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特許7453703半導体層を被着するための装置、その製造方法及びそれを用いた半導体層の製造方法
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  • 特許-半導体層を被着するための装置、その製造方法及びそれを用いた半導体層の製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-12
(45)【発行日】2024-03-21
(54)【発明の名称】半導体層を被着するための装置、その製造方法及びそれを用いた半導体層の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C30B 29/06 20060101AFI20240313BHJP
   C30B 25/20 20060101ALI20240313BHJP
【FI】
C30B29/06 504A
C30B25/20
【請求項の数】 28
(21)【出願番号】P 2022089404
(22)【出願日】2022-06-01
(62)【分割の表示】P 2019536649の分割
【原出願日】2017-08-24
(65)【公開番号】P2022107727
(43)【公開日】2022-07-22
【審査請求日】2022-06-30
(31)【優先権主張番号】102016117912.4
(32)【優先日】2016-09-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】518140298
【氏名又は名称】ネックスヴァーフェ・ゲー・エム・ベー・ハー
【氏名又は名称原語表記】NEXWAFE GMBH
【住所又は居所原語表記】HANS‐BUNTE‐STRASSE 19, 79108 FREIBURG, BUNDESREPUBLIK DEUTSCHLAND
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】レーバー,シュテファン
(72)【発明者】
【氏名】シリンガー,カイ
【審査官】山本 吾一
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-224143(JP,A)
【文献】特開2013-237592(JP,A)
【文献】特開2013-087048(JP,A)
【文献】特開2014-222755(JP,A)
【文献】特開2013-258179(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C30B
C23C
H01L
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つの半導体層(6)を被着するための装置の製造方法であって、
少なくとも一つの前記半導体層(6)が被着される複数の半導体シード基板(2)を一つの支持体(1、1a、1b、1c、1d、1e)の表面に配置するステップと、
前記半導体シード基板(2)と前記支持体(1、1a、1b、1c、1d、1e)との間に、これらを一体的に結合する一体的結合部(3)を形成するステップと、を含み、
前記一体的結合部(3)は、前記半導体層(6)を形成するために使用される半導体材料からなり
前記一体的結合部(3)は、少なくとも部分的に前記半導体シード基板(2)の側方端面に形成され、
前記半導体シード基板(2)の側方端面に形成される前記一体的結合部(3)により、前記半導体シード基板(2)が前記支持体(1、1a、1b、1c、1d、1e)及び隣接する前記半導体シード基板(2)と結合される製造方法。
【請求項2】
前記半導体シード基板(2)はn型又はp型ドーパントを有し、前記一体的結合部(3)は反対の型のドーパントを有することを特徴とする、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記一体的結合部(3)は、CVD析出によって形成されることを特徴とする、請求項2に記載の製造方法。
【請求項4】
前記一体的結合部(3)は、エピタキシャル析出によって形成されることを特徴とする、請求項3に記載の製造方法。
【請求項5】
前記一体的結合部(3)を形成するステップの前に、前記半導体シード基板(2)の前記支持体(1、1a、1b、1c、1d、1e)とは相反する面を予備処理するステップを更に含むことを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項6】
前記半導体シード基板(2)の前記支持体(1、1a、1b、1c、1d、1e)とは相反する前記面は、前記予備処理によって多孔化され及び/又は被覆層が設けられることを特徴とする、請求項5に記載の製造方法。
【請求項7】
前記一体的結合部(3)を形成するステップは、
前記半導体シード基板(2)を覆うように、前記半導体シード基板(2)が配置される前記支持体(1、1a、1b、1c、1d、1e)の前記表面に結合材料層を形成するステップと、
前記半導体シード基板(2)の前記支持体(1、1a、1b、1c、1d、1e)とは相反する前記面から、当該面を覆う前記結合材料層を除去するステップと、を更に含むことを特徴とする、請求項5又は6に記載の製造方法。
【請求項8】
前記一体的結合部(3)を形成するステップは、
前記支持体(1、1a、1b、1c、1d、1e)の前記表面に残留されている前記結合材料層を、前記半導体シード基板(2)の前記支持体(1、1a、1b、1c、1d、1e)とは相反する前記面と面一になるように平坦化するステップを更に含むことを特徴とする、請求項7に記載の製造方法。
【請求項9】
前記一体的結合部(3)は、少なくとも、前記支持体(1、1a、1b、1c、1d、1e)の前記表面と、前記半導体シード基板(2)の前記支持体(1、1a、1b、1c、1d、1e)に対向する面側との間に形成されることを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項10】
前記支持体(1、1a、1b、1c、1d、1e)の前記表面と、前記半導体シード基板(2)の前記支持体(1、1a、1b、1c、1d、1e)に対向する面側との間の前記一体的結合部(3)は、前記支持体(1、1a、1b、1c、1d、1e)に設けられた少なくとも一つの穴を介して当該一体的結合部(3)のための材料がもたらされることによって形成されることを特徴とする、請求項9に記載の製造方法。
【請求項11】
前記支持体(1、1a、1b、1c、1d、1e)は、各々の前記半導体シード基板(2)の端縁領域に少なくとも一つの凹所を有し、
前記一体的結合部(3)は、少なくとも前記凹所内に形成され、
前記凹所内に形成される前記一体的結合部(3)により、前記半導体シード基板(2)の前記支持体(1、1a、1b、1c、1d、1e)に対向する裏面が前記支持体(1、1a、1b、1c、1d、1e)と一体的に結合されることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項12】
