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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-11
(45)【発行日】2024-03-19
(54)【発明の名称】反射照準器
(51)【国際特許分類】
   F41G 1/30 20060101AFI20240312BHJP
【FI】
F41G1/30
【請求項の数】 19
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022165515
(22)【出願日】2022-10-14
(65)【公開番号】P2023085203
(43)【公開日】2023-06-20
【審査請求日】2023-05-16
(31)【優先権主張番号】17/545,500
(32)【優先日】2021-12-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】512002367
【氏名又は名称】トリジコン インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】TRIJICON,INC.
【住所又は居所原語表記】49385 Shafer Avenue, Wixom,Michigan 48393 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002789
【氏名又は名称】弁理士法人IPX
(72)【発明者】
【氏名】ジェリー・グレン・サバルダン・エルペデス
(72)【発明者】
【氏名】ネーサン・スチュワート
【審査官】山本 賢明
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0306553(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0347948(US,A1)
【文献】米国特許第04658139(US,A)
【文献】スウェーデン国特許発明第449262(SE,B)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F41G 1/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと、
前記ハウジングに支持される光学素子と、
前記ハウジング内に配置されるセンサであって、前記センサは、標的物体の周囲光を検出するように構成されており、
前記光学素子上にレチクルを選択的に照らすように構成された光源と、及び
前記センサからの出力に基づいて、前記レチクルの照明を制御するように構成されたコントローラとを備え、
前記コントローラは、前記センサからの出力に基づいて、前記光源による前記レチクルの照明を制御するように構成されており、
前記光源は、前記センサからの第1の出力に基づいて、前記レチクルを恒常的に照らし、
前記光源は、前記センサからの第2の出力に基づいて、前記レチクルをパルス的に照ら
前記第1の出力は、前記第2の出力とは異なる、光学照準器。
【請求項2】
前記光源は、発光ダイオード、光ファイバー、トリチウムランプ、レーザ、又はそれらの組み合わせを有する、請求項1に記載の光学照準器。
【請求項3】
前記光源は、複数の光源を有する、請求項2に記載の光学照準器。
【請求項4】
前記コントローラは、輝度設定の一部に対してパルス幅変調のみを用いて、輝度設定の一部に対してパルス幅変調とディスクリート照明との組み合わせを用いて、前記光源の照明を制御するように構成され
前記ディスクリート照明は、一定の電力供給が提供されることによる照明である、請求項に記載の光学照準器。
【請求項5】
光学照準器のレチクルの輝度を制御するための方法において、
光源によって、光学素子上にレチクルを恒常的に照らすこと、
コントローラによって、センサからの出力と第1の輝度カーブに従って、前記光源による恒常的な照明の輝度を制御すること、ここで、前記第1の輝度カーブは、前記コントローラのメモリに保存されるものであり、
前記コントローラによって、ユーザ入力に基づいて、前記第1の輝度カーブから第2の輝度カーブへ切り替えること、ここで、前記第2の輝度カーブは、前記コントローラの前記メモリに保存されるものであり、
前記光源によって、前記レチクルをパルス的に照らすこと、及び
前記第1の輝度カーブが、前記コントローラによって前記第2の輝度カーブに切り換えられたとき、前記コントローラによって、前記センサからの出力と前記第2の輝度カーブに従って、前記光源による照明の輝度を制御すること、
を有する、方法。
【請求項6】
前記第1の輝度カーブから前記第2の輝度カーブへの切り替えは、アクチュエータの作動を介して、前記ユーザ入力を検出する、請求項に記載の方法。
【請求項7】
前記第2の輝度カーブは、前記第1の輝度カーブよりも薄暗いカーブであり、輝度減少ユーザ入力に対応している、請求項に記載の方法。
【請求項8】
前記第2の輝度カーブは、前記第1の輝度カーブよりも明るいカーブであり、輝度増加ユーザ入力に対応している、請求項に記載の方法。
【請求項9】
ハウジングと、
前記ハウジングによって支持される光学素子と、
前記光学素子上に第1のレチクル及び第2のレチクルを照らすように構成された光源と、及び
複数の輝度カーブのうちの第1の輝度カーブに基づいて、前記第1のレチクルを選択的に照らし、前記複数の輝度カーブのうちの第2の輝度カーブに基づいて、前記第2のレチクルを選択的に照らすために、前記光源を制御するように構成されたコントローラとを有し、
前記コントローラは、前記第1のレチクル及び前記第2のレチクルの一方の輝度を、前記第1のレチクル及び前記第2のレチクルの他方の輝度に対して変更するために、ユーザ入力に基づいて、前記複数の輝度カーブのうちの前記第1の輝度カーブ及び前記第2の輝度カーブのどちらか一方を変更するように構成されている、
光学照準器。
【請求項10】
前記光源は、発光ダイオード、光ファイバー、トリチウムランプ、レーザ、又はそれらの組み合わせ有する、請求項に記載の光学照準器。
【請求項11】
前記ユーザ入力は、輝度制御ボタンである、請求項に記載の光学照準器。
【請求項12】
前記複数の輝度カーブは、薄暗い輝度カーブと、第1のレチクルのデフォルト輝度カーブと、第2のレチクルのデフォルト輝度カーブと、明るい輝度カーブとを含んでおり、
前記コントローラは、前記ユーザ入力が選択されるまで、前記第1のレチクルのデフォルト輝度カーブに基づいて前記第1のレチクルを選択的に照らし、前記第2のレチクルのデフォルト輝度カーブに基づいて前記第2のレチクルを選択的に照らすために、前記光源を制御するように構成されている、請求項に記載の光学照準器。
【請求項13】
前記ユーザ入力は、前記薄暗い輝度カーブ、前記第1のレチクルのデフォルト輝度カーブ、及び前記明るい輝度カーブの間で選択するために、操作されるように構成されている、請求項12に記載の光学照準器。
【請求項14】
前記コントローラは、前記ユーザ入力が選択されたときに、前記第1のレチクルのデフォルト輝度カーブに基づいて、前記第1のレチクルを照らし、前記明るい輝度カーブに基づいて、前記第2のレチクルを照らすように構成されている、請求項12に記載の光学照準器。
【請求項15】
光センサをさらに有し、
前記光センサは、標的物体における周囲光を検出するように構成された光検出器であり、
前記コントローラは、前記光センサからの出力に基づいて、前記第1のレチクル及び前記第2のレチクルを選択的に照らすために、前記光源を制御するように構成されている、請求項に記載の光学照準器。
【請求項16】
前記光検出器は、前記ハウジングのダウンレンジに向いている部分に配置されている、請求項15に記載の光学照準器。
【請求項17】
前記ユーザ入力は、輝度制御ボタンである、請求項16に記載の光学照準器。
【請求項18】
前記複数の輝度カーブは、前記コントローラのメモリに保存されている、請求項に記載の光学照準器。
【請求項19】
前記コントローラは、パルス幅変調とディスクリート照明との組み合わせを用いて、前記複数の輝度カーブのうちの1つに基づいて、前記第1のレチクル及び前記第2のレチクルを選択的に照らすために、前記光源を制御するように構成され
前記ディスクリート照明は、一定の電力供給が提供されることによる照明である、請求項に記載の光学照準器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、反射照準器(リフレックスサイト)に関し、より具体的には、正面向き(前向き)のフォトセンサを有する反射照準器に関する。
【背景技術】
【0002】
本節は、必ずしも従来技術ではない、本開示に関する背景情報を提示する。
【0003】
光学照準器(オプティカルサイト)は、概して、射手(シューター)が小火器(火器、銃砲類)の銃身(砲身)を所望の標的に適切に位置合わせすることを助けるために、小火器と共に使用される。小火器の銃身を標的に対して適切に位置合わせすると、小火器から発射された発射物が、所望の位置で標的に衝突する(着弾する、衝撃を与える)結果をもたらす。従来の光学照準器は、概して、小火器の上面に取り付けられ、射手が標的に対して、光学照準器すなわち小火器の銃身を位置合わせする際に使用する照準点を含む。このような照準点は、射手が光学照準器および小火器を、標的に対して迅速かつ正確に位置合わせすることをさらに助けるために照らされてもよい。
【0004】
光学照準器は、さまざまな小火器と共に使用されてもよく、これにより、特定の小火器および/または用途によって、異なる機能を提供してもよい。例えば、近接標的の状況で使用するために設計された光学照準器は、コンパクトで、射手が光学照準器および小火器を標的にすばやく照準することが可能であるように設計されている。そのような光学照準器の1つは、いわゆる反射照準器であり、それは、射手が小火器の迅速な標的獲得および照準を提供することによって近接標的の状況下で有用である。このような反射照準器は、概して、例えば、小火器に他のシステム(すなわち、レーザポインター、測距装置など)の取り付けを可能にし、小火器と光学照準器を組み合わせた全体的なサイズおよび重量を減少させるために、ライフルに使用される光学照準器よりもよりコンパクトである。さらに、このような反射照準器は、射手の状況認識を低下させることなく、射手が光学照準器および小火器を、標的に対して迅速に配置することを可能にする視野(視界)を提供する。
【0005】
レチクルは、視野上の照準点を示してもよい。反射照準器は、概して、レチクルを照らすために照明装置を必要とする。照明装置は、電源によって電力を供給されてもよい。一部の反射照準器は、周囲光状況(条件、状態)を感知し、周囲光状況に基づいて照明装置の輝度を決定するために、フォトセンサを使用する。フォトセンサは、現在の周囲光状況をサンプリングし、レチクルの輝度を調整するために、オプティックのマイクロコントローラに情報を提供する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本節では、本開示の全体的な概要が提供されるが、本開示の範囲全体又は全ての特徴が包括的に開示されるわけではない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
例示的な光学照準器は、ハウジングと、ハウジングによって支持された光学素子と、ハウジング内に配置されたセンサと、光学素子上にレチクルを選択的に照らす(表示する)ように構成された光源と、センサからの出力に基づいてレチクルの照明を制御するように構成されたコントローラとを有する。センサは、標的物体の周囲光を検出するように構成されている。コントローラは、センサからの第1の出力に基づいて、レチクルを絶えず(終始、恒常的に)照らし、そしてセンサからの第2の出力に基づいて、レチクルをパルスで(パルス的に、パルスの状態で)照らすために、光源を制御するように構成されている。第1の出力は、第2の出力とは異なる。
【0008】
