(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-12
(45)【発行日】2024-03-21
(54)【発明の名称】固体冷却モジュール
(51)【国際特許分類】
F25B 21/00 20060101AFI20240313BHJP
【FI】
F25B21/00 A
(21)【出願番号】P 2023110198
(22)【出願日】2023-07-04
(62)【分割の表示】P 2021551246の分割
【原出願日】2020-09-28
【審査請求日】2023-07-04
(31)【優先権主張番号】P 2019180473
(32)【優先日】2019-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成30年度、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構NEDO先導研究プログラム/エネルギー・環境新技術先導研究プログラム、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】寺木 潤一
【審査官】西山 真二
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-112606(JP,A)
【文献】特開2006-308197(JP,A)
【文献】特開2016-80205(JP,A)
【文献】特表2012-520986(JP,A)
【文献】特開2020-41791(JP,A)
【文献】特開2015-124927(JP,A)
【文献】特開2012-237497(JP,A)
【文献】特表2016-507714(JP,A)
【文献】特許第6865902(JP,B1)
【文献】特許第7111968(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25B 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれが固体冷媒物質(23)を収容する複数の収容部(22)を備え、複数の上記収容部(22)内を流れる熱媒体を加熱または冷却する固体冷却モジュール(20)であって、
複数の上記収容部(22)の少なくとも一部は、上記熱媒体の流れに対して互いに直列に接続されており、
各上記収容部(22)は、低温側流入ポート(25a)、低温側流出ポート(26a)、高温側流入ポート(27a)、および高温側流出ポート(28a)を有し、
各上記収容部(22)では、上記低温側流入ポート(25a)から上記固体冷媒物質(23)を経由して上記高温側流出ポート(28a)へ上記熱媒体が流れるか、または上記高温側流入ポート(27a)から上記固体冷媒物質(23)を経由して上記低温側流出ポート(26a)へ上記熱媒体が流れる
ことを特徴とする固体冷却モジュール。
【請求項2】
請求項1において、
複数の上記収容部(22)は、上記固体冷却モジュール(20)の長手方向である所定方向に延び、かつ該所定方向と交差する方向に並んでいる
ことを特徴とする固体冷却モジュール。
【請求項3】
請求項2において、
各上記収容部(22)は、上記固体冷媒物質(23)に対して上記熱媒体を出入りさせるための、上記所定方向に延びる低温側流入路(25)、低温側流出路(26)、高温側流入路(27)、および高温側流出路(28)を備え、
上記低温側流入路(25)、上記低温側流出路(26)、上記高温側流入路(27)、および上記高温側流出路(28)は、複数の上記収容部(22)が並ぶ方向と上記所定方向との両方に交差する方向において上記固体冷媒物質(23)と並んでいる
ことを特徴とする固体冷却モジュール。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項において、
複数の上記収容部(22)の少なくとも一部は、上記熱媒体の流れに対して互いに並列に接続されている
ことを特徴とする固体冷却モジュール。
【請求項5】
請求項4において、
互いに並列に接続された複数の上記収容部(22)でそれぞれ構成される複数の並列ブロック(29a,29b)を備え、
複数の上記並列ブロック(29a,29b)は、上記熱媒体の流れに対して互いに直列に接続されている
ことを特徴とする固体冷却モジュール。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項において、
各上記収容部(22)は、上記固体冷媒物質(23)に対して上記熱媒体を出入りさせるための、上記固体冷却モジュール(20)の長手方向に延びる低温側流入路(25)、低温側流出路(26)、高温側流入路(27)、および高温側流出路(28)を有すると共に、上記低温側流入路(25)の入口である上記低温側流入ポート(25a)、上記低温側流出路(26)の出口である上記低温側流出ポート(26a)、上記高温側流入路(27)の入口である上記高温側流入ポート(27a)、および上記高温側流出路(28)の出口である上記高温側流出ポート(28a)を有し、
複数の上記収容部(22)のうち最も低温寄りに配置される各上記収容部(22)の上記低温側流入ポート(25a)および上記低温側流出ポート(26a)と、複数の上記収容部(22)のうち最も高温寄りに配置される各上記収容部(22)の上記高温側流入ポート(27a)および上記高温側流出ポート(28a)とが、上記固体冷却モジュール(20)において長手方向の片側に配置されている
ことを特徴とする固体冷却モジュール。
【請求項7】
請求項1~5のいずれか1項において、
各上記収容部(22)は、上記固体冷媒物質(23)に対して上記熱媒体を出入りさせるための、上記固体冷却モジュール(20)の長手方向に延びる低温側流入路(25)、低温側流出路(26)、高温側流入路(27)、および高温側流出路(28)を有すると共に、上記低温側流入路(25)の入口である上記低温側流入ポート(25a)、上記低温側流出路(26)の出口である上記低温側流出ポート(26a)、上記高温側流入路(27)の入口である上記高温側流入ポート(27a)、および上記高温側流出路(28)の出口である上記高温側流出ポート(28a)を有し、
複数の上記収容部(22)のうち最も低温寄りに配置される各上記収容部(22)の上記低温側流入ポート(25a)および上記低温側流出ポート(26a)と、複数の上記収容部(22)のうち最も高温寄りに配置される各上記収容部(22)の上記高温側流入ポート(27a)および上記高温側流出ポート(28a)とが、上記固体冷却モジュール(20)において互いに長手方向の逆側に配置されている
ことを特徴とする固体冷却モジュール。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項において、
各上記収容部(22)は、上記固体冷媒物質(23)に対して上記熱媒体を出入りさせるための、上記固体冷却モジュール(20)の長手方向に延びる低温側流入路(25)、低温側流出路(26)、高温側流入路(27)、および高温側流出路(28)を有すると共に、上記低温側流入路(25)の入口である上記低温側流入ポート(25a)、上記低温側流出路(26)の出口である上記低温側流出ポート(26a)、上記高温側流入路(27)の入口である上記高温側流入ポート(27a)、および上記高温側流出路(28)の出口である上記高温側流出ポート(28a)を有し、
複数の上記収容部(22)のうち最も低温寄りに配置される各上記収容部(22)の上記低温側流入ポート(25a)に連通する低温端流入ポート(73)と、
複数の上記収容部(22)のうち最も低温寄りに配置される各上記収容部(22)の上記低温側流出ポート(26a)に連通する低温端流出ポート(74)と、
複数の上記収容部(22)のうち最も高温寄りに配置される各上記収容部(22)の上記高温側流入ポート(27a)に連通する高温端流入ポート(71)と、
複数の上記収容部(22)のうち最も高温寄りに配置される各上記収容部(22)の上記高温側流出ポート(28a)に連通する高温端流出ポート(72)とを備える
ことを特徴とする固体冷却モジュール。
【請求項9】
請求項8において、
低温内部流入路(87)、低温内部流出路(88)、高温内部流入路(85)、および高温内部流出路(86)を有するヘッダ構造(32,42,52,62)を備え、
上記低温内部流入路(87)は、複数の上記収容部(22)のうち最も低温寄りに配置される各上記収容部(22)の上記低温側流入ポート(25a)と上記低温端流入ポート(73)とを連通させ、
上記低温内部流出路(88)は、複数の上記収容部(22)のうち最も低温寄りに配置される各上記収容部(22)の上記低温側流出ポート(26a)と上記低温端流出ポート(74)とを連通させ、
上記高温内部流入路(85)は、複数の上記収容部(22)のうち最も高温寄りに配置される各上記収容部(22)の上記高温側流入ポート(27a)と上記高温端流入ポート(71)とを連通させ、
上記高温内部流出路(86)は、複数の上記収容部(22)のうち最も高温寄りに配置される各上記収容部(22)の上記高温側流出ポート(28a)と上記高温端流出ポート(72)とを連通させる
ことを特徴とする固体冷却モジュール。
【請求項10】
請求項9において、
上記ヘッダ構造(32,42,52,62)は、第1直列内部流路(91,93,95,97)および第2直列内部流路(92,94,96,98)をさらに有し、
上記第1直列内部流路(91,93,95,97)は、上記収容部(22)の上記低温側流出ポート(26a)と、他の上記収容部(22)の上記高温側流入ポート(27a)とを上記熱媒体の流れに対して直列接続することで、複数の上記収容部(22)を介して上記高温端流入ポート(71)を上記低温端流出ポート(74)に連通させ、
上記第2直列内部流路(92,94,96,98)は、上記収容部(22)の上記高温側流出ポート(28a)と、他の上記収容部(22)の上記低温側流入ポート(25a)とを上記熱媒体の流れに対して直列接続することで、複数の上記収容部(22)を介して上記低温端流入ポート(73)を上記高温端流出ポート(72)に連通させる
ことを特徴とする固体冷却モジュール。
【請求項11】
請求項10において、
上記ヘッダ構造(32,42,52,62)は、
上記低温内部流入路(87)および上記低温内部流出路(88)を有する低温側ヘッダ(42)と、上記高温内部流入路(85)および上記高温内部流出路(86)を有する高温側ヘッダ(32)とを備えるか、
または、
上記低温内部流入路(87)、上記低温内部流出路(88)、上記高温内部流入路(85)、および上記高温内部流出路(86)を有する共通ヘッダ(52)と、上記第1直列内部流路(91,93,95,97)および上記第2直列内部流路(92,94,96,98)を有する接続ヘッダ(62)とを備える
ことを特徴とする固体冷却モジュール。
【請求項12】
請求項11において、
上記低温内部流入路(87)、上記低温内部流出路(88)、上記高温内部流入路(85)、上記高温内部流出路(86)、上記第1直列内部流路(91,93,95,97)、および上記第2直列内部流路(92,94,96,98)は、上記低温側ヘッダ(42)もしくは上記高温側ヘッダ(32)、または上記共通ヘッダ(52)もしくは上記接続ヘッダ(62)に設けられた単層構造または複層構造で構成される
ことを特徴とする固体冷却モジュール。
【請求項13】
請求項11において、
上記ヘッダ構造(32,42,52,62)は、上記低温側ヘッダ(42)と、上記高温側ヘッダ(32)とを備え、
上記低温内部流入路(87)および上記低温内部流出路(88)は、上記低温側ヘッダ(42)に設けられた単層構造または複層構造で構成され、
上記高温内部流入路(85)および上記高温内部流出路(86)は、上記高温側ヘッダ(32)に設けられた単層構造または複層構造で構成される
ことを特徴とする固体冷却モジュール。
【請求項14】
請求項13において、
上記低温側ヘッダ(42)および上記高温側ヘッダ(32)の各々は、上記収容部(22)に面する第1面(34a,44a)と、該第1面(34a,44a)の裏側の第2面(35a,45a)とを有し、
単層構造の上記低温内部流入路(87)および上記低温内部流出路(88)は、上記低温側ヘッダ(42)の内部において上記第1面(44a)側に形成された溝(87,88)により構成される一方、複層構造の上記低温内部流入路(87)および上記低温内部流出路(88)は、上記低温側ヘッダ(42)の内部において上記第1面(44a)側および上記第2面(45a)側の少なくとも一方に形成された溝(87,88)により構成され、
単層構造の上記高温内部流入路(85)および上記高温内部流出路(86)は、上記高温側ヘッダ(32)の内部において上記第1面(34a)側に形成された溝(85,86)により構成される一方、複層構造の上記高温内部流入路(85)および上記高温内部流出路(86)は、上記高温側ヘッダ(32)の内部において上記第1面(34a)側および上記第2面(35a)側の少なくとも一方に形成された溝(85,86)により構成される
ことを特徴とする固体冷却モジュール。
【請求項15】
請求項11において、
上記ヘッダ構造(32,42,52,62)は、上記共通ヘッダ(52)と、上記接続ヘッダ(62)とを備え、
上記低温内部流入路(87)、上記低温内部流出路(88)、上記高温内部流入路(85)、および上記高温内部流出路(86)は、上記共通ヘッダ(52)に設けられた単層構造または複層構造で構成され、
上記第1直列内部流路(91,93,95,97)および上記第2直列内部流路(92,94,96,98)は、上記接続ヘッダ(62)に設けられた単層構造または複層構造で構成される
ことを特徴とする固体冷却モジュール。
【請求項16】
請求項15において、
上記共通ヘッダ(52)および上記接続ヘッダ(62)の各々は、上記収容部(22)に面する第1面(54a,64a)と、該第1面(54a,64a)の裏側の第2面(55a,63b)とを有し、
単層構造の上記低温内部流入路(87)、上記低温内部流出路(88)、上記高温内部流入路(85)、および上記高温内部流出路(86)は、上記共通ヘッダ(52)の内部において上記第1面(54a)側に形成された溝(85~88)により構成される一方、複層構造の上記低温内部流入路(87)、上記低温内部流出路(88)、上記高温内部流入路(85)、および上記高温内部流出路(86)は、上記共通ヘッダ(52)の内部において上記第1面(54a)側および上記第2面(55a)側の少なくとも一方に形成された溝(85~88)により構成され、
単層構造の上記第1直列内部流路(91,93,95,97)および上記第2直列内部流路(92,94,96,98)は、上記接続ヘッダ(62)の内部において上記第1面(64a)側に形成された溝(91~98)により構成される一方、複層構造の上記第1直列内部流路(91,93,95,97)および上記第2直列内部流路(92,94,96,98)は、上記接続ヘッダ(62)の内部において上記第1面(64a)側および上記第2面(63b)側の少なくとも一方に形成された溝(91~98)により構成される
ことを特徴とする固体冷却モジュール。
【請求項17】
請求項9~16のいずれか1項において、
複数の上記収容部(22)は、上記ヘッダ構造(32,42,52,62)により互いに一体化されている
ことを特徴とする固体冷却モジュール。
【請求項18】
請求項9~17のいずれか1項において、
上記ヘッダ構造(32,42,52,62)の少なくとも一部は、熱伝導率が10W/mK以下の材料で構成される
ことを特徴とする固体冷却モジュール。
【請求項19】
請求項1~18のいずれか1項において、
上記固体冷媒物質(23)は、磁気作業物質(23)であり、
上記固体冷却モジュール(20)は、磁気冷凍モジュール(20)である
ことを特徴とする固体冷却モジュール。
【請求項20】
請求項9~18のいずれか1項において、
上記固体冷媒物質(23)は、磁気作業物質(23)であり、
上記固体冷却モジュール(20)は、磁気冷凍モジュール(20)であり、
上記ヘッダ構造(32,42,52,62)の少なくとも一部は、非磁性材料で構成される
ことを特徴とする固体冷却モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、固体冷却モジュールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、それぞれが磁気作業物質を収容する複数の収容部を備える磁気冷凍モジュールが知られている(例えば、特許文献1)。特許文献1の磁気冷凍モジュールでは、同文献の
図4に示されるように、複数の収容部が互いに並列に接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記のような磁気冷凍モジュールにおいて、複数の収容部を互いに並列に接続する以外の接続態様について、これまで詳しくは検討されてこなかった。
【0005】
本開示の目的は、新しいタイプの固体冷却モジュール、特に磁気冷凍モジュールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第1の態様は、それぞれが固体冷媒物質(23)を収容する複数の収容部(22)を備え、複数の上記収容部(22)内を流れる熱媒体を加熱または冷却する固体冷却モジュール(20)を対象とする。複数の上記収容部(22)の少なくとも一部は、上記熱媒体の流れに対して互いに直列に接続されている。
【0007】
第1の態様では、互いに直列に接続された複数の収容部(22)を、固体冷却モジュール(20)に供給される熱媒体が順次流れる。このような新しいタイプの固体冷却モジュール(20)を提供することができる。
【0008】
本開示の第2の態様は、上記第1の態様において、複数の上記収容部(22)の直列接続箇所の少なくとも一部に逆流防止部(201,202,203,204,205,206)を備えることを特徴とする。
【0009】
第2の態様では、各収容部(22)の流路(25~28)において熱媒体が流れる方向を規定できるので、流路(25~28)がデッドボリュームとなって性能が低下することを抑制できる。
【0010】
本開示の第3の態様は、上記第1又は第2の態様において、複数の上記収容部(22)は、所定方向に延び、かつ該所定方向と交差する方向に並んでいることを特徴とする。
【0011】
第3の態様では、複数の上記収容部(22)が、全体として、所定方向とこれに交差する方向との両方に広がる。このため、固体冷媒物質(23)に対して磁場等の力場を印加しやすくできる。
【0012】
本開示の第4の態様は、上記第3の態様において、各上記収容部(22)は、上記固体冷媒物質(23)に対して熱媒体を出入りさせるための、上記所定方向に延びる流路(25~28)を備え、上記流路(25~28)は、複数の上記収容部(22)が並ぶ方向と上記所定方向との両方に交差する方向において上記固体冷媒物質(23)と並んでいることを特徴とする。
【0013】
第4の態様では、複数の収容部(22)を互いに近接させて配置することができる。このため、複数の収容部(22)に対してより一層、磁場等の力場を印加しやすくできる。
【0014】
本開示の第5の態様は、上記第1~第4の態様のいずれか1つにおいて、複数の上記収容部(22)のうち直列に接続された収容部(22)同士の間の少なくとも一部に断熱層(211,212,213)を備えることを特徴とする。
【0015】
第5の態様では、互いに温度が異なる収容部(22)(固体冷媒物質(23))同士や流路(25~28)同士が隣接する場合にも、熱漏れが生じて性能が低下することを抑制できる。
【0016】
本開示の第6の態様は、上記第5の態様において、複数の上記収容部(22)のうち上記断熱層(211,212,213)を間に挟んで隣り合う各収容部(22)内を流れる上記熱媒体の温度は異なることを特徴とする。
【0017】
第6の態様では、異なる温度の熱媒体が流れる収容部(22)同士の間で熱漏れが生じて性能が低下することを抑制できる。
【0018】
本開示の第7の態様は、上記第1~第6の態様のいずれか1つにおいて、複数の上記収容部(22)の少なくとも一部は、上記熱媒体の流れに対して互いに並列に接続されていることを特徴とする。
【0019】
第7の態様では、互いに並列に接続された複数の収容部(22)を、固体冷却モジュール(20)に供給される熱媒体が一斉に流れる。
【0020】
本開示の第8の態様は、上記第7の態様において、互いに並列に接続された複数の上記収容部(22)でそれぞれ構成される複数の並列ブロック(29a,29b)を備え、複数の上記並列ブロック(29a,29b)は、上記熱媒体の流れに対して互いに直列に接続されていることを特徴とする。
【0021】
第8の態様では、互いに直列に接続された複数の並列ブロック(29a,29b)を、固体冷却モジュール(20)に供給される熱媒体が順次流れる。各並列ブロック(29a,29b)では、互いに並列に接続された複数の収容部(22)を、当該熱媒体が一斉に流れる。
【0022】
本開示の第9の態様は、上記第1~第8の態様のいずれか1つにおいて、各上記収容部(22)は、低温側流入ポート(25a)、低温側流出ポート(26a)、高温側流入ポート(27a)、および高温側流出ポート(28a)を有し、各上記収容部(22)では、上記低温側流入ポート(25a)から上記固体冷媒物質(23)を経由して上記高温側流出ポート(28a)へ上記熱媒体が流れるか、または上記高温側流入ポート(27a)から上記固体冷媒物質(23)を経由して上記低温側流出ポート(26a)へ上記熱媒体が流れることを特徴とする。
【0023】
第9の態様では、各収容部(22)において、熱媒体の2つの流通経路と、固体冷媒物質(23)に対する磁場等の力場の印加および除去とを組み合わせることで、固体冷却モジュール(20)により温熱または冷熱を生成することができる。
【0024】
本開示の第10の態様は、上記第9の態様において、上記低温側流入ポート(25a)、上記低温側流出ポート(26a)、上記高温側流入ポート(27a)、および上記高温側流出ポート(28a)の少なくとも1つに逆流防止部(201,202,203,204,205,206)が接続されることを特徴とする。尚、本開示において、「ポート」と「逆流防止部」とが接続されるとは、両者が直接接続される場合のみならず、例えば並列接続のためのヘッダ構造体などを介して両者が接続される場合をも含めるものとする。
【0025】
第10の態様では、低温側流入路(25)、低温側流出路(26)、高温側流入路(27)、および高温側流出路(28)のうち逆流防止部(201,202,203,204,205,206)が接続された流路において熱媒体が流れる方向を規定し、当該流路がデッドボリュームとなって性能が低下することを抑制できる。
【0026】
本開示の第11の態様は、上記第9又は10の態様において、最も低温寄りに配置される各上記収容部(22)の上記低温側流入ポート(25a)および上記低温側流出ポート(26a)と、最も高温寄りに配置される各上記収容部(22)の上記高温側流入ポート(27a)および上記高温側流出ポート(28a)とが、上記固体冷却モジュール(20)において片側に配置されていることを特徴とする。
【0027】
第11の態様では、当該4つのポート(25a~28a)が固体冷却モジュール(20)の片側にあるため、当該4つのポート(25a~28a)の各々に繋がる配管などを容易に設置することができる。
【0028】
本開示の第12の態様は、上記第9又は10の態様において、最も低温寄りに配置される各上記収容部(22)の上記低温側流入ポート(25a)および上記低温側流出ポート(26a)と、最も高温寄りに配置される各上記収容部(22)の上記高温側流入ポート(27a)および上記高温側流出ポート(28a)とが、上記固体冷却モジュール(20)において互いに逆側に配置されていることを特徴とする。
【0029】
第12の態様では、当該低温側流入ポート(25a)または当該低温側流出ポート(26a)を流れる熱媒体と、当該高温側流入ポート(27a)または当該高温側流出ポート(28a)を流れる熱媒体との間で無駄な熱輸送が生じるのを抑止できる。
【0030】
本開示の第13の態様は、上記第9~第12の態様のいずれか1つにおいて、最も低温寄りに配置される各上記収容部(22)の上記低温側流入ポート(25a)に連通する低温端流入ポート(73)と、最も低温寄りに配置される各上記収容部(22)の上記低温側流出ポート(26a)に連通する低温端流出ポート(74)と、最も高温寄りに配置される各上記収容部(22)の上記高温側流入ポート(27a)に連通する高温端流入ポート(71)と、最も高温寄りに配置される各上記収容部(22)の上記高温側流出ポート(28a)に連通する高温端流出ポート(72)とを備えることを特徴とする。
【0031】
第13の態様では、熱媒体は、低温端流入ポート(73)から流入して当該低温側流入ポート(25a)を経由し、複数の収容部(22)において固体冷媒物質(23)と熱交換し、そして当該高温側流出ポート(28a)を経由して高温端流出ポート(72)から流出する。あるいは、熱媒体は、高温端流入ポート(71)から流入して当該高温側流入ポート(27a)を経由し、複数の収容部(22)において固体冷媒物質(23)と熱交換し、そして当該低温側流出ポート(26a)を経由して低温端流出ポート(74)から流出する。
【0032】
本開示の第14の態様は、上記第13の態様において、低温内部流入路(87)、低温内部流出路(88)、高温内部流入路(85)、および高温内部流出路(86)を有するヘッダ構造(32,42,52,62)を備え、上記低温内部流入路(87)は、最も低温寄りに配置される各上記収容部(22)の上記低温側流入ポート(25a)と上記低温端流入ポート(73)とを連通させ、上記低温内部流出路(88)は、最も低温寄りに配置される各上記収容部(22)の上記低温側流出ポート(26a)と上記低温端流出ポート(74)とを連通させ、上記高温内部流入路(85)は、最も高温寄りに配置される各上記収容部(22)の上記高温側流入ポート(27a)と上記高温端流入ポート(71)とを連通させ、上記高温内部流出路(86)は、最も高温寄りに配置される各上記収容部(22)の上記高温側流出ポート(28a)と上記高温端流出ポート(72)とを連通させることを特徴とする。
【0033】
第14の態様では、熱媒体は、低温端流入ポート(73)から流入して低温内部流入路(87)および当該低温側流入ポート(25a)を経由し、複数の収容部(22)において固体冷媒物質(23)と熱交換し、そして当該高温側流出ポート(28a)および高温内部流出路(86)を経由して高温端流出ポート(72)から流出する。あるいは、熱媒体は、高温端流入ポート(71)から流入して高温内部流入路(85)および当該高温側流入ポート(27a)を経由し、複数の収容部(22)において固体冷媒物質(23)と熱交換し、そして当該低温側流出ポート(26a)および低温内部流出路(88)を経由して低温端流出ポート(74)から流出する。
【0034】
本開示の第15の態様は、上記第14の態様において、上記ヘッダ構造(32,42,52,62)は、第1直列内部流路(91,93,95,97)および第2直列内部流路(92,94,96,98)をさらに有し、上記第1直列内部流路(91,93,95,97)は、上記収容部(22)の上記低温側流出ポート(26a)と、他の上記収容部(22)の上記高温側流入ポート(27a)とを上記熱媒体の流れに対して直列接続することで、複数の上記収容部(22)を介して上記高温端流入ポート(71)を上記低温端流出ポート(74)に連通させ、上記第2直列内部流路(92,94,96,98)は、上記収容部(22)の上記高温側流出ポート(28a)と、他の上記収容部(22)の上記低温側流入ポート(25a)とを上記熱媒体の流れに対して直列接続することで、複数の上記収容部(22)を介して上記低温端流入ポート(73)を上記高温端流出ポート(72)に連通させることを特徴とする。
【0035】
第15の態様では、第1直列内部流路(91,93,95,97)および第2直列内部流路(92,94,96,98)により、複数の収容部(22)間の直列接続が実現される。熱媒体は、低温端流入ポート(73)から流入して複数の収容部(22)を順次流れ、そして高温端流出ポート(72)から流出する。あるいは、熱媒体は、高温端流入ポート(71)から流入して複数の収容部(22)を順次流れ、そして低温端流出ポート(74)から流出する。
【0036】
本開示の第16の態様は、上記第15の態様において、上記ヘッダ構造(32,42,52,62)は、上記低温内部流入路(87)および上記低温内部流出路(88)を有する低温側ヘッダ(42)と、上記高温内部流入路(85)および上記高温内部流出路(86)を有する高温側ヘッダ(32)とを備えるか、または、上記低温内部流入路(87)、上記低温内部流出路(88)、上記高温内部流入路(85)、および上記高温内部流出路(86)を有する共通ヘッダ(52)と、上記第1直列内部流路(91,93,95,97)および上記第2直列内部流路(92,94,96,98)を有する接続ヘッダ(62)とを備えることを特徴とする。
【0037】
第16の態様では、熱媒体は、低温側ヘッダ(42)から複数の収容部(22)を経由して高温側ヘッダ(32)へ、もしくはその逆に流れるか、または共通ヘッダ(52)から複数の収容部(22)および接続ヘッダ(62)を経由して共通ヘッダ(52)へ流れる。
【0038】
本開示の第17の態様は、上記第16の態様において、上記低温内部流入路(87)、上記低温内部流出路(88)、上記高温内部流入路(85)、上記高温内部流出路(86)、上記第1直列内部流路(91,93,95,97)、および上記第2直列内部流路(92,94,96,98)は、上記低温側ヘッダ(42)もしくは上記高温側ヘッダ(32)、または上記共通ヘッダ(52)もしくは上記接続ヘッダ(62)に設けられた単層構造または複層構造で構成されることを特徴とする。
【0039】
第17の態様では、低温内部流入路(87)、低温内部流出路(88)、高温内部流入路(85)、高温内部流出路(86)、第1直列内部流路(91,93,95,97)、および第2直列内部流路(92,94,96,98)を単層構造で構成することで各ヘッダ(32,42,52,62)を容易に製造できる一方、それらを複層構造で構成することで各ヘッダ(32,42,52,62)を小型化することができる。
【0040】
本開示の第18の態様は、上記第16の態様において、上記ヘッダ構造(32,42,52,62)は、上記低温側ヘッダ(42)と、上記高温側ヘッダ(32)とを備え、上記低温内部流入路(87)および上記低温内部流出路(88)は、上記低温側ヘッダ(42)に設けられた単層構造または複層構造で構成され、上記高温内部流入路(85)および上記高温内部流出路(86)は、上記高温側ヘッダ(32)に設けられた単層構造または複層構造で構成されることを特徴とする。
【0041】
