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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-12
(45)【発行日】2024-03-21
(54)【発明の名称】デルタビジョンセンサ
(51)【国際特許分類】
   H04N 25/772 20230101AFI20240313BHJP
   H04N 25/76 20230101ALI20240313BHJP
   H04N 25/40 20230101ALI20240313BHJP
【FI】
H04N25/772
H04N25/76
H04N25/40
【請求項の数】 27
(21)【出願番号】P 2021563385
(86)(22)【出願日】2020-04-23
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-29
(86)【国際出願番号】 EP2020061391
(87)【国際公開番号】W WO2020216867
(87)【国際公開日】2020-10-29
【審査請求日】2021-12-21
(31)【優先権主張番号】19171222.3
(32)【優先日】2019-04-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】521465061
【氏名又は名称】ベイジン・ルイスーヂーシン・テクノロジー・カンパニー・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】BEIJING RUISIZHIXIN TECHNOLOGY CO., LTD.
(73)【特許権者】
【識別番号】521465072
【氏名又は名称】アルプセンテク・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ALPSENTEK GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チェン,リーミン
【審査官】三沢 岳志
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2012/175842(WO,A1)
【文献】欧州特許出願公開第03313064(EP,A1)
【文献】特表2009-508085(JP,A)
【文献】特開平08-122149(JP,A)
【文献】特表2010-510732(JP,A)
【文献】特表2015-501936(JP,A)
【文献】特表2016-533140(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0291019(US,A1)
【文献】国際公開第2015/036592(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/009944(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0033613(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 25/772
H04N 25/76
H04N 25/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ピクセルの配置を含む画像センサであって、前記ピクセルはそれぞれ取得回路を含み、前記取得回路は、
前記ピクセルの光センサを照らす光信号に応じてセンサ信号を生成するように構成されたセンサ回路と、
記憶期間中に前記センサ信号に比例する記憶信号を記憶するように構成された記憶回路と、
前記記憶期間後に、前記センサ信号および前記記憶信号に応じて比較器信号を生成するように構成された比較器回路と、を含み、
前記記憶回路は、少なくとも1つの増幅器を含み、前記比較器回路は、同じ少なくとも1つの増幅器を含み、
前記センサ信号は、前記少なくとも1つの増幅器の入力に接続され、前記少なくとも1つの増幅器の他の入力は、コンデンサを介してアース、基板、または他の共通電位に接続され、
前記少なくとも1つの増幅器と前記コンデンサとは、前記記憶期間中に前記記憶回路に属し、前記記憶期間後に前記比較器回路に属する、画像センサ。
【請求項2】
前記記憶信号は、コンデンサを介してアース、基板、または他の共通電位に接続される、請求項1に記載の画像センサ。
【請求項3】
前記少なくとも1つの増幅器の出力または高利得増幅段の出力は、前記記憶期間中に前記記憶信号を提供する、請求項1または請求項2に記載の画像センサ。
【請求項4】
前記記憶回路は、第1の増幅器および第2の増幅器を含み、前記第1の増幅器は、前記センサ信号および前記記憶信号に接続され、前記第2の増幅器は、前記第1の増幅器の出力、および前記記憶期間中に所定の信号レベルを有するヒステリシス信号に接続され、スイッチは、前記記憶期間中に前記第2の増幅器の出力を前記記憶信号に接続し、前記スイッチは、前記記憶期間後に前記第2の増幅器の前記出力を前記記憶信号から切り離す、請求項1から3のいずれか1項に記載の画像センサ。
【請求項5】
前記比較器信号は、前記記憶期間後に、第1の期間中の第1のオフセット信号と、第2の期間中の第2のオフセット信号にさらに依存して生成される、請求項1から4のいずれか1項に記載の画像センサ。
【請求項6】
前記比較器回路は、第1の増幅器および第2の増幅器を含み、前記第1の増幅器は、前記センサ信号および前記記憶信号に接続され、前記第2の増幅器は、前記第1の増幅器の出力、および前記記憶期間後に第1の期間中の所定の第1のオフセット信号と第2の期間中の所定の第2のオフセット信号とを有するヒステリシス信号に接続され、前記第2の増幅器の出力は、前記比較器信号に接続される、請求項1から5のいずれか1項に記載の画像センサ。
【請求項7】
前記少なくとも1つの増幅器は高利得増幅段である、請求項1から6のいずれか1項に記載の画像センサ。
【請求項8】
前記記憶回路は、第1の増幅器および第2の増幅器を含み、前記比較器回路は、同じ第1の増幅器および同じ第2の増幅器を含む、請求項1から7のいずれか1項に記載の画像センサ。
【請求項9】
前記取得回路は、第1の期間中に前記比較器信号に接続可能な第1の1ビット記憶ブロックと、第2の期間中に前記比較器信号に接続可能な第2の1ビット記憶ブロックとをさらに含む、請求項1から8のいずれか1項に記載の画像センサ。
【請求項10】
前記取得回路は、第1の信号線および第2の信号線をさらに含み、前記第1の信号線および前記第2の信号線は、それぞれ前記第1および第2の1ビット記憶ブロックに関連付けられ、前記それぞれの1ビット記憶ブロックに記憶されているビットに応じて、および行線の状態に応じて、ソース電圧に接続されるか、浮遊状態になっている、請求項9に記載の画像センサ。
【請求項11】
前記取得回路は、前記記憶信号をリフレッシュするための信号線をさらに含む、請求項1から10のいずれか1項に記載の画像センサ。
【請求項12】
