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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-12
(45)【発行日】2024-03-21
(54)【発明の名称】砂濾過装置の砂濾過ユニット
(51)【国際特許分類】
   B01D 24/46 20060101AFI20240313BHJP
   B01D 29/62 20060101ALI20240313BHJP
   B01D 24/02 20060101ALI20240313BHJP
   G01N 1/10 20060101ALI20240313BHJP
   G01N 1/00 20060101ALI20240313BHJP
【FI】
B01D23/24 Z
B01D23/16
G01N1/10 A
G01N1/00 101N
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020031831
(22)【出願日】2020-02-27
(65)【公開番号】P2021133310
(43)【公開日】2021-09-13
【審査請求日】2023-01-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000219451
【氏名又は名称】東亜ディーケーケー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141173
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 啓一
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 浩昭
(72)【発明者】
【氏名】内藤 一臣
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 伸也
(72)【発明者】
【氏名】黒田 朗弘
(72)【発明者】
【氏名】市川 京介
【審査官】瀧 恭子
(56)【参考文献】
【文献】実開昭59-074808(JP,U)
【文献】特開平10-314512(JP,A)
【文献】特開昭64-075013(JP,A)
【文献】登録実用新案第3130161(JP,U)
【文献】実開昭57-136413(JP,U)
【文献】特開平04-339235(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 24/00-35/04;35/08-37/08
G01N 1/00-1/44
G01N 33/00-33/46
C02F 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
分析装置へ供給される試料水を、濾過砂を用いて濾過する砂濾過装置の砂濾過ユニットであって、
下端に開口を有する筒部材と、
前記開口を塞ぐように配置され、前記筒部材の下部に充填された前記濾過砂により濾過された前記試料水を通過させる第1フィルタと、
前記第1フィルタにより濾過された前記試料水を通過させる第2フィルタと、
前記第2フィルタにより濾過された前記試料水を前記分析装置側へ導出する導出通路を備える導出部材と、
前記第1フィルタが取り付けられるフィルタ取付部材と、
を有してなり、
前記第2フィルタは、
前記第1フィルタの下方に、前記第1フィルタと対向して配置され、
前記フィルタ取付部材と前記導出部材との間に保持され、
前記濾過砂が洗浄されるとき、
前記導出通路は、前記濾過砂を洗浄するための洗浄水を前記第2フィルタへ導入し、
前記洗浄水は、前記第2フィルタと前記第1フィルタとを通過して、前記濾過砂に導入される、
ことを特徴とする砂濾過ユニット。
【請求項2】
前記第1フィルタの目の粗さは、前記濾過砂の平均粒径よりも細かく、
前記第2フィルタの目の粗さは、前記第1フィルタの前記目の粗さよりも細かい、
請求項1記載の砂濾過ユニット。
【請求項3】
前記第2フィルタは、前記導出通路の開口端を覆い、
前記導出通路は、
第1通路と、
前記第1通路よりも内径が小さい第2通路と、
を含み、
前記第1通路は、前記第2通路よりも前記導出部材の前記開口端側に配置され、
前記第1通路は、
前記第1通路の内径が、前記第2通路側の端部から前記開口端側に向かって連続的に拡径する拡径面、
を備え、
前記第1通路のうち、最も広い部分の内径は、前記第1フィルタから前記第2フィルタまでの濾過された前記試料水の経路のうち、最も狭い経路の内径と略同じである、
請求項1または2記載の砂濾過ユニット。
【請求項4】
前記拡径面は、前記開口端と連続する、
請求項3記載の砂濾過ユニット。
【請求項5】
前記拡径面は、
前記開口端側の第1端縁と、
前記第2通路側の第2端縁と、
を有し、
前記第1通路の径方向における前記第1端縁と前記第2端縁との間の距離は、上下方向における前記第1端縁と前記第2端縁との間の距離よりも長い、
請求項4記載の砂濾過ユニット。
【請求項6】
前記フィルタ取付部材は、前記第2フィルタが保持される保持孔、
を有してなり、
前記第2フィルタは、円板状で、
前記第2フィルタの外縁部に配置される少なくとも1つの切欠部、
を備える、
請求項記載の砂濾過ユニット。
【請求項7】
前記第2フィルタは、中間ばめの状態で前記保持孔内に配置される、
請求項記載の砂濾過ユニット。
【請求項8】
前記第2フィルタは、積層される複数のフィルタで構成され、
前記複数のフィルタの孔径は、同じ、または、前記第1フィルタ側に配置されるフィルタから前記導出部材側に配置されるフィルタに向かって順に細かくなる、
