(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-11
(45)【発行日】2024-03-19
(54)【発明の名称】プレート部材の遊びのない固定を有する電気要素
(51)【国際特許分類】
F16B 21/07 20060101AFI20240312BHJP
【FI】
F16B21/07 Z
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022162098
(22)【出願日】2022-10-07
【審査請求日】2022-11-17
(32)【優先日】2021-10-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】514095099
【氏名又は名称】ティーイー コネクティビティ インディア プライベート リミテッド
【氏名又は名称原語表記】TE CONNECTIVITY INDIA PRIVATE LIMITED
(73)【特許権者】
【識別番号】501090342
【氏名又は名称】ティーイー コネクティビティ ジャーマニー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツンク
【氏名又は名称原語表記】TE Connectivity Germany GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100100077
【氏名又は名称】大場 充
(74)【代理人】
【識別番号】100136010
【氏名又は名称】堀川 美夕紀
(74)【代理人】
【識別番号】100130030
【氏名又は名称】大竹 夕香子
(74)【代理人】
【識別番号】100203046
【氏名又は名称】山下 聖子
(72)【発明者】
【氏名】クリストフ クレマー
(72)【発明者】
【氏名】マニバサカン ラヴィンティラン
(72)【発明者】
【氏名】プーヴェンサン エー
【審査官】松林 芳輝
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-101088(JP,A)
【文献】特開2019-114687(JP,A)
【文献】特開2014-183139(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0095235(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16B 21/00-21/20
H05K 5/00-5/06
H05K 7/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気要素(1)であって、
- 第1のハウジング部(5)と、
- プレート部材(7)と、
- 第2のハウジング部(9)と、を備え、
前記第1のハウジング部(5)はプレート挿入部分(11)を含み、前記プレート挿入部分(11)は、前記第1のハウジング部(5)における前記プレート部材(7)の取付位置(21)への、挿入方向(19)に沿った前記プレート部材(7)の挿入をガイドするように構成され、
前記第2のハウジング部(9)は、前記第1のハウジング部(5)の対応する対向ロック要素(29)とのロック(49)を形成する少なくとも1つのロック要素(27)を含み、
前記第2のハウジング部(9)は、前記プレート部材(7)の対応する対向ラッチ要素(37)に係合するように構成されている少なくとも1つのラッチ要素(31)をさらに含み、前記少なくとも1つのラッチ要素(31)と前記対応する対向ラッチ要素(37)とは、係合状態でラッチ(51)を形成
し、
前記少なくとも1つの対向ラッチ要素(37)は対向ラッチ面(39)を含み、前記ラッチ(51)が係合すると、前記第2のハウジング部(9)の前記少なくとも1つのラッチ要素(31)は前記対向ラッチ面(39)に押し付けられ、それにより、前記プレート部材(7)を前記取付位置(21)に押す、
電気要素(1)。
【請求項2】
前記プレート挿入部分(11)は、前記プレート部材(7)をガイドするための少なくとも1つのスロット(13)を含む、
請求項1に記載の電気要素(1)。
【請求項3】
前記少なくとも1つのスロット(13)は、前記挿入方向(19)に沿って互いに離間して部分ごとに配置されたガイド部材(53)を含む、
請求項2に記載の電気要素(1)。
【請求項4】
前記プレート挿入部分(11)は、前記挿入方向(19)に沿った前記プレート部材(7)の挿入を制限し、かつ前記取付位置(21)を画定する止め部(43)を含む、
請求項1に記載の電気要素(1)。
【請求項5】
前記少なくとも1つのラッチ要素(31)はばね部材(73)を含む、
請求項1に記載の電気要素(1)。
【請求項6】
前記ばね部材(73)は双安定ばね部材(73a)である、
請求項5に記載の電気要素(1)。
【請求項7】
前記プレート部材(7)が前記取付位置(21)にあり、前記ラッチ(51)が係合している場合、前記ばね部材(73)はラッチ状態(79)にある、
請求項6に記載の電気要素(1)。
【請求項8】
前記ラッチ状態(79)で、前記ばね部材(73)は、前記ばね部材(73)の静止状態(75)に対して撓む、
請求項7に記載の電気要素(1)。
【請求項9】
前記対向ラッチ面(39)は、前記挿入方向(19)にまたは前記挿入方向(19)と反対に湾曲
部を含む、
請求項
1に記載の電気要素(1)。
【請求項10】
前記少なくとも1つのラッチ要素(31)は、前記少なくとも1つのラッチ要素(31)を前記挿入方向(19)に沿って弾性的に保持するように構成されている押圧力部材(33)によって、前記第2のハウジング部(9)の本体(23)に弾性的に接続されている、
請求項1に記載の電気要素(1)。
【請求項11】
前記少なくとも1つのラッチ要素(31)はばね部材(73)を含み、
前記ばね部材(73)は
、静止状態(75)
とラッチ状態(79)との間の中間状態(77)を含み、前記中間状態(77)で、前記押圧力部材(33)は、中間押圧力を前記プレート部材(7)に前記挿入方向(19)に加える、
