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特許7453380少なくとも1つの可動の家具部分をガイドするためのガイド装置、家具および方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-11
(45)【発行日】2024-03-19
(54)【発明の名称】少なくとも1つの可動の家具部分をガイドするためのガイド装置、家具および方法
(51)【国際特許分類】
   E05D 15/58 20060101AFI20240312BHJP
   E05D 15/06 20060101ALI20240312BHJP
   E05D 15/26 20060101ALI20240312BHJP
   A47B 55/00 20060101ALI20240312BHJP
【FI】
E05D15/58 A
E05D15/06 119
E05D15/26
A47B55/00
【請求項の数】 27
(21)【出願番号】P 2022537855
(86)(22)【出願日】2020-12-11
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-15
(86)【国際出願番号】 AT2020060450
(87)【国際公開番号】W WO2021119688
(87)【国際公開日】2021-06-24
【審査請求日】2022-08-17
(31)【優先権主張番号】A51125/2019
(32)【優先日】2019-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AT
(73)【特許権者】
【識別番号】597140501
【氏名又は名称】ユリウス ブルーム ゲー・エム・ベー・ハー
【氏名又は名称原語表記】Julius Blum GmbH
【住所又は居所原語表記】Industriestrasse 1, 6973 Hoechst, Austria
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】マークス イアガング
(72)【発明者】
【氏名】ギュンター シュヴァーツマン
(72)【発明者】
【氏名】ベアント ケーニヒ
(72)【発明者】
【氏名】マルクス アルゲ
【審査官】河本 明彦
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第01394349(EP,A1)
【文献】仏国特許出願公開第02896008(FR,A1)
【文献】実開昭57-020490(JP,U)
【文献】特開2006-257704(JP,A)
【文献】特開平09-144419(JP,A)
【文献】特開2000-177394(JP,A)
【文献】特開2009-167711(JP,A)
【文献】実開平04-123998(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05D 15/00-15/58
E05F 5/00-5/12
A47B 43/00-57/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
家具部分(2)ガイドするためのガイド装置(1)であって、少なくとも1つのガイドレール(3)と、前記家具部分(2)に結合可能であり、前記少なくとも1つのガイドレール(3)に沿って走行可能な少なくとも1つの走行機構(4)とを有しており、該少なくとも1つの走行機構(4)は、前記家具部分(2)の重量を支持する、第1の回転軸線(D1)を中心として支持された少なくとも1つのキャリヤローラ(5)と、前記家具部分(2)を側方でガイドする少なくとも1つの支持ローラ(6)とを有しており、該少なくとも1つの支持ローラ(6)は、前記第1の回転軸線(D1)に対して横方向に向けられた第2の回転軸線(D2)を中心として回転可能に支持され、
前記少なくとも1つの支持ローラ(6)とは別個の少なくとも1つの支持装置(7)が設けられており、該支持装置(7)は、前記少なくとも1つの支持ローラ(6)に加わる荷重を、前記少なくとも1つのガイドレール(3)の少なくとも1つの終端位置において、側方に、すなわち前記第1の回転軸線(D1)に対して実質的に平行に作用する横方向力に抗して軽減するように構成されており、
前記少なくとも1つの支持装置(7)は、互いに相対的に可動の第1の部分(8)と少なくとも1つの第2の部分(9)とを有しており、前記第1の部分(8)と前記少なくとも1つの第2の部分(9)とは、前記少なくとも1つの支持ローラ(6)に加わる荷重を前記横方向力に抗して軽減するために、第1の位置において互いに連結されており、かつ少なくとも第2の位置において互いに連結解除されており、
前記少なくとも1つの支持装置(7)の少なくとも2つの前記部分(8,9)のうちの一方は、前記少なくとも1つの走行機構(4)に結合されており、
前記少なくとも1つの支持装置(7)は、少なくとも1つの転動体(12)を有しており、
前記少なくとも1つの転動体(12)は、前記少なくとも1つの走行機構(4)に結合されている、
ことを特徴とする、ガイド装置(1)。
【請求項2】
前記家具部分(2)は、スライドドアまたは折畳み式スライドドアである、請求項1記載のガイド装置(1)。
【請求項3】
記少なくとも1つの支持装置(7)の少なくとも2つの前記部分(8,9)のうちの他方は、定置に配置可能である、請求項1または2記載のガイド装置(1)。
【請求項4】
前記少なくとも1つの支持装置(7)の少なくとも2つの前記部分(8,9)のうちの他方は、前記少なくとも1つのガイドレール(3)に結合されている、請求項3記載のガイド装置(1)。
【請求項5】
前記少なくとも1つの支持装置(7)は、少なくとも1つの傾斜面(10)を有している、請求項1からまでのいずれか1項記載のガイド装置(1)。
【請求項6】
-前記少なくとも1つの傾斜面(10)は、前記少なくとも1つの支持ローラ(6)の前記第2の回転軸線(D2)に対して実質的に平行に方向付けられており、
かつ/または
