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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-12
(45)【発行日】2024-03-21
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/08 20060101AFI20240313BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20240313BHJP
【FI】
G03G15/08 341
G03G15/08 390B
G03G21/00 502
G03G21/00 530
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2019212955
(22)【出願日】2019-11-26
(65)【公開番号】P2021085918
(43)【公開日】2021-06-03
【審査請求日】2022-11-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000718
【氏名又は名称】弁理士法人中川国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】沖野 礼知
(72)【発明者】
【氏名】嘉村 彰人
(72)【発明者】
【氏名】小林 貴紀
【審査官】飯野 修司
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-156471(JP,A)
【文献】特開平04-330474(JP,A)
【文献】特開2003-233292(JP,A)
【文献】特開2001-194973(JP,A)
【文献】特開2017-083698(JP,A)
【文献】特開平10-239991(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/08
G03G 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
感光体と、
前記感光体に形成された静電潜像に現像剤を付着させて現像を行う現像部と、
前記現像部に補給される現像剤を収容する収容部材であって、回転することで内部の現像剤を搬送する筒状の回転部と、前記回転部の回転軸線方向において前記回転部と隣接して配置され、回転が規制され、前記回転部から搬送された現像剤を排出する排出部を有する非回転部と、前記収容部材の筐体の内部に配置され、前記回転部と前記非回転部との接続部に設けられた弾性体と、を有し、前記筐体の上面において前記弾性体と対向する位置に通気孔が形成された収容部材と、
前記収容部材が装着される装着部と、
前記収容部材の前記筐体の外部に設けられたファンと、
前記ファンにより生成された気流を案内するダクトと、
を備え、
前記収容部材が前記装着部に装着された状態で、前記ダクトの出口と前記収容部材の前記通気孔とが対向した位置に配置され、前記ファンにより生成された気流が前記ダクトと前記通気孔を介して前記弾性体に送られる画像形成装置であって、
前記画像形成装置の内部の温度を検出する温度検出部と、
前記温度検出部により検出された温度に基づいて前記弾性体の温度を予測し、前記弾性体の予測温度に応じて前記ファンの駆動を制御する制御部と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記弾性体の前記予測温度が第1閾値より高い場合に前記ファンを駆動させ、前記弾性体の前記予測温度が前記第1閾値より低い第2閾値未満の場合に駆動した状態の前記ファンの駆動を停止させることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記弾性体の前記予測温度が前記第1閾値より高い第3閾値よりも高い場合、画像形成動作を停止させることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記温度検出部により検出された温度と、前記回転部の駆動情報に基づいて前記弾性体の温度を予測することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
感光体と、
前記感光体に形成された静電潜像に現像剤を付着させて現像を行う現像部と、
前記現像部に補給される現像剤を収容する収容部材であって、回転することで内部の現像剤を搬送する筒状の回転部と、前記回転部の回転軸線方向において前記回転部と隣接して配置され、回転が規制され、前記回転部から搬送された現像剤を排出する排出部を有する非回転部と、前記収容部材の筐体の内部に配置され、前記回転部と前記非回転部との接続部に設けられた弾性体と、を有し、前記筐体の上面において前記弾性体と対向する位置に通気孔が形成された収容部材と、
