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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-12
(45)【発行日】2024-03-21
(54)【発明の名称】二次電池管理装置
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20240313BHJP
   G06Q 50/06 20240101ALI20240313BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20240313BHJP
【FI】
G06Q50/10
G06Q50/06
H01M10/48 A
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2022100821
(22)【出願日】2022-06-23
(62)【分割の表示】P 2019562138の分割
【原出願日】2018-12-27
(65)【公開番号】P2022136082
(43)【公開日】2022-09-15
【審査請求日】2022-07-11
(31)【優先権主張番号】P 2017250584
(32)【優先日】2017-12-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】514248411
【氏名又は名称】Future Science Research株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002273
【氏名又は名称】弁理士法人インターブレイン
(72)【発明者】
【氏名】松村 昭彦
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 宏治
(72)【発明者】
【氏名】吉井 祐弥
(72)【発明者】
【氏名】原田 雅子
【審査官】貝塚 涼
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-166874(JP,A)
【文献】特開2013-084199(JP,A)
【文献】特開2015-032067(JP,A)
【文献】特開2016-170600(JP,A)
【文献】特開2015-121520(JP,A)
【文献】特開2016-170771(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
H01M 10/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
二次電池を駆動電源とする電子機器と通信ネットワークを介して接続され、
前記電子機器から、前記二次電池の性能情報を参照する性能情報取得部と、
前記二次電池の所定の単位期間における性能の劣化度の変化量を測定する劣化測定部と、
前記劣化度の変化量に応じて、前記単位期間における前記二次電池の使用料を計算する料金計算部と、
前記二次電池の性能の単位期間あたりの劣化度の変化量に基づいて、所定の将来時点における前記二次電池の劣化度を予測する劣化予測部と、を備え、
前記性能情報取得部は、定期的に前記性能情報を取得し、
前記劣化測定部は、定期的に取得される前記性能情報の変化から前記劣化度を測定し、
前記料金計算部は、前記単位期間あたりの請求額として前記使用料を計算する、二次電池管理装置。
【請求項2】
前記二次電池の劣化度の予測に基づいて、前記二次電池の将来の使用料を予測する料金予測部と、
前記予測された将来の使用料を前記電子機器のユーザに通知する料金通知部と、を更に備え、
前記劣化測定部は、第1時点における前記二次電池の第1劣化度と、前記第1時点よりも後であって現在以前の第2時点における前記二次電池の第2劣化度の差分値である第1差分値を算出し、
前記単位期間は、前記第1時点から前記第2時点までの期間であり、
前記料金計算部は、前記第1差分値に基づいて、前記単位期間における前記二次電池の使用料である第1料金を計算し、
前記劣化予測部は、前記第1差分値に基づいて、前記第2時点よりも後であって将来の第3時点における第3劣化度を予測し、かつ、前記第2劣化度と前記第3劣化度の差分値である第2差分値を計算し、
前記料金予測部は、前記第2差分値に基づいて、前記第2時点から前記第3時点までの前記二次電池の将来の使用料である第2料金を予測する、請求項1に記載の二次電池管理装置。
【請求項3】
前記劣化測定部は、定期的に、前記二次電池の劣化度を測定し、
前記性能情報取得部が前記二次電池の性能情報を参照する周期と、前記劣化測定部が前記二次電池の劣化度を測定する周期は同一ではない、請求項1または2に記載の二次電池管理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二次電池の管理、特に、二次電池の使用料を管理するための技術、に関する。
【背景技術】
【0002】
二次電池の市場は順調に拡大を続けている。電気自動車、モバイル端末、電動アシスト自転車、無停電電源装置など、二次電池を利用する製品は幅広い。二次電池の特徴は、充放電を繰り返すことにより長期間にわたって使用できることである。二次電池は、小型で低価格のものから大型で高価格なものまで用途に応じてさまざまである。一般的には、ユーザは、二次電池を購入し、二次電池が製品寿命に至ったときに新たな二次電池を再度購入する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-55638号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
二次電池の購入はユーザにとって負担が大きい場合もある。電子機器によっては、本体価格の大部分を二次電池の価格が占めることもある。本発明者らは、二次電池を無料で貸与または譲渡し、その使用料を徴収すれば、ユーザは二次電池を導入しやすくなるのではないかと想到した。
【0005】
二次電池の使用料の決め方については、さまざまな方法が考えられる。一例として、単位期間ごとに定額使用料を徴収する方法が考えられる。この方法の場合には、二次電池を使っていなくても定額使用料が発生するため、二次電池を少ししか使用しないユーザには不利である。また、ユーザは、定額使用料を支払う以上、二次電池を使わなければ損だと考えてしまうため、二次電池の無駄な利用を促すことにもなりかねない。
【0006】
特許文献1は、貸与や譲渡に関するものではないが、二次電池の充電量に応じて課金する方法を提案する。そこで、二次電池の充電量や充電回数に応じた従量制にて使用料を徴収する方法も考えられる。しかし、この方法は、充電量等を計測するセンサの故障やデータ偽造のリスクが懸念される。二次電池の流通量が増加する中で、二次電池の長寿命化を目的とした課金システムについての提案はなされていない。
【0007】
本発明は、上記課題認識に基づいて完成された発明であり、その主たる目的は、二次電池の使用料を合理的に算定するための技術、を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のある態様における二次電池管理装置は、二次電池を駆動電源とする電子機器と通信ネットワークを介して接続される。
この装置は、電子機器から、二次電池の性能情報を取得する性能情報取得部と、二次電池の所定の単位期間における性能の劣化度を測定する劣化測定部と、劣化度に応じて、単位期間における二次電池の使用料を計算する料金計算部と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、二次電池の使用料を合理的に算定しやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】二次電池管理システムのハードウェア構成図である。