-前記少なくとも1つの傾斜面(10)は、前記少なくとも1つのガイドレール(3)の長手方向に対して斜めに方向付けられている、
請求項5記載のガイド装置(1)。
【請求項7】
-前記第2の回転軸線(D2)に対して実質的に平行に方向付けられた少なくとも1つの支持体(11)が設けられており、該支持体(11)に、記家具部分(2)を支持することができ、かつ/または
-互いに実質的に直交して配置された少なくとも2つのガイドレール(3,25)が設けられている、
請求項1からまでのいずれか1項記載のガイド装置(1)。
【請求項8】
前記支持体(11)に、少なくとも1つのヒンジ(27)を介して前記家具部分(2)を支持することができる、
請求項7記載のガイド装置(1)。
【請求項9】
前記少なくとも1つの転動体(12)は、前記少なくとも1つの支持ローラ(6)の前記第2の回転軸線(D2)に対して平行に方向付けられた第3の回転軸線を中心として回転可能に支持されており、かつ/または
-少なくとも1つの針状ころ軸受(30)を介して前記少なくとも1つの走行機構(4)に支持されており、かつ/または
-少なくとも部分的に鋼から成っている、
請求項1からまでのいずれか1項記載のガイド装置(1)。
【請求項10】
前記少なくとも1つの支持装置(7)の前記少なくとも2つの部分(8,9)のうちの1つは、U字形成形部を有しており、該U字形成形部は、前記少なくとも1つの支持装置(7)の前記少なくとも2つの部分(8,9)のうちの前記第2の部分の前記少なくとも1つの転動体(12)と解離可能に連結可能である、請求項記載のガイド装置(1)。
【請求項11】
前記少なくとも1つの転動体(12)を回転可能に支持する少なくとも1つの軸受装置(19)が設けられており、該軸受装置(19)は、基部(19a)と、該基部(19a)に配置されたジャーナル(29)とを有している、請求項または10記載のガイド装置(1)。
【請求項12】
-前記基部(19a)は、内部に前記ジャーナル(29)が配置された少なくとも1つの突出部(36)を有しており、かつ/または
-前記基部(19a)は、横断面が円錐形に形成された少なくとも1つの貫通孔(33)を有しており、前記ジャーナル(29)は、前記少なくとも1つの貫通孔(33)に対応する対応形状(34)を有しており、かつ/または
-前記ジャーナル(29)と前記基部(19a)とは、結合箇所(35)において互いに結合されており、該結合箇所(35)において互いにプレス嵌めされている、
請求項11記載のガイド装置(1)。
【請求項13】
前記ジャーナル(29)は、2つの端部領域(31,32)を有しており、第1の端部領域(31)に、前記少なくとも1つの転動体(12)が回転可能に支持されており、第2の端部領域(32)に、前記少なくとも1つの支持ローラ(6)が回転可能に支持されている、請求項11または12記載のガイド装置(1)。
【請求項14】
-2つの前記端部領域(31,32)は、前記基部(19a)からそれぞれ異なる方向に突出しており、かつ/または
-前記少なくとも1つの支持ローラ(6)を前記基部(19a)から離間させるスペーサ(37)が設けられている、
請求項13記載のガイド装置(1)。
【請求項15】
前記少なくとも1つの支持装置(7)は、少なくとも1つの滑り体(13)を有している、請求項1から14までのいずれか1項記載のガイド装置(1)。
【請求項16】
前記少なくとも1つのガイドレール(3)の前記少なくとも1つの終端位置では、前記少なくとも1つのガイドレール(3)に対する前記少なくとも1つの支持ローラ(6)の接触が、前記少なくとも1つの支持装置(7)により解消可能である、請求項1から15までのいずれか1項記載のガイド装置(1)。
【請求項17】
前記少なくとも1つのガイドレール(3)は、少なくとも部分的にアルミニウムから成っており、かつ/または前記少なくとも1つの支持ローラ(6)の周面は、プラスチックから成っており、かつ/または前記少なくとも1つの支持装置(7)は、鋼から成る定置に配置可能な少なくとも1つの部分(9)を有している、請求項1から16までのいずれか1項記載のガイド装置(1)。
【請求項18】
前記少なくとも1つの支持装置(7)は、少なくとも1つのピン(38)を有している、請求項1から17までのいずれか1項記載のガイド装置(1)。
【請求項19】
-前記少なくとも1つのピン(38)は、前記少なくとも1つのガイドレール(3)の長手方向に対して実質的に平行に配置されており、かつ/または
-少なくとも1つの第2のピン(38)が設けられており、かつ/または
-前記少なくとも1つのピン(38)は、一方の端部領域に傾斜面(10)を有しており、かつ/または
-前記少なくとも1つのピン(38)は、前記少なくとも1つのガイドレール(3)の成形部(40)に配置されており、かつ/または
-前記少なくとも1つのピン(38)は、実質的に鋼から成っており、かつ/または
-前記少なくとも1つのピン(38)は、前記少なくとも1つのガイドレール(3)の一方の端部領域に配置されている、
請求項18記載のガイド装置(1)。
【請求項20】
2つの前記ピン(38)は、前記少なくとも1つのガイドレール(3)の横方向において互いに間隔をあけて配置されている、
請求項19記載のガイド装置(1)。
【請求項21】
-前記少なくとも1つのピン(38)は、前記少なくとも1つのガイドレール(3)の成形部(40)の切欠き(39)内に配置されている、
請求項19または20記載のガイド装置(1)。
【請求項22】
少なくとも1つの家具部分(2)、家具本体(21)と、少なくとも1つの、請求項1から21までのいずれか1項記載のガイド装置(1)とを備えた家具(20)
【請求項23】
前記家具部分(2)は、スライドドアまたは折畳み式スライドドアである、請求項22記載の家具(20)。
【請求項24】
前記家具(20)は、前記少なくとも1つの家具部分(2)により少なくとも部分的に覆い隠すことができる、キッチン家具および/またはキッチン機器を配置可能な少なくとも1つの内室(22)を有しており、かつ/または前記少なくとも1つの家具部分(2)を少なくとも部分的に収容するための、当該家具(20)の奥行き方向(M1)に延在する少なくとも1つの中空室(23)を有している、請求項22または23記載の家具(20)。
