(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-11
(45)【発行日】2024-03-19
(54)【発明の名称】加熱可能な電池パック、加熱可能な電池システムおよび車両
(51)【国際特許分類】
H01M 10/6571 20140101AFI20240312BHJP
B60L 58/27 20190101ALI20240312BHJP
B60L 50/60 20190101ALI20240312BHJP
B60L 58/12 20190101ALI20240312BHJP
B60L 58/18 20190101ALI20240312BHJP
H01M 10/615 20140101ALI20240312BHJP
H01M 10/625 20140101ALI20240312BHJP
【FI】
H01M10/6571
B60L58/27
B60L50/60
B60L58/12
B60L58/18
H01M10/615
H01M10/625
(21)【出願番号】P 2022562817
(86)(22)【出願日】2022-06-10
(86)【国際出願番号】 CN2022098233
(87)【国際公開番号】W WO2023050880
(87)【国際公開日】2023-04-06
【審査請求日】2022-10-14
(31)【優先権主張番号】202122367357.1
(32)【優先日】2021-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】513196256
【氏名又は名称】寧徳時代新能源科技股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Contemporary Amperex Technology Co., Limited
【住所又は居所原語表記】No.2,Xingang Road,Zhangwan Town,Jiaocheng District,Ningde City,Fujian Province,P.R.China 352100
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】弁理士法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】李興星
(72)【発明者】
【氏名】黄小騰
(72)【発明者】
【氏名】陳智明
【審査官】辻丸 詔
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2011/016497(WO,A1)
【文献】国際公開第2012/105636(WO,A1)
【文献】特開2014-038734(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/6571
B60L 58/27
B60L 50/60
B60L 58/12
B60L 58/18
H01M 10/615
H01M 10/625
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池管理システム、駆動モジュール、第2のスイッチモジュール、および
、加熱可能な電池パックN個を含む加熱可能な電池システムにおいて、
前記加熱可能な電池パックは、電池、第1のスイッチモジュールおよびヒータを含み、前記電池、前記第1のスイッチモジュールおよび前記ヒータは直列に接続されて加熱回路を形成し、そのうち、前記第1のスイッチモジュールが駆動信号を受信すると前記加熱回路を接続し、Nが1より大きい整数であり、前記駆動モジュールが駆動信号を出力するために用いられ、
前記電池管理システムは、各々の前記電池パックの検出端と前記第2のスイッチモジュールの制御端にそれぞれ接続され、各々の前記電池パックにおける第1のスイッチモジュールの制御端はいずれも前記第2のスイッチモジュールを介して前記駆動モジュールに接続されていることを特徴とする、加熱可能な電池システム。
【請求項2】
前記加熱可能な電池パックは、さらに手動スイッチを含み、前記手動スイッチは、前記加熱回路に直列に接続されていることを特徴とする、請求項1に記載の加熱可能な電池システム。
【請求項3】
前記加熱可能な電池パックは、さらに電流センサーを含み、前記電流センサーは、前記加熱回路に直列に接続されていることを特徴とする、請求項1に記載の加熱可能な電池システム。
【請求項4】