第18の態様では、熱媒体は、低温側ヘッダ(42)から複数の収容部(22)を経由して高温側ヘッダ(32)へ、もしくはその逆に流れる。低温内部流入路(87)および低温内部流出路(88)を、または高温内部流入路(85)および高温内部流出路(86)を単層構造で構成することで低温側ヘッダ(42)または高温側ヘッダ(32)を容易に製造できる。一方、それらを複層構造で構成することで低温側ヘッダ(42)または高温側ヘッダ(32)を小型化することができる。
【0042】
本開示の第19の態様は、上記第18の態様において、上記低温側ヘッダ(42)および上記高温側ヘッダ(32)の各々は、上記収容部(22)に面する第1面(34a,44a)と、該第1面(34a,44a)の裏側の第2面(35a,45a)とを有し、単層構造の上記低温内部流入路(87)および上記低温内部流出路(88)は、上記低温側ヘッダ(42)の内部において上記第1面(44a)側に形成された溝(87,88)により構成される一方、複層構造の上記低温内部流入路(87)および上記低温内部流出路(88)は、上記低温側ヘッダ(42)の内部において上記第1面(44a)側および上記第2面(45a)側の少なくとも一方に形成された溝(87,88)により構成され、単層構造の上記高温内部流入路(85)および上記高温内部流出路(86)は、上記高温側ヘッダ(32)の内部において上記第1面(34a)側に形成された溝(85,86)により構成される一方、複層構造の上記高温内部流入路(85)および上記高温内部流出路(86)は、上記高温側ヘッダ(32)の内部において上記第1面(34a)側および上記第2面(35a)側の少なくとも一方に形成された溝(85,86)により構成されることを特徴とする。
【0043】
第19の態様では、単層構造または複層構造の低温内部流入路(87)、低温内部流出路(88)、高温内部流入路(85)、および高温内部流出路(86)を、低温側ヘッダ(42)または高温側ヘッダ(32)の内部に形成された溝(85~88)というシンプルな構成で実現することができる。
【0044】
本開示の第20の態様は、上記第16の態様において、上記ヘッダ構造(32,42,52,62)は、上記共通ヘッダ(52)と、上記接続ヘッダ(62)とを備え、上記低温内部流入路(87)、上記低温内部流出路(88)、上記高温内部流入路(85)、および上記高温内部流出路(86)は、上記共通ヘッダ(52)に設けられた単層構造または複層構造で構成され、上記第1直列内部流路(91,93,95,97)および上記第2直列内部流路(92,94,96,98)は、上記接続ヘッダ(62)に設けられた単層構造または複層構造で構成されることを特徴とする。
【0045】
第20の態様では、熱媒体は、共通ヘッダ(52)から複数の収容部(22)および接続ヘッダ(62)を経由して共通ヘッダ(52)へ流れる。低温内部流入路(87)、低温内部流出路(88)、高温内部流入路(85)、および高温内部流出路(86)、または第1直列内部流路(91,93,95,97)および第2直列内部流路(92,94,96,98)を単層構造で構成することで共通ヘッダ(52)または接続ヘッダ(62)を容易に製造できる。一方、それらを複層構造で構成することで共通ヘッダ(52)または接続ヘッダ(62)を小型化することができる。
【0046】
本開示の第21の態様は、上記第20の態様において、上記共通ヘッダ(52)および上記接続ヘッダ(62)の各々は、上記収容部(22)に面する第1面(54a,64a)と、該第1面(54a,64a)の裏側の第2面(55a,63b)とを有し、単層構造の上記低温内部流入路(87)、上記低温内部流出路(88)、上記高温内部流入路(85)、および上記高温内部流出路(86)は、上記共通ヘッダ(52)の内部において上記第1面(54a)側に形成された溝(85~88)により構成される一方、複層構造の上記低温内部流入路(87)、上記低温内部流出路(88)、上記高温内部流入路(85)、および上記高温内部流出路(86)は、上記共通ヘッダ(52)の内部において上記第1面(54a)側および上記第2面(55a)側の少なくとも一方に形成された溝(85~88)により構成され、単層構造の上記第1直列内部流路(91,93,95,97)および上記第2直列内部流路(92,94,96,98)は、上記接続ヘッダ(62)の内部において上記第1面(64a)側に形成された溝(91~98)により構成される一方、複層構造の上記第1直列内部流路(91,93,95,97)および上記第2直列内部流路(92,94,96,98)は、上記接続ヘッダ(62)の内部において上記第1面(64a)側および上記第2面(63b)側の少なくとも一方に形成された溝(91~98)により構成されることを特徴とする。
【0047】
第21の態様では、単層構造または複層構造の低温内部流入路(87)、低温内部流出路(88)、高温内部流入路(85)、高温内部流出路(86)、第1直列内部流路(91,93,95,97)、および第2直列内部流路(92,94,96,98)を、共通ヘッダ(52)または接続ヘッダ(62)の内部に形成された溝(85~88,91~98)というシンプルな構成で実現することができる。
【0048】
本開示の第22の態様は、上記第14~第21の態様のいずれか1つにおいて、複数の上記収容部(22)は、上記ヘッダ構造(32,42,52,62)により互いに一体化されていることを特徴とする。
【0049】
第22の態様では、ヘッダ構造(32,42,52,62)と、これによって互いに一体化された複数の収容部(22)とを1つのユニットとして取り扱うことができる。
【0050】
本開示の第23の態様は、上記第14~第22の態様のいずれか1つにおいて、上記ヘッダ構造(32,42,52,62)の少なくとも一部は、熱伝導率が10W/mK以下の材料で構成されることを特徴とする。
【0051】
第23の態様では、ヘッダ構造(32,42,52,62)の熱伝導率が低いため、当該ヘッダ構造(32,42,52,62)を介して固体冷却モジュール(20)とその外部との間で無駄な熱輸送が生じるのを抑止できる。
【0052】
本開示の第24の態様は、上記第1~第23の態様のいずれか1つにおいて、上記固体冷媒物質(23)は、磁気作業物質(23)であり、上記固体冷却モジュール(20)は、磁気冷凍モジュール(20)であることを特徴とする。
【0053】
第24の態様では、互いに直列に接続された複数の収容部(22)を、磁気冷凍モジュール(20)に供給される熱媒体が順次流れる。このような新しいタイプの磁気冷凍モジュール(20)を提供することができる。
【0054】
本開示の第25の態様は、上記第24の態様において、上記ヘッダ構造(32,42,52,62)の少なくとも一部は、非磁性材料で構成されることを特徴とする。
【0055】
第25の態様では、固体冷却モジュール(20)として磁気冷凍モジュール(20)を構成した場合、ヘッダ構造(32,42,52,62)を磁束が流れにくいため、複数の収容部(22)に効率的に磁場を印加することができる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【
図1】
図1は、実施形態1の空調システムの構成を示す回路図である。
【
図2】
図2は、実施形態1の磁気冷凍モジュールの構成を示す四面図である。
【
図3】
図3は、
図2のIII-III線に沿った断面図である。
【
図4】
図4は、実施形態1の磁気冷凍モジュールの各構成要素を示す図である。
【
図5】
図5は、熱媒体ポンプが第1動作を行うときの磁気冷凍モジュールにおける熱媒体の流れを説明するための図である。
【
図6】
図6は、熱媒体ポンプが第2動作を行うときの磁気冷凍モジュールにおける熱媒体の流れを説明するための図である。
【
図7】
図7は、実施形態1の変形例の磁気冷凍モジュールの構成を示す四面図である。
【
図8】
図8は、実施形態1の変形例の磁気冷凍モジュールの各構成要素を示す図である。
【
図9】
図9は、熱媒体ポンプが第1動作を行うときの磁気冷凍モジュールにおける熱媒体の流れを説明するための図である。
【
図10】
図10は、熱媒体ポンプが第2動作を行うときの磁気冷凍モジュールにおける熱媒体の流れを説明するための図である。
【
図11】
図11は、実施形態2の磁気冷凍モジュールの構成を示す四面図である。
【
図12】
図12は、実施形態2の磁気冷凍モジュールの各構成要素を示す図である。
【
図13】
図13は、熱媒体ポンプが第1動作を行うときの磁気冷凍モジュールにおける熱媒体の流れを説明するための図である。
【
図14】
図14は、熱媒体ポンプが第2動作を行うときの磁気冷凍モジュールにおける熱媒体の流れを説明するための図である。
【
図15】
図15は、実施形態2の変形例の磁気冷凍モジュールの構成を示す四面図である。
【
図16】
図16は、実施形態2の変形例の磁気冷凍モジュールの各構成要素を示す図である。
【
図17】
図17は、熱媒体ポンプが第1動作を行うときの磁気冷凍モジュールにおける熱媒体の流れを説明するための図である。
【
図18】
図18は、熱媒体ポンプが第2動作を行うときの磁気冷凍モジュールにおける熱媒体の流れを説明するための図である。
【
図19】
図19は、実施形態3の磁気冷凍モジュールの構成を示す四面図である。
【
図20】
図20は、実施形態3の磁気冷凍モジュールの各構成要素を示す図である。
【
図21】
図21は、熱媒体ポンプが第1動作を行うときの磁気冷凍モジュールにおける熱媒体の流れを説明するための図である。
【
図22】
図22は、熱媒体ポンプが第2動作を行うときの磁気冷凍モジュールにおける熱媒体の流れを説明するための図である。
【
図23】
図23は、実施形態3の変形例の磁気冷凍モジュールの構成を示す四面図である。
【
図24】
図24は、実施形態3の変形例の磁気冷凍モジュールの各構成要素を示す図である。
【
図25】
図25は、熱媒体ポンプが第1動作を行うときの磁気冷凍モジュールにおける熱媒体の流れを説明するための図である。
【
図26】
図26は、熱媒体ポンプが第2動作を行うときの磁気冷凍モジュールにおける熱媒体の流れを説明するための図である。
【
図27】
図27は、実施形態4の磁気冷凍モジュールの構成を示す四面図である。
【
図28】
図28は、実施形態4の磁気冷凍モジュールの各構成要素を示す図である。
【
図29】
図29は、熱媒体ポンプが第1動作を行うときの磁気冷凍モジュールにおける熱媒体の流れを説明するための図である。
【
図30】
図30は、熱媒体ポンプが第2動作を行うときの磁気冷凍モジュールにおける熱媒体の流れを説明するための図である。
【
図31】
図31は、
図4に示す磁気冷凍モジュールに逆流防止部及び断熱層をさらに設けた様子を示す図である。
【
図32】
図32は、
図31に示す逆流防止部が設けられた磁気冷凍モジュールの構成の一例を示す四面図である。
【
図34】
図34は、
図8に示す磁気冷凍モジュールに逆流防止部及び断熱層をさらに設けた様子を示す図である。
【
図35】
図35は、
図12に示す磁気冷凍モジュールに逆流防止部及び断熱層をさらに設けた様子を示す図である。
【
図36】
図36は、
図16に示す磁気冷凍モジュールに逆流防止部及び断熱層をさらに設けた様子を示す図である。
【
図37】
図37は、
図20に示す磁気冷凍モジュールに逆流防止部及び断熱層をさらに設けた様子を示す図である。
【
図38】
図38は、
図24に示す磁気冷凍モジュールに逆流防止部及び断熱層をさらに設けた様子を示す図である。
【
図39】
図39は、
図28に示す磁気冷凍モジュールに逆流防止部及び断熱層をさらに設けた様子の一例を示す図である。
【
図40】
図40は、
図28に示す磁気冷凍モジュールに逆流防止部及び断熱層をさらに設けた様子の他例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0057】
《実施形態1》
実施形態1について説明する。本実施形態の磁気冷凍モジュール(20)は、磁気熱量効果を利用して熱媒体(本実施形態における流体)の温度を調節するものであって、例えば冷専チラーとして構成された空調システム(10)に設けられる。磁気冷凍モジュール(20)は、熱量効果を利用して熱媒体の温度を調節する固体冷却モジュールである。なお、磁気冷凍モジュール(20)の用途は、これに限らない。例えば、磁気冷凍モジュール(20)は、空気調和装置に設けられてもよい。
【0058】
-空調システムの構成-
図1に示すように、空調システム(10)は、磁気冷凍モジュール(20)と、低温側熱交換器(110)と、高温側熱交換器(120)と、熱媒体ポンプ(130)とが設けられた熱媒体回路(11)を備える。熱媒体回路(11)の各構成要素は、熱媒体配管を介して互いに接続される。
【0059】
磁気冷凍モジュール(20)は、固体冷媒物質としての磁気作業物質(23)を備える。磁気冷凍モジュール(20)は、磁気作業物質(23)に磁場を印加したり除去したりすることで磁気熱量効果を生じさせ、それにより内部を流れる熱媒体を加熱または冷却する装置である。磁気冷凍モジュール(20)は、低温端流入ポート(73)と、低温端流出ポート(74)と、高温端流入ポート(71)と、高温端流出ポート(72)とを有する。低温端流入ポート(73)および高温端流入ポート(71)と、低温端流出ポート(74)および高温端流出ポート(72)とは、磁気冷凍モジュール(20)の内部で収容部(22)(
図2および
図3を参照)に連通する。低温端流入ポート(73)から流入した熱媒体は、収容部(22)内を流れて高温端流出ポート(72)から流出する。高温端流入ポート(71)から流入した熱媒体は、収容部(22)内を流れて低温端流出ポート(74)から流出する。磁気冷凍モジュール(20)の構成について、詳しくは後述する。
【0060】
低温側熱交換器(110)は、磁気冷凍モジュール(20)で冷却された熱媒体と、図示を省略する利用ユニット(例えば、エアハンドリングユニット)を流れる二次冷媒とを熱交換させる。低温側熱交換器(110)は、磁気冷凍モジュール(20)の低温端流出ポート(74)に接続される第1流入部(111)と、磁気冷凍モジュール(20)の低温端流入ポート(73)に接続される第1流出部(112)と、利用ユニットに接続される第3流入部(113)および第3流出部(114)とを有する。
【0061】
低温端流出ポート(74)と第1流入部(111)との間の熱媒体配管には、前者から後者への熱媒体の流れを許容する一方でその逆の熱媒体の流れを禁止する第1逆止弁(141)が設けられる。低温端流入ポート(73)と第1流出部(112)との間の熱媒体配管には、後者から前者への熱媒体の流れを許容する一方でその逆の熱媒体の流れを禁止する第2逆止弁(142)が設けられる。
【0062】
高温側熱交換器(120)は、磁気冷凍モジュール(20)で加熱された熱媒体と、図示を省略する熱源ユニット(例えば、クーリングタワー)を流れる二次冷媒とを熱交換させる。高温側熱交換器(120)は、磁気冷凍モジュール(20)の高温端流出ポート(72)に接続される第2流入部(121)と、磁気冷凍モジュール(20)の高温端流入ポート(71)に接続される第2流出部(122)と、熱源ユニットに接続される第4流入部(123)および第4流出部(124)とを有する。
【0063】
高温端流出ポート(72)と第2流入部(121)との間の熱媒体配管には、前者から後者への熱媒体の流れを許容する一方でその逆の熱媒体の流れを禁止する第3逆止弁(143)が設けられる。高温端流入ポート(71)と第2流出部(122)との間の熱媒体配管には、後者から前者への熱媒体の流れを許容する一方でその逆の熱媒体の流れを禁止する第4逆止弁(144)が設けられる。
【0064】
熱媒体ポンプ(130)は、磁気冷凍モジュール(20)と低温側熱交換器(110)および高温側熱交換器(120)との間で熱媒体を流す。熱媒体ポンプ(130)は、この例ではピストンポンプとして構成される。熱媒体ポンプ(130)は、シリンダ(131)と、その内部に配置されたピストン(134)とを有する。シリンダ(131)は、ピストン(134)によって第1室(132)と第2室(133)とに仕切られる。第1室(132)は、低温側熱交換器(110)と第2逆止弁(142)との間の熱媒体配管に連通する。第2室(133)は、高温側熱交換器(120)と第4逆止弁(144)との間の熱媒体配管に連通する。
【0065】
熱媒体ポンプ(130)は、ピストン(134)がシリンダ(131)内で往復運動を行うことにより、第1室(132)から熱媒体を吐出しかつ第2室(133)に熱媒体を吸入する第1動作と、第2室(133)から熱媒体を吐出しかつ第1室(132)に熱媒体を吸入する第2動作とを行うように構成される。
【0066】
-磁気冷凍モジュールの構成-
図2~
図6に示すように、磁気冷凍モジュール(20)は、それぞれが直方体状に形成された、収容部ケース(21)と、高温側ヘッダケース(31)と、低温側ヘッダケース(41)とを備える。収容部ケース(21)の一の側面(
図2の左側面)には、高温側ヘッダケース(31)が一体的に取り付けられる。収容部ケース(21)の別の側面(
図2の右側面)には、低温側ヘッダケース(41)が一体的に取り付けられる。
【0067】
図4(A)は、後述の複数の収容部(22)を
図2の左方から見た図である。ここで、各流路(25~28)における記号は、当該流路(25~28)において熱媒体が流れる方向を示す。流路(25~28)に付したハッチングは、
図4(A)における手前側が閉塞されていることを示す。ハッチングを付していない流路(25~28)は、
図4(A)における奥側が閉塞されている。
【0068】
図4(B)は、後述の第2高温側パッキン(35)を
図2の左方から見た図である。
図4(C)は、後述の第1高温側パッキン(34)を
図2の右方から見た図である。
図4(D)は、後述の高温側ヘッダ本体(33)を
図2の左方から見た図である。
図4(E)は、高温側ヘッダ本体(33)を
図2の手前から見た図である。
図4(F)は、高温側ヘッダ本体(33)を
図2の右方から見た図である。
【0069】
図4(G)は、後述の第1低温側パッキン(44)を
図2の左方から見た図である。
図4(H)は、後述の第2低温側パッキン(45)を
図2の右方から見た図である。
図4(I)は、後述の低温側ヘッダ本体(43)を
図2の左方から見た図である。
図4(J)は、低温側ヘッダ本体(43)を
図2の手前から見た図である。
図4(K)は、低温側ヘッダ本体(43)を
図2の右方から見た図である。
【0070】
〈収容部ケース〉
収容部ケース(21)には、複数(この例では、2つ)の収容部(22)が収容される。収容部ケース(21)には、複数(この例では、2つ)の貫通孔(21a)が形成されており、各貫通孔(21a)に1つの収容部(22)が収容される。
【0071】
以下では、本実施形態の2つの収容部(22)を、
図3の左から右に向かって順に、第1収容部(22a)および第2収容部(22b)ということもある。第1収容部(22a)は、最も高温寄りに配置される収容部を構成する。第2収容部(22b)は、最も低温寄りに配置される収容部を構成する。
【0072】
複数の収容部(22)は、それぞれ複数の磁気作業物質(23)を収容する。各収容部(22)において、複数の磁気作業物質(23)は、熱媒体が流れる方向(
図3の上下方向)に沿って並んでいる。複数の収容部(22)は、所定方向(
図3の紙面直交方向)に延び、かつ当該所定方向と交差する方向(
図3の左右方向)に並んでいる。この例では、複数の収容部(22)は、当該所定方向と直交する方向に並んでいる。
【0073】
各収容部(22)は、複数(この例では、4つ)の流路形成部材(24)を備える。各流路形成部材(24)は、収容部(22)が延びる方向と同じ方向に延びている。各流路形成部材(24)は、磁性材料(例えば、鉄)で構成される。
【0074】
各流路形成部材(24)は、2つずつが対になり、一方の対が磁気作業物質(23)の上方に、他方の対が磁気作業物質(23)の下方に配置される。各流路形成部材(24)は、略C字状の横断面形状を有し、各対の流路形成部材(24)は、開口側が互いに逆を向くように配置される。各流路形成部材(24)の開口部により、磁気作業物質(23)に対して熱媒体を出入りさせるための、上記所定方向に延びる複数の流路(25~28)が形成される。当該流路(25~28)は、複数の収容部(22)が並ぶ方向と上記所定方向との両方に交差する方向(
図3の上下方向)において磁気作業物質(23)と並んでいる。この例では、当該流路(25~28)は、複数の収容部(22)が並ぶ方向と上記所定方向との両方に直交する方向において磁気作業物質(23)と並んでいる。
【0075】
これら複数の流路(25~28)とは、具体的に、低温側流入路(25)、低温側流出路(26)、高温側流入路(27)、および高温側流出路(28)である。磁気冷凍モジュール(20)の横断面において、低温側流入路(25)と高温側流出路(28)とが、収容部(22)の一方の対角線に沿って対となり配置される。磁気冷凍モジュール(20)の横断面において、高温側流入路(27)と低温側流出路(26)とが、収容部(22)の他方の対角線に沿って対となり配置される。低温側流入路(25)から流入した熱媒体は、磁気作業物質(23)を流れた後に高温側流出路(28)から流出する。高温側流入路(27)から流入した熱媒体は、磁気作業物質(23)を流れた後に低温側流出路(26)から流出する。
【0076】
〈高温側ヘッダケース〉
高温側ヘッダケース(31)には、高温側ヘッダ(32)が収容される。高温側ヘッダケース(31)は、高温端流入ポート(71)および高温端流出ポート(72)を備える。高温端流入ポート(71)は、熱媒体ポンプ(130)が第2動作を行う際に、高温側熱交換器(120)から流れてきた熱媒体を磁気冷凍モジュール(20)内に導く。高温端流出ポート(72)は、熱媒体ポンプ(130)が第1動作を行う際に、磁気冷凍モジュール(20)内の熱媒体を高温側熱交換器(120)へ導く。
【0077】
高温側ヘッダ(32)は、
図2に示すように、高温側ヘッダケース(31)内において各収容部(22)に接するように配置される。高温側ヘッダ(32)は、
図2に示すように、高温側ヘッダ本体(33)と、第1高温側パッキン(34)と、第2高温側パッキン(35)とを備える。高温側ヘッダ(32)は、ヘッダ構造を構成する。
【0078】
[高温側ヘッダ本体]
高温側ヘッダ本体(33)は、やや扁平な直方体状に形成される。高温側ヘッダ本体(33)は、熱伝導率が10W/m以下の非磁性材料(例えば、樹脂)で構成される。高温側ヘッダ本体(33)は、第1高温側パッキン(34)に接する表面(33a)と、第2高温側パッキン(35)に接する裏面(33b)とを有する。高温側ヘッダ本体(33)には、それぞれが高温側ヘッダ本体(33)を厚さ方向(
図2における左右方向)に貫通する高温側流入孔(81)および高温側流出孔(82)が形成される。高温側ヘッダ本体(33)の表面(33a)には(換言すると、高温側ヘッダ(32)の内部における第1面側には)、高温内部流入溝(85)、高温内部流出溝(86)、第1直列接続溝(91)、および第2直列接続溝(92)が単層構造により形成される。
【0079】
ここで、単層構造とは、各ヘッダ本体(33,43,53,63)の表面(33a,43a,53a,63a)および裏面(33b,43b,53b,63b)の一方のみに、熱媒体が流れる流路(例えば、各溝(85~88,91~98))が形成された構造のことである。
【0080】
高温内部流入溝(85)は、第1高温側パッキン(34)を介して、高温側流入孔(81)と、第1収容部(22a)の高温側流入ポート(27a)(具体的には、第1収容部(22a)の高温側流入路(27)の入口)とを連通させる。高温内部流入溝(85)は、高温側ヘッダ本体(33)の表面(33a)において略L字状に構成される。高温内部流入溝(85)は、高温内部流入路を構成する。
【0081】
高温内部流出溝(86)は、第1高温側パッキン(34)を介して、高温側流出孔(82)と、第1収容部(22a)の高温側流出ポート(28a)(具体的には、第1収容部(22a)の高温側流出路(28)の出口)とを連通させる。高温内部流出溝(86)は、高温側ヘッダ本体(33)の表面(33a)において上方に開口する略C字状に構成される。高温内部流出溝(86)は、高温内部流出路を構成する。
【0082】
第1直列接続溝(91)は、第1高温側パッキン(34)を介して、第1収容部(22a)の低温側流出ポート(26a)(具体的には、第1収容部(22a)の低温側流出路(26)の出口)と、第2収容部(22b)の高温側流入ポート(27a)(具体的には、第2収容部(22b)の高温側流入路(27)の入口)とを直列接続により連通させる。第1直列接続溝(91)は、高温側ヘッダ本体(33)の表面(33a)において矩形状に構成される。第1直列接続溝(91)は、第1直列内部流路を構成する。
【0083】
第2直列接続溝(92)は、第1高温側パッキン(34)を介して、第1収容部(22a)の低温側流入ポート(25a)(具体的には、第1収容部(22a)の低温側流入路(25)の入口)と、第2収容部(22b)の高温側流出ポート(28a)(具体的には、第2収容部(22b)の高温側流出路(28)の出口)とを直列接続により連通させる。第2直列接続溝(92)は、高温側ヘッダ本体(33)の表面(33a)において下方に開口する略C字状に構成される。第2直列接続溝(92)は、第2直列内部流路を構成する。
【0084】
[第1高温側パッキン]
第1高温側パッキン(34)は、矩形板状の樹脂部材である。第1高温側パッキン(34)を構成する樹脂は、熱伝導率が10W/m以下の非磁性材料である。第1高温側パッキン(34)の一側面は、高温側ヘッダ本体(33)の表面(33a)に取り付けられる。第1高温側パッキン(34)の他側面(34a)は、各収容部(22)に取り付けられる。このように、第1高温側パッキン(34)、より広くは高温側ヘッダ(32)は、複数の収容部(22)を互いに一体化する。第1高温側パッキン(34)の他側面(34a)は、各収容部(22)に面する高温側ヘッダ(32)の第1面を構成する。
【0085】
第1高温側パッキン(34)には、それぞれが縦長の矩形状に構成された第1~第6パッキン孔(H1~H6)が形成される。第1~第6パッキン孔(H1~H6)は、第1高温側パッキン(34)を厚さ方向に貫通する。
【0086】
第1パッキン孔(H1)は、第2収容部(22b)の高温側流出ポート(28a)と、高温側ヘッダ本体(33)の第2直列接続溝(92)とを連通させる。第2パッキン孔(H2)は、第2収容部(22b)の高温側流入ポート(27a)と、高温側ヘッダ本体(33)の第1直列接続溝(91)とを連通させる。第3パッキン孔(H3)は、第1収容部(22a)の低温側流出ポート(26a)と、高温側ヘッダ本体(33)の第1直列接続溝(91)とを連通させる。第4パッキン孔(H4)は、第1収容部(22a)の低温側流入ポート(25a)と、高温側ヘッダ本体(33)の第2直列接続溝(92)とを連通させる。第5パッキン孔(H5)は、第1収容部(22a)の高温側流出ポート(28a)と、高温側ヘッダ本体(33)の高温内部流出溝(86)とを連通させる。第6パッキン孔(H6)は、第1収容部(22a)の高温側流入ポート(27a)と、高温側ヘッダ本体(33)の高温内部流入溝(85)とを連通させる。
【0087】
このような構成により、第1収容部(22a)の低温側流出路(26)と、第2収容部(22b)の高温側流入路(27)とが、第1直列接続溝(91)を介して互いに直列に接続される。第1収容部(22a)の低温側流入路(25)と、第2収容部(22b)の高温側流出路(28)とが、第2直列接続溝(92)を介して互いに直列に接続される。換言すると、第1収容部(22a)と第2収容部(22b)とは、互いに直列に接続される。
【0088】
[第2高温側パッキン]
第2高温側パッキン(35)は、矩形板状の樹脂部材である。第2高温側パッキン(35)を構成する樹脂は、熱伝導率が10W/m以下の非磁性材料である。第2高温側パッキン(35)の一側面は、高温側ヘッダ本体(33)の裏面(33b)に取り付けられる。第2高温側パッキン(35)の他側面(35a)は、高温側ヘッダ(32)の第1面の裏側の第2面を構成する。
【0089】
第2高温側パッキン(35)には、それぞれが円形状に構成された高温側流出パッキン孔(101)および高温側流入パッキン孔(102)が形成される。高温側流出パッキン孔(101)および高温側流入パッキン孔(102)は、第2高温側パッキン(35)を厚さ方向に貫通する。高温側流出パッキン孔(101)は、高温端流出ポート(72)と、高温側ヘッダ本体(33)の高温側流出孔(82)とを連通させる。高温側流入パッキン孔(102)は、高温端流入ポート(71)と、高温側ヘッダ本体(33)の高温側流入孔(81)とを連通させる。
【0090】
〈低温側ヘッダケース〉
低温側ヘッダケース(41)には、低温側ヘッダ(42)が収容される。低温側ヘッダケース(41)は、低温端流入ポート(73)および低温端流出ポート(74)を備える。低温端流入ポート(73)は、熱媒体ポンプ(130)が第1動作を行う際に、低温側熱交換器(110)から流れてきた熱媒体を磁気冷凍モジュール(20)内に導く。低温端流出ポート(74)は、熱媒体ポンプ(130)が第2動作を行う際に、磁気冷凍モジュール(20)内の熱媒体を低温側熱交換器(110)へ導く。
【0091】
低温側ヘッダ(42)は、
図2に示すように、低温側ヘッダケース(41)内において各収容部(22)に接するように配置される。低温側ヘッダ(42)は、
図2に示すように、低温側ヘッダ本体(43)と、第1低温側パッキン(44)と、第2低温側パッキン(45)とを備える。低温側ヘッダ(42)は、ヘッダ構造を構成する。
【0092】
[低温側ヘッダ本体]
低温側ヘッダ本体(43)は、やや扁平な直方体状に形成される。低温側ヘッダ本体(43)は、熱伝導率が10W/m以下の非磁性材料(例えば、樹脂)で構成される。低温側ヘッダ本体(43)は、第1低温側パッキン(44)に接する表面(43a)と、第2低温側パッキン(45)に接する裏面(43b)とを有する。低温側ヘッダ本体(43)には、それぞれが低温側ヘッダ本体(43)を厚さ方向(
図2における左右方向)に貫通する低温側流入孔(83)および低温側流出孔(84)が形成される。低温側ヘッダ本体(43)の表面(43a)には(換言すると、低温側ヘッダ(42)の内部における第1面側には)、低温内部流入溝(87)および低温内部流出溝(88)が単層構造により形成される。
【0093】
低温内部流入溝(87)は、第1低温側パッキン(44)を介して、低温側流入孔(83)と、第2収容部(22b)の低温側流入ポート(25a)(具体的には、第2収容部(22b)の低温側流入路(25)の入口)とを連通させる。低温内部流入溝(87)は、低温側ヘッダ本体(43)の表面(43a)において上方に開口する略C字状に構成される。低温内部流入溝(87)は、低温内部流入路を構成する。
【0094】
