(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-11
(45)【発行日】2024-03-19
(54)【発明の名称】ヘッドマウント可視化システム
(51)【国際特許分類】
H04N 5/64 20060101AFI20240312BHJP
【FI】
H04N5/64 511A
(21)【出願番号】P 2022552647
(86)(22)【出願日】2021-02-26
(86)【国際出願番号】 EP2021054900
(87)【国際公開番号】W WO2021175727
(87)【国際公開日】2021-09-10
【審査請求日】2022-09-29
(31)【優先権主張番号】102020202624.6
(32)【優先日】2020-03-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(31)【優先権主張番号】102020131029.3
(32)【優先日】2020-11-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】502303382
【氏名又は名称】カール ツアイス メディテック アクチエンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100202326
【氏名又は名称】橋本 大佑
(72)【発明者】
【氏名】クリストフ ハウガー
(72)【発明者】
【氏名】クリストフ シャエフ
(72)【発明者】
【氏名】ステファン ザウアー
【審査官】三沢 岳志
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/049997(WO,A1)
【文献】特表2013-542462(JP,A)
【文献】特開2015-177405(JP,A)
【文献】特開2003-250812(JP,A)
【文献】特開平08-286141(JP,A)
【文献】特開2017-203952(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
手術用可視化システムであって、
装着システム(1)を有するヘッドマウント可視化システム(20)と、
画像生成装置であって、前記画像生成装置に供給される画像データに基づいて画像情報を生成するように設計され、
少なくとも1つの光透過型
の光学システ
ムを有し、
前記光学システムを透過する光を2つの空間領域で異なるように偏光するように設計される偏光ユニット(10)を有し、
制御装置を有する
画像生成装置と、
記録された画像情報を立体視的に再現するステレオモニタ(24)と、
を含み、
前記光学システムは、前記画像生成装置により生成された画像情報をヘッドマウント可視化システム(20)を装着する人物に供給するように設計され、
前記制御装置は、前記画像生成装置に画像データを供給するように設計され、
前記光学システ
ムの光透過は異なる表面領域内で異なるように切替可能であり、
前記制御装置は、
前記ヘッドマウント可視化システムの位置に対する前記ステレオモニタの位置を画像認識によって特定し、
前記光学システ
ムの前記光透過を、前記ヘッドマウント可視化システム(20)の前記位置に対する前記
ステレオモニタ(24)の前記位置に応じて、前記光透過が、前記ヘッドマウント可視化システムのユーザが前記ステレオモニタ(24)を認識する前記表面領域におい
て高い光透過に切り替えられ、その他の表面領域における前記光透過は低減される方法で制御する
ように設計される、手術用可視化システム。
【請求項2】
前記手術用可視化システムは、画像記録装置を備える手術用顕微鏡又は内視鏡をさらに有し、
前記ステレオモニタは、前記画像記録装置で記録された画像情報を立体視的に再現するように設計される、
請求項1に記載の手術用可視化システム。
【請求項3】
前記ヘッドマウント可視化システムはアイトラッカを有し、前記制御装置は、前記画像生成装置に供給された前記画像データを、前記アイトラッカからの出力データに応じて制御するように設計される、請求項1又は2に記載の手術用可視化システム。
【請求項4】
前記ヘッドマウント可視化システムはマイクロフォンを有し、前記制御装置は、前記マイクロフォンで記録された音響情報に応じ
て手術用顕微鏡を制御するように設計される、請求項2又は3に記載の手術用可視化システム。
【請求項5】
前記ヘッドマウント可視化システムはマイクロフォンを有し、前記制御装置は、前記マイクロフォンで記録された音響情報に応じて前記画像生成装置に供給される前記画像データを制御するように設計される、請求項2又は3に記載の手術用可視化システム。
【請求項6】
前記ヘッドマウント可視化システムは、前記ヘッドマウント可視化システムの空間アラインメントにおける変化を特定するためのジャイロスコープセンサを有し、前記制御装置は、前記ジャイロスコープセンサからの出力データに応じ
て手術用顕微鏡又は内視鏡を制御するように設計される、請求項1~5の何れか1項に記載の手術用可視化システム。
【請求項7】
前記ヘッドマウント可視化システムは前記ヘッドマウント可視化システムの空間アラインメントの変化を特定するためのジャイロスコープセンサを有し、前記制御装置は、前記ジャイロスコープセンサからの出力データに応じて前記画像生成装置に供給される前記画像データを制御するように設計される、請求項1~6の何れか1項に記載の手術用可視化システム。
