(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-12
(45)【発行日】2024-03-21
(54)【発明の名称】給電装置および給電方法
(51)【国際特許分類】
H02J 1/00 20060101AFI20240313BHJP
【FI】
H02J1/00 306M
H02J1/00 306G
(21)【出願番号】P 2023516883
(86)(22)【出願日】2021-04-26
(86)【国際出願番号】 JP2021016691
(87)【国際公開番号】W WO2022230031
(87)【国際公開日】2022-11-03
【審査請求日】2023-10-11
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】507365592
【氏名又は名称】トリニティ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002011
【氏名又は名称】弁理士法人井澤国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100072039
【氏名又は名称】井澤 洵
(74)【代理人】
【識別番号】100123722
【氏名又は名称】井澤 幹
(74)【代理人】
【識別番号】100157738
【氏名又は名称】茂木 康彦
(74)【代理人】
【識別番号】100158377
【氏名又は名称】三谷 祥子
(72)【発明者】
【氏名】星川 哲視
【審査官】下林 義明
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-087089(JP,A)
【文献】特開2017-174138(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 1/00 - 1/16
H02J 7/00 - 7/12
H02J 7/34 - 7/36
G06F 1/26 - 1/3296
(57)【特許請求の範囲】
【請求項2】
上記ステップ2で、
関係(1):(W
max-Wc
(1toN))≧W
min (Wc
(1toN)は、上記N個の受電機器(D
1~D
N)の契約電力Wc(Wc
1~Wc
N)の合計である。W
mi
nは、USB Type-C規格に従う上記USBポートにおける最低供給電力値である。)が成立する場合には、
上記接続信号を受信した上記マスターコントローラーが、上記受電機器(D
N+1)の電力プロファイルを取得することなく、
上記Wc、上記Wu、上記[W
max-Wc
(1toN)] 、上記W
minを参照して、上記W
N+1を決定し、上記W
N+1を上記PDコントローラー(PDC
N+1)に送信し、
上記ステップ3で、
上記W
N+1を受信した上記PDコントローラー(PDC
N+1)が、上記受電機器(D
N+1)の電力プロファイルを取得することなく、上記W
N+1に基づいてPDO(Power Dilivery Object)リストを生成し、上記PDOリストを用いて上記受電機器(D
N+1)とネゴシエーションを行って、上記受電機器(D
N+1)と契約する、
請求項1に記載の給電装置。
【請求項3】
上記ステップ2で、
上記接続信号を受信した上記マスターコントローラーが上記Wc、上記Wu、上記[W
m
ax-Wc
(1toN)] 、上記W
minを参照して上記受電機器(D
1~D
N)に関係(4):Wc>Wu が成立する少なくとも1つの受電機器(D
H0)を検出した場合には、
上記マスターコントローラーは、
上記受電機器(D
H0)と再契約を行うことができる最大電力(Wrc)と、上記W
N+
1とを決定し、
上記受電機器(D
H0)のUSBポートに配置されたPDコントローラー(PDC
H0)に上記Wrcを送信し、上記PDコントローラー(PDC
N+1)に上記W
N+1を送信し、
上記ステップ3で、
上記Wrcを受信した上記PDコントローラー(PDC
H0)が、上記Wrcに基づいてPDOリストを生成し、上記PDOリストを用いて上記受電機器(D
H0)とネゴシエーションを行って、上記受電機器(D
H0)とより低い電力値で再契約し、
上記W
N+1を受信した上記PDコントローラー(PDC
N+1)が、上記受電機器(D
N+1)の電力プロファイルを取得することなく、上記W
N+1に基づいてPDOリストを生成し、上記PDOリストを用いて上記受電機器(D
N+1)とネゴシエーションを行って、上記受電機器(D
N+1)と契約する、
請求項2に記載の給電
装置。
【請求項4】
上記ステップ2で、
関係(1):(W
max-Wc
(1toN))≧W
min (Wc
(1toN)は、上記N個の受電機器(D
1~D
N)の契約電力Wc(Wc
1~Wc
N)の合計である。W
mi
nは、USB Type-C規格に従う上記USBポートにおける最低供給電力値である。)が成立せず、
上記マスターコントローラーが、上記N個の受電機器(D
1~D
N)のうち関係(2):(Wc-Wu)≧W
min を満足する1つの受電機器(D
H1)を検出した場合に、
上記接続信号を受信した上記マスターコントローラーが、
上記W
max、上記Wc、上記Wu、上記W
minを参照して、上記受電機器(D
H1)と再契約を行うことができる最大電力(Wrc)と、上記W
N+1とを決定し、
上記受電機器(D
H1)に接続するPDコントローラー(PDC
H1)に上記Wrcを送信し、上記PDコントローラー(PDC
N+1)に上記W
N+1を送信し、
上記ステップ3で、
上記Wrcを受信した上記PDコントローラー(PDC
H1)が、上記Wrcに基づいてPDOリストを生成し、上記PDOリストを用いて上記受電機器(D
H1)とネゴシエーションを行って、上記受電機器(D
H1)とより低い電力値で再契約し、
上記W
N+1を受信した上記PDコントローラー(PDC
N+1)が、上記受電機器(D
N+1)の電力プロファイルを取得することなく、上記W
N+1に基づいてPDOリストを生成し、上記PDOリストを用いて上記受電機器(D
N+1)とネゴシエーションを行って、上記受電機器(D
N+1)と契約する、
請求項1に記載の給電装置。
【請求項6】
上記ステップ2で、
関係(1):(W
max-Wc
(1toN))≧W
min (Wc
(1toN)は、上記N個の受電機器(D
1~D
N)の契約電力Wc(Wc
1~Wc
N)の合計である。W
mi
nは、USB Type-C規格に従う上記USBポートにおける最低供給電力値である。)が成立せず、
上記マスターコントローラーが、上記N個の受電機器(D
1~D
N)のうち関係(2):(Wc-Wu)≧W
min を満足する1つの受電機器(D
H1)を検出しない場合に、上記マスターコントローラーが、上記N個の受電機器(D
1~D
N)のうち関係(3):Wc≧(W
min+W
min) を満足するm個(ただしmは、1≦m≦Nを満足する整数である)の受電機器(D
H2)を検出し、
上記接続信号を受信した上記マスターコントローラーが、
上記W
max、上記Wc、上記Wu、上記W
minを参照して、上記受電機器(D
H2)と再契約を行うことができる最大電力(Wrc)と、上記W
N+1とを決定し、
上記受電機器(D
H2)に接続するPDコントローラー(PDC
H2)に上記Wrcを送信し、上記PDコントローラー(PDC
N+1)に上記W
N+1を送信し、
上記ステップ3で、
上記Wrcを受信した上記PDコントローラー(PDC
H2)が、上記Wrcに基づいてPDOリストを生成し、上記PDOリストを用いて上記受電機器(D
H2)とネゴシエーションを行って、上記受電機器(D
H2)とより低い電力値で再契約し、
上記W
N+1を受信した上記PDコントローラー(PDC
N+1)が、上記受電機器(D
N+1)の電力プロファイルを取得することなく、上記W
N+1に基づいてPDOリストを生成し、上記PDOリストを用いて上記受電機器(D
N+1)とネゴシエーションを行って、上記受電機器(D
N+1)と契約する、
請求項1に記載の給電装置。
【請求項10】
上記少なくとも1つの受電機器(D
L)が、(N+1)番目に接続された受電機器(D
N
+1)を含む、請求項9に記載の給電装置。
【請求項15】
上記ステップ2で、
関係(1):(W
max-Wc
(1toN))≧W
min (Wc
(1toN)は、上記N個の受電機器(D
1~D
N)の契約電力Wc(Wc
1~Wc
N)の合計である。W
m
inは、USB Type-C規格に従う上記USBポートにおける最低供給電力値である。)が成立する場合には、
上記接続信号を受信した上記マスターコントローラーが、上記受電機器(D
N+1)の電力プロファイルを取得することなく、
上記Wc、上記Wu、上記[W
max-Wc
(1toN)] 、上記W
minを参照して、上記W
N+1を決定し、上記W
N+1を上記PDコントローラー(PDC
N+1)に送信し、
上記ステップ3で、
上記W
N+1を受信した上記PDコントローラー(PDC
N+1)が、上記受電機器(D
N+1)の電力プロファイルを取得することなく、上記W
N+1に基づいてPDO(Power Dilivery Object)リストを生成し、上記PDOリストを用いて上記受電機器(D
N+1)とネゴシエーションを行って、上記受電機器(D
N+1)と契約する、
請求項14に記載の給電方法。
【請求項16】
上記ステップ2で、
上記接続信号を受信した上記マスターコントローラーが上記Wc、上記Wu、上記[W
m
ax-Wc
(1toN)] 、上記W
minを参照して上記受電機器(D
1~D
N)に関係(4):Wc>Wu が成立する少なくとも1つの受電機器(D
H0)を検出した場合には、
上記マスターコントローラーは、
上記受電機器(D
H0)と再契約を行うことができる最大電力(Wrc)と、上記W
N+
1とを決定し、
上記受電機器(D
H0)に接続するPDコントローラー(PDC
H0)に上記Wrcを送信し、上記PDコントローラー(PDC
N+1)に上記W
N+1を送信し、
上記ステップ3で、
上記Wrcを受信した上記PDコントローラー(PDC
H0)が、上記Wrcに基づいてPDOリストを生成し、上記PDOリストを用いて上記受電機器(D
H0)とネゴシエーションを行って、上記受電機器(D
H0)とより低い電力値で再契約し、
上記W
N+1を受信した上記PDコントローラー(PDC
N+1)が、上記受電機器(D
N+1)の電力プロファイルを取得することなく、上記W
N+1に基づいてPDOリストを生成し、上記PDOリストを用いて上記受電機器(D
N+1)とネゴシエーションを行って、上記受電機器(D
N+1)と契約する、
請求項15に記載の給電方法。
【請求項17】
上記ステップ2で、
関係(1):(W
max-Wc
(1toN))≧W
min (Wc
(1toN)は、上記N個の受電機器(D
1~D
N)の契約電力Wc(Wc
1~Wc
N)の合計である。W
mi
nは、USB Type-C規格に従う上記USBポートにおける最低供給電力値である。)が成立せず、
上記マスターコントローラーが、上記N個の受電機器(D
1~D
N)のうち関係(2):(Wc-Wu)≧W
min を満足する1つの受電機器(D
H1)を検出した場合に、
上記接続信号を受信した上記マスターコントローラーが、
上記W
max、上記Wc、上記Wu、上記W
minを参照して、上記受電機器(D
H1)と再契約を行うことができる最大電力(Wrc)と、上記W
N+1とを決定し、
上記受電機器(D
H1)に接続するPDコントローラー(PDC
H1)に上記Wrcを送信し、上記PDコントローラー(PDC
N+1)に上記W
N+1を送信し、
上記ステップ3で、
上記Wrcを受信した上記PDコントローラー(PDC
H1)が、上記Wrcに基づいてPDOリストを生成し、上記PDOリストを用いて上記受電機器(D
H1)とネゴシエーションを行って、上記受電機器(D
H1)とより低い電力値で再契約し、
上記W
N+1を受信した上記PDコントローラー(PDC
N+1)が、上記受電機器(D
N+1)の電力プロファイルを取得することなく、上記W
N+1に基づいてPDOリストを生成し、上記PDOリストを用いて上記受電機器(D
N+1)とネゴシエーションを行って、上記受電機器(D
N+1)と契約する、
請求項14に記載の給電方法。
【請求項19】
上記ステップ2で、
関係(1):(W
max-Wc
(1toN))≧W
min (Wc
(1toN)は、上記N個の受電機器(D
1~D
