(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-12
(45)【発行日】2024-03-21
(54)【発明の名称】車両用内装式リフト
(51)【国際特許分類】
B60P 1/44 20060101AFI20240313BHJP
【FI】
B60P1/44 A
B60P1/44 D
(21)【出願番号】P 2020074116
(22)【出願日】2020-04-17
【審査請求日】2023-01-06
(73)【特許権者】
【識別番号】393011692
【氏名又は名称】和光工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100069992
【氏名又は名称】増田 政義
(72)【発明者】
【氏名】田中 賢二
【審査官】福田 信成
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-028962(JP,A)
【文献】特開2001-213216(JP,A)
【文献】実開昭63-202534(JP,U)
【文献】特開2002-307999(JP,A)
【文献】特開2010-075567(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60P 1/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両
の車室における出入口の近傍の床面の配置面上のベースに配備された四節昇降リンク機構にプラットホームが起伏自在に支架され、該プラットホームが四節昇降リンク機構の最上昇位置で車両に格納され、また、格納位置でプラットホームの左側縁のロックポストが左側のステイアームとのロックが開放され、プラットホームの右側縁のヒンジポストと右側のステイアームのヒンジを中心に車両の外側に回動して左側のステイアームと右側のステイアームの間が開口するように設けられ、前記四節昇降リンク機構の設置面より出入口側の設置面に、車室の内方の通路面と連絡する渡し板が、その基端部を中心に反対の先端部が車室の出入口より外方の略水平伏倒状態と、車両の車室の内方の略水平伏倒状態と、中間の起立格納状態とを含んで略180度回転可能に軸支され、前記四節昇降リンク機構が車両外方へ回転する動きを前記渡し板に追従連繋装置により伝達し、前記四節昇降リンク機構が規定角度回転する動きにしたがって前記渡し板を回転すると、その先端部を車両の外方に突出して全体を伏倒し、前記最上昇位置より車両の外方に降下して水平に繰り出されたプラットホーム側の通路面に乗架し、車室内の通路面と連絡する渡し板とプラットホームの通路面を車両外方位置で接続してなる車両用内装式リフトにおいて、
前記渡し板を、前記四節昇降リンク機構と連繋する追従連繋装置は、前記一方のロアアームの基端軸又は一方のアッパーアームの基端軸に取付けた第一歯車と車両の一方側のケイシングに設けた支軸に回転自在に軸支する第二歯車を噛合い連繋し、
第三歯車を第二歯車と同じ支軸に回転自在に軸支するとともに前記第二歯車と一体に設けたピン受部と連繋する送りピン部を一体に配備し、
前記第三歯車と噛合う第四歯車を前記一方側のケイシングの一方の基端軸に回転自在に軸支するとともに、該第四歯車に受ピン部を一体に設け、
該受ピン部を前記渡し板と一体の送り爪部に連繋するように設けてなる
車両用内装式リフト。
【請求項2】
前記渡し板は、その基端部の基端軸を中心とする車両の設置面上への伏倒には、他方側のケイシングに配備された他方側の基端軸に巻きバネの環状巻回部が巻装支架されるとともに、その一端は前記他方側のケイシングの係着孔に係着され、他端が車室の出入口側の定位置に外方側引出部を備える起立付勢装置が設けられ、前記渡し板の基端寄り右側面適所に配備された係合軸が、前記渡し板を起立格納状態から一方側の基端軸と他方側の基端軸を中心に車室の内方側へ手動で伏倒させるとき、前記係合軸が回動して前記巻きバネの外方側引出部を車室の内方側に湾曲して起立復帰力を渡し板に付与し、その復帰力を付与した状態でその伏倒位置を維持する回転ストッパーが車室に配備されてなる、請求項1の車両用内装式リフト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の室内に設置され、昇降使用時には車両の室外にプラットホームを水平に繰り出し、格納時にはプラットホームを車両室内に起立状態に収容し、また、プラットホームが起立状態においては、横(水平方向)に開くことができる車両用内装式リフトに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1及び
