(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-12
(45)【発行日】2024-03-21
(54)【発明の名称】差動増幅回路、受信回路及び半導体集積回路
(51)【国際特許分類】
H03F 3/45 20060101AFI20240313BHJP
H03G 3/30 20060101ALI20240313BHJP
【FI】
H03F3/45 109
H03G3/30 D
(21)【出願番号】P 2021565208
(86)(22)【出願日】2019-12-17
(86)【国際出願番号】 JP2019049423
(87)【国際公開番号】W WO2021124450
(87)【国際公開日】2021-06-24
【審査請求日】2022-11-16
(73)【特許権者】
【識別番号】514315159
【氏名又は名称】株式会社ソシオネクスト
(74)【代理人】
【識別番号】100090273
【氏名又は名称】國分 孝悦
(72)【発明者】
【氏名】藤村 拓弥
(72)【発明者】
【氏名】加納 英樹
【審査官】工藤 一光
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-538363(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0001562(US,A1)
【文献】特開2010-34733(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0015328(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03F1/00-3/72
H03G1/00-3/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
差動増幅回路部と、
レプリカ増幅回路部とを有し、
前記差動増幅回路部は、
電流源回路と負荷回路の間に設けられ、ゲートにおいて差動入力信号を受け、ドレインにおいて差動出力信号を生成する第1及び第2のトランジスタと、
前記第1及び第2のトランジスタのソースの間に接続され、ゲートにおいて制御信号を受ける第3のトランジスタとを有し、
前記レプリカ増幅回路部は、
第1及び第2の基準電圧を生成する電圧生成回路と、
前記第1及び第2のトランジスタのレプリカであって、ゲートにおいて前記第1及び第2の基準電圧を受け、ドレインにおいてレプリカ出力信号を生成する第1及び第2のレプリカトランジスタと、
前記第1及び第2のレプリカトランジスタのソースの間に接続され、ゲートにおいて前記制御信号を受ける第3のレプリカトランジスタと、
前記第1及び第2の基準電圧の少なくとも一方と前記レプリカ出力信号との差に応じて、前記制御信号を生成するオペアンプとを有し、
前記オペアンプは、前記レプリカ増幅回路部の利得が一定になるように前記制御信号を生成する差動増幅回路。
【請求項2】
前記電流源回路は、第4及び第5のトランジスタを有し、
前記負荷回路は、第1及び第2の負荷回路を有し、
前記第1のトランジスタのソースは、前記第4のトランジスタのドレインに接続され、
前記第1のトランジスタのドレインは、前記第1の負荷回路に接続され、
前記第2のトランジスタのソースは、前記第5のトランジスタのドレインに接続され、
前記第2のトランジスタのドレインは、前記第2の負荷回路に接続され、
前記第4のトランジスタのゲートと前記第5のトランジスタのゲートは互いに接続され、第1のバイアス電圧が供給される請求項1に記載の差動増幅回路。
【請求項3】
前記レプリカ増幅回路部は、
ドレインが前記第1のレプリカトランジスタのソースに接続される第4のレプリカトランジスタと、
ドレインが前記第2のレプリカトランジスタのソースに接続される第5のレプリカトランジスタと、
前記第1のレプリカトランジスタのドレインに接続される第3の負荷回路と、
前記第2のレプリカトランジスタのドレインに接続される第4の負荷回路とを有し、
前記第4のレプリカトランジスタのゲートと前記第5のレプリカトランジスタのゲートは互いに接続され、前記第1のバイアス電圧が供給される請求項2に記載の差動増幅回路。
【請求項4】
前記電圧生成回路は、
ドレインが前記第1のレプリカトランジスタのゲートに接続され、ゲートが前記第4のレプリカトランジスタのゲートに接続される第6のトランジスタと、
前記第1のレプリカトランジスタのゲートに接続される第1の抵抗と、
ドレインが前記第2のレプリカトランジスタのゲートに接続され、ゲートが前記第5のレプリカトランジスタのゲートに接続される第7のトランジスタと、
前記第2のレプリカトランジスタのゲートに接続される第2の抵抗とを有する請求項3に記載の差動増幅回路。
【請求項5】
前記第6のトランジスタのゲートと前記第7のトランジスタのゲートは前記第1のバイアス電圧が供給される請求項4に記載の差動増幅回路。
【請求項6】
前記第1~第7のトランジスタと前記第1~第5のレプリカトランジスタは、pチャネル電界効果トランジスタであり、
前記第4~第7のトランジスタのソースと前記第4及び第5のレプリカトランジスタのソースは、電源電位ノードに接続され、
前記第1の負荷回路は、前記第1のトランジスタのドレインと前記電源電位ノードより電位が低い基準電位ノードとの間に接続され、
