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特許7453509プリント配線板及びプリント配線板の製造方法
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  • 特許-プリント配線板及びプリント配線板の製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-12
(45)【発行日】2024-03-21
(54)【発明の名称】プリント配線板及びプリント配線板の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 3/46 20060101AFI20240313BHJP
   H05K 3/00 20060101ALI20240313BHJP
   H05K 1/02 20060101ALI20240313BHJP
   H01L 23/12 20060101ALI20240313BHJP
【FI】
H05K3/46 X
H05K3/00 X
H05K1/02 G
H05K3/46 G
H05K3/46 T
H01L23/12 N
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020004151
(22)【出願日】2020-01-15
(65)【公開番号】P2021111735
(43)【公開日】2021-08-02
【審査請求日】2022-12-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000000158
【氏名又は名称】イビデン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095795
【弁理士】
【氏名又は名称】田下 明人
(72)【発明者】
【氏名】清水 敬介
【審査官】鹿野 博司
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-114187(JP,A)
【文献】特開2019-192722(JP,A)
【文献】特開2014-127701(JP,A)
【文献】特開2014-022465(JP,A)
【文献】特開2015-095654(JP,A)
【文献】特開2014-107433(JP,A)
【文献】特開2018-133549(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 3/46
H05K 3/00
H05K 1/02
H01L 23/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁基板の矩形の開口にガラス板を収容して成るコア基板と、前記コア基板上に形成された樹脂絶縁層と導体層とから成るビルドアップ層と、を有するプリント配線板であって、
前記絶縁基板は、前記開口の周囲の枠状に形成され、
前記絶縁基板の前記開口の角部に枠状の絶縁基板を4分離する4本のスリットが設けられ
前記ガラス板と前記開口の間、及び、前記4本のスリット内は樹脂が充填されている。
【請求項2】
請求項のプリント配線板であって、
前記樹脂は、前記絶縁基板及び前記ガラス板の上層の樹脂絶縁層の由来である。
【請求項3】
絶縁基板の矩形の開口にガラス板を収容して成るコア基板と、前記コア基板上に形成された樹脂絶縁層と導体層とから成るビルドアップ層と、を有するプリント配線板の製造方法であって、
大判の絶縁基板に矩形の開口と、前記開口の角部にスリットを設けることと、
前記開口にガラス板を収容することと、
前記ガラス板と前記開口の間、及び、前記4本のスリット内に樹脂を充填することと、
前記大判絶縁基板を、前記スリットの端部に沿って裁断し小判の絶縁基板にし、前記スリットによって小判の絶縁基板を4分離すること、有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラス板をコア基板に有するプリント配線板、及び、プリント配線板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、大判のガラス板上に絶縁層、導体層を形成し、スルーホールでガラス板の両面を接続し、回路基板を形成した後に、大判のガラス板を個片に切断するプリント配線板の製造方法を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-192722号公報
