(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-11
(45)【発行日】2024-03-19
(54)【発明の名称】媒体搬送装置、制御方法及び制御プログラム
(51)【国際特許分類】
H04N 1/00 20060101AFI20240312BHJP
B65H 7/12 20060101ALI20240312BHJP
H04N 1/04 20060101ALI20240312BHJP
【ＦＩ】
H04N1/00 567J
B65H7/12
H04N1/12 Z
【請求項の数】
10
(21)【出願番号】P 2022574923
(86)(22)【出願日】2021-01-13
(86)【国際出願番号】 JP2021000897
(87)【国際公開番号】W WO2022153408
(87)【国際公開日】2022-07-21
【審査請求日】2023-01-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000136136
【氏名又は名称】株式会社ＰＦＵ
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100180806
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 剛
(72)【発明者】
【氏名】北野 浩行
(72)【発明者】
【氏名】竹田 靖一
(72)【発明者】
【氏名】村上 友洋
【審査官】松永 隆志
(56)【参考文献】
【文献】特開２０１３－７５７３１（ＪＰ，Ａ）
【文献】特開２００８－１３３４５（ＪＰ，Ａ）
【文献】特開平７－２９１４８５（ＪＰ，Ａ）
【文献】特開２０２０－１７０９４５（ＪＰ，Ａ）
【文献】特開平５－１４５８９（ＪＰ，Ａ）
(58)【調査した分野】(Int.Cl.，ＤＢ名)
Ｈ０４Ｎ １／００
Ｂ６５Ｈ ７／１２
Ｈ０４Ｎ １／０４
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体内の所定領域の領域情報が予め記憶された記憶部と、媒体を給送する給送ローラと、
給送される媒体の傾き量を検出する傾き量検出部と、
給送される媒体内で重なりが発生している領域の領域情報を検出する重なり検出部と、
前記傾き量に基づいて、前記検出された領域情報を補正する補正部と、
前記補正された領域情報が前記記憶された領域情報に対応しない場合、媒体の重送が発生していると判定し、前記補正された領域情報が前記記憶された領域情報に対応する場合、媒体の重送が発生していないと判定する重送判定部と、
を有することを特徴とする媒体搬送装置。
【請求項2】
前記傾き量検出部は、給送されるサンプル媒体の傾き量を検出し、前記重なり検出部は、給送されるサンプル媒体内で重なりが発生している領域の領域情報を検出し、
前記補正部は、給送されるサンプル媒体について検出された傾き量に基づいて、給送されるサンプル媒体について検出された領域情報を補正し、
給送されるサンプル媒体について補正された領域情報を前記所定領域の領域情報として前記記憶部に記憶する記憶制御部をさらに有する、請求項１に記載の媒体搬送装置。
【請求項3】
超音波を発信する超音波発信部、及び、前記超音波発信部と対向して配置され且つ受信した超音波に応じた超音波信号を生成する超音波受信部を含む超音波センサをさらに有し、前記重なり検出部は、前記超音波信号に基づいて、給送される媒体内で重なりが発生している領域の領域情報を検出する、請求項１または２に記載の媒体搬送装置。
【請求項4】
媒体搬送方向と直交する方向に間隔を空けて配置された複数の媒体センサをさらに有し、前記傾き量検出部は、前記複数の媒体センサからの出力信号に基づいて、給送される媒体の傾き量を検出する、請求項１～３の何れか一項に記載の媒体搬送装置。
【請求項5】
前記複数の媒体センサは、少なくとも三つの媒体センサを含み、前記補正部は、給送される媒体の先端が前記複数の媒体センサの内の二つの媒体センサの位置を通過した時間差が所定差以下である場合、当該媒体について検出された領域情報を補正しない、請求項４に記載の媒体搬送装置。
【請求項6】
記憶部と、サンプル媒体を給送する給送ローラと、
給送されるサンプル媒体の傾き量を検出する傾き量検出部と、
給送されるサンプル媒体内で重なりが発生している領域の領域情報を検出する重なり検出部と、
前記傾き量に基づいて、前記検出された領域情報を補正する補正部と、
前記補正された領域情報を前記記憶部に記憶する記憶制御部と、
前記補正された領域情報が記憶された後に給送された媒体について検出された領域情報が前記記憶された領域情報に対応しない場合、媒体の重送が発生していると判定し、当該媒体について検出された領域情報が前記記憶された領域情報に対応する場合、媒体の重送が発生していないと判定する重送判定部と、
を有することを特徴とする媒体搬送装置。
【請求項7】
媒体内の所定領域の領域情報が予め記憶された記憶部と、媒体を給送する給送ローラと、を有する媒体搬送装置の制御方法であって、給送される媒体の傾き量を検出し、
給送される媒体内で重なりが発生している領域の領域情報を検出し、
前記傾き量に基づいて、前記検出された領域情報を補正し、
前記補正された領域情報が前記記憶された領域情報に対応しない場合、媒体の重送が発生していると判定し、前記補正された領域情報が前記記憶された領域情報に対応する場合、媒体の重送が発生していないと判定する、
ことを特徴とする制御方法。
【請求項8】
記憶部と、サンプル媒体を給送する給送ローラと、を有する媒体搬送装置の制御方法であって、給送されるサンプル媒体の傾き量を検出し、
給送されるサンプル媒体内で重なりが発生している領域の領域情報を検出し、
前記傾き量に基づいて、前記検出された領域情報を補正し、
前記補正された領域情報を前記記憶部に記憶し、
前記補正された領域情報が記憶された後に給送された媒体について検出された領域情報が前記記憶された領域情報に対応しない場合、媒体の重送が発生していると判定し、当該媒体について検出された領域情報が前記記憶された領域情報に対応する場合、媒体の重送が発生していないと判定する、
ことを特徴とする制御方法。
【請求項9】
媒体内の所定領域の領域情報が予め記憶された記憶部と、媒体を給送する給送ローラと、を有する媒体搬送装置の制御プログラムであって、給送される媒体の傾き量を検出し、
給送される媒体内で重なりが発生している領域の領域情報を検出し、
前記傾き量に基づいて、前記検出された領域情報を補正し、
前記補正された領域情報が前記記憶された領域情報に対応しない場合、媒体の重送が発生していると判定し、前記補正された領域情報が前記記憶された領域情報に対応する場合、媒体の重送が発生していないと判定する、
ことを前記媒体搬送装置に実行させることを特徴とする制御プログラム。
【請求項10】
記憶部と、サンプル媒体を給送する給送ローラと、を有する媒体搬送装置の制御プログラムであって、給送されるサンプル媒体の傾き量を検出し、
給送されるサンプル媒体内で重なりが発生している領域の領域情報を検出し、
前記傾き量に基づいて、前記検出された領域情報を補正し、
前記補正された領域情報を前記記憶部に記憶し、
前記補正された領域情報が記憶された後に給送された媒体について検出された領域情報が前記記憶された領域情報に対応しない場合、媒体の重送が発生していると判定し、当該媒体について検出された領域情報が前記記憶された領域情報に対応する場合、媒体の重送が発生していないと判定する、