低温内部流出溝(88)は、第1低温側パッキン(44)を介して、低温側流出孔(84)と、第2収容部(22b)の低温側流出ポート(26a)(具体的には、第2収容部(22b)の低温側流出路(26)の出口)とを連通させる。低温内部流出溝(88)は、低温側ヘッダ本体(43)の表面(43a)において略L字状に構成される。低温内部流出溝(88)は、低温内部流出路を構成する。
【0095】
[第1低温側パッキン]
第1低温側パッキン(44)は、矩形板状の樹脂部材である。第1低温側パッキン(44)を構成する樹脂は、熱伝導率が10W/m以下の非磁性材料である。第1低温側パッキン(44)の一側面は、低温側ヘッダ本体(43)の表面(43a)に取り付けられる。第1低温側パッキン(44)の他側面(44a)は、各収容部(22)に取り付けられる。このように、第1低温側パッキン(44)、より広くは低温側ヘッダ(42)は、複数の収容部(22)を互いに一体化する。第1低温側パッキン(44)の他側面(44a)は、各収容部(22)に面する低温側ヘッダ(42)の第1面を構成する。
【0096】
第1低温側パッキン(44)には、それぞれが縦長の矩形状に構成された第7および第8パッキン孔(H7,H8)が形成される。第7および第8パッキン孔(H7,H8)は、第1低温側パッキン(44)を厚さ方向に貫通する。第7パッキン孔(H7)は、第2収容部(22b)の低温側流入ポート(25a)と、低温側ヘッダ本体(43)の低温内部流入溝(87)とを連通させる。第8パッキン孔(H8)は、第2収容部(22b)の低温側流出ポート(26a)と、低温側ヘッダ本体(43)の低温内部流出溝(88)とを連通させる。
【0097】
[第2低温側パッキン]
第2低温側パッキン(45)は、矩形板状の樹脂部材である。第2低温側パッキン(45)を構成する樹脂は、熱伝導率が10W/m以下の非磁性材料である。第2低温側パッキン(45)の一側面は、低温側ヘッダ本体(43)の裏面(43b)に取り付けられる。第2低温側パッキン(45)の他側面(45a)は、低温側ヘッダ(42)の第1面の裏側の第2面を構成する。
【0098】
第2低温側パッキン(45)には、それぞれが円形状に構成された低温側流出パッキン孔(103)および低温側流入パッキン孔(104)が形成される。低温側流出パッキン孔(103)および低温側流入パッキン孔(104)は、第2低温側パッキン(45)を厚さ方向に貫通する。低温側流出パッキン孔(103)は、低温端流出ポート(74)と、低温側ヘッダ本体(43)の低温側流出孔(84)とを連通させる。低温側流入パッキン孔(104)は、低温端流入ポート(73)と、低温側ヘッダ本体(43)の低温側流入孔(83)とを連通させる。
【0099】
-運転動作-
空調システム(10)の運転動作について説明する。
【0100】
空調システム(10)は、熱媒体ポンプ(130)に第1動作と第2動作を交互に行わせると共に、両動作に対応させて磁気冷凍モジュール(20)の各収容部(22)に磁場を印加したり除去したりすることにより、利用ユニットに冷熱を供給する。
【0101】
具体的に、まず、熱媒体の流れが止まった状態で、磁気冷凍モジュール(20)の各収容部(22)に磁場が印加される。これにより、各収容部(22)内の磁気作業物質(23)が発熱する。この状態で熱媒体ポンプ(130)が第1動作を行うと、
図1中の左方にピストン(134)が移動し、第1室(132)から熱媒体が吐出される。第1室(132)から吐出された熱媒体は、第2逆止弁(142)を通過して収容部(22)に流れ込み、ここで発熱状態の磁気作業物質(23)と熱交換して加熱される。加熱された熱媒体は、第3逆止弁(143)を通過して高温側熱交換器(120)に流入し、そこで熱源ユニットの二次冷媒に放熱する。高温側熱交換器(120)から流出した熱媒体は、熱媒体ポンプ(130)の第2室(133)に吸入される。
【0102】
次に、熱媒体の流れが止まった状態で、磁気冷凍モジュール(20)の各収容部(22)から磁場が除去される。これにより、各収容部(22)内の磁気作業物質(23)が吸熱する。この状態で熱媒体ポンプ(130)が第2動作を行うと、
図1中の右方にピストン(134)が移動し、第2室(133)から熱媒体が吐出される。第2室(133)から吐出された熱媒体は、第4逆止弁(144)を通過して収容部(22)に流れ込み、ここで吸熱状態の磁気作業物質(23)と熱交換して冷却される。冷却された熱媒体は、第1逆止弁(141)を通過して低温側熱交換器(110)に流入し、そこで利用ユニットの二次冷媒を冷却する。低温側熱交換器(110)から流出した熱媒体は、熱媒体ポンプ(130)の第1室(132)に吸入される。
【0103】
以上の動作を繰り返し行うことにより、低温側熱交換器(110)に冷熱を供給しかつ高温側熱交換器(120)に温熱を供給することができ、これにより利用ユニットで対象空間の冷房を行うことができる。定常状態においては、低温側熱交換器(110)と高温側熱交換器(120)は、収容部(22)内の磁気作業物質(23)に応じた略一定の温度にそれぞれ維持される。本実施形態では、低温側熱交換器(110)の温度が、対象空間の温度や、収容部(22)の周辺の空気の温度よりも低い温度に維持されるように、磁気作業物質(23)が選定される。
【0104】
-磁気冷凍モジュールにおける熱媒体の流れ-
空調システム(10)が運転されるときの、より具体的には熱媒体ポンプ(130)が第1動作または第2動作を行うときの、磁気冷凍モジュール(20)における熱媒体の流れについて説明する。
【0105】
図5に示すように、熱媒体ポンプ(130)が第1動作を行うときには、磁気冷凍モジュール(20)において低温側から高温側へ熱媒体が流れる。具体的に、磁気冷凍モジュール(20)では、低温端流入ポート(73)から流入した熱媒体が、低温側ヘッダ本体(43)の低温側流入孔(83)に流入する。低温側ヘッダ本体(43)の低温側流入孔(83)から流出した熱媒体は、低温側ヘッダ本体(43)の低温内部流入溝(87)を経由して、第2収容部(22b)の低温側流入路(25)に流入する。第2収容部(22b)の低温側流入路(25)から流出した熱媒体は、第2収容部(22b)の磁気作業物質(23)を流れた後に、第2収容部(22b)の高温側流出路(28)に流入する。
【0106】
第2収容部(22b)の高温側流出路(28)から流出した熱媒体は、高温側ヘッダ本体(33)の第2直列接続溝(92)を経由して、第1収容部(22a)の低温側流入路(25)に流入する。第1収容部(22a)の低温側流入路(25)から流出した熱媒体は、第1収容部(22a)の磁気作業物質(23)を流れた後に、第1収容部(22a)の高温側流出路(28)に流入する。第1収容部(22a)の高温側流出路(28)から流出した熱媒体は、高温側ヘッダ本体(33)の高温内部流出溝(86)を経由して、高温側ヘッダ本体(33)の高温側流出孔(82)に流入する。高温側ヘッダ本体(33)の高温側流出孔(82)から流出した熱媒体は、高温端流出ポート(72)を介して磁気冷凍モジュール(20)の外部へ流出する。
【0107】
図6に示すように、熱媒体ポンプ(130)が第2動作を行うときには、磁気冷凍モジュール(20)において高温側から低温側へ熱媒体が流れる。具体的に、磁気冷凍モジュール(20)では、高温端流入ポート(71)から流入した熱媒体が、高温側ヘッダ本体(33)の高温側流入孔(81)に流入する。高温側ヘッダ本体(33)の高温側流入孔(81)から流出した熱媒体は、高温側ヘッダ本体(33)の高温内部流入溝(85)を経由して、第1収容部(22a)の高温側流入路(27)に流入する。第1収容部(22a)の高温側流入路(27)から流出した熱媒体は、第1収容部(22a)の磁気作業物質(23)を流れた後に、第1収容部(22a)の低温側流出路(26)に流入する。
【0108】
第1収容部(22a)の低温側流出路(26)から流出した熱媒体は、高温側ヘッダ本体(33)の第1直列接続溝(91)を経由して、第2収容部(22b)の高温側流入路(27)に流入する。第2収容部(22b)の高温側流入路(27)から流出した熱媒体は、第2収容部(22b)の磁気作業物質(23)を流れた後に、第2収容部(22b)の低温側流出路(26)に流入する。第2収容部(22b)の低温側流出路(26)から流出した熱媒体は、低温側ヘッダ本体(43)の低温内部流出溝(88)を経由して、低温側ヘッダ本体(43)の低温側流出孔(84)に流入する。低温側ヘッダ本体(43)の低温側流出孔(84)から流出した熱媒体は、低温端流出ポート(74)を介して磁気冷凍モジュール(20)の外部へ流出する。
【0109】
-実施形態1の効果-
本実施形態の磁気冷凍モジュール(20)は、それぞれが磁気作業物質(23)を収容する複数の収容部(22)を備え、複数の上記収容部(22)の少なくとも一部が、互いに直列に接続されている。この構成によると、互いに直列に接続された複数の収容部(22)を、磁気冷凍モジュール(20)に供給される熱媒体が順次流れる。このような新しいタイプの磁気冷凍モジュール(20)を提供することができる。
【0110】
また、本実施形態の磁気冷凍モジュール(20)は、複数の上記収容部(22)が、所定方向に延び、かつ該所定方向と交差する方向(この例では、該所定方向と直交する方向)に並んでいる。この構成によると、複数の上記収容部(22)が、全体として、所定方向とこれに交差する方向との両方に広がる。このため、磁気作業物質(23)に対して磁場を印加しやすくできる。
【0111】
また、本実施形態の磁気冷凍モジュール(20)は、各上記収容部(22)が、上記磁気作業物質(23)に対して熱媒体を出入りさせるための、上記所定方向に延びる流路(25~28)を備え、上記流路(25~28)が、複数の上記収容部(22)が並ぶ方向と上記所定方向との両方に交差する方向において上記磁気作業物質(23)と並んでいる。この構成によると、複数の収容部(22)を互いに近接させて配置することができる。このため、複数の収容部(22)に対してより一層、磁場を印加しやすくできる。
【0112】
また、本実施形態の磁気冷凍モジュール(20)は、各上記収容部(22)が、低温側流入ポート(25a)、低温側流出ポート(26a)、高温側流入ポート(27a)、および高温側流出ポート(28a)を有し、各上記収容部(22)では、上記低温側流入ポート(25a)から上記磁気作業物質(23)を経由して上記高温側流出ポート(28a)へ熱媒体が流れるか、または上記高温側流入ポート(27a)から上記磁気作業物質(23)を経由して上記低温側流出ポート(26a)へ熱媒体が流れる。この構成によると、各収容部(22)において、熱媒体の2つの流通経路と、磁気作業物質(23)に対する磁場の印加および除去とを組み合わせることで、磁気冷凍モジュール(20)により温熱または冷熱を生成することができる。
【0113】
また、本実施形態の磁気冷凍モジュール(20)は、最も低温寄りに配置される各上記収容部(22)の上記低温側流入ポート(25a)および上記低温側流出ポート(26a)と、最も高温寄りに配置される各上記収容部(22)の上記高温側流入ポート(27a)および上記高温側流出ポート(28a)とが、上記磁気冷凍モジュール(20)において互いに逆側に配置されている。この構成によると、当該低温側流入ポート(25a)または当該低温側流出ポート(26a)を流れる熱媒体と、当該高温側流入ポート(27a)または当該高温側流出ポート(28a)を流れる熱媒体との間で無駄な熱輸送が生じるのを抑止できる。
【0114】
また、本実施形態の磁気冷凍モジュール(20)は、最も低温寄りに配置される各上記収容部(22)の上記低温側流入ポート(25a)に連通する低温端流入ポート(73)と、最も低温寄りに配置される各上記収容部(22)の上記低温側流出ポート(26a)に連通する低温端流出ポート(74)と、最も高温寄りに配置される各上記収容部(22)の上記高温側流入ポート(27a)に連通する高温端流入ポート(71)と、最も高温寄りに配置される各上記収容部(22)の上記高温側流出ポート(28a)に連通する高温端流出ポート(72)とを備える。この構成によると、熱媒体は、低温端流入ポート(73)から流入して当該低温側流入ポート(25a)を経由し、複数の収容部(22)において磁気作業物質(23)と熱交換し、そして当該高温側流出ポート(28a)を経由して高温端流出ポート(72)から流出する。あるいは、熱媒体は、高温端流入ポート(71)から流入して当該高温側流入ポート(27a)を経由し、複数の収容部(22)において磁気作業物質(23)と熱交換し、そして当該低温側流出ポート(26a)を経由して低温端流出ポート(74)から流出する。
【0115】
また、本実施形態の磁気冷凍モジュール(20)は、低温内部流入路(87)、低温内部流出路(88)、高温内部流入路(85)、および高温内部流出路(86)を有するヘッダ構造(32,42,52,62)を備え、上記低温内部流入路(87)が、最も低温寄りに配置される各上記収容部(22)の上記低温側流入ポート(25a)と上記低温端流入ポート(73)とを連通させ、上記低温内部流出路(88)が、最も低温寄りに配置される各上記収容部(22)の上記低温側流出ポート(26a)と上記低温端流出ポート(74)とを連通させ、上記高温内部流入路(85)が、最も高温寄りに配置される各上記収容部(22)の上記高温側流入ポート(27a)と上記高温端流入ポート(71)とを連通させ、上記高温内部流出路(86)が、最も高温寄りに配置される各上記収容部(22)の上記高温側流出ポート(28a)と上記高温端流出ポート(72)とを連通させる。この構成によると、熱媒体は、低温端流入ポート(73)から流入して低温内部流入路(87)および当該低温側流入ポート(25a)を経由し、複数の収容部(22)において磁気作業物質(23)と熱交換し、そして当該高温側流出ポート(28a)および高温内部流出路(86)を経由して高温端流出ポート(72)から流出する。あるいは、熱媒体は、高温端流入ポート(71)から流入して高温内部流入路(85)および当該高温側流入ポート(27a)を経由し、複数の収容部(22)において磁気作業物質(23)と熱交換し、そして当該低温側流出ポート(26a)および低温内部流出路(88)を経由して低温端流出ポート(74)から流出する。
【0116】
また、本実施形態の磁気冷凍モジュール(20)は、上記ヘッダ構造(32,42,52,62)が、第1直列内部流路(91,93,95,97)および第2直列内部流路(92,94,96,98)をさらに有し、上記第1直列内部流路(91,93,95,97)が、上記収容部(22)の上記低温側流出ポート(26a)と、他の上記収容部(22)の上記高温側流入ポート(27a)とを直列接続することで、複数の上記収容部(22)を介して上記高温端流入ポート(71)を上記低温端流出ポート(74)に連通させ、上記第2直列内部流路(92,94,96,98)が、上記収容部(22)の上記高温側流出ポート(28a)と、他の上記収容部(22)の上記低温側流入ポート(25a)とを直列接続することで、複数の上記収容部(22)を介して上記低温端流入ポート(73)を上記高温端流出ポート(72)に連通させる。この構成によると、第1直列内部流路(91,93,95,97)および第2直列内部流路(92,94,96,98)により、複数の収容部(22)間の直列接続が実現される。熱媒体は、低温端流入ポート(73)から流入して複数の収容部(22)を順次流れ、そして高温端流出ポート(72)から流出する。あるいは、熱媒体は、高温端流入ポート(71)から流入して複数の収容部(22)を順次流れ、そして低温端流出ポート(74)から流出する。
【0117】
また、本実施形態の磁気冷凍モジュール(20)は、上記ヘッダ構造(32,42,52,62)が、上記低温内部流入路(87)および上記低温内部流出路(88)を有する低温側ヘッダ(42)と、上記高温内部流入路(85)および上記高温内部流出路(86)を有する高温側ヘッダ(32)とを備える。この構成によると、熱媒体は、低温側ヘッダ(42)から複数の収容部(22)を経由して高温側ヘッダ(32)へ、もしくはその逆に流れる。
【0118】
また、本実施形態の磁気冷凍モジュール(20)は、上記低温内部流入路(87)、上記低温内部流出路(88)、上記高温内部流入路(85)、上記高温内部流出路(86)、上記第1直列内部流路(91,93,95,97)、および上記第2直列内部流路(92,94,96,98)が、上記低温側ヘッダ(42)もしくは上記高温側ヘッダ(32)に設けられた単層構造で構成される。この構成によると、低温内部流入路(87)、低温内部流出路(88)、高温内部流入路(85)、高温内部流出路(86)、第1直列内部流路(91,93,95,97)、および第2直列内部流路(92,94,96,98)を単層構造で構成することで各ヘッダ(32,42,52,62)を容易に製造できる。
【0119】
また、本実施形態の磁気冷凍モジュール(20)は、上記ヘッダ構造(32,42,52,62)が、上記低温側ヘッダ(42)と、上記高温側ヘッダ(32)とを備え、上記低温内部流入路(87)および上記低温内部流出路(88)が、上記低温側ヘッダ(42)に設けられた単層構造で構成され、上記高温内部流入路(85)および上記高温内部流出路(86)が、上記高温側ヘッダ(32)に設けられた単層構造で構成される。この構成によると、熱媒体は、低温側ヘッダ(42)から複数の収容部(22)を経由して高温側ヘッダ(32)へ、もしくはその逆に流れる。低温内部流入路(87)および低温内部流出路(88)を、または高温内部流入路(85)および高温内部流出路(86)を単層構造で構成することで低温側ヘッダ(42)または高温側ヘッダ(32)を容易に製造できる。
【0120】
また、本実施形態の磁気冷凍モジュール(20)は、上記低温側ヘッダ(42)および上記高温側ヘッダ(32)の各々が、上記収容部(22)に面する第1面(34a,44a)と、該第1面(34a,44a)の裏側の第2面(35a,45a)とを有し、単層構造の上記低温内部流入路(87)および上記低温内部流出路(88)が、上記低温側ヘッダ(42)の内部において上記第1面(44a)側に形成された溝(87,88)により構成され、単層構造の上記高温内部流入路(85)および上記高温内部流出路(86)が、上記高温側ヘッダ(32)の内部において上記第1面(34a)側に形成された溝(85,86)により構成される。この構成によると、単層構造の低温内部流入路(87)、低温内部流出路(88)、高温内部流入路(85)、および高温内部流出路(86)を、低温側ヘッダ(42)または高温側ヘッダ(32)の内部に形成された溝(85~88)というシンプルな構成で実現することができる。
【0121】
また、本実施形態の磁気冷凍モジュール(20)は、複数の上記収容部(22)が、上記ヘッダ構造(32,42,52,62)により互いに一体化されている。この構成によると、ヘッダ構造(32,42,52,62)と、これによって互いに一体化された複数の収容部(22)とを1つのユニットとして取り扱うことができる。さらに、複数の収容部(22)とヘッダ構造(32,42,52,62)との間に、熱媒体が流れる配管などの構造体が存在しないため、磁気冷凍モジュール(20)内での圧力損失を抑制することができる。
【0122】
また、本実施形態の磁気冷凍モジュール(20)は、上記ヘッダ構造(32,42,52,62)の少なくとも一部が、熱伝導率が10W/mK以下の材料で構成される。この構成によると、ヘッダ構造(32,42,52,62)の熱伝導率が低いため、当該ヘッダ構造(32,42,52,62)を介して磁気冷凍モジュール(20)とその外部との間で無駄な熱輸送が生じるのを抑止できる。
【0123】
また、本実施形態の磁気冷凍モジュール(20)は、、上記ヘッダ構造(32,42,52,62)の少なくとも一部が、非磁性材料で構成される。この構成によると、ヘッダ構造(32,42,52,62)を磁束が流れにくいため、複数の収容部(22)に効率的に磁場を印加することができる。
【0124】
-実施形態1の改良-
<逆流防止部>
図4等に示す実施形態1の磁気冷凍モジュール(20)では、収容部(22)同士を直列接続するための流路を往路と復路で分離しているが、実際はどちらの方向にも熱媒体が流れることができるため、当該流路がデッドボリュームとなって性能が低下する。
【0125】
そこで、
図31に示すように、収容部(22)同士の直列接続箇所(2箇所)に、例えば逆止弁で構成された逆流防止部(201,202)を設けてもよい。尚、
図31において、
図4に示す実施形態1と同じ構成要素には同じ符号を付す。
【0126】
具体的には、第1収容部(22a)の低温側流入ポート(25a)(低温側流入路(25)の入口)と、第2収容部(22b)の高温側流出ポート(28a)(高温側流出路(28)の出口)とが直列接続される箇所に第1逆流防止部(201)が配置されてもよい。また、第1収容部(22a)の低温側流出ポート(26a)(低温側流出路(26)の出口)と、第2収容部(22b)の高温側流入ポート(27a)(高温側流入路(27)の入口)とが直列接続される箇所に第2逆流防止部(202)が配置されてもよい。
【0127】
これにより、各収容部(22)の流路(25~28)において熱媒体が流れる方向を規定できるので、流路(25~28)がデッドボリュームとなって性能が低下することを抑制できる。
【0128】
尚、
図31に示す構成では、収容部(22)同士の全ての直列接続箇所に逆流防止部(201,202)を設けたが、これに代えて、第1逆流防止部(201)又は第2逆流防止部(202)の一方のみを設けてもよい。この場合にも、逆流防止部(201,202)を設けない場合と比べて、デッドボリュームに起因する性能低下を抑制することができる。
【0129】
また、
図31に示す構成において、第1収容部(22a)の低温側流入ポート(25a)(低温側流入路(25)の入口)及び第2収容部(22b)の高温側流出ポート(28a)(高温側流出路(28)の出口)の少なくとも一方に第1逆流防止部(201)を接続してもよい。また、第1収容部(22a)の低温側流出ポート(26a)(低温側流出路(26)の出口)及び第2収容部(22b)の高温側流入ポート(27a)(高温側流入路(27)の入口)の少なくとも一方に第2逆流防止部(202)を接続してもよい。このようにすると、例えば
図32及び
図33に示すように、ヘッダ構造(32,42)内部において直列接続のための構造体(
図2に示す実施形態1の高温側ヘッダ本体(33))の前段に逆流防止部(201,202)を設置することが可能となる。
【0130】
図32は、
図31に示す逆流防止部(201,202)が設けられた磁気冷凍モジュール(20)の構成の一例を示す四面図である。尚、
図32において、
図2に示す実施形態1と同じ構成要素には同じ符号を付す。
【0131】
図32に示す構成では、
図2に示す構成と比較して、高温側ヘッダ(32)において、高温側ヘッダ本体(33)と第1高温側パッキン(34)との間に逆流防止構造体(36)がさらに設けられる。また、高温側ヘッダ本体(33)と逆流防止構造体(36)との間には、第3高温側パッキン(37)がさらに設けられる。
【0132】
図33は、
図32に示す磁気冷凍モジュール(20)のヘッダ構造(具体的には新たに追加した逆流防止構造体(36)及び第3高温側パッキン(37))の一例を示す図である。詳しくは、
図33(A)は、逆流防止構造体(36)を
図32の右方(第1高温側パッキン(34)側)から見た図であり、
図33(B)は、逆流防止構造体(36)を
図32の手前から見た図であり、
図33(C)は、第3高温側パッキン(37)を
図32の右方(第1高温側パッキン(34)側)から見た図である。
【0133】
[逆流防止構造体]
逆流防止構造体(36)は、やや扁平な直方体状に形成される。逆流防止構造体(36))は、熱伝導率が10W/m以下の非磁性材料(例えば、樹脂)で構成される。逆流防止構造体(36)は、第1高温側パッキン(34)に接する表面(36a)と、第3高温側パッキン(37)に接する裏面とを有する。逆流防止構造体(36)には、第1高温側パッキン(34)の第1、第3パッキン孔(H1,H3)とそれぞれ連通するように第1逆流防止部(第1逆止弁)(201)及び第2逆流防止部(第2逆止弁)(202)が形成される。また、逆流防止構造体(36)には、第1高温側パッキン(34)の第2、第4~第6パッキン孔(H2,H4~6)とそれぞれ連通するように第1~4接続孔(221~224)が形成される。逆流防止部(201,202)及び接続孔(221~224)はそれぞれ、逆流防止構造体(36)を厚さ方向(
図32における左右方向)に貫通する。
【0134】
[第3高温側パッキン]
第3高温側パッキン(37)は、矩形板状の樹脂部材である。第3高温側パッキン(37)を構成する樹脂は、熱伝導率が10W/m以下の非磁性材料である。第3高温側パッキン(37)の一側面は、高温側ヘッダ本体(33)の表面(33a)に取り付けられる。第3高温側パッキン(37)の他側面(37a)は、逆流防止構造体(36)に取り付けられる。
【0135】
第3高温側パッキン(37)には、第1高温側パッキン(34)(
図4(C)参照)と同様に、それぞれが縦長の矩形状に構成された第1~第6パッキン孔(H1~H6)が形成される。第1~第6パッキン孔(H1~H6)は、第3高温側パッキン(37)を厚さ方向に貫通する。
【0136】
第1パッキン孔(H1)は、逆流防止構造体(36)の第1逆流防止部(201)と、高温側ヘッダ本体(33)(
図4(D)~(F)参照)の第2直列接続溝(92)とを連通させる。第2パッキン孔(H2)は、逆流防止構造体(36)の第1接続孔(221)と、高温側ヘッダ本体(33)の第1直列接続溝(91)とを連通させる。第3パッキン孔(H3)は、逆流防止構造体(36)の第2逆流防止部(第2逆止弁)(202)と、高温側ヘッダ本体(33)の第1直列接続溝(91)とを連通させる。第4パッキン孔(H4)は、逆流防止構造体(36)の第2接続孔(222)と、高温側ヘッダ本体(33)の第2直列接続溝(92)とを連通させる。第5パッキン孔(H5)は、逆流防止構造体(36)の第3接続孔(223)と、高温側ヘッダ本体(33)の高温内部流出溝(86)とを連通させる。第6パッキン孔(H6)は、逆流防止構造体(36)の第4接続孔(224)と、高温側ヘッダ本体(33)の高温内部流入溝(85)とを連通させる。
【0137】
以上の構成において、第1高温側パッキン(34)及び第3高温側パッキン(37)の各第1パッキン孔(H1)並びに逆流防止構造体(36)の第1逆流防止部(201)は、第2収容部(22b)の高温側流出ポート(28a)に連通する。第1高温側パッキン(34)及び第3高温側パッキン(37)の各第2パッキン孔(H2)並びに逆流防止構造体(36)の第1接続孔(221)は、第2収容部(22b)の高温側流入ポート(27a)に連通する。第1高温側パッキン(34)及び第3高温側パッキン(37)の各第3パッキン孔(H3)並びに逆流防止構造体(36)の第2逆流防止部(202)は、第1収容部(22a)の低温側流出ポート(26a)に連通する。第1高温側パッキン(34)及び第3高温側パッキン(37)の各第4パッキン孔(H4)並びに逆流防止構造体(36)の第2接続孔(222)は、第1収容部(22a)の低温側流入ポート(25a)に連通する。第1高温側パッキン(34)及び第3高温側パッキン(37)の各第5パッキン孔(H5)並びに逆流防止構造体(36)の第3接続孔(223)は、第1収容部(22a)の高温側流出ポート(28a)に連通する。第1高温側パッキン(34)及び第3高温側パッキン(37)の各第6パッキン孔(H6)並びに逆流防止構造体(36)の第4接続孔(224)は、第1収容部(22a)の高温側流入ポート(27a)に連通する。
【0138】
従って、第1収容部(22a)の低温側流出路(26)と、第2収容部(22b)の高温側流入路(27)とが、第1直列接続溝(91)を介して互いに直列に接続される構造において、第1収容部(22a)の低温側流出ポート(26a)に第2逆流防止部(202)が接続される。また、第1収容部(22a)の低温側流入路(25)と、第2収容部(22b)の高温側流出路(28)とが、第2直列接続溝(92)を介して互いに直列に接続される構造において、第2収容部(22b)の高温側流出ポート(28a)に第1逆流防止部(201)が接続される。これにより、ヘッダ構造(32,42)内部において高温側ヘッダ本体(33)の前段に逆流防止部(201,202)を設置することが可能となる。
【0139】
<断熱層>
図4等に示す本実施形態の磁気冷凍モジュール(20)では、互いに温度が異なる収容部(22)同士や流路(25~28)同士が隣接した場合、熱漏れが生じて性能が低下する。
【0140】
そこで、
図31に示すように、直列に接続された収容部(22)同士の間に断熱層(第1断熱層)(211)を設けてもよい。断熱層(211)は、断熱材やスリットなどで構成されてもよい。また、収容部(22)の一部分を断熱層(211)となる断熱部材で構成してもよい。断熱層(211)は、直列に接続された収容部(22)同士の間の全体に設けてもよいし、或いは、直列に接続された収容部(22)同士の間の一部分に設けてもよい。
図31に示す構成では、異なる温度で熱媒体が流れる第1収容部(22a)の磁気作業物質(23)と第2収容部(22b)の磁気作業物質(23)との間、及び、異なる温度で熱媒体が流れる第1収容部(22a)の高温側流出路(28)と第2収容部(22b)の低温側流入路(25)との間に、断熱層(211)が設けられている。
【0141】
これにより、互いに温度が異なる収容部(22)(磁気作業物質(23))同士や流路(25~28)同士が隣接する場合にも、熱漏れが生じて性能が低下することを抑制できる。言い換えると、異なる温度の熱媒体が流れる収容部(22)同士の間で熱漏れが生じて性能が低下することを抑制できる。
【0142】
《実施形態1の変形例》
実施形態1の変形例について説明する。本変形例の磁気冷凍モジュール(20)は、共通ヘッダ(52)および接続ヘッダ(62)を備える点で上記実施形態1と異なる。以下、上記実施形態1と異なる点について主に説明する。
【0143】
図7~
図10に示すように、磁気冷凍モジュール(20)は、それぞれが直方体状に形成された収容部ケース(21)と、共通ヘッダケース(51)と、接続ヘッダケース(61)とを備える。収容部ケース(21)の一の側面(
図7の左側面)には、共通ヘッダケース(51)が一体的に取り付けられる。収容部ケース(21)の別の側面(
図7の右側面)には、接続ヘッダケース(61)が一体的に取り付けられる。
【0144】
〈共通ヘッダケース〉
共通ヘッダケース(51)には、共通ヘッダ(52)が収容される。共通ヘッダケース(51)は、高温端流入ポート(71)、高温端流出ポート(72)、低温端流入ポート(73)、および低温端流出ポート(74)を備える。
【0145】
共通ヘッダ(52)は、
図7に示すように、共通ヘッダケース(51)内において各収容部(22)に接するように配置される。共通ヘッダ(52)は、
