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特許7453371多車両協調軌跡計画方法、装置、システム、機器、記憶媒体及びコンピュータプログラム製品
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-11
(45)【発行日】2024-03-19
(54)【発明の名称】多車両協調軌跡計画方法、装置、システム、機器、記憶媒体及びコンピュータプログラム製品
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/16 20060101AFI20240312BHJP
   G08G 1/09 20060101ALI20240312BHJP
   G06Q 10/04 20230101ALI20240312BHJP
【FI】
G08G1/16 C
G08G1/09 V
G06Q10/04
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2022531027
(86)(22)【出願日】2020-12-30
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-30
(86)【国際出願番号】 CN2020141598
(87)【国際公開番号】W WO2021136424
(87)【国際公開日】2021-07-08
【審査請求日】2022-05-26
(31)【優先権主張番号】202010001027.8
(32)【優先日】2020-01-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】520208203
【氏名又は名称】ベイジン・ジンドン・チアンシ・テクノロジー・カンパニー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110003971
【氏名又は名称】弁理士法人葛和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リ,バイ
【審査官】佐々木 佳祐
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/152014(WO,A1)
【文献】特開2017-197150(JP,A)
【文献】特開2014-185942(JP,A)
【文献】特開2019-045426(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00-99/00
G06Q 10/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
多車両協調軌跡計画装置が実行する、多車両協調軌跡計画方法であって、
前記多車両に対して、所定数量の異なる多車両優先度方案を決定することであって、各前記多車両優先度方案は、いずれも、前記多車両のうちの全ての車両の道譲り優先度順序を含み、前記所定数量が1以上であることと、
逐次計画ポリシーを用いて、各前記多車両優先度方案に対して、対応する協調計画方案を決定することと、
各前記協調計画方案に対して品質評価を行い、品質評価結果を得ることと、
前記品質評価結果に基づいて、前記所定数量の協調計画方案から、目標協調計画方案を決定することと、を含む、多車両協調軌跡計画方法。
【請求項2】
前記方法は、
前記多車両のうちの各車両から送信された現在所在位置情報と環境感知情報を受信することと、
前記目標協調計画方案に基づいて、各前記車両に対して目標軌跡を決定することと、
各前記目標軌跡を対応する車両に配信することと、を更に含むことを特徴とする
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記多車両に対して、所定数量の異なる多車両優先度方案を決定することは、
前記所定数量のスレッドを並列起動することと、
前記所定数量のスレッドのうちの各前記スレッドにより、ランダム方式で、前記多車両に対して1つの車両優先度方案を決定することと、を含むことを特徴とする
請求項1に記載の方法。
【請求項4】
逐次計画ポリシーを用いて、各前記多車両優先度方案に対して、対応する協調計画方案を決定することは、
各前記多車両優先度方案に対して、前記多車両優先度方案における各車両の道譲り優先度順序に基づいて、各前記車両に対して軌跡計画を逐一に行い、前記対応する協調計画方案を得ることを含むことを特徴とする
請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記多車両優先度方案における各車両の道譲り優先度順序に基づいて、各前記車両に対して軌跡計画を逐一に行い、前記対応する協調計画方案を得ることは、
前記多車両優先度方案に基づいて、前記多車両から、計画対象車両を決定することと、
現在環境における障害物の位置に基づいて、前記計画対象車両に対して走行軌跡を決定することと、
前記走行軌跡を計画済み軌跡集合に追加することと、
前記計画対象車両が最後の車両である場合、前記計画済み軌跡集合内の全ての軌跡を前記多車両優先度方案に対応する協調計画方案とすることと、を含むことを含むことを特徴とする
請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記多車両優先度方案における各車両の道譲り優先度順序に基づいて、各前記車両に対して軌跡計画を逐一に行い、前記対応する協調計画方案を得ることは、
前記計画対象車両が最後の車両ではない場合、前記走行軌跡で走行する車両を障害物として前記現在環境に更新することと、
前記多車両優先度方案に基づいて、前記計画対象車両の次の車両を新たな計画対象車両とすることと、
更新された現在環境における障害物の位置に基づいて、前記新たな計画対象車両に対して走行軌跡を決定することと、
前記走行軌跡を計画済み軌跡集合に追加することと、を更に含むことを特徴とする
請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記走行軌跡は、走行径路と、前記走行径路に沿って走行する時の適合速度と、を含み、前記現在環境における障害物は、静止障害物と、動的障害物と、を含み、
現在環境における障害物の位置に基づいて、前記計画対象車両に対して走行軌跡を決定することは、
前記静止障害物の位置に基づいて、ハイブリッドA*アルゴリズムを用いて径路計画を行い、前記計画対象車両の走行径路を得ることと、
前記走行径路及び前記動的障害物の移動軌跡に基づいて、前記動的障害物に対応するS-T散布図を決定することと、
前記S-T散布図に基づいて、A*アルゴリズムを用いて、前記計画対象車両が前記走行径路に沿って走行する時の適合速度を決定することと、を含むことを特徴とする
請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記品質評価結果は、各前記協調計画方案の総里程長を含み、各前記協調計画方案に対して品質評価を行い、品質評価結果を得ることは、
各前記協調計画方案における各車両の径路長を決定することと、
各前記協調計画方案に対して、前記協調計画方案における各車両の径路長を累加し、前記協調計画方案の総里程長を得ることと、を含み、
これに対応して、前記品質評価結果に基づいて、前記所定数量の協調計画方案から、目標協調計画方案を決定することは、
各前記協調計画方案の総里程長に基づいて、前記所定数量の協調計画方案のうち、総里程長が条件を満たす協調計画方案を目標協調計画方案として決定することを含むことを特徴とする
請求項1から7のうちいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
多車両協調軌跡計画装置であって、
前記多車両に対して、所定数量の異なる多車両優先度方案を決定するように構成される第1決定モジュールであって、各前記多車両優先度方案は、いずれも、前記多車両のうちの全ての車両の道譲り優先度順序を含み、前記所定数量が1以上である第1決定モジュールと、
逐次計画ポリシーを用いて、各前記多車両優先度方案に対して、対応する協調計画方案を決定するように構成される第2決定モジュールと、
各前記協調計画方案に対して品質評価を行い、品質評価結果を得るように構成される評価モジュールと、
前記品質評価結果に基づいて、前記所定数量の協調計画方案から、目標協調計画方案を決定するように構成される第3決定モジュールと、を備える、多車両協調軌跡計画装置。
【請求項10】
前記装置は、
前記多車両のうちの各車両から送信された現在所在位置情報と環境感知情報を受信するように構成される受信モジュールと、
前記目標協調計画方案に基づいて、各前記車両に対して目標軌跡を決定するように構成される第4決定モジュールと、
各前記目標軌跡を対応する車両に配信するように構成される送信モジュールと、を更に備えることを特徴とする
請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記第1決定モジュールは更に、前記所定数量のスレッドを並列起動し、前記所定数量のスレッドのうちの各前記スレッドにより、ランダム方式で、前記多車両に対して1つの車両優先度方案を決定するように構成されることを特徴とする