前記第2の負荷回路は、前記第2のトランジスタのドレインと前記基準電位ノードとの間に接続され、
前記第3の負荷回路は、前記第1のレプリカトランジスタのドレインと前記基準電位ノードとの間に接続され、
前記第4の負荷回路は、前記第2のレプリカトランジスタのドレインと前記基準電位ノードとの間に接続される請求項4に記載の差動増幅回路。
【請求項7】
さらに、ソースが前記電源電位ノードに接続され、ゲート及びドレインが互いに接続される第8のトランジスタと、
ドレインが前記第8のトランジスタのドレインに接続され、ソースが前記基準電位ノードに接続される第9のトランジスタと、
前記第9のトランジスタのゲートに第2のバイアス電圧を供給するバイアス生成器とを有し、
前記第8のトランジスタのゲートにおいて、前記第1のバイアス電圧が生成される請求項6に記載の差動増幅回路。
【請求項8】
前記第1~第7のトランジスタと前記第1~第5のレプリカトランジスタは、nチャネル電界効果トランジスタであり、
前記第4~第7のトランジスタのソースと前記第4及び第5のレプリカトランジスタのソースは、基準電位ノードに接続され、
前記第1の負荷回路は、前記第1のトランジスタのドレインと前記基準電位ノードより電位が高い電源電位ノードとの間に接続され、
前記第2の負荷回路は、前記第2のトランジスタのドレインと前記電源電位ノードとの間に接続され、
前記第3の負荷回路は、前記第1のレプリカトランジスタのドレインと前記電源電位ノードとの間に接続され、
前記第4の負荷回路は、前記第2のレプリカトランジスタのドレインと前記電源電位ノードとの間に接続される請求項4に記載の差動増幅回路。
【請求項9】
さらに、ソースが前記基準電位ノードに接続され、ゲート及びドレインが互いに接続される第8のトランジスタと、
ドレインが前記第8のトランジスタのドレインに接続され、ソースが前記電源電位ノードに接続される第9のトランジスタと、
前記第9のトランジスタのゲートに第3のバイアス電圧を供給するバイアス生成器とを有し、
前記第8のトランジスタのゲートにおいて前記第1のバイアス電圧が生成される請求項8に記載の差動増幅回路。
【請求項10】
前記差動増幅回路部は、前記第1のトランジスタのドレインと前記第2のトランジスタのドレインとの間に接続される容量を有する請求項1~9のいずれか1項に記載の差動増幅回路。
【請求項11】
前記第1の負荷回路は、第3の抵抗と第1のインダクタの直列接続回路であり、
前記第2の負荷回路は、第4の抵抗と第2のインダクタの直列接続回路であり、
前記第3の負荷回路は、第5の抵抗であり、
前記第4の負荷回路は、第6の抵抗である請求項3~10のいずれか1項に記載の差動増幅回路。
【請求項12】
前記第1の負荷回路は、第3の抵抗であり、
前記第2の負荷回路は、第4の抵抗であり、
前記第3の負荷回路は、第5の抵抗であり、
前記第4の負荷回路は、第6の抵抗である請求項3~9のいずれか1項に記載の差動増幅回路。
【請求項13】
前記第1及び第2の基準電圧は、相互に異なる電圧である請求項1~12のいずれか1項に記載の差動増幅回路。
【請求項14】
連続時間線形等化器と、
前記連続時間線形等化器の出力信号を入力する判定帰還型等化器と、
前記判定帰還型等化器にクロック信号を出力するクロック生成器と、
前記判定帰還型等化器の出力信号を入力するデマルチプレクサとを有し、
前記連続時間線形等化器は、差動増幅回路を有し、
前記差動増幅回路は、
差動増幅回路部と、
レプリカ増幅回路部とを有し、
前記差動増幅回路部は、
電流源回路と負荷回路の間に設けられ、ゲートにおいて差動入力信号を受け、ドレインにおいて差動出力信号を生成する第1及び第2のトランジスタと、
前記第1及び第2のトランジスタのソースの間に接続され、ゲートにおいて制御信号を受ける第3のトランジスタとを有し、
前記レプリカ増幅回路部は、
第1及び第2の基準電圧を生成する電圧生成回路と、
前記第1及び第2のトランジスタのレプリカであって、ゲートにおいて前記第1及び第2の基準電圧を受け、ドレインにおいてレプリカ出力信号を生成する第1及び第2のレプリカトランジスタと、
前記第1及び第2のレプリカトランジスタのソースの間に接続され、ゲートにおいて前記制御信号を受ける第3のレプリカトランジスタと、
前記第1及び第2の基準電圧の少なくとも一方と前記レプリカ出力信号との差に応じて、前記制御信号を生成するオペアンプとを有し、
前記オペアンプは、前記レプリカ増幅回路部の利得が一定になるように前記制御信号を生成する受信回路。
【請求項15】
受信回路と、
前記受信回路の出力信号を処理する内部回路とを有し、
前記受信回路は、
連続時間線形等化器と、
前記連続時間線形等化器の出力信号を入力する判定帰還型等化器と、
前記判定帰還型等化器にクロック信号を出力するクロック生成器と、
前記判定帰還型等化器の出力信号を入力するデマルチプレクサとを有し、
前記連続時間線形等化器は、差動増幅回路を有し、
前記差動増幅回路は、
差動増幅回路部と、
レプリカ増幅回路部とを有し、
前記差動増幅回路部は、
電流源回路と負荷回路の間に設けられ、ゲートにおいて差動入力信号を受け、ドレインにおいて差動出力信号を生成する第1及び第2のトランジスタと、
前記第1及び第2のトランジスタのソースの間に接続され、ゲートにおいて制御信号を受ける第3のトランジスタとを有し、
前記レプリカ増幅回路部は、
第1及び第2の基準電圧を生成する電圧生成回路と、