請求項1乃至のいずれかに記載の砂濾過ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、砂濾過装置に取り付けられる砂濾過ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
残留塩素計やアルカリ度計、オンライン型イオンクロマトグラフなどの分析装置では、試料水を導入する際の前処理として、砂濾過装置による濾過処理が実行されている。砂濾過装置は、試料水を濾過する砂濾過ユニットと、砂濾過ユニットへの試料水の供給量や砂濾過ユニットの洗浄などを制御する制御部と、を有してなる。
【0003】
砂濾過ユニットは、導入部材と、筒部材と、濾過砂と、フィルタと、導出部材と、排出部材と、を備える。導入部材は、筒部材の上部に取り付けられ、筒部材に試料水を導入する。濾過砂は、筒部材の下部に充填されて、導入された試料水を濾過する。フィルタは、筒部材の下部開口を塞ぎ、濾過砂の導出部材への流出を防ぐ。導出部材は、濾過砂で濾過された試料水を分析装置へ導出する。排出部材は、筒部材の上下方向の中央付近に配置され、筒部材に過剰に導入された試料水をオーバーフローさせて排出する。
【0004】
このように構成される砂濾過ユニットでは、試料水は、筒部材に充填された濾過砂を通る際に濾過砂で濾過され、試料水に含まれる浮遊物質は、濾過砂により捕集される。その結果、導出部材は、浮遊物質が取り除かれた試料水を分析装置へ供給できる。
【0005】
砂濾過ユニットが長時間使用されると、試料水から除去された浮遊物質は、濾過砂内や濾過砂上に溜まる。その結果、試料水の濾過に要する時間の増加、試料水を濾過する性能の低下、など、試料水の濾過に支障が生じ得る。したがって、砂濾過装置では、「逆洗」と称される砂濾過ユニットの濾過砂の洗浄が行われる。逆洗では、導出部材側から清浄な水(以下「洗浄水」という。)が筒部材に導入され、濾過砂内を通過する洗浄水により濾過砂に溜まった浮遊物質が取り除かれ、浮遊物質を含む洗浄水が排出部材から排出される。その結果、濾過砂は、洗浄される。
【0006】
逆洗において、濾過砂の洗浄効果を高めるために洗浄水の流量を増加すると、筒部材内に濾過砂が舞い上がり、濾過砂が排出部材から排出され得る。一方、濾過砂の排出を抑制するために洗浄水の流量を低減すると、濾過砂に捕集された浮遊物質が十分に除去されず、濾過砂の洗浄が不十分となる。
【0007】
このような問題を解決する技術として、筒部材内において、洗浄水を真上に進ませず、洗浄水を対流攪拌させる構造物をフィルタの上方に配置する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0008】
特許文献1に開示された技術では、筒部材の下部の内面にすり鉢状の傾斜部が形成され、フィルタの上方に略円錐形状の構造物が配置される。構造物の底面の外縁と傾斜部との間には、洗浄水の流速を増加させる狭路が形成される。構造物の円錐面と筒部材の内面との間には、狭路を通過した洗浄水を対流・攪拌させる攪拌空間が形成される。濾過砂は、例えば、構造物の下方に充填される。
【0009】
この構造によれば、逆洗時において、濾過砂を含む洗浄水の流速が狭路において増加し、濾過砂を含む洗浄水が攪拌空間に向かって舞い上げられる。その結果、濾過砂を含む洗浄水は、攪拌空間内で十分に攪拌される。攪拌空間は上方に向けて広がる空間であり、攪拌空間内の洗浄水の流速は、上方に向かうに連れて低下する。したがって、攪拌空間内で攪拌された濾過砂は、排出部に向かうことなく、攪拌空間において沈降する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】特開平4-339235号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
このように、特許文献1に開示された技術は、逆洗時において、濾過砂を十分に攪拌しつつ、濾過砂の排出を抑制する。しかしながら、同技術では、濾過砂は、攪拌空間内に舞い上がり、攪拌空間内で過剰に攪拌される。そのため、濾過砂に捕集されていた比重の重い浮遊物質は、筒部材の底部に沈降し易い。その結果、逆洗直後の試料水の濾過において、底部に沈降した浮遊物質が供給部に流出して、分析装置の分析結果に悪影響を及ぼすことがある。
【0012】
また、同技術は、フィルタの上方に構造物が配置されるため、筒部材に導入可能な試料水の量は、構造物の体積に相当する量だけ少なくなる。試料水の流れも構造物により制限されるため、濾過砂による濾過は、中央部よりも外縁部において優先的に進行する。すなわち、濾過砂に捕集される浮遊物質の分布は、不均一になる。その結果、濾過の効率は低下すると共に、濾過砂を逆洗する間隔も短くなる。
【0013】
さらに、同技術は、すり鉢状の傾斜部を形成するため、傾斜部の底に配置されるフィルタの大きさは制限され、砂濾過ユニットの処理量と処理速度とは、低下する。
【0014】
本発明は、逆洗時において濾過砂を過剰に攪拌しない砂濾過ユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明にかかる砂濾過ユニットは、分析装置へ供給される試料水を、濾過砂を用いて濾過する砂濾過装置の砂濾過ユニットであって、下端に開口を有する筒部材と、開口を塞ぐように配置され、筒部材の下部に充填された濾過砂により濾過された試料水を通過させる第1フィルタと、濾過された試料水を通過させる第2フィルタと、濾過された試料水を分析装置側へ導出する導出通路を備える導出部材と、を有してなり、第2フィルタは、第1フィルタの下方に、第1フィルタと対向して配置され、濾過砂が洗浄されるとき、導出通路は、濾過砂を洗浄するための洗浄水を第2フィルタへ導入し、洗浄水は、第2フィルタと第1フィルタとを通過して、濾過砂に導入されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、逆洗時において濾過砂を過剰に攪拌しない砂濾過ユニットを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明にかかる砂濾過ユニットの実施の形態を示す斜視図である。