図7に示すように、共通ヘッダ本体(53)と、第1共通パッキン(54)と、第2共通パッキン(55)とを備える。共通ヘッダ(52)は、ヘッダ構造を構成する。
【0146】
[共通ヘッダ本体]
共通ヘッダ本体(53)は、やや扁平な直方体状に形成される。共通ヘッダ本体(53)は、熱伝導率が10W/m以下の非磁性材料(例えば、樹脂)で構成される。共通ヘッダ本体(53)は、第1共通パッキン(54)に接する表面(53a)と、第2共通パッキン(55)に接する裏面(53b)とを有する。共通ヘッダ本体(53)には、それぞれが共通ヘッダ本体(53)を厚さ方向(
図7における左右方向)に貫通する高温側流入孔(81)、高温側流出孔(82)、低温側流入孔(83)、および低温側流出孔(84)が形成される。共通ヘッダ本体(53)の表面(53a)には(換言すると、共通ヘッダ(52)の内部における第1面側には)、高温内部流入溝(85)、高温内部流出溝(86)、低温内部流入溝(87)、および低温内部流出溝(88)が単層構造により形成される。
【0147】
高温内部流入溝(85)は、第1共通パッキン(54)を介して、高温側流入孔(81)と、第1収容部(22a)の高温側流入ポート(27a)(具体的には、第1収容部(22a)の高温側流入路(27)の入口)とを連通させる。高温内部流入溝(85)は、共通ヘッダ本体(53)の表面(53a)において略L字状に構成される。高温内部流入溝(85)は、高温内部流入路を構成する。
【0148】
高温内部流出溝(86)は、第1共通パッキン(54)を介して、高温側流出孔(82)と、第1収容部(22a)の高温側流出ポート(28a)(具体的には、第1収容部(22a)の高温側流出路(28)の出口)とを連通させる。高温内部流出溝(86)は、共通ヘッダ本体(53)の表面(53a)において略L字状に構成される。高温内部流出溝(86)は、高温内部流出路を構成する。
【0149】
低温内部流入溝(87)は、第1共通パッキン(54)を介して、低温側流入孔(83)と、第2収容部(22b)の低温側流入ポート(25a)(具体的には、第2収容部(22b)の低温側流入路(25)の入口)とを連通させる。低温内部流入溝(87)は、共通ヘッダ本体(53)の表面(53a)において略L字状に構成される。低温内部流入溝(87)は、低温内部流入路を構成する。
【0150】
低温内部流出溝(88)は、第1共通パッキン(54)を介して、低温側流出孔(84)と、第2収容部(22b)の低温側流出ポート(26a)(具体的には、第2収容部(22b)の低温側流出路(26)の出口)とを連通させる。低温内部流出溝(88)は、共通ヘッダ本体(53)の表面(53a)において略L字状に構成される。低温内部流出溝(88)は、低温内部流出路を構成する。
【0151】
[第1共通パッキン]
第1共通パッキン(54)は、矩形板状の樹脂部材である。第1共通パッキン(54)を構成する樹脂は、熱伝導率が10W/m以下の非磁性材料である。第1共通パッキン(54)の一側面は、共通ヘッダ本体(53)の表面(53a)に取り付けられる。第1共通パッキン(54)の他側面(54a)は、各収容部(22)に取り付けられる。このように、第1共通パッキン(54)、より広くは共通ヘッダ(52)は、複数の収容部(22)を互いに一体化する。第1共通パッキン(54)の他側面(54a)は、各収容部(22)に面する共通ヘッダ(52)の第1面を構成する。
【0152】
第1共通パッキン(54)には、それぞれが縦長の矩形状に構成された第1~第4パッキン孔(H1~H4)が形成される。第1~第4パッキン孔(H1~H4)は、第1共通パッキン(54)を厚さ方向に貫通する。第1パッキン孔(H1)は、第2収容部(22b)の低温側流出ポート(26a)と、共通ヘッダ本体(53)の低温内部流出溝(88)とを連通させる。第2パッキン孔(H2)は、第2収容部(22b)の低温側流入ポート(25a)と、共通ヘッダ本体(53)の低温内部流入溝(87)とを連通させる。第3パッキン孔(H3)は、第1収容部(22a)の高温側流出ポート(28a)と、共通ヘッダ本体(53)の高温内部流出溝(86)とを連通させる。第4パッキン孔(H4)は、第1収容部(22a)の高温側流入ポート(27a)と、共通ヘッダ本体(53)の高温内部流入溝(85)とを連通させる。
【0153】
[第2共通パッキン]
第2共通パッキン(55)は、矩形板状の樹脂部材である。第2共通パッキン(55)を構成する樹脂は、熱伝導率が10W/m以下の非磁性材料である。第2共通パッキン(55)の一側面は、共通ヘッダ本体(53)の裏面(53b)に取り付けられる。第2共通パッキン(55)の他側面(55a)は、共通ヘッダ(52)の第1面の裏側の第2面を構成する。
【0154】
第2共通パッキン(55)には、それぞれが円形状に構成された高温側流出パッキン孔(101)、高温側流入パッキン孔(102)、低温側流出パッキン孔(103)、および低温側流入パッキン孔(104)が形成される。高温側流出パッキン孔(101)、高温側流入パッキン孔(102)、低温側流出パッキン孔(103)、および低温側流入パッキン孔(104)は、第2共通パッキン(55)を厚さ方向に貫通する。高温側流出パッキン孔(101)は、高温端流出ポート(72)と、共通ヘッダ本体(53)の高温側流出孔(82)とを連通させる。高温側流入パッキン孔(102)は、高温端流入ポート(71)と、共通ヘッダ本体(53)の高温側流入孔(81)とを連通させる。低温側流出パッキン孔(103)は、低温端流出ポート(74)と、共通ヘッダ本体(53)の低温側流出孔(84)とを連通させる。低温側流入パッキン孔(104)は、低温端流入ポート(73)と、共通ヘッダ本体(53)の低温側流入孔(83)とを連通させる。
【0155】
〈接続ヘッダケース〉
接続ヘッダケース(61)には、接続ヘッダ(62)が収容される。接続ヘッダ(62)は、
図7に示すように、接続ヘッダケース(61)の内部において各収容部(22)に接するように配置される。接続ヘッダ(62)は、
図7に示すように、接続ヘッダ本体(63)と、接続パッキン(64)とを備える。接続ヘッダ(62)は、ヘッダ構造を構成する。
【0156】
[接続ヘッダ本体]
接続ヘッダ本体(63)は、やや扁平な直方体状に形成される。接続ヘッダ本体(63)は、熱伝導率が10W/m以下の非磁性材料(例えば、樹脂)で構成される。接続ヘッダ本体(63)は、接続パッキン(64)に接する表面(63a)と、その裏側の裏面(63b)とを有する。接続ヘッダ本体(63)の表面(63a)には(換言すると、接続ヘッダ(62)の内部における第1面側には)、第1直列接続溝(91)および第2直列接続溝(92)が単層構造により形成される。接続ヘッダ本体(63)の裏面は、接続ヘッダ(62)の第2面を構成する。
【0157】
第1直列接続溝(91)は、接続パッキン(64)を介して、第1収容部(22a)の低温側流出ポート(26a)(具体的には、第1収容部(22a)の低温側流出路(26)の出口)と、第2収容部(22b)の高温側流入ポート(27a)(具体的には、第2収容部(22b)の高温側流入路(27)の入口)とを直列接続により連通させる。第1直列接続溝(91)は、接続ヘッダ本体(63)の表面(63a)において矩形状に構成される。第1直列接続溝(91)は、第1直列内部流路を構成する。
【0158】
第2直列接続溝(92)は、接続パッキン(64)を介して、第1収容部(22a)の低温側流入ポート(25a)(具体的には、第1収容部(22a)の低温側流入路(25)の入口)と、第2収容部(22b)の高温側流出ポート(28a)(具体的には、第2収容部(22b)の高温側流出路(28)の出口)とを直列接続により連通させる。第2直列接続溝(92)は、接続ヘッダ本体(63)の表面(63a)において下方に開口する略C字状に構成される。第2直列接続溝(92)は、第2直列内部流路を構成する。
【0159】
[接続パッキン]
接続パッキン(64)は、矩形板状の樹脂部材である。接続パッキン(64)を構成する樹脂は、熱伝導率が10W/m以下の非磁性材料である。接続パッキン(64)の一側面は、接続ヘッダ本体(63)の表面(63a)に取り付けられる。接続パッキン(64)の他側面(64a)は、各収容部(22)に取り付けられる。このように、接続パッキン(64)、より広くは接続ヘッダ(62)は、複数の収容部(22)を互いに一体化する。接続パッキン(64)の他側面(64a)は、各収容部(22)に面する接続ヘッダ(62)の第1面を構成する。
【0160】
接続パッキン(64)には、それぞれが縦長の矩形状に構成された第5~第8パッキン孔(H5~H8)が形成される。第5~第8パッキン孔(H5~H8)は、接続パッキン(64)を厚さ方向に貫通する。第5パッキン孔(H5)は、第1収容部(22a)の低温側流入ポート(25a)と、接続ヘッダ本体(63)の第2直列接続溝(92)とを連通させる。第6パッキン孔(H6)は、第1収容部(22a)の低温側流出ポート(26a)と、接続ヘッダ本体(63)の第1直列接続溝(91)とを連通させる。第7パッキン孔(H7)は、第2収容部(22b)の高温側流入ポート(27a)と、接続ヘッダ本体(63)の第1直列接続溝(91)とを連通させる。第8パッキン孔(H8)は、第2収容部(22b)の高温側流出ポート(28a)と、接続ヘッダ本体(63)の第2直列接続溝(92)とを連通させる。
【0161】
このような構成により、第1収容部(22a)の低温側流出路(26)と、第2収容部(22b)の高温側流入路(27)とが、第1直列接続溝(91)を介して互いに直列に接続される。第1収容部(22a)の低温側流入路(25)と、第2収容部(22b)の高温側流出路(28)とが、第2直列接続溝(92)を介して互いに直列に接続される。換言すると、第1収容部(22a)と第2収容部(22b)とは、互いに直列に接続される。
【0162】
-磁気冷凍モジュールにおける熱媒体の流れ-
空調システム(10)が運転されるときの、より具体的には熱媒体ポンプ(130)が第1動作または第2動作を行うときの、磁気冷凍モジュール(20)における熱媒体の流れについて説明する。
【0163】
図9に示すように、熱媒体ポンプ(130)が第1動作を行うときには、磁気冷凍モジュール(20)において低温側から高温側へ熱媒体が流れる。具体的に、磁気冷凍モジュール(20)では、低温端流入ポート(73)から流入した熱媒体が、共通ヘッダ本体(53)の低温側流入孔(83)に流入する。共通ヘッダ本体(53)の低温側流入孔(83)から流出した熱媒体は、共通ヘッダ本体(53)の低温内部流入溝(87)を経由して、第2収容部(22b)の低温側流入路(25)に流入する。第2収容部(22b)の低温側流入路(25)から流出した熱媒体は、第2収容部(22b)の磁気作業物質(23)を流れた後に、第2収容部(22b)の高温側流出路(28)に流入する。
【0164】
第2収容部(22b)の高温側流出路(28)から流出した熱媒体は、接続ヘッダ本体(63)の第2直列接続溝(92)を経由して、第1収容部(22a)の低温側流入路(25)に流入する。第1収容部(22a)の低温側流入路(25)から流出した熱媒体は、第1収容部(22a)の磁気作業物質(23)を流れた後に、第1収容部(22a)の高温側流出路(28)に流入する。第1収容部(22a)の高温側流出路(28)から流出した熱媒体は、共通ヘッダ本体(53)の高温内部流出溝(86)を経由して、共通ヘッダ本体(53)の高温側流出孔(82)に流入する。共通ヘッダ本体(53)の高温側流出孔(82)から流出した熱媒体は、高温端流出ポート(72)を介して磁気冷凍モジュール(20)の外部へ流出する。
【0165】
図10に示すように、熱媒体ポンプ(130)が第2動作を行うときには、磁気冷凍モジュール(20)において高温側から低温側へ熱媒体が流れる。具体的に、磁気冷凍モジュール(20)では、高温端流入ポート(71)から流入した熱媒体が、共通ヘッダ本体(53)の高温側流入孔(81)に流入する。共通ヘッダ本体(53)の高温側流入孔(81)から流出した熱媒体は、共通ヘッダ本体(53)の高温内部流入溝(85)を経由して、第1収容部(22a)の高温側流入路(27)に流入する。第1収容部(22a)の高温側流入路(27)から流出した熱媒体は、第1収容部(22a)の磁気作業物質(23)を流れた後に、第1収容部(22a)の低温側流出路(26)に流入する。
【0166】
第1収容部(22a)の低温側流出路(26)から流出した熱媒体は、接続ヘッダ本体(63)の第1直列接続溝(91)を経由して、第2収容部(22b)の高温側流入路(27)に流入する。第2収容部(22b)の高温側流入路(27)から流出した熱媒体は、第2収容部(22b)の磁気作業物質(23)を流れた後に、第2収容部(22b)の低温側流出路(26)に流入する。第2収容部(22b)の低温側流出路(26)から流出した熱媒体は、共通ヘッダ本体(53)の低温内部流出溝(88)を経由して、共通ヘッダ本体(53)の低温側流出孔(84)に流入する。共通ヘッダ本体(53)の低温側流出孔(84)から流出した熱媒体は、低温端流出ポート(74)を介して磁気冷凍モジュール(20)の外部へ流出する。
【0167】
-実施形態1の変形例の効果-
本変形例の磁気冷凍モジュール(20)によっても、上記実施形態1と同様の効果が得られる。
【0168】
また、本変形例の磁気冷凍モジュール(20)は、最も低温寄りに配置される各上記収容部(22)の上記低温側流入ポート(25a)および上記低温側流出ポート(26a)と、最も高温寄りに配置される各上記収容部(22)の上記高温側流入ポート(27a)および上記高温側流出ポート(28a)とが、上記磁気冷凍モジュール(20)において片側に配置されている。この構成によると、当該4つのポート(25a~28a)が磁気冷凍モジュール(20)の片側にあるため、当該4つのポート(25a~28a)の各々に繋がる配管などを容易に設置することができる。
【0169】
また、本変形例の磁気冷凍モジュール(20)は、上記ヘッダ構造(32,42,52,62)が、上記低温内部流入路(87)、上記低温内部流出路(88)、上記高温内部流入路(85)、および上記高温内部流出路(86)を有する共通ヘッダ(52)と、上記第1直列内部流路(91,93,95,97)および上記第2直列内部流路(92,94,96,98)を有する接続ヘッダ(62)とを備える。この構成によると、熱媒体は、共通ヘッダ(52)から複数の収容部(22)および接続ヘッダ(62)を経由して共通ヘッダ(52)へ流れる。
【0170】
また、本変形例の磁気冷凍モジュール(20)は、上記ヘッダ構造(32,42,52,62)が、上記共通ヘッダ(52)と、上記接続ヘッダ(62)とを備え、上記低温内部流入路(87)、上記低温内部流出路(88)、上記高温内部流入路(85)、および上記高温内部流出路(86)が、上記共通ヘッダ(52)に設けられた単層構造で構成され、上記第1直列内部流路(91,93,95,97)および上記第2直列内部流路(92,94,96,98)が、上記接続ヘッダ(62)に設けられた単層構造で構成される。この構成によると、熱媒体は、共通ヘッダ(52)から複数の収容部(22)および接続ヘッダ(62)を経由して共通ヘッダ(52)へ流れる。低温内部流入路(87)、低温内部流出路(88)、高温内部流入路(85)、および高温内部流出路(86)、または第1直列内部流路(91,93,95,97)および第2直列内部流路(92,94,96,98)を単層構造で構成することで共通ヘッダ(52)または接続ヘッダ(62)を容易に製造できる。
【0171】
また、本変形例の磁気冷凍モジュール(20)は、上記共通ヘッダ(52)および上記接続ヘッダ(62)の各々が、上記収容部(22)に面する第1面(54a,64a)と、該第1面(54a,64a)の裏側の第2面(55a,63b)とを有し、単層構造の上記低温内部流入路(87)、上記低温内部流出路(88)、上記高温内部流入路(85)、および上記高温内部流出路(86)が、上記共通ヘッダ(52)の内部において上記第1面(54a)側に形成された溝(85~88)により構成され、単層構造の上記第1直列内部流路(91,93,95,97)および上記第2直列内部流路(92,94,96,98)が、上記接続ヘッダ(62)の内部において上記第1面(64a)側に形成された溝(91~98)により構成される。この構成によると、単層構造の低温内部流入路(87)、低温内部流出路(88)、高温内部流入路(85)、高温内部流出路(86)、第1直列内部流路(91,93,95,97)、および第2直列内部流路(92,94,96,98)を、共通ヘッダ(52)または接続ヘッダ(62)の内部に形成された溝(85~88,91~98)というシンプルな構成で実現することができる。
【0172】
-実施形態1の変形例の改良-
<逆流防止部>
図8等に示す実施形態1の変形例の磁気冷凍モジュール(20)では、収容部(22)同士を直列接続するための流路を往路と復路で分離しているが、実際はどちらの方向にも熱媒体が流れることができるため、当該流路がデッドボリュームとなって性能が低下する。
【0173】
そこで、
図34に示すように、収容部(22)同士の直列接続箇所(2箇所)に、例えば逆止弁で構成された逆流防止部(201,202)を設けてもよい。尚、
図34において、
図8に示す実施形態1の変形例と同じ構成要素には同じ符号を付す。
【0174】
具体的には、第1収容部(22a)の低温側流出ポート(25b)(低温側流入路(25)の出口)と、第2収容部(22b)の高温側流入ポート(28b)(高温側流出路(28)の入口)とが直列接続される箇所に第1逆流防止部(201)が配置されてもよい。また、第1収容部(22a)の低温側流入ポート(26b)(低温側流出路(26)の入口)と、第2収容部(22b)の高温側流出ポート(27b)(高温側流入路(27)の出口)とが直列接続される箇所に第2逆流防止部(202)が配置されてもよい。
【0175】
これにより、各収容部(22)の流路(25~28)において熱媒体が流れる方向を規定できるので、流路(25~28)がデッドボリュームとなって性能が低下することを抑制できる。
【0176】
尚、
図34に示す構成では、収容部(22)同士の全ての直列接続箇所に逆流防止部(201,202)を設けたが、これに代えて、第1逆流防止部(201)又は第2逆流防止部(202)の一方のみを設けてもよい。この場合にも、逆流防止部(201,202)を設けない場合と比べて、デッドボリュームに起因する性能低下を抑制することができる。
【0177】
また、
図34に示す構成において、第1収容部(22a)の低温側流出ポート(25b)(低温側流入路(25)の出口)及び第2収容部(22b)の高温側流入ポート(28b)(高温側流出路(28)の入口)の少なくとも一方に第1逆流防止部(201)を接続してもよい。また、第1収容部(22a)の低温側流入ポート(26b)(低温側流出路(26)の入口)及び第2収容部(22b)の高温側流出ポート(27b)(高温側流入路(27)の出口)の少なくとも一方に第2逆流防止部(202)を接続してもよい。このようにすると、実施形態1(
図32及び
図33参照)で説明したように、ヘッダ構造(52,62)内部において直列接続のための構造体の前段に逆流防止部(201,202)を設置することが可能となる。
【0178】
<断熱層>
図8等に示す本変形例の磁気冷凍モジュール(20)では、互いに温度が異なる収容部(22)同士や流路(25~28)同士が隣接した場合、熱漏れが生じて性能が低下する。
【0179】
そこで、
図34に示すように、直列に接続された収容部(22)同士の間に断熱層(第1断熱層)(211)を設けてもよい。断熱層(211)は、断熱材やスリットなどで構成されてもよい。また、収容部(22)の一部分を断熱層(211)となる断熱部材で構成してもよい。断熱層(211)は、直列に接続された収容部(22)同士の間の全体に設けてもよいし、或いは、直列に接続された収容部(22)同士の間の一部分に設けてもよい。
図34に示す構成では、異なる温度で熱媒体が流れる第1収容部(22a)の磁気作業物質(23)と第2収容部(22b)の磁気作業物質(23)との間、及び、異なる温度で熱媒体が流れる第1収容部(22a)の高温側流出路(28)と第2収容部(22b)の低温側流入路(25)との間に、断熱層(211)が設けられている。
【0180】
これにより、互いに温度が異なる収容部(22)(磁気作業物質(23))同士や流路(25~28)同士が隣接する場合にも、熱漏れが生じて性能が低下することを抑制できる。言い換えると、異なる温度の熱媒体が流れる収容部(22)同士の間で熱漏れが生じて性能が低下することを抑制できる。
【0181】
《実施形態2》
実施形態2について説明する。本実施形態の磁気冷凍モジュール(20)は、収容部(22)の数が上記実施形態1と異なる。以下、上記実施形態1と異なる点について主に説明する。
【0182】
〈収容部ケース〉
図11~
図14に示すように、収容部ケース(21)には、3つの収容部(22)が収容される。収容部ケース(21)には、3つの貫通孔(21a)が形成されており、各貫通孔(21a)に1つの収容部(22)が収容される。
【0183】
以下では、本実施形態の3つの収容部(22)を、
図12(A)の左から右に向かって順に、第1収容部(22a)、第2収容部(22b)、および第3収容部(22c)ということもある。第1収容部(22a)は、最も高温寄りに配置される収容部を構成する。第3収容部(22c)は、最も低温寄りに配置される収容部を構成する。
【0184】
〈高温側ヘッダ〉
高温側ヘッダ(32)では、高温側ヘッダ本体(33)および第1高温側パッキン(34)の構成が上記実施形態1と異なる。第2高温側パッキン(35)の構成は、上記実施形態1と同じである。
【0185】
[高温側ヘッダ本体]
高温側ヘッダ本体(33)の表面(33a)には(換言すると、高温側ヘッダ(32)の内部における第1面側には)、高温内部流入溝(85)、高温内部流出溝(86)、第1直列接続溝(91)、および第2直列接続溝(92)が単層構造により形成される。
【0186】
高温内部流入溝(85)は、第1高温側パッキン(34)を介して、高温側流入孔(81)と、第1収容部(22a)の高温側流入ポート(27a)(具体的には、第1収容部(22a)の高温側流入路(27)の入口)とを連通させる。高温内部流入溝(85)は、高温側ヘッダ本体(33)の表面(33a)において略L字状に構成される。高温内部流入溝(85)は、高温内部流入路を構成する。
【0187】
高温内部流出溝(86)は、第1高温側パッキン(34)を介して、高温側流出孔(82)と、第1収容部(22a)の高温側流出ポート(28a)(具体的には、第1収容部(22a)の高温側流出路(28)の出口)とを連通させる。高温内部流出溝(86)は、高温側ヘッダ本体(33)の表面(33a)において下方に開口する略C字状に構成される。高温内部流出溝(86)は、高温内部流出路を構成する。
【0188】
第1直列接続溝(91)は、第1高温側パッキン(34)を介して、第2収容部(22b)の低温側流出ポート(26a)(具体的には、第2収容部(22b)の低温側流出路(26)の出口)と、第3収容部(22c)の高温側流入ポート(27a)(具体的には、第3収容部(22c)の高温側流入路(27)の入口)とを直列接続により連通させる。第1直列接続溝(91)は、高温側ヘッダ本体(33)の表面(33a)において矩形状に構成される。第1直列接続溝(91)は、第1直列内部流路を構成する。
【0189】
第2直列接続溝(92)は、第1高温側パッキン(34)を介して、第2収容部(22b)の低温側流入ポート(25a)(具体的には、第2収容部(22b)の低温側流入路(25)の入口)と、第3収容部(22c)の高温側流出ポート(28a)(具体的には、第3収容部(22c)の高温側流出路(28)の出口)とを直列接続により連通させる。第2直列接続溝(92)は、高温側ヘッダ本体(33)の表面(33a)において下方に開口する略C字状に構成される。第2直列接続溝(92)は、第2直列内部流路を構成する。
【0190】
[第1高温側パッキン]
第1高温側パッキン(34)には、それぞれが縦長の矩形状に構成された第1~第6パッキン孔(H1~H6)が形成される。第1~第6パッキン孔(H1~H6)は、第1高温側パッキン(34)を厚さ方向に貫通する。
【0191】
第1パッキン孔(H1)は、第3収容部(22c)の高温側流出ポート(28a)と、高温側ヘッダ本体(33)の第2直列接続溝(92)とを連通させる。第2パッキン孔(H2)は、第3収容部(22c)の高温側流入ポート(27a)と、高温側ヘッダ本体(33)の第1直列接続溝(91)とを連通させる。第3パッキン孔(H3)は、第2収容部(22b)の低温側流出ポート(26a)と、高温側ヘッダ本体(33)の第1直列接続溝(91)とを連通させる。第4パッキン孔(H4)は、第2収容部(22b)の低温側流入ポート(25a)と、高温側ヘッダ本体(33)の第2直列接続溝(92)とを連通させる。第5パッキン孔(H5)は、第1収容部(22a)の高温側流出ポート(28a)と、高温側ヘッダ本体(33)の高温内部流出溝(86)とを連通させる。第6パッキン孔(H6)は、第1収容部(22a)の高温側流入ポート(27a)と、高温側ヘッダ本体(33)の高温内部流入溝(85)とを連通させる。
【0192】
このような構成により、第2収容部(22b)の低温側流出路(26)と、第3収容部(22c)の高温側流入路(27)とが、第1直列接続溝(91)を介して互いに直列に接続される。第2収容部(22b)の低温側流入路(25)と、第3収容部(22c)の高温側流出路(28)とが、第2直列接続溝(92)を介して互いに直列に接続される。換言すると、第2収容部(22b)と第3収容部(22c)とは、互いに直列に接続される。
【0193】
〈低温側ヘッダ〉
低温側ヘッダ(42)では、低温側ヘッダ本体(43)および第1低温側パッキン(44)の構成が上記実施形態1と異なる。第2低温側パッキン(45)の構成は、上記実施形態1と同じである。
【0194】
[低温側ヘッダ本体]
低温側ヘッダ本体(43)の表面(43a)には(換言すると、低温側ヘッダ(42)の内部における第1面側には)、低温内部流入溝(87)、低温内部流出溝(88)、第3直列接続溝(93)、および第4直列接続溝(94)が単層構造により形成される。
【0195】
低温内部流入溝(87)は、第1低温側パッキン(44)を介して、低温側流入孔(83)と、第3収容部(22c)の低温側流入ポート(25a)(具体的には、第3収容部(22c)の低温側流入路(25)の入口)とを連通させる。低温内部流入溝(87)は、低温側ヘッダ本体(43)の表面(43a)において上方に開口する略C字状に構成される。低温内部流入溝(87)は、低温内部流入路を構成する。
【0196】
低温内部流出溝(88)は、第1低温側パッキン(44)を介して、低温側流出孔(84)と、第3収容部(22c)の低温側流出ポート(26a)(具体的には、第3収容部(22c)の低温側流出路(26)の出口)とを連通させる。低温内部流出溝(88)は、低温側ヘッダ本体(43)の表面(43a)において略L字状に構成される。低温内部流出溝(88)は、低温内部流出路を構成する。
【0197】
第3直列接続溝(93)は、第1低温側パッキン(44)を介して、第1収容部(22a)の低温側流出ポート(26a)(具体的には、第1収容部(22a)の低温側流出路(26)の出口)と、第2収容部(22b)の高温側流入ポート(27a)(具体的には、第2収容部(22b)の高温側流入路(27)の入口)とを直列接続により連通させる。第3直列接続溝(93)は、低温側ヘッダ本体(43)の表面(43a)において矩形状に構成される。第3直列接続溝(93)は、第1直列内部流路を構成する。
【0198】
第4直列接続溝(94)は、第1低温側パッキン(44)を介して、第1収容部(22a)の低温側流入ポート(25a)(具体的には、第1収容部(22a)の低温側流入路(25)の入口)と、第2収容部(22b)の高温側流出ポート(28a)(具体的には、第2収容部(22b)の高温側流出路(28)の出口)とを直列接続により連通させる。第4直列接続溝(94)は、低温側ヘッダ本体(43)の表面(43a)において上方に開口する略C字状に構成される。第4直列接続溝(94)は、第2直列内部流路を構成する。
【0199】
[第1低温側パッキン]
第1低温側パッキン(44)には、それぞれが縦長の矩形状に構成された第7~第12パッキン孔(H7~H12)が形成される。第7~第12パッキン孔(H7~H12)は、第1低温側パッキン(44)を厚さ方向に貫通する。
【0200】
第7パッキン孔(H7)は、第1収容部(22a)の低温側流入ポート(25a)と、低温側ヘッダ本体(43)の第4直列接続溝(94)とを連通させる。第8パッキン孔(H8)は、第1収容部(22a)の低温側流出ポート(26a)と、低温側ヘッダ本体(43)の第3直列接続溝(93)とを連通させる。第9パッキン孔(H9)は、第2収容部(22b)の高温側流入ポート(27a)と、低温側ヘッダ本体(43)の第3直列接続溝(93)とを連通させる。第10パッキン孔(H10)は、第2収容部(22b)の高温側流出ポート(28a)と、低温側ヘッダ本体(43)の第4直列接続溝(94)とを連通させる。第11パッキン孔(H11)は、第3収容部(22c)の低温側流入ポート(25a)と、低温側ヘッダ本体(43)の低温内部流入溝(87)とを連通させる。第12パッキン孔(H12)は、第3収容部(22c)の低温側流出ポート(26a)と、低温側ヘッダ本体(43)の低温内部流出溝(88)とを連通させる。
【0201】
このような構成により、第1収容部(22a)の低温側流出路(26)と、第2収容部(22b)の高温側流入路(27)とが、第3直列接続溝(93)を介して互いに直列に接続される。第1収容部(22a)の低温側流入路(25)と、第2収容部(22b)の高温側流出路(28)とが、第4直列接続溝(94)を介して互いに直列に接続される。換言すると、第1収容部(22a)と第2収容部(22b)とは、互いに直列に接続される。
【0202】
-磁気冷凍モジュールにおける熱媒体の流れ-
空調システム(10)が運転されるときの、より具体的には熱媒体ポンプ(130)が第1動作または第2動作を行うときの、磁気冷凍モジュール(20)における熱媒体の流れについて説明する。
【0203】
図13に示すように、熱媒体ポンプ(130)が第1動作を行うときには、磁気冷凍モジュール(20)において低温側から高温側へ熱媒体が流れる。具体的に、磁気冷凍モジュール(20)では、低温端流入ポート(73)から流入した熱媒体が、低温側ヘッダ本体(43)の低温側流入孔(83)に流入する。低温側ヘッダ本体(43)の低温側流入孔(83)から流出した熱媒体は、低温側ヘッダ本体(43)の低温内部流入溝(87)を経由して、第3収容部(22c)の低温側流入路(25)に流入する。第3収容部(22c)の低温側流入路(25)から流出した熱媒体は、第3収容部(22c)の磁気作業物質(23)を流れた後に、第3収容部(22c)の高温側流出路(28)に流入する。
【0204】
