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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-12
(45)【発行日】2024-03-21
(54)【発明の名称】アタッチメント着脱装置の油圧回路
(51)【国際特許分類】
   E02F 3/40 20060101AFI20240313BHJP
【FI】
E02F3/40 E
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2020065617
(22)【出願日】2020-04-01
(65)【公開番号】P2021161789
(43)【公開日】2021-10-11
【審査請求日】2023-03-10
(73)【特許権者】
【識別番号】391038224
【氏名又は名称】株式会社タグチ工業
(73)【特許権者】
【識別番号】503361400
【氏名又は名称】国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構
(74)【代理人】
【識別番号】110003085
【氏名又は名称】弁理士法人森特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田口 裕一
(72)【発明者】
【氏名】岡田 康弘
【審査官】小倉 宏之
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-501865(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0128404(US,A1)
【文献】特開平11-181819(JP,A)
【文献】国際公開第2018/158797(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0330819(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2003/0204972(US,A1)
【文献】特開平11-107307(JP,A)
【文献】実開昭63-161950(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 3/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建設機械のアームとアタッチメントとに介在するアタッチメント着脱装置の油圧回路において、
アタッチメントへ延びる第1主配管及び第2主配管は、手動又は自動で開閉する第1開閉バルブ及び第2開閉バルをそれぞれ介在させ、
第1開閉バルブ及び第2開閉バルブの上流側から第1分岐配管及び第2分岐配管を、開閉バルブの下流側から第1迂回配管及び第2迂回配管をそれぞれ延ばし、
第1分岐配管及び第2分岐配管は、アタッチメントの第1ピン及び第2ピンを係合させる一対の掛合フックの一方又は双方を移動させるフック用シリンダの第1区画及び第2区画にそれぞれ接続し、
第1迂回配管及び第2迂回配管は、油の流れを互い違いに制限する第1チェックバルブ及び第2チェックバルブを介在させてフック用シリンダの第1区画及び第2区画にそれぞれ接続して構成され、
第1チェックバルブは、第1主配管を通じてアタッチメントへ油を送る作業時に際し、フック用シリンダがロッドを伸ばて一対の掛合フックがアタッチメントの第1ピン及び第2ピンから外れないように、第1主配管からフック用シリンダの第1区画への油の流れを許し、
第2チェックバルブは、第2主配管を通じてアタッチメントへ油を送る作業時に際し、フック用シリンダがロッドを縮めて一対の掛合フックがアタッチメントの第1ピン及び第2ピンから外れないように、第2主配管からフック用シリンダの第2区画への油の流れを遮断する
ことを特徴とするアタッチメント着脱装置の油圧回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建設機械のアームとアタッチメントとに介在するアタッチメント着脱装置の油圧回路に関する。
【背景技術】
【0002】
アタッチメントの交換を容易にする目的で、建設機械のアームや操作シリンダのロッド又はリンクとアタッチメントとに介在するアタッチメント着脱装置が利用される(特許文献1)。特許文献1が開示するアタッチメント着脱装置は、一対の掛合フック(固定フック及び可動フック)と、掛合フック(固定フック)の開放縁を閉鎖又は開放する開閉レバーとを備え(特許文献1・請求項1ほか)、仮に掛合フック(可動フック)が動いても、開閉レバーが掛合フック(固定フック)の開放縁を閉鎖し続けるので、アタッチメントの第1ピンが掛合フック(固定フック)から不用意に外れなくする効果を得ている。
