(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-12
(45)【発行日】2024-03-21
(54)【発明の名称】空調システム、空調システムの制御方法、及び空気調和装置
(51)【国際特許分類】
F24F 11/47 20180101AFI20240313BHJP
F24F 11/65 20180101ALI20240313BHJP
F24F 110/12 20180101ALN20240313BHJP
【FI】
F24F11/47
F24F11/65
F24F110:12
(21)【出願番号】P 2021149385
(22)【出願日】2021-09-14
【審査請求日】2023-01-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000280
【氏名又は名称】弁理士法人サンクレスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】福山 雄太
(72)【発明者】
【氏名】中西 喬也
(72)【発明者】
【氏名】直井 健浩
【審査官】奥隅 隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-174364(JP,A)
【文献】特開2018-173264(JP,A)
【文献】特開平05-180501(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 11/00-11/89
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷媒との熱交換により生成された調和空気を空調対象空間(S1)へ供給する室内機(120)と、
前記室内機(120)へ前記冷媒を供給するための圧縮機(111)と、
前記空調対象空間(S1)へ外気(OA)を導入する外気導入装置(200)と、
前記室内機(120)が発揮している冷房能力
が、前記外気(OA)の温度(T
OA
)と前記室内機(120)に設定された目標温度(T
S
)との差に基づいて決定される閾値(Th1)より小さい場合に、前記圧縮機(111)が停止し、前記外気導入装置(200)が前記空調対象空間(S1)へ外気(OA)を導入する外気冷房運転を実行す
る制御部(300)と、
を備える、
空調システム(10)。
【請求項2】
前記制御部(300)は、前記外気(OA)の温度(T
OA)と前記目標温度(T
S)との差が大きいほど、前記閾値(Th1)を大きくする、
請求項
1に記載の空調システム(10)。
【請求項3】
冷媒との熱交換により生成された調和空気を空調対象空間(S1)へ供給する室内機(120)と、
前記室内機(120)へ前記冷媒を供給するための圧縮機(111)と、
前記空調対象空間(S1)へ外気(OA)を導入する外気導入装置(200)と、
前記外気(OA)の温度(T
OA
)と前記室内機(120)に設定された目標温度(T
S
)との差が、前記室内機(120)が発揮している冷房能力に基づいて決定される閾値(Th2)より大きい場合に、前記圧縮機(111)が停止し、前記外気導入装置(200)が前記空調対象空間(S1)へ外気(OA)を導入する外気冷房運転を実行する制御部(300)と、
を備える、
空調システム(10)。
【請求項4】
前記制御部(300)は、前記室内機(120)が発揮している冷房能力が大きいほど、前記閾値(Th2)を大きくする、
請求項
3に記載の空調システム(10)。
【請求項5】
空調対象空間(S1)における空気を調和させる空調システム(10)の制御方法であって、
外気(OA)の温度(T
OA)を取得するステップと、
冷媒との熱交換により生成された調和空気を前記空調対象空間(S1)へ供給する室内機(120)に設定された目標温度(T
S)を取得するステップと、
前記室内機(120)が発揮している冷房能力
が、前記外気(OA)の温度(T
OA
)と前記室内機(120)に設定された目標温度(T
S
)との差に基づいて決定される閾値(Th1)より小さい場合に、前記室内機(120)へ前記冷媒を供給するための圧縮機(111)が停止し、外気導入装置(200)が前記空調対象空間(S1)へ外気(OA)を導入する外気冷房運転を実行す
るステップと、
を含む、
空調システム(10)の制御方法。
【請求項6】
空調対象空間(S1)における空気を調和させる空調システム(10)の制御方法であって、
外気(OA)の温度(T
OA
)を取得するステップと、
冷媒との熱交換により生成された調和空気を前記空調対象空間(S1)へ供給する室内機(120)に設定された目標温度(T
S
)を取得するステップと、
前記外気(OA)の温度(T
OA
)と前記室内機(120)に設定された目標温度(T
S
)との差が、前記室内機(120)が発揮している冷房能力に基づいて決定される閾値(Th2)より大きい場合に、前記室内機(120)へ前記冷媒を供給するための圧縮機(111)が停止し、外気導入装置(200)が前記空調対象空間(S1)へ外気(OA)を導入する外気冷房運転を実行するステップと、
を含む、
空調システム(10)の制御方法。
【請求項7】
空調対象空間(S1)における空気を調和させる空気調和装置(100)であって、
冷媒との熱交換により生成された調和空気を前記空調対象空間(S1)へ供給する室内機(120)へ前記冷媒を供給するための圧縮機(111)と、
前記室内機(120)が発揮している冷房能力
が、外気(OA)の温度(T
OA
)と前記室内機(120)に設定された目標温度(T
S
)との差に基づいて決定される閾値(Th1)より小さい場合に、前記圧縮機(111)が停止し、外気導入装置(200)が前記空調対象空間(S1)へ外気(OA)を導入する外気冷房運転を実行す
る制御部(300)と、
を備える、
空気調和装置。
【請求項8】
空調対象空間(S1)における空気を調和させる空気調和装置(100)であって、
冷媒との熱交換により生成された調和空気を前記空調対象空間(S1)へ供給する室内機(120)へ前記冷媒を供給するための圧縮機(111)と、
外気(OA)の温度(T
OA
)と前記室内機(120)に設定された目標温度(T
S
)との差が、前記室内機(120)が発揮している冷房能力に基づいて決定される閾値(Th2)より大きい場合に、前記圧縮機(111)が停止し、外気導入装置(200)が前記空調対象空間(S1)へ外気(OA)を導入する外気冷房運転を実行する制御部(300)と、
を備える、
