(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-12
(45)【発行日】2024-03-21
(54)【発明の名称】車両用内装部品
(51)【国際特許分類】
B60Q 3/64 20170101AFI20240313BHJP
F21S 2/00 20160101ALI20240313BHJP
F21V 8/00 20060101ALI20240313BHJP
B60Q 3/217 20170101ALI20240313BHJP
B60Q 3/54 20170101ALI20240313BHJP
B60Q 3/78 20170101ALI20240313BHJP
F21V 17/00 20060101ALI20240313BHJP
【FI】
B60Q3/64
F21S2/00 433
F21V8/00 360
B60Q3/217
B60Q3/54
B60Q3/78
F21V17/00 402
(21)【出願番号】P 2019184154
(22)【出願日】2019-10-04
【審査請求日】2022-09-23
(31)【優先権主張番号】P 2019027803
(32)【優先日】2019-02-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000220066
【氏名又は名称】テイ・エス テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116034
【氏名又は名称】小川 啓輔
(74)【代理人】
【識別番号】100144624
【氏名又は名称】稲垣 達也
(72)【発明者】
【氏名】三平 学
【審査官】河村 勝也
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-035855(JP,A)
【文献】国際公開第2017/069008(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0239394(US,A1)
【文献】国際公開第2018/020997(WO,A1)
【文献】特開2016-117398(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60Q 3/00
F21S 2/00
F21V 8/00
F21V 17/00
F21S 43/27
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を受け入れる一端から光の進入方向に線形に延び、進入方向に伝播する光を屈折させて進入方向に延びる線形の発光面に向かって反射する反射面を有する棒状の導光体と、
前記導光体の中心軸線に直交する特定方向に前記導光体の移動を案内する表面を有する支持体と、
前記支持体に形成されて、前記特定方向に案内される前記導光体の移動を制限する第1規制片と、
前記支持体および前記第1規制片に対して前記導光体を押し当てる第1位置から、前記支持体の前記表面に沿って前記特定方向に移動する前記導光体の通過を許容する間隔を前記支持体との間に形成する第2位置に前記支持体に対して弾性変形する第2規制片と、
前記第2規制片よりも高い剛性を有し、前記支持体に対して相対的に固定される際に前記第1位置に前記第2規制片を拘束する固定部材とを備え
、
前記固定部材は、前記支持体と前記第2規制片との間に設けられた前記間隔を形成するための空隙部の外側から、前記支持体との間に前記導光体の光を漏らす間隙を形成しつつ、前記空隙部の一部、前記導光体、前記第1規制片および前記第2規制片に覆い被さって、その内面で前記第2規制片に接触する壁部材であることを特徴とする車両用内装部品。
【請求項2】
請求項1に記載の車両用内装部品において、前記固定部材および前記第2規制片のうちいずれか一方には他方に接触する突片が形成されることを特徴とする車両用内装部品。
【請求項3】
請求項2に記載の車両用内装部品において、前記第2規制片には前記固定部材に接触する突片が形成されることを特徴とする車両用内装部品。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の車両用内装部品において、前記第1規制片および前記第2規制片は前記導光体の線方向にずれて配置されることを特徴とする車両用内装部品。
【請求項5】
請求項1~
4のいずれか1項に記載の車両用内装部品において、前記導光体は、前記発光面および前記反射面の間で前記反射面に平行に規定される仮想平面で仕切られて、前記支持体および前記第2規制片に接触する半円柱体を有することを特徴とする車両用内装部品。
【請求項6】
請求項1~
5のいずれか1項に記載の車両用内装部品において、前記固定部材と前記第2規制片とは緩衝材を挟んで相互に接触することを特徴とする車両用内装部品。
【請求項7】
請求項1~
6のいずれか1項に記載の車両用内装部品を備えることを特徴とする車両用ドア。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光を受け入れる一端から光の進入方向に線形に延び、進入方向に伝播する光を屈折させて進入方向に延びる線形の発光面に向かって反射する反射面を有する棒状の導光体と、導光体の中心軸線に直交する特定方向に導光体の移動を案内する表面を有する支持体と、支持体に形成されて、特定方向に案内される導光体の移動を制限する第1規制片と、支持体および第1規制片に対して導光体を押し当てる第1位置から、支持体の表面に沿って特定方向に移動する導光体の通過を許容する間隔を記支持体との間に形成する第2位置に支持体に対して弾性変形する第2規制片とを備える車両用内装部品に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、スイッチパネルおよびアームレストの隙間からコンパートメント内に導光体の光を漏らすドアライニング(車両用内装部品)を開示する。アームレストには導光体を収容する収容溝が形成される。アームレストは、収容溝に向かって導光体の移動を案内する案内面と、収容溝内で当該案内面に向き合わせられて、弾性に基づき案内面に向かって導光体を押し当てるリブとを有する。こうして導光体はがたつきなく固定されることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
