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特許7453763オフセット型スエージングツール用のカラー搬送
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-12
(45)【発行日】2024-03-21
(54)【発明の名称】オフセット型スエージングツール用のカラー搬送
(51)【国際特許分類】
   F16B 37/04 20060101AFI20240313BHJP
【FI】
F16B37/04 E
【請求項の数】 14
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019165143
(22)【出願日】2019-09-11
(65)【公開番号】P2020060294
(43)【公開日】2020-04-16
【審査請求日】2022-05-24
(31)【優先権主張番号】16/140,174
(32)【優先日】2018-09-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】100135389
【弁理士】
【氏名又は名称】臼井 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100086380
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 稔
(74)【代理人】
【識別番号】100103078
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 達也
(74)【代理人】
【識別番号】100130650
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 泰光
(74)【代理人】
【識別番号】100168099
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 伸太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100168044
【弁理士】
【氏名又は名称】小淵 景太
(74)【代理人】
【識別番号】100200609
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 智和
(72)【発明者】
【氏名】クオック トゥン チャン
(72)【発明者】
【氏名】タンニ シスコ
(72)【発明者】
【氏名】ジェフ デブリン
(72)【発明者】
【氏名】ブレンダン エルモア
【審査官】田村 佳孝
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2007/0157453(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0148195(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0056958(US,A1)
【文献】特公昭50-011628(JP,B1)
【文献】特開2017-039166(JP,A)
【文献】特公昭46-015570(JP,B1)
【文献】特表2016-535221(JP,A)
【文献】特開平02-199311(JP,A)
【文献】特公昭35-012305(JP,B1)
【文献】特開2013-050214(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16B 37/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スエージングツールによる締結方法であって、
パーツ上に位置する穴を選択することと、
ロックボルトカラーの軸を前記穴の中心にアライメントすることと、
前記ロックボルトカラーを配置して、前記穴の第1端部側において前記パーツに面接触させることと、
前記穴に挿通させたロックボルトに対して前記ロックボルトカラーを加締めることと、
互いに対向し、前記ロックボルトカラーを挟持するフィンガで、前記ロックボルトカラーを前記穴とスエージングノーズの間で保持することと、
前記スエージングノーズがフィンガの傾斜部に直接接触することで、前記フィンガを互いに離間させて、前記ロックボルトカラーを解放することと、を含む方法。
【請求項2】
前記ロックボルトカラーの前記軸を前記穴の前記中心にアライメントすることは、前記軸を前記パーツの内側モールドライン(IML)において前記中心に重ねることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ロックボルトを前記ロックボルトカラー及び前記穴に挿通させることをさらに含み、これにより前記ロックボルトカラーの前記軸を前記穴の前記中心を通り前記ロックボルトに沿う直線に揃える、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記ロックボルトカラーを前記パーツに面接触させた状態で、前記ロックボルトを前記穴の第2端部側から前記穴及び前記ロックボルトカラーに挿通させることをさらに含む、請求項1~3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記ロックボルトカラーのフランジは、前記フィンガから見て遠位側に位置している、請求項1~4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記ロックボルトカラーをスエージングノーズで押圧することで、前記ロックボルトカラーを前記パーツに面接触させることをさらに含む、請求項1~5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記ロックボルトを一度の動作で前記ロックボルトカラー及び前記穴に挿通させることをさらに含む、請求項1~6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
スエージングツールにおいてロックボルトカラーを搬送する装置であって、
スエージングノーズに配置された一対のフィンガを備え、各フィンガは、
前記スエージングノーズに沿った垂直部分と、
前記垂直部分と一体であって、前記スエージングノーズのスエージング面より先まで延びている傾斜部と、
前記傾斜部の先端部に位置する円弧状の切り欠きと、を含み、前記円弧状の切り欠きの外周は、ロックボルトカラーの外周に対応し、
前記スエージングノーズは、前記傾斜部に直接接触することで、前記フィンガを互いに離間させて、前記ロックボルトカラーを解放する、装置。
【請求項9】
前記垂直部分は、前記スエージングノーズのヒンジ周りに枢動する、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記円弧状の切り欠きの外周は、ロックボルトカラーの外周に対応する、請求項8又は9に記載の装置。
【請求項11】
前記円弧状の切り欠きの外周は、前記ロックボルトカラーのフランジが据わるような寸法に形成されている、請求項8~10のいずれかに記載の装置。
【請求項12】
前記一対のフィンガの間にロックボルトカラーを配置するカラー搬送システムをさらに備える、請求項8~11のいずれかに記載の装置。
【請求項13】
前記フィンガは、前記フィンガの前記円弧状の切り欠きを互いに近づけるように付勢されており、これにより、前記ロックボルトカラーが、前記ロックボルトカラーのフランジ以外の部分で挟まれる、請求項8~12のいずれかに記載の装置。
【請求項14】
前記フィンガにカラーを搬送するカラー供給アームと、
前記カラー供給アームが前記フィンガに向かって延出する際、及び、前記フィンガから離れるよう後退する際に、前記カラー供給アームの動きを制御するガイド部材と、
前記カラー供給アームを駆動するアクチュエータと、をさらに備える、請求項8~13のいずれかに記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、製造の分野に関し、より具体的には、スエージングツール(swage tool)に関する。
【背景技術】
【0002】
航空機の組み立てには、膨大な数のファスナ(例えば、ボルト)が用いられている。例えば、中規模のジェット旅客機では、数百万個のファスナを取り付けて部品を接合している。
【0003】
ファスナの一種であるロックボルトを設置する際は、穴にロックボルトを挿通した後、そのロックボルトにロックボルトカラーをかぶせる。次いで、スエージングツールを用いてカラーをロックボルトに対して加締める。しかしながら、スエージングツールがカラーをロックボルトに対して正確にアライメントできない場合がある。穴の位置及び/又は向きが最適でない場合や、検知しにくい場所に穴がある場合には、その傾向が顕著である。
【0004】
したがって、上述した事項の少なくともいくつかと、その他の潜在的な事項を考慮した方法及び装置の提供が望まれる。例えば、ファスナの取り付けの自動化に関する技術的課題を克服する方法及び装置の提供が望まれる。
【発明の概要】
【0005】
本明細書に記載の実施形態は、空間的に余裕のない環境においても動作可能なオフセット型スエージングツールにカラーを搬送するシステムを提供する。例えば、本明細書に記載のカラー搬送システムは、スエージングノーズにカラーを配置する際に、スエージングノーズとカラーの間に隙間をあけずに配置することができる。これにより、スエージングノーズは、空間的に余裕のない環境において、カラーを穴に対して押圧して、パーツの内側モールドライン(IML)で面接触させることができる。
【0006】
一実施形態は、スエージングツールによる締結方法に関する。前記方法は、パーツ上に位置する穴を選択することと、ロックボルトカラーの軸を前記穴の中心にアライメントすることと、前記ロックボルトカラーを配置して、前記穴の第1端部側において前記パーツに面接触させることと、前記穴に挿通させたロックボルトに対して前記ロックボルトカラーを加締めることと、を含む。
【0007】
さらに別の実施形態は、プログラム命令を格納した非一時的なコンピュータ可読媒体に関する。前記プログラム命令は、プロセッサによって実行されると、スエージングツールによる締結方法を実行するように機能するものである。前記方法は、パーツ上に位置する穴を選択することと、ロックボルトカラーの軸を前記穴の中心にアライメントすることと、前記ロックボルトカラーを配置して、前記穴の第1端部側において前記パーツに面接触させることと、前記穴に挿通させたロックボルトに対して前記ロックボルトカラーを加締めることと、を含む。
【0008】
さらに別の実施形態は、スエージングツールにおいてロックボルトカラーを搬送する装置に関する。前記装置は、スエージングノーズに配置された一対のフィンガを備える。
各フィンガは、前記スエージングノーズに沿った垂直部分と、前記垂直部分と一体であって、前記スエージングノーズのスエージング面より先まで延びている傾斜部と、前記傾斜部の先端部に位置する円弧状の切り欠きと、を含む。前記円弧状の切り欠きの外周は、ロックボルトカラーの外周に対応する。
【0009】
さらに別の実施形態は、ロックボルトにカラーを配置する方法に関する。前記方法は、内側モールドライン(IML)側における穴の端部の位置を特定することと、前記穴の中心線を検出することと、前記穴の前記IML側端部にカラーを面接触させることと、前記カラーの軸を前記穴の前記中心線にアライメントすることと、ロックボルトを前記カラー及び前記穴に挿通させることと、を含む。
