(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-11
(45)【発行日】2024-03-19
(54)【発明の名称】ポンプシステムの現在の動作状態を1つ以上の故障シナリオと関連付けるポンプ監視システム及び方法
(51)【国際特許分類】
F04D 15/00 20060101AFI20240312BHJP
F04D 15/02 20060101ALI20240312BHJP
F04B 51/00 20060101ALI20240312BHJP
【FI】
F04D15/00 L
F04D15/00 B
F04D15/02
F04B51/00
(21)【出願番号】P 2023563150
(86)(22)【出願日】2021-11-29
(86)【国際出願番号】 EP2021083346
(87)【国際公開番号】W WO2022135840
(87)【国際公開日】2022-06-30
【審査請求日】2023-06-23
(32)【優先日】2020-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】523240833
【氏名又は名称】グルンドフォス・ホールディングス・アクティーゼルスカブ
【氏名又は名称原語表記】GRUNDFOS HOLDING A/S
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100129425
【氏名又は名称】小川 護晃
(74)【代理人】
【識別番号】100168642
【氏名又は名称】関谷 充司
(74)【代理人】
【識別番号】100217076
【氏名又は名称】宅間 邦俊
(74)【代理人】
【氏名又は名称】池本 理絵
(72)【発明者】
【氏名】カレソ,カーステン・スコヴモーセ
(72)【発明者】
【氏名】ハッサン,アブドゥル・サッタール
(72)【発明者】
【氏名】アーレストラップ,ヤン・カロエ
【審査官】岸 智章
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0106261(US,A1)
【文献】独国特許出願公開第102018200651(DE,A1)
【文献】国際公開第2015/195520(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 15/00
F04D 15/02
F04B 51/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
n≧1個のポンプ(3)を備えるポンプシステム(1)の現在の動作状態をk≧1個の故障シナリオのうちの1つ以上と関連付けるポンプ監視システムであって、
前記ポンプシステムからm≧2個の操作値の少なくとも1つのセットを受け取るインタフェースモジュールであって、前記m個の操作値は、m次元動作空間における現在の操作点を規定する、インタフェースモジュールと、
前記インタフェースモジュールによって受け取られた前記操作値を処理する処理モジュール(11)と、
を備え、
前記処理モジュール(11)は、前記m次元動作空間における非故障モデルのポンプ特性を記述する所与の又は決定されたモデルパラメータを参照するように構成され、
前記処理モジュール(11)は、
前記m個の操作値と前記非故障モデルのポンプ特性との間の距離に基づく前記m次元動作空間における実際の差分体積と、
それぞれの前記故障シナリオに対する前記m次元動作空間におけるモデル化された差分体積と、
の間の偏差を示しているk個の決定ベクトル成分を有するk次元決定ベクトルを決定するように更に構成される、ポンプ監視システム。
【請求項2】
前記ポンプシステム(1)は、1つ以上の水中ポンプ及び/又は廃水ポンプ及び/又はブースタポンプを備える、請求項1に記載のポンプ監視システム。
【請求項3】
各決定ベクトル成分は、正規化されたスケールでのスカラであって、前記正規化されたスケールは、全ての決定ベクトル成分に対して同じである、請求項1又は2に記載のポンプ監視システム。
【請求項4】
前記処理モジュール(11)は、1つ又は2つの変動パラメータを含むモデル関数によって前記モデル化された差分体積をモデル化するように構成され、前記処理モジュールは、前記モデル化された差分体積を前記実際の差分体積に適合させるために前記1つ又は2つの変動パラメータを変化させるように構成される、請求項1~3のいずれか一項に記載のポンプ監視システム。
【請求項5】
前記処理モジュール(11)は、例えば最小二乗法を適用することによって、前記モデル化された差分体積と前記実際の差分体積との間の前記偏差を最小化するように構成される、請求項1~4のいずれか一項に記載のポンプ監視システム。
【請求項6】
前記k個の決定ベクトル成分は、前記モデル化された差分体積と前記実際の差分体積との間の前記偏差を最小化した後の残留偏差を示している、請求項5に記載のポンプ監視システム。
【請求項7】
前記処理モジュール(11)は、前記現在の動作状態を、前記k個の故障シナリオのうちのそれぞれの前記決定ベクトル成分が所定の閾値を超えたもののみと関連付けるように構成される、請求項1~6のいずれか一項に記載のポンプ監視システム。
【請求項8】
前記処理モジュール(11)は、k≧2個の故障シナリオのうちのちょうど1つに対するそれぞれの前記決定ベクトル成分が他の決定ベクトル成分のうちの最も近い1つと少なくとも所定の差だけ異なる場合、前記現在の動作状態を前記故障シナリオと関連付けるように構成される、請求項1~7のいずれか一項に記載のポンプ監視システム。
【請求項9】
前記処理モジュール(11)は、k≧2個の決定ベクトル成分がいずれも他の決定ベクトル成分のうちの最も近い1つと少なくとも所定の差だけ異ならない場合、前記m次元動作空間における別の操作点において運転するよう前記ポンプシステム(1)に命令するように構成される、請求項1~8のいずれか一項に記載のポンプ監視システム。
【請求項10】
n≧1個のポンプ(3)を備えるポンプシステム(1)の現在の動作状態をk≧1個の故障シナリオのうちの1つ以上と関連付ける方法であって、
前記ポンプシステムからm≧2個の操作値の少なくとも1つのセットを受け取ることであって、前記m個の操作値は、m次元動作空間における現在の操作点を規定することと、
前記操作値を処理することと、
前記m次元動作空間における非故障モデルのポンプ特性を記述する所与の又は決定されたモデルパラメータを参照することと、
前記m個の操作値と前記非故障モデルのポンプ特性との間の距離に基づく前記m次元動作空間における実際の差分体積と、
それぞれの前記故障シナリオに対する前記m次元動作空間におけるモデル化された差分体積と、
の間の偏差を示しているk個の決定ベクトル成分を有するk次元決定ベクトルを決定することと、
それぞれの前記故障シナリオに対して前記k個の決定ベクトル成分のうちの少なくとも1つを表示することと、
を含む、方法。
【請求項11】
前記ポンプシステムは、1つ以上の水中ポンプ及び/又は廃水ポンプ及び/又はブースタポンプを備える、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
各決定ベクトル成分は、正規化されたスケールでのスカラであって、前記正規化されたスケールは、全ての決定ベクトル成分に対して同じである、請求項10又は11に記載の方法。
【請求項13】