棒状の導光体には、光の進入方向に線形に延びる凹溝が形成される。凹溝には、収容溝内で案内面に向き合わせられる爪が係り合う。爪は、爪および案内面の間を通過して収容溝に進入する導光体の移動を許容するものの、凹溝に係り合って収容溝から導光体の離脱を阻止する。こうして導光体はアームレスの収容溝内に保持される。導光体には凹溝の形成が要求されることから、導光体の形状は制約されていた。
【0005】
本発明は、上記実状に鑑みてなされたもので、導光体の形状の自由度を広げながら、良好に導光体を固定することができる車両用内装部品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1側面によれば、光を受け入れる一端から光の進入方向に線形に延び、進入方向に伝播する光を屈折させて進入方向に延びる線形の発光面に向かって反射する反射面を有する棒状の導光体と、前記導光体の中心軸線に直交する特定方向に前記導光体の移動を案内する表面を有する支持体と、前記支持体に形成されて、前記特定方向に案内される前記導光体の移動を制限する第1規制片と、前記支持体および前記第1規制片に対して前記導光体を押し当てる第1位置から、前記支持体の前記表面に沿って前記特定方向に移動する前記導光体の通過を許容する間隔を前記支持体との間に形成する第2位置に前記支持体に対して弾性変形する第2規制片と、前記第2規制片よりも高い剛性を有し、前記支持体に対して相対的に固定される際に前記第1位置に前記第2規制片を拘束する固定部材とを備え、前記固定部材は、前記支持体と前記第2規制片との間に設けられた前記間隔を形成するための空隙部の外側から、前記支持体との間に前記導光体の光を漏らす間隙を形成しつつ、前記空隙部の一部、前記導光体、前記第1規制片および前記第2規制片に覆い被さって、その内面で前記第2規制片に接触する壁部材である車両用内装部品が提供される。
【0007】
第2側面によれば、第1側面の構成に加えて、前記固定部材および前記第2規制片のうちいずれか一方には他方に接触する突片が形成される。
【0008】
第3側面によれば、第2側面の構成に加えて、前記第2規制片には前記固定部材に接触する突片が形成される。
【0009】
第4側面によれば、第1~第3側面のいずれか1の構成に加えて、前記第1規制片および前記第2規制片は前記導光体の線方向にずれて配置される。
【0010】
第5側面によれば、第1~第4側面のいずれか1の構成に加えて、前記導光体は、前記発光面および前記反射面の間で前記反射面に平行に規定される仮想平面で仕切られて、前記支持体および前記第2規制片に接触する半円柱体を有する。
【0011】
第6側面によれば、第1~第5側面のいずれか1の構成に加えて、前記固定部材と前記第2規制片とは緩衝材を挟んで相互に接触する。
【0012】
第7側面によれば、第1~第6側面のいずれか1の構成を備える車両用ドアが提供される。
【0013】
本発明の第9側面によれば、光を受け入れる一端から光の進入方向に線形に延び、進入方向に伝播する光を屈折させて進入方向に延びる線形の発光面に向かって反射する反射面を有する棒状の導光体と、前記反射面に向き合って前記導光体に並列に線形に延びる本体を有し、車両用内装部材に前記導光体を固定する固定部材とを備え、前記導光体は、前記発光面および前記反射面の間で前記反射面に平行に規定される仮想平面で仕切られる半円柱体と、前記半円柱体の中心軸に直交し軸方向に離れた2つの第1断面で前記半円柱体の曲面の一端から前記反射面に向かって連続する第1曲面と、2つの前記第1断面の間に配置され前記中心軸に直交する第2断面で前記半円柱体の曲面の他端から前記反射面に向かって連続する第2曲面とを有する車両用照明装置において、前記固定部材は、前記第1断面で前記第1曲面に向き合いながら前記本体から延び、前記半円柱体の曲面に接触する部分球面の第1突起を突出させ、前記仮想平面に直交する前記第1曲面の移動に応じて前記半円柱体の曲面から前記第1突起を遠ざける弾性を有する第1支持体と、前記第2断面で前記第2曲面に向き合いながら前記本体から延び、前記半円柱体の曲面に接触する部分球面の第2突起を突出させ、前記仮想平面に直交する前記第2曲面の移動に応じて前記半円柱体の曲面から前記第2突起を遠ざける弾性を有する第2支持体とを備える。
【0014】
第10側面によれば、第9側面の構成に加えて、前記固定部材は、前記第1支持体の内面から突出し、前記第1曲面に接触する部分球面の第3突起と、前記第2支持体の内面から突出し、前記第2曲面に接触する部分球面の第4突起とを有する。
【0015】
第11側面によれば、第9または第10側面の構成に加えて、前記反射面には、前記反射面から外向きに突出し、前記光の前記進入方向に直交する方向に延びる凸部が形成され、前記第1支持体および前記第2支持体の少なくともいずれか一方には、前記中心軸回りの周方向に前記凸部の端に接触する回り止めが形成される。
【0016】
第12側面によれば、第9~第11側面のいずれか1の構成に加えて、前記第2支持体は、前記導光体の軸方向に前記第1支持体から外れた位置に配置される。
【0017】
第13側面によれば、車両用ドアは、第9~第12側面のいずれか1の車両用照明装置を備える。
【発明の効果】
【0018】
第1側面によれば、第2規制片が弾性変形に応じて第2位置に位置すると、第2規制片と支持体との間に間隔が確保される。導光体は、支持体の表面に沿って移動し、第2規制片と支持体との間を通過することができる。導光体の移動は第1規制片で制限される。すると、弾性の働きで第2規制片は第1位置に復帰する。第2規制片は支持体および第1規制片に導光体を押し当てる。その後、固定部材が固定されると、固定部材は第1位置に第2規制片を拘束する。したがって、第2規制片は支持体および第1規制片に対して導光体を押し当て続ける。導光体の抜け落ちは防止されることができる。こうして導光体は支持体上に良好に固定されることができる。
【0019】
また、支持体と壁部材とは組み合わさって車両用内装部品の外観を構成する。間隙は導光体の光を漏らす間接照明を実現することができる。こうして壁部材が固定部材を兼ねることから、第2規制片の拘束にあたって部品点数の増大は回避されることができる。
【0020】
第2側面によれば、突片の大きさ(高さ)が調整されることで、第2規制片に伝達される押し出し力は調整されることができる。こうして導光体は支持体上に良好に固定されることができる。
