(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-12
(45)【発行日】2024-03-21
(54)【発明の名称】砂濾過装置の砂濾過ユニット
(51)【国際特許分類】
B01D 24/38 20060101AFI20240313BHJP
B01D 29/88 20060101ALI20240313BHJP
B01D 24/02 20060101ALI20240313BHJP
G01N 1/00 20060101ALI20240313BHJP
G01N 1/10 20060101ALI20240313BHJP
【FI】
B01D23/20
B01D23/16
G01N1/00 101M
G01N1/10 A
(21)【出願番号】P 2020031832
(22)【出願日】2020-02-27
【審査請求日】2023-01-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000219451
【氏名又は名称】東亜ディーケーケー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141173
【氏名又は名称】西村 啓一
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 伸也
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 浩昭
【審査官】瀧 恭子
(56)【参考文献】
【文献】実開昭59-074808(JP,U)
【文献】特開平10-258272(JP,A)
【文献】特開2006-218388(JP,A)
【文献】国際公開第2015/140878(WO,A1)
【文献】特開2015-166668(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 24/00-35/04;35/08-37/08
G01N 1/00-1/44
G01N 33/00
C02F 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
分析装置へ供給される試料水を、濾過砂を用いて濾過する砂濾過装置の砂濾過ユニットであって、
下部に前記濾過砂が充填される筒状の筒部材と、
前記濾過砂の上方に配置され、前記筒部材内へ前記試料水を導入する導入部材と、
を有してなり、
前記導入部材は、
上方から下方へ向けて前記試料水を導く第1導入部と、
前記第1導入部からの前記試料水を水平方向、または水平方向よりも上方へ導く第2導入部と、
を備え、
前記第2導入部は、
前記第2導入部の中心軸線に対して垂直な開口端面と、
前記開口端面と連続し、前記開口端面側から見て水平方向に対して斜め上方へ向けられる傾斜開口端面と、
を備え
て、
前記開口端面は、前記筒部材の内周面に向けられる、
ことを特徴とする砂濾過ユニット。
【請求項2】
前記傾斜開口端面は、前記開口端面に対して前記第1導入部側に傾斜する、
請求項1記載の砂濾過ユニット。
【請求項3】
前記筒部材内に過剰に導入された前記試料水の一部を排出する排出部材、
を有してなり、
前記排出部材は、
前記筒部材に接続され、前記筒部材より外方へ延出する接続部、
を備え、
上方視において、前記接続部の中心軸線に対する前記第2導入部の中心軸線の角度は、前記接続部側に鋭角である、
請求項1または2記載の砂濾過ユニット。
【請求項4】
前記筒部材は、円筒状で、
上方視において、前記接続部の中心軸線は、前記筒部材の中心を通る、
請求項3記載の砂濾過ユニット。
【請求項5】
上方視において、前記傾斜開口端面は、前記接続部側へ向けられる、
請求項3または4記載の砂濾過ユニット。
【請求項6】
前記第2導入部は、前記第1導入部に対して、前記第2導入部の周方向に回転可能である、
請求項1乃至5のいずれかに記載の砂濾過ユニット。
【請求項7】