【発明の概要】
【0004】
[特許文献1の課題]
特許文献1では、ガラス板上に絶縁層、導体層を形成するため、配線の位置精度を高めることが難しいと考えられる。配線の位置精度を高めるために、絶縁基板の中央に開口を設け、開口内にガラス板を収容することで、絶縁基板に設けたアライメントマークを用いてガラス板上に絶縁層、導体層を形成することが考えられる。しかしながら、この方法は、ガラス板の周囲に枠状の絶縁基板が配置されるため、ガラス板と絶縁基板との熱膨張率の違いで反りが生じる恐れがあると考えられる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係るプリント配線板は、絶縁基板の矩形の開口にガラス板を収容して成るコア基板と、前記コア基板上に形成された樹脂絶縁層と導体層とから成るビルドアップ層と、を有する。そして、前記絶縁基板は、前記開口の周囲の枠状に形成され、前記絶縁基板の前記開口の角部に枠状の絶縁基板を4分離する4本のスリットが設けられ
前記ガラス板と前記開口の間、及び、前記4本のスリット内は樹脂が充填されている。
【0006】
本発明に係るプリント配線板は、絶縁基板の矩形の開口にガラス板を収容して成るコア基板と、前記コア基板上に形成された樹脂絶縁層と導体層とから成るビルドアップ層と、を有する。本発明に係るプリント配線板の製造方法では、大判の絶縁基板に矩形の開口と、前記開口の角部にスリットを設けることと、前記開口にガラス板を収容することと、前記ガラス板と前記開口の間、及び、前記4本のスリット内に樹脂を充填することと、前記大判絶縁基板を、前記スリットの端部に沿って裁断し小判の絶縁基板にし、前記スリットによって小判の絶縁基板を4分離すること、有する。
【0007】
[実施形態の効果]
本発明の実施形態のプリント配線板、プリント配線板の製造方法によれば、絶縁基板の開口にガラス板を収容して導体層が形成されるため、絶縁基板のアライメントマークを用いることで、配線の位置精度を高めることができる。絶縁基板の開口の角部に枠状の絶縁基板を4分離する4本のスリットが設けられている。絶縁基板が枠状では無く、分離した4本の棒状であるため、ガラス板と絶縁基板との熱膨張率の違っていても、絶縁基板に生じる応力が4分割され、絶縁基板からの応力でプリント配線板に反りを生じさせることが無い。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1(A)は第1実施形態のプリント配線板の断面図であり、図1(B)は平面図である。
図2】本発明の第1実施形態に係るプリント配線板の平面図である。
図3】第1実施形態のプリント配線板の製造工程図である。
図4】第1実施形態のプリント配線板の製造工程図である。
図5】第2実施形態のプリント配線板の製造工程図である。
図6】第2実施形態のプリント配線板の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[第1実施形態]
図1(A)は第1実施形態のプリント配線板10の断面図である。図1(B)はプリント配線板10の平面図であり、図1(A)は図1(B)のA1-A1断面に相当する。プリント配線板10は、第1面FFと第1面FFと反対側の第2面SSとを有するコア基板30とコア基板の第1面FF上に形成されている第1ビルドアップ層55Fとコア基板の第2面SS上に形成されている第2ビルドアップ層55Sとを有する。
【0010】
コア基板30は、図1(B)中に示される開口22aを有する枠状の絶縁基板22と、絶縁基板22の開口22a内に収容され、コア基板の第1面FFと同方向の第1面Fと第1面Fと反対側の第2面Sとを有するガラス板20と、図1(A)中に示される絶縁基板22及びガラス板20の第1面F上の第1絶縁層28Fと、絶縁基板22及びガラス板20の第2面S上の第2絶縁層28Sと、第1絶縁層28F上に形成されている第1導体層34Fと、第2絶縁層28S上に形成されている第2導体層34Sと、第1導体層34Fと第2導体層34Sとを接続するスルーホール導体36とを有する。スルーホール導体36は、ガラス板20に形成された貫通孔25内に充填された第1絶縁層28F、第2絶縁層28S由来の樹脂28内に形成された貫通孔26内に形成されている。絶縁基板22には導体層を形成するためのアライメントマーク24が形成されている。
【0011】