【0003】
特許文献1が開示するアタッチメント着脱装置1は、一対の掛合フックが動かない固定フックと固定フックに接近離反する可動フックとから構成され、可動フックをフック用シリンダにより移動させる(特許文献1・[0021])。フック用シリンダは、ポンプから油を受けて動かす。ポンプは、通常、アタッチメントへ延びる第1主配管又は第2主配管に接続される。フック用シリンダは、手動又は電動の第1開閉バルブ及び第2開閉バルブを介して第1主配管及び第2主配管から分岐された第1分岐配管及び第2分岐配管が接続され、第1開閉バルブ及び第2開閉バルブの切り替えにより、第1分岐配管及び第2分岐配管と第1主配管及び第2主配管を通じてポンプと接続及び分離されることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-091091号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1が開示するアタッチメント着脱装置1は、固定フック及び可動フックそれぞれがアタッチメントの第1ピン及び第2ピンに係合した段階で、第1開閉バルブ及び第2開閉バルブを切り替えてフック用シリンダが第1主配管及び第2主配管から遮断され、フック用シリンダに供給された油を移動させないようにして、固定フック及び可動フックによるアタッチメントの第1ピン及び第2ピンの係合状態を保持する。しかし、可動フックに外部から負荷が加えられて移動することを積極的に防止することはなく、アタッチメントの第1ピン及び第2ピンの係合状態が緩められる恐れがあった。そこで、アタッチメントの第1ピン及び第2ピンの係合状態を維持するため、アタッチメント着脱装置の油圧回路について検討した。
【課題を解決するための手段】
【0006】
検討の結果開発したものが、建設機械のアームとアタッチメントとに介在するアタッチメント着脱装置の油圧回路において、アタッチメントへ延びる第1主配管及び第2主配管は、手動又は自動で開閉する第1開閉バルブ及び第2開閉バルをそれぞれ介在させ、第1開閉バルブ及び第2開閉バルブの上流側から第1分岐配管及び第2分岐配管を、開閉バルブの下流側から第1迂回配管及び第2迂回配管をそれぞれ延ばし、第1分岐配管及び第2分岐配管は、アタッチメントの第1ピン及び第2ピンを係合させる一対の掛合フックの一方又は双方を移動させるフック用シリンダの第1区画及び第2区画にそれぞれ接続し、第1迂回配管及び第2迂回配管は、油の流れを互い違いに制限する第1チェックバルブ及び第2チェックバルブを介在させてフック用シリンダの第1区画及び第2区画にそれぞれ接続して構成され、第1チェックバルブは、フック用シリンダがロッドを伸ばす又は縮めて一対の掛合フックがアタッチメントの第1ピン及び第2ピンに掛合するように、第1主配管からフック用シリンダの第1区画への油の流れを許し、第2チェックバルブは、フック用シリンダがロッドを伸ばす又は縮めて一対の掛合フックがアタッチメントの第1ピン及び第2ピンから外れないように、第2主配管からフック用シリンダの第2区画への油の流れを遮断することを特徴とするアタッチメント着脱装置の油圧回路である。
【0007】
一対の係合フックは、アームやロッド又はリンクが接続されるアーム接続部に位置固定され、アタッチメントの第1ピンを掛合させる固定フックと、固定フックに当接するまで接近離反自在にアーム接続部に支持され、アタッチメントの第2ピンを掛合させる可動フックの組み合わせを基本とするが、両方とも可動フックであってもよい。フック用シリンダは、一対の掛合フックの一方又は双方を移動させ、掛合フックを遠ざける又は近づけてそれぞれにアタッチメントの第1ピン及び第2ピンを係合させる。また、アタッチメントの第1ピンを先行して掛合させる掛合フックは、掛合フックと共にアタッチメントの第1ピンを保持する開閉レバーやキーブロックを内周縁から進退自在に設けてもよい。
【0008】
第1チェックバルブは、第1主配管を通じてアタッチメントへ油を流し込むと、第1迂回配管を通じてフック用シリンダの第1区画へも油を流し込めるようにし、一対の掛合フックがアタッチメントの第1ピン及び第2ピンに掛合するようにフック用シリンダのロッドを伸ばす又は縮ませる。このとき、一対の掛合フックがアタッチメントの第1ピン及び第2ピンに掛合していれば、実質的にロッドは動かず、第2迂回配管を通じて第2主配管へ油が流れることはない。
【0009】