【請求項25】
少なくとも1つの、請求項1から21までのいずれか1項記載のガイド装置(1)を用いて、少なくとも1つの家具部分(2)家具本体(21)に対して相対的にガイドする方法において、
-前記少なくとも1つの家具部分(2)の重量を、前記少なくとも1つの走行機構(4)の前記少なくとも1つのキャリヤローラ(5)により支持するステップと、
-前記家具部分(2)が前記少なくとも1つのガイドレール(3)に沿って動かされる際に、前記家具部分(2)を、前記少なくとも1つの支持ローラ(6)により側方においてガイドするステップと、
-前記少なくとも1つの支持ローラ(6)に加わる荷重を、前記少なくとも1つのガイドレール(3)の少なくとも1つの終端位置において、側方に、すなわち前記少なくとも1つのキャリヤローラ(5)の前記第1の回転軸線(D1)に対して実質的に平行に作用する横方向力に抗して、前記少なくとも1つの支持装置(7)により軽減するステップと、
を含むことを特徴とする、方法。
【請求項26】
前記家具部分(2)は、スライドドアまたは折畳み式スライドドアである、請求項25記載の方法。
【請求項27】
前記少なくとも1つのガイドレール(3)に対する前記少なくとも1つの支持ローラ(6)の接触を、前記少なくとも1つのガイドレール(3)の前記少なくとも1つの終端位置において、前記少なくとも1つの支持装置(7)により解消する、請求項25または26記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家具部分、特にスライドドアまたは折畳み式スライドドアをガイドするためのガイド装置であって、少なくとも1つのガイドレールと、家具部分に結合可能であり、少なくとも1つのガイドレールに沿って走行可能な少なくとも1つの走行機構とを有しており、少なくとも1つの走行機構は、家具部分の重量を支持する、第1の回転軸線を中心として支持された少なくとも1つのキャリヤローラと、家具部分を側方でガイドする少なくとも1つの支持ローラとを有しており、少なくとも1つの支持ローラは、第1の回転軸線に対して横方向に向けられた第2の回転軸線を中心として回転可能に支持されている、ガイド装置に関する。
【0002】
本発明はさらに、少なくとも1つの家具部分、特にスライドドアまたは折畳み式スライドドアと、家具本体と、少なくとも1つの前記のようなガイド装置とを備えた家具に関する。
【0003】
本発明はさらに、少なくとも1つの前記のようなガイド装置を用いて、少なくとも1つの家具部分、特にスライドドアまたは折畳み式スライドドアを家具本体に対して相対的にガイドする方法に関する。
【0004】
家具部分、特にスライドドアまたは折畳み式スライドドア用のガイド装置は、従来技術において既知である。ただ1つのローラだけを有する複数の構成が存在する。この場合、このローラは、キャリヤローラおよび支持ローラとしての機能を担う。さらに、キャリヤローラと支持ローラの両方を有する構成が周知である。
【0005】
通常の荷重の場合、すなわち従来の開放動作および/または閉鎖動作の場合には、両変化態様が普及している。しかしながら、家具部分に基づく荷重が、最早専ら鉛直方向だけに作用するのではなく、横方向にも、すなわち摺動方向および鉛直線に対して垂直にも作用すると、支持ローラの機能がますます重要になる。このことは、例えば折畳み式スライドドアの場合に当てはまる。ドアのいくつかの位置では、鉛直方向の荷重に加えてさらに、側方張出し部を備えたスライドドアの折畳み部分により引き起こされる横方向の力がガイド装置に作用する。このような横方向の荷重が加わった場合、支持ローラは、キャリヤローラをガイドレール内でセンタリングすることにより、ガイド装置が楔状に係合してまたは引っかかって動かなくならないように働く。
【0006】
横方向の力が継続的に支持ローラに作用すると、支持ローラの変形が生じる場合がある。これにより、ガイド装置は最早一様に動作することができなくなるか、または支持ローラのがたつきが生じてしまう。このような変形は、平板化とも呼ばれ、支持ローラが動かされない間に支持ローラに継続的に作用する力により引き起こされる。
【0007】
本発明の課題は、支持ローラの平板化が防止されるかまたは少なくとも低減されるようにガイド装置を改良することである。さらに本発明の課題は、改良されたガイド装置を備えた家具を提供することである。さらに本発明の課題は、改良されたガイド装置を用いた方法を提供することにある。
【0008】
これらの課題は、請求項1、15および16に記載の特徴により解決される。
【0009】
つまり、本発明によるガイド装置では、少なくとも1つの支持ローラとは別個の少なくとも1つの支持装置が設けられており、該支持装置は、少なくとも1つの支持ローラに加わる荷重を、少なくとも1つのガイドレールの少なくとも1つの終端位置において、側方に、すなわち第1の回転軸線に対して実質的に平行に作用する横方向力に抗して軽減するように構成されている、ということが想定されている。
【0010】
少なくとも1つの終端位置において支持ローラに加わる荷重を軽減することにより、家具部分がしばしば比較的長時間留まる位置で支持ローラに荷重が継続的に加わることが防止される。これにより、少なくとも1つの支持ローラの平板化を防止することができるか、または少なくとも低減させることができ、かつガイド装置の耐用年数を延ばすことができる。
【0011】
少なくとも1つの支持装置は、互いに相対的に可動の少なくとも1つの第1の部分と第2の部分とを有している、ということが想定されていてよく、第1の部分と第2の部分とは、少なくとも1つの支持ローラに加わる荷重を横方向力に抗して軽減するために、第1の位置において互いに連結されており、かつ第1の部分と第2の部分とは、少なくとも第2の位置において互いに連結解除されている。
【0012】
2つの部分から成る構成形式により、支持ローラは、特定の位置または特定の位置の領域においてのみ荷重を軽減され、少なくとも第2の位置において、その構造に基づく役割を妨げられずに果たすことができる、ということが保証され得る。これにより、このような支持装置を後からガイド装置に取り付けることができる、ということもやはり可能である。
