(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-11
(45)【発行日】2024-03-19
(54)【発明の名称】変速機用のアクチュエータ装置
(51)【国際特許分類】
F16H 63/04 20060101AFI20240312BHJP
F16H 63/30 20060101ALI20240312BHJP
【FI】
F16H63/04
F16H63/30
(21)【出願番号】P 2022530903
(86)(22)【出願日】2020-11-13
(86)【国際出願番号】 EP2020082029
(87)【国際公開番号】W WO2021104894
(87)【国際公開日】2021-06-03
【審査請求日】2022-06-24
(32)【優先日】2019-11-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】597007363
【氏名又は名称】クノル-ブレムゼ ジステーメ フューア ヌッツファールツォイゲ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Knorr-Bremse Systeme fuer Nutzfahrzeuge GmbH
【住所又は居所原語表記】Moosacher Strasse 80, D-80809 Muenchen, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】川口 知良
【審査官】小川 克久
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-245698(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0146120(US,A1)
【文献】独国特許出願公開第102014003238(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 63/04
F16H 63/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
変速機用のアクチュエータ装置(10)であって、前記アクチュエータ装置は、
第1の伝達要素(20)と、
第2の伝達要素(30)と、
第1のギアシフトフィンガ(40)と、
第2のギアシフトフィンガ(50)と、
第1の作動要素(60)と、
第2の作動要素(70)と
を含んでおり、
前記第1の作動要素は、前記第1の伝達要素を作動させるように構成されており、
前記第2の作動要素は、前記第2の伝達要素を作動させるように構成されており、
前記第1の伝達要素は、前記第2の伝達要素に対して実質的に平行であり、前記第1の伝達要素および前記第2の伝達要素は、第1の端部と第2の端部とを有するシャフトアセンブリを画定しており、
前記第1の作動要素は、前記シャフトアセンブリの前記第1の端部において前記第1の伝達要素に結合されており、前記第2の作動要素は、前記シャフトアセンブリの前記第2の端部において前記第2の伝達要素に結合されて
おり、
前記第1の伝達要素の回転は、前記第1のギアシフトフィンガをアクティブ化するように構成されており、前記第2の伝達要素の回転は、前記第2のギアシフトフィンガをアクティブ化するように構成されており、
前記第1のギアシフトフィンガのアクティブ化は、第1のギアシフトフィンガの回転軸線を中心とする前記第1のギアシフトフィンガの回転を含んでおり、前記第2のギアシフトフィンガのアクティブ化は、第2のギアシフトフィンガの回転軸線を中心とする前記第2のギアシフトフィンガの回転を含んでおり、
前記第1のギアシフトフィンガの回転軸線と前記第2のギアシフトフィンガの回転軸線とは同じであり、前記第1のギアシフトフィンガおよび前記第2のギアシフトフィンガは、共通のシャフト(80)を中心に回転するように構成されており、
前記第1の伝達要素の少なくとも1つの部分は、ねじ山付き外側部分を含んでおり、前記ねじ山付き外側部分の周りに第1のナット(110)が取り付けられており、
前記第1の伝達要素の回転は、前記ねじ山付き外側部分の少なくとも一部に沿って前記第1のナットを並進させて、前記第1のギアシフトフィンガをアクティブ化するように構成されており、
前記第2の伝達要素の少なくとも1つの部分は、ねじ山付き外側部分を含んでおり、前記ねじ山付き外側部分の周りに第2のナット(120)が取り付けられており、
前記第2の伝達要素の回転は、前記ねじ山付き外側部分の少なくとも一部に沿って前記第2のナットを並進させて、前記第2のギアシフトフィンガをアクティブ化するように構成されている、アクチュエータ装置(10)。