第2チェックバルブは、第2主配管を通じてアタッチメントへ油を流し込むと、第2迂回配管を遮断してフック用シリンダの第2区画へ油が流れ込まないようにし、フック用シリンダがロッドを伸ばす又は縮めて一対の掛合フックがアタッチメントの第1ピン又は第2ピンを解放しないようにフック用シリンダのロッドを動かさない。ロッドが動かないので、第1迂回配管に油が流れ出る恐れはなく、そもそも第1チェックバルブが逆向きの油の流れを遮断するので、第1主配管へ油が流れることはない。
【発明の効果】
【0010】
本発明のアタッチメント着脱装置は、フック用シリンダを伸ばす又は縮めて一対の掛合フックがアタッチメントの第1ピン及び第2ピンに掛合させ、第1開閉バルブ及び第2開閉バルブを切り替えてアタッチメントを駆動させる状態で、第1迂回配管を通じてフック用シリンダの第1区画へ油が流し込まれ、また第2迂回管路を通じてフック用シリンダの第2区画へ油が流し込まれることが防止されることにより、係合フックの緩みが抑制され、不用意なアタッチメントの落下が防止される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明を適用したアタッチメント着脱装置の一例を上方から見た斜視図である。
図2】本例のアタッチメント着脱装置を下方から見た斜視図である。
図3】本例のアタッチメント着脱装置の平面図(油圧回路の図示略)である。
図4】本例のアタッチメントの側面図である。
図5図4中B-B断面図である。
図6図3中A-A断面図である。
図7】本例のアタッチメント着脱装置が構成する油圧回路のブロック図である。
図8】フック用シリンダのロッドを縮める手順における油圧回路の油の流れを表すブロック図である。
図9】フック用シリンダのロッドを縮める手順における図5相当断面図である。
図10】フック用シリンダのロッドを縮める手順における図6相当断面図である。
図11】キーブロックを後退させてアタッチメントの第1ピンを固定フックに係合させる手順における図5相当断面図である。
図12】キーブロックを後退させてアタッチメントの第1ピンを固定フックに係合させる手順における図6相当断面図である。
図13】フック用シリンダのロッドを伸ばす手順における油圧回路の油の流れを表すブロック図である。
図14】フック用シリンダのロッドを伸ばす手順における図5相当断面図である。
図15】フック用シリンダのロッドを伸ばす手順における図6相当断面図である。
図16】アタッチメントの第2ピンに可動フックを係合させる手順における図5相当断面図である。
図17】アタッチメントの第2ピンに可動フックを係合させる手順における図6相当断面図である。
図18】第1主配管を通じてアタッチメントへ油を送る作業時における油圧回路の油の流れを表すブロック図である。
図19】第2主配管を通じてアタッチメントへ油を送る作業時における油圧回路の油の流れを表すブロック図である。
図20】アタッチメントの第1ピンを保持した状態で、フック用シリンダのロッドを縮める手順における図6相当断面図である。
図21】キーブロックを後退させてアタッチメントの第1ピンを固定フックから解放させる手順における図6相当断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための形態について図を参照しながら説明する。本発明が適用されるアタッチメント着脱装置1は、例えば図1図4に見られるように、従来(特許文献1参照)同様の外観を備える。本例のアタッチメント着脱装置1は、アームやロッド又はリンクが接続されるアーム接続部11に位置固定され、アタッチメント2の第1ピン21(後掲図12ほか参照)を掛合させる固定フック12と、固定フック12に向けて接近離反自在にアーム接続部11に支持され、アタッチメント2の第2ピン22を掛合させる可動フック13と、可動フック13を固定フック12に接近離反させる接近離反手段とを備えて構成される。
【0013】
アーム接続部11は、左右一対の側板に補強部材を架設し、上下に開放された箱体として構成される。アームやロッド又はリンクは、側板の上部に架設された2本の接続ピン19に接続される。固定フック12は、アーム接続部11の側板の下部分に設けられた鍵部で、アタッチメント2の第1ピン21に倣った側面視円弧状の内周縁を有する。左右の固定フック12は、鍵部を避けたブロックの内面に補強部材が架設されている。固定フック12は、内周縁を可動フック13と反対側に開いた向きで固定されている。固定フック12間は下方に開放されており、ロッド142に固着された側面視L字状であるキーブロック18の水平端部181が固定フック12の内周縁から突出可能になっている。
【0014】
