(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-12
(45)【発行日】2024-03-21
(54)【発明の名称】バヨネット連結構造
(51)【国際特許分類】
F16B 21/04 20060101AFI20240313BHJP
F16B 7/20 20060101ALI20240313BHJP
【FI】
F16B21/04 B
F16B7/20 A
F16B21/04 A
(21)【出願番号】P 2020174865
(22)【出願日】2020-10-16
【審査請求日】2023-08-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000145507
【氏名又は名称】株式会社重松製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100095245
【氏名又は名称】坂口 嘉彦
(72)【発明者】
【氏名】小野 研一
(72)【発明者】
【氏名】井出 弘之
(72)【発明者】
【氏名】高山 祐輔
【審査官】松林 芳輝
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-205785(JP,A)
【文献】特開2003-327383(JP,A)
【文献】実公昭50-36809(JP,Y1)
【文献】実開昭61-129217(JP,U)
【文献】特開昭53-32725(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16B 21/00-21/20
F16B 7/00-7/22
A62B 7/00-33/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
周方向に離散配置された複数の突起が外周面に形成されたリングを有する固定部と、周方向に離散配置された複数の突起が内周面に形成されたリングを有する可動部とを備え、互いの突起が相互に干渉しないように可動部リングを固定部リングに外嵌合させて差し込み、可動部リングを固定部リングに対して所定角度回転させ互いの突起を係合させて可動部を固定部に連結するバヨネット連結構造であって、可動部を連結位置にロックする第1ロック部材と、第1ロック部材のロック解除動作を阻止する第2ロック部材を備えることを特徴とするバヨネット連結構造。
【請求項2】
第1ロック部材は可動部リングに形成された切欠又は貫通穴に係合して可動部を連結位置にロックすることを特徴とする請求項1に記載のバヨネット連結構造。
【請求項3】
第1ロック部材は固定リングに形成された凹部に係合することを特徴とする請求項2に記載のバヨネット連結構造。
【請求項4】
第1ロック部材はバネと係合しており、バネの付勢力に抗しつつ第1ロック部材を移動させてロックを解除することを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載のバヨネット連結構造。
【請求項5】
第1ロック部材は固定部に取り付けられて固定部リングの径方向外方から固定部リングへ向けて延在する帯板バネの一端部であり、帯板バネの他端部は固定部に固定され、前記一端部は可動部リングに形成された切欠に係合可能であり、第2ロック部材は稼働位置と退避位置との間で固定部リングの径方向外方から固定部リングへ向けて進退可能に固定部に取り付けられた帯板部材であり、第2ロック部材が稼働位置にある時に前記帯板部材の一端部が第1ロック部材を形成する帯板バネの一端部に接近して、前記一端部の可動部リング切欠からの離脱を阻止することを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載のバヨネット連結構造。
【請求項6】
第2ロック部材は、退避位置では遊動可能に稼働位置では遊動が規制されて、固定部に取り付けられていることを特徴とする請求項5に記載のバヨネット連結構造。
【請求項7】
可動部リングに形成された切欠に係合した第1ロック部材を前記切欠から離脱する方向へ付勢する際に人の指が係合可能な、第1ロック部材を形成する帯板バネに取り付けられたボタンを備えることを特徴とする請求項5又は6に記載のバヨネット連結構造。
【請求項8】
