IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツングの特許一覧

特許7453396自動的に閉塞する注入通路を備えたモールディング装置
<>
  • 特許-自動的に閉塞する注入通路を備えたモールディング装置 図1
  • 特許-自動的に閉塞する注入通路を備えたモールディング装置 図2
  • 特許-自動的に閉塞する注入通路を備えたモールディング装置 図3
  • 特許-自動的に閉塞する注入通路を備えたモールディング装置 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-11
(45)【発行日】2024-03-19
(54)【発明の名称】自動的に閉塞する注入通路を備えたモールディング装置
(51)【国際特許分類】
   B29C 45/26 20060101AFI20240312BHJP
   B29C 45/03 20060101ALI20240312BHJP
【FI】
B29C45/26
B29C45/03
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2022548713
(86)(22)【出願日】2021-02-03
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-30
(86)【国際出願番号】 EP2021052550
(87)【国際公開番号】W WO2021160490
(87)【国際公開日】2021-08-19
【審査請求日】2022-08-10
(31)【優先権主張番号】102020201666.6
(32)【優先日】2020-02-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】390023711
【氏名又は名称】ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
【住所又は居所原語表記】Stuttgart, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】マルティン フライシュマン
【審査官】関口 貴夫
(56)【参考文献】
【文献】独国特許出願公開第102014100281(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 45/00-45/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
成形モジュールを形成するモールディング装置(1)であって、
前記モールディング装置(1)は、工具部分(2)と、別の工具部分(3)とを有しており、該工具部分(2,3)は、一緒に1つの中空室(6,7)を取り囲んでおり、
一方の工具部分(2)は、少なくとも1つの分離壁(4)を有しており、該分離壁(4)は、前記中空室(6,7,21,22)を少なくとも2つ、または2つだけの部分室(6,7)、すなわち低圧部分室(6,21)と高圧部分室(7,22)とに分割するように配置されかつ構成されており、前記工具部分(2)は、少なくとも2つの注入通路(8,9,24,25)を有しており、該注入通路(8,9,24,25)のうち低圧注入通路(8)は、前記低圧部分室(6)に開口しており、少なくとも1つの長手方向区分(10)において、前記高圧部分室(7)に開口する高圧注入通路(9)よりも小さな横断面(12)を有しており、前記低圧注入通路(8)は、硬化する成形用コンパウンド(20’)により耐圧式に閉塞させられるように構成されているのに対して、前記高圧注入通路(9)は、前記低圧注入通路(8)よりもより長い時間間隔(40)にわたって、成形圧(19)を前記中空室(7)内に伝達するように構成されている、モールディング装置(1)。
【請求項2】
前記低圧注入通路(8)は、長手方向区分(10)を有しており、該長手方向区分(10)の横断面直径(12)または横断面積は、前記高圧注入通路(9)の横断面直径(13)または横断面積の半分よりも小さい、請求項1記載のモールディング装置(1)。
【請求項3】
前記分離壁(4)は、前記工具部分により取り囲まれた回路担体(14)上に載着し、これにより前記回路担体(14)と前記工具部分(2)との間に形成された前記中空室(6,7)を前記低圧部分室(6)と前記高圧部分室(7)とに分割するように構成されかつ配置されている、請求項1または2記載のモールディング装置(1)。
【請求項4】
前記工具部分が、該工具部分に結合された、または該工具部分に一体成形されたプレス装置を有しており、該プレス装置は、成形用コンパウンドを前記注入通路内に押圧するように構成されている、請求項1から3までのいずれか1項記載のモールディング装置(1)