【請求項8】
前記光学システムの前記光透過は、異なる表面領域内で異なるように切替可能であり、前記制御装置は、前記画像生成装置により生成される前記画像情報が前記
ヘッドマウント可視化システムを装着する人物に供給される表面領域において、前記光学システムの光透過を低減させるように設計される、請求項1~7の何れか1項に記載の手術用可視化システム。
【請求項9】
前記偏光ユニットは、取外し可能且つ保持可能に設計される、請求項1~8の何れか1項に記載の手術用可視化システム。
【請求項10】
前記偏光ユニットと前記光透過型
の光学システムは前記装着システム上に保持され、それによってこれらは相互に交換可能である、請求項1~9の何れか1項に記載の手術用可視化システム。
【請求項11】
第一の光透過型光学システムが左眼のために存在し、第二の光透過型光学システムが右眼のために存在する、請求項1~10の何れか1項に記載の手術用可視化システム。
【請求項12】
前記偏光ユニットは、前記第一の
光透過型光学システムの上流の第一の偏光子と前記第二の
光透過型光学システムの上流の第二の偏光子を有する、請求項11に記載の手術用可視化システム。
【請求項13】
前記偏光ユニットは、前記光学システムを透過する光を相互に垂直な方向に偏光するように設計される、請求項1~12の何れか1項に記載の手術用可視化システム。
【請求項14】
前記偏光ユニットは前記光学システムを透過する光を円形に反対方向に偏光するように設計される、請求項1~12の何れか1項に記載の手術用可視化システム。
【請求項15】
手術環境を可視化する方法であって、
ステレオモニタ上に手術領域の画像が提示され、
前記ステレオモニタ上に提示された前記画像が、偏光フィルタを備えるヘッドマウント可視化システムを通じて観察され、
光学システムによって、前記ヘッドマウント可視化システムを装着するユーザに画像情報が供給され、
前記ヘッドマウント可視化システムの位置に対する前記ステレオモニタの位置が画像認識によって特定され、
前記光学システムの光透過が、前記ヘッドマウント可視化システムの前記位置に対する前記ステレオモニタの前記位置に応じて、前記ユーザが前記ステレオモニタを認識する表面領域において高い光透過に切り替えられ、その他の表面領域において低減される方法。
【請求項16】
前記ヘッドマウント可視化システムによって追加の拡張情報がさらに提供され、
前記ヘッドマウント可視化システムは制御データを生成し、前記ステレオモニタ上に提示された前記拡張情報及び/又は画像情報、及び/又は電動スタンドの動き、及び/又は手術用顕微鏡の機能は、前記
ヘッドマウント可視化システムにより生成される前記制御データに応じて制御される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
センサ及び/又は前記ヘッドマウント可視化システムのセンサからの出力データと提供される拡張情報との間の関連付けを構成することをさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記拡張情報はビデオ伝送によって送信される、請求項
16又は17に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘッドマウント可視化システム、ヘッドマウント可視化システムを有する手術用可視化システム、及び手術環境での可視化の方法に関する。
【背景技術】
【0002】
顕微鏡下手術では、手術用顕微鏡が使用されて手術部位が拡大され、可視化される。拡大に加えて、立体視の感覚が処置の成功にとってきわめて重要である。アナログ式手術用顕微鏡は長年にわたり、立体光学系及び対眼レンズを通じた観察によってこのような要求事項を満たしてきた。対眼レンズを通じた観察に加えて、現代の外科用顕微鏡の中には、ステレオモニタを利用してデジタル3D可視化も提供するものがある。
【0003】
ステレオモニタに加えて、ブームシステムやヘッドマウントディスプレイ(HMD)として知られているものが、立体視ビデオ画像データの可視化用として検討されている。ブームシステムは小型のデジタル対眼レンズであり、これは実質的に2つのマイクロディスプレイと2つの対眼レンズからなり、スタンドに取り付けられる。それはと対照的に、HMDはヘッドマウントシステムであり、二種類が利用可能である:VR-HMDは現実の環境を完全にブロックして、マイクロディスプレイによりデジタル3Dデータのみを表示する。それに対してAR-HMDでは、現実の環境を見ることができ、現実世界上の空間的に固定されたオーバレイで提示されるデジタルコンテンツの拡張が可能となる。対応するAR-HMDは例えばMagic Leapから入手できる。
【0004】
しかしながら、現時点で、HMDがいまだに、又はめったに顕微鏡下手術に使用されない理由には2つある。
【0005】
「手術ユースケース」として知られるもの、すなわち手術部位の画像データを術中に外科医に提示することに関する画像品質要件は非常に高く、現在のHMDでは満たされない。これは、HMDがごく軽量小型である必要があることによるものであり、つまりは画像品質の点での妥協がなされなければならないことを意味する。これはまた、典型的な民生用途では高い画像品質に対する要求事項が不要であることにもよる。
【0006】