【0013】
少なくとも1つの支持装置の少なくとも2つの部分のうちの一方は、少なくとも1つの走行機構に運動結合式(bewegungsgekoppelt)に結合されており、かつ/または少なくとも1つの支持装置の少なくとも2つの部分のうちの他方は、定置に配置可能であり、好適には、少なくとも1つのガイドレールに結合されている、ということが想定されていてよい。
【0014】
このような構成は、より安定的な構成形式を可能にし得る。それというのも、支持装置の1つの部分だけが可動である一方で、第2の部分は定置に配置可能であるからである。つまり、定置に配置可能な構成部分は運動の余地を全く有していないため、部品に対する損傷の確率を低下させることができる。
【0015】
少なくとも1つの支持装置は、少なくとも1つの傾斜面を有している、ということが想定されていてよく、好適には、少なくとも1つの傾斜面は、少なくとも1つの支持ローラの第2の回転軸線に対して実質的に平行に方向付けられており、かつ/または少なくとも1つの傾斜面は、少なくとも1つのガイドレールの長手方向に対して斜めに方向付けられている。
【0016】
この場合、平行とは、回転軸線と傾斜面の平面とが共通の交点を有さないことを意味する。傾斜面は、ガイドレールと鋭角を成す場合、ガイドレールの長手方向に対して斜めに位置している。
【0017】
傾斜面は、支持装置のガイドに用いられてよく、これにより、ガイドレールの終端位置における少なくとも1つの支持ローラの荷重軽減過程を簡単にすることができる。
【0018】
第2の回転軸線に対して実質的に平行に方向付けられた少なくとも1つの支持体が設けられており、支持体に、好適には少なくとも1つのヒンジを介して家具部分を支持することができ、かつ/または互いに実質的に直交して配置された少なくとも2つのガイドレールが設けられている、ということが想定されていてよい。
【0019】
第2の回転軸線に対して実質的に平行に方向付けられた支持体は、2つのガイド装置の運動結合式の結合を可能にする。これにより、家具部分の改良された、より安定的なガイドが達成され得る。とりわけ側方荷重が生じた場合に、これによる家具部分の傾倒が防止され得る。追加的に、支持体は、個々のローラ間の結合手段として働くこともでき、これにより、同時に走行機構として働くこともできる。
【0020】
家具部分が、互いに直交して位置する2つのガイドレールに支持されている、という可能性も生じる。これにより、コーナーを回る動作が可能になる。折畳み式スライドドアの場合には、折畳み式スライドドアが相応に動かされると、常に2つのガイドレールの間の空間の外側に位置する、という可能性がある。一般に、2つのガイドレールを使用することにより、家具部分の運動の自由度を高めることができる。
【0021】
第2のガイドレールの使用は、第1のガイドレールに対して直交する方向への家具部分の移動を可能にすることができ、これにより、第1のガイドレールに加わる側方荷重が高まる場合がある。これにより、支持ローラの平板化を防止するためには、終端位置における支持ローラの荷重軽減が、より重要になる。
【0022】
少なくとも1つの支持装置は、少なくとも1つの転動体を有している、ということが想定されていてよく、好適には、少なくとも1つの転動体は、少なくとも1つの支持ローラの第2の回転軸線に対して平行に方向付けられた第3の回転軸線を中心として回転可能に支持されており、かつ/または少なくとも1つの針状ころ軸受を介して少なくとも1つの走行機構に支持されており、かつ/または少なくとも部分的に鋼から成っている。
【0023】
支持装置の一部として転動体を使用することにより、ガイドレールの終端位置における支持ローラの荷重軽減を改良することができる。転動体の円形形状により、終端位置での連結を簡単にすることができる。
【0024】
側方荷重に抗して荷重軽減を保証するためには、転がり軸受が、第2の回転軸線に対して平行な回転軸線を中心として回転可能に支持されていると有利である、ということが判った。このような位置決めにより、支持ローラの最適な荷重軽減が可能になる。それというのも、転がり軸受を、少なくとも1つの支持ローラに対して平行に方向付けることができるからである。
【0025】
針状ころ軸受の使用は、転動体の良好な支持を可能にし得る。これにより同時に、転動体の省スペース型の構成形式を実現することができる。
【0026】
転動体の摩耗および/または平板化を防止するために、転動体には少なくとも部分的に鋼が使用され得る。ただし、他の硬質の非脆性材料も考えられる。このような材料の変形は、比較的長期の荷重の場合にも無視することができる。これにより、このような材料は、支持ローラの持続的な荷重軽減にとって理想的である。
【0027】
少なくとも1つの支持装置は、少なくとも1つの滑り体を有している、ということが想定されていてよい。
【0028】
ガイドレールの終端位置における支持ローラの荷重軽減を保証するために、滑り体が使用されてもよい。このような滑り体は、転動体に対して択一的または補足的に使用され得る。滑り体は、荷重軽減過程の際のガイドとして支持装置に用いられてよく、これにより、ガイド装置の既存の運動余地を終端位置の領域において徐々に制限し、かつこの領域において支持ローラに加わる荷重を、連結位置に達するまで徐々に減少させることができる。
【0029】
少なくとも1つのガイドレールの少なくとも1つの終端位置では、少なくとも1つのガイドレールに対する少なくとも1つの支持ローラの接触が、少なくとも1つの支持装置により解消可能である、ということが想定されていてよい。これにより、支持ローラの平板化が排除され得る。それというのも、この終端位置では最早、支持ローラに側方荷重が作用しないからである。
【0030】
少なくとも1つのガイドレールは、少なくとも部分的にアルミニウムから成っており、かつ/または少なくとも1つの支持ローラの周面は、プラスチックから成っており、かつ/または少なくとも1つの支持装置は、鋼から成る定置に配置可能な少なくとも1つの部分を有している、ということが想定されていてよい。
