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特許7453741香料成分揮散システムおよびその制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-12
(45)【発行日】2024-03-21
(54)【発明の名称】香料成分揮散システムおよびその制御方法
(51)【国際特許分類】
   A61L 9/12 20060101AFI20240313BHJP
   A61L 9/01 20060101ALI20240313BHJP
   G06Q 50/10 20120101ALI20240313BHJP
【FI】
A61L9/12
A61L9/01 Q
G06Q50/10
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018093937
(22)【出願日】2018-05-15
(65)【公開番号】P2019198420
(43)【公開日】2019-11-21
【審査請求日】2021-05-12
【審判番号】
【審判請求日】2022-12-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000104652
【氏名又は名称】キヤノン電子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小林 正昭
(72)【発明者】
【氏名】内山 真志
(72)【発明者】
【氏名】鶴田 稔
(72)【発明者】
【氏名】本多 健一
(72)【発明者】
【氏名】松岡 京
【合議体】
【審判長】三崎 仁
【審判官】松井 裕典
【審判官】後藤 政博
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-201995(JP,A)
【文献】特開2003-13089(JP,A)
【文献】特開2005-185366(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0297776(US,A1)
【文献】特開2005-326907(JP,A)
【文献】特開2009-217641(JP,A)
【文献】特開2017-33226(JP,A)
【文献】特開2017-107516(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F3/01
A61L9/00-9/22
G06Q10/00-10/30
G06Q30/00-30/08
G06Q50/00-50/20
G06Q50/26-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1揮散装置に基づいたアロマの揮散情報を作成する揮散情報作成手段と、
前記揮散情報を送信する第1送信手段と、
前記第1送信手段によって送信された前記揮散情報を記憶するサーバーと、
前記サーバーに登録されている前記揮散情報を、第2通信端末に送信する第2送信手段と、
前記揮散情報を、前記第2通信端末から第2揮散装置に送信する第3送信手段と、
を備え、
前記揮散情報は、製品識別情報である前記第1揮散装置の製品名をパラメータとして有し、
前記第2揮散装置は、前記揮散情報を前記第2通信端末から送信する先に指定された前記第2揮散装置の製品識別情報と前記揮散情報に登録された前記製品識別情報とを比較し不一致の際に、複数の揮散装置に対応してどのように補正し駆動するかが登録されたテーブルを参照して補正され、前記第3送信手段によって送信された前記揮散情報に基づいて揮散動作を実行することを特徴とする香料成分揮散システム。
【請求項2】
前記第2揮散装置は、前記揮散情報に基づいて揮散条件を設定して、揮散動作を実行することを特徴とする請求項1に記載の香料成分揮散システム。
【請求項3】
前記第1揮散装置に保存されている揮散情報を、第1通信端末に送信する第4送信手段を有することを特徴とする請求項1または2に記載の香料成分揮散システム。
【請求項4】
前記揮散情報作成手段によって作成された揮散情報を、画像情報として出力する画像情報出力手段を有することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の香料成分揮散システム。
【請求項5】
前記画像情報出力手段は、前記揮散情報を2次元バーコード画像として出力することを特徴とする請求項4に記載の香料成分揮散システム。
【請求項6】
前記揮散情報が、少なくともオイルの種類、オイルの噴霧比率、噴霧空間の広さから構成されることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の香料成分揮散システム。
【請求項7】
第1揮散装置に基づいたアロマの揮散情報を生成する揮散情報生成工程と、
前記揮散情報を送信する第1送信工程と、
前記第1送信工程で送信された前記揮散情報をサーバーに記憶する記憶工程と、
前記サーバーに登録されている前記揮散情報を通信端末に送信する第2送信工程と、
前記通信端末から第2揮散装置に前記揮散情報を送信する第3送信工程と、
前記第3送信工程で送信された前記揮散情報に基づいて前記第2揮散装置の揮散動作を実行する揮散工程を含み、
前記揮散情報は、製品識別情報である前記第1揮散装置の製品名をパラメータとして有し、
前記第2揮散装置は、前記揮散情報を前記通信端末から送信する先に指定された前記第2揮散装置の製品識別情報と前記揮散情報に登録された前記製品識別情報とを比較し不一致の際に、複数の揮散装置に対応してどのように補正し駆動するかが登録されたテーブルを参照して補正され、前記第3送信工程において送信された前記揮散情報に基づいて揮散動作を実行することを特徴とする香料成分揮散システムの制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器内の液体中に含まれる香料成分を空間に揮散させるアロマディフューザーを用いた香料成分揮散システムまたはその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、超音波振動を利用して水などの液体を霧化し、その液体中に含まれる香料成分を外部空間に揮散させるものや、送風ファンによって香料成分を外部空間に放出させるアロマディフューザーが知られている。また、特許文献1には、複数の香料容器を備え、複数の芳香をブレンドして外部に放出させる芳香装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-97695号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のアロマディフューザーは、予め設定された駆動条件に従って動作するものや、ユーザーが設定した駆動条件に従って動作するものに過ぎず、アロマディフューザーによる香料成分をどのような目的で揮散させるのかに合わせた制御を行うことが困難だった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記を鑑み、本発明にかかる香料成分揮散システムは、