【0021】
第3側面によれば、突片の大きさ(高さ)が調整されることで、第2規制片に伝達される押し出し力は調整されることができる。こうして導光体は支持体上に良好に固定されることができる。
【0022】
第4側面によれば、第2規制片の変位に導光体や支持体の弾性変形も利用されることができる。したがって、導光体は楽に第2規制片および支持体の間を通過することができる。
【0023】
第6側面によれば、支持体および第2規制片は導光体の半円柱体に接触するので、支持体および第2規制片の間から導光体の抜け落ちは防止されることができる。導光体は支持体上に良好に固定されることができる。
【0024】
第7側面によれば、固定部材と第2規制片との間に緩衝材が挟まれるので、固定部材および第2規制片の摩擦に基づく異音の発声は抑制されることができる。
【0025】
第8側面によれば、車両用ドアでは、導光体は支持体上に良好に固定されることができる。
【0026】
第9側面によれば、固定部材は、2つの第1突起と、軸方向に第1突起の間に配置される第2突起とで、少なくとも導光体の半円柱体を3点支持することができる。3点支持の働きで導光体は本体に並列に固定部材に保持されることができる。導光体が仮想平面に直交する方向に移動し、第1突起および第2突起に挟まれる空間を通過する際に、導光体の第1曲面および第2曲面は第1支持体および第2支持体を押し広げる。このとき、導光体の側面は、第1突起および第2突起の部分球面に接触するので、全長にわたって固定部材に接触するわけではなく、導光体の外面に生じるひっかき傷は抑制される。導光体内で光伝搬は良好に維持されることができる。ここでは、2つの第1支持体は相互に接続されて連続してもよい。
【0027】
第10側面によれば、第1突起および第3突起は、半円柱体の曲面と第1曲面とに接触することで、仮想平面に直交する導光体の移動を拘束することができる。同様に、第2突起および第4突起は、半円柱体の曲面と第2曲面とに接触することで、仮想平面に直交する導光体の移動を拘束することができる。こうして固定部材に対して導光体のがたつきは防止されることができる。
【0028】
第11側面によれば、回り止めは導光体の中心軸回りで導光体の回転動作を拘束する。したがって、導光体の中心軸回りで固定部材に対して導光体の発光面の位置は固定されることができる。車両用内装部材に対して光の向きは設定されることができる。
【0029】
第12側面によれば、導光体が仮想平面に直交する方向に移動し、第1突起および第2突起に挟まれる空間を通過する際に、導光体の第1曲面および第2曲面は第1支持体および第2支持体を押し広げる。このとき、第1突起および第2突起の変位にあたって本体の捻れは利用されることができる。第1支持体および第2支持体に要求される弾性は抑制されることができる。固定部材の剛性は高められることができる。
【0030】
第13側面によれば、車両用ドアでは、固定部材は、2つの第1突起と、軸方向に第1突起の間に配置される第2突起とで、少なくとも導光体の半円柱体を3点支持することができる。3点支持の働きで導光体は本体に並列に固定部材に保持されることができる。導光体が仮想平面に直交する方向に移動し、第1突起および第2突起に挟まれる空間を通過する際に、導光体の第1曲面および第2曲面は第1支持体および第2支持体を押し広げる。このとき、導光体の側面は、第1突起および第2突起の部分球面に接触するので、全長にわたって固定部材に接触するわけではなく、導光体の外面に生じるひっかき傷は抑制される。導光体内で光伝搬は良好に維持されることができる。ここでは、2つの第1支持体は相互に接続されて連続してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】本発明の一実施形態に係る車両用ドアの概念図である。
【
図2】第1実施形態に係る照明装置の構造を概略的に示す拡大斜視図である。
【
図3】(A)
図2の3A-3A線に沿った断面図、(B)
図2の3B-3B線に沿った断面図、および(C)
図2の3C-3C線に沿った断面図である。
【
図4】
図3(B)に対応し、アッパードアライニングが外された際に照明装置の切断面を示す断面図である。
【
図7】
図3(B)に対応し、変形例に係る照明装置の切断面を示す断面図である。
【
図8】第2実施形態に係る照明装置の拡大斜視図である。
【
図10】(A)
図8の10A-10A線に沿った断面図、(B)
図8の10B-10B線に沿った断面図、および(C)
図8の10C-10C線に沿った断面図である。
【
図11】固定部材の拡大(A)正面図、および(B)背面図である。
【
図12】
図10に対応し、固定部材に進入する導光体の様子を概略的に示す断面図である。
【
図13】
図8に対応し、軸方向に導光体の2分の1の長さよりも短い長さの固定部材を備える照明装置の拡大斜視図である。
【
図14】
図8に対応し、1つの導光体に対して2つの固定部材を備える照明装置の拡大斜視図である。
【
図15】
図8に対応し、軸方向に第1支持体に交互に配置される2つの第2支持体を有する固定部材を含む照明装置の拡大斜視図である。
【
図16】第3実施形態に係る照明装置の拡大斜視図である。
【
図17】(A)
図16の17A-17A線に沿った断面図、(B)
図16の17B-17B線に沿った断面図、および(C)
図16の17C-17C線に沿った断面図である。
【
図18】
図17(B)に対応し、アッパードアライニングが外された際に照明装置の切断面を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、添付図面を参照しつつ本発明の一実施形態を説明する。
【0033】
図1は自動車に搭載された車両用ドアの構成を概略的に示す。車両用ドア11は、車両の骨格に開閉自在にヒンジ留めされるドア本体12と、ドア本体12の内側に張り付けられるドアトリム(内装部品)13とを備える。ドアトリム13には、乗員の腕を支持するドアアームレスト14と、ドアアームレスト14の下方で小物の収容に利用されるドアポケット15とが形成される。ドアアームレスト14には、窓ガラス16の開閉にあたって操作されるスイッチ17が埋め込まれる。
【0034】
ドアトリム13は、ドア本体12に内張りされて、ドアアームレスト14の上方に開口18aを区画するドアライニング18と、ドアライニング18の開口18a内に配置されて、ドア本体12に固着される装飾カバー19とを備える。装飾カバー19には車両用ドア11の開閉にあたって操作されるドアインサイドハンドル21が組み込まれる。