図2】二次電池の経年劣化パターンを模式的に示すグラフである。
図3】二次電池管理装置の機能ブロック図である。
図4】電池管理情報のデータ構造図である。
図5】使用料の算出過程を示すフローチャートである。
図6】二次電池の発注処理を示すフローチャートである。
図7】劣化行動履歴情報のデータ構造図である。
図8】使用履歴に応じた二次電池の経年劣化パターンを模式的に示すグラフである。
図9】行動集計情報のデータ構造図である。
図10】第2実施形態における二次電池の機能ブロック図である。
図11】二次電池の放電容量を計測する計測回路の回路図である。
図12】二次電池の使用にともなうSOH(容量維持率)の劣化を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下においては、第1実施形態として、通信ネットワークを介して二次電池の情報を収集するシステムについて説明し、次に、第2実施形態として、二次電池に情報を保存しておき二次電池の交換時または充電時に情報を収集するシステムについて説明する。第1実施形態および第2実施形態をまとめていうとき、または、特に区別しないときには「本実施形態」と記載する。以下においては、交換時に情報収集をするものとして説明するが、充電時に情報収集を実行するとしてもよい。また、本実施形態においては二次電池を対象として説明するが、燃料電池に対しても同様のシステムを構築可能である。
【0012】
[第1実施形態]
図1は、二次電池管理システム200のハードウェア構成図である。
二次電池管理システム200においては、二次電池を駆動電源とするモバイル端末202、電気自動車204、飛行機206、船舶208などがインターネット212を介して二次電池管理装置100と接続される。以下、二次電池を駆動電源とする装置のことをまとめて「電子機器210」とよぶ。二次電池は、いずれも、二次電池管理装置100の運営者(以下、「システム運営者」とよぶ)から貸与されたものである。電子機器210のユーザは二次電池を購入する必要はなく、システム運営者から二次電池を借りてその使用料を定期的に支払う。本実施形態においては、二次電池の劣化度に基づいて、二次電池の使用料を決める(劣化度の詳細は後述)。
【0013】
二次電池管理装置100には、二次電池を製造する二次電池メーカー216、使用料の決済を実行する金融機関214も接続される。二次電池管理装置100は、定期的に、各二次電池の劣化度を測定する。本実施形態においては、1ヶ月ごとに劣化度を測定する。たとえば、電気自動車204の二次電池の10月31日の劣化度が5%、11月30日の劣化度が8%であれば、11月の使用料は劣化度3%(=8‐5)に基づいて定められる。二次電池管理装置100は、電気自動車204のユーザに使用料を通知し、ユーザは使用料を金融機関214にて支払う。
【0014】
二次電池の劣化度が所定値以上となると、二次電池管理装置100はユーザに二次電池の交換を通知する。このとき、二次電池管理装置100は二次電池メーカー216から新規の二次電池をユーザに配達するように指示し、二次電池メーカー216は古い二次電池を回収する。二次電池管理装置100は、複数の電子機器210について二次電池の交換時期を管理し、二次電池メーカー216に対して生産予測を通知することもできる。
【0015】
二次電池管理装置100は、二次電池のユーザから各種情報も収集する。詳細は後述するが、二次電池管理装置100は、二次電池の使用状況を示すデータを収集し、二次電池の開発者や電子機器210の開発者に収集したデータをフィードバック(情報提供)する。このような情報提供により、システム運営者は、二次電池および二次電池を利用する電子機器210に対する開発にも協力する。
以下、電子機器210は「機器ID」、電子機器210のユーザは「ユーザID」、二次電池は「電池ID」により識別されるものとして説明する。
【0016】
図2は、二次電池の経年劣化パターンを模式的に示すグラフである。
横軸は時間経過を示し、縦軸は二次電池の性能を示す。二次電池の性能は、内部抵抗、放電容量、起電力(電圧)、充放電時の電流などにより指標化されるが、ここでは、二次電池の放電容量を「性能」の代表例として示す。二次電池は充放電を繰り返すごとに放電容量(出力)が徐々に降下する。
【0017】
時点t0は、計測対象となる二次電池の使用開始タイミングである。このときの放電容量が初期容量である。本実施形態においては、劣化度(%)=100×(初期容量‐計測容量)/初期容量、として定義する。計測容量とは、計測時点における二次電池の放電容量である。時点t0においては、初期容量と計測容量は等しいので、劣化度は0(%)である。二次電池の劣化度が20(%)以上となったとき、いいかえれば、計測容量が初期容量の80(%)になったとき、二次電池を交換するものとする。交換時の劣化度、上記の例でいえば20(%)を「劣化閾値」とよぶ。
【0018】
時点t1は、時点t0から所定の単位期間の経過後、たとえば、1ヶ月後の時点である。このときの計測容量は初期容量の90(%)であり、劣化度は10(%)である。時点t0‐t1の単位期間T1において二次電池は10(%)劣化したため、二次電池管理装置100は単位期間T1における二次電池の使用料を劣化度の変化量である10(%)に基づいて決定する。劣化度1(%)あたりの使用料が1,000円であれば、単位期間T1における二次電池の使用料は10,000円(=1,000×10)となる。
【0019】
時点t2は、時点t1から単位期間(1ヶ月)の経過後の時点である。時点t2の劣化度は15%であるとする。時点t1-t2の単位期間T2において二次電池は5(%)劣化したため、二次電池管理装置100は単位期間T2における二次電池の使用料を5,000円(=1,000×5)と算出する。このように、二次電池管理装置100は、単位期間ごとに二次電池の劣化度の変化量に基づいて、二次電池の使用料を定める。
【0020】
図2においては、時点t2が最新の計測時点であるとする。二次電池管理装置100は、時点t2において、二次電池の交換時点t3(将来時点)も予測する。二次電池管理装置100は、時点t1における放電容量と時点t2における放電容量を結ぶ直線と劣化閾値が交わる時点を二次電池の交換時点として予測してもよい。
【0021】
図3は、二次電池管理装置100の機能ブロック図である。
二次電池管理装置100の各構成要素は、CPU(Central Processing Unit)および各種コプロセッサなどの演算器、メモリやストレージといった記憶装置、それらを連結する有線または無線の通信線を含むハードウェアと、記憶装置に格納され、演算器に処理命令を供給するソフトウェアによって実現される。コンピュータプログラムは、デバイスドライバ、オペレーティングシステム、それらの上位層に位置する各種アプリケーションプログラム、また、これらのプログラムに共通機能を提供するライブラリによって構成されてもよい。以下に説明する各ブロックは、ハードウェア単位の構成ではなく、機能単位のブロックを示している。第2実施形態における二次電池300の機能ブロック図(図10参照)についても同様である。
【0022】
二次電池管理装置100は、通信部102、データ処理部104およびデータ格納部106を含む。
通信部102は、インターネット212を介して電子機器210等との通信処理を担当する。データ格納部106は各種データを格納する。データ処理部104は、通信部102により取得されたデータおよびデータ格納部106に格納されているデータに基づいて各種処理を実行する。データ処理部104は、通信部102およびデータ格納部106のインタフェースとしても機能する。