前記第1のスイッチモジュールが低電圧リレーであることを特徴とする、請求項1に記載の加熱可能な電池システム。
【請求項5】
前記電池、前記第1のスイッチモジュールおよび前記ヒータは、低電圧ハーネスで直列に接続されて加熱回路を形成することを特徴とする、請求項1に記載の加熱可能な電池システム。
【請求項6】
前記低電圧ハーネスは、前記加熱可能な電池パックが元々備える低電圧ハーネスに統合されていることを特徴とする、請求項5に記載の加熱可能な電池システム。
【請求項7】
前記電池管理システム、前記駆動モジュールおよび前記第2のスイッチモジュールは、いずれも高電圧ボックスにおける回路板に統合されていることを特徴とする、請求項
1~6のいずれか1項に記載の加熱可能な電池システム。
【請求項8】
前記第2のスイッチモジュールは、低電圧リレーであることを特徴とする、請求項
1~6のいずれか1項に記載の加熱可能な電池システム。
【請求項9】
前記電池管理システムは、加熱可能な電池パックにおけるヒータにより電池を加熱する必要があると確定すると、前記第2のスイッチモジュールを閉じるために用いられることを特徴とする、請求項
1~6のいずれか1項に記載の加熱可能な電池システム。
【請求項10】
前記電池管理システムは、前記加熱可能な電池パックにおける電流センサーに接続されていることを特徴とする、請求項
1~6のいずれか1項に記載の加熱可能な電池システム。
【請求項11】
前記電池管理システムは、前記電流センサーにより測定された電流の大きさに基づいて前記加熱可能な電池パックにおける電池の現在の充電量を計算し、前記加熱可能な電池パックにおけるヒータにより電池を加熱する必要があり、且つ前記電池の現在の充電量が予め設定された閾値よりも大きいと判断した場合、前記第2のスイッチモジュールを閉じるために用いられることを特徴とする、請求項
10に記載の加熱可能な電池システム。
【請求項12】
前記電池管理システムは、さらに、加熱回路の電流が予め設定された電流よりも大きいと判定した場合、前記第2のスイッチモジュールを切断することにより、前記第1のスイッチモジュールを間接的に切断するために用いられることを特徴とする、請求項
10に記載の加熱可能な電池システム。
【請求項13】
前記駆動モジュールが提供される供給電圧と、直列に接続された前記加熱可能な電池パックにおけるヒータの個数とが互いに一致していることを特徴とする、請求項
1~6のいずれか1項に記載の加熱可能な電池システム。
【請求項14】
前記加熱可能な電池パックにおけるヒータは、前記加熱可能な電池パックが元々備える低圧インターフェースを介して引き出されて第1のスイッチモジュールの制御端の低電圧ハーネスに接続され、前記低電圧ハーネスの他端は第2のスイッチモジュールを介して駆動モジュールに接続されていることを特徴とする、請求項
1~6のいずれか1項に記載の加熱可能な電池システム。
【請求項15】
請求項
1~6のいずれか1項に記載の加熱可能な電池システムを含むことを特徴とする、車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、電池技術分野に属し、加熱可能な電池パック、加熱可能な電池システムおよび車両に関する。
【0002】
関連出願の相互参照
本願は、2021年9月28日に出願された、発明の名称が「加熱可能な電池パック、加熱可能な電池システムおよび車両」である、中国特許出願202122367357.1の優先権を主張し、当該出願の全内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
電気自動車とは、動力電池により動力を供給する自動車である。電気自動車は、動力電池材料に限りがあり、定格環境温度にのみ最適な性能を安定して発揮できるため、環境温度が低い地域や冬季に電気自動車を使用する場合に、動力電池を定格環境温度まで加熱する必要がある。
【0004】
現在、各動力電池にはヒータが設けられており、各ヒータと高電圧ボックスにおける駆動モジュールは直列に接続されて直列回路を形成し、駆動モジュールからこの直列回路を介して各ヒータに高電圧電力を供給し、さらにヒータにより各電池を加熱する。しかし、高電圧電力供給は安全性が低く、高電圧ブレークダウンや発火などの不具合現象が生じやすく、深刻な場合には電気自動車の安全に影響を及ぼすことさえある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記問題に鑑みて、本願は、加熱可能な電池パック、加熱可能な電池システムおよび車両を提供し、電池パックにおける電池からそれぞれのヒータに低電圧電力を供給し、電力供給の安全性が著しく向上する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様として、本願は、電池、第1のスイッチモジュールおよびヒータを含む加熱可能な電池パックにおいて、電池、第1のスイッチモジュールおよびヒータが直列に接続されて加熱回路を形成し、そのうち、第1のスイッチモジュールが駆動信号を受信すると加熱回路を接続する加熱可能な電池パックを提供する。
