ソケット110内で、ソケット110に接触し、ピンおよびボールを保持することができる。ピン130は、円筒形状とすることができる。ピン130の表面(例えば、円筒形の表面)の少なくとも一部は、ボールの内側面の一部と接触することができる。例えば、ピン130は、ボール120の内側面の近位内側部分132と接触することができ、かつ/またはピン130は、ボール120の内側面の遠位内側部分133と接触することができる。ボールの外側部分において、細長い開口部122、および開口部122の広い幅は、第1の位置において、ピン130がボールの表面上の開口部の近位縁部125の近くに位置し、かつ第2の位置において、ピン130がボール120の表面上の開口部122の遠位縁部127の近くに位置するような方向にピン130に対してボール120(およびそれに応じて駆動シャフト140)が移動できるようにする。
【0028】
いくつかの実施形態では、開口部122の断面積は、開口部122が、ボール120の外側面123からボール120の中心部分へと延びるにつれて減少し、次いで断面積は、開口部122が、ボール120の中心部分からボール120の表面123へと延び続けると増加する。開口部122は、縁部124で開始する内側面の近位外側部分134と、ボール120の中心における内側面の近位内側部分132と、を備える、ボール120に対する内側の表面を有する。近位外側部分134および遠位内側部分132は、平面または湾曲することができる。
図1で示された例では、開口部の側部は共に、ボール120の両側において、駆動シャフト部分、および付勢機構160の方向に延びる。開口部の一部は、ピン130が開口部122を貫通して配置され、かつボール120の内側部分におけるボール120の表面に接触するボール120の内側よりも、ボール120の外側において広い。開口部122は、ボール120上で対称的に整列される、または非対称に整列させることもできる。例えば、
図1で示されるように、開口部122は、ボール120の近位端126の近くの開口部の近位縁部125から、ボール120の遠位端128の近くの開口部122の遠位縁部127まで延びて、ボール120上で対称的に整列される。いくつかの実施形態では、開口部は、ボールの一端の方向に、ボールの他方の端部よりも遠くへと延びることができる。例えば、いくつかの実施形態では、開口部122は、ボール120の遠位端128の方向に延びるよりも遠くに、ボール120の近位端126に向けて延びることができる。他の実施形態では、開口部122は、ボール120の近位端126の方向に延びるよりも遠くに、ボール120の遠位端128の方向に延びることができる。
【0029】
自在継手組立体100は、ボール120の開口部122を貫通して延びるピン130を含む。ピン130は、円筒形状にすることができる。いくつかの実施形態では、ピン130の各端部は、ソケット110における対応する凹部の中に嵌合し、凹部は、穴部121の両側に配置される。例えば、各凹部は、穴部121に面しているソケット110の内側面上にある。ピン130は、開口部122の断面よりも小さな断面を有するような寸法である。ピン130、ソケット110、ボール120、および開口部122は、動作時に、ボール120がソケット110内で移動したとき、ピン130およびボール120は、互いに対して移動し、したがって、ピン130は、開口部122内の任意の位置に配置され得るように、例えば、ピン130は、開口部122の近位縁部125に隣接するように、もしくはピン130は、開口部122の遠位縁部127に隣接するように、またはその間のいずれかにあるように構成される。
【0030】
いくつかの実施形態では、駆動シャフト140はボール120に結合され、フィッティング150はソケット110に結合され、また弾性機構160に結合される。本明細書で使用される「自在継手組立体」への参照は、概して少なくとも2つの構成要素を指す、例えば、本明細書で参照される自在継手組立体は、ソケット110、ボール120、およびピン130を含むことができる。別の例では、本明細書で参照される自在継手組立体は、ソケット110、ボール120、ピン130、駆動シャフト140、およびフィッティング150を含むことができる。
【0031】
図2Aは、ピン130が垂直に延びる自在継手組立体100を示す。
図3Aは、
図2Aの線3-3に沿った断面図を示す。