【0010】
本開示の装置及び方法は、以下の付記においても言及されるが、これらの付記は請求の範囲と混同されるべきではない。
【0011】
A1.スエージングツールによる締結方法であって、
パーツ上に位置する穴を選択すること(1402)と、
ロックボルトカラーの軸を前記穴の中心にアライメントすること(1404)と、
前記ロックボルトカラーを配置して、前記穴の第1端部側において前記パーツに面接触させること(1406)と、
前記穴に挿通させたロックボルトに対して前記ロックボルトカラーを加締めること(1410)と、を含む方法。
【0012】
A2.前記ロックボルトカラーの前記軸を前記穴の前記中心にアライメントすることは、前記軸を前記パーツの内側モールドライン(IML)において前記中心に重ねることを含む、付記A1に記載の方法。
【0013】
A3.前記ロックボルトを前記ロックボルトカラー及び前記穴に挿通させることをさらに含み、これにより前記ロックボルトカラーの前記軸を、前記穴の前記中心を通り前記ロックボルトに沿う直線に揃える、付記A1に記載の方法。
【0014】
A4.前記ロックボルトカラーを前記パーツに面接触させた状態で、前記ロックボルトを前記穴の第2端部側から前記穴及び前記ロックボルトカラーに挿通させることをさらに含む、付記A1に記載の方法。
【0015】
A5.互いに対向し、前記ロックボルトカラーを挟持するフィンガで、前記ロックボルトカラーをスエージングノーズの下方で保持することをさらに含み、この際に、前記ロックボルトカラーのフランジは、前記フィンガから見て遠位側に位置している、付記A1に記載の方法。
【0016】
A6.前記ロックボルトカラーのフランジを前記フィンガに載置することをさらに含む、付記A5に記載の方法。
【0017】
A7.前記フィンガを前記ロックボルトカラーのフランジと重畳させて、前記フィンガに前記ロックボルトカラーを据えることをさらに含む、付記A5に記載の方法。
【0018】
A8.フィンガの傾斜部に対してスエージングノーズを押し動かして、前記フィンガを互いに離間させて、前記ロックボルトカラーを解放することをさらに含む、付記A1に記載の方法。
【0019】
A9.前記ロックボルトカラーをスエージングノーズで押圧することで、前記ロックボルトカラーを前記パーツに面接触させることをさらに含む、付記A1に記載の方法。
【0020】
A10.前記ロックボルトカラーを加締めて所定の位置に締結するスエージングノーズに前記ロックボルトカラーを搬送することをさらに含み、前記ロックボルトカラーを搬送することは、後退可能なカラーアームを通って前記ロックボルトカラーが進むのにともなって、前記ロックボルトカラーの向きを変えることを含む、付記A1に記載の方法。
【0021】
A11.前記パーツの内側モールドライン(IML)面において、前記ロックボルトカラーの軸が前記穴の前記中心と重なるようにアライメントすることをさらに含む、付記A1に記載の方法。
【0022】
A12.前記ロックボルトを一度の動作で前記ロックボルトカラー及び前記穴に挿通させることをさらに含む、付記A1に記載の方法。
【0023】
A13.前記穴の前記第1端部は、前記パーツの内側モールドライン(IML)に位置しており、
前記穴の第2端部は、前記パーツの外側モールドライン(OML)に位置している、付記A1に記載の方法。
【0024】
A14.付記A1に記載の方法によって組み立てられた航空機の部品。
【0025】
本開示のさらに別の側面によれば、以下の媒体が提供される。
【0026】
B1.プログラム命令を格納した非一時的なコンピュータ可読媒体であって、前記プログラム命令は、プロセッサによって実行されると、スエージングツールによる締結方法を実行するように機能するものであって、前記方法が、
パーツ上に位置する穴を選択すること(1402)と、
ロックボルトカラーの軸を前記穴の中心にアライメントすること(1404)と、
前記ロックボルトカラーを配置して、前記穴の第1端部側において前記パーツに面接触させること(1406)と、
前記穴に挿通させたロックボルトに対して前記ロックボルトカラーを加締めること(1410)と、を含むものである、媒体。
【0027】
B2.前記ロックボルトカラーの前記軸を前記穴の前記中心にアライメントすることは、前記パーツの内側モールドライン(IML)において前記軸を前記中心に重ねることを含む、付記B1に記載の媒体。
【0028】
B3.前記方法が、前記ロックボルトを前記ロックボルトカラー及び前記穴に挿通させることをさらに含み、これにより前記ロックボルトカラーの前記軸を、前記穴の前記中心を通り前記ロックボルトに沿う直線に揃えるものである、付記B1に記載の媒体。
【0029】
B4.前記方法が、前記ロックボルトカラーを前記パーツに面接触させた状態で、前記ロックボルトを前記穴の第2端部側から前記穴及び前記ロックボルトカラーに挿通させることをさらに含むものである、付記B1に記載の媒体。
【0030】
B5.前記方法が、互いに対向し、前記ロックボルトカラーを挟持するフィンガで、前記ロックボルトカラーをスエージングノーズの下方に配置して保持することをさらに含み、この際に、前記ロックボルトカラーのフランジは、前記フィンガから見て遠位側に位置しているものとする、付記B1に記載の媒体。
【0031】
B6.前記方法が、前記ロックボルトカラーのフランジを前記フィンガに載置することをさらに含むものである、付記B5に記載の媒体。
【0032】
B7.前記方法が、前記フィンガを前記ロックボルトカラーのフランジに重畳させて、前記フィンガに前記ロックボルトカラーを据えることをさらに含むものである、付記B5に記載の媒体。
【0033】
B8.前記方法が、フィンガの傾斜部に対してスエージングノーズを押し動かして、前記フィンガを互いに離間させて、前記ロックボルトカラーを解放することをさらに含むものである、付記B1に記載の媒体。
【0034】
B9.前記方法が、前記ロックボルトカラーをスエージングノーズで押圧することで、前記ロックボルトカラーを前記パーツに面接触させることをさらに含むものである、付記B1に記載の媒体。
【0035】
B10.前記方法が、前記ロックボルトカラーを加締めて所定の位置に締結するスエージングノーズに前記ロックボルトカラーを搬送することをさらに含むものであり、前記ロックボルトカラーを搬送することは、後退可能なカラーアームを通って前記ロックボルトカラーが進むのにともなって、前記ロックボルトカラーの向きを変えることを含む、付記B1に記載の媒体。
【0036】
B11.前記方法が、前記パーツの内側モールドライン(IML)面において、前記ロックボルトカラーの軸が前記穴の前記中心と重なるようにアライメントすることをさらに含むものである、付記B1に記載の媒体。
【0037】
B12.前記方法が、前記ロックボルトを一度の動作で前記ロックボルトカラー及び前記穴に挿通させることをさらに含む、付記B1に記載の媒体。
【0038】
B13.前記穴の前記第1端部は、前記パーツの内側モールドライン(IML)に位置しており、
前記穴の第2端部は、前記パーツの外側モールドライン(OML)に位置している、付記B1に記載の媒体。
【0039】
B14.付記B1に記載の媒体によって実行される方法によって組み立てられた航空機の部品。
【0040】
本開示のさらに別の側面によれば、以下の装置が提供される。
【0041】
C1.スエージングツールにおいてロックボルトカラーを搬送する装置であって、
スエージングノーズ(1550)に配置された一対のフィンガ(1560)を備え、各フィンガは、
前記スエージングノーズに沿った垂直部分(2940)と、
前記垂直部分と一体であって、前記スエージングノーズのスエージング面(2950)より先まで延びている傾斜部(2610)と、
前記傾斜部の先端部(2920)に位置する円弧状の切り欠き(2910)と、を含み、前記円弧状の切り欠きの外周は、ロックボルトカラーの外周に対応する、装置。
【0042】
C2.前記垂直部分は、前記スエージングノーズのヒンジ(1562)周りに枢動する、付記C1に記載の装置。
【0043】
C3.前記スエージングノーズから前記傾斜部に力が加わると、前記スエージングノーズは前記垂直部分を前記ヒンジ周りに回動させて前記スエージングノーズから離間させる、付記C1に記載の装置。
【0044】
C4.前記円弧状の切り欠きの外周は、ロックボルトカラー(1570)の外周に対応する、付記C1に記載の装置。
【0045】
C5.前記円弧状の切り欠きの外周は、前記ロックボルトカラーのフランジが据わるような寸法に形成されている、付記C1に記載の装置。
【0046】
C6.前記一対のフィンガの間にロックボルトカラーを配置するカラー搬送システムをさらに備える、付記C1に記載の装置。
【0047】
C7.前記フィンガの前記ヒンジは、前記フィンガの前記円弧状の切り欠きを互いに近づけるように付勢されており、これにより、前記ロックボルトカラーが、前記ロックボルトカラーのフランジより下の部分で挟まれる、付記C1に記載の装置。
【0048】
C8.前記垂直部分は、前記スエージングノーズと面一である、付記C1に記載の装置。
【0049】
C9.前記フィンガの前記ヒンジは、前記スエージングノーズが後退位置にあるときは、前記フィンガの間でロックボルトカラーを保持する力を付与する、付記C1に記載の装置。
【0050】
C10.前記フィンガにカラーを搬送するカラー供給アームと、
前記カラー供給アームが前記フィンガに向かって延出する際、及び、前記フィンガから離れるよう後退する際に、前記カラーフィードアームの動きを制御するガイド部材と、
前記カラー供給アームを駆動するアクチュエータと、をさらに備える、付記C1に記載の装置。
【0051】
C11.前記フィンガは、上向きに延びており、フランジが上側部分に形成されたロックボルトカラーを受け入れる、付記C1に記載の装置。
【0052】
C12.付記C1に記載の装置を用いて航空機の部品を作製すること。
【0053】
本開示のさらに別の側面によれば、以下の方法が提供される。
【0054】
D1.ロックボルトにカラーを配置する方法であって、
内側モールドライン(IML)側における穴の端部の位置を特定すること(3002)と、
前記穴の中心線を検出すること(3004)と、
前記穴の前記IML側端部にカラーを面接触させること(3006)と、
前記カラーの軸を前記穴の前記中心線にアライメントすること(3008)と、
ロックボルトを前記カラー及び前記穴に挿通させること(3010)と、を含む、方法。
【0055】
他の例示的な実施形態(例えば、上述の実施形態に関する方法、及び、コンピュータ可読媒体)については、以下に記載する。上述した特徴、機能、及び、利点は、様々な実施形態において個別に実現することも可能であるし、さらに別の実施形態において組み合わせて実現することも可能である。そのような実施形態の詳細は、以下の記載及び図面を参照することによって明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0056】
本開示のいくつかの実施形態を、あくまでも例として説明する。説明において、添付図面を参照するが、すべての図面において、同じ参照符号は、同じ要素又は同じ種類の要素を示している。
【0057】
図1】例示的な実施形態によるファスナ設置システムでファスナの取り付けを行う製造環境のブロック図である。
図2】例示的な実施形態によるファスナ取り付けを行う製造環境のブロック図である。
図3】例示的な実施形態によるファスナ設置システムに含まれる内側モールドライン機の図である。
図4】例示的な実施形態による内側モールドライン機の底面図である。