第3収容部(22c)の高温側流出路(28)から流出した熱媒体は、高温側ヘッダ本体(33)の第2直列接続溝(92)を経由して、第2収容部(22b)の低温側流入路(25)に流入する。第2収容部(22b)の低温側流入路(25)から流出した熱媒体は、第2収容部(22b)の磁気作業物質(23)を流れた後に、第2収容部(22b)の高温側流出路(28)に流入する。
【0205】
第2収容部(22b)の高温側流出路(28)から流出した熱媒体は、低温側ヘッダ本体(43)の第4直列接続溝(94)を経由して、第1収容部(22a)の低温側流入路(25)に流入する。第1収容部(22a)の低温側流入路(25)から流出した熱媒体は、第1収容部(22a)の磁気作業物質(23)を流れた後に、第1収容部(22a)の高温側流出路(28)に流入する。第1収容部(22a)の高温側流出路(28)から流出した熱媒体は、高温側ヘッダ本体(33)の高温内部流出溝(86)を経由して、高温側ヘッダ本体(33)の高温側流出孔(82)に流入する。高温側ヘッダ本体(33)の高温側流出孔(82)から流出した熱媒体は、高温端流出ポート(72)を介して磁気冷凍モジュール(20)の外部へ流出する。
【0206】
図14に示すように、熱媒体ポンプ(130)が第2動作を行うときには、磁気冷凍モジュール(20)において高温側から低温側へ熱媒体が流れる。具体的に、磁気冷凍モジュール(20)では、高温端流入ポート(71)から流入した熱媒体が、高温側ヘッダ本体(33)の高温側流入孔(81)に流入する。高温側ヘッダ本体(33)の高温側流入孔(81)から流出した熱媒体は、高温側ヘッダ本体(33)の高温内部流入溝(85)を経由して、第1収容部(22a)の高温側流入路(27)に流入する。第1収容部(22a)の高温側流入路(27)から流出した熱媒体は、第1収容部(22a)の磁気作業物質(23)を流れた後に、第1収容部(22a)の低温側流出路(26)に流入する。
【0207】
第1収容部(22a)の低温側流出路(26)から流出した熱媒体は、低温側ヘッダ本体(43)の第3直列接続溝(93)を経由して、第2収容部(22b)の高温側流入路(27)に流入する。第2収容部(22b)の高温側流入路(27)から流出した熱媒体は、第2収容部(22b)の磁気作業物質(23)を流れた後に、第2収容部(22b)の低温側流出路(26)に流入する。
【0208】
第2収容部(22b)の低温側流出路(26)から流出した熱媒体は、高温側ヘッダ本体(33)の第1直列接続溝(91)を経由して、第3収容部(22c)の高温側流入路(27)に流入する。第3収容部(22c)の高温側流入路(27)から流出した熱媒体は、第3収容部(22c)の磁気作業物質(23)を流れた後に、第3収容部(22c)の低温側流出路(26)に流入する。第3収容部(22c)の低温側流出路(26)から流出した熱媒体は、低温側ヘッダ本体(43)の低温内部流出溝(88)を経由して、低温側ヘッダ本体(43)の低温側流出孔(84)に流入する。低温側ヘッダ本体(43)の低温側流出孔(84)から流出した熱媒体は、低温端流出ポート(74)を介して磁気冷凍モジュール(20)の外部へ流出する。
【0209】
-実施形態2の効果-
本実施形態の磁気冷凍モジュール(20)によっても、上記実施形態1と同様の効果が得られる。
【0210】
-実施形態2の改良-
<逆流防止部>
図12等に示す実施形態2の磁気冷凍モジュール(20)では、収容部(22)同士を直列接続するための流路を往路と復路で分離しているが、実際はどちらの方向にも熱媒体が流れることができるため、当該流路がデッドボリュームとなって性能が低下する。
【0211】
そこで、
図35に示すように、収容部(22)同士の直列接続箇所(4箇所)に、例えば逆止弁で構成された逆流防止部(201,202,203,204)を設けてもよい。尚、
図35において、
図12に示す実施形態2と同じ構成要素には同じ符号を付す。
【0212】
具体的には、第1収容部(22a)の低温側流出ポート(25b)(低温側流入路(25)の出口)と、第2収容部(22b)の高温側流入ポート(28b)(高温側流出路(28)の入口)とが直列接続される箇所に第1逆流防止部(201)が配置されてもよい。また、第1収容部(22a)の低温側流入ポート(26b)(低温側流出路(26)の入口)と、第2収容部(22b)の高温側流出ポート(27b)(高温側流入路(27)の出口)とが直列接続される箇所に第2逆流防止部(202)が配置されてもよい。また、第2収容部(22b)の低温側流入ポート(25a)(低温側流入路(25)の入口)と、第3収容部(22c)の高温側流出ポート(28a)(高温側流出路(28)の出口)とが直列接続される箇所に第3逆流防止部(203)が配置されてもよい。また、第2収容部(22b)の低温側流出ポート(26a)(低温側流出路(26)の出口)と、第3収容部(22c)の高温側流入ポート(27a)(高温側流入路(27)の入口)とが直列接続される箇所に第4逆流防止部(204)が配置されてもよい。
【0213】
これにより、各収容部(22)の流路(25~28)において熱媒体が流れる方向を規定できるので、流路(25~28)がデッドボリュームとなって性能が低下することを抑制できる。
【0214】
尚、
図35に示す構成では、収容部(22)同士の全ての直列接続箇所に逆流防止部(201,202,203,204)を設けたが、逆流防止部(201,202,203,204)の少なくとも1つを設けてもよい。例えば3つの収容部(22)の直列接続構造のうち一部の収容部(22)間には逆流防止部(201,202,203,204)を設けなくてもよい。この場合にも、逆流防止部(201,202,203,204)を全く設けない場合と比べて、デッドボリュームに起因する性能低下を抑制することができる。
【0215】
また、
図35に示す構成において、第1収容部(22a)の低温側流出ポート(25b)(低温側流入路(25)の出口)及び第2収容部(22b)の高温側流入ポート(28b)(高温側流出路(28)の入口)の少なくとも一方に第1逆流防止部(201)を接続してもよい。また、第1収容部(22a)の低温側流入ポート(26b)(低温側流出路(26)の入口)及び第2収容部(22b)の高温側流出ポート(27b)(高温側流入路(27)の出口)の少なくとも一方に第2逆流防止部(202)を接続してもよい。また、第2収容部(22b)の低温側流入ポート(25a)(低温側流入路(25)の入口)及び第3収容部(22c)の高温側流出ポート(28a)(高温側流出路(28)の出口)の少なくとも一方に第3逆流防止部(203)を接続してもよい。また、第2収容部(22b)の低温側流出ポート(26a)(低温側流出路(26)の出口)及び第3収容部(22c)の高温側流入ポート(27a)(高温側流入路(27)の入口)の少なくとも一方に第4逆流防止部(204)を接続してもよい。このようにすると、実施形態1(
図32及び
図33参照)で説明したように、ヘッダ構造(32,42)内部において直列接続のための構造体の前段に逆流防止部(201,202,203,204)を設置することが可能となる。
【0216】
<断熱層>
図12等に示す本実施形態の磁気冷凍モジュール(20)では、互いに温度が異なる収容部(22)同士や流路(25~28)同士が隣接した場合、熱漏れが生じて性能が低下する。
【0217】
そこで、
図35に示すように、直列に接続された収容部(22)同士の間に断熱層(211,212)を設けてもよい。断熱層(211,212)は、断熱材やスリットなどで構成されてもよい。また、収容部(22)の一部分を断熱層(211,212)となる断熱部材で構成してもよい。断熱層(211,212)は、直列に接続された収容部(22)同士の間の全体に設けてもよいし、或いは、直列に接続された収容部(22)同士の間の一部分に設けてもよい。
図35に示す構成では、異なる温度で熱媒体が流れる第1収容部(22a)の磁気作業物質(23)と第2収容部(22b)の磁気作業物質(23)との間、及び、異なる温度で熱媒体が流れる第1収容部(22a)の高温側流出路(28)と第2収容部(22b)の低温側流入路(25)との間に、第1断熱層(211)が設けられている。また、異なる温度で熱媒体が流れる第2収容部(22b)の磁気作業物質(23)と第3収容部(22c)の磁気作業物質(23)との間、及び、異なる温度で熱媒体が流れる第2収容部(22b)の高温側流出路(28)と第3収容部(22c)の低温側流入路(25)との間に、第2断熱層(212)が設けられている。
【0218】
これにより、互いに温度が異なる収容部(22)(磁気作業物質(23))同士や流路(25~28)同士が隣接する場合にも、熱漏れが生じて性能が低下することを抑制できる。言い換えると、異なる温度の熱媒体が流れる収容部(22)同士の間で熱漏れが生じて性能が低下することを抑制できる。
【0219】
《実施形態2の変形例》
実施形態2の変形例について説明する。本変形例の磁気冷凍モジュール(20)は、共通ヘッダ(52)および接続ヘッダ(62)を備える点で上記実施形態2と異なる。以下、上記実施形態2と異なる点について主に説明する。
【0220】
図15~
図18に示すように、磁気冷凍モジュール(20)は、それぞれが直方体状に形成された収容部ケース(21)と、共通ヘッダケース(51)と、接続ヘッダケース(61)とを備える。収容部ケース(21)の一の側面(
図15の左側面)には、共通ヘッダケース(51)が一体的に取り付けられる。収容部ケース(21)の別の側面(
図15の右側面)には、接続ヘッダケース(61)が一体的に取り付けられる。
【0221】
〈共通ヘッダケース〉
共通ヘッダケース(51)には、共通ヘッダ(52)が収容される。共通ヘッダケース(51)は、高温端流入ポート(71)、高温端流出ポート(72)、低温端流入ポート(73)、および低温端流出ポート(74)を備える。
【0222】
共通ヘッダ(52)は、
図15に示すように、共通ヘッダケース(51)内において各収容部(22)に接するように配置される。共通ヘッダ(52)は、
図15に示すように、共通ヘッダ本体(53)と、第1共通パッキン(54)と、第2共通パッキン(55)とを備える。共通ヘッダ(52)は、ヘッダ構造を構成する。
【0223】
[共通ヘッダ本体]
共通ヘッダ本体(53)は、やや扁平な直方体状に形成される。共通ヘッダ本体(53)は、熱伝導率が10W/m以下の非磁性材料(例えば、樹脂)で構成される。共通ヘッダ本体(53)は、第1共通パッキン(54)に接する表面(53a)と、第2共通パッキン(55)に接する裏面(53b)とを有する。共通ヘッダ本体(53)には、それぞれが共通ヘッダ本体(53)を厚さ方向(
図15における左右方向)に貫通する高温側流入孔(81)、高温側流出孔(82)、低温側流入孔(83)、および低温側流出孔(84)が形成される。共通ヘッダ本体(53)の表面(53a)には(換言すると、共通ヘッダ(52)の内部における第1面側には)、高温内部流入溝(85)、高温内部流出溝(86)、低温内部流入溝(87)、低温内部流出溝(88)、第1直列接続溝(91)、および第2直列接続溝(92)が単層構造により形成される。
【0224】
高温内部流入溝(85)は、第1共通パッキン(54)を介して、高温側流入孔(81)と、第1収容部(22a)の高温側流入ポート(27a)(具体的には、第1収容部(22a)の高温側流入路(27)の入口)とを連通させる。高温内部流入溝(85)は、共通ヘッダ本体(53)の表面(53a)において略L字状に構成される。高温内部流入溝(85)は、高温内部流入路を構成する。
【0225】
高温内部流出溝(86)は、第1共通パッキン(54)を介して、高温側流出孔(82)と、第1収容部(22a)の高温側流出ポート(28a)(具体的には、第1収容部(22a)の高温側流出路(28)の出口)とを連通させる。高温内部流出溝(86)は、共通ヘッダ本体(53)の表面(53a)において略L字状に構成される。高温内部流出溝(86)は、高温内部流出路を構成する。
【0226】
低温内部流入溝(87)は、第1共通パッキン(54)を介して、低温側流入孔(83)と、第3収容部(22c)の低温側流入ポート(25a)(具体的には、第3収容部(22c)の低温側流入路(25)の入口)とを連通させる。低温内部流入溝(87)は、共通ヘッダ本体(53)の表面(53a)において略L字状に構成される。低温内部流入溝(87)は、低温内部流入路を構成する。
【0227】
低温内部流出溝(88)は、第1共通パッキン(54)を介して、低温側流出孔(84)と、第3収容部(22c)の低温側流出ポート(26a)(具体的には、第3収容部(22c)の低温側流出路(26)の出口)とを連通させる。低温内部流出溝(88)は、共通ヘッダ本体(53)の表面(53a)において略L字状に構成される。低温内部流出溝(88)は、低温内部流出路を構成する。
【0228】
第1直列接続溝(91)は、第1共通パッキン(54)を介して、第1収容部(22a)の低温側流出ポート(26a)(具体的には、第1収容部(22a)の低温側流出路(26)の出口)と、第2収容部(22b)の高温側流入ポート(27a)(具体的には、第2収容部(22b)の高温側流入路(27)の入口)とを直列接続により連通させる。第1直列接続溝(91)は、共通ヘッダ本体(53)の表面(53a)において矩形状に構成される。第1直列接続溝(91)は、第1直列内部流路を構成する。
【0229】
第2直列接続溝(92)は、第1共通パッキン(54)を介して、第1収容部(22a)の低温側流入ポート(25a)(具体的には、第1収容部(22a)の低温側流入路(25)の入口)と、第2収容部(22b)の高温側流出ポート(28a)(具体的には、第2収容部(22b)の高温側流出路(28)の出口)とを直列接続により連通させる。第2直列接続溝(92)は、共通ヘッダ本体(53)の表面(53a)において下方に開口する略C字状に構成される。第2直列接続溝(92)は、第2直列内部流路を構成する。
【0230】
[第1共通パッキン]
第1共通パッキン(54)は、矩形板状の樹脂部材である。第1共通パッキン(54)を構成する樹脂は、熱伝導率が10W/m以下の非磁性材料である。第1共通パッキン(54)の一側面は、共通ヘッダ本体(53)の表面(53a)に取り付けられる。第1共通パッキン(54)の他側面(54a)は、各収容部(22)に取り付けられる。このように、第1共通パッキン(54)、より広くは共通ヘッダ(52)は、複数の収容部(22)を互いに一体化する。第1共通パッキン(54)の他側面(54a)は、各収容部(22)に面する共通ヘッダ(52)の第1面を構成する。
【0231】
第1共通パッキン(54)には、それぞれが縦長の矩形状に構成された第1~第8パッキン孔(H1~H8)が形成される。第1~第8パッキン孔(H1~H8)は、第1共通パッキン(54)を厚さ方向に貫通する。
【0232】
第1パッキン孔(H1)は、第1収容部(22a)の高温側流出ポート(28a)と、共通ヘッダ本体(53)の高温内部流出溝(86)とを連通させる。第2パッキン孔(H2)は、第1収容部(22a)の高温側流入ポート(27a)と、共通ヘッダ本体(53)の高温内部流入溝(85)とを連通させる。第3パッキン孔(H3)は、第3収容部(22c)の低温側流出ポート(26a)と、共通ヘッダ本体(53)の低温内部流出溝(88)とを連通させる。第4パッキン孔(H4)は、第3収容部(22c)の低温側流入ポート(25a)と、共通ヘッダ本体(53)の低温内部流入溝(87)とを連通させる。第5パッキン孔(H5)は、第2収容部(22b)の高温側流出ポート(28a)と、共通ヘッダ本体(53)の第2直列接続溝(92)とを連通させる。第6パッキン孔(H6)は、第2収容部(22b)の高温側流入ポート(27a)と、共通ヘッダ本体(53)の第1直列接続溝(91)とを連通させる。第7パッキン孔(H7)は、第1収容部(22a)の低温側流出ポート(26a)と、共通ヘッダ本体(53)の第1直列接続溝(91)とを連通させる。第8パッキン孔(H8)は、第1収容部(22a)の低温側流入ポート(25a)と、共通ヘッダ本体(53)の第2直列接続溝(92)とを連通させる。
【0233】
このような構成により、第1収容部(22a)の低温側流出路(26)と、第2収容部(22b)の高温側流入路(27)とが、第1直列接続溝(91)を介して互いに直列に接続される。第1収容部(22a)の低温側流入路(25)と、第2収容部(22b)の高温側流出路(28)とが、第2直列接続溝(92)を介して互いに直列に接続される。換言すると、第1収容部(22a)と第2収容部(22b)とは、互いに直列に接続される。
【0234】
[第2共通パッキン]
第2共通パッキン(55)は、矩形板状の樹脂部材である。第2共通パッキン(55)を構成する樹脂は、熱伝導率が10W/m以下の非磁性材料である。第2共通パッキン(55)の一側面は、共通ヘッダ本体(53)の裏面(53b)に取り付けられる。第2共通パッキン(55)の他側面(55a)は、共通ヘッダ(52)の第1面の裏側の第2面を構成する。
【0235】
第2共通パッキン(55)には、それぞれが円形状に構成された高温側流出パッキン孔(101)、高温側流入パッキン孔(102)、低温側流出パッキン孔(103)、および低温側流入パッキン孔(104)が形成される。高温側流出パッキン孔(101)、高温側流入パッキン孔(102)、低温側流出パッキン孔(103)、および低温側流入パッキン孔(104)は、第2共通パッキン(55)を厚さ方向に貫通する。高温側流出パッキン孔(101)は、高温端流出ポート(72)と、共通ヘッダ本体(53)の高温側流出孔(82)とを連通させる。高温側流入パッキン孔(102)は、高温端流入ポート(71)と、共通ヘッダ本体(53)の高温側流入孔(81)とを連通させる。低温側流出パッキン孔(103)は、低温端流出ポート(74)と、共通ヘッダ本体(53)の低温側流出孔(84)とを連通させる。低温側流入パッキン孔(104)は、低温端流入ポート(73)と、共通ヘッダ本体(53)の低温側流入孔(83)とを連通させる。
【0236】
〈接続ヘッダケース〉
接続ヘッダケース(61)には、接続ヘッダ(62)が収容される。接続ヘッダ(62)は、
図15に示すように、接続ヘッダケース(61)の内部において各収容部(22)に接するように配置される。接続ヘッダ(62)は、
図15に示すように、接続ヘッダ本体(63)と、接続パッキン(64)とを備える。接続ヘッダ(62)は、ヘッダ構造を構成する。
【0237】
[接続ヘッダ本体]
接続ヘッダ本体(63)は、やや扁平な直方体状に形成される。接続ヘッダ本体(63)は、熱伝導率が10W/m以下の非磁性材料(例えば、樹脂)で構成される。接続ヘッダ本体(63)は、接続パッキン(64)に接する表面(63a)と、その裏側の裏面(63b)とを有する。接続ヘッダ本体(63)の表面(63a)には(換言すると、接続ヘッダ(62)の内部における第1面側には)、第3直列接続溝(93)および第4直列接続溝(94)が単層構造により形成される。接続ヘッダ本体(63)の裏面は、接続ヘッダ(62)の第2面を構成する。
【0238】
第3直列接続溝(93)は、接続パッキン(64)を介して、第2収容部(22b)の低温側流出ポート(26a)(具体的には、第2収容部(22b)の低温側流出路(26)の出口)と、第3収容部(22c)の高温側流入ポート(27a)(具体的には、第3収容部(22c)の高温側流入路(27)の入口)とを直列接続により連通させる。第3直列接続溝(93)は、接続ヘッダ本体(63)の表面(63a)において矩形状に構成される。第3直列接続溝(93)は、第1直列内部流路を構成する。
【0239】
第4直列接続溝(94)は、接続パッキン(64)を介して、第2収容部(22b)の低温側流入ポート(25a)(具体的には、第2収容部(22b)の低温側流入路(25)の入口)と、第3収容部(22c)の高温側流出ポート(28a)(具体的には、第3収容部(22c)の高温側流出路(28)の出口)とを直列接続により連通させる。第4直列接続溝(94)は、接続ヘッダ本体(63)の表面(63a)において下方に開口する略C字状に構成される。第4直列接続溝(94)は、第2直列内部流路を構成する。
【0240】
[接続パッキン]
接続パッキン(64)は、矩形板状の樹脂部材である。接続パッキン(64)を構成する樹脂は、熱伝導率が10W/m以下の非磁性材料である。接続パッキン(64)の一側面は、接続ヘッダ本体(63)の表面(63a)に取り付けられる。接続パッキン(64)の他側面(64a)は、各収容部(22)に取り付けられる。このように、接続パッキン(64)、より広くは接続ヘッダ(62)は、複数の収容部(22)を互いに一体化する。接続パッキン(64)の他側面(64a)は、各収容部(22)に面する接続ヘッダ(62)の第1面を構成する。
【0241】
接続パッキン(64)には、それぞれが縦長の矩形状に構成された第9~第12パッキン孔(H9~H12)が形成される。第9~第12パッキン孔(H9~H12)は、接続パッキン(64)を厚さ方向に貫通する。
【0242】
第9パッキン孔(H9)は、第2収容部(22b)の低温側流入ポート(25a)と、接続ヘッダ本体(63)の第4直列接続溝(94)とを連通させる。第10パッキン孔(H10)は、第2収容部(22b)の低温側流出ポート(26a)と、接続ヘッダ本体(63)の第3直列接続溝(93)とを連通させる。第11パッキン孔(H11)は、第3収容部(22c)の高温側流入ポート(27a)と、接続ヘッダ本体(63)の第3直列接続溝(93)とを連通させる。第12パッキン孔(H12)は、第3収容部(22c)の高温側流出ポート(28a)と、接続ヘッダ本体(63)の第4直列接続溝(94)とを連通させる。
【0243】
このような構成により、第2収容部(22b)の低温側流出路(26)と、第3収容部(22c)の高温側流入路(27)とが、第3直列接続溝(93)を介して互いに直列に接続される。第2収容部(22b)の低温側流入路(25)と、第3収容部(22c)の高温側流出路(28)とが、第4直列接続溝(94)を介して互いに直列に接続される。換言すると、第2収容部(22b)と第3収容部(22c)とは、互いに直列に接続される。
【0244】
-磁気冷凍モジュールにおける熱媒体の流れ-
空調システム(10)が運転されるときの、より具体的には熱媒体ポンプ(130)が第1動作または第2動作を行うときの、磁気冷凍モジュール(20)における熱媒体の流れについて説明する。
【0245】
図17に示すように、熱媒体ポンプ(130)が第1動作を行うときには、磁気冷凍モジュール(20)において低温側から高温側へ熱媒体が流れる。具体的に、磁気冷凍モジュール(20)では、低温端流入ポート(73)から流入した熱媒体が、共通ヘッダ本体(53)の低温側流入孔(83)に流入する。共通ヘッダ本体(53)の低温側流入孔(83)から流出した熱媒体は、共通ヘッダ本体(53)の低温内部流入溝(87)を経由して、第3収容部(22c)の低温側流入路(25)に流入する。第3収容部(22c)の低温側流入路(25)から流出した熱媒体は、第3収容部(22c)の磁気作業物質(23)を流れた後に、第3収容部(22c)の高温側流出路(28)に流入する。
【0246】
第3収容部(22c)の高温側流出路(28)から流出した熱媒体は、接続ヘッダ本体(63)の第4直列接続溝(94)を経由して、第2収容部(22b)の低温側流入路(25)に流入する。第2収容部(22b)の低温側流入路(25)から流出した熱媒体は、第2収容部(22b)の磁気作業物質(23)を流れた後に、第2収容部(22b)の高温側流出路(28)に流入する。
【0247】
第2収容部(22b)の高温側流出路(28)から流出した熱媒体は、共通ヘッダ本体(53)の第2直列接続溝(92)を経由して、第1収容部(22a)の低温側流入路(25)に流入する。第1収容部(22a)の低温側流入路(25)から流出した熱媒体は、第1収容部(22a)の磁気作業物質(23)を流れた後に、第1収容部(22a)の高温側流出路(28)に流入する。第1収容部(22a)の高温側流出路(28)から流出した熱媒体は、共通ヘッダ本体(53)の高温内部流出溝(86)を経由して、共通ヘッダ本体(53)の高温側流出孔(82)に流入する。共通ヘッダ本体(53)の高温側流出孔(82)から流出した熱媒体は、高温端流出ポート(72)を介して磁気冷凍モジュール(20)の外部へ流出する。
【0248】
図18に示すように、熱媒体ポンプ(130)が第2動作を行うときには、磁気冷凍モジュール(20)において高温側から低温側へ熱媒体が流れる。具体的に、磁気冷凍モジュール(20)では、高温端流入ポート(71)から流入した熱媒体が、共通ヘッダ本体(53)の高温側流入孔(81)に流入する。共通ヘッダ本体(53)の高温側流入孔(81)から流出した熱媒体は、共通ヘッダ本体(53)の高温内部流入溝(85)を経由して、第1収容部(22a)の高温側流入路(27)に流入する。第1収容部(22a)の高温側流入路(27)から流出した熱媒体は、第1収容部(22a)の磁気作業物質(23)を流れた後に、第1収容部(22a)の低温側流出路(26)に流入する。
【0249】
第1収容部(22a)の低温側流出路(26)から流出した熱媒体は、共通ヘッダ本体(53)の第1直列接続溝(91)を経由して、第2収容部(22b)の高温側流入路(27)に流入する。第2収容部(22b)の高温側流入路(27)から流出した熱媒体は、第2収容部(22b)の磁気作業物質(23)を流れた後に、第2収容部(22b)の低温側流出路(26)に流入する。
【0250】
第2収容部(22b)の低温側流出路(26)から流出した熱媒体は、接続ヘッダ本体(63)の第3直列接続溝(93)を経由して、第3収容部(22c)の高温側流入路(27)に流入する。第3収容部(22c)の高温側流入路(27)から流出した熱媒体は、第3収容部(22c)の磁気作業物質(23)を流れた後に、第3収容部(22c)の低温側流出路(26)に流入する。第3収容部(22c)の低温側流出路(26)から流出した熱媒体は、共通ヘッダ本体(53)の低温内部流出溝(88)を経由して、共通ヘッダ本体(53)の低温側流出孔(84)に流入する。共通ヘッダ本体(53)の低温側流出孔(84)から流出した熱媒体は、低温端流出ポート(74)を介して磁気冷凍モジュール(20)の外部へ流出する。
【0251】
-実施形態2の変形例の効果-
本変形例の磁気冷凍モジュール(20)によっても、上記実施形態2と同様の効果が得られる。
【0252】
また、本変形例の磁気冷凍モジュール(20)は、最も低温寄りに配置される各上記収容部(22)の上記低温側流入ポート(25a)および上記低温側流出ポート(26a)と、最も高温寄りに配置される各上記収容部(22)の上記高温側流入ポート(27a)および上記高温側流出ポート(28a)とが、上記磁気冷凍モジュール(20)において片側に配置されている。この構成によると、当該4つのポート(25a~28a)が磁気冷凍モジュール(20)の片側にあるため、当該4つのポート(25a~28a)の各々に繋がる配管などを容易に設置することができる。
【0253】
また、本変形例の磁気冷凍モジュール(20)は、上記ヘッダ構造(32,42,52,62)が、上記低温内部流入路(87)、上記低温内部流出路(88)、上記高温内部流入路(85)、および上記高温内部流出路(86)を有する共通ヘッダ(52)と、上記第1直列内部流路(91,93,95,97)および上記第2直列内部流路(92,94,96,98)を有する接続ヘッダ(62)とを備える。この構成によると、熱媒体は、共通ヘッダ(52)から複数の収容部(22)および接続ヘッダ(62)を経由して共通ヘッダ(52)へ流れる。
【0254】
また、本変形例の磁気冷凍モジュール(20)は、上記ヘッダ構造(32,42,52,62)が、上記共通ヘッダ(52)と、上記接続ヘッダ(62)とを備え、上記低温内部流入路(87)、上記低温内部流出路(88)、上記高温内部流入路(85)、および上記高温内部流出路(86)が、上記共通ヘッダ(52)に設けられた単層構造で構成され、上記第1直列内部流路(91,93,95,97)および上記第2直列内部流路(92,94,96,98)が、上記接続ヘッダ(62)に設けられた単層構造で構成される。この構成によると、熱媒体は、共通ヘッダ(52)から複数の収容部(22)および接続ヘッダ(62)を経由して共通ヘッダ(52)へ流れる。低温内部流入路(87)、低温内部流出路(88)、高温内部流入路(85)、および高温内部流出路(86)、または第1直列内部流路(91,93,95,97)および第2直列内部流路(92,94,96,98)を単層構造で構成することで共通ヘッダ(52)または接続ヘッダ(62)を容易に製造できる。
【0255】
また、本変形例の磁気冷凍モジュール(20)は、上記共通ヘッダ(52)および上記接続ヘッダ(62)の各々が、上記収容部(22)に面する第1面(54a,64a)と、該第1面(54a,64a)の裏側の第2面(55a,63b)とを有し、単層構造の上記低温内部流入路(87)、上記低温内部流出路(88)、上記高温内部流入路(85)、および上記高温内部流出路(86)が、上記共通ヘッダ(52)の内部において上記第1面(54a)側に形成された溝(85~88)により構成され、単層構造の上記第1直列内部流路(91,93,95,97)および上記第2直列内部流路(92,94,96,98)が、上記接続ヘッダ(62)の内部において上記第1面(64a)側に形成された溝(91~98)により構成される。この構成によると、単層構造の低温内部流入路(87)、低温内部流出路(88)、高温内部流入路(85)、高温内部流出路(86)、第1直列内部流路(91,93,95,97)、および第2直列内部流路(92,94,96,98)を、共通ヘッダ(52)または接続ヘッダ(62)の内部に形成された溝(85~88,91~98)というシンプルな構成で実現することができる。
【0256】
-実施形態2の変形例の改良-
<逆流防止部>
図16等に示す実施形態2の変形例の磁気冷凍モジュール(20)では、収容部(22)同士を直列接続するための流路を往路と復路で分離しているが、実際はどちらの方向にも熱媒体が流れることができるため、当該流路がデッドボリュームとなって性能が低下する。
【0257】
そこで、
図36に示すように、収容部(22)同士の直列接続箇所(4箇所)に、例えば逆止弁で構成された逆流防止部(201,202,203,204)を設けてもよい。尚、
図36において、
図16に示す実施形態2の変形例と同じ構成要素には同じ符号を付す。
【0258】
具体的には、第1収容部(22a)の低温側流入ポート(25a)(低温側流入路(25)の入口)と、第2収容部(22b)の高温側流出ポート(28a)(高温側流出路(28)の出口)とが直列接続される箇所に第1逆流防止部(201)が配置されてもよい。また、第1収容部(22a)の低温側流出ポート(26a)(低温側流出路(26)の出口)と、第2収容部(22b)の高温側流入ポート(27a)(高温側流入路(27)の入口)とが直列接続される箇所に第2逆流防止部(202)が配置されてもよい。また、第2収容部(22b)の低温側流出ポート(25b)(低温側流入路(25)の出口)と、第3収容部(22c)の高温側流入ポート(28b)(高温側流出路(28)の入口)とが直列接続される箇所に第3逆流防止部(203)が配置されてもよい。また、第2収容部(22b)の低温側流入ポート(26b)(低温側流出路(26)の入口)と、第3収容部(22c)の高温側流出ポート(27b)(高温側流入路(27)の出口)とが直列接続される箇所に第4逆流防止部(204)が配置されてもよい。