図2図1の砂濾過ユニットの側面図である。
図3図2の砂濾過ユニットの一部拡大断面図である。
図4図3の砂濾過ユニットの分解断面図である。
図5図1の砂濾過ユニットが備える第2フィルタの平面図である。
図6図1の砂濾過ユニットによる試料水の濾過動作を示す断面図である。
図7図1の砂濾過ユニットによる濾過砂の逆洗動作を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しながら、本発明にかかる砂濾過ユニット(以下「本ユニット」という。)の実施の形態について説明する。
【0019】
●砂濾過ユニット●
●砂濾過ユニットの構成
図1は、本ユニットの実施の形態を示す斜視図である。
【0020】
本ユニット1は、残留塩素計やアルカリ度計、オンライン型イオンクロマトグラフ、アンモニア性窒素測定装置などの分析装置2(図2参照)に供給される試料水Sを濾過する。本ユニット1は、例えば、一筒式の砂濾過装置(不図示)に備えられる。
【0021】
「試料水S」は、例えば、河川や湖沼の水、上水、工業廃水など、水質の分析が必要な水であって、分析用に採取された水である。
【0022】
以下の説明において、「下方」は、重力方向である。「上方」は、下方の反対側の方向である。
【0023】
図2は、本ユニット1の側面図である。
同図は、説明の便宜上、本ユニット1の一部を切り欠いて示す。同図の一点鎖線は、本ユニット1に接続される分析装置2と、バルブ3と、を示す。
【0024】
本ユニット1は、ユニット容器10と、濾過砂20と、導入部材30と、排出部材40と、第1フィルタ50と、第2フィルタ60と、導出部材70と、シール部材80と、を有してなる。
【0025】
ユニット容器10は、濾過砂20を収容すると共に、濾過砂20により濾過される試料水Sを一時的に貯留する。ユニット容器10は、筒部材11と、リング部材12と、蓋部材13と、を備える。
【0026】
筒部材11は、濾過砂20を収容する。筒部材11は、上端と下端とに開口を有する円筒状である。筒部材11は、例えば、ポリ塩化ビニル(PVC:polyvinyl chloride)、アクリル(acrylic)、ポリプロピレン(PP:polypropylene)、ポリカーボネイト(PC:polycarbonate)などの透明な合成樹脂製である。筒部材11は、排出部材40が取り付けられる排出孔11h(図6参照)を備える。排出孔11hは、筒部材11の上半部に配置され、筒部材11を貫通する。
【0027】
なお、筒部材は、円筒状に限定されない。すなわち、例えば、筒部材は、円柱状、角柱状または逆円錐台状の孔を有する任意形状のブロック体でもよい。
【0028】
図3は、図2の本ユニット1の断面の一部を拡大した一部拡大断面図である。
図4は、図3の分解断面図である。
図3図4それぞれは、説明の便宜上、濾過砂20(図2参照。以下同じ。)の図示を省略する。
【0029】
リング部材12は、筒部材11と第1フィルタ50と第2フィルタ60とを保持する。リング部材12は、上端と下端とに開口を有するリング状である。リング部材12は、例えば、ポリ塩化ビニル、アクリル、ポリプロピレン、ポリカーボネイト、フッ素樹脂などの合成樹脂製である。リング部材12は、本発明におけるフィルタ取付部材の例である。リング部材12は、筒部材11の下端に取り付けられる。リング部材12は、取付孔12hを備える。
【0030】
取付孔12hは、リング部材12を上下方向に貫通する貫通孔である。取付孔12hの上端部は、筒部材11の下端部が嵌合される筒取付部121を構成する。取付孔12hのうち、筒取付部121の下方に隣接する部分は、第1フィルタ50を収容する第1収容部122を構成する。取付孔12hのうち、第1収容部122の下方に隣接する部分は、リング部材12の径方向内方へリング状に突出して突出部123を構成する。突出部123の下方に隣接する取付孔12hの下半部は、第2フィルタ60を収容する第2収容部124を構成する。第2収容部124は、本発明における保持孔の例である。取付孔12hの内径は、突出部123、第2収容部124、第1収容部122、筒取付部121の順に大きくなる。すなわち、突出部123は、取付孔12hのうち、最も狭い部分である。
【0031】
図1図2とに戻る。
蓋部材13は、筒部材11の上端の開口を覆う。蓋部材13は、例えば、ポリ塩化ビニル、アクリル、ポリプロピレン、ポリカーボネイト、フッ素樹脂などの合成樹脂製である。
【0032】
濾過砂20は、試料水Sに含まれる浮遊物質(SS:Suspended Solids)を試料水Sから除去する。濾過砂20は、例えば、粒径0.5mm-2.0mmの砂を含む。
【0033】
導入部材30は、筒部材11内に試料水Sを導入する。導入部材30は、例えば、ポリ塩化ビニル、アクリル、ポリプロピレン、ポリカーボネイト、フッ素樹脂などの合成樹脂製である。導入部材30は、直管状の第1管部材31とL字状の第2管部材32とを備える。第1管部材31は、蓋部材13を上下方向に貫通した状態で蓋部材13に取り付けられる。第2管部材32は、第1管部材31の下端に取り付けられる。
【0034】
排出部材40は、筒部材11内に過剰に供給された試料水Sを排出する。排出部材40は、例えば、ポリ塩化ビニル、アクリル、ポリプロピレン、ポリカーボネイト、フッ素樹脂などの合成樹脂製である。排出部材40は、L字状の管材である。
【0035】
図4に戻る。