空気調和装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、空調システム、空調システムの制御方法、及び空気調和装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、外気温度があらかじめ制御装置へ入力された温度以下になると室外圧縮機が停止し、自動的に室内送風運転のみとなり、冷たい外気を室内へ取り入れ外気冷房運転を行う空気調和装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
空調の対象となる室内における発熱量が大きく空調負荷が高い場合、外気温度が低くても外気冷房の効果を十分に得ることができない可能性がある。しかしながら、特許文献1に開示された装置は、外気温度のみによって外気冷房運転を実行するか否かを決定しているため、効果的な外気冷房を行えているとは限らない。
【0005】
本開示は、外気冷房を効果的に行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本開示の空調システムは、
冷媒との熱交換により生成された調和空気を空調対象空間へ供給する室内機と、
前記室内機へ前記冷媒を供給するための圧縮機と、
前記空調対象空間へ外気を導入する外気導入装置と、
前記外気の温度と前記室内機に設定された目標温度との差、及び前記室内機が発揮している冷房能力に基づいて、前記圧縮機が停止し、前記外気導入装置が前記空調対象空間へ外気を導入する外気冷房運転を実行するか否かを判定する制御部と、
を備える。
【0007】
室内機は空調対象空間の空調負荷に応じた能力で運転する。したがって、上記構成とすることで、空調対象空間の空調負荷に応じて、外気冷房運転を効果的に実行することができる。
【0008】
(2)好ましくは、前記制御部は、前記室内機が発揮している冷房能力を閾値と比較することにより、前記外気冷房運転を実行するか否かを判定し、
前記閾値は、前記外気の温度と前記目標温度との差に基づいて決定される。
外気温度と室内機の目標温度との差によって、外気冷房による冷房能力は変化する。上記構成により、外気温度と室内機の目標温度との差に応じて、外気冷房運転の実行可否の判定基準となる冷房能力の閾値を適切に決定することができる。
【0009】
(3)好ましくは、前記制御部は、前記外気の温度と前記目標温度との差が大きいほど、前記閾値を大きくする。
このような構成によって、冷房能力の閾値をより一層適切に決定することができる。
【0010】
(4)好ましくは、前記制御部は、前記外気の温度と前記目標温度との差を閾値と比較することにより、前記外気冷房運転を実行するか否かを判定し、
前記閾値は、前記室内機が発揮している冷房能力に基づいて決定される。
このような構成によって、室内機の冷房能力に応じて、外気冷房運転の実行可否の判定基準となる、外気温度と室内機の目標温度との差の閾値を適切に決定することができる。
【0011】
(5)好ましくは、前記制御部は、前記室内機が発揮している冷房能力が大きいほど、前記閾値を大きくする。
このような構成によって、外気温度と目標温度との差の閾値をより一層適切に決定することができる。
【0012】
(6)好ましくは、前記制御部は、前記室内機が発揮している冷房能力が0である場合に、外気冷房運転を実行するか否かを判定する。
室内機が発揮している冷房能力が0である(つまり、室内機が冷房能力を発揮していない)場合は、空調対象空間の空調負荷が十分に低いことが想定される。したがって、上記構成とすることにより、外気冷房運転を効果的に実行することができる。
【0013】
(7)本開示の空調システムの制御方法は、空調対象空間における空気を調和させる空調システムの制御方法であって、
外気の温度を取得するステップと、
冷媒との熱交換により生成された調和空気を前記空調対象空間へ供給する室内機に設定された目標温度を取得するステップと、
前記外気の温度と前記目標温度との差、及び前記室内機が発揮している冷房能力に基づいて、前記室内機へ前記冷媒を供給するための圧縮機が停止し、外気導入装置が前記空調対象空間へ外気を導入する外気冷房運転を実行するか否かを判定するステップと、
を含む。
【0014】
室内機は空調対象空間の空調負荷に応じた能力で運転する。したがって、上記のようにすることで、空調対象空間の空調負荷に応じて、外気冷房運転を効果的に実行することができる。
【0015】
(8)本開示の空気調和装置は、空調対象空間における空気を調和させる空気調和装置であって、
冷媒との熱交換により生成された調和空気を空調対象空間へ供給する室内機へ前記冷媒を供給するための圧縮機と、
前記外気の温度と前記室内機に設定された目標温度との差、及び前記室内機が発揮している冷房能力に基づいて、前記圧縮機が停止し、外気導入装置が前記空調対象空間へ外気を導入する外気冷房運転を実行するか否かを判定する制御部と、
を備える。
【0016】
室内機は空調対象空間の空調負荷に応じた能力で運転する。したがって、上記構成とすることで、空調対象空間の空調負荷に応じて、外気冷房運転を効果的に実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】第1実施形態に係る空調システムの全体構成の一例を示す図である。
【
図2】空調システムの冷媒回路の一例を示す図である。
【
図3】第1実施形態に係る空調システムの制御ブロック図である。
【
図4】第1実施形態に係る外気処理装置の構成の一例を示す図である。
【
図5】第1実施形態に係る外気処理装置の熱交換部の構成の一例を示す斜視図である。
【
図6】第1実施形態に係る室外機の制御部の構成の一例を示すブロック図である。
【
図7】第1実施形態に係る室外機の制御部による冷房運転における制御処理の一例を示すフローチャートである。
【
図8】外気冷房停止判定処理の一例を示すフローチャートである。
【
図9】第2実施形態に係る室外機の制御部による冷房運転における制御処理の一例を示すフローチャートである。
【
図10】第3実施形態に係る室外機の制御部による冷房運転における制御処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付図面を参照しつつ、空気調和装置の実施形態を詳細に説明する。
【0019】
[1.第1実施形態]
[1-1.空気調和装置の構成]
図1は、本開示の第1実施形態に係る空調システムの全体構成の一例を示す図である。
図1に示す空調システム10は、ビル、工場等に設置されて空調対象空間の空気調和を実現する。空調システム10は、空気調和機100と、外気処理装置200とを含む。空気調和機100は、蒸気圧縮式の冷凍サイクル運転を行うことで空調対象空間を冷暖房する。空気調和機100で使用する冷媒は、例えばR32である。
【0020】