第1揮散装置に基づいたアロマの揮散情報を作成する揮散情報作成手段と、
前記揮散情報を送信する第1送信手段と、
前記第1送信手段によって送信された前記揮散情報を記憶するサーバーと、
前記サーバーに登録されている前記揮散情報を、第2通信端末に送信する第2送信手段と、
前記揮散情報を、前記第2通信端末から第2揮散装置に送信する第3送信手段と、
を備え、
前記揮散情報は、製品識別情報である前記第1揮散装置の製品名をパラメータとして有し、
前記第2揮散装置は、前記揮散情報を前記第2通信端末から送信する先に指定された前記第2揮散装置の製品識別情報と前記揮散情報に登録された前記製品識別情報とを比較し不一致の際に、複数の揮散装置に対応してどのように補正し駆動するかが登録されたテーブルを参照して補正され、前記第3送信手段によって送信された前記揮散情報に基づいて揮散動作を実行することを特徴とする。


【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、サーバーから送信された揮散情報に基づいて揮散装置を駆動することによって、所望の揮散条件を簡易に実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の一実施形態に係る香料成分揮散システムの概念図。
図2】本発明の一実施形態に係るアロマディフューザーの斜視図。
図3】本発明の一実施形態に係るアロマディフューザーの内部構造を示す斜視図。
図4】本発明の一実施形態に係るアロマディフューザーの芳香制御の動作を説明する概念図。
図5】本発明の一実施形態に係る通信端末における表示画面の一例。
図6】本発明の一実施形態に係る通信端末における詳細設定画面の一例。
図7】本発明の一実施形態に係る通信端末における詳細設定画面の他の例。
図8】本発明の一実施形態に係る通信端末におけるダウンロード画面の一例。
図9】本発明の一実施形態に係る通信端末における転送画面の一例。
図10】本発明の一実施形態に係るアロマディフューザーの制御構成を示すブロック図。
図11】本発明の他の実施形態に係る通信端末における調整画面の一例。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照し、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0009】
(第1実施形態)
<システムの全体構成>
図1は、本発明の一実施形態にかかる香料成分揮散システムの概念図である。図1に示すように、ユーザーは、第1通信端末100を介して揮散情報をサーバー200に登録することが可能となっている。サーバー200は、第1通信端末100によって登録された揮散情報をデータベースとして管理している。さらに、サーバー200に登録されている揮散情報を第2通信端末300にダウンロードすることが可能となっている。ダウンロードされた揮散情報は、揮散装置(アロマディフューザー1)に対して転送される。揮散装置は、転送された揮散情報に基づいて揮散条件を設定して揮散動作を行うことが可能である。なお、第1通信端末100と第2通信端末300とは同じ端末で構成されていても良い。
【0010】
この構成により、いずれかのユーザーがサーバー200に登録した揮散情報を、他のユーザーが使用する揮散装置においても適用することが可能となる。従って、目的に合わせた香料成分(アロマ成分)の揮散動作を容易に揮散装置に行わせることができる。なお、サーバー200は、例えば第1通信端末100であるPCと接続される情報処理装置であるローカルサーバーや第1通信端末100上に構成されたサーバー機能であっても良いし、第1通信端末100がインターネット回線を利用して接続可能に設けられたレンタルサーバーやクラウドサーバーによって構成されても良い。
【0011】
<アロマディフューザーの構造>
図2は、本発明の一実施形態にかかる香料成分揮散システムで用いられる揮散装置の一例としてのアロマディフューザー1の斜視図である。筐体10の上部には、香料成分を空間に放出するための吹出口11が設けられており、吹出口11は、第1吹出口11aと第2吹出口11bとが並んで設けられている。尚、以下の説明においては第1吹出口11aと第2吹出口11bとをまとめて吹出口11と呼ぶことがある。
【0012】
詳細は後述するが、第1吹出口11aと連通する第1ボトル20aがその下部に設けられており、同様に第2吹出口11bと連通する第2ボトル20bがその下部に設けられている。第1ボトル20aから第1吹出口11aまでの吹出経路を含めた構造と第2ボトル20bから第2吹出口11bまでの吹出経路を含めた構造とは同等であるため、以下の説明においては基本的に、第1ボトル20aを例に挙げて説明する。尚、以下の説明においては第1ボトル20aと第2ボトル20bとをまとめてボトル20(香料容器)と呼ぶことがある。
【0013】
このように配置されたボトル20内に収容されている香料成分を、ボトル20に隣接するように設けられた揮散機構30によって吹出口11から放出させることによって、アロマディフューザー1が設置される揮散空間内に香料成分を揮散させる。
【0014】
なお、吹出口11は、図2においては、開口が形成されているだけであるが、吹出方向を自在に変更できるノズルを設け、ユーザーが所望の方向に制御可能なように構成しても良い。
【0015】
また、本実施形態においては、ボトル20を覆うように透明のカバー70が設けられており、ユーザーは滑り止め70aに触れてカバー70を回動させて開くことでボトル20へ触れることが可能となる。
【0016】
図3には、本発明の一実施形態に係るアロマディフューザー1の内部構造を示している。図3(a)には筐体10を外した内部構造に関し、アロマディフューザー1におけるボトル20が取り付けられる側(正面側)から見た斜視図を示しており、図3(b)にはその反対側(背面側)から見た斜視図を示している。
【0017】
図3(a)に示すように、ボトル20の上部には、その内部に吹出経路を形成するボトルキャップ40が設けられている。ボトルキャップ40は、第1ボトル20aから第1吹出口11aを連通する第1吹出経路41aと、第2ボトル20bから第2吹出口11bを連通する第2吹出経路41bとがそれぞれ別体に設けられている。但し、第1ボトルキャップ40aと第2ボトルキャップ40bとを一体に形成し、その内部に例えば隔壁によって仕切った状態で第1吹出経路41aと第2吹出経路41bとを形成しても良い。