第1ロック部材は、固定部に取り付けられ一端が固定部に係止したコイルバネの他端に一端部が係合し他端部が可動部リングに形成された切欠に係合可能な可動爪であり、第2ロック部材は固定部に取り付けられ退避位置と稼働位置との間で揺動可能な揺動蓋であり、第2ロック部材が稼働位置にある時に可動リングに形成された切欠に係合した固定部の可動爪を覆うと共に可動爪に係止して、第1ロック部材のロック解除動作を阻止することを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載のバヨネット連結構造。
【請求項9】
可動部リングに形成された突起が、可動部が回転する際に可動爪に当接して可動爪を可動部リングから遠ざかる方向へ付勢することを特徴とする請求項8に記載のバヨネット連結構造。
【請求項10】
稼働位置にあって可動部リングに形成された切欠きに係合した固定部の可動爪を覆うと共に可動爪に係止した揺動蓋を退避位置へ向けて付勢するバネを備えることを特徴とする請求項8又は9に記載のバヨネット連結構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バヨネット連結構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
周方向に離散配置された複数の突起が外周面に形成されたリングを有する固定部と、周方向に離散配置された複数の突起が内周面に形成されたリングを有する可動部とを備え、互いの突起が相互に干渉しないように可動部リングを固定部リングに外嵌合させて差し込み、可動部リングを固定部リングに対して所定角度回転させ互いの突起を係合させて可動部を固定部に連結するバヨネット連結構造であって、可動部を連結位置にロックするロック部材を備え、ロック部材はバネの付勢力を受け、バネを押圧しつつロック部材を移動させてロックを解除することを特徴とするバヨネット連結構造が特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のバヨネット連結構造には、意図せずにバネが押圧されてロック部材が移動し、ロックが解除される場合があるという問題があった。
本発明は、周方向に離散配置された複数の突起が外周面に形成されたリングを有する固定部と、周方向に離散配置された複数の突起が内周面に形成されたリングを有する可動部とを備え、互いの突起が相互に干渉しないように可動部リングを固定部リングに外嵌合させて差し込み、可動部リングを固定部リングに対して所定角度回転させ互いの突起を係合させて可動部を固定部に連結するバヨネット連結構造であって、可動部を連結位置にロックするロック部材を備え、且つ意図しないロック解除が阻止されたバヨネット連結構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明においては、周方向に離散配置された複数の突起が外周面に形成されたリングを有する固定部と、周方向に離散配置された複数の突起が内周面に形成されたリングを有する可動部とを備え、互いの突起が相互に干渉しないように可動部リングを固定部リングに外嵌合させて差し込み、可動部リングを固定部リングに対して所定角度回転させ互いの突起を係合させて可動部を固定部に連結するバヨネット連結構造であって、可動部を連結位置にロックする第1ロック部材と、第1ロック部材のロック解除動作を阻止する第2ロック部材を備えることを特徴とするバヨネット連結構造を提供する。
第2ロック部材の配設により、第1ロック部材の意図しないロック解除動作が阻止される。
本発明の好ましい態様においては、第1ロック部材は可動部リングに形成された切欠又は貫通穴に係合して可動部を連結位置にロックする。
切欠又は貫通穴と第1ロック部材の係合によるロックは、バヨネット連結構造で一般的に使用される突部同士の弾性係合によるロックに比べて確実性が高い。
本発明の好ましい態様においては、第1ロック部材は固定リングに形成された凹部に係合する。
第1ロック部材の先端を固定リングの凹部に係合させ、先端から少し基部に接近した部位を可動リングの切欠又は貫通穴に係合させることにより、ロックの確実性が向上する。
本発明の好ましい態様においては、第1ロック部材はバネと係合しており、バネの付勢力に抗しつつ第1ロック部材を移動させてロックを解除する。
バヨネット連結構造の使い勝手を勘案すると、第1ロック部材は単純な操作でロック解除できることが望ましい。この観点からバネの付勢力に抗しつつ第1ロック部材を移動させればロックが解除される構造は好ましい。
【0006】