第1フィルタ50は、濾過砂20と、濾過砂20よりも比重の大きい浮遊物質と、の導出部材70への流出を防止する。第1フィルタ50は、円板状である。第1フィルタ50の外径は、第1収容部122の内径と略同じである。第1フィルタ50は、例えば、スポット溶接された2枚の金属フィルタで構成される。第1フィルタ50の目の粗さは、例えば、40メッシュ(目開き約420μm)である。すなわち、第1フィルタ50の目の粗さは、濾過砂20の平均粒径よりも小さい。
【0036】
第2フィルタ60は、濾過砂20により濾過されて、第1フィルタ50を通過した試料水S(以下「濾過水S1」という。図6参照。以下同じ。)に含まれる微細な浮遊物質を除去する。また、第2フィルタ60は、後述する洗浄水SC(図7参照。以下同じ。)の流動を調整する。
【0037】
図5は、第2フィルタ60の平面図である。
【0038】
第2フィルタ60は、円板状である。第2フィルタ60は、2つの切欠部61,62を備える。切欠部61,62は、第2フィルタ60の外縁部に、第2フィルタ60の周方向に等角度間隔に配置される。
【0039】
なお、本発明における切欠部の数や配置は、本実施の形態に限定されない。すなわち、例えば、切欠部の数は、「1」や「4」でもよい。
【0040】
図4に戻る。
第2フィルタ60は、例えば、孔径5μm-200μmの多孔質の合成樹脂(例えば、ポリエチレン(PE:polyethylene)やポリプロピレンなど)の焼結体である。すなわち、第2フィルタ60の目の粗さは、第1フィルタ50の目の粗さよりも細かい。第2フィルタ60は、例えば、積層された2つの樹脂フィルタ(不図示)により構成される。2つの樹脂フィルタの孔径は、同じである。
【0041】
第2フィルタ60の外径D1は、第2収容部124の内径D2と略同じである。第2フィルタ60の外径D1の最小許容寸法は第2収容部124の内径D2の最大許容寸法より小さく、第2フィルタ60の外径D1の最大許容寸法は第2収容部124の内径D2の最小許容寸法より大きい。
【0042】
導出部材70は、第2フィルタ60を通過した濾過水S1を分析装置2(図2参照)側へ導出する。導出部材70は、例えば、ポリ塩化ビニル、アクリル、ポリプロピレン、ポリカーボネイト、フッ素樹脂などの合成樹脂製である。導出部材70は、本体部71とフランジ部72と導出通路73とを備える。
【0043】
本体部71は、上端と下端とに開口を有する円筒状である。本体部71は、濾過水S1を分析装置2側へ導出する導出孔71hを備える。導出孔71hは、導出通路73に連通する。
【0044】
フランジ部72は、略リング状で、本体部71の上部に嵌合される。フランジ部72の上面72aの中央部は、上方に向けて、円板状に突出する円板突出部721を構成する。円板突出部721は、リング状の溝721bを備える。溝721bは、円板突出部721の外周面に、円板突出部721の周方向に沿って配置される。円板突出部721の外径は、リング部材12の第2収容部124の内径よりも僅かに小さい。
【0045】
導出通路73は、本体部71とフランジ部72とを上下方向に貫通する貫通孔である。すなわち、導出通路73の上方の開口端(以下「第1開口端」という。)73aはフランジ部72(円板突出部721の上面721a)に配置され、下方の開口端(以下「第2開口端」という。)73bは本体部71の下面に配置される。導出通路73は、第1通路731と第2通路732とを含む。
【0046】
第1通路731は、導出部材70の第1開口端73a側の端部に配置され、第1開口端73aと第2通路732それぞれと連続する。第2通路732は、第1通路731の下方に配置され、第1通路731と第2開口端73bそれぞれと連続する。すなわち、第1通路731は、第2通路732よりも第1開口端73a側(上側)に配置される。
【0047】
第1通路731の内径は、第2通路732側の端部から第1開口端73a側に向かって連続的に大きくなる。その結果、第1通路731の内周面は、すり鉢状の傾斜面731aを構成する。すなわち、第1通路の第1開口端73aは、第1通路731のうち、最も広い部分である。また、第1通路731は、第1開口端73aと連続する傾斜面731aを備える。傾斜面731aは、本発明における拡径面の例である。
【0048】
傾斜面731aは、第1開口端73a側の第1端縁731a1と、第2通路732側の第2端縁731a2と、を備える。第1通路731の径方向(図4の紙面左右方向)における第1端縁731a1と第2端縁731a2との間の距離L1は、上下方向(図4の紙面上下方向)における第1端縁731a1と第2端縁731a2との間の距離L2よりも長い。すなわち、断面視において、傾斜面731aと、円板突出部721の上面721aと、の間の角度(以下「傾斜角度」という。)は、45°未満である。本実施の形態において、傾斜角度は、例えば、15°である。
【0049】
第2通路732の内径は、第1通路731の下端の内径と同じであり、上下方向において一定である。すなわち、第2通路732の内径は、第1通路731の内径よりも小さい。
【0050】
後述する濾過時の濾過水S1と逆洗時の洗浄水SCそれぞれの流動を最適化するため、第1開口端73aの直径D3は、突出部123の内径D4と略同じであることが好ましい。本実施の形態において、第1開口端73aの直径D3は、例えば、突出部123の内径D4±10%以内に設定される。
【0051】
シール部材80は、リング部材12と導出部材70との間の隙間を埋め、同隙間からの水(濾過水S1,洗浄水SC)の漏出を防止する。シール部材80は、例えば、バイトン(登録商標)ゴム製のO-ringである。
【0052】
●砂濾過ユニットの組み立て
次に、図2図4を参照しながら、本ユニット1の組み立ての例について説明する。
【0053】