【0018】
第1ボトルキャップ40aは、第1ボトル20aと嵌合する構造を有し、第1ボトル20aと第1吹出経路41aとを連通する第1ボトルキャップ入口42aを有しており、図3(b)に示す第1揮散機構30aを駆動することによって第1ボトル20aから放出された香料成分が、第1ボトルキャップ40a内の第1吹出経路41aを通流して第1ボトルキャップ出口43aに到達し、筐体10に設けられた第1吹出口11aから揮散空間(外気)に向けて揮散させられる。
【0019】
ここで、揮散機構30について詳細に説明する。揮散機構30は、上述したように、ボトル20に収容された香料成分を、ボトルキャップ40内の吹出経路41に通流させて、吹出口11から揮散空間に向けて揮散させるものであり、第1吹出経路41aに対応する第1揮散機構30aと、第2吹出経路41bに対応する第2揮散機構30bとを有する。
【0020】
揮散機構30の一例として、本実施形態においては、ダイアフラムポンプを内蔵したコンプレッサ31とコンプレッサ31とボトルキャップ40とを接続する接続管32とによって構成されており、第1揮散機構30aと第2揮散機構30bとに対応してそれぞれ複数設けられている。また、接続管32はシリコーンゴムやPVC(ポリ塩化ビニル)などの樹脂材料によってチューブ状に形成されており、本実施形態においては、図3(b)に示している通り、第1ボトルキャップ40aの背面側に第2コンプレッサ31bが、また、第2ボトルキャップ40bの背面側に第1コンプレッサ31aがそれぞれ配置されるように、コンプレッサ31の上部において、交差するように配置され、コンプレッサ31とボトルキャップ40とに接続されている。
【0021】
このように接続管32を交差して配置することによって、強度を考慮して剛性の比較的高い材質で接続管32を形成する場合であっても、引き回すスペースを確保することができる。
【0022】
図4には、本発明の一実施形態に係るアロマディフューザーの芳香制御の動作を説明する概念図を示している。図4に示すように、コンプレッサ31によって発生した空気の流れが、ボトルキャップ40に流入し、その空気の流れがエジェクタとして機能することによって、ボトル20から香料成分が吹出経路41に流入する。
【0023】
香料成分は、霧状に吹出経路41に流入するが、そのうち粒子径の大きいものについては、ボトルキャップ40の外壁に衝突してそのまま落下することで逆流路44に流入してボトル20内に戻る。
【0024】
吹出経路41内を通流する香料成分は、コンプレッサ31によって発生した空気と共にボトルキャップ40内で迂回するように形成された吹出経路41に沿って下流側に通流し、ボトルキャップ出口43に到達する。その後、図2に示す吹出口11から揮散空間に向けて放出される。
【0025】
以上説明したように、香料成分の揮散量は、コンプレッサ31によって発生する空気量に比例する。換言すれば、香料成分の揮散量を、コンプレッサ31の駆動条件(駆動電流、駆動時間)を制御することによって調整可能である。
【0026】
なお、以上説明したアロマディフューザー1は、ボトル20を2つ取り付け可能に構成したが、3つ以上のボトル20を取り付け可能に構成することが好ましく、ボトル20を3つ取り付け可能にすることが好ましい。3つのボトル20を取り付け可能にすることによって、特定の効果を発揮するための香料成分の組み合わせの実現が容易となり、特に、本実施形態における香料成分揮散システムのようにサーバー200から揮散情報をダウンロードして揮散装置に転送し、揮散条件の設定に使用する場合に、好適である。
【0027】
<通信端末から揮散情報をサーバーに登録する構成、制御>
図5には、本発明の一実施形態にかかる第1通信端末100における表示画面の一例を示している。ユーザーは、第1通信端末100の表示画面上において揮散情報として、揮散条件の一例を入力して、サーバー200に対して送信することでサーバー200に登録させることができる。すなわち、第1通信端末100上で動作するアプリケーションAPが揮散情報作成手段として動作して揮散情報入力画面を第1通信端末100の表示画面上に表示している。本実施形態においては、通信端末の表示画面にはタッチパネルが設けられており、入力インターフェースとして機能しているが、表示画面とは別に操作キーを設けても良い。通信端末としては、携帯電話、スマートフォン、PCなどの外部機器との通信が可能な情報処理装置を用いることができる。
【0028】
図5に示す揮散情報入力画面においては、登録する揮散情報の目的、使用するオイルの種類、噴霧日時、噴霧頻度、噴霧空間の広さ、製品名の各パラメータを入力することができる。なお、揮散情報に含まれるこれらのパラメータは、全てのパラメータを指定させるようにしても良いが、特定のパラメータのみを必須入力パラメータとし、それ以外のパラメータは、任意入力パラメータとすることが好ましい。本実施形態においては、オイルの種類、噴霧空間の広さのみを必須入力パラメータとして設定しており、それ以外のパラメータは任意入力パラメータであるが、必須入力パラメータに何を含むかは任意に設定して良い。例えば、オイルの種類にオイルの種類ごとの噴霧比率を含むものを必須入力パラメータとしても良い。各パラメータの詳細については後述する。
【0029】
このようにして第1通信端末100の表示画面上の入力部101において揮散情報を入力し、決定ボタン102を選択することによってサーバー200へ揮散情報が送信される。揮散情報の送信は、第1通信端末100に搭載されている通信手段を用いて行われる。
【0030】
第1通信端末100によって送信された揮散情報を受信したサーバー200は、揮散情報を記憶部にデータベースとして蓄積する。その際、揮散情報を送信した第1通信端末100に関する情報と送信日時を揮散情報に含めて記憶する。第1通信端末100に関する情報には、登録者情報が含まれており、揮散情報をダウンロードする第2通信端末300の使用者は、第2通信端末300上で動作するアプリケーションAPを介して、登録者のお気に入り登録などが可能となっている。アプリケーションAPは、定期的にサーバー200と通信を行い、お気に入り登録された登録者が揮散情報を登録したことを第2通信端末300の使用者に通知したり、自動的に揮散情報をダウンロードしたりするように第2通信端末300を制御しても良い。また、利用者は、登録されたサーバー200上の揮散情報に対してコメントなどの情報を残すことが可能であり、サーバー200に登録された揮散情報を検索、閲覧してダウンロードしようとしている他の利用者からコメントなどの情報を確認することが可能になっている。