図1で示されるように、ボール120は、近位端126および遠位端128を含む。いくつかの実施形態では、ボール120は、全体的に球形をしている。いくつかの実施形態では、ボール120は、少なくとも部分的に球形である。いくつかの実施形態では、ボール120の表面は、少なくとも1つの平坦な部分を含む。いくつかの実施形態では、ボール120の遠位端128は、部分的に平坦な表面を有する。
図3Aで示されるように、ボール120は、ボール120を貫通して延びる開口部122を含む。いくつかの実施形態では、開口部122は、
図3Aで示されるように、ボール120の中心を貫通して延びることができる。いくつかの実施形態では、開口部122は、中心から外れることができる。
【0032】
図4Aは、ボール120、ピン130、および駆動シャフト140の上面図を示しており、開口部122の形状を示す。
図1および
図4Aで示されるように、開口部122は、縁部124によって画定することができ、それは、近位縁部125から遠位縁部127へと延びる。いくつかの実施形態では、縁部124は、ボール120の少なくとも一端に向けてボール120の中心から延びることができる。
図1および
図4Aで示されるように、縁部124は、ボール120の中心から、ボール120の近位端126および遠位端128に向けて延びることができる。いくつかの実施形態では、縁部124は、近位端126の方向にだけ延びることができる。いくつかの実施形態では、縁部124は、遠位端128の方向にだけ延びることができる。いくつかの実施形態では、開口部122の近位縁部125は、ボール120の近位端126まで完全に延びることができる。他の実施形態では、開口部122の近位縁部125は、近位端126の方向に部分的に延びることができる。いくつかの実施形態では、開口部122の遠位縁部は、ボール120の遠位端128の方向に完全に延びることができる。他の実施形態では、開口部122の遠位縁部127は、ボール120の遠位端128の方向に部分的に延びることができる。いくつかの実施形態では、近位縁部125および遠位縁部127の少なくとも一方は、曲線の表面である。いくつかの実施形態では、近位縁部125および遠位縁部127の少なくとも一方は全体的に平坦な表面である。
【0033】
いくつかの実施形態では、遠位縁部127の幅は、実質的に近位縁部125の幅と同様である。他の実施形態では、遠位縁部127の幅は、近位縁部125の幅よりも大きい、または小さい。いくつかの実施形態では、近位縁部125および遠位縁部127の少なくとも一方の幅は、開口部122の中心におけるものよりも狭い。いくつかの実施形態では、開口部122の幅は、近位縁部125および遠位縁部127の少なくとも一方よりも開口部の中心において狭い。
【0034】
いくつかの実施形態では、開口部122の幅は、ボール120全体を通して実質的に同様である。いくつかの実施形態では、開口部122の幅は、開口部122の内部におけるよりも縁部124において広い。いくつかの実施形態では、開口部122の縁部124の幅は、開口部122の内部におけるよりも狭い。
【0035】
いくつかの実施形態では、開口部は、複数の縁部124を有することができる。いくつかの実施形態では、ボール120は、ボール120の両側にある2つの縁部124を有することができる。いくつかの実施形態では、縁部124は、実質的に同様の形状を有することができる。いくつかの実施形態では、縁部124は、異なる形状を有することができる。
【0036】
いくつかの実施形態では、ボール120は、ステンレス鋼、チタン、炭化タングステン、セラミック、複合材料、または同様のものから作られる。
【0037】
図1~
図4Bで示されるように、ボール120は、駆動シャフト140に結合することができる。駆動シャフト140は、遠位端142および近位端144を含む。いくつかの実施形態では、駆動シャフト140の近位端144は、手術用パワーガンに結合することができる。いくつかの実施形態では、駆動シャフト140の近位端144は、ハンドルに結合することができる。駆動シャフト140の遠位端142は、ボール120の近位端126に結合することができる。駆動シャフト140の遠位端142は、溶接、接着剤、スナップ嵌め、ピンなどにより、ボール120の近位端126に結合することができる。いくつかの実施形態では、ボール120および駆動シャフト140は、一体部品である。いくつかの実施形態では、駆動シャフト140は、ステンレス鋼、炭化タングステン、チタン、セラミック、硬質プラスチック、複合材料などの剛性材料である。