本発明の好ましい態様においては、第1ロック部材は固定部に取り付けられて固定部リングの径方向外方から固定部リングへ向けて延在する帯板バネの一端部であり、帯板バネの他端部は固定部に固定され、前記一端部は可動部リングに形成された切欠に係合可能であり、第2ロック部材は稼働位置と退避位置との間で固定部リングの径方向外方から固定部リングへ向けて進退可能に固定部に取り付けられた帯板部材であり、第2ロック部材が稼働位置にある時に前記帯板部材の一端部が第1ロック部材を形成する帯板バネの一端部に接近して、前記一端部の可動部リング切欠からの離脱を阻止する。
帯板バネの一端部はバネである残余部に係合しており、より具体的には残余部と一体なので、帯板バネの前記一端部は第1ロック部材として好適である。稼働位置と退避位置との間で固定部リングの径方向外方から固定部リングへ向けて進退可能に固定部に取り付けられた帯板部材を第2ロック部材とし、第2ロック部材が稼働位置にある時に第1ロック部材を形成する帯板バネの一端部に前記帯板部材の一端部を接近させれば、第1ロック部材のロック解除動作を阻止することができる。
本発明の好ましい態様においては、第2ロック部材は、退避位置では遊動可能に稼働位置では遊動が規制されて、固定部に取り付けられている。
退避位置では遊動可能に稼働位置では遊動が規制されて固定部に取り付けられた第2ロック部材は、退避位置にある時にはロック解除動作中の第1ロック部材と干渉してもロック解除動作を妨げず、稼働位置にあるときはロック解除動作中の第1ロック部材と干渉して確実にロック解除動作を阻止することができる。
本発明の好ましい態様においては、バヨネット連結構造は、可動部リングに形成された切欠に係合した第1ロック部材を前記切欠から離脱する方向へ付勢する際に人の指が係合可能な、第1ロック部材を形成する帯板バネに取り付けられたボタンを備える。
帯板バネにボタンを取り付けることにより、第1ロック部材のロック解除操作が容易になる。
【0007】
本発明の好ましい態様においては、第1ロック部材は、固定部に取り付けられ一端が固定部に係止したコイルバネの他端に一端部が係合し他端部が可動部リングに形成された切欠に係合可能な可動爪であり、第2ロック部材は固定部に取り付けられ退避位置と稼働位置との間で揺動可能な揺動蓋であり、第2ロック部材が稼働位置にある時に可動リングに形成された切欠に係合した固定部の可動爪を覆うと共に可動爪に係止して、第1ロック部材のロック解除動作を阻止する。
一端が固定部に取り付けられたコイルバネに係合する可動爪は、第1ロック部材として好適である。揺動可能に固定部に取り付けられ可動爪を覆って可動爪に係止可能な揺動蓋は、第2ロック部材として好適である。
本発明の好ましい態様においては、可動部リングに形成された突起が、可動部が回転する際に可動爪に当接して可動爪を可動部リングから遠ざかる方向へ付勢する。
バヨネット連結する際に、可動部の回転駆動とは別に可動爪を駆動する必用がないのでバヨネット連結操作が容易になる。
本発明の好ましい態様においては、バヨネット連結構造は、稼働位置にあって可動部リングに形成された切欠きに係合した固定部の可動爪を覆うと共に可動爪に係止した揺動蓋を退避位置へ向けて付勢するバネを備える。
可動爪に係止した揺動蓋を退避位置へ向けて付勢するバネを配設することにより、第2ロック部材のロック解除操作が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の第1実施例に係るバヨネット連結構造の構造図である。(a)は第1ロック部材が作動し第2ロック部材が稼働位置にあって第1ロック部材のロック解除動作を阻止している時の外観斜視図であり、(b)は第1ロック部材が作動し第2ロック部材が退避位置にあって第1ロック部材のロック解除動作を許容している時の外観斜視図であり、(c)は第1ロック部材が作動し第2ロック部材が稼働位置にあって第1ロック部材のロック解除動作を阻止している時の固定部の外観斜視図であり、(d)は第1ロック部材が作動し第2ロック部材が退避位置にあって第1ロック部材のロック解除動作を許容している時の固定部の外観斜視図であり、(e)は可動部の外観斜視図であり、(f)は裏返した状態の可動部の外観斜視図であり、(g)は(a)のg-g断面図であり、(h)は(b)のh-h断面図である。
【