前記収容部材が装着される装着部と、
画像形成装置の内部の温度を検出する温度検出部と、
前記温度検出部により検出された温度に基づいて前記弾性体の温度を予測し、前記弾性体の予測温度が高い場合、低い場合よりも単位時間当たりの画像形成枚数を減少させるように前記画像形成装置を制御する制御部と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記弾性体の前記予測温度が第1閾値より高い場合に単位時間当たりの画像形成枚数を減少させるモードを実行し、前記弾性体の前記予測温度が前記第1閾値より低い第2閾値未満の場合に前記モードを解除することを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記弾性体の前記予測温度が前記第1閾値より高い第3閾値よりも高い場合、画像形成動作を停止させることを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記制御部は、シートを給送する給送部を制御し、先行するシートと後行するシートとの間の間隔を長くすることで、単位時間当たりの画像形成枚数を減少させることを特徴とする請求項5乃至7のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記温度検出部により検出された温度と、前記回転部の駆動情報に基づいて前記弾性体の温度を予測することを特徴とする請求項5乃至8のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項10】
感光体と、
前記感光体に形成された静電潜像に現像剤を付着させて現像を行う現像部と、
前記現像部に補給される現像剤を収容する収容部材であって、回転することで内部の現像剤を搬送する筒状の回転部と、前記回転部の回転軸線方向において前記回転部と隣接して配置され、回転が規制され、前記回転部から搬送された現像剤を排出する排出部を有する非回転部と、前記収容部材の筐体の内部に配置され、前記回転部と前記非回転部との接続部に設けられた弾性体と、を有し、前記筐体の上面において前記弾性体と対向する位置に通気孔が形成された収容部材と、
前記収容部材が装着される装着部と、
前記収容部材の前記筐体の外部に設けられたファンと、
前記ファンにより生成された気流を案内するダクトと、
を備え、
前記収容部材が前記装着部に装着された状態で、前記ダクトの出口と前記収容部材の前記通気孔とが対向した位置に配置され、前記ファンにより生成された気流が前記ダクトと前記通気孔を介して前記弾性体に送られる画像形成装置であって、
前記画像形成装置の内部の温度を検出する温度検出部と、
前記温度検出部により検出された温度に基づいて前記弾性体の温度を予測し、前記弾性体の予測温度に応じて前記ファンの駆動を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記弾性体の予測温度が第1閾値よりも高い場合、前記ファンを駆動させ、前記弾性体の前記予測温度が前記第1閾値より高い第2閾値よりも高い場合、前記第2閾値以下の場合よりも単位時間当たりの画像形成枚数を減少させるように前記画像形成装置を制御することを特徴とする画像形成装置。
【請求項11】
前記制御部は、前記弾性体の前記予測温度が前記第1閾値より低い第3閾値未満の場合、駆動した状態の前記ファンの駆動を停止させることを特徴とする請求項10に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記制御部は、前記弾性体の前記予測温度が前記第2閾値より高い第4閾値よりも高い場合、画像形成動作を停止させることを特徴とする請求項10又は11に記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記制御部は、シートを給送する給送部を制御し、先行するシートと後行するシートとの間の間隔を長くすることで、単位時間当たりの画像形成枚数を減少させることを特徴とする請求項10乃至12のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項14】
