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特許7453468ロッドおよびそのロッドを備えるロック装置
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  • 特許-ロッドおよびそのロッドを備えるロック装置 図1
  • 特許-ロッドおよびそのロッドを備えるロック装置 図2
  • 特許-ロッドおよびそのロッドを備えるロック装置 図3
  • 特許-ロッドおよびそのロッドを備えるロック装置 図4
  • 特許-ロッドおよびそのロッドを備えるロック装置 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-11
(45)【発行日】2024-03-19
(54)【発明の名称】ロッドおよびそのロッドを備えるロック装置
(51)【国際特許分類】
   E05B 83/30 20140101AFI20240312BHJP
   E05C 21/00 20060101ALI20240312BHJP
   B60R 7/06 20060101ALI20240312BHJP
【FI】
E05B83/30 A
E05C21/00 A
B60R7/06 G
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2023502111
(86)(22)【出願日】2021-12-23
(86)【国際出願番号】 JP2021048049
(87)【国際公開番号】W WO2022181030
(87)【国際公開日】2022-09-01
【審査請求日】2023-08-17
(31)【優先権主張番号】P 2021028976
(32)【優先日】2021-02-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000124096
【氏名又は名称】株式会社パイオラックス
(74)【代理人】
【識別番号】100109081
【弁理士】
【氏名又は名称】三木 友由
(72)【発明者】
【氏名】北島 優生
【審査官】河本 明彦
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/195303(WO,A2)
【文献】国際公開第2015/163282(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/008598(WO,A1)
【文献】国際公開第2013/018496(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 83/30
E05C 21/00
B60R 7/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの操作によってロック解除可能なロック装置に進退可能に設けられるロッドであって、
該ロッドの先端に位置し、進退に応じて相手部材の係合孔に入ってロック可能なロック部と、
該ロッドの基端に位置し、操作に応じて回転するロータに連結するロータ連結部と、
前記ロック部および前記ロータ連結部をつなぐ本体部と、を備え、
前記本体部の基端側は、進退方向に直交する第1方向の長さが前記本体部の先端側よりも小さく、
前記本体部は、前記進退方向および前記第1方向に直交する第2方向に撓み可能であり、
前記本体部は、前記第1方向に対向する一対の板状部を有し、
前記板状部は、基端側に向かって板幅が小さくなる部分を有することを特徴とするロッド。
【請求項2】
ユーザの操作によってロック解除可能なロック装置に進退可能に設けられるロッドであって、
該ロッドの先端に位置し、進退に応じて相手部材の係合孔に入ってロック可能なロック部と、
該ロッドの基端に位置し、操作に応じて回転するロータに連結するロータ連結部と、
前記ロック部および前記ロータ連結部をつなぐ本体部と、を備え、
前記本体部の基端側は、進退方向に直交する第1方向の長さが前記本体部の先端側よりも小さく、
前記本体部は、前記進退方向および前記第1方向に直交する第2方向に撓み可能であり、
前記本体部は、
前記第1方向に沿う面を有する板状部と、
前記板状部の一面に両端が結合して形成される補強部と、を有し、
前記板状部は、基端に向かって小さくなる板幅を有し、
前記補強部は、前記板状部と前記第1方向に開放する孔を形成することを特徴とするロッド。
【請求項3】
前記ロック部は、前記係合孔に入ったロック状態で前記第1方向に荷重を受け、