図5】例示的な実施形態による内側モールドライン機の一部を示す図である。
図6】例示的な実施形態によるカラー搬送システムを示すブロック図である。
図7】例示的な実施形態による、スエージングツールにカラーを供給する方法を示すフローチャートである。
図8-21】例示的な実施形態による第1カラー搬送システムがカラーを供給する様子を示す図である。
図22】例示的な実施形態によるスエージングノーズのフィンガを示す拡大図である。
図23】例示的な実施形態による、スエージングツールにカラーを供給する別の方法を示すフローチャートである。
図24】例示的な実施形態による航空機の製造及び就航の方法のフロー図である。
図25】例示的な実施形態による航空機のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0058】
添付の図面及び下記の記載は、本開示の例示的な実施形態のいくつかを説明するものである。本明細書に明瞭な説明又は図示がなくても、当業者であれば本開示の原理を実施する様々な変形に想到可能であり、そのような変形も実施形態の範囲に包含されることは理解されよう。加えて、本明細書に記載の実施例は、本開示の原理の理解を助けることを目的とするものであって、記載した特定の実施例や状況に限定されることなく解釈されるべきである。よって、本開示は、下記の特定の実施形態や実施例には限定されず、請求の範囲とその均等範囲によって限定されるものである。
【0059】
例示的な実施形態では、1つ以上の異なる事項が認識及び考慮されている。例えば、例示的な実施形態では、ロックボルトの設置角度が予定の設置角度から逸脱している場合、ロックボルトにカラーを設置することが困難である可能性が認識及び考慮されている。
【0060】
したがって、例示的な実施形態は、ファスナを設置するための方法、装置、及び、システムを提供する。例示的な一実施例では、ファスナ設置システム(fastener installation system)は、プラットフォーム及びカラー設置機(collar installer)を含む。プラットフォームは、構造体に対して移動可能な態様で配置されるよう構成されている。カラー設置機は、プラットフォームに接続されている。
【0061】
図1図5は、本開示の発明のプロセスによって監視可能な多数の自動ファスナ取付けツールのうちの1つを示している。したがって、図1図5は、本発明のプロセスを効果的に利用することができる多くの異なるツールうちの一例を示しているに過ぎない。
【0062】
あるコンポーネントが別のコンポーネントと「接続されている」という場合、その接続は、物理的な関連を意味する。例えば、カラー設置機などの第1コンポーネントが、プラットフォームなどの第2コンポーネントと物理的に接続されているという場合は、第1コンポーネントが第2コンポーネントに固定されているか、第2コンポーネントに接着されているか、第2コンポーネントに搭載されているか、第2コンポーネントに溶接されているか、第2コンポーネントに締結されているか、あるいは、他の適当な方法で第2コンポーネントに接続されているか、のうちの少なくともいずれかに該当する。また、第1コンポーネントは、第3コンポーネントを用いて第2コンポーネントに接続されていてもよい。また、第1コンポーネントが第2コンポーネントの一部として形成されている場合、第2コンポーネントの延長部分として形成されている場合、また、その両方の場合も、第2コンポーネントに物理的に接続されているということができる。
【0063】
例示的な実施例では、コントローラは、ロックボルトが穴に挿入される前に、カラーを穴に動的にアライメントさせる。
【0064】
よって、例示的な実施形態は、ロックボルトの挿入より前に、穴にカラーを配置する方法、装置、及び、システムを提供する。
【0065】
添付図面、具体的には図1を参照すると、例示的な実施形態によるファスナ設置システムによってファスナの取り付けを行う製造環境のブロック図が示されている。この例示的な実施例では、製造環境100は、ファスナ設置システム120によってファスナ102を構造体104に取り付けて、オブジェクト(object)106と締結する環境である。
【0066】
ファスナ102は、ボルト108及びカラー110を含む。この例示的な実施例では、ボルト108は、ピン、ピンテール付きのピン、ねじ付きボルト、及び、ロックボルトを含むグループから選択することができる。
【0067】
図示の通り、ボルト108は、係合部(engagement feature)112を有する。係合部112は、例えば、ねじ、突出部の組、溝の組、フランジ、環状溝の組の他、カラー110と係合可能であって、これにより、カラー110とボルト108を締結できる適当な種類の特徴部分である。カラー110は、フランジ付きカラー、ねじ付きカラー、ナット、フランジを形成可能なナット(flangeable nut)、及び、ファスナの受け側として機能して、ボルト108を受容し、当該ボルトに締結されるよう構成された他の適当な構造を含むグループから選択することができる。
【0068】
構造体104は、多くの様々な形態をとることができる。例えば、構造体104は、組立品、小組立品、胴体部、翼、ウィングボックス、水平安定板、着陸装置、油圧系、外板パネル、ストリンガ、胴体部複合材、フレームが張出した支持構造体、及び、構造体104における2つのコンポーネントをファスナ102で接合可能な他の適当な構造体を含むグループから選択することができる。
【0069】
オブジェクト106は、多くの様々な形態をとることができる。例えば、オブジェクト106は、移動プラットフォーム、静止プラットフォーム、地上の構造体、水上の構造体、及び、宇宙空間の構造体などである。より具体的には、オブジェクト106は、水上艦、航空機、タンク、人員運搬車、電車、宇宙船、宇宙基地、衛星、潜水艦、自動車、発電所、橋、ダム、家、製造施設、ビル、及び、他の適当の種類のオブジェクトであってもよい。
【0070】
図示の通り、構造体104は、位置(location)118に穴116を有する。この例示的な実施例では、ファスナ設置システム120は、ファスナ102を穴116に設置するよう構成されている。この例示的な実施例では、ファスナ設置システム120は、プラットフォーム122及びカラー設置機124を含む。なお、図1ではカラー設置機124を示しているが、本明細書に記載の発明の技術による、任意のツール及び/又はカラー設置機が利用可能である。
【0071】
ファスナ設置システム120が処理を実行する際に、プラットフォーム122は、構造体104に対して移動可能な態様で配置されるよう構成されている。カラー設置機124は、プラットフォーム122に接続されている。カラー設置機124は、設置するカラー110を、回転軸128から離れた位置(position)126に保持できるとともに、カラー110をボルト108の係合部112に締結することができる。図示の通り、カラー設置機124は、回転軸128から離れた位置126に、回動して移動することができる。例えば、カラー設置機124は、回転軸128周りに回動して、回転軸128から離れた位置126に移動し、ファスナ102を穴116に設置することができる。
【0072】
この例示的な実施例では、構造体104に張出し部132があるので、ファスナ設置システム120の全体が張出し部132の下に入り込むように移動することはできない。図示の通り、カラー設置機124は、回転軸128周りに回動するよう構成されているので、カラー設置機124が離れた位置126に移動して、張出し部132の下に入り込むことができ、よって、穴116に挿通されたボルト108にカラー110を配置し、締結することが可能になる。換言すると、既存の自動カラー設置システムのカラー設置機では入り込むことができないような張出し部132の下、又は、その他の位置に、カラー設置機124の一部分が入り込むことができる。
【0073】
例示的な実施例において、ファスナ設置システム120は、カラー保持部(collar holder)134及び係合形成部(engager)136を含む。図示の通り、カラー保持部134は、ボルト108が挿入される位置126にカラー110を保持するよう構成されている。この実施例では、カラー110を定位置に静止させておき、ボルト108を移動させて穴116に挿入する。他の例示的な実施例では、穴116に挿通した状態のボルト108を定位置に静止させておき、カラー110を穴116に向かって移動させて、ボルト108を挿入してもよい。
【0074】
係合形成部136は、カラー110をボルト108に締結するよう構成されている。例えば、係合形成部136は、カラー110をボルト108に対して加締めて、カラー110をボルト108に締結する。他の例示的な実施例では、係合形成部136は、カラー110を回転軸128周りに、ボルト108に対して相対的に回転させて、カラー110をボルト108に締結する。図示のとおり、カラー保持部134及び係合形成部136は、カラー設置機124を構成する。
【0075】
この例示的な実施例では、ファスナ設置システム120は、他にも多くのコンポーネントを含む。例えば、ファスナ設置システム120は、移動システム138、真空システム140、及び、センサシステム142も含む。
【0076】
図示のとおり、移動システム138は、プラットフォーム122に接続されている。移動システム138は、プラットフォーム122又はカラー設置機124のうちの少なくとも1つを移動するように構成可能である。なお、図1ではカラー設置機124を示しているが、本明細書に記載の発明の技術による、任意の適当なツール及び/又はカラー設置機が利用可能である。上述したように、本明細書で用いる「カラー」は、フランジ付きカラー、ねじ付きカラー、ナット、フランジを形成可能なナット、及び、(例えばボルトの)締結を可能にするよう構成された任意の他の適当な構造を含むグループから選択することができる。
【0077】
本明細書において、「少なくとも1つ」という語句がアイテムの列挙とともに用いられている場合、列挙されたアイテムの1つ以上を様々な組み合わせで用いてもよいということであり、列挙された各アイテムにつき1つのみを必要とする場合もあることを意味する。換言すると、「少なくとも1つ」は、列挙されたアイテムのうち、任意の数のアイテムを任意の組み合わせで使用してもよいが、列挙された全てのアイテムを必要とするわけではないということを意味する。ここで言うアイテムとは、例えば、特定のオブジェクト、物、あるいは、カテゴリーである。
【0078】
限定するものではないが、例えば、「アイテムA、アイテムB、又は、アイテムCのうちの少なくとも1つ」は、アイテムAを含むか、アイテムAとアイテムBを含むか、あるいは、アイテムBを含むことができる。この例には、さらに、アイテムAとアイテムBとアイテムCを含むか、あるいは、アイテムBとアイテムCを含むことができる。当然ながら、これらのアイテムのあらゆる組み合わせが可能である。いくつかの例示的な実施例において、「少なくとも1つ」は、例えば、限定するものではないが、2個のアイテムAを含むか、1個のアイテムBを含むか、10個のアイテムCを含むか、4個のアイテムBと7個のアイテムCを含むか、あるいは、他の適当な組み合わせを含むことができる。
【0079】
例えば、移動システム138は、カラー設置機124に接続されているとともに、カラー設置機124を回転軸128周りに移動させるよう構成されている。さらに、移動システム138は、カラー設置機124を回転軸128周りに移動させることに加えて、プラットフォーム122を軸144に沿って移動させるようにも構成されている。
【0080】