請求項9に記載の装置。
【請求項12】
前記第2決定モジュールは更に、各前記多車両優先度方案に対して、前記多車両優先度方案における各車両の道譲り優先度順序に基づいて、各前記車両に対して軌跡計画を逐一に行い、前記対応する協調計画方案を得るように構成されることを特徴とする
請求項9に記載の装置。
【請求項13】
前記第2決定モジュールは更に、前記多車両優先度方案に基づいて、前記多車両から、計画対象車両を決定し、現在環境における障害物の位置に基づいて、前記計画対象車両に対して走行軌跡を決定し、前記走行軌跡を計画済み軌跡集合に追加し、前記計画対象車両が最後の車両である場合、前記計画済み軌跡集合内の全ての軌跡を前記多車両優先度方案に対応する協調計画方案とするように構成されることを特徴とする
請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記第2決定モジュールは更に、前記計画対象車両が最後の車両ではない場合、前記走行軌跡で走行する車両を障害物として前記現在環境に更新し、前記多車両優先度方案に基づいて、前記計画対象車両の次の車両を新たな計画対象車両とし、更新された現在環境における障害物の位置に基づいて、前記新たな計画対象車両に対して走行軌跡を決定し、前記走行軌跡を計画済み軌跡集合に追加するように構成されることを特徴とする
請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記走行軌跡は、走行径路と、前記走行径路に沿って走行する時の適合速度と、を含み、現在環境における障害物は、静止障害物と、動的障害物と、を含み、
これに対応して、前記第2決定モジュールは更に、前記静止障害物の位置に基づいて、ハイブリッドA*アルゴリズムを用いて径路計画を行い、前記計画対象車両の走行径路を得て、前記走行径路及び前記動的障害物の移動軌跡に基づいて、前記動的障害物に対応するS-T散布図を決定し、前記S-T散布図に基づいて、A*アルゴリズムを用いて、前記計画対象車両が前記走行径路に沿って走行する時の適合速度を決定するように構成されることを特徴とする
請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記品質評価結果は、各前記協調計画方案の総里程長を含み、前記評価モジュールは更に、各前記協調計画方案における各車両の径路長を決定し、各前記協調計画方案に対して、前記協調計画方案における各車両の径路長を累加し、前記協調計画方案の総里程長を得るように構成され、これに対応して、第3決定モジュールは更に、各前記協調計画方案の総里程長に基づいて、前記所定数量の協調計画方案のうち、総里程長が条件を満たす協調計画方案を目標協調計画方案として決定するように構成されることを特徴とする
請求項9から15のうちいずれか一項に記載の装置。
【請求項17】
多車両協調軌跡計画システムであって、集中式プラットフォームと、少なくとも2台の車両と、を含み、ここで、
前記集中式プラットフォームは、請求項1から8のうちいずれか一項に記載の方法によって目標協調計画方案を生成し、前記目標協調計画方案を各車両に配信するように構成され、
前記少なくとも2台の車両のうちの各車両は、前記集中式プラットフォームから配信された目標協調計画方案を受信し、前記目標協調計画方案における前記車両の目標軌跡を取得し、前記目標軌跡に従って走行するように構成されることを特徴とする、多車両協調軌跡計画システム。
【請求項18】
コンピュータ機器であって、前記コンピュータ機器は、メモリと、プロセッサと、を備え、前記メモリにプロセッサで実行できるコンピュータプログラムが記憶されており、前記プロセッサは、前記コンピュータプログラムを実行する時、請求項1から8のうちいずれか一項に記載の方法を実現する、コンピュータ機器。
【請求項19】
コンピュータ可読記憶媒体であって、前記コンピュータプログラムにコンピュータプログラムが記憶されており、該コンピュータプログラムは、プロセッサによって実行される時、請求項1から8のうちいずれか一項に記載の方法を実現する、コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項20】
コンピュータプログラム製品であって、前記コンピュータプログラム製品は、コンピュータプログラムを記憶した非一時的コンピュータ可読記憶媒体を含み、前記コンピュータプログラムは、コンピュータによって読み取られて実行される時、請求項1から8のうちいずれか一項に記載の方法を実現する、コンピュータプログラム製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2020年01月02日に提出された、出願番号が202010001027.8である中国特許出願に基づく優先権を主張し、該中国特許出願の全内容が参照として本願に組み込まれる。
本願は、自動運転分野に関するが、これに限定されず、特に多車両協調軌跡計画方法、装置、システム、機器、記憶媒体及びコンピュータプログラム製品に関する。
【背景技術】
【0002】
自動運転技術の発展に伴い、多車両協調軌跡計画は、将来で重要な役割を果たす。自動運転自動車の主な応用シーン、例えば、多車両協調車線の切り替え、車両行列の再構成などのシーンにおいて、多車両協調軌跡計画により、空間、時間を節約し、実際の応用効率を向上させることができる。関連技術において、多車両協調軌跡計画方法は、求解の品質が低く、求解の速度が遅いという問題が存在するため、自動運転分野の実際需要に十分に合致するものではない。従って、協調軌跡計画の求解の品質及び求解の速度を如何に向上させるかは、当業者が早急に解決すべき課題である。
【発明の概要】
【0003】
これに鑑み、本願の実施例は、多車両協調軌跡計画方法、装置、システム、機器、記憶媒体及びコンピュータプログラム製品を提供する。
本願の実施例の技術的解決手段は、以下のように実現する。
本願の実施例は、多車両協調軌跡計画方法を提供する。前記方法は、
前記多車両に対して、所定数量の異なる多車両優先度方案を決定することと、
逐次計画ポリシーを用いて、各前記多車両優先度方案に対して、対応する協調計画方案を決定することと、
各前記協調計画方案に対して品質評価を行い、品質評価結果を得ることと、
前記品質評価結果に基づいて、前記所定数量の協調計画方案から、目標協調計画方案を決定することと、を含む。
いくつかの実施例において、前記方法は、前記多車両のうちの各車両から送信された現在所在位置情報と環境感知情報を受信することと、前記目標協調計画方案に基づいて、各前記車両に対して目標軌跡を決定することと、各前記目標軌跡を対応する車両に配信することと、を更に含む。
【0004】
いくつかの実施例において、前記多車両に対して、所定数量の異なる多車両優先度方案を決定することは、前記所定数量のスレッドを並列起動することと、前記所定数量のスレッドのうちの各前記スレッドにより、ランダム方式で、前記多車両に対して1つの車両優先度方案を決定することと、を含む。
いくつかの実施例において、逐次計画ポリシーを用いて、各前記多車両優先度方案に対して、対応する協調計画方案を決定することは、各前記多車両優先度方案に対して、前記多車両優先度方案における各車両の道譲り優先度順序に基づいて、各前記車両に対して軌跡計画を逐一に行い、前記対応する協調計画方案を得ることを含む。
いくつかの実施例において、前記多車両優先度方案における各車両の道譲り優先度順序に基づいて、各前記車両に対して軌跡計画を逐一に行い、前記対応する協調計画方案を得ることは、前記多車両優先度方案に基づいて、前記多車両から、計画対象車両を決定することと、現在環境における障害物の位置に基づいて、前記計画対象車両に対して走行軌跡を決定することと、前記走行軌跡を計画済み軌跡集合に追加することと、前記計画対象車両が最後の車両である場合、前記計画済み軌跡集合内の全ての軌跡を前記多車両優先度方案に対応する協調計画方案とすることと、を含む。
【0005】
いくつかの実施例において、前記多車両優先度方案における各車両の道譲り優先度順序に基づいて、各前記車両に対して軌跡計画を逐一に行い、前記対応する協調計画方案を得ることは、前記計画対象車両が最後の車両ではない場合、前記走行軌跡で走行する車両を障害物として前記現在環境に更新することと、前記多車両優先度方案に基づいて、前記計画対象車両の次の車両を新たな計画対象車両とすることと、更新された現在環境における障害物の位置に基づいて、前記新たな計画対象車両に対して走行軌跡を決定することと、前記走行軌跡を計画済み軌跡集合に追加することと、を更に含む。
いくつかの実施例において、前記走行軌跡は、走行径路と、前記走行径路に沿って走行する時の適合速度と、を含み、前記現在環境における障害物は、静止障害物と、動的障害物と、を含み、現在環境における障害物の位置に基づいて、前記計画対象車両に対して走行軌跡を決定することは、前記静止障害物の位置に基づいて、ハイブリッドA*アルゴリズムを用いて径路計画を行い、前記計画対象車両の走行径路を得ることと、前記走行径路及び前記動的障害物の移動軌跡に基づいて、前記動的障害物に対応する位置-時間(Space-Time:S-T)散布図を決定することと、前記S-T散布図に基づいて、A*アルゴリズムを用いて、前記計画対象車両が前記走行径路に沿って走行する時の適合速度を決定することと、を含む。