【0035】
ドアトリム13には、暗い環境下でドアインサイドハンドル21やスイッチ17を照らすほか、車両用ドア11の装飾効果を発揮する照明システム22が埋め込まれる。照明システム22は、アッパードアライニング18bの下縁に沿って線形に装飾カバー19を照らし出す照明装置23を備える。照明装置23は、アッパードアライニング18bの下縁と装飾カバー19との間に区画される間隙から漏れ出る光を形成する。照明装置23はLIN通信を介して自動車の電子制御ユニット(ECU)24に接続される。電子制御ユニット24は照明装置23の点灯および消灯を制御する。LIN通信によれば、照明装置23は電子制御ユニット24との接続にあたって1本のワイヤーハーネス25で直列または並列に接続されることができる。
【0036】
図2に示されるように、第1実施形態に係る照明装置23は、棒状の導光体26と、導光体26の一端に接続される光源27とを備える。導光体26は、光源27に接続される一端から光の進入方向28に線形に延びる。光源27は、電力の供給に応じて発光体から導光体26の線方向に光を発光する。導光体26は、線形の中心軸線を有する円筒面で形成される線形状の発光面29から光を照射する。
【0037】
導光体26は装飾カバー19に支持される。装飾カバー19は、ドアインサイドハンドル21を囲みながらコンパートメントに露出し、アッパードアライニング18bの下縁に沿って水平方向に延びる上端を有するインナーパネル19aと、インナーパネル19aの上端から連続して、導光体26に並列に線形に延びる支持体19bとを備える。支持体19bは、インナーパネル19aの上端から湾曲してドア本体12に向かって広がる水平壁31と、ドア本体12に向き合う水平壁31の外端から上向きに立ち上がる縦壁32とを有する。水平壁31の表面は、インナーパネル19aの上端から縦壁32に向かって、導光体26の中心軸線に直交する特定方向に導光体26の移動を案内する。
【0038】
縦壁32には、導光体26の線方向に互い違いに第1規制片33および第2規制片34が配置される。第1規制片33および第2規制片34は導光体26の線方向にずれて配置される。ここでは、第2規制片34は第1規制片33同士の中間位置に位置する。ただし、第2規制片34同士の中間位置に第1規制片33が配置されてもよい。第1規制片33は、
図3(C)に示されるように、縦壁32の内面から突出して、水平壁31の表面に沿って縦壁32に向かって案内される導光体26の移動を制限するリブ35を備える。
【0039】
図3(B)に示されるように、第2規制片34は、縦壁32の上端から連続し、水平壁31に向き合わせられる板片34aと、板片34aの開放端から連続し、水平壁31に向かって延びる係り片34bとを有する。係り片34bは、板片34aの弾性変形に基づき支持体19bに対して相対的に変位する。
【0040】
第2規制片34にはアッパードアライニング18bの内面に接触する突片36が形成される。アッパードアライニング18bは、第2規制片34よりも高い剛性を有し内面で第2規制片34に接触する壁部材を備える。アッパードアライニング18bは、支持体19bの水平壁31および第1規制片33に対して導光体26を押し当てる第1位置に第2規制片34の係り片34bを拘束する。
【0041】
第2規制片34には、縦壁32から連続して上方に延びるブラケット37が形成される。ブラケット37はドア本体12の内面に重ね合わせられてドア本体12にねじ38で固着される。
【0042】
図3(A)、(B)および(C)に示されるように、アッパードアライニング18bは、支持体19bとの間に導光体26の光を漏らす間隙39を形成しながら導光体26、第1規制片33および第2規制片34に覆い被さる。
図3(C)に示されるように、導光体26の線方向に第1規制片33および第2規制片34から外れた位置では、導光体26は水平壁31に受け止められるものの、導光体26と縦壁32との間には空隙SP1が確保され、導光体26とアッパードアライニング18bとの間には空隙SP2が確保される。
【0043】
図4に示されるように、第2規制片34がアッパードアライニング18bの拘束から解放されると、第2規制片34は、第1位置よりも支持体19bから遠ざかる第2位置に変位することができる。第2位置の係り片34bと支持体19bとの間には、水平壁31の表面に沿って縦壁32に向かって移動する導光体26の通過を許容する間隔が形成される。導光体26は、第2規制片34の弾性変形に応じて、支持体19bの表面に沿って行き来することができる。
【0044】
支持体19bと第2規制片34との間には、前記導光体26の通過を許容する間隔を形成する空隙部が、前記空隙SP2に隣接して形成されており、アッパードアライニング18bは、その空隙部の外側から当該空隙部の一部にも覆い被さる。
【0045】
図5に示されるように、導光体26は、光の進入方向28に延びる線形の発光面29に向かって光を屈折させ反射する反射面41を有する。反射面41には平面42が区画される。平面42は、中心軸線に直交する断面で弦を描く。平面42の幅(弦の長さ)は線方向に一定に維持される。導光体26は例えばメタクリル樹脂といった透明な樹脂材から成型される。
【0046】
平面42上には、導光体26の線方向に配列されて、光の進入方向に直交する方向に延びる凸部43が形成される。凸部43は線方向の全域にわたって一定のピッチPで配列される。凸部43は、光の進入方向(導光体26の線方向)に直交する方向に稜線43aを有する断面三角形状に形成される。稜線43aは面取りされて湾曲面であってもよい。
【0047】
光源27から第1範囲RN1内では突部43の長さは光源27から遠ざかるにつれて増大する。凸部43の長さは光の進入方向(線方向)に直交する方向に測定される凸部43の幅に相当する。ここでは、凸部43は導光体26の線方向にグループ化され、グループG1~G9ごとで凸部43の長さ(幅)W1、W2…は一定に設定される。個々のグループG1~G9ごとに凸部43の個数は一定に設定される。個々の凸部43は、導光体26の中心軸線を含む対称面LRに対して対称形状に形成される。第1範囲RN1内では凸部43の高さは全ての凸部43で一定である。
【0048】