請求項
10に記載の電気要素(1)。
【請求項12】
前記押圧力部材(33)は、前記ばね部材(73)の前記ラッチ状態
(79)で、恒久的な押圧力(95)を前記プレート部材(7)に前記挿入方向(19)に加え、前記恒久的な押圧力(95)は前記中間押圧力よりも小さい、
請求項
11に記載の電気要素(1)。
【請求項13】
前記少なくとも1つのラッチ要素(31)が前記対応する対向ラッチ要素(37)に係合すると、前記少なくとも1つのロック要素(27)は前記対応する対向ロック要素(29)に押し付けられる、
請求項
12に記載の電気要素(1)。
【請求項14】
前記第1のハウジング部(5)は、前記第1のハウジング部(5)の両側に2つのプレート挿入部分(11)を含み、
前記プレート部材(7)は、2つの端部(65)を有する曲がりプレート部材(7)であり、前記プレート挿入部分(11)の各々は、前記第1のハウジング部(5)への前記曲がりプレート部材(7)の一端部(65)の挿入をガイドするように構成され、
前記曲がりプレート部材(7)の各端部(65)は、前記第2のハウジング部(9)の対応するラッチ要素(31)に係合するように構成されている少なくとも1つの対向ラッチ要素(37)を含む、
請求項
13に記載の電気要素(1)。
【請求項15】
電気要素(1)であって、
- 第1のハウジング部(5)と、
- プレート部材(7)と、
- 第2のハウジング部(9)と、を備え、
前記第1のハウジング部(5)はプレート挿入部分(11)を含み、前記プレート挿入部分(11)は、前記第1のハウジング部(5)における前記プレート部材(7)の取付位置(21)への、挿入方向(19)に沿った前記プレート部材(7)の挿入をガイドするように構成され、
前記第2のハウジング部(9)は、前記第1のハウジング部(5)の対応する対向ロック要素(29)とのロック(49)を形成する少なくとも1つのロック要素(27)を含み、
前記第2のハウジング部(9)は、前記プレート部材(7)の対応する対向ラッチ要素(37)に係合するように構成されている少なくとも1つのラッチ要素(31)をさらに含み、前記少なくとも1つのラッチ要素(31)と前記対応する対向ラッチ要素(37)とは、係合状態でラッチ(51)を形成
し、
前記少なくとも1つのラッチ要素(31)は、前記少なくとも1つのラッチ要素(31)を前記挿入方向(19)に沿って弾性的に保持するように構成されている押圧力部材(33)によって、前記第2のハウジング部(9)の本体(23)に弾性的に接続されている、
電気要素(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プレート部材の遊びのない固定(clearance-free fixation)を有する電気要素に関する。
【背景技術】
【0002】
電気要素、例えば、少なくとも1つの電気部品を備えるまたは担持する要素は、様々な環境において適用され、電気部品を支持するプレート部材を備えることができる。前記プレート部材を電気部品に固定するための様々な手段が知られている。しかしながら、既知の固定方法は、煩雑で、いくつかのプロセスステップを必要とし、組立エラーが生じやすい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、本発明の一態様は、電気要素の組立てを、より容易でよりエラーが生じにくいものにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、従来技術の電気要素を、第1のハウジング部と、プレート部材と、第2のハウジング部とを備え、第1のハウジング部はプレート挿入部分を含み、プレート挿入部分は、第1のハウジング部におけるプレート部材の取付位置への、挿入方向に沿ったプレート部材の挿入をガイドするように構成され、第2のハウジング部は、第1のハウジング部の対応する対向ロック要素とのロックを形成する少なくとも1つのロック要素を含み、第2のハウジング部は、プレート部材の対応する対向ラッチ要素に係合するように構成されている少なくとも1つのラッチ要素をさらに含み、少なくとも1つのラッチ要素と対応する対向ラッチ要素とは、係合状態でラッチを形成する、ことによって改良する。
【0005】
したがって、本発明の電気要素は、従来技術の解決策と比べて、煩雑で難しく時間のかかる固定が不要であるという利点を有する。したがって、本発明の電気要素は、より容易に組み立てられ、組立エラーを防ぐ。
【0006】
本発明の電気要素は、以下で説明する特定の実施形態によって改良することができる。個々の実施形態の技術的特徴を、互いに任意に組み合わせることができ、または、技術的特徴によって得られる技術的効果が本発明に関係なければ、その技術的特徴を省略することができる。
【0007】
プレート部材は、電気プレート部材、すなわち、限定されないが、コネクタインターフェース、および/または、光学センサ、温度センサ、湿度センサ、磁気センサ、渦電流センサ、電流センサのような任意の種類のセンサなどの電気デバイスまたは電気部品を提供するプレートであってよい。
【0008】
プレート部材は、プリント回路基板またはプリント回路基板アセンブリであってよい。
【0009】
本発明の電気要素は遊びがなく、すなわち、プレート部材を受け入れる第1のハウジング部を、接着、ねじ締め、ホットスタンピング、リベット締めなどの必要なく、第2のハウジング部に取り付けることができ、電気要素はさらに耐振性を有する。
【0010】
第1のハウジング部および第2のハウジング部は、別々の部品として設けられていても、ヒンジ、例えばフィルムヒンジによって互いに接続されていてもよい。
【0011】
挿入方向は、第1のハウジング部に向かう第2のハウジング部の直線移動の方向に対応し得る。第1のハウジング部と第2のハウジング部との間にヒンジが設けられている場合、組立方向は、第1のハウジング部に対する第2のハウジング部の傾斜移動を示す、円の扇形によって説明することができる。
【0012】