前記本体部が撓み可能な前記第2方向は、前記ロータの回転平面に平行であることを特徴とする請求項1または2に記載のロッド。
【請求項4】
前記本体部は、一対の前記板状部をつなぐように形成される複数のリブを有し、
複数の前記リブは、前記先端側で一対の前記板状部に挟まれた空間における体積密度が最も大きくなるように形成されることを特徴とする請求項1に記載のロッド。
【請求項5】
ユーザの操作によって回転するロータと、
進退可能に設けられるロッドと、を備え、
該ロッドの先端に位置し、進退に応じて相手部材の係合孔に入ってロック可能なロック部と、
該ロッドの基端に位置し、操作に応じて回転する前記ロータに連結するロータ連結部と、
前記ロック部および前記ロータ連結部をつなぐ本体部と、を備え、
前記本体部の基端側は、進退方向に直交する第1方向の長さが前記本体部の先端側よりも小さく、
前記本体部は、前記進退方向および前記第1方向に直交する第2方向に撓み可能であり、
前記本体部は、前記第1方向に対向する一対の板状部を有し、
前記板状部は、基端側に向かって板幅が小さくなる部分を有することを特徴とするロック装置。
【請求項6】
ユーザの操作によって回転するロータと、
進退可能に設けられるロッドと、を備え、
該ロッドの先端に位置し、進退に応じて相手部材の係合孔に入ってロック可能なロック部と、
該ロッドの基端に位置し、操作に応じて回転する前記ロータに連結するロータ連結部と、
前記ロック部および前記ロータ連結部をつなぐ本体部と、を備え、
前記本体部の基端側は、進退方向に直交する第1方向の長さが前記本体部の先端側よりも小さく、
前記本体部は、前記進退方向および前記第1方向に直交する第2方向に撓み可能であり、
前記本体部は、
前記第1方向に沿う面を有する板状部と、
前記板状部の一面に両端が結合して形成される補強部と、を有し、
前記板状部は、基端に向かって小さくなる板幅を有し、
前記補強部は、前記板状部と前記第1方向に開放する孔を形成することを特徴とするロック装置。
【請求項7】
(削除)
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロック装置に進退可能に設けられるロッドに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、開閉部材のロック装置が開示されている。このロック装置は、取付ベースと、取付ベースに回転可能に取り付けられたロータと、ロータから径方向外向きに延出されたアームと、アームに連結されるスライドピンとを備える。アームに連結されたスライドピンの一端は、ロータの回転によって回転方向に変位する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開2012-132546号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のスライドピンは、ロータの回転によって回転方向に変位するが、その回転方向は、スライドピンのスライド方向と交差しているため、スライドピンのスライドが滑らかでなくなるおそれがある。また、スライドピンを軽量化できると好ましい。
【0005】
本発明の目的は、ロッドの剛性を確保しつつ軽量化し、ロッドの進退を滑らかにする技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある態様は、ユーザの操作によってロック解除可能なロック装置に進退可能に設けられるロッドであって、該ロッドの先端に位置し、進退に応じて相手部材の係合孔に入ってロック可能なロック部と、該ロッドの基端に位置し、操作に応じて回転するロータに連結するロータ連結部と、ロック部およびロータ連結部をつなぐ本体部と、を備える。本体部の基端側は、進退方向に直交する第1方向の長さが本体部の先端側よりも小さく、本体部は、進退方向および第1方向に直交する第2方向に撓み可能である。
【0007】
本発明の別の態様は、ロック装置である。このロック装置は、ユーザの操作によって回転するロータと、進退可能に設けられるロッドと、を備える。該ロッドの先端に位置し、進退に応じて相手部材の係合孔に入ってロック可能なロック部と、該ロッドの基端に位置し、操作に応じて回転するロータに連結するロータ連結部と、ロック部およびロータ連結部をつなぐ本体部と、を備える。本体部の基端側は、進退方向に直交する第1方向の長さが本体部の先端側よりも小さく、本体部は、進退方向および第1方向に直交する第2方向に撓み可能である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ロッドの剛性を確保しつつ軽量化し、ロッドの進退を滑らかにする技術を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施例のロック装置を開閉体へ取り付けた状態を説明するための図である。