【0023】
通信部102は、外部装置からデータを取得する受信部108と、外部装置にデータを送信する送信部110を含む。受信部108は、性能情報取得部112、使用履歴取得部114、機器ID取得部116、ユーザ情報取得部118および決済情報取得部120を含む。
【0024】
性能情報取得部112は、電子機器210から性能情報を取得する。性能情報とは、電子機器210の駆動電源である二次電池の性能を示す情報、たとえば、公称電圧、内部抵抗値、容量、充電回数、充電率、二次電池の種別などである。使用履歴取得部114は、電子機器210から使用履歴を取得する。使用履歴とは、ユーザによる電子機器210の使用方法を示す情報である。たとえば、電気自動車204に内蔵される二次電池の場合、電気自動車204の急発進や急旋回などの運転内容を示す情報を使用履歴として取得してもよい。モバイル端末202に内蔵される二次電池の場合、モバイル端末202において実行されるアプリケーションを示す情報を使用履歴として取得してもよい。また、使用履歴は、充電タイミング、1回あたりの充電量、電子機器210の設置場所の温度などさまざまな使用態様に関する情報が含まれてもよい。
【0025】
機器ID取得部116は、電子機器210の機器IDを取得する。ユーザ情報取得部118は、電子機器210からユーザ情報を取得する。ユーザ情報とは、電子機器210のユーザの性別、年齢、居住地、職業など、ユーザの属性を示す情報である。ユーザは、電子機器210にユーザ情報を登録したときには、ユーザ情報取得部118は電子機器210からユーザ情報を収集してもよい。決済情報取得部120は、金融機関214から使用料の決済完了通知を受信する。
このほか、受信部108は、電子機器210(二次電池)の所在地を示す位置情報を定期的に取得してもよい。
【0026】
送信部110は、劣化予測通知部122、料金通知部124、交換通知部126および発注通知部128を含む。
劣化予測通知部122は、電子機器210に劣化予測を通知する。劣化予測とは、使用中の二次電池がいつまでにどのくらい劣化するかについての予測である。料金通知部124は、電子機器210に使用料(実測値および予測値)を通知する。交換通知部126は、二次電池の交換の要否、または、交換が予想される将来時点を電子機器210のユーザに通知する。発注通知部128は、二次電池メーカー216に対して、二次電池の生産および配達を指示する。
【0027】
データ処理部104は、劣化測定部130、料金計算部132、決済管理部134、予測部136および劣化行動特定部138を含む。
劣化測定部130は、図2に関連して説明したように二次電池の劣化度を計算する。料金計算部132は、二次電池の使用料を計算する。決済管理部134は、二次電池の使用料の支払請求および支払完了通知に基づいてユーザごとの使用料の支払状態を管理する。劣化行動特定部138は、二次電池の劣化を進める使用態様(以下、「劣化行動」とよぶ)を特定する。
【0028】
予測部136は、二次電池の劣化度に基づいて各種の予測計算を行う。予測部136は、劣化予測部140、料金予測部142および交換予測部144を含む。
劣化予測部140は、図2に関連して説明したように二次電池の劣化履歴に基づいて二次電池の劣化の進み方を予測する。料金予測部142は、二次電池の劣化予測に基づいて二次電池の将来的な使用料を予測する。交換予測部144は、二次電池の交換時期を予測する。
【0029】
図4は、電池管理情報150のデータ構造図である。
電池管理情報150は、データ格納部106に格納される。二次電池が電子機器210にセットされたとき、電子機器210は二次電池に設定される電池IDを読み取り、機器ID、ユーザIDとともに二次電池管理装置100に送信する。また、電子機器210は定期的に二次電池の放電容量(計測容量)を二次電池管理装置100に性能情報として送信する。劣化測定部130は、各二次電池の劣化度を計算し、電池管理情報150に登録する。料金計算部132は、単位期間における二次電池の劣化度の変化量に基づいて、二次電池の使用料を計算する。
【0030】
図4に示す電池管理情報150によれば、電池ID=B01の二次電池(以下、「二次電池(B01)」のように表記する)は、ユーザ(P06)の電子機器210(A01)の駆動電源として使用されている。二次電池(B01)の現在の劣化度は2(%)であり、未精算の使用料は200円である。電池管理情報150により、多数の二次電池が、誰により、どんな電子機器210において、どの程度利用され、使用料がどのくらいかかっているかを統一的に把握できる。このほかにも、電池管理情報150は、ユーザ情報など他の情報が登録されてもよい。
【0031】
なお、電子機器210ではなく、二次電池自体が通信機能を備えてもよい。二次電池は、機器ID、ユーザID、使用履歴、ユーザ情報等を電子機器210から取得し、性能情報、使用履歴、機器ID、電池ID、ユーザ情報等を定期的に二次電池管理装置100に送信してもよい。なお、プライバシー保護のため、電子機器210または二次電池が二次電池管理装置100に送信可能な情報をユーザが制限できてもよい。
【0032】
図5は、使用料の算出過程を示すフローチャートである。
図5に示す処理は、1週間に1回、1日に1回など任意の間隔にて定期的に実行される。本実施形態における二次電池管理装置100は、1ヶ月に1回、図5に示す処理をユーザごとに実行するものとして説明する。図5は、ユーザP1を対象として実行されるものとして説明する。二次電池管理装置100は、電子機器210から各種情報を収集する(S10)。具体的には、性能情報取得部112は二次電池の性能情報を取得し、使用履歴取得部114は使用履歴を取得し、機器ID取得部116は機器IDを取得し、ユーザ情報取得部118はユーザP1のユーザ情報を取得する。
【0033】
劣化測定部130は、性能情報(放電容量)に基づいて、劣化度を計算する(S12)。劣化測定部130は電池管理情報150を更新する。電池管理情報150の他の情報も収集された情報に基づいて更新される。料金計算部132は、1ヶ月間の劣化度の変化量に基づいて二次電池の使用料を算出する(S14)。劣化測定部130は、収集されたデータに基づいて各種予測計算を行う(S16)。具体的には、劣化予測部140は二次電池の劣化速度、いいかえれば、いつ、どのくらいまで劣化するかを今までに得られた劣化履歴に基づいて計算する。料金予測部142は、劣化予測に基づいて、将来時点までの使用料を予測する。たとえば、次の1ヶ月において劣化度が3(%)増えると予測されるときには、料金予測部142は次の1ヶ月の使用料を3,000円(=1,000×3)と予測する。交換予測部144は、二次電池の交換時期を予測する。
【0034】
送信部110は、ユーザP1に対して各種通知を行う(S18)。劣化予測通知部122は交換予測部144による劣化予測を通知し、料金通知部124は二次電池の使用料(請求額)と次回の使用料の予測値を通知し、交換通知部126は二次電池の交換要否または予測される交換時期を通知する。
金融機関214は、ユーザP1の預金口座から使用料を引き落とし、決済完了通知を二次電池管理装置100に送信する。すべてのユーザに対して、同様の処理が定期的に実行される。
【0035】
図6は、二次電池の発注処理を示すフローチャートである。
二次電池管理装置100は、1ヶ月に1回、図6に示す処理を実行する。二次電池管理装置100は、複数の二次電池について交換時期を集計する。たとえば、交換予測部144は、2ヶ月後から3ヶ月後までの間に交換が必要な二次電池の必要総数を集計する(S20)。発注通知部128は、二次電池メーカー216に対して予測数分の二次電池を発注する(S22)。このような制御方法によれば、二次電池メーカー216は二次電池の在庫を抑制しつつ、適正な二次電池の生産数を把握できる。