ことを前記媒体搬送装置に実行させることを特徴とする制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、媒体搬送装置に関し、特に、媒体の重送が発生しているか否かを判定する媒体搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、スキャナ等の媒体搬送装置は、複数の媒体が重なって搬送される重送が発生しているか否かを検出し、重送が発生した際には媒体の搬送を自動的に停止する機能を有している。しかしながら、履歴書のような写真が貼付された媒体が搬送された場合にも、媒体搬送装置は、重送が発生したと判定してしまい、搬送を停止させる可能性がある。
【0003】
超音波センサ出力に基づいて貼付部分の上端と下端を検出し、貼付部分の超音波センサ出力の変動量が所定の大きさ以上ある場合は、貼り付けと見做し、重送検知ユニットでの重送検知を無視する画像読取装置が開示されている（特許文献１を参照）。
【0004】
シートの重送を検知するためのシート検知部を有するシート搬送装置が開示されている（特許文献２を参照）。このシート搬送装置は、シート検知部の出力レベルが重送範囲内の値になったとき、逆方向へのシート搬送後、正方向に向けてシートを再搬送させる。シート搬送装置は、１回目のシートの所定位置への到達から重送範囲内になるまでの第１時間と、再搬送により２回目のシートの所定位置への到達から重送範囲内になるまでの第２時間との時間差が許容範囲を超えているとき、重送が生じていると判定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開２０１１－２４４０９０号公報
【文献】特開２０１５－７８０３９号公報
【発明の概要】
【0006】
媒体搬送装置では、媒体の重送が発生しているか否かをより高精度に判定することが望まれている。
【0007】
媒体搬送装置、制御方法及び制御プログラムの目的は、媒体の重送が発生しているか否かをより高精度に判定することを可能とすることにある。
【0008】
実施形態の一側面に係る媒体搬送装置は、媒体内の所定領域の領域情報が予め記憶された記憶部と、媒体を給送する給送ローラと、給送される媒体の傾き量を検出する傾き量検出部と、給送される媒体内で重なりが発生している領域の領域情報を検出する重なり検出部と、傾き量に基づいて、検出された領域情報を補正する補正部と、補正された領域情報が記憶された領域情報に対応しない場合、媒体の重送が発生していると判定し、補正された領域情報が記憶された領域情報に対応する場合、媒体の重送が発生していないと判定する重送判定部と、を有する。
【0009】
実施形態の一側面に係る媒体搬送装置は、記憶部と、サンプル媒体を給送する給送ローラと、給送されるサンプル媒体の傾き量を検出する傾き量検出部と、給送されるサンプル媒体内で重なりが発生している領域の領域情報を検出する重なり検出部と、傾き量に基づいて、検出された領域情報を補正する補正部と、補正された領域情報を記憶部に記憶する記憶制御部と、補正された領域情報が記憶された後に給送された媒体について検出された領域情報が記憶された領域情報に対応しない場合、媒体の重送が発生していると判定し、当該媒体について検出された領域情報が記憶された領域情報に対応する場合、媒体の重送が発生していないと判定する重送判定部と、を有する。
【0010】
また、実施形態の一側面に係る制御方法は、媒体内の所定領域の領域情報が予め記憶された記憶部と、媒体を給送する給送ローラと、を有する媒体搬送装置の制御方法であって、給送される媒体の傾き量を検出し、給送される媒体内で重なりが発生している領域の領域情報を検出し、傾き量に基づいて、検出された領域情報を補正し、補正された領域情報が記憶された領域情報に対応しない場合、媒体の重送が発生していると判定し、補正された領域情報が記憶された領域情報に対応する場合、媒体の重送が発生していないと判定する。
【0011】
また、実施形態の一側面に係る制御方法は、記憶部と、サンプル媒体を給送する給送ローラと、を有する媒体搬送装置の制御方法であって、給送されるサンプル媒体の傾き量を検出し、給送されるサンプル媒体内で重なりが発生している領域の領域情報を検出し、傾き量に基づいて、検出された領域情報を補正し、補正された領域情報を記憶部に記憶し、補正された領域情報が記憶された後に給送された媒体について検出された領域情報が記憶された領域情報に対応しない場合、媒体の重送が発生していると判定し、当該媒体について検出された領域情報が記憶された領域情報に対応する場合、媒体の重送が発生していないと判定する。
【0012】
また、実施形態の一側面に係る制御プログラムは、媒体内の所定領域の領域情報が予め記憶された記憶部と、媒体を給送する給送ローラと、を有する媒体搬送装置の制御プログラムであって、給送される媒体の傾き量を検出し、給送される媒体内で重なりが発生している領域の領域情報を検出し、傾き量に基づいて、検出された領域情報を補正し、補正された領域情報が記憶された領域情報に対応しない場合、媒体の重送が発生していると判定し、補正された領域情報が記憶された領域情報に対応する場合、媒体の重送が発生していないと判定することを媒体搬送装置に実行させる。
【0013】
また、実施形態の一側面に係る制御プログラムは、記憶部と、サンプル媒体を給送する給送ローラと、を有する媒体搬送装置の制御プログラムであって、給送されるサンプル媒体の傾き量を検出し、給送されるサンプル媒体内で重なりが発生している領域の領域情報を検出し、傾き量に基づいて、検出された領域情報を補正し、補正された領域情報を記憶部に記憶し、補正された領域情報が記憶された後に給送された媒体について検出された領域情報が記憶された領域情報に対応しない場合、媒体の重送が発生していると判定し、当該媒体について検出された領域情報が記憶された領域情報に対応する場合、媒体の重送が発生していないと判定することを媒体搬送装置に実行させる。
【0014】
本実施形態によれば、媒体搬送装置、制御方法及び制御プログラムは、媒体の重送が発生しているか否かをより高精度に判定することが可能となる。
【0015】
本発明の目的及び効果は、特に請求項において指摘される構成要素及び組み合わせを用いることによって認識され且つ得られるだろう。前述の一般的な説明及び後述の詳細な説明の両方は、例示的及び説明的なものであり、特許請求の範囲に記載されている本発明を制限するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】実施形態に係る媒体搬送装置１００を示す斜視図である。
【図2】媒体搬送装置１００内部の搬送経路を説明するための図である。
【図3】第１媒体センサ１１６等の配置について説明するための模式図である。
【図4】媒体搬送装置１００の概略構成を示すブロック図である。
【図5】記憶装置１４０及び処理回路１５０の概略構成を示す図である。
【図6】領域テーブルのデータ構造の一例を示す図である。
【図7】登録処理の動作の例を示すフローチャートである。
【図8】登録処理の動作の例を示すフローチャートである。
【図9】超音波信号の特性を示すグラフ９００である。
【図10】媒体の傾きについて説明するための模式図である。
【図11】突起部を有する媒体について説明するための模式図である。
【図12】媒体読取処理の動作の例を示すフローチャートである。
【図13】媒体読取処理の動作の例を示すフローチャートである。
【図14】他の媒体搬送装置における処理回路２５０の概略構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本開示の一側面に係る媒体搬送装置、制御方法及び制御プログラムについて図を参照しつつ説明する。但し、本発明の技術的範囲はそれらの実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶ点に留意されたい。
【0018】