【0031】
アルミニウムの小さな重量と、比較的高い強度と安定性とに基づき、ガイドレールを、少なくとも部分的にアルミニウムから製造することが有利であり得る。支持ローラの良好でかつ低騒音の転動特性のためには、支持ローラがプラスチックから成っていると有利であり得る。この場合、支持ローラの外カバーだけがプラスチックから成っている、ということも考えられる。支持装置にとって、支持装置の摩耗および変形を回避するためには、支持装置の少なくとも1つの定置に配置可能な部分が鋼から成っていると有利であり得る。これにより、支持ローラの不変の荷重軽減が保証され得る。
【0032】
少なくとも1つの支持装置の少なくとも2つの部分のうちの1つは、U字形成形部を有しており、U字形成形部は、少なくとも1つの支持装置の少なくとも2つの部分のうちの第2の部分の少なくとも1つの転動体と解離可能に連結可能である、ということが想定されていてよい。
【0033】
U字形成形部と転動体とを組み合わせることにより、荷重軽減過程中に家具部分のガイドを最適化することができる。この場合、U字形成形部は、転動体を捕捉し、これによりガイドレールの端部領域に荷重軽減過程を導入し、次いで連結状態で、支持ローラに加わる荷重を軽減するために用いられる。この場合、側方荷重が生じた場合には、U字形成形部により方向に関係無く、荷重軽減が可能である。
【0034】
ガイド装置の1つの好適な実施の形態では、少なくとも1つの支持装置は、少なくとも1つのピンを有している、ということが想定されており、好適には、少なくとも1つのピンは、少なくとも1つのガイドレールの長手方向に対して実質的に平行に配置されており、かつ/または少なくとも1つの第2のピンが設けられており、2つのピンは、好適には少なくとも1つのガイドレールの横方向において互いに間隔をあけて配置されており、かつ/または少なくとも1つのピンは、一方の端部領域に傾斜面を有しており、かつ/または少なくとも1つのピンは、少なくとも1つのガイドレールの成形部の、好適には対応する切欠き内に配置されており、かつ/または少なくとも1つのピンは、実質的に鋼から成っており、かつ/または少なくとも1つのピンは、少なくとも1つのガイドレールの一方の端部領域に配置されている。
【0035】
本発明による家具は、少なくとも1つの家具部分、特にスライドドアまたは折畳み式スライドドアと、家具本体と、少なくとも1つの本発明によるガイド装置とから成り、好適には、家具は、少なくとも1つの家具部分により少なくとも部分的に覆い隠すことができる、キッチン家具および/またはキッチン機器を配置可能な少なくとも1つの内室を有しており、かつ/または少なくとも1つの家具部分を少なくとも部分的に収容するための、家具の奥行き方向に延在する少なくとも1つの中空室を有している。
【0036】
このようなユニットにより、家具の内室を制約なしに利用することが可能である。中空室内へ家具部分を部分的に詰め込むことにより、家具の内室が部屋の一部であるという印象が生じる。この印象は、家具部分の底部領域において追加的なガイドは不要であるということによっても強められる。内室が最早使用されない場合には、家具を閉じることができ、内室は、部屋の残りの部分から視覚的に隔離された状態になる。
【0037】
少なくとも1つの本発明によるガイド装置を用いて、少なくとも1つの家具部分、特にスライドドアまたは折畳み式スライドドアを家具本体に対して相対的にガイドする本発明による方法は、以下の方法ステップ、すなわち:
-少なくとも1つの家具部分の重量を、少なくとも1つの走行機構の少なくとも1つのキャリヤローラにより支持するステップと、
-家具部分が少なくとも1つのガイドレールに沿って動かされる際に、家具部分を、少なくとも1つの支持ローラにより側方においてガイドするステップと、
-少なくとも1つの支持ローラに加わる荷重を、少なくとも1つのガイドレールの少なくとも1つの終端位置において、側方に、すなわち少なくとも1つのキャリヤローラの第1の回転軸線に対して実質的に平行に作用する横方向力に抗して、少なくとも1つの支持装置により軽減するステップと
を有している。
【0038】
少なくとも1つのガイドレールに対する少なくとも1つの支持ローラの接触を、少なくとも1つのガイドレールの少なくとも1つの終端位置において、少なくとも1つの支持装置により解消する、ということが想定されていてよい。
【0039】
次に、本発明のその他の詳細および利点について、図面の説明によって図面を参照しながら詳説する。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1図1a、図1bは、家具本体と、この家具本体に対して相対的に動作可能な家具部分とを備えた家具の斜視図である。
図2図2a、図2bは、図1a、図1bに示した家具を、家具部分相互の別の位置で示す図である。
図3】側方カバーなしの家具を示す図である。
図4図4a、図4bは、ガイド装置の1つの実施形態を支持体と共に連結解除位置で示す2つの斜視図である。
図5a図4a、図4bに示したガイド装置の実施形態を、支持体なしに連結解除位置で示す斜視図である。
図5b図4a、図4bに示したガイド装置の実施形態を、支持体なしに連結解除位置で示す側面図である。
図6a図4a、図4bに示したガイド装置の実施形態を支持体と共に連結位置で示す斜視図である。
図6b図4a、図4bに示したガイド装置の実施形態を支持体と共に連結位置で示す側面図である。
図7】ガイド装置の第2の実施形態を連結状態で示す斜視図である。
図8図7に示した実施形態の分解図である。
図9図7に示した実施形態を連結解除状態で示す水平方向断面図である。
図10図7に示した実施形態を連結状態で示す水平方向断面図である。
図11図11a~図11eは、転動体および/または支持ローラを回転可能に支持する軸受装置の1つの実施例を示す図である。
図12】ガイドレールの前端部に支持された2つのピンを有する支持装置の1つの別の実施例を示す図であって、部分図12aは取り外された状態を、部分図12bは組み込まれた状態を、それぞれ斜視図で示している。