可動フック13は、左右一対の板材に設けられた鍵部で、アタッチメント2の第2ピン22に倣った側面視円弧状の内周縁を有する。可動フック13を設けた板材は、チューブ用移動ブロック143を挟んで一体化され、アーム接続部11の側板に挟まれた状態で、前記側板の内面に設けられたガイド(図示略)に沿って摺動し、固定フック12に対して接近離反するようにアーム接続部11に支持されている。可動フック13は、内周縁を固定フック12と反対側に開いた向きとしている。チューブ用移動ブロック143は、フック用シリンダ14のチューブ141を貫通状態で一体化しており、チューブ141の移動と共に可動フック13を移動可能にしている。
【0015】
接近離反手段は、図5及び図6に見られるように、固定フック12に対して可動フック13と一体に接近離反自在なチューブ141から固定フック12に向けてロッド142を伸縮させるフック用シリンダ14と、チューブ用移動ブロック143を押すことによりフック用シリンダ14のチューブを固定フック12から遠ざける向きに付勢するチューブ用弾性体であるチューブ用圧縮コイルバネ16と、ロッド用移動ブロック145を押すことによりフック用シリンダ14のロッド142と一体としたキーブロック18をロッド用ストッパ111に掛合させる向きに付勢するロッド用弾性体であるロッド用圧縮コイルバネ17とから構成される。
【0016】
ロッド142が伸びる方向にあるアーム接続部11の開口は、アーム接続部11に架設されたロッド用カバー15により隠される。ロッド142は、伸ばしても先端がロッド用カバー15に衝突することはない。本例のアタッチメント着脱装置1は、フック用シリンダ14のロッド142がロッド用ストッパ111を貫通状態でロッド用ストッパ111に保持されると共に、ロッド142と一体となったキーブロック18をロッド142の一部としてロッド用ストッパ111に掛合させて、ロッド142が伸びることを制限する。
【0017】
チューブ用圧縮コイルバネ16は、フック用シリンダ14のロッド142の伸縮方向と平行に、フック用シリンダ14を挟んだ位置関係で2本平行に配置される。左右のチューブ用圧縮コイルバネ16は、チューブ141を保持するチューブ用移動ブロック143のチューブ側受け面144と、ボルトに掛合されてロッド142の先端に取り付けられた平板のロッド用移動ブロック145のロッド側受け面146との間にそれぞれ介在させ、圧縮された際に発生する弾性力(反発力)によりチューブ用移動ブロック143を押し、チューブ用移動ブロック143と一体となった可動フック13を固定フック12から遠ざけようとする。
【0018】
ロッド用圧縮コイルバネ17は、カラーを挟んでロッド142に外嵌され、ロッド用移動ブロック145のロッド側受け面146と、アタッチメント接続部11位置固定され、ロッド142を進退自在に保持するロッド用ストッパ111の接続部側受け面112との間に介在させ、圧縮された際に発生する弾性力(反発力)によりロッド用移動ブロック145を押し、ロッド用移動ブロック145と一体となったロッド142を伸ばしてキーブロック18をロッド用ストッパ111に掛合させようとする。
【0019】
本例のアタッチメント着脱装置1は、アーム接続部11を構成する側板を挟んで、固定フック12及び可動フック13より上方に、フック用シリンダ14を作動させる油圧回路3を構成している(図6中、図示の便宜上、油圧回路3の図示を省略している)。アタッチメント2に接続される第1主配管41及び第2主配管42の一部と、第1主配管41及び第2主配管42に介在させる第1開閉バルブ31及び第2開閉バルブ32とは、アーム接続部11を構成する側板の外面に固定している。本例の第1開閉バルブ31及び第2開閉バルブ32は、手動操作により開閉状態を切り替える。
【0020】
油圧回路3の一部を構成する第1主配管41及び第2主配管42は、本来アタッチメント2に直接接続されるアーム側ホースと、油圧回路3とアタッチメント2とを結ぶアタッチメント側ホースとの間に介在する中間配管である。本例の第1主配管41及び第2主配管42は、固定フック12側から可動フック13側に向けて傾斜した短パイプであり、アーム側ホース(図示略)を接続するアーム接続口311,321を上端側に、アタッチメント側ホース(図示略)を接続するアタッチメント側接続口312,322を下端側にそれぞれ設けている。
【0021】
油圧回路3の第1分岐配管33又は第2分岐配管34は、図7に見られるように、アーム側接続口311,321から分岐する(図1中第2分岐配管34を図示)。第1分岐配管33は、3位置切替バルブ37を経てフック用シリンダ14のチューブ141の第1区画(ボトム側区画)147に接続され、第2分岐配管34は、3位置切替バルブ37を経てチューブ141の第2区画(ヘッド側区画)148に接続される。本例の3位置切替バルブ37は、油を流す平行区画及び交差区画と油を遮断する遮断区画とを手動で切り替える。第1分岐配管33又は第2分岐配管34は、流量調整部(絞りバルブ及びチェックバルブ)が3位置切替バルブ37より下流(フック用シリンダ14寄り)に配置され、第2分岐配管34は、逆流防止用チェックバルブ38が3位置切替バルブ37より上流に配置される。