光源は、発光ダイオード、光ファイバー、トリチウムランプ、レーザ、またはそれらの組み合わせを含んでもよい。
【0009】
光源は、複数の光源を含んでもよい。
【0010】
コントローラは、パルス幅変調、離散照明(ディスクリート照明)、またはこれらの組み合わせを用いて、光源の照明を制御するように構成されてもよい。
【0011】
コントローラは、輝度設定の一部に対してパルス幅変調のみを用いて、および輝度設定の一部に対してパルス幅変調と離散照明との組み合わせを用いて、光源の照明を制御するように構成されてもよい。
【0012】
光学照準器上のレチクルの輝度を制御するための例示的な方法は、次を含む: 光源によって、光学素子上にレチクルを照らすこと;コントローラによって、センサからの出力と第1の輝度カーブに従って、光源による照明の輝度を制御すること、ここで、第1の輝度カーブは、コントローラのメモリに保存される;コントローラによって、ユーザ入力に基づいて、第1の輝度カーブから第2の輝度カーブへ切り替えること、ここで、第2の輝度カーブは、コントローラのメモリに保存される;及び、第1の輝度カーブが、コントローラによって第2の輝度カーブに切り換えられたとき、コントローラによって、センサからの出力と第2の輝度カーブに従って、光源による照明の輝度を制御すること。
【0013】
第1の輝度カーブから第2の輝度カーブへの切り替えは、アクチュエータ(作動部材)の作動を介して、ユーザ入力を検出することを含んでもよい。
【0014】
第2の輝度カーブは、第1の輝度カーブよりも薄暗いカーブであってもよく、そして、それは輝度減少ユーザ入力に対応してもよい。
【0015】
第2の輝度カーブは、第1の輝度カーブよりも明るいカーブであってもよく、そして、それは輝度増加ユーザ入力に対応してもよい。
【0016】
例示的な光学照準器は、ハウジングと、ハウジングによって支持された光学素子と、光学素子上に第1のレチクルおよび第2のレチクルを照らすように構成された光源と、及び複数の輝度カーブのうちの第1の輝度カーブ(第1)に基づいて、第1のレチクルを選択的に照らし、そして複数の輝度カーブのうちの第2の輝度カーブ(第2)に基づいて、第2のレチクルを選択的に照らすために、光源を制御するように構成されたコントローラとを含んでもよい。コントローラは、第1のレチクルおよび第2のレチクルの一方の輝度を、第1のレチクルおよび第2のレチクルの他方の輝度に対して変更するために、ユーザ入力に基づいて、複数の輝度カーブのうちの第1の輝度カーブおよび第2の輝度カーブのどちらか一方を変更するように構成されている。
【0017】
光源は、発光ダイオード、光ファイバー、トリチウムランプ、レーザ、またはそれらの組み合わせを含んでもよい。
【0018】
ユーザ入力は、輝度制御ボタンであってもよい。
【0019】
複数の輝度カーブは、薄暗い輝度カーブと、第1のレチクルのデフォルト輝度カーブと、第2のレチクルのデフォルト輝度カーブと、明るい輝度カーブとを含んでもよい。コントローラは、ユーザ入力が選択されるまで、第1のレチクルのデフォルト輝度カーブに基づいて第1のレチクルを選択的に照らし、および第2のレチクルのデフォルト輝度カーブに基づいて第2のレチクルを選択的に照らすために、光源を制御するように構成されてもよい。
【0020】
ユーザ入力は、薄暗い輝度カーブ、第1のレチクルのデフォルト輝度カーブ、および明るい輝度カーブの間で選択するために、操作されるように構成されてもよい。
【0021】
コントローラは、ユーザ入力が選択されたときに、第1のレチクルのデフォルト輝度カーブに基づいて、第1のレチクルを照らし、および明るい輝度カーブに基づいて、第2のレチクルを照らすように構成されてもよい。
【0022】
光学照準器は、光センサを含んでもよい。光センサは、標的物体における周囲光を検出するように構成された光検出器であってもよく、またコントローラは、光センサからの出力に基づいて、第1のレチクルおよび第2のレチクルを選択的に照らすために、光源を制御するように構成されてもよい。
【0023】
光検出器は、ハウジングのダウンレンジ(予定飛翔経路に沿った)に向いている部分に配置されてもよい。
【0024】
ユーザ入力は、輝度制御ボタンであってもよい。
【0025】
複数の輝度カーブは、コントローラのメモリに保存されていてもよい。
【0026】
コントローラは、パルス幅変調と離散照明(ディスクリート照明)との組み合わせを用いて、複数の輝度カーブのうちの1つに基づいて、第1のレチクルおよび第2のレチクルを選択的に照らすために、光源を制御するように構成されてもよい。
【0027】
更なる適用分野は本明細書に提示される記載から明らかとなるであろう。本概要における記載及び特定の例は、例示または説明の目的のためだけに意図されており、本開示の範囲を限定することを意図するものではない。
【0028】
本明細書に記載されている図面は、選択された実施形態(実施例)の例示または説明のみを目的としており、可能な実施態様の全てではなく、そして図面は、本開示の範囲を限定することを意図するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1図1は、本開示による光学照準器を含む例示的な小火器の斜視図である。
図2図2は、本開示による例示的な光学照準器の斜視図である。
図3A図3Aは、図2における光学照準器の光学素子上の例示的なレチクルの背面図である。
図3B図3Bは、図2における光学照準器の光学素子上の別の例示的なレチクルの背面図である。
図4図4は、図2における光学照準器の正面図である。
図5図5は、図2における光学照準器の分解図である。
図6図6は、図2における光学照準器の断面図であり、光学照準器の長手方向軸に沿って切断したものである。
図7図7は、図2における光学照準器の調整機構の断面図であり、風損(偏流)調整機構の長手方向軸に沿って切断したものである。
図8図8は、図2における光学照準器の調整機構の断面図であり、仰角調整機構の長手方向軸に沿って切断したものである。
図9図9は、図2における光学照準器の調整機構の断面図であり、調整機構のZ軸を二等分する平面に沿って切断したものである。
図10図10は、ハウジングを取り外した状態での図2における光学照準器の内部部品の斜視図である。
図11図11は、図2における光学照準器の照明アセンブリの詳細図である。
図12図12は、図11における照明アセンブリの断面図である。
図13図13は、図2における光学照準器の光検出器の詳細図である。
図14図14は、図13における光検出器の断面図である。
図15図15は、図2における光学照準器の電子部品(エレクトロニクス)の斜視図である。
図16図16は、図2における光学照準器の回路基板の概略図である。
図17図17は、図2における光学照準器のレチクルに対する自動輝度制御方法を示すグラフである。
図18図18は、図2における光学照準器のレチクルに対する別の自動輝度制御方法を示すグラフである。
図19図19は、図2における光学照準器のレチクルに対する別の自動輝度制御方法を示すグラフである。
図20図20は、本開示による光学照準器のレチクルの輝度を制御する方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図面のいくつかの図を通して、対応する参照符号は対応する部分を示す。
【0031】
以下に、添付の図面を参照して、例示的な実施形態をより詳細に説明する。
【0032】
例示的な実施形態は、本開示が綿密なものとなるように、かつその範囲を当業者に十分に伝えるように提示される。特定の構成部材、装置、及び方法の例のような多くの具体的な内容は、本開示の実施形態の完全な理解を与えるために記載される。具体的な内容は必ずしも使用(記載)しなくてもよいこと、例示的な実施形態は多くの異なる形態で具現することができること、及び例示的な実施形態は本開示の範囲を限定するものと解釈すべきではないことが、当業者には明らかであろう。幾つかの例示的な実施形態では、既知のプロセス、既知の装置構造、及び既知の技術は、詳細には説明しない。
【0033】
本明細書において用いられている専門用語は、特定の例示的な実施形態を説明することのみを目的としており、限定することを意図するものではない。本明細書において用いられる場合、単数形である「a」、「an」、及び「the」は、文脈がそうではないことをはっきりと示していない限り、複数形も含むことを意図し得るものである。用語「備える(comprises、comprising)」、「含む(including)」、及び「有する(having)」は包括的なものであり、したがって、述べられている特徴、整数、ステップ、動作(操作)、要素及び/又は構成部材の存在を明示しているものであるが、1つ又は複数の他の特徴、整数、ステップ、動作(操作)、要素、構成部材及び/又はこれらの群の存在又は追加を排除するものではない。本明細書に記載の方法ステップ、プロセス、及び動作(操作)は、実施順序として具体的に明記されていない限り、ここで説明又は例示されている特定の順序で必ず実施されるものと解釈するべきではない。付加的又は代替的なステップを用いることができることも理解するべきである。
【0034】
或る要素又は層が、他の要素又は層「の上にある(に接している)(on)」、「に係合される(engaged to)」、「に接続される(connected to)」、又は「に連結される(coupled to)」、ものと言及されている場合、或る要素又は層は、他の要素又は層の直接上にある、直接係合される、直接接続される、若しくは直接連結される、場合もあり、又は間に介在する要素又は層が存在する場合もある。対照的に、或る要素が別の要素又は層「の直接上にある」、「に直接係合される」、「に直接接続される」、又は「に直接連結される」、ものと言及されている場合、間に介在する要素又は層は存在しなくてもよいものである。要素間の関係を説明するために用いられている他の語句も同様に(例えば、「間に」対「直接間に」、「隣接した」対「直接隣接した」等)解釈するべきである。本明細書において用いられる場合、用語「及び/又は」は、関連の列挙されたもののうちの1つ又は複数のあらゆる全ての組み合わせを含むものである。
【0035】
種々の要素、構成部材、領域、層、及び/又はセクションを説明するために、第1の、第2の、第3の等の用語を本明細書において用いることができるが、これらの要素、構成部材、領域、層、及び/又はセクションはこれらの用語によって限定されるべきではない。これらの用語は、或る要素、構成部材、領域、層、又はセクションを別の領域、層、又はセクションと区別するためだけに用いることができる。本明細書において用いられる場合の「第1の」、「第2の」、及び他の数詞的な用語等の用語は、文脈によってはっきりと示されていない限り、或るシーケンス又は順序を示唆するものではない。したがって、以下に説明する第1の要素、構成部材、領域、層、又はセクションは、例示的な実施形態の教示から逸脱することなく第2の要素、構成部材、領域、層、又はセクションと呼ぶことができるであろう。
【0036】
「内」、「外」、「下」、「下方」、「下側」、「上方」、「上側」等のような、空間的に相対的な用語は、図面に示されているように、或る要素又は特徴部の、別の要素(複数の場合もある)又は特徴部(複数の場合もある)に対する関係を説明するための記載を容易にするために、本明細書において用いることができる。空間的に相対的な用語は、図に示される向きに加え、使用時又は動作時の装置の異なる向きを含むことを意図することができる。例えば、図面の装置を逆さにした場合、他の要素又は特徴部の「下方」又は「下」として記載されている要素は、他の要素又は特徴部の「上方」の向きになる。したがって、「下方」という例示的な用語は上方及び下方の向きの双方を含むことができる。装置は別様の向きにある(90度又は他の向きで回転されている)こともでき、本明細書において用いる空間的に相対的な記述はそれに従って解釈することができる。
【0037】