図１は、イメージスキャナとして構成された媒体搬送装置１００を示す斜視図である。媒体搬送装置１００は、原稿である媒体を搬送し、撮像する。媒体は、用紙、厚紙又はカード等である。媒体搬送装置１００は、ファクシミリ、複写機、プリンタ複合機（ＭＦＰ、Multifunction Peripheral）等でもよい。なお、搬送される媒体は、原稿でなく印刷対象物等でもよく、媒体搬送装置１００はプリンタ等でもよい。
【0019】
媒体搬送装置１００は、第１筐体１０１、第２筐体１０２、載置台１０３、排出台１０４、操作装置１０５及び表示装置１０６等を備える。
【0020】
第１筐体１０１は、媒体搬送装置１００の上側に配置され、媒体つまり時、媒体搬送装置１００内部の清掃時等に開閉可能なようにヒンジにより第２筐体１０２に係合している。
【0021】
載置台１０３は、搬送される媒体を載置可能に第２筐体１０２に係合している。載置台１０３は、第２筐体１０２の媒体供給側の側面に、不図示のモータによって略鉛直方向（高さ方向）Ａ１に移動可能に設けられる。載置台１０３は、媒体を搬送していないときは媒体が容易に載置されるように下端の位置に配置され、媒体を搬送するときは最も上側に載置された媒体が後述するピックローラと接触する位置まで上昇する。排出台１０４は、排出された媒体を保持可能に第１筐体１０１上に形成され、排出された媒体を積載する。
【0022】
操作装置１０５は、ボタン等の入力デバイス及び入力デバイスから信号を取得するインタフェース回路を有し、利用者による入力操作を受け付け、利用者の入力操作に応じた操作信号を出力する。表示装置１０６は、液晶、有機ＥＬ（Electro-Luminescence）等を含むディスプレイ及びディスプレイに画像データを出力するインタフェース回路を有し、画像データをディスプレイに表示する。
【0023】
図１において矢印Ａ２は媒体搬送方向を示し、矢印Ａ３は媒体排出方向を示し、矢印Ａ４は媒体搬送方向と直交する幅方向を示す。以下では、上流とは媒体搬送方向Ａ２又は媒体排出方向Ａ３の上流のことをいい、下流とは媒体搬送方向Ａ２又は媒体排出方向Ａ３の下流のことをいう。
【0024】
図２は、媒体搬送装置１００内部の搬送経路を説明するための図である。
【0025】
媒体搬送装置１００内部の搬送経路は、接触センサ１１１、ピックローラ１１２、給送ローラ１１３、ブレーキローラ１１４、超音波発信器１１５ａ、超音波受信器１１５ｂ、第１媒体センサ１１６、第２媒体センサ１１７、第３媒体センサ１１８、第１～第８搬送ローラ１１９ａ～ｈ、第１～第８従動ローラ１２０ａ～ｈ、第１撮像装置１２１ａ及び第２撮像装置１２１ｂ等を有している。
【0026】
ピックローラ１１２、給送ローラ１１３、ブレーキローラ１１４、第１～第８搬送ローラ１１９ａ～ｈ及び第１～第８従動ローラ１２０ａ～ｈは、媒体を搬送する搬送部の一例である。なお、ピックローラ１１２、給送ローラ１１３、ブレーキローラ１１４、第１～第８搬送ローラ１１９ａ～ｈ及び／又は第１～第８従動ローラ１２０ａ～ｈのそれぞれの数は一つに限定されず、複数でもよい。その場合、複数のピックローラ１１２、給送ローラ１１３、ブレーキローラ１１４、第１～第８搬送ローラ１１９ａ～ｈ及び／又は第１～第８従動ローラ１２０ａ～ｈは、それぞれ幅方向Ａ４に間隔を空けて並べて配置される。以下では、第１撮像装置１２１ａ及び第２撮像装置１２１ｂをまとめて撮像装置１２１と称する場合がある。
【0027】
第１筐体１０１の、第２筐体１０２と対向する面は媒体の搬送路の第１ガイド１０１ａを形成し、第２筐体１０２の、第１筐体１０１と対向する面は媒体の搬送路の第２ガイド１０２ａを形成する。
【0028】
接触センサ１１１は、載置台１０３に、即ち給送ローラ１１３及びブレーキローラ１１４より上流側に配置され、載置台１０３における媒体の載置状態を検出する。接触センサ１１１は、媒体が接触している場合、又は、媒体が接触していない場合に所定の電流を流す接触検知センサにより、載置台１０３に媒体が載置されているか否かを判別する。接触センサ１１１は、載置台１０３に媒体が載置されている状態と載置されていない状態とで信号値が変化する接触信号を生成して出力する。
【0029】
ピックローラ１１２は、第１筐体１０１に設けられ、媒体搬送路と略同一の高さまで上昇した載置台１０３に載置された媒体と接触して、その媒体を下流側に向けて給送する。
【0030】
給送ローラ１１３は、第１筐体１０１内に、ピックローラ１１２より下流側に設けられ、載置台１０３に載置されてピックローラ１１２により給送された媒体をさらに下流側に向けて給送する。ブレーキローラ１１４は、第２筐体１０２内に、給送ローラ１１３と対向して配置される。給送ローラ１１３及びブレーキローラ１１４は、媒体の分離動作を行い、媒体を分離して一枚ずつ給送する。給送ローラ１１３は、ブレーキローラ１１４に対して上側に配置されており、媒体搬送装置１００は、いわゆる上取り方式により媒体を給送する。
【0031】
超音波発信器１１５ａ及び超音波受信器１１５ｂは、給送ローラ１１３及びブレーキローラ１１４より下流側且つ第１～第８搬送ローラ１１９ａ～ｈ及び第１～第８従動ローラ１２０ａ～ｈより上流側に配置される。超音波発信器１１５ａ及び超音波受信器１１５ｂは、媒体の搬送路の近傍に、搬送路を挟んで対向して配置される。超音波発信器１１５ａは、超音波発信部の一例であり、超音波を発信する。一方、超音波受信器１１５ｂは、超音波受信部の一例であり、超音波発信器１１５ａにより発信され、媒体を通過した超音波を受信し、受信した超音波に応じた電気信号である超音波信号を生成して出力する。超音波信号は、搬送される媒体の各位置においてその媒体を透過する超音波の大きさを示す。以下では、超音波発信器１１５ａ及び超音波受信器１１５ｂを総じて超音波センサ１１５と称する場合がある。
【0032】
第１～第８搬送ローラ１１９ａ～ｈ及び第１～第８従動ローラ１２０ａ～ｈは、給送ローラ１１３及びブレーキローラ１１４より下流側に設けられ、給送ローラ１１３及びブレーキローラ１１４により給送された媒体を下流側に向けて搬送する。第１～第８搬送ローラ１１９ａ～ｈ及び第１～第８従動ローラ１２０ａ～ｈは、それぞれ媒体搬送路を挟んで相互に対向して配置される。
【0033】
第１撮像装置１２１ａは、撮像部の一例であり、媒体搬送方向Ａ２において第１搬送ローラ１１９ａ及び第１従動ローラ１２０ａより下流側、即ち超音波センサ１１５より下流側に設けられる。第１撮像装置１２１ａは、主走査方向に直線状に配列されたＣＭＯＳ（Complementary Metal Oxide Semiconductor）による撮像素子を有する等倍光学系タイプのＣＩＳ（Contact Image Sensor）によるラインセンサを有する。また、第１撮像装置１２１ａは、撮像素子上に像を結ぶレンズと、撮像素子から出力された電気信号を増幅し、アナログ／デジタル（Ａ／Ｄ）変換するＡ／Ｄ変換器とを有する。第１撮像装置１２１ａは、搬送される媒体の表面を撮像して入力画像を生成し、出力する。
【0034】
同様に、第２撮像装置１２１ｂは、撮像部の一例であり、媒体搬送方向Ａ２において第１搬送ローラ１１９ａ及び第１従動ローラ１２０ａより下流側に設けられる。第２撮像装置１２１ｂは、主走査方向に直線状に配列されたＣＭＯＳによる撮像素子を有する等倍光学系タイプのＣＩＳによるラインセンサを有する。また、第２撮像装置１２１ｂは、撮像素子上に像を結ぶレンズと、撮像素子から出力された電気信号を増幅し、Ａ／Ｄ変換するＡ／Ｄ変換器とを有する。第２撮像装置１２１ｂは、搬送される媒体の裏面を撮像して入力画像を生成し、出力する。
【0035】
媒体搬送装置１００は、第１撮像装置１２１ａ及び第２撮像装置１２１ｂを一方だけ配置し、媒体の片面だけを読み取ってもよい。また、ＣＭＯＳによる撮像素子を備える等倍光学系タイプのＣＩＳによるラインセンサの代わりに、ＣＣＤ（Charge Coupled Device）による撮像素子を備える等倍光学系タイプのＣＩＳによるラインセンサが利用されてもよい。また、ＣＭＯＳ又はＣＣＤによる撮像素子を備える縮小光学系タイプのラインセンサが利用されてもよい。