前記取得回路は、前記比較器信号の処理に応じて前記記憶信号をリフレッシュするための論理ゲートをさらに含む、請求項1から11のいずれか1項に記載の画像センサ。
【請求項13】
前記取得回路は、前記センサ信号に関連するダイオード信号を読み出すための読み出し回路をさらに含む、請求項1から12のいずれか1項に記載の画像センサ。
【請求項14】
前記画像センサは金属酸化物半導体である、請求項1から13のいずれか1項に記載の画像センサ。
【請求項15】
前記コンデンサは、高密度コンデンサである、請求項1から14のいずれか1項に記載の画像センサ。
【請求項16】
前記コンデンサは、MOSコンデンサまたはポリ-ポリコンデンサである、請求項15に記載の画像センサ。
【請求項17】
前記コンデンサは、アース、基板、または他の共通電位に短絡された底板を有する、請求項15または請求項16に記載の画像センサ。
【請求項18】
ピクセルの配置を含む画像センサを動作させる方法であって、前記ピクセルは、それぞれ、請求項1から17のいずれか1項に記載の画像センサを動作させる取得回路を含み、前記方法は、
センサ回路を使用して、前記ピクセルの光センサを照らす光信号に応じてセンサ信号を生成するステップと、
記憶期間中に前記センサ信号に比例する記憶信号を記憶回路に記憶するステップと、
リフレッシュ期間後に、比較器回路を使用して、前記センサ信号および前記記憶信号に応じて比較器信号を生成するステップと、を含み、
前記記憶回路は、少なくとも1つの増幅器を含み、前記比較器回路は、同じ少なくとも1つの増幅器を含み、
前記センサ信号は、少なくとも1つの増幅器の入力に接続され、前記少なくとも1つの増幅器の他の入力は、コンデンサを介して、アース、基板、または他の共通電位に接続され、
前記少なくとも1つの増幅器と前記コンデンサとは、前記記憶期間中に前記記憶回路に属し、前記記憶期間後に前記比較器回路に属する、方法。
【請求項19】
前記記憶するステップは、前記記憶期間中に前記少なくとも1つの増幅器の出力において前記記憶信号を提供するステップを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記記憶回路は、第1の増幅器および第2の増幅器を含み、前記第1の増幅器は、前記センサ信号および前記記憶信号に接続され、
前記方法は、前記記憶期間中に所定の信号レベルを有するヒステリシス信号を提供するステップと、前記第2の増幅器を前記第1の増幅器の出力および前記ヒステリシス信号に接続するステップと、
前記記憶期間中に前記第2の増幅器の出力をスイッチを介して前記記憶信号に接続するステップと、
前記記憶期間後に前記スイッチを制御して前記第2の増幅器の前記出力を前記記憶信号から切断するステップと、をさらに含む、請求項18または請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記方法は、前記記憶期間後に、第1の期間中の第1のオフセット信号にさらに依存し、第2の期間中の第2のオフセット信号にさらに依存して、前記比較器信号を生成するステップをさらに含む、請求項18から20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
前記比較器回路は、第1の増幅器および第2の増幅器を含み、
前記方法は、前記第1の増幅器を前記センサ信号および前記記憶信号に接続するステップと、
前記記憶期間後に、第1の期間中の所定の第1のオフセット信号および第2の期間中の所定の第2のオフセット信号を有するヒステリシス信号を提供するステップと、前記第2の増幅器を前記第1の増幅器の出力および前記ヒステリシス信号に接続するステップと、
前記第2の増幅器の出力を前記比較器信号に接続するステップと、をさらに含む、請求項18から21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
前記取得回路の第1の1ビット記憶ブロックを第1の期間中に前記比較器信号に接続するステップと、前記取得回路の第2の1ビット記憶ブロックを第2の期間中に前記比較器信号に接続するステップと、をさらに含む、請求項18から22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
前記取得回路の第1の信号線および前記取得回路の第2の信号線をそれぞれ前記第1および第2の1ビット記憶ブロックに関連付けるステップと、前記それぞれの1ビット記憶ブロックに記憶されたビットに応じて、および行線の状態に応じて、前記第1および第2の信号線をソース電圧に接続するか浮遊状態にするステップと、をさらに含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記取得回路の信号線で前記記憶信号をリフレッシュするステップをさらに含む、請求項18から24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
論理ゲートを介した前記比較器信号の処理に応じて、前記記憶信号をリフレッシュするステップをさらに含む、請求項18から25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
前記取得回路は、読み出し回路をさらに含み、
前記方法は、前記読み出し回路を介して前記センサ信号に関連するダイオード信号を読み出すステップをさらに含む、請求項18から26のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本発明は、画像センサおよび画像センサを操作する方法に関する。特に、本発明は、デルタビジョンセンサおよびそれぞれの方法に関する。
【背景技術】
【0002】
背景技術
従来のビデオカメラでは、感光性要素のアレイ(すなわち、ピクセルのアレイ)は、所与のフレームレートでの画像のキャプチャを可能にする。新しいビデオ規格は、8メガピクセル、33メガピクセルなど、および120フレーム/秒(fps)、240fps、300fpsなどのフレームレートをサポートしているため、比較的高いデータレートのビデオストリームを生成する。多くのシーンでは、たとえばテニスの試合のビデオストリームをキャプチャする場合、連続するフレーム間の差は比較的小さいだけである可能性があり、たとえば、差は、移動するラケットまたは飛んでいるテニスボールの変位にのみ関連する可能性がある一方で、テニスコートなどのシーンの残りは、基本的に変わらないままである場合がある。したがって、シーンの一部が変更されないままであるため、ビデオストリームは非常に冗長なデータを含む可能性がある。ビデオストリームの処理には、たとえばテニスコートに対する飛んでいるテニスボールの軌道を決定するために、非常に強力なビデオ処理デバイスが必要になる場合がある。
【0003】
デルタビジョンセンサは、ピクセルレベルの変化が発生したときにのみそのピクセルレベルの変化を送信するため、低帯域幅の低遅延イベントストリームを提供する。従来のカメラに比べて、処理するデータ量が少なくなる。イベントストリームの処理は、従来のビデオストリームの場合に必要とされるよりも強力でない処理デバイスによって可能になり得る。