【0006】
いくつかの実施例において、前記品質評価結果は、各前記協調計画方案の総里程長を含み、各前記協調計画方案に対して品質評価を行い、品質評価結果を得ることは、各前記協調計画方案における各車両の径路長を決定することと、各前記協調計画方案に対して、前記協調計画方案における各車両の径路長を累加し、前記協調計画方案の総里程長を得ることと、を含み、これに対応して、前記品質評価結果に基づいて、前記所定数量の協調計画方案から、目標協調計画方案を決定することは、各前記協調計画方案の総里程長に基づいて、前記所定数量の協調計画方案のうち、総里程長が条件を満たす協調計画方案を目標協調計画方案として決定することを含む。
本願の実施例は、多車両協調軌跡計画装置を提供する。前記装置は、
前記多車両に対して、所定数量の異なる多車両優先度方案を決定するように構成される第1決定モジュールと、
逐次計画ポリシーを用いて、各前記多車両優先度方案に対して、対応する協調計画方案を決定するように構成される第2決定モジュールと、
各前記協調計画方案に対して品質評価を行い、品質評価結果を得るように構成される評価モジュールと、
前記品質評価結果に基づいて、前記所定数量の協調計画方案から、目標協調計画方案を決定するように構成される第3決定モジュールと、を備える。
【0007】
本願の実施例は、多車両協調軌跡計画システムを提供する。前記システムは、集中式プラットフォームと、少なくとも2台の車両と、を含み、前記集中式プラットフォームは、上記方法によって目標協調計画方案を生成し、前記目標協調計画方案を各車両に配信するように構成され、前記少なくとも2台の車両のうちの各車両は、前記集中式プラットフォームから配信された目標協調計画方案を受信し、前記目標協調計画方案における前記車両の目標軌跡を取得し、前記目標軌跡に従って走行するように構成されることを特徴とする。
本願の実施例は、コンピュータ機器を提供する。前記コンピュータ機器は、メモリと、プロセッサと、を備え、前記メモリにプロセッサで実行できるコンピュータプログラムが記憶されており、前記プロセッサは、前記コンピュータプログラムを実行する時、上記方法を実現することを特徴とする。
本願の実施例は、コンピュータ可読記憶媒体を提供する。前記コンピュータプログラムにコンピュータプログラムが記憶されており、該コンピュータプログラムは、プロセッサによって実行される時、上記方法を実現する。 本願の実施例は、コンピュータプログラム製品を提供する。前記コンピュータプログラム製品は、コンピュータプログラムを記憶した非一時的コンピュータ可読記憶媒体を含み、前記コンピュータプログラムは、コンピュータによって読み取られて実行される時、上記方法を実現する。
【発明の効果】
【0008】
本願の実施例において、多種の車両優先度方案に対して、それぞれ逐次計画ポリシーを用いて、対応する複数の協調計画方案を決定し、各方案に対して品質評価を行うことで、多種の方案のうちの最適なものを最終的な協調計画方案として得る。このように、協調軌跡計画の品質を向上させることができる。なお、車両優先度方案の数は、実際の状況に応じて設定されてもよく、優先度順序の集合全体に対して求解する必要がなく、演算量を低減させ、軌跡計画効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本願の実施例による多車両協調軌跡計画方法のフローチャートである。
図2】本願の実施例による多車両協調軌跡計画方法のフローチャートである。
図3】本願の実施例による多車両協調軌跡計画方法のフローチャートである。
図4A】本願の実施例による多車両協調軌跡計画方法のフローチャートである。
図4B】本願の実施例による単一の多車両優先度方案に対する多車両協調軌跡計画方法のフローチャートである。
図4C】本願の実施例による単一の車両に対する軌跡計画方法のフローチャートである。
図4D】S-T散布図を用いて移動障害物の軌跡を反映する概略図である。
図5A】本願の実施例による多車両協調軌跡計画方法のフローチャートである。
図5B】本願の実施例による多車両協調軌跡計画方法のフローチャートである。
図6】本願の実施例による多車両協調軌跡計画装置の構造の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本願の目的、技術的解決手段及び利点をより明確にするために、以下、図面と実施例を参照しながら、本願の技術的解決手段を更に詳しく説明する。記述される実施例は、本願を限定するものと見なされるべきではなく、当業者によって創造的な労力なしに得られた全ての他の実施例は、いずれも本願の保護範囲に含まれる。
下記記述において、「いくつかの実施例」に係る。これは、全ての可能な実施例のサブ集合を記述する。「いくつかの実施例」は、全ての可能な実施例の同一のサブ集合又は異なるサブ集合であってもよく、また、矛盾しない限り、互いに組み合わせられてもよいと理解されるべきである。
明細書に「第1/第2」と類似した記述があれば、以下のように説明する。下記記述に係る用語「第1/第2/第3」は、類似した対象を区別するためのものであり、対象の特定の順番を説明するためのものではないことに留意されたい。ここで説明した本願の実施例をここで図示した又は説明した順番以外の順番で実施可能なものにするために、「第1/第2/第3」は、許された場合であれば特定の順番又は前後順序を互いに取り替えることができることは、理解されるべきである。
【0011】
別途定義しない限り、本明細書に用いられる全ての技術的用語及び科学的用語は、本願の実施例が属する分野における当業者が一般的に理解する意味と同じである。本明細書に用いられる用語は、本願の実施例の目的を記述するためのものだけであり、本願を限定するものではない。
本願の実施例は、多車両協調軌跡計画方法を提供する。該方法は、2台以上の無人車に対して、同じ時間、空間領域内に、各車両の走行軌跡を決定し、軌跡が車両の運動学的規律に符合し、軌跡が環境における障害物に衝突することがなく、各車両間が衝突することがないことを確保する。図1は、該方法のフローチャートである。該方法は、プロセッサにより実行されてもよい。図1に示すように、該方法は、以下を含む。
ステップS101において、前記多車両に対して、所定数量の異なる多車両優先度方案を決定する。
ここで、多車両優先度方案は、多車両のうちの各車両に対して軌跡計画を行う優先度順序に関するものであり、各車両間の道譲りの優先度を表す。プロセッサは、一定の優先度決定ポリシーに従って、1組の多車両優先度方案を決定することができる。所定数量は、ユーザによって実際の必要に応じて予め設定されて、ローカルメモリに記憶された1つの数値であってもよく、プロセッサによって設定されたデフォルト数値であってもよい。該所定数量に基づいて、プロセッサは、該当する数の複数組の多車両優先度順序を決定することができる。
【0012】
実施時、プロセッサは、所定数量の異なる優先度方案を決定する。同じ優先度決定ポリシーを用いて所定数量の車両優先度順序を一括して設定してもよく、異なる優先度決定ポリシーに従って各組の車両優先度順序を決定してもよい。いくつかの実施例において、ランダム方式で、各車両の優先度順序を決定してもよい。例えば、計Nv台の車があり、Nvが1よりも大きい整数であり、{1,……,Nv}をランダムに順序付けるとすれば、1組の車両優先度順序を決定することができる。いくつかの実施例において、車両タイプに従って、各車両の優先度順序を決定してもよい。例えば、小型車両の優先度が中型車両よりも高く、中型車両の優先度が大型車両よりも高い。
ステップS102において、逐次計画ポリシーを用いて、各前記多車両優先度方案に対して、対応する協調計画方案を決定する。
ここで、逐次計画ポリシーを用いて多車両協調計画方案を決定する方法は、各車両に対して軌跡計画を逐一行うことである。まず、1台目の車両の軌跡を計画し、この場合、他の車両を無視し、環境における動的障害物(通行者、ペットなど)及び静止障害物(ボラード、縁石など)をのみ考慮する。続いて、2台目の車両の軌跡を計画する時、上記動的障害物と静止障害物を考慮するだけでなく、1台目の車両の軌跡も考慮する。このように反復し、全ての車両の最後の車両の軌跡を決定するまで継続する。上述したそれぞれ計画された各車両軌跡は、協調軌跡と総称され、協調計画方案(即ち、1組の多車両協調走行軌跡)を構成し、各車両が一定の優先度順序に従って道を譲り合い、協調走行タスクを共同で遂行する能力を表す。
【0013】
実施時、各前記多車両優先度方案に対して、対応する協調計画方案を決定する時、直列方式で計算を行ってもよく、即ち、各優先度方案に対して、対応する協調計画方案を順に決定する。いくつかの実施例において、並列方式で処理を行ってもよく、即ち、各優先度方案に対して、対応する協調計画方案を並列決定する。
ステップS103において、各前記協調計画方案に対して品質評価を行い、品質評価結果を得る。