N)の契約電力Wc(Wc
1~Wc
N)の合計である。W
mi
nは、USB Type-C規格に従う上記USBポートにおける最低供給電力値である。)が成立せず、
上記マスターコントローラーが、上記N個の受電機器(D
1~D
N)のうち関係(2):(Wc-Wu)≧W
min を満足する1つの受電機器(D
H1)を検出しない場合に、上記マスターコントローラーが、上記N個の受電機器(D
1~D
N)のうち関係(3):Wc≧(W
min+W
min) を満足するm個(ただしmは、1≦m≦Nを満足する整数である)の受電機器(D
H2)を検出し、
上記接続信号を受信した上記マスターコントローラーが、
上記W
max、上記Wc、上記Wu、上記W
minを参照して、上記受電機器(D
H2)と再契約を行うことができる最大電力(Wrc)と、上記W
N+1とを決定し、
上記受電機器(D
H2)に接続するPDコントローラー(PDC
H2)に上記Wrcを送信し、上記PDコントローラー(PDC
N+1)に上記W
N+1を送信し、
上記ステップ3で、
上記Wrcを受信した上記PDコントローラー(PDC
H2)が、上記Wrcに基づいてPDOリストを生成し、上記PDOリストを用いて上記受電機器(D
H2)とネゴシエーションを行って、上記受電機器(D
H2)とより低い電力値で再契約し、
上記W
N+1を受信した上記PDコントローラー(PDC
N+1)が、上記受電機器(D
N+1)の電力プロファイルを取得することなく、上記W
N+1に基づいてPDOリストを生成し、上記PDOリストを用いて上記受電機器(D
N+1)とネゴシエーションを行って、上記受電機器(D
N+1)と契約する、
請求項14に記載の給電方法。
【請求項23】
上記少なくとも1つの受電機器(D
L)が、(N+1)番目に接続された受電機器(D
N
+1)を含む、請求項22に記載の給電方法。
【請求項26】
USB-PD規格に対応する複数のUSBポートがUSB Type-C規格に対応する、請求項14に記載の給電方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、 USB-PD規格に対応する給電装置と給電方法に関する。
【背景技術】
【0002】
USBポートに電気的に接続された機器に対して、USBポートから電力を給電することが知られている。また、USBポートから給電を行う規格として、USB-PD規格が制定されている。より新しいUSB規格として、USB Type-C型インターフェースが普及しつつある。USB Type-C型インターフェースによれば、給電および受電は同一形状のポートが用いられることになる。そのため、単一のポートで給電および受電の両方に対応することになる。PD規格は、USB type-C規格にも採用されている。USB-PDによれば、より大きな電圧および電流を遣り取りできるので、より短時間の充電を実現できる。今後は、USB Type-C型インターフェースと併せて、USB-PD機能が普及すると期待されている。
【0003】
USB-PD規格では、給電装置のUSBポートに、受電機器のUSBポートを挿入したとき、給電装置と受電機器との間でネゴシエーションを実行する。このネゴシエーションにおいて、給電装置は、受電機器に対して給電する最大電力を契約し、給電する。
【0004】
複数のUSBポートを備える給電装置の場合、それぞれのUSBポートに複数の受電機器のUSBポートが挿入されると、給電装置は、ネゴシエーションにおいて、給電可能な最大電力を、複数の受電機器間で分配して、契約する。複数の受電機器のそれぞれが要求する動作電力の和が、給電装置の最大電力を超える場合、給電装置は、ネゴシエーションにおいて、一部の受電機器には要求された動作電力よりも小さい最大電力にて契約する。
【0005】
USB type-C規格では、複数のUSBポートを備える給電装置の場合、各USB Type-Cポートで5V/1.5Aを出力することができ各ポートで少なくとも7.5Wを提供すること、受電機器が接続されてから3秒以内に契約された最大電力に到達すること等が要求されている(非特許文献1)。したがって、USB type-C規格に従う複数のUSBポートを備える給電装置の場合、各ポートにおける受電機器とのネゴシエーションと契約を、これら要求を満たすように実行する必要がある。
【0006】
要求した動作電力に比べて小さい最大電力が割り当てられた特定の受電機器に、要求した動作電力以上の最大電力が割り当てられるようにするには、例えば他の受電機器と特定の受電機器のUSBポートを、給電装置のUSBポートから取り出し、再度挿入することが要求される。このようにすると、ネゴシエーションが再度実行され、特定の受電機器に対して、要求の動作電力以上の最大電力を契約することができる。しかしながら、この場合には、USBポートで挿抜操作が必要になり、ユーザーにとって不便である。
【0007】
また、給電装置の給電可能な最大電力を大きくすれば、USBポートで受電機器を挿抜しなくても、特定の受電装置に、要求の動作電力以上の最大電力を割り当てることが可能となる。しかしながら、この場合には、給電装置が物理的に大型化することになり、製造コストや携帯性で問題を生じる。
【0008】
特許文献1には、USB-PD規格に対応する複数のUSBポートを有する給電装置で、新たに接続した受電機器との新規契約と、既に接続している受電機器との再契約をコントロールする方法が記載されている。この例では、各受電機器からコントローラーが受け取る電力プロファイルのテーブルに登録された各受電機器の最大受電能力に基づいて各受電機器へ電力を配分する。
【0009】
しかしながら、一般的に、給電装置から受電機器への電力供給が進行すると、受電機器で実際に消費される電力は契約電力より低くなる。このため、既に接続した受電機器に過剰な電力が割り当てられた状態で新しい受電機器がポートに接続することがある。この例では、空きポートにUSB Type-C規格が求める最低電力(7.5W)を供給できる状態で動作する必要がある。このため、実際の受電機器の消費電力に比べて非常に高い電力を、給電装置の供給可能電力として確保する必要があり、給電装置の大型化、高コスト化が避けられない。
【0010】
この例では、規格を満たさない受電機器が接続した場合や、ある種のバッテリーを有する受電機器が接続した場合には、コントローラーが受電機器の電力プロファイルのテーブルを取得することができず、充電装置が動作できない。さらに、特許文献1に記載されたユーザー用のボタンやランプは、ユーザーの操作を煩雑にし、充電装置の大型化とコストアップを引き起こす可能性がある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0011】
【文献】”Universal Serial Bus Type-C Cable and Connector Specification Release 2.0 August 21009”, “4.8.6. USB Type-C Multi-Port Chargers”
【特許文献】
【0012】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明者は、上記問題点の解決を目指した。すなわち、USB-PD規格特にUSB Type-C規格の要求を満たし、過剰な電力配分を避け、複数の受電機器に効率よく電力供給することができる給電装置と給電方法を求めた。
【課題を解決するための手段】
【0014】
その結果、画期的な手法、すなわち、2種類のコントローラー:PDコントローラーとマスターコントローラーが、接続済の受電機器で実際に消費される電力を利用して各受電機器へ電力配分するという手法によって、従来の給電装置と給電方法を格段に進歩させることに成功した。すなわち本発明は以下のものである。
【0015】
(発明1)
USB-PD規格に対応する複数のUSBポート、複数のPDコントローラー、マスターコントローラーを有し、上記PDコントローラーは上記複数のUSBポートの各々に配置され、上記マスターコントローラーは上記複数のPDコントローラーの各々と通信可能である、給電装置であって、
上記給電装置の総供給電力の上限値をWmax、
上記複数のUSBポートに接続している受電機器の契約電力をWc、
上記複数のUSBポートに接続している受電機器の使用電力をWu(ただし上記Wuは、上記受電機器の消費電力の実測値をフィルター処理した値である)、としたとき、
N個(ただしNは1以上の整数)の上記USBポート(P1~PN)にN個の受電機器(D1~DN)が接続している状態で、上記受電機器(D1~DN)の各々に接続する上記PDコントローラー(PDC1~PDCN)は、上記マスターコントローラーに、上記受電機器(D1~DN)毎の上記Wcと上記Wuを通知し、
上記USBポート(P1~PN)以外のUSBポート(PN+1)に(N+1)番目の受電機器(DN+1)が接続した場合、以下のステップ1,ステップ2,ステップ3を経て上記受電機器(DN+1)に電力供給を開始する、給電装置。
ステップ1:
上記USBポート(PN+1)に接続するPDコントローラー(PDCN+1)が、上記受電機器(DN+1)の電力プロファイルを取得することなく、上記マスターコントローラーに上記受電機器(DN+1)の接続信号を送信する。
ステップ2:
上記接続信号を受信した上記マスターコントローラーが、上記受電機器(DN+1)の電力プロファイルを取得することなく、上記Wmax、上記Wc、上記Wuを参照して上記受電機器(DN+1)に供給可能な最大電力(WN+1)を決定し、上記WN+1を上記PDコントローラー(PDCN+1)に送信する。
ステップ3:
上記WN+1を受信した上記PDコントローラー(PDCN+1)が、上記受電機器(DN+1)の電力プロファイルを取得することなく、上記WN+1に基づいてPDO(Power Dilivery Object)リストを生成し、上記PDOリストを用いて上記受電機器(DN+1)とネゴシエーションを行って、上記受電機器(DN+1)と契約する。
【0016】
(発明2)
上記ステップ2で、
関係(1):(Wmax-Wc(1toN))≧Wmin (Wc(1toN)は、上記N個の受電機器(D1~DN)の契約電力Wc(Wc1~WcN)の合計である。Wmi
nは、USB Type-C規格に従う上記USBポートにおける最低供給電力値である。)が成立する場合には、
上記接続信号を受信した上記マスターコントローラーが、上記受電機器(DN+1)の電力プロファイルを取得することなく、
上記Wc、上記Wu、上記[Wmax-Wc(1toN)] 、上記Wminを参照して、上記WN+1を決定し、上記WN+1を上記PDコントローラー(PDCN+1)に送信し、
上記ステップ3で、
上記WN+1を受信した上記PDコントローラー(PDCN+1)が、上記受電機器(DN+1)の電力プロファイルを取得することなく、上記WN+1に基づいてPDO(Power Dilivery Object)リストを生成し、上記PDOリストを用いて上記受電機器(DN+1)とネゴシエーションを行って、上記受電機器(DN+1)と契約する、
発明1の給電装置。
【0017】
(発明3)
上記ステップ2で、
上記接続信号を受信した上記マスターコントローラーが上記Wc、上記Wu、上記[Wm
ax-Wc(1toN)] 、上記Wminを参照して上記受電機器(D1~DN)に関係(4):Wc>Wu が成立する少なくとも1つの受電機器(DH0)を検出した場合には、
上記マスターコントローラーは、
上記受電機器(DH0)と再契約を行うことができる最大電力(Wrc)と、上記WN+
1とを決定し、
上記受電機器(DH0)のUSBポートに配置されたPDコントローラー(PDCH0)に上記Wrcを送信し、上記PDコントローラー(PDCN+1)に上記WN+1を送信し、
上記ステップ3で、
上記Wrcを受信した上記PDコントローラー(PDCH0)が、上記Wrcに基づいてPDOリストを生成し、上記PDOリストを用いて上記受電機器(DH0)とネゴシエーションを行って、上記受電機器(DH0)とより低い電力値で再契約し、
上記WN+1を受信した上記PDコントローラー(PDCN+1)が、上記受電機器(DN+1)の電力プロファイルを取得することなく、上記WN+1に基づいてPDOリストを生成し、上記PDOリストを用いて上記受電機器(DN+1)とネゴシエーションを行って、上記受電機器(DN+1)と契約する、
発明2の給電装置。
【0018】
(発明4)
上記ステップ2で、