図2】本発明の第2実施例に係るバヨネット連結構造の構造図である。(a)は第1ロック部材が作動し第2ロック部材が稼働位置にあって第1ロック部材のロック解除動作を阻止している時の外観斜視図であり、(b)は第1ロック部材が作動し第2ロック部材が退避位置にあって第1ロック部材のロック解除動作を許容している時の外観斜視図であり、(c)は第1ロック部材が作動し第2ロック部材が稼働位置にあって第1ロック部材のロック解除動作を阻止している時の固定部の外観斜視図であり、(d)は第1ロック部材が作動し第2ロック部材が退避位置にあって第1ロック部材のロック解除動作を許容している時の固定部の外観斜視図であり、(e)は可動部の外観斜視図であり、(f)は裏返した状態の可動部の外観斜視図であり、(g)は(a)のg-g断面図であり、(h)は(b)のh-h断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
呼吸装置の面体と給気ホースとの接続部に使用された本発明の第1実施例に係るバヨネット連結構造を説明する。
図1に示すように、バヨネット連結構造Aは、図示しない呼吸装置の面体に固定された固定部1と、図示しない給気ホースに接続された可動部2とを備えている。
固定部1は、リング11を有している。リング11の外周面に、周方向に離散配置されて周方向に延在する正面視略三角形の複数の突起12a、12b、12cが形成されている。突起12bと突起12cとに挟まれたリング11の外周面に凹部13が形成されている。
V字状に折り曲げられてリング11の径方向外方で法線方向へ延びる帯板バネ14が配設されている。帯板バネ14の一端部14aはリング11の凹部13に係合し他端部14bはリング11の近傍で固定部1に固定されている。帯板バネ14の一端部14aは第1ロック部材を形成している。図示していないが、帯板バネ14の他端部14b側の脚部は二股に分かれている。帯板バネ14の一端部14a側の脚部にボタン15が取り付けられている。
リング11の径方向外方から法線方向内方へ見て門形断面形状を有するリブ16がリング11の径方向外側で固定部1に形成されている。リブ16は帯板バネ14の折り曲げ部を覆っている。リブ16の門形断面の屋根を形成する部位には、リング11から遠ざかる方向へ延びる張出部16aが形成されており、張出部16aに図示しない突起が形成されている。
門型断面形状のリブ16に挿通された帯板部材17が、帯板バネ14の他端部14b側の二股に分かれた一対の脚部の間を通って帯板バネ14の両端部14a、14bの間に延びている。帯板部材17には、帯板バネ14の二股の脚部の基部に当接して帯板部材17の抜け落ちを防止する図示しない突起が形成されている。帯板部材17のリング11から離隔する端部には一対の狭幅の側壁17aが形成され、側壁17aの縁に沿ってコ字状に折り曲げられた板バネ17bが帯板部材17のリング11から離隔する端部に固定されている。板バネ17bのリブ張出部16aに対峙する端部には、二重折り曲げ部17cが形成されている。帯板部材17は、
図1(b)、(d)、(h)に示す側壁17aがリング11から離隔した退避位置と、
図1(a)、(c)、(g)に示す側壁17aがリング11に接近した稼働位置との間でリング11へ向けて進退可能に、リブ16により案内されている。帯板部材17は第2ロック部材を形成している。帯板部材17は、退避位置にあるときは遊動可能であるが、稼働位置にあるときは、板バネ17bの二重折り曲げ部17cがリブ張出部16aに形成された図示しない突起に弾性係合すると共に側壁17aが門形リブ16の脚部に当接するので遊動が規制される。
固定部1には、リング11の径方向外方近傍に且つ凹部13の突起12cに近接する周方向一端部の近傍に、リング11と並行に延びるストッパー18が形成されている。
可動部2は、リング21を有している。リング21の内周面に、周方向に離散配置されて周方向に延在する正面視略三角形の複数の突起22a、22b、22cが形成されている。突起22bと突起22cとに挟まれたリング21の周壁に切欠23が形成されている。リング21の外周面に且つ切欠23の突起22cに近接する周方向一端部の近傍に、径方向へ突出したストッパー24が形成されている。
【0010】
バヨネット連結構造Aの作動を説明する。
第2ロック部材を形成する帯板部材17の一対の側壁17aを指で挟んで、帯板部材17を退避位置へ移動させる。帯板部材17は遊動状態になる。帯板部材17に形成した図示しない突起が帯板バネ14の二股の脚部の基部に当接して帯板部材17の抜け落ちが防止される。ボタン15を指で押して、帯板バネ14をV字が閉じる方向へ変形させ、帯板バネ14の一端部14aが形成する第1ロック部材を、可動部2のリング21と干渉しない位置まで移動させる。帯板部材17は遊動状態にあるので、第1ロック部材を形成する帯板バネの一端部14の移動を妨げない。