前記支持体(1、1a、1b、1c、1d、1e)の前記凹所は、前記半導体シード基板(2)の端縁の周囲を取り囲む、請求項11に記載の製造方法。
【請求項13】
前記支持体(1、1a、1b、1c、1d、1e)の相反する二つの面に前記半導体シード基板(2)が配置されることを特徴とする、請求項1から12のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項14】
前記一体的結合部(3)を形成するステップの前に、保持要素(8)によって前記半導体シード基板(2)を前記支持体(1、1a、1b、1c、1d、1e)に固定するステップを更に含む、請求項1から13のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項15】
前記一体的結合部(3)を形成するステップの後に、前記保持要素(8)による固定を解除するステップを更に含む、請求項14に記載の製造方法。
【請求項16】
請求項1から15のいずれか一項に記載の製造方法による装置を用意するステップと、
前記支持体(1、1a、1b、1c、1d、1e)に配置された前記半導体シード基板(2)上に少なくとも一つの半導体層(6)を析出するステップと、
前記半導体層(6)を、前記半導体シード基板(2)と前記支持体(1、1a、1b、1c、1d、1e)との間の前記一体的結合部(3)が分離されることなく、前記半導体シード基板(2)から剥離するステップと、を含むことを特徴とする、半導体層(6)の製造方法。
【請求項17】
前記半導体層(6)はエピタキシャル析出によって形成されることを特徴とする、請求項16に記載の製造方法。
【請求項18】
前記半導体層(6)は20μm~500μmの範囲の厚さで析出されることを特徴とする、請求項16又は17に記載の製造方法。
【請求項19】
前記半導体層(6)を析出するステップの前に、前記支持体(1、1a、1b、1c、1d、1e)に配置された前記半導体シード基板(2)の前記支持体(1、1a、1b、1c、1d、1e)とは相反する面を、前記半導体シード基板(2)と前記支持体(1、1a、1b、1c、1d、1e)との間の前記一体的結合部(3)が分離されることなく、予備処理するステップを更に含むことを特徴とする、請求項16から18のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項20】
前記半導体シード基板(2)の前記支持体(1、1a、1b、1c、1d、1e)とは相反する前記面は、前記予備処理によって多孔化されることを特徴とする、請求項19に記載の製造方法。
【請求項21】
前記半導体シード基板(2)と前記支持体(1、1a、1b、1c、1d、1e)との間の前記一体的結合部(3)が分離されることなく、
前記半導体シード基板(2)の前記支持体(1、1a、1b、1c、1d、1e)とは相反する前記面を予備処理するステップ、
前記半導体シード基板(2)上に少なくとも一つの半導体層(6)を析出するステップ、及び
前記半導体層(6)を前記半導体シード基板(2)から剥離するステップ、のプロセスステップを、さらにその他の中間ステップの介在の有無にかかわらず、少なくとも20回にわたって実施することを特徴とする、請求項19又は20に記載の製造方法。
【請求項22】
前記半導体シード基板(2)上に少なくとも一つの半導体層(6)を析出するステップにおいて、
それぞれの前記半導体シード基板(2)上にそれぞれ一つの半導体層(6)が析出されることを特徴とする、請求項16から21のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項23】
前記半導体シード基板(2)上に少なくとも一つの半導体層(6)を析出するステップにおいて、
複数の前記半導体シード基板(2)上に一つの共通の半導体層(6)が析出されることを特徴とする、請求項16から21のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項24】
前記半導体層(6)を剥離するステップの前に、隣接する前記半導体シード基板(2)の間の領域において分離切断(B)を行うステップを更に含むことを特徴とする、請求項23に記載の製造方法。
【請求項25】
前記分離切断(B)は、少なくとも析出された前記半導体層(6)を貫通することを特徴とする、請求項24に記載の製造方法。
【請求項26】
少なくとも一つの半導体層(6)を被着するための装置であって、
少なくとも一つの前記半導体層(6)が被着される複数の半導体シード基板(2)と、
前記半導体シード基板(2)が配置される支持体(1、1a、1b、1c、1d、1e)と、
前記半導体シード基板(2)と前記支持体(1、1a、1b、1c、1d、1e)との間に形成されてこれらを一体的に結合する一体的結合部(3)と、を備え、
前記一体的結合部(3)は、前記半導体層(6)を形成するために使用される半導体材料からなり
前記一体的結合部(3)は、少なくとも部分的に前記半導体シード基板(2)の側方端面に形成され、
前記半導体シード基板(2)の側方端面に形成される前記一体的結合部(3)により、前記半導体シード基板(2)が前記支持体(1、1a、1b、1c、1d、1e)及び隣接する前記半導体シード基板(2)と結合される装置。
【請求項27】
前記支持体(1、1a、1b、1c、1d、1e)は各々の前記半導体シード基板(2)用の少なくとも一つの載置部を有し、
前記載置部において、前記半導体シード基板(2)の前記支持体に対向する裏面は、前記支持体(1、1a、1b、1c、1d、1e)に直接に密接し、
前記支持体(1、1a、1b、1c、1d、1e)は、各々の前記半導体シード基板(2)の端縁領域に少なくとも一つの凹所を有し、
前記一体的結合部(3)は、少なくとも前記凹所内に形成され、
前記凹所内に形成される前記一体的結合部(3)により、前記半導体シード基板(2)の前記支持体(1、1a、1b、1c、1d、1e)に対向する裏面が前記支持体(1、1a、1b、1c、1d、1e)と一体的に結合される、請求項26に記載の装置。
【請求項28】
前記支持体(1、1a、1b、1c、1d、1e)の前記凹所は、前記半導体シード基板(2)の端縁の周囲を取り囲む、請求項27に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のシード基板を支持体に配置するための方法及びシード基板を有する支持体に関する。
【背景技術】
【0002】
大面積電子部品例えば大面積発光素子(OLEDs)又は太陽光電池には、これらのデバイスにおいて当該半導体ウェーハの当該材料コストが当該製品全体の当該コストのうちの大きな部分を占めるために、高品質かつ低コストの半導体ウェーハに対するニーズが存在している。半導体ウェーハの製造には複数の方法が知られており、その際、シリコンブロック(“インゴット”)からソーイング法によって半導体ウェーハが製造される。これにより、高品質の、特に、単結晶半導体ウェーハを製造することが可能である。ただし、当該製造コストは、当該シリコンブロックの当該ソーイング処理時の当該材料損失からしても、コスト高である。
【0003】