【0259】
これにより、各収容部(22)の流路(25~28)において熱媒体が流れる方向を規定できるので、流路(25~28)がデッドボリュームとなって性能が低下することを抑制できる。
【0260】
尚、
図36に示す構成では、収容部(22)同士の全ての直列接続箇所に逆流防止部(201,202,203,204)を設けたが、これに代えて、逆流防止部(201,202,203,204)の少なくとも1つを設けてもよい。この場合にも、逆流防止部(201,202,203,204)を全く設けない場合と比べて、デッドボリュームに起因する性能低下を抑制することができる。
【0261】
また、
図36に示す構成において、第1収容部(22a)の低温側流入ポート(25a)(低温側流入路(25)の入口)及び第2収容部(22b)の高温側流出ポート(28a)(高温側流出路(28)の出口)の少なくとも一方に第1逆流防止部(201)を接続してもよい。また、第1収容部(22a)の低温側流出ポート(26a)(低温側流出路(26)の出口)及び第2収容部(22b)の高温側流入ポート(27a)(高温側流入路(27)の入口)の少なくとも一方に第2逆流防止部(202)を接続してもよい。また、第2収容部(22b)の低温側流出ポート(25b)(低温側流入路(25)の出口)及び第3収容部(22c)の高温側流入ポート(28b)(高温側流出路(28)の入口)の少なくとも一方に第3逆流防止部(203)を接続してもよい。また、第2収容部(22b)の低温側流入ポート(26b)(低温側流出路(26)の入口)及び第3収容部(22c)の高温側流出ポート(27b)(高温側流入路(27)の出口)の少なくとも一方に第4逆流防止部(204)を接続してもよい。このようにすると、実施形態1(
図32及び
図33参照)で説明したように、ヘッダ構造(52,62)内部において直列接続のための構造体の前段に逆流防止部(201,202,203,204)を設置することが可能となる。
【0262】
<断熱層>
図16等に示す本変形例の磁気冷凍モジュール(20)では、互いに温度が異なる収容部(22)同士や流路(25~28)同士が隣接した場合、熱漏れが生じて性能が低下する。
【0263】
そこで、
図36に示すように、直列に接続された収容部(22)同士の間に断熱層(211,212)を設けてもよい。断熱層(211,212)は、断熱材やスリットなどで構成されてもよい。また、収容部(22)の一部分を断熱層(211,212)となる断熱部材で構成してもよい。断熱層(211,212)は、直列に接続された収容部(22)同士の間の全体に設けてもよいし、或いは、直列に接続された収容部(22)同士の間の一部分に設けてもよい。
図36に示す構成では、異なる温度で熱媒体が流れる第1収容部(22a)の磁気作業物質(23)と第2収容部(22b)の磁気作業物質(23)との間、及び、異なる温度で熱媒体が流れる第1収容部(22a)の高温側流出路(28)と第2収容部(22b)の低温側流入路(25)との間に、第1断熱層(211)が設けられている。また、異なる温度で熱媒体が流れる第2収容部(22b)の磁気作業物質(23)と第3収容部(22c)の磁気作業物質(23)との間、及び、異なる温度で熱媒体が流れる第2収容部(22b)の高温側流出路(28)と第3収容部(22c)の低温側流入路(25)との間に、第2断熱層(212)が設けられている。
【0264】
これにより、互いに温度が異なる収容部(22)(磁気作業物質(23))同士や流路(25~28)同士が隣接する場合にも、熱漏れが生じて性能が低下することを抑制できる。言い換えると、異なる温度の熱媒体が流れる収容部(22)同士の間で熱漏れが生じて性能が低下することを抑制できる。
【0265】
《実施形態3》
実施形態3について説明する。本実施形態の磁気冷凍モジュール(20)は、収容部(22)の数が上記実施形態1と異なる。以下、上記実施形態1と異なる点について主に説明する。
【0266】
〈収容部ケース〉
図19~
図22に示すように、収容部ケース(21)には、4つの収容部(22)が収容される。収容部ケース(21)には、4つの貫通孔(21a)が形成されており、各貫通孔(21a)に1つの収容部(22)が収容される。
【0267】
以下では、本実施形態の4つの収容部(22)を、
図20(A)の左から右に向かって順に、第1収容部(22a)、第2収容部(22b)、第3収容部(22c)、および第4収容部(22d)ということもある。第1収容部(22a)は、最も高温寄りに配置される収容部を構成する。第4収容部(22d)は、最も低温寄りに配置される収容部を構成する。
【0268】
〈高温側ヘッダ〉
高温側ヘッダ(32)では、高温側ヘッダ本体(33)および第1高温側パッキン(34)の構成が上記実施形態1と異なる。第2高温側パッキン(35)の構成は、上記実施形態1と同じである。
【0269】
[高温側ヘッダ本体]
高温側ヘッダ本体(33)の表面(33a)には(換言すると、高温側ヘッダ(32)の内部における第1面側には)、高温内部流入溝(85)、高温内部流出溝(86)、第1直列接続溝(91)、第2直列接続溝(92)、第3直列接続溝(93)、および第4直列接続溝(94)が単層構造により形成される。
【0270】
高温内部流入溝(85)は、第1高温側パッキン(34)を介して、高温側流入孔(81)と、第1収容部(22a)の高温側流入ポート(27a)(具体的には、第1収容部(22a)の高温側流入路(27)の入口)とを連通させる。高温内部流入溝(85)は、高温側ヘッダ本体(33)の表面(33a)において上方に開口する略C字状に構成される。高温内部流入溝(85)は、高温内部流入路を構成する。
【0271】
高温内部流出溝(86)は、第1高温側パッキン(34)を介して、高温側流出孔(82)と、第1収容部(22a)の高温側流出ポート(28a)(具体的には、第1収容部(22a)の高温側流出路(28)の出口)とを連通させる。高温内部流出溝(86)は、高温側ヘッダ本体(33)の表面(33a)において略L字状に構成される。高温内部流出溝(86)は、高温内部流出路を構成する。
【0272】
第1直列接続溝(91)は、第1高温側パッキン(34)を介して、第3収容部(22c)の低温側流出ポート(26a)(具体的には、第3収容部(22c)の低温側流出路(26)の出口)と、第4収容部(22d)の高温側流入ポート(27a)(具体的には、第4収容部(22d)の高温側流入路(27)の入口)とを直列接続により連通させる。第1直列接続溝(91)は、高温側ヘッダ本体(33)の表面(33a)において矩形状に構成される。第1直列接続溝(91)は、第1直列内部流路を構成する。
【0273】
第2直列接続溝(92)は、第1高温側パッキン(34)を介して、第3収容部(22c)の低温側流入ポート(25a)(具体的には、第3収容部(22c)の低温側流入路(25)の入口)と、第4収容部(22d)の高温側流出ポート(28a)(具体的には、第4収容部(22d)の高温側流出路(28)の出口)とを直列接続により連通させる。第2直列接続溝(92)は、高温側ヘッダ本体(33)の表面(33a)において下方に開口する略C字状に構成される。第2直列接続溝(92)は、第2直列内部流路を構成する。
【0274】
第3直列接続溝(93)は、第1高温側パッキン(34)を介して、第1収容部(22a)の低温側流出ポート(26a)(具体的には、第1収容部(22a)の低温側流出路(26)の出口)と、第2収容部(22b)の高温側流入ポート(27a)(具体的には、第2収容部(22b)の高温側流入路(27)の入口)とを直列接続により連通させる。第3直列接続溝(93)は、高温側ヘッダ本体(33)の表面(33a)において矩形状に構成される。第3直列接続溝(93)は、第1直列内部流路を構成する。
【0275】
第4直列接続溝(94)は、第1高温側パッキン(34)を介して、第1収容部(22a)の低温側流入ポート(25a)(具体的には、第1収容部(22a)の低温側流入路(25)の入口)と、第2収容部(22b)の高温側流出ポート(28a)(具体的には、第2収容部(22b)の高温側流出路(28)の出口)とを直列接続により連通させる。第4直列接続溝(94)は、高温側ヘッダ本体(33)の表面(33a)において下方に開口する略C字状に構成される。第4直列接続溝(94)は、第2直列内部流路を構成する。
【0276】
[第1高温側パッキン]
第1高温側パッキン(34)には、それぞれが縦長の矩形状に構成された第1~第10パッキン孔(H1~H10)が形成される。第1~第10パッキン孔(H1~H10)は、第1高温側パッキン(34)を厚さ方向に貫通する。
【0277】
第1パッキン孔(H1)は、第4収容部(22d)の高温側流出ポート(28a)と、高温側ヘッダ本体(33)の第2直列接続溝(92)とを連通させる。第2パッキン孔(H2)は、第4収容部(22d)の高温側流入ポート(27a)と、高温側ヘッダ本体(33)の第1直列接続溝(91)とを連通させる。第3パッキン孔(H3)は、第3収容部(22c)の低温側流出ポート(26a)と、高温側ヘッダ本体(33)の第1直列接続溝(91)とを連通させる。第4パッキン孔(H4)は、第3収容部(22c)の低温側流入ポート(25a)と、高温側ヘッダ本体(33)の第2直列接続溝(92)とを連通させる。
【0278】
このような構成により、第3収容部(22c)の低温側流出路(26)と、第4収容部(22d)の高温側流入路(27)とが、第1直列接続溝(91)を介して互いに直列に接続される。第3収容部(22c)の低温側流入路(25)と、第4収容部(22d)の高温側流出路(28)とが、第2直列接続溝(92)を介して互いに直列に接続される。換言すると、第3収容部(22c)と第4収容部(22d)とは、互いに直列に接続される。
【0279】
第5パッキン孔(H5)は、第2収容部(22b)の高温側流出ポート(28a)と、高温側ヘッダ本体(33)の第4直列接続溝(94)とを連通させる。第6パッキン孔(H6)は、第2収容部(22b)の高温側流入ポート(27a)と、高温側ヘッダ本体(33)の第3直列接続溝(93)とを連通させる。第7パッキン孔(H7)は、第1収容部(22a)の低温側流出ポート(26a)と、高温側ヘッダ本体(33)の第3直列接続溝(93)とを連通させる。第8パッキン孔(H8)は、第1収容部(22a)の低温側流入ポート(25a)と、高温側ヘッダ本体(33)の第4直列接続溝(94)とを連通させる。第9パッキン孔(H9)は、第1収容部(22a)の高温側流出ポート(28a)と、高温側ヘッダ本体(33)の高温内部流出溝(86)とを連通させる。第10パッキン孔(H10)は、第1収容部(22a)の高温側流入ポート(27a)と、高温側ヘッダ本体(33)の高温内部流入溝(85)とを連通させる。
【0280】
このような構成により、第1収容部(22a)の低温側流出路(26)と、第2収容部(22b)の高温側流入路(27)とが、第3直列接続溝(93)を介して互いに直列に接続される。第1収容部(22a)の低温側流入路(25)と、第2収容部(22b)の高温側流出路(28)とが、第4直列接続溝(94)を介して互いに直列に接続される。換言すると、第1収容部(22a)と第2収容部(22b)とは、互いに直列に接続される。
【0281】
〈低温側ヘッダ〉
低温側ヘッダ(42)では、低温側ヘッダ本体(43)および第1低温側パッキン(44)の構成が上記実施形態1と異なる。第2低温側パッキン(45)の構成は、上記実施形態1と同じである。
【0282】
[低温側ヘッダ本体]
低温側ヘッダ本体(43)の表面(43a)には(換言すると、低温側ヘッダ(42)の内部における第1面側には)、低温内部流入溝(87)、低温内部流出溝(88)、第5直列接続溝(95)、および第6直列接続溝(96)が単層構造により形成される。
【0283】
低温内部流入溝(87)は、第1低温側パッキン(44)を介して、低温側流入孔(83)と、第4収容部(22d)の低温側流入ポート(25a)(具体的には、第4収容部(22d)の低温側流入路(25)の入口)とを連通させる。低温内部流入溝(87)は、低温側ヘッダ本体(43)の表面(43a)において略L字状に構成される。低温内部流入溝(87)は、低温内部流入路を構成する。
【0284】
低温内部流出溝(88)は、第1低温側パッキン(44)を介して、低温側流出孔(84)と、第4収容部(22d)の低温側流出ポート(26a)(具体的には、第4収容部(22d)の低温側流出路(26)の出口)とを連通させる。低温内部流出溝(88)は、低温側ヘッダ本体(43)の表面(43a)において略J字状に構成される。低温内部流出溝(88)は、低温内部流出路を構成する。
【0285】
第5直列接続溝(95)は、第1低温側パッキン(44)を介して、第2収容部(22b)の低温側流出ポート(26a)(具体的には、第2収容部(22b)の低温側流出路(26)の出口)と、第3収容部(22c)の高温側流入ポート(27a)(具体的には、第3収容部(22c)の高温側流入路(27)の入口)とを直列接続により連通させる。第5直列接続溝(95)は、低温側ヘッダ本体(43)の表面(43a)において矩形状に構成される。第5直列接続溝(95)は、第1直列内部流路を構成する。
【0286】
第6直列接続溝(96)は、第1低温側パッキン(44)を介して、第2収容部(22b)の低温側流入ポート(25a)(具体的には、第2収容部(22b)の低温側流入路(25)の入口)と、第3収容部(22c)の高温側流出ポート(28a)(具体的には、第3収容部(22c)の高温側流出路(28)の出口)とを直列接続により連通させる。第6直列接続溝(96)は、低温側ヘッダ本体(43)の表面(43a)において上方に開口する略C字状に構成される。第6直列接続溝(96)は、第2直列内部流路を構成する。
【0287】
[第1低温側パッキン]
第1低温側パッキン(44)には、それぞれが縦長の矩形状に構成された第11~第16パッキン孔(H11~H16)が形成される。第11~第16パッキン孔(H11~H16)は、第1低温側パッキン(44)を厚さ方向に貫通する。第11パッキン孔(H11)は、第2収容部(22b)の低温側流入ポート(25a)と、低温側ヘッダ本体(43)の第6直列接続溝(96)とを連通させる。第12パッキン孔(H12)は、第2収容部(22b)の低温側流出ポート(26a)と、低温側ヘッダ本体(43)の第5直列接続溝(95)とを連通させる。第13パッキン孔(H13)は、第3収容部(22c)の高温側流入ポート(27a)と、低温側ヘッダ本体(43)の第5直列接続溝(95)とを連通させる。第14パッキン孔(H14)は、第3収容部(22c)の高温側流出ポート(28a)と、低温側ヘッダ本体(43)の第6直列接続溝(96)とを連通させる。第15パッキン孔(H15)は、第4収容部(22d)の低温側流入ポート(25a)と、低温側ヘッダ本体(43)の低温内部流入溝(87)とを連通させる。第16パッキン孔(H16)は、第4収容部(22d)の低温側流出ポート(26a)と、低温側ヘッダ本体(43)の低温内部流出溝(88)とを連通させる。
【0288】
このような構成により、第2収容部(22b)の低温側流出路(26)と、第3収容部(22c)の高温側流入路(27)とが、第5直列接続溝(95)を介して互いに直列に接続される。第2収容部(22b)の低温側流入路(25)と、第3収容部(22c)の高温側流出路(28)とが、第6直列接続溝(96)を介して互いに直列に接続される。換言すると、第2収容部(22b)と第3収容部(22c)とは、互いに直列に接続される。
【0289】
-磁気冷凍モジュールにおける熱媒体の流れ-
空調システム(10)が運転されるときの、より具体的には熱媒体ポンプ(130)が第1動作または第2動作を行うときの、磁気冷凍モジュール(20)における熱媒体の流れについて説明する。
【0290】
図21に示すように、熱媒体ポンプ(130)が第1動作を行うときには、磁気冷凍モジュール(20)において低温側から高温側へ熱媒体が流れる。具体的に、磁気冷凍モジュール(20)では、低温端流入ポート(73)から流入した熱媒体が、低温側ヘッダ本体(43)の低温側流入孔(83)に流入する。低温側ヘッダ本体(43)の低温側流入孔(83)から流出した熱媒体は、低温側ヘッダ本体(43)の低温内部流入溝(87)を経由して、第4収容部(22d)の低温側流入路(25)に流入する。第4収容部(22d)の低温側流入路(25)から流出した熱媒体は、第4収容部(22d)の磁気作業物質(23)を流れた後に、第4収容部(22d)の高温側流出路(28)に流入する。
【0291】
第4収容部(22d)の高温側流出路(28)から流出した熱媒体は、高温側ヘッダ本体(33)の第2直列接続溝(92)を経由して、第3収容部(22c)の低温側流入路(25)に流入する。第3収容部(22c)の低温側流入路(25)から流出した熱媒体は、第3収容部(22c)の磁気作業物質(23)を流れた後に、第3収容部(22c)の高温側流出路(28)に流入する。
【0292】
第3収容部(22c)の高温側流出路(28)から流出した熱媒体は、低温側ヘッダ本体(43)の第6直列接続溝(96)を経由して、第2収容部(22b)の低温側流入路(25)に流入する。第2収容部(22b)の低温側流入路(25)から流出した熱媒体は、第2収容部(22b)の磁気作業物質(23)を流れた後に、第2収容部(22b)の高温側流出路(28)に流入する。
【0293】
第2収容部(22b)の高温側流出路(28)から流出した熱媒体は、高温側ヘッダ本体(33)の第4直列接続溝(94)を経由して、第1収容部(22a)の低温側流入路(25)に流入する。第1収容部(22a)の低温側流入路(25)から流出した熱媒体は、第1収容部(22a)の磁気作業物質(23)を流れた後に、第1収容部(22a)の高温側流出路(28)に流入する。第1収容部(22a)の高温側流出路(28)から流出した熱媒体は、高温側ヘッダ本体(33)の高温内部流出溝(86)を経由して、高温側ヘッダ本体(33)の高温側流出孔(82)に流入する。高温側ヘッダ本体(33)の高温側流出孔(82)から流出した熱媒体は、高温端流出ポート(72)を介して磁気冷凍モジュール(20)の外部へ流出する。
【0294】
図22に示すように、熱媒体ポンプ(130)が第2動作を行うときには、磁気冷凍モジュール(20)において高温側から低温側へ熱媒体が流れる。具体的に、磁気冷凍モジュール(20)では、高温端流入ポート(71)から流入した熱媒体が、高温側ヘッダ本体(33)の高温側流入孔(81)に流入する。高温側ヘッダ本体(33)の高温側流入孔(81)から流出した熱媒体は、高温側ヘッダ本体(33)の高温内部流入溝(85)を経由して、第1収容部(22a)の高温側流入路(27)に流入する。第1収容部(22a)の高温側流入路(27)から流出した熱媒体は、第1収容部(22a)の磁気作業物質(23)を流れた後に、第1収容部(22a)の低温側流出路(26)に流入する。
【0295】
第1収容部(22a)の低温側流出路(26)から流出した熱媒体は、高温側ヘッダ本体(33)の第3直列接続溝(93)を経由して、第2収容部(22b)の高温側流入路(27)に流入する。第2収容部(22b)の高温側流入路(27)から流出した熱媒体は、第2収容部(22b)の磁気作業物質(23)を流れた後に、第2収容部(22b)の低温側流出路(26)に流入する。
【0296】
第2収容部(22b)の低温側流出路(26)から流出した熱媒体は、低温側ヘッダ本体(43)の第5直列接続溝(95)を経由して、第3収容部(22c)の高温側流入路(27)に流入する。第3収容部(22c)の高温側流入路(27)から流出した熱媒体は、第3収容部(22c)の磁気作業物質(23)を流れた後に、第3収容部(22c)の低温側流出路(26)に流入する。
【0297】
第3収容部(22c)の低温側流出路(26)から流出した熱媒体は、高温側ヘッダ本体(33)の第1直列接続溝(91)を経由して、第4収容部(22d)の高温側流入路(27)に流入する。第4収容部(22d)の高温側流入路(27)から流出した熱媒体は、第4収容部(22d)の磁気作業物質(23)を流れた後に、第4収容部(22d)の低温側流出路(26)に流入する。第4収容部(22d)の低温側流出路(26)から流出した熱媒体は、低温側ヘッダ本体(43)の低温内部流出溝(88)を経由して、低温側ヘッダ本体(43)の低温側流出孔(84)に流入する。低温側ヘッダ本体(43)の低温側流出孔(84)から流出した熱媒体は、低温端流出ポート(74)を介して磁気冷凍モジュール(20)の外部へ流出する。
【0298】
-実施形態3の効果-
本実施形態の磁気冷凍モジュール(20)によっても、上記実施形態1と同様の効果が得られる。
【0299】
-実施形態3の改良-
図20等に示す実施形態3の磁気冷凍モジュール(20)では、収容部(22)同士を直列接続するための流路を往路と復路で分離しているが、実際はどちらの方向にも熱媒体が流れることができるため、当該流路がデッドボリュームとなって性能が低下する。
【0300】
そこで、
図37に示すように、収容部(22)同士の直列接続箇所(6箇所)に、例えば逆止弁で構成された逆流防止部(201,202,203,204,205,206)を設けてもよい。尚、
図37において、
図20に示す実施形態3と同じ構成要素には同じ符号を付す。
【0301】
具体的には、第1収容部(22a)の低温側流入ポート(25a)(低温側流入路(25)の入口)と、第2収容部(22b)の高温側流出ポート(28a)(高温側流出路(28)の出口)とが直列接続される箇所に第1逆流防止部(201)が配置されてもよい。また、第1収容部(22a)の低温側流出ポート(26a)(低温側流出路(26)の出口)と、第2収容部(22b)の高温側流入ポート(27a)(高温側流入路(27)の入口)とが直列接続される箇所に第2逆流防止部(202)が配置されてもよい。また、第2収容部(22b)の低温側流出ポート(25b)(低温側流入路(25)の出口)と、第3収容部(22c)の高温側流入ポート(28b)(高温側流出路(28)の入口)とが直列接続される箇所に第3逆流防止部(203)が配置されてもよい。また、第2収容部(22b)の低温側流入ポート(26b)(低温側流出路(26)の入口)と、第3収容部(22c)の高温側流出ポート(27b)(高温側流入路(27)の出口)とが直列接続される箇所に第4逆流防止部(204)が配置されてもよい。また、第3収容部(22c)の低温側流入ポート(25a)(低温側流入路(25)の入口)と、第4収容部(22d)の高温側流出ポート(28a)(高温側流出路(28)の出口)とが直列接続される箇所に第5逆流防止部(205)が配置されてもよい。また、第3収容部(22c)の低温側流出ポート(26a)(低温側流出路(26)の出口)と、第4収容部(22d)の高温側流入ポート(27a)(高温側流入路(27)の入口)とが直列接続される箇所に第6逆流防止部(206)が配置されてもよい。
【0302】
これにより、各収容部(22)の流路(25~28)において熱媒体が流れる方向を規定できるので、流路(25~28)がデッドボリュームとなって性能が低下することを抑制できる。
【0303】
尚、
図37に示す構成では、収容部(22)同士の全ての直列接続箇所に逆流防止部(201,202,203,204,205,206)を設けたが、これに代えて、逆流防止部(201,202,203,204,205,206)の少なくとも1つを設けてもよい。この場合にも、逆流防止部(201,202,203,204,205,206)を全く設けない場合と比べて、デッドボリュームに起因する性能低下を抑制することができる。
【0304】
また、
図37に示す構成において、第1収容部(22a)の低温側流入ポート(25a)(低温側流入路(25)の入口)及び第2収容部(22b)の高温側流出ポート(28a)(高温側流出路(28)の出口)の少なくとも一方に第1逆流防止部(201)を接続してもよい。また、第1収容部(22a)の低温側流出ポート(26a)(低温側流出路(26)の出口)及び第2収容部(22b)の高温側流入ポート(27a)(高温側流入路(27)の入口)の少なくとも一方に第2逆流防止部(202)を接続してもよい。また、第2収容部(22b)の低温側流出ポート(25b)(低温側流入路(25)の出口)及び第3収容部(22c)の高温側流入ポート(28b)(高温側流出路(28)の入口)の少なくとも一方に第3逆流防止部(203)を接続してもよい。また、第2収容部(22b)の低温側流入ポート(26b)(低温側流出路(26)の入口)及び第3収容部(22c)の高温側流出ポート(27b)(高温側流入路(27)の出口)の少なくとも一方に第4逆流防止部(204)を接続してもよい。また、第3収容部(22c)の低温側流入ポート(25a)(低温側流入路(25)の入口)及び第4収容部(22d)の高温側流出ポート(28a)(高温側流出路(28)の出口)の少なくとも一方に第5逆流防止部(205)を接続してもよい。また、第3収容部(22c)の低温側流出ポート(26a)(低温側流出路(26)の出口)及び第4収容部(22d)の高温側流入ポート(27a)(高温側流入路(27)の入口)の少なくとも一方に第6逆流防止部(206)を接続してもよい。このようにすると、実施形態1(
図32及び
図33参照)で説明したように、ヘッダ構造(32,42)内部において直列接続のための構造体の前段に逆流防止部(201,202,203,204,205,206)を設置することが可能となる。
【0305】
<断熱層>
図20等に示す本実施形態の磁気冷凍モジュール(20)では、互いに温度が異なる収容部(22)同士や流路(25~28)同士が隣接した場合、熱漏れが生じて性能が低下する。
【0306】
そこで、
図37に示すように、直列に接続された収容部(22)同士の間に断熱層(211,212,213)を設けてもよい。断熱層(211,212,213)は、断熱材やスリットなどで構成されてもよい。また、収容部(22)の一部分を断熱層(211,212,213)となる断熱部材で構成してもよい。断熱層(211,212,213)は、直列に接続された収容部(22)同士の間の全体に設けてもよいし、或いは、直列に接続された収容部(22)同士の間の一部分に設けてもよい。
図37に示す構成では、異なる温度で熱媒体が流れる第1収容部(22a)の磁気作業物質(23)と第2収容部(22b)の磁気作業物質(23)との間、及び、異なる温度で熱媒体が流れる第1収容部(22a)の高温側流出路(28)と第2収容部(22b)の低温側流入路(25)との間に、第1断熱層(211)が設けられている。また、異なる温度で熱媒体が流れる第2収容部(22b)の磁気作業物質(23)と第3収容部(22c)の磁気作業物質(23)との間、及び、異なる温度で熱媒体が流れる第2収容部(22b)の高温側流出路(28)と第3収容部(22c)の低温側流入路(25)との間に、第2断熱層(212)が設けられている。また、異なる温度で熱媒体が流れる第3収容部(22c)の磁気作業物質(23)と第4収容部(22d)の磁気作業物質(23)との間、及び、異なる温度で熱媒体が流れる第3収容部(22c)の高温側流出路(28)と第4収容部(22d)の低温側流入路(25)との間に、第3断熱層(213)が設けられている。
【0307】
これにより、互いに温度が異なる収容部(22)(磁気作業物質(23))同士や流路(25~28)同士が隣接する場合にも、熱漏れが生じて性能が低下することを抑制できる。言い換えると、異なる温度の熱媒体が流れる収容部(22)同士の間で熱漏れが生じて性能が低下することを抑制できる。
【0308】
《実施形態3の変形例》
実施形態3の変形例について説明する。本変形例の磁気冷凍モジュール(20)は、共通ヘッダ(52)および接続ヘッダ(62)を備える点で上記実施形態3と異なる。以下、上記実施形態3と異なる点について主に説明する。
【0309】
図23~
図26に示すように、磁気冷凍モジュール(20)は、それぞれが直方体状に形成された収容部ケース(21)と、共通ヘッダケース(51)と、接続ヘッダケース(61)とを備える。収容部ケース(21)の一の側面(
図23の左側面)には、共通ヘッダケース(51)が一体的に取り付けられる。収容部ケース(21)の別の側面(
図23の右側面)には、接続ヘッダケース(61)が一体的に取り付けられる。
【0310】
〈共通ヘッダケース〉
共通ヘッダケース(51)には、共通ヘッダ(52)が収容される。共通ヘッダケース(51)は、高温端流入ポート(71)、高温端流出ポート(72)、低温端流入ポート(73)、および低温端流出ポート(74)を備える。
【0311】
共通ヘッダ(52)は、
図23に示すように、共通ヘッダケース(51)内において各収容部(22)に接するように配置される。共通ヘッダ(52)は、
図23に示すように、共通ヘッダ本体(53)と、第1共通パッキン(54)と、第2共通パッキン(55)とを備える。共通ヘッダ(52)は、ヘッダ構造を構成する。
【0312】
[共通ヘッダ本体]
共通ヘッダ本体(53)は、やや扁平な直方体状に形成される。共通ヘッダ本体(53)は、熱伝導率が10W/m以下の非磁性材料(例えば、樹脂)で構成される。共通ヘッダ本体(53)は、第1共通パッキン(54)に接する表面(53a)と、第2共通パッキン(55)に接する裏面(53b)とを有する。共通ヘッダ本体(53)には、それぞれが共通ヘッダ本体(53)を厚さ方向(
図23における左右方向)に貫通する高温側流入孔(81)および高温側流出孔(82)が形成される。共通ヘッダ本体(53)には、低温側流入孔(83)、および低温側流出孔(84)が形成される。共通ヘッダ本体(53)の表面(53a)または裏面(53b)には(換言すると、共通ヘッダ(52)の内部における第1面側および第2面側の少なくとも一方には)、高温内部流入溝(85)、高温内部流出溝(86)、低温内部流入溝(87)、低温内部流出溝(88)、第1直列接続溝(91)、および第2直列接続溝(92)が複層構造により形成される。
【0313】
ここで、複層構造とは、各ヘッダ本体(33,43,53,63)の表面(33a,43a,53a,63a)および裏面(33b,43b,53b,63b)の両方に、またはそれに加えて各ヘッダ本体(33,43,53,63)の内部に、熱媒体が流れる流路(例えば、各溝(85~88,91~98))が形成された構造のことである。
【0314】
高温内部流入溝(85)は、第1共通パッキン(54)を介して、高温側流入孔(81)と、第1収容部(22a)の高温側流入ポート(27a)(具体的には、第1収容部(22a)の高温側流入路(27)の入口)とを連通させる。高温内部流入溝(85)は、共通ヘッダ本体(53)の表面(53a)において略L字状に構成される。高温内部流入溝(85)は、高温内部流入路を構成する。