光源27から第1範囲RN1を超えた第2範囲RN2では凸部43の長さWcは一定である。その一方で、
図6に示されるように、凸部43の高さHsは光源27から遠ざかるにつれて増大する。ここでは、凸部43は導光体26の線方向にグループ化され、グループG10~G12ごとで凸部43の高さHsは一定に設定される。個々のグループG10~G12ごとに凸部43の個数は一定に設定される。個々の凸部43は、導光体26の中心軸線を含む対称面LRに対して対称形状に形成される。対称面LRには凸部43の断面形状が相似形で現れる。
【0049】
図3(B)に示されるように、導光体26は、発光面29および反射面41の間で反射面41の平面42に平行に規定される仮想平面VPで仕切られて、支持体19bの水平壁31および第2規制片34の係り片34bに接触する半円柱体45を有する。すなわち、第2位置に位置する係り片34bと水平壁31との間隔SCは半円柱体45の直径よりも小さく設定される。導光体26には、半円柱体45の曲面の一端から連続して反射面41に向かって広がり、水平壁31の表面に沿って変位する際に第2規制片34の係り片34bに接触する曲面46が形成される。曲面46は半円柱体45の曲面と同じ曲率で湾曲する。曲面46は、導光体26が水平壁31の表面に沿って係り片34bおよび水平壁31の間に押し込まれる際に、水平壁31から係り片34bを遠ざける駆動力を生成する。
【0050】
次に本実施形態の作用を説明する。光源27が発光すると、導光体26の線方向(長手方向)に光は導光体26内を進む。光は発光面29の背面の凸部43で乱反射し線方向に直交する向きに屈折する。屈折した光は発光面29から外方に放出される。放出された光は、アッパードアライニング18bと装飾カバーとの間隙39から漏れ出る。こうしてドアトリム13には線形の発光に基づき装飾は施されることができる。
【0051】
次に車両用ドア11の製造方法を説明する。ドア本体12に装飾カバー19が取り付けられる。装飾カバー19はねじ38でドア本体12に留められる。装飾カバー19には照明装置23が取り付けられる。装飾カバー19の取り付けに先立って装飾カバー19に導光体26が装着されてもよい。
【0052】
照明装置23の取り付けにあたって導光体26は支持体19bの表面に沿って案内される。導光体26は水平壁31の表面に沿って縦壁32に向かって押し込まれる。導光体26は、半円柱体45の曲面から反射面41に向かって連続する曲面46で第2規制片34の係り片34bに接触する。したがって、導光体26の押し込み力は、水平壁31から係り片34bを遠ざける駆動力に変換される。
【0053】
第2規制片34の係り片34bは板片34aの弾性変形に基づき第2位置に変位する。第2規制片34と支持体19bとの間に間隔が確保される。導光体26は中心軸線に直交する向きに支持体19bの表面に沿って移動する。導光体26はアッパードアライニング18bおよび支持体19bの間を通過する。
【0054】
導光体26は第1規制片33のリブ35に突き当てられる。したがって、導光体26の動きは制限される。係り片34bは板片34aの弾性に基づき第1位置に復帰する。第2規制片34の係り片34bは支持体19bおよび第1規制片33に導光体26を押し当てる。こうして導光体26は装飾カバー19に取り付けられる。
【0055】
続いて、ドア本体12にドアライニング18が固定される。アッパードアライニング18bは第2規制片34の突片36に接触する。その結果、第2規制片34の係り片34bは第1位置に拘束される。ドアライニング18は高い剛性を有することから、導光体26は第2規制片34と水平壁31および第1規制片33との間に良好に保持されることができる。導光体26の抜け落ちは防止される。こうして導光体26は装飾カバー19上に良好に固定されることができる。
【0056】
本実施形態では、第2規制片34にはアッパードアライニング18bに接触する突片36が形成される。したがって、突片36の大きさ(高さ)が調整されることで、第2規制片34に伝達される押し出し力は調整される。こうして導光体26は装飾カバー19の支持体19b上に良好に固定される。
【0057】
本実施形態に係るドアトリム13では、第1規制片33および第2規制片34は導光体26の線方向にずれて配置される。第2規制片34の変位に導光体26や支持体19bの弾性変形も利用されることができる。したがって、導光体26は楽に第2規制片34および支持体19bの間を通過することができる。
【0058】
本実施形態に係るアッパードアライニング18bは、支持体19bとの間に導光体26の光を漏らす間隙39を形成しながら導光体26、第1規制片33および第2規制片34に覆い被さって、内面で第2規制片34に接触する壁部材を備える。装飾カバー19とアッパードアライニング18bとは組み合わさってドアトリム13の外観を構成する。間隙39は導光体26の光を漏らす間接照明を実現する。こうしてアッパードアライニング18bが照明装置23の固定部材を兼ねることから、第2規制片34の拘束にあたって部品点数の増大は回避される。
【0059】
本実施形態に係る導光体26は、発光面29および反射面41の間で反射面41に平行に規定される仮想平面で仕切られて、支持体19bおよび第2規制片34に接触する半円柱体を有する。支持体19bおよび第2規制片34は導光体26の半円柱体に接触するので、支持体19bおよび第2規制片34の間から導光体26の抜け落ちは防止される。導光体26は支持体19b上に良好に固定されることができる。
【0060】
図7に示されるように、アッパードアライニング18bと第2規制片34の突片36との間には緩衝材47が挟まれてもよい。アッパードアライニング18bと突片36とは緩衝材47を挟んで相互に接触する。こうして緩衝材47が挟まれると、アッパードアライニング18bと第2規制片34との摩擦に基づく異音の発生は抑制されることができる。
【0061】
図8に示されるように、第2実施形態に係る照明装置51は、棒状の導光体52と、導光体52の一端に接続される光源53と、導光体52に並列に線形に延びる本体54aを有し、ドアトリム13に導光体52を固定する固定部材54とを備える。光源53は、電力の供給に応じて発光体から導光体52の線方向に光を発光する。固定部材54の本体54aは導光体52の線方向に長尺の板材から形成される。
【0062】