第2のハウジング部が第1のハウジング部に向かって移動する組立方向は、プレート部材の挿入方向に対応し得る。電気要素の異なる実施形態において、組立方向は、挿入方向に垂直に向いていてもよい。第2のハウジング部を、第2の可能な組立方向(例えば、下方向)または第3の可能な組立方向(例えば、上方向)に沿って第1のハウジング部に取り付けることができるように、組立方向は、挿入されたプレート部材に垂直に向いていてもよい。第1のハウジング部および第2のハウジング部が第2の組立方向または第3の組立方向に沿って互いに取り付けられると、ラッチ要素と対向ラッチ要素とを、摺動するように互いに係合させることができる。ラッチ要素と対向ラッチ要素との位置決めは、対応する要素の面取り部によって提供することができる。
ヒンジが第1のハウジング部と第2のハウジング部とを接続している場合、第1のハウジング部に対する第2のハウジング部の傾斜移動の方向が、ラッチの係合前の挿入方向に近付くことができる。
【0013】
ロックおよびラッチはいずれも固定原理を説明しており、ロック(独語:Gesperre)は係合後、(ロックを形成する要素を破壊することなく)力によって解放することができず、一方、ラッチ(独語:Gehemme)は係合後、ラッチ力、ラッチ摩擦などに打ち勝つ力によって解放することができる。ロックおよびラッチはいずれも、少なくとも2つの要素間のポジティブフィットに基づいていてよい。
【0014】
ラッチは、解放するために工具を必要とすることがある。しかしながら、ロックは、ロック要素を対向ロック要素からずらすと、解放することもできる。このずらし移動は、工具を必要とすることもある。
【0015】
したがって、電気要素は、プレート部材がまだプレート挿入部分内に受け入れられておらず、ロックもラッチも係合していない非組立状態になり得る。電気要素は、プレート部材がプレート挿入部分に受け入れられ、ロックが係合すると、事前組立状態になり得る。最後に、プレート部材がプレート挿入部分に受け入れられ、ロックおよびラッチが係合すると、電気要素は組立状態になり得る。
【0016】
ロック要素、対向ロック要素、ラッチ要素、および対向ラッチ要素は、2重、3重、または4重以上設けることができ、好ましくは、ロック要素の各々が対応する対向ロック要素を有し、したがって、各ラッチ要素が対向ラッチ要素を有する。本開示内で、上記の要素のうちの1つのみについて記載される機構または機能は、同じ機構または機能を有する1つまたは複数の要素の存在を除外しない。同様に、要素の複数形が使用される場合、2つのロック要素またはラッチ要素を含む電気要素の実施形態の文脈内で説明される機構および/または機能は、同じ機構および/または機能を有する1つのロック要素またはラッチ要素、1つの対向ロック要素または対向ラッチ要素を含む本発明の電気要素の別の実施形態を除外しない。
【0017】
電気要素は直方体形状(cuboid shape)を有することができ、プレート挿入部分を直方体の第1の面の近くに設けることができる。事前組立状態および組立状態で、第2のハウジング部のアームが、第1のハウジング部を少なくとも部分的に囲むことができる。第2のハウジング部のアームを、直方体のそれぞれのさらなる面にまたはその近くに設けることができ、第1の面はさらなる面に垂直に向いていてよい。ロック要素および/または対向ロック要素および/またはラッチ要素および/または対向ラッチ要素を、第1のハウジング部または第2のハウジング部の両側に対で設けることができる。
【0018】
電気要素は、プレート挿入部分がプレート部材をガイドするための少なくとも1つのスロットを含むという点で、改良することができる。スロットは、プレート部材を容易にガイドするという利点を有する。
【0019】
スロットを、挿入方向に沿って延びるガイド凹部もしくはガイド突起、例えば、細長く延びる構造によって形成された長孔もしくはガイドによって、形成または画定することができる。スロットとプレート部材の側縁部とは、挿入方向に垂直な任意の方向へのスロットに対するプレート部材の移動を防止することができる形状嵌合で係合し、プレート部材を挿入方向にまたは挿入方向とは反対にスロット内外へ移動させる残余自由度は、そのままであってよい。
【0020】
また、プレート部材は、ダブテールガイド(dovetail guidance)と同様のガイドが形成されるように、スロットを含むことができる。
【0021】
少なくとも1つのスロットは、挿入方向に沿って互いに離間して部分ごとに配置されたガイド部材を含むことができる。ガイド部材は、挿入方向に垂直な方向に沿って延びていても、挿入方向に垂直な方向に沿って第1のハウジング部の一側面によって形成されていてもよく、突起の張出しがスロットを制限することができるように、反対側の面に向かって曲がっていてもよい。挿入方向に沿って、ガイド部材を、第1のハウジング部の一側のみに、または好ましくは第1のハウジング部の両側に対で設けることができる。挿入方向に沿って、少なくとも2つのガイド部材を各側に設けることができる。
【0022】
本発明の電気要素のさらなる実施形態は、プレート挿入部分が、挿入方向に沿ったプレート部材の挿入を制限し、かつ取付位置を画定する止め部を含むという点で、改良することができる。したがって、プレート部材が挿入部分に受け入れられたときに、取付位置に容易に到達する。止め部はポケットを含むことができ、取付位置で、このポケットにプレート部材が少なくとも部分的に挿入される。このようなポケットは、2つの機能、すなわち、プレート挿入部分へのプレート部材のさらなる挿入を止める機能と、プレート部材が挿入方向に垂直な方向でプレート受入部分から取り外されることを防ぐ機能とを有することができ、これにより、プレート挿入部分内におけるプレート部材の位置決めをさらに固定する。
【0023】
したがって、取付位置にあるプレート部材は、電気要素の外側からアクセスできる外面と、外側から離れる方を向き、外側からアクセスできない内面とを有することができる。ポケットに加えてまたはポケットの代わりに、電気要素は、プレート部材の内面に押し付けられる内部ばねを含むことができ、プレート部材の内面は、スロットのガイド部材に押し付けられる。このような内部ばねは、第1のハウジング部と第2のハウジング部との間に受け入れられ固定されたプレート部材の安定性および耐振性をさらに高めることができる。