【0036】
図7は、劣化行動履歴情報160のデータ構造図である。
劣化行動履歴情報160は、データ格納部106に格納される。劣化行動履歴情報160は、二次電池ごとに用意される。二次電池管理装置100においては、あらかじめ複数の劣化行動F1~F3が定義される。たとえば、劣化行動F1は電気自動車204の急発進であってもよいし、劣化行動F2は急速充電であってもよいし、劣化行動F3は二次電池を高温(たとえば、25度以上)の地点で使用することであってもよい。ここでは、システム運営者により劣化行動が定義されるものとして説明する。
【0037】
図7は、二次電池(B01)のユーザ(P06)による使用履歴から劣化行動F1~F3の実行回数を抽出したものである。劣化行動特定部138は、図5のS10において使用履歴が取得されるごとに劣化行動履歴情報160を更新する。二次電池(B01)は、電子機器210(A01)、ユーザ(P06)により使用される(図4参照)。図7に示す劣化行動履歴情報160によれば、2017年11月において、ユーザ(P06)は二次電池(B01)を駆動電源とする電子機器210(A01)を対象として劣化行動F1を4回、劣化行動F2を3回、劣化行動F3を0回実行している。
【0038】
劣化行動F1~F2には、それぞれ警告閾値T1~T3があらかじめ設定される。警告閾値T1=5回、警告閾値T2=10回、警告閾値T3=2回であるとする。1ヶ月あたりの劣化行動Fnが警告閾値Tnを超えたとき、劣化予測通知部122は劣化行動Fnをユーザに通知する。たとえば、1ヶ月の劣化行動F1の回数が警告閾値T1=5回以上となったとき、劣化予測通知部122はユーザに対して、劣化行動F1の実行回数が多いため二次電池を劣化させている可能性がある旨を通知(以下、「劣化行動通知」とよぶ)する。2017年11月は、いずれの劣化行動も警告閾値を超えていないため、劣化行動通知は行われない。
【0039】
2017年10月において、ユーザ(P06)は劣化行動F1を8回実行している。警告閾値T1=5回を超過しているため、劣化予測通知部122は劣化行動F1について劣化行動通知をユーザ(P06)に通知する。ユーザ(P06)は、劣化行動F1を実行しがちであることをこの劣化行動通知により認識する。ユーザ(P06)は、急速充電等が劣化行動であることを認識していたとしても、実際に、自分がどのような劣化行動をしがちであるかは認識していないことが多い。劣化行動通知により、二次電池の劣化を抑制するためにはどのような行動をすればいいのか、いいかえれば、どのような劣化行動をしがちであるかをユーザは認識することができる。ユーザの使用履歴に応じて適切な劣化行動通知を行うことができるため、ユーザは二次電池を長持ちさせるためにどのように行動を改めるべきかを理解できる。
【0040】
図8は、使用履歴に応じた二次電池の経年劣化パターンを模式的に示すグラフである。
二次電池は、使用方法に応じて劣化の進み方が変化する。1例として、劣化予測部140は劣化行動の頻度に応じてユーザを複数のタイプに分類してもよい。たとえば、図7に関連して説明した劣化行動F1の1ヶ月あたりの実行回数が平均5回未満のユーザをタイプX1、5回以上15回未満のユーザをタイプX2、15回以上のユーザをタイプX3に分類するとする。タイプX3のユーザは、タイプX1のユーザよりも二次電池を劣化させやすいと考えられる。データ格納部106においては、あらかじめタイプX1~X3に対応して二次電池の経年劣化パターンを定義しておく。
【0041】
次に、新たな二次電池(B10)の劣化予測をする場合を想定する。二次電池(B10)のユーザ(P55)の過去の使用履歴によれば、ユーザ(P55)はタイプX3であるとする。この場合には、劣化予測部140は、タイプX3について定義される経年劣化パターンにしたがって、二次電池(B10)の劣化速度、使用料、交換時期等を予測する。図8によれば、ユーザ(P55)は、使用開始時点t0から比較的近い時点t4(たとえば、1.5ヶ月後)において二次電池(B01)を交換する必要が発生すると想定できる。このような制御方法によれば、二次電池のユーザの使用履歴を加味して、二次電池の将来的な劣化速度を予測できる。また、タイプX3に属するユーザの多くが、実際には時点t4(1.5ヶ月後)よりも長く二次電池を利用しているというデータが得られたときには、劣化予測部140はタイプX3についての経年劣化パターン(モデル)を修正してもよい。
【0042】
劣化行動以外の使用履歴に基づいて劣化予測をしてもよい。ユーザの性別や居住地(温暖地か寒冷地か)、年齢によって二次電池の劣化速度は異なるかもしれない。たとえば、長野県在住のユーザは、岐阜県在住のユーザに比べて二次電池を有意に劣化させやすいという統計的データが得られた場合には、劣化予測部140は長野県のユーザに対応した経年劣化パターンと岐阜県に対応した経年劣化パターンを別々に用意してもよい。
【0043】
使用履歴に限らず、他の情報に基づいて劣化予測をしてもよい。電子機器210の種別に応じて二次電池の劣化速度は変化すると考えられる。劣化予測部140は、電子機器210の種別に応じて複数の経年劣化パターンを設定しておき、計測対象となる電子機器210の経年劣化パターンに応じて二次電池の劣化速度を予測してもよい。たとえば、スポーツカーにおいて使用されるときと、ワンボックスカーにおいて使用されるときでは二次電池の経年劣化パターンは異なるかもしれない。
【0044】
二次電池の種類によっても、経年劣化パターンは異なると考えられる。たとえば、リチウムイオン二次電池の経年劣化パターンとナトリウム硫黄電池の経年劣化パターンは異なると考えられる。
【0045】
図9は、行動集計情報170のデータ構造図である。
行動集計情報170は、データ格納部106に格納される。行動集計情報170は、複数の二次電池、複数のユーザを対象として収集された使用履歴から劣化行動を特定するために使用される。図7においては劣化行動がシステム運営者により定義・設定されるものとして説明したが、図9においては多数のユーザの使用履歴(ビッグデータ)から劣化行動を探り出す方法について説明する。
【0046】
劣化行動特定部138は、大量に集計された使用履歴データのうち、1日あたりの劣化度が5(%)を超えたときの使用履歴を抽出する。図9に示す行動G1~G4は、電子機器210の使用態様を示す行動である。あるユーザが、行動G4を1日あたり1回行っただけで、二次電池の性能を1日で5(%)以上、劣化させた事象1があったとする。この場合、行動G4は1回だけで二次電池を大きく劣化させる可能性があると想定される。劣化行動特定部138は、行動G4に劣化力=1を設定する。ここでいう「劣化力」とは、その行動(二次電池の使用方法)が二次電池をどれくらい劣化させるかを示す指標値である。
【0047】
また、あるユーザが、行動G2を1日あたり20回行ったために、二次電池の性能を1日で5(%)以上、劣化させた事象2があったとする。この場合、行動G2は20回の実行で二次電池を劣化させる可能性があると想定される。劣化行動特定部138は、行動G2に劣化力=1/20を設定する。
【0048】
あるユーザが、行動G1を1日あたり8回、行動G2を1日あたり4回行ったために、二次電池の性能を1日で5(%)以上、劣化させた事象3があったとする。行動G2による劣化は(1/20)×4=1/5であるから、5(%)の劣化のうち、原因の1/5は行動G2にある。劣化行動特定部138は、行動G1の劣化力を1/10(=(1‐1/5)×(1/8))と算出する。
【0049】