図13】2つのピンを備えた別の実施例の横断面図であって、部分図13aは、転動体が終端位置において2つのピンに支持されている状態を示しており、部分図13bは、このことが終端位置とは別の位置では当てはまらない状態を示している。
【0041】
図1aには、家具本体21と、家具本体21に対して相対的に動作可能な、折畳み式スライドドアと見なすこともできる板状の家具部分2とを備えた家具20の斜視図が示されている。家具部分2は、複数の個々の板状の部分から成っている。これらの部分は、ヒンジ金具28(この図では図示せず)により互いに結合されている。
【0042】
ガイドシステム24に基づき、家具部分2は横方向レール25に沿って、家具部分2が互いに実質的に共平面を成すように方向付けられた第1の位置と、家具部分2が互いに実質的に平行に方向付けられた第2の位置との間で可動に支持されている。この場合、家具部分2は平行な位置において、第1の動作方向M1で、収容スペースとして用いられる側方の中空室23内に挿入可能である。
【0043】
さらに、家具部分2に基づき機能形式を説明する。第2の家具部分2にも、同様の説明が当てはまる。この場合、ガイドシステム24には、長手方向Lを有する横方向レール25が含まれており、家具部分2に結合可能なガイドキャリッジ26が、横方向レール25に沿って走行可能に支持されている。
【0044】
図1bでは、2つの折り畳み可能な家具部分2のうちの一方が、共平面の位置から角度を成した位置に動かされている。2つの家具部分2を互いに結合するヒンジ金具28も見えている。
【0045】
家具部分2は、2つ以上のヒンジ27を介して支持体11に回動可能に支持されている。この場合、支持体11は、少なくとも1つのガイドレール3(この図面には図示せず)に支持されており、家具本体21の奥行き方向で中空室23内へ押し込まれてよい。この場合、支持体11は、支持体11がこの位置で横方向レール25に長手方向Lにおいて接続しており、ガイドキャリッジ26が横方向レール25と支持体11との間を移動することができるように構成されている。つまりガイドキャリッジ26は、この位置では支持体11に被せ嵌められてよい。
【0046】
支持体11は、細長い柱として形成されており、柱の長さは、家具部分2の高さの少なくとも1/2に相当する。
【0047】
図2aには家具20が示されており、この場合、2つの家具部分2は、互いに平行な位置に位置している。ガイドキャリッジ26は、支持体11上に移動させられた。支持体11は、ガイドキャリッジ26の被せ嵌めによりロック解除されており、この状態では、ガイドレール3(ここでは図示せず、図3参照)に沿って、家具本体21の奥行き方向で中空室23内に押し込むことができる。
【0048】
図2bには、完全に押し込まれた状態の家具部分2を備えた家具20が示されている。つまり、家具部分2はガイドシステム24により、図1aに示した第1の共平面の位置と、図2bに示す、家具部分2が中空室23内に押し込まれた第2の平行な位置とを起点として、可動に支持されている。この場合、中空室23は、家具本体21の側壁14と、家具20の、側壁14に対して平行に配置された外壁17とによって形成される。
【0049】
このようにして、家具20の内室22、例えばキッチンまたは作業エリア等を完全に覆い隠すことができ、これにより、この内室22を、居室の残りの領域から仕切ることができる。
【0050】
図3には家具20が示されており、この場合、中空室23内のガイドレール3の配置を表すために、外壁17は消されている。家具本体21の側壁14には、支持体11ひいては家具部分2をガイドする少なくとも1つのガイドレール3が取り付けられている。
【0051】
この図では、支持体11の改良されたガイドを保証することができる2つのガイドレール3が認められる。この場合、ガイドレール3は、横方向レール25に対して横方向に、好適には直角に配置されている。ガイド装置1の別のコンポーネントは、この図では見えておらず、後続の図において、より正確に説明する。
【0052】
ガイドキャリッジ26が家具部分2の重量の一部を支持するにもかかわらず、支持体11ひいてはガイド装置1には、閉鎖状態における家具部分2の側方への変位により、強力で持続的な側方荷重が加わる。少なくとも閉鎖位置において、支持ローラ6の平板化を防止するためには、本発明による支持装置7が使用され得る。
【0053】
図4aには、支持体11を備えたガイド装置1が連結解除状態で示されている。より見やすくするために、家具部分2および家具本体21の追加的な図示は省かれている。どの部分がどの視点で示されるのかを明確にするために、右側に、ガイド装置1および支持体11が全体的に示されている。詳細図では、連結解除状態のガイド装置1を見ることができる。
【0054】
ガイドレール3内には、キャリヤローラ5が可動に配置されている。支持ローラ6は、この図では隠れているが、キャリヤローラ5と転動体12との間に位置している。この場合、キャリヤローラ5は、支持体11に結合されている。
【0055】
支持装置7の、走行機構4に運動結合式に結合された第1の部分8は、本実施形態では転動体12として形成されている。少なくとも1つの転動体12と、この図では隠れている支持ローラ6とが、本実施形態では同じキャリッジ18に取り付けられている。キャリッジ18は支持体11に結合されており、これにより、支持体11は支持ローラ6とキャリヤローラ5とを互いに結合することで、同時に両ローラでもって走行機構4として働く。
【0056】
図4bには、図4aに示した実施形態が別の視点で示されている。この場合、キャリヤローラ5は、ガイドレール3に設けられた支持部15に可動に支持されている。この支持部15は、キャリヤローラ5の摩耗を遅らせるため、好適には防止するために用いられる。追加的に、支持部15は騒音発生を低減させるために用いられてもよい。キャリヤローラ5の下には、この図では隠れている支持ローラ6が位置しており、支持ローラ6は、キャリッジ18を介して支持体11に結合されている。少なくとも1つの転動体12も同様に、キャリッジ18に結合されている。
【0057】