先ず、ユニット容器10が組み立てられる。図4に示されるとおり、筒部材11の下端部は、リング部材12の筒取付部121に接続される。排出部材40は、筒部材11の排出孔11hに取り付けられる。第1フィルタ50は、第1収容部122に収容されて、例えば、ねじ90により突出部123の上面123aに取り付けられる。このとき、第1フィルタ50は、筒部材11の下端の開口の略全面を覆う。すなわち、第1フィルタ50は、筒部材11の下端の開口を塞ぐように配置される。
【0054】
次いで、第2フィルタ60と導出部材70とがユニット容器10に取り付けられる。第2フィルタ60は、リング部材12の第2収容部124に収容される。前述のとおり、第2フィルタ60の外径D1の最小許容寸法は第2収容部124の内径D2の最大許容寸法より小さく、第2フィルタ60の外径D1の最大許容寸法は第2収容部124の内径D2の最小許容寸法より大きい。すなわち、第2フィルタ60は、中間ばめの状態で第2収容部124に収容される。
【0055】
次いで、シール部材80は、導出部材70の溝721bに嵌め込まれる。導出部材70の円板突出部721は、下方から第2収容部124に挿入される。導出部材70は、ねじ91によりリング部材12に取り付けられる。その結果、第2フィルタ60は、リング部材12の突出部123の下面123bと、後述する導出部材70の上面721aと、の間に保持される。
【0056】
このように、第2フィルタ60がリング部材12と導出部材70との間に保持されることで、第2フィルタ60は、導出部材70を取り外すだけで、第2収容部124から取り外しできる。第2フィルタ60を取り外すとき、第2フィルタ60は中間ばめの状態で第2収容部124に収容されるため、第2フィルタ60が第2収容部124から取り外せないことも有り得る。この場合、切欠部61,62(図5参照)に工具などを挿入して第2フィルタ60を引き剥がすことで、第2フィルタ60は、破損することなく取り外しできる。
【0057】
図3に示されるとおり、第2フィルタ60がリング部材12に保持されたとき、第2フィルタ60は、第1フィルタ50の下方に、突出部123を介して、第1フィルタ50と対向して配置される。図4に示されるとおり、第2フィルタ60は、導出通路73の第1開口端73aを上方から覆う。そのため、第1フィルタ50を通過した濾過水S1は、必ず第2フィルタ60を通過して、導出通路73に流出する。
【0058】
次いで、図2に示されるとおり、濾過砂20は、筒部材11に収容されて、筒部材11の下部に充填される。すなわち、濾過砂20は、第1フィルタ50上に配置される。上下方向において、第2管部材32は濾過砂20の上方に配置され、排出部材40は第2管部材32の上方に配置される。次いで、導入部材30が取り付けられた蓋部材13は、筒部材11の上端の開口に取り付けられる。蓋部材13は、筒部材11に着脱できる。
【0059】
本ユニット1は、砂濾過装置(不図示)に取り付けられる。導入部材30は、試料水Sの供給元(不図示)に接続される。排出部材40は、例えば、試料水Sの排出先(不図示)に接続される。第2通路732の下端は、例えば、水道の蛇口などの洗浄水SCの供給元(不図示)に接続される。導出孔71hは、分析装置2に接続される。
【0060】
●砂濾過ユニットの動作●
次に、図4も参照しながら、本ユニット1の動作について説明する。本ユニット1の動作は、濾過砂20を用いた試料水Sの濾過動作と、濾過砂20の逆洗動作と、を含む。逆洗については、後述する。
【0061】
●試料水の濾過動作
先ず、試料水Sの濾過動作について説明する。
【0062】
図6は、本ユニット1による試料水Sの濾過動作を示す断面図である。
同図は、試料水S(濾過水S1)の流動を矢印で示す。
【0063】
先ず、試料水Sは、導入部材30から筒部材11内に導入される。前述のとおり、第2管部材32は、L字状である。そのため、試料水Sは、下方の濾過砂20ではなく、筒部材11の内面に向けて導入される。すなわち、試料水Sは、濾過砂20に対して直接的に放出されない。その結果、試料水Sが濾過砂20に直接的に放出されることによる濾過砂20の掘り込みや、濾過砂20の巻き上げは、発生しない。筒部材11内において、試料水Sは、筒部材11の内面に沿う旋回流W1を形成する。
【0064】
次いで、試料水Sは、濾過砂20を通過しながら下方へ流動する。このとき、試料水Sに含まれる浮遊物質の大半は、濾過砂20に捕集される。すなわち、試料水Sは、濾過砂20により濾過される。一方、試料水Sのうち、筒部材11内に過剰に導入された試料水Sは、排出孔11hにおいてオーバーフローして、排出部材40を介して、筒部材11の外部に排出される。
【0065】
次いで、濾過砂20により濾過された試料水S(濾過水S1)は、第1フィルタ50を通過して、突出部123内の空間に流入する。このとき、比較的大きく、比重が砂よりも重い浮遊物質は、第1フィルタ50により捕集される。第1フィルタ50を通過した濾過水S1は、突出部123内の空間と第2フィルタ60とを通過して、導出通路73に流入する。このとき、濾過砂20と第1フィルタ50それぞれに捕集されなかった小さい浮遊物質は、第2フィルタ60により捕集される。その結果、本ユニット1は、第2フィルタを備えない従来の砂濾過ユニットと比較して、浮遊物質の少ない試料水S(濾過水S1)を分析装置2へ供給できる。
【0066】
ここで、前述のとおり、突出部123の内径D4は、第1収容部122と第2収容部124それぞれの内径よりも小さい。したがって、突出部123は、第1フィルタ50から第2フィルタ60までの濾過水S1の経路のうち、最も狭い経路である。また、前述のとおり、導出通路73の第1開口端73aの直径D3は、突出部123の内径D4と略同じである。そのため、第2フィルタ60を通過した濾過水S1は、円板突出部721の上面721aに堰き止められることなく、導出通路73に流入する。すなわち、第2フィルタ60において、濾過水S1は、殆ど停滞することなく、適切に流動できる。
【0067】