【請求項5】
前記モールディング装置(1)は、圧力センサを有しており、該圧力センサは、前記低圧注入通路内の成形圧を検出するように構成されている、請求項1から4までのいずれか1項記載のモールディング装置(1)。
【請求項6】
前記圧力センサは、前記低圧部分室の領域に配置されている、請求項5記載のモールディング装置(1)
【請求項7】
前記モールディング装置(1)は、質量流量検出装置(30)を有しており、該質量流量検出装置(30)は、前記低圧注入通路(8)内に流れる成形用コンパウンド質量流量を検出し、該成形用コンパウンド質量流量を表す成形用コンパウンド質量流量信号を生成するように構成されており、前記モールディング装置(1)は、前記成形用コンパウンド質量流量信号に応じて前記成形圧または成形用コンパウンド注入体積を制御するように構成されている、請求項1から6までのいずれか1項記載のモールディング装置(1)。
【請求項8】
前記モールディング装置(1)は、前記成形圧(19)を所定の時間間隔(38)の経過後に高めるように構成されている、請求項1から7までのいずれか1項記載のモールディング装置(1)。
【請求項9】
プラスチック圧力注型法により成形モジュールを形成する方法であって、
電子的な構成素子(15,16,17)を備えた回路担体(14)を、成形工具(1)の中空室(6,7)内に導入し、前記中空室(6,7)は、前記成形工具(1)により、低圧部分室と高圧部分室とに分割されており、
前記低圧部分室(6)に、前記成形工具(1)内に形成された、前記低圧部分室(6)に開口する低圧注入通路(8)を介して成形用コンパウンド(20)を充填し、
前記高圧部分室(7)に、前記成形工具(1)内に形成された、前記高圧部分室(7)に開口する高圧注入通路(9)を介して成形用コンパウンド(20)を充填し、
成形圧(18)を、所定の低圧値にまで高め、所定の時間間隔(38)後に、前記成形圧(18)を高圧値にまで引き続き高める、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
従来技術
本発明は、成形モジュール(Mold-Moduls)を形成するためのモールディング装置に関する。
【0002】
発明の開示
モールディング装置は、工具部分と、別の工具部分とを有している。工具部分と別の工具部分とは、一緒に1つの中空室を取り囲んでいる。これらの工具部分のうち、少なくとも一方の工具部分、または単に1つの工具部分が、少なくとも1つの分離ウェブを有している。分離ウェブは、中空室を少なくとも2つの、または2つだけの部分室、すなわち低圧部分室と高圧部分室とに分割するように配置されかつ形成されている。工具部分は、少なくとも2つの注入通路を有しており、これらの注入通路のうち低圧注入通路は、低圧部分室に開口しており、少なくとも1つの長手方向区分において、高圧部分室に開口する高圧注入通路よりも小さな横断面を有している。低圧注入通路は、特に所定の時間間隔の経過後または所定の時間間隔の間に、成形用コンパウンドの硬化によって耐圧式に閉塞させられるように構成されている。他方で、高圧注入通路は、低圧注入通路よりも長い時間、特に長い時間間隔にわたって成形圧を中空室内に伝達するように構成されている。これにより有利には、高圧注入通路内の成形用コンパウンドは、未だ流動性、特に粘性のままであってもよく、したがって、成形圧を高圧部分室に作用させ、したがって高圧部分室内に充填された成形用コンパウンドに作用させることができる。低圧部分室内に充填された成形用コンパウンドは、低圧注入通路が硬化させられた成形用コンパウンドによって閉塞させられた後に、好適には成形圧を低圧注入通路にも高圧注入通路にも作用させるように構成されている1つの共通のプレス装置によって形成される成形圧を受けることはできない。有利にはこれにより、工具部分を含む同一の工具内で、1つの成形プロセス中に、上記で成形圧とも呼ばれる互いに異なるプロセス圧力でそれぞれ形成されている互いに異なる成形体を形成することができる。
【0003】
好適な1つの実施形態では、低圧注入通路が、特に隣接する通路部分に比べて狭められた長手方向区分を有しており、この長手方向区分の横断面直径または横断面積が、高圧注入通路の横断面直径または横断面積の半分よりも小さい。有利には、成形用コンパウンドは、これにより所定の滞留時間後に低圧注入通路の狭められた長手方向区分内で硬化し、これにより狭められた長手方向区分を確実に閉塞させることができる。したがって、プレス装置により引き続き高めることができる成形圧は、横断面直径が十分に大きく形成されていて、これにより成形用コンパウンドが内部で硬化することができない高圧注入通路内にある、未だ粘性の成形用コンパウンドのみを介して、高圧部分室に作用することができる。