前記モデル化された差分体積は、1つ又は2つの変動パラメータを含むモデル関数によってモデル化され、前記モデル化された差分体積を前記実際の差分体積に適合させるために前記1つ又は2つの変動パラメータを変化させる、請求項10~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
例えば最小二乗法を適用することによって、前記モデル化された差分体積と前記実際の差分体積との間の前記偏差を最小化する、請求項10~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記k個の決定ベクトル成分は、前記モデル化された差分体積と前記実際の差分体積との間の前記偏差を最小化した後の残留偏差を示している、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記現在の動作状態を、前記k個の故障シナリオのうちのそれぞれの前記決定ベクトル成分が所定の閾値を超えたもののみと関連付けることを更に含む、請求項10~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
k≧2個の故障シナリオのうちのちょうど1つに対するそれぞれの前記決定ベクトル成分が他の決定ベクトル成分のうちの最も近い1つと少なくとも所定の差だけ異なる場合、前記現在の動作状態を前記故障シナリオと関連付けることを更に含む、請求項10~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
k≧2個の決定ベクトル成分がいずれも他の決定ベクトル成分のうちの最も近い1つと少なくとも所定の差だけ異ならない場合、前記m次元動作空間における別の操作点において運転するよう前記ポンプシステムに命令することを更に含む、請求項10~17のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、包括的には、ポンプシステムの現在の動作状態を1つ以上の故障シナリオと関連付ける、特に水中ポンプ、廃水ポンプ及び/又はブースタポンプを備えるポンプシステムのポンプ監視システム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
給水システムは、井戸又は掘削孔から水を回収する1つ以上の水中ポンプを備えることができる。ブースタシステムは、大規模な建物において水を高所へ又は上向きに汲み出すために用いることができる。廃水処理プラントの汚水又は廃水収集システムは、典型的には、一時的に廃水を収集及び貯留(buffer)する1つ以上の廃水ピット、井戸又は水溜めを備える。典型的には、廃水は、重力流の下で受動的に及び/又は圧送管を通って能動的にそのようなピットに流入する。1つ、又は2つ以上のポンプが各ピットの中に又は各ピットに通常は設置され、ピットから廃水を汲み出す。或る特定の期間において廃水の流入量が流出量よりも多い場合、廃水ピット又は水溜めは最終的にオーバーフローする。そのようなオーバーフローは、環境への影響を避けるために可能な限り防ぐべきである。したがって、任意のポンプ故障若しくは詰まり、パイプ詰まり、漏れ、又は他のタイプの故障動作シナリオを可能な限り早く同定し、メンテナンススタッフが清掃、修理又は交換等のそれに応じた行動を可能な限り早く取れるようにすべきである。
【0003】
特許文献1は、可能な限り少ないセンサ機器を用いてポンプユニットの作動中の故障を決定する方法について記載している。
【0004】
特許文献2は、ポンプアセンブリを監視する方法について記載しており、複数の性能依存変数を経時的に監視することに基づいて、効率降下を示すために信号が生成される。しかしながら、実際には、特許文献2に記載の方法によれば、複数の性能依存変数を経時的に監視するためには、多くのパラメータを同定しなければならない。これは、2つ以上のポンプを有するポンプシステムを監視するには特に困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】国際公開第2005/078287号
【文献】国際公開第2009/039934号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、本開示の目的は、現在の動作状態を1つ以上の故障シナリオと確実に関連付けるために、必要となるパラメータ同定がより少ないポンプ監視システム及び方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の第1の態様によれば、n≧1個のポンプを備えるポンプシステムの現在の動作状態をk≧1個の故障シナリオのうちの1つ以上と関連付けるポンプ監視システムが提供され、ポンプ監視システムは、
-ポンプシステムからm≧2個の操作値の少なくとも1つのセットを受け取るインタフェースモジュールであって、m個の操作値は、m次元動作空間における現在の操作点を規定する、インタフェースモジュールと、
-インタフェースモジュールによって受け取られた操作値を処理する処理モジュールと、
を備え、
処理モジュールは、m次元動作空間における非故障モデルのポンプ特性を記述する所与の又は決定されたモデルパラメータを参照するように構成され、
処理モジュールは、
-m個の操作値と非故障モデルのポンプ特性との間の距離に基づくm次元動作空間における実際の差分体積と、
-それぞれの故障シナリオに対するm次元動作空間におけるモデル化された差分体積と、
の間の偏差を示しているk個の決定ベクトル成分を有するk次元決定ベクトルを決定するように更に構成される。
【0008】
インタフェースモジュールは、処理モジュールに統合することができる、又は処理モジュールに信号接続されている別個のモジュールに統合することができる。k=1の場合、決定ベクトルはスカラであることに留意すべきである。この場合、現在の動作状態が単一の故障シナリオと関連付けられるならば、単一の決定ベクトル成分は、どの程度それが信頼されるべきかを示している絶対信頼値として解釈することができる。k>1の場合、オペレータは、現在の動作状態が故障シナリオのうちのいずれと最も関連するかを決定するために、決定ベクトル成分を互いに比較することができる。m次元動作空間における非故障モデルのポンプ特性は、ポンプ製造業者が与えることができる、記憶することができる、又は提供することができる。代替的又は付加的に、m次元動作空間における非故障モデルのポンプ特性は、ポンプシステムを最初に設置した後の初期構成におけるセットアップ運転において決定することができる。いずれの場合においても、非故障モデルのポンプ特性は、そのままの動作とあるべき動作との間の実際の差分体積を決定するための基準となる。この実際の差分体積は、各故障シナリオに対してモデル化された差分体積と比較され、その結果、偏差、すなわち決定ベクトル成分は、現在の動作状態がそれぞれの故障モデルにどの程度適合するかの目安となる。
【0009】
従来技術において知られている方法及びシステムと比較して、同定すべきパラメータの数は、それぞれの故障シナリオに対してm次元動作空間における差分体積をモデル化することによって1つ又は2つに減らすことができるので、同定しなければならないパラメータが著しく少なくなる。したがって、m次元動作空間における各故障シナリオに対して、完全にモデル化された表面を決定する必要がない。
【0010】
任意選択で、ポンプシステムは、任意の操作点において固定された速度を有することができ、m≧2個の操作値の少なくとも1つのセットは、
-ポンプシステムを通る流量を示すqインジケータ及びポンプシステムの電力消費を示すPインジケータと、