【0007】
各電池パックにおけるヒータが、高電圧ボックスから直列回路を介して各ヒータに高電圧電力を供給するように高電圧ボックスにおける駆動モジュールの両端に直列に接続されている関連技術と比較して、本願の実施例は、電池パックにおける電池からそれぞれのヒータに直接低電圧電力を供給するため、駆動モジュールから高電圧電力を供給する必要がなく、電力供給の安全性が大幅に向上し、かつ、本実施例は、各ヒータを接続するための高電圧ハーネスを設ける必要がなくなり、低電圧ハーネスのみを使用して電池、第1のスイッチモジュールおよびヒータを接続すればよく、低電圧ハーネスのコストが高電圧ハーネスに比べてはるかに低いため、本実施例は、加熱回路全体のコストを効果的に削減する。
【0008】
いくつかの実施例において、加熱可能な電池は、さらに手動スイッチを含み、手動スイッチは、加熱回路に直列に接続されている。
【0009】
前述した実施例において、加熱回路にはさらに手動スイッチも直列に接続されており、第1のスイッチモジュールがくっつかれて切断できない場合、技術者は手動スイッチにより加熱回路を切断して、電池の過度な加熱を回避し、加熱可能な電池パックの安全性を向上させることができる。
【0010】
いくつかの実施例において、可能な電池パックは、さらに電流センサーを含み、電流センサーは、加熱回路に直列に接続されている。
【0011】
前述した実施例において、加熱回路にはさらに電流センサーが直列に接続されており、電流センサーにより現在の加熱回路の電流の大きさを検出することができ、加熱回路の電流が過大である場合、電池パックに損傷を与えないように第1のスイッチモジュールを制御して加熱回路を切断し、かつ、電池管理システムは現在の加熱回路の電流の大きさに基づいて電池の現在の容量を計算することができる。
【0012】
いくつかの実施例において、第1のスイッチモジュールは、低電圧リレーである。
【0013】
前述した実施例において、本願の実施例に係るヒータは、高電圧ボックスにおける駆動モジュールから高電圧電力を供給する必要がなく、電池から低電圧電力を供給するため、第1のスイッチモジュールは、低電圧リレーを用いればよく、高電圧リレーなどを用いるスイッチモジュールと比較して、加熱可能な電池パックのコストをある程度削減できる。
【0014】
第2態様として、本願は、電池管理システム、駆動モジュール、第2のスイッチモジュールおよびN個の上述した実施例のいずれか1項に記載の加熱可能な電池パックを含む加熱可能な電池システムにおいて、Nが1より大きい整数であり、駆動モジュールが駆動信号を出力するために用いられ、電池管理システムが各々の電池パックの検出端と第2のスイッチモジュールの制御端にそれぞれ接続され、各々の電池パックにおける第1のスイッチモジュールの制御端がいずれも第2のスイッチモジュールを介して駆動モジュールに接続されている加熱可能な電池システムを提供する。
【0015】
高電圧ボックスにおける駆動モジュールにより提供される電力供給電圧と直列に接続されたヒータの個数とが互いに一致しており、電池パックの個数の調整と高電圧ボックスにより提供される電力供給電圧の調整は、同期してする必要があり、高電圧ボックスにより提供される電力供給電圧を変更せず、技術者のミスで直列に接続されているヒータの数がいくつ少なくなる場合、各ヒータにより運ばれる電圧が上昇し、電池パックと接続ケーブルの絶縁不良、さらには電池パックの爆発などの事故につながる可能性がある関連技術と比較して、本実施例では、各電池パックの加熱回路は互いに独立しており、ヒータの電力供給電圧は対応する電池の電圧のみに関係し、高電圧ボックスから供給される電力供給電圧やヒータの個数に制限されず、電池パックの個数を増減する必要がある場合は、電池パックと第2のスイッチモジュールを接続または切断するだけで済み、プラットフォーム化に有利である。
【0016】