反射照準器は、概して、レチクルを照らすために照明装置を必要とする。照明装置は、電源によって電力を供給されてもよい。一部の反射照準器は、周囲光状況(条件、状態)を感知するために光電センサを使用し、そして周囲光状況に基づいて照明装置の輝度を決定する。光電センサは、現在の周囲光状況をサンプリングし、そしてレチクルの輝度を調整するためにオプティックのマイクロコントローラに情報を提供する。受信機(レシーバ)は光の変化を検出し、そしてその変化を電気出力に変換する。
【0038】
光電センサは、周囲光状況の検出(センシング)を最適化し、そして標的シーンの正確な理解(解釈、判断)を提供する場所に配置されてもよい。光電センサを正面向きに、そしてオプティックの上部に向かって位置決めすると、標的シーンでの周囲光を検出するためのより優位な位置が得られる。そして、周囲光のより正確な検出を有するオプティックは、標的シーンに対して適切なレチクル輝度を提供してもよい。
【0039】
本開示の光電センサ位置は、現在業界において使用されている光電センサ位置よりも有利な点がある。オプティックのハウジング内の光源の近くに配置された光電センサは、深く埋もれているかもしれず、また標的シーンからの光は、レンズおよび/またはハウジングによって部分的に覆い隠されて(弱められて)いるかもしれない。光源、自然的なものまたは別のもの、は、オプティックの後方から反射されるかもしれず、そのために、もしも光電センサが光源の近くに配置されている場合には、光電センサによる標的シーンの理解を曇らせるかもしれない。レンズの上方のハウジングの上で、そして、上向きに位置する光電センサは、十分に露出しているかもしれないが、不適切に配置されているかもしれない、それにより、光の状況について、オプティックの上方のサンプリングはされるが、標的シーンでのサンプリングはされない。レンズの下方に位置する光電センサは、光に十分に露出しているかもしれないが、オプティックが小火器に取り付けられると、ピストルスライドまたはバックアップの金属製照準器によって覆い隠されるかもしれず、そのために、標的シーンでの光の検出精度が低下する。
【0040】
そのため、業界における光電センサの現在の位置は、例えば、武器に明るい光があり、標的に弱い光(弱光)がある場合、および武器に弱い光(弱光)があり、標的に明るい光がある場合など、多くの状況で不正確であり得る。これらの状況のそれぞれは、照準点が明るすぎるか暗すぎるかのどちらかの結果をもたらすだろう。本開示の光電センサは、光学ハウジング、小火器、またはバックアップの照準器の一部によって覆い隠されることなく、標的シーンでの光を正確に検出することによって、これらの問題を解決するものである。標的シーンにおける光の正確な検出により、輝度が周囲光状況に適切であるように、コントローラは、レチクルの照明を正確に制御することができる。
【0041】
ここで、図1図3を参照すると、本開示による例示的な光学照準器10が例示されている。光学照準器10は、反射照準器であってもよい。光学照準器10は、ハウジング14と、調整アセンブリ18と、照明アセンブリ22と、光学素子26とを備える。ハウジング14が、小火器30に対して調整アセンブリ18、照明アセンブリ22、および光学素子26を支持するように、調整アセンブリ18、照明アセンブリ22、および光学素子26の各々は、ハウジング14によって支持され、そしてハウジング14に取り付けられてもよい。ハウジング14が小火器30に取り付けられるとき、照明アセンブリ22は、光学素子26と協働することにより、小火器30の軌道と標的物体(図示せず)との位置合わせを容易にするために、光学素子26上にレチクル34を表示してもよい。調整アセンブリ18は、照明アセンブリ22と相互に作用することにより、光学素子26に対するレチクル34の位置を調整するために、照明アセンブリ22をハウジング14に対して移動させてもよい。光学照準器10は様々な小火器と共に使用されてもよい一方、光学照準器10は、小火器30の銃身38と関連しているものとして以下に説明され、そして図面に示される。
【0042】
図2図6を参照すると、ハウジング14は、本体部42と、本体部42から概して延び、上方に延びる光学素子ハウジング46とを含んでもよい。本体部42は、上面54に形成された第1の開口50と、側面62に形成された第2の開口58とを含んでもよい。上面54は、第1の開口50の周囲を概して囲む一連の目盛り(補整、グラデュエーション)66を含んでもよく、一方、側面62は同様に、第2の開口58の外部の周囲を概して囲む一連の目盛り(補整、グラデュエーション)70を含んでもよい。さらに後述するように、目盛り66と目盛り70は、調整アセンブリ18と協働することにより、照明アセンブリ22を光学素子26に対して位置決めするようにしてもよい。
【0043】
本体部42は、凹部74も含んでいてもよい。凹部74は、照明アセンブリ22が、概してハウジング14の本体部42から光学素子26に向かって光を導くことを可能にする。凹部74は、凹部74内に概して配置される一対の取付開口78の間、および本体部42と上方に延びる光学素子ハウジング46との間に、一般的に、形成されてもよい。取付開口78は、ハウジング14を小火器30に着脱自在に取り付ける一対のファスナー82を選択的に受けいれる。
【0044】
1つの構成において、ファスナー82は、ねじ付きシャンク86と、ヘッド部90と、ねじ付きシャンク86とヘッド部90との間に一般的に延びるテーパ94とを含む。ヘッド部90は、六角形の凹部96、および、長手方向(縦方向)スロット98を含んでおり、それらは、ハウジング14の本体部42に対して、ファスナー82を回転させ、そしてハウジング14を小火器30に選択的に取り付けるために、外部ツール(図示せず)と協働してもよい。六角形の凹部96は、相手側の雄部を有するツールとともに用いられてもよく、一方、長手方向スロット98は、略平坦な雄端部を有するツールとともに用いられてもよい。ヘッド部90は、それぞれの嵌合構成を有するツールを受け入れる六角形の凹部96および長手方向スロット98を含むものとして説明されている一方で、長手方向スロット98は、任意の平坦な表面を使用して、ハウジング14に対してファスナー82を回転させることができるような大きさであってもよい。例えば、長手方向スロット98は、使用済みシェルケーシングがハウジング14に対してファスナーを回転させるために使用されることを可能にするために十分な幅および厚さを含んでいてもよい。
【0045】
特に図4図6に関連して、上方に延びる光学素子ハウジング46が示され、そしてそれは、一対の支柱102、開口部106、および概して開口部106の上方および支柱102の間に延びるクロスメンバ110を含んでもよい。支柱102は、本体部42に対して一般的に垂直に延びていてもよい。各支柱102の後壁112は、本体部42に対して約30度(30°)から約90度、および約45度から約60度の角度で形成されてもよく、そして開口部106の上方に所定の距離だけ延びていてもよい。開口部106は、光学素子26を内部に収容するために一般的にD字型を含んでもよい。クロスメンバ110は、開口部106にD字型を提供し、そして光学素子26に対応する凸形状を有する開口部106に対向する底面114と、凹形状を有する上面118とを含んでもよい。上面118の凹形状は、各支柱102よりも短い距離のところに、本体部42から上面118が達していることを可能にする。いいかえれば、支柱102は、本体部42からクロスメンバ110の上面118よりも、長い距離だけ延びている。これにより、上方に延びる光学素子ハウジング46が硬質面に接触するようにハウジング14を落下させた場合に、硬質面に接触する上方に延びる光学素子ハウジング46に関連する力は、各支柱102の遠位端によって受けとられ、そして、クロスメンバ110の一般的に凸状の底面114で受けとられるのではなく、本体部42に伝達される。一般的に、開口部106から離れ、支柱102を通って本体部42に向かうように伝達される力は、ハウジング14が落下するか、または衝撃事象を受けた場合に、開口部106内に配置された光学素子26を保護し、そして光学素子26が破壊されることを防止する。
【0046】
本体部42と上方に延びる光学素子ハウジング46は、一体的およびモノリシックに形成されていてもよく、またワンピースの金属構造物で形成されていてもよい。本体部42および上方に延びる光学素子ハウジング46をワンピースの金属物体として形成することにより、ハウジング14が強化され、そしてハウジング14が、本体部42又は上方に延びる光学素子ハウジング46のいずれかに加えられる力に耐えることを可能にする。特に、上方に延びる光学素子ハウジング46の支柱102に加えられる力は、上方に延びる光学素子ハウジング46から本体部42に直接伝達される。これにより、このような力は光学素子26から逸らされ、それによって、上述の通り、光学素子26を保護する。ワンピースの金属構造物の本体部を形成することにより、各支柱102の遠位端から本体部42に力を伝達することにおいて、支柱102の能力を高める。
【0047】
調整アセンブリ18は、ハウジング14によって支持されてもよく、そして光学素子26に対するレチクル34の位置を調整するために、ハウジング14に対する照明アセンブリ22の位置を調整してもよい。調整アセンブリ18は、レチクル34の上/下位置を調整する高さ調整機構または仰角調整機構122、および光学素子26に対するレチクル34の左右位置を調整する風損(偏流)調整機構または左右調整機構126を含んでもよい。
【0048】
図7図9を参照すると、高さ調整機構122は、調整ねじ130および調整部ブロック134を含んでもよい。調整ねじ130は、本体部42の第1の開口50内で回転自在に受け入れられてもよく、そして目盛り66に対して回転してもよい。調整ねじ130は、ねじ胴体142と、ヘッド146と、一般的に、ねじ胴体142とヘッド146との間に延びるテーパ150とを含んでもよい。ヘッド146は、ハウジング14に対してヘッド146を回転させるために、ツール(図示せず)がヘッド146に挿入され得るスロット154を含んでもよい。シール158は、ごみ(破片、堆積物)が本体部42に侵入することを防止するために、調整ねじ130のテーパ150と第1の開口50の内面との間に配置されてもよい。1つの構成において、シール158は、調整ねじ130のテーパ150の概して周囲に受け入れられるオーリングシールである。
【0049】
クリップ160は、本体部42からの調整ねじ130の離脱を防止しながら同時に、本体部42に対する調整ねじ130の回転動作を可能にするように、一般的に、ねじ胴体142とテーパ150との接合部に配置されてもよい。クリップ160は、一旦調整ねじ130が本体部42に挿入されると、調整ねじ130の概して周囲に受け入れられてもよい。
【0050】
シール162は、ごみがハウジング14に入ることを防止するために、調整ねじ130のヘッド146とねじ胴体142との、概して間に配置されてもよい。シール162は、調整ねじ130のテーパ150と係合してもよく、同様に、本体部42の第1の開口50に近接する面と係合してもよい。1つの構成において、シール162はオーリングであり、一般的に調整ねじ130のテーパ150を囲むものである。
【0051】
テーパ150は、また、ディテントピン(回り止めピン、節度機構ピン)166と連携する一連のディテント(回り止め、節度機構)164を含んでもよい。ディテントピン166は、ハウジング14のボア170内で摺動可能に支持されてもよく、それによって、ボア170は本体部42の第1の開口50と連通している。例えばコイルばねなどの付勢部材174は、ボア170内に配置されてもよく(図5)、そしてディテントピン166を第1の開口50に押すために、ディテントピン166に付勢力を与えてもよい。調整ねじ130が第1の開口50に挿入されると、ディテントピン166の遠位端は、ねじ130のテーパ150に形成されたディテント164と係合してもよい。ねじ130がハウジング14に対して回転されると、ねじ130がハウジング14に対してどれだけ回転されたかを、ユーザに対して正確に知るせることを可能にするように、ディテントピン166は、隣接するディテント164との係合から外れて移動し、可聴ノイズを発する。