今日のHMDにおいて、上述の手術ユースケースではVRモードに対応する動作が要求されており、なぜなら、外科医は可能な限り最善の立体視方式で手術部位を認識できなければならないからである。しかしながら、数多くの用途でHMDがARモードで動作するように求められる:例えば、処置の開始時には開頭術の部位を患者の頭蓋骨上に直接オーバレイすることが有益である。HMDはまた、外科医が現実の環境を見ること、例えば器具の置かれた無菌テーブルを見ることができるようにすべきである。今述べたユースケースから、したがって、AR及びVRモード間で切り替えることのできるHMDが必要であるように見える。現在利用可能なHMDの中に、遠隔的にも適切であるVRモードでの画像品質が得られるこのような技術を用いているものは皆無である。これは、HMDが現時点で顕微鏡下手術においてまったく、又はほとんど使用されない2つ目の理由である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、基本的に顕微鏡下手術での使用に適したヘッドマウント可視化システムを提供しようとするものである。本発明はまた、ヘッドマウント可視化システムを有する手術用可視化システム及び、ヘッドマウント可視化システムを用いて手術環境中で可視化する方法も提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的は、特許請求項1の特徴を有するヘッドマウント可視化システムと、特許請求項10の特徴を有する手術用可視化システムと、特許請求項20の特徴を有する可視化方法により達成される。有利な実施形態は、特許請求の従属項の特徴から明らかである。
【0009】
ヘッドマウント可視化システムの実施形態は:
・装着システムと、
・少なくとも1つの光透過型光学システムと、
・画像生成装置であって、画像生成装置に供給される画像データに基づいて画像情報を生成するように設計された画像生成装置と、
を含み、
・光学システムは、画像生成装置により生成された画像情報を、可視化システムを装着する人物に供給するように設計され、
・光学システムを透過する光を2つの空間領域において異なるように偏光するように設計された偏光ユニットと、
を有する。
【0010】
本発明は、従来のAR-HMDをステレオモニタと共に使用するという基本的アイディアに基づく。偏光ユニットはしたがって、ユーザが、HMDの光学システムを通じて見た時に、HMDでステレオモニタ上に提示される画像を立体視的に正確に認識できるようになされる。この目的のために、偏光ユニットはステレオモニタの偏光子と相互作用するように設計できる。
【0011】
光透過型光学システムは、装着システム上に保持され、又は保持可能とすることができるか、そこに配置されるか、装着システム内に組み込まれることができる。
【0012】
画像生成装置は、装着システム内に組み込まれ、又は装着システム上に保持され、若しくは保持可能とし、又は装着システム上に配置されることができる。
【0013】
さらに、光学システムは、それが装着システム内に保持される状態で、同じく装着システム内に保持されるか、又はその中に組み込まれる画像生成装置により生成された画像情報を可視化システムを装着する人物に供給するように設計できる。
【0014】
偏光ユニットは、装着システム上に保持され、又は保持可能とすることができ、又はその上に配置されるか、装着システム内に組み込まれることができる。
【0015】
1つの実施形態において、偏光ユニットは、それを取り外して装着システム上に保持できるように設計される。この実施形態では、ユーザは、偏光ユニットに起因する光の減衰が前記ユーザにとって障害であれば、偏光ユニットのない可視化システムを使用することができる。
【0016】
別の実施形態において、偏光ユニット及び光透過型光学システムは装着システム上に保持され、それによってこれらは相互に交換可能である。この実施形態において、ユーザは任意選択的に、拡張情報を必要としない場合には偏光ユニットのみを使用し、又は拡張を希望するが、ストステレオモニタ上に提示される画像の立体視を必要としない場合は光学システムのみを使用することができる。第三の変形型では、ユーザはステレオモニタ上に提示される画像の立体視を望み、追加の拡張情報も受け取りたい場合、光学システムと偏光ユニットの両方を使用できる。
【0017】
別の実施形態は、左眼のための第一の光透過型光学システムと右眼のための第二の光透過型光学システムを有する。この実施形態では、偏光ユニットは第一の光学システムの上流の第一の偏光子と第二の光学システムの上流の第二の偏光子を有することができる。
【0018】
1つの実施形態において、偏光ユニットは、光学システムを透過する光を相互に垂直な方向へと2つの異なる表面領域において偏光するように設計される。相互に垂直な偏光方向は例えば、相互に垂直な直線偏光方向又は相互に直交する円偏光方向、すなわち右円と左円とすることができる。
【0019】
他の実施形態によれば、偏光ユニットは直線偏光フィルタ及びλ/4板を含み、λ/4板はユーザの第一の眼の方向に直線偏光フィルタの上流に配置され、すなわち、λ/4板は可視化システムが頭部に装着されたときに、直線偏光フィルタより眼から遠くに配置される。λ/4板の速軸の後続の直線偏光フィルタのアラインメントに対する向きに応じて、偏光ユニットは光を左円偏光で、又は右円偏光で透過させるように設計でき、光は、それが直線偏光フィルタを透過すると、直線偏光を有する。
【0020】