-ポンプシステムを通る流量を示すqインジケータ及びポンプシステム全体の差圧を示すΔpインジケータと、
-ポンプシステム全体の差圧を示すΔpインジケータ及びポンプシステムの電力消費を示すPインジケータと、
を含むセットの群のうちのいずれかを含む。
これは、ポンプシステムにおける1つ以上のポンプが単一速度ポンプである、及び/又は、他の理由のためそれらの速度が固定される、例外的な状況である。この例外的な状況において、動作空間は、例えばq,P又はq,Δp又はΔp,Pによって規定される2次元である。これは、2次元動作空間における差分「体積」が実際には面積であることを意味する。
【0011】
任意選択で、ポンプシステムは可変速度を有することができ、m≧2個の操作値の少なくとも1つのセットは、
-ポンプシステムを通る流量を示すqインジケータ、ポンプシステムの電力消費を示すPインジケータ、及びポンプシステムの現在の速度を示すωインジケータと、
-ポンプシステムを通る流量を示すqインジケータ、ポンプシステム全体の差圧を示すΔpインジケータ、及びポンプシステムの現在の速度を示すωインジケータと、
-ポンプシステム全体の差圧を示すΔpインジケータ、ポンプシステムの電力消費を示すPインジケータ、及びポンプシステムの現在の速度を示すωインジケータと、
-ポンプシステム全体の差圧を示すΔpインジケータ、ポンプシステムの電力消費を示すPインジケータ、及びポンプシステムを通る流量を示すqインジケータと、
を含むセットの群のうちのいずれかを含む。
これは、ポンプシステムにおける1つ以上のポンプが制御された速度を有する可変速度ポンプである可能性が最も高い状況である。ここで、動作空間は、例えばq,P,ω又はq,Δp,ω又はΔp,P,ω又はq,P,Δpによって規定される3次元である。
【0012】
任意選択で、Pインジケータは、
-ポンプシステムの測定又は設定された電力消費と、
-測定又は設定されたポンプモータシャフトトルクと、
-測定若しくは設定されたポンプモータ電流及び電圧、又は電圧が一定である場合には測定若しくは設定されたポンプモータ電流のみと、
を含む群のうちのいずれかを含むことができる。
【0013】
任意選択で、qインジケータは、
-ポンプシステムを通る測定又は設定された流量と、
-ポンプシステムの入口ポートよりも上の測定又は設定された液面レベルと、
を含む群のうちのいずれかを含むことができる。
【0014】
任意選択で、Δpインジケータは、
-ポンプシステムの入口ポートにおける測定又は設定された圧力と、
-ポンプシステム全体の測定又は設定された差圧と、
-ポンプシステムの出口ポートにおける測定又は設定された圧力と、
-ポンプシステムの入口ポートよりも上の測定又は設定された液面レベルと、
を含む群のうちのいずれかを含むことができる。
【0015】
任意選択で、k≧1個の故障シナリオは、
-パイプ詰まりと、
-漏れ流と、
-機械的又は電気的故障と、
-センサ故障と、
-キャビテーションと、
-空気吸込と、
を含む群のうちのいずれかを含むことができる。
したがって、各故障シナリオに対して、それぞれの決定ベクトル成分は、現在の動作状態を上記故障シナリオと関連付ける際の信頼に対する目安である。
【0016】
任意選択で、ポンプシステムは、1つ以上の水中ポンプ及び/又は廃水ポンプ及び/又はブースタポンプを備えることができる。本ポンプ監視システムは、これらの適用に特に有利である。
【0017】
任意選択で、各決定ベクトル成分は、正規化されたスケールでのスカラとすることができ、正規化されたスケールは、全ての決定ベクトル成分に対して同じである。これにより、決定ベクトル成分の比較が非常に容易となる。例えば、各決定ベクトル成分は0~1の範囲にわたるものとすることができ、0に近い小さな値はそれぞれの故障シナリオとの関連性がほとんどないことを意味し、1に近い大きな値はそれぞれの故障シナリオとの関連性が強いことを意味する。
【0018】
任意選択で、ポンプシステムは、それぞれの故障シナリオに対して決定ベクトル成分のうちの少なくとも1つを表示するように構成されている表示モジュールを更に備えることができる。これにより、オペレータには、表示された決定ベクトル成分が現在の動作状態をそれぞれの故障シナリオと関連付けるのに十分に高いか否かを自身で決定する機会が与えられる。これにより、故障シナリオの関連付けの信頼が増加する。決定ベクトル成分の或る特定の色分け又は他の可視化は、最も重要な決定ベクトル成分を強調することができる。
【0019】
任意選択で、表示モジュールは、非故障モデルのポンプ特性に従って選択される操作値の1つ以上のグラフを表示し、かつ上記1つ以上のグラフにおいて現在の操作点を示すように更に構成することができる。これにより、決定ベクトル成分の抽象的な数値に対する根拠をオペレータがより良く理解できるので、意思決定プロセスにおける信頼が更に増加する。これはまた、サニティチェック、すなわち、グラフにおける表示される現在の操作点の観点から、決定ベクトル成分が「意味をなす」か否かを提供する。
【0020】
任意選択で、表示モジュールは、最も重要な決定ベクトル成分への操作値の寄与に従ってグラフを表示するために、それらを選択するように構成することができる。これは、最も重要な決定ベクトル成分の主な理由として、非故障モデルのポンプ特性からの関連のある偏差をオペレータに直ちに示すのに有用である。したがって、関連のあるグラフを検索する必要がない。
【0021】
任意選択で、処理モジュールは、1つ又は2つの変動パラメータを含むモデル関数によってモデル化された差分体積をモデル化するように構成することができ、処理モジュールは、モデル化された差分体積を実際の差分体積に適合させるために1つ又は2つの変動パラメータを変化させるように構成される。これは、常に1つの操作点のみ又は少数の操作点のみで動作するポンプシステムを監視するのに特に有利である。これは、利用可能な情報が少なすぎて、m次元動作空間における完全なモデル、例えば3次元動作空間における完全なモデル表面を確立することができないことを意味する。この状況においてさえも、モデル化された差分体積を実際の差分体積に適合させるために1つ又は2つの変動パラメータを変動させることによって、いずれが現在最も可能性の高い故障シナリオであるかを決定するための有用な決定ベクトル成分がもたらされる。さらに、決定ベクトル成分は、より多くの動作点が利用可能になるほど、より明確かつ有用になる。したがって、オペレータは、決定ベクトル成分の示差性を検証又は改善するために、操作点を故意に切り替えることができる。代替的又は付加的に、本ポンプ監視システムは、より多くの情報が必要又は有用である場合に操作点を切り替えるようポンプシステムに自動的に命令するように構成することができる。これは「能動的な故障分離」と称することができる。
【0022】
任意選択で、処理モジュールは、例えば最小二乗法を適用することによって、モデル化された差分体積と実際の差分体積との間の偏差を最小化するように構成することができる。任意選択で、k個の決定ベクトル成分は、モデル化された差分体積と実際の差分体積との間の偏差を最小化した後の残留偏差を示すことができる。
【0023】
任意選択で、処理モジュールは、現在の動作状態を、k個の故障シナリオのうちのそれぞれの決定ベクトル成分が、所定の閾値、例えば0.5を超えたもののみと関連付けるように構成することができる。これは、乏しいデータに基づく意思決定プロセスを除外するのに有用である。所定の閾値は、決定ベクトル成分の示差性に対する下限とすることができる。
【0024】