【0031】
登録者情報は、第1通信端末100上で動作して揮散情報を作成しサーバー200へ送信するように第1通信端末100を制御するアプリケーションAPへのログイン情報であり、登録者の登録名、性別、年齢、地域などの情報を含む。なお、登録者の例としては、アロマセラピスト、医療従事者、アロマオイルのショップスタッフや個人が想定される。
【0032】
<揮散情報に含まれるパラメータ>
ここで、図5を用いて、揮散情報に含まれる各パラメータについて説明する。第1通信端末100の表示画面上で登録作業が実行される揮散情報には、図5に示すように、任意入力パラメータとして、揮散情報の目的が含まれている。これは、揮散情報に含まれるパラメータに従ってアロマディフューザー1を動作させる際にユーザーに対して及ぼされる影響を考慮したものであり、揮散情報を登録するユーザーが設定可能である。
【0033】
また、必須入力パラメータには、使用する香料成分としてオイルの種類が含まれる。本実施形態においては、3つの種類を入力するように構成されており、それらのオイルに含まれる香料成分を組み合わせることで揮散情報の目的に沿った香料成分の揮散が可能となるものである。
【0034】
また、オイルの種類ごとの比率を設定可能である。図5に示す表示画面においては、各オイルの種類ごとに比率を設定して合計が100になるように設定されているが、必ずしもこの限りではなく、無記入の場合、均等に設定されるようにしても良い。さらに、これらの比率でオイルをどの程度の頻度で揮散させるかの噴霧頻度の設定も可能である。一例として、図5に示す例においては、所定時間のうち、どの程度の割合で噴霧させるかを設定可能になっている。
【0035】
図5の表示画面の例においては、ラベンダー、ローズウッド、オレンジスイートの香料成分の比率が40:30:30となるような揮散機構30の駆動状態を、10分間のうちの1分間継続して行うという設定になっている。すなわち、1分間コンプレッサを駆動し、9分間休止させてまた1分間コンプレッサを駆動する、という制御を繰り返すことによって設定された比率と頻度での噴霧を行う。
【0036】
また、オイルの種類、比率、噴霧頻度についてはより詳細な設定が可能であり、詳細設定ボタンを指定することで詳細設定画面に遷移することができる。
【0037】
図6には、詳細設定画面の一例を示す。この画面においては、選択したオイルの種類ごとに、設定された時間内でどの程度の比率で揮散制御が行われるかを設定可能になっている。まず、図6の画面においては、繰り返し時間設定部201において、設定するシーケンスを繰り返す周期を設定できる。この例においては10分を設定している。この設定に従って、画面上部の時間軸の数値が自動的に切り替わる。
【0038】
次に、それぞれのオイルについて、繰り返し時間設定部201で設定した周期のうち、どのタイミングで揮散制御されるかをタイミング指定部202で指定できる。ユーザーは、それぞれのオイル名の横に表示されたバーの位置や長さを調整することによって、タイミングを調整できる。
【0039】
次に、設定された各オイルの揮散タイミングにおいて、同時に揮散されるように設定されたオイルの比率が、比率表示203を選択することで設定可能になっている。図6の画面においては、0分から3分の間はラベンダーとオレンジスイートのオイルが同時に揮散される設定であり、50:50で揮散される設定になっている。同様に、3分から6分の間は、ラベンダー、ローズウッド、オレンジスイートのオイルが同時に揮散される設定であり、40:30:30で揮散される設定になっている。6分から10分においては、ローズウッドとオレンジシートが同時に揮散される設定であり、30:30で揮散される設定になっている。この時、6分から10分の間で設定されているように、比率の合計が100未満となるように設定することも可能である。
【0040】
本実施形態においては、上述したようにオイルの濃度を揮散比率として入力させる態様を示したが、これに限られず、オイルの揮散濃度を直接入力可能にしても良い。その場合、必須入力パラメータとして入力されている噴霧空間の広さに基づいて、部屋の広さに応じた駆動条件を、後述するCPU50などの制御部によって自動設定することで設定された揮散濃度を実現可能である。
【0041】
ここで、詳細設定画面における設定可能な揮散制御の他の例について説明する。図7には、詳細設定画面の他の例を示している。
【0042】
図7に示す詳細設定画面においては、オイルごとの揮散時間帯を設定可能な設定画面が構成されている。この例においては、3つのオイルとして、レモン、ペパーミント、ラベンダーの3つがアロマディフューザー1に搭載されており、それらがパラメータ設定画面において設定されている。図7の表示画面に表示されているように、レモンのオイルについては、開始時間に7:00が設定され、終了時間に8:00が設定されている。同様に、ペパーミントについては、開始時間に13:00が設定され、終了時間に14:00が設定されている。また、ラベンダーについては、開始時間に21:00が設定され、終了時間に22:00が設定されている。
【0043】
このように設定された揮散時間帯に基づいて、それぞれのオイルが設定された揮散時間帯において噴霧されるように、揮散機構30を制御する。なお、それぞれのオイルに対しては、揮散時間帯に加えて、噴霧濃度を設定可能となっている。噴霧濃度の設定に関しては、図7に示すように、「弱」、「中」、「強」などの、予め設定されたパターンから選択可能にしても良いし、噴霧濃度を数値で入力可能なようにしても良い。
【0044】
なお、図6に示す詳細設定画面においても、繰り返し時間設定部201への入力を24時間にすることに加えて、それぞれのオイルの揮散時間帯を図7と同様に設定することによって、同様の設定を行うことも可能である。その場合、噴霧濃度の設定メニューを追加しても良い。
【0045】
ここで、設定された噴霧濃度を実現するための揮散機構30(コンプレッサ31)の駆動制御としては、コンプレッサ31を間欠駆動させることで実現しても良いし、コンプレッサ31に通電する電流のDuty比を所望の割合に制御することなどによって実現しても良い。
【0046】