前記第1及び第2のトランジスタのレプリカであって、ゲートにおいて前記第1及び第2の基準電圧を受け、ドレインにおいてレプリカ出力信号を生成する第1及び第2のレプリカトランジスタと、
前記第1及び第2のレプリカトランジスタのソースの間に接続され、ゲートにおいて前記制御信号を受ける第3のレプリカトランジスタと、
前記第1及び第2の基準電圧の少なくとも一方と前記レプリカ出力信号との差に応じて、前記制御信号を生成するオペアンプとを有し、
前記オペアンプは、前記レプリカ増幅回路部の利得が一定になるように前記制御信号を生成する半導体集積回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、差動増幅回路、受信回路及び半導体集積回路に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、差動増幅器と制御信号生成器を有する高速差動増幅器が開示されている。差動増幅器は、第1の入力信号と第2の入力信号との間の電圧差を増幅し、出力信号を生成する。制御信号生成器は、差動増幅器のレプリカであるレプリカ差動増幅器を含み、差動増幅器及びレプリカ差動増幅器の利得を制御する制御信号を生成する。
【0003】
特許文献2には、第1のトランジスタと、第2のトランジスタと、レジスタと、第3のトランジスタを有する利得増幅器が開示されている。第1のトランジスタは、第1の制御ポート、第1の入力ポート、及び、第1の出力ポートを有する。第2のトランジスタは、第2の制御ポート、第2の入力ポート、及び、第2の出力ポートを有する。レジスタは、第1の出力ポートに接続された第1端、及び、第2の出力ポートに接続された第2端を有する。第3のトランジスタは、第1の出力ポート及び第2の出力ポートに接続され、かつ、レジスタと並列に接続される。第3のトランジスタに制御電圧を印加し、第1の制御ポートに入力電圧を印加したとき、第2の制御ポートは、第1の入力ポート及び第2の入力ポートにおいて、所望の出力を生成するべく、制御電圧によって選択的に修正される。
【0004】
特許文献3には、第1の増幅回路と、第2の増幅回路と、第3の増幅回路と、カレントミラー回路とを有する可変利得増幅回路が開示されている。第1の増幅回路は、差動入力電圧が制御端子に入力される第1及び第2のトランジスタと、第1のトランジスタと第2のトランジスタとの間に接続され、制御端子に利得制御信号が入力される第3のトランジスタと、第1のトランジスタに流れる電流と第2のトランジスタに流れる電流とにそれぞれ対応する第1の出力電流と第2の出力電流との差動電流を出力する出力部とを有する。第2の増幅回路は、第1及び第2の電圧がそれぞれ制御端子に入力される第4及び第5のトランジスタと、第4のトランジスタと第5のトランジスタとの間に接続され、制御端子に上記の利得制御信号が入力される第6のトランジスタと、第4のトランジスタに流れる電流と第5のトランジスタに流れる電流とにそれぞれ対応する第1の電流と第1の電流よりも小さい第2の電流との差動電流を出力する出力部とを有する。第3の増幅回路は、第3及び第4の電圧がそれぞれ制御端子に入力される第7及び第8のトランジスタと、第7のトランジスタと第8のトランジスタとの間に接続された抵抗素子と、第7のトランジスタに流れる電流と第8のトランジスタに流れる電流とにそれぞれ対応する第3の電流と第3の電流よりも小さい第4の電流との差動電流を出力する出力部とを有する。カレントミラー回路は、第1の電流と第4の電流との合成電流と第2の電流と第3の電流との合成電流とに応じて上記の利得制御信号を生成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】米国特許出願公開第2011/0001562号明細書
【文献】特表2018-522490号公報
【文献】特開2002-198755号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
差動増幅回路の利得は、温度に応じて変動する。パラメータを用いて、差動増幅回路の利得が一定になるように制御する場合には、パラメータ数が増え、制御が複雑になり、応答速度が低くなる課題がある。
【0007】
本発明の目的は、差動増幅回路において、簡単な制御で、かつ、動作の高速性を保ちながら、差動増幅回路部の利得を一定にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
差動増幅回路は、差動増幅回路部と、レプリカ増幅回路部とを有し、前記差動増幅回路部は、電流源回路と負荷回路の間に設けられ、ゲートにおいて差動入力信号を受け、ドレインにおいて差動出力信号を生成する第1及び第2のトランジスタと、前記第1及び第2のトランジスタのソースの間に接続され、ゲートにおいて制御信号を受ける第3のトランジスタとを有し、前記レプリカ増幅回路部は、第1及び第2の基準電圧を生成する電圧生成回路と、前記第1及び第2のトランジスタのレプリカであって、ゲートにおいて前記第1及び第2の基準電圧を受け、ドレインにおいてレプリカ出力信号を生成する第1及び第2のレプリカトランジスタと、前記第1及び第2のレプリカトランジスタのソースの間に接続され、ゲートにおいて前記制御信号を受ける第3のレプリカトランジスタと、前記第1及び第2の基準電圧の少なくとも一方と前記レプリカ出力信号との差に応じて、前記制御信号を生成するオペアンプとを有し、前記オペアンプは、前記レプリカ増幅回路部の利得が一定になるように前記制御信号を生成する。