そのため、シード基板上に半導体層を析出させ、続いて、それを当該支持体から引き剥がすという別の方法が開発された。こうして、引き剥がされた当該半導体層は、当該電子デバイス製造用の当該半導体ウェーハとして使用される。
【0004】
半導体層を製造するためのこの種の方法にはさまざまな最適化対策が講じられており、例えば国際公開第2013/004851号にあっては、当該コーティングプロセス中の潜在的な寄生析出面積が最小化された。
【0005】
シード基板上に半導体層が析出され、続いて、引き剥がされるという上記公知の方法において、当該シード基板は、当該析出プロセスの間、支持体上に配置されている。この面状支持体は、当該半導体層の当該析出前に当該シード基板が同所に嵌め込まれる収容保持部を有する。当該半導体層が被着された後、当該半導体層を剥離するために、当該シード基板は当該支持体から取り外される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】国際公開第2013/004851号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、上述した当該支持体及びその使用を改善することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的は、請求項に記載の方法によって達成される。
【0009】
本発明による方法は、好ましくは、本発明による上記支持体、特に当該支持体の好ましい実施形態によって実施するために形成されている。本発明による支持体は、好ましくは、本発明による方法、特に当該方法の好ましい実施形態において使用するために形成されている。
【0010】
本発明は、半導体シード基板上に半導体層が被着され、続いて、剥離されるという従来の当該半導体層製造方法において、さまざまなプロセスステップのために異なった支持体が使用され、当該プロセスステップの間に当該支持体への当該半導体シード基板のその都度の配置並びに取外しが行われることにより、大幅なコストが生ずると共に、当該半導体シード基板及び/又は当該半導体層の損傷若しくは破損をもたらし得る欠陥箇所も発生するとの知見を基礎としている。一連の調査の結果、少なくとも一つの、好ましくは複数のプロセスステップの間、当該支持体に当該半導体シード基板を持続的に固定しておくことにより、大幅な簡易化とリスク因子の顕著な減少がもたらされるとの知見が判明した。それゆえ、こうした知見から出発して、当該複数のプロセスステップにわたる持続的な―ただし、当該支持体の当該半導体シード基板の更新のために任意に解除可能な―固定を実現する必要性が存在する。
【0011】
本発明による方法においては、当該シード基板上に半導体層の被着を可能とすべく、一つの支持体に複数の半導体シード基板が配置される。ここで重要な点は、当該シード基板が一体的結合によって当該支持体に配置されることである。
【0012】
当該支持体への一体的結合による当該半導体シード基板の当該配置は以下の利点を有する:― 当該支持体は、当該シード基板のために挿し込み要素もクランプ要素を有する必要がなく、それゆえ、より低コストかつより堅牢に製造可能である。加えてさらに、当該コーティングプロセス中に、挿し込み要素若しくはクランプ要素による当該シード基板のシャドーイングが生ずることはない。
― 個々のプロセス間の当該支持体交換に際する当該シード基板の当該破損リスクが回避される。
― 例えば、すでに当該支持体上に配されたすべてのシード基板の一回的表面処理等の、コスト面で好適な方法上の付加的可能性が生ずる。
― 当該シード基板が一体的結合によって当該支持体に配置されることにより、当該シード基板同士間の間隔を狭小化することができるため、半導体層の当該製造にあたって、当該支持体の所定の面積につき、より大きな収率を達成することが可能である。
― 当該一体的結合によって当該シード基板の機械的安定性がもたらされるため、シード基板が挿し込み収容され若しくはクランプによって保持される従来公知の方法に比較して、より薄いシード基板の使用が可能である。
― 当該支持体への当該シード基板の配置が一体的結合によって安定化され、より薄いシード基板の使用が可能となることにより、半導体層の製造に当該シード基板が使用される製造サイクル数を増加させることができる。これによってコスト節減が達成される。
【0013】
本発明の上記目的は、さらに、支持体によって達成される。当該支持体は、半導体層をコーティングするためのシード基板を有し、その際、当該シード基板は当該基板に配置されている。重要な点は、当該シード基板が一体的結合によって当該支持体に配置されているということである。これによって、上述した一連の利点が生ずる。
【0014】
当該半導体層の当該被着は、好ましくは、化学的気相析出法(Chemical Vapour Deposition,CVD)によって行われる。
【0015】
当該半導体層を、特にCVDによって、エピタキシャル析出被着するのが好適である。
【0016】
半導体層の析出、特に、エピタキシャル析出に際し、当該シード基板は、一般に、800℃を超える温度、特に、およそ800℃~1400℃の範囲の温度まで加熱される。したがって、当該一体的結合は、好適には、次のように―つまり、1000℃までの温度、特に1200℃までの温度、好ましくは1400℃までの温度に対する耐熱安定性を有するように―形成されている。
【0017】
シード基板と支持体との間の当該一体的結合は、好ましくは、以下のグループ―つまり、シリコン、ゲルマニウム、GaAs及びIII-V族半導体、炭素、酸素、SiC、II-VI族半導体―のいずれか一つの材料又は材料コンビネーションによって形成されている。これらの材料は、半導体層の析出プロセス、特に、エピタキシャル析出プロセスにおいても存続する耐熱安定的な一体的結合が形成されるという点で共通している。
【0018】
好適には、シード基板と支持体との間の当該一体的結合は、半導体材料を含んで形成される。このことは、当該一体的結合を形成するのに、当該シード基板上に当該半導体層を生成させるのと同一の析出技術を使用することができるという利点を有する。さらに、一体的結合としての半導体材料は、一般に、高い耐熱安定性を有する。加えてさらに、半導体材料は当該シード基板に良好に付着する。特に好適なのは、当該半導体層の形成に使用されるのと同一の半導体材料を当該一体的結合の形成にも使用することである。
【0019】
好適には、当該一体的結合は、化学的気相析出法(Chemical Vapour Deposition,CVD)によって形成される。
【0020】
好ましくは、当該一体的結合は、エピタキシャル析出法によって形成される。
【0021】
これによって、それ自体として公知の方法及び装置に依拠することができるという利点が得られる。特に、好適な一実施形態において、当該方法及び、特に好適には、以後それによって当該半導体層が形成されることとなる当該装置も、最初に、特に前置された一工程において、シード基板と支持体との間の当該一体的結合の形成に使用することができる。
【0022】