【0004】
米国特許第7728269号明細書は、セルのアレイを含むフォトアレイを開示している。各セルには、セルの光強度に応じてセンサ信号を生成する光センサがある。第1のコンデンサは、電流の時間微分によって充電される。閾値検出器は、第1のコンデンサの電圧が閾値を超えているかどうかを検出し、超えている場合は出力信号を生成する。放電装置は、出力信号の発生後に第1のコンデンサを放電する。セルは、入射光の強度が変化したときにのみイベントを生成するので、処理されるデータの量が減少する。
【0005】
米国特許第9961291号明細書は、ピクセル取得回路、画像センサ、および画像取得システムを開示している。ピクセル取得回路は、光検出ユニット、フィルタ増幅器ユニット、サンプルアンドホールドユニット、および起動制御ユニットを含む。光検出ユニットは、その上を照らす光信号に対応する第1の電気信号をリアルタイムで出力するように動作する。フィルタ増幅器ユニットは、その入力端子が光検出器の出力端子と結合されており、第1の電気信号の周波数閾値未満の信号成分を増幅およびフィルタリングして、第2の電気信号を出力するように動作する。閾値比較ユニットは、第2の電気信号が第1の閾値よりも大きいかおよび/または第2の閾値よりも小さいかどうかを決定し、第2の電気信号が第1の閾値よりも大きいかまたは第2の閾値よりも小さいときに起動命令信号を生成するように動作する。サンプルアンドホールドユニットの出力端子は、インターフェースバスに接続されている。起動制御ユニットは、起動指示信号の受信に応答して、サンプルアンドホールドユニットに第1の電気信号を取得してバッファリングするように指示し、送信要求をインターフェースバスに送信する。
【0006】
米国特許第20160227135号明細書は、フロントエンド回路、過渡検出回路、および露光測定回路を含むピクセル回路を開示している。フロントエンド回路は、フォトダイオードを含み、フォトダイオードの露光から得られる光受容体信号を送達するように構成されている。過渡検出回路は、光受容体信号の変化を検出するように構成されている。露光測定回路は、過渡検出回路による光受容体信号の変化の検出時に光受容体信号を測定するように構成されている。
【0007】
国際公開第2015/036592号明細書は、動的単一フォトダイオードピクセル回路を開示している。
【0008】
パトリック・リヒトシュタイナーらは、128x128 120dB 15μsレイテンシ非同期時間コントラストビジョンセンサを開示している。
【0009】
クリスチャンブランドリらは、240x180 130 dB 3μsレイテンシグローバルシャッター時空間ビジョンセンサを開示している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
発明の概要
改良された画像センサおよび画像センサを操作する方法が必要になる場合がある。特に、改良されたデルタビジョンセンサが必要になる場合がある。特に、信号経路内のオフセット残差が改善された画像センサが必要になる場合がある。特に、コンデンサの実装に関して要件が低減された、特に、たとえば、直線性、アースへの寄生効果などに関して要件が低減された画像センサが必要になる場合があり、それにより、従来技術で使用されている金属コンデンサよりも高密度のCMOSコンデンサを使用できる。特に、ドリフト率が低減された画像センサが必要になる場合がある。特に、比較器の数を減らした画像センサが必要になる場合がある。特に、改善されたピクセル密度を有する画像センサが必要になる場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
そのような必要性は、独立請求項の主題で満たされる可能性がある。有利な実施形態は、従属請求項に定義されている。
【0012】
本発明の実施形態の根底にあるアイデアは、とりわけ、以下の観察および認識に基づいていると解釈され得る。
【0013】
本発明の一態様は、ピクセルの配置を含む画像センサに関し、ピクセルはそれぞれ取得回路を含み、取得回路は、ピクセルの光センサを照らす光信号に応じてセンサ信号を生成するように構成されたセンサ回路と、記憶期間中にセンサ信号に比例する記憶信号を記憶するように構成された記憶回路と、リフレッシュ期間後に、センサ信号および記憶信号に応じて比較器信号を生成するように構成された比較器回路とを含む。
【0014】
本発明のさらなる態様は、ピクセルの配置を含む画像センサに関し、ピクセルはそれぞれ取得回路を含み、取得回路は、ピクセルの光センサを照らす光信号に応じてセンサ信号を生成するように構成されたセンサ回路と、記憶期間中にセンサ信号に比例する記憶信号を記憶するように構成された記憶回路と、リフレッシュ期間後に、センサ信号および記憶信号に応じて比較器信号を生成するように構成された比較器回路とを含む。記憶回路は少なくとも1つの増幅器を含み、比較器回路は同じ少なくとも1つの増幅器を含み、センサ信号は少なくとも1つの増幅器の入力に接続され、少なくとも1つの増幅器の他方の入力は、コンデンサを介してアース、基板、またはその他の共通電位に接続される。
【0015】
様々な実施形態は、好ましくは、以下の特徴を実装することができる。
いくつかの実施形態では、記憶期間は、リセット期間またはリフレッシュ期間である。記憶期間中にセンサ信号に比例する記憶信号を記憶し、記憶期間後にセンサ信号を記憶信号と比較することにより、デルタビジョンセンサを提供することができる。
【0016】
画像センサのいくつかの実施形態では、記憶信号は、コンデンサを介してアース、基板、または他の共通電位に接続される。コンデンサは、たとえば、直線性、アースへの寄生効果などに関して低減された要件を有し、それにより、金属コンデンサよりも高密度のCMOSコンデンサを使用できる。
【0017】
画像センサのいくつかの実施形態では、記憶回路は、少なくとも1つの増幅器または高利得増幅段を含み、少なくとも1つの増幅器または高利得増幅段の出力は、記憶期間中に記憶信号を提供する。少なくとも1つの増幅器または高利得増幅段は、特に改善された記憶信号を提供するように設計され得る。
【0018】
画像センサのいくつかの実施形態では、記憶回路は、第1の増幅器および第2の増幅器を含み、第1の増幅器は、センサ信号および記憶信号に接続され、第2の増幅器は、第1の増幅器の出力、および記憶期間中に所定の信号レベルを有するヒステリシス信号に接続され、スイッチは、記憶期間中に第2の増幅器の出力を記憶信号に接続し、スイッチは、記憶期間後に第2の増幅器の出力を記憶信号から切り離す。第1の増幅器、第2の増幅器、およびヒステリシス信号の信号レベルは、特に改善された記憶信号を提供するように設計され得る。
【0019】
画像センサのいくつかの実施形態では、比較器回路は、少なくとも1つの増幅器または高利得増幅段を含み、比較器信号は、記憶期間後に、第1の期間中の第1のオフセット信号と、第2の期間中の第2のオフセット信号にさらに依存して生成される。少なくとも1つの増幅器または高利得増幅段は、特に改善された記憶信号を提供するように設計され得る。