【発明の効果】
【0009】
差動増幅回路において、簡単な制御で、かつ、動作の高速性を保ちつつ、差動増幅回路部の利得を一定にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、第1の実施形態による半導体集積回路の構成例を示す図である。
【
図2】
図2は、
図1のCTLE内の差動増幅回路部の構成例を示す回路図である。
【
図3】
図3は、
図2の差動増幅回路部の周波数に対する利得の特性を示す図である。
【
図4】
図4は、第1の実施形態による差動増幅回路の構成例を示す回路図である。
【
図5】
図5は、第2の実施形態による差動増幅回路の構成例を示す回路図である。
【
図6】
図6は、第3の実施形態による差動増幅回路の構成例を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態による半導体集積回路100の構成例を示す図である。半導体集積回路100は、受信回路101と、内部回路102とを有する。受信回路101は、終端回路113と、連続時間線形等化器(Continuous Time Linear Equalizer、CTLE)114と、判定帰還型等化器(Decision Feedback Equalizer、DFE)115と、クロック生成器116と、デマルチプレクサ117とを有する。
【0012】
差動入力端子111及び112は、差動信号を受信する。終端回路113は、差動入力端子111及び112間に接続される。終端回路113は例えば、抵抗素子により構成される。CTLE114は、差動入力端子111及び112が受信する差動信号に対して、時間軸上連続的に等価処理を行う。DFE115は、CTLE114の出力信号を入力し、CTLE114の出力信号に対して、帰還ループによる等化処理と2値判定を行う。クロック生成器116は、DFE115にクロック信号を出力する。デマルチプレクサ117は、DFE115の出力信号を入力し、DFE115の出力信号をシリアルデータからパラレルデータに変換する。内部回路102は、デマルチプレクサ117の出力信号を処理する。
【0013】
図2は、
図1のCTLE114内の差動増幅回路部の構成例を示す回路図である。差動増幅回路部は、電流源201,202と、可変容量203と、抵抗204と、pチャネル電界効果トランジスタ205,206と、インダクタ207,208と、抵抗209,210を有する。差動増幅回路部は、差動入力端子Vip及びVinに入力される差動信号を増幅し、増幅した差動信号を差動出力端子Vop及びVonから出力する。
【0014】
図3は、
図2の差動増幅回路部の周波数に対する利得の特性を示す図である。差動増幅回路部は、高周波数等化器であり、高周波数帯域の利得が高い。利得の特性301は、-40℃の場合の特性である。利得の特性302は、25℃の場合の特性である。利得の特性303は、125℃の場合の特性である。差動増幅回路部の利得は、温度に応じて変動する。温度により差動増幅回路部の利得が変動すると、受信回路101の受信エラーの原因になる。差動増幅回路部の利得は、温度にかかわらず、一定であることが好ましい。
【0015】
差動増幅回路部は、可変容量203の値を制御することにより、高周波数帯域の利得を制御することができる。また、差動増幅回路部は、抵抗204の値を制御することにより、直流の利得を制御することができる。抵抗204の抵抗値を可変として、差動増幅回路部の直流の利得が一定になるように抵抗204の値を制御する場合には、抵抗値を可変に設定するためのパラメータの数が増え、制御が複雑になり、応答速度が低くなる課題がある。以下、
図4を参照しながら、簡単な制御で、かつ高速に、差動増幅回路部の直流の利得を一定にすることができる差動増幅回路を説明する。
【0016】
図4は、第1の実施形態による差動増幅回路400の構成例を示す回路図である。
図1のCTLE114は、差動増幅回路400を有する。差動増幅回路400は、差動増幅回路部401と、レプリカ増幅回路部402と、pチャネル電界効果トランジスタ403と、nチャネル電界効果トランジスタ404と、BGR(バンドギャップリファレンス)バイアス生成器405とを有する。
【0017】
差動増幅回路部401は、
図2の差動増幅回路部に対して、電流源201及び202に相当する、pチャネル電界効果トランジスタ431及び432を設け、抵抗204に相当する、pチャネル電界効果トランジスタ433を設けたものである。差動増幅回路部401は、pチャネル電界効果トランジスタ431~433と、可変容量203と、pチャネル電界効果トランジスタ205,206と、インダクタ207,208と、抵抗209,210とを有する。
【0018】
pチャネル電界効果トランジスタ431は、電流源回路であり、ソースが電源電位ノードに接続される。pチャネル電界効果トランジスタ432は、電流源回路であり、ソースが電源電位ノードに接続され、ゲートがpチャネル電界効果トランジスタ431のゲートに接続される。
【0019】
可変容量203は、pチャネル電界効果トランジスタ431のドレインとpチャネル電界効果トランジスタ432のドレインとの間に接続される。pチャネル電界効果トランジスタ433は、ソースがpチャネル電界効果トランジスタ205のソースに接続され、ゲートがオペアンプ422の出力端子に接続され、ドレインがpチャネル電界効果トランジスタ206のソースに接続される。pチャネル電界効果トランジスタ433は、ゲートにおいて、オペアンプ422が出力する制御信号を受け、その制御信号に応じて、ドレイン及びソース間の抵抗が変わる。