図5に戻り、他のパラメータについて説明する。本実施形態においては、噴霧空間の広さを指定可能になっている。これは、例えば揮散情報を登録するユーザーが実際に指定したオイルの種類、比率、頻度で噴霧を行った際の環境として、どの程度の広さの空間で行ったか、を入力することによって、後述する他のユーザーがこの揮散情報を使用する際の補正に用いることができる。噴霧空間の広さの入力方法として、畳数表記から選択可能になっているが、平米数や空間の高さを指定可能に構成しても良い。また、噴霧空間の広さを入力することによって、オイルごとの噴霧比率や噴霧頻度から、通信端末で実行されるアプリケーション上で自動的に噴霧濃度を算出しても良い。この噴霧濃度は第1通信端末100の表示画面に表示しても良いし、表示された噴霧濃度をユーザーが調整可能にしても良い。
【0047】
さらに、揮散情報を登録するユーザーが使用したアロマディフューザー1の製品名や製品型番などの製品識別情報を入力可能に構成することが好ましい。さらに、そのアロマディフューザー1を噴霧空間におけるどこに設置したかを入力できるように構成することが好ましい。例えば、床に置いたのか、机の上か、ベッドサイドか、などから選択可能にするとユーザー選択が容易になる。もしくは、床面からの高さから選択可能なように構成しても良い。
【0048】
図5に示すパラメータと置き換えたり、別ページを利用して追加してパラメータを用意したりしても良く、例えば湿度情報を適用することが可能である。湿度によって噴霧された香料成分の揮散状況が変わることが想定されるため、他のユーザーが揮散情報を使用する際の補正に用いることができる。また、湿度を直接入力する代わりに気象情報などを入力したり外部から取得したりして湿度情報として用いても良い。
【0049】
各パラメータは、通信端末が有するソフトウェアキーボードなどの入力手段によって自由に入力されるようにしても良いし、予め設定された複数の選択肢の中から選択可能なように構成しても良い。また、アロマディフューザー1に搭載される各センサの検出結果を用いて自動的にパラメータを取得しても良い。
【0050】
例えば、湿度センサを備えることで湿度情報を取得可能である。また、アロマディフューザー1の周囲4方向における壁面までの距離を測定可能な距離センサを備えて、噴霧空間の広さを自動取得しても良い。また、外部通信モジュールを備えて、気象情報を取得可能に構成し、それに含まれる湿度情報を利用したり、天気の情報から湿度を簡易に算出しても良い。
【0051】
以上説明した第1通信端末100の表示画面において揮散情報を設定可能なアプリケーションAPから、第1通信端末100が通信可能なサーバー200に対して揮散情報が送信されて、揮散情報の登録者情報と紐付けて保存される。登録者情報は、アプリケーションAPへのログイン情報や第1通信端末100の固体識別情報などの種々の情報であれば良い。
【0052】
<サーバーの揮散情報を通信端末にダウンロードする構成、制御>
図8は、本発明の一実施形態にかかる第2通信端末300における表示画面の一例を示している。第2通信端末300は、第1通信端末100から送信されてサーバー200にデータベースとして登録されている揮散情報をダウンロードすることが可能となっている。図8には、サーバー200に登録された揮散情報をダウンロードする際に、第2通信端末300で実行されるアプリケーションAPのダウンロード画面301の例を示す。なお、第2通信端末300に揮散情報をダウンロードする利用者としては、アロマセラピスト、医療従事者、アロマオイルのショップスタッフや個人が想定される。
【0053】
第2通信端末300の表示画面上に表示されたダウンロード画面301において、画面中央には揮散情報表示部310が設けられており、ここに表示された揮散情報の中から所望の揮散情報を選択して、第2通信端末300にダウンロードすることが可能である。図8では、揮散情報311から揮散情報314を例示しており、そのうちの揮散情報312を選択している様子を示している。この状態でDL開始ボタン302を押下すれば、第2通信端末300内の記憶領域に揮散情報312がダウンロードされ、アプリケーションAPからアクセスすることが可能な状態となる。
【0054】
ここで、本実施形態においては、ダウンロード画面301において、各揮散情報を示すためのパラメータとして、登録者情報、レシピの目的、空間の広さのみを表示している。すなわち、登録者情報に加えて、必須パラメータとして設定した項目のみを表示するようにしている。但し、例えば各揮散情報の部分を長押しするなどの方法によって表示されたパラメータ以外を確認できるように画面制御しても良い。
【0055】
但し、ダウンロード画面301に表示するパラメータとしては、必須パラメータに限られるものではなく、他のパラメータを表示しても良い。例えば、使用するオイルの種類を表示することによって、第2通信端末300を操作しているユーザーが所持しているオイルを用いて芳香させることが可能な揮散情報から選択することが容易になる。また、各パラメータに含まれる項目によって表示をフィルタリングしたりソートできるようにしたりすることが好ましい。
【0056】
<通信端末から揮散装置に揮散情報を転送する構成、制御>
図9は、第2通信端末300からアロマディフューザー1に揮散情報を転送するために第2通信端末300の表示画面上にアプリケーションAPによって表示される転送画面401の例を示している。
【0057】
転送画面401は図8に示すダウンロード画面301とその多くを共通している。画面中央には各揮散情報を並べて表示しており、ユーザーはこれらの中から所望の揮散情報を選択し、画面下部の転送先指定部402で転送先のアロマディフューザー1を指定して転送開始ボタン403を選択する。この操作によって、第2通信端末300から、通信手段を介して転送先に指定されたアロマディフューザー1へ揮散情報が送信される。アロマディフューザー1に送信された揮散情報は、アロマディフューザー1の記憶部に記憶され、アロマディフューザー1は、記憶された揮散情報に基づいて動作することが可能となる。
【0058】
なお、転送先指定部402における転送先のアロマディフューザー1の指定については、図9に示したものは一例であり、第2通信端末300からアクセス可能なアロマディフューザー1を、アプリケーションAPによって第2通信端末300からブロードキャストすることで探索し、転送先の候補としてリスト表示された中から選択するようにしても良い。ブロードキャストすることなどによる第2通信端末300とアロマディフューザー1とのペアリングについては、アプリケーションAP上で別に設定されたメニューから事前に行えるように構成しても良い。
【0059】
ここで、第2通信端末300からアロマディフューザー1に対して揮散情報を送信するための通信手段は、近距離無線通信によって直接送信されても良いし、例えばサーバー200などの中継装置を介して送信されても良い。また、第2通信端末300において指定された揮散情報を識別するための識別情報をサーバー200に対して送信し、その識別情報に基づいて、サーバー200に記憶された揮散情報を転送するように構成しても良い。他の例としては、第2通信端末300とアロマディフューザー1とをUSBケーブルなどによって有線接続して送信しても良い。