【0052】
ディテントピン166は、ディテントピン166の遠位端の点182で終端するテーパ部178を含んでもよい。同様に、各ディテント164はテーパ面186を含んでもよく、それによって、ねじ130がハウジング14に対して2方向に回転されることを可能にし、またねじ130がハウジング14に対して回転されたときにディテントピン166の点182の各ディテント164への出入りの動作を容易にするように、ディテントピン166のテーパ部178は、それぞれのディテント164のテーパ面186と係合する。ディテントピン166のテーパ部178の角度および/またはディテント164のテーパ面186の角度は、ハウジング14に対してねじ130を回転させるのに必要な力を増減させるため、および/または、ねじ130がハウジング14に対して回転されたときに生じる可聴ノイズを調整するために、調整されることができる。さらに、付勢部材174のばね定数は、また、ハウジング14に対してねじ130を回転させるのに必要な力を調整するため、ならびにハウジング14に対するねじの回転によって、ディテントピン166が1つのディテント164から隣接するディテント164に移動するときに生じる可聴ノイズを調整するために、調整されてもよい。
【0053】
調整ねじ130のヘッド146は、また、そこに形成されたマーカ188を含んでもよい。マーカ188は、調整ねじ130の調整位置を示すためにヘッド146の表面に形成されたインジケータであってもよい。マーカ188は、ヘッド146の表面上に塗装され、および/または表面にレーザエッチングされてもよい。例えば、マーカ188は、矢印形のマーカ、V字型のマーカ、実線のマーカ、破線マーカなどであってもよい。調整ねじ130がハウジング14に対して回転されると、マーカ188は、高さ調整機構122の調整を示す第1の位置から第2の位置に移動する。
【0054】
調整部ブロック134は、照明アセンブリ22をハウジング14に対して上/下に移動させるように、照明アセンブリ22と相互に作用することができる。調整部ブロック134は、ねじ付きボア190と、照明アセンブリ22と係合する突起198とを含んでもよい。調整ねじ130は、調整部ブロック134のねじ付きボア190内にねじ込み可能に受け入れられることにより、調整ねじ130がハウジング14に対して回転されると、調整部ブロック134が本体部42の上面54に略垂直な軸に沿って移動させられるようにしてもよい。
【0055】
突起198は、照明アセンブリ22内のスロット200内でスライド可能に受け入れられてもよい。突起198は、照明アセンブリ22の左/右調整を可能にするように、照明アセンブリ22を移動させることなく、風損(偏流)調整機構126の長手方向軸に沿ってスライドすることが許されてもよい。突起198は、照明アセンブリ22の上/下位置を調整するために、調整ねじ130の調整中にスロット200の側壁に接触してもよい。突起198は照明アセンブリ22と係合しており、そして調整部ブロック134との移動のために固定されているので、突起198の上/下移動は、同様に照明アセンブリ22をハウジング14に対して上/下に移動させる。
【0056】
付勢部材194は、調整部ブロック134と照明アセンブリ22との間に配置されてもよく、そしてハウジング14、照明アセンブリ22、ねじ130、および/または調整部ブロック134内の任意の許容差を考慮するために、調整部ブロック134を、ハウジング14の概して長手方向軸に沿ってバイアス(付勢)してもよい。1つの構成において、付勢部材194はオーリングであり、そして調整アセンブリ18をハウジング14の長手方向軸に略平行な方向(すなわち、照準線に略平行)の所望の位置に維持するために、調整部ブロック134に力を加える。オーリングが調整部ブロック134に力を与えることを可能にすることで、調整ねじ130と調整部ブロック134との間の緊密な係合を維持し、それにより、調整アセンブリ18の所望の位置を照準線に略平行な方向に維持しながら同時に、ハウジング14に対する調整部ブロック134の正確な操作および移動を可能にする。
【0057】
ハウジング14に対する照明アセンブリ22の位置は、ハウジング14に対する調整ねじ130の位置に基づいて決定されてもよい。例えば、本体部42の上面54に形成された目盛り66は、本体部42に対する調整ねじ130の相対位置、つまり、本体部42に対する照明アセンブリ22の位置、を決定することに役立ってもよい。
【0058】
目盛り66は、塗料および/またはレーザエッチングのいずれかにより、ハウジング14の上面54に恒久的に取り付けられてもよい。これにより、目盛り66は、上面54に対して同じ固定位置を維持し、そしてハウジング14に対して調整ねじ130がどれだけ移動したかをユーザが正確に知ることを可能にする。さらに、各可聴ノイズまたは「クリック音」がねじ130の1つの目盛り66の動きに対応するように、各目盛り66は、各ディテント164に対して配置されてもよい。
【0059】
一旦調整ねじ130の調整が完了すると、付勢部材174は、調整部ブロック134と共に、ハウジング14に対する振動等による調整ねじ130の意図しない回転を防止し、これにより、調整ねじ130の調整位置を維持する。
【0060】
付勢部材202(または一対の付勢部材202)は、ハウジング14に対するねじ130の位置をさらに維持するために、付勢部材174と共に使用されてもよい。付勢部材202は、調整部ブロック134に力を加えてもよく、また調整部ブロック134に力を働かせるために、調整部ブロック134とハウジング14との間に配置されてもよい。別の構成において、付勢部材202は、調整部ブロック134に間接的に力を与えるために、照明アセンブリ22の一部とハウジング14との間に配置されてもよい。いずれの構成においても、付勢部材202は、コイルばねであってもよく、調整部ブロック134または照明アセンブリ22のいずれかのボア210内で受け入れられてもよい。あるいは、付勢部材202は、照明アセンブリ22の調整部ブロック134のボア210内に受け入れられた支柱(図示せず)によって、調整部ブロック134に対して配置され、かつ保持されてもよい。調整部ブロック134に力を与えることは、同様に、ねじ130に力を加えることであり、これにより、ねじ130と調整部ブロック134との間の相対移動に抵抗するものである。
【0061】
図6図9を引き続き参照すると、風損(偏流)調整機構126は、調整ねじ206と、第1の調整部ブロック212と、第2の調整部ブロック214と、付勢部材218とを含んでもよい。調整ねじ206は、調整ねじ130と同様の構成であってもよく、そしてねじ胴体222、ヘッド226、ねじ胴体222とヘッド226との概して間に延びるテーパ230、およびヘッド226に形成されたスロット234とを含んでもよい。さらに、調整ねじ206は、調整ねじ206の調整位置を示すためにヘッド226に形成された調整インジケータまたは調整マーキング238(図5)を含んでもよい。調整インジケータ238は、ヘッド226の表面上に塗装および/または表面にレーザエッチングされたものでもよい。例えば、調整インジケータ238は、矢印形、V字型のマーク、実線のマーク、破線のマークなどであってもよい。
【0062】
調整ねじ130と同様に、調整ねじ206は、ハウジング14に対して回転してもよいが、本体部42の側面62に対して略垂直に延びる長手方向軸に沿って移動することは許されない。クリップ242は、本体部42からの調整ねじ206の離脱を防止しながら同時に、本体部42に対する調整ねじ206の回転移動を可能にするように、一般的に、ねじ胴体222とテーパ230との接合部に配置されてもよい。クリップ242は、一旦調整ねじ206が本体部42に挿入されると、調整ねじ206の概して周囲に受け入れられてもよい。
【0063】
シール246は、ごみがハウジング14に入ることを防止するために、調整ねじ206のヘッド226とハウジング14との、概して間に配置されてもよい。シール246は、調整ねじ206のテーパ230と係合してもよく、同様に、本体部42の第2の開口58に近接する面と係合してもよい。1つの構成において、シール246はオーリングであり、一般的に調整ねじ206のテーパ230を囲むものである。
【0064】
テーパ230は、ディテントピン(回り止めピン、節度機構ピン)254と連携する一連のディテント(回り止め、節度機構)250を含んでもよい。ディテントピン254は、ハウジング14のボア258(図5)内で摺動可能に支持されてもよく、それによって、ボア258は本体部42の第2の開口58と連通している。例えばコイルばねなどの付勢部材262は、ボア258内に配置されてもよく、そしてディテントピン254を第2の開口58に押すために、ディテントピン254に付勢力を与えてもよい。ねじ206が第2の開口58に挿入されると、ディテントピン254の遠位端は、ねじ206のテーパ230に形成されたディテント250と係合してもよい。ねじ206がハウジング14に対して回転されると、ねじ206がハウジング14に対してどれだけ回転されたかを、ユーザに対して正確に知らせることを可能にするように、ディテントピン254は、隣接するディテント250との係合から外れて移動し、可聴ノイズを発する。
【0065】
ディテントピン254は、ディテントピン254の遠位端の点270で終端するテーパ部266を含んでもよい。同様に、各ディテント250はテーパ面274を含んでもよく、それによって、ねじ206がハウジング14に対して2方向に回転されることを可能にし、またねじ206がハウジング14に対して回転されたときにディテントピン254の点270の各ディテント250への出入りの動作を容易にするように、ディテントピン254のテーパ部266は、それぞれのディテント250のテーパ面274と係合する。ディテントピン254のテーパ部266の角度および/またはディテント250のテーパ面274の角度は、ハウジング14に対してねじ206を回転させるのに必要な力を増減させるため、および/または、ねじ206がハウジング14に対して回転されたときに生じる可聴ノイズを調整するために、調整されることができる。さらに、付勢部材262のばね定数は、また、ハウジング14に対してねじ206を回転させるのに必要な力を調整するため、ならびにハウジング14に対するねじ206の回転によって、ディテントピン254が1つのディテント250から隣接するディテント250に移動するときに生じる可聴ノイズを調整するために、調整されてもよい。
【0066】
第1の調整部ブロック212は、ねじ付きボア278を含んでもよい。調整部ブロック134と同様に、調整ねじ206のねじ胴体222は、その内部にねじ込み可能に受け入れられることにより、本体部42に対する調整ねじ206の回転が、ハウジング14に対して、側面62に略垂直に延びる長手方向軸に沿って、第1の調整部ブロック212を平行移動させるようにしてもよい。第1の調整部ブロック212は、調整ねじ206の反対側の面で照明アセンブリ22と係合する。そのため、第1の調整部ブロック212の平行移動は、照明アセンブリ22の平行移動と相互に関係がある。照明アセンブリ22がハウジング14に対して平行移動することは、同様に、光学素子26に対するレチクル34の位置を調整するために、レチクル34が光学素子26に対して平行移動させられるということである。光学素子26に対するレチクル34の左/右位置を調整することは、光学照準器10の「風損(偏流)」を調整することである。
【0067】
第2の調整部ブロック214は、第2の調整部ブロック214がねじ付きボアを含まないことを除いて、第1の調整部ブロック212と同様である。むしろ、図9に示すように、第2の調整部ブロック214は、照明アセンブリ22の少なくとも一部が第1の調整部ブロック212および第2の調整部ブロック214の間に配置されるように、照明アセンブリ22の一部と係合する。
【0068】