空調システム10は、建物の内部に形成された室内空間S1を空調対象空間としている。本開示における室外空間S2は屋外空間である。
【0021】
空気調和機100は、熱源側ユニットとしての室外機110と利用側ユニットとしての室内機120とを含む。本実施形態において、空気調和機100は、1台の室外機110に対して複数台の室内機120が接続されている。空気調和機100は、空気調和装置の一例である。複数の室内機120は、同一の室内空間S1に配置されている。
【0022】
空気調和機100は、外気処理装置200に接続されている。外気処理装置200は、外気導入装置の一例であり、室内機120が設置された室内空間S1へ外気を導入する。本実施形態における外気処理装置200は、室外空間S2から導入された空気を熱交換により温度調整し、室内空間S1に供給することができる。外気処理装置200は、建物の内部における室内空間S1の外部に設置されている。外気処理装置200は、室内空間S1と室外空間S2とを繋ぐダクトに接続される。
【0023】
[1-2.冷媒回路の構成]
図2は、空調システム10の冷媒回路の一例を示す図である。
図2に示すように、空調システム10は、冷媒回路20を含む。冷媒回路20は、冷媒が充填された閉回路であり、圧縮機111、四方切換弁112、室外熱交換器113、膨張弁114、122、220、室内熱交換器121、及び外気処理装置200の熱交換器210が設けられている。
【0024】
室外機110と室内機120とは、2本の冷媒配管であるガス管GP及び液管LPによって接続されている。ガス管GP内にはガス冷媒が流れる。液管LP内には液冷媒が流れる。
【0025】
室外機110は、例えば建物の屋上、ベランダ等の屋外、又は地下等の室外空間S2に設置される。室外機110内には、圧縮機111、四方切換弁112、室外熱交換器113、膨張弁114が配設され、これらの機器が冷媒配管を介して接続される。
【0026】
圧縮機111は、圧縮機用モータを内蔵する密閉式の構造を有しており、例えばスクロール方式、ロータリ方式などの容積式の圧縮機である。圧縮機111は、吸入した低圧冷媒を圧縮した後吐出する。圧縮機111の回転数を制御することで、冷媒回路内の冷媒の蒸発温度を変化させることが可能である。
【0027】
室外熱交換器113は、例えば、クロスフィン型又はマイクロチャネル型の熱交換器である。室外熱交換器113の近傍には、室外ファン115が配置されている。室外熱交換器113に流入した冷媒は、室外ファン115が生成する空気流と熱交換する。室外ファン115は、例えばプロペラファンであり、室外ファン用モータ(図示省略)により駆動される。室外ファン115は、室外機110内に流入し室外熱交換器113を通過して室外機110外へ流出する空気流を生成する。
【0028】
膨張弁114は、開度調整が可能な電動弁である。膨張弁114は、内部を通過する冷媒をその開度に応じて減圧する。膨張弁114の一端は、室外熱交換器113まで延びる冷媒配管に接続されている。膨張弁114の他端は、液管LPに接続されている。
【0029】
四方切換弁112は、第1~第4のポートを有している。四方切換弁112は、第1のポートが第3のポートと連通し且つ第2のポートが第4のポートと連通する第1状態(
図2に実線で示す状態)と、第1のポートが第4のポートと連通し且つ第2のポートが第3のポートと連通する第2状態(
図1に破線で示す状態)とに切り換えることができる。
【0030】
室外機110の内部には、制御部300が配置されている。
図3は、本実施形態に係る空調システムの制御ブロック図である。制御部300は、圧縮機111、四方切換弁112、室外熱交換器113、膨張弁114、及び室外ファン115を制御する。
【0031】
図2に戻り、室内機120は、天井埋込み型、天井吊下げ型、床置き型、又は壁掛け型の室内ユニットである。室内機120内には、室内熱交換器121及び膨張弁122が配設され、これらの機器が冷媒配管を介して接続される。
【0032】
室内機120には、室内ファン123及び膨張弁122が配置されている。膨張弁122は、開度調整が可能な電動弁である。膨張弁122の一端は、液管LPに繋がる冷媒配管に接続されている。膨張弁122の他端は、室内熱交換器121まで延びる冷媒配管に接続されている。膨張弁122は、内部を通過する冷媒をその開度に応じて減圧する。
【0033】
室内熱交換器121は、例えば、クロスフィン型又はマイクロチャネル型の熱交換器である。室内熱交換器121の液側端は、膨張弁122から延びる冷媒配管に接続されている。室内熱交換器121のガス側端は、ガス管GPに繋がる冷媒配管に接続されている。室内熱交換器121の近傍には、室内ファン123が配置されている。室内熱交換器121に流入した冷媒は、室内ファン123が生成する空気流と熱交換し、室内熱交換器121から排出される。室内熱交換器121は、第1熱交換器の一例である。
【0034】
室内ファン123は、例えばクロスフローファン又はシロッコファンである。室内ファン123は、室内ファン用モータ(図示省略)によって駆動される。室内ファン123は、室内空間S1から室内機120内部に流入し、室内熱交換器121を通過してから室内空間S1へ流出する空気流を生成する。
【0035】
図3を参照し、各室内機120の内部には、制御部310が配置されている。制御部310は、膨張弁122及び室内ファン123を制御する。制御部310には、室外機110の制御部300、外気処理装置200の制御部320、及び図示しないリモートコントローラが接続される。制御部310は、リモートコントローラに入力された目標温度等の運転条件に基づいて室内ファン123及び膨張弁122を駆動させる。
【0036】
室内機120の内部には、さらに温度センサ124が配置されている。温度センサ124は、室内機120が配置された室内空間S1の空気の温度を検出する。温度センサ124は制御部310に接続されており、温度センサ124の検出値は制御部310に出力される。
【0037】
図2に戻り、液管LPの途中からは冷媒管21が分岐し、冷媒管21は外気処理装置200へ延びている。ガス管GPの途中からは冷媒管22が分岐し、冷媒管22は外気処理装置200へ延びている。
【0038】
外気処理装置200は、室内空間S1に冷却・加熱処理した空気(外気)を供給することができる装置であり、外気処理ユニットとも称される。例えば、外気処理装置200は、室内空間S1の天井裏の空間に配置されており、ダクトを通じて室内空間S1及び室外空間S2とつながっている。なお、外気処理装置200は、天井吊下げ型、天井埋込み型、床置き型、又は壁掛け型であってもよく、天井裏以外の場所に配置してもよい。