【0060】
なお、アロマディフューザー1においては、複数の揮散情報を記憶可能に構成しても良く、ユーザーがアロマディフューザー1の操作部や通信端末から所望の揮散情報を選択することで、選択された揮散情報に基づいて動作するように構成しても良い。
【0061】
また、図9に示す例においては、揮散情報表示部410内に、揮散情報411から揮散情報414を例示しており、揮散情報412を選択した状態を示している。この例においては、揮散情報が有するパラメータのうち、登録者情報、レシピの目的、空間の広さという必須パラメータのみを表示しているが、それ以外の項目を表示するようにしても良い。表示する項目は、ユーザーが指定可能であることが好ましい。
【0062】
<揮散装置において揮散情報を補正する制御、補正に用いる情報>
ここで、ダウンロードした揮散情報は、転送先のアロマディフューザー1が設置された環境に応じて補正することが可能であり、以下にその制御について説明する。
【0063】
例えば、図9に示す揮散情報をアロマディフューザー1に転送して芳香制御させる場合を例に挙げて説明する。まず、第2通信端末300上で動作するアプリケーションAPには、アロマディフューザー1が設置された部屋の広さを設定可能に構成されている。これは、ユーザーが入力可能なUIを用意しても良いし、アロマディフューザー1や第2通信端末300が有する距離センサなどによってセンシングしたデータを用いて自動的に設定しても良い。
【0064】
アロマディフューザー1が設置された部屋の広さとして、12畳が設定されている場合を例に挙げる。この場合、揮散情報411から揮散情報413は噴霧空間の広さとして12畳であることが揮散情報として登録されている。そのため、揮散情報411などに含まれる各パラメータに従ってそのままアロマディフューザー1の揮散機構30を駆動することによって、揮散情報411などに設定されたレシピの目的の達成に期待ができる駆動制御を行うことができる。
【0065】
一方で、揮散情報414は、噴霧空間の広さとして8畳が登録されており、アプリケーションAP上に設定された部屋の広さの12畳とは異なっている。この場合、アプリケーションAPにおいて転送開始ボタン403を選択した時点で、表示画面上に、「噴霧空間を部屋の広さに適応して変更します」などのメッセージを表示して、アロマディフューザー1に対して揮散情報414に登録された噴霧空間における揮散条件をアプリケーションAP上に設定された部屋の広さにおける揮散条件に補正した揮散情報を転送する。
【0066】
揮散条件の補正の一例としては、8畳で設定された揮散情報に対して12畳で設定された揮散情報の場合、オイルの揮散量を1.5倍に制御することで行う。具体的には、揮散情報に登録された各オイルの比率に対し、揮散機構30の駆動電流を1.5倍に変更可能な場合にはそのように変更し、駆動電流を1.5倍に変更できない場合には、揮散機構30の駆動時間を1.5倍に延ばすなどの制御を行う。
【0067】
また、揮散条件の補正の他の例としては、揮散機構30の駆動電流と香料成分の噴霧濃度との関係を、噴霧空間の広さごとに予め取得した結果を記憶しておき、揮散機構30を駆動した際にダウンロードした揮散情報の噴霧濃度に対し、同じ噴霧濃度となるように噴霧空間の広さに対応した駆動電流を揮散機構30に供給するように制御しても良い。これらの補正制御はあくまで一例であり、他の方法であっても良い。
【0068】
なお、転送開始ボタン403を選択した時点でユーザーに対するメッセージを表示した際に、ユーザーが補正しないことを選択可能にしても良い。また、ユーザーに対するメッセージを表示せずに転送開始ボタン403が選択された際にそのまま補正された揮散情報の転送を開始しても良い。
【0069】
噴霧空間の広さの設定やそれに応じた揮散制御の補正を第2通信端末300上のアプリケーションAPで行ったが、アロマディフューザー1側において部屋の広さの設定と転送された揮散情報に対する補正を行うように構成しても良い。また、これらの揮散情報の補正に必要な情報をサーバー200などの外部装置に転送し、外部装置からアロマディフューザー1に対して補正された揮散情報の送信を行うように構成しても良い。
【0070】
以下に、他の補正制御について説明する。例えば、製品識別情報に応じた補正制御を行う場合には、予めアプリケーションAP上やサーバー200上において、複数の製品同士に対応して、揮散機構30をどのように補正して駆動するかが登録されたテーブルTBを保有している。転送開始ボタン403が選択された時点で、転送画面401の転送先指定部402で指定された製品識別情報と揮散情報に登録された製品識別情報とを比較し、不一致である場合に、テーブルTBを参照して揮散情報を補正する。
【0071】
また、湿度に応じた補正制御を行う場合には、転送される揮散情報に登録された湿度情報と、転送時に取得したアロマディフューザー1周辺の湿度情報とを比較し、所定の閾値以上に差がある場合に補正制御を行う。湿度に応じて、揮散機構30の駆動によって揮散する芳香成分の揮散距離が異なる場合には効果的である。補正制御の例としては、製品識別情報に応じた補正制御と同様に、テーブルを参照するか、予め取得した湿度ごとの揮散距離などから算出した関係式にそれぞれの湿度情報を当てはめることで演算された揮散機構30の駆動条件を補正しても良い。
【0072】
なお、湿度情報の取得は、アロマディフューザー1や第2通信端末300に設けられた湿度センサからの湿度情報、もしくは外部装置から取得した気象情報に含まれる湿度情報などを用いることができる。
【0073】
<揮散装置から通信端末に揮散情報を転送する構成、制御>
本実施形態においては、アロマディフューザー1の記憶部に記憶された揮散情報を通信端末へ転送可能に構成されている。具体的には、通信端末上で動作するアプリケーションAP上に用意されたアップロードメニューからアロマディフューザー1を指定して、アロマディフューザー1に記憶された揮散情報を通信端末にアップロードすることができる。
【0074】
<ブロック図>
図10は、本実施形態に係るアロマディフューザー1の制御構成を示すブロック図である。図10に示すように、CPU(Central Processing Unit)50、コンプレッサ31、記憶部51、通信IF(InterFace)52、操作部53、表示部54、電源部55などを備えている。
【0075】