そのため、好適には、当該シード基板が挿し込み固定によって保持されるのではなく、初めに、当該シード基板が当該支持体上に載置される。続いて、好ましくは、半導体材料によって、特に好ましくは、CVD析出によって、当該一体的結合の形成が行われる。続いて、当該シード基板上に当該半導体層が形成される前に、初めに当該シード基板の当該表面を、好ましくは―さらに以下に詳しく説明するように―エッチングプロセス及び/又は多孔化によって処理すること、特に、浄化するのが好適である。
【0023】
さらに別の好適な実施形態において、当該シード基板を一体的結合によって当該支持体に固定すべく、最初に、当該シード基板は、着脱式保持装置により、特に好ましくは、着脱式クランプ装置によって当該支持体に固定される。この種の装置は、例えば、着脱式、ねじ留め式又は差込み式のホルダ、差込み式ばね要素又はねじ留め式ばねアームとして形成されていてよい。当該一体的結合が形成された後、これらの当該着脱式固定手段は取り外されるため、当該シード基板上に当該半導体層が形成される以後のプロセスステップにおいて、当該保持要素によって生ずる支障は生じない。
【0024】
高品質の半導体層を形成するには、当該半導体シード基板は、当該半導体層が生成される、当該支持体とは相反する当該面に、当該半導体層生成プロセスのために最適化された所定の表面を有することが重要である。したがって、好適には、シード基板と支持体との間に当該一体的結合が形成される前に、当該シード基板の当該支持体とは相反する当該面が予備処理、特に多孔化、される。これによって、当該一体的結合の形成後に、場合により、当該シード基板の当該支持体とは相反する当該面に生じた当該一体的結合材料の堆積層を除去することが容易に達成される。
【0025】
好適には、シード基板と支持体との間に当該一体的結合が形成された後かつ当該シード基板上に当該半導体層が被着される前に、当該シード基板の当該支持体とは相反する当該面は、特に、クリーニング及び/又はエッチング除去及び/又は多孔化によって予備処理される。別法として又はさらに加えて、当該シード基板の当該支持体とは相反する当該面に被覆層を付するのが好適である。この種の被覆層は、誘電体―例えば、当該半導体層の酸化物又は窒化物として形成されていてよくかつ、この種の層は―当該半導体材料又はその成分からなる当該一体的結合を除去することなく―湿式化学処理によって除去可能であるという利点を有する。これにより、当該支持体とは相反する当該面は、当該一体的結合の当該形成の間、効果的に保護され、これによって、この面は爾後のプロセスに供されることができる。
【0026】
好適には、当該支持体に配置された当該シード基板上に少なくとも一つの半導体層が析出され、好ましくはエピタキシャル析出される。この場合、別々の半導体層がそれぞれ一つのシード基板上に析出されるようにすることは本発明の範囲に含まれる。複数のシード基板、特に、すべてのシード基板を覆う一つの半導体層が析出されるようにすることも、同じく、本発明の範囲に含まれる。
【0027】
当該半導体層は、好適には、シード基板と支持体との間の当該一体的結合が分離されることなく、当該シード基板から剥離される。これによって、当該シード基板を当該支持体から切り離す必要なしに、当該剥離プロセスの間ずっと半導体層生成のために当該シード基板が使用されるという利点が得られる。
【0028】
好ましくは、シリコン層は当該シード基板上に析出され、好ましくは、20μm~500μmの範囲の厚さ、特に、30μm~300μmの範囲の厚さで、特に好ましくは、エピタキシャル析出される。
【0029】
好ましくは、当該シード基板は、当該半導体層が製造されるのと同一の当該半導体材料から形成されている。特に好適には、本発明による方法及び本発明による支持体は、半導体デバイス、特に太陽光電池を製造するためのシリコンウェーハとして使用されるシリコン半導体層の生成に際して使用される。したがって、当該シード基板は、好ましくは、例えばシリコンウェーハと同じシリコン基板として形成されている。
【0030】
既述したように、高品質の当該半導体層には、シード基板の表面が最適化されているのが好適である。当該シード基板の当該支持体とは相反する当該面を―一方で、当該半導体層の当該生成に適した所定の表面として形成すると共に、他方で、破損リスクの低下した剥離を可能とする、生成された当該半導体層の当該剥離のための所定の剥離領域を生み出すために―多孔化によって予備処理することが知られている。この種の方法及びそれに適した装置は独国特許出願公開第102013219886号明細書から知られている。当該多孔化は、当該シード基板の以後のプロセスステップにおいて当該半導体層が生成さるべき当該面の片面側エッチングプロセスが行われることによって、達成される。この場合、この面だけを電解液で湿潤させ、定電流源によって当該電解液と当該シード基板との間にエッチング電流を発生させ、こうして、片面側エッチングを行なうことが知られている。これは、同じく、独国特許出願公開第102013219886号明細書に開示されている。
【0031】
好適には、先ず、一体的結合による当該支持体への当該シード基板の配置が行われ、続いて、好ましくはDE102013219886A1に開示された方法により、特に好ましくは多孔化のための片面側エッチングによって、当該シード基板の当該支持体とは相反する当該面の片面側処理が行われる。ここで、当該支持体に配置された複数のシード基板を同時に多孔化し得ると共に、さらに、このプロセスに際して、当該シード基板の当該支持体とは相反する当該面上に当該一体的結合材料の残滓があれば当該残滓が除去され及び/又は当該面が平坦化されるという利点が得られる。
【0032】
好適には、n形ドーピング又はp形ドーピングのドーピングによってドープしたシード基板が使用される。これらのシード基板は、例えばSmith et.al;J.Appl.Phys.71,R1(1992);doi:10.1063/1.350839に記述されているような、確立された電気化学的多孔化プロセスが適用可能であるという利点を有する。この場合、シード基板と支持体との間の当該一体的結合を、ドープした半導体材料を含んで形成し、特に、n形ドープ又はp形ドープした半導体材料によって形成し、その際、当該一体的結合が、好ましくは、当該シード基板の当該ドーピングタイプとは反対のドーピングタイプを有しているのが、特に好適である。これによって、当該シード基板の片側である当該表面が電解液によって湿潤されて、エッチング電流の印加によって当該エッチングプロセスが形成されるエッチングプロセスにおいて、電界液と当該シード基板のドーピングタイプとの当該連携によって選択的にもっぱら当該シード基板の当該表面のエッチングが行われ、ただし、当該一体的結合の当該表面のエッチングは行われないという利点が生ずる。これは、異なるドープが行われた二つの半導体領域間の移行部における電流障壁効果並びにn形又はp形ドープした半導体層に関する著しく異なるエッチングプロセスによって可能とされる。
【0033】
別の好適な実施態様において、当該一体的結合の表面を同じく多孔化すべく、同一のドーピングタイプを有し、加えてさらに、同一の濃度のドーパントを有する当該一体的結合が製造される。これは―当該半導体層の当該成長に際し、特に、当該エピタキシャル成長に際し、シード基板と支持体の当該一体的結合は確かに肥厚化されるが、ただし、この肥厚部は続いて、生成された当該半導体層の当該剥離に際して同じく除去可能である―との利点を有する。これによって、シード基板、一体的結合及び支持体からなる当該複合体が、当該支持体とは相反する当該面側に、平坦な、段差のない表面を形成することが保証され得る。