任意選択で、処理モジュールは、k≧2個の故障シナリオのうちのちょうど1つに対するそれぞれの決定ベクトル成分が他の決定ベクトル成分のうちの最も近い1つと少なくとも所定の差だけ異なる場合、現在の動作状態を上記故障シナリオと関連付けるように構成することができる。
【0025】
任意選択で、処理モジュールは、k≧2個の決定ベクトル成分がいずれも他の決定ベクトル成分のうちの最も近い1つと少なくとも所定の差だけ異ならない場合、m次元動作空間における別の操作点において運転するようポンプシステムに命令するように構成することができる。この場合、決定ベクトル成分の示差性は、何が最も可能性の高い故障シナリオであるかを呼び出すのに十分ではない。別の操作点における運転からの情報がより多ければ、決定ベクトル成分の示差性が増加する。これは「能動的な故障分離」と称することができる。
【0026】
本開示の第2の態様によれば、n≧1個のポンプを備えるポンプシステムの現在の動作状態をk≧1個の故障シナリオのうちの1つ以上と関連付ける方法が提供され、本方法は、
-ポンプシステムからm≧2個の操作値の少なくとも1つのセットを受け取ることであって、m個の操作値は、m次元動作空間における現在の操作点を規定することと、
-操作値を処理することと、
-m次元動作空間における非故障モデルのポンプ特性を記述する所与の又は決定されたモデルパラメータを参照することと、
○m個の操作値と非故障モデルのポンプ特性との間の距離に基づくm次元動作空間における実際の差分体積と、
○それぞれの故障シナリオに対するm次元動作空間におけるモデル化された差分体積と、
の間の偏差を示しているk個の決定ベクトル成分を有するk次元決定ベクトルを決定することと、
-それぞれの故障シナリオに対してk個の決定ベクトル成分のうちの少なくとも1つを表示することと、
を含む。
【0027】
任意選択で、ポンプシステムは、任意の操作点において固定された速度で動作することができ、m≧2個の操作値の少なくとも1つのセットは、
-ポンプシステムを通る流量を示すqインジケータ及びポンプシステムの電力消費を示すPインジケータと、
-ポンプシステムを通る流量を示すqインジケータ及びポンプシステム全体の差圧を示すΔpインジケータと、
-ポンプシステム全体の差圧を示すΔpインジケータ及びポンプシステムの電力消費を示すPインジケータと、
を含むセットの群のうちのいずれかを含む。
【0028】
任意選択で、ポンプシステムは、異なる速度で動作することができ、m≧2個の操作値の少なくとも1つのセットは、
-ポンプシステムを通る流量を示すqインジケータ、ポンプシステムの電力消費を示すPインジケータ、及びポンプシステムの現在の速度を示すωインジケータと、
-ポンプシステムを通る流量を示すqインジケータ、ポンプシステム全体の差圧を示すΔpインジケータ、及びポンプシステムの現在の速度を示すωインジケータと、
-ポンプシステム全体の差圧を示すΔpインジケータ、ポンプシステムの電力消費を示すPインジケータ、及びポンプシステムの現在の速度を示すωインジケータと、
-ポンプシステム全体の差圧を示すΔpインジケータ、ポンプシステムの電力消費を示すPインジケータ、及びポンプシステムを通る流量を示すqインジケータと、
を含むセットの群のうちのいずれかを含む。
【0029】
任意選択で、Pインジケータは、
-ポンプシステムの測定又は設定された電力消費と、
-測定又は設定されたポンプモータシャフトトルクと、
-測定若しくは設定されたポンプモータ電流及び電圧、又は電圧が一定である場合には測定若しくは設定されたポンプモータ電流のみと、
を含む群のうちのいずれかを含むことができる。
【0030】
任意選択で、qインジケータは、
-ポンプシステムを通る測定又は設定された流量と、
-ポンプシステムの入口ポートよりも上の測定又は設定された液面レベルと、
を含む群のうちのいずれかを含むことができる。
【0031】
任意選択で、Δpインジケータは、
-ポンプシステムの入口ポートにおける測定又は設定された圧力と、
-ポンプシステム全体の測定又は設定された差圧と、
-ポンプシステムの出口ポートにおける測定又は設定された圧力と、
-ポンプシステムの入口ポートよりも上の測定又は設定された液面レベルと、
を含む群のうちのいずれかを含むことができる。
【0032】
任意選択で、k≧1個の故障シナリオは、
-パイプ詰まりと、
-漏れ流と、
-機械的又は電気的故障と、
-センサ故障と、
-キャビテーションと、
-空気吸込と、
を含む群のうちのいずれかを含むことができる。
【0033】
任意選択で、ポンプシステムは、1つ以上の水中ポンプ及び/又は廃水ポンプ及び/又はブースタポンプを備えることができる。
【0034】
任意選択で、各決定ベクトル成分は、正規化されたスケールでのスカラとすることができ、正規化されたスケールは、全ての決定ベクトル成分に対して同じである。
【0035】
任意選択で、本方法は、非故障モデルのポンプ特性に従って選択された操作値の1つ以上のグラフを表示することと、上記1つ以上のグラフにおいて現在の操作点を示すこととを更に含むことができる。
【0036】
任意選択で、本方法は、最も重要な決定ベクトル成分への操作値の寄与に従ってグラフを表示するために、それらを選択することを更に含むことができる。
【0037】
任意選択で、モデル化された差分体積は、1つ又は2つの変動パラメータを含むモデル関数によってモデル化することができ、モデル化された差分体積を実際の差分体積に適合させるために1つ又は2つの変動パラメータを変化させる。
【0038】
任意選択で、例えば最小二乗法を適用することによって、モデル化された差分体積と実際の差分体積との間の偏差を最小化することができる。
【0039】
任意選択で、k個の決定ベクトル成分は、モデル化された差分体積と実際の差分体積との間の偏差を最小化した後の残留偏差を示すことができる。
【0040】
任意選択で、本方法は、現在の動作状態を、k個の故障シナリオのうちのそれぞれの決定ベクトル成分が所定の閾値を超えたもののみと関連付けることを更に含むことができる。
【0041】
任意選択で、本方法は、k≧2個の故障シナリオのうちのちょうど1つに対するそれぞれの決定ベクトル成分が他の決定ベクトル成分のうちの最も近い1つと少なくとも所定の差だけ異なる場合、現在の動作状態を上記故障シナリオと関連付けることを更に含むことができる。
【0042】
任意選択で、本方法は、k≧2個の決定ベクトル成分がいずれも他の決定ベクトル成分のうちの最も近い1つと少なくとも所定の差だけ異ならない場合、m次元動作空間における別の操作点において運転するようポンプシステムに命令することを更に含むことができる。
【0043】
次に、以下の図面を参照して、本開示の実施形態を例として記述する。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【
図1a】本明細書において開示されるポンプ監視システム及び方法を適用可能なポンプシステムの例を概略的に示すもので、単一のポンプを有するポンプシステムを示す図である。
【
図1b】本明細書において開示されるポンプ監視システム及び方法を適用可能なポンプシステムの例を概略的に示すもので、3つのポンプを有するポンプシステムを示す図である。
【
図2】本明細書において開示されるポンプ監視システム及び方法の可能な適用としての水中ポンプを示す図である。
【
図3】本明細書において開示されるポンプ監視システム及び方法の可能な適用としての廃水ポンプステーションを示す図である。
【