【0020】
pチャネル電界効果トランジスタ205は、ソースがpチャネル電界効果トランジスタ431のドレインに接続され、ゲートが差動入力端子Vipに接続され、ドレインが差動出力端子Vonに接続される。pチャネル電界効果トランジスタ206は、ソースがpチャネル電界効果トランジスタ432のドレインに接続され、ゲートが差動入力端子Vinに接続され、ドレインが差動出力端子Vopに接続される。
【0021】
インダクタ207と抵抗209の直列接続回路は、負荷回路であり、pチャネル電界効果トランジスタ205のドレインと、基準電位ノードとの間に接続される。基準電位ノードは例えば、グランド電位ノードであり、電源電位ノードより電位が低いノードである。インダクタ208と抵抗210の直列接続回路は、負荷回路であり、pチャネル電界効果トランジスタ206のドレインと、基準電位ノードとの間に接続される。
【0022】
pチャネル電界効果トランジスタ205及び206は、ゲートの差動入力端子Vip及びVinにおいて差動入力信号を受け、ドレインの出力端子Vop及びVonにおいて差動出力信号を生成する。オペアンプ422がpチャネル電界効果トランジスタ433のゲートの制御信号を制御することにより、pチャネル電界効果トランジスタ433のドレイン及びソース間の抵抗が制御され、差動増幅回路部401の直流の利得が一定に制御される。
【0023】
レプリカ増幅回路部402は、差動増幅回路部401のレプリカである。レプリカ増幅回路部402は、pチャネル電界効果トランジスタ411~417と、抵抗418~421と、オペアンプ422とを有する。
【0024】
pチャネル電界効果トランジスタ412は、pチャネル電界効果トランジスタ431のレプリカトランジスタであり、ソースが電源電位ノードに接続され、ゲートがpチャネル電界効果トランジスタ431及び432のゲートに接続される。pチャネル電界効果トランジスタ413は、pチャネル電界効果トランジスタ432のレプリカトランジスタであり、ソースが電源電位ノードに接続され、ゲートがpチャネル電界効果トランジスタ431及び432のゲートに接続される。
【0025】
pチャネル電界効果トランジスタ415は、pチャネル電界効果トランジスタ433のレプリカトランジスタであり、ソースがpチャネル電界効果トランジスタ416のソースに接続され、ゲートがオペアンプ422の出力端子に接続され、ドレインがpチャネル電界効果トランジスタ417のソースに接続される。
【0026】
pチャネル電界効果トランジスタ416は、pチャネル電界効果トランジスタ205のレプリカトランジスタであり、ソースがpチャネル電界効果トランジスタ412のドレインに接続される。pチャネル電界効果トランジスタ417は、pチャネル電界効果トランジスタ206のレプリカトランジスタであり、ソースがpチャネル電界効果トランジスタ413のドレインに接続される。
【0027】
抵抗419は、負荷回路であり、抵抗209のレプリカである。抵抗419は、pチャネル電界効果トランジスタ416のドレインと基準電位ノードとの間に接続される。
【0028】
抵抗420は、負荷回路であり、抵抗210のレプリカである。抵抗420は、pチャネル電界効果トランジスタ417のドレインと基準電位ノードとの間に接続される。
【0029】
pチャネル電界効果トランジスタ411と抵抗418は、電圧生成回路であり、基準電圧V1を生成する。pチャネル電界効果トランジスタ416のゲートは、基準電圧V1を受ける。pチャネル電界効果トランジスタ411は、ソースが電源電位ノードに接続され、ゲートがpチャネル電界効果トランジスタ431及び432のゲートに接続され、ドレインがpチャネル電界効果トランジスタ416のゲートに接続される。抵抗418は、pチャネル電界効果トランジスタ411のドレインと基準電位ノードとの間に接続される。
【0030】
pチャネル電界効果トランジスタ414と抵抗421は、電圧生成回路であり、基準電圧V2を生成する。pチャネル電界効果トランジスタ417のゲートは、基準電圧V2を受ける。pチャネル電界効果トランジスタ414は、ソースが電源電位ノードに接続され、ゲートがpチャネル電界効果トランジスタ431及び432のゲートに接続され、ドレインがpチャネル電界効果トランジスタ417のゲートに接続される。抵抗421は、pチャネル電界効果トランジスタ414のドレインと基準電位ノードとの間に接続される。
【0031】
オペアンプ422は、-入力端子がpチャネル電界効果トランジスタ416のゲートに接続され、+入力端子がpチャネル電界効果トランジスタ417のドレインに接続され、出力端子がpチャネル電界効果トランジスタ415及び433のゲートに接続される。
【0032】
pチャネル電界効果トランジスタ403は、ソースが電源電位ノードに接続され、ゲート及びドレインが互いに接続される。pチャネル電界効果トランジスタ404は、ドレインがpチャネル電界効果トランジスタ403のドレインに接続され、ゲートがBGRバイアス生成器405に接続され、ソースが基準電位ノードに接続される。また、pチャネル電界効果トランジスタ403のゲートは、pチャネル電界効果トランジスタ431及び432のゲートに接続される。