前記制御部は、前記温度検出部により検出された温度と、前記回転部の駆動情報に基づいて前記弾性体の温度を予測することを特徴とする請求項10乃至13のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真複写機、電子写真プリンタ(例えばレーザビームプリンタ、LEDプリンタ等)などの画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置においては、感光体の表面に形成された静電潜像に対し、現像部により現像剤を付着させることで現像剤像を形成する。その後、現像剤像をシートに転写し、定着部により現像剤像をシートに定着させることで画像を形成する。
【0003】
画像形成に伴って消費される現像剤は、現像剤補給装置によって現像部へ補給される。ここで特許文献1では、現像剤補給装置において、現像剤を収容する収容部材の回転部を回転させて回転が規制された非回転部まで現像剤を搬送し、非回転部から現像器へ現像剤を排出することで現像剤を現像器に補給する構成が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2010-256893号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の構成では、収容部材の回転部と非回転部との接続部において両者が摺動して摩擦熱が発生し、摩擦熱により接続部の周囲の現像剤が加熱されて溶融するおそれがある。この場合、収容部材の回転部の回転が停止した後、溶融した現像剤が冷えて接続部に固着し、回転部の回転性を悪化させるおそれがある。また固着した現像剤が現像器に補給されると、現像器による現像品質が低下し、画像品質が低下するおそれがある。
【0006】
ここで収容部材の回転部と非回転部との接続部の昇温を抑制する構成として、仮にファンを設ける場合、ファンを常に駆動させると、画像形成装置の消費電力が増加する。
【0007】
そこで本発明はこのような現状に鑑み、現像剤を収容する収容部材における回転部と非回転部との接続部の昇温を抑制するとともに、これに伴う消費電力の増加を抑制することができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための本発明に係る画像形成装置の代表的な構成は、感光体と、前記感光体に形成された静電潜像に現像剤を付着させて現像を行う現像部と、前記現像部に補給される現像剤を収容する収容部材であって、回転することで内部の現像剤を搬送する筒状の回転部と、前記回転部の回転軸線方向において前記回転部と隣接して配置され、回転が規制され、前記回転部から搬送された現像剤を排出する排出部を有する非回転部と、前記収容部材の筐体の内部に配置され、前記回転部と前記非回転部との接続部に設けられた弾性体と、を有し、前記筐体の上面において前記弾性体と対向する位置に通気孔が形成された収容部材と、前記収容部材が装着される装着部と、前記収容部材の前記筐体の外部に設けられたファンと、前記ファンにより生成された気流を案内するダクトと、を備え、前記収容部材が前記装着部に装着された状態で、前記ダクトの出口と前記収容部材の前記通気孔とが対向した位置に配置され、前記ファンにより生成された気流が前記ダクトと前記通気孔を介して前記弾性体に送られる画像形成装置であって、前記画像形成装置の内部の温度を検出する温度検出部と、前記温度検出部により検出された温度に基づいて前記弾性体の温度を予測し、前記弾性体の予測温度に応じて前記ファンの駆動を制御する制御部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、画像形成装置において、現像剤を収容する収容部材における回転部と非回転部との接続部の昇温を抑制するとともに、これに伴う消費電力の増加を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】画像形成装置の断面概略図である。
図2】現像剤補給装置の断面図である。
図3】現像剤補給装置の他の構成を示す断面図である。
図4】補給容器の斜視図である。
図5】補給容器の一部を切断した状態の斜視図である。
図6】補給容器の一部を切断した状態の斜視図である。
図7】補給容器の断面図である。
図8】ホルダの斜視図である。
図9】ホルダに装着された状態の補給容器の斜視図である。
図10】補給容器の断面図である。
図11】画像形成装置のシステム構成を示すブロック図である。
図12】温度予測シーケンスのフローチャートである。
図13】昇温抑制シーケンスのフローチャートである。
図14】昇温抑制シーケンスのフローチャートである。
図15】昇温抑制シーケンスのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(第1実施形態)
<画像形成装置>