前記第2導入部は、前記第1導入部からの前記試料水を水平方向、または水平方向よりも斜め上方へ導く、
請求項1乃至6のいずれかに記載の砂濾過ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、砂濾過装置に取り付けられる砂濾過ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
残留塩素計やアルカリ度計、オンライン型イオンクロマトグラフなどの分析装置では、試料水を導入する際の前処理として、砂濾過装置による濾過処理が実行されている。砂濾過装置は、試料水を濾過する砂濾過ユニットと、砂濾過ユニットへの試料水の供給量や砂濾過ユニットの洗浄などを制御する制御部と、を有してなる。
【0003】
砂濾過ユニットは、導入部材と、筒部材と、濾過砂と、フィルタと、導出部材と、排出部材と、を備える。導入部材は、筒部材の上部に取り付けられ、筒部材内へ試料水を導入する。濾過砂は、筒部材の下部に充填されて、導入された試料水を濾過する。フィルタは、筒部材の下部開口を塞ぎ、濾過砂の導出部材への流出を防ぐ。導出部材は、濾過砂で濾過された試料水を分析装置へ導出する。排出部材は、上下方向において筒部材の中央付近に配置され、筒部材に過剰に導入された試料水をオーバーフローさせて排出する。
【0004】
このように構成される砂濾過ユニットでは、試料水は、濾過砂の中央上方に配置される導入部材から筒部材内に導入される(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示された砂濾過ユニット(以下「従来ユニット」という。)では、導入部材(注入口)は、下端に開口を有する管状である。試料水は、導入部材の開口から下方の濾過砂に向かうように、筒部材内へ導入される。すなわち、試料水は、上方から濾過砂の中央上部に導入される。そのため、導入された試料水が濾過砂に衝突し、あるいは、下方に向かう試料水の水流に濾過砂が曝されることにより、濾過砂の中央上部は、逆円錐状に抉られる(凹む)。その結果、従来ユニットでは、濾過砂の中央部の厚みが減少し、濾過砂全体での均一な濾過が阻害され、試料水を濾過する性能が低下する。また、濾過砂の一部が筒部材内に舞い上がり、試料水と共に排出部材から排出され得る。
【0007】
本発明は、導入された試料水が濾過砂に与える影響を抑制できる砂濾過ユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、分析装置へ供給される試料水を、濾過砂を用いて濾過する砂濾過装置の砂濾過ユニットであって、下部に濾過砂が充填される筒状の筒部材と、濾過砂の上方に配置され、筒部材内へ試料水を導入する導入部材と、を有してなり、導入部材は、上方から下方へ向けて試料水を導く第1導入部と、第1導入部からの試料水を水平方向、または水平方向よりも上方へ導く第2導入部と、を備え、第2導入部は、第2導入部の中心軸線に対して垂直な開口端面と、開口端面と連続し、開口端面側から見て水平方向に対して斜め上方へ向けられる傾斜開口端面と、を備える、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、砂濾過ユニットにおいて、導入された試料水が濾過砂に与える影響を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明にかかる砂濾過ユニットの実施の形態を示す斜視図である。
【
図4】
図1の砂濾過ユニットが備える第2管部材の斜視図である。
【
図5】(a)は
図4の第2管部材の側面図であり、(b)は第2管部材の(a)のB矢視図であり、(c)は第2管部材の(b)のC矢視図である。
【
図6】
図1の砂濾過ユニットによる試料水の濾過動作を示す
図3のDD線における断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら、本発明にかかる砂濾過ユニット(以下「本ユニット」という。)の実施の形態について説明する。