【0038】
図3A~
図3B、および
図4A~
図4Bで示されるように、ピン130は、ボール120における開口部122を貫通して延びる。ピン130の長さは、ボール120の直径よりも長くすることができ、したがって、ピン130は、ボール120の外側面123を過ぎて延びる。ソケット110は、ボール120およびピン130を受け入れるように構成される。いくつかの実施形態では、ソケット110は、ステンレス鋼、チタン、炭化タングステン、セラミック、複合材料、硬質プラスチック、ポリマー、または同様のものなどから作られる。いくつかの実施形態では、ピン130は、ステンレス鋼、チタン、炭化タングステン、セラミック、複合材料、ポリマー、硬質プラスチックまたは同様のものから作られる。いくつかの実施形態では、ソケット110は、ボール120に接触するライナ材料を含む。
【0039】
ボール120は、
図1で示されるように、ピン130を介してソケット110に結合される。ピン130は、ピン130の長さに平行に延びる長手方向軸Aを含む。
図3Aは、第1の位置にあるボール120および駆動シャフト140を示す。
図3Bは、ピン130の長手方向軸A周りで回転した、第2の位置にあるボール120および駆動シャフト140を示す。ボール120および駆動シャフト140は、ピン130の長手方向軸A周りで時計回りに、かつ反時計回りに回転可能である。
図3Bで示すように、ボール120および駆動シャフト140は、時計回り方向に回転されている。ソケット110は、ボール120および駆動シャフト140の回転を制限する。いくつかの実施形態では、ソケット110は、ある程度まで、ボール120の回転を制限するように構成することができる。
【0040】
ボール120および駆動シャフト140は、ピン130の長手方向軸Aに対して直角である軸周りで回転することができる。
図2Aは、第3の位置にあるボール120および駆動シャフト140を示し、
図2Bは、第4の位置にあるボール120および駆動シャフト140を示す。ボール120および駆動シャフト140は、ピン130の長手方向軸Aに直角な(例えば、
図4Bで、軸Bはシートに対して垂直である)軸B(
図4Bで示される)周りで、第3の位置と第4の位置との間で回転可能である。ボール120および駆動シャフト140は、2つの軸の間の交差点周りで、ソケット110の内側で回転可能である。
【0041】
ボール120の位置は、1つまたは複数の構成要素を含むことのできる付勢(弾性)機構160により固定することができる。様々な実施形態では、付勢機構160は、ばね、ゴム、シリコーン、ポリマー、または同様のものを含むことができる。付勢機構160は、少なくとも1つの方向にボール120に対して圧力を加えるように付勢され得る。いくつかの実施形態では、弾性機構160は、ボール120対して近位方向に圧力を加えることができる。
図1で示されるように、付勢機構160は、ピン162を介してソケット110に結合され得る。いくつかの実施形態では、付勢機構160は、溶接、接着剤、ねじ、または同様のものにより、ソケット110に結合され得る。いくつかの実施形態では、付勢機構160は、ソケット110と一体化することができる。
【0042】
図5および
図6は、いくつかの実施形態によるフィッティング150を示す。いくつかの実施形態では、フィッティング150は、内側の構成要素152および外側の構成要素154を含むことができる。
図5は、外側の構成要素154を備えるフィッティング150を示し、
図6は、外側の構成要素154が外されたフィッティング150を示す。いくつかの実施形態では、外側の構成要素154は、
図5および
図6で示すように、ピン162を介して内側の構成要素152に結合することができる。いくつかの実施形態では、内側の構成要素152、および外側の構成要素154は、スナップ嵌め、ねじ込み、溶接、接着剤、または同様のものにより結合され得る。フィッティング150は、ソケット110に結合される。いくつかの実施形態では、フィッティングの少なくとも一部は、ソケット110と一体化される。いくつかの実施形態では、フィッティング150は、溶接、接着剤、ピン、ねじ、または同様のものにより、ソケット110に結合される。