【0020】
画像センサのいくつかの実施形態では、比較器回路は、第1の増幅器および第2の増幅器を含み、第1の増幅器は、センサ信号および記憶信号に接続され、第2の増幅器は、第1の増幅器の出力、および記憶期間後に第1の期間中の所定の第1のオフセット信号と第2の期間中の所定の第2のオフセット信号とを有するヒステリシス信号に接続され、第2の増幅器の出力は、比較器信号に接続される。第1の増幅器、第2の増幅器、第1のオフセット信号、および第2のオフセット信号は、特に改善された記憶信号を提供するように設計され得る。
【0021】
画像センサのいくつかの実施形態では、記憶回路は、少なくとも1つの増幅器または高利得増幅段を含み、比較器回路は、同じ少なくとも1つの増幅器または高利得増幅段を含む。ピクセル密度が改善される可能性がある。
【0022】
画像センサのいくつかの実施形態では、記憶回路は、第1の増幅器および第2の増幅器を含み、比較器回路は、同じ第1の増幅器および同じ第2の増幅器を含む。ピクセル密度が改善される可能性がある。
【0023】
画像センサのいくつかの実施形態では、取得回路は、第1の期間中に比較器信号に接続可能な第1の1ビット記憶ブロックと、第2の期間中に比較器信号に接続可能な第2の1ビット記憶ブロックとをさらに含む。
【0024】
画像センサのいくつかの実施形態では、取得回路は、第1の信号線および第2の信号線をさらに含み、第1の信号線および第2の信号線は、それぞれ第1および第2の1ビット記憶ブロックに関連付けられ、それぞれの1ビット記憶ブロックに記憶されているビットに応じて、および行線の状態に応じて、ソース電圧に接続されるか、浮遊状態になっている。
【0025】
画像センサのいくつかの実施形態では、取得回路は、記憶信号をリフレッシュするための信号線をさらに含む。
【0026】
画像センサのいくつかの実施形態では、取得回路は、比較器信号の処理に応じて記憶信号をリフレッシュするための論理ゲートをさらに含む。
【0027】
画像センサのいくつかの実施形態では、取得回路は、センサ信号を読み出すための読み出し回路をさらに含む。
【0028】
画像センサのいくつかの実施形態では、画像センサは金属酸化物半導体である。
いくつかの実施形態では、コンデンサは、高密度コンデンサ、好ましくはMOSコンデンサまたはポリ-ポリコンデンサであり、より好ましくは、コンデンサは、アース、基板、または他の共通電位に短絡された底板を有する。
【0029】
本発明のさらなる態様は、ピクセルの配置を含む画像センサを動作させる方法に関し、ピクセルは、それぞれ好ましくは上記の態様による取得回路を含み、方法は、センサ回路を使用してピクセルの光センサを照らす光信号に応じてセンサ信号を生成するステップと、記憶期間中にセンサ信号に比例する記憶信号を記憶回路に記憶するステップと、リフレッシュ期間後に、比較器回路を使用して、センサ信号および記憶信号に応じて比較器信号を生成するステップと、を含む。
【0030】
本発明のさらなる態様は、ピクセルの配置を含む画像センサを動作させる方法に関し、ピクセルは、それぞれ好ましくは上記の態様に従って画像センサを動作させる取得回路を含み、方法は、センサ回路を使用して、ピクセルの光センサを照らす光信号に応じてセンサ信号を生成するステップと、記憶期間中にセンサ信号に比例する記憶信号を記憶回路に記憶するステップと、リフレッシュ期間後に、比較器回路を使用して、センサ信号および記憶信号に応じて比較器信号を生成するステップと、を含み、記憶回路は、少なくとも1つの増幅器を含み、比較器回路は、同じ少なくとも1つの増幅器を含み、センサ信号は、少なくとも1つの増幅器の入力に接続され、少なくとも1つの増幅器の他の入力は、コンデンサを介して、アース、基板、または他の共通電位に接続される。
【0031】
様々な実施形態は、好ましくは、以下の特徴を実装することができる。
方法のいくつかの実施形態では、記憶するステップは、記憶期間中に少なくとも1つの増幅器の出力において記憶信号を提供するステップを含む。
【0032】
方法のいくつかの実施形態では、記憶回路は、第1の増幅器および第2の増幅器を含み、第1の増幅器は、センサ信号および記憶信号に接続され、方法は、記憶期間中に所定の信号レベルを有するヒステリシス信号を提供するステップと、第2の増幅器を第1の増幅器の出力およびヒステリシス信号に接続するステップと、記憶期間中に第2の増幅器の出力をスイッチを介して記憶信号に接続するステップと、記憶期間後にスイッチを制御して第2の増幅器の出力を記憶信号から切り離すステップと、をさらに含む。
【0033】
方法のいくつかの実施形態では、比較器回路は、少なくとも1つの増幅器を含み、方法は、記憶期間後に、第1の期間中の第1のオフセット信号にさらに依存し、第2の期間中の第2のオフセット信号にさらに依存して、比較器信号を生成するステップをさらに含む。
【0034】
方法のいくつかの実施形態では、比較器回路は、第1の増幅器および第2の増幅器を含み、方法は、第1の増幅器をセンサ信号および記憶信号に接続するステップと、記憶期間後に、第1の期間中の所定の第1のオフセット信号および第2の期間中の所定の第2のオフセット信号を有するヒステリシス信号を提供するステップと、第2の増幅器を第1の増幅器の出力およびヒステリシス信号に接続するステップと、第2の増幅器の出力を比較器信号に接続するステップと、をさらに含む。
【0035】
方法のいくつかの実施形態では、方法は、取得回路の第1の1ビット記憶ブロックを第1の期間中に比較器信号に接続するステップと、取得回路の第2の1ビット記憶ブロックを第2の期間中に比較器信号に接続するステップと、をさらに含む。
【0036】
方法のいくつかの実施形態では、方法は、取得回路の第1の信号線および取得回路の第2の信号線をそれぞれ第1および第2の1ビット記憶ブロックに関連付けるステップと、それぞれの1ビット記憶ブロックに記憶されたビットに応じて、および行線の状態に応じて、第1および第2の信号線をソース電圧に接続するか浮遊状態にするステップと、をさらに含む。
【0037】
方法のいくつかの実施形態では、方法は、記憶信号を取得回路の信号線でリフレッシュするステップをさらに含む。
【0038】
方法のいくつかの実施形態では、方法は、論理ゲートを介した比較器信号の処理に応じて、記憶信号をリフレッシュするステップをさらに含む。
【0039】
方法のいくつかの実施形態では、取得回路は、読み出し回路をさらに含み、方法は、読み出し回路を介してセンサ信号に関連するダイオード信号を読み出すステップをさらに含む。
【0040】
図面の簡単な説明
以下では、本発明の有利な実施形態を、同封の図面を参照して説明する。しかしながら、図面も説明も本発明を限定するものとして解釈されるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1】従来技術による画像センサの単一セルの概略ブロック図である。
図2a】本発明のいくつかの実施形態による、画像センサのピクセルの取得回路の概略ブロック図である。