あるユーザが、行動G1を1日あたり8回、行動G3を1日あたり6回行ったために、二次電池の性能を1日で5(%)以上、劣化させた事象4があったとする。行動G1による劣化は(1/10)×8=4/5であるから、5(%)の劣化のうち、原因の4/5は行動G1にある。劣化行動特定部138は、行動G3の劣化力を1/30(=(1‐4/5)×(1/6))と算出する。
【0050】
以上により、行動G1の劣化力は1/10、行動G2の劣化力は1/20、行動G3の劣化力は1/30、行動G4の劣化力は1となる。劣化行動特定部138は、劣化力が所定値以上、たとえば、1/15以上の行動を「劣化行動」として特定する。上記設例の場合、劣化行動特定部138は使用履歴に基づいて、行動G1、G4を劣化行動として特定する。多数の二次電池について、劣化履歴および使用履歴を収集することにより、劣化行動特定部138はどのような使用方法が二次電池をどのくらい劣化させやすいかを合理的に検出できる。
【0051】
[第2実施形態]
第1実施形態においては、電子機器210または二次電池が通信機能を備え、二次電池管理装置100が電子機器210等と定期的にアクセスすることにより、二次電池に関する各種データを収集するとして説明した。第2実施形態においては、通信ネットワークを介したデータ収集ではなく、記憶機能を備えた二次電池の交換時に二次電池に関する各種データを収集する。
【0052】
図10は、第2実施形態における二次電池300の機能ブロック図である。
二次電池300は、バッテリセル302、充放電制御部304、データ取得部306およびデータ格納部308を含む。バッテリセル302は蓄電部であり、充放電制御部304はバッテリセル302の充放電を制御する。バッテリセル302と充放電制御部304は既知の二次電池が備える機能ブロックである。
【0053】
データ取得部306は、電子機器210から各種データを取得する。データ格納部308(記録媒体)は、不揮発性メモリにより構成される。データ取得部306は、機器ID取得部310、使用履歴取得部312およびユーザ情報取得部314を含む。機器ID取得部310は、二次電池300が設置される電子機器210の機器IDを取得する。使用履歴取得部312は、電子機器210から使用履歴を取得する。ユーザ情報取得部314は、電子機器210からユーザ情報を取得する。第2実施形態においては、二次電池300に対応する電子機器210は、機器ID等の各種情報を二次電池300に提供するインタフェースを備えるものとする。
【0054】
第2実施形態においては、ユーザは自主的判断にて二次電池300を交換する。システム運営者は、回収した二次電池300のデータ格納部308を読み出すことにより、性能情報等の各種情報を読み出す。第1実施形態と同様の方法により劣化度および劣化度に基づく使用料を計算し、ユーザは使用料をシステム運営者に支払う。このとき、使用料は一括で支払ってもよいが、複数回の分割払いにすれば第1実施形態と同様、二次電池300の導入や交換にともなうユーザのコスト負担を軽減できる。
【0055】
なお、第2実施形態の二次電池300は、二次電池管理装置100の劣化測定部130、料金計算部132、予測部136、劣化行動特定部138等の機能を備えてもよい。この場合には、インターネット212と接続できない電子機器210を使用するときであっても、ユーザは劣化度や使用料などの各種情報を適宜確認できる。
【0056】
以上、第1および第2実施形態に基づいて二次電池管理システム200および二次電池300について説明した。
二次電池管理システム200においては、二次電池のユーザは、二次電池を購入する必要がないため、二次電池(電子機器210)の導入時における初期費用を抑制できる。二次電池管理装置100は、二次電池の放電量や充電回数などの使用量ではなく、劣化度に基づいて二次電池の使用料を請求する。二次電池を大事に使うユーザは使用料が安くなるため、二次電池が貸与品であっても大事に使おうというインセンティブをもたせやすくなる。二次電池を長持ちさせるような使用をユーザに意識させることは、環境負荷を抑制する上でも有効である。
【0057】
二次電池の充電回数等を二次電池や電子機器210のセンサにより計測して使用料を決める方式の場合、センサの故障やデータ改竄のリスクがつきまとう。充電回数を計測する場合には、充電率がどのくらいになれば1回の充電とカウントするかという問題もある。電気自動車の二次電池の場合、走行距離によって使用料を計算する方法も考えられるが、同様のリスクが残る。これに対して、二次電池の劣化は物理的現象であるから、二次電池をどれだけ利用したかを確実に把握できる。劣化度という物理的現象はごまかしがきかない。二次電池の使用中において、電子機器210から二次電池管理装置100に送信される性能情報(放電容量)が不正確であったとしても、二次電池の交換時においては劣化度を確実に把握できるため、最終的に支払う使用料は適正値となる。二次電池を粗雑に扱うユーザに対しては高い使用料を請求できる。二次電池を貸与する側も、二次電池の貸与にともなうリスクを過剰に警戒する必要がなくなる。
【0058】
二次電池は、「電気をためる装置」である。二次電池の放電量や充電回数に基づいて二次電池の使用料を決めることは合理的ではない。ユーザは、二次電池の充電のために電気代というコストを負担しているためである。これに対して、本実施形態においては、貸与された二次電池の劣化度、いわば、二次電池という装置の利用にともなって生じた減損分の対価(補償)として使用料を受け取ることになる。使用料の根拠を合理的なものとすることができる。二次電池はその劣化度を測定しやすい装置(レンタル品)であるため、このような特有のビジネスシステムを確立しやすい。
【0059】
二次電池管理装置100は、貸与した二次電池の劣化速度、将来的な使用料、交換時期などをユーザに通知できる。また、複数の劣化行動のうちユーザがどのような劣化行動をとりがちであるかを指摘することは、ユーザの行動改善にも寄与する。
【0060】
二次電池管理装置100は、多数の二次電池に関して使用履歴を集めることにより、どのような使用方法が二次電池を劣化させやすいのかを解析することもできる。たとえば、雪道走行では二次電池が劣化しやすいというデータが得られた場合、ハイブリッドカーにおいて雪道では二次電池ではなくガソリンエンジンを動力源として使う方が合理的であると判断できる。また、あるタイプの二次電池は、太陽光発電による充電で劣化しやすいというデータが得られた場合、バッテリセルへの負担を軽減するための新たな充放電回路が必要となるかもしれない。自動車メーカーM1の電気自動車に搭載される二次電池は劣化しにくく、自動車メーカーM2の電気自動車に搭載される二次電池は劣化しやすいというデータが得られた場合、自動車メーカーM1はその旨を積極的に顧客にアピールできるというメリットもある。また、自動車メーカーM2が二次電池を効率的に使う設計の必要性を認識することにより、二次電池に関わる周辺技術の促進にも寄与すると考えられる。
【0061】
二次電池管理システム200によれば、電子機器210のメーカーだけに二次電池に関連するデータが囲い込まれない、というメリットもある。複数の電子機器210が使用する二次電池(汎用品)に基づいて二次電池および電子機器210のデータを収集できるため、二次電池および電子機器210について豊富な知見を提供できると期待される。たとえば、二次電池がどこで使われているかという地理情報を収集すれば、二次電池のための充電ステーションをどのように配置するのが効率的となるかを合理的に判断しやすくなる。
【0062】
第2実施形態においては、二次電池300に使用履歴等のデータが蓄積される。そして、二次電池300の交換時において、劣化度に応じて使用料を請求される。通信環境に不備のある新興国や交通不便の地であっても第1実施形態と二次電池管理システム200と同様のシステムを構築できる。
【0063】