当該一体的結合を一方とし、当該シード基板を他方とした、両者の互いに反対のドーピングタイプは、加えてさらに、選択的にもっぱら当該一体的結合に作用するエッチングプロセスを実施することが可能であり、こうして、特に、当該シード基板を当該支持体から取り去って該基板を交換するために、この種のエッチングプロセスによって当該一体的結合を選択的に除去することもできるという利点を有する。
【0034】
好ましくは、シード基板と支持体との間の当該一体的結合の形成は、当該シード基板が当該支持体の表面に載置され、当該シード基板の少なくとも側方端面領域に当該支持体との一体的結合が形成されることを内実としている。特に、シード基板が一体的結合によって当該支持体及び隣接するシード基板と結合されるのが好適である。したがって、この好適な実施形態において、当該シード基板の当該固定は、好ましくは基本的に、特に好ましくはもっぱら、当該シード基板の側方に配置されて、一方で、当該シード基板の当該側方端面に付着し、他方で、当該支持体の表面に付着する一体的結合によって行われる。それゆえ、側面で見て、シード基板と一体的結合との交互配列が生じ、その際、二つのシード基板の間に一つの一体的結合が配置されて、隣接する当該シード基板の対向する二つの当該端面に付着すると共に、当該支持体の表面に付着する。
【0035】
これによって、当該シード基板が、当該支持体上に載置され、続いて、特に好ましくは、CVDプロセスを通じ、一体的結合によって当該支持体と結合されるというプロセス技術的に容易な方法が所与である。好適な実施態様において、当該シード基板間の所定の横方向間隔を達成すると同時に、当該一体的結合の形成中並びに前置された処理ステップ中におけるずれ変位を回避すべく、スペーサが設けられている。この種のスペーサは、当該一体的結合の形成後に取り去り可能な取外し式スペーサであってよい。同じく、当該支持体に、当該シード基板を収容するための窪みが形成されていてもよい。同じく、当該シード基板の当該周囲端面の一つ又は複数の部分領域に単に接するだけのスペーサが当該支持体に形成されていてもよい。当該半導体層の当該形成のために取り去られることのないスペーサ、特に、当該支持体と一体に形成されたスペーサの場合には、当該スペーサは、当該支持体にシード基板が配置された際に、当該シード基板の当該厚さよりも僅かに高いのが好適である。これによって、当該スペーサは、当該一体的結合の当該形成中に、好ましくは当該一体的結合によって被覆され、こうして、当該半導体層が形成される際にも、場合により当該半導体層が当該一体的結合上に形成されても、それが直接に当該スペーサに接して形成されることはない。これによって、剥離時に破損リスクを高めることとなる、当該スペーサへの当該半導体層の直接の付着が回避される。
【0036】
既述したように、各々のシード基板上にそれぞれ一つの半導体層が被着されることは、本発明の範囲に含まれる。同じく、隣接する二つのシード基板の当該半導体層が互いに結合されて、特に、一つの共通の半導体層を形成することも、本発明の範囲に含まれる。好ましくは、隣接する二つのシード基板の間に当該一体的結合が配置され、かつ、当該支持体とは相反する当該面に、隣接する当該シード基板との間の、平坦な表面を有する、特に、一つの共通の平坦な表面を有する当該一体的結合が形成される。これは、好ましくは、先ず当該一体的結合の形成が行われ、続いて、表面処理ステップにおいて、特に、機械的表面処理及び/又はエッチングによって平坦な当該表面が形成されることによって達成可能である。
【0037】
好ましくは、一体的結合によって当該支持体に配置された当該シード基板上に少なくとも一つの半導体層が被着され、当該半導体層の剥離前に、隣接する二つのシード基板の間の領域において分離切断が行われる。この分離切断は、材料剥削によって、特に機械式材料剥削によって、アブレーションによって、特にレーザアブレーションによって又は化学的に、特にエッチングプロセスによって行なうことができる。好ましくは、当該分離切断は、少なくとも当該被着半導体層を完全に分断する。それゆえ、これによって、当該半導体層の剥離前にすでに個別化が行われているために、いずれのシード基板にもそれぞれ一つの生成半導体層が対応させられており、半導体層の剥離に際して、当該半導体層と隣接する一つの半導体層とが万一結合されていることに起因する破損リスクが生ずることはない。
【0038】
当該半導体層を最初に完全に剥離することは本発明の範囲に含まれる。これによって、特に大面積の半導体層を製造することができる。同じく、当該半導体層を、剥離後に、例えば、特に鋸断による又はレーザによる分離切断によって個別化することも可能である。
【0039】
当該半導体層の間に一体的結合が形成されている限りで、好ましくは、分離切断は行われないか又は当該一体的結合の当該領域にごく僅かに食い込むだけの分離切断が行われ、こうして、当該分離切断による当該一体的結合の引き離し又は脆弱化が回避される。
【0040】
好ましくは、当該シード基板は少なくとも、当該支持体に対向する当該面側において、一体的結合によって、当該支持体と結合される。この好適な実施形態において、支持体とシード基板との間の、特に安定した、特に大面積の一体的結合を達成することが可能である。この場合、当該支持体が穴を有し、かくて、当該シード基板が当該支持体に配置され、当該支持体に設けられた穴、好ましくは複数の穴を介して、シード基板と支持体との間の当該一体的結合用の材料がもたらされるようにするのが好適である。ここで、当該一体的結合を、化学的気相析出法(Chemical Vapour Deposition,CVD)によって、特に、エピタキシャル析出によって、特に、大気圧にて又は低い気圧のプロセス圧力にて、特に、LPCVD(low pressure CVD)によって形成するのが好適である。これによって、当該支持体及び当該一体的結合生成用の穴への当該プロセスガスの侵入が容易化される。
【0041】
さらに別の好適な実施態様において、支持体とシード基板との間の当該一体的結合は、プラズマ溶射又はフレーム溶射によって形成される。これによって、速やかにして低コストの方法が可能となる。
【0042】
さらに別の好適な実施態様において、当該支持体の相反する二つの面のそれぞれに、一体的結合によって、シード基板が配置される。これにより、当該支持体の両面に半導体層を析出させることができるため、当該半導体層の被着に際して、当該プロセススペースを、特に省スペース的に活用することができるという利点が得られる。
【0043】
ここで、本発明による方法及び本発明による支持体の特別な利点が判明する。すなわち、当該一体的結合によって、当該支持体への当該シード基板の、特に安定した付着が所与であるために、当該個々の処理ステップに際し、特に、当該半導体層の被着前の、例えば多孔化による当該表面処理に際し又は当該半導体層の当該剥離に際し、当該支持体の当該面のシーケンシャル処理も可能であり、特に、下側にも一体的結合されたシード基板を有する当該支持体を水平に配置することが可能であるということである。というのも、シード基板と支持体との間の当該一体的結合によって、当該シード基板の落下若しくは滑落が防止されているために、当該支持体の両面が使用される場合にも、容易な取扱いが可能だからである。