【0022】
油圧回路3の第1迂回配管35又は第2迂回配管36は、図7に見られるように、アタッチメント側接続口312,322から分岐する(図1中第2迂回配管36を図示)。第1迂回配管35又は第2迂回配管36は、第1分岐配管33又は第2分岐配管34それぞれの流量調整部より下流に接続され、第1分岐配管33又は第2分岐配管34を介して、フック用シリンダ14のチューブ141における第1区画(ボトム側区画)147及び第2区画(ヘッド側区画)148に接続される。
【0023】
第1分岐配管33に介在させる第1チェックバルブ351は、第1主配管41からフック用シリンダ14の第1区画147へ油が流れる向きで開き、フック用シリンダ14の第1区画147から流れ出ようとする油を遮断する。第2分岐配管34に介在させる第2チェックバルブ361は、フック用シリンダ14の第2区画148から第2主配管42へ油が流れ出る向きで開き、第2主配管42からフック用シリンダ14の第2区画148へ流れ込もうとする油を遮断する。
【0024】
本例のアタッチメント着脱装置1におけるアタッチメント2の着脱手順を説明する。アタッチメント着脱装置1は、フック用シリンダ14のロッド142を最大限縮めていない限り、キーブロック18の水平端部181が固定フック12の内周縁から突出させた状態(図4及び図6参照)にあり、固定フック12にアタッチメント2の第1ピン21が嵌らない。そこで、図8に見られるように、第1開閉バルブ31及び第2開閉バルブ32を閉じ、3位置切替バルブ37を交差区画に切り替えて油を流し、フック用シリンダ14のロッド142を縮めていく。
【0025】
フック用シリンダ14のロッド142を縮める手順における油圧回路3は、第1主配管41に接続されたポンプから第1分岐配管33の上流側(3位置切替バルブ37から第1主配管41まで)、3位置切替バルブ37の交差区画、第2分岐配管34の下流側(3位置切替バルブ37から第2区画148まで)を経て油をフック用シリンダ14の第2区画148に送り込み、フック用シリンダ14の第1区画147から出された油を第1分岐配管33の下流側(3位置切替バルブ37から第1区画147まで)、3位置切替バルブ37の交差区画、第2分岐配管34の上流側(3位置切替バルブ37から第2主配管42まで)を経てタンクへ戻す。
【0026】
フック用シリンダ14は、図9及び図10に見られるように、ロッド用圧縮コイルバネ17にロッド用移動ブロック145が押された状態からロッド142を縮め始める。ロッド142は、通常、チューブ141に収納される態様で縮まるところ、ロッド142を縮めるにはシリンダ推力(シリンダ縮み力)がチューブ用圧縮コイルバネ16及びロッド用圧縮コイルバネ17の弾性力(反発力)の合計に勝らなければならないのに対し、チューブ141が動くにはシリンダ推力(シリンダ縮み力)がチューブ用圧縮コイルバネ16の弾性力(反発力)に勝ればよいので、チューブ用移動ブロック143が押すことによりチューブ用圧縮コイルバネ16を圧縮させながら相対的に位置固定されたロッド142を収納しながらチューブ141が移動し(図9中白抜き矢印参照)、チューブ141と一体な可動フック13が固定フック12に接近していく(図10中白抜き矢印参照)。
【0027】
チューブ用圧縮コイルバネ16は、チューブ141にロッド142を収納させるのではなく、圧縮が限界に達するまでチューブ141を移動させ、チューブ141と一体となった可動フック13を移動させる。しかし、チューブ用圧縮コイルバネ16の圧縮が限界に達すると、フック用シリンダ14は、チューブ用圧縮コイルバネ16が圧縮できなくなって停止したチューブ141に代えて、図11及び図12に見られるように、今度はロッド用移動ブロック145がロッド用圧縮コイルバネ17を圧縮させながら、チューブ141に収納させるようにロッド142を縮める。こうして、ロッド142に取り付けられてロッド142と一体となったキーブロック18が、縮むロッド142と共に移動し、水平端部181を固定フック12の内周縁から待避させられ(図12中黒太矢印参照)、固定フック12にアタッチメント2の第1ピン21を掛合させることができる。
【0028】