例示的な一実施例では、移動システム138は、軌道システム146に連結又は配置されている。図示の通り、軸144に沿った移動は、軌道システム146に対する相対的移動であってもよい。軸144は、具体的な実施態様に依存して、例えば、2軸、3軸、又は、それ以外の数の軸であってもよい。この例示的な実施例では、プラットフォーム122は、軌道システム146上を移動するよう構成することができる。軌道システムは、構造体104に装着されるよう構成された可撓性の軌道システム、二重軌道システム、可撓性の真空軌道システム、又は、その他の適切な種類のシステムのうちの少なくとも1つから選択することができる。
【0081】
他の例示的な実施例では、移動システム138は、複数の様々なコンポーネントを利用して、カラー設置機124を回転軸128周りに移動させることができる。図示の通り、移動システム138に含まれるコンポーネントには、軸受けアセンブリ148、ギアリング150、及び、駆動アセンブリ152がある。繰り返しになるが、これらの図面では、カラー設置機124及びオフセットスエージングツールが示されているが、本明細書に記載のカラー搬送システムは、所望の種類のスエージングツールに利用可能である。
【0082】
図示のとおり、軸受けアセンブリ148は、カラー設置機124に接続されている。軸受けアセンブリ148は、回転軸128周りに移動するよう構成されている。ギアリング150は、軸受けアセンブリ148に接続されている。駆動アセンブリ152は、移動可能な態様でギアリング150に接続されている。この例示的な実施例では、駆動アセンブリ152は、ギアリング150を移動させるよう構成されている。この結果、駆動アセンブリ152を駆動すると、ギアリング150を介して軸受けアセンブリ148が移動する。
【0083】
この例示的な実施例では、真空システム140は、プラットフォーム122に接続されている。真空システム140は、穴116の周辺からデブリ(debris)154を除去するよう構成されている。ここでいうデブリは、例えば、穴116の切削により生じる粒子である。他の実施例では、ボルト108がピンテールを有するピンである場合、カラーをピンに対して加締める際にピンから破断して分離されたピンテールも、デブリ154に含まれる。例えば、ボルト108がピンテールを有するピンである場合、ピンテールデフレクタ(図示せず)が、ピンから分離されたピンテールを真空システム140内のポート(図示せず)に誘導することができる。
【0084】
この例示的な実施例では、センサシステム142は、プラットフォーム122にも接続されている。図示の通り、センサシステム142は、ファスナ設置システム120の周辺環境についての情報を検出する物理的なハードウェアシステムである。
【0085】
センサシステム142は、センサデータ156を生成するよう構成されている。センサデータ156は、構造体104、カラー設置機124の位置、構造体104に対するプラットフォーム122の相対位置、穴116の画像などの情報を含むことができ、また、ファスナ設置システム120の動作制御に利用可能なその他の情報を含むことができる。センサシステム142は、カメラシステム、レーザセンサ、超音波センサ、光検出・測距スキャナ、又は、その他の適当な種類のセンサのうちの少なくとも1つを含むことができる。
【0086】
センサデータ156は、コンピュータシステム160に含まれるコントローラ158に送られる。コントローラ158は、ソフトウェア又はハードウェアのうちの少なくとも1つによって実装可能である。ソフトウェアを用いる場合、コントローラ158が実行する処理は、処理部などのハードウェアにおいて実行されるプログラムコードとして実装される。ファームウェアを用いる場合、コントローラ158が実行する処理は、永続メモリに格納され、処理部で実行されるプログラムコード及びデータとして実装される。ハードウェアを用いる場合、当該ハードウェアは、コントローラ158の処理を実行するように動作する回路を含む。
【0087】
例示的な実施例では、ハードウェアは、複数の処理を行うよう構成された回路システム、集積回路、特定用途向け集積回路(ASIC)、プログラマブル論理デバイス、又は、他の適当な種類のハードウェアのうちから選択された少なくとも1つの形態をとることができる。プログラマブル論理デバイスを用いる場合、当該デバイスは、複数の処理を実行するように構成される。当該デバイスは、複数の処理を実行するように後から再構成したものでもよいし、そのように永続的に構成したものでもよい。プログラマブル論理デバイスの例には、プログラマブル論理アレイ、プログラマブルアレイロジック、フィールドプログラマブル論理アレイ、フィールドプログラマブルゲートアレイ、及び、その他の適当なハードウェアデバイスが含まれる。加えて、無機コンポーネントを組み込んだ有機コンポーネントにおいてプロセスを実装することもできるし、人間以外の有機コンポーネントによってプロセスの全体を構成してもよい。例えば、有機半導体に含まれる回路として、プロセスを実装してもよい。
【0088】
コンピュータシステム160は、物理的なハードウェアシステムであって、1つ以上のデータ処理システムを含む。複数のデータ処理システムが含まれる場合、これらのデータ処理システムは、通信媒体を用いて互いに通信する。通信媒体は、ネットワークでもよい。データ処理システムは、コンピュータ、サーバコンピュータ、タブレット、又は、その他の適当なデータ処理システムのうちの少なくとも1つから選択することができる。
【0089】
コントローラ158は、プログラム161を用いてファスナ設置システム120の処理を制御する。プログラム161は、例えば、ファスナ設置システム120の処理制御に利用可能なコンピュータ数値制御(CNC)プログラム、又は、その他の適当なプログラムコードでもよい。例えば、ファスナ設置システム120は、デカルト座標を用いるコンピュータ数値制御(CNC)マシンであってもよい。
【0090】
コントローラ158は、センサデータ156を用いて、ファスナ設置システム120の様々なコンポーネントの動作を制御することができる。図示では、コントローラ158とコンピュータシステム160は別個のコンポーネントとして示されているが、例示的な実施例においては、これらがプラットフォーム122に配置され、あるいは、含まれる構成でもよい。
【0091】
さらに、ファスナ設置システム120は、プラットフォーム122に接続された交換アセンブリ(change assembly)162も含むことができる。この実施例では、カラー設置機124は、第1カラー設置機164であって、交換アセンブリ162との接続を介して、プラットフォーム122に間接的に接続されている。第1カラー設置機164は、交換アセンブリ162に対して取り外し可能に接続されている。異なるカラー設置機は、サイズ又はファスナの構成のうちの少なくとも一方が異なるカラーを設置するよう構成されている。換言すると、カラー設置機を迅速に交換することができ、これにより、設置するファスナのサイズを変更することができる。
【0092】
さらに、プラットフォーム122、カラー設置機124、移動システム138、真空システム140、及び、センサシステム142は、この例示的な実施例においては、構造体104の内側モールドライン側170に配置される内側モールドライン機(inner mold line machine)168を構成する。さらに、ファスナ設置システム120は、外側モールドライン機(outer mold line machine)172も含むことができる。外側モールドライン機は、例えばピンなどのボルト108を、構造体104の外側モールドライン側174から穴116に挿入するよう構成されている。この例示的な実施例では、外側モールドライン機172も、コンピュータシステム160に含まれるコントローラ158により制御されて、構造体104の穴116にファスナ102を取り付ける処理を連携して実行する。
【0093】
例示的な一実施例によれば、自動ツールでファスナを取り付けるために克服すべき技術的課題に対する1つ以上の技術的解決が提示される。例示的な実施例において、穴に挿通された状態のロックボルトに、スエージングツールでカラーを配置することが必要になる場合がある。
【0094】
この結果、例示的な実施形態において、先にカラーを穴にアライメントしておくという1つ以上の技術的な解決により、カラーをロックボルトに容易に配置することができるという技術的効果を実現することができる。
【0095】
次いで図2を参照すると、例示的な実施形態によるファスナ取り付けが行われる製造環境を示すブロック図が示されている。製造環境200は、ファスナ設置システム208を用いてファスナ202を構造体204に取り付けて、オブジェクト206と接合することができる環境である。構造体204及びオブジェクト206は、図1の構造体104及びオブジェクト106について説明したように、様々な形態をとることができる。構造体204は、限定するものではないが、例えば、金属構造体、複合材構造体、金属と複合材のワークピース、継手、突合せ継手(butt splice)、2つの胴体部の継手、又は、その他の適当な構造体を含む。
【0096】
図示の通り、ファスナ202は、ピン214及びカラー212を含む。この例示的な実施例では、カラー212をピン214に対して加締める。換言すると、カラー212を変形させることによって、ピン214の係合部216と係合させる。また、ピン214は、ピンテール218を含む。この例示的な実施例では、係合部216は、例えば、ねじ、突出部の組、溝の組、フランジの他、カラー212と係合可能であって、これにより、カラー212をピン214に締結できる任意の種類の特徴部分である。
【0097】
図示の通り、ファスナ設置システム208は、カラー212をピン214に係合させるよう構成されたスエージングアセンブリ(swage assembly)220を含む。この例示的な実施例では、スエージングアセンブリ220は、図1のカラー設置機124の一例であり、カラー保持部222及びスエージングツール224を含む。カラー保持部222は、カラー212を保持するよう構成されている。スエージングツール224は、ピン214に設けられた係合部216にカラー212を係合させるよう構成されている。この実施例では、ピン214とピンテール218が、カラー212に挿入される。換言すると、ピン214とピンテール218は、カラー212が穴232に配置された後、カラー212に挿通させる。
【0098】
ピンテール218は、ピン214に接続された部材である。この特定の実施例では、スエージングツール224は、カラー212に挿通されたピン214のピンテール218を掴んで引っ張り、これによりカラー212を変形させて、係合部216と係合させる。係合部216は、ピンテール218にではなく、ピン214に設けられた特徴部分である。係合部216は、ねじの組、溝の組、環状溝の組の他、カラー212を加締めて、ピン214に係合されるその他の種類の特徴部分である。
【0099】
この例示的な実施例において、カラー212を係合部216に係合させることは、複数の異なる方法のうちの任意の方法で実行可能である。例えば、ピンテール218を有するピン214が第2の側258から穴232に挿入されている場合、カラー212又はピンテール218のうちの少なくとも一方に対して、カラー212の中心線251に沿った力233を加えて、ピンテール218をピン214から分離させる。この結果、カラー212がピン214の係合部216に係合する。換言すると、力233をカラー212又はピンテール218の一方又は両方に加えると、カラー212が加締められ、この結果、カラー212がピン214の係合部216に係合する。