なお、本発明は上記実施形態や変形例に限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化することができる。上記実施形態や変形例に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることにより種々の発明を形成してもよい。また、上記実施形態や変形例に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除してもよい。
【0064】
[変形例]
本実施形態においては、二次電池ごとに性能情報、使用履歴、機器ID、ユーザ情報等の各種情報を収集するとして説明した。大型の二次電池は、セル(小さな二次電池)の集合体として構成されることが多い。変形例として、二次電池(セルの集合体)ではなく、セルごとに電池IDを付与し、セルごとに性能情報等を収集してもよい。
【0065】
たとえば、5×5の25個のセルが正方形に配列された二次電池を想定する。この二次電池について各種情報を収集した場合、内側よりも外側にあるセルの方が劣化しやすいことが判明したとする。もし、このようなデータが得られれば、外側のセルの負担を軽減する充電制御回路を設計すれば二次電池の製品寿命を伸ばすうえで効果的であると考えられる。あるいは、内側のセルよりも外側のセルが交換容易となるような二次電池の構造設計も効果的かもしれない。このように、セルごとに情報収集することにより、二次電池の設計についても豊富な知見を提供できる可能性がある。
【0066】
本実施形態においては、放電容量の低下度を劣化度として定義した。劣化度の定義は、放電容量以外でも可能である。二次電池は、充放電を繰り返すごとに内部抵抗が増加することがわかっている。二次電池管理装置100は、劣化度(%)=(計測抵抗値‐初期抵抗値)/初期抵抗値、として定義してもよい。また、放電容量に基づいて計算された劣化度Aと内部電圧に基づいて計算された劣化度Bの双方に基づいて、たとえば、それらの平均値を劣化度として定義してもよい。このほかにも、時間経過にともなう電池容量の低下度、1回のフル充電によって電気自動車204が走行可能な距離の低下度に基づいて劣化度を定義してもよい。また、放電容量に限らず、OCV(Open-Circuit Voltage:開路電圧)、開放端電圧等に基づいて劣化度を定義してもよい。
【0067】
二次電池管理装置100は、二次電池の経年劣化パターン(モデル)を保持しておき、この経年劣化パターンに基づいて劣化を予測してもよい。このようなモデルは、ニューラルネットワーク・モデルとして形成されてもよい。劣化の早い二次電池の使用履歴等を解析し、行動、電子機器210の種別、使用環境(温度など)のさまざまなパラメータを入力層に設定し、これらのパラメータが二次電池の劣化にどの程度の影響を及ぼすかを解析してもよい。そして、このニューラルネットワーク・モデルにしたがって、二次電池の劣化予測をしてもよい。各入力層(パラメータ)のモデルにおいて設定される重み係数に基づいて、劣化行動を特定してもよい。二次電池に関するデータを蓄積することにより、モデルをいっそう精緻化させることができる。
【0068】
本実施形態においては、交換通知部126は二次電池の交換時期を通知するとして説明した。二次電池管理装置100は、二次電池の充電ステーションの位置を通知する充電位置通知部、を備えてもよい。また、二次電池管理装置100は、電子機器210に対して、充電すべきタイミングを通知する充電タイミング通知部、を備えてもよい。二次電池管理装置100の使用履歴取得部114は、更に、各二次電池の充電率情報を定期的に取得してもよい。充電タイミング通知部は充電率が所定の閾値、たとえば、30%以下となった二次電池を使用する電子機器210に対して、充電を促す通知を送信してもよい。
【0069】
第1実施形態においては、定期的に二次電池の情報を収集するとして説明した。このほかにも、二次電池の充電時に情報収集をしてもよい。たとえば、電気自動車204は、充電時に停車する必要があるため、充電時の電気自動車204から二次電池の情報を収集しやすい。
【0070】
第2実施形態においては、二次電池の交換時に情報を収集するとして説明した。第2実施形態においても、二次電池の充電時に情報収集をしてもよい。たとえば、充電ステーションが通信機能を有する場合、充電ステーションが二次電池300のデータ格納部308から各種情報を読み出して二次電池管理装置100に情報を送信してもよい。
【0071】
劣化閾値を超えた二次電池を二次利用してもよい。たとえば、劣化度が20%を超えた二次電池(以下、「劣化二次電池」とよぶ)は、ESS(Energy Storage System:エネルギー貯蔵システム)の運営業者により再利用されてもよい。たとえば、ユーザAが使用する二次電池の劣化度が劣化閾値を超えたとする。このとき、二次電池管理装置100の交換通知部126は、ユーザAに劣化二次電池の交換を通知するとともに、ESSを運営するユーザBに対して劣化二次電池が生じたことを通知する。二次電池管理装置100は、ユーザAとユーザBをマッチングさせるマッチング部を備えてもよい。マッチング部は、ユーザAとユーザBの間において、劣化二次電池の引取価格および引取時期についての合意形成を仲介する。合意後、二次電池管理装置100のシステム運営者は、ユーザAから回収した劣化二次電池をユーザBに送付する。
【0072】
また、この劣化二次電池の劣化度が所定の閾値、たとえば、50%を超えたときには劣化二次電池は分解・解体してリサイクルに回されてもよい。交換通知部126は、ユーザBが使用する劣化二次電池の劣化度が50%を超えたとき、ユーザBに対して劣化二次電池をリサイクルすべき旨を通知してもよい。
【0073】
二次電池の導入コストはゼロでなくてもよい。たとえば、二次電池の価格を半額に抑え、残りを使用料により徴収してもよい。
【0074】
本実施形態においては、二次電池を劣化させる行動を使用履歴から割り出す方法について説明した。このほかにも二次電池を劣化させないための行動を抽出してもよい。たとえば、充電回数が多いにも関わらず二次電池をあまり劣化させないユーザP2が特定されたとき、このユーザP2の行動を調査してもよい。このような調査の後、ユーザP2の二次電池を長持ちさせるためのノウハウを他のユーザに紹介してもよい。
【0075】
多数の二次電池の劣化度に基づいて、発電量を予測することも可能である。たとえば、劣化度の大きな二次電池は、蓄電量が少なくなる。このため、劣化の進んだ二次電池が多いときには必要な発電量は小さくなると考えられる。一方、新規または交換後の二次電池、いいかえれば、劣化の進んでいない二次電池が多いときには必要な発電量は大きくなると考えられる。二次電池管理装置100は、二次電池の劣化度に基づいて、使用料だけでなく、必要な電力量を予測し、これを発電業者に通知してもよい。
【0076】
本実施形態においては、二次電池の劣化を対象として説明した。二次電池以外にも劣化をともなう電池に対して本発明は応用可能である。たとえば、燃料電池も使用にともなって徐々に出力が低下する。したがって、燃料電池についても劣化度を計測し、使用履歴等の各種情報収集、使用料計算等を行ってもよい。本明細書における「二次電池」とは、広義においては「燃料電池」も含むものとする。
【0077】
図11は、二次電池300の放電容量を計測する計測回路330の回路図である。
二次電池300は、電池成分320と抵抗成分322を含む。充放電を繰り返すと、二次電池300の負極材に使用する黒鉛と電解液の反応により、負極表面に徐々に被膜が形成される。抵抗成分322(内部抵抗値r)は負極の被膜に起因する。内部抵抗値r=0のとき、電池成分320の起電力Eと外部抵抗324に印加される電圧値Vは等しい。しかし、内部抵抗値rが非ゼロのとき、放電電流をIとするとV=E-I・rとなり、抵抗成分322により放電電圧が降下する。したがって、OCV(開放端電圧)と放電電圧の差を測定することにより、二次電池300の劣化度を指標化できる。