図2に示すように、外気処理装置200は、外気処理部200A及び排気処理部200Bを有している。外気処理部200Aは、熱交換器210及び給気ファン242を有している。排気処理部200Bは、排気ファン243を有している。
【0039】
外気処理装置200は、膨張弁220を含む。膨張弁220は、開度調整が可能な電動弁である。膨張弁220の一端は、冷媒管21に接続されている。膨張弁220の他端は、熱交換器210まで延びる冷媒配管に接続されている。膨張弁220は、内部を通過する冷媒をその開度に応じて減圧する。
【0040】
熱交換器210は、例えば、クロスフィン型又はマイクロチャネル型の熱交換器である。熱交換器210の液側端は、膨張弁220まで延びる冷媒配管に接続されている。熱交換器210のガス側端は、冷媒管22に接続されている。熱交換器210は、第2熱交換器の一例である。
【0041】
図3を参照し、外気処理装置200の内部には、制御部320が配置されている。制御部320は、膨張弁220、給気ファン242及び排気ファン243を制御する。制御部320には、室外機110の制御部300及び室内機120の制御部310が接続される。
【0042】
外気処理装置200の内部には、さらに温度センサ230が配置されている。温度センサ230は、外気の温度を検出する。温度センサ230は制御部320に接続されており、温度センサ230の検出値は制御部320に出力される。
【0043】
図2に戻り、空調システム10が冷房運転を行う場合、四方切換弁112が第1状態にセットされ、第1のポートが第3のポートと連通し且つ第2のポートが第4のポートと連通する。圧縮機111は冷媒を圧縮し、高圧のガス冷媒を吐出する。圧縮機111から吐出された高圧のガス冷媒は、四方切換弁112を通じて室外熱交換器113に流入し、凝縮する。
【0044】
室外熱交換器113において凝縮した冷媒は、膨張弁114において減圧され、液管LPに流入する。液管LPを流れる冷媒は室内機120の膨張弁122に流入し、さらに減圧される。減圧された冷媒は、室内熱交換器121を通過する際に蒸発する。ガス冷媒が室内熱交換器121からガス管GPに流入する。
【0045】
液管LPを流れる液冷媒の一部は冷媒管21に流入する。冷媒管21に流入した冷媒は、外気処理装置200の膨張弁220に流入し、さらに減圧される。減圧された冷媒は、熱交換器210を通過する際に蒸発する。ガス冷媒が熱交換器210から冷媒管22に流入する。冷媒管22を流れる冷媒はガス管GPに流入する。
【0046】
ガス管GPを流れるガス冷媒は室外機110の四方切換弁112を経て圧縮機111に吸入される。
【0047】
空調システム10が暖房運転を行う場合、四方切換弁112が第2状態にセットされ、第1のポートが第4のポートと連通し且つ第2のポートが第3のポートと連通する。圧縮機111は冷媒を圧縮し、高圧のガス冷媒を吐出する。圧縮機111から吐出された高圧のガス冷媒は、四方切換弁112を通じてガス管GPに流入する。
【0048】
ガス管GPに流入した冷媒は、室内機120の室内熱交換器121に流入して凝縮する。凝縮した冷媒は、液管LPに流入する。
【0049】
ガス管GPを流れる冷媒の一部は冷媒管22に流入する。冷媒管22に流入した冷媒は、外気処理装置200の熱交換器210に流入して凝縮する。凝縮した冷媒は、冷媒管21に流入する。冷媒管21を流れる冷媒は液管LPに流入する。
【0050】
液管LPを流れる冷媒は、室外熱交換器113を通過する際に蒸発し、四方切換弁112を経て、圧縮機111に吸入される。
【0051】
[1-3.外気処理装置の構成]
図4は、第1実施形態に係る外気処理装置の構成の一例を示す図である。外気処理装置200において、外気処理部200Aは外気取入口253及び給気吹出口254を含み、排気処理部200Bは還気取入口251及び排気吹出口252を含む。
【0052】
図4に示すように、還気取入口251は、室内空間S1(
図1参照)からの空気(還気RA)をケーシング250内に取り入れるために用いられる。還気取入口251は、図示しないダクト等を介して室内空間S1に繋がっている。排気吹出口252は、ケーシング250内に取り入れられた還気RAを、排気EAとして室外空間S2(
図1参照)に排出するために用いられる。排気吹出口252は、図示しないダクト等を介して室外空間S2に繋がっている。外気取入口253は、室外空間S2からの空気(外気OA)をケーシング250内に取り入れるために用いられる。外気取入口253は、図示しないダクト等を介して室外空間S2に繋がっている。給気吹出口254は、ケーシング250内に取り入れられた外気OAを、給気SAとして室内空間S1に供給するために用いられる。給気吹出口254は、図示しないダクト等を介して室内空間S1に繋がっている。
【0053】
外気処理装置200は、熱交換部241を含む。
図5は、熱交換部の構成の一例を示す斜視図である。
図5に示すように、本実施形態における熱交換部241は、第1の空気流A1と、第2の空気流A2とがほぼ直交するように構成された直交型の全熱交換器である。この熱交換部241は、仕切板241aと、隔壁板241bとを有している。仕切板241aと隔壁板241bとは適宜の接着剤により交互に積層されている。熱交換部241は、全体としてほぼ四角柱形状に形成されている。
【0054】
仕切板241aは、伝熱性及び透湿性を有し、平板状に形成されている。隔壁板241bは、ほぼ三角形状の断面が連続して形成された波板状に形成されている。隔壁板241bは、隣り合う2枚の仕切板241aの間に空気の通路を形成する。隔壁板241bは、仕切板241aと隔壁板241bとの積層方向(
図5における上下方向)で1枚ごとに90度角度を変えて積層されている。これにより、1枚の仕切板241aを挟んでその両側に、第1の空気流A1を通すための給気側通路241dと第2の空気流A2を通すための排気側通路241cとが互いに直交して形成される。排気側通路241cを流れる空気と、給気側通路241dを流れる空気とは、伝熱性及び透湿性を有する仕切板241aを介して顕熱及び潜熱の交換(全熱交換)が行われるようになっている。なお、本実施形態では、熱交換部241を備えた外気処理装置200を例示したが、本開示の空調システムにおける外気導入装置では、熱交換部(全熱交換器)は省略してもよい。
【0055】
図4に示すように、外気処理装置200は、ケーシング250を有している。ケーシング250の内部は、熱交換部241によって室内空間S1側と室外空間S2側との2つの領域に区画されている。ケーシング250内には、熱交換部241よりも第1の空気流A1の上流側に上流側給気通路255aが形成され、熱交換部241よりも第1の空気流A1の下流側に下流側給気通路255bが形成されている。上流側給気通路255aと下流側給気通路255bとによって、室内空間S1と室外空間S2とを熱交換部241を経由して連通させる給気通路が構成されている。