可動部リング21の突起22aを固定部リング11の突起11cと11aの間に、可動部リング21の突起22bを固定部リング11の突起11aと11bの間に、可動部リング21の突起22cを固定部リング11の突起11bと11cの間にそれぞれ位置決めし、可動部2のリング21の突起22a、22b、22cと固定部1のリング11の突起12a、12b、12cの相互干渉を回避した状態で、ボタン15を指で押し帯板バネ14をV字が閉じる方向へ変形させて第1ロック部材を形成する帯板バネ14の一端部14aと可動部リング21の干渉を回避しつつ、可動部2のリング21を固定部1のリング11に外嵌合させて差し込み、可動部1のストッパー24が固定部のストッパー18に接近する方向へ可動部2を回転させる。ストッパー24がストッパー18に当接して可動部2が停止する。このとき、突起22a、22b、22cが突起12a、12b、12cに係合して、可動部2が固定部1にバヨネット連結し、可動部の切欠23が固定部の凹部13と整列する。
ボタン15から指を放すと、V字が閉じる方向へ変形していた帯板バネ14が復元し、第1ストッパーを形成する一端部14aが凹部13に整列する切欠23に係合する。この結果、ストッパー24がストッパー18から離隔する方向への可動部2の回転が阻止され、可動部2は連結位置にロックされる。
次に、第2ロック部材を形成する帯板部材17の一対の側壁17aを指で挟んで、帯板部材17を稼働位置へ移動させる。帯板部材17のリング1寄りの端部が帯板バネの一端部14aが形成する第1ロック部材に接近すると共に帯板部材17の遊動が規制される。この結果、ボタン15を押しても、帯板バネの一端部14aが形成する第1ロック部材は第2ロック部材を形成する帯板部材17のリング1寄りの端部に当接して帯板バネ14の変形が阻止され、帯板バネの一端部14aが形成する第1ロック部材の切欠23からの離脱、すなわち第1ロック部材14aのロック解除動作が阻止される。
可動部2を固定部1から離脱させる際には、先ず第2ロック部材を形成する帯板部材17を退避位置へ移動させて第1ロック部材のロック解除動作を可能にする。次いでボタン15を押して帯板バネ14の一端部14aが形成する第1ロック部材を可動部2のリング21に形成された切欠23から離脱させ、可動部2のリング21と干渉しない位置まで移動させる。次いでストッパー24がストッパー18から離隔する方向へ可動部2を回転させる。可動部リング21の突起22aを固定部リング11の突起11cと11aの間に、可動部リング21の突起22bを固定部リング11の突起11aと11bの間に、可動部リング21の突起22cを固定部リング11の突起11bと11cの間にそれぞれ位置決めし、可動部2のリング21を固定部1のリング11から引き抜いて、可動部2を固定部1から離脱させる。
【0011】
上記実施例においては、第2ロック部材17の配設により、第1ロック部材14aの意図しないロック解除動作が阻止される。
切欠23と第1ロック部材14aの係合によるロックは、バヨネット連結構造で一般的に使用される突部同士の弾性係合によるロックに比べて確実性が高い。
第1ロック部材14aの先端を固定部リング11の凹部13に係合させるので、先端から少し基部に接近した部位を可動部リング21の切欠23に係合させることになる。この結果、ロックの確実性が向上する。
バヨネット連結構造の使い勝手を勘案すると、第1ロック部材14aは単純な操作でロック解除できることが望ましい。この観点から帯板バネ14の付勢力に抗しつつ第1ロック部材14aを移動させればロックが解除される構造は好ましい。
帯板バネ14の一端部14aはバネである残余部に係合しており、より具体的には残余部と一体なので、帯板バネ14の一端部14aは第1ロック部材として好適である。
稼働位置と退避位置との間で固定部1のリング11の径方向外方から固定部リング11へ向けて進退可能に、且つ退避位置では遊動可能に稼働位置では遊動が規制されて固定部1に取り付けられた帯板部材17を第2ロック部材とし、第2ロック部材17が稼働位置にある時にその一端部を第1ロック部材14aに接近させれば、第1ロック部材14aのロック解除動作を阻止することができる。
帯板バネ14にボタン15を取り付けることにより、第1ロック部材14aのロック解除操作が容易になる。
【0012】
本発明の第2実施例に係るバヨネット連結構造を説明する。