導出通路73に流入した濾過水S1は、第1通路731と第2通路732とを介して、導出孔71hから分析装置2(図2参照)へ導出される。
【0068】
●濾過砂の逆洗動作
次に、図4も参照しながら、濾過砂20の逆洗動作について説明する。
【0069】
図7は、本ユニット1による濾過砂20の逆洗動作を示す断面図である。
同図は、洗浄水SCの流れを白抜き矢印で示す。
【0070】
「逆洗動作」は、第2通路732から洗浄水SCを供給して、濾過砂20を洗浄水SCで洗浄する(逆洗する)動作である。すなわち、濾過砂20を逆洗するとき、本ユニット1には、試料水Sは導入されず、洗浄水SCが導入される。洗浄水SCは、試料水S(濾過水S1:図6参照)の経路を逆行するように濾過砂20に導入される。
【0071】
先ず、試料水Sの導入を停止した状態で、洗浄水SCが第2通路732に導入される。このとき、例えば、手動または砂濾過装置(不図示)の制御により、第2通路732の下端に接続されたバルブ3(図2参照)が開放されることにより、洗浄水SCは、第2通路732に導入される。第2通路732に導入された洗浄水SCは、第1通路731に流入する。
【0072】
前述のとおり、第1通路731の内径は、第2通路732側から第1開口端73a側に向かって大きくなる。一般的に、管体を流れる流体の流速は、管体の断面積に反比例する。すなわち、第1通路731に流入した洗浄水SCの流速は、洗浄水SCが第1開口端73aに近づくに連れて、減少する。また、第1通路731に流入した洗浄水SCの流れは、第1通路731の形状に合わせて、広がる。換言すれば、第1通路731に流入した洗浄水SCは、第1通路731内で拡散され、減速される。したがって、第1通路731に流入した洗浄水SCの水圧は、ある程度分散される。
【0073】
次いで、第1通路731からの洗浄水SCは、第2フィルタ60へ導出され、第2フィルタ60を通過する。第2フィルタ60を通過した洗浄水SCは、突出部123内の空間に流入する。前述のとおり、第2フィルタ60は、目の細かい多孔質の焼結体である。そのため、第2フィルタ60を通過する洗浄水SCの流速は、低下する。また、第2フィルタ60を通過する洗浄水SCの水圧は、第2フィルタ60により低下しつつ略均一化される。その結果、第2フィルタ60を通過した洗浄水SCの流速は、第2フィルタ60を通過する前の洗浄水SCの流速よりも低下する。また、第2フィルタ60を通過した洗浄水SCの水圧は、突出部123の横断面(突出部123を水平方向に沿って切断した断面)内において、略均一となる。
【0074】
「略均一」は、洗浄水SCの経路の横断面内において、中央部の水圧が周縁部の水圧より高く、中央部の水圧と周縁部の水圧との間の差が小さい(例えば、中央部の水圧<周縁部の水圧×2)ことをいう。
【0075】
前述のとおり、導出通路73の第1開口端73aの直径は、突出部123の内径と略同じである。そのため、第2フィルタ60を通過した洗浄水SCは、突出部123の下面123bに堰き止められることなく、突出部123内の空間に流入する。すなわち、第2フィルタ60において、洗浄水SCは、殆ど停滞することなく、適切に流動できる。
【0076】
次いで、突出部123内の空間からの洗浄水SCは、第1フィルタ50のうち、突出部123内の空間に対面する領域(以下「空間対面領域」という。)全域に、略均一な圧力で導入される。第1フィルタ50に導入された洗浄水SCは、第1フィルタ50を通過する。
【0077】
第1フィルタ50を通過した洗浄水SCは、濾過砂20に導入される。このとき、洗浄水SCは、濾過砂20の第1フィルタ50に対面する領域(以下「フィルタ対面領域」という。)のうち、空間対面領域に対応する領域に対して、略均一な圧力で導入される。本実施の形態において、洗浄水SCは、濾過砂20のフィルタ対面領域の略全域に導入される。
【0078】
濾過砂20に導入された洗浄水SCは、濾過砂20を流動させながら濾過砂20内を通過する。ここで、前述のとおり、濾過砂20に導入される洗浄水SCにおいて、中央部の圧力は、周縁部の圧力より高い。そのため、濾過砂20は、図7に矢印W2で示されるように、下方から上方、中央部から周縁部に向かって対流する。このとき、濾過砂20に捕集されていた浮遊物質は、洗浄水SCと、濾過砂20の対流と、により濾過砂20の上部側へ運ばれる。
【0079】
濾過砂20を通過した洗浄水SCは、濾過砂20に捕集されていた浮遊物質と共に、濾過砂20の上方に流動して、排出部材40から排出される。
【0080】
前述のとおり、濾過砂20に導入される洗浄水SCの流速は、第1通路731と第2フィルタ60とにおいて、減速する。その結果、濾過砂20は、上方に舞い上がることなく、筒部材11の下部において、流動・対流する。したがって、本ユニット1は、逆洗時に濾過砂が舞い上がる従来の砂濾過ユニットと比較して、濾過砂20よりも比重の重い浮遊物質を濾過砂20の下部に堆積させることなく、同浮遊物質を濾過砂20から除去できる。
【0081】
濾過砂20の逆洗動作の終了後、洗浄水SCの導入を停止した状態で、試料水Sが本ユニット1に導入される。その後、本ユニット1に残留している洗浄水SCが試料水Sと濾過水S1とに置換されることで、本ユニット1は、試料水Sの濾過動作を実行可能となる。すなわち、逆洗動作の終了後、次の濾過動作が実行可能となるまでの時間(待機時間)は、洗浄水SCの経路の容量に影響される。ここで、第1通路731の傾斜角度は45°以下(15°)である。そのため、第1通路731の容積は、同傾斜角度が45°以上である場合と比較して、小さくなる。すなわち、本ユニット1は、洗浄水SCの流速を低下させる傾斜面731aを有しつつ、待機時間の増加を抑制できる。
【0082】
●まとめ