図2】第1ロッドの斜視図である。
図3図3(a)は、第1ロッドの上面図であり、図3(b)は、第1ロッドの側面図である。
図4】変形例の第1ロッドの斜視図である。
図5図5(a)は、変形例の第1ロッドの上面図であり、図5(b)は、変形例の第1ロッドの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、実施例のロック装置10を開閉体12へ取り付けた状態を説明するための図である。開閉体12は、表側部材と裏側部材の2枚を合わせて設けられるが、図1では開閉体12の裏側部材を省いて示す。開閉体12は、車両に設けられたグローブボックスなどの固定体(不図示)の開口を開閉可能に設けられ、蓋として機能する。ロック装置10は、開閉体12の内側に設けられ、操作ハンドルなどの一部を開閉体12の表側部材から露出する。ロック装置10は、開閉体12に取り付けられ、開閉体12が固定体の開口を閉じた状態でロックする。
【0011】
開閉体12の表側部材には、凹部12a、開口12bおよび支持部12cが形成される。凹部12aに形成された開口12bの縁に、ロック装置10が固定される。
【0012】
ロック装置10は、第1ロッド20、第2ロッド22、ロータ24、ベース26および不図示の操作ハンドルを備える。ベース26は、開口12bの縁に固定される。操作ハンドルおよびロータ24は、ベース26に支持される。
【0013】
ロータ24は、円盤状に形成され、ベース26に回転可能に支持される。ロータ24の円盤面には、第1ロッド20および第2ロッド22に連結する突起が形成される。ユーザが操作ハンドルを操作すると、その操作に応じてロータ24が回転する。ロータ24の円盤面は回転平面であり、ロータ24の回転軸に直交する。ロータ24の回転軸は、開閉体12を表裏に貫く方向に沿う。ロータ24の突起は、円盤面から立設する。
【0014】
第1ロッド20および第2ロッド22は、ロータ24に連結され、ロータ24の回転に応じて進退する。第1ロッド20および第2ロッド22は、相手部材である固定体に係合して、ロック状態にする。第1ロッド20および第2ロッド22は、ユーザの操作によって退行してロック解除する。
【0015】
図2は、第1ロッド20の斜視図である。図3(a)は、第1ロッド20の上面図であり、図3(b)は、第1ロッド20の側面図である。図3(b)には、第1ロッド20のロータ連結部32が連結されるロータ24と、そのロータ24の回転方向25が示される。
【0016】
第1ロッド20は、ロック部30、ロータ連結部32および本体部34を有する。第2ロッド22は、第1ロッド20よりも短く形成されるが、ロック部30およびロータ連結部32と同様の構成を有する。
【0017】
ロック部30は、第1ロッド20の先端に位置し、進退に応じて相手部材の係合孔40に入ってロックする。ロック部30は、図1に示す支持部12cに挿入された状態にあり、支持部12cに支持されている。ロータ連結部32は、第1ロッド20の基端に位置し、操作に応じて回転するロータ24に連結する。ロータ連結部32は、ロータ24の突起を受け入れて、ロータ24に連結する。本体部34は、ロック部30およびロータ連結部32をつなぐ。ロータ連結部32は、ロータ24の回転方向25に変位する。
【0018】
図3(a)に示すように、ロック部30は、相手部材の係合孔40に入り込んでロック状態となる。開閉体12が開く方向に入力を受けると、ロック部30が係合孔40に引っかかってロック状態が維持される。このとき、開閉体12が開く方向の動きを止めるため、ロック部30は、係合孔40に入ったロック状態で係合孔40から第1方向42の荷重を受ける。そのため、第1ロッド20は、荷重入力方向である第1方向42に対して耐荷重性を高めるよう構成されている。第1方向42は、開閉体12の面直方向に沿う。
【0019】
第1ロッド20は、図1に示すロータ24の回転に応じて進退するが、ロータ24の回転による位相ずれを受け、ロータ連結部32が第2方向44に変位する。本体部34が撓み可能な第2方向44は、ロータ24の回転平面に平行であり、ロータ24の回転による位相ずれを吸収できる。第2方向44は、進退方向41および第1方向42に直交する。