以下、まず本発明の第1実施形態に係る画像形成装置の全体構成を画像形成時の動作とともに図面を参照しながら説明する。なお、以下に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0012】
図1は、画像形成装置Aの断面概略図である。図1に示す様に、画像形成装置Aは、シートSに画像を形成する画像形成部100が設けられている。画像形成部100は、感光ドラム104(感光体)、帯電器203、現像器3(現像部)、転写器111、分離器112、レーザスキャナユニット103などを備える。
【0013】
現像器3は、現像剤であるトナーを担持し、担持したトナーを感光ドラム104に供給する現像ローラ3fを有する。またトナーを撹拌する撹拌部材3cと、トナーを現像ローラ3fに搬送する搬送部材3d、3eを有する。また現像ローラ3fに担持されるトナーに接触し、担持されるトナーの量を規制する現像ブレード3gと、現像ローラ3fに接触して配置され、現像器3からトナーが漏れることを防止する防止シート3hを有する。
【0014】
また画像形成装置Aは、現像器3にトナーを補給する現像剤補給装置90を備える。現像剤補給装置90の詳しい構成については後述する。本実施形態では、現像剤として乾式の一成分磁性トナーを用いるため、現像剤補給装置90も一成分磁性トナーを補給する。なお、現像剤の種類はこれに限られず、一成分非磁性トナー、磁性キャリアと非磁性トナーを混合した二成分現像剤など、他の現像剤を使用してもよい。
【0015】
また画像形成装置Aには、原稿の画像を読み取る画像読取装置155が設けられている。画像読取装置155は、原稿台ガラス102に載置された原稿の画像を光学的に読み取って画像データに変換する。レーザスキャナユニット103は、画像読取装置155により読み取られた原稿の画像データに応じて感光ドラム104の表面にレーザ光Lを照射し、画像データに応じた静電潜像を形成する。
【0016】
次に、画像形成装置Aによる画像形成動作について説明する。まず図11に示すCPU61に画像形成ジョブ信号が入力されると、ピックアップローラ107、給送ローラ120によりシートカセット108に積載収納されたシートSが搬送パス109を介してレジストローラ110に送り出される。その後、シートSは、レジストローラ110によって所定のタイミングで感光ドラム104と転写器111との間の転写部に送り込まれる。
【0017】
一方、画像形成部においては、まず帯電器203により感光ドラム104の表面が帯電させられる。次に、レーザスキャナユニット103が感光ドラム104の表面にレーザ光Lを照射することで、感光ドラム104の表面に静電潜像が形成される。その後、現像器3の現像ローラ3fに担持されたトナーが静電潜像に付着され、感光ドラム104の表面にトナー像が形成される。
【0018】
次に、感光ドラム104の表面に形成されたトナー像は、転写器111に転写バイアスが印加されることでシートSに転写される。次に、分離器112に分離バイアスが印加されることで、感光ドラム104からシートSが分離される。その後、トナー像が転写されたシートSは、搬送ベルト113により定着器114に搬送され、定着器114において加熱、加圧処理が施される。これによりトナー像がシートSに定着される。トナー像が定着されたシートSは、排出ローラ116によって排出トレイ117に排出される。
【0019】
<補給装置>
次に、現像剤補給装置90の構成について説明する。
【0020】
図2は、現像剤補給装置90の断面図である。図2に示す様に、現像剤補給装置90は、トナーが収容される補給容器1と、補給容器1が装着されて保持されるホルダ10と、補給容器1から排出されるトナーを一時的に貯留し、貯留したトナーを現像器3へ供給するホッパ50から構成される。補給容器1やホルダ10の構成については後述する。
【0021】
ホッパ50は、補給容器1の排出口4b1と連通し、補給容器1からトナーを受け入れる受入口50aと、現像器3に形成された不図示の開口部と連通し、現像器3にトナーを供給する供給口50cを有する。またホッパ50は、供給口50cに向かってトナーを搬送する搬送スクリュー50bと、ホッパ50に収容されているトナーの量を検出するトナーセンサ70を有する。
【0022】
現像器3によるトナーの使用に伴い、トナーセンサ70により検出されるトナーの量が所定未満となると、後述する補給容器1によるトナーの補給動作が開始され、補給容器1からホッパ50にトナーが補給される。その後、トナーセンサ70により検出されるトナーの量が所定以上となると、補給容器1による補給動作が停止される。このようにホッパ50には一定量のトナーが貯留される。またホッパ50から現像器3へは、所定のタイミングでトナーが補給される。