別の実施形態において、光学システムの光透過は制御された方法で切替可能又は可変的である。特に、光学システムの光透過は、異なる表面領域で異なる可変性を有することができる。この実施形態では、光透過は、光学システムの異なる表面領域を異なる光透過に切り替えることによって周囲条件に合わせることができる。例えば、ユーザが拡張情報を認識するフィールド領域内の光透過を低減させて、拡張情報が明るい周囲光の中でも容易に認識できるようにすることが可能である。他方で、光透過を、ユーザが立体表示を認識するフィールド領域では特に高く切り替えることが可能である。
【0021】
切替可能な光透過を有する対応する層は、例えばLCDディスプレイと同様に、又はピクセルごとに制御可能なエレクトロクロミック層として実装できる。
【0022】
光学システムの光透過は、光減衰器を利用して制御された方法で切替可能又は可変的とすることができる。この目的のために、偏光フィルタは偏光ユニット内に配置され、光減衰器は光学システム内に配置される。光減衰器はここで、眼に向かう光の方向において偏光フィルタの下流に配置される。光減衰器を偏光子の下流に配置することにより、自然の視野の部分的領域をブロックしながら、光学システムを透過する偏光の、2つの空間領域内で異なる立体視が行われるのに必要な特性に影響を与えないようにすることができる。
【0023】
光減衰器は、制御可能な液晶層を有することができる。液晶層は、1つ又は複数の別々に制御可能な液晶ピクセル又は液晶セグメントを含むことができる。このようにして、液晶層の異なる点に、それらの入射光に対する効果において影響を与えることが可能となる。
【0024】
光減衰器は、射出直線偏光フィルタと入射直線偏光フィルタを有し得る。例示的な実施形態において、光減衰器の入射偏光フィルタは偏光ユニットの直線変形フィルタと同じとすることができる。このようにして、光学システムの光学素子は必要に応じて省略できる。このことにより、ヘッドマウント可視化システムをより容易に設計し、おそらくはより費用対効果の高い方法で生成することが可能となる。
【0025】
液晶層は、画像生成装置により生成された画像情報を可視化システムを装着する人物に供給するように構成できる。例えば、液晶ピクセルを異なるように制御して、ヘッドマウント可視化システムのユーザに対し、追加のパラメータを表示することができる。
【0026】
ヘッドマウント可視化システムは、画像生成装置により生成される画像情報を可視化システムを装着する人物に供給するためのミラーを含みて、ミラーはユーザの第一の眼に向かう光の方向に光減衰器の下流に配置され、すなわち可視化システムが人物の頭部に装着された状態で、光減衰器はミラーより眼から遠くに配置される。
【0027】
画像生成装置により生成された画像情報を可視化システムを装着する人物に供給するために導波路を提供することも想定可能であり、導波路はユーザの第一の眼に向かう光の方向において光減衰器の下流に配置され、すなわち、可視化システムが人物の頭部に装着されたときに、光減衰器は導波路より眼から遠くに配置される。その結果、光減衰器は、特に非常に明るい環境で表示された画像情報を認識しやすくすることができる。
【0028】
ヘッドマウント可視化システムは、特に外科的処置中の使用に適当であり得る。特に、ヘッドマウント可視化システムは、それを外科的処置後に容易に殺菌できるような方法で設計できる。さらに、提案されるヘッドマウント可視化システムは、ヘッドマウント可視化システム自体で立体画像を生成する必要性をなくすことによって、より軽量化できる。ヘッドマウント可視化システムはしたがって、既知のヘッドマウント可視化システムよりエネルギ消費量を低くすることができ、それゆえ、同じバッテリ容量で、手術中のより長時間の使用又はより軽量のヘッドマウント可視化システムを提供できる。
【0029】
手術用可視化システムの1つの実施形態は、本特許出願に記載されているヘッドマウント可視化システムと、手術用顕微鏡又は画像記録装置を備える内視鏡と、画像記録装置で記録される画像情報を立体視的に再現するように設計されたステレオモニタと、を含む。
【0030】
手術用可視化システムは、画像データを画像生成装置に供給するように設計される制御装置を有することができる。
【0031】
別の実施形態において、ヘッドマウント可視化システムはアイトラッカを有し、制御装置は、アイトラッカからの出力データに依存して画像生成装置に供給される画像データを制御するように設計される。
【0032】
別の実施形態において、ヘッドマウント可視化システムはマイクロフォンを有し、制御装置は、マイクロフォンで記録された音響情報に依存して手術用顕微鏡を制御するように設計される。
【0033】
別の実施形態において、ヘッドマウント可視化システムはマイクロフォンを有し、制御装置は、マイクロフォンで記録された音響情報に依存して画像生成装置に供給される画像データを制御するように設計される。
【0034】
別の実施形態において、ヘッドマウント可視化システムは、ヘッドマウント可視化システムの空間アラインメントにおける変化を特定するためのジャイロスコープセンサを有し、制御装置は、ジャイロスコープセンサからの出力データに依存して手術用顕微鏡を制御するように設計される。
【0035】
別の実施形態において、ヘッドマウント可視化システムはヘッドマウント可視化システムの空間アラインメントの変化を特定するためのジャイロスコープセンサを有し、制御装置は、ジャイロスコープセンサからの出力データに依存して画像生成装置に供給される画像データを制御するように設計される。