【請求項2】
前記第1の伝達要素の作動は、前記第1の伝達要素を第1の伝達要素の回転軸線を中心として回転させるように構成されている前記第1の作動要素を含んでおり、
前記第2の伝達要素の作動は、前記第2の伝達要素を第2の伝達要素の回転軸線を中心として回転させるように構成されている前記第2の作動要素を含んでおり、
前記第1の伝達要素の回転軸線は、前記第2の伝達要素の回転軸線に対して実質的に平行である、請求項1記載のアクチュエータ装置。
【請求項3】
前記シャフトアセンブリの前記第1の端部と前記第2の端部との間の距離は、前記第1の伝達要素の回転軸線に対して垂直な方向で測定された、前記第1の伝達要素の回転軸線と前記第2の伝達要素の回転軸線との間の距離よりも大きい、請求項1
または2記載のアクチュエータ装置。
【請求項4】
前記第1のギアシフトフィンガの回転軸線は、前記第1の伝達要素の回転軸線に対して垂直であり、
前記第2のギアシフトフィンガの回転軸線は、前記第2の伝達要素の回転軸線に対して垂直である、請求項
1記載のアクチュエータ装置。
【請求項5】
前記アクチュエータ装置は、第1の位置センサ(102)および/または第2の位置センサ(104)を含んでおり、
前記第1の位置センサは、前記第1のギアシフトフィンガの動きまたは第1のナットの動きを測定するように構成されており、
前記第2の位置センサは、前記第2のギアシフトフィンガの動きまたは第2のナットの動きを測定するように構成されている、請求項
1から
4までのいずれか1項記載のアクチュエータ装置。
【請求項6】
前記アクチュエータ装置は、第1の角度センサ(90)および第2の角度センサ(100)を含んでおり、
前記第1の角度センサは、前記第1のギアシフトフィンガの回転軸線を中心とした前記第1のギアシフトフィンガの角度運動を測定するように構成されており、
前記第2の角度センサは、前記第2のギアシフトフィンガの回転軸線を中心とした前記第2のギアシフトフィンガの角度運動を測定するように構成されている、請求項
1から
5までのいずれか1項記載のアクチュエータ装置。
【請求項7】
前記アクチュエータ装置は、第1のシャフト回転角度センサ(106)および/または第2のシャフト回転角度センサ(108)を含んでおり、
前記第1のシャフト回転角度センサは、前記第1の伝達要素の回転軸線を中心とした前記第1の伝達要素の回転角度を測定するように構成されており、
前記第2のシャフト回転角度センサは、前記第2の伝達要素の回転軸線を中心とした前記第2の伝達要素の回転角度運動を測定するように構成されている、請求項
1から
6までのいずれか1項記載のアクチュエータ装置。
【請求項8】
前記第1のギアシフトフィンガの回転軸線は前記第1の伝達要素の回転軸線に対して固定されており、
前記第2のギアシフトフィンガの回転軸線は前記第2の伝達要素の回転軸線に対して固定されている、請求項
1から
7までのいずれか1項記載のアクチュエータ装置。
【請求項9】
前記アクチュエータ装置は、前記アクチュエータ装置のボディに対して前記第1のナットを回転させないように前記第1の伝達要素の回転が構成されるように構成されており、かつ前記アクチュエータ装置の前記ボディに対して前記第2のナットを回転させないように前記第2の伝達要素の回転が構成されるように構成されている、請求項
1記載のアクチュエータ装置。
【請求項10】
前記第1のギアシフトフィンガの一部分は、前記一部分が前記第1のナットに対して回転することができるように前記第1のナットに結合されており、
前記第2のギアシフトフィンガの一部分は、前記一部分が前記第2のナットに対して回転することができるように前記第2のナットに結合されている、請求項
1から
9までのいずれか1項記載のアクチュエータ装置。
【請求項11】
前記第1のギアシフトフィンガの前記一部分は、前記一部分が前記第1のナットに対して並進することができるように前記第1のナットに結合されており、
前記第2のギアシフトフィンガの前記一部分は、前記一部分が前記第2のナットに対して並進することができるように前記第2のナットに結合されている、請求項
10記載のアクチュエータ装置。
【請求項12】
前記第1の作動要素は電気モータであり、前記第2の作動要素は電気モータである、請求項1から
11までのいずれか1項記載のアクチュエータ装置。
【請求項13】
請求項1から
12までのいずれか1項記載のアクチュエータ装置(10)を含んでいる、変速機(200)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、変速機用のアクチュエータ装置およびこのようなアクチュエータ装置を有する変速機に関する。