【0012】
●砂濾過ユニット●
●砂濾過ユニットの構成
図1は、本ユニットの実施の形態を示す斜視図である。
【0013】
本ユニット1は、残留塩素計やアルカリ度計、オンライン型イオンクロマトグラフ、アンモニア性窒素測定装置などの分析装置2(
図2参照)に供給される試料水Sを濾過する。本ユニット1は、例えば、一筒式の砂濾過装置(不図示)に備えられる。
【0014】
「試料水S」は、例えば、河川や湖沼の水、上水、工業廃水など、水質の分析が必要な水であって、分析用に採取された水である。
【0015】
以下の説明において、「下方」は、重力の方向である。「上方」は、下方の反対側の方向である。また、「中心軸線」は、筒状の部材の開口の中心を通り、筒状の部材の長手方向に沿う直線である。さらに、「角度」は、具体的な数値に限定されず、同数値に対する一般的な製造誤差や、寸法公差を含む。さらにまた、「水平方向」は、厳密な水平方向に限定されず、本ユニット1を構成する各部材の寸法・組立公差や、砂濾過装置に対する本ユニット1の傾斜、砂濾過装置の設置場所の傾斜などによる傾斜により、厳密な水平方向から数度(例えば、10°以内)程度傾いてもよい。
【0016】
図2は、本ユニット1の側面図である。
同図は、説明の便宜上、本ユニット1の一部を切り欠いて示す。同図の一点鎖線は、本ユニット1に接続される分析装置2と、バルブ3と、を示す。
【0017】
本ユニット1は、ユニット容器10と、濾過砂20と、導入部材30と、排出部材40と、第1フィルタ50と、第2フィルタ60と、導出部材70と、を有してなる。
【0018】
ユニット容器10は、濾過砂20を収容すると共に、濾過砂20により濾過される試料水Sを一時的に貯留する。ユニット容器10は、筒部材11と、リング部材12と、蓋部材13と、を備える。
【0019】
筒部材11は、濾過砂20を収容する。筒部材11は、上端と下端とに開口を有する円筒状である。筒部材11は、例えば、ポリ塩化ビニル(PVC:polyvinyl chloride)、アクリル(acrylic)、ポリプロピレン(PP:polypropylene)、ポリカーボネイト(PC:polycarbonate)などの透明な合成樹脂製である。筒部材11は、排出部材40が取り付けられる排出孔11h(
図6参照)を備える。排出孔11hは、筒部材11の上半部に配置され、筒部材11を水平方向に貫通する。
【0020】
リング部材12は、筒部材11と第1フィルタ50と第2フィルタ60とを保持する。リング部材12は、上端と下端とに開口を有するリング状である。リング部材12は、例えば、ポリ塩化ビニル、アクリル、ポリプロピレン、ポリカーボネイト、フッ素樹脂などの合成樹脂製である。リング部材12は、筒部材11の下端に取り付けられる。リング部材12は、取付孔12hを備える。取付孔12hは、リング部材12を上下方向に貫通する貫通孔である。
【0021】
図3は、本ユニット1の
図2のA矢視図である。
同図は、説明の便宜上、リング部材12(
図2参照)の図示を省略すると共に、筒部材11と導入部材30の一部を切り欠いて示す。
【0022】
蓋部材13は、筒部材11の上端の開口を覆う。蓋部材13は、例えば、ポリ塩化ビニル、アクリル、ポリプロピレン、ポリカーボネイト、フッ素樹脂などの合成樹脂製である。蓋部材13は、蓋部材13を上下方向に貫通する導入孔13hを備える。導入孔13hは、上方視において、蓋部材13の直径線上であって、蓋部材13の中心と外周縁との間に配置される。すなわち、導入孔13hは、蓋部材13の中心より外周縁側に配置される。
【0023】
図2に戻る。
濾過砂20は、試料水Sに含まれる浮遊物質(SS:Suspended Solids)を試料水Sから除去する。濾過砂20は、例えば、粒径0.5mm-2.0mmの砂を含む。
【0024】