以上説明した実施の形態によれば、本ユニット1は、濾過水S1を通過させる第1フィルタ50と、第1フィルタ50の下方に第1フィルタ50と対向して配置される第2フィルタ60と、を備える。濾過砂20が逆洗されるとき、洗浄水SCは、第2フィルタ60と第1フィルタ50とを通過して、濾過砂20に導入される。この構成によれば、逆洗時において、洗浄水SCの流速は、第2フィルタ60により減速される。すなわち、洗浄水SCは、第2フィルタを備えない従来の砂濾過ユニットよりも減速された状態で濾過砂20に導入される。その結果、本ユニット1は、逆洗時において、濾過砂20を過剰に攪拌させる(舞い上がらせる)ことなく対流させ、濾過砂20により捕集された浮遊物質を効率的に除去できる。
【0083】
また、この構成によれば、本ユニット1は、筒部材11内において、濾過砂20の上方に導入部材30以外の構造物を備えない。そのため、洗浄時において、試料水Sは、濾過砂20の上面全域から濾過砂20内へ導入される。したがって、本ユニット1において、試料水Sを濾過する効率や処理量、処理速度は、筒部材内に他の構造物を備える従来の砂濾過ユニットよりも向上する。
【0084】
さらに、この構成によれば、本ユニット1は、すり鉢状の傾斜部を形成する従来の砂濾過ユニットと比較して、第1フィルタ50の直径を筒部材11の下端の開口と同じ程度まで大きくできる。その結果、本ユニット1において、試料水Sを濾過する効率や処理量は、従来の砂濾過ユニットより向上する。また、濾過砂20を逆洗するとき、本ユニット1は、洗浄水SCを濾過砂20のフィルタ対面領域の略全域に導入できる。
【0085】
このように、本ユニット1は、従来の砂濾過ユニットと比較して、試料水Sを濾過する効率や処理量、処理速度に影響を与えず、濾過砂20を逆洗するとき濾過砂20を過剰に攪拌しない。その結果、本ユニット1の濾過の効率と逆洗の効率それぞれは、従来の砂濾過ユニットよりも向上する。
【0086】
さらにまた、以上説明した実施の形態によれば、第2フィルタ60の目の粗さは、第1フィルタ50の目の粗さよりも細かい。この構成によれば、逆洗時において、第2フィルタ60を通過する洗浄水SCの流速は、さらに低下する。また、同洗浄水SCの圧力は、第2フィルタ60により均一化される。その結果、濾過砂20は、濾過砂20の上方に舞い上がることなく、筒部材11の下部において、移動・対流する。したがって、本ユニット1は、逆洗時に濾過砂が舞い上がる従来の砂濾過ユニットと比較して、濾過砂20よりも比重の重い浮遊物質を濾過砂20の下部に堆積させず、同浮遊物質を濾過砂20から除去できる。さらに、この構成によれば、濾過時において、本ユニット1は、濾過砂20と第1フィルタ50とにより捕集されなかった浮遊物質を、第2フィルタ60により捕集できる。すなわち、本ユニット1は、第2フィルタ60を備えることで、従来の砂濾過ユニットよりも優れた濾過性能を有する。
【0087】
さらにまた、以上説明した実施の形態によれば、第1通路731は、第1開口端73aに向かって拡径する傾斜面731aを備える。第2フィルタ60は、第1開口端73aを覆う。第1開口端73aの直径は、第1フィルタ50から第2フィルタ60までの濾過水S1の経路のうち、最も狭い経路である突出部123の内径と略同じである。この構成によれば、逆洗時において、第2フィルタ60を通過した洗浄水SCは、突出部123の下面123bに堰き止められることなく、突出部123内の空間に流入する。すなわち、第2フィルタ60において、洗浄水SCは、適切に流動できる。一方、この構成によれば、濾過時において、第2フィルタ60を通過した濾過水S1は、円板突出部721の上面721aに堰き止められることなく、導出通路73に流入する。すなわち、第2フィルタ60において、濾過水S1は、適切に流動できる。
【0088】
さらにまた、以上説明した実施の形態によれば、傾斜面731aは、第1開口端73aと連続する。すなわち、本ユニット1は、第2フィルタ60と第1通路731との間に、第1通路731以外の空間を有さない。この構成によれば、本ユニット1は、洗浄水SCの流速を低下させる第1通路731を有しつつ、待機時間の増加を第1通路731の容積増加分のみで抑制できる。
【0089】
さらにまた、以上説明した実施の形態によれば、第1通路731の径方向における第1端縁731a1と第2端縁731a2との間の距離L1は、上下方向における第1端縁731a1と第2端縁731a2との間の距離L2よりも長い。すなわち、断面視において、傾斜角度は、45°未満である。この構成によれば、第1通路731の傾斜面731aによる容積の増加は、最低限に抑制される。したがって、本ユニット1は、洗浄水SCの流速を低下させる第1通路731を有しつつ、待機時間の増加を最低限に抑制できる。また、この構成によれば、傾斜角度が45°以上の場合と比較して、第1通路731の上下方向の長さは、短くなる。すなわち、導出部材70は、小型化できる。
【0090】
さらにまた、以上説明した実施の形態によれば、第2フィルタ60は、リング部材12と導出部材70との間に保持される。この構成によれば、第2フィルタ60は、導出部材70をユニット容器10から取り外すだけで、第2収容部124から取り外しできる。特に、本実施の形態において、第2フィルタ60は、濾過水S1の経路において、最も細かい目を有するフィルタである。そのため、第2フィルタ60は汚れ易く、第2フィルタ60の目は詰まり易い。すなわち、第2フィルタ60は、定期的に交換されるのが望ましい。この場合、第2フィルタ60は、導出部材70をユニット容器10から取り外すだけで、濾過砂20を取り出すことなく容易に交換できる。
【0091】
さらにまた、以上説明した実施の形態によれば、第2フィルタ60は、第2収容部124に収容される。第2フィルタ60は、切欠部61,62を備える。この構成によれば、第2フィルタ60が水(濾過水S1,洗浄水SC)の表面張力により第2収容部124に張り付いたとしても、工具などを切欠部61,62に挿入して第2フィルタ60を引き剥がすことで、第2フィルタ60は、破損することなく取り外しできる。