【0036】
別の実施形態において、光学システムの光透過は、異なる表面領域内で異なるように切替可能であり、制御装置は、画像生成装置により生成される画像情報が可視化システムを装着する人物に供給される表面領域において、光学システムの光透過を低減させるように設計される。
【0037】
別の実施形態において、ヘッドマウント可視化システムはカメラを有し、制御システムは、画像認識によって、ヘッドマウント可視化システムの位置に対するステレオモニタの位置を特定するように設計される。この実施形態において、光学システムの光透過は異なる表面領域で異なるように切替可能であり、制御装置は、ヘッドマウント可視化システムの位置に対するステレオモニタの位置に応じて光学システムの光透過を制御するように設計できる。
【0038】
手術環境を可視化する方法は、ステレオモニタ上に手術領域の画像を提示するステップと、
ステレオモニタ上に提示された画像を偏光フィルタを備えるヘッドマウント可視化システムを通じて観察するステップと、
ヘッドマウント可視化システムによって追加の拡張情報を提供するステップと、
を含む。
【0039】
可視化方法の1つの実施形態において、ヘッドマウント可視化システムは制御データを生成し、ステレオモニタ上に提示された拡張情報及び/又は画像情報、及び/又は電動スタンドの動き、及び/又は手術用顕微鏡の機能は、可視化システムにより生成される制御データに依存して制御される。
【0040】
方法の1つの実施形態において、ヘッドマウント可視化システムのセンサ間の割り当て、又はセンサの出力信号及びヘッドマウント可視化システムを介して提供されることになる拡張情報は、ユーザにより構成可能とすることができる。
【0041】
可視化システムと、可視化システムを有する手術ワークステーションについて、下記のような図面に関して以下により詳しく説明する:
【図面の簡単な説明】
【0042】
【
図1】ヘッドマウント可視化システムのある実施形態の概略図を示す。
【
図2】可視化システム内の光学システムのための光減衰器を備える偏光ユニットのある実施形態の概略図を示す。
【
図3】可視化システム内の光学システムのための光減衰器を備える偏光ユニットの第二の実施形態の概略図を示す。
【
図4】可視化システム内の光学システムのための光減衰器を備える偏光ユニットの第三の実施形態の概略図を示す。
【
図5】可視化システム内の光学システムのための光減衰器を備える偏光ユニットの第四の実施形態の概略図を示す。
【
図6】可視化システム内の光学システムのための光減衰器を備える偏光ユニットの第六の実施形態の概略図を示す。
【
図7】可視化システムを備える手術ワークステーションの概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0043】
図1の可視化システムは実質的に、拡張現実グラス(ARグラス)として知られるもの、又は拡張現実ヘッドマウントディスプレイ(AR-HMD)として知られるものに基づいている。システムは装着システム1を有し、これは
図1では左右の耳掛け部1a、1bを備える眼鏡フレームとして示されている。光学システム6、7を備えるモジュール11が装着システム1に保持される。光学システム6、7は、可視スペクトル範囲内の光を少なくとも部分的に透過させる。
【0044】
画像生成装置2は、例えばマイクロディスプレイの形態であり、装着システム1に組み込まれるか、その上に配置される。画像生成装置2は、無線インタフェース15、例えばBluetoothインタフェース又はWLANインタフェースを介して、制御コンピュータ16により制御され、それにより提示されることになる画像データが供給され得る。画像生成装置2により再現される画像情報は、レンズ3及び偏向ミラー4を介して光学システム6、7の側面の方向に向けられる。光学システム6、7は内部回折構造と、導波素子(図示せず)として知られるものであり、これは画像生成装置2により生成され、光学システム6、7の中へと結合される画像情報を、可視化システムを装着する頭部の眼Rの方向(視線方向軸5)の方向へと偏向させ、光学システム6、7から外に結合する。
【0045】
光学システム6、7は切替可能コーティング6a、7aを有し、それを用いて光学システム6、7の光透過を切り替えることができる。コーティングはここで、光学システムの光透過が、光学システムの視線方向軸5を横切る異なる表面領域において異なるように設定可能となるように設計される。例えばこれは、ユーザが光学システムを通過する周囲光上のオーバレイとして画像生成装置により生成される画像情報を見る表面領域では光学システム6、7の透過を減じることができる。その結果、画像生成装置により生成される画像情報は、明るい環境でもよく認識できる。
【0046】
さらに、可視化システムは、別のモジュール10、2つの偏光フィルタ8、9を備える偏光ユニットを有する。偏光フィルタ8の一方が透過させる周囲光の偏光方向は、他方の偏光フィルタを通過する周囲光の偏光方向に垂直に偏光される。これは、
図1の2つの矢印18、19により示されている。偏光フィルタの偏光方向18、19は、ステレオミラー(
図1では図示せず)の偏光方向に合わせて調整され、それによって、可視化システムを装着するユーザの左眼Lの正面に配置された第一の偏光フィルタ8は、ステレオモニタの左眼L用とされる光のみを、又は実質的にそれのみを透過させ、またそれによって、可視化システムを装着するユーザの右眼Rの正面に配された第二の偏光フィルタ9は、ステレオモニタの右眼R用とされる光のみを、又は実質的にそれのみを透過させる。