CPU50は、アロマディフューザー1の各部全体を統括して制御を行う制御部である。なお、図10においては各構成がCPU50とのみ接続されているが、バスを通じてそれぞれが接続されて直接信号のやり取りを行うように構成しても良い。
【0076】
記憶部51は、ROMやRAMなどの記憶デバイスによって構成されており、CPU50が各部を制御するために必要な各種プログラムや制御処理に必要なデータ等が記憶されている。例えば、コンプレッサ31の駆動制御のために必要なデータや上述した揮散情報以外にも、後述する通信IF52や表示部54を制御するために必要なデータ等も記憶されており、CPU50はこれらのデータを利用して通信IF52や表示部54を制御する。
【0077】
通信IF52は、外部機器との間で通信を行うためのインターフェースであり、各無線通信規格に対応した無線モジュールや、有線接続するためのLANコネクタやUSBコネクタなどである。
【0078】
表示部54は、アロマディフューザー1の動作状態などをユーザーに通知すべく、筐体10に設けられたLCDなどのディスプレイやLEDなどのインジケータである。アロマディフューザー1の動作モード(コンプレッサ31の動作状態)に応じた表示態様になるようにCPU50が表示部54を制御することによってユーザーがアロマディフューザー1の動作モードを把握しやすくなる。また、動作モード以外にも、電源のオン、オフ状態や、通信IF52での通信状態を表示しても良い。
【0079】
操作部53は、ユーザーがCPU50に対してアロマディフューザー1の動作モードの制御指示などを入力するためのインターフェースであり、一例としては、筐体10の外表面に配置されたタクトスイッチなどである。また、LCDなどのディスプレイや機能を示したデザインなどの上に貼り付けたタッチパネルによって構成しても良い。
【0080】
電源部55は、電池やACアダプタによって構成される電源に接続される電源回路であり、各部に対して必要な電力を生成して供給するものである。そのため、図10においては、電源部55はCPU50にのみ接続されているが、実際には各部に対して接続されており、各部の駆動に必要な電力を供給している。CPU50によってそれらの電力供給の制御を行うように構成しても良い。また、電池としては本体に内蔵される内蔵電池などでも良いし、USBケーブルなどによって接続されるモバイルバッテリのような外部電池でも良い。なお、電池を内蔵するように構成する場合には、その充電のための機構は特に限定されない。たとえばUSBケーブルなどによって供給された電流によって充電されるようにしても良いし、無線給電などによって充電可能な充電回路を有しても良い。
【0081】
<揮散装置における揮散情報に基づく揮散制御の応用>
(第2実施形態)
以下に、本発明の第2実施形態に係る香料成分揮散システムについて説明する。なお、本実施形態に係る香料成分揮散システムは、第1実施形態とその多くが共通しているため詳細な説明は割愛し、相違する部分のみ説明する。
【0082】
本実施形態に係る香料成分揮散システムにおいては、サーバー200からダウンロードした揮散情報を、第2通信端末300上や、そこから転送されたアロマディフューザー1上において調整可能になっている。
【0083】
一例として、第2通信端末300上で揮散情報を調整する際の動作を説明する。図11には、サーバー200からダウンロードした揮散情報を調整する調整画面501を表示している状態の第2通信端末300の表示画面を示している。なお、この調整画面501は、第2通信端末300上で動作するアプリケーションAPによって表示されている。
【0084】
調整画面501においては、サーバー200からダウンロードして第2通信端末300に保存されている揮散情報の中から、1つの揮散情報を選択した状態を示しており、さらに、オイルの比率を変更しようとしている状態を示している。
【0085】
具体的には、調整画面501の上部には、選択中の揮散情報に関する情報が表示されており、その下側には調整可能なパラメータが列挙されている。図11においては、パラメータ502(オイルの種類1)を変更しようとしている状態であり、選択されているパラメータにおける変更可能な部分が拡大表示した上で反転表示されている。ユーザーは、このオイルの比率「40」を「20」などに変更することが可能である。このように、各パラメータのうち所望のパラメータを変更して、揮散情報の調整が可能である。調整完了ボタン503を選択すると調整が完了し、揮散情報が上書き保存される。
【0086】
なお、調整可能な項目はこれらに限られず、例えば登録者の欄を変更して、揮散情報のタイトルを設定することも可能である。
【0087】
また、調整画面501においては、調整できないパラメータは表示されない。例えば、図5で設定したパラメータのうち、下2つの噴霧日時と製品名は表示されていない。噴霧空間の広さが変更された場合には、第1実施形態で説明したように、揮散条件を自動的に変更しても良い。
【0088】
さらに、本実施形態においては、ダウンロードした複数の揮散情報を組み合わせてスケジュールに応じて切り替えて適用することも可能である。
【0089】
例えば、図9の画面を用いて説明すると、午前中は揮散情報411を適用して、午後は揮散情報412を適用し、就寝時間(例えば22時から翌6時)には揮散情報413を適用する、などを組み合わせて指定可能となっている。また、カレンダー機能を用いて、日ごとに適用する揮散情報を組み合わせることも可能である。このように、本実施形態に係る香料成分揮散システムにおいては、スケジュール機能として、複数の揮散情報を組み合わせて適用することが可能である。
【0090】
<揮散情報のダウンロード方式の他の例>
(第3実施形態)
以下に、本発明の第3実施形態に係る香料成分揮散システムについて説明する。なお、本実施形態に係る香料成分揮散システムは、第1実施形態または第2実施形態とその多くが共通しているため詳細な説明は割愛し、相違する部分のみ説明する。
【0091】
本実施形態においては、第2通信端末300に対して揮散情報のアップロードとダウンロードの方法が第1実施形態、第2実施形態と相違しており、2次元バーコードなどの画像情報を用いて行うことが可能である。この場合、アプリケーションAPが画像情報出力手段として動作することで、揮散情報の出力を行うことができる。
【0092】
本実施形態においては、図5に示した揮散情報入力画面において、決定ボタン102を選択した後、サーバー200に転送するか、第1通信端末100に保存するか、2次元バーコードとして出力するかどうかを選択可能なようにアプリケーションAPによって表示画面が制御される。
【0093】