図4】本明細書において開示されるポンプ監視システム及び方法を適用可能なポンプシステムの一例の3次元動作空間における4つの表面の形式での非故障モデルのポンプ特性を示す図である。
【
図5a】最大のポンプ速度において、2つの異なる故障シナリオに対するm次元動作空間におけるモデル化された差分体積を説明する図である。
【
図5b】最大のポンプ速度において、2つの異なる故障シナリオに対するm次元動作空間におけるモデル化された差分体積を説明する図である。
【
図6a】2ポンプシステムにおける各ポンプのポンプ速度と、2つの故障タイプを有するシナリオにおいてモデル化された差分体積と実際の差分体積との間の偏差を経時的に最小化した後の複数の残留偏差とを示す図である。
【
図6b】
図6aに示されるシナリオに対して表における行の形式で2つの決定ベクトルを示す図である。
【
図7a】2ポンプシステムにおける各ポンプのポンプ速度と、2つ以上の故障タイプを有するシナリオにおいてモデル化された差分体積と実際の差分体積との間の偏差を経時的に最小化した後の複数の残留偏差とを示す図である。
【
図7b】
図7aに示されるシナリオに対して表における行の形式で2つの決定ベクトルを示す図である。
【
図8】ポンプシステムのオペレータへの表示の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
図1aは、可変速度を有する単一のポンプユニット3を備えるポンプシステム1を示す。示される例において、ポンプ速度は、ポンプユニット3の電子部品、及び/又はポンプユニット3と信号接続された外部制御モジュールに統合することができる可変周波数コントローラ(VFC:variable frequency controller)5によって制御される。ポンプユニット3によって生成される差圧Δpは、圧力センサ7によって測定されるか、又は、一方がポンプユニット3の上流に配置されており、他方がポンプユニット3の下流に配置されている2つの圧力センサの差によって決定される。ポンプユニット3によって生成される流量qは、流量センサ9によって測定されるか、又はポンプユニット3の性能値から推定される。本明細書において記載される処理モジュール11を有するポンプ監視システムは、現在のポンプ速度ω、電力消費P、差圧Δp及び流量qによって規定されているポンプユニット3の現在の動作状態を、1つ以上の故障シナリオと関連付けるために用いられる。現在のポンプ速度ω及び電力消費Pに関する情報は、VFC5から容易に利用可能である。本明細書において記載される任意の実施形態において、処理モジュール11は、VFC5において、又は、
図1aに示されるように、リモートコンピュータ又はクラウド型システム13上に実装することができる。ポンプ監視システムは、無線又は有線の信号接続15を介してVFC5に信号接続されているインタフェースモジュール(明示的には図示せず)を更に備える。本明細書において記載される任意の実施形態において、インタフェースモジュールは、処理モジュール11に統合することができる、又は処理モジュール11に信号接続されている別個のモジュールに統合することができる。インタフェースモジュールは、圧力センサ7及び/又は流量センサ9への無線又は有線の信号接続15を更に備えることができる。代替的な一実施形態において、VFC5は、圧力センサ7及び/又は流量センサ9への無線又は有線の信号接続15を更に備えることができる。この場合、インタフェースモジュールと圧力センサ7及び/又は流量センサ9との間に直接的な信号接続15の必要はない。VFC5は、インタフェースモジュールに測定値を渡すことができ、その結果、インタフェースモジュールと圧力センサ7及び/又は流量センサ9との間に間接的な信号接続が存在する。
【0046】
図1bは、互いに並列に設置された3つのポンプユニット3を備える、マルチポンプシステム1、例えばブースタステーションを示す。ポンプユニット3のそれぞれは、
図1aに示されるポンプユニット3と同じものとすることができる。各ポンプユニット3の速度は、専用の可変周波数コントローラ5、すなわちVFC
1、VFC
2及びVFC
3によって制御される。専用の可変周波数コントローラ5は、ポンプユニット3のそれぞれの制御電子部品において、又はポンプユニット3と信号接続された1つ以上の外部制御モジュールにおいて実装することができる。
図1aにおけるように、インタフェースモジュールは、VFC5の全てに、又は例えばバス接続を介してVFC5が互いに信号接続される場合にはVFC5のうちの少なくとも1つに信号接続することができる。圧力センサ7及び/又は流量センサ9は、マルチポンプシステム1によって生成される全体の差圧Δp及び/又は全体の流量Qをそれぞれ測定するために用いることができる。全体の流量Qは、各運転しているポンプユニット3の流量qの総和である。マルチポンプシステム1は、1つ、2つ、又は3つのポンプユニット3が運転している状態で動作することができる。非運転の又は低速運転のポンプユニット3を通る逆流を防ぐために、各ポンプユニット3の下流には逆止弁17が設置されることに留意すべきである。典型的な故障シナリオは、1つ以上のポンプユニット3における詰まり、1つ以上のポンプユニット3の漏れ、1つ以上の逆止弁17の漏れ、1つ以上のポンプユニット3における機械的/電気的問題、キャビテーション、又は空気とすることができる。
【0047】
図2は、掘削孔19における水中ポンプ3を備えるポンプシステム1に対する本明細書において開示されるポンプ監視システム及び方法の関連のある適用を示す。水中ポンプ3は容易にアクセスできないため、水中ポンプ3の手動監視は困難又は不可能である。さらに、水中ポンプは、ポンプを摩耗させ、かつ詰まりを引き起こす砂又は黄土によって悪影響を受ける可能性がある。したがって、本明細書において開示されるポンプ監視システム及び方法は、この適用に対して特に有用である。セットアップは、原則として
図1aにおけるものと同じとすることができる。1つ以上のレベルセンサ(図示せず)は、
【数1】
によって差圧Δpを決定するために、圧力センサ21に対する水中ポンプ3の入口における静水圧を示す水位hを決定するのに用いることができ、p
outは圧力センサ21における測定された出口圧力であり、cは一定のスケーリング係数である。
【0048】
図3は、廃水ピット22における1つ以上の廃水ポンプ3を備えるポンプシステム1に対する本明細書において開示されるポンプ監視システム及び方法の更なる適用を示す。セットアップは、原則として
図1bに示されるようなマルチポンプシステムを有する
図2におけるものと同じとすることができる。出口圧力センサ21に対する水位hを決定するのに1つ以上のレベルセンサ(図示せず)を用いることができ、hは、差圧Δpを決定するために、廃水ポンプ3の出口における静水圧差を示す。より大規模な廃水ポンプステーションにおいては、全体の流量Qが測定されることがよくある。代替的に、廃水ポンプ3の性能値に基づいて全体の流量Qを推定することができる。
【0049】
次の操作値は、原則として、全ての適用に対して現在の操作点を記述することができる。
q:ポンプ又はポンプステーションを通る流量
Δp:ポンプ又はポンプステーション全体の圧力
ω:運転しているポンプの速度
P:個々のポンプの電力消費
これらの操作値のうちの3つが現在の操作点を完全に記述するのに十分である。4つの可能なセット[q,ω,P]、[q,ω,Δp]、[ω,Δp,P]、及び[q,P,Δp]間の関係が、可変速度ポンプシステム1に対する3次元動作空間を説明している