【0315】
高温内部流出溝(86)は、第1共通パッキン(54)を介して、高温側流出孔(82)と、第1収容部(22a)の高温側流出ポート(28a)(具体的には、第1収容部(22a)の高温側流出路(28)の出口)とを連通させる。高温内部流出溝(86)は、共通ヘッダ本体(53)の表面(53a)において略L字状に構成される。高温内部流出溝(86)は、高温内部流出路を構成する。
【0316】
低温内部流入溝(87)は、その底部に形成された貫通孔(87a)と第1共通パッキン(54)を介して、第4収容部(22d)の低温側流入ポート(25a)(具体的には、第4収容部(22d)の低温側流入路(25)の入口)に連通する。低温内部流入溝(87)は、共通ヘッダ本体(53)の裏面(53b)において略L字状に構成される。低温内部流入溝(87)は、低温内部流入路を構成する。
【0317】
低温内部流出溝(88)は、その底部に形成された貫通孔(88a)と第1共通パッキン(54)を介して、第4収容部(22d)の低温側流出ポート(26a)(具体的には、第4収容部(22d)の低温側流出路(26)の出口)に連通する。低温内部流出溝(88)は、共通ヘッダ本体(53)の裏面(53b)において略矩形状に構成される。低温内部流出溝(88)は、低温内部流出路を構成する。
【0318】
第1直列接続溝(91)は、第1共通パッキン(54)を介して、第2収容部(22b)の低温側流出ポート(26a)(具体的には、第2収容部(22b)の低温側流出路(26)の出口)と、第3収容部(22c)の高温側流入ポート(27a)(具体的には、第3収容部(22c)の高温側流入路(27)の入口)とを直列接続により連通させる。第1直列接続溝(91)は、共通ヘッダ本体(53)の表面(53a)において矩形状に構成される。第1直列接続溝(91)は、第1直列内部流路を構成する。
【0319】
第2直列接続溝(92)は、第1共通パッキン(54)を介して、第2収容部(22b)の低温側流入ポート(25a)(具体的には、第1収容部(22a)の低温側流入路(25)の入口)と、第3収容部(22c)の高温側流出ポート(28a)(具体的には、第3収容部(22c)の高温側流出路(28)の出口)とを直列接続により連通させる。第2直列接続溝(92)は、共通ヘッダ本体(53)の表面(53a)において上方に開口する略C字状に構成される。第2直列接続溝(92)は、第2直列内部流路を構成する。
【0320】
[第1共通パッキン]
第1共通パッキン(54)は、矩形板状の樹脂部材である。第1共通パッキン(54)を構成する樹脂は、熱伝導率が10W/m以下の非磁性材料である。第1共通パッキン(54)の一側面は、共通ヘッダ本体(53)の表面(53a)に取り付けられる。第1共通パッキン(54)の他側面(54a)は、各収容部(22)に取り付けられる。このように、第1共通パッキン(54)、より広くは共通ヘッダ(52)は、複数の収容部(22)を互いに一体化する。第1共通パッキン(54)の他側面(54a)は、各収容部(22)に面する共通ヘッダ(52)の第1面を構成する。
【0321】
第1共通パッキン(54)には、それぞれが縦長の矩形状に構成された第1~第8パッキン孔(H1~H8)が形成される。第1~第8パッキン孔(H1~H8)は、第1共通パッキン(54)を厚さ方向に貫通する。
【0322】
第1パッキン孔(H1)は、第4収容部(22d)の低温側流出ポート(26a)と、共通ヘッダ本体(53)の低温内部流出溝(88)とを連通させる。第2パッキン孔(H2)は、第4収容部(22d)の低温側流入ポート(25a)と、共通ヘッダ本体(53)の低温内部流入溝(87)とを連通させる。第3パッキン孔(H3)は、第3収容部(22c)の高温側流出ポート(28a)と、共通ヘッダ本体(53)の第2直列接続溝(92)とを連通させる。第4パッキン孔(H4)は、第3収容部(22c)の高温側流入ポート(27a)と、共通ヘッダ本体(53)の第1直列接続溝(91)とを連通させる。第5パッキン孔(H5)は、第2収容部(22b)の低温側流出ポート(26a)と、共通ヘッダ本体(53)の第1直列接続溝(91)とを連通させる。第6パッキン孔(H6)は、第2収容部(22b)の低温側流入ポート(25a)と、共通ヘッダ本体(53)の第2直列接続溝(92)とを連通させる。第7パッキン孔(H7)は、第1収容部(22a)の高温側流出ポート(28a)と、共通ヘッダ本体(53)の高温内部流出溝(86)とを連通させる。第8パッキン孔(H8)は、第1収容部(22a)の高温側流入ポート(27a)と、共通ヘッダ本体(53)の高温内部流入溝(85)とを連通させる。
【0323】
このような構成により、第2収容部(22b)の低温側流出路(26)と、第3収容部(22c)の高温側流入路(27)とが、第1直列接続溝(91)を介して互いに直列に接続される。第2収容部(22b)の低温側流入路(25)と、第3収容部(22c)の高温側流出路(28)とが、第2直列接続溝(92)を介して互いに直列に接続される。換言すると、第2収容部(22b)と第3収容部(22c)とは、互いに直列に接続される。
【0324】
[第2共通パッキン]
第2共通パッキン(55)は、矩形板状の樹脂部材である。第2共通パッキン(55)を構成する樹脂は、熱伝導率が10W/m以下の非磁性材料である。第2共通パッキン(55)の一側面は、共通ヘッダ本体(53)の裏面(53b)に取り付けられる。第2共通パッキン(55)の他側面(55a)は、共通ヘッダ(52)の第1面の裏側の第2面を構成する。
【0325】
第2共通パッキン(55)には、それぞれが円形状に構成された高温側流出パッキン孔(101)、高温側流入パッキン孔(102)、低温側流出パッキン孔(103)、および低温側流入パッキン孔(104)が形成される。高温側流出パッキン孔(101)、高温側流入パッキン孔(102)、低温側流出パッキン孔(103)、および低温側流入パッキン孔(104)は、第2共通パッキン(55)を厚さ方向に貫通する。高温側流出パッキン孔(101)は、高温端流出ポート(72)と、共通ヘッダ本体(53)の高温側流出孔(82)とを連通させる。高温側流入パッキン孔(102)は、高温端流入ポート(71)と、共通ヘッダ本体(53)の高温側流入孔(81)とを連通させる。低温側流出パッキン孔(103)は、低温端流出ポート(74)と、共通ヘッダ本体(53)の低温内部流出溝(88)とを連通させる。低温側流入パッキン孔(104)は、低温端流入ポート(73)と、共通ヘッダ本体(53)の低温内部流入溝(87)とを連通させる。
【0326】
〈接続ヘッダケース〉
接続ヘッダケース(61)には、接続ヘッダ(62)が収容される。接続ヘッダ(62)は、
図23に示すように、接続ヘッダケース(61)の内部において各収容部(22)に接するように配置される。接続ヘッダ(62)は、
図23に示すように、接続ヘッダ本体(63)と、接続パッキン(64)とを備える。接続ヘッダ(62)は、ヘッダ構造を構成する。
【0327】
[接続ヘッダ本体]
接続ヘッダ本体(63)は、やや扁平な直方体状に形成される。接続ヘッダ本体(63)は、熱伝導率が10W/m以下の非磁性材料(例えば、樹脂)で構成される。接続ヘッダ本体(63)は、接続パッキン(64)に接する表面(63a)と、その裏側の裏面(63b)とを有する。接続ヘッダ本体(63)の表面(63a)には(換言すると、接続ヘッダ(62)の内部における第1面側には)、第3直列接続溝(93)、第4直列接続溝(94)、第5直列接続溝(95)、および第6直列接続溝(96)が単層構造により形成される。接続ヘッダ本体(63)の裏面は、接続ヘッダ(62)の第2面を構成する。
【0328】
第3直列接続溝(93)は、接続パッキン(64)を介して、第1収容部(22a)の低温側流出ポート(26a)(具体的には、第1収容部(22a)の低温側流出路(26)の出口)と、第2収容部(22b)の高温側流入ポート(27a)(具体的には、第2収容部(22b)の高温側流入路(27)の入口)とを連通させる。第3直列接続溝(93)は、接続ヘッダ本体(63)の表面(63a)において矩形状に構成される。第3直列接続溝(93)は、第1直列内部流路を構成する。
【0329】
第4直列接続溝(94)は、接続パッキン(64)を介して、第1収容部(22a)の低温側流入ポート(25a)(具体的には、第1収容部(22a)の低温側流入路(25)の入口)と、第2収容部(22b)の高温側流出ポート(28a)(具体的には、第2収容部(22b)の高温側流出路(28)の出口)とを連通させる。第4直列接続溝(94)は、接続ヘッダ本体(63)の表面(63a)において下方に開口する略C字状に構成される。第4直列接続溝(94)は、第2直列内部流路を構成する。
【0330】
第5直列接続溝(95)は、接続パッキン(64)を介して、第3収容部(22c)の低温側流出ポート(26a)(具体的には、第3収容部(22c)の低温側流出路(26)の出口)と、第4収容部(22d)の高温側流入ポート(27a)(具体的には、第4収容部(22d)の高温側流入路(27)の入口)とを連通させる。第5直列接続溝(95)は、接続ヘッダ本体(63)の表面(63a)において矩形状に構成される。第5直列接続溝(95)は、第1直列内部流路を構成する。
【0331】
第6直列接続溝(96)は、接続パッキン(64)を介して、第3収容部(22c)の低温側流入ポート(25a)(具体的には、第3収容部(22c)の低温側流入路(25)の入口)と、第4収容部(22d)の高温側流出ポート(28a)(具体的には、第4収容部(22d)の高温側流出路(28)の出口)とを連通させる。第6直列接続溝(96)は、接続ヘッダ本体(63)の表面(63a)において下方に開口する略C字状に構成される。第6直列接続溝(96)は、第2直列内部流路を構成する。
【0332】
[接続パッキン]
接続パッキン(64)は、矩形板状の樹脂部材である。接続パッキン(64)を構成する樹脂は、熱伝導率が10W/m以下の非磁性材料である。接続パッキン(64)の一側面は、接続ヘッダ本体(63)の表面(63a)に取り付けられる。接続パッキン(64)の他側面(64a)は、各収容部(22)に取り付けられる。このように、接続パッキン(64)、より広くは接続ヘッダ(62)は、複数の収容部(22)を互いに一体化する。接続パッキン(64)の他側面(64a)は、各収容部(22)に面する接続ヘッダ(62)の第1面を構成する。
【0333】
接続パッキン(64)には、それぞれが縦長の矩形状に構成された第9~第16パッキン孔(H9~H16)が形成される。第9~第16パッキン孔(H9~H16)は、接続パッキン(64)を厚さ方向に貫通する。
【0334】
第9パッキン孔(H9)は、第1収容部(22a)の低温側流入ポート(25a)と、接続ヘッダ本体(63)の第4直列接続溝(94)とを連通させる。第10パッキン孔(H10)は、第1収容部(22a)の低温側流出ポート(26a)と、接続ヘッダ本体(63)の第3直列接続溝(93)とを連通させる。第11パッキン孔(H11)は、第2収容部(22b)の高温側流入ポート(27a)と、接続ヘッダ本体(63)の第3直列接続溝(93)とを連通させる。第12パッキン孔(H12)は、第2収容部(22b)の高温側流出ポート(28a)と、接続ヘッダ本体(63)の第4直列接続溝(94)とを連通させる。
【0335】
このような構成により、第1収容部(22a)の低温側流出路(26)と、第2収容部(22b)の高温側流入路(27)とが、第3直列接続溝(93)を介して互いに直列に接続される。第1収容部(22a)の低温側流入路(25)と、第2収容部(22b)の高温側流出路(28)とが、第4直列接続溝(94)を介して互いに直列に接続される。換言すると、第1収容部(22a)と第2収容部(22b)とは、互いに直列に接続される。
【0336】
第13パッキン孔(H13)は、第3収容部(22c)の低温側流入ポート(25a)と、接続ヘッダ本体(63)の第6直列接続溝(96)とを連通させる。第14パッキン孔(H14)は、第3収容部(22c)の低温側流出ポート(26a)と、接続ヘッダ本体(63)の第5直列接続溝(95)とを連通させる。第15パッキン孔(H15)は、第4収容部(22d)の高温側流入ポート(27a)と、接続ヘッダ本体(63)の第5直列接続溝(95)とを連通させる。第16パッキン孔(H16)は、第4収容部(22d)の高温側流出ポート(28a)と、接続ヘッダ本体(63)の第6直列接続溝(96)とを連通させる。
【0337】
このような構成により、第3収容部(22c)の低温側流出路(26)と、第4収容部(22d)の高温側流入路(27)とが、第5直列接続溝(95)を介して互いに直列に接続される。第3収容部(22c)の低温側流入路(25)と、第4収容部(22d)の高温側流出路(28)とが、第6直列接続溝(96)を介して互いに直列に接続される。換言すると、第3収容部(22c)と第4収容部(22d)とは、互いに直列に接続される。
【0338】
-磁気冷凍モジュールにおける熱媒体の流れ-
空調システム(10)が運転されるときの、より具体的には熱媒体ポンプ(130)が第1動作または第2動作を行うときの、磁気冷凍モジュール(20)における熱媒体の流れについて説明する。
【0339】
図25に示すように、熱媒体ポンプ(130)が第1動作を行うときには、磁気冷凍モジュール(20)において低温側から高温側へ熱媒体が流れる。具体的に、磁気冷凍モジュール(20)では、低温端流入ポート(73)から流入した熱媒体が、共通ヘッダ本体(53)の低温内部流入溝(87)に流入する。低温内部流入溝(87)から流出した熱媒体は、第4収容部(22d)の低温側流入路(25)に流入する。第4収容部(22d)の低温側流入路(25)から流出した熱媒体は、第4収容部(22d)の磁気作業物質(23)を流れた後に、第4収容部(22d)の高温側流出路(28)に流入する。
【0340】
第4収容部(22d)の高温側流出路(28)から流出した熱媒体は、接続ヘッダ本体(63)の第6直列接続溝(96)を経由して、第3収容部(22c)の低温側流入路(25)に流入する。第3収容部(22c)の低温側流入路(25)から流出した熱媒体は、第3収容部(22c)の磁気作業物質(23)を流れた後に、第3収容部(22c)の高温側流出路(28)に流入する。
【0341】
第3収容部(22c)の高温側流出路(28)から流出した熱媒体は、共通ヘッダ本体(53)の第2直列接続溝(92)を経由して、第2収容部(22b)の低温側流入路(25)に流入する。第2収容部(22b)の低温側流入路(25)から流出した熱媒体は、第2収容部(22b)の磁気作業物質(23)を流れた後に、第2収容部(22b)の高温側流出路(28)に流入する。
【0342】
第2収容部(22b)の高温側流出路(28)から流出した熱媒体は、接続ヘッダ本体(63)の第4直列接続溝(94)を経由して、第1収容部(22a)の低温側流入路(25)に流入する。第1収容部(22a)の低温側流入路(25)から流出した熱媒体は、第1収容部(22a)の磁気作業物質(23)を流れた後に、第1収容部(22a)の高温側流出路(28)に流入する。第1収容部(22a)の高温側流出路(28)から流出した熱媒体は、共通ヘッダ本体(53)の高温内部流出溝(86)を経由して、共通ヘッダ本体(53)の高温側流出孔(82)に流入する。共通ヘッダ本体(53)の高温側流出孔(82)から流出した熱媒体は、高温端流出ポート(72)を介して磁気冷凍モジュール(20)の外部へ流出する。
【0343】
図26に示すように、熱媒体ポンプ(130)が第2動作を行うときには、磁気冷凍モジュール(20)において高温側から低温側へ熱媒体が流れる。具体的に、磁気冷凍モジュール(20)では、高温端流入ポート(71)から流入した熱媒体が、共通ヘッダ本体(53)の高温側流入孔(81)に流入する。共通ヘッダ本体(53)の高温側流入孔(81)から流出した熱媒体は、共通ヘッダ本体(53)の高温内部流入溝(85)を経由して、第1収容部(22a)の高温側流入路(27)に流入する。第1収容部(22a)の高温側流入路(27)から流出した熱媒体は、第1収容部(22a)の磁気作業物質(23)を流れた後に、第1収容部(22a)の低温側流出路(26)に流入する。
【0344】
第1収容部(22a)の低温側流出路(26)から流出した熱媒体は、接続ヘッダ本体(63)の第3直列接続溝(93)を経由して、第2収容部(22b)の高温側流入路(27)に流入する。第2収容部(22b)の高温側流入路(27)から流出した熱媒体は、第2収容部(22b)の磁気作業物質(23)を流れた後に、第2収容部(22b)の低温側流出路(26)に流入する。
【0345】
第2収容部(22b)の低温側流出路(26)から流出した熱媒体は、共通ヘッダ本体(53)の第1直列接続溝(91)を経由して、第3収容部(22c)の高温側流入路(27)に流入する。第3収容部(22c)の高温側流入路(27)から流出した熱媒体は、第3収容部(22c)の磁気作業物質(23)を流れた後に、第3収容部(22c)の低温側流出路(26)に流入する。
【0346】
第3収容部(22c)の低温側流出路(26)から流出した熱媒体は、接続ヘッダ本体(63)の第5直列接続溝(95)を経由して、第4収容部(22d)の高温側流入路(27)に流入する。第4収容部(22d)の高温側流入路(27)から流出した熱媒体は、第4収容部(22d)の磁気作業物質(23)を流れた後に、第4収容部(22d)の低温側流出路(26)に流入する。第4収容部(22d)の低温側流出路(26)から流出した熱媒体は、低温側ヘッダ本体(43)の低温内部流出溝(88)を経由した後、低温端流出ポート(74)を介して磁気冷凍モジュール(20)の外部へ流出する。
【0347】
-実施形態3の変形例の効果-
本変形例の磁気冷凍モジュール(20)によっても、上記実施形態3と同様の効果が得られる。
【0348】
また、本変形例の磁気冷凍モジュール(20)は、最も低温寄りに配置される各上記収容部(22)の上記低温側流入ポート(25a)および上記低温側流出ポート(26a)と、最も高温寄りに配置される各上記収容部(22)の上記高温側流入ポート(27a)および上記高温側流出ポート(28a)とが、上記磁気冷凍モジュール(20)において片側に配置されている。この構成によると、当該4つのポート(25a~28a)が磁気冷凍モジュール(20)の片側にあるため、当該4つのポート(25a~28a)の各々に繋がる配管などを容易に設置することができる。
【0349】
また、本変形例の磁気冷凍モジュール(20)は、上記ヘッダ構造(32,42,52,62)が、上記低温内部流入路(87)、上記低温内部流出路(88)、上記高温内部流入路(85)、および上記高温内部流出路(86)を有する共通ヘッダ(52)と、上記第1直列内部流路(91,93,95,97)および上記第2直列内部流路(92,94,96,98)を有する接続ヘッダ(62)とを備える。この構成によると、熱媒体は、共通ヘッダ(52)から複数の収容部(22)および接続ヘッダ(62)を経由して共通ヘッダ(52)へ流れる。
【0350】
また、本変形例の磁気冷凍モジュール(20)は、上記低温内部流入路(87)、上記低温内部流出路(88)、上記高温内部流入路(85)、上記高温内部流出路(86)、上記第1直列内部流路(91,93,95,97)、および上記第2直列内部流路(92,94,96,98)が、上記共通ヘッダ(52)もしくは上記接続ヘッダ(62)に設けられた単層構造または複層構造で構成される。この構成によると、低温内部流入路(87)、低温内部流出路(88)、高温内部流入路(85)、高温内部流出路(86)、第1直列内部流路(91,93,95,97)、および第2直列内部流路(92,94,96,98)を単層構造で構成することで各ヘッダ(32,42,52,62)を容易に製造できる一方、それらを複層構造で構成することで各ヘッダ(32,42,52,62)を小型化することができる。
【0351】
また、本変形例の磁気冷凍モジュール(20)は、上記ヘッダ構造(32,42,52,62)が、上記共通ヘッダ(52)と、上記接続ヘッダ(62)とを備え、上記低温内部流入路(87)、上記低温内部流出路(88)、上記高温内部流入路(85)、および上記高温内部流出路(86)が、上記共通ヘッダ(52)に設けられた複層構造で構成され、上記第1直列内部流路(91,93,95,97)および上記第2直列内部流路(92,94,96,98)が、上記接続ヘッダ(62)に設けられた単層構造で構成される。この構成によると、熱媒体は、共通ヘッダ(52)から複数の収容部(22)および接続ヘッダ(62)を経由して共通ヘッダ(52)へ流れる。低温内部流入路(87)、低温内部流出路(88)、高温内部流入路(85)、および高温内部流出路(86)、または第1直列内部流路(91,93,95,97)および第2直列内部流路(92,94,96,98)を単層構造で構成することで共通ヘッダ(52)を容易に製造できる。一方、それらを複層構造で構成することで接続ヘッダ(62)を小型化することができる。
【0352】
また、本変形例の磁気冷凍モジュール(20)は、上記共通ヘッダ(52)および上記接続ヘッダ(62)の各々が、上記収容部(22)に面する第1面(54a,64a)と、該第1面(54a,64a)の裏側の第2面(55a,63b)とを有し、複層構造の上記低温内部流入路(87)、上記低温内部流出路(88)、上記高温内部流入路(85)、および上記高温内部流出路(86)は、上記共通ヘッダ(52)の内部において上記第1面(54a)側および上記第2面(55a)側の少なくとも一方に形成された溝(85~88)により構成され、単層構造の上記第1直列内部流路(91,93,95,97)および上記第2直列内部流路(92,94,96,98)は、上記接続ヘッダ(62)の内部において上記第1面(64a)側に形成された溝(91~98)により構成される一方、複層構造の上記第1直列内部流路(91,93,95,97)および上記第2直列内部流路(92,94,96,98)は、上記接続ヘッダ(62)の内部において上記第1面(64a)または上記第2面(63b)側に形成された溝(91~98)により構成される。この構成によると、単層構造または複層構造の低温内部流入路(87)、低温内部流出路(88)、高温内部流入路(85)、高温内部流出路(86)、第1直列内部流路(91,93,95,97)、および第2直列内部流路(92,94,96,98)を、共通ヘッダ(52)または接続ヘッダ(62)の内部に形成された溝(85~88,91~98)というシンプルな構成で実現することができる。
【0353】
-実施形態3の変形例の改良-
図24等に示す実施形態3の変形例の磁気冷凍モジュール(20)では、収容部(22)同士を直列接続するための流路を往路と復路で分離しているが、実際はどちらの方向にも熱媒体が流れることができるため、当該流路がデッドボリュームとなって性能が低下する。
【0354】
そこで、
図38に示すように、収容部(22)同士の直列接続箇所(6箇所)に、例えば逆止弁で構成された逆流防止部(201,202,203,204,205,206)を設けてもよい。尚、
図38において、
図24に示す実施形態3の変形例と同じ構成要素には同じ符号を付す。
【0355】
具体的には、第1収容部(22a)の低温側流出ポート(25b)(低温側流入路(25)の出口)と、第2収容部(22b)の高温側流入ポート(28b)(高温側流出路(28)の入口)とが直列接続される箇所に第1逆流防止部(201)が配置されてもよい。また、第1収容部(22a)の低温側流入ポート(26b)(低温側流出路(26)の入口)と、第2収容部(22b)の高温側流出ポート(27b)(高温側流入路(27)の出口)とが直列接続される箇所に第2逆流防止部(202)が配置されてもよい。また、第2収容部(22b)の低温側流入ポート(25a)(低温側流入路(25)の入口)と、第3収容部(22c)の高温側流出ポート(28a)(高温側流出路(28)の出口)とが直列接続される箇所に第3逆流防止部(203)が配置されてもよい。また、第2収容部(22b)の低温側流出ポート(26a)(低温側流出路(26)の出口)と、第3収容部(22c)の高温側流入ポート(27a)(高温側流入路(27)の入口)とが直列接続される箇所に第4逆流防止部(204)が配置されてもよい。また、第3収容部(22c)の低温側流出ポート(25b)(低温側流入路(25)の出口)と、第4収容部(22d)の高温側流入ポート(28b)(高温側流出路(28)の入口)とが直列接続される箇所に第5逆流防止部(205)が配置されてもよい。また、第3収容部(22c)の低温側流入ポート(26b)(低温側流出路(26)の入口)と、第4収容部(22d)の高温側流出ポート(27b)(高温側流入路(27)の出口)とが直列接続される箇所に第6逆流防止部(206)が配置されてもよい。
【0356】
これにより、各収容部(22)の流路(25~28)において熱媒体が流れる方向を規定できるので、流路(25~28)がデッドボリュームとなって性能が低下することを抑制できる。
【0357】
尚、
図38に示す構成では、収容部(22)同士の全ての直列接続箇所に逆流防止部(201,202,203,204,205,206)を設けたが、これに代えて、逆流防止部(201,202,203,204,205,206)の少なくとも1つを設けてもよい。この場合にも、逆流防止部(201,202,203,204,205,206)を全く設けない場合と比べて、デッドボリュームに起因する性能低下を抑制することができる。
【0358】
また、
図38に示す構成において、第1収容部(22a)の低温側流出ポート(25b)(低温側流入路(25)の出口)及び第2収容部(22b)の高温側流入ポート(28b)(高温側流出路(28)の入口)の少なくとも一方に第1逆流防止部(201)を接続してもよい。また、第1収容部(22a)の低温側流入ポート(26b)(低温側流出路(26)の入口)及び第2収容部(22b)の高温側流出ポート(27b)(高温側流入路(27)の出口)の少なくとも一方に第2逆流防止部(202)を接続してもよい。また、第2収容部(22b)の低温側流入ポート(25a)(低温側流入路(25)の入口)及び第3収容部(22c)の高温側流出ポート(28a)(高温側流出路(28)の出口)の少なくとも一方に第3逆流防止部(203)を接続してもよい。また、第2収容部(22b)の低温側流出ポート(26a)(低温側流出路(26)の出口)及び第3収容部(22c)の高温側流入ポート(27a)(高温側流入路(27)の入口)の少なくとも一方に第4逆流防止部(204)を接続してもよい。また、第3収容部(22c)の低温側流出ポート(25b)(低温側流入路(25)の出口)及び第4収容部(22d)の高温側流入ポート(28b)(高温側流出路(28)の入口)の少なくとも一方に第5逆流防止部(205)を接続してもよい。また、第3収容部(22c)の低温側流入ポート(26b)(低温側流出路(26)の入口)及び第4収容部(22d)の高温側流出ポート(27b)(高温側流入路(27)の出口)の少なくとも一方に第6逆流防止部(206)を接続してもよい。このようにすると、実施形態1(
図32及び
図33参照)で説明したように、ヘッダ構造(52,62)内部において直列接続のための構造体の前段に逆流防止部(201,202,203,204,205,206)を設置することが可能となる。
【0359】
<断熱層>
図24等に示す本変形例の磁気冷凍モジュール(20)では、互いに温度が異なる収容部(22)同士や流路(25~28)同士が隣接した場合、熱漏れが生じて性能が低下する。
【0360】
そこで、
図38に示すように、直列に接続された収容部(22)同士の間に断熱層(211,212,213)を設けてもよい。断熱層(211,212,213)は、断熱材やスリットなどで構成されてもよい。また、収容部(22)の一部分を断熱層(211,212,213)となる断熱部材で構成してもよい。断熱層(211,212,213)は、直列に接続された収容部(22)同士の間の全体に設けてもよいし、或いは、直列に接続された収容部(22)同士の間の一部分に設けてもよい。
図38に示す構成では、異なる温度で熱媒体が流れる第1収容部(22a)の磁気作業物質(23)と第2収容部(22b)の磁気作業物質(23)との間、及び、異なる温度で熱媒体が流れる第1収容部(22a)の高温側流出路(28)と第2収容部(22b)の低温側流入路(25)との間に、第1断熱層(211)が設けられている。また、異なる温度で熱媒体が流れる第2収容部(22b)の磁気作業物質(23)と第3収容部(22c)の磁気作業物質(23)との間、及び、異なる温度で熱媒体が流れる第2収容部(22b)の高温側流出路(28)と第3収容部(22c)の低温側流入路(25)との間に、第2断熱層(212)が設けられている。また、異なる温度で熱媒体が流れる第3収容部(22c)の磁気作業物質(23)と第4収容部(22d)の磁気作業物質(23)との間、及び、異なる温度で熱媒体が流れる第3収容部(22c)の高温側流出路(28)と第4収容部(22d)の低温側流入路(25)との間に、第3断熱層(213)が設けられている。
【0361】
これにより、互いに温度が異なる収容部(22)(磁気作業物質(23))同士や流路(25~28)同士が隣接する場合にも、熱漏れが生じて性能が低下することを抑制できる。言い換えると、異なる温度の熱媒体が流れる収容部(22)同士の間で熱漏れが生じて性能が低下することを抑制できる。
【0362】
《実施形態4》
実施形態4について説明する。本実施形態の磁気冷凍モジュール(20)は、特に複数の並列ブロック(29a,29b)を備える点で上記実施形態1と異なる。以下、上記実施形態1と異なる点について主に説明する。
【0363】
〈収容部ケース〉
図27~
図30に示すように、収容部ケース(21)には、6つの収容部(22)が収容される。収容部ケース(21)には、6つの貫通孔(21a)が形成されており、各貫通孔(21a)に1つの収容部(22)が収容される。
【0364】
以下では、本実施形態の6つの収容部(22)を、
図28(A)の左から右に向かって順に、第1収容部(22a)、第2収容部(22b)、第3収容部(22c)、第4収容部(22d)、第5収容部(22e)、および第6収容部(22f)ということもある。第1~第3収容部(22a~22c)の各々は、最も高温寄りに配置される収容部を構成する。第4~第6収容部(22d~22f)の各々は、最も低温寄りに配置される収容部を構成する。
【0365】
〈高温側ヘッダ〉
高温側ヘッダ(32)では、高温側ヘッダ本体(33)および第1高温側パッキン(34)の構成が上記実施形態1と異なる。第2高温側パッキン(35)の構成は、上記実施形態1と同じである。
【0366】
[高温側ヘッダ本体]
高温側ヘッダ本体(33)の表面(33a)または裏面(33b)には(換言すると、高温側ヘッダ本体(33)の内部における第1面側および第2面側の少なくとも一方には)、高温内部流入溝(85)、高温内部流出溝(86)、第1直並列接続溝(97)、および第2直並列接続溝(98)が複層構造により形成される。