【0024】
本発明の電気要素のさらなる有利な実施形態において、ラッチ要素はばね部材を含む。ばね部材は、挿入方向に垂直な方向に沿って屈撓可能であってよい。ばね部材は、安定状態とも呼ばれる静止状態と、準安定状態とも呼ばれるラッチ状態とを含むことができる。静止状態は、プレート部材のさらなる要素もしくは部品または第1のハウジング部との相互作用のない、ばね部材の初期状態を表す。ラッチ状態は、プレート部材のさらなる要素または第1のハウジング部と相互作用するときにのみ維持され得る。別の実施形態において、ばね部材は双安定ばね部材であってよい。
【0025】
ばね部材は、電気要素の非組立状態および電気要素の事前組立状態で静止状態にあってよい。電気要素の組立状態で、ばね部材はラッチ状態にあってよい。
【0026】
すなわち、プレート部材が取付位置にあり、ラッチが係合している場合、ばね部材はラッチ状態にある。特にプレート部材が取付位置にある場合にのみ、ばね部材のラッチ状態に到達することができる。
【0027】
このラッチ状態で、ばね部材は、ばね部材の静止状態に対して撓むことができる。したがって、ばね部材の状態は、撓みによって、特に、ばね部材を含む第2のハウジング部のアームの傾斜移動によって変化する。したがって、ばね部材は、ラッチ要素を第2のハウジング部の本体に接続することができる第2のハウジング部の表面によって形成することができる。
【0028】
本発明の電気要素のさらなる実施形態において、対向ラッチ要素を対向ラッチ面によって形成することができ、ラッチが係合すると、第2のハウジング部の少なくとも1つのラッチ要素は対向ラッチ面に押し付けられ、それにより、プレート部材を取付位置に押す。それにより、取付位置におけるプレート部材の固定が確実になる。
【0029】
プレート部材の対向ラッチ面は、本質的に挿入方向に垂直に向いている肩部であってよい。対向ラッチ面は、挿入方向の斜面または傾斜をさらに含むことができ、すなわち、少なくとも部分ごとに、対向ラッチ面の一部がプレート部材の中央近くに位置することができ、前記一部はさらに挿入方向に位置することもできる。
【0030】
電気要素は、対向ラッチ面が、挿入方向にまたは挿入方向と反対に湾曲部を含むことによってさらに改良することができる。対向ラッチ面の湾曲部は凸状であってよく、第2のハウジング部のラッチ部材の湾曲部は凹状であってよい。電気要素の別の実施形態において、それらの湾曲部は逆であってもよい。さらに、表面の形状は、「V字形」、「U字形」に対応してもよく、または単に鋸刃と同様の形状を有する斜面を含んでもよい。対向ラッチ面が「U字形」または「V字形」を有し、第2のハウジング部のラッチ要素が凸状湾曲部を有することも考えられる。
【0031】
ラッチ部材および対向ラッチ部材は、ラッチが係合するときに音響フィードバックおよび/または触覚フィードバックを提供することができる。ラッチを係合させると、クラックフロッグ(crack-frog)によって発生する音と同様のカチッという音(clack sound)の形の音響フィードバックを発生させることができる。係合により、ラッチの係合の触覚フィードバックとして感知することができる衝撃波をさらに発生させることができる。
【0032】
本発明の電気要素のさらなる有利な実施形態において、ラッチ要素は、ラッチ要素を挿入方向に沿って弾性的に保持するように構成されている押圧力部材によって、第2のハウジング部材の本体に弾性的に接続されている。ラッチを係合させるために、対向ラッチ面によって提供される初期バリアに打ち勝つことが必要であり得る。初期バリアは、押圧力部材を挿入方向とは反対の方向に圧縮することによって、ラッチ要素を挿入方向とは反対の方向に撓ませるのに必要な初期撓み力を生じさせることができる。第2のハウジング部のラッチ部材の撓みにより、ラッチ部材を、対向ラッチ面の縁部を通り過ぎて移動させることができ、押圧力部材は、前記縁部を通り過ぎた後に少なくとも部分的に解放される。
【0033】
押圧力部材は、第2のハウジング部の側壁の弾性部によって提供することができ、前記弾性部は、第2のハウジング部の本体をラッチ要素に接続する。押圧力部材は、リング状もしくはS字形構造またはウエブを有することができる。
【0034】
押圧力部材のさらに異なる形状、例えば、限定されないが、反S字形、V字形、z字形、L字形、または単にベンディングバー(bending bar)の形状が考えられる。押圧力部材は、蛇行構造と同様の構造を有する可撓性要素または弾性要素であってよい。
【0035】
ばね部材は、静止状態とラッチ状態との間の中間状態を含むことができ、この中間状態で、押圧力部材は、中間押圧力をプレート部材に挿入方向に加える。ばね部材の静止状態からラッチ状態への切替え中、ラッチを係合させるために初期力に打ち勝つ必要がある。ラッチが係合するラッチ状態に到達する前に、ばね部材は中間状態にある。中間状態は不安定であり、すなわち、ラッチ要素は、ラッチ状態に向かって自動でさらに移動する。
【0036】
ばね部材のラッチ状態で、押圧力部材が恒久的な押圧力をプレート部材に挿入方向に加えると、電気要素の実施形態にとって特に有利である。恒久的な押圧力は中間押圧力よりも小さいことが好ましい。この恒久的な押圧力は、例えば接着などの他の固定方法を必要とすることなく、耐用年数にわたって遊びのない固定を保証することができる。
【0037】
電気要素では、少なくとも1つのラッチ要素が対応する対向ラッチ要素に係合すると、少なくとも1つのロック要素は対応する対向ロック要素に押し付けられる。したがって、2つ(3つ、4つ、N個)のロック要素が、2つ(3つ、4つ、N個)の対応する対向ロック要素に係合することができる。加えて、ラッチ係合により互いに押し付けることができる、任意の数のラッチ要素および対応する数の対向ラッチ要素を設けることができる。対応する対向ラッチ要素に係合する少なくとも1つのラッチ要素は、圧入で係合することができる。
【0038】
