(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-12
(45)【発行日】2024-03-21
(54)【発明の名称】姿勢維持装置
(51)【国際特許分類】
A61B 90/60 20160101AFI20240313BHJP
【FI】
A61B90/60
(21)【出願番号】P 2022132137
(22)【出願日】2022-08-22
【審査請求日】2023-08-27
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】521000404
【氏名又は名称】株式会社オブリガート
(74)【代理人】
【識別番号】100124017
【氏名又は名称】大野 晃秀
(72)【発明者】
【氏名】川平 洋
(72)【発明者】
【氏名】下村 義弘
【審査官】羽月 竜治
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第105342742(CN,A)
【文献】特開平07-313539(JP,A)
【文献】特開2012-235993(JP,A)
【文献】登録実用新案第3194595(JP,U)
【文献】中国実用新案第201775702(CN,U)
【文献】中国特許出願公開第111228016(CN,A)
【文献】特開2021-126483(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装着対象の顎と当接され得る顎当接部と、
前記装着対象の左肩の後部と当接され得る左肩当接部と、
前記装着対象の右肩の後部と当接され得る右肩当接部と、
前記装着対象の左胸と当接され得る左胸当接部と、
前記左胸当接部と前記左肩当接部とを接続する第1の接続部と、
前記右胸当接部と前記右肩当接部とを接続する第2の接続部と、
前記左胸当接部と前記顎当接部とを接続する第3の接続部と、
前記右胸当接部と前記顎当接部とを接続する第4の接続部とを含み、
前記左肩当接部と前記右肩当接部とは、位置的に離間し、
前記顎当接部による前記当接と、前記左肩当接部による前記当接と、前記右肩当接部による前記当接と、前記左胸当接部による前記当接と、前記右胸当接部による前記当接とを同時に行うことが可能な構成であり、
前記左胸当接部、前記右胸当接部、前記第3の接続部および前記第4の接続部は、パイプにより構成することができ、
前記左胸当接部と前記第3の接続部とは、それぞれのパイプの径を変えて、嵌め合わせて接続され、
前記右胸当接部と前記第4の接続部とは、それぞれのパイプの径を変えて、嵌め合わせて接続されている頭部姿勢維持支援具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、頭部の姿勢維持のための頭部姿勢維持支援具に関する。
【背景技術】
【0002】
身体の一部の姿勢を維持する姿勢維持補助具が提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、簡易な構成で頭部の姿勢を維持することができる頭部姿勢維持支援具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願発明者らは、手術の際に外科医は、頭部を動かさずに同じ姿勢で長時間にわたり手術対象部位や手術対象者の状況を示すモニターを見続けなければならないことが多くあり、その際に、首に負担がかかることから首を痛めることがよくあり、特に外科医にとって非常に悩ましい問題であることを確認した。
【0006】
本願発明者らは、その問題をいかに簡易なデバイスで解決することができるかを考え、本発明に至った。
【0007】
本発明の頭部姿勢維持支援具は、
顎と当接され得る顎当接部と、
左肩と当接され得る左肩当接部と、
右肩と当接され得る右肩当接部と、
左胸と当接され得る左胸当接部と、
右胸と当接され得る右胸当接部と、を含むことができる。
【0008】
本発明において、
前記左胸当接部と前記左肩当接部とを接続する第1の接続部と、
前記右胸当接部と前記右肩当接部とを接続する第2の接続部と、
前記左胸当接部と前記顎当接部とを接続する第3の接続部と、
前記右胸当接部と前記顎当接部とを接続する第4の接続部とを含むことができる。
【0009】
本発明の頭部姿勢維持支援具は、
顎と当接され得る顎当接部と、
左肩と当接され得る左肩当接部と、
右肩と当接され得る右肩当接部と、
左胸と当接され得る左胸当接部と、
右胸と当接され得る右胸当接部と、
前記左胸当接部と前記左肩当接部とを接続する第1の接続部と、
前記右胸当接部と前記右肩当接部とを接続する第2の接続部と、を含み、
前記左胸当接部と前記右胸当接部とは同一の接続部により前記顎当接部に接続されていることができる。
【0010】
本発明において、
顎を前記顎当接部に置いたときに、首を左右に回すことができるように前記顎当接部が頭部姿勢維持支援具に対して回転または回動可能に設けられていることができる。
【0011】
本発明において、
顎を前記顎当接部に置いたときに、首を前後に動かすことができるように前記顎当接部が前記頭部姿勢維持装置に対して回転または回動可能に設けられていることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、作業をしながらでも頭部の姿勢を維持しやすい。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】実施の形態に係る頭部姿勢維持支援具を模式的に示す図である。
【
図2】実施の形態に係る頭部姿勢維持支援具を模式的に示す図である。
【
図3】実施の形態に係る頭部姿勢維持支援具を模式的に示す図である。
【
図4】実施の形態に係る頭部姿勢維持支援具を示す写真である。
【
図5】実施の形態に係る顎当接部の一態様を模式的に示す図である。
【
図6】実施の形態に係る変形例を模式的に示す図である。
【