第2の調整部ブロック214は、それを通して部分的に形成されたボア282を含んでもよい。ボア282は、付勢部材218が一般的にボア294内の端面に力を与えるように、その内部に付勢部材218の少なくとも一部を受け入れてもよい。第2の調整部ブロック214に内部ボア294を設けることは、第2の調整部ブロック214の重量を減少させ、これにより、光学照準器10の全体的な重量を低減する。高さ調整機構122と同様に、調整部ブロック212、調整部ブロック214、つまり調整ねじ206に、バイアスを与えることは、ハウジング14に対する調整ねじ206の不注意な回転を防止する。ハウジング14に対する調整ねじ206の不注意な回転を防止することは、光学素子26に対するレチクル34の不要な移動を防止し、そしてハウジング14に対する調整ねじ206の設定位置が維持されることを確実にする。付勢部材218はコイルばねとして示されているが、調整部ブロックを一般的に側面62に向けて押すために、例えば線形ばねなど、調整部ブロック212および調整部ブロック214に力を付与する、いかなる付勢部材が採用されてもよい。
【0069】
ハウジング14の側面62に恒久的にしっかりとつけられるか、またはハウジング14の側面62に形成される目盛り70(図5)は、ハウジング14に対する調整ねじ206の調整を容易にすることに役立ち、そしてユーザがハウジング14に対する調整ねじ206の位置を視覚的に観察することを可能にする。目盛り66と同様に、目盛り70は、ハウジング14上に塗装、および/または、それにレーザエッチングされており、それにより、目盛り70がハウジング14に対して恒久的に固定されてもよい。さらに、各可聴ノイズまたは「クリック音」がねじ206の1つの目盛り70の動きに対応するように、各目盛り70は、各ディテント250に対して配置されてもよい。
【0070】
特に図10図12に関連して、照明アセンブリ22が示されており、そしてそれは、回路基板252、光源256、および電源260を含んでもよい。回路基板252は、一般的にハウジング14内で、基板またはブロック268によって支持されてもよく、その基板またはブロック268は、調整部ブロック134の突起198を摺動可能に受け入れるスロット200を含んでいてもよい。上述の通り、調整ねじ130がハウジング14に対して回転されると、調整部ブロック134は、上/下に移動させられてもよい。突起198は基板268のスロット200内に受け入れられるため、ハウジング14に対する調整部ブロック134の上下移動は、ハウジング14に対する基板268の同時の上下移動を引き起こす。
【0071】
第1の調整部ブロック212および第2の調整部ブロック214がハウジング14に対して左/右方向に移動されるときに、基板268が突起198に対して、風損(偏流)調整機構126の長手方向軸に沿って平行移動することを可能にするために、突起198がスロット200内に摺動可能に受け入れられてもよい。
【0072】
例えば、基板268は、U字型または馬蹄形のブロックであってよく、その内部に空洞または凹部273を画定(規定)する一対の側壁272の間に延びるベースプレート270を有する。回路基板252、光源256、および電源260は、凹部273内で支持されてもよい。
【0073】
各側壁272の前面275は、ハウジング14と面接触してもよい。各側壁272の外面277は、それぞれ第1の調整部ブロック212および第2の調整部ブロック214と係合してもよい。各側壁272の外面277は、単一の平面に沿って延びる、平坦な面であってもよく、それにより、各側壁272の外面277全体がそれぞれ第1の調整部ブロック212または第2の調整部ブロック214に接触する。外面277は、第1の調整部ブロック212または第2の調整部ブロック214に接触する平坦な面であるため、基板268は、第1の調整部ブロック212から、起こり得る回転により、切り離される。さらに、基板268と調整部ブロック134との間の付勢部材194上の圧縮量を規定する許容差の積み重ねを低減するために、部品の量および寸法が最小化される。
【0074】
回路基板252は、コンタクト片276(後述)を介して基板268のベースプレート270にしっかりと取り付けられてもよい。これにより、回路基板252は、基板268との移動のために固定されてもよく、それにより、基板268が、調整部ブロック134または第1の調整部ブロック212および第2の調整部ブロック214のいずれかによって移動されるときに、回路基板252が基板268と共に移動される。
【0075】
回路基板252は、光源256を支持してもよく、それにより、ハウジング14に対する回路基板252の移動が、ハウジング14に対する光源256の同時移動を引き起こす。1つの構成において、光源256は、透明なエポキシまたは他のコーティングを用いて回路基板252上にカプセル封止される。別の構成では、光源256は、回路基板252に近接して配置されてもよく、また回路基板252に取り付けられてもよい。
【0076】
光源256は、レーザ、発光ダイオード(LED)、光ファイバー、トリチウムランプ、光を放出するように構成された別の適切な装置、またはこれらの組み合わせを含んでもよい。光源256は、回路基板252または基板268によって支持された光源ベースプレート上に固定された複数の光源を含んでもよい。光源256は、周囲光状況に応じて、回路基板252によって(例えば、回路基板252上のプロセッサまたはマイクロプロセッサによって)選択的に制御されてもよい。光源256の照明は、光学素子26上にレチクル34を表示するために、光源256に対し、概して光学素子26に向けて光を照射するように方向づけされる。
【0077】
光源256は、離散系システム(ディスクリートシステム)、パルス幅変調(PWM)システム、またはこれらの組み合わせを介して、回路基板252によって制御されてもよい。例えば、離散系システムでは、光源256を照らすために、光源256に一定の電力供給が提供される。光源256に供給される電圧を変更し、そして光源256の輝度を制御するために、1つまたは複数の抵抗(器)が組み込まれてもよい。例えば、光源256の輝度を制御するために、各輝度レベルに対して1つの抵抗が設けられる。これにより、回路基板252は、光源256を様々な輝度レベルに制御することができる。
【0078】
例えば、パルス幅変調(PWM)システムにおいて、回路基板252は、特定のデューティサイクルのオン・オフパターンで、光源256に電力を供給してもよい。光源256に供給される電圧パルスを制御するために、電圧レギュレータ(電圧調整器)が組み込まれてもよい。回路基板252は、光源がオン/オフされていることをユーザの目が検知しないほどに高い周波数で、光源256のオンおよびオフを周期的に起こさせることによって、光源256の知覚される輝度を制御してもよい。知覚される輝度は、光源がオン/オフされている周波数の関数であり、また光源256がどれくらいの時間オンであるか対光源256がどれくらいの時間オフであるかを表すデューティサイクルの関数である。
【0079】
周波数は、光源256がオン/オフされる割合(レート)であってもよく、またデューティサイクルは、光源256がオン/オフされる時間の長さであってもよい。光源256は、より明るい光を生成するために、例えば、より長いデューティサイクルで電圧パルスを受け取っても(受信しても)よく、また光源256は、より薄暗い光を生成するために、より短いデューティサイクルで電圧パルスを受け取っても(受信しても)よい。例えば、20%のデューティサイクルにおいて、光源256は、20%の時間の割合で照らされ、かつ80%の時間の割合でオフでもよい。40%のデューティサイクルにおいて、光源256は、40%の時間の割合で照らされ、かつ60%の時間の割合でオフでもよい。80%のデューティサイクルにおいて、光源256は、80%の時間の割合で照らされ、かつ20%の時間の割合でオフでもよい。100%のデューティサイクルにおいて、光源256は、100%の時間の割合で照らされてもよい。各デューティサイクルの周波数、またはサイクルの開始からサイクルの開始までの期間は、変更されない場合がある。そのため、増加したデューティサイクルは、光源256の知覚される輝度を増加させる。
【0080】
数百Hzの周波数は、しばしば、光源がオン/オフに切り替えられていることを人間の目が知覚できず、また人間の目が一定(不断)の光源を知覚するほどに高速である。ほとんどのシナリオにおいて、特に光源が静止しているシナリオにおいては、これらの低周波数の実施で十分である。しかし、光源が移動していて、また目がこの動きをずっと追っているときは、目は光源のオン/オフの周期を見始めることができる。光学照準器が素早く移動する場合などのようないくつかの状況では、不十分に実行されたパルス幅変調が、「PWM視認性(可視性)」として知られる一連のドットとして照らされてもよい。武器に取り付けられた反射照準器は、目が光源をずっと追っており、また光源が動いている、といういくつかのシナリオを提示する。例としては、標的を追跡/追従したりするために、武器をパン(左右に回転する)したり、また(銃砲の)後座(反動)中に標的の照準点を「リセット」したりすることを含む。これらのシナリオにおいて、もしもPWM(パルス幅変調)の周波数が、特定の閾値を超えていない場合には、ユーザはレチクルのオン/オフの周期を見ることになるであろう。これは射手の気を散らす可能性がある。後座(反動)の場合は、ユーザが小火器を標的に戻し安定させようとすると、ユーザは「複数の」レチクルと思われるものを見るかもしれない。
【0081】
視認性の最小周波数閾値は、デューティサイクルによる影響を受けるかもしれない。例えば、50%より大きい高デューティサイクルでは、最小視認性周波数は、例えば、たった2kHzのように低くてもよい。しかし、もしもデューティサイクルが、50%よりも小さく下げられる場合には、一部のユーザにはPWM(パルス幅変調)が2kHzでも見え始めるかもしれない。PWM(パルス幅変調)の視認性は、ユーザに依存しているかもしれない。一部のユーザは、他のユーザよりも低い周波数でPWM(パルス幅変調)を検知するかもしれない。例えば、一部の人々は2kHzおよび低デューティサイクルで、PWM(パルス幅変調)を検知しないかもしれない。他の人々は、デューティサイクルに関係なく、2kHzでPWM(パルス幅変調)を検知するかもしれない。一連の試験を通して得られた、本開示の光学照準器10は、「PWM視認性」を排除するために、4kHz以上で動作するPWM(パルス幅変調)システムを実行する。
【0082】
PWM(パルス幅変調)システムは、より少ない抵抗(離散系システムの3つの輝度設定のための3つの抵抗と比較して、1つの抵抗のみ)および回路基板252のプロセッサ上のより少ない入力/出力(離散系システムの3つの入力/出力と比較して、1つの入力/出力のみ)を要求する。プロセッサ上の少ない入出力により、プロセッサのサイズが減少され、および/または、プロセッサ上への追加のエキスパンダ(伸張)チップの必要性が除かれる。
【0083】
知覚される輝度の変更はソフトウェアの変更を通して達成されることができるので、PWM(パルス幅変調)は、開発中の輝度設定のより簡単な「調整」を可能にすることができる。ところが、離散系システムは、知覚される輝度を変更するために、物理的な抵抗を変更することを必要とする。さらに、場合によっては、PWM(パルス幅変調)方策は、光学照準器10のバッテリ寿命を延ばすことができる。PWM(パルス幅変調)を離散系システムとともに使用することは、バッテリ寿命、レチクルの輝度、およびユーザの好みを考慮して、最適なレチクル照明を可能にする。
【0084】