関係(1):(Wmax-Wc(1toN))≧Wmin (Wc(1toN)は、上記N個の受電機器(D1~DN)の契約電力Wc(Wc1~WcN)の合計である。Wmi
nは、USB Type-C規格に従う上記USBポートにおける最低供給電力値である。)が成立せず、
上記マスターコントローラーが、上記N個の受電機器(D1~DN)のうち関係(2):(Wc-Wu)≧Wmin を満足する1つの受電機器(DH1)を検出した場合に、
上記接続信号を受信した上記マスターコントローラーが、
上記Wmax、上記Wc、上記Wu、上記Wminを参照して、上記受電機器(DH1)と再契約を行うことができる最大電力(Wrc)と、上記WN+1とを決定し、
上記受電機器(DH1)に接続するPDコントローラー(PDCH1)に上記Wrcを送信し、上記PDコントローラー(PDCN+1)に上記WN+1を送信し、
上記ステップ3で、
上記Wrcを受信した上記PDコントローラー(PDCH1)が、上記Wrcに基づいてPDOリストを生成し、上記PDOリストを用いて上記受電機器(DH1)とネゴシエーションを行って、上記受電機器(DH1)とより低い電力値で再契約し、
上記WN+1を受信した上記PDコントローラー(PDCN+1)が、上記受電機器(DN+1)の電力プロファイルを取得することなく、上記WN+1に基づいてPDOリストを生成し、上記PDOリストを用いて上記受電機器(DN+1)とネゴシエーションを行って、上記受電機器(DN+1)と契約する、
発明1の給電装置。
【0019】
(発明5)
上記ステップ2で、
上記接続信号を受信した上記マスターコントローラーが上記Wmax、上記Wc、上記Wu、上記Wminを参照して上記受電機器(D1~DN)に関係(4):Wc>Wu が成立する上記受電機器(DH1)以外の少なくとも1つの受電機器(DH0)を検出した場合には、
上記マスターコントローラーは、
上記受電機器(DH0)と再契約を行うことができる最大電力(Wrc)と、上記受電機器(DH1)と再契約を行うことができる最大電力(Wrc)と、上記WN+1とを決定し、
上記受電機器(DH0)に接続するPDコントローラー(PDCH0)に上記Wrcを送信し、上記受電機器(DH1)に接続するPDコントローラー(PDCH1)に上記Wrcを送信し、上記PDコントローラー(PDCN+1)に上記WN+1を送信し、
上記ステップ3で、
上記Wrcを受信した上記PDコントローラー(PDCH0)が、上記Wrcに基づいてPDOリストを生成し、上記PDOリストを用いて上記受電機器(DH0)とネゴシエーションを行って、上記受電機器(DH0)とより低い電力値で再契約し、
上記Wrcを受信した上記PDコントローラー(PDCH1)が、上記Wrcに基づいてPDOリストを生成し、上記PDOリストを用いて上記受電機器(DH1)とネゴシエーションを行って、上記受電機器(DH1)とより低い電力値で再契約し、
上記WN+1を受信した上記PDコントローラー(PDCN+1)が、上記受電機器(DN+1)の電力プロファイルを取得することなく、上記WN+1に基づいてPDOリストを生成し、上記PDOリストを用いて上記受電機器(DN+1)とネゴシエーションを行って、上記受電機器(DN+1)と契約する、
発明4の給電装置。
【0020】
(発明6)
上記ステップ2で、
関係(1):(Wmax-Wc(1toN))≧Wmin (Wc(1toN)は、上記N個の受電機器(D1~DN)の契約電力Wc(Wc1~WcN)の合計である。Wmi
nは、USB Type-C規格に従う上記USBポートにおける最低供給電力値である。)が成立せず、
上記マスターコントローラーが、上記N個の受電機器(D1~DN)のうち関係(2):(Wc-Wu)≧Wmin を満足する1つの受電機器(DH1)を検出しない場合に、上記マスターコントローラーが、上記N個の受電機器(D1~DN)のうち関係(3):Wc≧(Wmin+Wmin) を満足するm個(ただしmは、1≦m≦Nを満足する整数である)の受電機器(DH2)を検出し、
上記接続信号を受信した上記マスターコントローラーが、
上記Wmax、上記Wc、上記Wu、上記Wminを参照して、上記受電機器(DH2)と再契約を行うことができる最大電力(Wrc)と、上記WN+1とを決定し、
上記受電機器(DH2)に接続するPDコントローラー(PDCH2)に上記Wrcを送信し、上記PDコントローラー(PDCN+1)に上記WN+1を送信し、
上記ステップ3で、
上記Wrcを受信した上記PDコントローラー(PDCH2)が、上記Wrcに基づいてPDOリストを生成し、上記PDOリストを用いて上記受電機器(DH2)とネゴシエーションを行って、上記受電機器(DH2)とより低い電力値で再契約し、
上記WN+1を受信した上記PDコントローラー(PDCN+1)が、上記受電機器(DN+1)の電力プロファイルを取得することなく、上記WN+1に基づいてPDOリストを生成し、上記PDOリストを用いて上記受電機器(DN+1)とネゴシエーションを行って、上記受電機器(DN+1)と契約する、
発明1の給電装置。
【0021】
(発明7)
上記ステップ2で、
上記接続信号を受信した上記マスターコントローラーが上記Wmax、上記Wc、上記Wu、上記Wminを参照して上記受電機器(D1~DN)に関係(4):Wc>Wu が成立する上記受電機器(DH1)以外の少なくとも1つの受電機器(DH0)を検出した場合には、
上記マスターコントローラーは、
上記受電機器(DH0)と再契約を行うことができる最大電力(Wrc)と、上記受電機器(DH2)と再契約を行うことができる最大電力(Wrc)と、上記WN+1とを決定し、
上記受電機器(DH0)に接続するPDコントローラー(PDCH0)に上記Wrcを送信し、上記受電機器(DH2)に接続するPDコントローラー(PDCH2)に上記Wrcを送信し、上記PDコントローラー(PDCN+1)に上記WN+1を送信し、
上記ステップ3で、
上記Wrcを受信した上記PDコントローラー(PDCH0)が、上記Wrcに基づいてPDOリストを生成し、上記PDOリストを用いて上記受電機器(DH0)とネゴシエーションを行って、上記受電機器(DH0)とより低い電力値で再契約し、
上記Wrcを受信した上記PDコントローラー(PDCH2)が、上記Wrcに基づいてPDOリストを生成し、上記PDOリストを用いて上記受電機器(DH2)とネゴシエーションを行って、上記受電機器(DH2)とより低い電力値で再契約し、
上記WN+1を受信した上記PDコントローラー(PDCN+1)が、上記受電機器(DN+1)の電力プロファイルを取得することなく、上記WN+1に基づいてPDOリストを生成し、上記PDOリストを用いて上記受電機器(DN+1)とネゴシエーションを行って、上記受電機器(DN+1)と契約する、
発明6の給電装置。
【0022】
(発明8)
上記受電機器(DN+1)への電力供給を開始した後、
(N+1)個の上記USBポート(P1~PN+1)に(N+1)個の受電機器(D1~DN+1)が接続している状態で、上記受電機器(D1~DN+1)の各々に接続する上記PDコントローラー(PDC1~PDCN+1)は、上記マスターコントローラーに、上記受電機器(D1~DN+1)毎の上記Wcと上記Wuを通知し、
以下のステップ4、ステップ5、ステップ6を行う、
発明1の給電装置。
ステップ4:
上記マスターコントローラーが、上記受電機器(D1~DN+1)毎に関係(5):Wc>Wu が成立するか否かを判定する。上記受電機器(D1~DN+1)に上記関係(5)を満足するものが検出されない場合には、上記マスターコントローラーは次のステップ5に進まず上記PDコントローラー(PDC1~PDCN+1)による上記Wcと上記Wuの次の通知を待つ。上記関係(5)が成立する1以上の受電機器(Dh)が検出された場合には、次のステップ5に進む。
ステップ5:
上記マスターコントローラーは、上記受電機器(Dh)と再契約を行うことができる最大電力(Wrc)を、上記Wmax、上記Wc、上記Wu、上記Wminを参照して決定して、上記受電機器(Dh)に接続するPDコントローラー(PDCh)に上記Wrcを送信する。
ステップ6:
上記Wrcを受信した上記PDコントローラー(PDCh)が、上記Wrcに基づいてPDOリストを生成し、上記PDOリストを用いて上記受電機器(Dh)とネゴシエーションを行って、上記受電機器(Dh)とより低い電力値で再契約する。
【0023】
(発明9)
上記ステップ5で、
上記マスターコントローラーは、上記受電機器(Dh)と再契約を行うことができる最大電力(Wrc)と、上記受電機器(Dh)以外の少なくとも1つの受電機器(DL)と再契約を行うことができる最大電力(Wrc)とを、上記Wmax、上記Wc、上記Wu、上記Wminを参照して決定し、
上記受電機器(Dh)に接続するPDコントローラー(PDCh)に上記Wrcを送信し、上記受電機器(DL)に接続するPDコントローラー(PDCL)に上記Wrcを送信し、
上記ステップ6で、
上記Wrcを受信した上記PDコントローラー(PDCh)が、上記Wrcに基づいてPDOリストを生成し、上記PDOリストを用いて上記受電機器(Dh)とネゴシエーションを行って、上記受電機器(Dh)とより低い電力値で再契約し、
上記Wrcを受信した上記PDコントローラー(PDCL)が、上記Wrcに基づいてPDOリストを生成し、上記PDOリストを用いて上記受電機器(DL)とネゴシエーションを行って、上記受電機器(DL)とより高い電力値で再契約する、
発明8の給電装置。
【0024】
(発明10)
上記少なくとも1つの受電機器(DL)が、(N+1)番目に接続された受電機器(DN
+1)を含む、発明9の給電装置。
【0025】
(発明11)
受電機器の挿抜が無い限り上記ステップ4、上記ステップ5、上記ステップ6をこの順で繰り返す、発明8の給電装置。
【0026】
(発明12)
受電機器の挿抜が無い限り上記ステップ4を一定時間ごとに行う、発明11の給電装置。
【0027】
(発明13)
USB-PD規格に対応する複数のUSBポートがUSB Type-C規格に対応する、発明1の給電装置。
【0028】
(発明14)
USB-PD規格に対応する複数のUSBポート、複数のPDコントローラー、マスターコントローラーを有し、上記PDコントローラーは上記複数のUSBポートの各々に配置され、上記マスターコントローラーは上記複数のPDコントローラーの各々と通信可能である、給電装置において、
上記給電装置の総供給電力の上限値をWmax、
上記複数のUSBポートに接続している受電機器の契約電力をWc、
上記複数のUSBポートに接続している受電機器の使用電力をWu(ただし上記Wuは、上記受電機器の消費電力の実測値をフィルター処理した値である)、としたとき、
N個(ただしNは1以上の整数)の上記USBポート(P1~PN)にN個の受電機器(D1~DN)が接続している状態で、上記受電機器(D1~DN)の各々に接続する上記PDコントローラー(PDC1~PDCN)は、上記マスターコントローラーに、上記受電機器(D1~DN)毎の上記Wcと上記Wuを通知し、
上記USBポート(P1~PN)以外のUSBポート(PN+1)に(N+1)番目の受電機器(DN+1)が接続した場合、以下のステップ1,ステップ2,ステップ3を経て上記受電機器(DN+1)に電力供給を開始する、給電方法。
ステップ1:
上記USBポート(PN+1)に接続するPDコントローラー(PDCN+1)が、上記受電機器(DN+1)の電力プロファイルを取得することなく、上記マスターコントローラーに上記受電機器(DN+1)の接続信号を送信する。
ステップ2:
上記接続信号を受信した上記マスターコントローラーが、上記受電機器(DN+1)の電力プロファイルを取得することなく、上記Wmax、上記Wc、上記Wuを参照して上記受電機器(DN+1)に供給可能な最大電力(WN+1)を決定し、上記WN+1を上記PDコントローラー(PDCN+1)に送信する。
ステップ3:
上記WN+1を受信した上記PDコントローラー(PDCN+1)が、上記受電機器(DN+1)の電力プロファイルを取得することなく、上記WN+1に基づいてPDO(Power Dilivery Object)リストを生成し、上記PDOリストを用いて上記受電機器(DN+1)とネゴシエーションを行って、上記受電機器(DN+1)と契約する。
【0029】
(発明15)
上記ステップ2で、
関係(1):(Wmax-Wc(1toN))≧Wmin (Wc(1toN)は、上記N個の受電機器(D1~DN)の契約電力Wc(Wc1~WcN)の合計である。Wm
inは、USB Type-C規格に従う上記USBポートにおける最低供給電力値である。)が成立する場合には、