本発明の電気要素の別の有利な実施形態において、第1のハウジング部は2つのプレート挿入部分を含む。加えてまたはあるいは、少なくとも1つのもしくは両方のプレート挿入部分は各々、スロットを含むことができる。各スロットを、第1のハウジング部の両側に設けることができる。したがって、2つの個々のプレート部材は、プレート挿入部分の各々に1つのプレート部材という形で受け入れられることが可能である。加えてまたはあるいは、プレート部材は曲がりプレート部材(bent plate member)であってもよい。このような曲がりプレート部材は、2つの端部を有することができる。少なくとも1つのプレート部材、または2つのプレート部材、または曲がりプレート部材の2つの端部は、細長いプリント回路基板、つまりPCBとして、またはプリント回路基板アセンブリ、つまりPCBAとして具体化することができる。
PCBまたはPCBAは、2つの端部または端部分を含むことができる。有利には、プレート挿入部分の各々は、第1のハウジング部への1つの個々のプレート部材または曲がりプレート部材の一端部の挿入をガイドするように構成されてよく、各個々のプレート部材または曲がりプレート部材の各端部は、第2のハウジング部の対応するラッチ要素に係合するように構成されている少なくとも1つの対向ラッチ要素を含むことができる。
【0039】
2つの端部を中間部分によって接続することができる。2つの端部を、互いに電気的に接続することもできる。中間部分は、端部よりも厚さの小さい湾曲部分を含むことができる。これらの湾曲部分は、可撓性およびばね状の挙動を提供することができる。電気要素が組み立てられると、PCBの端部を固定することができ、中間部分を組立方向に押すことができ、それにより、予め張力を加えられたばねとして作用する湾曲部分に力を加えることにより、PCBを電気要素の定位置に保持する。電気要素を、検出手段を提供するeBrakeセンサとして適用することができる。この電気要素の一部の実施形態は、好ましくはPCBの一端部に設けられた少なくとも1つのホールセンサを含むことができ、加えてまたはあるいは、センサに接触するためのコンタクトパッドをPCBの反対側端部にさらに含むことができる。
上記の機構は、本発明の電気コネクタの前述した実施形態と共に個々に設けることができる。
【0040】
本発明の電気要素のさらなる有利な実施形態において、第2のハウジング部は、少なくとも1対、好ましくは少なくとも2対の両側のラッチ要素を含むことができる。別の実施形態において、少なくとも2つのラッチ要素を、第2のハウジング部の一側に設けることができ、これらのラッチ要素は、挿入方向に垂直な方向に撓むように構成されている同期部材によって互いに接続され、それにより、第2のハウジング部の一側に設けられているラッチ要素を安定位置から第2の位置へ動かす。
【0041】
電気要素は、S字形押圧力部材を含むことができる。前記部材は、恒久的な押圧力を発生させることができる。特に、第1のハウジング部は4つのロック部材を有することができる。したがって、第2のハウジング部は4つの対向ロック要素を有することができる。
【0042】
一実施形態において、PCBの各端部は2つの対向ラッチ要素を有することができる。したがって、4つのこのような部分/部材を設けることができる。したがって、第2のハウジング部は、棒によって接続可能な4つのラッチ部材を有することができる。
【0043】
特に、ロック要素とラッチ要素とを、第1のハウジング部および/または第2のハウジング部の両側に設けることができる。
【0044】
第1のハウジング部と第2のハウジング部とは、両方のハウジング部を挿入方向に沿って互いに近付けることによって互いに接続することができる。
【0045】
あるいは、ヒンジがある場合、第1のハウジング部と第2のハウジング部との係合は、傾斜移動で行うことができる。
【0046】
1つの代替実施形態において、第2のハウジング部は、第1のハウジング部に上から下まで係合することができる。ここでは、代替ラッチ要素を設ける必要があり、または、前述したラッチ要素(例えば、ロックビーク(locking beak))を再構成する必要がある。第2のハウジング部に設けられたラッチ要素を、例えば面取り部によって、この代替移動に適合させる必要がある。本実施形態は、湾曲棒がプレート部材の湾曲部分に沿って直接摺動するので、音響フィードバックまたは触覚フィードバックを与えない。
【0047】
上記で概説したように、電気要素は、1つまたは複数のプレート挿入部分と、1つまたは複数のロック要素と、対向ロック要素と、ラッチ要素または対向ラッチ要素と、1つまたは複数のプレート部材とを備えることができる。上記で説明しない実施形態は、上記の機構の任意の組合せを含むことができる。
【0048】
以下で、添付図面に示す例示的な実施形態を使用して、本発明を説明する。
【0049】
図示する実施形態は、本発明の例示的な実施形態を単に表す。所与の技術的特徴を任意に組み合わせることができ、異なる技術的特徴によって得られる技術的効果が本発明に関係なければ、その技術的特徴を省略することができる。同じ技術的効果を有するすべての技術的特徴は、同じ参照数字で示される。前述した技術的特徴の繰り返しの説明は省略する。説明する実施形態は、特許請求の範囲によって定義される保護の範囲を限定しないものとして理解されたい。
【0050】
以下で、添付図面を参照しながら、本発明を例として説明する。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【
図1】本発明の電気要素の第1の実施形態の分解図である。
【
図2】事前組立状態の
図1の実施形態を示す図である。
【
図4】第2のハウジング部のない、本発明の電気要素の別の実施形態を示す図である。
【
図5】事前組立状態の、
図4の本発明の電気要素の実施形態を示す図である。
【
図8】本発明の電気要素の別の実施形態の分解図である。
【
図9】プレート部材が受け入れられている状態の、
図8の電気要素を示す図である。
【
図11】本発明の電気要素のさらに別の実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0052】
図1~
図3において、電気要素1が分解