第2実施例に係るバヨネット連結構造は、第1ロック部材と第2ロック部材を除いて、他の構成は第1実施例に係るバヨネット連結構造Aと同様なので、バヨネット連結構造Aの構成部材と同様の構成部材にはバヨネット連結構造Aの構成部材の参照番号と同一の参照番号を付して第2実施例に係るバヨネット連結構造説明する。
図2に示すように、バヨネット連結構造Bは、図示しない呼吸装置の面体に固定された固定部1と、図示しない給気ホースに接続された可動部2とを備えている。
固定部1は、リング11を有している。リング11の外周面に、周方向に離散配置されて周方向に延在する正面視略三角形の複数の突起12a、12b、12cが形成されている。突起12bと突起12cとに挟まれたリング11の外周面に凹部13が形成されている。
リング11へ差し向けられた一対の並行に延在する側壁31aと、当該一対の側壁31aのリング11から離隔する端部を連結する背面壁31bとを有するコ字断面のリブ31が、固定部1に形成されている。
一端がリブ31の背面壁31bに係止した一対のコイルバネ32の他端に、リブ31の一対の側壁31aによって案内された矩形平板の可動爪33の一端が係合している。可動爪33の他端はリング11の凹部13に係合している。可動爪33の一端と他端の間の部位の側縁部に隆起部33aが形成され、隆起部33aから他方の側縁部へ向けて、隆起部33aよりも肉厚の湾曲した段部33bが形成されている。可動爪33の一端両側部に耳部33cが形成されている。可動爪33は第1ロック部材を形成している。
リブ31の一対の側壁31aの背面壁31b寄りの部位を貫通して延在するボルト34によって、揺動蓋35が揺動可能に支持されている。揺動蓋35の両側部に耳部35aが形成されている。揺動蓋35は可動爪33から離隔した退避位置と、可動爪33を覆い耳部35aが可動爪の耳部33cに弾性係合した稼働位置の間で揺動可能である。ボルト34に係合するコイルバネ36が、揺動蓋35を退避位置へ向けて揺動付勢している。揺動蓋35は第2ロック部材を形成している。
固定部1には、リング11の径方向外方近傍に且つ凹部13の突起12cに近接する周方向一端部の近傍に、リング11と並行に延びるストッパー18が形成されている。
可動部2は、リング21を有している。リング21の内周面に、周方向に離散配置されて周方向に延在する正面視略三角形の複数の突起22a、22b、22cが形成されている。突起22bと突起22cとに挟まれたリング21の周壁に深い切欠23aが形成され、切欠23aの突起22c寄りの周方向端部から連続して浅い切欠23bが形成されている。浅い切欠23bの一部は突起22cに重畳している。浅い切欠き23bは突起22cと重畳する始端から深い切欠き23aとの接続部である終端へ向けて深さが漸減している。リング21の外周面に且つ切欠23bの切欠き23aとの接続部に接近して、径方向へ突出したストッパー24が形成されている。
【0013】
バヨネット連結構造Bの作動を説明する。
揺動蓋35を退避位置に保持する。コイルバネ32の付勢力を受けた可動爪33の他端部がリング11の凹部13に係合し端縁が凹部13の底面に当接している。
可動部リング21の突起22aを固定部リング11の突起11cと11aの間に、可動部リング21の突起22bを固定部リング11の突起11aと11bの間に、可動部リング21の突起22cを固定部リング11の突起11bと11cの間にそれぞれ位置決めし、可動部2のリング21の突起22a、22b、22cと固定部1のリング11の突起12a、12b、12cの相互干渉を回避した状態で、可動部2のリング21を固定部1のリング11に外嵌合させて差し込む。固定部1の可動爪の隆起部33aが、リング21に形成された浅い切欠き23bの始端近傍部に係合する。隆起部33bの厚みは切欠23bの始端近傍部の深さよりも小さいので、隆起部33bは切欠き23bと干渉しない。
可動部2のストッパー24が固定部のストッパー18に接近する方向へ可動部2を回転させる。ストッパー24が可動爪33の湾曲した段部33bに当接し、可動部1の回転に伴って可動爪33を固定部リング11から遠ざかる方向へ移動させる。可動部2の回転に伴って可動爪33の隆起部33aが係合する切欠23bの深さが減少し、切欠23b底面と隆起部33aとの間の隙間が減少するが、可動爪33、ひいては隆起部33aが固定部リング11から遠ざかる方向へ移動し、隆起部33aが切欠23bから径方向外方へ離脱するので、可動部2は支障なく回転することができる。尚、可動爪33の他端部は切欠き23bとは干渉しない。