【0004】
好適な1つの実施形態では、分離ウェブは、工具部分により取り囲まれた回路担体上に特にばね弾性的に載着し、これにより回路担体と工具部分との間に形成された中空室を低圧部分室と高圧部分室とに分割するように構成されかつ配置されている。有利にはこれにより回路担体上に、それぞれ互いに異なるプロセス圧力で製造された互いに異なる2つの成形体または成形突出部を形成することができる。有利には、これにより低圧部分室で形成された一方の成形体内で、圧力敏感な構成素子、たとえば電解コンデンサ、センサまたは水晶振動子が成形用コンパウンド内に埋め込まれていてもよい。有利には、電解コンデンサ、センサまたは水晶振動子は、たとえば20バールを上回る過度に高い成形圧により破壊されることはない。したがって、有利には高圧部分室内では、高圧部分室に隣接する表面領域で回路担体上に配置されている電子的な構成素子を成形用コンパウンド内に埋め込むことができる。したがって、高圧部分室に配置された構成素子を50バール~200バール、好適には80バール~150バール、より好適には100バールの成形圧で成形用コンパウンド内に埋め込むことができる。有利には、これによりこのような高い成形圧で良好なアンダーフィル特性を達成することができるので、成形用コンパウンドは、電子的な構成素子、たとえば集積回路と回路担体との間の微細な隙間にも流れ込むことができる。
【0005】
好適な1つの実施形態では、工具部分は、この工具部分に結合された、またはこの工具部分に一体成形されたプレス装置を有している。プレス装置は、特に粘性の成形用コンパウンドを注入通路内に押圧するように構成されている。有利には、1つの成形工具により、かつ1つの成形プロセスステップにおいて、それぞれ互いに異なるプロセス圧力により互いに異なる成形体を形成することができる。
【0006】
好適な1つの実施形態では、モールディング装置が、圧力センサを有している。圧力センサは、低圧注入通路内の成形圧、特にプロセス圧力を検出するように構成されている。好適には、圧力センサは、低圧部分室の領域に配置されている。したがって有利には、モールディング装置は、成形圧を20バールから200バールにまで上昇させる前に、低圧部分室の領域における成形圧を検出することができ、これにより低圧注入通路が、この低圧注入通路において硬化した成形コンパウンドにより密に閉鎖されていることを確実にすることができる。このためには、モールディング装置は、好適には、処理装置、特にマイクロプロセッサまたはマイクロコントローラを有しており、処理装置は、圧力センサにより生成された圧力信号を受信し、圧力信号に応じて成形圧を上昇させるように設計されている。
【0007】
好適な1つの実施形態では、モールディング装置は、低圧注入通路内を流れる成形用コンパウンド質量流量を検出し、成形用コンパウンド質量流量を表す成形用コンパウンド質量流量信号を生成するように構成された質量流量検出装置を有している。さらに好適には、モールディング装置は、成形用コンパウンド質量流量信号に応じて成形圧または成形用コンパウンド質量流量注入体積を制御するように構成されている。したがって、有利には、成形プロセス中の成形用コンパウンド質量流量をモールディング装置によって検出することができるので、成形用コンパウンド質量流量信号によって低圧注入通路の閉塞を確実に検出することができる。
【0008】
成形用コンパウンド質量流量検出装置は、たとえば、成形用コンパウンドの誘電特性-好適には容量-を検出し、成形用コンパウンドの動き、特に流れを容量式に検出するように構成されている誘電式センサを有している。成形用コンパウンド質量流量センサは、検出された流れる成形用コンパウンドに応じて、容量の変化、または低圧注入通路の領域における静電容量を表す成形用コンパウンド質量流量信号を生成するように構成されている。有利には、成形用コンパウンド質量流量センサのセンサ信号に応じて、低圧部分室のための所定の最大圧力値、特に20バールを越えて成形圧をさらに上昇させるために、低圧注入通路の閉塞をセンサで検出することができる。
【0009】
好適な1つの実施形態では、モールディング装置は、成形圧を所定の時間間隔の経過後に高めるように構成されている。モールディング装置は、好適には、成形圧を、部分室内への成形コンパウンドの充填後に、20バールの成形圧にまで上昇させ、所定の時間間隔の経過後に、さらに好適には圧力信号および/または質量流量信号に応じて、成形圧をさらに100バールにまで上昇させるように構成されている。したがって有利には、それぞれ互いに異なるプロセス圧力で製造された複数の成形体を備えた1つの成形モジュールを、ただ1つの成形工具で形成することができる。