導入部材30は、筒部材11内へ試料水Sを導入する。導入部材30は、例えば、ポリ塩化ビニル、アクリル、ポリプロピレン、ポリカーボネイト、フッ素樹脂などの合成樹脂製である。導入部材30は、第1管部材31と第2管部材32とを備える。
【0025】
第1管部材31は、試料水Sを上方から下方へと導く。第1管部材31は、上下方向に長い直管材である。
【0026】
図4は、第2管部材32の斜視図である。
図5(a)は第2管部材32の側面図であり、(b)は第2管部材32の(a)のB矢視図であり、(c)は第2管部材32の(b)のC矢視図である。
【0027】
第2管部材32は、L字状の管材である。第2管部材32は、第1導入部321と連結部322と第2導入部323とを備える。
【0028】
第1導入部321は、第1管部材31(
図2参照)の下端部に接続され、試料水S(
図2参照。以下同じ。)を上方から下方へと導く。第1導入部321は、上下方向(本実施の形態では、鉛直方向)に沿う円筒状の管部である。
【0029】
連結部322は、第1導入部321と第2導入部323とを連結する。連結部322は、内部がL字状の管部である。
【0030】
図3に示されるとおり、第2導入部323は、第1導入部321からの試料水Sを、側方(本実施の形態では、水平方向。以下同じ。)、すなわち、筒部材11の内周面へと導く。第2導入部323は、第1導入部321と直交する方向(水平方向)に沿う円筒状の管部である。第2導入部323は、開口端面323aと傾斜開口端面323bとを備える。
【0031】
開口端面323aは、筒部材11の内周面へ向けられる端面である。すなわち、
図5に示されるとおり、開口端面323aは、第2導入部323の中心軸線L323に対して垂直な端面である。開口端面323aは、半円弧状である。
【0032】
傾斜開口端面323bは、開口端面323aに連続し、斜め上方へ向けられる端面である。傾斜開口端面323bは、半楕円弧状である。具体的には、
図5(b)(c)に示されるとおり、傾斜開口端面323bは、開口端面323a側から見て、水平方向に対して反時計回りに45°傾斜した開口端面323aの直径線D1から、第1導入部321側に傾斜する端面である。すなわち、傾斜開口端面323bは、開口端面323a側から見て、水平方向に対してθ1の角度(本実施の形態では45°)で傾斜する。また、傾斜開口端面323bは、開口端面323aに対して第1導入部321側にθ2の角度(本実施の形態では50°)で傾斜する。
【0033】
図3に戻る。
排出部材40は、筒部材11内に過剰に供給された試料水Sの一部を排出する。排出部材40は、例えば、ポリ塩化ビニル、アクリル、ポリプロピレン、ポリカーボネイト、フッ素樹脂などの合成樹脂製である。排出部材40は、L字状の管材である(
図2参照)。排出部材40は、接続部41を備える。
【0034】
接続部41は、筒部材11に接続される円筒状の管部である。接続部41の具体的な配置については、後述する。
【0035】
図2に戻る。
第1フィルタ50は、濾過砂20と、濾過砂20よりも比重の大きい浮遊物質と、の導出部材70への流出を防止する。第1フィルタ50は、円板状である。第1フィルタ50は、例えば、スポット溶接された2枚の金属フィルタで構成される。
【0036】
第2フィルタ60は、濾過砂20により濾過されて、第1フィルタ50を通過した試料水Sに含まれる浮遊物質を除去する。第2フィルタ60は、例えば、多孔質の合成樹脂の焼結体である。第2フィルタ60の目の粗さは、第1フィルタ50の目の粗さよりも細かい。
【0037】
導出部材70は、第2フィルタ60を通過した試料水Sを分析装置2側へ導出する。導出部材70は、例えば、ポリ塩化ビニル、アクリル、ポリプロピレン、ポリカーボネイト、フッ素樹脂などの合成樹脂製である。導出部材70は、本体部71とフランジ部72と導出通路73とを備える。本体部71は、上端と下端とに開口を有する円筒状である。フランジ部72は、略リング状で、本体部71の上部に嵌合される。導出通路73は、本体部71とフランジ部72とを上下方向に貫通する貫通孔である。