図2b】本発明のいくつかの実施形態による、画像センサのピクセルの取得回路の概略ブロック図である。
図2c】本発明のいくつかの実施形態による、記憶回路および比較器回路の代替構造である。
図2ca】電圧バイアスブロックの第1の実装である。
図2cb】電圧バイアスブロックの第2の実装である。
図2d】本発明のいくつかの実施形態による、記憶回路および比較器回路のさらなる代替構造である。
図3】本発明のいくつかの実施形態による、画像センサのピクセルの取得回路の信号の概略時間図である。
図4】本発明のいくつかの実施形態による、画像センサの複数のピクセルの概略ブロック図である。
図5】本発明のいくつかの実施形態による、画像センサの特定の位置に配置された4つのピクセルの概略ブロック図である。
図6】本発明のいくつかの実施形態による、画像センサのピクセルの読み出し回路の概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
図は概略にすぎない。同じ参照記号は、同じまたは類似の機能を参照し得る。
発明を実施するための形態
図1は、たとえば米国特許第9961291号明細書に開示されているような、従来技術による画像センサの単一セルの概略ブロック図である。米国特許第7728269号明細書は、同じ機能を有効にする。セルは、フォトダイオードD1、増幅器A1を含む第1の増幅器段、増幅器A2を含む第2の増幅器段、閾値VH、VLを有する閾値検出段、要求線Row_Req、Col_Reqおよび確認応答線Row_Ack、Col_Ackを有するハンドシェーク段、およびアナログバス線Col_analog_busを含む。増幅器A1を有する第1の増幅器段は、フォトダイオードD1における入射光強度に関連する電圧を提供する。フォトダイオードD1の光強度に関連する電圧は、増幅器A2を有する第2の増幅器段に供給される。増幅器A2を有する第2の増幅器段は、コンデンサCACおよびコンデンサC1を含むスイッチトキャパシタ増幅器を含む。増幅器A2を有する第2の増幅器段の出力は、閾値段に接続され、閾値VHおよびVLを備えた出力の比較に従って、オフ信号およびオン信号を提供する。オフ信号およびオン信号は論理ゲートG1に供給され、その出力は要求/確認応答線Row_Req、Col_Req、Row_Ack、Col_Ackを使用してハンドシェーク段H1に供給される。アナログバス線Col_analog_busは、トランジスタM2、M3を介してコンデンサCACの一端に接続されている。図1による回路の動作は、米国特許第9961291号明細書に詳細に記載されている。米国特許第7728269号明細書は、同じ機能を有効にする。回路の動作は、第2の増幅器段のスイッチSWの状態の変更を含む。有利なことに、比CAC/C1は、かなり高く、たとえばCAC/C1=10に設定されている。
【0043】
以下でさらに説明するように、図1によるセルにはいくつかの欠点がある。1つの欠点は、信号パスのオフセット残差に関連している。もう1つの欠点は、コンデンサCACの実装に関する要件、つまり、適切な線形性について実装が可能にする要件と、寄生効果がほとんどないという要件に関連している。さらなる欠点は、スイッチSWが開いているときのドリフト率に関連している。さらに別の欠点は、閾値段が2つの比較器を含むことである。
【0044】
本発明の以下の説明における増幅器という用語は、一般に、高利得増幅段を意味するために適用されることに留意されたい。後で示されるように、本発明は、この高利得段の実際の利得に鈍感であり、したがって、製造および動作条件(電圧供給、温度)の変動に耐性がある。
【0045】
図2aは、本発明のいくつかの実施形態による、画像センサのピクセルの取得回路1の概略ブロック図である。光検出回路11は、ピクセルの光センサで受信された光強度に依存するセンサ信号VLOGおよびダイオード信号VPDを提供する。センサ信号VLOGは、特にリフレッシュ期間中に、記憶信号VSTOREを記憶するために、記憶回路12で受信される。特にリフレッシュ期間後、センサ信号VLOGおよび記憶信号VSTOREに応じて比較器信号VCOMPを生成するために、センサ信号VLOGおよび記憶信号VSTOREが比較器回路13で受信される。比較器信号VCOMPは、インターフェースバス16と相互作用し、かつ記憶回路12、比較器回路13、およびAPS読み出し15(APS:アクティブピクセルセンサ)を制御するコントローラ回路14で受信される。APS読み出し15は、ダイオード信号VPDを受信し、特にリフレッシュ期間の後に、インターフェースバス16に出力を提供する。
【0046】
図2bは、本発明のいくつかの実施形態による、画像センサのピクセルの取得回路1の概略ブロック図である。フォトダイオードD1のアノードは、アースに接続されている。フォトダイオードD1のカソードは、トランジスタM2のソースおよびトランジスタM1のゲートに接続されている。フォトダイオードD1のカソードは、ダイオード信号VPDを提供する。トランジスタM1のソースは、アースに接続されている。トランジスタM1のドレインは、トランジスタM2のゲート、第1の増幅器A1の反転入力に、そして電流源I1を介してソース電圧VDDに接続されている。第1の増幅器A1の反転入力は、センサ信号VLOGを受信する。フォトダイオードD1を流れるダイオード電流ID1は、フォトダイオードD1の光強度に依存する。ダイオード電流ID1およびセンサ信号VLOGは、対数関係にある。APS読み出しブロック15(APS:アクティブピクセルセンサ)は、ダイオード信号VPDに接続されている。
【0047】
本開示では、それは、それぞれ、増幅器の反転入力および非反転入力と呼ばれる。しかしながら、反転入力および非反転入力は、それらが交換可能であり、本開示のいくつかの例に従ってどちらの方法でも接続され得るので、「1つの入力」および「別の入力」または「第1の入力」および「第2の入力」と呼ばれることもある。
【0048】
演算増幅器がサンプリングに関与するとすぐに、それは「アクティブ」の定義を意味する。フィードバックが反転入力または同等の反転入力に接続されている場合、それは「負帰還」の実装を意味する。
【0049】
本方法は、以下のステップを含む。
ステップ1。特定の時間に信号を感知し、C1に記憶する。
【0050】
ステップ2。入力を継続的に感知し、差を増幅して、指定された閾値と比較する。
ステップ3。状態が変化した場合は、そのイベントをメモリに記憶し、ステータスを報告(出力)する。
【0051】
図2bに示されるように、フォトダイオードD1、トランジスタM1、M2および電流源I1は、図2aの光検出回路11に属する。
【0052】
本開示の例および実施形態は、「アース」という用語を基準電位として使用して説明されている。しかしながら、本開示はまた、アースまたは基板とは異なる共通電位を使用することを包含する。したがって、「アース」、「基板」、および「(他の)共通電位」という用語は、交換可能に使用することができる。
【0053】