いくつかの実施例において、電池管理システム、駆動モジュールおよび第2のスイッチモジュールは、いずれも高電圧ボックスにおける回路板に統合されている。
【0017】
いくつかの実施例において、第2のスイッチモジュールは、低電圧リレーである。
【0018】
上述した実施例において、本願の実施例に係るヒータは、高電圧ボックスにおける駆動モジュールから高電圧電力を供給する必要がなく、電池から低電圧電力を供給するため、第2のスイッチモジュールは、低電圧リレーを用いれば済み、高電圧リレーなどを用いるスイッチモジュールと比較して、加熱可能な電池システムのコストをある程度削減できる。
【0019】
第3態様として、本願は、上述した実施例のいずれか1項に記載の加熱可能な電池システムを含む車両を提供する。
【0020】
前述した説明は、本願の技術案の概要にすぎず、本願の技術的手段をより明確に理解するために、本明細書の内容に従って実施することができ、本願の上記目的および他の目的、特徴および利点をより明白で理解しやすくなるために、以下、本願の具体的な実施形態を例示する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
本願の実施例の技術案をより明確に説明するために、以下に実施例または従来技術の説明で使用する図面を簡単に紹介する。明らかに、以下に説明する図面は本願のいくつかの実施例に過ぎず、当業者にとって、創造的な作業をしなくても、図面に基づいてさらに他の図面を取得することができる。
【
図1】関連技術における加熱回路のブロック概略図である。
【
図2】本願のいくつかの実施例に提供される加熱可能な電池パックの構造概略図である。
【
図3】本願のいくつかの実施例に提供される加熱可能な電池システムのブロック概略図である。 なお、図面において、図面は実際の比率に応じて描かれていない。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本願の実施例の目的、技術案及びメリットをより明確にするために、以下に本願の実施例における図面を組み合わせて本願の実施例に係る技術案を明確かつ完全に説明し、明らかに、説明された実施例は、本願の実施例のすべてではなく、実施例の一部に過ぎない。本願の実施例に基づいて、当業者により創造的な作業なしで得られた他のすべての実施例は、いずれも本願の保護範囲に属する。
【0023】
本願の説明において、本明細書で使用される「含む」および「有する」という用語、並びにそれらのいかなる変形は、非排他的な包含をカバーすることを意図するものであると理解すべきであり、例えば、一連のステップまたはユニットを含むプロセス、方法、システム、製品、または装置は、明確にリストされたステップまたはユニットに限定される必要がなく、明確にリストされていない、またはこれらのプロセス、方法、製品、または装置に固有の他のステップまたはユニットを含み得る。
【0024】
また、本願において、特に明記・限定しない限り、「接続」、「つながる」、「固定」、「装着」などの用語は、広義に理解されるべきであり、例えば、機械的接続でも電気的接続でもよく、直接つながっても中間媒体を介した間接つながってもよく、両素子の内部的な連通や両素子の相互作用関係であってもよく、特に明確的に限定しない限り、当業者からすれば、具体的な状況に応じて本願に記載のこれらの用語の具体的な意味を理解できる。
【0025】
なお、「長さ」、「幅」、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」、「垂直」、「水平」、「頂」、「底」、「内」、「外」などの用語が示す向きや位置関係は、図面における向きや位置関係に基づくものであり、単に本願の説明を容易にし、簡略化するためであり、示される装置や素子が特定の向きを有する必要があり、特定の向きで構成されて動作しなければならないことを示すかまたは暗示するものではないため、本願を限定するものとして解釈してはならない。
【0026】
なお、「第1」、「第2」という用語は、単に説明するために使用され、相対的な重要性を示すまたは暗示するかまたは説明された技術的特徴の数を示唆するものとして理解されるべきではない。したがって、「第1」または「第2」に限定された特徴は、1つまたは2つ以上の当該特徴を明示的または暗黙的に含み得る。
【0027】