第1ビルドアップ層55Fは、コア基板30の第1面Fと第1導体層34F上に形成されている第1樹脂絶縁層50Fと、第1樹脂絶縁層50F上に形成されている第3導体層58Fと、を有する。第1ビルドアップ層55Fは、さらに、第1樹脂絶縁層50Fを貫通する第1ビア導体60Fを有する。第1ビア導体60Fは、第1導体層34Fと第3導体層58Fとを接続する。
【0012】
第1樹脂絶縁層50Fと第3導体層58F上に開口72Fを有する第1ソルダーレジスト層70Fが形成される。開口72Fから露出する第3導体層58Fに、電子部品を搭載するための第1半田バンプ76Fが形成される。
【0013】
第2ビルドアップ層55Sは、コア基板30の第2面Sと第2導体層34S上に形成されている第2樹脂絶縁層50Sと、第2樹脂絶縁層50Sの上に形成されている第4導体層58Sと、を有する。第2ビルドアップ層55Sは、さらに、第2樹脂絶縁層50Sを貫通する第2ビア導体60Sを有する。第2ビア導体60Sは、第2導体層34Sと第4導体層58Sとを接続する
【0014】
第2樹脂絶縁層50Sと第4導体層58S上に開口72Sを有する第2ソルダーレジスト層70Sが形成される。開口72Sから露出する第4導体層58Sに、マザーボード等の回路基板と接続するための第2半田バンプ76Sが形成される。
【0015】
第1実施形態のプリント配線板10は、絶縁基板22の開口22aにガラス板20を収容して第1導体層34F、第2導体層34S、第3導体層58F、第4導体層58Sが形成されるため、絶縁基板22の第1面F側のアライメントマーク24(及び、図示しない第2面側のアライメントマーク)を用いることで、第1導体層34F、第2導体層34S、第3導体層58F、第4導体層58Sの位置精度を高くすることができる。
【0016】
第1実施形態のプリント配線板10では、図1(B)に示されるように、絶縁基板22の開口22aの角部に枠状の絶縁基板を4分離する4本のスリット22bが設けられている。図1(A)に示されるように、絶縁基板22の開口22aとガラス板20との間には、第1絶縁層28F、第2絶縁層28S由来の樹脂28が充填されている。同様に、スリット22b内には、第1絶縁層28F、第2絶縁層28S由来の樹脂28が充填されている。第1実施形態のプリント配線板10では、絶縁基板22が枠状では無く、分離した4本の棒状の絶縁基板(子片)22zから成るため、ガラス板と絶縁基板との熱膨張率の違っていても、絶縁基板22に生じる応力が4分割され、絶縁基板22からの応力でプリント配線板10に反りを生じさせることが無い。
【0017】
[第1実施形態のプリント配線板の製造方法]
図2に示される大判の絶縁基板122が準備され、矩形の開口22aと、開口22aの開口の角部にスリット22bが形成される。図2中の開口22aの断面が図3(A)中に示される。ガラス板20が準備され、絶縁基板122の開口22a内に収容される(図3(B))。ガラス板20は、純粋二酸化珪素(約100%のSiO2)、ソーダ石灰ガラス、ホウケイ酸塩ガラス、アルミノケイ酸塩ガラス、フルオロガラス、リン酸ガラス、又は、カルコゲンガラスから成る。予めブラスト加工等により、ガラス板の表面、裏面がRa(平均粗度)=100nm程度に荒らされる。
【0018】
絶縁基板122の図示しないアライメントマークを基準としてガラス板20にスルーホール形成用の貫通孔25が形成される(図3(C))。以降の導体層形成にも計測されたアライメントマークの位置が用いられる。絶縁基板122、ガラス板20の第1面F上に第1絶縁層28Fが、第2面S上に第2絶縁層28Sが形成され、図1(B)中に示される絶縁基板22の開口22aとガラス板20との間、4本のスリット22b内、貫通孔25内に、第1絶縁層28F、第2絶縁層28S由来の樹脂28が充填される。そして、第1絶縁層28F、ガラス板20の貫通孔25内の樹脂28、第2絶縁層28Sにスルーホール用の貫通孔26が形成される(図3(D))。上述されたように、ガラス板の表面、裏面が荒らされているため、ガラス板20と第1絶縁層28F、第2絶縁層28Sとの密着性は高い。
【0019】