センサ信号VLOGは、第1の増幅器A1の反転入力に接続されている。第1の増幅器A1の非反転入力は、コンデンサC1を介して、アース、基板、または他の共通電位に接続されている。したがって、コンデンサC1の一端は第1の増幅器A1の非反転入力に接続され、コンデンサC1の他端はアースに接続されている。以下でさらに説明するように、第1の増幅器A1の非反転入力に接続されたコンデンサC1の端部は、記憶信号VSTOREを有する。
【0054】
第1の増幅器A1の出力は、第2の増幅器A2の反転入力に接続されている。第2の増幅器A2の非反転入力は、信号線VHYSに接続されており、これについては以下でさらに説明する。第2の増幅器A2の出力は、スイッチSWを介して、第1の増幅器A1の非反転入力に接続されているコンデンサC1の端部に接続されている。スイッチSWは、信号線フレッシュによって制御され、これについては、以下でさらに説明する。第2の増幅器A2の出力には、比較器信号VCOMPがある。
【0055】
図2bに示されるように、増幅器A1、A2、スイッチSWおよびコンデンサC1は、図2aの記憶回路12(リフレッシュ期間中)および比較器回路13(リフレッシュ期間後)の両方に属する。
【0056】
比較器信号VCOMPはスイッチSW1に接続され、インバータを介してスイッチSW2に接続されている。スイッチSW1は信号線ф1によって制御され、スイッチSW2は信号線ф2によって制御される。信号ф1、ф2については、以下でさらに説明する。スイッチSW1、SW2のもう一方の端部は、それぞれ1ビット記憶ブロックに接続されている。1ビット記憶ブロックはそれぞれ、制御信号線Resetによって制御され、これについては以下でさらに説明する。スイッチSW1に接続された1ビット記憶ブロックの出力は、信号線Upを提供する。スイッチSW2に接続された1ビット記憶ブロックの出力は、信号線Downを提供する。信号線Upは論理ゲートG1の1つの入力に接続されている。信号線Downは、論理ゲートG2の1つの入力に接続されている。信号線RowSelは、論理ゲートG1、G2のそれぞれの別の入力に接続されている。論理ゲートG1、G2は、ソース電圧VDDと信号Strongerを提供する信号線および信号Weakerを提供する信号線との間に配置されたスイッチをそれぞれ制御する。
【0057】
以下に説明する論理ゲートG1、G2、ならびにさらなる論理ゲートG3、G4、G5は、機能記号を使用して図に示されている。これらの論理ゲートには、さまざまな実装が用意されている。
【0058】
図2bに示すように、スイッチSW1、SW2、1ビット記憶ブロック、ゲートG1、G2、G3、G4、G5は、図2aのコントローラ回路14に属している。
【0059】
信号線Upはさらに論理ゲートG3の1つの入力に接続されている。信号線Downはさらに論理ゲートG3の別の入力に接続されている。論理ゲートG3の出力は、論理ゲートG4の1つの入力に接続されている。論理ゲートG4の別の入力は、信号線Refreshに接続され、これについては以下でさらに説明する。論理ゲートG4の出力は、論理ゲートG5の入力に接続されている。論理ゲートG5の別の入力は、すでに述べた信号線Resetに接続されている。論理ゲートG5の出力は、スイッチSWを制御するための、すでに述べた信号線フレッシュを提供する。論理ゲートG1、G2、G4は論理AND機能を提供するANDゲートであり、論理ゲートG3、G5は論理OR機能を提供するORゲートである。
【0060】
図2cは、記憶回路12および比較器回路13の代替構造を概略的に示す。図2cに示すように、センサ信号VLOGは、第1の増幅器A1の非反転入力に接続されている。第1の増幅器A1の反転入力は、第1のコンデンサC1を介してアースに接続されている。第1の増幅器A1の出力は、スイッチSWを介して、第1の増幅器A1の反転入力に接続されている第1のコンデンサC1の端部に接続されている。スイッチSWは、信号フレッシュによって制御される。第1の増幅器A1の出力はさらに、第2のコンデンサC2を介して、第2の増幅器A2の非反転入力に接続されている。図2cに示すように、第2の増幅器A2は比較器として構成されている。第2の増幅器A2の反転入力は、信号線VHYSに接続されている。第2の増幅器A2の出力は、図2bに関連して説明されるように、1ビット記憶ブロックに接続された比較器信号VCOMPを有する。図2cに示すように、電圧バイアスブロックは、第2の増幅器A2の非反転入力に接続された第2のコンデンサC2の端部に接続されている。電圧バイアスブロックは、基準信号VREFを受信する。電圧バイアスブロックは、VCACノードのDC電圧を定義し、これは、第2の増幅器A2の非反転入力に接続された第2のコンデンサC2の端部に接続されている。図2caは、基準信号VREFとVCACノードの間に接続された大きな抵抗に基づく電圧バイアスブロックの第1の実装を示す。図2cbは、基準信号VREFとVCACノードとの間に接続され、信号フレッシュによって制御されるスイッチに基づく電圧バイアスブロックの第2の実装を示す。
【0061】
図2dは、記憶回路12および比較器回路13のさらなる代替構造を概略的に示す。センサ信号VLOGからVCACノードまで、図2dによる構造は図2cの構造と同じである。図2dに示すように、VCACノードはUPの第2の増幅器A2UPの非反転入力とDOWNの第2の増幅器A2DOWNの反転入力に接続されている。図2dに示すように、UPの第2の増幅器A2UPおよびDOWNの第2の増幅器A2DOWNは、比較器として構成されている。UPの第2の増幅器A2UPの反転入力は、基準信号VREF_PLUSに接続されている。DOWNの第2の増幅器A2DOWNの非反転入力は、基準信号VREF_MINUSに接続されている。UPの第2の増幅器A2UPの出力は、1ビット記憶ブロックに接続された信号VCOMP_UPを提供する。DOWNの第2の増幅器A2DOWNの出力は、信号VCOMP_DOWNを提供し、これは反転されて1ビット記憶ブロックに接続される。
【0062】
図2cおよび図2dによる構造は、第2のコンデンサC2のない図2bによる構造と比較して、追加のハイパスフィルタを有するという利点を有する。
【0063】
図3は、本発明のいくつかの実施形態による、画像センサのピクセルの取得回路1の信号の概略時間図である。図3は、スイッチSW1、SW2を制御するための信号線ф1、ф2の信号の概略時間図を含む。図3は、信号線Reset上の信号の概略時間図を含む。リセットは、所定の周波数、たとえば1Hzで定期的に発生する。リセットはすべてのピクセルで共有される。これは、リセット信号がすべてのピクセルをリセットすることを意味する。図3は、第2の増幅器A2の非反転入力に接続されている信号線VHYS上の信号の概略時間図を含む。図3は、論理ゲートG1、G2のそれぞれの入力に接続されている信号線RowSel上の信号の概略時間図を含む。信号ф1、ф2、Reset、およびRowSelは、それぞれのスイッチまたは論理ゲートを制御するために、ロー状態とハイ状態の間で変化する。信号VHYSは、信号レベルVREF、VREF_PLUS、およびVREF_MINUSの間で変化する。図3に示すように、信号RowSelのハイ状態からロー状態への遷移は、1サイクルの開始と終了を定義する。