次に、アタッチメント2の第2ピン22を可動フック13に掛合させるため、図13に見られるように、第1開閉バルブ31及び第2開閉バルブ32を閉じ、3位置切替バルブ37を平行区画に切り替えて油を流し、フック用シリンダ14のロッド142を伸ばしていく。このとき、固定フック12の内周縁から水平端部181を待避させていたキーブロック18は、ロッド142を伸ばすことによる可動フック13の移動に先行して水平端部181を固定フック12の内周縁から再び突出させ、アタッチメント2の第1ピン21を固定フック12及びキーブロック18で保持する。
【0029】
フック用シリンダ14のロッド142を伸ばす手順における油圧回路3は、第1主配管41に接続されたポンプから第1分岐配管33の上流側(3位置切替バルブ37から第1主配管41まで)、3位置切替バルブ37の平行区画、第1分岐配管33の下流側(3位置切替バルブ37から第1区画147まで)を経て油をフック用シリンダ14の第1区画147に送り込み、フック用シリンダ14の第1区画148から出された油を第2分岐配管34の下流側(3位置切替バルブ37から第2区画148まで)、3位置切替バルブ37の平行区画、第2分岐配管34の上流側(3位置切替バルブ37から第2主配管42まで)を経てタンクへ戻す。
【0030】
フック用シリンダ14は、図14及び図15に見られるように、ロッド142を伸ばし始めると、ロッド142を伸ばすにはシリンダ推力(シリンダ伸び力)とチューブ用圧縮コイルバネ16及びロッド用圧縮コイルバネ17の弾性力(反発力)との合計が働くのに対し、チューブ141が動くにはシリンダ推力(シリンダ伸び力)とチューブ用圧縮コイルバネ16の弾性力(反発力)との合計しか働かないので、チューブ141を動かさずにロッド用圧縮コイルバネ17を伸長させてロッド用移動ブロック145を押しながらロッド142を伸ばす。これにより、可動フック13が移動する前に、ロッド142に取り付けられたキーブロック18が水平端部181を固定フック12の内周縁から突出させ(図15中黒太矢印参照)、固定フック12とキーブロック18(本例の場合、水平端部181)とによりアタッチメント2の第1ピン21を保持させる。
【0031】
ロッド142は、キーブロック18がロッド用ストッパ111に掛合すると移動できなくなり、ロッド用圧縮コイルバネ17を伸長できなくなる。このため、更にロッド142を伸ばそうとすると、図16及び図17に見られるように、今度はチューブ用圧縮コイルバネ16を伸長させてチューブ用移動ブロック143を押しながらシリンダ141を移動させ(図16及び図17中白抜き矢印参照)、チューブ141と一体な可動フック13を固定フック12から離反させる。こうして、可動フック13の進行方向にアタッチメント2の第2ピン22を位置させれば、可動フック13がアタッチメント2の第2ピン22に掛合し、アタッチメント2の装着が完了する。
【0032】
固定フック12及び可動フック13は、それぞれの内周縁が開いた方向が反対で、フック用シリンダ14のロッド142を伸ばすと固定フック12から可動フック13が離反して、アタッチメント2の第1ピン21及び第2ピン22それぞれに内側から強固に掛合する。アタッチメント2は、第1ピン21が固定フック12とキーブロック18とに挟まれて保持されているため、仮に第2ピン22が可動フック13から外れても、直ちに落下しない。しかし、可動フック13が動くと、アタッチメント2がガタついて、第1ピン21が固定フック12とキーブロック18と保持から離脱する恐れが出てくる。
【0033】
本例のアタッチメント着脱装置1は、第1チェックバルブ351を備えた第1迂回配管35と、第2チェックバルブ361を備えた第2迂回配管36とを有する油圧回路3により、アタッチメント2使用時に可動フック13が不用意に動かないようにしている。アタッチメント2の装着を終えたアタッチメント着脱装置1は、第1開閉バルブ31及び第2開閉バルブ32を開き、3位置切替バルブ37を遮断区画に切り替えて、図18又は図19に見られるように、第1主配管31又は第2主配管32を通じてアタッチメント2の油圧シリンダや油圧モータに向けて油を流し込む。
【0034】
第1分岐配管33及び第2分岐配管34は、3位置切替バルブ37が遮断区画に切り替えられているため、油をフック用シリンダ14に流し込むことはない。第2分岐配管34は、逆流防止用チェックバルブ38が介在しているため、そもそも油をフック用シリンダ2に流し込むことがない。フック用シリンダ14は、アタッチメント2の使用時において、第1主配管41を通じてアタッチメント2へ油を送り込むときのみ、第1迂回配管35に流れ込む油による油圧がチューブ141の第1区画147に加えられ、ロッド142を縮めることがない。
【0035】