【0010】
本発明は、特に上述の種類のモールディング装置により形成される成形モジュールにも関する。成形モジュールは、20バール以下の成形圧で形成される成形体または成形突出部に埋め込まれている少なくとも1つの圧力敏感な構成素子、特に電解コンデンサ、水晶振動子またはセンサを有している。好適には、成形モジュールは、回路担体を有しており、成形体は回路担体に一体成形されているか、または回路担体が成形突出部内に埋め込まれている。圧力敏感な構成素子を備えた成形体は、たとえば、上述のモールディング装置の低圧部分室内で形成されていてもよい。したがって有利には、圧力敏感な構成素子は、プラスチック圧力注型法、たとえばトランスファ成形またはダイレクトインジェクション成形によって形成された成形体に損傷なしに埋め込まれていてもよい。この点において、成形モジュールは、互いに異なる2つの成形体、すなわち高圧成形体と低圧成形体を有しており、圧力鈍感な構成素子は、その都度高圧成形体内に埋め込まれており、圧力敏感な構成素子は、その都度低圧成形体内に埋め込まれており、低圧成形体は、高圧成形体より低いプロセス圧力で形成されている。
【0011】
本発明は、プラスチック圧力注型法により、たとえばトランスファ成形またはダイレクトインジェクション成形により成形モジュールを形成する方法にも関する。この方法では、1つの方法ステップにおいて、電子的な構成素子を備えた回路担体を、成形工具の中空室内に導入する。中空室は、好適には、成形工具によって低圧部分室と高圧部分室とに分割されている。別の方法ステップにおいて、低圧部分室に、成形工具に形成された、低圧部分室に開口する低圧注入通路を介して成形用コンパウンドを充填する。高圧部分室に、成形工具に形成され、高圧部分室に開口する高圧注入通路を介して、成形用コンパウンドを充填する。
【0012】
好適には、この方法で、成形圧、特に部分室に充填された成形用コンパウンドに注入通路を介して作用するプロセス圧力を、所定の低圧値、特に20バールにまで高める。さらに好適には、所定の時間間隔後、特に低圧注入通路の閉塞後に、成形圧を高圧値、特に100バールにまで引き続き高める。したがって有利には、低圧注入通路の閉塞により、成形圧はもはや低圧部分室に作用することはできない。したがって有利には、低圧部分室内に封入された圧力敏感な構成素子、特に電解コンデンサ、水晶振動子またはセンサが、引き続き上昇する成形圧によって損傷または破壊されることはない。
【0013】
好適には、回路担体に電子的な構成素子、特に少なくとも1つの、または複数の低圧構成素子がはんだ付けされている。さらに好適には、回路担体には、圧力鈍感な構成素子、特に集積回路、抵抗器、フィルムコンデンサまたは少なくとも1つの半導体構成素子、たとえばダイオード、または別の半導体構成素子がはんだ付けされている。圧力鈍感な構成素子は、好適には、高圧部分室内で形成される成形体内に埋め込まれている。有利には、互いに異なるプロセス圧力で製造された2つの成形体または成形突出部を有する成形モジュールが形成されていてもよい。成形体または成形突出部は、たとえば回路担体上に形成されていて、回路担体上に配置された電子的な構成素子を取り囲み、これらの構成素子は、それぞれの成形突出部内に突入する。
【0014】
本発明を以下に、図面および別の実施例につき説明する。別の有利な実施バリエーションは、図面および従属請求項に記載された特徴の組み合わせから生じる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】互いに異なる圧力でそれぞれ製造することができる互いに異なる2つの成形体を備えた成形モジュールを形成するように構成されているモールディング装置のための1つの実施例を示す図である。
図2図1に既に図示したモールディング装置を上から見た平面図である。
図3図1および図2に図示したモールディング装置により形成された成形モジュールを示す図であり、圧力敏感な構成素子と圧力鈍感な構成素子とが互いに異なる成形体内にそれぞれ埋め込まれている。
図4】横軸および縦軸を有するグラフのための1つの実施例を示す図である。
【0016】
実施例