図2に示すように、この種の車両用内装式リフト1は、左右に配備される四節リンク機構2と、該左右の四節リンク機構2のステイアーム3に起伏自在に枢支されて支架されるプラットホーム4から構成される。
前記左右の四節リンク機構2は、車両5の床面5aにベース6に起立する前部ブラケット7aと後部ブラケット7bに、ガイドリンク8と駆動リンク9が、夫々の基端部8a,基端部9aが車両5の床面5aから上下、かつ前後に離隔したガイド下軸10aと駆動下軸11aをもって回動自在に軸支され、各軸支点から同一距離の夫々の上端部8aと上端部9bであって、前記基端部8aと基端部9aの上下と前後の間隔と同一又はほぼ同一の間隔で離隔してステイアーム3の上端部3aにガイド上軸10bと駆動上軸11bをもって回動自在に軸支され、前記駆動リンク9の駆動下軸11aとガイドリンク8のガイド上軸10bとに油圧シリンダー12が差し渡されて配備される。
前記プラットホーム4は、基端側部4a、先端側部4b及び先端フラッパー4cから構成される。先端側部4bは先端フラッパー4cを上面に折り畳んだ状態で中間の連結軸15を中心に回動して基端側部4aの上面に二つ折りし、それから枢軸16を中心に回動起立して格納状態にロックすることができる。
左右のステイアーム3間には、上面が通路面となる支杆21が差渡され、その一方の端縁は、左右のステイアーム3が最上昇位置で車両5の固定スロープ22の出入口側の端縁に対応するように、その他方の端縁はプラットホーム4の基端側部4aの端縁に対応するように夫々構成される。
前記プラットホーム4を展開した状態で、車両5からプラットホーム4上へ及びプラットホーム4上から車両5への乗り移りは、プラットホーム4の最上昇位置で行われている。そのため、車両5の床面5aからプラットホーム4の通路面までの最低高H1は、プラットホーム4の厚み寸法に大きく影響されるものである。(特許文献1及び
図2参照。)
【0003】
同じ車両5に搭載する条件で比較すると、プラットホーム4の厚みが大きくなればなるほど、車両5の開口の高さは小さくなる。すなわち、車両用内装式リフト1の許容荷重を上げるためにプラットホーム4の強度、剛性のアップを行い、プラットホーム4の厚み寸法が増えると通路面の高さが上がり、車室内への有効高さが減高する欠点がある。そして一般的な傾向として積載物が大きくなればなるほど重量も大きくなるため、大きな対象物を通過可能にするためにプラットホーム4を薄くしたいが対象物が重いので強度アップした結果、プラットホーム4が厚くなり、逆に開口部が小さくなってしまうというジレンマが発生している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、従来技術よりも大きく開口高さを確保でき、また、前述したようなプラットホームの厚み寸法に開口高さが影響されることのない車両用内装式リフトの提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
車両の車室における出入口の近傍の床面の配置面上のベースに配備された四節昇降リン ク機構にプラットホームが起伏自在に支架され、該プラットホームが四節昇降リンク機構の最上昇位置で車両に格納され、また、格納位置でプラットホームの左側縁のロックポストが左側のステイアームとのロックが開放され、プラットホームの右側縁のヒンジポストと右側のステイアームのヒンジを中心に車両の外側に回動して左側のステイアームと右側のステイアームの間が開口するように設けられ、前記四節昇降リンク機構の設置面より出入口側の設置面に、車室の内方の通路面と連絡する渡し板が、その基端部を中心に反対の先端部が車室の出入口より外方の略水平伏倒状態と、車両の車室の内方の略水平伏倒状態と、中間の起立格納状態とを含んで略180度回転可能に軸支され、前記四節昇降リンク機構が車両外方へ回転する動きを前記渡し板に追従連繋装置により伝達し、前記四節昇降リンク機構が規定角度回転する動きにしたがって前記渡し板を回転すると、その先端部を車両の外方に突出して全体を伏倒し、前記最上昇位置より車両の外方に降下して水平に繰り出されたプラットホーム側の通路面に乗架し、車室内の通路面と連絡する渡し板とプラットホームの通路面を車両外方位置で接続してなる車両用内装式リフトにおいて、前記渡し板を、前記四節昇降リンク機構と連繋する追従連繋装置は、前記一方のロアアームの基端軸又は一方のアッパーアームの基端軸に取付けた第一歯車と車両の一方側のケイシングに設けた支軸に回転自在に軸支する第二歯車を噛合い連繋し、第三歯車を第二歯車と同じ支軸に回転自在に軸支するとともに前記第二歯車と一体に設けたピン受部と連繋する送りピン部を一体に配備し、前記第三歯車と噛合う第四歯車を前記一方側のケイシングの一方の基端軸に回転自在に軸支するとともに、該第四歯車に受ピン部を一体に設け、該受ピン部を前記渡し板と一体の送り爪部に連繋するように設けてなる車両用内装式リフトにある。