【0002】
背景技術
最小で3つの歯車を備える変速機は、歯車の噛み合いおよび噛み合い解除のために2つのギアシフトレーンを利用する。しかし、変速機の歯車の噛み合いおよび噛み合い解除のためにこのようなギアシフトレバーをアクティブ化する現下のアクチュエータ装置は、極めて大きく、扱いにくい。
【0003】
この問題に取り組む必要がある。
【0004】
発明の概要
したがって、変速機のための改良されたアクチュエータ装置を有することが有利であろう。
【0005】
本発明の課題は独立請求項の対象によって解決され、他の実施形態は従属請求項に組み込まれている。以降で説明する本発明の態様は、このようなアクチュエータ装置を有する変速機のためのアクチュエータ装置にも適用されることに留意されたい。
【0006】
第1の態様では、変速機用のアクチュエータ装置が提供され、このアクチュエータ装置は、
・第1の伝達要素と、
・第2の伝達要素と、
・第1の作動要素と、
・第2の作動要素と
を含んでいる。
【0007】
第1の作動要素は、第1の伝達要素を作動させるように構成されている。第2の作動要素は、第2の伝達要素を作動させるように構成されている。第1の伝達要素は、第2の伝達要素に対して実質的に平行である。第1の伝達要素および第2の伝達要素は、第1の端部と第2の端部とを有するシャフトアセンブリを画定している。第1の作動要素は、シャフトアセンブリの第1の端部において第1の伝達要素に結合されている。第2の作動要素は、シャフトアセンブリの第2の端部において第2の伝達要素に結合されている。
【0008】
したがって、モータがアクチュエータ装置の両端に取り付けられているので、このような両側での配置によって、2つのシャフト間の距離が低減される。その結果、アクチュエータ装置全体またはモジュール全体をよりコンパクトにすることができる。
【0009】
一例では、第1の伝達要素の作動は、第1の伝達要素を第1の伝達要素の回転軸線を中心として回転させるように構成されている第1の作動要素を含んでいる。第2の伝達要素の作動は、第2の伝達要素を第2の伝達要素の回転軸線を中心として回転させるように構成されている第2の作動要素を含んでいる。
【0010】
一例では、第1の伝達要素の回転軸線は、第2の伝達要素の回転軸線に対して実質的に平行である。
【0011】
一例では、アクチュエータ装置は、第1のギアシフトフィンガおよび第2のギアシフトフィンガを含んでいる。第1の伝達要素の回転は、第1のギアシフトフィンガをアクティブ化するように構成されている。第2の伝達要素の回転は、第2のギアシフトフィンガをアクティブ化するように構成されている。
【0012】
これらのギアシフトフィンガは並進することができるが、回転することもでき、ギアシフトレバーとみなされ得る。
【0013】
一例では、シャフトアセンブリの第1の端部と第2の端部との間の距離は、第1の伝達要素の回転軸線に対して垂直な方向で測定された、第1の伝達要素の回転軸線と第2の伝達要素の回転軸線との間の距離よりも大きい。
【0014】
言い換えれば、アクチュエータ装置の幅はコンパクトであり、これによって、車両用の変速機などの変速機のための省スペース型モジュールが得られる。
【0015】
一例では、第1のギアシフトフィンガのアクティブ化は、第1のギアシフトフィンガの回転軸線を中心とする第1のギアシフトフィンガの回転を含んでおり、第2のギアシフトフィンガのアクティブ化は、第2のギアシフトフィンガの回転軸線を中心とする第2のギアシフトフィンガの回転を含んでいる。
【0016】
一例では、第1のギアシフトフィンガの回転軸線は、第1の伝達要素の回転軸線に対して垂直であり、第2のギアシフトフィンガの回転軸線は、第2の伝達要素の回転軸線に対して垂直である。
【0017】
したがって、伝達要素の回転は、伝達要素の軸線の方向へのギアシフトフィンガの、関連する回転アクティブ化運動を生じさせる。
【0018】
一例では、第1のギアシフトフィンガの回転軸線と第2のギアシフトフィンガの回転軸線とは同じであり、第1のギアシフトフィンガおよび第2のギアシフトフィンガは、共通のシャフトを中心に回転するように構成されている。
【0019】
このようにして、極めてコンパクトで安定したシステムが提供され、複数のギアシフトフィンガに対して1つの旋回シャフトしか必要とされず、これらのギアシフトフィンガはその場合、歯車の噛み合いおよび噛み合い解除を行うために、この共通の旋回シャフトを中心として独立して回転することができる。
【0020】