【0047】
光学システム6、7を備えるモジュール11と偏光フィルタを備えるモジュール10は、交互に又は組合せて装着システム1に選択的に追加でき、その結果、ユーザは偏光フィルタモジュール10とのみ動作するか、光学システム6、7を有するモジュール11とのみ動作するか、又は同時に、一方が他方の背後に直列に配置される両方のモジュール10、11と共に動作するかを選択できる。
【0048】
装着システム1は、複数の別のセンサ、特に前方カメラ12、装着システム上に保持されるか、装着システム1に組み込まれるマイクロフォン13、アイトラッカ17、及びジャイロスコープセンサ14をさらに有する。装着システム1の空間内の回転及びチルト運動はジャイロスコープセンサ14により特定され、そのような回転及びチルト運動を特徴付ける出力データを生成できる。アイトラッカ17により、可視化システムを装着するユーザの眼の動きを捕捉することができ、この眼の動きを特徴付ける出力データを生成できる。カメラ12、マイクロフォン13、アイトラッカ17、及びジャイロスコープセンサ14により生成される出力データは、無線インタフェース15を介して制御コンピュータに送信できる。
【0049】
図1に示される実施形態は、2つの光学システム6、7を有し、そのうちの1つ目は可視化システムを装着するユーザの左眼に割り当てられ、2つ目は右眼に割り当てられる。代替的な実施形態では、それに対して、1つの光学システムのみが存在し得て、これは可視化システムを装着するユーザの両眼の視野をカバーする。
【0050】
図1に示される実施形態は、1つの画像生成装置2のみを有し、画像生成装置2により再現される画像情報は片眼Rに対してのみ提示される。代替的な実施形態において、画像生成装置2で再現される画像情報はまた、両眼に対して同時に提示することもできる。この場合、画像生成装置により生成される光の一部は1つの光学システム6に結合でき、画像生成装置2により生成される光の別の一部はもう一方の光学システム7へと結合できる。この場合、両方の光学システムは、光学システムへと結合された光をこの光学システムに関連付けられる眼へと向けるために、組み込まれた回折構造及び導波素子を有していなければならない。
【0051】
別の代替的実施形態では2つの画像生成装置も提供でき、その一方はそれが生成した光を2つの光学システムのうちの1つ目へと結合し、他方はそれが生成した光を他方の、第二の光学システムへと結合する。
【0052】
図2は、ヘッドマウント可視化システムの要素をより詳しく示している。ヘッドマウント可視化システムは、ユーザ1002の第一の眼に割り当てられる第一の光学チャネル3100と、ユーザ1002の第二の眼に割り当てられる第二の光学チャネル3200を有する。スクリーン1003は、第一の偏光及び第二の偏光を有する画像を同時に提示できる。第一の偏光は、例えば
図2において上向きの矢印で示される垂直偏光と、
図2において円で示される水平偏光とすることができる。ヘッドマウント可視化システムは、第一の光学チャネル3100内の第一の偏光子3110と第一の偏光子3110とユーザ1002の眼との間の第一の光減衰器3120を有する。第一の偏光子3110は、第一の直線偏光フィルタ3111を含み、それによって垂直偏光された光のみが通過する。第一の光減衰器3120は、第一の入射偏光フィルタ3121と第一の射出偏光フィルタ3123を有する。第一の液晶層3122は、複数の個別制御可能な液晶ピクセル又は液晶セグメント(図示せず)を有し、第一の入射偏光フィルタ3121と第一の射出偏光フィルタ3123との間に配置される。第一の液晶層3122は、垂直偏光を回転させ、その結果、液晶層を通過する光は第一の液晶層の下流で垂直及び水平偏光の直線合成を有する。この場合、回転度数は、第一の液晶層3122のピクセル又はセグメントを適切に制御することによって変えることができる。第一の射出偏光フィルタ3123によって、垂直偏光された光のみが透過させられる。したがって、第一の液晶層3122と第一の入射偏光フィルタ3121及び第一の射出偏光フィルタ3123との組合せが光を減衰させる。
【0053】
同様に、第二の光学チャネル3200は、第二の直線偏光フィルタ3211を備える第二の偏光子3210と、第二の入射偏光フィルタ3221、第二の液晶層3222、及び第二の射出偏光フィルタ3223を備える第二の光減衰器3220を含む。第一のチャネル3100と異なり、第二のチャネル3200は、水平偏光された光のみを透過させる。それゆえ、チャネルの分離が起こり、それによってヘッドマウント可視化システムのユーザはスクリーン1003により表示される画像を立体視できる。
【0054】
図3は、第一のチャネル4100と第二のチャネル4200を備える、別の、部分的に光透過型の光学システムを示す。第一のチャネルは第一の偏光子4110と、その後に配置される光減衰器4120を有する。第一の偏光子4110の直線偏光フィルタ4111はしたがって、第一の光減衰器4120の入射偏光フィルタと同じであり、すなわち、第一の偏光子4110の直線偏光フィルタ4111は同時に、第一の光減衰器4120の入射偏光フィルタを形成する。第一の光減衰器4120は、第一の液晶層4122と第一の射出偏光フィルタ4123をさらに有する。
【0055】