ここで、プロセッサは、各協調計画方案に対してそれぞれ品質評価を行い、実施時、実際の必要に応じて、協調計画方案の1つ又は複数の指標を品質評価指標として選択し、品質評価を行ってもよい。1組の多車両協調走行軌跡において、各軌跡は、対応する径路長を有するため、いくつかの実施例において、全ての車両の径路長を累加し、協調軌跡の総里程長を得る。総里程長によって、協調計画方案の品質を反映することができる。日常生活では、人々は、迂回のない軌跡を選択することが多いため、総里程長が短いほど、協調計画方案の品質が高くなると認められてもよい。
【0014】
いくつかの実施例において、全ての車両の走行時間を累加し、累加した総走行時間長によって、協調計画方案の品質を反映してもよい。そして、総走行時間長が短いほど、協調計画方案の品質が高くなると認められてもよい。
実施時、品質評価指標は、全ての車両が通過する信号灯の総数、全ての車両が迂回する障害物の総数、全ての車両の走行にかかる総費用などのうちの1つ又は複数を更に含んでもよいが、それらに限らない。当業者は、実際のシーンに応じて、適切な多車両協調計画方案品質評価方法を選択してもよい。本実施例は、これを限定しない。
ステップS104において、前記品質評価結果に基づいて、前記所定数量の協調計画方案から、目標協調計画方案を決定する。
ここで、プロセッサは、所定数量の協調計画方案の品質評価結果に基づいて、品質が最適である方案を最終的に決定された目標協調計画方案として選択する。いくつかの実施例において、品質が最適である方案は、総里程長が最も短い方案であってもよく、総走行時間長が最も短い方案であってもよく、通過する信号灯の総数、迂回する障害物の総数、走行にかかる総費用が最も少ない方案であってもよい。当業者は、品質評価結果に基づいて合理的に選択してもよい。本実施例は、これを限定しない。
【0015】
本願の実施例による多車両協調軌跡計画方法は、多種の車両優先度方案に対して、それぞれ逐次計画ポリシーを用いて、対応する複数の協調計画方案を決定し、各方案に対して品質評価を行うことで、多種の方案のうちの最適なものを最終的な協調計画方案として得る。このように、協調軌跡計画の品質を向上させることができる。なお、車両優先度方案の数は、実際の状況に応じて設定されてもよく、優先度順序の集合全体に対して求解する必要がなく、演算量を低減させ、軌跡計画効率を向上させることができる。
本願の実施例は、多車両協調軌跡計画方法を提供する。図2は、該方法のフローチャートである。該方法は、プロセッサにより実行される。図2に示すように、該方法は、以下を含む。
【0016】
ステップS201において、前記多車両のうちの各車両から送信された現在所在位置情報と環境感知情報を受信する。
ステップS202において、前記多車両に対して、所定数量の異なる多車両優先度方案を決定する。
ステップS203において、逐次計画ポリシーを用いて、各前記多車両優先度方案に対して、対応する協調計画方案を決定する。
ステップS204において、各前記協調計画方案に対して品質評価を行い、品質評価結果を得る。
ステップS205において、前記品質評価結果に基づいて、前記所定数量の協調計画方案から、目標協調計画方案を決定する。
ステップS206において、前記目標協調計画方案に基づいて、各前記車両に対して目標軌跡を決定する。
ステップS207において、各前記目標軌跡を対応する車両に配信する。
実施時、プロセッサと前記多車両のうちの各車両との通信方式は、衛星無線通信、セルラモバイル通信などの無線通信方式のうちの1つ又は複数を含んでもよい。
【0017】
前記多車両のうちの各車両は、衛星測位技術、高精度地図技術などの測位技術のうちの1つ又は複数により、車両の現在所在位置情報を得ることができる。車両自体の周囲環境の感知情報は、車両にセンサを取り付けることで得られてもよい。センサは、速度センサ、加速度センサ、角速度センサ、レーザーレーダー、カメラ、慣性センサなどのうちの1つ又は複数を含んでもよいが、それらに限らない。
本願の実施例による多車両協調軌跡計画方法は、多種の車両優先度方案に対して、それぞれ逐次計画ポリシーを用いて、対応する複数の協調計画方案を決定し、各方案に対して品質評価を行うことで、多種の方案のうちの最適なものを最終的な協調計画方案として得る。このように、協調軌跡計画の品質を向上させることができる。なお、車両優先度方案の数は、実際の状況に応じて設定されてもよく、優先度順序の集合全体に対して求解する必要がなく、演算量を低減させ、軌跡計画効率を向上させることができる。
【0018】
本願の実施例は、多車両協調軌跡計画方法を提供する。図3は、該方法のフローチャートである。該方法は、プロセッサにより実行される。図3に示すように、該方法は、以下を含む。
ステップS301において、前記所定数量のスレッドを並列起動する。
ステップS302において、前記所定数量のスレッドのうちの各前記スレッドにより、ランダム方式で、前記多車両に対して1つの車両優先度方案を決定する。
ここで、ランダム方式で各車両の優先度順序を決定する。実施時、計Nv台の車両があるとする。いくつかの実施例において、{1,……,Nv}をランダムに順序付けることで、1組の車両優先度方案を決定することができる。
これに対応して、所定数量のスレッドにより、所定数量の車両優先度方案を決定する。実施時、所定数量がNであり、Nが1よりも大きい整数であるとする。いくつかの実施例において、以下のダミーコードに示される方法に従って、N個の子スレッドを並列起動し、N組の車両優先度方案を一括して決定することができる。
【0019】
入力:決定されるべき方案の種類の数N。
出力:N個の優先度方案が記憶されていない集合Γ。
1.初期化Γ=φ,i=0。
2.While i<Nthread,do
3.ランダム方式を用いて1つの優先度方案queueを決定する;
4. If queueとΓにおける任意の要素と同じである場合、then
5. Continue;
6. Else
7. i←i+1;
8. queueをΓに保存する;
9. End if
10.End while
11.Γを出力する;
12.戻る。
【0020】
ここで、循環体部分のダミーコードは、同時にN個のスレッドによりそれぞれ一回実行されてもよい。上記ダミーコードに示される方法により、入力された、決定されるべき方案の種類の数Nに基づいて、N種の優先度方案が記憶されている集合Γを出力することができる。
ステップS303において、逐次計画ポリシーを用いて、各前記多車両優先度方案に対して、対応する協調計画方案を決定する。
ステップS304において、各前記協調計画方案に対して品質評価を行い、品質評価結果を得る。
ステップS305において、前記品質評価結果に基づいて、前記所定数量の協調計画方案から、目標協調計画方案を決定する。
本願の実施例による多車両協調軌跡計画方法は、多種の車両優先度方案に対して、それぞれ逐次計画ポリシーを用いて、対応する複数の協調計画方案を決定し、各方案に対して品質評価を行うことで、多種の方案のうちの最適なものを最終的な協調計画方案として得る。このように、協調軌跡計画の品質を向上させることができる。なお、車両優先度方案の数は、実際の状況に応じて設定されてもよく、優先度順序の集合全体に対して求解する必要がなく、演算量を低減させ、軌跡計画効率を向上させることができる。
本願の実施例による多車両協調軌跡計画方法を提供する。図4Aは、該方法のフローチャートである。該方法は、プロセッサにより実行される。図4Aに示すように、該方法は、以下を含む。
【0021】
ステップS401において、前記多車両に対して、所定数量の異なる多車両優先度方案を決定する。
ステップS402において、各前記多車両優先度方案に対して、前記多車両優先度方案における各車両の道譲り優先度順序に基づいて、各前記車両に対して軌跡計画を逐一に行い、前記対応する協調計画方案を得る。
ここで、直列計算方式を用いてもよく、即ち、各多車両優先度方案に対して、対応する協調計画方案を順次決定する。並列計算方式を用いてもよく、即ち、各多車両優先度方案に対して、対応する協調計画方案を並列決定する。いくつかの実施例において、マルチスレッドの方式を用いて、各多車両優先度方案に対する並列処理を実現し、対応する協調計画方案を決定することができる。プロセッサは、N個の独立したスレッドにおいて、各多車両優先度方案における各車両の道譲り優先度順序に基づいて、各前記車両に対して軌跡計画を逐一に行い、前記対応する協調計画方案を得ることができる。
ステップS403において、各前記協調計画方案に対して品質評価を行い、品質評価結果を得る。
ステップS404において、前記品質評価結果に基づいて、前記所定数量の協調計画方案から、目標協調計画方案を決定する。
【0022】
いくつかの実施例において、図4Bに示す方法に従って、前記多車両優先度方案における各車両の道譲り優先度順序に基づいて、各前記車両に対して軌跡計画を逐一に行い、前記対応する協調計画方案を得ることができる。該方法は、以下を含む。
ステップS411において、前記多車両優先度方案に基づいて、前記多車両から、計画対象車両を決定する。
ステップS412において、現在環境における障害物の位置に基づいて、前記計画対象車両に対して走行軌跡を決定する。
ステップS413において、前記走行軌跡を計画済み軌跡集合に追加する。
ステップS414において、前記計画対象車両が最後の車両である場合、前記計画済み軌跡集合内の全ての軌跡を前記多車両優先度方案に対応する協調計画方案とする。