図3Aで示されるように、内側の構成要素152は、ソケット110と一体化される。他の実施形態では、フィッティング150は、ソケット110から分離され、かつ別個のものである。いくつかの実施形態では、フィッティング150は、ドリルビット、ねじ駆動機構、または同様のものなど、外科手術用具を含むことができる。いくつかの実施形態では、フィッティング150は、モジュラー式接続、またはクイック接続フィッティングを含むことができる。いくつかの実施形態では、クイック接続フィッティングは、ドリルビット、ねじ駆動機構、または同様のものなど、外科手術用具に結合することができる。
【0043】
いくつかの実施形態では、自在継手組立体100は、駆動シャフト140およびフィッティング150を含む。いくつかの実施形態では、フィッティング150は、ピン130の長手方向軸A周りで回転し、かつピン130の長手方向軸Aに直角な軸B周りで回転する位置にあることができる。これは、駆動シャフト140に対して、フィッティング150の角度を、少なくとも2つの次元における異なる角度に調整できるようにする。駆動シャフト140は、その長手方向軸C(
図4Bで示される)周りで回転可能である。いくつかの実施形態では、駆動シャフト140の長手方向軸Cは、ピン130の長手方向軸A、およびピン130の長手方向軸Aに対して直角な軸Bにより画定される平面に対して直角であり得る。駆動シャフト140の回転は、ピン130およびソケット110を回転させ、その結果、その長手方向軸(
図2A、
図2B、および
図3A~
図3Bにおいて点線で示される)周りでフィッティング150を回転させる。ピン130は、ソケット110とボール120との間でトルクを伝達して、フィッティング150を回転させることができる。いくつかの実施形態では、
図2Bおよび
図3Bで示されるように、フィッティング150は、フィッティング150が駆動シャフト140に対してある角度で方向付けられたとき、回転することができる。
【0044】
図7は、自在継手の例の側方断面図を示す。
図8は、
図7で示された自在継手の例の側方斜視断側面図を示す。
図7および
図8で示される自在継手は、ソケット(ハウジング)110内に位置するボール120を含み、かつ
図1~
図6で示された機構を含む。
図7の例では、ソケット110は、
図1~
図6におけるボール120の周りで延びるソケット110よりも遠くにボール120の周りで延びる。すなわち、
図1~
図6におけるソケット110は、ボール120の周りで約半分延びており、したがって、ソケット110は、ボール120の周りで約180°延びる。
図7および
図8では、ソケット110は、ボール120の周りで180°を超えて延び、したがって、ソケット110は、ボール120の周りで半分を超えて延びる。この実施形態では、駆動シャフト部分(
図7で示された自在継手の左側)が、ボール120が
図7の方向付けに対して時計回りに回転するように、垂直に移動したとき、駆動シャフトの遠位端168(
図8)が、ソケット110の第1の縁部163に接触するまで、ボール120は時計回りに回転することができる。同様に、ボール120が、反時計回りに、
図7の方向付けに対して回転したとき、ボール120は、反時計回りに回転することができ、また駆動シャフトの遠位端168(
図8)は、ソケット110の第2の縁部164に接触する。
【0045】
図7において、インジケータ170は、ソケット110がボール120を囲む範囲を示す。インジケータ170の第1の側171aは、ソケット110の第1の縁部163と位置合わせされる。インジケータ170の第2の側171bは、ソケット110の第2の縁部164と位置合わせされる。インジケータ170は、したがって、180°を超えるボール120の周りのソケット110の範囲を示す。様々な実施形態では、ボール120の周りのソケット110の範囲は、180°を超えることができる。様々な実装形態において、ボール120の周りのソケット110の範囲は、例えば、180°を少し超える、約181°、182°、183°、184°、185°、186°、187°、188°、189°、または190°とすることができる。いくつかの実装形態では、ボール120の周りのソケット110の範囲は、190°を超えることができる。例えば、約190°と195°との間、194°と200°との間、199°と205°との間、204°と210°との間、209°と215°との間、214°と220°との間、219°と225°との間、224°と230°との間、または230°を超える。