第一のチャネル4100は今度は、垂直偏光の光を実質的に透過させる。光学システムは、第二の偏光子4210と第二の光減衰器4220を備える第二のチャネル4200をさらに有する。第二の偏光子4210の直線偏光フィルタ4211は今度は、第二の光減衰器4220の入射偏向フィルタと同じであり、すなわち、第二の偏光子4210の直線偏光フィルタ4211は同時に第二のチャネルの第二の光減衰器4220の入射偏光フィルタも形成する。第二の光減衰器4220はそれに加えて、第二の液晶層4222及び第二の射出偏光フィルタ4223を有する。第一のチャネル4100と異なり、第二のチャネル4200は実質的に水平偏光の光のみを透過させる。
【0056】
図3の光学システムにより、
図2の光学システムと比較して、第一及び第二の両方のチャネルにおいて直線偏光フィルタをなくすことができる。
【0057】
図4は、左円偏光及び右円偏光で画像を生成する3Dモニタに適した別の光学システムを示す。円偏光の使用はヘッドマウント可視化システムのユーザにとって、左右のチャネルの各々に割り当てられる画像のクリーンな分離が、頭を傾けた場合でも可能なままであるという利点が提供される。
【0058】
図4による光学システムは、第一のチャネル5100と第二のチャネル5200を有する。第一の偏光子5110及び第一の光減衰器5120は、第一のチャネル5100内に配置される。第一の偏光子は、第一の直線偏光フィルタ5111と第一のλ/4板5112を含む。第一の直線偏光フィルタ5111は、第一のλ/4板5112とヘッドマウント可視化システムのユーザ1002の眼との間に配置される。第一の偏光子5110は右円偏光の光しか透過させず、これは、偏光子5110の下流に垂直偏光が存在することを意味する。第一の入射偏光子5121、第一の液晶層5122、及び第一の射出偏光フィルタ5123の使用により、第一の光減衰器5120を通過する光は減衰する。
【0059】
同様に、第二のチャネル5200は第二の偏光子5210と第二の光減衰器5220を有する。第二の偏光子5210は、第二のλ/4板5212を含み、第二のλ4板5212とヘッドマウント可視化システムのユーザ1002の眼との間に配置された第二の直線偏光フィルタ5211を有する。第二の偏光子5210は、左円光だけが第二の偏光子5210を通過できるという効果を有し、第二の偏光子5210の下流に水平偏光が存在する。すると、水平偏光は第二の入射偏光フィルタ5221、第二の液晶層5222、及び第二の射出偏光フィルタ5223により減衰される。
【0060】
図5は、円偏光に使用できる、ヘッドマウント可視化システムの別の例を示す。ヘッドマウント可視化システムの光学システムはここでも、第一のチャネル6100と第二のチャネル6200を有する。
【0061】
第一のチャネル6100の第一の偏光子6110と第二のチャネル6200の第二の偏光子6210は、共通の1つのλ/4板6112/6122を共有する。さらに、第一の光減衰器6120の入射偏光フィルタは第一の偏光子6110の直線偏光フィルタ6111と同じであり、第二の光減衰器6220の入射偏光フィルタ6211は第二の偏光子6210の直線偏光フィルタ6211と同じである。2つの光減衰器6120及び6220のλ/4板6112/6212の速軸に対する異なるアライメントによって、右円光だけが第一のチャネル6100を通過でき、左円光だけが第二のチャネル6200を通過できる。
【0062】
図6は、ヘッドマウント可視化システムのさらに詳細部を示す。
図3と同様に、光減衰器
7120の入射偏光フィルタは偏光子
7110の直線偏光フィルタ
7111と同じである。
図6による例示的実施形態は、2つのチャネルに共通の光減衰器7120の1つの入射偏光フィルタ7111を有し、これは同時に、両方のチャネルに共通の偏光子7110の1つの直線偏光フィルタも形成する。第一のチャネル7100の光減衰器7120はそれゆえ、第二のチャネルの光減衰器7220と同じであり、すなわち、本実施形態による可視化システムには両方のチャネルに共通の1つの光減衰器しかない。第一のチャネルの第一のλ/4板7112と第二のチャネルの第二のλ/4板7212の直線入射偏光フィルタ7111/7211に対する異なるアラインメントにより、第一のチャネル7100の、右円偏光で第一のλ/4板7112に入射する光は、右チャネル7100を通過でき、左円偏光で第二のλ/4板7212に入射する光は、第二のチャネル7200を通過できる。したがって、
図6による光学システムではチャネルを分離でき、その結果、ヘッドマウント可視化システムのユーザはスクリーンにより表示される3次元画像データを立体視できる。
【0063】
手術用可視化システムが
図7に示されている。これは、上述のヘッドマウント可視化システム20を有する。さらに、これは手術用顕微鏡22又は内視鏡(図示せず)のためのスタンド21を有する。スタンドは、関節式接続部21a、21bのためのモータドライブを有する。簡素化するために、図
7では2つの関節式接続部しか示されていないが、このようなスタンドは一般に、関連するドライブモータを備える少なくとも6つの関節式接続部を有し、その結果、スタンド21に保持される手術用顕微鏡22又は内視鏡はその6自由度において自由に動くことができ、何れの地点にも、また何れの向きにも移動できる。
【0064】