第1主配管41を通じてアタッチメント2へ油を送る作業時における油圧回路3は、図18に見られるように、第1主配管41を通じてポンプからアタッチメント2へ油を送り、第2主配管42を通じてアタッチメント2から排出される油をタンクへ戻す。このとき、第1迂回配管35を通じてフック用シリンダ14の第1区画147に油が流れ込もうとするが、可動フック13がアタッチメント2の第2ピン22に掛合しており、第1区画147に油が流れ込まず、ロッド142を伸ばせない。このように、フック用シリンダ14は、第1主配管41を通じてアタッチメント2に油を流し込む限り、ロッド142を伸ばす方向に第1区画147に油圧を受け続ける。こうして、本例のアタッチメント着脱装置1は、第2ピン22が可動フック13から外れる虞をなくしている。
【0036】
第2主配管42を通じてアタッチメント2へ油を送る作業時における油圧回路3は、図19に見られるように、第2主配管42を通じてポンプからアタッチメント2へ油を送り、第1主配管41を通じてアタッチメント2から排出される油をタンクへ戻す。このとき、第2迂回配管36を通じてフック用シリンダ14の第2区画148に油が流れ込もうとするが、第2チェックバルブ361が第2迂回配管36を遮断することにより第2区画148に油が流れ込まず、ロッド142を縮めない。このように、フック用シリンダ14は、第2主配管42を通じてアタッチメント2に油を流し込む限り、ロッド142を縮めことがない。こうして、本例のアタッチメント着脱装置1は、第2ピン22が可動フック13から外れる虞をなくしている。
【0037】
アタッチメント着脱装置1からアタッチメント2を取り外すには、第1開閉バルブ31及び第2開閉バルブ32を閉じ、3位置切替バルブ37を交差区画に切り替えて油を流し、フック用シリンダ14のロッド142を縮めていく(図8図10参照)。これにより、図20に見られるように、チューブ用移動ブロック143が押すことによりチューブ用圧縮コイルバネ16を縮めながらシリンダ141が移動し、まずアタッチメント2の第2ピン22が可動フック13から解放される。ここで、既述したように、アタッチメント着脱装置1は、ロッド142を最大限縮めていない限り、キーブロック18の水平端部181が固定フック12の内周縁から突出させている(図4及び図6参照)。このため、第2ピン22が可動フック13から解放されたアタッチメント2は、なお第1ピン21が固定フック12及びキーブロック18に保持され、脱落しない。
【0038】
フック用シリンダ14は、チューブ141を移動させて可動フック13を固定フック12に接近させるが、チューブ用圧縮コイルバ16がこれ以上圧縮できなくなると、今度はロッド用移動ブロック145が押すことによりロッド用圧縮コイルバネ17を圧縮させてロッド142を縮める(図11及び図12参照)。そして、図21に見られるように、ロッド142に取り付けられたキーブロック18が移動して水平端部181を固定フック12の内周縁から待避させ(図21中黒太矢印参照)、固定フック12からアタッチメント2の第1ピン21も解放させる。このように、本例のアタッチメント着脱装置1は、アタッチメント2を取り外す際、第2ピンを可動フック13から解放した後も、第1ピン21が固定フック12から不用意に脱落しないようにキーブロック18と共に保持することで、高い安全性を実現している。
【符号の説明】
【0039】
1 アタッチメント着脱装置
11 アーム接続部
111 ロッド用ストッパ
112 接続部側受け面
12 固定フック
13 可動フック
14 フック用シリンダ
141 チューブ
142 ロッド
143 チューブ用移動ブロック
144 チューブ側受け面
145 ロッド用移動ブロック
146 ロッド側受け面
147 第1区画
148 第2区画
15 ロッド用カバー
16 チューブ用圧縮コイルバネ
17 ロッド用圧縮コイルバネ
18 キーブロック
181 水平端部
19 接続ピン
2 アタッチメント
21 第1ピン
22 第2ピン
3 油圧回路
31 第1開閉バルブ
311 アーム側接続口
312 アタッチメント側接続口
32 第2開閉バルブ
321 アーム側接続口
322 アタッチメント側接続口
33 第1分岐配管
34 第2分岐配管
35 第1迂回配管
351 第1チェックバルブ
36 第2迂回配管
361 第2チェックバルブ
37 3位置切替バルブ
38 逆流防止用チェックバルブ
41 第1主配管
42 第2主配管

図1
図2
図3
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図5
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