上記接続信号を受信した上記マスターコントローラーが、上記受電機器(DN+1)の電力プロファイルを取得することなく、
上記Wc、上記Wu、上記[Wmax-Wc(1toN)] 、上記Wminを参照して、上記WN+1を決定し、上記WN+1を上記PDコントローラー(PDCN+1)に送信し、
上記ステップ3で、
上記WN+1を受信した上記PDコントローラー(PDCN+1)が、上記受電機器(DN+1)の電力プロファイルを取得することなく、上記WN+1に基づいてPDO(Power Dilivery Object)リストを生成し、上記PDOリストを用いて上記受電機器(DN+1)とネゴシエーションを行って、上記受電機器(DN+1)と契約する、
発明14の給電方法。
【0030】
(発明16)
上記ステップ2で、
上記接続信号を受信した上記マスターコントローラーが上記Wc、上記Wu、上記[Wm
ax-Wc(1toN)] 、上記Wminを参照して上記受電機器(D1~DN)に関係(4):Wc>Wu が成立する少なくとも1つの受電機器(DH0)を検出した場合には、
上記マスターコントローラーは、
上記受電機器(DH0)と再契約を行うことができる最大電力(Wrc)と、上記WN+
1とを決定し、
上記受電機器(DH0)に接続するPDコントローラー(PDCH0)に上記Wrcを送信し、上記PDコントローラー(PDCN+1)に上記WN+1を送信し、
上記ステップ3で、
上記Wrcを受信した上記PDコントローラー(PDCH0)が、上記Wrcに基づいてPDOリストを生成し、上記PDOリストを用いて上記受電機器(DH0)とネゴシエーションを行って、上記受電機器(DH0)とより低い電力値で再契約し、
上記WN+1を受信した上記PDコントローラー(PDCN+1)が、上記受電機器(DN+1)の電力プロファイルを取得することなく、上記WN+1に基づいてPDOリストを生成し、上記PDOリストを用いて上記受電機器(DN+1)とネゴシエーションを行って、上記受電機器(DN+1)と契約する、
発明15の給電方法。
【0031】
(発明17)
上記ステップ2で、
関係(1):(Wmax-Wc(1toN))≧Wmin (Wc(1toN)は、上記N個の受電機器(D1~DN)の契約電力Wc(Wc1~WcN)の合計である。Wmi
nは、USB Type-C規格に従う上記USBポートにおける最低供給電力値である。)が成立せず、
上記マスターコントローラーが、上記N個の受電機器(D1~DN)のうち関係(2):(Wc-Wu)≧Wmin を満足する1つの受電機器(DH1)を検出した場合に、
上記接続信号を受信した上記マスターコントローラーが、
上記Wmax、上記Wc、上記Wu、上記Wminを参照して、上記受電機器(DH1)と再契約を行うことができる最大電力(Wrc)と、上記WN+1とを決定し、
上記受電機器(DH1)に接続するPDコントローラー(PDCH1)に上記Wrcを送信し、上記PDコントローラー(PDCN+1)に上記WN+1を送信し、
上記ステップ3で、
上記Wrcを受信した上記PDコントローラー(PDCH1)が、上記Wrcに基づいてPDOリストを生成し、上記PDOリストを用いて上記受電機器(DH1)とネゴシエーションを行って、上記受電機器(DH1)とより低い電力値で再契約し、
上記WN+1を受信した上記PDコントローラー(PDCN+1)が、上記受電機器(DN+1)の電力プロファイルを取得することなく、上記WN+1に基づいてPDOリストを生成し、上記PDOリストを用いて上記受電機器(DN+1)とネゴシエーションを行って、上記受電機器(DN+1)と契約する、
発明14の給電方法。
【0032】
(発明18)
上記ステップ2で、
上記接続信号を受信した上記マスターコントローラーが上記Wmax、上記Wc、上記Wu、上記Wminを参照して上記受電機器(D1~DN)に関係(4):Wc>Wu が成立する上記受電機器(DH1)以外の少なくとも1つの受電機器(DH0)を検出した場合には、
上記マスターコントローラーは、
上記受電機器(DH0)と再契約を行うことができる最大電力(Wrc)と、上記受電機器(DH1)と再契約を行うことができる最大電力(Wrc)と、上記WN+1とを決定し、
上記受電機器(DH0)に接続するPDコントローラー(PDCH0)に上記Wrcを送信し、上記受電機器(DH1)に接続するPDコントローラー(PDCH1)に上記Wrcを送信し、上記PDコントローラー(PDCN+1)に上記WN+1を送信し、
上記ステップ3で、
上記Wrcを受信した上記PDコントローラー(PDCH0)が、上記Wrcに基づいてPDOリストを生成し、上記PDOリストを用いて上記受電機器(DH0)とネゴシエーションを行って、上記受電機器(DH0)とより低い電力値で再契約し、
上記Wrcを受信した上記PDコントローラー(PDCH1)が、上記Wrcに基づいてPDOリストを生成し、上記PDOリストを用いて上記受電機器(DH1)とネゴシエーションを行って、上記受電機器(DH1)とより低い電力値で再契約し、
上記WN+1を受信した上記PDコントローラー(PDCN+1)が、上記受電機器(DN+1)の電力プロファイルを取得することなく、上記WN+1に基づいてPDOリストを生成し、上記PDOリストを用いて上記受電機器(DN+1)とネゴシエーションを行って、上記受電機器(DN+1)と契約する、
発明17の給電方法。
【0033】
(発明19)
上記ステップ2で、
関係(1):(Wmax-Wc(1toN))≧Wmin (Wc(1toN)は、上記N個の受電機器(D1~DN)の契約電力Wc(Wc1~WcN)の合計である。Wmi
nは、USB Type-C規格に従う上記USBポートにおける最低供給電力値である。)が成立せず、
上記マスターコントローラーが、上記N個の受電機器(D1~DN)のうち関係(2):(Wc-Wu)≧Wmin を満足する1つの受電機器(DH1)を検出しない場合に、上記マスターコントローラーが、上記N個の受電機器(D1~DN)のうち関係(3):Wc≧(Wmin+Wmin) を満足するm個(ただしmは、1≦m≦Nを満足する整数である)の受電機器(DH2)を検出し、
上記接続信号を受信した上記マスターコントローラーが、
上記Wmax、上記Wc、上記Wu、上記Wminを参照して、上記受電機器(DH2)と再契約を行うことができる最大電力(Wrc)と、上記WN+1とを決定し、
上記受電機器(DH2)に接続するPDコントローラー(PDCH2)に上記Wrcを送信し、上記PDコントローラー(PDCN+1)に上記WN+1を送信し、
上記ステップ3で、
上記Wrcを受信した上記PDコントローラー(PDCH2)が、上記Wrcに基づいてPDOリストを生成し、上記PDOリストを用いて上記受電機器(DH2)とネゴシエーションを行って、上記受電機器(DH2)とより低い電力値で再契約し、
上記WN+1を受信した上記PDコントローラー(PDCN+1)が、上記受電機器(DN+1)の電力プロファイルを取得することなく、上記WN+1に基づいてPDOリストを生成し、上記PDOリストを用いて上記受電機器(DN+1)とネゴシエーションを行って、上記受電機器(DN+1)と契約する、
発明14の給電方法。
【0034】
(発明20)
上記ステップ2で、
上記接続信号を受信した上記マスターコントローラーが上記Wmax、上記Wc、上記Wu、上記Wminを参照して上記受電機器(D1~DN)に関係(4):Wc>Wu が成立する上記受電機器(DH1)以外の少なくとも1つの受電機器(DH0)を検出した場合には、
上記マスターコントローラーは、
上記受電機器(DH0)と再契約を行うことができる最大電力(Wrc)と、上記受電機器(DH2)と再契約を行うことができる最大電力(Wrc)と、上記WN+1とを決定し、
上記受電機器(DH0)に接続するPDコントローラー(PDCH0)に上記Wrcを送信し、上記受電機器(DH2)に接続するPDコントローラー(PDCH2)に上記Wrcを送信し、上記PDコントローラー(PDCN+1)に上記WN+1を送信し、
上記ステップ3で、
上記Wrcを受信した上記PDコントローラー(PDCH0)が、上記Wrcに基づいてPDOリストを生成し、上記PDOリストを用いて上記受電機器(DH0)とネゴシエーションを行って、上記受電機器(DH0)とより低い電力値で再契約し、
上記Wrcを受信した上記PDコントローラー(PDCH2)が、上記Wrcに基づいてPDOリストを生成し、上記PDOリストを用いて上記受電機器(DH2)とネゴシエーションを行って、上記受電機器(DH2)とより低い電力値で再契約し、
上記WN+1を受信した上記PDコントローラー(PDCN+1)が、上記受電機器(DN+1)の電力プロファイルを取得することなく、上記WN+1に基づいてPDOリストを生成し、上記PDOリストを用いて上記受電機器(DN+1)とネゴシエーションを行って、上記受電機器(DN+1)と契約する、
発明19の給電方法。
【0035】
(発明21)
上記受電機器(DN+1)への電力供給を開始した後、
(N+1)個の上記USBポート(P1~PN+1)に(N+1)個の受電機器(D1~DN+1)が接続している状態で、上記USBポート(P1~PN+1)の各々に接続する上記PDコントローラー(PDC1~PDCN+1)は、上記マスターコントローラーに、上記受電機器(D1~DN+1)毎の上記Wcと上記Wuを通知し、
以下のステップ4、ステップ5、ステップ6を行う、
発明14の給電方法。
ステップ4:
上記マスターコントローラーが、上記受電機器(D1~DN+1)毎に関係(5):Wc>Wu が成立するか否かを判定する。上記受電機器(D1~DN+1)に上記関係(5)を満足するものが検出されない場合には、上記マスターコントローラーは次のステップ5に進まず上記PDコントローラー(PDC1~PDCN+1)による上記Wcと上記Wuの次の通知を待つ。上記関係(5)が成立する1以上の受電機器(Dh)を検出した場合には、次のステップ5に進む。
ステップ5:
上記マスターコントローラーは、上記受電機器(Dh)と再契約を行うことができる最大電力(Wrc)を、上記Wmax、上記Wc、上記Wu、上記Wminを参照して決定して、上記受電機器(Dh)に接続するPDコントローラー(PDCh)に上記Wrcを送信する。
ステップ6:
上記Wrcを受信した上記PDコントローラー(PDCh)が、上記Wrcに基づいてPDOリストを生成し、上記PDOリストを用いて上記受電機器(Dh)とネゴシエーションを行って、上記受電機器(Dh)とより低い電力値で再契約する。
【0036】
(発明22)
上記ステップ5で、
上記マスターコントローラーは、上記受電機器(Dh)と再契約を行うことができる最大電力(Wrc)と、上記受電機器(Dh)以外の少なくとも1つの受電機器(DL)と再契約を行うことができる最大電力(Wrc)とを、上記Wmax、上記Wc、上記Wu、上記Wminを参照して決定し、
上記受電機器(Dh)に接続するPDコントローラー(PDCh)に上記Wrcを送信し、上記受電機器(DL)に接続するPDコントローラー(PDCL)に上記Wrcを送信し、
上記ステップ6で、
上記Wrcを受信した上記PDコントローラー(PDCh)が、上記Wrcに基づいてPDOリストを生成し、上記PDOリストを用いて上記受電機器(Dh)とネゴシエーションを行って、上記受電機器(Dh)とより低い電力値で再契約し、
上記Wrcを受信した上記PDコントローラー(PDCL)が、上記Wrcに基づいてPDOリストを生成し、上記PDOリストを用いて上記受電機器(DL)とネゴシエーションを行って、上記受電機器(DL)とより高い電力値で再契約する、
発明21の給電方法。
【0037】
(発明23)
上記少なくとも1つの受電機器(DL)が、(N+1)番目に接続された受電機器(DN
+1)を含む、発明22の給電方法。
【0038】
(発明24)
受電機器の挿抜が無い限り上記ステップ4、上記ステップ5、上記ステップ6をこの順で繰り返す、発明21の給電方法。
【0039】
(発明25)
受電機器の挿抜が無い限り上記ステップ4を一定時間ごとに行う、発明24に記載の給電方法。
【0040】
(発明26)
USB-PD規格に対応する複数のUSBポートがUSB Type-C規格に対応する、発明14の給電方法。
【発明の効果】
【0041】