ステップS415において、前記計画対象車両が最後の車両ではない場合、前記走行軌跡で走行する車両を障害物として前記現在環境に更新する。
ステップS416において、前記多車両優先度方案に基づいて、前記計画対象車両の次の車両を新たな計画対象車両とし、ステップS412に戻す。
ここで、上記ステップS411からステップS416を実施する時、下記ダミーコードに示される方法に従って、逐次計画ポリシーを用いて、各前記多車両優先度方案に対して、対応する協調計画方案を決定することができる。
【0023】
入力:シーン環境、逐次計画された優先度方案集合Ψ;
出力:多車両協調移動軌跡sol;
1.環境における既存の静止、動的障害物を統一的にx-y-tフォーマットで集合γに記録する;
2.解集合sol=φで初期化する;
3.For each i∈Ψ
4. 優先度方案集合Ψ内のi番目の要素に対応する無人車Ψに対して軌跡計画を行い、計画された軌跡をxとする;
5. xとΨを関連付けてから、両者を解集合solに記録する;
6. xをγに記録する;
7.End for
8.solを出力する;
9.戻る。
【0024】
上記ダミーコードに示される方法により、ある所定の多車両優先度方案の上で、逐次計画ポリシーに基づいて、各車両の動き軌跡を逐一に決定することによって、協調計画方案を決定することができる。
いくつかの実施例において、上記逐次計画ポリシーの各回の反復において、周囲環境における静止障害物の分布状況及び動的障害物の動き状況を決定した後、各単一の車両に対して軌跡計画を行う時、径路+速度の組み合わせ式計画方法を用いてもよい。該方法は、径路計画環節及び速度計画環節を含み、ここで、径路計画環節は、現在車両の走行径路を決定するためのものであり、速度計画環節は、車両が所定の径路に沿って走行するプロセスにおいてどのような速度でシーンにおける移動障害物に応答するかを決定するためのものである。
いくつかの実施例において、径路計画環節において、径路選択アルゴリズムを用いて、現在車両の走行径路を決定してもよい。ここでの径路選択アルゴリズムは、ハイブリッドA*アルゴリズム、A*アルゴリズム、Dijkstraアルゴリズムのうちのいずれか1つのアルゴリズムを含むが、それらに限らない。実施時、当業者は、実際の状況に応じて、適切な径路選択アルゴリズムを自由に選択してもよい。本実施例は、これを限定しない。
いくつかの実施例において、速度計画環節において、S-T図に基づく速度計画方法を用いてもよい。該方法は、速度計画タスクをS-T図において行われるA*サーチのタスクにする。
実施時、走行軌跡は、走行径路と、前記走行径路に沿って走行する時の適合速度と、を含んでもよく、現在環境における障害物は、静止障害物と、動的障害物と、を含んでもよく、ここで、動的障害物は、優先度が前記計画対象車両よりも高い車両を含む。
【0025】
これに対応して、上記ステップS412は、図4Cに示す方法であってもよい。該方法は、以下を含む。
ステップS421において、前記静止障害物の位置に基づいて、ハイブリッドA*アルゴリズムを用いて径路計画を行い、前記計画対象車両の走行径路を得る。
ここで、環境における静止障害物の位置に基づいて、ハイブリッドA*アルゴリズムを用いて、計画対象車両に対して走行径路を決定することができる。
ステップS422において、前記走行径路及び前記動的障害物の移動軌跡に基づいて、前記動的障害物に対応するS-T散布図を決定する。
ここで、Tを横軸とし、Sを縦軸とする平面直交座標系を構築する必要があり、ここで、Tは、時間を表し、Sは、車両がある所定の径路に沿って走行する時の里程を表す。
【0026】
S-T座標系において、動的障害物を表現するために、車両足跡(footprint)の概念を導入し、車両足跡は、車両が1つの位置方位姿勢[x,y,θ]にある時の車体の地面への投影である。ここで、x,yは、車両の、地面二次元平面における座標を表し、θは、車体の向きである。車両を、所定の径路に沿って開始端(即ち、里程s=oである箇所)から末端(s=sendである箇所)に移動し、微小な里程間隔Δsおきに、車両足跡Ξを決定し、全ての足跡Ξと対応する里程値sを集合Пに記録する。一方では、全ての動的障害物をそれぞれの移動軌跡に沿って開始端(即ち、時刻t=0)から末端(t=tend)に移動し、微小な時間間隔Δtおきに、動的障害物の足跡γを決定し、γが集合Пにおけるいずれか1つの足跡Ξと重畳するかどうかを判断する。重畳する場合、重畳が発生した時刻tと足跡Ξに対応する里程sで形成された座標点(s,t)をS-T座標系にマーキングする。全ての障害物の、各時刻での足跡と集合Пにおける車両足跡に対して逐一にチェックし、幾つかの点を含む散布図を得ることができる。該散布図は、車両が前記走行径路に沿って走行する時、動的障害物との遭遇状況を反映する。図4Dは、S-T散布図を用いて移動障害物軌跡の概略図である。図面において、Δs=0.1m、Δt=0.04sである。
【0027】
ステップS423において、前記S-T散布図に基づいて、A*アルゴリズムを用いて、前記計画対象車両が前記走行径路に沿って走行する時の適合速度を決定する。
ここで、S-T散布図を得た後、速度計画タスクは、「S-T図において、原点(0,0)から直線s=sendまで移動する径路」というタスクとしてもよい。引き続きA*アルゴリズムを用いて求解することができる。具体的には、S-T座標系における[0,tend]×[0,send]領域を格子に従って離散化し、点を含む格子を障害物によって占有される格子とマーキングすることで、格子連通図を構成する。続いて、A*アルゴリズムを用いて、S-Tによる軌跡線を計算し、これは、車両が実際に所定の径路に沿って走行する時の速度状況を表す。
上記方法により、プロセッサは、車両の走行径路に基づいて、車両が該径路に沿って走行するプロセスにおいてどのような速度でシーンにおける移動障害物に応答するかを決定することができ、それにより単一の車両に対する軌跡計画を実現する。
【0028】
説明すべきことは、S-T散布図を利用して移動障害物軌跡を反映すること及びA*アルゴリズムを用いてS-Tによる軌跡線を計算することは、いずれも、本実施例による例示的な実施形態であり、当業者は、実施時、実際の応用シーンに基づいて、適切なアルゴリズムを選択して、速度計画環節を実現してもよい。本願の実施例は、これを限定しない。
本願の実施例において、多種の車両優先度方案に対して、それぞれ逐次計画ポリシーを用いて、対応する複数の協調計画方案を決定し、各方案に対して品質評価を行うことで、多種の方案のうちの最適なものを最終的な協調計画方案として得る。このように、協調軌跡計画の品質を向上させることができる。なお、車両優先度方案の数は、実際の状況に応じて設定されてもよく、優先度順序の集合全体に対して求解する必要がなく、演算量を低減させ、軌跡計画効率を向上させることができる。
【0029】
本願の実施例は、多車両協調軌跡計画方法を提供する。該方法は、2台以上の無人車で構成される車両行列に対して、同じ時間、空間領域内に、各車両の走行軌跡を生成し、軌跡が車両の運動学的規律に符合し、軌跡が環境における障害物に衝突することがなく、各車両間が衝突することがないことを確保する。
本願の実施例による多数無人車協調軌跡計画方法をより良く理解するために、ここで、方法を論理的には、複数のサブモジュールに分けて説明する。該方法に係るサブモジュールは、モジュールA、モジュールB、モジュールC、モジュールD、モジュールE、モジュールZ、及びモジュールYを含み、
モジュールAは、逐次計画ポリシーに基づく多車両協調軌跡計画方法である。
ここで、逐次計画ポリシーに基づく多車両協調軌跡計画方法は、各車両に対して軌跡計画を逐一行うことである。該方法は、まず、1台目の車両の軌跡を計画し、この場合、他の車両を無視し、環境における動的障害物(通行者、ペットなど)及び静止障害物(ボラード、縁石など)をのみ考慮することと、続いて、2台目の車両の軌跡を計画する時、上記動的障害物と静止障害物を考慮するだけでなく、1台目の車両の軌跡も考慮することと、このように反復し、全ての車両のうちの最後の車両の軌跡を決定するまで継続することと、を含む。
上述したそれぞれ計画された各車両軌跡は、協調軌跡と総称され、各車両が一定の優先度順序に従って道譲り合い、協調走行タスクを共同で遂行する能力を表す。
実施時、下記ダミーコードに示される方法を参照して多車両協調走行軌跡を生成してもよい。
【0030】
入力:シーン環境、逐次計画された優先度順序方案集合Ψ;
出力:多車両協調移動軌跡sol;
1.環境における既存の静止、動的障害物を統一的にx-y-tフォーマットで集合γに記録する;
2.解集合sol=φで初期化する;
3.For each i∈Ψ
4. 優先度方案集合Ψ内のi番目の要素に対応する無人車Ψに対して、モジュールZの方法を用いて軌跡計画を行い、計画された軌跡をxとする;
5. xとΨを関連付けてから、両者を解集合solに記録する;
6. xをγに記録する;
7.End for
8.solを出力する;
9.戻る。
【0031】
上記ダミーコードに示される方法により、ある所定の多車両優先度順序方案の上で、逐次計画ポリシーに基づいて、各車両の動き軌跡を逐一に決定することができる。