一例では、アクチュエータ装置は、第1の位置センサおよび/または第2の位置センサを含んでいる。第1の位置センサは、第1のギアシフトフィンガの動きまたは第1のナットの動きを測定するように構成されている。第2の位置センサは、第2のギアシフトフィンガの動きまたは第2のナットの動きを測定するように構成されている。
【0021】
このようにして、ナットまたはフィンガの並進運動を監視することができる。
【0022】
一例では、アクチュエータ装置は、第1の角度センサおよび第2の角度センサを含んでいる。第1の角度センサは、第1のギアシフトフィンガの回転軸線を中心とした第1のギアシフトフィンガの角度運動を測定するように構成されている。第2の角度センサは、第2のギアシフトフィンガの回転軸線を中心とした第2のギアシフトフィンガの角度運動を測定するように構成されている。
【0023】
一例では、アクチュエータ装置は、第1のシャフト回転角度センサおよび/または第2のシャフト回転角度センサを含んでいる。第1のシャフト回転角度センサは、第1の伝達要素の回転軸線を中心とした第1の伝達要素の回転角度を測定するように構成されている。第2のシャフト回転角度センサは、第2の伝達要素の回転軸線を中心とした第2の伝達要素の回転角度運動を測定するように構成されている。
【0024】
一例では、第1のギアシフトフィンガの回転軸線は第1の伝達要素の回転軸線に対して固定されており、第2のギアシフトフィンガの回転軸線は第2の伝達要素の回転軸線に対して固定されている。
【0025】
したがって、正しい、歯車の噛み合いおよび噛み合い解除を保証するために、ギアシフトフィンガの正確な回転位置を決定するために、極めて安定した正確な手段が提供される。
【0026】
一例では、第1の伝達要素の少なくとも1つの部分は、ねじ山付き外側部分を含んでおり、このねじ山付き外側部分の周りに第1のナットが取り付けられている。第1の伝達要素の回転は、ねじ山付き外側部分の少なくとも一部に沿って第1のナットを並進させて、第1のギアシフトフィンガをアクティブ化するように構成されている。第2の伝達要素の少なくとも1つの部分は、ねじ山付き外側部分を含んでおり、このねじ山付き外側部分の周りに第2のナットが取り付けられている。第2の伝達要素の回転は、ねじ山付き外側部分の少なくとも一部に沿って第2のナットを並進させて、第2のギアシフトフィンガをアクティブ化するように構成されている。
【0027】
このようにして、作動要素が伝達要素を回転させると、ナットが伝達要素に沿って動かされ、これは、極めて正確かつコントロール可能なギアシフトアクティブ化機構をもたらす。
【0028】
一例では、アクチュエータ装置は、アクチュエータ装置のボディに対して第1のナットを回転させないように第1の伝達要素の回転が構成されるように構成されている。アクチュエータ装置は、アクチュエータ装置のボディに対して第2のナットを回転させないように第2の伝達要素の回転が構成されるように構成されている。
【0029】
一例では、第1のギアシフトフィンガの一部分は、この一部分が第1のナットに対して回転することができるように第1のナットに結合されており、第2のギアシフトフィンガの一部分は、この一部分が第2のナットに対して回転することができるように第2のナットに結合されている。
【0030】
言い換えれば、シャフトの回転によって、ナットがシャフトに沿って動かされるとき、ナットに結合されているギアシフトフィンガの部分は、たとえば切欠きまたは溝を介して、ナットの側面における1つまたは2つの突起を中心にスライドおよび回転することができる。
【0031】
一例では、第1のギアシフトフィンガの一部分は、この一部分が第1のナットに対して並進することができるように第1のナットに結合されている。第2のギアシフトフィンガの一部分は、この一部分が第2のナットに対して並進することができるように第2のナットに結合されている。
【0032】
言い換えれば、伝達要素の回転によって、ナットが伝達要素に沿って動かされるとき、ナットに結合されているギアシフトフィンガの部分は、たとえば切欠きまたは溝を介して、ナットの側面における1つまたは2つの突起を中心に、伝達要素の軸線に沿ってスライドおよび回転することができる。
【0033】
一例では、第1の作動要素は電気モータであり、第2の作動要素は電気モータである。
【0034】
第2の態様では、第1の態様によるアクチュエータ装置を含んでいる変速機が提供される。
【0035】
上述した各態様および各例は、以降で説明する各実施形態を参照することで明瞭かつ明確となるであろう。
【0036】
以降では、次の図面を参照しながら、例示的な実施形態を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図1】変速機用のアクチュエータ装置の一例の概略図である。