本発明の給電装置及び給電方法では、新たな受電機器の電力プロファイルを取得することなく、新たな受電機器とのネゴシエーションを開始する。このネゴシエーションの前に、既接続受電機器と、過剰な割当電力を差し引いた再契約を実行することができる。さらに、新たな受電機器との契約が完了した後に、すべての受電機器に電力の過剰割当が有るかどうかを定期的に判定して、各受電機器に適正なレベルで電力供給できるように契約を更新することができる。本発明の給電装置及び給電方法は、多数の受電機器に対して電力を効率的に配分することができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【
図4】本発明の給電方法・給電方法の動作フローの例。
【
図5】本発明の給電方法・給電方法の動作フローの例。
【
図6】本発明の給電方法・給電方法の動作フローの例。
【発明を実施するための形態】
【0043】
[給電装置]
以下、
図1,
図2,
図3を参照させて本発明の給電装置を説明する。なお、
図1,
図2,
図3は、本発明の給電装置の主要部の配置を理解するための参考図であって、本発明は
図1,
図2,
図3に限定されない。実際の給電装置の回路・通信線は描写されておらず、形状やサイズには誇張や省略がある。
【0044】
図1に示すように、本発明の給電装置(1)は、USB-PD規格に対応する複数のUSBポート(2)、複数のPDコントローラー(3)、マスターコントローラー(4)を有する。上記PDコントローラー(3)は上記複数のUSBポート(2)の各々に配置され、上記マスターコントローラー
(4)は上記複数のPDコントローラー(3)の各々と通信可能である。PDコントローラー(3)とマスターコントローラー
(4)との通信には、一般的には、I2CやSPIなどのシリアルインターフェースを用いる。
【0045】
図2に本発明の給電装置の例(101)を示す。給電装置(101)に受電機器(9)が接続している。給電装置(101)は、2つのUSBポート(210,220)、マスターコントローラー(401)、AC/DCコンバータ(51)、EMIフィルター(61)、電源に接続するプラグ(71)を有する。マスターコントローラー(401)はAC/DCコンバータ(51)を制御して、給電装置(101)の供給電力を生成する。USBポート(210)とUSBポート(220)とは同等の機能を有する。
【0046】
USBポート(210)には、PDコントローラー(310)、DC/DCコンバータ(810)、コネクタ(2100)が配置されている。PDコントローラー(310)はDC/DCコンバータ(810)に制御信号を送信することができる。PDコントローラー(310)とマスターコントローラー(401)とが通信する。
【0047】
USBポート(220)には、PDコントローラー(320)、DC/DCコンバータ(820)、コネクタ(2200)が配置されている。PDコントローラー(320)はDC/DCコンバータ(820)に制御信号を送信することができる。PDコントローラー(320)とマスターコントローラー(401)とが通信する。
【0048】
コネクタ(2100)には、受電機器(9)が接続し、PDコントローラー(310)が受電機器(9)と通信可能すなわち接続した状態にある。コネクタ(2200)は空いている。
【0049】
図3に本発明の給電装置の他の例(102)を示す。給電装置(102)には既に3つの受電機器(91,92,93)が接続している。給電装置(102)は、4つのUSBポート(21,22,23,24)、マスターコントローラー(402)、AC/DCコンバータ(52)、EMIフィルター(62)、電源に接続するプラグ(72)を有する。マスターコントローラー(402)はAC/DCコンバータ(52)を制御して、給電装置(102)の供給電力を生成する。4つのUSBポート(21,22,23,24)は同等の機能を有する。
【0050】
USBポート(21)には、PDコントローラー(31)、DC/DCコンバータ(81)、コネクタ(210)が配置されている。PDコントローラー(31)はDC/DCコンバータ(81)に制御信号を送信することができる。PDコントローラー(31)とマスターコントローラー(402)とが通信する。コネクタ(210)には、受電機器(91)が接続し、PDコントローラー(31)が受電機器(91)と通信可能すなわち接続した状態にある。
【0051】
USBポート(22)には、PDコントローラー(32)、DC/DCコンバータ(82)、コネクタ(220)が配置されている。PDコントローラー(32)はDC/DCコンバータ(82)に制御信号を送信することができる。PDコントローラー(32)とマスターコントローラー(402)とが通信する。コネクタ(220)には、受電機器(92)が接続し、PDコントローラー(32)が受電機器(92)と通信可能すなわち接続した状態にある。
【0052】
USBポート(23)には、PDコントローラー(33)、DC/DCコンバータ(83)、コネクタ(230)が配置されている。PDコントローラー(33)はDC/DCコンバータ(83)に制御信号を送信することができる。PDコントローラー(33)とマスターコントローラー(402)とが通信する。コネクタ(230)には、受電機器(93)が接続し、PDコントローラー(33)が受電機器(93)と通信可能すなわち接続した状態にある。
【0053】
USBポート(24)には、PDコントローラー(34)、DC/DCコンバータ(84)、コネクタ(240)が配置されている。PDコントローラー(34)はDC/DCコンバータ(84)に制御信号を送信することができる。PDコントローラー(34)とマスターコントローラー(402)とが通信する。コネクタ(240)は空いている。コネクタ(240)に新たな受電機器(94)が挿入されると、コネクタ(240)側のケーブルと新たな受電機器(94)側のケーブルを介してPDコントローラー(34)が受電機器(94)と通信可能、すなわち接続した状態となる。
【0054】
本発明の給電装置及び給電方法では、給電装置の総供給電力の上限値をWmax、上記複数のUSBポートに接続している受電機器の契約電力をWc、上記複数のUSBポートに接続している受電機器の使用電力をWuとしたとき、N個(ただしNは1以上の整数)の上記USBポート(P1~PN)にN個の受電機器(D1~DN)が接続している状態で、上記受電機器(D1~DN)の各々に接続する上記PDコントローラー(PDC1~PDCN)は、上記マスターコントローラーに、上記受電機器(D1~DN)毎の上記Wcと上記Wuを通知する。
【0055】
上記PDコントローラー(PDC1~PDCN)から上記マスターコントローラーへの上記通知は、一般的には一定時間毎に、好ましくは数分間隔で、さらに好ましくは3分~10分程度の間隔をおいて、受電機器の挿抜がない限り、反復される。上記マスターコントローラーは上記PDコントローラー(PDC1~PDCN)からの通知の度に、上記Wcと上記Wuを更新する。
【0056】
受電機器の消費電力は時々刻々変化するが、著しく高い電力が消費される期間が出現することが知られている。このような高電力消費が継続する期間は極めて短いが反復性があって、スパイク的に出現する電力消費、あるいは、デューティ比が小さいパルスとして観測される。そして、この高電力消費現象の頻度が受電機器の動作や充電時間にはほとんど影響しないことも知られている。したがって、受電機器の電力消費を、近い将来に各受電機器で実際に必要とされる電力を予測するための基礎値として扱う場合には、上述のデューティ比が小さいパルスそのものは受電機器の実際の消費電力値としての意味合いを持ち難い。
【0057】
そこで本発明では、上記受電機器の消費電力の実測値をフィルター処理した値を、上記Wuとして用いる。このようなフィルター処理には、一般的にはデジタルフィルター、例えば、ローパスフィルターあるいはsinC応答フィルターとしての移動平均フィルターを用いる。本発明では好ましくは、適度な移動幅を設定して得られた移動平均値としての電力値を上記Wuとして用いる。本発明では上記Wuを、測定時からの適当な期間に受電機器が本質的に必要とする電力値として利用している。
【0058】
例えば
図2に示す給電装置(101)では、1個の受電機器D
1(9)が接続している状態で、上記受電機器D
1(9)に接続するPDコントローラー:PDC
1(310)が、マスターコントローラー(401)に、受電機器D
1(9)の上記Wcと上記Wuを通知する。
【0059】
例えば
図3に示す給電装置(102)では、3個の受電機器:D
1,D
2,D
3(91,92,93)が接続している状態で、上記受電機器D
1(91)に接続するPDコントローラー:PDC
1(31)が、マスターコントローラー(402)に、受電機器D
1(91)の上記Wcと上記Wuを通知する。同様に、PDコントローラー:PDC
2(32)がマスターコントローラー(402)に受電機器
D
2
(92)の上記Wcと上記Wuを、PDコントローラー:PDC
3(33)がマスターコントローラー(402)に受電機器D
3(93)の上記Wcと上記Wuを、通知する。マスターコントローラー(402)は、3つの受電機器(91,92,93)の各々の上記Wcと上記Wuを取得する度に、上記Wcと上記Wuを最新の値に更新する。
【0060】
[(N+1)番目の接続]
本発明の給電装置及び給電方法は、既に1以上の受電機器が接続した状態で新たに接続した受電機器に対して、この受電機器の電力プロファイルを要求することなくネゴシエーションを開始することを、最大の特徴の一つとする。
【0061】
本発明の給電装置及び給電方法において、上記USBポート(P1~PN)以外のUSBポート(PN+1)に(N+1)番目の受電機器(DN+1)が接続した場合、以下のステップ1,ステップ2,ステップ3を経て上記受電機器(DN+1)に電力供給を開始する。
【0062】
ステップ1:
上記USBポート(PN+1)に接続するPDコントローラー(PDCN+1)が、上記受電機器(DN+1)の電力プロファイルを取得することなく、上記マスターコントローラーに上記受電機器(DN+1)の接続信号を送信する。
【0063】
ステップ2:
上記接続信号を受信した上記マスターコントローラーが、上記受電機器(DN+1)の電力プロファイルを取得することなく、上記Wmax、上記Wc、上記Wuを参照して上記受電機器(DN+1)に供給可能な最大電力(WN+1)を決定し、上記WN+1を上記PDコントローラー(PDCN+1)に送信する。
【0064】
ステップ3:
上記WN+1を受信した上記PDコントローラー(PDCN+1)が、上記受電機器(DN+1)の電力プロファイルを取得することなく、上記WN+1に基づいてPDO(Power Dilivery Object)リストを生成し、上記PDOリストを用いて上記受電機器(DN+1)とネゴシエーションを行って、上記受電機器(DN+1)と契約する。
【0065】
例えば
図3に示す給電装置(102)のコネクタ
(240)に4番目の受電機器D
3+
1(94)が挿入されると、コネクタ(240)においてUSBポート(24)側のケーブルと、受電機器D
3+1(94)側のケーブルが接続する。すると、上記ステップ1で、PDコントローラーPDC
3+1(34)は、受電機器D
3+1(94)が接続したことを通知する信号をマスターコントローラー
(402)に送信する。このステップ1では、PDコントローラーPDC
3+1(34)は受電機器D
3+1(94)に電力プロファイルの送信を要求しない。
【0066】
続く上記ステップ2で、マスタコントローラー(402)が上記Wmax、上記Wc、上記Wuを参照して受電機器D3+1(94)に供給可能な最大電力(W3+1)を決定し、上記W3+1をPDコントローラーPDC3+1(34)に送信する。ここで、マスタコントローラー(402)は受電機器D3+1(94)の電力プロファイルを取得していない。
【0067】
続く上記ステップ3で、上記W3+1を受信したPDコントローラーPDC3+1(34)が、上記W3+1に基づいてPDO(Power Dilivery Object)リストを生成する。ここで、PDコントローラーPDC3+1(34)は受電機器D3
+1(94)の電力プロファイルを要求しない。上記PDOリストはコネクタ(240)のケーブルを介して受電機器D3+1(94)に送信され、PDコントローラーPDC3
+1(34)と受電機器D3+1(94)とのネゴシエーションが始まる。ネゴシエーションの結果、上記W3+1に基づく供給電力が契約されると、PDコントローラーPDC3+1(34)はDC/DCコンバータ(84)を含む電源回路に制御信号を送って受電機器(DN+1)への電力供給を開始する。このとき、マスターコントローラー(402)はPDコントローラーPDC3+1(34)と受電機器D3+1(94)との契約内容をPDコントローラーPDC3+1(34)から取得する。