【0056】
ケーシング250内には、熱交換部241よりも第2の空気流A2の上流側に上流側排気通路256aが形成され、熱交換部241よりも第2の空気流A2の下流側に下流側排気通路256bが形成されている。上流側排気通路256aと下流側排気通路256bとによって、室内空間S1と室外空間S2とを熱交換部241を経由して連通させる排気通路が構成される。
【0057】
下流側給気通路255bと上流側排気通路256aとの間には、区画壁257が設けられている。上流側給気通路255aと下流側排気通路256bとの間には、区画壁258が設けられている。
【0058】
下流側給気通路255bにおいて、給気吹出口254の近傍には給気ファン242及び熱交換器210が配置されている。この給気ファン242が運転されることによって第1の空気流A1が生成され、室外空間S2の外気OAが給気通路を通り、熱交換器210によって熱交換されるとともに、給気SAとして室内空間S1に供給される。熱交換器210は、冷媒回路20によって供給される冷媒と、給気通路を通る空気(外気OA)の間で熱交換する。
【0059】
上流側給気通路255aには、温度センサ230が配置されている。温度センサ230は、上流側給気通路255aに流入する外気OAの温度を検出する。熱交換部241の上流側の上流側給気通路255aに温度センサ230が配置されているため、温度センサ230によって外気処理装置200内で変化する前の外気の温度(室外空間S2の温度)を検出することができる。
【0060】
下流側排気通路256bにおいて、排気吹出口252の近傍には排気ファン243が配置されている。この排気ファン243が運転されることによって第2の空気流A2が生成され、室内空間S1からの還気RAが排気通路を通り、排気EAとして室外空間S2に排出される。
【0061】
[1-4.室外機の制御部の構成]
図6は、第1実施形態に係る室外機の制御部の構成の一例を示すブロック図である。室外機110の制御部300は、上記の室外機110の構成部品を制御することができる。制御部300は、プロセッサ301と、不揮発性メモリ302と、揮発性メモリ303と、入出力インタフェース(I/O)304と、通信インタフェース(通信I/F)305とを備える。
【0062】
揮発性メモリ303は、例えばSRAM(Static Random Access Memory)、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等である。不揮発性メモリ302は、例えばフラッシュメモリ、ハードディスク、ROM(Read Only Memory)等である。不揮発性メモリ302には、コンピュータプログラムである制御プログラム306及び制御プログラム306の実行に使用されるデータが格納される。室外機110の各機能は、制御プログラム306がプロセッサ301によって実行されることで発揮される。フラッシュメモリ、ROM、CD-ROMなどの記録媒体に制御プログラム306を記憶させることができる。
【0063】
プロセッサ301は、例えばCPU(Central Processing Unit)である。ただし、プロセッサ301は、CPUに限られない。プロセッサ301は、GPU(Graphics Processing Unit)であってもよい。プロセッサ301は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)であってもよいし、ゲートアレイ、FPGA(Field Programmable Gate Array)等のプログラマブルロジックデバイスであってもよい。この場合、ASIC又はプログラマブルロジックデバイスは、制御プログラム306と同様の処理を実行可能に構成される。
【0064】
I/O304は、制御部300と室外機110の構成部品との間でのデータの入出力に用いられる。具体的には、I/O304は、圧縮機111、四方切換弁112、膨張弁114及び室外ファン115に接続されており、これらに制御信号を送信することができる。
【0065】
通信I/F305は、有線又は無線通信インタフェースである。通信I/F305は、室内機120の制御部310及び外気処理装置200の制御部320と相互に通信することができる。
【0066】
なお、室内機120の制御部310及び外気処理装置200の制御部320の構成は、室外機110の制御部300の構成と同様であるので、説明を省略する。
【0067】
[1-5.空調システムの動作]
次に、第1実施形態に係る空調システム10の冷房運転について説明する。
【0068】
図7は、第1実施形態に係る室外機の制御部による冷房運転における制御処理の一例を示すフローチャートである。室外機110のプロセッサ301は、制御プログラム306を実行することにより、以下のような制御処理を行う。
【0069】
室内機120の制御部310には、ユーザがリモコンに入力した目標温度TSが与えられる。制御部310は、目標温度TSを室外機110の制御部300へ送信する。制御部300は、制御部310から送信された目標温度TSを受信する(ステップ101)。
【0070】
温度センサ230は、上流側給気通路255a内の空気の温度、つまり、外気OAの温度を検出する。温度センサ230の検出値は、外気処理装置200の制御部320に入力される。制御部320は、温度センサ230によって検出された外気OAの温度(以下、「OA温度」という)TOAを、室外機110の制御部300へ送信する。制御部300は、制御部320から送信されたOA温度TOAを受信する(ステップS102)。
【0071】
温度センサ124は、室内空間S1から室内機120内に引き込まれた空気の温度(室内温度)を検出する。温度センサ124の検出値は、室内機120の制御部310に入力される。制御部310は、設定温度と室内温度とに基づいて、膨張弁122及び室内ファン123を制御する。例えば、設定温度よりも室内温度が高い場合、制御部310は膨張弁122を開き、室内ファン123を駆動して、冷房運転を行う。これにより、室内機120が冷房能力を発揮する。例えば、設定温度と室内温度が等しい、又は、設定温度よりも室内温度が低い場合、制御部310は膨張弁122を閉じて、冷房運転を停止する。これにより、室内機120が冷房能力を発揮しない状態となる。室内機120が冷房能力を発揮する状態とは、室内熱交換機121に冷媒が供給される状態を意味する。以下、この状態を「サーモオン」といい、室内熱交換機121に冷媒が供給されず、室内機120が冷房能力を発揮しない状態を「サーモオフ」という。