モジュールBは、車両行列における各車両優先度順序の生成方法である。
ここで、各車両優先度順序は、車両行列において各車両に対して軌跡計画を行う優先度順序であり、プロセッサは、一定の優先度決定ポリシーに従って、1組の車両優先度順序を生成することができる。いくつかの実施例において、ランダム方式で、各車両の優先度順序を生成してもよい。例えば、計Nv台の車があり、{1,……,Nv}をランダムに順序付けるとすれば、1組の車両優先度順序を生成することができる。いくつかの実施例において、車両タイプに従って、各車両の優先度順序を決定してもよい。例えば、小型車両の優先度が中型車両よりも高く、中型車両の優先度が大型車両よりも高い。
モジュールCは、車両の逐次計画された優先度順序方案を一括して生成する方法である。
ここで、プロセッサは、複数組の異なる優先度順序方案を一括して生成する時、同じ優先度決定ポリシーを用いて所定数量に従って複数組の車両優先度順序を生成してもよく、異なる優先度決定ポリシーに従って各組の車両優先度順序を生成してもよい。
いくつかの実施例において、プロセッサは、モジュールBの優先度順序生成方法を用いて各車両の優先度順序を一括して生成する。例えば、下記ダミーコードに示される方法に従って、N組の車両優先度順序を一括して生成してもよい。
【0032】
入力:決定されるべき方案の種類の数N;
出力:N個の優先度方案が記憶されていない集合Γ;
1.初期化Γ=φ,i=0;
2.While i<Nthread,do
3. モジュールBを用いて1つの優先度方案queueを決定する;
4. If queueとΓにおける任意の要素と同じである場合、then
5. Continue;
6. Else
7. i←i+1;
8. queueをΓに保存する;
9. End if
10.End while
11.Γを出力する;
12.戻る。
【0033】
上記ダミーコードに示される方法により、入力された、決定されるべき方案の種類の数Nに基づいて、N種の優先度方案を含む集合Γを出力することができる。
モジュールDは、複数の方案の並列計算の方法である。
ここで、プロセッサは、並列計算の方式で、各車両優先度順序方案に対する処理タスクをそれぞれ処理する。実施時、並列計算は、マルチスレッドの方式で実現してもよい。処理タスクは、各車両優先度順序方案に基づいて、対応する多車両協調走行軌跡を生成することであってもよく、生成された多車両協調走行軌跡に対して品質評価を行うことであってもよい。いくつかの実施例において、異なる優先度順序方案がN個であるとすれば、プロセスは、N個の独立したスレッドにおいて、それぞれ、1つの優先度順序方案に基づいて、モジュールAの方法で、対応する多車両協調走行軌跡を生成し、それを纏めてN組の協調走行軌跡を得て、モジュールEの方法を用いて、各スレッドから最終的に出力された協調軌跡の品質を評価することができる。
【0034】
モジュールEは、協調軌跡計画品質評価方法である。
ここで、プロセッサは、協調軌跡の品質評価指標に基づいて、生成された協調軌跡に対して品質評価を行ってもよい。いくつかの実施例において、1組の多車両協調走行軌跡において、各軌跡は、対応する径路長を有するため、全ての車両の径路長を累加し、協調軌跡の総里程長を得る。総里程長を品質評価指標として協調走行軌跡の品質を評価する。日常生活では、人々は、迂回のない軌跡を選択することが多いため、総里程長が短いほど、協調走行軌跡の品質が高くなると言える。
いくつかの実施例において、全ての車両の走行時間を累加し、総走行時間長を得て、総走行時間長を品質評価指標として協調走行軌跡の品質を評価し、総走行時間長が短いほど、協調走行軌跡の品質が高くなると言える。
実施時、品質評価指標は、全ての車両が通過する信号灯の総数、全ての車両が迂回する障害物の総数、全ての車両の走行にかかる総費用などのうちの1つ又は複数を更に含んでもよいが、それらに限らない。当業者は、実際のシーンに応じて、適切な品質評価指標を選択してもよい。本実施例は、これを限定しない。
【0035】
モジュールZは、単一の車両に対する軌跡計画方法である。
ここで、逐次計画ポリシーの各回の反復において、周囲環境における静止障害物の分布状況及び動的障害物の動き状況を決定した後、プロセッサは、各単一の車両に対して軌跡計画を行う。実施時、径路+速度の組み合わせ式計画方法を用いてもよい。該方法は、径路計画環節及び速度計画環節を含み、ここで、径路計画環節は、現在車両の走行径路を決定するためのものであり、速度計画環節は、車両が所定の径路に沿って走行するプロセスにおいてどのような速度でシーンにおける移動障害物に応答するかを決定するためのものである。
いくつかの実施例において、径路計画環節において、径路選択アルゴリズムを用いて、現在車両の走行径路を決定してもよい。ここの径路選択アルゴリズムは、ハイブリッドA*アルゴリズム、A*アルゴリズム、Dijkstraアルゴリズムのうちのいずれか1つのアルゴリズムを含むが、それらに限らない。実施時、当業者は、実際の状況に応じて、適切な径路選択アルゴリズムを自由に選択してもよい。本実施例は、これを限定しない。
モジュールYは、S-T図及び図のサーチに基づく速度計画方法である。
【0036】
ここで、実施時、速度計画環節において、S-T図に基づく速度計画方法を用いてもよい。該方法は、速度計画タスクをS-T図において行われるA*サーチのタスクにする。該方法の具体的な実現プロセスは以下のとおりである。
まず、Tを横軸とし、Sを縦軸とする平面直交座標系を構築する必要があり、ここで、Tは、時間を表し、Sは、車両がある所定の径路に沿って走行する時の里程を表す。
S-T座標計において、動的障害物を表現するために、車両足跡の概念、即ち、車両が1つの位置方位姿勢[x,y,θ]にある時の車体の地面への投影を導入する。ここで、x,yは、車両の、地面二次元平面における座標を表し、θは、車体の向きである。車両を、所定の径路に沿って開始端(即ち、里程s=0である箇所)から末端(s=sendである箇所)に移動し、微小な里程間隔Δsおきに、車両足跡Ξを生成し、全ての足跡Ξと対応する里程値sを集合Пに記録する。一方では、全ての動的障害物をそれぞれの移動軌跡に従って開始端(即ち、時刻t=0)から末端(t=tend)に移動し、微小な時間間隔Δtおきに、動的障害物の足跡γを生成し、γが集合Пにおけるいずれか1つの足跡Ξと重畳するかどうかを判断する。重畳すると、重畳が発生した時刻tと足跡Ξに対応する里程sで形成された座標点(s,t)をS-T座標系にマーキングする。全ての障害物の、各時刻での足跡と集合Пにおける車両足跡に対して逐一にチェックし、幾つかの点を含む散布図を得ることができる。該散布図は、車両が前記走行径路に沿って走行する時、動的障害物との遭遇状況を反映する。図4Dは、S-T散布図を用いて移動障害物軌跡の概略図である。図面において、Δs=0.1m、Δt=0.04sである。
【0037】
S-T散布図を得た後、速度計画タスクは、「S-T図において、原点(0,0)から直線s=sendまで移動する径路」というタスクとしてもよい。引き続きA*アルゴリズムを用いて解を求めることができる。具体的には、S-T座標系における[0,tend]×[0,send]領域を格子に従って離散化し、点を含む格子を障害物によって占有される格子とマーキングすることで、格子連通図を構成する。続いて、A*アルゴリズムを用いて、S-Tによる軌跡線を計算し、これは、車両が実際に所定の径路に沿って走行する時の速度状況を表す。
上記方法により、プロセッサは、経路計画環節において決定された車両の走行径路に基づいて、車両が該径路に沿って走行するプロセスにおいてどのような速度でシーンにおける移動障害物に応答するかを決定することができ、それにより単一の車両に対する軌跡計画を実現する。
【0038】
説明すべきことは、上記速度計画環節においてS-T散布図を利用して移動障害物軌跡を反映すること及びA*アルゴリズムを用いてS-Tによる軌跡線を計算することは、いずれも、本実施例による例示的な実施形態であり、当業者は、実施時、実際の応用シーンに基づいて、適切なアルゴリズムを選択して、速度計画環節を実現してもよい。本願の実施例は、これを限定しない。
上記サブモジュールによれば、本願の実施例による多車両協調軌跡計画方法の完全なフローチャートは、図5Aに示すとおりである。該方法は、プロセッサにより実行され、以下のステップを含む。
ステップS501において、モジュールCの方法で、所定数量の異なる車両優先度順序方案を生成する。
ここで、所定数量は、ユーザによって実際の必要に応じて予め設定されて、ローカルメモリに記憶された1つの数値であってもよく、プロセッサによって設定されたデフォルト数値であってもよい。該所定数量に基づいて、プロセッサは、モジュールCの方法で、該当する数の複数組の多車両優先度順序を生成することができる。
【0039】
ステップS502において、各車両優先度順序方案に対して、それぞれ、モジュールAの方法を用いて、対応する多車両協調走行軌跡を生成する。
ステップS503において、各多車両協調走行軌跡に対して、それぞれ、モジュールEの方法を用いて、品質評価を行う。