【0033】
BGRバイアス生成器405は、BGR(Band Gap Reference)電圧を生成し、生成したBGR電圧をバイアス電圧(第2のバイアス電圧)としてpチャネル電界効果トランジスタ404のゲートに供給する。これによって、pチャネル電界効果トランジスタ403のゲートにおいて、電流源回路用のバイアス電圧(第1のバイアス電圧)が生成され、生成されたバイアス電圧がpチャネル電界効果トランジスタ411~414、431、432の各ゲートに供給される。
【0034】
pチャネル電界効果トランジスタ403、411~414、431及び432は、カレントミラー回路である。pチャネル電界効果トランジスタ412、413、431及び432には、電流Ibが流れる。pチャネル電界効果トランジスタ411には、例えばトランジスタサイズの調整によって、電流量が電流Ibの3/2倍である電流Ib×3/2が流れる。pチャネル電界効果トランジスタ414には、例えばトランジスタサイズの調整によって、電流量が電流Ibの1/2倍である電流Ib×1/2が流れる。
【0035】
pチャネル電界効果トランジスタ416のゲートには、基準電圧V1が入力される。pチャネル電界効果トランジスタ417のゲートには、基準電圧V2が入力される。基準電圧V1及びV2は、相互に異なる電圧である。基準電圧V1は、基準電圧V2より高い。
【0036】
pチャネル電界効果トランジスタ416及び417は、ゲートにおいて基準電圧V1及びV2を受け、ドレインにおいてレプリカ出力信号V3及びV4を生成する。レプリカ出力信号V3は、pチャネル電界効果トランジスタ417のドレインの信号である。レプリカ出力信号V4は、pチャネル電界効果トランジスタ416のドレインの信号である。レプリカ増幅回路部402は、基準電圧V1及びV2の差動入力信号を増幅し、レプリカ出力信号V3及びV4の差動出力信号を出力する。レプリカ増幅回路部402は、可変容量203及びインダクタ207,208のレプリカを有しないので、周波数に対して利得が略一定である。
【0037】
オペアンプ422は、レプリカ出力信号V3と基準電圧V1との差に応じて、制御信号をpチャネル電界効果トランジスタ415及び433のゲートに供給する。オペアンプ422は、レプリカ増幅回路部402の利得が一定になるように制御信号を生成する。
【0038】
なお、オペアンプ422は、レプリカ出力信号V4と基準電圧V2との差に応じて、制御信号を出力してもよい。
【0039】
増幅回路部401及びレプリカ増幅回路部402の利得は、温度により変動する。例えば、増幅回路部401及びレプリカ増幅回路部402の利得が上昇し、差動出力端子Vopの信号及びレプリカ出力信号V3が上昇する。すると、レプリカ出力信号V3と基準電圧V1の差が大きくなり、オペアンプ422が出力する制御信号が上昇する。すると、pチャネル電界効果トランジスタ415のドレイン及びソース間の抵抗が高くなり、レプリカ増幅回路部402の利得が下がる。その結果、レプリカ出力信号V3が下降する。上記の制御により、オペアンプ422は、レプリカ増幅回路部402の利得が一定になるように制御信号を生成する。
【0040】
同様に、pチャネル電界効果トランジスタ433のドレイン及びソース間の抵抗が高くなり、差動増幅回路部401の利得が下がる。その結果、差動出力端子Vopの信号が下降する。増幅回路部401の直流の利得は、温度にかかわらず、一定に制御される。
【0041】
差動増幅回路400は、レプリカ増幅回路部402を用いることにより、簡単な制御で、差動増幅回路部401の直流の利得を一定にすることができる。また、差動増幅回路部401は、pチャネル電界効果トランジスタ433を用いて直流の利得を制御するので、一対の入力ノードVip及びVinに対して、追加して接続する素子がなく、入力負荷が増加しないため、差動増幅回路400において動作の高速性を保つことができる。
【0042】
(第2の実施形態)
図5は、第2の実施形態による差動増幅回路500の構成例を示す回路図である。
図1のCTLE114は、差動増幅回路500を有する。差動増幅回路500は、
図4の差動増幅回路400に対して、pチャネル電界効果トランジスタの代わりにnチャネル電界効果トランジスタを設け、nチャネル電界効果トランジスタの代わりにpチャネル電界効果トランジスタを設けたものである。
【0043】
差動増幅回路500は、差動増幅回路部501と、レプリカ増幅回路部502と、nチャネル電界効果トランジスタ503と、pチャネル電界効果トランジスタ504と、BGRバイアス生成器405とを有する。
【0044】
差動増幅回路部501は、nチャネル電界効果トランジスタ531~533と、可変容量203と、nチャネル電界効果トランジスタ534,535と、インダクタ207,208と、抵抗209,210とを有する。
【0045】
nチャネル電界効果トランジスタ531は、電流源回路であり、ソースが基準電位ノードに接続される。nチャネル電界効果トランジスタ532は、電流源回路であり、ソースが基準電位ノードに接続され、ゲートがnチャネル電界効果トランジスタ531のゲートに接続される。
【0046】