【0068】
本発明では受電機器DN+1とのネゴシエーションに受電機器DN+1の電力プロファイルを参照する必要がないため、より多様な機器に電力供給することができる。例えば、従来の給電装置に適切な電力プロファイルを送信できない受電機器であっても、本発明の給電装置とのネゴシエーションと契約が可能となる。
【0069】
さらに、本発明の給電装置は受電機器の実際の消費電力を参照してネゴシエーションを行うため、過剰な電力を契約すること無くいずれの受電機器にも電力供給を行うことができる。
【0070】
[最大電力(WN+1)の決定と使用]
上記ステップ2とステップ3で、最大電力(WN+1)を決定し利用する動作として、以下の動作(A),動作(B),動作(C)が許容される。
【0071】
本発明では、マスターコントローラーがいずれかの受電機器と再契約を行うことができる最大電力として決定する値を「Wrc」と表記する。「Wrc」は一定の値を意味する表記ではない。マスターコントローラーが複数のWrcを決定する場合、複数のWrcの2以上が同一であってもよく、各Wrcが異なっていてもよい。
【0072】
動作(A):
動作(A)は、給電装置の電力供給能力に余力がある場合の動作であり、優先される動作である。動作(A)のステップ2では、まず、受電機器DN+1の接続がマスターコントローラーに通知された時、マスターコントローラーは、関係(1):(Wmax-Wc(
1toN))≧Wmin (Wc(1toN)は、上記N個の受電機器(D1~DN)の契約電力Wc(Wc1~WcN)の合計である。Wminは、USB Type-C規格に従う上記USBポートにおける最低供給電力値である。)が成立するか否かを判定する。USB Type-C規格に従うと上記Wminは7.5Wである。
【0073】
上記関係(1)は、既に接続したN個の受電機器D1~DNと再契約を行わなくとも、上記受電機器DN+1に規格が求める最低レベルの電力を供給できる余力が有ることを意味する。上記関係(1)の成立を認識した上記マスターコントローラーは、上記受電機器DN+1の電力プロファイルを取得することなく、上記Wc、上記Wu、上記[Wmax-Wc(1toN)]、上記Wminを参照して、上記WN+1を決定し、上記WN+1を上記PDコントローラーPDCN+1に送信する。
【0074】
続いて、動作(A)のステップ3では、上記WN+1を受信した上記PDコントローラーPDCN+1が、上記受電機器DN+1の電力プロファイルを取得することなく、上記WN+1に基づいてPDO(Power Dilivery Object)リストを生成する。PDコントローラーPDCN+1は、上記PDOリストを用いて上記受電機器DN+1とネゴシエーションを行って、上記受電機器DN+1と契約する。
【0075】
動作(B):
動作(B)は、上記マスターコントローラーが上記動作(A)を実行できないと判定した場合の動作である。動作(B)は、消費電力が契約電力よりも十分に高い受電機器を特定し、この受電機器とより低い電力で再契約をすることによって、上記受電機器DN+1に規格が要求するレベル以上の電力供給を開始する動作である。
【0076】
動作(B)では、ステップ2として、上記マスターコントローラーが、上記N個の受電機器D1~DNのうち関係(2):(Wc-Wu)≧Wmin を満足する1つの受電機器DH1を検出した場合に、上記接続信号を受信した上記マスターコントローラーが、上記Wmax、上記Wc、上記Wu、上記Wminを参照して、上記受電機器DH1と再契約を行うことができる最大電力Wrcと、上記WN+1とを決定する。USB Type-C規格に従うと上記Wminは7.5Wである。上記マスターコントローラーは、上記受電機器DH1に接続するPDコントローラーPDCH1に上記Wrcを送信する。さらに上記マスターコントローラーは、上記PDコントローラーPDCN+1に上記WN+1を送信する。
【0077】
続いて動作(B)のステップ3では、上記PDコントローラー(PDCH1)が、受信したWrcに基づいてPDOリストを生成する。上記PDコントローラーPDCH1は上記PDOリストを用いて上記受電機器DH1とネゴシエーションを行って、より低い電力値で上記受電機器DH1と再契約する。このような再契約の結果、本発明の給電装置は受電機器DN+1に対して規格で求められる最低レベル以上の電力を供給できる状態となる。
【0078】
一方、上記PDコントローラーPDCN+1が、受信したWN+1に基づいてPDOリストを生成する。上記PDコントローラーPDCN+1は、上記PDOリストを用いて上記受電機器DN+1とネゴシエーションを行う。ここで、上記PDコントローラーPDCN+1は上記受電機器DN+1の電力プロファイルを要求しない。上記PDコントローラーPDCN+1が上記受電機器DN+1と契約すると上記受電機器DN+1への電力供給が始まる。
【0079】
動作(C):
動作(C)は、上記マスターコントローラーが上記動作(A)と動作(B)の両方を実行できないと判定した場合の動作である。上記動作(A)のステップ2で上記関係(1)が成立せず、上記動作(B)のステップ2で上記マスターコントローラーが、上記N個の受電機器(D1~DN)のうち関係(2)を満足する受電機器(DH1)を検出しない場合に、動作(C)を行う。
【0080】
動作(C)は、契約電力が十分に高い複数の受電機器を特定し、これら受電機器とより低い電力で再契約をすることによって、上記受電機器DN+1に規格が要求するレベル以上の電力供給を開始する動作である。
【0081】
動作(C)のステップ2では、上記マスターコントローラーが、上記N個の受電機器D1~DNのうち関係(3):Wc≧(Wmin+Wmin) を満足するm個(ただしmは、1≦m≦Nを満足する整数である)の受電機器DH2を検出する。上記マスターコントローラーは、上記Wmax、上記Wc、上記Wu、上記Wminを参照して、上記受電機器DH2と再契約を行うことができる最大電力Wrcと上記WN+1とを決定する。上記マスターコントローラーは、N個の受電機器D1~DNのうち複数の受電機器DH2に対して、上記Wrcを決定することができる。
【0082】
上記マスターコントローラーは、上記受電機器DH2に接続するPDコントローラーPDCH2に上記Wrcを送信する。さらに、上記マスターコントローラーは上記PDコントローラーPDCN+1に上記WN+1を送信する。
【0083】
続く動作(C)のステップ3では、上記PDコントローラーPDCH2が、受信したWrcに基づいてPDOリストを生成する。上記PDコントローラーPDCH2は、上記PDOリストを用いて上記受電機器DH2とネゴシエーションを行い、より低い電力値で上記受電機器(DH2)と再契約する。
【0084】
各受電機器(DH2)の再契約前の契約電力と再契約した電力との差分、要するに各受電機器(D
H2
)から「取り上げる」契約電力は、受電機器DH2毎に同じであっても良く、異なっていてもよい。各受電機器DH2からそれぞれ異なる契約電力を「取り上げる」場合は、一般的には、各受電機器DH2の上記Wc、上記Wu、上記Wminに基づき取り上げる電力量の傾斜を算出する、いわゆる重み付けアルゴリズムを実行する。このような重み付けアルゴリズムは、本発明の給電装置が有するUSBポート数や最大供給電力などに応じて適宜設計される。このような再契約の結果、本発明の給電装置は受電機器DN+1に対して規格で求められる最低レベル以上の電力を供給できる状態となる。
【0085】
一方、上記PDコントローラーPDCN+1は、受信したWN+1に基づいてPDOリストを生成する。ここで、上記PDコントローラーPDCN+1は上記受電機器DN+1に電力プロファイルを要求しない。上記PDコントローラーPDCN+1は、上記PDOリストを用いて上記受電機器DN+1とネゴシエーションを行って、上記受電機器DN+
1と契約する。
【0086】
[最大電力WN+1の決定に伴う再契約]
本発明の給電装置及び給電方法では、上記動作(A),動作 (B),動作(C)のいずれかで、さらに、既に接続しているN個の受電機器D1~DNのうち受電機器DH1でも受電機器DH2でもない、実際の消費電力に対して余剰の電力が契約されている1以上の受電機器DH0と、より低い電力で再契約することができる。このような再契約によって、本発明の給電装置の最大供給可能電力が比較的低い場合でも、新規の受電機器DN+1に対してより高い電力を供給することができる。
【0087】
上記動作(A)の場合、マスターコントローラーは、上記関係(1)の成立を判定し、さらに、関係(4):Wc>Wu が成立する少なくとも1つの受電機器DH0を検索する。上記関係(1)が成立し、さらに、上記マスターコントローラーが上記受電機器DH
0を検出した場合には、本発明の給電装置はより低い電力で上記受電機器(DH0)と再契約を行うと共に、新しい受電機器DN+1と契約する。
【0088】
動作(A)のステップ2で、上記マスターコントローラーは、上記受電機器DH0と再契約を行うことができる最大電力Wrcと、上記WN+1とを決定する。上記マスターコントローラーは、上記受電機器DH0に接続するPDコントローラーPDCH0に上記Wrcを送信する。さらに、上記マスターコントローラーは、上記PDコントローラーPDCN+1に上記WN+1を送信する。
【0089】
続く動作(A)のステップ3で、上記PDコントローラーPDCH0が、受信したWrcに基づいてPDOリストを生成する。上記PDコントローラーPDCH0は上記PDOリストを用いて上記受電機器DH0とネゴシエーションを行って、より低い電力値で上記受電機器DH0と再契約する。
【0090】
一方、上記PDコントローラーPDCN+1は、上記受電機器DN+1の電力プロファイルを取得することなく、受信したWN+1に基づいてPDOリストを生成する。上記PDコントローラーPDCN+1は、上記PDOリストを用いて上記受電機器DN+1とネゴシエーションを行って、上記受電機器DN+1と契約する。
【0091】
この動作(A)では、契約済の電力に比較的余裕がある場合であっても上記受電機器DH0との再契約を試みる。このような動作(A)によって、実際の消費電力に比べて余剰の契約電力を減らし、新たな受電機器DN+1により高い電力を配分することができる。その結果、遅れて接続した受電機器DN+1の高速充電が可能となる。
【0092】
上記動作(B)の場合、マスターコントローラーは、上記関係(2)を満足する1つの受電機器DH1を検索し、さらに、関係(4):Wc>Wu が成立する少なくとも1つの受電機器DH0を検索する。上記受電機器DH1が検出され、さらに、上記受電機器DH0が検出された場合、本発明の給電装置は、より低い電力で上記受電機器DH0,DH
1と再契約し、さらに上記受電機器DN+1と契約する。
【0093】
上記動作(B)のステップ2で、マスターコントローラーは、上記受電機器DH0と再契約を行うことができる最大電力Wrcと、上記受電機器DH1と再契約を行うことができる最大電力Wrcとを決定し、さらに、上記WN+1を決定する。
【0094】
そして、上記マスターコントローラーは、上記受電機器DH0に接続するPDコントローラーPDCH0に上記Wrcを送信し、上記受電機器DH1に接続するPDコントローラーPDCH1に上記Wrcを送信する。さらに上記マスターコントローラーは、上記PDコントローラーPDC
N+1
に上記WN+1を送信する。
【0095】
続く上記動作(B)のステップ3で、上記PDコントローラーPDCH0が、受信したWrcに基づいてPDOリストを生成する。上記PDコントローラーPDCH0は上記PDOリストを用いて上記受電機器DH0とネゴシエーションを行い、より低い電力値で上記受電機器DH0と再契約する。
【0096】
一方、上記PDコントローラーPDCH1は、受信したWrcに基づいてPDOリストを生成する。上記PDコントローラーPDCH1は、上記PDOリストを用いて上記受電機器DH1とネゴシエーションを行い、より低い電力値で上記受電機器DH1と再契約する。
【0097】
また一方、上記PDコントローラーPDCN+1が、上記受電機器DN+1の電力プロファイルを取得することなく、受信したWN+1に基づいてPDOリストを生成する。上記PDコントローラーPDCN+1は上記PDOリストを用いて上記受電機器DN+1とネゴシエーションを行い、上記受電機器DN+1と契約する。
【0098】