【0367】
高温内部流入溝(85)は、その底部に形成された貫通孔(85a)と第1高温側パッキン(34)を介して、第1~第3収容部(22a~22c)の各々の高温側流入ポート(27a)(具体的には、第1~第3収容部(22a~22c)の各々の高温側流入路(27)の入口)に連通する。高温内部流入溝(85)は、第2高温側パッキン(35)を介して、高温端流入ポート(71)に連通する。高温内部流入溝(85)は、第1高温側パッキン(34)を介して、第1~第3収容部(22a~22c)の各々の高温側流入ポート(27a)を並列接続により互いに連通させる。高温内部流入溝(85)は、高温側ヘッダ本体(33)の裏面(33b)において略L字状に構成される。高温内部流入溝(85)は、高温内部流入路を構成する。高温内部流入溝(85)は、並列内部流路を構成する。
【0368】
高温内部流出溝(86)は、第1高温側パッキン(34)を介して、高温側流出孔(82)と、第1~第3収容部(22a~22c)の各々の高温側流出ポート(28a)(具体的には、第1~第3収容部(22a~22c)の各々の高温側流出路(28)の出口)とを連通させる。高温内部流出溝(86)は、第1高温側パッキン(34)を介して、第1~第3収容部(22a~22c)の各々の高温側流出ポート(28a)を並列接続により互いに連通させる。高温内部流出溝(86)は、高温側ヘッダ本体(33)の表面(33a)において上方に開口する略C字状に構成される。高温内部流出溝(86)は、高温内部流出路を構成する。高温内部流出溝(86)は、並列内部流路を構成する。
【0369】
第1直並列接続溝(97)は、第1高温側パッキン(34)を介して、第1~第3収容部(22a~22c)の各々の低温側流出ポート(26a)(具体的には、第1~第3収容部(22a~22c)の各々の低温側流出路(26)の出口)を並列接続により互いに連通させる。第1直並列接続溝(97)は、同様に、第4~第6収容部(22d~22f)の各々の高温側流入ポート(27a)(具体的には、第4~第6収容部(22d~22f)の各々の高温側流入路(27)の入口)を並列接続により互いに連通させる。第1直並列接続溝(97)は、同様に、第1~第3収容部(22a~22c)の各々の低温側流出ポート(26a)と、第4~第6収容部(22d~22f)の各々の高温側流入ポート(27a)とを直列接続により互いに連通させる。第1直並列接続溝(97)は、高温側ヘッダ本体(33)の表面(33a)において略E字状に構成される。第1直並列接続溝(97)は、第1直列内部流路を構成する。第1直並列接続溝(97)は、並列内部流路を構成する。
【0370】
第2直並列接続溝(98)は、その底部に形成された貫通孔(98a)と第1高温側パッキン(34)を介して、第1~第3収容部(22a~22c)の各々の低温側流入ポート(25a)(具体的には、第1~第3収容部(22a~22c)の各々の低温側流入路(25)の入口)を並列接続により互いに連通させる。第2直並列接続溝(98)は、同様に、第4~第6収容部(22d~22f)の各々の高温側流出ポート(28a)(具体的には、第4~第6収容部(22d~22f)の各々の高温側流出路(28)の出口)を並列接続により互いに連通させる。第2直並列接続溝(98)は、同様に、第1~第3収容部(22a~22c)の各々の低温側流入ポート(25a)と、第4~第6収容部(22d~22f)の各々の高温側流出ポート(28a)とを直列接続により互いに連通させる。第2直並列接続溝(98)は、高温側ヘッダ本体(33)の裏面(33b)において略I字状に構成される。第2直並列接続溝(98)は、第2直列内部流路を構成する。第2直並列接続溝(98)は、並列内部流路を構成する。
【0371】
[第1高温側パッキン]
第1高温側パッキン(34)には、それぞれが縦長の矩形状に構成された第1~第18パッキン孔(H1~H18)が形成される。第1~第18パッキン孔(H1~H18)は、第1高温側パッキン(34)を厚さ方向に貫通する。
【0372】
第1パッキン孔(H1)は、第6収容部(22f)の高温側流出ポート(28a)と、高温側ヘッダ本体(33)の第2直並列接続溝(98)とを連通させる。第2パッキン孔(H2)は、第6収容部(22f)の高温側流入ポート(27a)と、高温側ヘッダ本体(33)の第1直並列接続溝(97)とを連通させる。第3パッキン孔(H3)は、第5収容部(22e)の高温側流入ポート(27a)と、高温側ヘッダ本体(33)の第1直並列接続溝(97)とを連通させる。第4パッキン孔(H4)は、第5収容部(22e)の高温側流出ポート(28a)と、高温側ヘッダ本体(33)の第2直並列接続溝(98)とを連通させる。第5パッキン孔(H5)は、第4収容部(22d)の高温側流出ポート(28a)と、高温側ヘッダ本体(33)の第2直並列接続溝(98)とを連通させる。第6パッキン孔(H6)は、第4収容部(22d)の高温側流入ポート(27a)と、高温側ヘッダ本体(33)の第1直並列接続溝(97)とを連通させる。
【0373】
このような構成により、第4~第6収容部(22d~22f)の各々の高温側流出路(28)が、第2直並列接続溝(98)を介して互いに並列に接続される。第4~第6収容部(22d~22f)の各々の高温側流入路(27)が、第1直並列接続溝(97)を介して互いに並列に接続される。後述するように、第4~第6収容部(22d~22f)の各々の低温側流出路(26)が互いに並列に接続され、かつ第4~第6収容部(22d~22f)の各々の低温側流入路(25)が互いに並列に接続される。換言すると、第4~第6収容部(22d~22f)が互いに並列に接続され、それにより第2並列ブロック(29b)が構成される。
【0374】
第7パッキン孔(H7)は、第3収容部(22c)の低温側流出ポート(26a)と、高温側ヘッダ本体(33)の第1直並列接続溝(97)とを連通させる。第8パッキン孔(H8)は、第3収容部(22c)の低温側流入ポート(25a)と、高温側ヘッダ本体(33)の第2直並列接続溝(98)とを連通させる。第9パッキン孔(H9)は、第2収容部(22b)の低温側流入ポート(25a)と、高温側ヘッダ本体(33)の第2直並列接続溝(98)とを連通させる。第10パッキン孔(H10)は、第2収容部(22b)の低温側流出ポート(26a)と、高温側ヘッダ本体(33)の第1直並列接続溝(97)とを連通させる。第11パッキン孔(H11)は、第1収容部(22a)の低温側流出ポート(26a)と、高温側ヘッダ本体(33)の第1直並列接続溝(97)とを連通させる。第12パッキン孔(H12)は、第1収容部(22a)の低温側流入ポート(25a)と、高温側ヘッダ本体(33)の第2直並列接続溝(98)とを連通させる。第13パッキン孔(H13)は、第3収容部(22c)の高温側流出ポート(28a)と、高温側ヘッダ本体(33)の高温内部流出溝(86)とを連通させる。第14パッキン孔(H14)は、第3収容部(22c)の高温側流入ポート(27a)と、高温側ヘッダ本体(33)の高温内部流入溝(85)とを連通させる。第15パッキン孔(H15)は、第2収容部(22b)の高温側流入ポート(27a)と、高温側ヘッダ本体(33)の高温内部流入溝(85)とを連通させる。第16パッキン孔(H16)は、第2収容部(22b)の高温側流出ポート(28a)と、高温側ヘッダ本体(33)の高温内部流出溝(86)とを連通させる。第17パッキン孔(H17)は、第1収容部(22a)の高温側流出ポート(28a)と、高温側ヘッダ本体(33)の高温内部流出溝(86)とを連通させる。第18パッキン孔(H18)は、第1収容部(22a)の高温側流入ポート(27a)と、高温側ヘッダ本体(33)の高温内部流入溝(85)とを連通させる。
【0375】
このような構成により、第1~第3収容部(22a~22c)の各々の低温側流出路(26)が、第1直並列接続溝(97)を介して互いに並列に接続される。第1~第3収容部(22a~22c)の各々の低温側流入路(25)が、第2直並列接続溝(98)を介して互いに並列に接続される。第1~第3収容部(22a~22c)の各々の高温側流出路(28)が、高温内部流出溝(86)を介して互いに並列に接続される。第1~第3収容部(22a~22c)の各々の高温側流入路(27)が、高温内部流入溝(85)を介して互いに並列に接続される。換言すると、第1~第3収容部(22a~22c)が互いに並列に接続され、それにより第1並列ブロック(29a)が構成される。
【0376】
以上の構成により、第1~第3収容部(22a~22c)の各々の低温側流出路(26)と、第4~第6収容部(22d~22f)の各々の高温側流入路(27)とが、第1直並列接続溝(97)を介して互いに直列に接続される。第1~第3収容部(22a~22c)の各々の低温側流入路(25)と、第4~第6収容部(22d~22f)の各々の高温側流出路(28)とが、第2直並列接続溝(98)を介して互いに直列に接続される。換言すると、第1並列ブロック(29a)と第2並列ブロック(29b)とは、互いに直列に接続される。
【0377】
〈低温側ヘッダ〉
低温側ヘッダ(42)では、低温側ヘッダ本体(43)および第1低温側パッキン(44)の構成が上記実施形態1と異なる。第2低温側パッキン(45)の構成は、上記実施形態1と同じである。
【0378】
[低温側ヘッダ本体]
低温側ヘッダ本体(43)の表面(43a)または裏面(43b)には(換言すると、低温側ヘッダ(42)の内部における第1面側および第2面側の少なくとも一方には)、低温内部流入溝(87)および低温内部流出溝(88)が複層構造により形成される。
【0379】
低温内部流入溝(87)は、第1低温側パッキン(44)を介して、低温側流入孔(83)と、第4~第6収容部(22d~22f)の各々の低温側流入ポート(25a)(具体的には、第4~第6収容部(22d~22f)の各々の低温側流入路(25)の入口)とを連通させる。低温内部流入溝(87)は、第1低温側パッキン(44)を介して、第4~第6収容部(22d~22f)の各々の低温側流入ポート(25a)を並列接続により互いに連通させる。低温内部流入溝(87)は、低温側ヘッダ本体(43)の表面(43a)において上方に開口する略C字状に構成される。低温内部流入溝(87)は、低温内部流入路を構成する。低温内部流入溝(87)は、並列内部流路を構成する。
【0380】
低温内部流出溝(88)は、その底部に形成された貫通孔(88a)と第1低温側パッキン(44)を介して、第4~第6収容部(22d~22f)の低温側流出ポート(26a)(具体的には、第4~第6収容部(22d~22f)の低温側流出路(26)の出口)に連通する。低温内部流出溝(88)は、第2低温側パッキン(45)を介して、低温端流出ポート(74)に連通する。低温内部流出溝(88)は、第1低温側パッキン(44)を介して、第4~第6収容部(22d~22f)の各々の低温側流出ポート(26a)を並列接続により互いに連通させる。低温内部流出溝(88)は、低温側ヘッダ本体(43)の裏面(43b)において略L字状に構成される。低温内部流出溝(88)は、低温内部流出路を構成する。低温内部流出溝(88)は、並列内部流路を構成する。
【0381】
[第1低温側パッキン]
第1低温側パッキン(44)には、それぞれが縦長の矩形状に構成された第19~第24パッキン孔(H19~H24)が形成される。第19~第24パッキン孔(H19~H24)は、第1低温側パッキン(44)を厚さ方向に貫通する。第19パッキン孔(H19)は、第4収容部(22d)の低温側流入ポート(25a)と、低温側ヘッダ本体(43)の低温内部流入溝(87)とを連通させる。第20パッキン孔(H20)は、第4収容部(22d)の低温側流出ポート(26a)と、低温側ヘッダ本体(43)の低温内部流出溝(88)とを連通させる。第21パッキン孔(H21)は、第5収容部(22e)の低温側流出ポート(26a)と、低温側ヘッダ本体(43)の低温内部流出溝(88)とを連通させる。第22パッキン孔(H22)は、第5収容部(22e)の低温側流入ポート(25a)と、低温側ヘッダ本体(43)の低温内部流入溝(87)とを連通させる。第23パッキン孔(H23)は、第6収容部(22f)の低温側流入ポート(25a)と、低温側ヘッダ本体(43)の低温内部流入溝(87)とを連通させる。第24パッキン孔(H24)は、第6収容部(22f)の低温側流出ポート(26a)と、低温側ヘッダ本体(43)の低温内部流出溝(88)とを連通させる。
【0382】
このような構成により、第4~第6収容部(22d~22f)の各々の低温側流出路(26)が、低温内部流出溝(88)を介して互いに並列に接続される。第4~第6収容部(22d~22f)の各々の低温側流入路(25)が、低温内部流入溝(87)を介して互いに並列に接続される。
【0383】
-磁気冷凍モジュールにおける熱媒体の流れ-
空調システム(10)が運転されるときの、より具体的には熱媒体ポンプ(130)が第1動作または第2動作を行うときの、磁気冷凍モジュール(20)における熱媒体の流れについて説明する。
【0384】
図29に示すように、熱媒体ポンプ(130)が第1動作を行うときには、磁気冷凍モジュール(20)において低温側から高温側へ熱媒体が流れる。具体的に、磁気冷凍モジュール(20)では、低温端流入ポート(73)から流入した熱媒体が、低温側ヘッダ本体(43)の低温側流入孔(83)に流入する。低温側ヘッダ本体(43)の低温側流入孔(83)から流出した熱媒体は、低温側ヘッダ本体(43)の低温内部流入溝(87)を経由して、第4~第6収容部(22d~22f)の各々の低温側流入路(25)に流入する。第4~第6収容部(22d~22f)の各々の低温側流入路(25)から流出した熱媒体は、第4~第6収容部(22d~22f)の各々の磁気作業物質(23)を流れた後に、第4~第6収容部(22d~22f)の各々の高温側流出路(28)に流入する。
【0385】
第4~第6収容部(22d~22f)の各々の高温側流出路(28)から流出した熱媒体は、高温側ヘッダ本体(33)の第2直並列接続溝(98)を経由して、第1~第3収容部(22a~22c)の各々の低温側流入路(25)に流入する。第1~第3収容部(22a~22c)の各々の低温側流入路(25)から流出した熱媒体は、第1~第3収容部(22a~22c)の各々の磁気作業物質(23)を流れた後に、第1~第3収容部(22a~22c)の各々の高温側流出路(28)に流入する。第1~第3収容部(22a~22c)の各々の高温側流出路(28)から流出した熱媒体は、高温側ヘッダ本体(33)の高温内部流出溝(86)を経由して、高温側ヘッダ本体(33)の高温側流出孔(82)に流入する。高温側ヘッダ本体(33)の高温側流出孔(82)から流出した熱媒体は、高温端流出ポート(72)を介して磁気冷凍モジュール(20)の外部へ流出する。
【0386】
図30に示すように、熱媒体ポンプ(130)が第2動作を行うときには、磁気冷凍モジュール(20)において高温側から低温側へ熱媒体が流れる。具体的に、磁気冷凍モジュール(20)では、高温端流入ポート(71)から流入した熱媒体が、高温側ヘッダ本体(33)の高温内部流入溝(85)を経由して、第1~第3収容部(22a~22c)の各々の高温側流入路(27)に流入する。第1~第3収容部(22a~22c)の各々の高温側流入路(27)から流出した熱媒体は、第1~第3収容部(22a~22c)の各々の磁気作業物質(23)を流れた後に、第1~第3収容部(22a~22c)の各々の低温側流出路(26)に流入する。
【0387】
第1~第3収容部(22a~22c)の各々の低温側流出路(26)から流出した熱媒体は、高温側ヘッダ本体(33)の第1直並列接続溝(97)を経由して、第4~第6収容部(22d~22f)の各々の高温側流入路(27)に流入する。第4~第6収容部(22d~22f)の各々の高温側流入路(27)から流出した熱媒体は、第4~第6収容部(22d~22f)の各々の磁気作業物質(23)を流れた後に、第4~第6収容部(22d~22f)の各々の低温側流出路(26)に流入する。第4~第6収容部(22d~22f)の各々の低温側流出路(26)から流出した熱媒体は、低温側ヘッダ本体(43)の低温内部流出溝(88)を経由した後、低温端流出ポート(74)を介して磁気冷凍モジュール(20)の外部へ流出する。
【0388】
-実施形態4の効果-
本実施形態の磁気冷凍モジュール(20)によっても、上記実施形態1と同様の効果が得られる。
【0389】
また、本実施形態の磁気冷凍モジュール(20)は、複数の上記収容部(22)の少なくとも一部が、互いに並列に接続されている。この構成によると、互いに並列に接続された複数の収容部(22)を、磁気冷凍モジュール(20)に供給される熱媒体が一斉に流れる。
【0390】
また、本実施形態の磁気冷凍モジュール(20)は、互いに並列に接続された複数の上記収容部(22)でそれぞれ構成される複数の並列ブロック(29a,29b)を備え、複数の上記並列ブロック(29a,29b)が、互いに直列に接続されている。この構成によると、互いに直列に接続された複数の並列ブロック(29a,29b)を、磁気冷凍モジュール(20)に供給される熱媒体が順次流れる。各並列ブロック(29a,29b)では、互いに並列に接続された複数の収容部(22)を、当該熱媒体が一斉に流れる。
【0391】
また、本実施形態の磁気冷凍モジュール(20)は、上記低温内部流入路(87)、上記低温内部流出路(88)、上記高温内部流入路(85)、上記高温内部流出路(86)、上記第1直列内部流路(91,93,95,97)、および上記第2直列内部流路(92,94,96,98)が、上記低温側ヘッダ(42)もしくは上記高温側ヘッダ(32)に設けられた複層構造で構成される。この構成によると、低温内部流入路(87)、低温内部流出路(88)、高温内部流入路(85)、高温内部流出路(86)、第1直列内部流路(91,93,95,97)、および第2直列内部流路(92,94,96,98)を複層構造で構成することで各ヘッダ(32,42,52,62)を小型化することができる。
【0392】
また、本実施形態の磁気冷凍モジュール(20)は、上記ヘッダ構造(32,42,52,62)が、上記低温側ヘッダ(42)と、上記高温側ヘッダ(32)とを備え、上記低温内部流入路(87)および上記低温内部流出路(88)が、上記低温側ヘッダ(42)に設けられた複層構造で構成され、上記高温内部流入路(85)および上記高温内部流出路(86)が、上記高温側ヘッダ(32)に設けられた複層構造で構成される。この構成によると、熱媒体は、低温側ヘッダ(42)から複数の収容部(22)を経由して高温側ヘッダ(32)へ、もしくはその逆に流れる。低温内部流入路(87)および低温内部流出路(88)を、または高温内部流入路(85)および高温内部流出路(86)を複層構造で構成することで低温側ヘッダ(42)または高温側ヘッダ(32)を小型化することができる。
【0393】
また、本実施形態の磁気冷凍モジュール(20)は、上記低温側ヘッダ(42)および上記高温側ヘッダ(32)の各々は、上記収容部(22)に面する第1面(34a,44a)と、該第1面(34a,44a)の裏側の第2面(35a,45a)とを有し、複層構造の上記低温内部流入路(87)および上記低温内部流出路(88)が、上記低温側ヘッダ(42)の内部において上記第1面(44a)側および上記第2面(45a)側の少なくとも一方に形成された溝(87,88)により構成され、複層構造の上記高温内部流入路(85)および上記高温内部流出路(86)が、上記高温側ヘッダ(32)の内部において上記第1面(34a)側および上記第2面(35a)側の少なくとも一方に形成された溝(85,86)により構成される。この構成によると、複層構造の低温内部流入路(87)、低温内部流出路(88)、高温内部流入路(85)、および高温内部流出路(86)を、低温側ヘッダ(42)または高温側ヘッダ(32)の内部に形成された溝(85~88)というシンプルな構成で実現することができる。
【0394】
-実施形態4の改良-
図28等に示す実施形態4の磁気冷凍モジュール(20)では、第1~第3収容部(22a~22c)が互いに並列に接続された第1並列ブロック(29a)と、第4~第6収容部(22d~22f)が互いに並列に接続された第2並列ブロック(29b)とを直列接続するための流路を往路と復路で分離しているが、実際はどちらの方向にも熱媒体が流れることができるため、当該流路がデッドボリュームとなって性能が低下する。
【0395】
そこで、本実施形態のように収容部(22)の直列接続の前に並列接続がある場合、
図39に示すように、収容部(22)の並列接続後に逆流防止部(201,202)を設けてもよいし、或いは、
図40に示すように、収容部(22)の並列接続前に逆流防止部(201,202,203,204,205,206)を設けてもよい。これにより、各収容部(22)の流路(25~28)において熱媒体が流れる方向を規定できるので、流路(25~28)がデッドボリュームとなって性能が低下することを抑制できる。尚、
図39、
図40において、
図28に示す実施形態4と同じ構成要素には同じ符号を付す。
【0396】
図39に示す構成では、第1並列ブロック(29a)を構成する第1~第3収容部(22a~22c)のそれぞれの低温側流出ポート(26a)(低温側流出路(26)の出口)と連通する各流路が並列接続される箇所と、第2並列ブロック(29b)を構成する第4~第6収容部(22d~22f)のそれぞれの高温側流入ポート(27a)(高温側流入路(27)の入口)と連通する各流路が並列接続される箇所との間に、第1逆流防止部(201)が配置されてもよい。また、第1並列ブロック(29a)を構成する第1~第3収容部(22a~22c)のそれぞれの低温側流入ポート(25a)(低温側流入路(25)の入口)と連通する各流路が並列接続される箇所と、第2並列ブロック(29b)を構成する第4~第6収容部(22d~22f)のそれぞれの高温側流出ポート(28a)(高温側流出路(28)の出口)と連通する各流路が並列接続される箇所との間に、第2逆流防止部(202)が配置されてもよい。
【0397】
また、
図39に示す構成では、第1~第3収容部(22a~22c)のそれぞれの低温側流出ポート(26a)の側、及び第4~第6収容部(22d~22f)のそれぞれの高温側流入ポート(27a)の側の少なくとも一方に、並列接続のための構造体を介して第1逆流防止部(201)が接続されてもよい。また、第1~第3収容部(22a~22c)のそれぞれの低温側流入ポート(25a)の側、及び第4~第6収容部(22d~22f)のそれぞれの高温側流出ポート(28a)の側の少なくとも一方に、並列接続のための構造体を介して第2逆流防止部(202)が接続されてもよい。このようにすると、実施形態1(
図32及び
図33参照)で説明したように、ヘッダ構造(32,42)内部において直列接続のための構造体の前段に逆流防止部(201,202)を設置することが可能となる。
【0398】
尚、
図39に示す構成では、逆流防止部(201,202)の配置数は、
図40に示す構成よりも少なくなる。一方、ヘッダ構造(32,42)内部において、逆流防止部(201,202)を構成する逆流防止構造体(
図32及び
図33に示す実施形態1の逆流防止構造体(36)参照)の前段に、並列接続のための構造体をさらに追加する必要がある。言い換えると、3層ヘッダ構造が必要となる。
【0399】
図40に示す構成では、第1並列ブロック(29a)を構成する第1~第3収容部(22a~22c)のそれぞれの低温側流出ポート(26a)(低温側流出路(26)の出口)と、これらの低温側流出ポート(26a)とそれぞれ連通する各流路が並列接続される箇所との間に、第1~第3逆流防止部(201,202,203)が配置されてもよい。また、第2並列ブロック(29b)を構成する第4~第6収容部(22d~22f)のそれぞれの高温側流出ポート(28a)(高温側流出路(28)の出口)と、これらの高温側流出ポート(28a)とそれぞれ連通する各流路が並列接続される箇所との間に、第4~第6逆流防止部(204,205,206)が配置されてもよい。
【0400】
また、
図40に示す構成では、第1~第3収容部(22a~22c)のそれぞれの低温側流出ポート(26a)に第1~第3逆流防止部(201,202,203)が接続されてもよい。また、第4~第6収容部(22d~22f)のそれぞれの高温側流出ポート(28a)に第4~第6逆流防止部(204,205,206)が接続されてもよい。このようにすると、実施形態1(
図32及び
図33参照)で説明したように、ヘッダ構造(32,42)内部において直列接続のための構造体の前段に逆流防止部(201,202,203,204,205,206)を設置することが可能となる。
【0401】
尚、
図40に示す構成では、逆流防止部(201~206)の配置数は、
図39に示す構成よりも多くなる。一方、ヘッダ構造(32,42)内部において、逆流防止部(201~206)を構成する逆流防止構造体の後段に配置されるヘッダ本体(
図32及び
図33に示す実施形態1の高温側ヘッダ本体(33)参照)に直列接続に加えて並列接続の機能を持たせることにより、2層ヘッダ構造となり、構造的に簡素化される。
【0402】
<断熱層>
図28等に示す本実施形態の磁気冷凍モジュール(20)では、互いに温度が異なる収容部(22)同士や流路(25~28)同士が隣接した場合、熱漏れが生じて性能が低下する。
【0403】
そこで、
図39又は
図40に示すように、直列に接続された第1並列ブロック(29a)と第2並列ブロック(29b)との間に断熱層(第1断熱層)(211)を設けてもよい。断熱層(211)は、断熱材やスリットなどで構成されてもよい。また、収容部(22)の一部分を断熱層(211)となる断熱部材で構成してもよい。断熱層(211)は、直列に接続された第1並列ブロック(29a)と第2並列ブロック(29b)との間の全体に設けてもよいし、或いは、直列に接続された第1並列ブロック(29a)と第2並列ブロック(29b)との間の一部分に設けてもよい。第1並列ブロック(29a)及び第2並列ブロック(29b)の内部における並列接続された収容部(22)同士の間には、断熱層を設けなくてもよい。
【0404】
図39及び
図40に示す構成では、異なる温度で熱媒体が流れる第3収容部(22c)(第1並列ブロック(29a))の磁気作業物質(23)と第4収容部(22d)(第2並列ブロック(29b))の磁気作業物質(23)との間、及び、異なる温度で熱媒体が流れる第3収容部(22c)の高温側流出路(28)と第4収容部(22d)の低温側流入路(25)との間に、断熱層(211)が設けられている。
【0405】
これにより、互いに温度が異なる収容部(22)(磁気作業物質(23))同士や流路(25~28)同士が隣接する場合にも、熱漏れが生じて性能が低下することを抑制できる。言い換えると、異なる温度の熱媒体が流れる収容部(22)同士の間で熱漏れが生じて性能が低下することを抑制できる。
【0406】
《その他の実施形態》
上記実施形態については、以下のような構成としてもよい。
【0407】
例えば、収容部(22)の数は、各上記実施形態で示したものに限らないし、複数の収容部(22)の一部が互いに直列接続されていれば、複数の収容部(22)をどのように接続するかは任意に設定可能である。一例として、6つの収容部(22)を2つずつ並列接続して3つの並列ブロックを構成し、当該3つの並列ブロックを互いに直列接続することが考えられる。
【0408】
また、例えば、ヘッダ構造の一部のみが、熱伝導率が10W/mK以下の非磁性材料で構成されてもよい。
【0409】
また、例えば、ヘッダ構造の少なくとも一部が、熱伝導率が10W/mK以下の材料で構成されてもよいし、または非磁性材料で構成されてもよい。
【0410】
また、固体冷却モジュールは、固体冷媒物質としての磁気作業物質(23)に磁気熱量効果を誘発する磁気冷凍モジュール以外の他の方式であってもよい。なお、ここでいう固体冷媒物質は、柔軟結晶などの液体と固体の中間の性質を有するものも含む。
【0411】
他の方式の固体冷却モジュールとしては、磁場以外の力場(電場等)の印加により熱量効果を誘発する方式、例えば、1)固体冷媒物質に電気熱量効果を誘発する方式、2)固体冷媒物質に圧力熱量効果を誘発する方式、3)固体冷媒物質に弾性熱量効果を誘発する方式が挙げられる。
【0412】
1)の方式の固体冷却モジュールでは、誘電体からなる固体冷媒物質に電場変動を付与すると、固体冷媒物質が強誘電体から常誘電体へ相転移するなどして、固体冷媒物質が発熱または吸熱する。
【0413】
2)の方式の固体冷却モジュールでは、固体冷媒物質に圧力変動を付与すると、固体冷媒物質が相転移し発熱または吸熱する。
【0414】
3)の方式の固体冷却モジュールでは、固体冷媒物質に応力変動を付与すると、固体冷媒物質が相転移し発熱または吸熱する。
【0415】
以上、実施形態および変形例を説明したが、特許請求の範囲の趣旨および範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。また、以上の実施形態および変形例は、本開示の対象の機能を損なわない限り、適宜組み合わせたり、置換したりしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0416】
以上説明したように、本開示は、固体冷却モジュール、特に磁気冷凍モジュールについて有用である。
【符号の説明】
【0417】
20 磁気冷凍モジュール(固体冷却モジュール)
23 磁気作業物質(固体冷媒物質)
22a~22f 第1~第6収容部(収容部)
25 低温側流入路(流路)
25a 低温側流入ポート
26 低温側流出路(流路)
26a 低温側流出ポート
27 高温側流入路(流路)
27a 高温側流入ポート
28 高温側流出路(流路)
28a 高温側流出ポート
29a 第1並列ブロック(並列ブロック)
29b 第2並列ブロック(並列ブロック)
32 高温側ヘッダ(ヘッダ構造)
34a 第1面
35a 第2面
42 低温側ヘッダ(ヘッダ構造)
44a 第1面
45a 第2面
52 共通ヘッダ(ヘッダ構造)
54a 第1面
55a 第2面
62 接続ヘッダ(ヘッダ構造)
63b 第2面
64a 第1面
71 高温端流入ポート
72 高温端流出ポート
73 低温端流入ポート
74 低温端流出ポート
85 高温内部流入溝(高温内部流入路、溝)
86 高温内部流出溝(高温内部流出路、溝)
87 低温内部流入溝(低温内部流入路、溝)
88 低温内部流出溝(低温内部流出路、溝)
91 第1直列接続溝(第1直列内部流路、溝)
92 第2直列接続溝(第2直列内部流路、溝)
93 第3直列接続溝(第1直列内部流路、溝)
94 第4直列接続溝(第2直列内部流路、溝)
95 第5直列接続溝(第1直列内部流路、溝)
96 第6直列接続溝(第2直列内部流路、溝)
97 第1直並列接続溝(第1直列内部流路、溝)
98 第2直並列接続溝(第2直列内部流路、溝)
201~206 逆流防止部
211~213 断熱層