電気自動車とは、動力電池により動力を供給する自動車である。電気自動車は動力電池材料に限りがあるため、定格環境温度範囲にのみ最適な性能を安定して発揮でき、したがって、環境温度が低い地域や冬季に電気自動車を使用する場合には、動力電池を定格環境温度範囲まで加熱する必要がある。例えば、動力電池の環境温度が20℃~60℃に達する場合、電池の充電に最も役立つ。なお、電池の充電過程と放電過程には、いずれも対応する定格環境温度範囲を有し、充電過程に対応する定格環境温度範囲と放電過程に対応する定格環境温度範囲は同じでも異なるでもよく、具体的には動力電池自体の特性と関係がある。
【0028】
現在、
図1を参照すると、各動力電池の電池パックにはヒータが設けられており、各ヒータと高電圧ボックスにおける駆動モジュールは直列に接続されて直列回路を形成しており、駆動モジュールからこの直列回路を介して各ヒータに高電圧電力を供給し、さらにヒータにより各電池を加熱する。ここで、駆動モジュールは電池管理システム(Battery Management System、BMS)に接続され、BMSにより駆動モジュールが電圧を出力するかどうかを制御する。また、駆動モジュールは、各電池を充電するために、各電池パックにおける電池が直列に接続して形成した充電回路に接続してもよい(接続関係は図に示されていない)。
【0029】
具体的に、各ヒータと駆動モジュールを直列に接続して形成された直列回路には、少なくとも1つの高電圧リレーも直列に接続されており、
図1には、2つの高電圧リレーが直列に接続されている例が示され、各高電圧リレーの制御端はBMSに接続され(接続関係は図に示されていない)、BMSはまた、各電池パックの現在の温度を検出するために各電池パックの検出端に接続され(接続関係は図に示されていない)、BMSは、各電池パックの現在の温度が予め設定された加熱条件を満たし、具体的には現在の温度が予め設定された電池パックの加熱温度範囲にあることを検出したとき、各高電圧リレーを接続するように制御して上記の直列回路を閉じ、このとき、各電池パックの現在の温度が予め設定された加熱条件を満たさなくなるまで各ヒータが加熱を開始し、そして、BMSは各高電圧リレーを切断するように制御して上記の直列回路を切断し、ヒータは加熱しなくなる。
【0030】
直列回路におけるヒータの数は通常多く、かつ、各ヒータも定格動作電圧があるため、各ヒータの定格動作電圧を満たすために、駆動モジュールは通常、直列回路に高電圧電力を供給する必要があり、例えば、直列回路におけるヒータの数が30であり、各ヒータの定格動作電圧が20Vである場合、駆動モジュールは、少なくとも30*20V=600Vの電圧を提供する必要がある。しかし、高電圧電力供給は安全性が低く、高電圧ブレークダウンによる絶縁や発火などの不具合現象が生じやすく、深刻な場合には電気自動車の安全に影響を及ぼすことさえある。
【0031】
上記問題に鑑みて、本願は、各電池パックにおける電池からそれぞれのヒータに低電圧電力を供給することにより、駆動モジュールから高電圧電力を供給する必要がなく、電力供給の安全性が著しく向上する。
【0032】
図2を参照すると、本願の実施例は、電池11、第1のスイッチモジュール12およびヒータ13を含む加熱可能な電池パック1において、電池11、第1のスイッチモジュール12およびヒータ13が直列に接続されて加熱回路を形成し、そのうち、第1のスイッチモジュールが駆動信号を受信すると加熱回路を接続する加熱可能な電池パック1を提供する。
【0033】
いくつかの実施例において、電池パック1の電池11からヒータ13に低電圧電力を供給するため、直列に接続して形成された加熱回路は低電圧ハーネスで接続されてもよく、高電圧ハーネスを使用する場合と比較して、低電圧ハーネスを使用する場合、電池パックに高電圧ハーネスを引き出すための高電圧ハーネス接続インターフェースを予め確保しておく必要がなく、電池パックに高電圧ハーネス接続インターフェースなどの部品(例えば、コネクタ、シールリング、ボックス確保要件など)を予め確保するコストを節約し、低電圧ハーネスを電池パックが元々備える低電圧ハーネスに直接統合すればよく、回路コストを大幅に削減する。低電圧ハーネスは、例えば、12~24Vの電圧を運ぶことができ、高電圧ハーネスは、例えば、600~700Vの電圧を運ぶことができる。
【0034】
いくつかの実施例において、第1のスイッチモジュール12の制御端は、第2のスイッチモジュールを介して高電圧ボックスにおける駆動モジュールに接続してもよく、BMSは、ヒータ13により電池11を加熱する必要があると確定する場合、第2のスイッチモジュールを閉じて駆動モジュールと第1のスイッチモジュール12の制御端を接続し、このとき、第1のスイッチモジュール12は、駆動モジュールからの駆動信号を受信し、第1のスイッチモジュール12は、加熱回路を閉じて、ヒータ13により電池11を加熱する。