ここで、プロセッサは、上記ステップS502を実行する時、複数組の多車両協調走行軌跡の生成プロセスに対して、並列方式で実行してもよく、即ち、各優先度順序方案に対して、対応する多車両協調走行軌跡を並列生成してもよい。直列方式で実行されてもよく、即ち各優先度順序方案に対して、対応する多車両協調走行軌跡を順次生成する。同様に、プロセッサは、上記ステップS503を実行する時、各多車両協調走行軌跡に対する品質評価プロセスに対して、並列方式で実行してもよく、直列方式で実行してもよい。いくつかの実施例において、プロセッサは、モジュールDの多方案並列計算方法を用いて上記ステップS502及び/又は上記ステップS503を実行し、各優先度方案の並列処理を実現し、対応する多車両協調走行軌跡を生成し、生成された多車両協調走行軌跡に対して品質評価を行うことができる。
【0040】
例えば、4種の車両優先度順序方案を用い、しかも上記ステップS502とS503がいずれも並列方式で実行されるとすれば、本願の実施例による多数無人車協調軌跡計画方法の実現フローは、図5Bに示すとおりである。プロセッサは、並列方式で、4種の優先度順序方案に対して同時にそれぞれモジュールAの方法を用いて対応する多車両協調走行軌跡を生成し、モジュールEの方法を用いて、生成された多車両協調走行軌跡を品質評価することができる。図5Bに示すように、該方法は、以下のステップを含む。
ステップS511において、モジュールCを用いて、4種の異なる順序付け方案を生成する。
ステップS512iにおいて、順序付け方案iに基づいて、モジュールAを用いて多車両協調走行軌跡を計画する。
ステップS513iにおいて、モジュールEを用いて、順序付け方案iに対応する多車両協調走行軌跡の品質評価結果を得る。
ステップS514において、各品質評価結果における評価指標を纏める。
ステップS515において、評価指標が最も小さいスレッドの協調走行軌跡を出力する。
ここで、ステップS512iとステップS513iは、並列実行される複数組のステップを含んでもよく、各組のステップにおけるiの値は、それぞれ、1、2、3、4である。
ステップS504において、纏められた品質評価結果に基づいて、最終的な協調走行軌跡を決定する。
【0041】
ここで、各車両優先度順序方案に対応する多車両協調走行軌跡を得た後、プロセッサは、各組の多車両協調走行軌跡の品質評価結果を纏めることで、品質が最も高い協調走行軌跡を最終的な協調走行軌跡として決定する。
本願の実施例による多数無人車両協調軌跡計画方法は、各車両軌跡の計画順番に対して優先度を設定し、複数の車両順番優先度方案に基づいて、それぞれ逐次計画ポリシーを用いて複数組の多車両協調走行軌跡を生成し、複数組の多車両協調走行軌跡に対して品質評価を行い、品質が最も高い協調走行軌跡を選択して最終的な協調軌跡を構成する。このように、生成された多車両協調走行軌跡の品質を効果的に向上させることができる。なお、経路計画+速度計画の組み合わせ方式で、各車両の動き軌跡を迅速に生成することもでき、そして並列計算の方式で、複数組の多車両協調走行軌跡の生成速度を向上させることができ、それにより最終的な多車両協調走行軌跡の生成速度を全体的に向上させる。
本願の実施例は、多車両協調軌跡計画システムを提供する。該システムは、集中式プラットフォームと、少なくとも2台の車両と、を含み、ここで、
集中式プラットフォームは、前記実施例による多車両協調軌跡計画方法によって目標協調計画方案を生成し、前記目標協調計画方案を各車両に配信するように構成され、
少なくとも2台の車両のうちの各車両は、集中式プラットフォームから配信された目標協調計画方案を受信し、前記目標協調計画方案における前記車両の目標軌跡を取得し、前記目標軌跡に従って走行するように構成される。
【0042】
ここで、少なくとも2台の車両のうちの各車両は、無人運転車両であってもよく、運転者によって運転される車両であってもよい。集中式プラットフォームは、自体の通信機器によって目標協調計画方案をブロードキャスト方式又は専用チャネルで各車両に配信することができる。目標協調計画方案の配信を行う時、目標協調計画方案における各車両の走行軌跡をいずれも各車両に配信してもよく、各車両の目標軌跡のみを該車両に配信してもよい。ここで限定しない。実施時、集中式プラットフォームと少なくとも2台の車両間の通信方式は、衛星無線通信、セルラモバイル通信などの無線通信方式のうちの1つ又は複数を含んでもよく、それらに限らない。各車両は、車両シャーシコントローラによって車両を、目標軌跡に従って走行するように追跡して制御することができる。
いくつかの実施例において、集中式プラットフォームは更に、自体の通信機器によって前記少なくとも2台のうちの各車両と単独に通信を確立し、各車両から送信された現在所在位置情報及び各車両自体の周囲の環境感知情報を受信するように構成されてもよく、少なくとも2台の車両のうちの各車両は更に、車両の現在所在位置情報及び車両自体の周囲の環境感知情報を取得し、集中式プラットフォームに前記位置情報及び前記環境感知情報を送信するように構成されてもよい。
【0043】
無人運転車両は、衛星測位技術、高精度地図技術などの測位技術のうちの1つ又は複数により、車両の現在所在位置情報を得ることができる。車両自体の周囲環境の感知情報は、車両にセンサを取り付けることで得られてもよい。センサは、速度センサ、加速度センサ、角速度センサ、レーザーレーダー、カメラ、慣性センサなどのうちの1つ又は複数を含んでもよいが、それらに限らない。
前記実施例によれば、本願の実施例は、多車両協調軌跡計画装置を提供する。該装置に含まれる各ユニット、及び各ユニットに含まれる各モジュールは、コンピュータ機器におけるプロセッサにより実現してもよい。無論、具体的な論理回路によって実現してもよい。実施プロセスにおいて、プロセッサは、中央演算装置(Central Processing Unit:CPU)、マイクロプロセッサ(Micro Processor Unit:MPU)、デジタル信号処理プロセッサ(Digital Signal Processor:DSP)又はフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA)などであってもよい。
【0044】
図6は、本願の実施例による多車両協調軌跡計画装置の構造の概略図である。図6に示すように、該装置600は、
前記多車両に対して、所定数量の異なる多車両優先度方案を決定するように構成される第1決定モジュール601と、
逐次計画ポリシーを用いて、各前記多車両優先度方案に対して、対応する協調計画方案を決定するように構成される第2決定モジュール602と、
各前記協調計画方案に対して品質評価を行い、品質評価結果を得るように構成される評価モジュール603と、
前記品質評価結果に基づいて、前記所定数量の協調計画方案から、目標協調計画方案を決定するように構成される第3決定モジュール604と、を備える。
いくつかの実施例において、装置は、前記多車両のうちの各車両から送信された現在所在位置情報と環境感知情報を受信するように構成される受信モジュールと、前記目標協調計画方案に基づいて、各前記車両に対して目標軌跡を決定するように構成される第4決定モジュールと、各前記目標軌跡を対応する車両に配信するように構成される送信モジュールと、を更に備える。
【0045】
いくつかの実施例において、第1決定モジュールは更に、前記所定数量のスレッドを並列起動し、前記所定数量のスレッドのうちの各前記スレッドにより、ランダム方式で、前記多車両に対して1つの車両優先度方案を決定するように構成される。
いくつかの実施例において、第2決定モジュールは更に、各前記多車両優先度方案に対して、前記多車両優先度方案における各車両の道譲り優先度順序に基づいて、各前記車両に対して軌跡計画を逐一に行い、前記対応する協調計画方案を得るように構成される。
いくつかの実施例において、第2決定モジュールは更に、前記多車両優先度方案に基づいて、前記多車両から、計画対象車両を決定し、現在環境における障害物の位置に基づいて、前記計画対象車両に対して走行軌跡を決定し、前記走行軌跡を計画済み軌跡集合に追加し、前記計画対象車両が最後の車両である場合、前記計画済み軌跡集合内の全ての軌跡を前記多車両優先度方案に対応する協調計画方案とするように構成される。
いくつかの実施例において、第2決定モジュールは更に、前記計画対象車両が最後の車両ではない場合、前記走行軌跡で走行する車両を障害物として前記現在環境に更新し、前記多車両優先度方案に基づいて、前記計画対象車両の次の車両を新たな計画対象車両とし、更新された現在環境における障害物の位置に基づいて、前記新たな計画対象車両に対して走行軌跡を決定し、前記走行軌跡を計画済み軌跡集合に追加するように構成される。
【0046】
いくつかの実施例において、走行軌跡は、走行径路と、前記走行径路に沿って走行する時の適合速度と、を含み、現在環境における障害物は、静止障害物と、動的障害物と、を含む。これに対応して、第2決定モジュールは更に、前記静止障害物の位置に基づいて、ハイブリッドA*アルゴリズムを用いて径路計画を行い、前記計画対象車両の走行径路を得て、前記走行径路及び前記動的障害物の移動軌跡に基づいて、前記動的障害物に対応するS-T散布図を決定し、前記S-T散布図に基づいて、A*アルゴリズムを用いて、前記計画対象車両が前記走行径路に沿って走行する時の適合速度を決定するように構成される。
【0047】