【0100】
この例示的な実施例では、スエージングアセンブリ220は、図1のカラー設置機124を含む。カラー保持部222は、図1のカラー保持部134の一例であり、スエージングツール224は、図1の係合形成部136の一例である。
【0101】
図示のとおり、スエージングアセンブリ220は、プラットフォーム226に接続されている。この例示的な実施例では、プラットフォーム226は、内側モールドライン用プラットフォーム228の形態をとる。この例示的な実施例では、内側モールドライン用プラットフォーム228は、可撓性軌道クローラ、ロボットアーム、及び、その他の適当な種類のプラットフォームから選択可能である。
【0102】
一実施例では、スエージングアセンブリ220は、スエージングアセンブリ238からオフセットされており、スエージングアセンブリ220が配置された回転軸230から離れた位置にカラー212を保持する。実施態様に依存して、スエージングアセンブリ220は、回転軸230から離れていてもよいし、していなくてもよい。
【0103】
図示の通り、スエージングアセンブリ220に含まれるカラー保持部222は、穴232にカラー212を配置するよう構成されている。例示的な実施例では、カラー212は、穴232に対し同心状に位置するように配置される。例えば、カラー212の中心線251が、穴232の中心線252と重なる(intercept)ように配置される。
【0104】
この例示的な実施例では、穴232でのカラー212の配置は、ピン214を外側モールドライン側236から穴232に挿入する前に、内側モールドライン側234において穴232にピン214が挿入されることで、カラー212がピン214を受容するという形でなされる。このように、ピン214を、一度の動作で穴232とカラー212に通すことができる。
【0105】
ピン214を穴232に挿入すると、外側モールドライン側236がカラー212の中へと拡張される。この状態で、スエージングアセンブリ220がカラー212を加締めると、カラー212がピン214の係合部216と係合する。
【0106】
図示のとおり、カラー212を穴232に配置すると、カラー212は内側モールドライン側234に接触する。他の例示的な実施例では、カラー212は、内側モールドライン側234に接触しないように穴232に配置してもよい。この実施例では、スエージングツール224は、ピンテール218と係合してこれを引っ張り、ピンテール218とピン214をカラー212の中に引き込むように移動させることで、カラー212を加締めて、ピン214の係合部216と係合させる。
【0107】
構造体204の第1の側256においてカラー212を穴232に配置し、その後、第2の側258において、ピン214を穴232に挿入するに際して、スエージングアセンブリ220は、スエージングアセンブリ220のカラー保持部222においてカラー212を保持し、カラー212を移動させて、構造体204の内側モールドライン側234で穴232にカラー212を配置する。この例示的な実施例では、第1の側256が内側モールドライン側234であり、第2の側258が外側モールドライン側236である。
【0108】
他の実施例では、構造体204の内側モールドライン側234においてカラー212を穴232に配置し、その後、外側モールドライン側236において、ピン214を穴232に挿入するに際して、スエージングアセンブリ220は、カラー212を内側モールドライン側234に対して垂直な姿勢に制御し(normalize)、カラー212を構造体204の内側モールドライン側234の穴232に移動させ、その後、外側モールドライン側236からピン214を穴232に挿入する。この姿勢制御は、カラー212を1つ以上の軸周りに移動させることを含む。この実施例においては、この移動を行うことによって、カラー212と穴232とを同心状に配置している。
【0109】
さらに、ファスナ202は、図1のセンサシステム142と同様のセンサシステム240を含んでもよい。カラー212を穴232に配置する際に、センサシステム240は、内側モールドライン側234の穴232の位置242を特定し、スエージングアセンブリ220は、構造体204の内側モールドライン側234における位置242にある穴232にカラー212を移動させる。その後、外側モールドライン側236からピン214が穴232に挿入される。図示の通り、カラー212は、カラー212と穴232とが同心状になるように配置される。この同心状の配置により、ピン214をカラー212に挿通させて、カラー212をピン214に締結することが可能になる。
【0110】
例示的な実施例では、センサシステム142は、ファスナ設置システム208の周辺環境についての情報を検出する物理的なハードウェアシステムである。センサシステム240は、センサデータ215を生成するよう構成されている。センサシステム240は、1つ以上の種類のセンサを含むことができる。例えば、センサシステム240は、カメラシステム、視覚システム、レーザレンジファインダ、又は、その他の適当な種類のセンサのうちの少なくとも1つから選択される。センサシステム240により生成されるセンサデータ215は、穴232に対するカラー212のアライメントを実行する際に用いられる。このように、カラー212と穴232を同心状にアライメントすることで、穴232にピンテール218とピン214を挿入すると、カラー212にも挿通されるという、好ましい態様を実現することができる。
【0111】
この例示的な実施例においては、スエージングアセンブリ220及びプラットフォーム226は、内側モールドライン機244を構成する。さらに、この例示的な実施例においては、ファスナ設置システム208は、外側モールドライン機246を含む。さらに、外側モールドライン機246は、構造体204の外側モールドライン側236からピン214を穴232に挿入するよう構成されている。上述のように、カラー212を、内側モールドライン側234で穴232にアライメントしておくことで、ピンテール218及びピン214を穴232に挿入すると、ピンがカラー212にも挿通される。
【0112】
この例示的な実施例では、内側モールドライン機244及び外側モールドライン機246を、コンピュータシステム250に含まれるコントローラ248で制御して、構造体204の穴232にファスナ202を設置する処理を連動させて実行することができる。
【0113】
センサデータ215は、コンピュータシステム250内のコントローラ248に送られる。コントローラ248は、ソフトウェア又はハードウェアのうちの少なくとも1つによって実装可能である。ソフトウェアを用いる場合、コントローラ248が実行する処理は、処理部などのハードウェアで実行されるプログラムコードとして実装される。ファームウェアを用いる場合、コントローラ248が実行する処理は、永続メモリに格納され、処理部で実行されるプログラムコード及びデータとして実装される。ハードウェアを用いる場合、当該ハードウェアは、コントローラ248の処理を実行するように動作する回路を含む。
【0114】
例示的な実施例では、ハードウェアは、複数の処理を行うよう構成された回路システム、集積回路、特定用途向け集積回路(ASIC)、プログラマブル論理デバイス、又は、他の適当な種類のハードウェアのうちから選択された少なくとも1つの形態をとることができる。プログラマブル論理デバイスを用いる場合、当該デバイスは、複数の処理を実行するように構成される。当該デバイスは、複数の処理を実行するように後から再構成したものでもよいし、そのように永続的に構成したものでもよい。プログラマブル論理デバイスの例には、プログラマブル論理アレイ、プログラマブルアレイロジック、フィールドプログラマブル論理アレイ、フィールドプログラマブルゲートアレイ、及び、その他の適当なハードウェアデバイスが含まれる。加えて、無機コンポーネントを組み込んだ有機コンポーネントにおいてプロセスを実装することもできるし、人間以外の有機コンポーネントによってプロセスの全体を構成してもよい。例えば、有機半導体に含まれる回路として、プロセスを実装してもよい。
【0115】
コンピュータシステム250は、物理的なハードウェアシステムであって、1つ以上のデータ処理システムを含む。複数のデータ処理システムが含まれる場合、これらのデータ処理システムは、通信媒体を用いて互いに通信する。通信媒体は、ネットワークであってもよい。データ処理システムは、コンピュータ、サーバコンピュータ、タブレット、又は、その他の適当なデータ処理システムのうちの少なくとも1つから選択することができる。
【0116】
コントローラ248は、プログラム254を用いてファスナ設置システム208の処理を制御する。プログラム254は、例えば、ファスナ設置システム208の処理制御に利用可能なコンピュータ数値制御(CNC)プログラム、又は、その他の適当なプログラムコードであってもよい。
【0117】
コントローラ248は、センサデータ215を用いて、ファスナ設置システム208の様々なコンポーネントの動作を制御することができる。図示では、コントローラ248とコンピュータシステム250は別個のコンポーネントとして示されているが、例示的な実施例によっては、これらは、プラットフォーム226に配置され、あるいは、含まれる構成でもよい。
【0118】
例示的な実施例では、ファスナ設置システム208は、カラー保持部222、センサシステム240、及び、コントローラ248を含む。この実施例では、カラー保持部222は、ファスナ202のカラー212を保持するよう構成されている。センサシステム240は、構造体204の第1の側256についてのセンサデータ215を生成するよう構成されている。この実施例では、図示の通り、コントローラ248は、センサシステム240及びカラー保持部222の動作を制御する。コントローラ248は、構造体204の第1の側256における穴232の位置242を、センサデータ215を用いて特定し、カラー保持部222を移動させて、カラー保持部222が保持するカラー212を、位置242にある穴232に自動で配置する。
【0119】
例示的な一実施例において、ファスナの自動設置を実現するにあたり遭遇しうる技術的課題を克服する1つ以上の技術的解決が提供される。現状の自動設置プロセスでは、ロックボルトにカラーを配置する際に、アライメントが問題となる可能性があり、この結果、ロックボルトの配置をやり直す必要が生じる場合がある。
【0120】
例示的な実施形態では、既存のマシンは、例えば、構造体204に取り付けられたレール上を移動するような構成であるが、これを改良して、内側モールドライン(IML)との間に隙間をあけないでカラーを配置できるようにすることが望ましい。このような改良により、空間的に余裕のない環境でも、カラーを穴にアライメントすることが可能になることが認識及び考慮されている。
【0121】
例示的な実施例によれば、カラー搬送システムが、カラー搬送システムとスエージングツールのノーズ部分との間に隙間をあけないようにカラーを供給するという技術的な解決が提供される。
【0122】
この結果、例示的な実施例が提供する技術的な解決によって、空間的に余裕のない環境であっても、ロックボルトより先にカラーを配置することができるという技術的効果が実現される。
【0123】
図1の製造環境100及び図2の製造環境200の図示は、例示的な実施形態を実現可能な態様に対して物理的な制限や構造的な制限を示唆することを意図したものではない。その他のコンポーネントを、図示のコンポーネントに加えて、あるいは、代わりに用いることも可能である。いくつかのコンポーネントを不要とすることも可能である。また、図示のブロックは、いくつかの機能的なコンポーネントを表す。例示的な実施形態を実施するに際して、これらブロックのうちの1つ以上を組み合わせたり、分割したり、あるいは、組み合わせた後に異なるブロックに分割することも可能である。