可変容量203は、nチャネル電界効果トランジスタ531のドレインとnチャネル電界効果トランジスタ532のドレインとの間に接続される。nチャネル電界効果トランジスタ533は、ソースがnチャネル電界効果トランジスタ535のソースに接続され、ゲートがオペアンプ422の出力端子に接続され、ドレインがnチャネル電界効果トランジスタ534のソースに接続される。nチャネル電界効果トランジスタ533は、ゲートにおいて、オペアンプ422が出力する制御信号を受け、その制御信号に応じて、ドレイン及びソース間の抵抗が変わる。
【0047】
nチャネル電界効果トランジスタ534は、ソースがnチャネル電界効果トランジスタ531のドレインに接続され、ゲートが差動入力端子Vipに接続され、ドレインが差動出力端子Vonに接続される。nチャネル電界効果トランジスタ535は、ソースがnチャネル電界効果トランジスタ532のドレインに接続され、ゲートが差動入力端子Vinに接続され、ドレインが差動出力端子Vopに接続される。
【0048】
インダクタ207と抵抗209の直列接続回路は、負荷回路であり、nチャネル電界効果トランジスタ534のドレインと、電源電位ノードとの間に接続される。インダクタ208と抵抗210の直列接続回路は、負荷回路であり、nチャネル電界効果トランジスタ535のドレインと、電源電位ノードとの間に接続される。
【0049】
nチャネル電界効果トランジスタ534及び535は、ゲートの差動入力端子Vip及びVinにおいて差動入力信号を受け、ドレインの出力端子Vop及びVonにおいて差動出力信号を生成する。オペアンプ422がnチャネル電界効果トランジスタ533のゲートの制御信号を制御することにより、nチャネル電界効果トランジスタ533のドレイン及びソース間の抵抗が制御され、差動増幅回路部501の直流の利得が一定に制御される。
【0050】
レプリカ増幅回路部502は、差動増幅回路部501のレプリカである。レプリカ増幅回路部502は、nチャネル電界効果トランジスタ511~517と、抵抗418~421と、オペアンプ422とを有する。
【0051】
nチャネル電界効果トランジスタ512は、nチャネル電界効果トランジスタ531のレプリカトランジスタであり、ソースが基準電位ノードに接続され、ゲートがnチャネル電界効果トランジスタ531及び532のゲートに接続される。nチャネル電界効果トランジスタ513は、nチャネル電界効果トランジスタ532のレプリカトランジスタであり、ソースが基準電位ノードに接続され、ゲートがnチャネル電界効果トランジスタ531及び532のゲートに接続される。
【0052】
nチャネル電界効果トランジスタ515は、nチャネル電界効果トランジスタ533のレプリカトランジスタであり、ソースがnチャネル電界効果トランジスタ517のソースに接続され、ゲートがオペアンプ422の出力端子に接続され、ドレインがnチャネル電界効果トランジスタ516のソースに接続される。
【0053】
nチャネル電界効果トランジスタ516は、nチャネル電界効果トランジスタ534のレプリカトランジスタであり、ソースがnチャネル電界効果トランジスタ512のドレインに接続される。nチャネル電界効果トランジスタ517は、nチャネル電界効果トランジスタ535のレプリカトランジスタであり、ソースがnチャネル電界効果トランジスタ513のドレインに接続される。
【0054】
抵抗419は、負荷回路であり、抵抗209のレプリカである。抵抗419は、nチャネル電界効果トランジスタ516のドレインと電源電位ノードとの間に接続される。
【0055】
抵抗420は、負荷回路であり、抵抗210のレプリカである。抵抗420は、nチャネル電界効果トランジスタ517のドレインと電源電位ノードとの間に接続される。
【0056】
nチャネル電界効果トランジスタ511と抵抗418は、電圧生成回路であり、基準電圧V1を生成する。nチャネル電界効果トランジスタ516のゲートは、基準電圧V1を受ける。nチャネル電界効果トランジスタ511は、ソースが基準電位ノードに接続され、ゲートがnチャネル電界効果トランジスタ531及び532のゲートに接続され、ドレインがnチャネル電界効果トランジスタ516のゲートに接続される。抵抗418は、nチャネル電界効果トランジスタ511のドレインと電源電位ノードとの間に接続される。
【0057】
nチャネル電界効果トランジスタ514と抵抗421は、電圧生成回路であり、基準電圧V2を生成する。nチャネル電界効果トランジスタ517のゲートは、基準電圧V2を受ける。nチャネル電界効果トランジスタ514は、ソースが基準電位ノードに接続され、ゲートがnチャネル電界効果トランジスタ531及び532のゲートに接続され、ドレインがnチャネル電界効果トランジスタ517のゲートに接続される。抵抗421は、nチャネル電界効果トランジスタ514のドレインと電源電位ノードとの間に接続される。
【0058】
オペアンプ422は、-入力端子がnチャネル電界効果トランジスタ516のゲートに接続され、+入力端子がnチャネル電界効果トランジスタ517のドレインに接続され、出力端子がnチャネル電界効果トランジスタ515及び533のゲートに接続される。
【0059】
nチャネル電界効果トランジスタ503は、ソースが基準電位ノードに接続され、ゲート及びドレインがnチャネル電界効果トランジスタ514のゲートに接続される。pチャネル電界効果トランジスタ504は、ドレインがnチャネル電界効果トランジスタ503のドレインに接続され、ゲートがBGRバイアス生成器405に接続され、ソースが電源電位ノードに接続される。
【0060】