図3に示されている。電気要素1は、第1のハウジング部5と、プレート部材7と、第2のハウジング部9とを備える。
【0053】
第1のハウジング部5は、直方体形状または立方体形状を有することができるが、これらの形状に限定されず、円形の外形または湾曲した外形を含んでもよい。
【0054】
第1のハウジング部5は、図示の実施形態においてスロット13によりそれぞれ形成されるプレート挿入部分11を含む。スロット13のスロット幅13aは、プレート部材7の厚さ15に対応するか、またはこれよりも最大10%大きい。プレート部材7は、例えばプリント回路、プリント回路アセンブリ、コネクタ要素、センサなどとしての電気部品を設けるように構成されている。
図1に、電気部品17が概略的に示されており、これは、上で挙げたものに限定されない可能なさらなるコネクタ要素の代表であるものとして理解されたい。
【0055】
プレート挿入部分11は、
図2に示す取付位置21への、挿入方向19に沿ったプレート部材7の挿入をガイドするように構成されている。
【0056】
プレート部材7は、前側7aおよび後側7bを有する長手方向形状を有し、プレート部材7は、前側7aでプレート挿入部分に挿入される。本発明の電気要素1の異なる実施形態において、例えば、回転対称を示さないスロット13の断面の形のポカヨケ機構(不注意による誤りを防ぐ機構(図示せず))を設けることができる。
【0057】
第2のハウジング部9は、本体23と、本体23から延びる2本のアーム25とを含む。本体23に、2つのロック要素27が設けられている。本発明の電気要素1の異なる実施形態において、1つのロック要素27のみを設けてもよい。2つのロック要素27はロック凹部27aとして具体化され、一方は本体23によって隠れている。
【0058】
第2のハウジング部9はU字形を有し、U字の基底部は本体23によって形成されている。
【0059】
第2のハウジング部9のロック要素27は、第1のハウジング部の対応する対向ロック要素29とのロック(
図2参照)を形成する。図示の実施形態において、対向ロック要素29は、ロックビーク29aとして具体化される。
【0060】
第2のハウジング部9は、アーム25に設けられている2つのラッチ要素31をさらに含む。電気要素1の異なる実施形態において、ラッチ要素31を異なる位置に設け、異なる部材を介して本体23に接続してもよい。別の実施形態において、1つのラッチ要素31のみを設けてもよい。図示の実施形態のラッチ要素31は、押圧力部材33によって本体23に接続され、かつ/または保持されている。第2のハウジング部9の下の略
図35に示すように、押圧力部材33は、押圧力部材33のリング部分33aの変形によって圧縮可能である。
【0061】
第2のハウジング部9のラッチ要素31は、プレート部材7の対応する対向ラッチ要素37に係合して、ラッチ(図示せず、
図3参照)を係合させるように構成されている。図示の実施形態において、プレート部材7の対向ラッチ要素37は、対向ラッチ面39として具体化されている。
【0062】
図2に、電気要素1が事前組立状態41で示され、この事前組立状態41では、プレート部材7が、取付位置21に到達するまで挿入方向19に沿ってプレート挿入部分11に挿入される。取付位置21は、挿入方向19に沿ったプレート部材7の挿入を制限する止め部43によって画定されている。図示の実施形態において、止め部43は、第1のハウジング部3の前壁45によって提供されている。
【0063】
本発明の電気要素1の組立て中の次のステップで、第2のハウジング部9は、第2のハウジング部9のロック要素27が第1のハウジング部5の対向ロック要素29に係合するように、挿入方向19に沿って移動する。このロックは、本体23、特に第2のハウジング部9のアーム25がロックビーク29aに当接して外方に撓み、ロックビーク29aがロック凹部27aに到達するまで本体23の内面がロックビーク29aに沿って摺動するように行われる。ここで、撓んだアーム25は、
図1に示す初期位置に戻る。
【0064】
挿入方向19は、第2のハウジング部9を第1のハウジング部5に組み付ける組立方向20に対応し得る。
【0065】
本発明の電気要素1の異なる実施形態において、組立方向20は、挿入方向19に垂直に向いていてもよい。可能なさらなる組立方向20は、第2の可能な組立方向20aおよび第3の可能な組立方向20bである。さらなる組立方向20も除外されない。
【0066】
第2のハウジング部9が、第2の可能な組立方向20aまたは第3の可能な組立方向20bに沿って第1のハウジング部5にラッチ止めされる場合、
図1および
図2に示すロックビーク29aは、選択されたさらなる組立方向20aまたは20bに少なくとも部分的に対向し得る、変更された斜面または面取り部を含むことができる。そのような変更されたロックビーク29aは図示しない。
【0067】
図3に、電気要素1が組立状態47で示され、この組立状態47では、ロック要素27が、第1のハウジング部5の対応する対向ロック要素29とのロック49を形成し、加えて、第2のハウジング部9のラッチ要素31が、プレート部材7の対向ラッチ要素37とラッチ51を係合させる。プレート部材7が取付位置21にある場合にのみラッチ51が可能であることに留意されたい。
【0068】
以下の
図4~
図7で、本発明の電気要素1の別の実施形態について説明する。
【0069】
図4は、第2のハウジング部9のない電気要素1を示す。
【0070】
本実施形態において、プレート挿入部分11は、挿入方向19に沿って互いに離間した、部分ごとに配置されたガイド部材53によって形成される。
【0071】
さらに、止め部43は、プレート部材の前側7aを少なくとも部分的に受け入れることができる2つのポケット55を追加で含む(他の実施形態においては、1つのポケット55のみを設けてもよい)。
【0072】
ガイド部材53は、第1のハウジング部5の側壁57から延びて、張出し構造59を形成し、両側の張出し構造59間の自由空間61はプレート幅63よりも小さい。張出し構造59は、プレート部材7をプレート挿入部分11に保持し、プレート部材7がプレート挿入部分11からz方向に移動することを防ぐ。