導光体52は、光源53に接続される一端から光の進入方向55に線形に延びる。導光体52は、光の進入方向55に延びる線形の発光面56に向かって光を屈折させ反射する反射面57を有する。固定部材54の本体54aは導光体52の反射面57に向き合わせられる。導光体52は例えばメタクリル樹脂といった透明な樹脂材から成型される。
【0063】
図9に示されるように、導光体52は、一方の端面52aで光源53から光を受け入れる。導光体52は、端面52aに直交する光の進入方向55に線形に延びる。光は進入方向55に他端に向かって導光体52内を伝搬する。
【0064】
導光体52では、発光面56および反射面57の間で反射面57に平行に規定される仮想平面58で半円柱体59が仕切られる。半円柱体59の曲面は、仮想平面58との一方の交線59aから連続する第1曲面61で反射面57の一方の稜線に接続され、仮想平面58との他方の交線59bから連続する第2曲面62で反射面57の他方の稜線に接続される。第1曲面61および第2曲面62は半円柱体59の曲面と同じ曲率を有する。
【0065】
反射面57には、反射面57の平面から外向きに突出し、光の進入方向55に直交する方向に延びる複数の凸部63が形成される。凸部63は導光体52の軸方向(線方向)に配列される。凸部63は軸方向の全域にわたって一定のピッチPで配置されればよい。反射面57の平面は導光体52の中心軸線に直交する断面で弦を描く。平面の幅(弦の長さ)は線方向に一定に維持される。
【0066】
凸部63は、光の進入方向55(導光体52の軸方向)に直交する方向に稜線63aを有する断面三角形状に形成されればよい。稜線63aは面取りされて湾曲面であってもよい。全ての凸部63で高さが一定に設定される場合には、光の進入方向55に直交する方向に凸部63の長さは光源53から離れるにつれて大きくなればよい。凸部63は前述の凸部43と同様に形成されればよい。
【0067】
固定部材54は、
図8に示されるように、導光体52の軸方向に相互に間隔を空けて、第1曲面61に向き合いながら本体54aから延びる2つの第1支持体54bと、第1支持体54b同士の間に形成される空間に向き合う位置で、第2曲面62に向き合いながら本体54aから延びる1つの第2支持体54cとを備える。ここでは、第2支持体54cは、導光体52の軸方向に第1支持体54bから外れた位置に配置される。本体54a、第1支持体54bおよび第2支持体54cは例えば樹脂材から一体成型されればよい。
【0068】
固定部材54は、
図10(A)および
図10(C)に示されるように、導光体52の中心軸線に直交し軸方向に離れた2つの第1断面SFで半円柱体59の曲面に接触する2つの第1突起64を有する。第1断面SFでは、第1曲面61は半円柱体59の曲面の第1端(一端)(交線59a)から反射面57に向かって連続する。ここでは、
図11(A)に示されるように、第1突起64は個々の第1支持体54bの内面から突出する。第1突起64は部分球面(例えば球冠)で半円柱体59の曲面に接触する。
図10(A)および
図10(C)に示されるように、第1支持体54bには、半円柱体59の中心軸線回りの周方向に凸部63の端に接触する回り止め65が形成される。
【0069】
固定部材54は、
図10(B)に示されるように、2つの第1断面SFの間に配置され導光体52の中心軸線に直交する第2断面SSで半円柱体59の曲面に接触する第2突起66を有する。第2断面SSでは、第2曲面62は半円柱体59の曲面の第2端(前述の一端に対して他端)(交線59b)から反射面57に向かって連続する。ここでは、
図11(B)に示されるように、第2突起66は第2支持体54cの内面から突出する。第2突起66は部分球面(例えば球冠)で半円柱体59の曲面に接触する。
図10(B)に示されるように、第2支持体54cには、半円柱体59の中心軸線回りの周方向に凸部63の端に接触する回り止め67が形成される。
【0070】
固定部材54は、
図10に示されるように、個々の第1突起64に対応して、第1断面SFで第1曲面61に接触する第3突起68と、第2突起66に対応して、第2断面SSで第2曲面62に接触する第4突起69とを有する。第3突起68は、
図11(A)に示されるように、第1支持体54bの内面から突出する。第3突起68は部分球面(例えば球冠)で第1曲面61に接触する。第1突起64および第3突起68の中心は、導光体52の中心軸線に直交する仮想平面PLf上に位置決めされる。第4突起69は、
図11(B)に示されるように、第2支持体54cの内面から突出する。第4突起69は部分球面(例えば球冠)で第2曲面62に接触する。第2突起66および第4突起69の中心は、導光体52の中心軸線に直交する仮想平面PLs上に位置決めされる。
【0071】
図10に示されるように、導光体52の発光面56は装飾カバー19の照射体71に向き合わせられる。アッパードアライニング18bは照射体71の上方で照明装置51に覆い被さる。アッパードアライニング18bと照射体71との間には、車両のコンパートメントに向かって開放される間隙73が区画される。運転席や助手席の乗員は、間隙73から照射体71の表面を垣間見ることができる。
【0072】
図8に示されるように、軸方向に2つの第1支持体54bに対応する位置で本体54aには取り付け片74が一体に形成される。取り付け片74には重ね面74aが形成される。取り付け片74は重ね面74aで装飾カバー19側の取り付け面75に重ねられる。取り付け片74には重ね面74aに直交する軸心を有する取り付け孔76が形成される。取り付け孔76には例えば装飾カバー19の取り付け面75から突出する取り付けボス75aが挿入されることができる。固定部材54は取り付けボス75aにねじ込まれるねじ77で装飾カバー19に固定される。
【0073】
次に本実施形態の作用を説明する。光源53が発光すると、導光体52の線方向(長手方向)に光は導光体52内を進む。光は発光面56の背面の凸部63で乱反射し線方向に直交する向きに屈折する。屈折した光は発光面56から外方に放出される。放出された光は、
図10に示されるように、照射体71に照らされる。こうしてドアトリム13には線形の発光に基づき装飾は施されることができる。
【0074】