【0078】
一般的には、二次電池300の劣化度はSOH(States Of Health)によって指標化される。SOHは容量維持率を示すが、内部抵抗値rの抵抗上昇率として定義されることもある。以下においては、SOHは容量維持率のことであるとして説明する。SOHは、放電容量値で規定されるが、電流値や測定時の温度に影響されるため、これらを考慮して評価する。なお、二次電池300の容量とは、満充電状態の二次電池300から、外部抵抗324の端子電圧が所定の終止電圧に達するまで放電させたときに取り出すことのできる電気(電荷)量を意味する。
【0079】
図12は、二次電池300の使用にともなうSOH(容量維持率)の劣化を示すグラフである。
本発明者らは、充放電にともなう二次電池300の劣化速度について実験をおこなった。本実験では、18mm×65mmの円筒セルのリチウムイオン二次電池(二次電池300)を使用した。二次電池300の初期容量は2,750(mAh)である。また、計測時の温度は摂氏25度である。二次電池300の充放電を繰り返し、放電積算容量(mAh)にともなってSOHがどのように低下(劣化)していくかを測定した。
【0080】
充電に際しては電圧が4.2(V)に達したときに「充電完了」とみなし、放電に際しては電圧が2.5(V)に達したときに「放電完了」とみなした。充放電を繰り返しながらSOHを定期的に測定した。
【0081】
劣化曲線P1は、電気自動車204の安全運転を想定した条件1でSOHの低下傾向を示す。劣化曲線P2は、電気自動車204の急加速運転を想定した条件2でSOHの低下傾向を示す。条件1では、充電時のCレート(Capacity Rate)は0.2、放電時のCレートも0.2である。2,750(mAh)の二次電池300を1時間で放電または充電させるときのCレートを1.0とする。充電時のCレートが0.2であるとは、比較的ゆっくりと充電させることを意味する。一方、条件2では、充電時のCレートは0.2、放電時のCレートは0.8である。条件2では、条件1に比べて放電電流を大きくすることで急速放電させている。なお、劣化曲線P1および劣化曲線P2の充電電流および放電電流はいずれも定電流である。
【0082】
本実験により、急速放電をしたとき(劣化曲線P2:条件2)の方が、急速放電をしないとき(劣化曲線P1:条件1)よりも二次電池300の劣化が進みやすいことが確認できた。
【0083】
ユーザA1は電気自動車204を安全運転するとする。安全運転の場合、放電積算容量が約360,000(mAh)に達したときに二次電池300を約2(%)劣化させると想定される。一方、ユーザA2は電気自動車204を急加速運転するとする。急加速運転の場合、放電積算容量が170,000(mAh)に達したとき二次電池300を約2(%)劣化させると想定される。ユーザA1は、ユーザA2に比べて多くの電気エネルギーを使うとしても、ユーザA2よりも二次電池300を大事に使っているため、ユーザA1はユーザA2と同じだけの使用料しか請求されない。このような仕組みにより、ユーザに対して、二次電池300を大事に使うというインセンティブを提供できる。
【0084】
二次電池300の製造にもコストがかかる。多くのユーザが二次電池300を大切に扱うように導くことができれば、世界全体として二次電池300の製造にともなう資源や労力を効果的に抑制できる。
【0085】
第1実施形態においては、電気自動車204などの電子機器210に電圧、電流および温度を計測する専用のアプリケーション・ソフトウェア(以下、「性能計測ソフトウェア」とよぶ)を導入してもよい。第2実施形態においては、二次電池300に性能計測ソフトウェアを導入してもよい。性能計測ソフトウェアは定期的に放電容量等の性能情報を計測し、二次電池管理装置100に通知する。性能計測ソフトウェアは、計測機能および通信機能さえ備えればよい。二次電池管理装置100は、性能計測ソフトウェアから取得した性能情報に基づいて劣化度を計算し、二次電池300の使用料を計算する。性能計測ソフトウェアは、性能情報に基づいて劣化度を計算し、二次電池メーカー216に通知するとしてもよい。
【0086】
仮に、悪意のユーザが性能計測ソフトウェアを改竄または無効化したとしても、いずれかの時点でこのユーザは二次電池300を交換せざるを得ない。交換所で二次電池300の劣化度を計測できるので、二次電池300の使用中に劣化度をごまかしたとしても、交換時には精算せざるを得ない。電気自動車204であれば、充電ステーションで二次電池300を充電するときに充電ステーションが二次電池300の性能情報を取得してもよい。そして、充電ステーションから二次電池管理装置100に性能情報を送信してもよい。あるいは、訪問員が定期的に各二次電池300の性能情報を取得してもよい。
【0087】
本実施形態の二次電池管理装置100は、多数の二次電池300から性能情報を収集する。たとえば、タイプT1の二次電池300が5,000万台流通しているとき、次月にそのうち400万台が交換になると予測できれば、二次電池メーカー216は生産計画を立てやすい。大量の二次電池300の交換時期を二次電池管理装置100において一元的に予測することにより、二次電池300の過剰生産による不良在庫化、あるいは、過小精算による商機の逸失を防ぎやすくなる。
【0088】
上述したように、二次電池300の劣化予測は、経年劣化テーブルに基づいておこなわれてもよい。たとえば、交換から1ヶ月後に二次電池300を5(%)劣化させた場合、交換から2ヶ月後までに二次電池300の劣化度が20(%)に達する確率は3(%)、交換から3ヶ月後までに二次電池300の劣化度が20(%)に達する15(%)・・・のような実績情報を得られた場合、実績情報に基づいて経年劣化テーブルを設定してもよい。このような実績情報に基づく経年劣化テーブルを用意しておけば、ある二次電池300の実際の劣化速度と経年劣化テーブルを参照することにより、この二次電池300の将来的な劣化の進み方を予測できる。
【0089】
第1実施形態においては、電気自動車204などの電子機器210に電子機器210の使用状態を計測する専用のアプリケーション・ソフトウェア(以下、「使用計測ソフトウェア」とよぶ)を導入してもよい。第2実施形態においては、二次電池300に使用計測ソフトウェアを導入してもよい。使用計測ソフトウェアは電子機器210の使用情報を取得し、二次電池管理装置100に通知する。たとえば、二次電池300が電気自動車204などの移動機械に搭載されているとする。このとき、使用計測ソフトウェアは、移動機械の単位時間あたりの急発進回数、急停止回数、平均速度、最高速度、走行時間のうち閾値速度以上で走行した時間の割合、など使用情報として取得する。使用計測ソフトウェアは、また、いわゆるエコ・ドライブのスコア(既知技術)を使用情報として二次電池管理装置100に通知してもよい。二次電池管理装置100は、使用計測ソフトウェアからの通知結果に基づいて二次電池300の劣化度を予測してもよい。たとえば、エコ・ドライブのスコアに応じて複数種類の経年劣化テーブルをあらかじめ用意しておく。劣化予測部140は、計測対象となる電気自動車204からスコアを取得したとき、該当する経年劣化テーブルに基づいて二次電池300の将来的な劣化の進み方を予測してもよい。
【0090】
二次電池300のタイプに応じて複数の経年劣化テーブルを用意してもよい。また、二次電池300を搭載する電子機器210のタイプに応じて複数の経年劣化テーブルを用意してもよい。ユーザの属性に応じて複数の経年劣化テーブルを用意してもよい。劣化予測部140は、どのようなユーザが、どのような電子機器210に対して、どの二次電池300を使用するかに応じて二次電池300の劣化を予測してもよい。