いくつかの実施例において、前記品質評価結果は、各前記協調計画方案の総里程長を含み、評価モジュールは更に、各前記協調計画方案における各車両の径路長を決定し、各前記協調計画方案に対して、前記協調計画方案における各車両の径路長を累加し、前記協調計画方案の総里程長を得るように構成され、これに対応して、第3決定モジュールは更に、各前記協調計画方案の総里程長に基づいて、前記所定数量の協調計画方案のうち、総里程長が条件を満たす協調計画方案を目標協調計画方案として決定するように構成される。
上記装置の実施例に関する記述は、上記方法の実施例に関する記述と類似しており、方法の実施例と同様な有益な効果を持つことに留意されたい。本願の装置の実施例に開示されていない技術的細部について、本願の方法の実施例に関する記述を参照しながら理解すべきである。
【0048】
本願の実施例において、上記多車両協調軌跡計画方法は、ソフトウェア機能モジュールの形で実現され、かつ独立した製品として販売または使用されるとき、コンピュータ可読記憶媒体内に記憶されてもよいことに留意されたい。このような理解のもと、本願の実施例の技術的解決手段は、本質的に、又は、従来技術に対して貢献をもたらした部分又は該技術的解決手段の一部は、ソフトウェア製品の形式で具現することができ、該コンピュータソフトウェア製品は、記憶媒体に記憶しても良く、また、1台のコンピュータ機器(パソコン、サーバ又はネットワーク機器など)に、本願の各実施例に記載の方法の全部又は一部を実行させるための若干の命令を含む。前記の記憶媒体は、USBメモリ、リムーバブルハードディスク、読み出し専用メモリ(Read Only Memory:ROM)、磁気ディスク又は光ディスクなど、プログラムコードを記憶可能な各種の媒体を含む。従って、本願の実施例は、如何なる特定のハードウェアとソフトウェアとの組み合わせにも限定されない。
これに対応して、本願の実施例は、コンピュータ可読記憶媒体を提供する。前記コンピュータ可読記憶媒体にコンピュータプログラムが記憶されており、該コンピュータプログラムがプロセッサによって実行される時、上記方法を実現する。
【0049】
これに対応して、本願の実施例は、コンピュータ機器を提供する。前記コンピュータ機器は、メモリと、プロセッサと、を備え、前記メモリにプロセッサで実行できるコンピュータプログラムが記憶されており、前記プロセッサは、前記コンピュータプログラムを実行する時、上記方法を実現することを特徴とする。
本願の実施例は、コンピュータプログラム製品を更に提供する。該コンピュータプログラム製品は、コンピュータプログラムを記憶した非一時的コンピュータ可読記憶媒体を含み、前記コンピュータプログラムは、コンピュータによって読み取られて実行される時、前記実施例のいずれか1つの方法を実現する。該コンピュータプログラム製品は、具体的には、ハードウェア、ソフトウェア又はその組み合わせにより実現してもよい。くつかの実施例において、前記コンピュータプログラム製品は、コンピュータ可読記憶媒体として具現化されてもよく、別のいくつかの実施例において、コンピュータプログラム製品は、例えば、ソフトウェア開発キット(Software Development Kit:SDK)等のようなソフトウェア製品として具現化されてもよい。
上記記憶媒体及び機器の実施例に関する記述は、上記方法の実施例に関する記述と類似しており、方法の実施例と同様な有益な効果を持つことに留意されたい。本願の記憶媒体と機器の実施例に開示されていない技術的細部について、本願の方法の実施例に関する記述を参照しながら理解すべきである。
【0050】
理解できるように、明細書の記述において言及された参照用語「一つの実施例」、「一実施例」は、実施例に関する特定の特徴、構造又は特性が本発明の少なくとも一つの実施例又は例に含まれることを意味する。そのため、明細書全体を通して出現する「一実施例において」、「一つの実施例において」又は「一実施例において」は、必ずしも同じ実施例を指すとは限らない。なお、これら特定の特徴、構造又は特性は、一つ又は複数の実施例において任意の好適な方式で組み合わせられてもよい。理解すべきことは、本願の各実施例において、上記各プロセスの番号は、実行順番を意味するものではなく、各プロセスの実行順番は、その機能及び可能な内在的論理により決まり、本願の実施例の実施プロセスを何ら限定するものではなく、上記本願の実施例の番号は、説明するためのものだけであり、実施例の優劣を表すものではない。
本明細書において、用語「含む」、「備える」、またはそれらの他のいずれかの変形は、非排他的包含を包括するように意図されることに留意されたい。従って、一連の要素を含むプロセス、方法、品目又は装置は、これらの要素を含むだけでなく、明確に列挙されていない他の要素も含み、又は、このようなプロセス、方法、品目又は装置に固有の要素も含む。更なる限定が存在しない場合、「……を1つ含む」なる文章によって規定される要素は、該要素を有するプロセス、方法、品目又は装置内に、他の同じ要素が更に存在することを排除しない。
【0051】
本願で提供する幾つかの実施例で開示したシステム、装置及び方法は、他の方式によって実現できることを理解すべきである。以上に記載した装置の実施例はただ例示的なものであり、例えば、前記ユニットの分割はただロジック機能の分割で、実際に実現する時は他の分割方式によってもよい。また例えば、複数のユニット又はコンポーネントを組み合わせてもよいし、別のシステムに組み込んでもよい。又は若干の特徴を無視してもよいし、実行しなくてもよい。また、示したか或いは検討した相互間の結合又は直接的な結合又は通信接続は、幾つかの通信インタフェース、装置又はユニットによる間接的な結合又は通信接続であってもよく、電気的、機械的または他の形態であってもよい。
分離部材として説明した前記ユニットは、物理的に別個のものであってもよいし、そうでなくてもよい。ユニットとして示された部材は、物理的ユニットであってもよいし、そうでなくてもよい。即ち、同一の位置に位置してもよいし、複数のネットワークユニットに分布してもよい。実際の需要に応じてそのうちの一部又は全てのユニットにより本実施例の方策の目的を実現することができる。
【0052】
また、本願の各実施例における各機能ユニットは1つの処理ユニットに集積されてもよいし、各ユニットが物理的に別個のものとして存在してもよいし、2つ又は2つ以上のユニットが1つのユニットに集積されてもよい。上記集積したユニットは、ハードウェア形式で実現してもよく、ハードウェアとソフトウェア機能ユニットとの組み合わせの形式で実現してもよい。
当業者であれば理解できるように、上記実施例の方法における全部又は一部のステップを実現することは、コンピュータプログラムによって関連ハードウェアを制御することによって遂行されてもよい。前記プログラムは、コンピュータ可読記憶媒体に記憶されてもよい。このプログラムが実行される時、上記各方法の実施例のステップを実行する。前記記憶媒体は、携帯型記憶機器、読み出し専用メモリ(Read Only Memory:ROM)、磁気ディスク又は光ディスクなど、プログラムコードを記憶可能な各種の媒体を含む。
【0053】
又は、本願の上記集積したユニットは、ソフトウェア機能ユニットの形で実現され、かつ独立した製品として販売または使用されるとき、コンピュータ可読記憶媒体に記憶されてもよい。このような理解のもと、本願の技術的解決手段は、本質的に、又は、従来技術に対して貢献をもたらした部分又は該技術的解決手段の一部は、ソフトウェア製品の形式で具現化することができ、該コンピュータソフトウェア製品は、記憶媒体に記憶してもよく、また、1台のコンピュータ機器(パソコン、サーバ、又はネットワーク機器など)に、本願の各実施例に記載の方法の全部又は一部のステップを実行させるための若干の命令を含む。上述した記憶媒体は、携帯型記憶機器、読み出し専用メモリ(Read Only Memory:ROM)、磁気ディスク又は光ディスクなど、プログラムコードを記憶可能な各種の媒体を含む。
以上は本願の実施形態に過ぎず、本願の保護範囲はそれらに制限されるものではなく、当業者が本願に開示された技術範囲内で容易に想到しうる変更や置換はいずれも、本願の保護範囲内に含まれるべきである。従って、本願の保護範囲は特許請求の範囲の保護範囲を基準とするべきである。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本願の実施例は、車両協調軌跡計画方法、装置、システム、機器、記憶媒体及びコンピュータプログラム製品を提供する。ここで、前記方法は、前記多車両に対して、所定数量の異なる多車両優先度方案を決定することと、逐次計画ポリシーを用いて、各前記多車両優先度方案に対して、対応する協調計画方案を決定することと、各前記協調計画方案に対して品質評価を行い、品質評価結果を得ることと、前記品質評価結果に基づいて、前記所定数量の協調計画方案から、目標協調計画方案を決定することと、を含む。該方法を利用して、複数の車両に対して協調軌跡計画を行うと、協調軌跡計画の品質を効果的に向上させ、軌跡計画の効率を向上させることができる。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図5A
図5B
図6