【0036】
載置台１０３に載置された媒体は、ピックローラ１１２、給送ローラ１１３がそれぞれ媒体給送方向Ａ５、Ａ６に回転することによって、第１ガイド１０１ａと第２ガイド１０２ａの間を媒体搬送方向Ａ２に向かって搬送される。一方、ブレーキローラ１１４が媒体給送方向の反対方向Ａ７に回転することによって、載置台１０３に複数の媒体が載置されている場合、載置台１０３に載置されている媒体のうち給送ローラ１１３と接触している媒体のみが分離される。
【0037】
媒体は、第１ガイド１０１ａと第２ガイド１０２ａによりガイドされながら、第１～第２搬送ローラ１１９ａ～ｂが矢印Ａ８～Ａ９の方向に回転することによって、撮像装置１２１の撮像位置に送り込まれ、撮像装置１２１によって撮像される。さらに、媒体は、第３～第８搬送ローラ１１９ｃ～ｈがそれぞれ矢印Ａ１０～Ａ１５の方向に回転することによって排出台１０４上に排出される。排出台１０４は、第８搬送ローラ１１９ｈによって排出された媒体を積載する。
【0038】
【0039】
第１媒体センサ１１６、第２媒体センサ１１７及び第３媒体センサ１１８は、複数の媒体センサの一例である。第１媒体センサ１１６、第２媒体センサ１１７及び第３媒体センサ１１８は、媒体搬送方向Ａ２において、給送ローラ１１３及びブレーキローラ１１４より下流側且つ第１搬送ローラ１１９ａ及び第１従動ローラ１２０ａより上流側に配置される。特に、第１媒体センサ１１６、第２媒体センサ１１７及び第３媒体センサ１１８は、媒体搬送方向Ａ２において、超音波発信器１１５ａ及び超音波受信器１１５ｂの近傍に配置される。また、第１媒体センサ１１６、第２媒体センサ１１７及び第３媒体センサ１１８は、媒体搬送方向と直交する幅方向Ａ４に間隔を空けて並べて配置される。第１媒体センサ１１６は、幅方向Ａ４において中央に、特に超音波センサ１１５の近傍に配置される。第２媒体センサ１１７及び第３媒体センサ１１８は、幅方向Ａ４において第１媒体センサ１１６より外側に配置される。
【0040】
各媒体センサは、その位置に媒体が存在するか否かを検出する。各媒体センサは、媒体の搬送路に対して一方の側に設けられた発光器及び受光器と、搬送路を挟んで発光器及び受光器と対向する位置に設けられたミラー等の反射部材とを含む。各発光器は、搬送路に向けて光を照射する。一方、各受光器は、各発光器により照射され、反射部材により反射された光を受光し、受光した光の強度に応じた電気信号である媒体信号を生成して出力する。第１媒体センサ１１６、第２媒体センサ１１７及び第３媒体センサ１１８は、それぞれ第１媒体信号、第２媒体信号及び第３媒体信号を生成する。第１媒体信号、第２媒体信号及び第３媒体信号は、第１媒体センサ１１６、第２媒体センサ１１７及び第３媒体センサ１１８からの出力信号の一例である。各媒体センサの位置に媒体が存在する場合、発光器により照射された光はその媒体により遮光されるため、各媒体センサの位置に媒体が存在する状態と存在しない状態とで各媒体信号の信号値は変化する。なお、発光器及び受光器は、搬送路を挟んで相互に対向する位置に設けられ、反射部材は省略されてもよい。
【0041】
なお、超音波センサ１１５の数は、１つに限定されず、複数でもよい。その場合、複数の超音波センサ１１５は、幅方向Ａ４に間隔を空けて並べて配置される。
【0042】
図４は、媒体搬送装置１００の概略構成を示すブロック図である。
【0043】
媒体搬送装置１００は、前述した構成に加えて、モータ１３１、インタフェース装置１３２、記憶装置１４０及び処理回路１５０等をさらに有する。
【0044】
モータ１３１は、一又は複数のモータを含み、処理回路１５０からの制御信号によって、ピックローラ１１２、給送ローラ１１３、ブレーキローラ１１４及び第１～第８搬送ローラ１１９ａ～ｈを回転させて媒体を給送及び搬送させる。なお、第１～第８従動ローラ１２０ａ～ｈは、各搬送ローラの回転に従って従動回転するのでなく、モータからの駆動力によって回転するように設けられてもよい。
【0045】
インタフェース装置１３２は、例えばＵＳＢ等のシリアルバスに準じるインタフェース回路を有し、不図示の情報処理装置（例えば、パーソナルコンピュータ、携帯情報端末等）と電気的に接続して読取画像及び各種の情報を送受信する。また、インタフェース装置１３２の代わりに、無線信号を送受信するアンテナと、所定の通信プロトコルに従って、無線通信回線を通じて信号の送受信を行うための無線通信インタフェース回路とを有する通信部が用いられてもよい。所定の通信プロトコルは、例えば無線ＬＡＮ（Local Area Network）である。
【0046】
記憶装置１４０は、記憶部の一例である。記憶装置１４０は、ＲＡＭ（Random Access Memory）、ＲＯＭ（Read Only Memory）等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、又はフレキシブルディスク、光ディスク等の可搬用の記憶装置等を有する。また、記憶装置１４０には、媒体搬送装置１００の各種処理に用いられるコンピュータプログラム、データベース、テーブル等が格納される。コンピュータプログラムは、コンピュータ読み取り可能な可搬型記録媒体から、公知のセットアッププログラム等を用いて記憶装置１４０にインストールされてもよい。可搬型記録媒体は、例えばＣＤ－ＲＯＭ（compact disc read only memory）、ＤＶＤ－ＲＯＭ（digital versatile disc read only memory）等である。
【0047】
また、記憶装置１４０には、データとして、履歴書又は帳票等の所定のフォームを有する媒体内で、写真又は印紙等の特定の媒体が貼り付けられる貼付領域の領域情報を登録するための領域テーブルが予め記憶される。貼付領域は、媒体内の所定領域の一例である。領域テーブルの詳細については後述する。
【0048】
処理回路１５０は、予め記憶装置１４０に記憶されているプログラムに基づいて動作する。処理回路１５０は、例えばＣＰＵ（Central Processing Unit）である。処理回路１５０として、ＤＳＰ（digital signal processor）、ＬＳＩ（large scale integration）、ＡＳＩＣ（Application Specific Integrated Circuit）、ＦＰＧＡ（Field-Programmable Gate Array）等が用いられてもよい。
【0049】
処理回路１５０は、操作装置１０５、表示装置１０６、接触センサ１１１、超音波センサ１１５、第１媒体センサ１１６、第２媒体センサ１１７、第３媒体センサ１１８、撮像装置１２１、モータ１３１、インタフェース装置１３２及び記憶装置１４０等と接続され、これらの各部を制御する。処理回路１５０は、モータ１３１を制御して媒体を搬送し、撮像装置１２１を制御して入力画像を取得し、取得した入力画像を、インタフェース装置１３２を介して情報処理装置に送信する。また、処理回路１５０は、各媒体センサから受信する各媒体信号に基づいて、給送される媒体の傾き量を検出し、超音波センサ１１５から受信する超音波信号に基づいて、媒体内で重なりが発生している領域の領域情報を検出する。処理回路１５０は、検出した傾き量に基づいて領域情報を補正し、補正した領域情報に基づいて、媒体の重送が発生しているか否かを判定する。
【0050】
図５は、記憶装置１４０及び処理回路１５０の概略構成を示す図である。
【0051】