【0124】
例えば、カラー設置機124、移動システム138、真空システム140、及び、センサシステム142は、構造体104の内側モールドライン側170に配置された内側モールドライン機168を構成可能であるとして記載されている。他の例示的な実施例においては、これらのコンポーネントが外側モールドライン機の一部であってもよく、内側モールドライン機が構造体104の内側モールドライン側170からボルト108を挿入する構成でもよい。他の実施例では、第1の側256を外側モールドライン側236とし、第2の側258を内側モールドライン側234とするような、異なる実装も可能である。
【0125】
図3を参照すると、例示的な実施形態によるファスナ設置システムに含まれる内側モールドライン機300が示されている。この例示的な実施例では、内側モールドライン機300は、軌道システム302上を移動する。軌道システム302は、第1軌条304及び第2軌条306を有する。
【0126】
図示の通り、内側モールドライン機300は、ファスナ設置システム120に含まれる内側モールドライン機168の実施態様の一例である。図示の通り、内側モールドライン機300は、プラットフォーム308、オフセット型スエージングアセンブリ310、移動システム312、真空システム314、及び、カメラ316を含む。この例示的な実施例では、プラットフォーム308は、図1にブロックで示すプラットフォーム122の実施態様の一例である。オフセット型スエージングアセンブリ310は、図1にブロックで示すカラー設置機124の実施態様の一例である。真空システム314は、図1にブロックで示す真空システム140の実施態様の一例である。カメラ316は、図1にブロックで示すセンサシステム142の実施態様の一例である。
【0127】
図示の通り、移動システム312は、内側モールドライン機300を複数の異なる方向に移動させるよう構成されている。例えば、移動システム312は、プラットフォーム308を、x軸318、y軸320、及び、z軸322の各方向に移動させるよう構成されている。ただし、本明細書に記載の発明のシステム及び方法は、オフセット型デバイスに限定されるものではない。
【0128】
さらに、移動システム312は、オフセット型スエージングアセンブリ310を回転軸324周りに移動させるよう構成されている。換言すると、移動システム312は、オフセット型スエージングアセンブリ310を回転軸324周りに回動させることができる。この例示的な実施例では、回転軸324はz軸322と平行である。
【0129】
図示の通り、電動ホイールシステム326は、プラットフォーム308をx軸318に沿って移動させるよう構成されている。ボールねじ駆動部(ball screw drive)328は、プラットフォーム308をy軸320に沿って移動させるよう構成されている。ボールねじ駆動部330は、プラットフォーム308をz軸322に沿って移動させるよう構成されている。
【0130】
さらに、移動システム312は、軸受けアセンブリ332を使って、オフセット型スエージングアセンブリ310を回転軸324周りに移動させるよう構成されている。この図示においては、軸受けアセンブリ332のギアリング334と外側リング336が見えている。
【0131】
この図では、オフセット型スエージングアセンブリ310は、軸受けアセンブリ332のギアリング334に接続されている。図示のとおり、この実施例では、ギアリング334は、回転軸324周りに回動する。外側リング336は、プラットフォーム308に接続されており、ギアリング334は、外側リング336の中で回動するよう構成されている。さらに、真空システム314及びカメラ316も軸受けアセンブリ332に接続されており、よって、これらのコンポーネントも回転軸324周りに回動可能である。この実施例では、オフセット型スエージングアセンブリ310は、アダプタ333でプラットフォーム308に取り付けられており、取り外すことができる。
【0132】
図4を参照すると、例示的な実施形態による内側モールドライン機300の底面図が示されている。この実施例では、内側モールドライン機300を、図3の線4-4の方向から見た底面図を示している。
【0133】
図示のとおり、この実施例では、移動システム312は、オフセット型スエージングアセンブリ310を軸受けアセンブリ332によって回転軸324周りに移動させるよう構成されている。
【0134】
図示のとおり、ギアリング334は、プラットフォーム308に接続されている。図示のとおり、ギアリング334は、プラットフォーム308に移動可能に接続されている。
【0135】
この例示的な実施例では、オフセット型スエージングアセンブリ310、真空システム314、及び、カメラ316は、ギアリング334に接続されている。換言すると、これらのコンポーネントは、ギアリング334が回転軸324周りに回動するのにともなって、回転軸324周りに回動するよう構成されている。ギアリング334には、異なるコンポーネントが、直接又は間接的に接続されていてもよい。
【0136】
図示の通り、駆動部400は、ギアリング334を電動で駆動することで、オフセット型スエージングアセンブリ310、真空システム314、及び、カメラ316を回転軸324周りに回動させるよう構成されたユニットである。
【0137】
この例示的な実施例では、レーザセンサ402がカメラ316に隣接して配置されている。レーザセンサ402は、当該レーザセンサ402から内側モールドライン表面(図示せず)までの距離を検出する。
【0138】
この実施例では、軸受けアセンブリ332は、ギアリング334、外側リング336、及び、駆動部400と協働して、オフセット型スエージングアセンブリ310、真空システム314、カメラ316、及び、レーザセンサ338を回転軸324周りに360度回転させることができる。このようにして、オフセット型スエージングアセンブリ310は、回動することで、回転軸324から離れた所望の位置に移動することができる。
【0139】
図5を参照すると、例示的な実施形態による内側モールドライン機300の一部が示されている。この例示的な実施例では、オフセット型スエージングアセンブリ310は、ギアリング334の内側に配置されている。また、内側モールドライン機300のその他のコンポーネントは図示されていない。この部分的な図示は、オフセット型スエージングアセンブリ310に含まれるコンポーネントの説明に際し、該当するコンポーネントの図示及び説明が曖昧になることを避ける目的で用いている。
【0140】
この例示的な実施例では、オフセット型スエージングアセンブリ310は、複数の異なるコンポーネントを含む。図示の通り、オフセット型スエージングアセンブリ310は、カラー保持部500、カラースエージ部(collar swage)502、マガジン504を含む。カラー保持部500は、図1にブロックで示すカラー保持部134の実施態様の一例である。カラースエージ部502は、図1にブロックで示す係合形成部136の実施態様の一例である。
【0141】
この例示的な実施例では、カラー保持部500は、マガジン504からカラー(図示せず)を受け取って、受け取ったカラーをカラースエージ部502で加締めるために保持する。図示のとおり、マガジン504は、カラー保持部500にチューブ506で接続されている。マガジン504は、カラー(図示せず)を格納する。
【0142】
図示のとおり、カラー保持部500は、カラー(図示せず)を回転軸324に平行な軸508上に保持する。この例示的な実施例で示すように、オフセット型スエージングアセンブリ310は、ギアリング334の移動によって、回転軸324周りに回動するよう構成されている。オフセット型スエージングアセンブリ310が回動すると、軸508が回転軸324周りに回動して、回転軸324の一方の側から他方の側に移動することができる。
【0143】
図示の実施例では、図5のマガジン504は、1つ以上のカートリッジ510の形態をとる。カートリッジ510に格納されたカラー(図示せず)は、カラー供給機(collar injector)512を用いて、カートリッジ510からカラー保持部500に供給される。カラー供給機512は、カム又はカム作動式のカラー供給機構であってもよく、圧縮空気を利用してカラー(図示せず)をマガジン504からカラー保持部500にチューブ506を経由して供給することができる。これにより、カートリッジ510は、内側モールドライン機300に含まれるオフセット型スエージングアセンブリ310のためのカラー供給源として機能する。さらに別の実施形態では、例えば、遠隔ボウルフィーダ(remote bowl feeder)などの他の種類のカラー搬送システムを利用可能である。
【0144】
図3図5に示す内側モールドライン機300は、カラー設置機を用いる内側モールドライン機や他のマシンを実装する態様を限定することを意図していない。例えば、加締め加工によってピンとカラーを締結するオフセット型スエージングアセンブリ310の代わりに、他の種類のファスナを用いることもできる。例えば、他の種類のカラー設置機は、カラー又はボルトのうちの少なくとも1つを回転させることで、両コンポーネントをねじ又はみぞで互いに係合させる構成のものでもよい。
【0145】
他の例示的な実施例では、360度以外の角度の移動を可能にする他の種類の回動システムを実装してもよい。他の例示的な実施例において、オフセット型スエージングアセンブリ310は、回転軸324周りに、90度、180度、270度、又は、その他の角度の移動を行う構成でもよい。さらに別の例示的な実施例では、真空システム314を備えない構成の内側モールドライン機300も可能である。さらに別の例示的な実施例では、これらのコンポーネントを、外側モールドライン機の一部として構成することも可能である。
【0146】
図6図8は、本明細書に記載の発明のプロセスによってモニタリングが可能な多数の自動ファスナ取付けツールのうちの1つを示している。したがって、図6図8は、本発明のプロセスを効果的に利用することができる多くの異なるツールの一例を示しているに過ぎない。
【0147】
図6図21は例示的なカラー搬送システムを示しており、当該システムは、オフセット型スエージングツールとの間に隙間をあけないでカラーを配置するものであり、これにより、空間的に余裕のない環境におけるスエージングツールのファスナ設置性能を向上させることを目的とする。具体的には、図6図7は、カラー搬送システム及びそのシステムを用いた方法の概念的な実施形態を示し、図8図21は、具体的なカラー搬送システムの動作を示す。
【0148】
図6は、例示的な実施形態におけるカラー搬送システム1300を示すブロック図である。カラー搬送システム1300は、スエージングツールにロックボルトカラーを搬送するよう動作可能な任意のシステム、デバイス、又は、コンポーネントを含む。この実施形態では、カラー搬送システム1300は、空圧アクチュエータ1322を含む。空圧アクチュエータ1322は、カラー搬送システム1320が挿入用アーム1326を経由してカラー1340をスエージングツール1330に供給する際に、空圧を付与してカラー搬送システム1320を動かす。スエージングツール1330は、ロックボルト1360が挿通される前のパーツ1350にカラー1340を配置する。具体的には、カラー1340は、パーツ1350に設けられた穴1354の中心線1356にアライメントされて配置される。カラー1340をロックボルト1360に対して加締めると、ファスナの設置が完了する。カムガイド(cam guide)1324は、ロックボルト1360をパーツ1350の表面1352に貫通させる前のカラー搬送プロセスにおいて、カラー搬送システム1320の動きを規制する部材である。