【
図2】アクチュエータ装置を備える変速機の一例の概略図である。
【
図3】ナットまたはフィンガの位置または動きを測定する運動センサの概略図である。
【
図4】フィンガの回転位置または動きを測定するセンサの概略図である。
【0038】
実施形態の詳細な説明
図1には、変速機用のアクチュエータ装置10の一例が示されている。アクチュエータ装置は、第1の伝達要素20、第2の伝達要素30、第1の作動要素60および第2の作動要素70を含んでいる。第1の作動要素は、第1の伝達要素を作動させるように構成されている。第2の作動要素は、第2の伝達要素を作動させるように構成されている。第1の伝達要素は、第2の伝達要素に対して実質的に平行である。第1の伝達要素および第2の伝達要素は、第1の端部と第2の端部とを有するシャフトアセンブリを画定している。第1の作動要素は、シャフトアセンブリの第1の端部において第1の伝達要素に結合されている。第2の作動要素は、シャフトアセンブリの第2の端部において第2の伝達要素に結合されている。
【0039】
一例では、第1の伝達要素はシャフトである。
【0040】
一例では、第2の伝達要素はシャフトである。
【0041】
一例では、第1の作動要素はモータである。
【0042】
一例では、第2の作動要素はモータである。
【0043】
一例では、第1の作動要素は、シャフトアセンブリの第1の端部においてアクチュエータ装置のボディに固定的に取り付けられており、第2の作動要素は、シャフトアセンブリの第2の端部においてアクチュエータ装置のボディに固定的に取り付けられている。
【0044】
一例では、第1の作動要素および第2の作動要素は、互いに実質的に平行に配向されている取り付けフランジによって、アクチュエータ装置のボディに取り付けられている。
【0045】
一例では、第1の伝達要素および第2の伝達要素はボールねじスピンドルである。
【0046】
一例では、第1の伝達要素の作動は、第1の伝達要素を第1の伝達要素の回転軸線を中心として回転させるように構成されている第1の作動要素を含んでいる。
【0047】
一例では、第2の伝達要素の作動は、第2の伝達要素を第2の伝達要素の回転軸線を中心として回転させるように構成されている第2の作動要素を含んでいる。
【0048】
一例では、第1の伝達要素の回転軸線は、第2の伝達要素の回転軸線に対して実質的に平行である。
【0049】
一例では、アクチュエータ装置は、第1のギアシフトフィンガ40および第2のギアシフトフィンガ50を含んでいる。第1の伝達要素の回転は、第1のギアシフトフィンガをアクティブ化するように構成されている。第2の伝達要素の回転は、第2のギアシフトフィンガをアクティブ化するように構成されている。
【0050】
一例では、シャフトアセンブリの第1の端部と第2の端部との間の距離は、第1の伝達要素の回転軸線に対して垂直な方向で測定された、第1の伝達要素の回転軸線と第2の伝達要素の回転軸線との間の距離よりも大きい。
【0051】
一例では、第1のギアシフトフィンガのアクティブ化は、第1のギアシフトフィンガの回転軸線を中心とする第1のギアシフトフィンガの回転を含んでいる。第2のギアシフトフィンガのアクティブ化は、第2のギアシフトフィンガの回転軸線を中心とする第2のギアシフトフィンガの回転を含んでいる。
【0052】
一例では、第1のギアシフトフィンガの回転軸線は、第1の伝達要素の回転軸線に対して垂直であり、第2のギアシフトフィンガの回転軸線は、第2の伝達要素の回転軸線に対して垂直である。
【0053】
一例では、第1のギアシフトフィンガの回転軸線と第2のギアシフトフィンガの回転軸線とは同じである。第1のギアシフトフィンガおよび第2のギアシフトフィンガは、共通のシャフト80を中心に回転するように構成されている。
【0054】
一例では、共通のシャフトは、アクチュエータ装置のボディに取り付けられている。
【0055】
一例では、共通のシャフトは、アクチュエータ装置のボディに固定的に取り付けられている。
【0056】
一例では、アクチュエータ装置は、第1の位置センサ102および/または第2の位置センサ104を含んでいる。第1の位置センサは、第1のギアシフトフィンガの動きまたは第1のナットの動きを測定するように構成されている。第2の位置センサは、第2のギアシフトフィンガの動きまたは第2のナットの動きを測定するように構成されている。
【0057】
【0058】
一例では、アクチュエータ装置は、第1の角度センサ90および第2の角度センサ100を含んでいる。第1の角度センサは、第1のギアシフトフィンガの回転軸線を中心とした第1のギアシフトフィンガの角度運動を測定するように構成されている。第2の角度センサは、第2のギアシフトフィンガの回転軸線を中心とした第2のギアシフトフィンガの角度運動を測定するように構成されている。