可動部のストッパー24が可動爪33の湾曲した段部33bを通過し、直後に固定部のストッパー18に当接して可動部2が停止する。このとき、突起22a、22b、22cが突起12a、12b、12cに係合して、可動部2が固定部1にバヨネット連結する。可動部の深い切欠23aが固定部の凹部13と整列し、バネ付勢された可動爪33が可動部リング21に接近する方向へ移動し、隆起部33aが切欠23aの開放端部に係合する。この結果、ストッパー24がストッパー18から離隔する方向への可動部2の回転が阻止され、可動部2は連結位置にロックされる。
次に、退避位置にある揺動蓋35を稼働位置まで揺動させ、耳部35aを可動爪33の耳部33cに弾性係合させる。この結果、可動爪33の可動部リング21から遠ざかる方向への移動が阻止される。すなわち揺動蓋35が形成する第2ロック部材により、可動爪33が形成する第1ロック部材のロック解除動作が阻止される。
可動部2を固定部1から離脱させる際には、先ず第2ロック部材である揺動蓋35退避位置へ揺動させ、第1ロック部材である可動爪33のロック解除動作を可能にする。次いで可動爪33を引いて隆起部33aを可動部リング21から遠ざかる方向へ移動させ、切欠23aから離脱させる。この結果可動爪33が形成する第1ロック部材のロックが解除される。次いでストッパー24がストッパー18から離隔する方向への可動部2を回転さる。可動部リング21の突起22aを固定部リング11の突起11cと11aの間に、可動部リング21の突起22bを固定部リング11の突起11aと11bの間に、可動部リング21の突起22cを固定部リング11の突起11bと11cの間にそれぞれ位置決めし、可動部2のリング21を固定部1のリング11から引き抜いて、可動部2を固定部1から離脱させる。
【0014】
上記実施例においては、第2ロック部材である揺動蓋35の配設により、第1ロック部材である可動爪33の意図しないロック解除動作が阻止される。
切欠23aと可動爪33の係合によるロックは、バヨネット連結構造で一般的に使用される突部同士の弾性係合によるロックに比べて確実性が高い。
第1ロック部材である可動爪33の先端を固定部リング11の凹部13に係合させ、先端から少し基部に接近した部位を可動部リング21の切欠23aに係合させることにより、ロックの確実性が向上する。
バヨネット連結構造の使い勝手を勘案すると、第1ロック部材33は単純な操作でロック解除できることが望ましい。この観点からコイルバネ32の付勢力に抗しつつ第1ロック部材33を移動させればロックが解除される構造は好ましい。
一端がコイルバネ32に当接した可動爪33は、第1ロック部材として好適である。揺動可能に固定部1に取り付けられ可動爪33を覆って可動爪33に弾性係合、すなわち係止可能な揺動蓋35は、第2ロック部材として好適である。
可動部リング21に形成された突起24が、可動部2が回転する際に可動爪33に当接して可動爪33を可動部リング21から遠ざかる方向へ付勢するので、バヨネット連結をする際に、可動部2の回転駆動とは別に可動爪33を駆動する必用がなく、でバヨネット連結操作が容易になる。
可動爪33に係止した第2ロック部材である揺動蓋35を退避位置へ向けて付勢するコイルバネ36を配設することにより、第2ロック部材35のロック解除操作が容易になる。
【0015】
上記実施例において、固定部リングの凹部13を廃止し、第1ロック部材14a、33を可動部リングの切欠23、23a、23bのみに係合させても良い。
上記第2実施例では、バヨネット連結時に、可動部2の回転に伴って可動部のストッパー24が可動爪33に当接し可動爪33を駆動する構成としたが、バヨネット連結時に、可動爪33を手動で駆動する構成としても良い。この場合は、可動爪33には隆起部33aや段部33bは不要であり、又可動部の浅い切欠23bも不要である。この場合、可動部リングの切欠23aに代えて貫通穴でも良い。
【産業上の利用可能性】
【0016】
本発明に係るバヨネット連結構造は、呼吸装置の面体と給気ホースとの接続部、面体とフィルターとの接続部、面体と吸収缶との接続部などに利用可能である。
【符号の説明】
【0017】
1 固定部
2 可動部
11 リング
12a、12b、12c 突起
14 帯板バネ
14a 第1ロック部材
15 ボタン
16 リブ
17 帯板部材且つ第2ロック部材
18 ストッパー
21 リング
22a、22b、22c 突起
23、23a、23b 切欠
24 ストッパー
32 コイルバネ
33 可動爪且つ第1ロック部材
33a 隆起部
33b 段部
35 揺動蓋且つ第2ロック部材