【0072】
各室内機120の制御部310は、その室内機120がサーモオンであるかサーモオフであるかを示す状態情報を、室外機110の制御部300へ送信する。制御部300は、制御部310から送信された状態情報を受信する(ステップS103)。
【0073】
制御部300のプロセッサ301は、受信された状態情報から、サーモオンである室内機120を特定し、運転容量比OCを算出する(ステップS104)。運転容量は、要求される圧縮機111の仕事率である。運転容量比OCは、最大運転容量に対する現在の運転容量の割合である。運転容量比OCは、室内機120の冷房能力を用いて算出される。冷房能力は、室内機120を駆動するために必要となる圧縮機111の仕事率であり、室内機120毎に定められている。例えば、ある室内機120の冷房能力が10kWである場合、この室内機120に冷房能力を発揮させるために圧縮機111を10kWで駆動する必要がある。ここで、空気調和機100が室内機A,B,C,Dを含み、室内機Aの冷房能力が5kW、室内機Bの冷房能力が20kW、室内機Cの冷房能力が20kW、室内機Dの冷房能力が10kWである事例を想定する。当該事例において、室内機Aがサーモオンであり、室内機B,C,Dがサーモオフである場合、運転容量は5kWであり、運転容量比OCは5/55である。室内機Cがサーモオンであり、室内機A,B,Dがサーモオフである場合、運転容量は20kWであり、運転容量比OCは20/55である。
【0074】
運転容量比OCは、室内機120の冷房能力を示す指標である。サーモオンの室内機120が多くなるにしたがい運転容量比OCが大きくなり、サーモオンの室内機120が少なくなるにしたがい運転容量比OCは小さくなる。運転容量比OCは0%~100%の値を取る。運転容量比OCが100%の場合、全ての室内機120がサーモオンであり、運転容量比OCが0%の場合、全ての室内機120がサーモオフである。
【0075】
制御部300のプロセッサ301は、目標温度TS及びOA温度TOAに基づいて、運転容量比OCの閾値Th1を算出する(ステップS105)。
【0076】
室外空間S2から室内空間S1へ外気を導入して、室内空間S1の室内温度を下げる外気冷房は、目標温度TSよりもOA温度TOAが低い場合に可能である。さらに、目標温度TSとOA温度TOAとの差が大きいほど(ただし、TS>TOA)、外気冷房の能力は高くなる。目標温度TSとOA温度TOAとの差が大きければ、室内空間S1の空調負荷が高くても外気冷房運転によって十分な冷房効果が得ることができる。目標温度TSとOA温度TOAとの差が小さい場合は、室内空間S1の空調負荷が低くなければ外気冷房運転によって十分な冷房効果が得られない。このように、目標温度TSとOA温度TOAとの差に応じて、外気冷房運転を効率的に行える室内空間S1の空調負荷は変化する。そこで、制御部300は、外気冷房運転を実行するか否かの判定に用いられる運転容量比OCの閾値Th1を、目標温度TS及びOA温度TOAの差分に基づいて決定する。具体的には、閾値Th1は次式(1)によって算出される。
Th1 = 0.02 × (TS - TOA) + 0.008 …(1)
【0077】
例えば、目標温度TSとOA温度TOAとの差が5℃の場合、閾値Th1は10.8である。目標温度TSとOA温度TOAとの差が10℃の場合、閾値Th1は20.8である。ただし、式(1)は閾値Th1の算出式の一例であり、他の式によってTh1を決定してもよい。
【0078】
プロセッサ301は、運転容量比OCと閾値Th1とを比較し、運転容量比OCが閾値Th1より小さいか否かを判定する(ステップS106)。
【0079】
運転容量比OCが閾値Th1以上である場合(ステップS106においてNO)、室内空間S1の空調負荷が高く、外気冷房運転には適していない状態であると判断することができる。この場合、プロセッサ301は、通常冷房運転を実行する(ステップS107)。目標温度TSとOA温度TOAとの差が5℃の場合、運転容量比OCが10.8%以上であれば、通常冷房運転が実行される。目標温度TSとOA温度TOAとの差が10℃の場合、運転容量比OCが20.8%以上であれば、通常冷房運転が実行される。
【0080】
通常冷房運転では、圧縮機111が駆動され、膨張弁114,122,220が制御される。室外熱交換器113において、室外空間S2から室外機110内に引き込まれた空気と冷媒との間で熱交換が行われ、室内熱交換器121において、室内空間S1から室内機120内に引き込まれた空気と冷媒との間で熱交換が行われる。さらに、熱交換器210において、室外空間S2から外気処理装置200内に引き込まれた外気と冷媒との間で熱交換が行われる。室内機120は冷媒との熱交換により生成された調和空気を室内空間S1へ供給し、外気処理装置200は冷媒との熱交換により生成された給気SAを室内空間S1へ供給する。
【0081】
ステップS107では、空調システム10が通常冷房運転を実行していない場合、通常冷房運転が開始される。空調システム10が通常冷房運転を実行中である場合、通常冷房運転が継続される。
【0082】
プロセッサ301は、ステップS107の後、ステップS101へ戻る。
【0083】
運転容量比OCが閾値Th1未満である場合(ステップS106においてYES)、室内空間S1の空調負荷が低く、外気冷房運転に適した状態であると判断することができる。この場合、プロセッサ301は、外気冷房運転を実行する(ステップS108)。
【0084】
外気冷房運転では、圧縮機111が停止される。これにより、冷媒回路20において冷媒の循環が停止し、室外熱交換器113、室内熱交換器121、及び熱交換器210における熱交換が行われなくなる。室外機110の制御部300から外気処理装置200の制御部320へ、外気冷房運転の開始指令が送信される。制御部320は、給気ファン242を駆動する。これにより、外気OAが外気処理装置200に取り込まれ、熱交換器210による熱交換が行われることなく、給気SAとして室内空間S1へ供給される。
【0085】
外気冷房運転を開始すると、プロセッサ301は、外気冷房停止判定処理を実行する(ステップS109)。
【0086】
図8は、外気冷房停止判定処理の一例を示すフローチャートである。制御部300は、制御部310から目標温度T
Sを受信する(ステップ111)。さらに制御部300は、制御部310から室内温度を受信する(ステップS112)。
【0087】