図4における4つの表面プロットに示される。固定された速度を有するポンプシステムは、3つの可能なセット[q,P]、[q,Δp]、又は[Δp,P]によって記述される2次元動作空間を有することができることに留意すべきである。しかしながら、例えば以下の、上述した値のうちの1つ以上を直接的又は間接的に示す他の値を測定することもできる。
τ:シャフトトルクτは、電力消費Pの代替として用いることができる。P=τωという関係を用いることができる。
I:モータ電流Iは、電力消費Pの代替として用いることができる。永久磁石モータに対しては、P~Iωという関係を用いることができる。電流測定は、更なる電力損失を考慮することができる。これにより、故障分離の精度を高めることができる。
V:一定でない場合は、モータ電流Iに加えてモータ電圧Vを用いることができる。P=VIcosφという関係を用いることができ、V及びIは二乗平均平方根値であり、φはVとIとの間の位相角である。電圧測定は、更なる電力損失を考慮することができる。これにより、故障分離の精度を高めることができる。
h:水中ポンプ又は廃水ポンプに対しては、流量qを測定することの代替として、圧力センサに対するタンク又は掘削孔における充填レベルhを1つ以上のレベルセンサが測定することができる。
【数2】
という関係を用いることができ、tは時間であり、Δtはレベル測定間の時間ステップであり、A(h)は各測定レベルhにおけるタンク又は掘削孔の既知の断面積であり、d(t)は既知の負荷流量である。充填レベルhはポンプ入口における静水圧差を提供するので、
【数3】
によって差圧を決定することができ、p
outは測定された出口圧力であり、cは一定のスケーリング係数である。
【0050】
図4において示される表面は、ポンプ監視システムの処理モジュール11に容易に利用可能である非故障モデルのポンプ特性を表す。それらは、処理モジュール11によって、記憶することができるか、事前に決定することができるか、ダウンロードすることができるか、又はそうでなければ読み出すことができるかのいずれかである。ポンプ監視システム11が、各故障シナリオに従って故障モデルのポンプ特性に対してそのような表面を決定する必要がないことに留意することが重要である。これはまさに、各故障シナリオに従って完全な故障モデルのポンプ特性を確立するのに十分な情報が利用可能ではないことがよくあるので、本明細書において記載されるポンプ監視システム及び方法が回避するために達成するものである。
【0051】
数学的には、非故障モデルのポンプ特性は、
【数4】
【数5】
のように記述することができ、qはポンプユニット3毎に提供される流量であり、ωはポンプ速度であり、Δpはポンプユニット3によって提供される差圧又はヘッドであり、Pは電力消費である。最も単純な形式において、h及びgは、
【数6】
【数7】
の形式での2次多項式及び3次多項式である。
【0052】
これらの多項式は、遠心ポンプの予想される又は非故障動作がah、bh、ch及びap、bp、cpのパラメータによってパラメータ化できることを意味する。ここで、これらのパラメータは、ポンプ製造業者によって提供されるか、又は、例えば特許文献2に記載されているような手法を用いて非故障動作条件下で同定されると仮定される。
【0053】
N個の並列接続された等しいサイズのポンプを有するポンプシステムであって、n個(0<n≦N)のポンプが同じ速度で運転している場合において、h及びgは
【数8】
【数9】
によって与えることができ、Qはポンプステーションの全体の流量であり、
【数10】
はポンプiの電力消費であり、すなわち全ての稼働中のポンプが同じ電力を用いており、かつQ=nqであると仮定される。
【0054】
2つ以上のポンプを並列に有するブースタシステム1は、典型的には、ブースタシステムの負荷に応じて運転しているポンプの数nを設定することによって制御され、例えばより高い全体の流量が必要とされる場合にはより多くのポンプが稼働中であり、より少ない全体の流量に対してはより少ないポンプが稼働中である。稼働中のポンプの電力消費の総和のみが利用可能である場合には、n個の稼働中のポンプに対して、電力消費は、
【数11】
と等しくできる。
【0055】
図5a、
図5bは、最大速度において、2つの異なる故障シナリオ、すなわち
図5aにおけるポンプ詰まり及び
図5bにおける漏れ流に対して、m次元動作空間におけるモデル化された差分体積を説明する。ここでは、最大速度に対して、差分体積の「スライス」のみが斜線領域として表示されることに留意されたい。斜線領域は、速度が変化した時点での、
図4において示されるような3次元動作空間における差分体積である。差分体積は、予想される非故障の動作条件と現在の動作条件との差を記述する。最大速度における表面q,ω,Δp(圧力曲線)及び表面q,ω,P(電力曲線)が、非故障の場合と詰まり(
図5a)及び漏れ故障(
図5b)の場合とでそれぞれ示される。差分体積(斜線領域)は、故障シナリオを特徴付ける。しかしながら、故障曲線、すなわち詰まり及び漏れ流に対する曲線は、差分体積を推定するように決定されないことに留意すべきである。実際、差分体積は、1つ又は2つのパラメータを用いたようなものとしてモデル化される。
【0056】
差分体積のパラメータ数が少ないモデルの利点は、故障の関連付けを行うために必要とされる情報量が大幅に低減されることである。実際、多くの場合、差分体積のモデル化には1つのパラメータで十分であり、その結果、妥当な推定を提供するには1つの動作点で十分である。これは、ポンプが常に同じ動作点で運転しているポンプシステムにおいて特に重要である。しかしながら、動作点が多いほど、故障の関連付けを改善するためのより多くの情報が提供されることに留意すべきである。本明細書において記載される監視システム及び方法は、決定ベクトルの形式で各故障に対する信頼又は尤もらしさの目安を提供する。この信頼又は尤もらしさの目安は、より多くの動作点が考慮されるほど、より正確かつ明確になる。
【0057】
非故障表面までの現在の動作点の距離は、i番目のポンプ、ただし0<i≦Nに対して、時間tにおいて、以下の4つの残差rによって測定することができる:
表面q,ω,Δpまでの距離を測定するr
1(t)、
表面q,ω,P
iまでの距離を測定するr
2,i(t)、
表面ω,Δp,P
iまでの距離を測定するr
3,i(t)、
表面q,P
i,Δpまでの距離を測定するr
4,i(t)。
これらの残差rを1つの時間tのみにおいて見て、この「スナップショット」に基づいて故障シナリオを関連付けることは最適ではない。体積モデルを改善し、異なる故障シナリオをより良く比較して、故障の関連付けにおけるオペレータの信頼を促進するために、残差を経時的に測定することが好ましい。全てのポンプに対する残差は、
【数12】
のように残差ベクトルに集約することができる。
【0058】
非故障のポンプ特性h(q,ω,n)によって記述される圧力曲線の場合、時間tにおける残差r
1(t)は、
【数13】
によって与えることができ、Δp(t)は現在測定された差圧である。
【0059】
同様に、ポンプの電力消費Pに基づく残差は
【数14】
によって与えることができ、P
i(t)は、ポンプIの現在決定された電力消費であり、g(q,ω,n)は非故障のポンプ特性である。
【0060】
測定された全体の流量Qというよりも、推定された全体の流量Qに基づく残差を計算することも可能である。推定された流量が
【数15】
である場合、残差は、
【数16】
によって与えることができ、α、βは一定の重み係数であり、r
3,iは決定された電力消費P