図7】実施の形態に係る変形例を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0015】
1.頭部姿勢維持支援具
図1~
図4に示すように、実施の形態に係る頭部姿勢維持支援具10は、顎と当接され得る顎当接部12と、左肩と当接され得る左肩当接部14aと、右肩と当接され得る右肩当接部14bと、左胸と当接され得る左胸当接部16aと、右胸と当接され得る右胸当接部16bと、を含む。
【0016】
頭部姿勢維持支援具10は、左胸当接部16aと左肩当接部14aとを接続する第1の接続部20と、右胸当接部16bと右肩当接部14bとを接続する第2の接続部22と、左胸当接部16aと顎当接部12とを接続する第3の接続部24と、右胸当接部16bと顎当接部12とを接続する第4の接続部26とを含むことができる。
【0017】
顎当接部12、左肩当接部14a、右肩当接部14b、左胸当接部16aおよび右胸当接部16bには、身体への負担を軽減するために、身体に当たる箇所に衝撃吸収部材が設けられていることができる。顎当接部12、左肩当接部14a、右肩当接部14b、左胸当接部16aおよび右胸当接部16bは、当接する身体の部位に沿ったかたちのものであることが好ましい。
【0018】
第1の接続部20、第2の接続部22、第3の接続部24および第4の接続部26は、それぞれの接続機能を実現するものであれば特に限定されない。
【0019】
左肩当接部14a、右肩当接部14b、左胸当接部16a、右胸当接部16b、第1の接続部20、第2の接続部22、第3の接続部24および第4の接続部26は、パイプにより構成することができる。隣り合うパイプの径を変えて、隣り合うパイプを嵌め合せて構成することができる。パイプは、重量との関係から、たとえばプラスチック製のものが好適である。
【0020】
顎当接部12、左肩当接部14a、右肩当接部14b、左胸当接部16a、右胸当接部16b、第1の接続部20、第2の接続部22、第3の接続部24および第4の接続部26は、それぞれ、隣接する機能部と一体的に設けることができる。
【0021】
顎当接部12を頭部の左右方向、または、頭部の前後方向に回転または回動させるようにしてもよい。これにより、顎が顎当接部12に置かれた場合にて、首が回るように回転または回動させることができ、横を向いたり首を振ることができるように顎当接部12を構成してもよい。具体的には、顎を顎当接部12に置いたときに、首を左右に回すことができるように顎当接部12が頭部姿勢維持支援具10に対して回転または回動可能に設けることができる。また、顎を顎当接部12に置いたときに、首を前後に動かすことができるように顎当接部12が頭部姿勢維持装置に対して回転または回動可能に設けることができる。顎当接部12は、
図5に示すように、基体12aと基体12aに対して回転または回動可能に設けられた顎載置部12bにより構成することができる。基体12aは、第3の接続部24および第4の接続部26に対して回転または回動可能に設けることができる。基体12aに第3の接続部24および第2の接続部26が接続されすることができる。
【0022】
顎当接部12は、顎と当接する面を顎に沿った形状にする他に、顎の大きさよりも大きくして、顎を動かしやすい構成とし、いろいろな姿勢に対応し得るような面形状とすることができる。顎と当接する面を顎の大きさよりも大きくしたときには、顎当接部12が頭部姿勢維持具12に対して相対的に動かないように設定したときに特に効果的である。
【0023】
2.作用効果
本願発明者らは、手術の際に外科医は、頭部を動かさずに同じ姿勢で長時間にわたり手術対象部位や手術対象者の状況を示すモニターを見続けなければならないことが多くあり、その際に、首に負担がかかることから首を痛めることがよくあり、特に外科医にとって非常に悩ましい問題であることを確認した。具体的には、手術中は患者や器材の関係でモニターを正面視できないことが多々ある。そのため、「モニターを正面しできず、頸部に無理のかかる横向きで頭位を固定するような姿勢」をとることが頸部に負担をかけ、肩こりや頸部痛の原因になっている。
【0024】
本願発明者らは、その問題をいかに簡易なデバイスで解決することができるかを考え、本実施の形態に至った。
【0025】
顎を顎当接部12に載せることで、顎当接部12に下方向への力が作用し、その下方向への力を受けて左胸当接部16aおよび右胸当接部16bが胸部を押圧し、かつ、左肩当接部14aおよび右肩当接部14bが肩を押圧して、顎当接部12の位置が固定され、顎当接部12に顎が当接した頭部がその姿勢を維持することができる。
【0026】
本実施の形態に係る頭部姿勢維持支援具によれば、作業をしながらでも頭部の姿勢を維持することができる。
【0027】
3.変形例
なお、
図6に示すように、左胸当接部16aと右胸当接部16bとは同一の接続部28により顎当接部12に接続されていてもよい。
図7に示すように、接続部28が左胸当接部16aおよび右胸当接部16bに接続するために分岐していてもよい。顎当接部12を接続部28との連結手段により360度方向の前後および左右に回転または回動させてもよい。連結手段としては、たとえばユニバーサルジョイントやボールジョイントを適用することができる。
【0028】
実施の形態に係る頭部姿勢維持支援具10は、人のみでなく、動物においても適用可能である。実施の形態に係る頭部姿勢維持支援具10は、医師の他に、介護を必要とする者、工場の目視検査者、VDT(Visual Display Terminals)作業者を含むコンピュータ作業者などにも好適である。
【0029】
本実施の形態は、本発明の範囲内において種々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0030】
10 頭部姿勢維持支援具
12 顎当接部
12a 基体
12b 顎載置部
14a 左肩当接部
14b 右肩当接部
16a 左胸当接部
16b 右胸当接部
20 第1の接続部
22 第2の接続部
24 第3の接続部
26 第4の接続部
28 接続部