本実施形態では、固定部材54は、2つの第1突起64と、軸方向に第1突起64の間に配置される第2突起66とで、少なくとも導光体52の半円柱体59を3点支持する。3点支持の働きで導光体52は本体54aに並列に固定部材54に保持される。そして、第1突起64および第3突起68は、半円柱体59の曲面と第1曲面61とに接触することで、仮想平面58に直交する導光体52の移動を拘束することができる。同様に、第2突起66および第4突起69は、半円柱体59の曲面と第2曲面62とに接触することで、仮想平面58に直交する導光体52の移動を拘束することができる。こうして固定部材54に対して導光体52のがたつきは防止されることができる。
【0075】
第1支持体54bの回り止め65は半円柱体59の中心軸線Xc回りで第1方向に導光体52の回転動作を拘束する。第2支持体54cの回り止め67は半円柱体59の中心軸線Xc回りで第1方向に逆向きの第2方向に導光体52の回転動作を拘束する。したがって、半円柱体59の中心軸線Xc回りで固定部材54に対して導光体52の発光面56の位置は固定される。装飾カバー19の照射体71に対して光の向きは良好に設定されることができる。
【0076】
照明装置51の組み付けにあたって、固定部材54に導光体52は装着される。
図12に示されるように、導光体52の第1曲面61および第2曲面62はそれぞれ第1支持体54b上の第1突起64および第2支持体54c上の第2突起66に接触する。導光体52は仮想平面58に直交する方向に本体54aに向かって押し込まれる。導光体52が第1突起64および第2突起66に挟まれる空間を通過する際に、導光体52の第1曲面61および第2曲面62は第1支持体54bおよび第2支持体54cを押し広げる。
【0077】
このとき、導光体52の側面は、第1突起64および第2突起66の部分球面に接触するので、全長にわたって固定部材54に接触するわけではなく、導光体52の外面に生じるひっかき傷は抑制される。導光体52内で光伝搬は良好に維持されることができる。第1支持体54bおよび第2支持体54cは軸方向に相互に外れた位置に位置することから、第1支持体54bおよび第2支持体54cが押し広げられるとき、第1突起64および第2突起66の変位にあたって固定部材54の本体54aの捻れは利用される。その結果、第1支持体54bおよび第2支持体54cに要求される弾性は抑制されることができる。固定部材54の剛性は高められることができる。
【0078】
導光体52が第1突起64および第2突起66に挟まれる空間を通過してしまうと、第1突起64および第2突起66は導光体52の半円柱体59の曲面に接触する。第1支持体54bおよび第2支持体54cの復元力で導光体52は本体54aに向かって押し込まれる。第3突起68および第4突起69は導光体52の第1曲面61および第2曲面62にそれぞれ接触する。回り止め65、67は凸部63の一端に係り合う。
【0079】
固定部材54は、
図8に示されるように、導光体52の軸方向に導光体52の全長に合わせた長さの本体54aを備えてもよく、
図13に示されるように、軸方向に導光体52の2分の1の長さよりも短い長さの本体54aを備えてもよい。
図14に示されるように、1つの導光体52に対して2つ以上の固定部材54が軸方向に配列されてもよい。固定部材54は、
図15に示されるように、第1支持体54bと交互に配置される2つ以上の第2支持体54cを備えてもよい。個々の第1支持体54bおよび第2支持体54cは前述の第1支持体54bおよび第2支持体54cと同様に構成されればよい。その他、個々の固定部材54では2つの第1支持体54bは相互に接続されて連続してもよい。第1支持体54bおよび第2支持体54cは導光体52を挟んで相互に向き合ってもよい。
【0080】
図16に示されるように、第3実施形態に係る照明装置81は、棒状の導光体26と、導光体26の一端に接続される光源27とを備える。導光体26は、光源27に接続される一端から光の進入方向28に線形に延びる。光源27は、電力の供給に応じて発光体から導光体26の線方向に光を発光する。導光体26は、線形の中心軸を有する円筒面で形成される線形状の発光面29から光を照射する。導光体26の詳細は
図5および
図6に基づき理解されることができる。
【0081】
導光体26は装飾カバー82に支持される。装飾カバー82は、ドアインサイドハンドル21を囲みながらコンパートメントに露出し、アッパードアライニング18bの下縁に沿って水平方向に延びる上端を有するインナーパネル82aと、インナーパネル82aの上端から連続して、導光体26に並列に線形に延びる支持体82bとを備える。支持体82bは、ドア本体12から遠ざかる向きにインナーパネル82aの上端から突出しながら水平方向に延びる水平壁83と、ドア本体12に向き合う水平壁83の外端から上向きに立ち上がる縦壁84とを有する。水平壁83の表面は、導光体26の中心軸線に直交する特定方向に導光体26の移動を案内する。
【0082】
縦壁84には、導光体26の線方向に互い違いに第1規制片85および第2規制片86が配置される。第1規制片85および第2規制片86は導光体26の線方向にずれて配置される。ここでは、第2規制片86は第1規制片85同士の中間位置に位置する。ただし、第2規制片86同士の中間位置に第1規制片85が配置されてもよい。第1規制片85は導光体26の線方向に複数個所に配置される。第1規制片85は、
図17(C)に示されるように、縦壁84の内面から遠ざかるにつれて水平壁83から離れるように傾斜する平面で形成される規制面85aを有する。規制面85aは、水平壁83の表面に沿って縦壁84に向かって案内される導光体26の移動を制限する。
【0083】
図17(B)に示されるように、第2規制片86は、縦壁84の上端から連続し、水平壁83に向き合わせられる板片86aと、板片86aの開放端から連続し、水平壁83に向かって延びる係り片86bとを有する。係り片86bは、板片86aの弾性変形に基づき支持体82bに対して相対的に変位する。
【0084】
第2規制片86にはアッパードアライニング18bの内面に接触する突片87が形成される。アッパードアライニング18bは、第2規制片86よりも高い剛性を有し内面で第2規制片86に接触する壁部材を備える。アッパードアライニング18bは、支持体82bの水平壁83および第1規制片85に対して導光体26を押し当てる第1位置に第2規制片86の係り片86bを拘束する。
【0085】