【0023】
なお、本実施形態では、ホッパ50を設ける構成について説明するものの、図3に示す様に、ホッパ50を設けずに補給容器1から現像器3へ直接的にトナーを補給する構成としてもよい。これは次の理由による。即ち、本実施形態では、後述の通り、補給容器1に収容されたトナーが重力作用のみでは殆ど排出されず、ポンプ部8による容積可変動作により排出される構成である。従って、トナーの排出量のばらつきが少なく、ホッパ50を設けなくても、トナーを現像器3へ安定的に補給できるためである。
【0024】
なお、図3に示す構成は、現像剤として非磁性トナーと磁性キャリアを含む二成分現像剤を用いる構成である。即ち、現像器3は、現像剤が撹拌される撹拌室3xと、撹拌室3xと連通し、現像ローラ3fが設けられる現像室3yを有する。撹拌室3xと現像室3yには、現像剤の搬送方向が互いに逆向きとなる撹拌スクリュー3bが設けられ、二成分現像剤はこれらの二つの部屋を循環搬送される。
【0025】
<補給容器>
次に、補給容器1(収容部材)の構成について説明する。
【0026】
図4は、補給容器1の斜視図である。図5は、補給容器1の一部を切断した状態の斜視図である。図6は、補給容器1の一部を切断した状態の斜視図であり、図5とは切り口を変えている。図7は、補給容器1の断面図である。ここで図6(a)、図7(a)は、補給容器1のポンプ部8が最も伸張されている伸張状態を示し、図6(b)、図7(b)は、補給容器1のポンプ部8が最も収縮されている収縮状態を示す。
【0027】
図4図7に示す様に、補給容器1は、円筒状の部材であり、その内部にはトナーが収容される。補給容器1の長手方向において、一端側にはホルダ10に回転が規制されるフランジ部4が設けられ、他端側にはフランジ部4に対して回転する回転部2が設けられている。即ち回転部2の回転軸線方向において、回転部2とフランジ部4は互いに隣接して配置されている。補給容器1の筐体を構成するフランジ部4の筐体4aと回転部2の筐体2aは、ポリスチレン樹脂で形成されており、互いに相対移動が可能に構成されている。
【0028】
回転部2の筐体2aの内周面には、回転部2の回転中心に向かって内側に突出する螺旋状の凸部2a1が形成されている。また回転部2の筐体2aの内周面には、傾斜リブ2a2が設けられている。また回転部2の筐体2aの外周面には、ホルダ10に取り付けられたギア300(図8)と噛み合うギア部2a3が形成されている。回転部2は、ギア部2a3においてギア300から駆動力が伝達されることで回転し、これにより回転部2の内部のトナーは螺旋状の凸部2a1によって傾斜リブ2a2まで搬送される。また傾斜リブ2a2は、回転部2の回転に伴ってトナーをすくい上げてフランジ部4に搬送する。
【0029】
フランジ部4は、回転部2から搬送されるトナーを一時的に収容するための空間であるバッファ部4cを有する。バッファ部4cの下方には、トナーが排出される排出口4b1(排出部)が形成されたシャッタ4bが設けられている。バッファ部4cとシャッタ4bとの間には、排出口4b1から排出される前のトナーが貯留される貯留部4dが設けられている。
【0030】
補給容器1がホルダ10に装着される前の段階では、シャッタ4bが貯留部4dの下端部を閉塞することで、貯留部4dからホッパ50へのトナーの排出が規制される。これに対して補給容器1がホルダ10に装着されると、後述するようにシャッタ4bがスライド移動して貯留部4dと排出口4b1とが連通し、貯留部4dからホッパ50へのトナーの排出が可能となる。
【0031】
またフランジ部4における回転部2との接続部には、発泡ウレタンで形成された環状の弾性体であるシール部材5が取り付けられている。シール部材5は、回転部2の筐体2aの先端部2a4に圧接されており、回転部2とフランジ部4との接続部においてトナーや空気が漏れることを抑制する。これにより補給容器1の気密性が保たれて排出口4b1を介した空気の出入りが適切に行われやすくなる。
【0032】
またフランジ部4の筐体4aの上面において、シール部材5と対向する位置には、通気孔4a1が形成されている。即ち通気孔4a1は、回転部2の回転軸線方向において、シール部材5と重なる位置に配置されている。通気孔4a1は、フランジ部4の筐体4aの上面に形成され、筐体4aの厚み方向に貫通する孔である。また通気孔4a1は、筐体4aにおけるトナーを収容する空間であるバッファ部4cを形成する部分の外部に配置されているため、バッファ部4cを含む補給容器1におけるトナーを収容する空間の密封性は保たれる。通気孔4a1の機能については後述する。
【0033】