手術用顕微鏡22又は内視鏡は、画像記録装置23を有し、これは例えばステレオカメラ又は2つの個々のカメラの形態であり、それによって術野の立体画像情報を記録できる。画像記録ユニット23で記録された立体画像情報は、制御コンピュータ16により読み取られ、それによってステレオモニタ24に送られる。したがって、術野の立体画像はステレオモニタ24上に提示される。ステレオモニタ24はこの場合、2つの立体部分画像を生成する。2つの部分画像の光は異なる偏光を有し、その結果、右の部分画像の偏光は左の部分画像の偏光に垂直であり、又は直交する。2つの立体部分画像を直線偏光で分離することの代替案として、円偏光も使用できる。
【0065】
ヘッドマウント可視化システム20を装着するユーザは、ステレオモニタ24上に再現される立体画像を正しい向きで立体視でき、これは、ヘッドマウント可視化システム20の2つの偏光フィルタ8、9の偏光方向が、ステレオモニタ24の偏光方向に合わせて調整されるからである。それと同時に、ユーザはまた、術野又は環境中のその他の物体、例えば器具が置かれた殺菌テーブル等を、ヘッドマウント可視化システム20の光学システム及び偏光フィルタを通して直接見ることもできる。
【0066】
本来はユーザにとって視覚的にアクセスできない追加の仮想情報が、ヘッドマウント可視化システム内の画像生成装置を介してユーザにオーバレイとして提示できる。このような追加情報は、手術室内のユーザの視野内にない、その他の機器から送られた情報、又は手術前に取得されていた情報、例えばメモリ26内に保存されたコンピュータトモグラフィの画像情報や磁気共鳴画像とすることができる。しかしながら、追加情報はまた、手術中に他の人物、例えば他の場所からビデオ伝送により遠隔的に参加し、手術用顕微鏡で記録されたビデオ画像がビデオ伝送を介して提供されるその他の専門家又は病理専門医により提供される情報とすることもできる。この専門家又は病理専門医は、そのビデオモニタ上に拡張情報を入力でき、それがするとビデオバック送信を介して制御コンピュータ16に送信される。対応する情報は、制御コンピュータから無線インタフェース15を介してヘッドマウント可視化システム20へと送られる。
【0067】
ヘッドマウント可視化システムのセンサは、スタンド21のドライブ21a、21bの、又は手術用顕微鏡22のその他の機能や画像生成装置により提供されるタイプの情報を、規定された方法によりハンズフリーで制御するために使用される。
【0068】
例えば、手術用顕微鏡の特定の設定の音声制御が可能である。ヘッドマウント可視化システムのマイクロフォンは常にユーザの口から同じ距離にあるため、マイクロフォンで記録される音響信号はユーザの姿勢や向きに依存しない。したがって、非常に安定で確実な音声制御を確保できる。代替的に、画像生成装置により提供された情報を音声制御によって選択することもできる。この目的のために、マイクロフォンで記録された音響信号は、インタフェース15を介して制御コンピュータ16に送信され、これによって、制御コンピュータ16上で実行される音声認識プログラムを用いて分析される。音声分析の結果に従って、関連する情報が制御コンピュータ16により選択されて、インタフェース15を介して画像生成装置に送信されるか、又はスタンド21のモータドライブ若しくは手術用顕微鏡22のモータドライブがそれにしたがって作動される。
【0069】
音声制御の代替として、又はそれに加えて、スタンド21の移動、手術用顕微鏡22若しくは内視鏡のモータ機能、又はその他の機能をヘッドマウント可視化システム20の他のセンサ、特にジャイロスコープセンサ及び/又はアイトラッカを介して制御できる。この目的のために、アイトラッカ及びジャイロスコープセンサからの出力信号はインタフェース15を介して制御コンピュータ16に送信され、これによってコンピュータプログラムを用いて評価される。評価結果に応じて、スタンド又は手術用顕微鏡の、その出力信号に割り当てられた機能がコンピュータ16によって制御されるか、評価に対応する追加の情報が選択され、インタフェース15を介して画像生成装置へと送信される。
【0070】
一方でそれぞれのセンサ信号及び音声制御と、他方でそれによって制御されるスタンド、手術用顕微鏡による機能及び/又は画像生成装置に提供されるデータとの間の割当ては、ユーザによってほぼ自由に構成可能とすることができ、ユーザによって希望に応じて事前に割り当てることができる。この割当てに関する、対応するユーザプファイルを複数のユーザのために保存し、手術の開始時にメモリから読み出すこともできる。代替として、又はそれに加えて、対応するユーザプロファイルはまた、異なる種類の外科的処置のために創出し、保存し、対応する処置の開始時に読み出すこともできる。
【0071】
前述のように、ヘッドマウント可視化システムは前方カメラ12を有する。このカメラ12により、永久的な環境のビデオストリーム又は環境の個別の画像が特定の時間間隔で記録されて、インタフェース15を介して制御コンピュータに送信される。画像分析プログラムが制御コンピュータ上で実行され、このプログラムはステレオモニタ24のヘッドマウント可視化システムに対するそれぞれの位置がビデオストリーム又は一連の個別の画像の中で特定されるような方法で設計される。この画像分析に基づき、制御コンピュータは切替可能コーティング6a、7aのための制御データを生成し、これは切替可能コーティングを、光学システムのうちユーザがステレオモニタを認識する表面領域では最大の光透過に切り替え、他方で例えばユーザが画像生成システムにより提供される画像を認識するその他の表面領域では光透過が低減される。