ボール120の多くの部分を囲むソケット110を用いる実装形態は、ソケット110の中へのボール120のよりしっかりした嵌合を提供することができ、付勢機構160の接触面174が、ボール120の遠位端128に対して押し付けているとき、ボール120を囲むソケット110のより大きな部分に対してボール120を押し付けることができる。いくつかの実装形態では、ボール120の周りに大きく延びるソケット110を有することは、ボールをソケット110の内側に配置することをより困難にし得る。例えば、ソケットの可撓性が少ない場合である。いくつかの制限において、付勢機構160の力に応じて、ボール120の周りでさらに延びるソケット110を有することは有利であり得る。
【0046】
股関節全置換などの手術手技中に、手術領域がきつくなる可能性がある。寛骨臼カップインプラントに対してねじを正しく位置決めするために、フィッティング150を駆動シャフト140に対して一定の角度で位置決めする必要があり得る。自在継手組立体100の位置決めを調整するために、ユーザは、ボール120をピン130の長手方向軸A周りで、またはピン130の長手方向軸Aに対して直角な軸B周りで回転することができる。いくつかの実施形態では、ユーザは、ボール120を、長手方向軸Aおよび直角な軸B周りで同時に回転させることができる。ボール120が位置決めされた後、ユーザは、弾性機構160を介して、その位置を固定することができる。
【0047】
いくつかの実施形態では、ユーザは、フィッティング150を、ドリルビット、ねじ駆動機構、のこぎり、または同様のものなどの外科手術用具に結合する。いくつかの実施形態では、フィッティング150は外科手術用具である。いくつかの実施形態では、ユーザは、駆動シャフト140をハンドルに結合する。いくつかの実施形態では、ユーザは、駆動シャフト140を、手術用ガン(surgical gun)など動力供給源に結合する。ユーザは、手術用ガンを使用して、駆動シャフト140を高いRPMで回転させ、それは次いで、フィッティング150を回転させることができる。いくつかの実施形態では、外科医は、自在継手組立体100を使用して、股関節置換手術中にパイロット孔を穴開けする、またはねじを挿入することができる。
【0048】
前述の説明は、本明細書で開示されるシステム、デバイス、および方法のいくつかの実施形態の細部を説明している。しかし、前述のものがどれだけ詳しくテキストに記載されていようとも、システム、デバイス、および方法は、多くの方法で実施できることが理解されよう。上記ですでに述べたように、本発明のいくつかの特徴または態様を述べるときに特定の専門用語を使用することは、その専門用語が、本明細書で再定義されて、専門用語が関係する技術の特徴または態様の何らかの特定の特性を含めるように限定されることを示唆するものと解釈すべきではないことに留意されたい。
【0049】
いくつかある中で特に、「できる(can)」、「できる可能性もある(could)」、「かもしれない(might)」、または「あり得る(may)」などの条件付き言語は、特段の指定がない限り、普通であれば、一般に、いくつかの特徴、要素、および/またはステップを、いくつかの実施形態は含むが、他の実施形態は含まないことを伝えるためにコンテキスト内で使用されるものと理解される。したがって、このような条件付き言語は、一般に、特徴、要素、および/またはステップが、いずれにしても1つまたは複数の実施形態で必要であること、または1つまたは複数の実施形態が、ユーザ入力もしくは指示の有無にかかわらず、これらの特徴、要素、および/またはステップがいずれかの特定の実施形態に含まれる、または実施されるかどうかを決定するための論理を必ず含むことを示唆するように意図されるものではない。
【0050】
見出しが、参照用として、また様々なセクションを特定するのを助けるために本明細書に含まれる。これらの見出しは、それに対して述べられた概念の範囲を限定することを意図するものではない。このような概念は、明細書全体を通して適用可能性を有することができる。
【0051】