【0007】
前記渡し板は、その基端部の基端軸を中心とする車両の設置面上への伏倒には、他方側のケイシングに配備された他方側の基端軸に巻きバネの環状巻回部が巻装支架されるとともに、その一端は前記他方側のケイシングの係着孔に係着され、他端が車室の出入口側の定位置に外方側引出部を備える起立付勢装置が設けられ、前記渡し板の基端寄り右側面適所に配備された係合軸が、前記渡し板を起立格納状態から一方側の基端軸と他方側の基端軸を中心に車室の内方側へ手動で伏倒させるとき、前記係合軸が回動して前記巻きバネの外方側引出部を車室の内方側に湾曲して起立復帰力を渡し板に付与し、その復帰力を付与した状態でその伏倒位置を維持する回転ストッパーが車室に配備されてなる車両用内装式リフトとしてもよいものである。
【発明の効果】
【0008】
プラットホームは、四節昇降リンクの作動で車両の外へ離れながら下降していくので、昇降の途中位置では、最上昇位置よりもプラットホームの通路面の高さが低い位置になる。よって、従来の最上昇位置で乗り降りする場合に比べて、車両の車室の出入口の開口高さが大きくなる。
【0009】
乗降位置のプラットホームは、車両の外方にあるから、プラットホームの厚みは通路面の高さに影響されることなく、下方へ大きくすることができる。
【0010】
渡し板は、起立格納としたので、先端部が車両の外方向への伏倒では、四節昇降リンク機構の上昇作動により起立格納が行え、先端部を車両の車室の内方側への伏倒では、手動により車両の床面側に伏倒と、付勢バネによる起立格納もできる。
【0011】
渡し板は、車両に配備したので、車両の一側に四節昇降リンク機構と追従連繋作動を行う追従連繋装置を、他側に手動倒伏と起立格納をする起立付勢装置を夫々配備することが可能になったのである。
【0012】
渡し板は、四節昇降リンク機構と追従連繋装置により連繋したので、追従連繋装置における一つの歯車と衝突して回転を停止するストッパーを配備することで、渡し板が車両外側に向けて水平に伏倒した位置を維持することができ、渡し板接続位置と最低降下位置の道路面の間にプラットホームを一連に昇降させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】車両の通路面と車両の外方に繰り出されたプラットホームの基端側部の通路面を連絡する渡し板が配備される本発明の車両用内装式リフトの実施例を示す側面図である。
【
図2】従来の車両の通路面とプラットホームの基端側部の通路面を接続する車両用内装式リフトの側面図である。
【
図3】本発明の車両用内装式リフトにおいて、起立した渡し板とプラットホームをその上昇限格納位置で展開して車両に接続した状態の全体斜視図である。
【
図4】
図3の状態からプラットホームを車両の外に繰出し降下し、前記渡し板が前記プラットホームを車両の外に繰出し降下に追従して伏倒してその先端部がプラットホームの基端側部の通路面に連絡した乗降位置の本発明の車両用内装式リフトの実施例の全体斜視図である。
【
図5】前記
図4において、渡し板部分の一部拡大図である。
【
図6】前記
図5の一部拡大図において、渡し板を非表示にした一部拡大図である。
【
図7】渡し板及びその渡し板の左軸受耳部と右軸受耳部との間に配備される車両端部処理材の分離斜視図である。
【
図8】前記
図4の状態から、プラットホームが渡し板から離れて路面等の最下位置に降下した状態における本発明の車両用内装式リフトの実施例の全体斜視図である。
【
図9】ロアアームの昇降作動と渡し板の起伏作動と追従連繋装置の連繋作動を説明する側面図である。
【
図10】車両側に配備される渡し板に対して起立付勢装置の付勢状況を示す部分側面図である。
【
図11】前記追従連繋装置において、渡し板の起立格納位置から伏倒位置で追従連繋装置の第三歯車がストパーに衝突する直前における第三歯車の送りピン部と第二歯車のピン受部の作動状況を説明する説明側面図である。
【
図12】前記追従連繋装置において、渡し板の伏倒位置で追従連繋装置の第三歯車がストパーに衝突した後の作動状況を説明する側面説明図である。
【
図13】車両側に配備される渡し板の追従連繋装置の配置状況を示す部分斜視図である。
【