【0064】
以下では、本発明のいくつかの実施形態による画像センサの動作原理を、図2bおよび図3を参照して説明する。
【0065】
リセットモードでは、VHYSはVREFに設定される。すべてのピクセルが同じResetを共有する。Resetがハイ状態の場合、スイッチSWは論理1信号を受信し、SWは閉じる。第2の増幅器の出力の信号は、VCOMP=VSTORE=VLOG-offsetになる。VLOG-offsetは、コンデンサC1に記憶される。
【0066】
自動ゼロ調整モードでは、つまりリフレッシュ期間中に、VHYSはVREFに設定される。信号Refreshがハイ状態にあるとき、Up信号もDown信号もハイ状態にない場合、スイッチSWは論理0信号を受信し、リフレッシュはない。信号Refreshがハイ状態にあるとき、Up信号またはDown信号のいずれかがハイ状態にある場合、スイッチSWは論理1信号を受信し、SWは閉じる。第2の増幅器の出力の信号は、VCOMP=VSTORE=VLOG-offsetになる。オフセットは、系統的オフセット(A1およびA2の有限利得による)とランダムオフセット(A1およびA2内の要素の不一致による)の両方を含む。VLOG-offsetは、コンデンサC1に記憶される。図2bに示すように、1ビット記憶ブロックは論理0に設定されている。
【0067】
図3に示すように、信号Refreshがロー状態に変わる。それに応じて、スイッチSWが開く。第1および第2の増幅器A1、A2はここでは比較器として機能する。第2の増幅器の出力でのVCOMPは、VSTORE、VLOG、およびVHYSに依存する。VSTOREは、リフレッシュ中にコンデンサC1に記憶される信号である。VLOGは、フォトダイオードD1における光強度の変化に関連している。
【0068】
ф1モードでは、つまり第1の期間中、VHYSは図3に示す時間図に従ってVREF_PLUSに設定され、信号ф1はハイ状態に設定される。VREFとVREF_PLUSとの違いはヒステリシスである。信号ф1に従って、スイッチSW1が閉じる。VCOMPは、VLOGの信号増加がVSTORE+(VREF_PLUS-VREF)/A1よりも大きいか小さいかを示す。たとえば、信号の増加が(VREF_PLUS-VREF)/A1より大きい場合、VCOMPは論理「1」になり、それ以外の場合、VCOMPは論理「0」になる。結果は、スイッチSW1に接続された1ビット記憶ブロックに記憶される。つまり、VLOGの信号増加が(VREF_PLUS-VREF)/A1より大きい場合、論理「1」が記憶され、VLOGの信号増加が(VREF_PLUS-VREF)/A1より小さい場合、論理「0」が記憶される。
【0069】
ф2モードでは、つまり第1の期間中、VHYSは図3に示す時間図に従ってVREF_MINUSに設定され、信号ф2はハイ状態に設定される。VREFとVREF_MINUSとの違いはヒステリシスである。信号ф2に従って、スイッチSW2が閉じる。VCOMPは、VLOGの信号減少がVSTORE+(VREF-VREF_MINUS)/A1よりも大きいか小さいかを示す。たとえば、VLOGの信号減少がVSTORE+(VREF-VREF_MINUS)/A1より大きい場合、VCOMPは論理「0」になり、それ以外の場合、VCOMPは論理「1」になる。結果は反転され、スイッチSW2に接続された1ビット記憶ブロックに記憶される。つまり、VLOGの信号減少がVSTORE+(VREF-VREF_MINUS)/A1より大きい場合、論理「1」が記憶され、VLOGの信号増加がVSTORE+(VREF-VREF_MINUS)/A1より小さい場合、論理「0」が記憶される。
【0070】
ピクセルを読み出すために、図3に示すように、信号線RowSelがハイ状態に設定される。図2bに示すように、信号線RowSelは論理ゲートG1、G2への1つの入力を形成し、1ビット記憶ブロックの各出力は、それぞれの論理ゲートG1、G2への別の入力を形成する。1ビット記憶ブロック内のデータに応じて、信号線Strongerおよび信号線Weakerは、ソース電圧VDDに引き上げられるか、高インピーダンス(つまり、浮遊出力)を有する。信号線Stronger、信号線Weakerおよびアース間に電流を流すことにより、論理「1」または論理「0」のいずれかをピクセルから読み出すことができる。信号線Strongerおよび信号線Weakerはそれぞれ(論理「0」を生成するのではなく)高インピーダンスであるため、列と行に配置されたピクセルのStronger信号およびWeaker信号をそれぞれ読み出すには、単一の信号線で十分である。
【0071】
ピクセルの読み出し中に、信号Upと信号Downの一方(または両方、これは期待されておらず、非常にまれであるはずである)の状態がハイの場合、上述のように信号線Freshによって制御されるスイッチSWを閉じるために、信号線Refreshでハイ状態が生成される。したがって、フォトダイオードD1における現在の光強度に起因するVCOMP=VSTORE=VLOG-offsetは、フォトダイオードD1における光強度の変化の次の検出のためにコンデンサC1に記憶される。
【0072】
図4は、本発明のいくつかの実施形態による、画像センサの複数のピクセルの概略ブロック図である。ピクセルは、N列とM行の配列に配置される。特定の行のピクセルは、1行のRowSel<m>を共有し、ここでmは行番号を示し、0からM-1の間である。同じ列のピクセルは、Stronger信号に関連する1行のc_st<n>およびWeaker信号に関連する1行のc_wk<n>を共有し、ここでnは列番号を示し、0からN-1の間である。図4に示すように、Stronger信号に関連する線c_st<..>は、読み出し回路ブロックO_stに接続され、Weaker信号に関連する線c_wk<..>は、読み出し回路ブロックO_wkに接続される。読み出し回路ブロックO_st、O_wkについては、図6に関連して以下でさらに説明する。
【0073】
図5は、本発明のいくつかの実施形態による、画像センサの特定の位置に配置された4つのピクセルの概略ブロック図である。図4に示すように、ピクセルの特定の配置が位置m、nに配置されている。図5は、位置m、nにある4つのピクセルの配置を示している。単一ピクセルについて図2bに関連して上で説明した、ピクセルの信号線Strongerおよび信号線Weakerは、それぞれ列線c_st<n、n+1>および列線c_wk<n、n+1>に接続されている。信号線RowSel<m、m+1>は、単一ピクセルについて図2bに関連して上で説明したように、ピクセルに配置された論理ゲートのそれぞれの入力に接続されている。特定の信号線RowSel<m>が選択された場合、それぞれのピクセルの照明の変化に応じて、列線c_wk<..>はソース電圧VDDに引き上げられるか、高インピーダンス(浮遊状態)になる。
【0074】