この動作(B)では、既に接続した一つの受電機器DH1と再契約することによって新たな受電機器DN+1に給電可能であっても、さらに別の受電機器DH0との再契約を試みる。このような動作(B)によって、実際の消費電力に比べて余剰の契約電力を減らし、より高い電力を新たな受電機器DN+1に配分することができる。その結果、遅れて接続した受電機器DN+1の高速充電が可能となる。
【0099】
上記動作(C)の場合、マスターコントローラーは、上記関係(3)を満足する1つの受電機器DH2を検索し、さらに、関係(4):Wc>Wu が成立する少なくとも1つの受電機器DH0を検索する。上記受電機器DH2が検出され、さらに、上記受電機器DH0が検出された場合に、本発明の給電装置は、より低い電力で上記受電機器DH0, DH2と再契約を行い、さらに上記受電機器DN+1と契約する。
【0100】
上記動作(C)のステップ2で、上記マスターコントローラーは、上記受電機器DH0と再契約を行うことができる最大電力Wrc、上記受電機器DH2と再契約を行うことができる最大電力Wrc、上記WN+1を決定する。
【0101】
上記マスターコントローラーは、上記受電機器DH0に接続するPDコントローラーPDCH0に上記Wrcを送信する。また、上記マスターコントローラーは、上記受電機器DH2に接続するPDコントローラーPDCH2に上記Wrcを送信する。またさらに、上記マスターコントローラーは、上記PDコントローラーPDCN+1に上記WN+1を送信する。
【0102】
続く上記動作(C)の上記ステップ3で、上記PDコントローラー(PDCH0)は、受信したWrcに基づいてPDOリストを生成する。上記PDコントローラーPDCH0は、上記PDOリストを用いて上記受電機器DH0とネゴシエーションを行い、より低い電力値で上記受電機器DH0と再契約する。
【0103】
一方、上記PDコントローラーPDCH2が、受信したWrcに基づいてPDOリストを生成する。上記PDコントローラーPDCH2
は、上記PDOリストを用いて上記受電機器DH2とネゴシエーションを行って、より低い電力値で上記受電機器DH2と再契約する。
【0104】
また一方、上記PDコントローラーPDCN+1は、上記受電機器DN+1の電力プロファイルを取得することなく、受信した上記WN+1に基づいてPDOリストを生成する。上記PDコントローラーPDCN+1は上記PDOリストを用いて上記受電機器DN+
1とネゴシエーションを行って、上記受電機器DN+1と契約する。
【0105】
この動作(C)では、受電機器DH2とより低い電力値で再契約することによって新たな受電機器DN+1に給電可能な場合であっても、上記受電機器DH0との再契約を試みる。このような動作(C)によって、実際の消費電力に比べて余剰の契約電力を減らし、より高い電力を新たな受電機器DN+1に配分することができる。その結果、遅れて接続した受電機器DN+1の高速充電が可能となる。
【0106】
例えば、
図3に示す給電装置(102)で上記動作(A)を行うと、上記関係(1)が成立する場合であっても、マスターコントローラー(402)は、受電機器D
1(91),受電機器D
2(92),受電機器D
3(93)の中から上記受電機器D
H0を検索する。
【0107】
図3に示す給電装置(102)で上記動作(B)を行うと、例えば受電機器D
1(91)が受電機器(D
H1)に該当する場合であっても、マスターコントローラー(402)は、受電機器D
2(92),D
3(93)のいずれかが受電機器(D
H0)に該当するか否かを判定する。
【0108】
図3に示す給電装置(102)で上記動作(C)を行うと、例えば受電機器D
1(91), D
2(92)が受電機器(D
H1)に該当する場合であっても、マスターコントローラー(402)は、受電機器D
3(93)が受電機器(D
H0)に該当するか否かを判定する。
【0109】
[(N+1)個が接続した後の再契約]
本発明では、受電機器DN+1への電力供給を開始した後、受電機器の挿抜がない状態で、余剰契約電力を排除するために、接続している受電機器と再契約を繰り返すことができる。
【0110】
本発明では、受電機器DN+1への電力供給を開始した後、(N+1)個の上記USBポートP1~PN+1に(N+1)個の受電機器D1~DN+1が接続している状態で、上記受電機器D1~DN+1の各々に接続するPDコントローラーPDC1~PDCN+
1は、上記マスターコントローラーに、受電機器D1~DN+1毎の上記Wcと上記Wuを通知し、以下のステップ4、ステップ5、ステップ6を行う。
【0111】
ステップ4:
上記マスターコントローラーが、上記受電機器D1~DN+1毎に関係(5):Wc>Wu が成立するか否かを判定する。上記受電機器D1~DN+1に上記関係(5)を満足するものが検出されない場合には、上記マスターコントローラーは次のステップ5に進まず上記PDコントローラーPDC1~PDCN+1の次の通知を待つ。上記関係(5)が成立する1以上の受電機器Dhが検出された場合には、次のステップ5に進む。
【0112】
ステップ5:
上記マスターコントローラーは、上記受電機器Dhと再契約を行うことができる最大電力Wrcを、上記Wmax、上記Wc、上記Wu、上記Wminを参照して決定して、上記受電機器Dhに接続するPDコントローラーPDChに送信する。
【0113】
ステップ6:
上記PDコントローラー(PDCh)が、受信したWrcに基づいてPDOリストを生成し、上記PDOリストを用いて上記受電機器Dhとネゴシエーションを行って、上記受電機器Dhとより低い電力値で再契約する。
【0114】
上記ステップ4,5,6を経た再契約で、さらに、上記受電機器D1~DN+1のうちで上記受電機器Dhでない1以上の受電機器DLと、より高い電力で再契約をすることもできる。
【0115】
この場合、上記ステップ5で、上記マスターコントローラーは、上記Wmax、上記Wc、上記Wu、上記Wminを参照して、上記受電機器Dhと再契約を行うことができる最大電力Wrcを決定し、さらに、上記受電機器Dh以外の少なくとも1つの受電機器DLと再契約を行うことができる最大電力Wrcを決定する。そして、上記マスターコントローラーは、上記受電機器Dhに接続するPDコントローラーPDChに上記Wrcを送信する。さらに上記マスターコントローラーは、上記受電機器DLに接続するPDコントローラーPDCLに上記Wrcを送信する。
【0116】
続いて、上記ステップ6で、上記PDコントローラーPDChが、受信したWrcに基づいてPDOリストを生成する。上記PDコントローラーPDChは、上記PDOリストを用いて上記受電機器Dhとネゴシエーションを行って、より低い電力値で上記受電機器Dhと再契約する。
【0117】
一方、上記PDコントローラーPDCLは、受信したWrcに基づいてPDOリストを生成する。上記PDコントローラーPDCLは、上記PDOリストを用いて上記受電機器DLとネゴシエーションを行って、より高い電力値で上記受電機器DLと再契約する。
【0118】
上記受電機器DLは、典型的には、より遅く契約した受電機器である。例えば、受電機器DN+1が、先述のステップ1,2,3を経て規格が要求する最低の電力で本発明の給電装置と契約した場合には、上記受電機器DN+1への電力供給が始まってから一定時間後に上記ステップ4,5,6を実行する。その結果、受電機器D1~DNの中で検出された受電機器Dhの契約電力を「取り上げ」、受電機器DN+1の契約電力に「足す」ことができる。
【0119】
また例えば、受電機器DN、次に受電機器DN+1が、先述のステップ1,2,3を経て比較的低い電力で本発明の給電装置と契約し、受電機器DN+1の充電が急速に進行した場合には、受電機器DN+1に割り当てられた電力のごく一部を消費されている可能性がある。この場合、受電機器DN+1を上記受電機器Dhとして扱い、受電機器DN+1の契約電力を「取り上げ」、受電機器DNの契約電力に「足す」ことができる。
【0120】
本発明では、一般的には、受電機器の挿抜が無い限り上記ステップ4,上記ステップ5,上記ステップ6をこの順で繰り返す。この場合、好ましくは上記ステップ4を一定時間ごとに行い、更に好ましくは上記ステップ4を3分~10分間隔で行う。
【0121】
[USB Type-C規格への適応]
本発明の給電装置及び給電方法は、上述のステップ1,2,3、さらにステップ4,5,6を実行することによって、USB Type-C規格に対応することができる。
【0122】
USB Type-C規格に対応しようとする機器は、未だ普及途上にあって、市場に供給されているこれら機器の品質や性能は必ずしも一定でない。本発明で、上記受電機器DN+1のネゴシエーションを開始する前に上記受電機器DN+1の電力プロファイルを取得しないという手法を用いることによって、このような機器にも比較的確実に給電を実現することができる。
【0123】
[PDコントローラーとマスターコントローラー]
上述の様々な動作パターンから、本発明では、複数のPDコントローラーとマスターコントローラーとが、明確に役割分担していることが理解される。本発明では、各PDコントローラーは互いに独立しており、また、マスターコントローラーとPDコントローラーとが或る種のマスター/スレイブの関係にある。PDコントローラーは自身が接続可能な受電機器の諸情報、例えば、接続の有無、契約内容、消費電力、エラーの有無などをマスターコントローラーに通知し、複数の受電機器への電力配分を制御する機能を持たない。複数の受電機器への電力配分を制御する機能はマスターコントローラーにあるが、マスターコントローラーは各受電機器とネゴシエーションし契約する動作を行わない。すなわち、PDコントローラーは各受電機器を独立的にウォッチングしてその結果をマスターコントローラーにレポートし、マスターコントローラーがレポートに基づいて最も効率的な電力配分を生成する。各PDコントローラーと各受電機器との契約・再契約は、最も効率的な電力配分に基づく。
【実施例】
【0124】
[例1]
図3に示す給電装置(102)で、上記動作(A)を採用する例である。例1では以下のステップ1,2,3を行う。
【0125】
(ステップ1)
受電機器:D3+1(94)がUSBポート(24)のコネクタ(240)に挿入されると、PDコントローラー:PDC3+1(34)が、受電機器:D3+1(94)の電力プロファイルを取得することなく、マスターコントローラー(402)に受電機器:D3
+1(94)の接続信号を送信する。
【0126】
(ステップ2)
マスターコントローラー(402)は、Wmax:100W、受電機器:D1(91)の
Wc:15W、受電機器:D2(92)のWc:27W、受電機器:D3(93)のWc:45Wを保持している。マスターコントローラー(402)は、上記Wc(1to3)として87Wを生成し、関係(1):(Wmax-Wc(1toN))≧Wmin ((100-87)>7.5)が成立すると判定する。マスターコントローラー(402)は、USBポート(24)にてUSB Type-C規格が要求する5V/1.5A以上の電力を供給する能力があると判定して、この判定結果をPDコントローラー(34)に送信する。PDコントローラー(34)は直ちにコンバーター(84)に制御信号を送り、USBポート(24)に対して5Vを出力する。
【0127】
次に、マスターコントローラー(402)は、受電機器(93)に関係(4):Wc>Wu が成立することを検出する。マスターコントローラー(402)は、受電機器(93)を受電機器DH0として扱い、受電機器(93)と再契約を行うことができる最大電力Wrcを決定する。ここで決定されるWrcは、受電機器(93)のWrcである45Wよりも低い。マスターコントローラー(402)は、PDコントローラー(33)に上記Wrcを送信する。
【0128】
さらに、マスターコントローラー(402)は、上記Wc、上記Wu、上記[Wmax-Wc(1toN)]、Wminを参照して、受電機器:D3+1(94)と契約可能な最大電力W3+1を決定する。マスターコントローラー(402)は、PDコントローラー(34)に上記W3+1を送信する。
【0129】
(ステップ3)
PDコントローラー(33)は受信したWrcを用いてPDOリストを生成し、受電機器(93)とネゴシエーションを行い、受電機器(93)と45Wよりも低い電力で再契約する。一方、PDコントローラー(34)は、受電機器(94)の電力プロファイルを取得することなく、受信したW3+1を用いてPDOリストを生成し、受電機器(94)とネゴシエーションを行い、受電機器(94)と契約する。こうして受電機器(94)への電力供給が始まる。
【0130】
[例2-1:ステップ1/動作フロー]