図14】車両側に配備される渡し板の起立付勢装置の配置状況を示す部分斜視図である。
【
図15】渡し板が車両に起立格納され、プラットホームが二つ折りされて車両に格納された状態を示す本発明の車両用内装式リフトの実施例の全体斜視図である。
【
図16】渡し板が車両に起立格納され、二つ折りされて格納状態にあるプラットホームの基端縁の左側面部を枢支するロックポストとステイアームの左側部とのロックを開放し、プラットホームの右側端のヒンジ
ポストを中心にプラットホームを回動し、左
側のステイアーム
と右側のステイアームとの間に開口部を構成した本発明の車両用内装式リフトの全体斜視図である。
【
図17】前記
図16において、渡し板を車両
の内方側に伏倒し、その伏倒状態を回転ストッパーにより維持することを示す部分斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明に係る車両用内装式リフト1の実施の形態は、車両2からプラットホーム7上への乗り移り及びプラットホーム7上から車両2へ乗り移りは、最上位置ではなく昇降の途中位置に設定して、車両2に設置したベース5に渡し板8を回転可能に軸支し、四節昇降リンク機構6のアームが回転する動きを渡し板8にギア等で伝達し、前記アームが規定角度回転するとともに前記渡し板8が回転して車両外方に繰り出されたプラットホーム7に乗架し、車両2とプラットホーム7を接続してなるものでる。
【0015】
本発明に係る車両用内装式リフト1の実施の形態は、車両2の車室2aにおける出入口3の近傍の床面等の配置面に配備したベース5に、渡し板8が、その基端部8aの左端の軸受孔8a11に固着する基端軸12aと右端の軸受孔8a21に固着する基端軸12bとを中心に先端部8bが車室2aの出入口3より外方に繰出して上面の通路面8cが前記プラットホーム7の通路面7cと水平に連絡する伏倒状態と、車室2aの内方の床面等の設置面4上の通路面4aに連接する伏倒状態に、略180度、回転可能に軸支されてなるものである。
【0016】
前記渡し板8は、その軸支位置より車室2aの内方の床面等の設置面4上のベース5に設置した四節昇降リンク機構6が車室2aより外方へ回転する動きを追従連繋装置9により伝達され、四節昇降リンク機構6が規定角度回転する動きに沿って渡し板8も回転すると、先端部8bが車室2aの出入口3より外方に突出して全体を伏倒させ、四節昇降リンク機構6の作動で車両2の外方に繰出し降下したプラットホーム7に乗架し、車室2aの床面等の配置面4上の通路面4aと車室2aの出入口3より外方位置で接続するプラットホーム7の通路面7cを連絡するものである。
【0017】
前記追従連繋装置9は、前記四節昇降リンク機構6のロアアーム14の基端軸16aに同心で連結した伝動軸16a1に取付けた第一歯車31と車両2の一方側のケイシング11aに設けた支軸32に回転自在に軸支する第二歯車33が噛み合連繋し、第三歯車34を第二歯車33と同じ支軸32に回転自在に軸支するとともに、第二歯車33と一体に設けたピン受部33aと連繋する送りピン部34aを一体に配備し、該第三歯車34と噛合う第四歯車35を前記一方側のケイシング11aの一方の基端軸12aに回転自在に軸支するとともに、受ピン部35aを一体に設け、該受ピン部35aを渡し板8と一体の送り爪部36と回転が連繋するように設けてなるものである。
【0018】
前記渡し板8は、その基端部8aの一方の基端軸12aを中心とする車両の床面等の設置面4上への伏倒には、起立付勢装置10の巻きバネ38を圧縮して起立付勢を得る構成に設けられる。
【0019】
他方側のケイシング11bに配備された他方の基端軸12bに巻きバネ38の環状巻回部38aが巻装支架されるとともに、他方の基端軸12bに対して車室の内方側で上方に引出される内方側引出部38cの先端部38c1が他方側のケイシング11bの係着孔39に係着され、また、他方の基端軸12bに対して車両外方側で上方に引出される外方側引出部38bが起立姿勢に配置され、前記渡し板8の右端軸受孔8a21回りの基端部8a寄り右側面適所に係合軸40が配備され、前記渡し板8を、起立格納状態から一方の基端軸12aと他方の基端軸12bを中心に車室2aの内方側へ手動で伏倒させたとき、前記外方側引出部38bを車室2aの内方側に湾曲し、起立復帰力を渡し板8に付与する起立付勢装置10を配備している。
【0020】
前記渡し板8を手動で車室2aの内方側に伏倒したとき、その渡し板8の伏倒位置を維持する回転ストッパー41が車室2aに配備されてなるものである。
【実施例】
【0021】