【0020】
本体部34の基端部34bは、第1方向42の長さが本体部34の先端部34aよりも小さい。つまり、第1方向42において、基端部34bの長さL2は、先端部34aの長さL1よりも小さい。これにより、本体部34の基端側を軽量化し、撓みやすくできる。本体部34の先端部34aは、荷重を受けるロック部30近傍に位置するため、図3(a)に示すように、本体部34の基端部34bよりも第1方向42の長さが大きい。先端部34aの剛性を荷重を受ける方向に高めることができる。先端部34aは、本体部34の中心位置よりも先端側に位置し、基端部34bは、本体部34の中心位置よりも基端側に位置する。先端部34aは、本体部34が先端側で屈曲した部分から先端までであってよい。基端部34bは、板状部38の板幅が急に小さくなった部分であってよい。
【0021】
本体部34は、一対の板状部38と、一対の板状部38を掛け渡すように形成される複数のリブ36を有する。一対の板状部38は、第1方向42に対向する。図3(b)に示すように、一対の板状部38の基端部34bは、先端部34aよりも板幅が小さい。つまり、板状部38は、ロータ連結部32の基端側に向かって板幅が小さくなる部分を有する。これにより、本体部34の基端側を撓みやすくしてロータ24の回転に追従しやすくできる。一方、板状部38の先端部34aは、基端部34bよりも大きい板幅を有するため、荷重を受ける第1ロッド20に近い部分の剛性を高めることができる。
【0022】
複数のリブ36は、一対の板状部38をつなぐように形成される。先端部34aに位置する先端側リブ群36aは、基端部34bに位置する基端側リブ群36bよりも一対の板状部38に挟まれた空間におけるリブ36の体積密度が大きくなる。また、複数のリブ36のうち先端側リブ群36aでは、一対の板状部38に挟まれた空間におけるリブ36の体積密度が最も大きくなるように形成される。これにより、ロック部30の近傍に位置する先端部34a側の剛性を高めることができる。また、図3(a)に示す上面視において、先端側リブ群36aでは、一対の板状部38に挟まれた領域におけるリブ36の面積密度が最も大きくなるように形成される。
【0023】
図4は、変形例の第1ロッド120の斜視図である。図5(a)は、第1ロッド120の上面図であり、図5(b)は、第1ロッド120の側面図である。図5(b)には、第1ロッド120のロータ連結部132が連結されるロータ24と、そのロータ24の回転方向25が示される。
【0024】
変形例の第1ロッド120は、ロック部130、ロータ連結部132および本体部134を有する。本体部134は、1枚の板状部138と、補強部136とを有する。第1ロッド120を1枚の板状部138で形成することで、軽量化することができる。
【0025】
板状部138は、第1方向42に沿う面を有し、その板幅は、図5(a)に示すように基端側に向かって、すなわちロータ連結部132側に向かって小さくなる。これにより、本体部134の基端側を軽量化でき、先端側の剛性を確保できる。板状部138の板幅は、第1方向42の長さである。第1方向42において本体部134の先端部134aの長さは、基端部134bの長さよりも大きくなるように形成される。
【0026】
補強部136は、板状部138の一面に両端が結合して形成される。図5(b)に示すように、補強部136と板状部138とは、第1方向42に開放する孔140を形成する。補強部136によって、第1方向42の剛性を高めつつ、第2方向44に撓み可能に構成できる。補強部136は、本体部134の中心位置よりも先端部134a側に形成され、先端側の剛性を高めている。
【0027】
本発明は上述の各実施例に限定されるものではなく、当業者の知識に基づいて各種の設計変更等の変形を各実施例に対して加えることも可能であり、そのような変形が加えられた実施例も本発明の範囲に含まれうる。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明は、ロック装置に進退可能に設けられるロッドに関する。
【符号の説明】
【0029】
10 ロック装置、 12 開閉体、 12a 凹部、 12b 開口、 12c 支持部、 20 第1ロッド、 22 第2ロッド、 24 ロータ、 26 ベース、 30 ロック部、 32 ロータ連結部、 34 本体部、 34a 先端部、 34b 基端部、 36a 先端側リブ群、 36b 基端側リブ群、 38 板状部、 40 係合孔、136 補強部、 138 板状部。
図1
図2
図3
図4
図5