レチクル34は、ドットレチクル(図3A)、リングレチクル、十字線レチクル、これらの組み合わせ(図3Bのドットレチクルとリングレチクルの組み合わせ)、または他の任意の適切なレチクルであってもよい。レチクル34は、例えば、第1の条件のセットで使用するために、ドットレチクルなどの第1のレチクル34Aを、および、例えば、第2の条件のセットで使用するために、リングレチクルなどの第2のレチクル34Bを、組み入れてもよい。レチクル34Aおよびレチクル34Bは、暗視条件、超低照度(超低照度光、超弱光)条件、低照度(低照度光、弱光)条件、および明るい光条件などの異なる輝度設定で使用されてもよい。第1のレチクル34Aおよび第2のレチクル34Bは、離散系システムによって、パルス幅変調(PWM)によって、またはこれらの組み合わせによって制御されてもよい。例えば、第1のレチクル34Aまたは第2のレチクル34Bは、いくつかの輝度設定についてはPWM(パルス幅変調)によって制御され、また他の輝度設定については離散系システムによって制御されてもよい。PWM(パルス幅変調)および離散系システムによってレチクル34を制御することは、知覚される輝度が制御され、および変更されることを可能にする。
【0085】
例えば、第1のレチクル34Aまたは第2のレチクル34Bは、すべての輝度レベルに於いて、PWM(パルス幅変調)によって制御されてもよい。例えば、もしも、11の輝度設定がある場合には、第1のレチクル34Aまたは第2のレチクル34Bは、11の輝度設定のすべてについて、PWM(パルス幅変調)によって照らされてもよい。
【0086】
例えば、第1のレチクル34Aまたは第2のレチクル34Bは、一部の輝度レベルに於いて、離散系システムによって制御されてもよい。例えば、もしも、11の輝度設定がある場合には、第1のレチクル34Aまたは第2のレチクル34Bは、11の輝度設定のうちの4つについてPWM(パルス幅変調)および離散系システムによって照らされてもよい。
【0087】
回路基板252、光源256、および基板268は、一般的に光源256と光学素子26との間に配置されてもよい窓278によって、環境状態から保護されている。窓278は、エポキシまたは他の適切な接着剤によって、ハウジング14に対して密封(シール)されてもよい。窓278とハウジング14との間にエポキシを配置することは、ごみ(破片、堆積物)がハウジング14に入り込み、そして照明アセンブリ22および調整アセンブリ18の部品に接触することを防止する。
【0088】
水および他のごみが窓278の外表面に接触することを制限するために、ハウジング14は、窓278の縁の概して上方に突出または延びていてもよい。水および他のごみが窓278の外表面に接触することを防ぐことで、光源256からの光が、逸らされず、反射されず、または遮断されず、したがって光学素子26に到達することを確実にする。光学照準器10は、法執行機関および/または軍人によって、小火器30上で使用されるかもしれないため、光学照準器10は、例えば、雨、風、および氷などの極端な気象条件にさらされる可能性がある。窓278の上方に延びるハウジング14を提供することは、そのような気象状態が窓278に到達することを防ぐのに役立ち、したがって、光学素子26に一貫して光を供給して、その光学素子26上にレチクル34を表示するために、光源256の能力を改善することになる。
【0089】
電源260は、コンタクト片276を介して回路基板252および光源256の少なくとも1つと電気的に通信(連通)されていてもよい(図10および図11)。1つの構成において、電源260は、一般的に円形状を有するバッテリであってもよい。バッテリは、ハウジング14の凹部280(図6)内に収容されてもよく、そして凹部280内にねじ込み可能に受け入れられた蓋284によって凹部280内に保持されてもよく、このことは、バッテリの交換を必要とするときにバッテリの取り外しおよび交換を可能にする。
【0090】
電源260は、蓋284、電源260、保持器(リテーナ)288、およびコンタクト片276を含むアセンブリの状態で、凹部280内に、その順序で収容されてもよい(図6および図10)。蓋284は、電源260と蓋284との間に配置されたシール292と、ハウジング14と係合するための蓋284の外側に配置されたシール296とを含んでもよい。シール292およびシール296は、凹部280および電源260をごみ(破片、堆積物)および湿気から保護するためのオーリングまたは他の適切なシールであってもよい。例えば、シール292およびシール296は、エラストマー(高分子弾性体)または別の適切なシーリング材料で形成されてもよい。
【0091】
保持器288は、その内部に電源260を受け入れるためのバッテリキャビティ300を画定(規定)してもよい。保持器288は、ハウジング14の凹部280内のねじ山と係合する雄ねじを有する管状壁であってもよい。保持器288は、コンタクト片276の上部上に配置されてもよく、そしてコンタクト片276に固定された接点304へのアクセスを提供してもよい。電源260は、バッテリキャビティ300内に配置され、また接点304と直接的に係合されてもよい。シール292は、電源260を保持器288内に位置させ、そして接点304と接触するように、バイアス(付勢)してもよい。したがって、電力は、光学照準器10全体に分配されるように、電源260から接点304を介し、そしてコンタクト片276に伝達されてもよい。
【0092】
図2図5図10、および図13図15を参照すると、光電検出器308は、標的物体の光に収集され、そしてコンタクト片276を介して回路基板252に伝送されることを可能にするように、光学素子26に近接して配置されてもよい。より具体的には、コンタクト片276は、電源260から回路基板252まで延び、また電源260から光電検出器308まで延びている、これにより、回路基板252、電源260、および光電検出器308がすべて電気通信(連通)状態にある(図15)。回路基板252は、光電検出器308によって検出された、標的物体での周囲光状況に応じて、光源256が選択的に照らすようにする。
【0093】
より具体的には、図2図4、および図10において示されるように、光電検出器308は、ユーザのダウンレンジ(予定飛翔経路に沿った)に向いている、ハウジング14の前方面または正面の上側角(上側隅)312に配置されてもよい。例えば、光電検出器308は、光学素子26と、クロスメンバ110と支柱102との交点との間の位置において、上方に延びる光学素子ハウジング46に配置されてもよい。クロスメンバ110の凹状の上面118および凸状の底面114により、クロスメンバ110と支柱102との交点は、上方に延びる光学素子ハウジング46において、肩部または耳316を形成する。肩部316は、クロスメンバ110、支柱102、および開口部106によって画定(規定)される三角形状断面(三角形状)であってもよい。光電検出器308は、肩部316のほぼ中心にある開口320内に配置されてもよい。
【0094】
上方に延びる光学素子ハウジング46の肩部316に光電検出器308を配置し、そして光電検出器308をユーザのダウンレンジに向けることで、光電検出器308から標的物体まで、妨害なく、照準線(視線)を提供する。明瞭な照準線を有することにより、標的物体における光強度を光電検出器308によって正確に検出することを可能にする。
【0095】
肩部316における光電検出器308の位置は、当該技術分野における他の構成よりも有利である。例えば、上方に延びる光学素子ハウジング46の上面118にセンサを配置することと比較して、肩部316における光電検出器308は、標的物体へのダウンレンジに向けられ、そして標的物体における周囲光の正確な読み取りを提供することができる。光学素子26の下にセンサを配置することと比較して、肩部316における光電検出器308は、バックアップの照準器、鉄の照準器、取り付け金具、銃身38の部分、または小火器30から上方に突出する他のいかなる部分によっても妨げられず、このことは、肩部316における光電検出器308に、標的物体への明確な照準線を与える。回路基板252上または回路基板252の近傍にセンサを配置することと比較して、肩部316における光電検出器308は、光学照準器10のいかなる部分によっても妨げられず、そして標的物体における周囲光の正確な読み取りを提供することができる。
【0096】
標的物体における周囲光の正確な測定を提供することは、光学照準器における周囲光を検出するセンサよりも有利である。標的物体における光状況(条件)を知ることによって、光学照準器10は、標的物体における光状況に基づいて、光源256の輝度を調整することを可能とし、このことは、標的物体においてと、光学照準器においてとで、光状況が異なるという状況において、利点がある。例えば、明るい空間から暗い空間に入るとき、暗い部屋に位置して屋外または明るい部屋の中の標的に焦点を合わせるとき、影の中に立ったり、影の中に撃ち込んだりするときなどは、すべて、標的物体において感知された光に基づいて、レチクル34の輝度を制御することから恩恵を受ける状況である。
【0097】
光電検出器308は、レンズ324と、コンタクト片276のアーム332に接続されたセンサチップ328とを含んでもよい。コンタクト片276のアーム332は、アーム332が光電検出器308から電源260への経路を通るために、上方に延びる光学素子ハウジング46の支柱102中において曲がり、かつ、ねじれるフレキシブル回路であってもよい。例えば、アーム332は、電源260と整列するように、電源260から、支柱102の壁に沿って延び、そして上方でねじれてもよい。アーム332の遠位端336は、センサチップ328とレンズ324との間にぴったりはまってもよいし、またはその間に挟まれてもよい。
【0098】
センサチップ328は、アーム332の遠位端336上に配置されてもよい。センサチップ328の中心340は、アーム332の遠位端336における開口344と整列させられてもよい。開口344は、センサチップ328が、センサチップ328と対向するアーム332の側の光を感知することを可能にしてもよい。
【0099】
レンズ324は、上方に延びる光学素子ハウジング46内の開口320を介して突出する棒状のレンズであってもよい。あるいは、レンズ324は、球面レンズ、曲面板レンズ、または任意の適切な形状のレンズであってもよい。レンズ324は、透明レンズであってもよい。例えば、レンズ324は、ガラス、プラスチック、または別の適切な透明な材料で形成されてもよい。
【0100】
レンズ324の近位端348は、アーム332の遠位端336に当接し、そして開口344と軸方向に整列させられてもよい。レンズ324の遠位端352が、標的像からの周囲光を、レンズ324を介して、開口344を介して、そしてセンサチップ328に伝達するように、光学照準器10が標的像と位置合わせされるとき、レンズ324の遠位端352は、標的像と軸方向に整列させられてもよい。
【0101】
センサチップ328は、開口344を介して光を検出するように構成されてもよい。例えば、センサチップ328は、光を検出するように構成された、フォトダイオードまたは他の適切なタイプのデバイスを含んでもよい。例えば、フォトダイオードは、光伝導検出器、光起電力検出器、または別の適切な検出器であってもよい。例えば、フォトダイオードは、p-i-n検出器、アバランシェフォトダイオード、ショットキーバリアフォトダイオード、金属-半導体-金属フォトダイオード、タイプII型の超格子光検出器、光電磁検出器、量子井戸サブバンド(間)光検出器、および量子ドット赤外光検出器であってもよい。
【0102】
照明アセンブリ22は、第1の作動部材356および第2の作動部材360を含んでもよい。作動部材356および作動部材360の各々は、光源256の照明を制御するために使用されてもよく、また各々は、カバー364およびカバー368とに関連づけられていてもよい。作動部材356および作動部材360が、回路基板252と電気的に通信(連通)するように、作動部材356および作動部材360は、コンタクト片276と電気的に接続されてもよい。例えば、作動部材356および作動部材360の各々は、コンタクト片276のアーム332およびアーム372上に固定されてもよい。
【0103】