i及び差圧Δpを用いて得られる残差である。
【数17】
は電力測定P
iに基づいて推定された流量である。推定された流量である
【数18】
は、時間tにおける、
【数19】
の陰関数表示された式の解である。
【0061】
全体の流量Qに対しても同様に、決定された電力消費P
i並びに非故障のポンプ特性h及びgを用いて速度ωを推定することが可能である。推定された速度に基づく残差は、
【数20】
によって与えることができ、推定された速度
【数21】
は、時間tにおける、
【数22】
の陰関数表示された式の解であり、
【数23】
に対して一意解を有する。
【0062】
一例として、2つ(N=2)のポンプを有するブースタステーションを考慮することができ、すなわち時間tにおける残差ベクトルは、
【数24】
によって与えることができる。残差は関数
【数25】
につながる利用可能な測定に基づいて計算され、jは所与の故障タイプのインデックスであり、θ
jは故障タイプjを特徴付ける変動パラメータである。例えば、以下の故障タイプ又はシナリオが発生する場合がある。
-ポンプにおける詰まり、
-ポンプにおける漏れ、
-ポンプの分岐における戻し弁の漏れ、
-1つのポンプにおける機械的/電気的な故障。
【0063】
詰まりの場合、ポンプの内側の詰まりに伴ってポンプの抵抗項が増加する。したがって、ポンプモデルa
hにおける抵抗項は、詰まりの場合には増加する。これは抵抗項に値を追加することによって行われる。したがって、詰まりしているポンプの圧力及び電力は、
【数26】
【数27】
によって記述することができ、ここでfは詰まりしたポンプのインデックスであり、θ≧0は「詰まりパラメータ」であり、q
fは詰まりしているポンプの流量である。
ポンプステーションにおける他の稼働中のポンプの流量及び圧力は、
【数28】
【数29】
によって与えることができる。これらの方程式はq
fについて解くことができ、残差に最も一致する故障パラメータθを見つけることができる。
【0064】
ポンプの内側の漏れの場合、ポンプシステムにおける全ての稼働中のポンプによって追加の流量が提供されなければならない。これは、漏れているポンプが稼働中のときの場合、ポンプの圧力及び電力は、
【数30】
及び
【数31】
によって与えることができることを意味し、
【数32】
は、全ての稼働中のポンプによって提供される差圧Δpによって漏れを強制的に通過させられる、漏れているポンプの内側の漏れ流である。漏れているポンプが稼働していないときの場合、圧力及び電力は、
【数33】
【数34】
によって与えられ、結果としてゼロ残差となる。
【0065】
逆止弁における漏れの場合、漏れている逆止弁の分岐におけるポンプが稼働していないとき、ポンプステーションにおける全ての稼働中のポンプによって追加の流量が提供されなければならない。これは、漏れている弁の分岐のポンプが稼働していないときの場合、ポンプの圧力及び電力は、
【数35】
【数36】
によって与えられることを意味する。同様に、
【数37】
は、全ての稼働中のポンプによって提供される差圧Δpによって漏れを強制的に通過させられる、今回は漏れている逆止弁における、漏れ流である。漏れている弁を有する分岐のポンプが稼働しているときの場合、圧力及び電力は、
【数38】
【数39】
によって与えられ、結果としてゼロ残差となる。
【0066】
故障したポンプの電力消費の増加につながる機械的及び/又は電気的な故障の場合、電力消費に追加の項を加える必要がある。これには様々な選択肢がある。例えば、速度ωの2乗に比例する項を
【数40】
【数41】
のように追加することができ、θω
2は増加した電力消費である。どのようなタイプの機械的又は電気的な故障が予測されるかに応じて、θ
1、θ
2ω、θ
3ω
3、...、又はこれらの組合せ等の他の項を用いることもできることに留意すべきである。
【0067】
故障によって影響を受けないポンプのモデルは、
【数42】
【数43】
によってモデル化することができ、fは故障したポンプのインデックスである。
【0068】
上述したように、各残差は、
【数44】
によってj番目の故障シナリオに対する関数f
jによって記述することができる。
【0069】
これは、関数fjはj番目の故障タイプを記述し、「故障パラメータ」θjによってパラメータ化できることを意味する。典型的な故障タイプ又はシナリオは、次のとおりである。
・ポンプのうちの1つの内側における詰まりであって、典型的には、黄土が詰まりを引き起こすときに水中ポンプにおいて、又は毛髪及び他の繊維が詰まりを引き起こすときに廃水ポンプにおいて発生する、詰まり。
・ポンプのうちの1つの内側における漏れであって、典型的には、封止部に砂が摩耗を引き起こすときに水中ポンプ及び廃水ポンプにおいて発生する、漏れ。これは、キャビテーションがポンプ漏れにつながる場合があるときにボイラ給水の適用においても見られる。
・ブースタシステム又は廃水ポンプステーション等のマルチポンプシステムにおける逆止弁の1つにおける漏れであって、例えば汚れ又は他の妨害物に起因して逆止弁が完全には閉じることができないときの漏れ。
・電力消費の増加につながる機械的又は電気的な故障であって、全てのタイプのポンプシステムに対して起こり得る故障。
【0070】
体積モデル化において、
【数45】
の最小化問題を解くことによって故障モデルf
jのそれぞれに対して推定値D
jが計算され、故障パラメータθ
jは変動パラメータとして用いられる(十分な情報、すなわち異なる動作点が利用可能である場合、2つの変動パラメータを用いることができる)。変動パラメータθ
jは、j番目の故障タイプを特徴付ける。上記の最小化によって、時間t
1、...、t
Mにおいて残差ベクトルに最も適合する変動パラメータθ
jが見つかり、θ
jは集合Θ
jにおいて与えられる値の中から選択される。集合Θ
jは、「テストされる」故障タイプに応じて正又は負のいずれかであるよう、変動パラメータθ
jを拘束することができる。
【0071】
推定値を正規化又はスケールするために、
【数46】
によって与えられる残差の平方和を計算することが有利である。
寸法尺度Rを用いて、推定値D
jは、
【数47】
又は
【数48】
のようにスケールすることができ、d
j又は
【数49】
は0~1の範囲にわたる正規化又はスケールされた決定ベクトル成分であり、現在の動作点が故障シナリオjと関連付けられる可能性が高くなるほど、d
jが1に近くなり、
【数50】
が0に近くなる。k個の故障シナリオの場合、決定ベクトル成分d
j又は
【数51】
は、現在の動作状態をk個の故障シナリオのうちの1つ以上と関連付けるための異なる故障シナリオj間の比較を可能にする長さkの決定ベクトルをもたらす。
【0072】
図6a、
図6bは、k=7個の潜在的な故障シナリオを有する
図3において示されるような2ポンプシステムの挙動の例を示す。非故障モデルのポンプ特性と比較した現在の動作点は、残差ベクトル
【数52】
の成分の観点から表示され、この場合、ポンプの数はN=2である。初期において、故障は存在せず、2番目のポンプ(ポンプ2)がスイッチオン及びオフされるときの点を除いて、残差は経時的に安定している。
図6aの中期において、ポンプ1において詰まりが存在し、示差的な方法で残差に影響を及ぼす。
図6aの終期において、ポンプ2において詰まりが存在し、ポンプ1における詰まりとは示差的に異なる方法で残差に影響を与える。上述した体積のモデル化が行われるとき、結果として得られる決定ベクトル成分d
jは