【0038】
●砂濾過ユニットの組み立て
次に、
図2-
図5を参照しながら、本ユニット1の組み立ての例について説明する。
【0039】
先ず、ユニット容器10が組み立てられる。
図2に示されるとおり、筒部材11の下端部は、リング部材12の取付孔12hに接続される。第1フィルタ50は、取付孔12hに収容されて、例えば、ねじ(不図示)により取付孔12hに取り付けられる。第1フィルタ50は、筒部材11の下端の開口を塞ぐように配置される。
【0040】
図6に示されるとおり、排出部材40の接続部41は、筒部材11の排出孔11hに接続される。その結果、排出部材40は、筒部材11に取り付けられる。
図3に示されるとおり、上方視において、接続部41は、筒部材11から筒部材11の径方向外方へ向けて延出する。すなわち、上方視において、接続部41の中心軸線L41は、筒部材11の中心を通る。また、側方視において、接続部41の中心軸線L41は、筒部材11の中心軸線L11(
図6参照)に対して垂直である。
【0041】
次いで、
図1に示されるとおり、第2管部材32の第1導入部321は、第1管部材31の下端部に取り付けられる。その結果、
図3に示されるとおり、第2管部材32の第2導入部323は、第1管部材31に対して垂直な方向に向けて突出する。第1管部材31は、蓋部材13の導入孔13hを上下方向に貫通した状態で、導入孔13hに取り付けられる。
【0042】
次いで、
図2に示されるとおり、第2フィルタ60と導出部材70とがユニット容器10に取り付けられる。第2フィルタ60は、リング部材12の取付孔12hに収容される。導出部材70は、下方からリング部材12に取り付けられる。その結果、第2フィルタ60は、リング部材12と導出部材70との間に保持される。第2フィルタ60は、第1フィルタ50の下方に、第1フィルタ50と対向して配置される。
【0043】
次いで、濾過砂20は、筒部材11に収容されて、筒部材11の下部に充填される。すなわち、濾過砂20は、第1フィルタ50上に配置される。
【0044】
次いで、導入部材30が取り付けられた蓋部材13は、筒部材11の上端の開口に取り付けられる。このとき、
図3に示されるとおり、上方視において、接続部41の中心軸線L41に対する第2導入部323の中心軸線L323の角度は、接続部41側に鋭角(本実施の形態では45°)である。一方、側方視において、第2導入部323の中心軸線L323は、筒部材11の中心軸線L11に直交する。
【0045】
上方視において、第2導入部323の傾斜開口端面323bは、排出部材40の接続部41側へ向けられる。一方、側方視において、第2導入部323の開口端面323aは筒部材11の内周面へ向けられ、傾斜開口端面323bは斜め上方へ向けられる。
【0046】
「接続部41側」は、上方視において、筒部材11のうち、接続部41が取り付けられた部分を頂部とした半円弧状の半体部分が位置する側である。
【0047】
このように構成される本ユニット1では、
図2に示されるとおり、上下方向において、第2管部材32は濾過砂20の上方に配置され、排出部材40は第2管部材32の上方に配置される。
【0048】
本ユニット1は、砂濾過装置(不図示)に取り付けられる。第1管部材31は、試料水Sの供給元(不図示)に接続される。排出部材40は、例えば、試料水Sの排出先(不図示)に接続される。導出通路73は、例えば、分析装置2と、水道の蛇口などの洗浄水の供給元(不図示)と、に接続される。
【0049】
●砂濾過ユニットによる試料水の濾過動作
次に、
図3も参照しながら本ユニット1による試料水Sの濾過動作について説明する。
【0050】
図6は、本ユニット1による試料水Sの濾過動作を示す
図3のDD線における断面図である。同図は、試料水Sの流動を矢印で示す。
【0051】