【0035】
高電圧ボックスから直列回路を介して各ヒータに高電圧電力を供給するために各電池パックにおけるヒータが高電圧ボックスにおける駆動モジュールの両端に直列に接続されている関連技術と比較して、本願の実施例は、電池パックにおける電池からそれぞれのヒータに直接低電圧電力を供給するため、駆動モジュールから高電圧電力を供給する必要がなく、電力供給の安全性が大幅に向上し、かつ、本実施例は、各ヒータを接続する高電圧ハーネスを設ける必要がなくなり、低電圧ハーネスのみを使用して電池、第1のスイッチモジュールおよびヒータを接続すればよく、低電圧ハーネスのコストが高電圧ハーネスに比べてはるかに低いため、本実施例は、加熱回路全体のコストを効果的に削減する。
【0036】
図2を参照すると、いくつかの実施例において、加熱可能な電池パック1は、さらに手動スイッチ14を含み、手動スイッチ14は、加熱回路に直列に接続し、
図2は、手動スイッチ14が電池11と第1のスイッチモジュール12との間に直列に接続されている例を示す。
【0037】
具体的に、技術者は、手動的に手動スイッチ14を接続また切断することにより加熱回路を接続または切断し、さらにヒータ13を動作させるか否かを制御することができる。
【0038】
本実施例において、加熱回路にはさらに手動スイッチも直列に接続されており、第1のスイッチモジュールがくっつかれて切断できない場合、技術者は手動スイッチにより加熱回路を切断して、電池の過度な加熱を回避し、加熱可能な電池パックの安全性を向上させることができる。
【0039】
図2を参照すると、いくつかの実施例において、加熱可能な電池パック1は、さらに電流センサー15を含み、電流センサー15は、加熱回路に直列に接続されており、
図2は、電流センサー15が電池11とヒータ13との間に接続されている例を示す。
【0040】
具体的に、電流センサー15は、加熱回路の電流を測定するために用いられる。
【0041】
いくつかの実施例において、電流センサー15は、BMSに接続されてもよく(接続関係は図に示されていない)、BMSは、電流センサー15により測定された電流の大きさに基づいて電池11の現在の充電量を計算し、かつヒータ13により放電状態の電池11を加熱する必要があり、かつ、電池11の現在の充電量が予め設定された閾値よりも大きいと判断した場合、第2のスイッチモジュールを閉じることにより加熱回路を間接的に閉じる。
【0042】
上述した実施例では、電池が現在の充電量が低い場合にヒータを加熱することにより電池の過放電という問題を避けることができる。
【0043】
いくつかの実施例において、技術者は、電流センサー15により測定された加熱回路の電流の大きさに基づいて加熱回路の現在の状態を判断することができ、加熱回路の電流が過大である場合、手動スイッチ14により加熱回路を切断して、大電流による電池パックの損傷を回避できる。電流センサー15はBMSに接続されてもよく、BMSは、加熱回路の電流が過大であると判断した場合に、第2のスイッチモジュールを切断することにより、第1のスイッチモジュール12を間接的に切断し、さらに加熱回路を切断して、大電流による電池パックの損傷を回避できる。
【0044】
いくつかの実施例において、第1のスイッチモジュール12は、低電圧リレーであってもよい。
【0045】
具体的に、第1のスイッチモジュール12の制御端が駆動信号を受信すると加熱回路を接続できれば、第1のスイッチモジュール12は、高電圧リレー、低電圧リレーまたは他の構造のスイッチであってもよく、そのうち、駆動信号は、ハイレベルまたはローレベルのいずれか、または任意の電圧範囲の電圧であり得るが、ここで限定されない。
【0046】
本実施例において、本願の実施例に係るヒータは、高電圧ボックスにおける駆動モジュールから高電圧電力を供給する必要がなく、電池から低電圧電力を供給するため、第1のスイッチモジュールは、低電圧リレーを用いればよく、高電圧リレーなどを用いるスイッチモジュールと比較して、加熱可能な電池パックのコストをある程度削減できる。
【0047】
図2を参照すると、いくつかの実施例において、加熱可能な電池パック1における加熱回路は、電池11、第1のスイッチモジュール12、ヒータ13、手動スイッチ14および電池センサー15が直列に接続されて形成する。