以下、本発明に係る車両用内装式リフトを図面に示す実施例の車両用内装式リフト1により説明すると、車両2の車室2aにおける出入口3の近傍の床面等の設置面4に四節昇降リンク機構6が配備され、該四節昇降リンク機構6はプラットホーム7が起伏自在に支架され、そのプラットホーム7の昇降はプラットホーム7が水平状態に展開した状態で作動する。そして、本発明に係る車両用内装式リフト1では、そのプラットホーム7の降下繰り出し作動に追従して車両の出入口3より外方に突出する渡し板8を車両2の通路面4aに配備し、車両2の外方で車両2とプラットホーム7を接続することを特徴とするものである。
【0022】
前記渡し板8は、その基端部8aを中心に先端部8bが車両2の出入口3より外方の略水平伏倒状態と車両2の内方の略水平伏倒状態とに、中間の起立格納状態を含めて略180度、回転可能に軸支される。
【0023】
前記渡し板8は、基端部8aの左右端部が突出する左軸受耳部8a1と右軸受耳部8a2に設けられ、前記左軸受耳部8a1には一方の基端軸12aを支承する左軸受孔8a11が、前記右軸受耳部8a2には他方の基端軸12bを支承する右軸受孔8a21が夫々設けられる。
【0024】
前記渡し板8の左軸受耳部8a1と右軸受耳部8a2の内側間には、上面が連絡通路面4cを形成する車両端部処理材4bが配置される。該車両端部処理材4bの左右両端には前記左軸受耳部8a1に対応する左軸受板部4b1と、右軸受耳部8a2に対応する右軸受板部4b2が夫々設けられる。前記左軸受板部4b1に開口される左軸受孔4b11は、一方の基端軸12aの内端を支承し、前記右軸受板部4b2に開口される右軸受孔4b21は、他方の基端軸12bの内端を支承している。
【0025】
前記渡し板8は、前記四節昇降リンク機構6の昇降機能に追従する追従連繋装置9により作動するように設けられる。
【0026】
前記四節昇降リンク機構6が規定角度回転する動きに沿って渡し板8も追従回転すると、先端部8bを車両2の車室2aの出入口3より外方側に突出して全体が伏倒し、前記最上昇位置より車両2の車室2aの出入口3より外方側に繰り出し降下したプラットホーム7に乗架し、車室2aの設置面4の通路面4a又は車両端部処理材4bの連絡通路面4cとプラットホーム7の通路面7cを連絡するものである。
【0027】
本発明に係る車両用内装式リフト1の実施例では、前記四節昇降リンク機構6の左側のステイアーム18と右側のステイアーム18とプラットホーム7の結合において、一方端を切離し自在のロック結合、他方端を回動自在のヒンジ結合に構成しているので、左側のステイアーム18と右側のステイアーム18の下端部には上面が通路面19aに設けられる連絡フレーム板19が差渡配備されるため、前記渡し板8の先端部8bは、連絡フレーム板19の通路面19aに乗架できるものでよいものである。
【0028】
前記渡し板8は、追従連繋装置9により前記水平伏倒位置に維持されるから、プラットホーム7は、四節昇降リンク機構6の作動により、渡し板8をそのままに、プラットホーム7を通常の降下作動を行うことができ、最低位置の道路面等に達するものである。
【0029】
道路面等からプラットホーム7に車いす(図示しない。)を移動し、四節昇降リンク機構6を切替えてプラットホーム7を上昇させると、車両2との乗降位置に維持される前記渡し板8に到達する。ここで四節昇降リンク機構6を停止し、プラットホーム7から渡し板8を渡り、車いす(図示しない。)を車両2に移動するものである。
【0030】
プラットホーム7の格納は、先ず、四節昇降リンク機構6によりプラットホーム7を前記渡し板8に下方から接続する乗降位置まで上昇させる。この上昇時に、前記追従連繋装置9は作動するが渡し板8は伏倒位置に維持されている。そして、その乗降位置から四節昇降リンク機構6を格納上昇作動させると、この格納上昇作動が追従連繋装置9により渡し板8に伝達して、渡し板8を左側の基端軸12aと右側の基端軸12bを中心に起立させる。渡し板8には起立付勢装置10が付設され、渡し板8が格納起立姿勢の直前の車両の外側傾斜位置に達した段階で起立付勢装置10のバネ38に接し、その後の上昇作用でバネ38を押し曲げて格納起立をさせるものである。そして、四節昇降リンク機構6は停止するものである。
【0031】
前記渡し板8の基端部8aの左右端部が突出する左軸受耳部8a1と右軸受耳部8a2に設けられ、この左軸受耳部8a1と右軸受耳部8a2が前記車両2に車室2aにおける出入口3の近傍の床面等の設置面4のベース5上に一方側のケイシング11aの一方の基端軸12aと他方側のケイシング11bの他方の基端軸12bにより軸支されてもよいものである。
【0032】