BGRバイアス生成器405は、BGR電圧を生成し、生成したBGR電圧をバイアス電圧(第3のバイアス電圧)としてnチャネル電界効果トランジスタ504のゲートに供給する。これによって、nチャネル電界効果トランジスタ503のゲートにおいて、電流源回路用のバイアス電圧(第1のバイアス電圧)が生成され、生成されたバイアス電圧がnチャネル電界効果トランジスタ511~514、531、532の各ゲートに供給される。
【0061】
nチャネル電界効果トランジスタ503、511~514、531及び532は、カレントミラー回路である。nチャネル電界効果トランジスタ512、513、531及び532には、電流Ibが流れる。nチャネル電界効果トランジスタ511には、電流Ib×3/2が流れる。nチャネル電界効果トランジスタ514には、電流Ib×1/2が流れる。
【0062】
nチャネル電界効果トランジスタ516のゲートには、基準電圧V1が入力される。nチャネル電界効果トランジスタ517のゲートには、基準電圧V2が入力される。基準電圧V1及びV2は、相互に異なる電圧である。基準電圧V1は、基準電圧V2より低い。
【0063】
nチャネル電界効果トランジスタ516及び517は、ゲートにおいて基準電圧V1及びV2を受け、ドレインにおいてレプリカ出力信号V3及びV4を生成する。レプリカ出力信号V3は、nチャネル電界効果トランジスタ517のドレインの信号である。レプリカ出力信号V4は、nチャネル電界効果トランジスタ516のドレインの信号である。レプリカ増幅回路部502は、基準電圧V1及びV2の差動入力信号を増幅し、レプリカ出力信号V3及びV4の差動出力信号を出力する。レプリカ増幅回路部502は、可変容量203及びインダクタ207,208のレプリカを有しないので、周波数に対して利得が略一定である。
【0064】
オペアンプ422は、レプリカ出力信号V3と基準電圧V1との差に応じて、制御信号をnチャネル電界効果トランジスタ515及び533のゲートに供給する。オペアンプ422は、レプリカ増幅回路部502の利得が一定になるように制御信号を生成する。
【0065】
なお、オペアンプ422は、レプリカ出力信号V4と基準電圧V2との差に応じて、制御信号を出力してもよい。
【0066】
増幅回路部501及びレプリカ増幅回路部502の利得は、温度により変動する。例えば、増幅回路部501及びレプリカ増幅回路部502の利得が減少し、差動出力端子Vopの信号及びレプリカ出力信号V3が上昇する。すると、レプリカ出力信号V3と基準電圧V1の差が大きくなり、オペアンプ422が出力する制御信号が上昇する。すると、nチャネル電界効果トランジスタ515のドレイン及びソース間の抵抗が低くなり、レプリカ増幅回路部502の利得が上がる。その結果、レプリカ出力信号V3が下降する。上記の制御により、オペアンプ422は、レプリカ増幅回路部502の利得が一定になるように制御信号を生成する。
【0067】
同様に、nチャネル電界効果トランジスタ533のドレイン及びソース間の抵抗が低くなり、差動増幅回路部501の利得が上がる。その結果、差動出力端子Vopの信号が下降する。増幅回路部501の直流の利得は、温度にかかわらず、一定に制御される。
【0068】
差動増幅回路500は、レプリカ増幅回路部502を用いることにより、簡単な制御で、差動増幅回路部501の直流の利得を一定にすることができる。また、差動増幅回路部501は、nチャネル電界効果トランジスタ533を用いて直流の利得を制御するので、一対の入力ノードVip及びVinに対して、追加して接続する素子がなく、入力負荷が増加しないため、差動増幅回路500において動作の高速性を保つことができる。
【0069】
(第3の実施形態)
図6は、第3の実施形態による差動増幅回路400の構成例を示す回路図である。
図6の差動増幅回路400は、
図4の差動増幅回路400に対して、可変容量203とインダクタ207,208を削除したものである。抵抗209は、負荷回路であり、pチャネル電界効果トランジスタ205のドレインと基準電位ノードとの間に接続される。抵抗210は、負荷回路であり、pチャネル電界効果トランジスタ206のドレインと基準電位ノードとの間に接続される。差動増幅回路部401は、周波数に対して利得が略一定になる。
【0070】
第3の実施形態では、第1の実施形態と同様に、オペアンプ422は、温度にかかわらず、差動増幅回路部401とレプリカ増幅回路部402の利得が一定になるように制御信号を生成する。差動増幅回路400は、レプリカ増幅回路部402を用いることにより、簡単な制御で、差動増幅回路部401の利得を一定にすることができる。また、差動増幅回路部401は、pチャネル電界効果トランジスタ433を用いて直流の利得を制御するので、一対の入力ノードVip及びVinに対して、追加して接続する素子がなく、入力負荷が増加しないため、差動増幅回路400において動作の高速性を保つことができる。
【0071】
なお、
図5の差動増幅回路500においても、可変容量203とインダクタ207,208を削除することができる。
【0072】
上記実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその技術思想、又はその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0073】
差動増幅回路において、簡単な制御で、かつ、動作の高速性を保ちつつ差動増幅回路部の利得を一定にすることができる。