図５に示すように、記憶装置１４０には、制御プログラム１４１、重なり検出プログラム１４２、傾き量検出プログラム１４３、補正プログラム１４４、記憶制御プログラム１４５及び重送判定プログラム１４６等の各プログラムが記憶される。これらの各プログラムは、プロセッサ上で動作するソフトウェアにより実装される機能モジュールである。処理回路１５０は、記憶装置１４０に記憶された各プログラムを読み取り、読み取った各プログラムに従って動作することにより、制御部１５１、重なり検出部１５２、傾き量検出部１５３、補正部１５４、記憶制御部１５５及び重送判定部１５６として機能する。
【0052】
図６は、領域テーブルのデータ構造の一例を示す図である。
【0053】
図６に示すように、領域テーブルには、搬送される媒体内の一又は複数の貼付領域毎に、各貼付領域の識別情報（領域ＩＤ）及び領域情報等が相互に関連付けて記憶される。領域情報は、例えば位置及び長さを含む。位置として、例えば媒体の幅方向と直交する長さ方向における媒体の先端から各貼付領域の先端、中心又は後端までの距離が設定される。長さとして、例えば媒体の幅方向と直交する長さ方向における各貼付領域の先端から後端までの距離が設定される。なお、領域情報は、位置又は長さの内の何れか一方のみを含んでもよい。また、領域情報は、例えば各貼付領域の先端位置及び後端位置を含み、長さを含まなくてもよい。媒体搬送装置１００が複数の超音波センサ１１５を有する場合、各超音波センサ１１５の幅方向Ａ４における配置位置毎に、貼付領域が設定される。
【0054】
【0055】
以下、図７及び図８に示したフローチャートを参照しつつ、媒体搬送装置１００の登録処理の動作の例を説明する。なお、以下に説明する動作のフローは、予め記憶装置１４０に記憶されているプログラムに基づき主に処理回路１５０により媒体搬送装置１００の各要素と協働して実行される。登録処理は、利用者により載置台１０３にサンプル媒体がセットされた状態で実行される。サンプル媒体は、媒体搬送装置１００に貼付領域を登録するための媒体であり、予め定められた領域に写真又は印紙等の特定の媒体が貼付された履歴書又は帳票等の媒体である。
【0056】
最初に、制御部１５１は、利用者により操作装置１０５又は情報処理装置を用いて貼付領域の登録の指示が入力されて、貼付領域の登録を指示する操作信号を操作装置１０５又はインタフェース装置１３２から受信するまで待機する（ステップＳ１０１）。
【0057】
次に、制御部１５１は、接触センサ１１１から接触信号を取得し、取得した接触信号に基づいて、載置台１０３にサンプル媒体が載置されているか否かを判定する（ステップＳ１０２）。載置台１０３にサンプル媒体が載置されていない場合、制御部１５１は、処理をステップＳ１０１へ戻し、操作装置１０５又はインタフェース装置１３２から新たに操作信号を受信するまで待機する。
【0058】
一方、載置台１０３にサンプル媒体が載置されている場合、制御部１５１は、載置台１０３を移動させるためのモータを駆動し、サンプル媒体を給送可能な位置に載置台１０３を移動させる。制御部１５１は、モータ１３１を駆動し、ピックローラ１１２、給送ローラ１１３、ブレーキローラ１１４及び第１～第８搬送ローラ１１９ａ～ｈを回転させ、載置台１０３に載置されたサンプル媒体を給送及び搬送させる（ステップＳ１０３）。
【0059】
次に、重なり検出部１５２は、超音波センサ１１５から超音波信号を受信し、受信した超音波信号に基づいて、媒体の重なりが発生しているか否かを判定する（ステップＳ１０４）。重なり検出部１５２は、超音波信号の信号値が判定閾値未満である場合、媒体内で現在、超音波センサ１１５と対向している位置において、媒体の重なりが発生していると判定する。一方、重なり検出部１５２は、超音波信号の信号値が判定閾値以上である場合、媒体内で現在、超音波センサ１１５と対向している位置において、媒体の重なりが発生していないと判定する。
【0060】
図９は、超音波信号の特性を示すグラフ９００である。
【0061】
グラフ９００において、実線９０１は媒体Ｍ１及び媒体Ｍ２が重なって搬送された時の超音波信号の特性を示す。媒体Ｍ１は写真Ｐが貼付された用紙であり、媒体Ｍ１の後端側の端部Ｓは、媒体Ｍ２の先端側の端部と重なって搬送されている。グラフ９００の横軸は時間を示し、縦軸は超音波信号の信号値を示す。媒体Ｍ１内で写真Ｐが貼付された領域では超音波信号の信号値が低下している。同様に、媒体Ｍ１と媒体Ｍ２が重なっている部分Ｓでも超音波信号の信号値が低下している。
【0062】
媒体内で写真が貼付された領域における超音波信号の信号値Ｕ２と、二枚の用紙が重なっている領域における超音波信号の信号値Ｕ３とは近似しているため、信号値Ｕ２と信号値Ｕ３の間に判定閾値を設定することは困難である。そのため、判定閾値は、媒体が一枚存在する領域における超音波信号の信号値Ｕ１と、媒体内で写真が貼付された領域における超音波信号の信号値Ｕ２の間に設定される。この例では、媒体Ｍ１内で写真Ｐが貼付された領域と媒体Ｍ２と重なっている領域において、媒体の重なりが発生していると判定される。
【0063】
媒体の重なりが発生していない場合、重なり検出部１５２は、処理をステップＳ１０６に移行する。
【0064】
一方、媒体の重なりが発生している場合、重なり検出部１５２は、現在、超音波センサ１１５と対向しているサンプル媒体内の位置を、サンプル媒体内で重なりが発生している位置として記憶装置１４０に記憶する（ステップＳ１０５）。媒体搬送装置１００が複数の超音波センサ１１５を有する場合、重なり検出部１５２は、重なりが発生している位置を、対応する超音波センサ１１５と対応付けて記憶する。
【0065】
重なり検出部１５２は、第１媒体センサ１１６から定期的に第１媒体信号を取得し、第１媒体信号の信号値が、媒体が存在しないことを示す値から媒体が存在することを示す値に変化したときに、媒体の先端が第１媒体センサ１１６の位置を通過したと判定する。重なり検出部１５２は、媒体の先端が第１媒体センサ１１６の位置を通過したタイミングに対して、超音波センサ１１５と第１媒体センサ１１６の間の移動時間だけ前又は後に、媒体の先端が超音波センサ１１５の位置に到達したと判定する。なお、重なり検出部１５２は、媒体の給送を開始してから所定時間が経過した時に、媒体の先端が超音波センサ１１５の位置に到達したと判定してもよい。
【0066】
重なり検出部１５２は、媒体の先端が超音波センサ１１５の位置に到達してから現在までに、モータ１３１が駆動された駆動時間に、媒体の搬送速度を乗算した乗算値を、現在、超音波センサ１１５と対向している媒体内の位置として特定する。重なり検出部１５２は、媒体の先端が超音波センサ１１５の位置に到達してから現在までのモータ１３１の駆動パルス数に、１パルスあたりの給送ローラ１１３のローラ面の移動距離を乗算した乗算値をその位置として特定してもよい。
【0067】
次に、傾き量検出部１５３は、給送されるサンプル媒体の先端が、第１媒体センサ１１６、第２媒体センサ１１７又は第３媒体センサ１１８の位置を通過したか否かを判定する（ステップＳ１０６）。
【0068】
傾き量検出部１５３は、第１媒体センサ１１６から定期的に第１媒体信号を取得し、第１媒体信号の信号値が、媒体が存在しないことを示す値から媒体が存在することを示す値に変化したときに、媒体の先端が第１媒体センサ１１６の位置を通過したと判定する。傾き量検出部１５３は、第２媒体センサ１１７から定期的に第２媒体信号を取得し、第２媒体信号の信号値が、媒体が存在しないことを示す値から媒体が存在することを示す値に変化したときに、媒体の先端が第２媒体センサ１１７の位置を通過したと判定する。傾き量検出部１５３は、第３媒体センサ１１８から定期的に第３媒体信号を取得し、第３媒体信号の信号値が、媒体が存在しないことを示す値から媒体が存在することを示す値に変化したときに、媒体の先端が第３媒体センサ１１８の位置を通過したと判定する。