サーバー200に転送することが選択されると、上記実施形態にて説明したようにサーバー200に対して揮散情報が送信される。また、第1通信端末100に保存することを選択されると、第1通信端末100に設けられた記憶部に対してアプリケーションAPがアクセス可能なように揮散情報が保存される。
【0094】
2次元バーコードとして出力することが選択された場合には、設定された揮散情報を内部に含む2次元バーコード画像がアプリケーションAPによって作成され、表示画面に表示される。この2次元バーコードに対しては、第1通信端末100からアクセス可能な印刷装置によって媒体に印刷する指示が可能である。なお、第1通信端末100に画像として保存可能であっても良く、第1通信端末100のOSの機能として2次元バーコード画像を印刷可能に構成されていても良い。
【0095】
本実施形態においては、このようにして揮散情報を2次元バーコード画像として作成可能であり、さらに印刷可能となっている。なお、揮散情報を含む画像情報は2次元バーコードに限られず、1次元バーコードなどの他の画像情報であっても良い。
【0096】
このようにして作成された画像情報を、第2通信端末300によって取得することで、揮散情報を第2通信端末にダウンロードすることも可能である。
【0097】
本実施形態においては、揮散情報のダウンロード方法として、図8に示したサーバー200からのダウンロード画面301に遷移するか、画像情報を取得するかを選択可能にアプリケーションAPが構成されている。
【0098】
画像情報を取得することが選択された場合には、さらに、第2通信端末300に設けられたカメラモジュールなどを用いた撮影を行うか、通信機能を用いるかを選択可能になっている。
【0099】
撮影を行うことを選択されると、第2通信端末300のカメラを起動させて、画像情報の撮影を行う。撮影した画像情報を正しくデコードできた場合には、その画像情報に含まれる揮散情報を第2通信端末300が有する記憶部に対してアプリケーションAPがアクセス可能なように保存する。
【0100】
通信機能を用いることが選択された場合には、第1通信端末100から第2通信端末300に直接送信可能な通信機能を用いた画像情報の転送メニューに切り替わり、通信機能を用いて第1通信端末100から第2通信端末300に画像情報を転送可能である。通信機能の一例としては、赤外線通信などの通信端末同士の近距離無線通信機能や、ルーターなどの中継装置を介した無線通信などであっても良いし、USBなどの有線ケーブルを用いた有線通信機能であっても良い。
【0101】
このように、本実施形態における第2通信端末300は、揮散情報を含む画像情報を撮影することで揮散情報のダウンロードが可能であることが特徴であり、画像情報は必ずしも第1通信端末100において出力されたものである必要はない。例えばサーバー200に対して保存された揮散情報などを元にして紙などに印刷された2次元バーコードなどの画像情報がアロマオイルの購入時に同梱されており、それを第2通信端末300で撮影することなどによって読み込むことで揮散情報のダウンロードが可能である。なお、アロマオイルに同梱される画像情報は、当該アロマオイルをオイルの種類のパラメータに含む揮散情報に対応する画像情報であることが好ましく、その場合、ユーザーは、購入したアロマオイルを用いた所望の揮散条件を簡易にアロマディフューザー1に実現させることができる。
【0102】
(他の実施形態)
また、以上説明した各実施形態に係る香料成分揮散システムにおいては、揮散情報のパラメータとしてオイルの種類を指定可能となっているが、例えば、オイル識別情報として、オイルのロット番号や産地などを登録可能なように構成しても良い。オイルは、ロット番号や産地によって僅かに香りが異なる場合があり、予めそれらのオイル識別情報ごとに対応する揮散情報の補正データをサーバー200などのデータベースに記憶しておけば、それらを参照して第2通信端末300において揮散情報の補正を行うことができる。
【0103】
また、本発明においては、オイルの種類としてオイルなしや水を設定可能となっている。オイルなしを指定した場合には、指定されたオイル番号に対応する揮散機構30の駆動は行われない。水を設定された場合には、オイルと同様に揮散比率の設定などが可能となっており、水と混合してオイルを揮散させることによる香料成分の濃度調整などが可能である。
【0104】
オイル識別情報としては、ロット番号や産地以外にも、オイルの原料となった植物が栽培された土壌に関する情報、オイルの原料となった植物の採取年度などの情報を含むようにしても良い。
【0105】
本発明は、以上説明した各実施形態に限られず、本発明の範囲を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0106】
例えば、上記実施形態においては、第2通信端末を用いて揮散情報をアロマディフューザーに転送する構成について説明したが、アロマディフューザーが表示画面と操作部を有しており、表示画面上でアロマディフューザーの揮散条件の設定などが可能となっており、さらに外部通信手段を有し、アロマディフューザーの操作部を操作することによってアロマディフューザーが直接サーバーから揮散情報を取得(ダウンロード)するように構成しても良い。また、同様に、アロマディフューザーから直接サーバーに対して揮散情報を送信(アップロード)可能に構成しても良い。さらに、アロマディフューザーが直接サーバーとの間で揮散情報の送受信を実行可能に構成しても良い。
【0107】
また、上記実施形態においては実質的に第1通信端末や第2通信端末が複数台の端末で構成される態様について説明したが、アロマディフューザー、サーバーについても複数台によって構成されても良い。その場合、例えばアロマディフューザーが複数台で構成される場合には、第2通信端末によって揮散情報を送信する際に、予め設定された複数台のアロマディフューザーに対して一括して揮散情報を転送可能な操作キーを第2通信端末上で動作するアプリケーションが有することが好ましい。その場合、ユーザーは、例えば同じ部屋に設置されているアロマディフューザーに対して一括して揮散情報を転送可能であり操作性が向上する。また、この場合には、複数の揮散装置が配置されているという情報をもとに、第2通信端末上で動作するアプリケーション上で1部屋に設置されているアロマディフューザーの数や設置位置に基づいて揮散情報の補正を行うことが好ましい。
【符号の説明】
【0108】
1 アロマディフューザー
30 揮散機構
100 第1通信端末
101 入力部
200 サーバー
300 第2通信端末

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11