【0073】
さらに、図示の実施形態において、第2のプレート挿入部分11が、第1のハウジング部5の下部に設けられている。この第2のプレート挿入部分11は、上部プレート挿入部分11と同様に、すなわち、ガイド部材53を有して形成されている。2つのプレート挿入部分11は、同一に具体化されても、異なって具体化されてもよく、すなわち、例えば、本発明の電気要素1の第1の実施形態の、
図1~
図3に示すようなスロット13により形成されてもよい。
【0074】
本実施形態に示すプレート部材7はU字形を有し、2つの端部65、すなわち第1の端部65aと第2の端部65bとを有し、これらの端部は、異なる前側7aで互いに区別されて、第1のハウジング部5へのプレート部材7の誤った取付けを防ぐ。両端部65a、65bは、両端部65を機械的および/または電気的に互いに接続することができる中間部分66によって互いに接続されている。図示のプレート部材7は、予め曲がっていてよい。図示の実施形態において、中間部分66は2つの湾曲部分66aを含む。これらの湾曲部分66aは、応力緩和が低く、端部65a、65bの厚さよりも厚さ(図示せず)が小さいことにより、
図6を参照して説明するばね挙動を提供する。
【0075】
図5で、プレート部材7、より正確にはプレート部材7の2つの端部65が各々、第1のハウジング部5の対応するプレート挿入部分内に受け入れられている。見て取れるように、張出し構造59は、端部56が、それぞれz方向と反対に沿って、対応するプレート挿入部分11から抜けることを防ぐ。
【0076】
プレート部材7を移動させるための残余自由度は、挿入方向19と反対のみである。
【0077】
最後に、
図6は、組立状態47の本発明の電気要素1を示す。組立状態47で、プレート部材7は、取付位置21にあり、止め部43のポケット55に部分的に受け入れられている。図示の実施形態において、第2のハウジング部9のロック要素27と第1のハウジング部5の対向ロック要素29とのロック49が係合し、各側が2つの係合したロック49を提供する。さらに、第2のハウジング部9のラッチ要素31とプレート部材7の対向ラッチ要素37とのラッチ51も係合する。プレート部材7の各端部65について、2つのラッチ要素31と2つの対向ラッチ要素37との間でラッチ51が係合する。ラッチ51については、次の図でより詳細に説明する。
【0078】
組立状態47で、プレート部材7の端部65は固定され、中間部分66(見えない)は第2のハウジング部9によって組立方向20に押される。湾曲部分66a(
図4参照)は、変形66cにより、圧縮ばね66bとして作用する。変形66cは、第1の円80に示す湾曲部分66aの非変形状態66dと比較して、第2の円80aに概略的に示されている。湾曲部分66aが圧縮ばね66bとして作用するため、プレート部材7は、第1のハウジング部5と第2のハウジング部9との間でさらに固定される。
【0079】
図5および
図6を参照すると、本発明の電気要素1の第2の実施形態の押圧力部材33がS字形ばね部材67によって形成されていることに留意されたい。図示の実施形態において、4つの押圧力部材33が設けられているが、他の実施形態においては、異なる数の押圧力部材33、例えば1つ、2つ、3つ、5つ以上の押圧力部材33が考えられる。対称のラッチを実現するために、押圧力部材33を対で設けることが好ましい。
【0080】
図7は、ラッチ51の動作原理を示し、第2のハウジング部9のラッチ要素31とプレート部材7の対向ラッチ要素37とをより詳細に示す。
図7は、前記詳細を上面図で示す。
【0081】
見て取れるように、ラッチ要素31は凸面69を有し、対向ラッチ面39である対向ラッチ要素37は凹面71を有する。
【0082】
第2のハウジング部9は、ラッチ要素51を第2のハウジング部9の本体23(ここでは図示せず)に接続するばね部材73を含む。左のパネルa)では、ばね部材73は静止状態75にあり、プレート部材7は取付位置21にある。
【0083】
ばね部材73は双安定ばね部材73aであってよい。
【0084】
ラッチ51は、ラッチ力81をx方向に加えることによって係合させることができる。反対側のラッチ要素31のラッチ51と反対側の対向ラッチ要素37とを係合させるためのラッチ力81は、ここに示すx方向とは反対を向くことに留意されたい。ラッチ力81により、ラッチ要素31の凸面69は対向ラッチ要素37の角部83に当接し、角部83は、湾曲部85により、圧縮力87をばね部材73にy方向に加える。この圧縮力87は、
図1の略
図35に示すように押圧力部材33を変形させる。
【0085】
角部83はロック接触点84であってよい。このロック接触点84から、凹面71が広がり、角度113は0°以上である。
【0086】
凸面69の頂点89が角部83を越えるときに、圧縮力87が最大になる。ばね部材73をx方向にさらに移動させる、例えば撓ませると、必要なラッチ力81および発生する圧縮力87は低減する。
【0087】
最後に、パネルc)に示すように、ラッチ要素31の凸面69と対向ラッチ要素37の凹面71とがラッチ51を係合させる。これは、特に、ポジティブロック91に基づくことができ、より詳細には、圧入93であってよい。
【0088】
パネルb)で、ばね部材73は中間状態77にあり、パネルc)で、ばね部材73はラッチ状態79にある。
【0089】
ラッチ51が係合すると、すなわち、ばね部材73がパネルb)の中間状態77からパネルc)のラッチ状態79に移動すると、正しいラッチ51を示す音響フィードバックおよび/または触覚フィードバックが発生する。
【0090】
残りのラッチ力81により、ばね部材73は、プレート部材7を取付位置21に保持し、プレート部材は止め部43において第1のハウジング部に押し付けられ、残りのラッチ力81は、少なくとも部分的に、第2のハウジング部のロック要素27から第1のハウジング部の対向ロック要素29にも加えられる。したがって、ロック49およびラッチ51は、パネルc)のラッチ力81に等しい恒久的な押圧力95によって固定される。
【0091】
図8~