無電解めっきにより第1絶縁層28F、第2絶縁層28Sの表面、貫通孔26内に無電解めっき膜32が形成される(図3(E))。無電解めっき膜32上に所定パターンのめっきレジスト40が形成され、電解めっきにより、めっきレジスト40から露出する無電解めっき膜32上に電解めっき膜38が形成されると共に、貫通孔26内に電解めっき膜が充填されスルーホール導体36が形成される(図3(F))。めっきレジストが除去され、電解めっき膜38から露出する無電解めっき膜32が除去され、第1導体層34F、第2導体層34Sが形成され、コア基板30が完成する(図3(G))。コア基板30は、ガラス板20の第1面Fと同方向の第1面FFを、ガラス板20の第2面Sと同方向の第2面SSを有する。
【0020】
コア基板30の第1面FF上に第1樹脂絶縁層50Fが、第2面SS上に第2樹脂絶縁層50Sが形成される(図4(A))。第1樹脂絶縁層50Fに、第1導体層34Fに至る開口51Fが形成され、第2樹脂絶縁層50Sに、第2導体層34Sに至る開口51Sが形成される(図4(B))。無電解めっきにより第1樹脂絶縁層50F、第2樹脂絶縁層50Sの表面、開口51F、51S内に無電解めっき膜52が形成され、所定のめっきレジスト(図示されず)が形成され、めっきレジストから露出する無電解めっき膜52上に電解めっき膜56が形成され、開口51F内に第1ビア導体60Fが、開口51S内に第2ビア導体60Sが形成される。めっきレジストが剥離され、電解めっき膜56から露出する無電解めっき膜52が除去され、第3導体層58F、第4導体層58Sが形成される(図4(C))。
【0021】
第3導体層58Fと第1樹脂絶縁層50F上に第1開口72Fを有する第1ソルダーレジスト層70Fが形成される。第4導体層58Sと第2樹脂絶縁層50S上に第2開口72Sを有する第2ソルダーレジスト層70Sが形成される。図2中に示されるスリット22bの端部に沿った裁断線22cによって大判の絶縁基板122が切り分けられ、個片(小判)の絶縁基板22にされる(図4(D))。この際に、図1(B)に示されるように、スリット22bによって小判の絶縁基板22は4分離され、4個の棒状の絶縁基板(子片)22zがスリット22b内の樹脂28によって接続される状態となる。。第1ソルダーレジスト層70Fの第1開口72Fに第1半田バンプ76Fが形成され、第2ソルダーレジスト層70Sの第2開口72Sに第2半田バンプ76Sが形成される(図1(A))。
【0022】
第1実施形態のプリント配線板の製造方法では、絶縁基板22が、分離した4本の棒状の絶縁基板(子片)22zから構成されため、ガラス板と絶縁基板との熱膨張率の違っていても、絶縁基板22に生じる応力が4分割され、絶縁基板22からの応力でプリント配線板10に反りを生じさせることが無い。
【0023】
[第2実施形態]
図6は第2実施形態のプリント配線板の断面図である。
第2実施形態のプリント配線板10では、コア基板30がガラス板20とガラス板20の第1面Fに形成された第1導体層34Fと、第2面Sに形成された第2導体層34Sと、第1導体層34F、第2導体層34Sを接続するスルーホール導体36から成る。絶縁基板22の開口22aとガラス板20との間、及び、図示しないスリット内は、第1樹脂絶縁層50F、第2樹脂絶縁層50S由来の樹脂50で充填されている。
【0024】
[第2実施形態のプリント配線板の製造方法]
図5(A)に示されるガラス板20が用意される。ブラスト加工等により、ガラス板20の第1面F、第2面SがRa(平均粗度)=100nm程度に荒らされる。ガラス板20にスルーホール用の貫通孔26が形成される(図5(B))。無電解めっきによりガラス板20の表面、貫通孔26内に無電解めっき膜32が形成される。無電解めっき膜32上に所定パターンのめっきレジスト40が形成され、電解めっきにより、めっきレジスト40から露出する無電解めっき膜32上に電解めっき膜38が形成されると共に、貫通孔26内に電解めっき膜が充填されスルーホール導体36が形成される(図5(C))。めっきレジストが除去され、電解めっき膜38から露出する無電解めっき膜32が除去され、第1導体層34F、第2導体層34Sが形成される(図5(D))。図2を参照し上述された第1実施形態と同様に、開口22a及び開口の4角にスリットの設けられた絶縁基板22の開口22a内に図5(D)に示されるガラス板20が収容される(図5(E))。この際、絶縁基板22に設けられた図示されないアライメントマークを基準にガラス板20の位置合わせが行われる。以降の工程は第1実施形態と同様である。
【符号の説明】
【0025】
20 ガラス板
22 絶縁基板
22a 開口
22b スリット
30 コア基板
34F 第1導体層
34S 第2導体層
36 スルーホール導体
図1
図2
図3
図4
図5
図6