先ず、試料水Sが、第1管部材31に導入される。第1管部材31において、試料水Sは、上方から下方へ導かれ、第2管部材32へ導入される。第2管部材32において、試料水Sは、第1導入部321により上方から下方へ導かれ、連結部322を介して、第2導入部323へ導入される。すなわち、第1導入部321からの試料水Sは、第2導入部323により水平方向へ導かれる。
【0052】
前述のとおり、上方視において、接続部41の中心軸線L41に対する第2導入部323の中心軸線L323の角度は、接続部41側に45°である。一方、側方視において、第2導入部323の開口端面323aは筒部材11の内周面へ向けられ、傾斜開口端面323bは斜め上方へ向けられる。そのため、開口端面323aからの試料水Sは、開口端面323aから筒部材11の内周面(水平方向)へ向けて、筒部材11内に導入される。また、傾斜開口端面323bからの試料水Sは、傾斜開口端面323bから斜め上方(水平方向よりも斜め上方)へ向けて、筒部材11内に導入される。その結果、開口端面323aと傾斜開口端面323bそれぞれ(第2導入部323)からの試料水Sは、直接的に濾過砂20の中央上部に衝突することなく、筒部材11の内周面に向けて導入される。第2導入部323からの試料水Sは、筒部材11の内周面に案内されて、上方視において、時計回り方向に流動する。したがって、本ユニット1において、濾過砂20の中央上部は、第2導入部323からの試料水Sの衝突や試料水Sの流動により逆円錐状に抉られない。
【0053】
ここで、試料水Sを水平方向のみに向けて導入する場合(傾斜開口端面323bが無い場合)、導入された試料水Sは、筒部材11の内周面に衝突後、同内周面に沿って旋回しながら上昇する上昇旋回流W1と、同内周面に沿って旋回しながら下降する下降旋回流W2と、を生じさせる。この構成によれば、重力の影響により、下降旋回流W2が、筒部材11内の試料水Sの流動において支配的となる。そのため、濾過砂20の外縁上部は、筒部材11の内周面に沿う下降旋回流W2により、同内周面に沿って抉られる。抉られた濾過砂20は、筒部材11内に舞い上がり、排出部材40から排出され得る。その結果、濾過砂20の外縁上部が減少し、濾過砂20全体での均一な濾過が阻害され、濾過砂20の外縁部における試料水Sの濾過の性能が低下し得る。
【0054】
一方、本ユニット1の構成によれば、第2導入部323からの試料水Sの一部は、下降旋回流W2を生じさせるが、同試料水Sの大半は、上昇旋回流W1を生じさせる。すなわち、本ユニット1では、傾斜開口端面323bの存在により、上昇旋回流W1が、筒部材11内の試料水Sの流動において(極端に)支配的となる。つまり、本ユニット1において、濾過砂20の外縁上部を抉るほどの流量を有する下降旋回流W2は、生じない。したがって、本ユニット1では、濾過砂20の外縁上部は、試料水Sにより抉られない。
【0055】
また、上昇旋回流W1が支配的となることで、筒部材11内に導入された試料水Sの多くは、排出孔11hが配置される上方へ旋回しながら流動する。そのため、試料水Sに含まれる浮遊物質は、上昇旋回流W1の遠心力により筒部材11の内周面側に移動しつつ排出孔11h側へ流動することになる。その結果、試料水Sに含まれる浮遊物質の一部は、排出孔11hにおいてオーバーフローする試料水Sと共に、排出部材40へ排出される。
【0056】
さらに、前述のとおり、傾斜開口端面323bは、接続部41に向いて配置される。そのため、傾斜開口端面323bからの試料水Sは、接続部41(排出孔11h)へ向かい易い。すなわち、試料水Sに含まれる浮遊物質は、接続部41(排出孔11h)から排出され易くなる。
【0057】
さらにまた、傾斜開口端面323bの開口端面323aに対する角度は、45°よりも大きい50°である。その結果、開口端面323aから水平方向へ向かう水量が抑えられ、傾斜開口端面323bから水平方向よりも斜め上方へ向かう水量が増加する。したがって、同角度が45°の場合よりも、上昇旋回流W1は、生じ易くなる。
【0058】