【0149】
コントローラ1310は、数値制御(NC)プログラムに格納された任意の適当な命令に基づいて、空圧アクチュエータ1322を制御する。コントローラ1310は、例えば、プログラムされた命令を実行するハードウェアプロセッサなどのカスタマイズされた回路やその組み合わせにおいて実装可能である。
【0150】
カラー搬送システム1300の例示的な動作の詳細について、図7を参照して説明する。本実施形態においては、スエージングツール1330は、パーツ1350のファスナ設置位置にアライメントされた状態であるとする。また、パーツ1350には、穴が穿孔されているものとする。
【0151】
図7は、例示的な実施形態においてスエージングツールにカラーを供給する方法1400を示すフローチャートである。図13のカラー搬送システム1300を参照して方法1400のステップを説明するが、方法1400が他のシステムにおいても実行可能であることは、当業者であれば理解できるだろう。なお、本明細書に記載のフローチャートのステップは、すべてを網羅するものではなく、記載していない他のステップを含むことも可能である。また、本明細書に記載のステップは、他の順で実行することも可能である。
【0152】
ステップ1402において、コントローラ1310は、パーツ1350上に位置する穴を選択する。例えば、外側モールドライン(OML)用ツールによって掘削されたばかりの穴を選択する。穴の選択は、例えば、NCプログラムの命令に基づいて、内側モールドライン(IML)用デバイスやセンサによるスキャニングなどに基づいて実行することができる。
【0153】
ステップ1404において、コントローラ1310は、スエージングツール1330に命令して、ロックボルトカラー(例えば、カラー1340)の軸を、パーツ1350の表面1352における穴1354の中心線1356を通る直線にアライメントする。これは、上述したセンサシステムなど、任意のセンサシステムからの入力に基づいて実行することができる。例えば、視覚センシングやレーザーセンシングのシステムを用いて、軸のアライメントについてフィードバックデータを取得することができる。つまり、アライメントが完了すると、穴1354の中心線1356において、表面1352により画成される面と交差する点にアライメントされた状態になる(例えば、その点がカラー1340の軸と重なるか、その点が、カラー1340の軸を通る直線上に配置される)。
【0154】
ステップ1406において、コントローラ1310は、スエージングツール1330に命令して、ロックボルトカラーのアライメントを維持したまま、ロックボルトカラーを穴の第1端部側においてパーツ1350と面接触させる。例示的な一実施形態では、ステップ1406は、カラー1340をパーツ1350に面接触させたまま、カラー1340にスエージングツール1330を押し込むことを含む。なお、パーツ1350の表面1352(即ち、IML)において、カラーの軸と穴1354の中心線1356が重なる状態を保つことができれば、他の技術を利用することも可能である。
【0155】
ステップ1408において、コントローラ1310は、スエージングツール1330に命令して、(例えば、ロックボルトカラーが、パーツ1350に対して面接触している状態で)、穴の第2端部側(例えば、OML側)からロックボルト1360を穴及びロックボルトカラーに挿通させる。ロックボルト1360を穴に挿通させた後、ロックボルト1360のヘッド(図示せず)を穴から突出させて、例えば、ロックボルト1360がクラウン型の頭部を有するものであれば、そのフランジをOML上に着座させるか、あるは、穴と面一になるように配置する(例えば、座ぐり加工の(countersunk)穴に配置する)。ロックボルトカラーを穴にアライメントし、その後で、ロックボルト1360を穴に押込むことで、スエージングツール1330は、問題なくロックボルト1360を穴とカラーに挿通させることができる。したがって、ロックボルト1360をパーツ1350に挿入する間、また、その後、パーツ1350を通過したロックボルトをカラー1340に貫通させる間、スエージングツール1330は、カラー1340を保持する。さらに、カラー1340がパーツ1350に面接触した状態に配置されるので、パーツ1350において空間的に余裕がない領域でもファスナを設置することができる。よって、カラー搬送システム1320は、パーツ1350のIML側における空間が垂直方向に余裕がない場合でも利用可能である。したがって、パーツ1350のIML上方に張出し部が有る場合に有利である。
【0156】
加えて、図6に示すカラー設置の構成によれば、カラーをロックボルトに配置する際に、ロックボルトの軸部が位置することが確実である場所にカラーを配置することができる。このIML面への配置処理が再現性と正確性を備えるのに対し、ロックボルトを穴に完全に挿入した後で、挿入したロックボルトの端部にカラーを配置する処理は、張出し部やセンサによっては不可能なレベルのスキャニング及び配置を行う必要があるとともに、このプロセスの自動化に望ましい速度を達成する必要がある。ロックボルトの角度が所望の位置/方向に対して傾いている場合、従来技術では配置が困難であったが、上述の構成は、このような場合に生じる問題に対処するために有効である。本明細書に記載の方法は、自動処理に望ましい処理速度と設計要件を維持したまま、穴及び/又はロックボルトについて、最適な角度に対する設計公差をより大きくすることができる。
【0157】
ステップ1410において、スエージングツール1330は、ロックボルトカラーをロックボルトに対して加締める。これにより、ファスナの取付けが完了するので、この時点で、コントローラ1310は、スエージングツールを次のファスナ取付け位置に導く。
【0158】
方法1400は、ロックボルトを設置するより前にカラーを穴に面接触させることで、技術的な効果を実現する。ロックボルトを配置する前にカラーを配置しているため、カラーが適切にロックボルトにアライメントされる確率を高めることができる。具体的には、本明細書に記載の発明のシステム及び技術によれば、所望の自動処理速度を維持したままで、最適な穴の角度に対する設計公差を大きくすることができる。さらに、カラーがパーツに面接触するように配置されるので(例えば、スエージングノーズ(例えば、図15に示すスエージングノーズ1550)とカラーの間に隙間がないので)、パーツのIML面に対する垂直方向に余裕のない空間においてスエージング処理を実行することができる。
【0159】
図8図21は、例示的な実施形態における、カラー1570を供給するカラー搬送システム1500を示すブロック図である。図8は、カラー搬送システム1500が空圧アクチュエータ1510、カム1520、カラーアーム1530、及び、カラー供給フィンガ1540を含むことを示す。これらのコンポーネントは、カラーをロックボルトに対して加締めるスエージングノーズ1550に対してカラーを供給する。フィンガ1560(例えば、対向する一対のフィンガ)は、スエージングノーズ1550が加締め処理の位置に移動する間、力を加えてカラー1570を把持して定位置に保持する。スエージングノーズ1550が加締め処理を実行する際は、フィンガ1560は、ヒンジ1562周りに回動して後ろにそらされ、その後、スエージングノーズ1550が後退すると、バイアスデバイス1564(例えば、バネ)がフィンガ1560を元の位置に復帰させる。図9図21は、このプロセスの詳細を示す。
【0160】
図9は、スエージングノーズ1550が、パーツ1610に設けられた穴1612の下方に移動した状態を示している。この穴は、中心線1614を有する。パーツ1610の表面1619は、パーツ1610のIML面である。以降、図9図21に示すように、穴1612の第1端部1616側において、カラー1570が表面1619(即ち、IML面)に面接触するように配置され、穴1612の第2端部1618(即ち、OML面)からロックボルトが挿入され、スエージングノーズ1550がカラーをロックボルトに対して加締める。
【0161】
図9に示すように、カラー1570は、カラーアーム1530を通って方向1600に搬送される。この時点で、カラー1570はフランジ1572が右にある状態だが、カラー1570の搬送中に回転して、パーツ1610の表面1619にフランジ1572を面接触させることが可能な向きになる。図10に示すカラー1570は、方向1700に搬送されてカラー供給フィンガ1540に到達する。この際、カラー1570は回転して、カラー1570のフランジ1572が上に位置する向きになる。これらの図面に示すように、1つの図面の矢印で示す動きは、その図において完了する場合もあるし、次の図に継続する場合もある。図11に示すカラー1570は、カラー供給フィンガ1540に到達しており、スエージングノーズ1550に供給される準備が整った状態である。この状態では、カラー1570は、フランジ1572を上にして配置されている。よって、カラー搬送システム1500は、方向1800に上方移動して、図12に示す位置に移動する。図12では、フランジ1572の向きは、ほとんど変わっていない。図12では、カラー搬送システム1500が方向1900に横移動して、図13に示す位置に移動する。同図では、カラー1570は、スエージングノーズ1550の上方に保持されている。このようにアライメントすると、表面1619により画成される面に穴1612の中心線1614が交差する点が、カラー1570の軸2010を通る直線上に配置される。さらに、フランジ1572は、表面1619と実質的に平行であり、この向き付けは、加締め処理における以降のプロセスを通じて維持される。
【0162】
図13では、カラー搬送システム1500が方向2000に下方移動して、カラー1570をフィンガ1560に載置する。フィンガは、カラー1570を把持するようバイアスデバイス1564で付勢されている。カラー供給フィンガ1540は、図14に示すようにフィンガ1560によってカラー1570が固定されると、カラー1570の把持を解除する。図14において、カラー搬送システム1500は、方向2100に上方移動し、図15において、カラー搬送システム1500は、方向2200に後退し、スエージングノーズ1550から離間する。この間、カラー1570は、フィンガ1560に把持されて固定されている。よって、この向き付けにおいては、カラー1570は、スエージングノーズ1550に重力によっても保持されている(即ち、フランジ1572がフィンガ1560に載置されているので)が、これに加えて、フィンガ1560によっても十分に把持されているので、スエージングノーズ1550が水平や上下逆さまなど、別の向き付けにあっても、カラー1570がスエージングノーズ1550から滑り落ちてしまうことがない。
【0163】
図16では、スエージングノーズ1550が穴1612に向かって方向2300に移動し、図17では、スエージングノーズ1550が、穴1612の第1端部1616に対してカラー1570を面接触させる。図16では、カラー搬送システム1500は、後退位置にある。この時点で、カラー1570の軸2010は、穴1612の中心線1614を通る直線と揃ったままである(例えば、図13に示す状態)。また、穴1612にロックボルトは未だ設置されていない。穴1612がパーツ1610の表面1619(例えば、パーツ1610のIML面)に対して完全に垂直でない場合でも、カラー1570の中心線をアライメントして、表面1619が画成する面と交差する穴1612の中心線と重なるようにできるのであれば、スエージングノーズ1550を傾ける必要はない。