「X、Y、またはZのうちの少なくとも1つ」というフレーズなどの選言的言語は、コンテキストにおいて、普通であれば、特段の指定がない限り、項目、用語などは、X、Y、もしくはZのいずれか、またはそれらの任意の組合せ(例えば、X、Y、および/またはZ)とすることができることを一般に提示するために使用されるものと理解される。したがって、このような選言的言語は、概して、いくつかの実施形態が、少なくとも1つのX、少なくとも1つのY、または少なくとも1つのZがそれぞれ存在することを必要としていることを示唆するように意図されておらず、示唆すべきものではない。
【0052】
「に基づく」というフレーズは、その他の形で明示的に指定されない限り、「にだけ基づく」ことを意味しない。言い換えると、「に基づく」というフレーズは、「にだけ基づく」と、「に少なくとも基づく」と、の両方を述べる。明示的に他の形で述べられない限り、「1つの(a)」または「1つの(an)」などの冠詞は、概して、1つまたは複数の述べられた項目を含むように解釈されるべきである。したがって、「ように構成されたデバイス」などのフレーズは、1つまたは複数の記載されたデバイスを含むように意図される。
【0053】
述べられた技術の範囲から逸脱することなく、様々な修正および変更を実施できることが、当業者であれば理解されよう。このような修正および変更は、実施形態の範囲に含まれるように意図される。1つの実施形態に含まれる部品は、他の実施形態と相互に交換可能であり、示された実施形態からの1つまたは複数の部品は、任意の組合せで他の示された実施形態に含まれ得ることが当業者であればさらに理解されよう。例えば、本明細書で述べられ、かつ/または諸図で示された様々な構成要素のいずれも、組み合わせることができ、相互に交換可能であり、または他の実施形態から除外することができる。
【0054】
上記の記述は、本発明のいくつかの方法、および材料を開示する。本発明は、方法および材料における修正、ならびに製作方法および機器における改変が可能である。このような修正は、本開示を考慮し、または本明細書に開示された本発明を実施することにより、当業者には明らかになるであろう。したがって、本発明は、本明細書で開示された特定の実施形態に限定されるようには意図されておらず、それは、添付の特許請求の範囲で具体化される本発明の真の範囲および趣旨に含まれるすべての修正形態および代替形態を包含するように意図される。出願人は、新規であり、かつ非自明であると考えられる開示された本発明の組合せおよび下位の組合せを対象とする特許請求の範囲を提出する権利を留保する。特徴、機能、要素、および/または特性の他の組合せおよび下位の組合せで実施される発明は、現在の出願において、または関連出願において、これらの特許請求の範囲の補正により、または新しい特許請求の範囲を提示することにより、特許請求することができる。このように補正された、または新しい請求項は、それらが、同じ発明を対象としているかそれとも異なる発明を対象としているかどうか、また原請求項に対して、範囲が異なる、より広い、より狭い、または等しいかどうかは、本明細書で述べられた本発明の主題の範囲内で考慮されるべきである。
【符号の説明】
【0055】
100 自在継手組立体
110 ソケット(ハウジング)
112 開放端部
114 ソケットの閉塞端部
120 ボール
121 穴部
122 開口部
123 ボールの外側面
124 ボールの表面の開口部の縁部
125 ボールの表面の開口部の近位縁部
126 ボールの近位端
127 ボールの表面の開口部の遠位縁部
128 ボールの遠位端
130 ピン
132 ボール開口部の内側面の近位内側部分
133 ボール開口部の内側面の遠位内側部分
134 ボール開口部の内側面の近位外側部分
135 ボール開口部の内側面の遠位外側部分
140 駆動シャフト
142 駆動シャフトの遠位端
144 駆動シャフトの近位端
150 フィッティング
152 内側構成要素
154 外側構成要素
160 弾性(付勢)機構
161 ばね
162 ピン
163 ハウジングの第1の縁部
164 ハウジングの第2の縁部
166 駆動シャフトのテーパ状部分
167 第2の狭い部分の駆動シャフト
168 駆動シャフトの遠位端
170 ハウジングがボールを囲む量を示す角度インジケータ
171a インジケータの第1の側
171b インジケータの第2の側
172 弾性機構の接触構成要素
174 ボール120の表面に接触する接触構成要素172の表面
176 接触構成要素172のばね接触面
178 接触構成要素172の狭く細長い中心部分