【0069】
サンプル媒体の先端が、まだ第１媒体センサ１１６、第２媒体センサ１１７又は第３媒体センサ１１８の位置を通過していない場合、傾き量検出部１５３は、処理をステップＳ１０８に移行する。
【0070】
一方、サンプル媒体の先端が第１媒体センサ１１６、第２媒体センサ１１７又は第３媒体センサ１１８の何れかの位置を通過した場合、傾き量検出部１５３は、現在時刻を通過時刻として記憶する（ステップＳ１０７）。傾き量検出部１５３は、通過時刻を記憶することに代えて、現在までのモータ１３１の駆動パルス数を通過パルス数として記憶してもよい。
【0071】
次に、傾き量検出部１５３は、給送されるサンプル媒体の先端が第１媒体センサ１１６、第２媒体センサ１１７又は第３媒体センサ１１８の内の何れか二つの媒体センサの位置を通過したか否かを判定する（ステップＳ１０８）。サンプル媒体の先端が、まだ二つの媒体センサの位置を通過していない場合、傾き量検出部１５３は、処理をステップＳ１１０へ移行する。
【0072】
一方、サンプル媒体の先端が何れか二つの媒体センサの位置を通過した場合、傾き量検出部１５３は、給送されるサンプル媒体の傾き量を検出する（ステップＳ１０９）。
【0073】
傾き量検出部１５３は、例えば、媒体の先端が一方の媒体センサの位置を通過してから他方の媒体センサの位置を通過するまでに移動した媒体搬送方向Ａ２の移動距離を、二つの媒体センサの間の距離で除算した除算値を傾き量として検出する。傾き量検出部１５３は、媒体の先端が一方の媒体センサの位置を通過してから他方の媒体センサの位置を通過するまでに、モータ１３１が駆動された駆動時間に、媒体の搬送速度を乗算した乗算値を移動距離として特定する。傾き量検出部１５３は、媒体の先端が一方の媒体センサの位置を通過してから他方の媒体センサの位置を通過するまでのモータ１３１の駆動パルス数に、１パルスあたりの給送ローラ１１３のローラ面の移動距離を乗算した乗算値を移動距離として特定してもよい。また、傾き量検出部１５３は、算出した除算値の逆正接値を傾き量として検出してもよい。このように、傾き量検出部１５３は、第１媒体センサ１１６、第２媒体センサ１１７及び第３媒体センサ１１８からの第１媒体信号、第２媒体信号及び第３媒体信号に基づいて、給送されるサンプル媒体の傾き量を検出する。
【0074】
図１０は、媒体の傾きについて説明するための模式図である。
【0075】
図１０は、写真Ｐが貼付された媒体Ｍが傾いて搬送されている例を示す。媒体Ｍの先端は、第２媒体センサ１１７の位置を通過してから第１媒体センサ１１６の位置を通過するまでに、移動距離Ｙだけ移動している。この場合、移動距離Ｙを第１媒体センサ１１６と第２媒体センサ１１７の間の距離Ｘで除算した除算値Ｙ／Ｘ（＝ｔａｎθ）が傾き量として検出される。θは、給送される媒体が媒体搬送方向Ａ２に対して傾いている角度である。または、除算値Ｙ／Ｘの逆正接値ｔａｎ-1（Ｙ／Ｘ）（＝θ）が傾き量として検出される。
【0076】
次に、重なり検出部１５２は、給送されるサンプル媒体の先端が、第１媒体センサ１１６、第２媒体センサ１１７及び第３媒体センサ１１８の全ての媒体センサの位置を通過したか否かを判定する（ステップＳ１１０）。サンプル媒体の先端が、まだ全ての媒体センサの位置を通過していない場合、傾き量検出部１５３は、処理をステップＳ１１２へ移行する。
【0077】
一方、サンプル媒体の先端が全ての媒体センサの位置を通過した場合、傾き量検出部１５３は、サンプル媒体の先端が各媒体センサのうちの二つの媒体センサの位置を通過した時間差を算出する（ステップＳ１１１）。傾き量検出部１５３は、第１媒体センサ１１６、第２媒体センサ１１７及び第３媒体センサ１１８から二つの媒体センサのペアを全通り抽出する。傾き量検出部１５３は、抽出した各ペアについて、媒体の先端が各媒体センサの位置を通過した時間差を算出する。
【0078】
次に、重なり検出部１５２は、給送されるサンプル媒体の後端が、第１媒体センサ１１６、第２媒体センサ１１７及び第３媒体センサ１１８の全ての媒体センサの位置を通過したか否かを判定する（ステップＳ１１２）。重なり検出部１５２は、第１媒体信号の信号値が、媒体が存在することを示す値から媒体が存在しないことを示す値に変化したときに、媒体の後端が第１媒体センサ１１６の位置を通過したと判定する。重なり検出部１５２は、第２媒体信号の信号値が、媒体が存在することを示す値から媒体が存在しないことを示す値に変化したときに、媒体の先端が第２媒体センサ１１７の位置を通過したと判定する。重なり検出部１５２は、第３媒体信号の信号値が、媒体が存在することを示す値から媒体が存在しないことを示す値に変化したときに、媒体の先端が第３媒体センサ１１８の位置を通過したと判定する。サンプル媒体の後端が、まだ全ての媒体センサの位置を通過していない場合、重なり検出部１５２は、処理をステップＳ１０４へ戻し、ステップＳ１０４～Ｓ１１２の処理を繰り返す。
【0079】
一方、サンプル媒体の後端が全ての媒体センサの位置を通過した場合、重なり検出部１５２は、超音波センサ１１５から受信した超音波信号に基づいて、給送されるサンプル媒体内で重なりが発生している領域の領域情報を検出する（ステップＳ１１３）。媒体搬送装置１００が複数の超音波センサ１１５を有する場合、重なり検出部１５２は、超音波センサ１１５毎に領域情報を検出する。
【0080】
重なり検出部１５２は、ステップＳ１０５で記憶装置１４０に記憶した、サンプル媒体内で重なりが発生している位置に基づいて領域情報を検出する。重なり検出部１５２は、記憶装置１４０に記憶された各位置を参照して、サンプル媒体を先端から後端まで走査する。重なり検出部１５２は、重なりが発生していない位置の後端側に、重なりが発生している位置が隣接している場合、その重なりが発生している位置を貼付領域の先端位置として検出する。また、重なり検出部１５２は、重なりが発生している位置の後端側に、重なりが発生していない位置が隣接している場合、その重なりが発生している位置を貼付領域の後端位置として検出する。重なり検出部１５２は、相互に隣接する先端位置及び後端位置の組合せ毎に、媒体の先端から、先端位置、後端位置又はその中心位置までの距離を貼付領域の位置として検出し、先端位置から後端位置までの距離を貼付領域の長さとして検出する。
【0081】
各領域情報は、媒体搬送方向Ａ２に沿って移動する媒体に対して、固定位置に配置された超音波センサ１１５によって検出される。そのため、各領域情報は、幅方向Ａ４の同一位置において検出されており、媒体搬送方向Ａ２における領域（位置及び長さ）を示している。
【0082】
次に、補正部１５４は、ステップＳ１１１で算出された、サンプル媒体の先端が各媒体センサのうちの二つの媒体センサの位置を通過した時間差が所定差以下であるか否か判定する（ステップＳ１１４）。所定差は、媒体が傾いて搬送されていないとみなされる十分に小さい時間差に設定される。
【0083】
図１１は、突起部を有する媒体について説明するための模式図である。
【0084】
図１１は、先端の一部にインデックスシール、タブ等の突起部Ｔを有する媒体Ｍ’が傾かずに搬送されている例を示す。この場合、媒体Ｍ’の先端が第１媒体センサ１１６及び第３媒体センサ１１８の位置を通過する前に、突起部Ｔが第２媒体センサ１１７の位置を通過する。したがって、媒体Ｍ’が傾かずに搬送されているにも関わらず、傾き量検出部１５３によって検出される媒体の傾き量が大きくなる。
【0085】
補正部１５４は、各媒体センサのペアについて算出された何れかの時間差が所定差以下である場合、媒体が傾いて搬送されていないと判定し、ステップＳ１１５の処理を実行せずに、処理をステップＳ１１６へ移行する。即ち、補正部１５４は、給送されるサンプル媒体の先端が二つの媒体センサの位置を通過した時間差が所定差以下である場合、そのサンプル媒体について検出された領域情報を補正しない。これにより、補正部１５４は、突起部により誤って検出した傾き量に基づいて領域情報を補正することを抑制でき、その結果、媒体搬送装置１００は、重送が発生したか否かを精度良く判定することができる。