図10に、本発明の電気要素1の別の実施形態が示されている。本実施形態は、第1のハウジング部5、プレート部材7、および第2のハウジング部9の形状が、前述した実施形態とは異なる。プレート部材7は、例えば、異なる長さの端部65を提供する。アーム25などの他の機構と、撓み、可撓性などに関するそれらの挙動とは、前述した実施形態の対応する機構と同様である。
【0092】
本実施形態においても、少なくとも部分的にスロット13を形成するガイド部材53が設けられている。本実施形態において、第1のハウジング部5の前壁45は張出し構造59も含む。各スロット13は、ガイド部材53に加えて、スロット13を形成するまたは制限する屋根部材97を含む。
図8~
図10に示す実施形態において、第2のハウジング部9のロック要素27はロックビーク29aとして形成され、第1のハウジング部5の対向ロック要素29はロック凹部27aとして形成され、ロック要素27と対向ロック要素29とは、ラッチ要素31と対向ラッチ要素37との配置に垂直な平面(図示せず)に配置されている。
【0093】
屋根部材97と屋根部材97を接続する2つの接続機構99とにより、ラッチ要素が接続機構99を通り過ぎるまで第2のハウジング部が組立方向20に移動した場合に、第2のハウジング部9のアーム25は、プレート部材7から離れてそれ以上撓むことができない。これにより、ラッチ51がガイドされ、本実施形態においては、アーム25の双安定ロック移動は必要ない。ラッチ51およびアーム25の移動の阻止は、
図10の2つの第3の円80bに示されている。
【0094】
したがって、屋根部材97は、2つの機能、すなわち、ラッチ要素31のためのガイドを提供する機能と、対向ロック要素29を提供する機能とを有する。
【0095】
図9で、プレート部材7は取付位置21にあり、すなわち、第1のハウジング部5のスロット13内に受け入れられている。プレート部材7は、屋根部材97、ガイド部材53、および前壁45の張出し機構59によって固定されている。プレート部材7が移動できる残余自由度は、挿入方向19および挿入方向19と反対のみである。
【0096】
第2のハウジング部9は、その後、挿入方向19に対応する組立方向20に沿って第1のハウジング部5に組み付けられる。本実施形態では、
図2に示す第2の可能な組立方向20aまたは第3の可能な組立方向20bに沿った組立てはできないことに留意されたい。
【0097】
図10で、電気要素1は組立状態47にある。第2のハウジング部9のロック要素27と第1のハウジング部5の対向ロック要素29とのロック49が係合している。同様に、ラッチ51も係合している。ラッチ要素31と対向ラッチ要素37とは、
図10では見えない。
【0098】
ロック49を係合させるために、屋根部材97は、屋根部材97の棒部分101がロックビーク29aに近付くと、第2のハウジング部9から離れるように弾性的に屈撓可能であってよい。
【0099】
図11は、本発明の電気要素1のさらに別の実施形態を示し、第1のハウジング部5が、ヒンジ103、特にフィルムヒンジ105によって第2のハウジング部9に一体に接続されている。したがって、第2のハウジング部9は、第1のハウジング部5の機能要素107として理解することができる。機能要素107は、第1の機能部109と第2の機能部111とから構成され、第1の機能部109はロック凹部27aを含み、第2の機能部111はロックビーク29aを含む。
【0100】
図示の実施形態において、機能要素107の各々は2つのラッチ要素31を含む。さらに、
図11は、見やすくするために、プレート部材7を示していない。
図11の本発明の電気要素1の実施形態は、
図8に示すプレート部材を受け入れることができる。電気要素1の組立て中、機能部109、111は、傾斜方向113に沿って互いに向かって移動する。傾斜方向113は、2つの機能部109、111について異なる。
図11に示す実施形態の、プレート部材7(図示せず)を第1のハウジング部5内に受け入れるプロセスは、
図9に示すプレート部材7を受け入れるプロセスと同様である。
【0101】
第1の機能部109と第2の機能部111とが傾斜方向113に沿って閉じると、弾性ラッチ要素31は、その凸面69をプレート部材の対向ラッチ要素37の凹面71に係合させる(
図7、パネルc)参照)。したがって、ラッチ要素31により対向ラッチ要素37(図示せず)に加えられる押圧力が、取付位置21(
図9参照)へのプレート部材7の位置決めを助けることができる。前述した実施形態と同様に、恒久的な押圧力95が、電気要素1の耐用年数にわたってプレート部材7に加えられる。
【符号の説明】
【0102】
1 電気要素
3 分解図
5 第1のハウジング部
7 プレート部材
7a 前側
7b 後側
9 第2のハウジング部
11 挿入部分
13 スロット
13a スロット幅
15 厚さ
17 電気部品
19 挿入方向
20 組立方向
20a 第2の可能な組立方向
20b 第3の可能な組立方向
21 取付位置
23 本体
25 アーム
27 ロック要素
27a ロック凹部
29 対向ロック要素
29a ロックビーク
31 ラッチ要素
33 押圧力部材
33a リング部分
35 略図
37 対向ラッチ要素
39 対向ラッチ面
41 事前組立状態
43 止め部
45 前壁
47 組立状態
49 ロック
51 ラッチ
53 ガイド部材
55 ポケット
57 側壁
59 張出し構造
61 自由空間
63 プレート幅
65 端部
66 中間部分
66a 湾曲部分
66b 圧縮ばね
66c 変形
66d 非変形状態
65a 第1の端部
65b 第2の端部
67 S字形ばね部材
69 凸面
71 凹面
73 ばね部材
73a 双安定ばね部材
75 静止状態
77 中間状態
79 ラッチ状態
80 第1の円
80a 第2の円
80b 第3の円
81 ラッチ力
83 角部
84 ロック接触点
85 湾曲部
87 圧縮力
89 頂点
91 ポジティブロック
93 圧入
95 恒久的な押圧力
97 屋根部材
99 接続機構
101 棒部分
103 ヒンジ
105 フィルムヒンジ
107 機能要素
109 第1の機能部
111 第2の機能部
113 角度