前記四節昇降リンク機構6は、前記設置面4にベース5を配備し、ベース5上に外方側と内方側に離隔する外方側ブラケット13aと内方側ブラケット13bを左右に離隔して配備し、その外方側ブラケット13aと内方側ブラケット13bに対応するロアアーム14とアッパーアーム15が、夫々の基端部14aと基端部15aが車両2の車室2aのベース5に、上下かつ外方側と内方側に離隔して回動自在に、基端軸16aと基端軸17aをもって軸支される。前記左右のロアアーム14の基端部14aを軸支する基端軸16aは、左右のロアアーム14とアッパーアーム15のリンク作動を同期させるため、左右が図示しないシャフトで一体に設けられている。
【0033】
前記ロアアーム14の上端部14bとアッパーアーム15の上端部15bが、ステイアーム18の上端部18aに、夫々前記基端部14aの基端軸16aと前記基端部15aの基端軸17aとにおける上下かつ前後の離隔と同一又はほぼ同一の間隔を離隔し、上端軸16bと上端軸17bをもって回動自在に軸支される。
【0034】
前記ロアアーム14の基端部14aを外方側ブラケット13aに軸支する基端軸16aと、前記アッパーアーム15の上端部15bをステイアーム18に軸支する上端軸17bに油圧シリンダー20aが差し渡されて配備される。該油圧シリンダー20aは油圧ポンプを備えたオイル給排装置に接続されて作動する。該オイル給排装置は駆動源ボックス20bに配備される。
【0035】
前記プラットホーム7は、前記ステイアーム18の下端部18bに基端側部基端縁7a1が基端枢軸21により起伏自在に軸支される基端側部7aと、その基端側部7aの基端側部中間縁7a2に対応端の中間縁部中間縁7b1が中間支軸22により軸支されて二つ折り可能に連結される先端側部7bとから設けられる。該先端側部7bの先端側部先端縁7b2にはフラッパー支軸24により起伏自在のフラッパー23が配備される。該フラッパー23はロックレバー支軸26を中心とするロックレバー25の回動により起立状態の保持とその解除が操作される。
【0036】
前記プラットホーム7は、二つ折り自在の軸結の支杆27を、その基端側部基端縁7a1寄りの適所と左側のステイアーム18と右側のステイアーム18の下端部18bの適所とに支軸28をもって回動自在に連結される。実施例では、後述のように、左側のステイアーム18の下端部18bは、ロックポスト29が切離し自在に連結するからロックポスト29の適所となり、右側のステイアーム18の下端部18bは、ヒンジポスト30が一体に連結するからヒンジポスト30の適所となる。
【0037】
本発明に係る車両用内装式リフト1の実施例では、前述のように、四節昇降リンク機構6の左側のステイアーム18と右側のステイアーム18とプラットホームの結合において、プラットホーム7の基端側部基端縁7a1が、一方の左側のステイアーム18の下端部18bとは、切離し自在のロックポスト29との結合、他方の右側のステイアーム18の下端部18bとは、ヒンジポスト30を中心とする回転自在のヒンジ結合に夫々設けられている。そして、左側のステイアーム18と右側のステイアーム18の下端部には上面が通路面19aに設けられた連絡フレーム板19が差渡配備されるものである。
【0038】
前記追従連繋装置9は、
図9、
図11、
図12及び
図13に示すように、四節昇降リンク機構6のロアアーム14の基端軸16aに同心で連結した伝動軸16a1に取付けた第一歯車31と車両2の一方側のケイシング11aに設けた支軸32に回転自在に軸支する第二歯車33を噛み合連繋し、第三歯車34を第二歯車33と同じ支軸32に回転自在に軸支するとともに、第二歯車33と一体に設けたピン受部33aと連繋する送りピン部34aを一体に配備し、該第三歯車34と噛合う第四歯車35を前記一方側のケイシング11aの一方の基端軸12aに回転自在に軸支するとともに第四歯車35に受ピン部35aを一体に設け、該受ピン部35aを渡し板8と一体の送り爪部36と回転が連繋するように設けてなるものである。
【0039】
前記起立付勢装置10の実施例は、
図10及び
図14に示すように、他方側のケイシング11bに配備された他方の基端軸12bに巻きバネ38の環状巻回部38aが巻装支架されるとともに、その車室2aの内方側で上方に引出される内方側引出部38cの先端部38c1が他方側のケイシング11bの係着孔39に嵌入して係着され、かつ、その車室2aの外方側で上方に引出される
外方側引出部38bは、垂直起立姿勢に配置され、前記渡し板8の基端部8aの右側面適所に係合軸40が配備される。
【0040】