【0164】
図17では、カラー搬送システム1500は、スエージングノーズ1550の邪魔にならない位置まで大きく後退している。また、スエージングノーズ1550が、パーツ1610の表面1619(即ち、IML面)にカラー1570を面接触させている。図18では、ロックボルト2510を第2端部1618から挿入して、穴1612とカラー1570に挿通させる。ロックボルトがカラー1570を貫通する際、カラーは、動かないようにフランジによって固定される。スエージングノーズ1550は、ロックボルト2510のピンテールを把持し、カラー1570をロックボルト2510に対して加締め、方向2500に移動する。図19に示すように、スエージングノーズ1550の移動によりフィンガ1560の傾斜部(inclined ramp)2610を押圧すると、フィンガ1560がヒンジ1562周りに方向2600に回動する。よって、スエージングノーズ1550がロックボルト2510のピンテールに係合するのにともなって、フィンガ1560が回動してカラー1570から離間する。これにより、フィンガ1560が加締め加工の邪魔にならないようにできる。これにより、空間的に余裕のない環境においてもスエージングノーズ1550が動作可能であるという技術的効果が実現される。
【0165】
図20では、加締め処理が完了しており、穴1612にファスナが設置されている。そのため、スエージングノーズ1550は、方向2700に後退する。これにより、図21に示すように、フィンガ1560が方向2800に沿って元の位置に復帰する。なお、フィンガ1560は、バイアスデバイス1564によってスエージングノーズ1550の上方の位置に維持される。
【0166】
図22は、例示的な実施形態によるスエージングノーズ1550のフィンガ1560を拡大して示す図である。図22は、各フィンガ1560がスエージングノーズ1550に沿った垂直部分2940を有しており、この垂直部分が、スエージングノーズのヒンジ1562で枢動することを示している。傾斜部2610は、垂直部分2940と一体な部分であって、スエージングノーズ1550のスエージング面2950の先まで延びている。よって、スエージングノーズ1550が延出すると、スエージングノーズから傾斜部2610に力が加わり、この力により、垂直部分2940がヒンジ1562周りに回度して、スエージングノーズ1550から離間する。つまり、(例えば、カラーをロックボルトに対して加締める処理の実行中など)カラーを保持する必要がなくなったときは、フィンガ1560を移動させて、カラーとの係合を解除することができる。また、各フィンガ1560は、傾斜部2610の先端部2920に円弧状の切り欠き2910を有する。円弧状の切り欠き2910の外周は、ロックボルトカラーの外周に対応する。つまり、円弧状の切り欠きの直径は、カラーにおけるフランジ以外の部分と嵌合するサイズになっている。
【0167】
図23は、例示的な実施形態におけるスエージングツールにカラーを供給する別の方法を示すフローチャートである。図23によると、方法3000は、内側モールドライン(IML)側における穴1612の端部(例えば、第1端部1616)の位置を特定すること(ステップ3002)と、穴1612の中心線1614を(例えば、上述したセンシング・デバイスのうちの任意のデバイスによって)検出すること(ステップ3004)と、カラー1570を穴のIML側端部(例えば、第1端部1616)において保持すること(ステップ3006)と、を含む。加えて、方法3000は、カラーの軸2010(中心線とも言う)を穴1612の中心線1614を通る直線にアライメントすること(ステップ3008)と、ロックボルト2510をカラー1570及び穴1612に挿通させること(ステップ3010)と、を含む。ロックボルト2510を穴1612とカラー1570に挿通させるステップは、一度の動作によって実行することができる。ただし、別の実施形態では、ロックボルト2510をOML側から穴1612に配置して、この際に、穴1612のIML側の端部からはピンテールが延出してない状態にしておき、この状態でロックボルトを穴1612に押込んで、一度の動作でカラー1570にも挿通させることもできる。これにより、ロックボルト2510のヘッドをOML側に座ぐり加工により配置してもよいし、平らな状態のOMLから延出する状態に配置してもよい。その後、加締め加工を行う。
【0168】
添付図面をより具体的に参照すると、本開示の実施形態は、図24に示す航空機の製造及び就航の方法3100、及び、図25に示す航空機3102に関連付けて説明することができる。製造開始前において、方法3100は、航空機3102の仕様決定及び設計3104と、材料調達3106とを含む。製造中には、航空機3102の部品及び小組立品の製造3108及びシステム統合3110が行われる。その後、航空機3102は、認証及び納品3112の工程を経て、就航3114の段階に入る。顧客による就航の間、航空機3102は、定期的な整備及び保守3116(改良、再構成、改修、など)のスケジュールに組み込まれる。本明細書において具体化される装置及び方法は、航空機の製造及び就航の方法3100における1つ以上の任意の段階(例えば、仕様決定及び設計3104、材料調達3106、部品及び小組立品の製造3108、システム統合3110、認証及び納品3112、就航3114、整備及び保守3116)において、及び/又は、航空機3102における任意の適当なコンポーネント(例えば、機体3118、システム3120、内装3122、推進系3124、電気系3126、油圧系3128、環境系3130)において採用することができる。
【0169】
方法3100の各工程は、システムインテグレータ、第三者、及び/又は、オペレータ(例えば顧客)によって実行又は実施することができる。なお、システムインテグレータは、航空機メーカ及び主要システム下請業者を特に限定なくいくつ含んでいてもよい。第三者は、売主、下請業者、供給業者を特に限定なくいくつ含んでいてもよい。オペレータは、例えば、航空会社、リース会社、軍事団体、サービス組織、及び他の適当なオペレータを含む。
【0170】
図25に示すように、方法3100によって製造された航空機3102は、複数のシステム3120及び内装3122を有する機体3118を含む。複数のレベルシステム3120の例としては、推進系3124、電気系3126、油圧系3128、及び、環境系3130のうちの1つ又は複数が挙げられる。また、その他のシステムをいくつ含んでもよい。なお、航空宇宙産業に用いた場合を例として説明したが、本発明の原理は、例えば自動車産業などの他の産業にも適用可能である。
【0171】
既に言及したように、本明細書において具体化される装置及び方法は、製造及び就航の方法3100における1つ以上の任意の段階において採用することができる。例えば、部品及び小組立品の製造3108において製造される部品及び小組立品は、航空機3102の就航中に製造される部品及び小組立品と同様に製造することができる。また、装置の実施形態、方法の実施形態、又は、それらの組み合わせのうちの1つ以上を、部品及び小組立品の製造3108及びシステム統合3110用いることによって、例えば、航空機3102の組み立て速度を大幅に速めたり、コストを大幅に削減したりすることができる。同様に、装置の実施形態、方法の実施形態、又は、それらの組み合わせのうちの1つ以上を、航空機3102の就航期間中に用いることができ、例えば、限定するものではないが、整備及び保守3116に用いてもよい。例えば、本明細書に記載の技術及びシステムは、材料調達3106、部品及び小組立品の製造3108、システム統合3110、就航3114、及び/又は、整備及び保守3116に用いることができ、及び/又は、機体3118及び/又は内装3122に用いることができる。これらの技術及びシステムは、例えば、推進系3124、電気系3126、油圧系3128、及び/又は、環境系3130を含むシステム3120に利用することができる。
【0172】
一実施形態において、機体3118の一部を構成する部品を、部品及び小組立品の製造3108の工程において製造することが可能である。このようにして製造された部品は、システム統合3110の工程で、航空機に組み込まれ、当該部品が摩耗して使用できない状態になるまで、就航3114において利用される。次いで、整備及び保守3116において、当該部品は、廃棄され、新たに製造された部品と交換される。本発明のコンポーネント及び方法は、部品及び小組立品の製造3108において、新たな部品を製造するために用いることができる。
【0173】
本明細書において図示又は記載した様々な制御素子(例えば電気部品又は電子部品)は、いずれも、ハードウェア、ソフトウェアを実装するプロセッサ、ファームウェアを実装するプロセッサ、又はこれらの何らかの組み合わせによって実装することができる。例えば、専用のハードウェアとして制御素子を実装することができる。専用のハードウェア素子は、「プロセッサ」、「コントローラ」、或いは、これに類する用語で呼ぶことができる。プロセッサが機能を実行する場合、そのよう機能は、単一の専用プロセッサによって、単一の共有プロセッサによって、あるいは、共有可能なものを含む複数の個別プロセッサによって実現することができる。加えて、「プロセッサ」又は「コントローラ」という用語が明示的に使用されていても、ソフトウェアを実行可能なハードウェアのみを指すと解釈されるべきではない。これらの用語は、限定するものではないが、デジタル信号プロセッサ(DSP)ハードウェア、ネットワークプロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)若しくは他の回路、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、ソフトウェアを格納する読み取り専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、不揮発性記憶装置、論理回路、又は、他の物理的なハードウェアコンポーネントやモジュールも暗黙的に含みうる。
【0174】
また、制御素子は、プロセッサ又はコンピュータで実行されて、当該素子の機能を実現する命令として実装することができる。そのような命令の例としては、ソフトウェア、プログラムコード、及び、ファームウェアがある。これらの命令は、プロセッサによって実行されると、当該素子の機能の実行を当該プロセッサに指示するように動作する。これらの命令は、プロセッサによる読み取りが可能な記憶装置に保存することができる。そのような記憶装置の例としては、デジタルメモリ若しくは固体メモリ、磁気ディスクや磁気テープなどの磁気記憶媒体、ハードドライブ、又は、光学的に読み取り可能なデジタルデータ記憶媒体などが挙げられる。
【0175】
本明細書おいて特定の実施形態について説明したが、本開示の範囲は、これら特定の実施形態に限定されるものではない。本開示の範囲は、下記の請求の範囲、及び、その均等範囲によって定義されるものである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
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図15
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図22
図23
図24
図25