【0091】
劣化測定部130は複数種類の性能情報に基づいて劣化度を計算してもよい。たとえば、劣化測定部130は内部抵抗の変化量および容量維持率の変化量それぞれに基づいて劣化度を計算してもよい。劣化測定部130は、複数種類の劣化度のうち最大または最小の劣化度、平均値、中央値を二次電池300の正式な劣化度してもよい。このように複数種類の観点から得られる劣化度から、二次電池300の劣化度を総合判断することにより、より合理的に劣化度を算出できる。
【0092】
二次電池300のユーザによって、二次電池300の劣化度についての許容値(劣化閾値)は異なると考えられる。たとえば、ユーザA4は、劣化度0~10(%)の二次電池300を使用し、劣化度が10(%)以上となったときには二次電池300を交換するものとする。ユーザA5は、劣化度0~30(%)の二次電池300を使用するものとする。この場合には、ユーザA4にとって不要となった劣化度10(%)以上の二次電池300は、ユーザA5には使用可能である。上述したマッチング部は、ユーザA4の二次電池300の交換時期、または、交換が予測される時期にユーザA5にこの二次電池300を導入可能である旨を通知してもよい。あるいは、マッチング部は、ユーザA4が不要とした二次電池300をユーザA5に配送してもよい。マッチング部は、ユーザA4が二次電池300を交換するとき、この二次電池300を使用可能なユーザを検索し、該当ユーザに二次電池300を導入可能である旨を配信してもよい。
交換通知部126は、ユーザA4が手放した二次電池300を利用可能なユーザが存在しないときには、この二次電池300をリサイクル業者に配送してもよい。
【0093】
二次電池300の使用料は、二次電池300の購入価格、交換の目安として設定される劣化閾値に基づいて定められてもよい。たとえば、二次電池300の購入価格が10万円であり、劣化度が20(%)の劣化閾値に達したとき、この二次電池300は交換されるものとする。この場合には、20(%)分の劣化度に対して10万円の価値があると考えられるため、劣化度1(%)あたり5,000円(=10万÷20)の使用料とすればよい。料金計算部132は、このように二次電池300の購入価格と、ユーザまたは二次電池300のメーカーにより設定される劣化閾値に基づいて、劣化度に対応する使用料を計算してもよい。このような制御方法によれば、さまざまなタイプの二次電池300の使用料を二次電池管理システム200において合理的に算定できるため、ユーザは二次電池管理システム200により提供される貸借方式に安心して参加しやすくなる。
【0094】
また、二次電池管理装置100は、多種多様な二次電池300の使用料を購入価格(販売価格)と劣化閾値に基づいて簡単かつ公平に算出できるため、多様な二次電池300にも対応しやすくなる。購入価格の高い二次電池300は使用料が高くなり、劣化しにくい二次電池300は使用料が安くなる。
【0095】
本実施形態においては、二次電池300の劣化度に基づいてユーザに使用料を請求するとして説明した。このほかにも、政府は、二次電池300の劣化度に基づいてユーザに課税することも考えられる。二次電池300を大切に長く使う意識を国民にもたせることは貴重な資源の有効活用にも資すると考えられる。また、安全運転をするユーザは急加速運転をするユーザよりも金銭面において優遇されることになるため、電気自動車204の運転マナーを向上させる効果も期待できる。
【0096】
二次電池300の劣化度に基づいて使用料(費用)を少しずつ支払うことは、財務諸表において固定資産の購入価格を少しずつ減価償却していくことに等しい。二次電池管理システム200によれば、経理の観点においても、企業が二次電池300を導入しやすくなると考えられる。
【0097】
本実施形態および変形例からは、下記の発明を認識可能である。
B1.二次電池を駆動電源とする電子機器と通信ネットワークを介して接続され、
前記電子機器から、前記二次電池の性能情報を取得する性能情報取得部と、
前記二次電池の所定の単位期間における性能の劣化度を測定する劣化測定部と、
前記二次電池の性能の劣化度に基づいて、所定の将来時点における前記二次電池の劣化度を予測する劣化予測部と、を備えることを特徴とする二次電池管理装置。
【0098】
B2.複数の電子機器から、前記複数の電子機器それぞれの使用履歴を取得する使用履歴取得部、を更に備え、
前記劣化予測部は、複数の二次電池それぞれについての性能の劣化度および使用履歴を参照し、第1の電子機器の使用履歴に基づいて、所定の将来時点における前記第1の電子機器が使用する二次電池の劣化度を予測することを特徴とするB1に記載の二次電池管理装置。
【0099】
B3.複数の二次電池それぞれについての性能の劣化度と使用履歴を参照し、二次電池の単位時間あたりの劣化度が所定値以上となるときの電子機器の使用態様である劣化行動を特定する劣化行動特定部と、を更に備えることを特徴とするB2に記載の二次電池管理装置。
【0100】
B4.複数の電子機器から、電子機器を識別する機器IDを取得する機器ID取得部、を更に備え、
前記劣化予測部は、複数の二次電池それぞれについての性能の劣化度と機器IDを参照し、第2の電子機器の機器IDに基づいて、所定の将来時点における前記第2の電子機器が使用する二次電池の劣化度を予測することを特徴とするB1からB3のいずれかに記載の二次電池管理装置。
【0101】
B5.前記性能情報取得部は、前記二次電池を構成する複数のセルそれぞれの性能情報を取得し、
前記劣化測定部は、セルごとに性能の劣化度を測定し、
前記劣化予測部は、セルごとに劣化度を予測することを特徴とするB1からB4のいずれかに記載の二次電池管理装置。
【0102】
B6.複数の電子機器から、電子機器のユーザのユーザ情報を取得するユーザ情報取得部、を更に備え、
前記劣化予測部は、複数の二次電池それぞれについての劣化度とユーザ情報を参照し、第3の電子機器のユーザ情報に基づいて、所定の将来時点における前記第3の電子機器が使用する二次電池の劣化度を予測することを特徴とするB1からB5のいずれかに記載の二次電池管理装置。
【0103】
B7.二次電池の劣化度の予測に基づいて、複数の電子機器それぞれについての二次電池の交換時期を予測する交換予測部と、
複数の電子機器のうち、所定の将来時点において交換対象となる二次電池の数を外部装置に通知する交換通知部と、を更に備えることを特徴とするB2またはB3に記載の二次電池管理装置。
【0104】
B8.性能情報取得部は、前記二次電池の放電容量を前記性能情報として取得し、
前記劣化測定部は、前記放電容量の前記単位期間における低下を前記劣化度として測定することを特徴とするB1に記載の二次電池管理装置。
【0105】
B9.電子機器の駆動電源として、前記電子機器に着脱可能に設置され、
記憶媒体と、
前記電子機器の機器IDを取得し、前記記録媒体に前記機器IDを記録する機器ID取得部と、を備えることを特徴とする二次電池。
【0106】
B10.前記電子機器の使用履歴を取得し、前記記録媒体に前記使用履歴を保存する使用履歴取得部、を更に備えることを特徴とするB9に記載の二次電池。
【0107】
B11.二次電池を駆動電源とする電子機器から、前記二次電池の性能情報を取得する機能と、
前記二次電池の所定の単位期間における性能の劣化度を測定する機能と、
前記二次電池の性能の劣化度に基づいて、所定の将来時点における前記二次電池の劣化度を予測する機能と、をコンピュータに発揮させることを特徴とする二次電池管理プログラム。
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