前記起立付勢装置10は、前記の構成になるから、前記四節昇降リンク機構6の上昇作動を追従連繋装置9により渡し板8に伝達し、該渡し板8を車室2aの外方伏倒位置から車室2aの内方側へ引起し、渡し板8が起立姿勢の直前の外方側傾斜姿勢で係合軸40を巻きバネ38の外方側引出部38bに衝突し、僅かに回転して渡し板8に巻きバネ38の伏倒回転力を付与したところで四節昇降リンク機構6はプラットホームを最上昇位置に到達し、かつ渡し板8を格納起立姿勢に回動して停止するものである。
【0041】
図16に示すように、渡し板8が格納起立姿勢にある時、二つ折りプラットホームを、左
側のステイアーム
18とロックポスト29
とのロックを解除し、ヒンジポスト30を中心として車両の外側に回転し、出入口3を開口したとき、格納起立姿勢の渡し板8を手動で巻きバネ38に復帰付勢力を蓄積して
図17に示すように車室2aに伏倒可能に設けてなるものである。
【0042】
また、
図17に示すように、渡し板8を車室2aに伏倒した状態に維持する装置として、回転ストッパー41が車両2の車室2aの一方側のケイシング11aより内方の内方側ブラケット13bの側面に取付けられて配備される。
【0043】
図15に示すように、プラットホーム7を折畳み格納状態から
図3に示す車両2の外方に繰り出す使用状態にプラットホーム7を展開する。この展開作動開始時に、渡し板8は、起立状態にあって、かつ、起立付勢装置10により車両2の車室2aの外方へ移動する付勢力が付与されているから、四節昇降リンク機構6が降下作動を開始すると、渡し板8は、起立付勢装置10により外方に押し出され、渡し板8が外方側に一方の基端軸12aと他方の基端軸12bを中心に回転して傾斜すると、重力作用が働きその力により伏倒しようとする。この伏倒作動を追従連繋装置9により四節昇降リンク機構6と連繋して渡し板8を規制して回転させるものである。
【0044】
ロアアーム14の基端軸16aに同心で連結した伝動軸16a1に第一歯車31が一体に設けられているからロアアーム14と一体に作動する。第二歯車33は、前記第一歯車31に噛み合い、第一歯車31にしたがって回転する。第二歯車33はピン受部33aを一体に具え、このピン受部33aは、第二歯車33及び自身を支える支軸32に回転自在に支承される第三歯車34のピン34aと連繋している。
【0045】
ロアアーム14がプラットホーム7を車室2a内の最上の起立格納位置から、車室2a外方の略水平方向の使用状態に回動し、該プラットホーム7と車室2aとに渡し板8を伏倒差渡する作動において、ロアアーム14のプラットホーム7の繰出し回転により渡し板8を起立格納位置に支えていた送り爪部36が渡し板8の重力作用による回転力を受けて送り方向に回転する。この送り爪部36の回転を第四歯車35のピン部35aに伝達し、第四歯車35は噛合う第三歯車34に伝達し、第三歯車34の送りピン部34aにより第二歯車32に伝達する。
【0046】
ロアアーム14のプラとホーム7の繰出しスピードは、油圧シリンダーにより所定速度に規定されるので、渡し板8の伏倒重力作用による回転速度が速い場合は、第二歯車32が第三歯車34の回転を抑えて渡し板8の伏倒速度を所定速度に減速する。
【0047】
図12に示すように、一方側のケイシング11aに配備されるストッパー37に第三歯車34が衝突するとそれ以上下降方向に回転しないで停止位置が維持され、第四歯車35も回転しない。よって、渡し板8は、第三歯車34がストッパー37に当たった所から下降方向へは回転しないので、差渡し姿勢が維持されるものである。
しかし、ロアアーム14の降下回動は継続し、第一歯車31の回転を継続し、第二歯車32を回転する。ロアアーム14が降下作動停止位置がプラットホーム7の車室2aの外方の最下位置になる。この停止位置で第一歯車31、第二歯車32及びピン受部33aの回転を停止する。
【0048】
ロアアーム14が車室2a
の外方の最下位置
のプラットホーム7を上昇させて渡し板8に接続させる上昇作動時には、ロアアーム14の上昇回動による伝動軸16a1の回転により第一歯車31、第二歯車33が回転し、第二歯車33のピン受部33a(点線で示す。)は、
図12に示すように、最下位置では、第三歯車34の
送りピン部34aと離れているので、第三歯車34を押動することがなく、反転して上昇回転して
図11の位置に戻り、再び第三歯車34と一体の送りピン部34aと接触状態になり、第三歯車34の押動が開始するものである。
【0049】