またフランジ部4の内部には、ポンプ部8が設けられている。ポンプ部8は、往復動に伴って容積が変化する容積可変型のポンプであり、本実施形態では山折り部と谷折り部が周期的に交互に複数形成されたポリプロピレン樹脂製の蛇腹状ポンプを用いている。
【0034】
ポンプ部8によりトナーを補給する際は、まずポンプ部8が収縮状態から伸張状態となる吸気動作が行われる。補給容器1の内部のトナーが収容される空間は、排出口4b1を除いて密閉されており、また排出口4b1はトナーにより閉塞されている。従って、吸気動作よる補給容器1の容積増加に伴って、補給容器1の内圧が減少して外気圧より低くなり、この気圧差によって補給容器1の外部の空気が排出口4b1を介して内部に取り込まれる。
【0035】
次に、ポンプ部8が伸張状態から収縮状態となる排気動作が行われる。この排気動作に伴って補給容器1の容積が減少し、補給容器1の内圧が上昇する。これにより補給容器1の内圧が外気圧より高くなり、この圧力差によって排出口4b1からトナーが押し出されて排出される。この時、排出口4b1からはトナーと共に空気も排出されるため、排気動作の後に補給容器1の内圧は低下する。
【0036】
このようにポンプ部8は、補給容器1の容積を回転部2の回転軸線方向に変化させて吸気動作と排気動作を交互に行い、補給容器1の内部に向かう気流と外部に向かう気流を交互に発生させることでトナーの補給動作を行う。なお、ポンプ部8の吸気動作と排気動作に伴い、排出口4b1の近傍のトナーには空気が含まれて嵩密度が低下し、トナーが流動化されて排出口4b1の詰まりが抑制される。
【0037】
またポンプ部8を往復動させる駆動力は、次に説明する構成により、補給容器1を回転させる駆動力から変換される。即ち図6に示す様に、回転部2の筐体2aの外周面には、カム溝2a5が全周に亘って形成されている。カム溝2a5には、ポンプ部8と連結された係合部材7が係合している。回転部2が回転すると、係合部材7はカム溝2a5の形状に沿って移動する。ここでカム溝2a5には、回転部2が回転するにつれて係合部材7が回転部2の回転軸線方向の一方側に移動する溝部2a5xと、他方側に移動する溝部2a5yが含まれている。このような構成により、回転部2の回転に伴って係合部材7が回転部2の回転軸線方向に往復動し、係合部材7に連結されたポンプ部8が回転部2の回転軸線方向に往復動をする。
【0038】
またカム溝2a5には、周方向にストレートに延びる溝部2a5zが含まれている。補給容器1の補給動作が終了し、回転部2の回転が停止する時、係合部材7が溝部2a5zに位置するように駆動の制御が行われる。これにより補給動作終了後の惰性によって回転部2が回転する場合でも、ポンプ部8が往復動しないため、補給容器1から排出されるトナーの量を均一化させることができる。
【0039】
なお、図7に示す様に、本実施形態における補給容器1の回転軸線方向の各寸法は、回転部2の全長L1は約460mm、バッファ部4cの長さL2は約21mm、ポンプ部8の伸張状態の全長L3は約40mm、収縮状態の全長L4は約24mmである。また回転部2の外径R1は約60mm、ポンプ部8の外径R2は約45mmである。またポンプ部8の伸縮時の容積変化量は5cmである。
【0040】
また回転部2の筐体2aやフランジ部4の筐体4a、ポンプ部8の材質は上述した材質に限られるものではない。即ち伸縮機能を発揮して容積変化に耐え得る素材であれば、例えばABS樹脂、ポリエステル、ポリエチレンなどの他の樹脂や、金属、ゴム等の伸縮性材料としてもよい。回転部2の筐体2aやフランジ部4の筐体4a、ポンプ部8を同じ材質とする構成や、両者を射出成形法やブロー成形法などにより一体的に成形する構成としてもよい。また回転部2の断面形状は円形に限られず、補給動作における回転動作に影響を与えなければ楕円形状や多角形状などの非円形状としてもよい。
【0041】
<ホルダ>
次に、ホルダ10の構成について説明する。
【0042】
図8(a)は、ホルダ10の斜視図である。図8(b)はホルダ10の断面図である。図8に示す様に、ホルダ10は、補給容器1が装着される空間である装着部10aを有する。補給容器1は、装着部10aに対して、回転部2の回転軸線方向から挿入されることで装着される。また補給容器1の内部のトナーが無くなると、補給容器1は装着部10aから取り外され、新たな補給容器1が装着部10aに装着される。
【0043】
またホルダ10は、その底面から上方に突出し、フランジ部4の回転を規制する回転規制部10bを有する。補給容器1がホルダ10の装着部10aに装着されると、補給容器1のフランジ部4の筐体4aの一部が回転規制部10bに嵌合し、フランジ部4の回転が規制される。なお、ホルダ10は補給容器1の回転部2の回転を規制する部分を有していないため、回転部2はホルダ10に装着された状態で回転することができる。