【0044】
好適な、安定した、それにも係わらず任意に容易に除去することのできる一体的結合は、当該シード基板が少なくとも端面の一部及び当該支持体に対向する当該面の部分領域において、当該支持体と一体的結合されることによって達成される。これによって、当該一体的結合の高い安定性が所与である。
【0045】
それにも係わらず、側方端面における一体的結合並びに当該支持体に対向する当該面の部分領域のみに存在する一体的結合を、例えばエッチングプロセスによって、容易に除去することが可能である。この場合、当該支持体に対向する当該面に形成される当該一体的結合が当該シード基板の一つ又は複数の端縁領域に形成されるのが、特に好適であるが、それはここで容易に機械式に又はエッチングプロセスによってこの種の結合を除去することが可能だからである。これによって、当該シード基板の当該支持体に対向する当該面におけるシード基板と支持体との間の大面積の、特に全面におよぶ一体的結合に比較して、当該支持体からのシード基板のいっそう容易な取り去りが可能となる。
【0046】
既述したように、本発明による方法により、当該シード基板の多重使用が可能となる。
したがって、当該シード基板が、一体的結合によって、当該支持体に配置され、シード基板と支持体との間の当該一体的結合が分離されることなく、複数回にわたって、
当該シード基板の当該支持体とは相反する当該面の予備処理、
当該シード基板上への少なくとも一つの半導体層の被着、
当該シード基板からの当該半導体層の剥離、のプロセスステップが、さらにその他の中間ステップの介在の有無にかかわらず、特に少なくとも20回、特に好ましくは少なくとも50回にわたって、実施されるのが好適である。これによって、コストパフォーマンスに優れた製造方法が達成される。
【0047】
好ましくは、当該支持体は各々のシード基板用の少なくとも一つの載置部を有し、同所において、当該シード基板の当該支持体に対向する裏面は当該支持体に直接に密接している。さらに、当該支持体は、各々のシード基板の端縁領域に少なくとも一つの凹所、好ましくは、当該シード基板の当該端縁の周囲を取り囲む一つの凹所を有し、同所において、当該シード基板の当該裏面は当該支持体と一体的結合されている。これによって、既述した一連の利点が達成される。特に、好適には、当該凹部は少なくとも部分的に、特に好ましくは、当該シード基板の当該支持体に対向する当該裏面の当該端縁領域を周回して下側に配置される。
【0048】
当該シード基板は、好ましくは、10cm~50cmの範囲の辺長を有し、好ましくは方形に、特に好ましくは正方形に形成されている。当該支持体は、好ましくは、少なくとも9個、好ましくは少なくとも12個、より好ましくは少なくとも16個、さらに好ましくは少なくとも20個のシード基板を収容するように形成されている。
【0049】
当該半導体層は、好適には、シリコンから形成されている。当該半導体層は、好ましくは、それ自体公知の方法により、特に、Habuka et al.“Model on transport phenomena and epitaxial growth of silicon thin film in SiHCl3-H2 system under atmospheric pressure”,Journal of Crystal Growth 169(1996)61-72又はNarusawa,“Si Deposition from Chlorosilanes”,J.Electrochem.Soc.,Vol.141,No8,August 1994に記載されているような方法によって製造される。当該支持体は、好ましくは、以下の材料、グラファイト、シリコン、石英、炭化ケイ素又は窒化ケイ素のいずれか一つ又は複数又はこれらの材料の複合材料及び合成材料から形成されている。当該支持体は、好ましくは、0.1cm~15cmの範囲、特に好ましくは0.3cm~8cmの範囲の厚さを有する。好ましくは、当該支持体は、当該半導体層の膨張に適合した熱膨張率を有する。
【0050】
当該半導体シード基板は、好ましくは、それが消耗した場合に交換される。これは、所定の最小厚さを下回ったこと、所定の回数のプロセスサイクルを完了したこと又は、特に、破損又は非常に不均等な損耗の有無に関する個別的チェックによって判明し得る。当該交換のために、例えばエッチングによって当該一体的結合を完全に除去することが可能であり、こうして、当該シード基板を当該支持体から取り外すことができる。続いて、新たなシード基板が一体的結合によって当該支持体に配置されて、当該支持体は再使用される。
【0051】
好ましい実施形態において、強度な損耗に対処すべく、当該シード基板の当該厚さは引き上げられる。それゆえ、そのために、当該シード基板の材料が、当該シード基板の当該支持体とは相反する当該面上に被着され、好ましくはエピタキシャル析出によって被着される。したがって、この場合、中間相の形成、特に、当該シード基板の当該表面の多孔化は行われないが、それは新たに被着された当該層が持続的に当該シード基板の当該表面上に残存させられる必要があるからである。
【0052】
したがって、この実施例において、当該シード基板の当該厚さはエピタキシャル析出によって再び引き上げられるために、上述したプロセスサイクルにおける持続的使用が可能となる。当該シード基板の当該厚さの当該引上げは、好ましくは、当該基板が所定の最小厚さを下回った場合、所定の回数のプロセスサイクルの完了後又は個別的チェック、特に目視点検の結果によって行われる。
【0053】
以下、当該図面及び実施例を参照して、その他の好ましい特徴及び実施形態を説明する。各図は以下を示す。
【図面の簡単な説明】
【0054】
図1】一体的結合されたシード基板を有する、本発明による支持体の一実施例の部分断面図である。
図2図1に示した上記支持体の部分斜視図である。
図3】被着された結合材料を有する、本発明による方法の一実施例の中間ステップを示す図である。
図4】分離切断実施後の、本発明による方法の上記実施例のさらに別の中間ステップを示す図である。
図5】本発明による支持体の、スペーサを有するさらに別の実施例を示す図である。
図6】本発明による支持体の、着脱式取付け可能な保持要素を有するさらに別の実施例を示す図である。
図7】本発明による支持体の、両面側に配置されたシード基板を有するさらに別の実施例を示す図である。
図8】本発明による支持体の、着脱式取付け可能な保持要素を有すると共に、シード基板と支持体との間の大面積一体的結合によるさらに別の実施例を示す図である。
図9】本発明による支持体の、一体的結合されたシード基板を有するさらに別の実施例を示す図であり、その際、当該一体的結合は、当該シード基板の端面側並びに、端縁領域に限定されて、当該シード基板の当該支持体対向面側で行われる。
【発明を実施するための形態】
【0055】
いずれの図面も、縮尺が正確ではない概略的な図を表している。同一又は機能的に同一な要素には同一の符号が付されている。