よって、ロアアーム14の上昇回動により第二歯車33のピン受部33aが、第三歯車34と一体の送りピン部34aを押し始める。そして、第三歯車34の回転に伴い第四歯車35を回転し、この第四歯車35と一体のピン35aを送り爪部36に衝突させて渡し板8を起立格納方向に回転させるものである。そして、プラットホーム7が最上位置に達する手前で渡し板8は、その係合軸40が起立付勢装置10の巻きバネ38の外方側引出部38bに当たり、内側へ湾曲して外側への回転力を付与して回動を停止するものである。
【0050】
本発明は、前述のように構成され、プラットホーム7は、四節昇降リンク6の作動で車両2の車室2aの外方へ離れながら下降していくので、昇降の途中位置では、最上昇位置よりもプラットホーム7の通路面7cの高さが低い位置になる。よって、従来の最上昇位置で乗り降りする場合に比べて、車両2の車室2aの出入口3の通路面4aから設置面の高さH2(
図1参照。)が小さくなり、車室2aの出入口3の開口部の高さは大きくなるのである。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明は、車室2aの出入口3に折畳みプラットホーム7が格納された状態では、渡し板は、巻きバネ38を湾曲して車室2aから外方に伏倒力を付与しているから、これを反対方向の車室2aの内方に巻きバネ38を湾曲して外方への起立力を付与して押し倒すことができ、その伏倒状態では回転ストッパー41を係合させてその状態を維持することができ、その広い出入口3を利用して車外又は車内から荷物の出し入れを行うことができる利便性を有する。
【0052】
本発明は、折畳みプラットホーム7を展開して車いすの昇降の用途では、前記渡し板には、前記四節昇降リンク機構6の昇降作動に連動する追従連繋装置9が関連するから、渡し板は、前記四節昇降リンク機構6の動力作動と自重の重力作動で自動的に水平位置に伏倒させることができ、最高上昇位置より降下した位置のプラットホーム7に接続するものであり、プラットホーム7を揺動させることが安定した状態で車両の内外に出入できる。
【0053】
本発明は、起立付勢装置10は、他方側のケイシング11bに配備された他方の基端軸12bに巻きバネ38の環状巻回部38aが巻装支架されるとともに、その車室2aの内方側で上方に引出される内方側引出部38cの先端部38c1が他方側のケイシング11bの係着孔39に嵌入して係着され、かつ、その車室2aの外方側で上方に引出される外方側引出部38bは、垂直起立姿勢に配置され、前記渡し板8の基端部8aの右側面適所に係合軸40が配備され、自動と手動の両作動が可能となったものである。
【0054】
本発明は、前述のように構成され、円滑、快適、堅牢、安全、安価の特徴をもって進化した車両用内装式リフトを、従来、車室の出入口の開口高が低く利用が不可能とされた特別の車種まで利用範囲を拡大するものであり、車室の出入口の通路面の設置面からのは、利用の安全に寄与するものでもある。
【符号の説明】
【0055】
1 車両用内装式リフト
2 車両
2a 車室
3 出入口
4 設置面
4a 通路面
4b 車両端部処理材
4b1 左軸受板部
4b11 左軸受孔
4b2 右軸受板部
4b21 右軸受孔
4c 連絡通路面
5 ベース
6 四節昇降リンク機構
7 プラットホーム
7a 基端側部
7a1 基端側部基端縁
7a2 基端側部中間縁
7b 先端側部
7b1 先端側部中間縁
7b2 先端側部先端縁
7c 通路面
8 渡し板
8a 基端部
8a1 左軸受耳部
8a11 左軸受孔
8a2 右軸受耳部
8a21 右軸受孔
8b 先端部
8c 通路面
9 追従連繋装置
10 起立付勢装置
11a 一方側のケイシング
11b 他方側のケイシング
12a 一方の基端軸
12b 他方の基端軸
13a 外方側ブラケット
13b 内方側ブラケット
14 ロアアーム
14a 基端部
14b 上端部
15 アッパーアーム
15a 基端部
15b 上端部
16a 基端軸
16a1 伝動軸
16b 上端軸
17a 基端軸
17b 上端軸
18 ステイアーム
18a 上端部
18b 下端部
19 連絡フレーム板
19a 通路面
20a 油圧シリンダー
20b 駆動源ボックス
21 基端枢軸
22 中間支軸
23 フラッパー
24 フラッパー支軸
25 ロックレバー
26 ロックレバー支軸
27 支杆
28 支軸
29 ロックポスト
30 ヒンジポスト
31 第一歯車
32 支軸
33 第二歯車
33a ピン受部
34 第三歯車
34a 送りピン部
35 第四歯車
35a 受ピン部
36 送り爪部
37 ストッパー
38 巻きバネ
38a 環状巻回部
38b 外方側引出部
38c 内方側引出部
38c1 先端部
39 係着孔
40 係合軸
41 回転ストッパー