【0048】
図3を参照すると、本願の実施例は、電池管理システム2、駆動モジュール3、第2のスイッチモジュール4、および、N個の上述した実施例のいずれか1項の加熱可能な電池パック1を含む加熱可能な電池システムにおいて、Nが1より大きい整数である電池管理システムを提供する。
図3は、電池11、第1のスイッチモジュール12、ヒータ13、手動スイッチ14および電池センサー15を含む加熱可能な電池パック1を例として示す。
【0049】
電池管理システム2は、各々の電池パック1の検出端と第2のスイッチモジュール4の制御端にそれぞれ接続され、各々の電池パックにおける第1のスイッチモジュール12の制御端はいずれも第2のスイッチモジュール4を介して駆動モジュール3に接続されている。
【0050】
関連技術において、高電圧ボックスにおける駆動モジュールにより提供される電力供給電圧と直列に接続されたヒータの数とは、互いに一致しており、電池パックの数の調整と高電圧ボックスにより提供される電力供給電圧の調整は、同期してする必要があり、高電圧ボックスから提供される電力供給電圧を変更せず、技術者のミスで直列に接続されているヒータの個数がいくつ少なくなる場合、各ヒータにより運ばれる電圧は上昇し、例えば、直列回路におけるヒータの数が30であり、各ヒータの定格動作電圧が20Vである場合、駆動モジュールは、少なくとも30*20V=600Vの電圧を提供する必要があり、ミスでヒータ20個のみ直列に接続されている場合、各々のヒータにより運ばれる電圧は600V/20=30Vであり、これは、過電圧によるヒータの絶縁不良につながり、さらに電池パックや接続線の絶縁不良に影響を与え、ついに電池パックの爆発などの事故を引き起こす可能性があり、これに対して、本実施例では、各電池パックの加熱回路は互いに独立しており、ヒータの電力供給電圧は対応する電池の電圧のみに関係し、高電圧ボックスから供給される電力供給電圧やヒータの個数に制限されず、電池パックの数を増減する必要がある場合は、電池パックと第2のスイッチモジュールとを接続または切断するだけで済み、プラットフォーム化に有利である。
【0051】
また、各電池パックにおけるヒータは、高電圧ハーネスで接続する必要がなくなるため、高電圧ハーネスを引き出すための高電圧インターフェースを各電池パックに設ける必要がなくなり、各電池パックが元々備える低電圧インターフェースを直接利用して第1のスイッチモジュールの制御端に接続する低電圧ハーネスを引き出し、かつ当該低電圧ハーネスの他端を第2のスイッチモジュールを介して駆動モジュールに接続して、駆動モジュールから当該低電圧ハーネスを介して第1のスイッチモジュールの制御端に駆動信号を出力する。電池パックに高電圧ハーネス接続インターフェースを設置したり、高電圧ハーネスで接続したりする必要がなく、電池パックに低電圧リレーを設置し、低電圧ハーネスで接続して加熱回路を形成するコストよりも、前者はより多くのコストを節約できるため、加熱回路全体のコストを効果的に削減できる。
【0052】
いくつかの実施例において、電池管理システム2、駆動モジュール3および第2のスイッチモジュール4は、いずれも高電圧ボックスにおける回路板に統合されている。
【0053】
いくつかの実施例において、第2のスイッチモジュール4は低電圧リレーである。本願の実施例に係るヒータは、高電圧ボックスにおける駆動モジュールから高電圧電力を供給する必要がなく、電池から低電圧電力を供給するため、第2のスイッチモジュールは、低電圧リレーを用いればよく、高電圧リレーなどを用いるスイッチモジュールと比較して、加熱可能な電池システムのコストをある程度削減できる。
【0054】
本願の実施例は、上述した加熱可能な電池システムを含む車両を提供する。
【0055】
上述の各実施例は、単に本願の技術案を説明するためのものに過ぎず、それを限定するものではない。上述の各実施例を参照して本願を詳しく説明したが、当業者なら、上述の各実施例に記載の発明に対する修正またはその一部もしくはすべての技術的特徴を同等のものに置換することが依然として可能であること、これらの修正または置換により、対応する発明の本質が本願の各実施例の発明の範囲から逸脱することがないと理解できる。
【符号の説明】
【0056】
1 加熱可能な電池パック
2 電池管理システム(BMS)
3 駆動モジュール
4 第2のスイッチモジュール
11 電池
12 第1のスイッチモジュール
13 ヒータ
14 手動スイッチ
15 電流センサー