【0092】
さらにまた、以上説明した実施の形態によれば、第2フィルタ60は、中間ばめの状態で第2収容部124内に配置される。この構成によれば、第2フィルタ60の外周面と第2収容部124の内周面との間には、隙間が殆ど形成されない。そのため、濾過時において、濾過水S1は、必ず第2フィルタ60を通過して導出通路73に流入する。すなわち、濾過水S1に含まれ得る浮遊物質は、効率的に第2フィルタ60に捕集される。
【0093】
さらにまた、以上説明した実施の形態によれば、第2フィルタ60は、積層される複数(2つ)の樹脂フィルタで構成される。この構成によれば、各樹脂フィルタの孔径を変更するだけで、第2フィルタ60の孔径は、容易に変更できる。すなわち、第2フィルタ60による浮遊物質の捕集量と洗浄水SCの減速量とは、各樹脂フィルタの孔径を変更するだけで、容易に調節できる。
【0094】
なお、以上説明した実施の形態において、第1通路731は、傾斜面731aを備えていた。これに代えて、本発明における第1通路は、椀状の湾曲面を備えてもよい。
【0095】
また、本発明における第1通路の径方向における第1端縁と第2端縁との間の距離は、上下方向における第1端縁と第2端縁との間の距離以下でもよい。すなわち、例えば、傾斜角度は、45°以上でもよい。この構成によれば、導出部材は大型化すると共に待機時間は増加するものの、逆洗時において、本ユニットは、第1通路により洗浄水の流速をさらに低下できる。
【0096】
さらに、本発明における第1通路は、第2通路から断続的に拡径してもよい。すなわち、例えば、第1通路は、傾斜面に代えて、水平な底面や、階段状の底面を備えてもよい。この構成によれば、第1通路の底面の外縁付近に乱流が発生し、異物の堆積などが生じ得るものの、逆洗時において、本ユニットは、第1通路により洗浄水の流速をさらに低下できる。
【0097】
さらにまた、本発明における第1通路は、傾斜面と第1開口端との間に、傾斜面の第1端縁と同径の筒状の第3通路を備えてもよい。すなわち、例えば、傾斜面は、第1開口端と連続しなくてもよい。この構成によれば、導出部材は大型化すると共に待機時間は増加するものの、逆洗時において、本ユニットは、第1通路と第2通路とにより洗浄水の流速をさらに低下できる。
【0098】
さらにまた、本発明における第2フィルタの外径は、突出部の内径よりも大きければよく、第2収容部の内径よりも小さくてもよい。すなわち、例えば、第2フィルタの外周面と第2収容部の内周面との間には、隙間が形成されてもよい。
【0099】
さらにまた、本発明における第2フィルタは、切欠部を備えなくてもよい。
【0100】
さらにまた、本発明における第2フィルタは、洗浄水の流速を低下できればよく、第1フィルタの目の粗さよりも細かい目の粗さを有さなくてもよい。すなわち、例えば、第2フィルタの目の粗さは、第1フィルタの目の粗さより粗くてもよい。
【0101】
さらにまた、本発明における第2フィルタは、導出通路内に配置されてもよい。すなわち、例えば、第2フィルタは、逆円錐状で、第1通路内に配置されてもよい。また、例えば、第2フィルタは、円柱状で、第2通路内に配置されてもよい。
【0102】
さらにまた、本発明における第2フィルタを構成する2つの樹脂フィルタの孔径は、異なってもよい。すなわち、例えば、導出部材側(下側)に配置される樹脂フィルタの孔径は、第1フィルタ側(上側)に配置される樹脂フィルタの孔径よりも小さくてもよい。
【0103】
さらにまた、本発明における第2フィルタは、単一の樹脂フィルタで構成されてもよく、あるいは、積層された複数(3以上)の樹脂フィルタで構成されてもよい。後者の場合、各樹脂フィルタの孔径は、同じでもよい。または、各樹脂フィルタの孔径は、第1フィルタ側に配置される樹脂フィルタから導出部材側に配置される樹脂フィルタに向かって順に細かくなってもよい。
【0104】
さらにまた、本発明における突出部は、濾過水(洗浄水)の経路を横断する網目状(格子状)に形成されてもよい。この構成によれば、洗浄水の流速は、突出部でさらに低下する。また、本ユニットは、第2フィルタに代えて、網目状の突出部を備えてもよい。
【0105】
さらにまた、本発明における筒部材は、下端部において内周面が下方に向うに連れて縮径するテーパ面を備えてもよい。この場合、本発明における第1フィルタは、筒部材の下端面と突出部の上面とに挟まれた状態で、突出部に固定されてもよい。
【0106】
さらにまた、本ユニットにおける試料水の濾過動作と、濾過砂の逆洗動作とは、手動で切り替えられてもよく、あるいは、電磁弁などを用いて自動で切り替えられてもよい。すなわち、例えば、本ユニットの動作は、砂濾過装置の使用者や管理者により手動で切り替えられてもよく、あるいは、砂濾過装置により制御されてもよい。
【0107】
さらにまた、以上説明した実施の形態では、本ユニット1は、濾過砂20を備えていた。これに代えて、本ユニットは、使用時に濾過砂を備えていればよく、搬送時や売買時において、濾過砂を備えなくてもよい。すなわち、本ユニットは、濾過砂と別に取り扱われてもよい。
【符号の説明】
【0108】
1 砂濾過ユニット
10 ユニット容器
11 筒部材
12 リング部材(フィルタ取付部材)
123 突出部(最も狭い経路)
124 第2収容部(保持孔)
20 濾過砂
50 第1フィルタ
60 第2フィルタ
61,62 切欠部
70 導出部材
73 導出通路
731 第1通路
731a 傾斜面(拡径面)
731a1 第1端縁
731a2 第2端縁
732 第2通路
73a 第1開口端(開口端、最も広い部分)

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7