【0056】
図1は、表面側に複数のシード基板2が配置された、本発明による支持体1の一実施例を示す。
【0057】
前記支持体はグラファイト板として形成され、3×3個のシード基板2を配置するために形成されている。前記支持体は10mmの厚さを有する。当該シード基板は正方形の基本形状を有するシリコンウェーハとして形成され、本実施例において、当該辺長は157mmである。当該シード基板は、ドーパントとしてのホウ素による、1×1018At./cm~1×1019At./cmの範囲の、本実施例においては、約5×1018At./cmのpドーピングを有する。
【0058】
シード基板2の側方端面側にはそれぞれ、当該シード基板同士の間に一体的結合3が配置されている。当該一体的結合は、5×1014At./cm~3×1015At./cmの範囲の、本実施例においては、9×1014At./cmのドーパント濃度を有する、ドーパントとしてのリンによってn形ドープしたシリコンから形成されている。
【0059】
一体的結合3は、一方で、シード基板2の当該側方端面に付着すると共に、他方で、図1において上側に示した、支持体1の当該表面に付着している。したがって、シード基板2は、一体的結合3によって、支持体1に固定されている。その際、一体的結合3は、シード基板2の少なくとも二つの側方端面、好適には、シード基板2の四つの側方端面すべてを覆っている。
【0060】
図2は、支持体1の部分斜視図を示す。図示されているのは当該右下の隅であり、その際、四個のシード基板が可視である。側面で見て、シード基板2同士の当該側方端面間には、それぞれ一つの一体的結合3が配置されている。当該一体的結合は、当該シード基板の四つの側方端面側のすべてに形成されている。
【0061】
したがって、図1及び2は、共に同じく、一つの支持体1に複数のシード基板2を配置するための本発明による方法の一実施例の当該結果を示しており、その際、シード基板2は、一体的結合3によって、当該支持体に配置される。
【0062】
図3は、この第一の実施例の部分ステップを示している。最初に、シード基板2は、個別に、表面が多孔化されて、分離層5が生成された。これは、先に説明したように、それ自体として公知の片面側エッチングプロセスによって実施された。続いて、シード基板2は、0.1mm~10mmの範囲の―本実施例においては2mm―の側方間隔を保って、支持体1上に配置され、その際、多孔化によってベース基板2の当該表面に形成された分離層5は、支持体1とは相反する当該表面側に配置された。
【0063】
続いて、当該支持体はCVD蒸着装置内に誘導されて、化学気相析出によってシリコンが蒸着された。当該結果は図3に示されている。
【0064】
当該析出により、シード基板2の当該側方端面を支持体1と結合する一体的結合3が形成された。ただし、さらに加えて、シード基板2上における寄生一体的結合4の析出も生じた。しかしながら、シード基板2の当該表面には分離層5が形成されていたことにより、以後のステップにおいて寄生一体的結合4を容易に分離することができるため、一体的結合3のみが残存する。当該一体的結合は、寄生一体的結合4と一体的結合3との間の領域で破断される。当該領域は、好ましい実施形態において、続いて、機械式処理又はエッチング処理によって一体的結合3が平坦化され、こうして、一体的結合3の支持体1とは相反する当該面は、シード基板2の支持体1とは相反する当該面と共に一つの平坦面を形成する。
【0065】
別法として、寄生一体的結合4は機械式に除去することが可能であり、特に、研磨によって除去することが可能である。それゆえ、分離層5を形成することは絶対不可欠というわけではない。さらに、別法として、寄生一体的結合4はエッチングによって取り除くことが可能である。この場合にも、同じく、分離層5は絶対不可欠というわけではない。この好適な実施態様において、シード基板2は一体的結合3とは反対のドーピングを有するのが、特に好適である。この場合、選択的に一体的結合3だけをエッチングして、シード基板2の表面で停止する、電解液とエッチング電流の印加によるエッチングプロセスを実施することができる。
【0066】
さらに別の好適な実施態様において、寄生一体的結合4の除去前に、特に、寄生一体的結合4の当該厚さと略同じ深度を有するレーザアブレーションによる、領域Aにおける分離切断が実施される。このようにして、寄生一体的結合4の除去に際して、一体的結合3の損傷若しくは付着力の低下が発生することが、特に効果的に回避される。
【0067】
図4は、上記第一の実施例のさらに別の部分ステップを示している。一体的結合3によるシード基板2の配置及び寄生一体的結合4の除去が行われた後、シード基板2の当該表面が予備処理された。すなわち、電解液による片側面の湿潤とエッチング電流の印加により、上記と同様にして、シード基板2の当該表面上に多孔化によって分離層5が生成された。ここで本発明の利点の一つが判明する。つまり、シード基板2の当該表面における当該分離層の当該形成は、当該シード基板を支持体1から引き離すことなく、行なうことができるために、支持体1に配置されたいっさいのシード基板2の当該表面を一回の方法ステップで処理することができるということである。
【0068】
分離層5が形成された後、支持体1は、一体的結合3によって支持体1に固定されている一連のシード基板2と共に、CVD蒸着装置内に誘導されて、それ自体公知の方法で半導体層6の蒸着が行われた。この実施例において、半導体層6は、図4に示したように、いっさいのシード基板2及びそれらの間に介在する一体的結合3を被覆している。
【0069】
半導体層6を剥離するために、最初に、分離切断Bによる個別化が行われる。この分離切断は、同じく、レーザアブレーションによって実施され、一体的結合3に沿って、つまり、シード基板2同士の間の当該中間隙間に沿って半導体層6を分断し、こうして、結果としてそれぞれのシード基板2には、先に全体を被覆していた半導体層6のそれぞれ一部である半導体層6が対応させられていることとなる。
【0070】
分離切断Bは次のように―つまり、少なくとも半導体層6の当該厚さを完全に切断し、念のため、僅かに(本実施例においては、約0.05mmだけ)一体的結合3に食い込んで、半導体層6の完璧な切断が保証されるように―選択されている。ただし、分離切断Bは、一体的結合3に僅かに食い込んでいるだけであって、決してそれを完全に切断しているわけではないために、一体的結合3の当該付着効果は損なわれていない。
【0071】
続いて、シード基板2からの個々の半導体層6の機械式剥離が行われる。
【0072】
シード基板2を一方とし、一体的結合3を他方とした両者間の、本実施例において、反対の当該ドーピングにより、一体的結合3の領域における分離層5は、より薄く形成されるかあるいは全く形成されないようにすることが可能である。この場合、半導体層6の析出に際し、半導体層6と一体的結合3との間に、より安定した結合が形成される。ただし、この場合にも、分離切断Bによって、個別化された当該半導体層の破損不感な剥離を行なうことができる。この場合、分離切断Bは、好ましくは、当該シード基板同士間の当該間隔の少なくとも90%、特に好ましくは90%~99%に等しい幅を有する。同じく、当該分離切断は、当該半導体層と当該シード基板同士間の当該領域との結合を確実に回避するために、当該シード基板同士間の当該間隔の全幅に等しい幅又は当該シード基板同士間の当該間隔を上回る幅を有していてよい。