【0059】
一例では、アクチュエータ装置は、第1のシャフト回転角度センサ106および/または第2のシャフト回転角度センサ108を含んでいる。第1のシャフト回転角度センサは、第1の伝達要素の回転軸線を中心とした第1の伝達要素の回転角度を測定するように構成されている。第2のシャフト回転角度センサは、第2の伝達要素の回転軸線を中心とした第2の伝達要素の回転角度運動を測定するように構成されている。
【0060】
この例は
図4に例示されており、ここでは、シャフト回転角度センサは、伝達要素上に、モータに接して位置決めされていてよく、またはモータから離して位置決めされていてよく、伝達要素の回転運動を監視することができる。このようにして、この回転運動から、伝達要素の周りに配置されているナットがどのように横方向に動いたのかを決定することができ、これによって、提供される歯車噛み合い情報を正確に決定することが可能になる。
【0061】
一例では、第1のギアシフトフィンガの回転軸線は第1の伝達要素の回転軸線に対して固定されており、第2のギアシフトフィンガの回転軸線は第2の伝達要素の回転軸線に対して固定されている。
【0062】
一例では、第1の伝達要素の少なくとも1つの部分は、ねじ山付き外側部分を含んでおり、このねじ山付き外側部分の周りに第1のナット110が取り付けられている。第1の伝達要素の回転は、ねじ山付き外側部分の少なくとも一部に沿って第1のナットを並進させて、第1のギアシフトフィンガをアクティブ化するように構成されている。第2の伝達要素の少なくとも1つの部分は、ねじ山付き外側部分を含んでおり、このねじ山付き外側部分の周りに第2のナット120が取り付けられている。第2の伝達要素の回転は、ねじ山付き外側部分の少なくとも一部に沿って第2のナットを並進させて、第2のギアシフトフィンガをアクティブ化するように構成されている。
【0063】
一例では、第1のナットおよび第2のナットはボールねじスピンドルナットである。
【0064】
一例では、アクチュエータ装置は、アクチュエータ装置のボディに対して第1のナットを回転させないように第1の伝達要素の回転が構成されるように構成されている。アクチュエータ装置は、アクチュエータ装置のボディに対して第2のナットを回転させないように第2の伝達要素の回転が構成されるように構成されている。
【0065】
一例では、2つのギアシフトフィンガの共通の旋回シャフトであり得る旋回シャフトを介して、ギアシフトフィンガ自体をアクチュエータ装置のボディに結合させることができ、これによって、ナットが周囲に取り付けられている第1の伝達要素および第2の伝達要素の軸線の方向におけるギアシフトフィンガの回転が可能になる。次いで、伝達要素は回転させるがナットは回転させないようにギアシフトフィンガ自体をナットに結合させることができ、これによってナットを伝達要素に沿って動かすことができ、このようにして、ギアシフトのアクティブ化を提供するために、旋回シャフトを中心にギアシフトフィンガを回転させることもできる。
【0066】
一例では、第1のギアシフトフィンガの一部分は、この一部分が第1のナットに対して回転することができるように第1のナットに結合されており、第2のギアシフトフィンガの一部分は、この一部分が第2のナットに対して回転することができるように第2のナットに結合されている。
【0067】
一例では、第1のギアシフトフィンガの一部分は、この一部分が第1のナットに対して並進することができるように第1のナットに結合されている。第2のギアシフトフィンガの一部分は、この一部分が第2のナットに対して並進することができるように第2のナットに結合されている。
【0068】
一例では、第1の作動要素は電気モータであり、第2の作動要素は電気モータである。
【0069】
アクチュエータ装置の上述の説明から、変速機がそのようなアクチュエータ装置を含み得ることは明らかであり、この変速機の一例は
図2に示されている。
【0070】