図4に、本発明の給電装置及び給電方法でステップ1が始まる様子を示す。
【0131】
本発明の給電装置にはN個の受電機器が接続されている。新たに受電機器の挿抜が無い期間、マスターコントローラーは、受電機器が接続しているPDコントローラーの各々から、各受電機器の契約電力Wc、使用電力Wuを定期的に受取り、各受電機器の契約電力Wc、使用電力Wuを更新している。
【0132】
この状態で、PDコントローラーPDCN+1に受電機器DN+1が挿入されると、ステップ1で、PDコントローラーPDCN+1が受電機器DN+1の接続信号を通知して、マスターコントローラーが受電機器DN+1の接続を検出する。
【0133】
[例2-2:ステップ2,3/動作フロー]
図4に、受電機器D
1と再契約した上で新規受電機器D
N+1と契約する動作を示す。
【0134】
ステップ2で、マスターコントローラーが、保持している各受電機器の契約電力Wc、使用電力Wuなどを参照して関係(1):(Wmax-Wc(1toN))≧(Wmin
:7.5W)の成立を検出すると、動作(A)が実行される。すなわち、PDコントローラーPDCN+1はマスターコントローラーの通知に従って、USBポートPN+1に最低電力(5V)を発生させることができる。
【0135】
一方、マスターコントローラーは、保持する各受電機器の契約電力Wc、使用電力Wu、Wmaxなどを参照し、余剰電力が契約され関係(4):Wc>Wu が成立する受電機器DH0として受電機器D1を検出すると、受電機器D1と再契約可能なWrcと、受電機器DN+1に供給可能な最大電力WN+1を決定する。マスターコントローラーは、PDコントローラーPDC1に電力値Wrcを、PDコントローラーPDCN+1に電力値WN+1を通知する。
【0136】
続くステップ3で、PDコントローラーPDCH0としてのPDコントローラーPDC1が、受信した電力値Wrcを使ってPDOリストを生成し、受電機器DH0としての受電機器D1とネゴシエーションして再契約する。その結果、受電機器D1の契約電力は低下する。
【0137】
一方、PDコントローラーPDCN+1は受信した電力値WN+1を使ってPDOリストを生成し、受電機器DN+1とネゴシエーションして契約する。その結果、受電機器DN+1への給電が始まる。
【0138】
[例2-3:ステップ2,3/動作フロー]
図4に、受電機器D
1,D
3と再契約した上で新規受電機器D
N+1と契約する動作を示す。
【0139】
ステップ2で、マスターコントローラーが、保持している各受電機器の契約電力Wc、使用電力Wuなどを参照して関係(1):(Wmax-Wc(1toN))≧(Wmin
:7.5W)の成立を検出せず、関係(2):(Wc-Wu)≧(Wmin :7.5W)を満足する受電機器DH1として受電機器D1を検出した場合には、動作(B)が実行される。
【0140】
マスターコントローラーは、さらに、余剰電力が契約され関係(4):Wc>Wu が成立する受電機器DH0として受電機器D3を検出すると、受電機器D1と再契約可能なWrcと、受電機器D3と再契約可能なWrcを決定する。さらにマスターコントローラーは、受電機器DN+1に供給可能な最大電力WN+1を決定する。マスターコントローラーは、PDコントローラーPDCH1としてのPDコントローラーPDC1と、PDコントローラーPDCH0としてのPDコントローラーPDC3に電力値Wrcを送信し、PDコントローラーPDCN+1に電力値WN+1を送信する。
【0141】
続くステップ3で、PDコントローラーPDCH1としてのPDコントローラーPDC1が、受信した電力値Wrcを使ってPDOリストを生成し、受電機器DH1としての受電機器D1とネゴシエーションして再契約する。その結果、受電機器D1の契約電力は少なくとも7.5W低下する。
【0142】
一方、PDコントローラーPDC3は、受信した電力値Wrcを使ってPDOリストを生成して、受電機器DH0としての受電機器D3と、ネゴシエーションして再契約する。その結果、受電機器D3の契約電力は低下する。
【0143】
そして、PDコントローラーPDCN+1は受信した電力値WN+1を使ってPDOリストを生成し、受電機器DN+1とネゴシエーションして契約する。受電機器DN+1には規格が要求する7.5W以上の電力が契約される。その結果、受電機器DN+1への給電が始まる。
【0144】
[例2-4:ステップ2,3/動作フロー]
図4に、受電機器D
1,D
3,D
Nと再契約した上で新規受電機器D
N+1と契約する動作を示す。
【0145】
ステップ2で、マスターコントローラーが、保持している各受電機器の契約電力Wc、使用電力Wuなどを参照して上記関係(1)の成立を検出せず、上記関係(2)を満足する受電機器DH1を検出しない場合には、動作(C)が進行する。この例では、マスターコントローラーは、関係(3):Wc≧(Wmin+Wmin)(ただしWmin は7.5W)を満足する受電機器DH2として受電機器D1と受電機器D3を検出し、さらに、余剰電力が契約され関係(4):Wc>Wu が成立する受電機器DH0として受電機器DNを検出する。
【0146】
マスターコントローラーは、受電機器DH2(受電機器D1,D3)と受電機器DH0(DN)の各々と再契約可能なWrcを決定する。さらにマスターコントローラーは、受電機器DN+1に供給可能な最大電力WN+1を決定する。マスターコントローラーは、PDコントローラーPDC1,PDC3に電力値Wrcを送信し、PDコントローラーPDCN+1に電力値WN+1を送信する。
【0147】
続くステップ3で、PDコントローラーPDCH2としてのPDコントローラーPDC1が、受信した電力値Wrcを使ってPDOリストを生成し、受電機器DH2としての受電機器D1とネゴシエーションして再契約する。
【0148】
一方、PDコントローラーPDCH2としてのPDコントローラーPDC3が、受信した電力値Wrcを使ってPDOリストを生成し、受電機器DH2としての受電機器D3とネゴシエーションして再契約する。その結果、受電機器D1,D3の再契約電力の合計は、前回の契約値から少なくとも7.5W低い。
【0149】
一方、PDコントローラーPDCNは、受信した電力値Wrcを使ってPDOリストを生成して、受電機器DH0としての受電機器DNとネゴシエーションして再契約する。その結果、受電機器DNの契約電力は低下する。その結果、USBポートPN+1に規格が求めるレベル以上の契約ができるようになる。
【0150】
そして、PDコントローラーPDCN+1は受信した電力値WN+1を使ってPDOリストを生成して、受電機器DN+1とネゴシエーションして契約する。その結果、受電機器DN+1への給電が始まる。
【0151】
[例3-1:ステップ4,5,6/動作フロー]
図5に、受電機器D
N+1への給電が始まった後、受電機器の挿抜が無い期間にPDコントローラーが受電機器と再契約するフローの例を示す。
図5に示すフローでは、再契約により、最初に接続した受電機器D
1から余剰電力を取り上げて、最後に接続した受電機器D
N+1の契約電力を増やす。
【0152】
ステップ4で、マスターコントローラーが、PDコントローラーからの通知情報を参照して、余剰電力が契約され関係(5):Wc>Wu が成立する受電機器Dhを発見する。この例で、受電機器Dhは、最初に接続された受電機器D1である。
【0153】
続くステップ5で、マスターコントローラーは、PDコントローラーから取得した各電力値を参照して、受電機器D1と再契約を行うことができる最大電力Wrcを決定して、受電機器D1に接続するPDコントローラーPDC1に送信する。この時、最後に接続した受電機器DN+1では、規格が要求する最小レベルで契約されている。そこで、マスターコントローラーは、受電機器DN+1と再契約を行うことができる最大電力Wrcを決定して、受電機器DN+1に接続するPDコントローラーPDCN+1に送信する。
【0154】
続くステップ6では、PDコントローラーPDC1は受信した電力値Wrcを使ってPDOリストを生成して、受電機器Dhとしての受電機器D1とネゴシエーションして再契約する。その結果、受電機器D1の契約電力は低下する。一方、PDコントローラーPDCN+1は受信した電力値Wrcを使ってPDOリストを生成し、受電機器DLとしての受電機器DN+1とネゴシエーションして再契約する。その結果、受電機器DN+1の契約電力は増加する。
【0155】
こうして、あたかも、受電機器D1に割り当てられていた余剰の契約電力が、最後に接続した受電機器DN+1に移される。上記ステップ4の開始から一定時間後、例えば5分後に、再びステップ4が実行され、ステップ4,ステップ5,ステップ6からなる再契約フローが繰り返される。マスターコントローラーがステップ4で余剰電力が契約された受電機器Dhを検出しない場合には、マスターコントローラーはステップ5を行わず、次のステップ4まで待機する。
【0156】
[例3-2:ステップ4,5,6/動作フロー]
図6に、受電機器D
N+1への給電が始まった後、受電機器の挿抜が無い期間にPDコントローラーが受電機器と再契約するフローの他の例を示す。
図6に示すフローでは、再契約により、最後に接続した受電機器D
N+1から余剰電力を取り上げて、受電機器D
N+
1の前に接続した受電機器D
Nの契約電力を増やす。
【0157】
マスターコントローラーが、PDコントローラーからの通知情報を参照して、余剰電力が契約され関係(5):Wc>Wu が成立する受電機器Dhを発見する。この例では、受電機器Dhは、最後に接続された受電機器DN+1である。
【0158】
続くステップ5で、マスターコントローラーは、PDコントローラーから取得した各電力値を参照して、受電機器DN+1と再契約を行うことができる最大電力Wrcを決定して、受電機器DN+1に接続するPDコントローラーPDC N+1に送信する。この時、受電機器DN+1の前に接続した受電機器DNでは、規格が要求する最小レベルで契約されている。そこで、マスターコントローラーは、受電機器DNと再契約を行うことができる最大電力Wrcを決定して、受電機器DNに接続するPDコントローラーPDCNに送信する。
【0159】
続くステップ6では、PDコントローラーPDC N+1は受信した電力値Wrcを使ってPDOリストを生成して、受電機器Dhとしての受電機器D N+1とネゴシエーションして再契約する。その結果、受電機器D N+1の契約電力は低下する。一方、PDコントローラーPDCNは受信した電力値Wrcを使ってPDOリストを生成して、受電機器DLとしての受電機器DNとネゴシエーションして再契約する。その結果、受電機器DNの契約電力は増加する。
【0160】
こうして、あたかも受電機器DN+1に割り当てられていた余剰の契約電力が、受電機器DNに移された状態となって、受電装置の電力供給が継続する。上記ステップ4の開始から一定時間後、例えば5分後に、再びステップ4が実行され、ステップ4,ステップ5,ステップ6からなる再契約フローが繰り返される。マスターコントローラーがステップ4で余剰電力が契約された受電機器Dhを検出しない場合には、マスターコントローラーはステップ5を行わず、次のステップ4まで待機する。
【産業上の利用可能性】
【0161】
本発明の給電装置及び給電方法を用いると、品質や性能にばらつきがある受電機器に対する電力供給が容易となり、給電装置の出力が制限されている場合でも短時間で多くの機器を充電することができる。本発明によって、より小型で、低コストであり、汎用性が高く、電力供給効率が向上した給電システムを実現することができる。
【0162】
このような本発明を、USB-PD規格、特にUSB Type-C規格を利用した様々な電気電子機器に応用することができる。例えば、PCやタブレット、スマートフォン、スマートウォッチ等に用いる充電器や、運輸機器、車両、航空機などの大型機械に装備される電力システムに、本発明の給電装置及び給電方法を応用できると期待される。
【符号の説明】
【0163】
1 給電装置
101 給電装置
102 給電装置
2 USBポート
3 PDコントローラー
31,32,33,34 PDコントローラー
310,320 PDコントローラー
4 マスターコントローラー
401 マスターコントローラー
402 マスターコントローラー
51 AC/DCコンバータ
52 AC/DCコンバータ
61 EMIフィルター
62 EMIフィルター
71 プラグ
72 プラグ
81,82,83,84 DC/DCコンバータ
810,820 DC/DCコンバータ
9 受電機器
91,92,93,94 受電機器
1000 電源回路