図6は、本発明のいくつかの実施形態による、画像センサのピクセルの読み出し回路の概略ブロック図である。図6は、読み出し回路O_wk<n>、すなわち、読み出し回路ブロックO_wkのN個の読み出し回路のうちの特定の1つを示す。列線c_wk<n>は電流源Iに接続されており、電流源Iはアースに接続されている。列線c_wk<n>は、出力信号を提供するバッファBufferにさらに接続されている。c_wk<n>がソース電圧VDDに引き上げられると、出力信号はハイ状態、たとえば「1」になる。c_wk<n>が高インピーダンス(浮遊状態)の場合、c_wk<n>はアースに引き下げされ、出力信号はロー状態、たとえば「0」になる。読み出し回路ブロックO_stの読み出し回路は、それぞれの構造を持っている。
【0075】
上記のように、本発明によるピクセルにはいくつかの利点がある。
第1の利点は、オフセットに関するものである。従来技術では、図1を参照すると、信号経路におけるオフセット残差、または入力基準オフセットは、VOS=(VOS_Amp)/(1+A)+Vchであり、ここで、VOSは、入力基準オフセットの合計であり、VOS_Ampは、増幅器の入力基準オフセットであり、Aは増幅器の利得であり、VchはスイッチSWの状態が変化したときに発生する電荷注入エラーである。図1に示すように、寄生容量Cparは、増幅器の入力とアースとの間に含まれている。寄生容量Cparは、利得を考慮して最小化されるように設計されている。これは、CACとCparが容量性分周器を形成し、Cparが大きいほどVAの減衰が大きくなるという効果があるためである。図1に示すように、△VA=Vch=QCH/Cparであり、ここで、QCHは、スイッチSWの状態が変化したときに注入される電荷である。したがって、Vchは大きくなる可能性がある。
【0076】
本発明によれば、入力基準オフセットは、従来技術よりもはるかに優れた性能を提供する2つの手段によって低減される。まず、利得A1を有する高利得増幅段、または高い総利得A=A1またはA=A1*A2を有する2段増幅器を配置する。したがって、入力基準オフセットの合計は、増幅器A1の高利得または2段A2の利得向上によって減少する。結果として、本発明は、増幅器のオフセットおよび利得の両方に鈍感である。次に、敏感なノードVAとアース、基板、またはその他の共通電位の間に配置された図1に示すコンデンサC1は、大型の高密度コンデンサ(たとえば、MOSコンデンサ、ポリ-ポリコンデンサ)として設計でき、それにより電荷注入QCHによって引き起こされるオフセットを低減し、ダイナミックレンジを拡張する。
【0077】
第2の利点は、領域に関するものである。従来技術では、図1によるAC結合トポロジーは、CACおよびC1の両方について、小さな寄生(信号減衰を引き起こす)および高電圧非依存性(信号経路の線形性を低下させる)を必要とする。したがって、CACおよびC1の実装には、金属-金属コンデンサが選択される。
【0078】
本発明によれば、コンデンサは、アースされるか基板または他の共通電位に接続され、底板コンデンサがアース、基板または他の共通電位に短絡されているため、高密度コンデンサ(たとえば、MOSコンデンサ、ポリ-ポリコンデンサ)を使用することができる。金属-金属コンデンサと比較して、MOSコンデンサ、ポリ-ポリコンデンサなどの高密度コンデンサは密度が高く、ピクセルに必要な面積を大幅に減らすことができる。
【0079】
たとえば、従来技術による図1の画像センサは、最大3fF/um2の容量密度を有する金属コンデンサを必要とし、このコンデンサは、ピクセルの総面積の約25%を必要とする。本発明によれば、約6~7fF/um2の容量密度を有する高密度コンデンサを使用することができ、その結果、ピクセルサイズが約12.5%減少する。
【0080】
第3の利点は、ドリフトに関するものである。従来技術では、図1を参照すると、スイッチSWが開いているとき、電圧VAは、漏れのために時間とともにドリフトする。たとえばスイッチSWの漏れや増幅器Aの入力における漏れである。
【0081】
本発明によれば、VSTOREも同様の理由でドリフトする。ただし、図2bに示すコンデンサC1は、同じ面積を使用している場合、図1に示されているコンデンサCACよりもたとえば2~3倍大きくなる。したがって、本発明によれば、ドリフト率はそれほど深刻ではない。これにより、リフレッシュレートを下げることができ、ピクセルにおける光強度の緩慢な変化を検出できるという利点がある。
【0082】
第4の利点は、比較器デバイスに関するものである。従来技術によれば、図1を参照すると、2つの比較器が必要である(図1においてオンおよびオフとラベル付けされた比較器)。各比較器には、特定の領域と電力が必要である。比較器は、光強度に変化があったか(オン=1/オフ=0またはオン=0/オフ=1)、または光強度に変化がなかったか(オン=0およびオフ=0)を区別するために並行して動作する。比較器のミスマッチを較正するか、VHとVLとの差(図1を参照)がミスマッチをマスクするのに十分な大きさである必要がある。VHとVLの入力基準(A1出力を参照)の差は、(VH-VL)*C1/CACである。技術と面積の制限により、C1とCACの比率は大きくない。A1出力の変化が(VH-VL)*C1/CAC未満の場合、検出されない。VHとVLとの差が大きいと、検出感度が低下する。
【0083】
本発明によれば、1つの比較器のみが必要とされる。したがって、必要な領域が少なくなる。さらに、比較器はUp信号およびDown信号を生成し(図2b、図3を参照)、VREF、VREF_PLUS、またはVREF_MINUSのいずれかに設定された小信号VHYSを使用して生成される。自動ゼロ調整モードでは、VHYS=VREFである。ф1モードでは、VHYS=VREF_PLUS=VREF+ΔVである。ΔVは、ヒステリシスとして使用される。VLOGの増加がΔV/A1より大きい場合、比較器は論理「1」を出力するため、信号Upは1になる。それ以外の場合、信号Upは0である。ф2モードでは、VHYS=VREF_MINUS=VREF-ΔVである。ΔVは、ヒステリシスとして使用される。VLOGの減少がΔV/A1より大きい場合、比較器は論理「0」を出力し、インバータによって反転されるため、信号Downは1になる。それ以外の場合、信号Downは0である。したがって、Up信号およびDown信号を生成するための信号には2つのフェーズが必要であり、その結果、1サイクル(図3を参照)により多くの時間が必要になる。ほとんどのアプリケーションでは、違いはマイクロ秒の範囲にあるため、重要ではない。ただし、2つの比較器の不一致は存在せず、ΔVはノイズの理由だけのために小さくすることができる。
【0084】
最後に、「含む」という用語は他の要素またはステップを除外せず、「a」または「an」は複数を除外しないことに留意されたい。また、異なる実施形態に関連して記載された要素を組み合わせることができる。特許請求の範囲内の参照記号は、クレームの範囲を制限するものとして解釈されるべきではないことにも留意されたい。
図1
図2a
図2b
図2c
図2ca
図2cb
図2d
図3
図4
図5
図6