したがって、詳細な実施形態では、第1の電気モータ60がアクチュエータ装置10の一方の端部に設けられており、第1のボールねじスピンドルまたはシャフト20を回転させることができる。第2の電気モータ70がアクチュエータ装置の反対側の端部に設けられており、第2のボールねじスピンドルまたはシャフト30を回転させることができる。2つのギアシフトフィンガ40および50は、これら2つのボールねじスピンドルと関連している。第1のボールねじスピンドルナット110が第1のボールねじスピンドルの周りに配置されており、第1のギアシフトフィンガの端部は、第1のモータによる第1のボールねじスピンドルの回転が第1のボールねじスピンドルのシャフトに沿ったナットの並進をもたらすように、ナットの周りに配置されている。同じことが、第2のギアシフトフィンガおよび第2のボールねじスピンドルに適用される。第2のボールねじスピンドルも第2のボールねじスピンドルナットを有しており、この第2のボールねじスピンドルナットの周りに第2のギアシフトフィンガの端部が配置されている。2つのギアシフトフィンガは、共通のシャフト80上でそれらの長さに沿った位置において回転可能に取り付けられている。すなわち、ボールねじスピンドルの回転は、関連するボールねじスピンドルナットの、シャフトに沿った動きを生じさせ、同様に、同じ方向での、ギアシフトフィンガの上部の動きを生じさせる。ギアシフトフィンガ全体が共通のシャフトを中心として回転し、次いで、ギアシフトフィンガの底部が上部とは反対方向に動く。これらの並進運動および回転運動の全てが監視可能であり、1つの動きを監視するだけで、正しい、歯車の噛み合いおよび噛み合い解除を保証するためにギアシフトフィンガの正確な位置を決定することができる。しかし、2つ以上の異なる動きを監視することによって、より高い精度が得られ、センサが故障した場合の冗長性が得られる。アクチュエータはトランスミッションハウジング上に組み立てられており、2つのギアシフトフィンガはシフトレーンの方へ向いている。歯車の噛み合いまたは噛み合い解除が行われるべき場合、電気モータの回転はボールねじスピンドルであり、これによって、ナットの直線運動が生じる。なぜなら、ナットは回転できないからである。ギアシフトフィンガは、上述したように動き、シフトレーンへと動き、歯車の噛み合いまたは噛み合い解除が行われる。各電気モータが、アクチュエータアセンブリの反対側の端部に取り付けられていることによって、これは、ボールねじスピンドルまたはシャフト20、30を互いに近くに配置することができることを意味する。このようにして、アクチュエータ装置の横方向の寸法を最小に維持することができ、これによって、たとえば車両におけるこのような変速機ファインディングユーティリティのために必要なスペースが節約される。
【0071】
本発明の実施形態が種々の対象に即して説明されたことに留意されるべきである。特に、幾つかの実施形態は方法の形式の請求項に即して説明され、他の実施形態は装置の形式の請求項に即して説明されている。ただし、当業者であれば、上記および下記の説明から、別様の注記がないかぎり、1つのタイプの対象に属する特徴の任意の組み合わせに加えて、異なる対象に関する特徴間の任意の組み合わせも本願に開示されているとみなされることを理解するであろう。なお、全ての特徴を組み合わせることで、特徴の単純な加算を上回る相乗効果が得られる。
【0072】
本発明を図面および上記の説明において詳細に図示および説明したが、このような図示および説明は、例証または例示のためのものであって限定のためのものではないとみなされるべきである。本発明は、開示された実施形態に限定されない。当業者であれば、開示した実施形態の他の変形形態を、図面、開示および各従属請求項の理解から、請求項に係る発明の実施において、理解し、実行することができる。
【0073】
特許請求の範囲において、「含んでいる(comprising)」なる語は他の要素またはステップを排除するものではなく、不定冠詞「a」または「an」は複数を排除するものではない。単一のプロセッサまたは他のユニットが、特許請求の範囲に列挙した幾つかの項目の機能を満たすことができる。特定の手段が相互に異なる従属請求項に列挙されているという単なる事実は、これらの手段の組み合わせを有利に使用することができないということを示すものではない。特許請求の範囲におけるいずれの参照符号も、発明範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【符号の説明】
【0074】
10 アクチュエータ装置
20 第1の伝達要素/シャフトまたは第1のボールねじスピンドル
30 第2の伝達要素/シャフトまたは第2のボールねじスピンドル
40 第1のギアシフトフィンガ
50 第2のギアシフトフィンガ
60 第1のモータ(電気)
70 第2のモータ(電気)
80 共通のシャフト
90 第1の角度センサ
100 第2の角度センサ
102 第1の位置センサ
104 第2の位置センサ
106 第1のシャフト回転角度センサ
108 第2のシャフト回転角度センサ
110 第1のナットまたは第1のボールねじスピンドルナット
120 第2のナットまたは第2のボールねじスピンドルナット
200 変速機