縦壁84には、縦壁84から連続して上向きに延びるブラケット88が形成される。ブラケット88はドア本体12の内面に重ね合わせられてドア本体12にねじ89で固着される。縦壁84には、縦壁84の内面から直立するボス91が形成される。ボス91には、アッパードアライニング18bの内面から直立する軸体がはめ込まれる。こうしてボス91にアッパードアライニング18bは連結される。ボス91はアッパードアライニング18bと縦壁84との間に特定の間隔を確保する。
【0086】
図16に示されるように、隣接する第2規制片86同士の間には、縦壁84の内面から水平方向に突出して、水平壁83の表面に向き合わせられる反射面92aを有する反射壁92が形成される。反射壁92は第2規制片86から分離される。言い換えると、反射壁92と第2規制片86との間には導光体26の線方向に間隙SLが確保される。したがって、反射壁92は第2規制片86の撓みから遮断されることができる。第2規制片86の撓みに拘わらず反射壁92は原形を維持することができる。
図17(A)に示されるように、反射面92aは導光体26の反射面41に向き合わせられる。反射壁92の反射面92aは導光体26の反射面41から漏れ出る光を反射する。
【0087】
図17(A)、(B)および(C)に示されるように、アッパードアライニング18bは、支持体19bとの間に導光体26の光を漏らす間隙93を形成しながら導光体26、第1規制片85および第2規制片86に覆い被さる。
図17(A)に示されるように、導光体26の線方向に第1規制片85および第2規制片86から外れた位置では、導光体26は水平壁83に受け止められるものの、導光体26と縦壁84との間には空隙SP1が確保され、導光体26とアッパードアライニング18bとの間には空隙SP2が確保される。
【0088】
図17(C)に示されるように、第1規制片85の規制面85aは導光体26の凸部43を受け止める。凸部43の稜線43aは直線を描くことから、凸部43の稜線43aで導光体26が第1規制片85の規制面85aに接触することで、中心軸線回りに導光体26の回転は防止されることができる。導光体26は間隙93に対して決められた向きで保持されることができる。導光体26と第1規制片85との接触面積は縮小されることができる。しかも、規制面85aは水平壁83の表面に対して傾斜することから、水平壁83の表面に沿って変位する導光体26の位置は良好に規制されることができる。
【0089】
図18に示されるように、第2規制片86がアッパードアライニング18bの拘束から解放されると、第2規制片86は、第1位置よりも支持体82bから遠ざかる第2位置に変位することができる。第2位置の係り片86bと支持体82bとの間には、水平壁83の表面に沿って縦壁84に向かって移動する導光体26の通過を許容する間隔が形成される。導光体26は、第2規制片86の弾性変形に応じて、支持体82bの表面に沿って行き来することができる。
【0090】
図17(B)に示されるように、導光体26は、発光面29および反射面41の間で反射面41の平面42に平行に規定される仮想平面VPで仕切られて、支持体82bの水平壁83および第2規制片86の係り片86bに接触する半円柱体45を有する。すなわち、第2位置に位置する係り片86bと水平壁83との間隔SDは半円柱体45の直径よりも小さく設定される。導光体26には、半円柱体45の曲面の一端から連続して反射面41に向かって広がり、水平壁83の表面に沿って変位する際に第2規制片86の係り片86bに接触する曲面46が形成される。曲面46は半円柱体45の曲面と同じ曲率で湾曲する。曲面46は、導光体26が水平壁83の表面に沿って係り片86bおよび水平壁83の間に押し込まれる際に、水平壁83から係り片86bを遠ざける駆動力を生成する。
【0091】
次に本実施形態の作用を説明する。光源27が発光すると、導光体26の線方向(長手方向)に光は導光体26内を進む。光は発光面29の背面の凸部43で乱反射し線方向に直交する向きに屈折する。屈折した光は発光面29から外方に放出される。放出された光は、アッパードアライニング18bと装飾カバーとの間隙93から漏れ出る。こうしてドアトリム13には線形の発光に基づき装飾は施されることができる。
【0092】
次に車両用ドア11の製造方法を説明する。ドア本体12に装飾カバー82が取り付けられる。装飾カバー82はねじ89でドア本体12に留められる。装飾カバー82には照明装置81が取り付けられる。装飾カバー82の取り付けに先立って装飾カバー82に導光体26が装着されてもよい。
【0093】
照明装置81の取り付けにあたって導光体26は水平壁83の表面に沿って縦壁84に向かって押し込まれる。導光体26は、半円柱体45の曲面から反射面41に向かって連続する曲面46で第2規制片86の係り片86bに接触する。したがって、導光体26の押し込み力は、水平壁83から係り片86bを遠ざける駆動力に変換される。
【0094】
第2規制片86の係り片86bは板片86aの弾性変形に基づき第2位置に変位する。第2規制片86と支持体82bとの間に間隔が確保される。導光体26は中心軸線に直交する向きに支持体82bの表面に沿って移動する。導光体26はアッパードアライニング18bおよび支持体82bの間を通過する。
【0095】
導光体26の反射面41は第1規制片85の規制面85aに突き当てられる。したがって、導光体26の動きは制限される。係り片86bは板片86aの弾性に基づき第1位置に復帰する。第2規制片86の係り片86bは支持体82bおよび第1規制片85に導光体26を押し当てる。こうして導光体26は装飾カバー82に取り付けられる。
【0096】
続いて、ドア本体12にドアライニング18が固定される。アッパードアライニング18bは第2規制片86の突片87に接触する。その結果、第2規制片86の係り片86bは第1位置に拘束される。ドアライニング18は高い剛性を有することから、導光体26は第2規制片86と水平壁83および第1規制片85との間に良好に保持されることができる。導光体26の抜け落ちは防止される。こうして導光体26は装飾カバー82上に良好に固定されることができる。
【符号の説明】
【0097】
11…車両用ドア、13…内装部品(ドアトリム)、18…固定部材(ドアライニング)、19b…支持体、26…導光体、28…(光の)進入方向、29…発光面、33…第1規制片、34…第2規制片、36…突片、39…間隔、41…反射面、45…半円柱体、47…緩衝材、82b…支持体、85…第1規制片、86…第2規制片、87…突片、93…間隔。