支持装置7の、定置に配置可能な部分9は、本実施形態ではU字形成形部として形成されており、U字形成形部内には、少なくとも1つの転動体12が連結することができる。U字形成形部の、転動体12に面した領域の傾斜面10は、荷重軽減過程中に少なくとも1つの転動体12の案内を容易にすると共に、連結解除状態と連結状態との間の穏やかな移行を保証することができる。
【0058】
図5aには、図4aと同じ視点から見たガイド装置1が示されている。より見やすくするために、この図では、同時に走行機構4として働く支持体11が省かれている。キャリヤローラ5は、ガイドレール3内に走行可能に配置されている。支持装置7の、走行機構4に運動結合された第1の部分8は、キャリッジ18に配置された2つの転動体12を有している。2つの転動体12と同様に、キャリッジ18の上側には(この図では隠れているもしくは付加部においてのみ認識可能な)2つの支持ローラ6が配置されている。
【0059】
支持ローラ6および転動体12の両方の二重構成は、走行機構4(図示せず)の安定した案内に役立つ。これにより、側方荷重および/または走行方向に対して平行に作用する荷重に基づきガイド装置1が引っかかってまたは楔状に係合して動かなくなることを防ぐことができる。
【0060】
支持装置7の、定置に配置可能な第2の部分は、2つの転動体12がU字形成形部に収容され得るように形成されている。これにより、荷重軽減位置においても、支持体11(図示せず)の傾倒と、荷重軽減位置における(見えていないまたは付加部においてのみ見えている)支持ローラ6への追加的な荷重とを防止することができる。
【0061】
図5bには、図5aに示したユニットが、家具20を正面から見た取付け位置に相応する側面図で示されている。第1の回転軸線D1を中心として支持されたキャリヤローラ5は、ガイドレール3に設けられた支持部15に走行可能に支持されている。支持ローラ6は、第1の回転軸線D1に対して横方向に向けられた第2の回転軸線D2を中心として回転可能に支持されている。転動体12は、支持ローラ6と同じキャリッジ18に取り付けられている。
【0062】
この配置に基づき、転動体12の動きは、キャリッジ18により走行機構4(図示せず)に運動結合されている。キャリヤローラ5および支持ローラ6は、本実施形態では同時に走行機構4の機能を果たすであろう支持体11(図示せず)に結合可能である。
【0063】
支持装置7の、定置に配置可能な部分9は、U字形成形部として形成されており、U字形成形部は両側に、ガイドレール3の長手方向における傾斜面10を有している。これらの傾斜面10により、U字形成形部における転動体12の収容を容易にすることができ、これにより、連結解除位置から連結位置へのスムーズな移行が保証され得る。
【0064】
図6aには、ガイド装置1が支持体11と共に連結状態で示されている。詳細図をより良好に対応付けることができるようにするために、右側に、ユニット全体が示されている。
【0065】
連結状態では、支持装置7の、定置に配置可能な部分9のU字形成形部は、支持装置7の、走行機構4に運動結合された部分8の転動体12を収容しており、これにより、(この図では見えないもしくは隠れている)支持ローラ6に対する荷重を軽減する。
【0066】
支持ローラ6と転動体12とは、同じキャリッジ18に配置されており、キャリッジ18も、やはり支持体11に結合されている。キャリヤローラ5も同様に支持体11に結合されているため、支持体11は、本実施形態では走行機構4の一部を成している。
【0067】
図6bには、ガイド装置1が支持体11と共に連結位置で、家具20を正面から見た取付け位置に相応する側面図で示されている。図6bは図5bと比べて、支持装置7の連結状態を表しているが、このような視点では差異を認めることはできない。
【0068】
ガイドレール3において、キャリヤローラ5は支持部15に可動に支持されている。キャリヤローラ5は、家具部分2を回動可能に支持することができる支持体11に結合されている。支持ローラ6と転動体12とは、同様に支持体11に結合された同じキャリッジ18に配置されている。
【0069】
図7には、本発明による支持装置7の第2の実施形態が連結状態で示されている。ガイドレール3は、家具本体21の側壁14に取り付けられている。支持体11には、支持装置7の、走行機構4に運動結合された第1の部分8が配置されている。支持装置7の定置に配置された部分9は、ガイドレール3に配置されている。
【0070】
ただしこの図では、走行機構4もしくは少なくとも1つの支持ローラ6およびキャリヤローラ5は、支持体11により覆い隠されている。支持装置7の第1の部分8の上には、図1a、図1b、図2aおよび図2bに基づく使用のために、横方向レール25のガイドキャリッジ26用の収容部を備えたアタッチメントがさらに配置され得る。横方向レール25からこのアタッチメントへの移動を保証するために、側壁14には切欠きが設けられている。
【0071】
図8には、図7に示した実施形態が分解図で示されている。ガイド装置1は、ガイドレール3と、走行機構4が配置された支持体11とから成り、走行機構4は、少なくとも1つのキャリヤローラ5と、少なくとも1つの支持ローラ6とを有している。この図には、1つの支持ローラ6のみが示されている。第2の支持ローラ6およびキャリヤローラ5は、支持体11により覆い隠されている。
【0072】
支持装置7は2つの部分から成っており、この場合、支持装置7の第1の部分8は、走行機構4に運動結合されて配置することができ、支持装置7の第2の部分9は、定置に配置することができる。
【0073】
支持装置7の、走行機構4に運動結合可能な第1の部分8は、滑り体13を有しており、滑り体13は、導入時かつ/または荷重軽減過程中にガイドとして働く。支持装置7の、定置に配置可能な第2の部分9は、ガイドレール3に配置することができ、ねじ16によりガイドレール3に結合することができる。ねじ16を取り付ける、相応するねじ山を備えた対応部材は、この図では支持装置7の第2の部分9により覆い隠されている。
【0074】