プロセッサ301は、室内温度が所定量以上上昇したか否かを判定する(ステップS113)。例えば、ステップS103において、プロセッサ301は室内温度が目標温度TSよりも所定値(例えば、1℃)以上高いか否かを判定する。室内温度が目標温度TSよりも所定値以上高い場合、室内温度が所定量以上上昇したと判断される。室内温度が目標温度TSよりも所定値以上高くない場合、室内温度が所定量以上上昇していないと判断される。
【0088】
室内温度が所定量以上上昇していない場合(ステップS113においてNO)、プロセッサ301は、外気冷房運転を停止せずに、ステップS111へ戻る。
【0089】
室内温度が所定量以上上昇している場合(ステップS113においてYES)、プロセッサ301は、外気冷房運転を停止する(ステップS114)。給気ファン242が停止されることにより、外気冷房運転は停止される。以上で、外気冷房停止判定処理が終了する。
【0090】
図7へ戻り、外気冷房停止判定処理が終了すると、プロセッサ301は、ステップS101へ戻る。
【0091】
[2.第2実施形態]
以下、第2実施形態に係る空調システムの冷房運転について説明する。なお、第2実施形態に係る空調システムの構成は、第1実施形態に係る空調システム10の構成と同様であるので、同一構成要素については同一符号を付し、その説明を省略する。
【0092】
図9は、第2実施形態に係る室外機の制御部による冷房運転における制御処理の一例を示すフローチャートである。室外機110のプロセッサ301は、制御プログラム306を実行することにより、以下のような制御処理を行う。
【0093】
ステップS201~S204は、第1実施形態におけるステップS101~S104と同様であるので説明を省略する。
【0094】
制御部300のプロセッサ301は、運転容量比OCに基づいて、目標温度TSとOA温度TOAとの差の閾値Th2を算出する(ステップS205)。
【0095】
室内機120の運転容量比OCが高いほど、室内空間S1における空調負荷は高いと考えられる。したがって、外気冷房を行う場合、運転容量比OCが高いほど、高い外気冷房能力が要求される。一方、目標温度TSとOA温度TOAとの差が大きいほど(ただし、TS>TOA)、外気冷房の能力は高くなる。そこで、制御部300は、外気冷房運転を実行するか否かの判定に用いられる目標温度TSとOA温度TOAとの差の閾値Th2を、運転容量比OCに基づいて決定する。具体的には、閾値Th2は次式(2)によって算出される。
Th2 = (OC - 0.008) × 50 …(2)
ただし、式(2)は閾値Th2の算出式の一例であり、他の式によってTh2を決定してもよい。
【0096】
プロセッサ301は、TS-TOAと閾値Th2とを比較し、TS-TOAが閾値Th2より大きいか否かを判定する(ステップS206)。
【0097】
TS-TOAが閾値Th2以下である場合(ステップS206においてNO)、外気冷房の能力が低く、外気冷房運転には適していない状態であると判断することができる。この場合、プロセッサ301は、通常冷房運転を実行する(ステップS207)。プロセッサ301は、ステップS207の後、ステップS201へ戻る。
【0098】
TS-TOAが閾値Th2より大きい場合(ステップS206においてYES)、外気冷房の能力が高く、外気冷房運転に適した状態であると判断することができる。この場合、プロセッサ301は、外気冷房運転を実行する(ステップS208)。
【0099】
外気冷房運転を開始すると、プロセッサ301は、外気冷房停止判定処理を実行する(ステップS209)。外気冷房停止処理は、第1実施形態において説明した処理と同様である。外気冷房停止判定処理が終了すると、プロセッサ301は、ステップS201へ戻る。
【0100】
[3.第3実施形態]
以下、第3実施形態に係る空調システムの冷房運転について説明する。なお、第3実施形態に係る空調システムの構成は、第1実施形態に係る空調システム10の構成と同様であるので、同一構成要素については同一符号を付し、その説明を省略する。
【0101】
図10は、第3実施形態に係る室外機の制御部による冷房運転における制御処理の一例を示すフローチャートである。室外機110のプロセッサ301は、制御プログラム306を実行することにより、以下のような制御処理を行う。
【0102】
ステップS301~S304は、第1実施形態におけるステップS101~S104と同様であるので説明を省略する。
【0103】
制御部300のプロセッサ301は、目標温度TSとOA温度TOAとを比較し、OA温度TOAが目標温度TSより低いか否かを判定する(ステップS305)。
【0104】
OA温度TOAが目標温度TS以上である場合(ステップS305においてNO)、外気冷房運転には適していない状態であると判断することができる。この場合、プロセッサ301は、通常冷房運転を実行する(ステップS306)。
【0105】
OA温度TOAが目標温度TS未満である場合(ステップS305においてYES)、プロセッサ301は、室内機120の運転容量比OCが0であるか否かを判定する(ステップS307)。
【0106】
室内機120の運転容量比OCが0でない場合(ステップS307においてNO)、外気冷房運転には適していない状態であると判断することができる。この場合、プロセッサ301は、通常冷房運転を実行する(ステップS306)。プロセッサ301は、ステップS306の後、ステップS301へ戻る。
【0107】
OA温度TOAが目標温度TSより小さければ、外気冷房運転が可能である。室内機120の運転容量比OCが0であれば、室内空間S1の空調負荷が十分に低いと考えられる。したがって、OA温度TOAが目標温度TSより小さく(ステップS305においてYES)、且つ、室内機120の運転容量比OCが0である場合(ステップS307においてYES)、外気冷房運転に適した状態であると判断することができる。この場合、プロセッサ301は、外気冷房運転を実行する(ステップS308)。
【0108】
外気冷房運転を開始すると、プロセッサ301は、外気冷房停止判定処理を実行する(ステップS309)。外気冷房停止処理は、第1実施形態において説明した処理と同様である。外気冷房停止判定処理が終了すると、プロセッサ301は、ステップS301へ戻る。
【0109】
[4.その他の実施形態]
上述した実施形態では、運転容量を室内機120の冷房能力を示す指標としたが、これに限定されない。室内機120の冷房能力の指標として、サーモオンの室内機120の台数を用いることができる。例えば、制御部300は、室内機120から受信した状態情報を用いて、サーモオンの室内機120の台数を計数する。制御部300は、サーモオンの室内機120の台数と閾値とを比較し、サーモオンの室内機120の台数が閾値未満である場合に、外気冷房運転を実行すると決定し、サーモオンの室内機120の台数が閾値より大きい場合に、外気冷房運転を実行しない(通常冷房運転を実行する)と決定することができる。