図1は、モールディング装置1のための1つの実施例を概略的に示している。モールディング装置1は、工具部分2と、別の工具部分3とを有しており、これらの工具部分2,3は、一緒に1つの中空室を取り囲んでいる。本実施例では、中空室は、工具部分3にばね5を介してばね弾性的に結合された分離壁4(上記で分離ウェブとも記載)により、2つの部分室、すなわち低圧部分室6と高圧部分室7とに分割されている。本実施例では、このように形成された二枚貝状の工具内に、回路担体14が導入されており、この回路担体14は、モールディング装置1によって成形用コンパウンド20により取り囲まれてもよい。本実施例でも、回路担体は、この回路担体14に結合された電子的な構成素子、すなわち低圧構成素子15,16、特に電解コンデンサ、センサまたは水晶振動子を含んでいる。たとえば、本実施例では、電解コンデンサ15および水晶振動子16は、低圧部分室6内に突入している。本実施例では、回路担体14は、工具部分3上に載置されている。回路担体14には、別の電子的な構成素子、特に集積回路17も接続されている。本実施例では、別の構成素子、特に集積回路17が、高圧部分室7内に突入している。これら別の構成素子は、あまり圧力敏感ではないので、成形時の高い成形圧に耐えることができる。
【0017】
本実施例では、低圧部分室6は、低圧注入通路8に接続されている。低圧注入通路8は、1つの長手方向区分10において所定の横断面積12を有している。高圧部分室7は、高圧注入通路9に接続されており、高圧注入通路9は、1つの長手方向区分11において所定の横断面積13を有している。低圧注入通路8の横断面積12は、高圧注入通路9の横断面積13よりも小さい。
【0018】
成形モジュールを形成するために、電子的な構成素子15,16,17がはんだ付けされている回路担体14を、工具部分2,3を含む工具に挿入し、工具部分2,3により取り囲むことができる。ばね5によりばね弾性的に支持された分離壁4は、その際に回路担体14上に載着されてもよく、これにより、低圧部分室6が回路担体14と、ひいては低圧構成素子15,16にも隣接するが、分離壁4によって高圧部分室7からは分離されている。次いで、成形用コンパウンド20を、注入口8および注入口9を通じて成形工具内に入れることができる。この場合に、成形用コンパウンドは、低圧部分室6に開口する注入通路8を介して、低圧部分室6に流入することができる。高圧部分室7には、高圧部分室7に開口する注入通路9を介して成形用コンパウンドを充填することができる。成形工具への成形用コンパウンド20の充填後、成形圧を20バールにまで上昇させることができ、この成形圧で所定の時間間隔の間、保持することができる。この時間間隔の間に、成形用コンパウンド20は、長手方向区分11における、高圧部分室7のための注入通路9よりも、所定の長手方向区分10において狭く形成されている、注入通路8の長手方向区分10において凝集または固化して、硬化された成形用コンパウンド20’を形成する。したがって、低圧部分室6には、注入通路8を介して低圧部分室6に作用することができる成形圧がもはや作用しない。
【0019】
次いで成形圧は、図1には示されていない、プランジャを含むプレス装置によって、本例では100バールにまで、さらに上昇させることができる。図1は、低圧部分室6に作用接続されている圧力検出装置18および高圧部分室7に作用接続された圧力検出装置19も示している。本実施例では、圧力検出装置18は、注入通路8が、この注入通路8を閉塞する硬化した成形用コンパウンド20’によって閉鎖されている限りにおいて、低圧部分室6に最大限に作用することができる圧力である20バールの成形圧を示している。本実施例では、モールディング装置1は、工具部分2に一体成形されていてもよいプレス装置27も含んでいる。プレス装置27はプランジャ26を含んでおり、このプランジャ26は、注入通路8,9を介して粘性の成形用コンパウンド20を部分室、特に低圧部分室6もしくは高圧部分室7内へと押圧するように構成されている。
【0020】
本実施例では、モールディング装置1は、成形用コンパウンド質量流量センサ30も備えている。成形用コンパウンド質量流量センサ30は、特に低圧部分室6の領域における注入通路8内の成形用コンパウンド質量流量を検出し、成形用コンパウンド質量流量を表す質量流量信号を生成し、この質量流量信号を出力側で接続線路を介して処理ユニット28へと送出するように構成されている。モールディング装置1は、圧力センサ42も有しており、圧力センサは、低圧部分室6内の圧力を検出し、この圧力を表す圧力信号を生成し、処理ユニット28に送出するように配置されかつ構成されている。
【0021】
モールディング装置1は、処理ユニット28も含んでおり、この処理ユニット28は、入力側で受信した成形質量流量信号に応じて、かつ/または圧力信号に応じて、接続線路32を介してプレス装置27に制御信号を送信するように構成されている。プレス装置27は、受信した制御信号に応じて、特に20バールから100バールにまで成形圧を上昇させるように構成されている。
【0022】