図6bの表において示され、ポンプ1における実際の詰まりに対しては第1列において、ポンプ2における実際の詰まりに対しては第2列において示される。黒いセルにおける決定ベクトル成分d
jは、当該列における全ての他のものとは区別され1に最も近い。これは、オペレータが現在の動作状態を特定の故障シナリオと関連付けるためのよい決定根拠を決定ベクトル成分d
jが提供することを意味する。決定ベクトルは、故障の関連付けにおいて信頼及び尤もらしさを提供する。
【0073】
図7a、
図7bは、同じk=7個の潜在的な故障シナリオを有する2ポンプシステムの別の挙動の例を示す。
図7aは、ポンプ1が最初に漏れており、次にポンプ2が漏れているとき、残差ベクトル
【数53】
においてそれがどのように示されるかを説明する。上述した体積のモデル化が行われるとき、結果として得られる決定ベクトル成分d
jは
図7bの表において示され、ポンプ1における実際の漏れに対しては第1列に示され、ポンプ2における実際の漏れに対しては第2列に示される。黒いセルにおけるそれぞれの決定ベクトル成分d
jは、当該列において1に最も近く、正しい故障の関連付けを示す。しかしながら、この場合、例えば0.5という所定の閾値を超えた他の決定ベクトル成分d
jが存在する(斜線が施されたセルを参照)。したがって、決定ベクトルは、
図6a、
図6bにおいて示される例と比較してわずかに示差的ではない。示差性を向上させるために、例えば或る特定のポンプのオン/オフを切り替えること又は異なる速度において運転させること等によって、より多くの動作点を考慮することができる。これは、自動で又はオペレータによって手動で誘発させることができる。これは、「能動的な故障分離」と称することができる。
【0074】
d
i及びd
jが両方とも1に近い場合における能動的な故障分離の例として、現在の操作点を故障タイプi又はjと関連付けるかが明らかではない。関数f
i及びf
jを評価することにより、これらの間の差を見つけるために動作条件をどのように変更すべきかについての情報を与えることができる。例えば、弁漏れの故障を同定することができるが、弁のうちの1つと関連付けることができず、所与の時間において個々のポンプを個別に始動させて、どの弁が故障しているかを同定することができる。単一のポンプシステム内での潜在的な詰まり又はポンプ漏れの故障の場合(ポンプの動作点がポンプの最大電力点に近い)、速度を変更して、ポンプ漏れが電力により著しく影響を与える領域に動作点を押し込むことができる(
図5a、
図5bを参照)。
図5aから、例えば、詰まりの故障が電力消費に影響しないことが更に明らかである。
【0075】
決定ベクトルにおける信頼及びその尤もらしさを促進するために、決定ベクトルを用いるには次の規則を適用して、現在の操作点を故障タイプと関連付けることができる。
1)故障の関連付けに対する妥当な候補として考慮され得る前に、決定ベクトルは、或る特定の閾値、例えば0.5よりも上の少なくとも1つの決定ベクトル成分を有しなければならない。
2)決定ベクトルの最大成分は、決定ベクトル成分の2番目に大きな成分までの、最小距離、例えば0.2を有しなければならない。
【0076】
図8は、ポンプ監視システムの表示モジュール23上でオペレータに表示することができるような、(
図2におけるように)単一の水中ポンプに対して適用された監視方法の結果を示す。表示されるユーザインタフェースは、設定部25と、故障検出部27と、故障検出曲線部29と、決定信号部31とを備える。故障検出曲線部29は、非故障のポンプ特性に対する線(目標線)と現在の操作点に対する点とを用いて3次元動作空間を説明するための3つのプロットを示す。右側の上のプロットにおいて見られるように、電流効率は目標線を著しく下回っている。さらに、ヘッド、すなわち圧力は、左側の上のプロットからわかるように、目標線を下回っている。ヘッド及び効率の降下は一番下のグラフにも表示されており、現在の時間は縦の点線で示される。ヘッド降下が21%において存在する、すなわち15%における最大許容ヘッド降下閾値よりも上であるので、効率及びヘッド降下は、当該降下が発生したときのタイムスタンプと共に故障検出部27に登録される。
【0077】
この降下を故障シナリオと関連付けるための良好な推定をオペレータに与えるために、可能性のある故障シナリオに対する決定ベクトル成分を有する決定ベクトルが決定信号部31に表示される。最も重要な決定ベクトル成分が強調表示され、発生した効率及びヘッド降下の原因となる最も可能性の高い故障シナリオを強調する。この場合、ポンプ漏れである可能性が最も高いが、詰まりに対する決定ベクトル成分もかなり高い。この場合、詰まりよりもポンプ漏れが電力消費に影響を与える動作点へポンプ速度を変更することによって、能動的な故障分離を行うことが得策であり得る。それによって、現在の操作点を正しい故障シナリオと適切に関連付けるために、決定ベクトル成分をより示差的とすることができる。
【0078】
前述の説明において、既知の、自明な、又は予見可能な均等物を有する完全体又は要素が言及されている場合、そのような均等物は、個々に規定されるかのように本明細書の一部をなすものとする。本開示の真の範囲を決定するには特許請求の範囲への参照がなされるべきであり、任意のそのような均等物を包含するように解釈されるべきである。任意選択の、好ましい、有利な、又は簡便な等として記述されている本開示の完全体又は特徴は、任意選択であり、独立請求項の範囲を限定しないことも読者によって理解される。
【0079】
上記の実施形態は、本開示の説明に役立つ例として理解されるべきである。任意の1つの実施形態に関連して記述された任意の特徴は、単独で、又は記述された他の特徴と組み合わせて用いることができ、任意の他の実施形態の1つ以上の特徴、又は任意の他の実施形態の任意の組合せと組み合わせて用いることもできることが理解されるべきである。少なくとも1つの例示的な実施形態が示され記述されてきたが、他の変更、置換及び代替が当業者には明白であり、本明細書において記載された主題の範囲から逸脱することなく変更することができ、本出願は、本明細書において議論された特定の実施形態の任意の適応又は変形を取り扱うことを意図することが理解されるべきである。
【0080】
加えて、「備える、含む(comprising)」は他の要素又はステップを排除するものではなく、「一(a)」又は「1つ(one)」は複数を排除するものではない。さらに、上記の例示的な実施形態のうちの1つを参照して記述された特徴又はステップは、上述された他の例示的な実施形態の他の特徴又はステップと組み合わせて用いることもできる。方法のステップは、任意の順序にて若しくは並行して適用することができ、又は別の方法のステップの一部若しくはより詳細な変形を構成することができる。本明細書において保証される特許の範囲内において、当該技術分野への寄与の範囲内において合理的かつ適切に至るような全てのそのような変更が具現化されるべきであることが理解されるべきである。そのような変更、置換及び代替は、本開示の精神及び範囲から逸脱することなく行うことができ、本開示の精神及び範囲は、添付の特許請求の範囲及びそれらの法的な均等物から決定されるべきである。
【符号の説明】
【0081】
1 ポンプシステム
3 ポンプユニット
5 VFC
7 差圧センサ
9 流量センサ
11 処理モジュール
13 クラウド型コンピュータシステム
15 信号接続
17 逆止弁
19 掘削孔
21 出口圧力センサ
22 廃水ピット
23 表示モジュール
25 設定部
27 故障検出部
29 故障検出曲線部
31 決定信号部