図9には、図7に示した実施形態の水平方向断面図が連結解除状態で示されている。2つの支持ローラ6が、ガイドレール3内に可動に配置されている。これらの支持ローラ6は走行機構4を介して、走行機構4により覆い隠されたキャリヤローラ5に結合されている。
【0075】
ガイドレール3の図示の端部から見て、支持装置7の、走行機構4に運動結合されて配置された第1の部分8の第1の傾斜面10は、連結過程中、支持装置7の運動結合された部分8のガイドに用いられる。第2の傾斜面10は、支持装置7の第1の部分8を正しい終端位置にもたらし、これにより、終端位置で支持ローラ6に加わる荷重の持続的な軽減を保証するために働く。
【0076】
図10には、図9と同じ水平方向断面が連結状態で示されている。支持装置7の、走行機構4に運動結合された第1の部分8は、終端位置に位置しており、この場合、支持装置7の、定置に配置可能な第2の部分9に整合するように接続している。
【0077】
この位置において、図1a、図1b、図2aおよび図2bに示した使用に際して、家具部分2を、平行な位置から共平面の位置にもたらすことができ、これにより、家具20の内室22を覆い隠すことができる。このとき、ガイド装置1ひいては支持装置7に加わる荷重の変化が生じる。この荷重変化により、支持装置7の2つの部分8,9が互いに楔状に係合し合い、これにより、支持ローラ6の荷重軽減が追加的に強化され、かつ走行機構4が終端位置に固定されることになる。
【0078】
図11a~図11eには、転動体12および/または支持ローラ6を回転可能に支持する軸受装置19の様々な図が示されている。軸受装置19は、好適にはプレート状の基部19aと、転動体12および/または支持ローラ6を支持するジャーナル29とを有している。図示の軸受装置19により、特に基部19aに対するジャーナル29、転動体12および支持ローラ6の傾倒防止を向上させることができる。
【0079】
図11aには、軸受装置19の斜視図が示されており、図11bには、軸受装置19の側面図が示されており、図11cには、軸受装置19の平面図が示されており、図11dには、図11cに示した平面A-Aに沿った断面図が示されており、図11eには、図11dにおいて円で囲まれた領域の拡大図が示されている。
【0080】
図11dの断面図から看取されるように、転動体12と支持ローラ6とは、高さ方向に互いに間隔をあけて配置されている。転動体12を回転可能に支持するコンパクトな針状ころ軸受30が認められる。
【0081】
ジャーナル29は、相互に間隔をあけて配置された2つの端部領域31,32を有しており、この場合、ジャーナル29の第1の端部領域31には転動体12が配置されており、第2の端部領域32には支持ローラ6が配置されている。ジャーナル29の第1の端部領域31は拡幅されて構成されているため、転動体12は、回転可能に所定の位置に保持される。これに対して、ジャーナル29の第2の端部領域32は揺動することができ、これにより、支持ローラ6は回転可能かつ紛失不能にジャーナル29に配置されている。
【0082】
図11eには、図11dにおいて円で囲まれた領域の拡大図が示されている。この場合、
-基部19aは、内部にジャーナル29が配置された少なくとも1つの突出部36を有しており、かつ/または
-基部19aは、横断面が円錐形に形成された少なくとも1つの貫通孔33を有しており、この場合、ジャーナル29は、対応する対応形状34を有しており、かつ/または
-ジャーナル29と基部19aとは、結合箇所35において互いに結合されており、結合箇所35において互いにプレス嵌めされている、ということが想定されていてよい。
【0083】
ジャーナル29の2つの端部領域31,32は、基部19aからそれぞれ異なる方向に突出していてよく、かつ/または少なくとも1つの支持ローラ6を基部19aから離間させる少なくとも1つのスペーサ37が設けられている。
【0084】
突出部36により(つまり基部19aから引き上げられたカラーにより)、基部19aとジャーナル29との間の接触面積を増大させることができる。基部19aとジャーナル29との間の円錐形のプレス嵌めにより、基部19aとジャーナル29との間に追加的な強度がもたらされる。好適には、基部19aとジャーナル29とは、結合箇所35において互いにプレス嵌めされることが想定されており、これにより、基部19aとジャーナル29とは互いに摩擦結合式かつ形状結合式に結合することができる。
【0085】
スペーサ37は、基部19aと支持ローラ6との間に配置されており、この場合、スペーサ37は、貫通孔33を少なくとも部分的に取り囲んでいる。スペーサ37は、基部19aに支持されており、このようにして、基部19aに対して相対的な支持ローラ6の傾倒動作を阻止する。
【0086】
図12a、図12bおよび図13a、図13bには、支持装置7の1つの別の実施例が示されており、支持装置7は、ガイドレール3の前端部に支持された2つのピン38を有している。
【0087】
ピン38は、少なくとも1つのガイドレール3の長手方向に対して実質的に平行に配置されている。
【0088】
2つのピン38は、ガイドレール3の横方向において互いに間隔をあけて配置されている。
【0089】
ピン38は、それぞれ一方の端部領域に傾斜面10を有している。傾斜面10は、円錐台形部の形態で形成されていてもよい。
【0090】
ピン38はそれぞれ、ガイドレール3の、好適には横断面で見てU字形の成形部40に設けられた対応する切欠き39内に配置されている。
【0091】
ピン38は、実質的に鋼から成っている。
【0092】
図13aには、転動体12が終端位置において2つのピン38に支持されている状態が示されており、図13bには、このことが終端位置とは別の位置では当てはまらない状態が示されている。
【0093】
支持された状態では、支持ローラ6に加わる荷重が軽減される。支持されていない状態では、転動体12はガイドレール3に接触していない。この場合、側方支持は、支持ローラ6により行われる。
図1a
図1b
図2a
図2b
図3
図4a
図4b
図5a
図5b
図6a
図6b
図7
図8
図9
図10
図11a
図11b
図11c
図11d
図11e
図12a
図12b
図13a
図13b