【0110】
上述した実施形態では、運転容量比OCを、各室内機120がサーモオンであるかサーモオフであるかによって算出したが、これに限定されない。例えば、サーモオンの室内機120がどの程度の冷房能力で運転しているかを特定し、運転容量比OCを算出してもよい。上記の事例において、最大冷房能力が5kWの室内機Aが50%の能力で稼働しており、最大冷房能力が20kWの室内機Cが10%の能力で稼働しており、室内機B,Dはサーモオフである場合を考える。この場合、室内機Aが発揮している冷房能力は2.5kWであり、室内機Cが発揮している冷房能力は2kWである。したがって、運転容量比OCは4.5/55である。このように、制御部300が、サーモオンの室内機120が現在発揮している冷房能力を加算し、全室内機120の最大冷房能力の和に対する加算結果の割合を、運転容量比OCとして算出することもできる。
【0111】
なお、上記の実施形態では、室外機110に備えられた制御部300が外気冷房運転の実行可否を判断する制御処理を実行したが、これに限定されない。室外機110以外に備えられた制御部が同制御処理を実行してもよい。
【0112】
[5.実施形態の作用効果]
(1)空調システム10は、室内機120と、圧縮機111と、外気処理装置200と、制御部300とを含む。室内機120は、冷媒との熱交換により生成された調和空気を室内空間S1へ供給する。圧縮機111は、室内機120へ冷媒を供給する。外気処理装置200は、室内空間S1へ外気OAを導入する。制御部300は、OA温度TOAと室内機120に設定された目標温度TSとの差、及び室内機120が発揮している冷房能力に基づいて、圧縮機111が停止し、外気処理装置200が室内空間S1へ外気OAを導入する外気冷房運転を実行するか否かを判定する。
【0113】
室内機120は室内空間S1の空調負荷に応じた能力で運転する。したがって、上記構成とすることで、室内空間S1の空調負荷に応じて、外気冷房運転を効果的に実行することができる。
【0114】
(2)制御部300は、室内機120が発揮している冷房能力を閾値Th1と比較することにより、外気冷房運転を実行するか否かを判定してもよい。閾値Th1は、OA温度TOAと目標温度TSとの差に基づいて決定されてもよい。OA温度TOAと室内機120の目標温度TSとの差によって、外気冷房による冷房能力は変化する。上記構成により、OA温度TOAと室内機120の目標温度TSとの差に応じて、外気冷房運転の実行可否の判定基準となる冷房能力の閾値Th1を適切に決定することができる。
【0115】
(3)制御部300は、OA温度TOAと目標温度TSとの差が大きいほど、閾値Th1を大きくしてもよい。
このような構成によって、冷房能力の閾値Th1をより一層適切に決定することができる。
【0116】
(4)制御部300は、OA温度TOAと目標温度TSとの差を閾値Th2と比較することにより、外気冷房運転を実行するか否かを判定してもよい。閾値Th2は、室内機120が発揮している冷房能力に基づいて決定されてもよい。
このような構成によって、室内機120の冷房能力に応じて、外気冷房運転の実行可否の判定基準となる、OA温度TOAと室内機120の目標温度TSとの差の閾値Th2を適切に決定することができる。
【0117】
(5)制御部300は、室内機120が発揮している冷房能力が大きいほど、閾値Th2を大きくしてもよい。
このような構成によって、OA温度TOAと目標温度TSとの差の閾値Th2をより一層適切に決定することができる。
【0118】
(6)制御部300は、室内機120が発揮している冷房能力が0である場合に、外気冷房運転を実行するか否かを判定してもよい。
室内機120が発揮している冷房能力が0である(つまり、室内機120が冷房能力を発揮していない)場合は、室内空間S1の空調負荷が十分に低いことが想定される。したがって、上記構成とすることにより、外気冷房運転を効果的に実行することができる。
【0119】
(7)室内空間S1における空気を調和させる空調システム10の制御方法は、OA温度TOAを取得するステップと、室内機120に設定された目標温度TSを取得するステップと、OA温度TOAと目標温度TSとの差、及び室内機120が発揮している冷房能力に基づいて、室内機120へ冷媒を供給するための圧縮機111が停止し、外気処理装置200が室内空間へ外気OAを導入する外気冷房運転を実行するか否かを判定するステップと、を含む。
【0120】
室内機120は室内空間S1の空調負荷に応じた能力で運転する。したがって、上記構成とすることで、室内空間S1の空調負荷に応じて、外気冷房運転を効果的に実行することができる。
【0121】
(8)空気調和機100は、圧縮機111と、制御部300とを含む。圧縮機111は、室内機120へ冷媒を供給する。制御部300は、OA温度TOAと室内機120に設定された目標温度TSとの差、及び室内機120が発揮している冷房能力に基づいて、圧縮機111が停止し、外気処理装置200が室内空間S1へ外気を導入する外気冷房運転を実行するか否かを判定する。
【0122】
室内機120は室内空間S1の空調負荷に応じた能力で運転する。したがって、上記構成とすることで、室内空間S1の空調負荷に応じて、外気冷房運転を効果的に実行することができる。
【0123】
[6.補記]
なお、本開示は、以上の例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0124】
10:空調システム、20:冷媒回路、21,22:冷媒管、100:空気調和機、110:室外機、111:圧縮機、112:四方切換弁、113:室外熱交換器、114,122,220:膨張弁、115:室外ファン、120:室内機、121:室内熱交換器、123:室内ファン、124,230:温度センサ、200:外気処理装置、200A:外気処理部、200B:排気処理部、210:熱交換器、241:熱交換部、241a:仕切板、241b:隔壁板、241c:排気側通路、241d:給気側通路、242:給気ファン、243:排気ファン、250:ケーシング、251:還気取入口、252:排気吹出口、253:外気取入口、254:給気吹出口、255:給気通路、255a:上流側給気通路、255b:下流側給気通路、256:排気通路、256a:上流側排気通路、256b:下流側排気通路、257,258:区画壁、300,310,320:制御部、301:プロセッサ、302:不揮発性メモリ、303:揮発性メモリ、304:入出力インタフェース、305:通信インタフェース、306:制御プログラム、A1:第1の空気流、A2:第2の空気流、S1:室内空間、S2:室外空間