次いで、濾過砂20により濾過された試料水S(濾過水S1)は、第1フィルタ50を通過する。このとき、比較的大きく、比重が濾過砂20よりも重い浮遊物質は、第1フィルタ50により捕集される。第1フィルタ50を通過した濾過水S1は、第2フィルタ60を通過する。このとき、濾過砂20と第1フィルタ50それぞれに捕集されなかった小さい浮遊物質は、第2フィルタ60により捕集される。第2フィルタ60を通過した濾過水S1は、導出通路73を介して、分析装置2(
図2参照)へ導出される。その結果、本ユニット1は、第2フィルタを備えない従来の砂濾過ユニットと比較して、浮遊物質の少ない試料水S(濾過水S1)を分析装置2へ供給できる。
【0059】
●まとめ
以上説明した実施の形態によれば、導入部材30は、上方から下方へ向けて試料水Sを導く第1導入部321と、第1導入部321からの試料水Sを筒部材11の内周面(水平方向)へ導く第2導入部323と、を備える。この構成によれば、第2導入部323からの試料水Sは、水平方向へ向けて、筒部材11内に導入される。その結果、開口端面323aと傾斜開口端面323bそれぞれ(第2導入部323)からの試料水Sは、直接的に濾過砂20の中央上部に衝突することなく、水平方向(筒部材11の内周面)へ向けて導入される。したがって、本ユニット1において、濾過砂20の中央上部は、第2導入部323からの試料水Sの衝突により抉られない。
【0060】
また、以上説明した実施の形態によれば、第2導入部323は、第2導入部323の中心軸線L323に対して垂直な開口端面323aと、開口端面323aと連続し、開口端面323a側から見て水平方向に対して斜め上方へ向けられる傾斜開口端面323bと、を備える。この構成によれば、開口端面323aからの試料水Sは、開口端面323aから水平方向へ向けて、筒部材11内に導入される。また、傾斜開口端面323bからの試料水Sは、傾斜開口端面323bから水平方向よりも斜め上方へ向けて、筒部材11内に導入される。その結果、開口端面323aと傾斜開口端面323bそれぞれ(第2導入部323)からの試料水Sの大半は、上昇旋回流W1を生じさせる。すなわち、本ユニット1では、傾斜開口端面323bの存在により、上昇旋回流W1が、筒部材11内の試料水Sの流動において支配的となる。つまり、本ユニット1において、濾過砂20の外縁上部を抉るほどの流量を有する下降旋回流W2は、生じない。したがって、本ユニット1では、濾過砂20の外縁上部は、試料水Sにより抉られない。
【0061】
さらに、上昇旋回流W1が支配的となることで、試料水Sに含まれる浮遊物質は、上昇旋回流W1の遠心力により筒部材11の内周面側に移動しつつ排出孔11h側へ流動することになる。その結果、試料水Sに含まれる浮遊物質の一部は、排出孔11hにおいてオーバーフローする試料水Sと共に、排出部材40へ排出される。
【0062】
このように、本ユニット1は、濾過砂の上方から濾過砂に向けて試料水を導入する従来の砂濾過ユニットと比較して、導入された試料水Sが濾過砂20に与える影響(濾過砂20の抉れ、舞い上がり、排出など)を抑制すると共に、試料水Sに含まれる浮遊物質を効率的に除去できる。
【0063】
さらにまた、以上説明した実施の形態によれば、上方視において、接続部41の中心軸線L41に対する第2導入部323の中心軸線L323の角度は、接続部41側に鋭角(本実施の形態では、45°)である。この構成によれば、第2導入部323からの試料水Sは、筒部材11の内周面に案内されて、接続部41に向かう上昇旋回流W1を生じさせる。その結果、傾斜開口端面323bからの試料水Sは、接続部41(排出孔11h)へ向かい易くなる。すなわち、試料水Sに含まれる浮遊物質は、接続部41から排出され易くなる。
【0064】
さらにまた、以上説明した実施の形態によれば、上方視において、傾斜開口端面323bは、接続部41側へ向けられる。この構成によれば、傾斜開口端面323bからの試料水Sは、接続部41へ向かい易くなる。すなわち、試料水Sに含まれる浮遊物質は、接続部41から排出され易くなる。