したがって有利には、プレス装置27は、注入通路8内の成形用コンパウンド20の検出された静止状態に応じて、成形用コンパウンドの圧力を100バールにまで上昇させるように指示され得る。したがって有利には、低圧構成素子15,16、特に電解コンデンサまたは水晶振動子が、成形用コンパウンドの圧力が100バールにまで上昇させられた場合に破壊され得ないことを確実にすることができる。
【0023】
図2は、図1に既に示したモールディング装置1を、特に工具部分2を上から見た平面図で示している。本実施例では、工具部分2は、図1に既に図示したプランジャ26を含んでおり、このプランジャ26は、特に軟化した形態の成形用タブレットを軟化した成形用コンパウンドとして注入通路8,9を通して押圧し、注入通路8,9を介して低圧部分室6もしくは低圧部分室7内へと押し込むように構成されている。本実施例では、注入通路8,9は、工具部分2内でそれぞれ長手方向に延びる中空室として形成されている。図2は、プランジャ26に作用接続された注入通路24,25も示している。これらの注入通路24,25は、部分室6,7に対して、特に互いに対して点対称に配置された2つの部分中空室、すなわち低圧部分室21および高圧部分室22へと通じている。注入通路24は、図1に既に図示した低圧注入通路8と同様にネックを有する低圧注入通路として形成されており、このネックは、成形用コンパウンドが滞留時にネック内で硬化させられるように構成されている。
【0024】
図3は、成形モジュール30のための1つの実施例を示している。成形モジュール30は、たとえば、図1に図示したモールディング装置1によって形成されている。成形モジュール30は、成形突出部として形成された成形体31を有しており、この成形体31内には低圧構成素子15、16が埋め込まれている。成形モジュール30は、成形体32も有しており、この成形体32内には、高圧構成素子、特に集積回路17が埋め込まれている。成形体31,32は、溝33によって互いに分離されている。この溝は、回路担体14にまで延びている。回路担体14は、成形モジュール30の構成部分である。その限りでは、成形モジュールは、互いに異なる2つの成形体31,32、すなわち高圧成形体32と低圧成形体31とを有しており、圧力鈍感な構成素子17は、それぞれ高圧成形体32内に埋め込まれており、圧力敏感な構成素子15,16は、それぞれ低圧成形体31内に埋め込まれており、低圧成形体31は、高圧成形体32よりも低いプロセス圧力で形成されている。
【0025】
図4は、横軸34および縦軸35を有するグラフのための1つの実施例を示している。本実施例では、横軸34は時間軸を表し、縦軸35は、図1に図示した成形工具1による成形時に部分室6,7に作用する成形圧の圧力軸を表している。
【0026】
図4は、図1に図示したモールディング装置1により成形モジュールを形成するための成形圧の時間的な圧力経過を表す圧力曲線41も示している。時間間隔36の間、上昇する成形圧により成形モジュールを形成するための第1ステップにおいて、低圧部分室6に注入通路8を通じて成形用コンパウンド20を充填することができ、高圧部分室7に注入通路9を介して成形用コンパウンド20を充填することができる。
【0027】
時間間隔36に続く時間間隔37の間に、成形圧は引き続き所定の圧力値、たとえば20バールにまで上昇させることができる。この圧力値は、低圧部分室6のための最大圧力を形成する。
【0028】
所定の圧力値、本実施例では20バールへの到達時に、圧力は、時間間隔38の間、所定の圧力値に維持される。時間間隔38、ひいては圧力上昇に続く時間間隔38の間、所定の成形圧を、両方の部分室、すなわち低圧部分室6および高圧部分室7のために成形プレス装置によって維持することができる。成形用コンパウンド20は、長手方向区分10の注入通路内で硬化することができ、低圧部分室を閉鎖する硬化した成形用コンパウンド20’を形成することができる。時間間隔38に続く時間間隔39の間、成形圧を、高圧部分室7のための最終圧力に到達するまで、さらに上昇させることができる。高圧部分室7のための成形圧の最終圧力のための値は、本実施例では100バールである。
【0029】
したがって、圧力曲線41は、種々異なる5つの経過区分を有している。モールディング装置の部分室に成形用コンパウンドを充填する充填区分は、時間間隔36の間に延びている。この時間間隔36に続く圧力上昇区分は、時間間隔37の間に延びており、低圧部分室のための制限された圧力値、特に20バールを有する圧力維持区分は、時間間隔38の間に延びており、高圧部分室7のための高圧を加えるための別の圧力上昇区分は、時間間隔39の間に延びており、高圧部分室7のための最終圧力を維持するための最終圧力区分は時間間隔40の間に延びている。
図1
図2
図3
図4