【0086】
一方、補正部１５４は、各媒体センサのペアについて算出された全ての時間差が所定差より大きい場合、媒体が傾いて搬送されていると判定する。その場合、補正部１５４は、給送されるサンプル媒体について検出された傾き量に基づいて、給送されるサンプル媒体について検出された領域情報を補正する（ステップＳ１１５）。補正部１５４は、補正後の領域情報が媒体の長さ方向における媒体の領域（媒体の先端に対する位置又は媒体の長さ）、即ち媒体が傾かずに搬送された場合の媒体の領域を示すように、領域情報を補正する。
【0087】
図１０に示すように、媒体Ｍが傾いて搬送された場合、媒体Ｍ内で媒体搬送方向Ａ２に沿った直線上に位置する２点間の距離Ｌは、その２点を媒体Ｍの長さ方向に沿った直線上に射影した２点間の距離Ｌ’より長くなる。媒体が媒体搬送方向Ａ２に対して角度θだけ傾いて搬送された場合、距離Ｌは、距離Ｌ’の１／ｃｏｓθ倍になる。したがって、補正部１５４は、例えば以下の式（１）により、領域情報を補正する。
Ｒ’＝Ｒ×ｃｏｓθ （１）
ここで、Ｒ’は補正後の領域情報であり、Ｒは補正前の領域情報であり、θは、給送された媒体が媒体搬送方向Ａ２に対して傾いている角度である。
Ｒ’＝Ｒ×ｃｏｓθ （１）
ここで、Ｒ’は補正後の領域情報であり、Ｒは補正前の領域情報であり、θは、給送された媒体が媒体搬送方向Ａ２に対して傾いている角度である。
【0088】
次に、記憶制御部１５５は、給送されるサンプル媒体について補正された領域情報を領域テーブルに格納して記憶装置１４０に記憶し（ステップＳ１１６）、一連のステップを終了する。記憶制御部１５５は、領域情報に領域ＩＤを割り当て、相互に関連付けて領域テーブルに格納する。なお、領域情報が補正されていない場合、記憶制御部１５５は、補正されていない領域情報を領域テーブルに格納する。
【0089】
【0090】
以下、図１２及び図１３に示したフローチャートを参照しつつ、媒体搬送装置１００の媒体読取処理の動作の例を説明する。なお、以下に説明する動作のフローは、予め記憶装置１４０に記憶されているプログラムに基づき主に処理回路１５０により媒体搬送装置１００の各要素と協働して実行される。媒体読取処理は、利用者により載置台１０３に読取対象の媒体がセットされた状態で実行される。読取対象の媒体は、様々な種類の媒体を含み、特に、登録処理で登録されたサンプル媒体と同一種類の媒体を含む。
【0091】
ステップＳ２０１～Ｓ２１４の処理は、図５のステップＳ１０１～Ｓ１１４の処理と同様である。但し、処理回路１５０は、今回給送される媒体に対してステップＳ２０１～Ｓ２１４の処理を実行する。即ち、ステップＳ２０９において、傾き量検出部１５３は、第１媒体センサ１１６、第２媒体センサ１１７及び第３媒体センサ１１８からの第１媒体信号、第２媒体信号及び第３媒体信号に基づいて、給送される媒体の傾き量を検出する。ステップＳ２１１において、傾き量検出部１５３は、給送される媒体の先端が各媒体センサのうちの二つの媒体センサの位置を通過した時間差を算出する。ステップＳ２１３において、重なり検出部１５２は、超音波センサ１１５から受信した超音波信号に基づいて、給送される媒体内で重なりが発生している領域の領域情報を検出する。
【0092】
また、ステップＳ２１５において、補正部１５４は、給送される媒体について検出された傾き量に基づいて、給送される媒体について検出された領域情報を補正する。但し、補正部１５４は、給送される媒体の先端が二つの媒体センサの位置を通過した時間差が所定差以下である場合、その媒体について検出された領域情報を補正しない。
【0093】
次に、重送判定部１５６は、給送される媒体について補正された領域情報が、領域テーブルに記憶された領域情報に対応するか否かを判定する（ステップＳ２１６）。媒体搬送装置１００が複数の超音波センサ１１５を有する場合、重送判定部１５６は、超音波センサ１１５毎に、各領域情報が対応するか否かを検出する。重送判定部１５６は、各領域情報に示される各位置の差又は各長さの差の何れかが所定値より大きい場合、給送される媒体について補正された領域情報が、領域テーブルに記憶された領域情報に対応しないと判定する。一方、重送判定部１５６は、各領域情報に示される各位置の差及び各長さの差の全てが所定値以下である場合、給送される媒体について補正された領域情報が、領域テーブルに記憶された領域情報に対応すると判定する。所定値は、給送される媒体内の貼付領域がサンプル媒体内の添付領域と同一であるとみなせる、十分に小さい値に設定される。なお、領域情報が補正されていない場合、記憶制御部１５５は、給送される媒体について補正されていない領域情報が、領域テーブルに記憶された領域情報に対応するか否かを判定する。
【0094】
給送される媒体について補正された領域情報が、領域テーブルに記憶された領域情報に対応しない場合、重送判定部１５６は、媒体の重送が発生していると判定する（ステップＳ２１７）。即ち、重送判定部１５６は、サンプル媒体について補正された領域情報が領域テーブルに記憶された後に給送された媒体について検出された領域情報が、記憶された領域情報に対応しない場合、媒体の重送が発生していると判定する。
【0095】
次に、制御部１５１は、異常処理を実行し（ステップＳ２１８）、一連のステップを終了する。制御部１５１は、異常処理として、モータ１３１を停止して、媒体の給送及び搬送を停止する。また、制御部１５１は、異常処理として、媒体の重送が発生したことを示す情報を表示装置１０６に表示し又はインタフェース装置１３２を介して情報処理装置に送信することにより利用者に通知する。なお、制御部１５１は、異常処理として、現在搬送中の媒体を排出してから媒体読取処理を停止させてもよい。また、制御部１５１は、異常処理として、モータ１３１を駆動し、媒体を逆送させて載置台１０３に一旦戻してから再給送するように搬送部を制御してもよい。これにより、利用者は、媒体を載置台１０３に再載置して再給送する必要がなくなり、制御部１５１は、利用者の利便性を向上させることが可能となる。
【0096】
一方、給送される媒体について補正された領域情報が、領域テーブルに記憶された領域情報に対応する場合、重送判定部１５６は、サンプル媒体と同一種類の媒体が給送されていると判定し、媒体の重送が発生していないと判定する（ステップＳ２１９）。即ち、重送判定部１５６は、サンプル媒体について補正された領域情報が領域テーブルに記憶された後に給送された媒体について検出された領域情報が、記憶された領域情報に対応する場合、媒体の重送が発生していないと判定する。
【0097】
次に、制御部１５１は、撮像装置１２１から入力画像を取得し、取得した入力画像をインタフェース装置１３２を介して情報処理装置に送信することにより出力する（ステップＳ２２０）。
【0098】
次に、制御部１５１は、接触センサ１１１から受信する接触信号に基づいて載置台１０３に媒体が残っているか否かを判定する（ステップＳ２２１）。載置台１０３に媒体が残っている場合、制御部１５１は、ステップＳ２０４へ処理を戻し、ステップＳ２０４～Ｓ２２１の処理を繰り返す。
【0099】
一方、載置台１０３に媒体が残っていない場合、制御部１５１は、モータ１３１を停止して各ローラを停止し（ステップＳ２２２）、一連のステップを終了する。
【0100】