【0065】
なお、以上説明した実施の形態では、第2導入部323は、第1導入部321と連結部322と一体に構成されていた。これに代えて、本発明における第2導入部は、第1導入部と連結部それぞれと別体で構成されてもよい。すなわち、例えば、第2導入部は、連結部に嵌入されて、第1導入部に対して、第2導入部の周方向に回転可能となるように、連結部に取り付けられてもよい。この構成によれば、傾斜開口端面の向きは、本ユニットの使用者などにより、容易に変更できる。
【0066】
また、以上説明した実施の形態では、第2導入部323は、第1導入部321からの試料水Sを水平方向に導いていた。これに代えて、本発明における第2導入部は、第1導入部からの試料水を水平方向よりも斜め上方に導いてもよい。すなわち、例えば、第2導入部の中心軸線は、開口端面が斜め上方を向くように、水平方向に対して傾斜してもよい。この構成によれば、第2導入部からの試料水は、容易に上昇旋回流を生じさせる。したがって、導入された試料水が濾過砂に与える影響はさらに抑制され、試料水に含まれる浮遊物質はさらに除去される。
【0067】
さらに、以上説明した実施の形態では、筒部材11の内周面に案内された試料水Sは、上方視において、時計回り方向に流動していた。これに代えて、試料水は、上方視において、反時計回り方向に流動してもよい。
【0068】
さらにまた、上方視において、本発明における接続部の中心軸線は、筒部材の中心を通らなくてもよい。すなわち、例えば、上方視において、接続部は、接続部の中心軸線が筒部材の接線方向に向けて傾斜するように、筒部材に取り付けられてもよい。この構成によれば、接続部の傾斜方向を試料水の旋回方向に合わせることで、試料水に含まれる浮遊物質は、より効率的に排出部材から除去される。
【0069】
さらにまた、本発明における第2導入部は、下降旋回流による濾過砂が抉れない程度に、水平方向に対して斜め下方に傾斜してもよい。
【0070】
さらにまた、本発明における傾斜開口端面の水平方向に対する角度は、下降旋回流による濾過砂が抉れ難い角度(上昇旋回流が生じ易い角度)であればよく、45°に限定されない。また、本発明における傾斜開口端面の開口端面に対する角度は、下降旋回流による濾過砂が抉れ難い角度(上昇旋回流が生じ易い角度)であればよく、50°に限定されない。
【0071】
さらにまた、本発明における第1管部材は、蓋部材に対して、第1管部材の周方向に回転可能となるように、蓋部材に取り付けられてもよい。この構成によれば、上方視において、接続部の中心軸線に対する第2導入部の中心軸線の角度は、容易に変更できる。
【0072】
さらにまた、本発明における第1導入部は、第1管部材に対して、第1管部材の周方向に回転可能となるように、第1管部材に取り付けられてもよい。この構成によれば、上方視において、接続部の中心軸線に対する第2導入部の中心軸線の角度は、容易に変更できる。
【0073】
さらにまた、本発明における筒部材は、下端部において内周面が下方へ向うに連れて縮径するテーパ面を備えてもよい。
【0074】
さらにまた、本発明における筒部材は、円筒状に限定されない。すなわち、例えば、本発明における筒部材は、試料水が旋回流を形成する形状であればよく、矩形筒状や多角形筒状でもよい。
【0075】
さらにまた、以上説明した実施の形態では、本ユニット1は、濾過砂20を備えていた。これに代えて、本ユニットは、使用時に濾過砂を備えていればよく、搬送時や売買時において、濾過砂を備えなくてもよい。すなわち、本ユニットは、濾過砂と別に取り扱われてもよい。
【符号の説明】
【0076】
1 砂濾過ユニット
10 ユニット容器
11 筒部材
20 濾過砂
30 導入部材
321 第1導入部
323 第2導入部
323a 開口端面
323b 傾斜開口端面
L323 中心軸線
40 排出部材
41 接続部
L41 中心軸線
S 試料水