1つの構成において、第1の作動部材356および第2の作動部材360は、それぞれのカバー364およびカバー368に接触するボタンスイッチであってもよい。カバー364およびカバー368は、ゴムまたはプラスチックなどの可撓性材料から形成されてもよく、それにより、カバー364またはカバー368のいずれかに力が加えられたときに、それぞれのカバー364およびカバー368が撓んで、そして加えられた力を関連する作動部材356および作動部材360に伝達する。カバー364またはカバー368のいずれかが押されると、特定のカバー364およびカバー368に関連する作動部材356および作動部材360が、光源256の動作を制御するように作動される。このような制御は、カバー364およびカバー368のうちの少なくとも1つに記述的(説明的)なマーキング(標示)を施すことによって容易にされてもよい。例えば、1つの作動部材356に正符号(+)を施し、他方の作動部材360に負符号(-)を施すことにより、どちらのカバー364またはカバー368が、また、それに関連するどちらの作動部材356または作動部材360が、照明を増加(+)または減少(-)させるかに関してのクイックリファレンス(早見標示)をユーザに提供する。
【0104】
特に図6に関連して、光学素子26は、光源256からの光がその上で反射されることを可能にするために、第1のレンズ376、第2のレンズ380、および第1のレンズ376および第2のレンズ380の少なくとも1つの上に形成されたダイクロイックコーティング(二色性被覆)384を有する複レンズ(ダブレットレンズ)を含むことが示されている。レンズ376およびレンズ380の1つをダイクロイックコーティング384でコーティングすることにより、光源256が、一般的にレンズ376およびレンズ380の間の領域にレチクル34を生成することを可能にし、したがって、レチクル34が光学素子26上に表示されることが可能になる。レンズ376およびレンズ380は、略D字型のものを含んでもよく、また一般的に凸形状の上面388を有していてもよい。一旦光学素子26がハウジング14に取り付けられると、光学素子26の上面388は、クロスメンバ110の底面114に一般的に隣接して配置されてもよい。
【0105】
レンズ376およびレンズ380は球面レンズであってもよく、それによって、レンズ376およびレンズ380の少なくとも1つは、実質的に約30ミリメートルから約45ミリメートルの範囲内、または約40ミリメートルから約41ミリメートルの範囲内、または約40.54ミリメートルの直径を有し、それらはプラスまたはマイナス0.2ミリメートルの許容差を有する。一旦球面レンズ376および球面レンズ380が形成されると、レンズ376およびレンズ380の全体の高さは、実質的に約15ミリメートルから約20ミリメートルの範囲内、または約17ミリメートルから約18ミリメートルの範囲内、または約17.17ミリメートルであってもよく、それらはプラスまたはマイナス0.10ミリメートルの許容差を有する。レンズ376およびレンズ380の実寸法(正確なサイズ)にかかわらず、光学素子26は、約25ミリメートルから約40ミリメートルの範囲内、または約35ミリメートルから約36ミリメートルの範囲内、または約35.88ミリメートルの有効焦点距離を有していてもよく、それらはプラスまたはマイナス0.12ミリメートルの許容差を有する。光学素子26は、ショット(SCHOTT)S―3のグレードAの微細焼鈍材から形成されていてもよい。
【0106】
引き続き図1図15を参照して、光学照準器10の動作(作動、作用、機能、操作)について詳細に説明する。一旦光学照準器10が小火器30に取り付けられると、光学照準器10は、小火器30の銃身38に対して、レチクル34の位置を適切に合わせるように調整されてもよい。マイナスドライバ、一般的に平らな部材(コインまたは使用済み弾薬シェルなど)、または別の適切な部材が、ハウジング14に対して調整ねじ130を回転させるために、調整ねじ130のスロット154に挿入されてもよい。ハウジング14に対する調整ねじ130の回転は、ハウジング14に対する調整部ブロック134の同時の上/下移動を引き起こす。調整部ブロック134の突起198が、基板268のスロット200内に摺動可能に受け入れられるため、基板268は、調整部ブロック134と共に、同時に上方向または下方向に移動させられる。
【0107】
基板268の、上方向または下方向のいずれかへの移動は、回路基板252の上方向または下方向への同時の移動を引き起こす。光源256は回路基板252に実装されるか、そうでなければ基板268に固定されるので、光源256は同様に、上方向または下方向のいずれかへ移動する。光源256は、光学素子26上にレチクル34を生成するために、窓278を通り、そして光学素子26に向かって、光を出力する。このため、基板268および光源256の上または下への移動は、光学素子26上のレチクル34の上または下への同時の移動を引き起こす。
【0108】
一旦レチクル34の位置が上/下方向に調整されると、マイナスドライバまたは他の部材は、調整ねじ130との係合から取り外されてもよい。光学照準器10の高さ調整機構122と同様に、付勢部材174および付勢部材202によって調整部ブロック134に与えられる力により、光学素子26に対するレチクル34の上/下位置が維持される。具体的には、付勢部材202は、ハウジング14と調整部ブロック134との間において、調整部ブロック134に力を加え、一方で付勢部材174は、調整ねじをその位置に保持するために、直接、調整ねじ130に力を加える。さらに、付勢部材194は、基板268と調整部ブロック134との間において、調整部ブロック134に力を加える。
【0109】
レチクル34の左/右(すなわち、風損(偏流))は、マイナスドライバ、平らな部材(コインまたは使用済み弾薬シェルなど)、または別の適切な部材を、調整ねじ206のスロット234に挿入することによって調整されてもよい。一旦マイナスドライバまたは他の平らな部材が調整ねじ206のスロット234に挿入されると、ハウジング14に対する調整ねじ206の回転は、第1の調整部ブロック212および第2の調整部ブロック214の同時の移動を引き起こす。調整部ブロック212および調整部ブロック214の移動は、本体部42の側面62に接近、または側面62から離間する方向に、ハウジング14に対して基板268の同時の移動を引き起こす。基板268は光源256を支持するので、ハウジング14に対しての、基板268の左方向または右方向のいずれかへの移動は、同様に、ハウジング14に対して光源256を移動させる。上述の通り、ハウジング14に対する光源256の移動は、光学素子26に対するレチクル34の同時の移動を引き起こす。一旦光学素子26に対するレチクル34の位置が調整されると、マイナスドライバまたは平らなツールは、調整ねじ206との係合から取り外されてもよい。光学照準器10の風損(偏流)調整機構126と同様に、付勢部材218によって第1の調整部ブロック212および第2の調整部ブロック214に与えられる力により、風損(偏流)の設定位置が維持される。
【0110】
一旦レチクル34の上/下位置および風損(偏流)位置が、光学素子26に対して適切に調整されると、小火器30の銃身38を標的(図示せず)に対して合わせるために、光学照準器10が使用されてもよい。
【0111】
レチクル34は、光源256によって照らされてもよい。例えば、標的物体における低周囲光状況下においては、光源がPWM(パルス幅変調)によって単独に制御され、また第1のレチクル34Aおよび第2のレチクル34Bのうちの一方のみが必要とされるかもしれない場合には、十分な光が、光源256によって投射されてもよい。そのため、抵抗によって制御される第1のレチクル34Aおよび第2のレチクル34Bのうちの他方は、照らされない。より明るいまたは昼間の状況下において、光源256は、抵抗およびPWM(パルス幅変調)の両方を使用して、第1のレチクル34Aおよび第2のレチクル34Bの両方を照らしてもよい。標的物体における明るい状況下においては、標的物体に対して十分な照準点を提供するために、第1のレチクル34Aが、第2のレチクル34Bと共に照らされてもよい。あるいは、より明るいまたは昼間の状況下において、光源256は、抵抗のみ、またはPWM(パルス幅変調)のみを用いて、第1のレチクル34Aおよび第2のレチクル34Bの両方を照らしてもよい。
【0112】
レチクル34の輝度は、回路基板252において自動的に制御されてもよい。例えば、図16を参照すると、回路基板252は、プロセッサ、またはマイクロプロセッサ390、およびメモリ391を含んでもよい。マイクロプロセッサ390は、光電検出器308から信号を受け取り(受信し)、そして第1のレチクル34A、第2のレチクル34B、または第1のレチクル34Aおよび第2のレチクル34Bを照らすかどうかを決定してもよい。あるいは、マイクロプロセッサ390は、ユーザ入力により信号を受け取り(受信し)、ユーザ入力に基づいて、第1のレチクル34A、第2のレチクル34B、または第1のレチクル34Aおよび第2のレチクル34Bを照らすかどうかを決定してもよい。図17を参照すると、自動輝度は、輝度カーブに従って制御されてもよい。より具体的には、通常モードでは、回路基板252は、第1のカーブ392に従って光源256の輝度を制御してもよい。第1のカーブ392は、弱光(低照度)ではより低い輝度設定を有していてもよく、輝度が増加するにつれてより高い輝度設定に上げてもよい。ユーザは、ユーザの好みに基づいて(例えば、第1の作動部材356および第2の作動部材360を使用して)、第1のカーブ392を増減させるためのオプションを有していてもよい。例えば、もしもユーザがより明るいレチクル34を好む場合には、ユーザは、第2のカーブ396をたどるように、自動輝度設定をハイ設定に増加させてもよい。もしもユーザがより薄暗いレチクル34を好む場合には、ユーザは、第3のカーブ400をたどるように、自動輝度設定をロー設定に減少させてもよい。カーブ396およびカーブ400は、カーブ392と同じ傾斜をたどってもよいが、適宜に全体的な輝度を調整するために、1レベル上または1レベル下にシフトされてもよい。
【0113】
図18を参照すると、自動輝度は、代替の輝度カーブに従って制御されてもよい。より具体的には、通常モードでは、回路基板252は、第1のカーブ404に従って光源256の輝度を制御してもよい。第1のカーブ404は、第1のカーブ392に類似しており、弱光(低照度)ではより低い輝度設定を有していてもよく、輝度が増加するにつれてより高い輝度設定に上げてもよい。ユーザは、ユーザの好みに基づいて、第1のカーブ404を増減させるためのオプションを有していてもよい。例えば、もしもユーザがより明るいレチクル34を好む場合には、ユーザは、第2のカーブ408をたどるように、自動輝度設定をハイ設定に増加させてもよい。感知された光が明るくなるにつれて、光強度を増加させるために、第1のカーブ404と比較して、第2のカーブ408は、上にシフトされていてもよく、また、より鋭い傾き、またはより大きい傾きを有していてもよい。もしもユーザがより薄暗いレチクル34を好む場合には、ユーザは、第3のカーブ412をたどるように、自動輝度設定をロー設定に減少させてもよい。感知された光が明るくなるにつれて、光強度を増加させるために、第1のカーブ404と比較して、第3のカーブ412は、下にシフトされていてもよく、また、より緩やかな傾き、またはより小さい傾きを有していてもよい。
【0114】
一旦プロセッサ390が適切なカーブから輝度レベルを決定すると、プロセッサ390は、光源256を照らすために、1つまたは複数の抵抗420に電力を供給させる。例えば、光源256が、レチクル34Aおよびレチクル34Bの各々について、11設定の輝度設定を有する構成において、回路基板252は、11個の抵抗を収容していてもよい。レチクル34A(例えば、ドットレチクル)に対する11設定の輝度設定のための電圧は、7個の抵抗によって制御される、このうち、3個の抵抗は7つのPWM(パルス幅変調)設定のための電圧を制御しており、また4個の抵抗は4つのディスクリート(離散系)設定のための電圧を制御していてもよい。一方、レチクル34B(例えば、リングレチクル)に対する11のPWM(パルス幅変調)輝度設定のための電圧は、4個の抵抗によって制御されていてもよい。この例におけるPWM(パルス幅変調)の実施は、オプティックの11個の抵抗と、プロセッサ390からの11の入力/出力を節約する。