なお、図７、図８のステップＳ１１０、Ｓ１１１、Ｓ１１４及び／又は図１２、図１３のステップＳ２１０、Ｓ２１１、Ｓ２１４は省略されてもよい。また、図８のステップＳ１１５が省略され、ステップＳ１１６において、記憶制御部１５５は、給送されるサンプル媒体について検出された領域情報を補正せずに、傾き量と関連付けて領域テーブルに格納してもよい。その場合、図１３のステップＳ２１５において、補正部１５４は、補正後の領域情報が、媒体が、領域テーブルに記憶された各傾き量だけ傾いて搬送された場合の媒体の領域を示すように、領域情報を補正する。
【0101】
また、登録処理は省略され、装置出荷時に各装置に共通な領域情報が設定されてもよい。また、媒体搬送装置１００は、登録処理により記憶した領域情報を自装置で使用するのでなく、他の媒体搬送装置で使用可能に、インタフェース装置１３２を介して外部に送信してもよい。
【0102】
また、媒体搬送装置１００は、超音波センサ１１５の代わりに、厚さセンサを有し、重なり検出部１５２は、媒体の厚さに基づいて、給送される媒体内で重なりが発生している領域の領域情報を検出してもよい。厚さセンサは、発光器及び受光器を含む。発光器及び受光器は、媒体の搬送路の近傍に、搬送路を挟んで対向して配置される。発光器は、受光器に向けて光（赤外光又は可視光）を照射する。一方、受光器は、発光器により照射された光を受光し、受光した光の強度に応じた電気信号である厚さ信号を生成して出力する。発光器により照射された光は媒体の厚さが大きい程、減衰するため、受光器は、受光した光の強度が小さい程、信号値が大きくなるように厚さ信号を生成する。
【0103】
なお、厚さセンサとして、反射光センサ、圧力センサ又は機械式センサが用いられてもよい。反射光センサは、媒体の搬送路に対して一方の側に設けられた発光器及び受光器のペアと、他方の側に設けられた発光器及び受光器のペアとを含む。反射光センサは、一方のペアが媒体の一方の面に光を照射してから反射光を受光するまでの時間と、他方のペアが媒体の他方の面に光を照射してから反射光を受光するまでの時間とから、各ペアと媒体の各面までの距離を検出する。反射光センサは、二つのペアの間の距離から、検出した各距離を減算した減算値を示す厚さ信号を生成する。圧力センサは、媒体の厚さに応じて変化する圧力を検出し、検出した圧力を示す厚さ信号を生成する。機械式センサは、媒体に接するローラの移動量を検出し、検出した移動量を示す厚さ信号を生成する。
【0104】
この場合、図７のステップＳ１０４及び図１２のステップＳ２０４において、重なり検出部１５２は、厚さ信号の信号値が判定閾値以上である場合、媒体の重なりが発生していると判定する。一方、重なり検出部１５２は、厚さ信号の信号値が判定閾値未満である場合、媒体の重なりが発生していないと判定する。
【0105】
また、図７のステップＳ１０９及び図１２のステップＳ２０９において、傾き量検出部１５３は、撮像装置１２１によって媒体が撮像された入力画像に基づいて、給送される媒体の傾き量を検出してもよい。その場合、傾き量検出部１５３は、公知の画像処理技術を利用して、入力画像からエッジ画素を抽出し、抽出したエッジ画素で囲まれる矩形領域を検出する。傾き量検出部１５３は、検出した矩形領域の先端の延伸方向と水平方向とがなす角度を給送される媒体の傾き量として検出する。
【0106】
以上詳述したように、媒体搬送装置１００は、媒体内で重なりが発生している位置及び長さが、予め記憶された位置及び長さと合致する場合、媒体の重送が発生していないと判定する機能を有する。媒体搬送装置１００は、その機能を使用する際に、媒体内で重なりが発生している各領域の位置及び長さを、媒体の傾き量に応じて補正した上で、合致するか否かを判定する。これにより、媒体搬送装置１００は、媒体が傾いて搬送される場合でも、媒体内で重なりが発生している位置及び長さが、予め記憶された位置及び長さと合致するか否かを正しく判定することが可能となった。したがって、媒体搬送装置１００は、媒体の重送が発生しているか否かをより高精度に判定することが可能となった。
【0107】
特に、媒体搬送装置１００は、写真又は印紙等の特定の媒体が貼付された媒体が搬送された場合に、重送が発生したと誤って判定し、媒体の搬送を停止させてしまうことを抑制することが可能となった。これにより、媒体搬送装置１００は、媒体読取処理にかかるトータル時間の増大を抑制することが可能となった。また、利用者は、媒体を載置台１０３に再載置して再搬送させる必要がなくなり、媒体搬送装置１００は、利用者の利便性を向上させることが可能となった。
【0108】
図１４は、他の実施形態に係る媒体搬送装置の処理回路２５０の概略構成を示す図である。
【0109】
処理回路２５０は、処理回路１５０の代わりに使用され、処理回路１５０の代わりに、登録処理及び媒体読取処理等を実行する。処理回路２５０は、制御回路２５１、重なり検出回路２５２、傾き量検出回路２５３、補正回路２５４、記憶制御回路２５５及び重送判定回路２５６等を有する。なお、これらの各部は、それぞれ独立した集積回路、マイクロプロセッサ、ファームウェア等で構成されてもよい。
【0110】
制御回路２５１は、制御部の一例であり、制御部１５１と同様の機能を有する。制御回路２５１は、操作装置１０５又はインタフェース装置１３２から操作信号を、接触センサ１１１から媒体信号を受信し、受信した各信号に基づいて、モータ１３１を制御して媒体を給送及び搬送する。制御回路２５１は、撮像装置１２１から入力画像を取得し、インタフェース装置１３２に出力する。また、制御回路２５１は、記憶装置１４０から重送が発生したか否かの判定結果を読み出し、媒体の重送が発生したと判定された場合に異常処理を実行する。
【0111】
重なり検出回路２５２は、重なり検出部の一例であり、重なり検出部１５２と同様の機能を有する。重なり検出回路２５２は、超音波センサ１１５から超音波信号を受信し、受信した超音波信号に基づいて、媒体内で重なりが発生している領域の領域情報を検出し、記憶装置１４０に記憶する。
【0112】
傾き量検出回路２５３は、傾き量検出部の一例であり、傾き量検出部１５３と同様の機能を有する。傾き量検出回路２５３は、第１媒体センサ１１６から第１媒体信号を、第２媒体センサ１１７から第２媒体信号を、第３媒体センサ１１８から第３媒体信号を受信し、受信した各信号に基づいて、媒体の傾き量を検出し、記憶装置１４０に記憶する。
【0113】
補正回路２５４は、補正部の一例であり、補正部１５４と同様の機能を有する。補正回路２５４は、記憶装置１４０から媒体の傾き量及び媒体内で重なりが発生している領域の領域情報を読み出し、読み出した傾き量に基づいて領域情報を補正し、記憶装置１４０に記憶する。
【0114】
記憶制御回路２５５は、記憶制御部の一例であり、記憶制御部１５５と同様の機能を有する。記憶制御回路２５５は、記憶装置１４０からサンプル媒体について補正された領域情報を読み出し、領域テーブルに格納するように記憶装置１４０に記憶する。
【0115】
重送判定回路２５６は、重送判定部の一例であり、重送判定部１５６と同様の機能を有する。重送判定回路２５６は、記憶装置１４０から今回給送された媒体について補正された領域情報と領域テーブルに格納された領域情報とを読み出し、読み出した各領域情報に基づいて媒体の重送が発生したか否かを判定し、判定結果を記憶装置１４０に記憶する。
【0116】
以上詳述したように、媒体搬送装置は、処理回路２５０によって媒体読取処理及び重送判定処理を実行する場合も、媒体の重送が発生しているか否かをより高精度に判定することが可能となった。
【符号の説明】
【0117】
１００ 媒体搬送装置、１１３ 給送ローラ、１１５ 超音波センサ、１１６ 第１媒体センサ、１１７ 第２媒体センサ、１１８ 第３媒体センサ、１４０ 記憶装置、１５２ 重なり検出部、１５３ 傾き量検出部、１５４ 補正部、１５５ 記憶制御部、１５６ 重送判定部
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】