【0073】
別の実施例において、一体的結合3は、シード基板2と同一のドーピングタイプを有し、また、好ましくは同一の当該ドーパントを有すると共に、特に好ましくは同一のドーパント濃度も有する。これによって、分離層5が、半導体基板2同士の間にあって、一体的結合3をも被覆することが保証される。
【0074】
図4から看取されるように、これによって、半導体層6は、一体的結合3が被覆されていることにより、シード基板2よりも僅かに大きいという利点が得られる。したがって、さらに別の後処理において、例えば、シード基板2の当該サイズを達成するために、半導体層6の端縁領域をレーザ切断によってぐるりと切り取ることにより、半導体層6の辺縁確定を行なうことができる。これによって、一方で、正確な辺縁確定と正確な形状が所与であると共に、さらに、結晶面上にあるいはドープした半導体層のドーピング面への析出に際して不整性が生じ得る端縁領域が除去されて、高品質の半導体層6が達成される。
【0075】
続いて、一体的結合3によって支持体1に固定されたシード基板2に、新たに、上記と同様にして、分離層5が設けられることにより、新たに、シード基板2の表面確定が行われる。続いて、新たに、半導体層6の当該析出が行われる。ここで、場合により先に行われた分離切断Bにおいて行われた一体的結合3の部分的除去が、今や新たな半導体層6の当該析出に際して、半導体材料によって再び充填されることに注意されたい。続いて、再び、分離層と今や新たに生成された半導体層6の剥離が行われる。
【0076】
このサイクルは複数回反復され、その際、それぞれのサイクル毎に、当該シード基板の当該厚さは当該分離層が生成されることによって僅かに減少する。ただし、100μm~2mmの―本実施例にあっては、0.5mmの―当該シード基板の厚さによって、本方法を100サイクルにわたって実施することが可能である。
【0077】
したがって、ここで、本発明の特別な利点が判明する。つまり、当該支持体に一体的結合3によって当該シード基板を配置するための当該方法ステップは一回だけ実施されるだけでよく、続いて、多数回にわたって、半導体層6を製造するためのプロセスサイクルを実施することができるということである。
【0078】
ここで、それぞれの方法ステップにおいて、特に、半導体層6の剥離に際しても、シード基板2はシード基板2自体の当該破損リスクが著しく低減されているという点も重要である。
【0079】
シード基板2が最小厚さを下回った場合には、例えば、エッチングによって一体的結合3を完全に除去することが可能であり、その結果、当該シード基板を支持体1から取り去ることができる。続いて、新たなシード基板2が一体的結合により、上記と同様にして、支持体1に配置されて、当該支持体は再使用される。
【0080】
別の実施例において、シード基板2の当該厚さはエピタキシャル成長によって再び引き上げられ、こうして、上記プロセスサイクルによる持続的使用が可能である。
【0081】
図5は、本発明による支持体の第二の実施例を示す。この実施例は、支持体1aと一体に形成されたスペーサ7を有する。この場合、シード基板2のそれぞれの側方端面側にスペーサ7が、例えば、等間隔で配置されているために、スペーサ7の間に嵌め込まれたシード基板2は、側面で見て、二つの空間方向に固定されている。ただし、スペーサ7の高さはシード基板2の高さよりも低い。スペーサ7によって、以後の一体的結合3の生成時に、外部の影響例えば振動又は衝撃に起因して、シード基板2のずれが生ずることが回避される。スペーサ7が配置されている当該領域において、一体的結合3はスペーサ7上に配置される。他方、スペーサ7同士の間には、例えば図1に示したのと同様な断面が生ずる。
【0082】
図6は、支持体のさらに別の実施例を示す。支持体1bは、ねじ山を具えた保持要素8を螺挿することのできる穴を有している。したがって、この支持体1bにより、先ず、シード基板2が同所に載置され、続いて、それが保持要素8の螺挿によって固定されるため、シード基板2は、保持要素8がトラス頭を有していることから、全体として三つの空間方向に固定されている。
【0083】
続いて、一体的結合3の生成が行われる。この一体的結合は、したがって、保持要素8が位置していない当該領域において、シード基板2を支持体1bに固定する。続いて、保持要素8は、螺脱によって容易に取り外すことができる。当該半導体層の析出が行われる以後の方法ステップにおいて、当該ねじ穴及び先に保持要素8による固定が行われたシード基板2同士の間の当該中間領域は当該半導体層の材料によって充填される。
【0084】
図7には、本発明による方法のさらに別の実施例が示されている。この方法は、基本的に、上記第一の実施例と同じである。ただし、支持体1cの第一の面側に一体的結合3によるシード基板2の固定が行われた後、さらに、支持体1cは反転されて、当該プロセスが反復され、支持体1cの、今やなにも載置されていない上側面上に再びシード基板2が配置されて、一体的結合3による固定が行われる。
【0085】
これによって、図7に示したように、シード基板の両面配置が生ずる。これは、半導体層6用の析出装置の、特に効率的な利用を可能にする。
【0086】
本発明による支持体のさらに別の実施例1dにおいて、支持体1dへのシード基板2の、特に安定した、面状固定が行われる。図8から看取されるように、支持体1dは貫通した充填穴9a及び結合窪み9bを有する。この場合、支持体1d上にシード基板2が載置された後、シード基板2は、最初に、図6に示したプロセスと同様にして、保持要素8の螺挿によって固定される。続いて、充填穴9aを通して、結合窪み9b内への当該一体的結合を形成するための材料の供給が行われる。この場合、保持要素8はシード基板2が上方へ浮揚することを防止する。結合窪み9bにより、シード基板2と支持体1dとの間に大面積一体的結合が達成される。
【0087】
続いて、先に述べたようにして、保持要素8の螺脱、シード基板2の予備処理及び半導体層6の析出が行われる。
【0088】
図9には、支持体のさらに別の実施例1eが示されている。この支持体1eは、同じく、結合窪み9cを有しているが、ただし、該窪みは、支持体1eのシード基板2との当該対向面側においてシード基板2同士の間の当該中間隙間を覆っている。したがって、この実施例においては、充填穴は不要である。つまり、支持体1e上にシード基板2が載置された後、一体的結合3の形成に際して、一体的結合3による結合窪み9cの充填も行われるからである。当該結合窪み9cは、シード基板2の支持体1eとの対向裏面側の端縁領域において、当該シード基板の下側に配置されているために、支持体1eとの一体的結合はシード基板2の当該側方端面側におけるのみならず、シード基板2の当該裏面の端縁領域においても行われることになる。これによって、同じく、特に安定した固定が保証されている。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9