【0115】
光学素子26は、第1のレンズ376および第2のレンズ380の少なくとも一方に配置されるダイクロイックコーティング384を含むため、光源256からの光の波長は反射され、そしてレチクル34を照準線(視線)に沿って、光学素子26に出現させる。レチクル34は、小火器30の銃身38を標的物体と合わせるために、ユーザによって使用されてもよい。
【0116】
図19を参照すると、ユーザは、第1のレチクル34A、第2のレチクル34B、または第1のレチクル34Aおよび第2のレチクル34B、を照らすかどうかを選択することができてもよい。ユーザは、さらに、第1のレチクル34Aに対する第2のレチクル34Bの輝度を調整してもよい。ユーザは、さらに、第2のレチクル34Bに対する第1のレチクル34Aの輝度を調整してもよい。
【0117】
相対輝度を調整する機能は、ユーザに対して、レチクル34Aおよびレチクル34Bを自分の好みに一致させる機能、または特定の射撃シナリオに一致させる機能を提供することができるものである。例えば、第2のレチクル34Bの輝度が第1のレチクル34Aに対して調整されてもよい場合において、もしもユーザが主として接近(近距離)シナリオにあると予期している場合には、ユーザは、明るい第2のレチクル34B(例えば、分割された円)を、一次的な大まかな照準点として望んでいるかもしれない、しかし、ユーザがより正確に狙い撃つ必要がある場合には、第1のレチクル34A(例えば、ドット)は、依然として利用可能である。このシナリオにおいて、第1のレチクル34Aは第2のレチクル34Bよりも薄暗いので、第1のレチクル34Aは、どのような気を散らす原因にも、または、大きな曖昧さにもならないであろう。反対のシナリオにおいては、ユーザは、正確な狙い撃ちのために第1のレチクル34A(例えば、ドット)を明るく照らすことを望んでいるかもしれない、しかし、ユーザが近距離で狙い撃つ必要がある場合には、薄暗い第2のレチクル34B(例えば、分割された円)は、依然として利用可能である。後者のシナリオは、ユーザが第1のレチクル34Aに容易に焦点を合わせることを可能にしており、そして第2のレチクル34Bが標的を曖昧にすることを防止するものであり、または第2のレチクル34Bが第1のレチクル34Aを圧倒する(侵食する)ことを防止するものである。第1のレチクル34Aおよび第2のレチクル34Bが異なる輝度レベルを有することを可能にすることで、他のレチクル34Aおよびレチクル34Bを完全にオフ(非表示)にすることなく、2つのレチクル34Aおよびレチクル34Bの内で「より明るい」レチクルに、ユーザが、容易に焦点を合わせることを助けることができる。より薄暗いレチクル34Aまたはレチクル34Bは、ユーザがそれを必要とする場合には、依然として利用可能である、しかし、ユーザが一次的な照準点として、より薄暗いレチクル34Aまたはレチクル34Bを必要としない場合には、気を散らすことは、はるかに少ないであろう。
【0118】
例えば、図19は、第2のレチクル34Bの輝度が、第1のレチクル34Aに対して調整されてもよい上記の例を示すものである。オプティック10のデフォルト設定は、第1のレチクル34Aおよび第2のレチクル34Bが、「同等の輝度」にあることであってもよい(図19において実線および点線で示される)。例えば、ドットとリングが一緒になり、同じように明るく見えることとなる。一連のボタンを押すことにより、または他のユーザ入力を介して、ユーザは、第1のレチクル34Aに対する第2のレチクル34Bの輝度を調整できるモードにアクセスしてもよい。それらは、デフォルト設定(等しい輝度)、第2のレチクル34Bが第1のレチクル34Aよりも明るいハイ設定(例えば、破線)、および第2のレチクル34Bが第1のレチクル34Aよりも薄暗いロー設定(例えば、一点鎖線)の間で選択することができる。
【0119】
デフォルト設定の間、第1のレチクル34Aは実線に沿って動作してもよく、また第2のレチクル34Bは点線に沿って動作してもよい。もしもユーザがハイ設定を選択した場合には、第1のレチクル34Aは実線に沿って動作を継続してもよく、また第2のレチクル34Bの動作は点線から破線に移行してもよい。もしもユーザがロー設定を選択した場合には、第1のレチクル34Aは実線に沿って動作を継続してもよく、また第2のレチクル34Bの動作は点線から一点鎖線に移行してもよい。もしも第2のレチクル34Bがハイ設定で動作しており、そしてユーザがデフォルト設定を選択した場合、または輝度設定を減少させる場合には、第2のレチクル34Bの動作は、破線から点線に移行してもよい。もしも第2のレチクル34Bがロー設定で動作しており、そしてユーザがデフォルト設定を選択した場合、または輝度設定を増加させる場合には、第2のレチクル34Bの動作は、一点鎖線から点線に移行してもよい。動作は、第1のレチクル34Aの輝度が第2のレチクル34Bに対して変化させられる例についても同様であろう。この場合、第1のレチクル34Aは、ユーザ入力と共に、点線、破線、および一点鎖線の間を移動してもよいが、一方で第2のレチクル34Bは実線上にとどまるであろう。
【0120】
ここで図20を参照すると、レチクルの輝度を制御する方法500のフローチャートが例示されている。方法500は、回路基板252、回路基板252上のマイクロプロセッサもしくはプロセッサ390、またはマイクロプロセッサもしくはプロセッサ390上のコントローラによって実行されてもよい。
【0121】
方法500は504から開始される。508において、レチクルの輝度はデフォルトカーブに従って制御される。例えば、回路基板252は、光電検出器308からの出力を受け取っても(受信しても)よく、そしてデフォルトカーブに従ってレチクル34を照らすように光源256を制御してもよい。例えば、デフォルトカーブは、図17および図18において例示されるように、基準の工場出荷時の設定であってもよい。例えば、デフォルトカーブは、図19における実線および点線により例示されているように、基準の工場出荷時の設定であってもよい。あるいは、デフォルトカーブは、回路基板252のメモリ391に収められた任意のカーブであってもよい。
【0122】
512において、受け取られた(受信した)、ユーザからの入力に対するチェックが行われる。例えば、ユーザは、第1の作動部材356および第2の作動部材360を使用して、レチクルの輝度に関するコマンドを入力してもよい。作動部材356および作動部材360のそれぞれは、カバー364およびカバー368に関連していてもよい。例えば、カバー364に関連する第1の作動部材356は、照明を減少させるか、または薄暗くするために、押されてもよい。例えば、カバー368に関連する第2の作動部材360は、照明を増加させるか、または明るくするために、押されてもよい。作動部材356および作動部材360の機能を示すために、カバー364はマイナス記号を含んでもよく、またカバー368はプラス記号を含んでもよい。あるいは、ユーザ入力は、一連のボタンまたは他の作動部材から受け取られても(受信されても)よい。
【0123】
もしも、512においてノー(N)の場合、方法500は508に戻り、そして照明はデフォルトカーブに従って制御される。もしも、512においてイエス(Y)の場合、デフォルトカーブは、516において、ユーザ入力に従って新しいカーブに変更される。例えば、もしもデフォルトカーブが、図17または図18における基準の工場出荷時の設定(細い実線)であり、かつユーザ入力が、カバー364を介しての第1の作動部材356の起動である場合には、デフォルトカーブは、図17または図18における減少された自動輝度カーブ(破線)に変更される。例えば、もしもデフォルトカーブが、図17または図18における基準の工場出荷時の設定(細い実線)であり、かつユーザ入力が、カバー368を介しての第2の作動部材360の起動である場合には、デフォルトカーブは、図17または図18における増加された自動輝度カーブ(太い実線)に変更される。
【0124】
あるいは、もしもデフォルトカーブが、図17または図18における増加された自動輝度カーブ(太い実線)であり、かつユーザ入力が、カバー364を介しての第1の作動部材356の起動である場合には、デフォルトカーブは、図17または図18における基準の工場出荷時の設定(細い実線)に変更される。例えば、もしもデフォルトカーブが、図17または図18における減少された自動輝度カーブ(破線)であり、かつユーザ入力が、カバー368を介しての第2作動部材360の起動である場合には、デフォルトカーブは、図17または図18における基準の工場出荷時の設定(細い実線)に変更される。
【0125】
同様に、第2のレチクル34Bの輝度は、第1のレチクル34Aに対して調整されてもよく、または、第1のレチクル34Aの輝度は、第2のレチクル34Bに対して調整されてもよい。より具体的には、第1のレチクル34Aのデフォルト輝度は、図19における実線であってもよく、そして第2のレチクル34Bのデフォルト輝度は、図19における点線であってもよい。実線は点線に似ていて、そして、より低い輝度設定において、より低い電力出力であってもよく、また輝度設定が上昇するにつれて電力出力が増加してもよい。もしもユーザ入力が、自動輝度設定をハイ設定に上昇させると、点線は図19における破線に移行してもよい。点線と比較して、破線は、各輝度設定に対して、より高いレチクル電力出力を有するように、上にシフトされてもよい。もしもユーザ入力が、自動輝度設定をロー設定に降下させると、点線は図19における一点鎖線に移行してもよい。点線と比較して、一点鎖線は、各輝度設定に対しより少ないレチクル電力出力を有するように、下にシフトされてもよい。この同じシナリオは、第2のレチクル34Bに対して第1のレチクル34Aを調整するために、適用されるであろう。
【0126】
520において、レチクルの輝度は、新しいカーブに従って制御される。例えば、回路基板252は、光電検出器308からの出力を受け取っても(受信しても)よく、そして新しいカーブに従ってレチクル34を照らすために光源256を制御してもよい。図17および図18において例示されるように、光電検出器308から出力される輝度が増加するにつれて、光源256に対する輝度設定およびレチクル34の照明が増加する。同様に図19において、輝度設定が増加するにつれて、レチクルに対するレチクル電力出力が増加する。
【0127】
524において、受け取られた(受信した)、電源入力からの入力に対するチェックが行われる。例えば、ユーザは、オプティック10の電源を投入または切る(遮断する)ために、電源ボタンを選択してもよい。あるいは、例えば、光源256は、タイマーに基づいていてもよく、そして閾値時間の間の照明の後に、遮断してもよい。
【0128】
もしも、524において、ノー(N)の場合、方法500は、512に戻ってもよい。もしも、524において、イエス(Y)の場合、方法500は、528において光源256の電源を切るか、または遮断してもよい。方法500は、532において終了する。
【0129】
実施形態の上述の記載は例示および説明のために提示されている。上述の記載は網羅的にすることも本開示を限定することも意図しない。特定の実施形態の個々の要素又は特徴は概して、その特定の実施形態に限定されないが、適用可能な場合、具体的に図示又は説明がされていないとしても、入れ替え可能であり、選択された実施形態において用いることができる。特定の実施形態の個々の要素又は特徴を多くの方法で変えることもできる。そのような変形は、開示から逸脱するものとしてみなされるべきではなく、そのような変形が全て開示の範囲内に含まれることを意図する。
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20