【0044】
またホルダ10は、補給容器1が装着される際に補給容器1のフランジ部4のシャッタ4bと突き当たる突当部10cを有する。シャッタ4bが突当部10cに突き当たると、シャッタ4bは回転部2の回転軸線方向にスライド移動し、これに伴ってシャッタ4bに形成された排出口4b1も移動し、貯留部4dと排出口4b1とが連通する。
【0045】
またホルダ10に補給容器1が装着されると、補給容器1の排出口4b1と、ホルダ10に形成され、排出口4b1から排出されたトナーが通過する通過口10dが連通する。これにより補給容器1からホッパ50までのトナーの経路が形成され、補給容器1からホッパ50へトナーの排出が可能となる。なお、通過口10dの直径は、トナーによるホルダ10の汚れを可及的に防止するためにピンホールとして約2mmに設定されている。
【0046】
またホルダ10には、補給容器1の回転部2に形成されたギア部2a3と噛み合うギア300が取り付けられている。図11に示すCPU61がモータドライバ66を介して駆動モータ67を駆動させると、駆動モータ67の駆動力が不図示の駆動ギア列を介してギア300に伝達される。その後、この駆動力はギア300から補給容器1の回転部2のギア部2a3に伝達されて回転部2が回転する。
【0047】
なお、本実施形態では、補給動作を一度行う毎に補給容器1の回転部2が180度回転するように設定されている。またギア300は一方向にのみ回転するように設定されているため、CPU61は駆動モータ67の制御に際してON/OFFの切り替えのみを行う構成となっている。なお、補給容器1に駆動力を伝達する構成はこれに限られず、例えば公知のカップリング機構などを用いてもよい。
【0048】
<シール部材の冷却構成>
ここで補給容器1において、シール部材5における回転部2との摺動部は、回転部2の回転に伴う摩擦により発熱する。これによりシール部材5が昇温し、シール部材5の周囲のトナーは加熱され、回転部2の回転状況やトナーの融点によってはトナーが溶融するおそれがある。このようにトナーが溶融する場合、回転部2の回転が停止した後、溶融したトナーが冷えてシール部材5に固着し、回転部2の回転性を悪化させるおそれがある。また固着したトナーが現像器3に補給されると、現像器3による現像品質が低下し、画像品質が低下するおそれがある。そこで本実施形態では、次に説明する構成により、シール部材5を冷却する。
【0049】
図9は、ホルダ10に装着された状態の補給容器1の斜視図であり、補給容器1とホルダ10の一部を切断した状態の斜視図である。図9に示す様に、ホルダ10には、ファン15が設けられている。またホルダ10には、ファン15により生成された気流を案内するダクト部10eが形成されている。
【0050】
補給容器1がホルダ10の装着部10aに装着された状態で、ダクト部10eの出口10e1は、補給容器1におけるフランジ部4の筐体4aに形成された通気孔4a1と対向する位置に配置されている。これによりファン15により生成された気流は、ダクト部10eと通気孔4a1を介してシール部材5に送り込まれ、シール部材5が冷却される。
【0051】
このようにシール部材5が冷却することで、シール部材5の周囲のトナーが加熱されることを抑制し、トナーが溶融することを抑制することができる。従って、溶融したトナーが冷えてシール部材5に固着して回転部2の回転性を悪化させることや、固着したトナーが現像器3に補給されて画像品質が低下することを抑制することができる。
【0052】
またフランジ部4の上面に通気孔4a1を形成することで、ファン15が動作していない場合でも、シール部材5の昇温に伴って加熱されたシール部材5の空気が膨張して上昇し、通気孔4a1とダクト部10eを通ってホルダ10の外部まで排出される。従って、シール部材5の昇温に伴って加熱された空気がフランジ部4の筐体4aの内部に留まってトナーが加熱されることを抑制することができる。
【0053】
またファン15に生成され、シール部材5に送り込まれた気流は、フランジ部4の下方へと抜けていくように構成されている。図10は、補給容器1を回転部2の回転軸線に直交する断面で切断した断面図である。図10において、ファン15に生成され、シール部材5に送り込まれた気流は、黒色の矢印で示されている。
【0054】
図10に示す様に、フランジ部4の筐体4aの外郭部4a2は、シール部材5や回転部2の筐体2aと隙間を隔てて設けられている。つまり筐体4aの内側において、筐体4aにおけるトナーを収容する空間であるバッファ部4cを形成する部分の外部には、回転部2の回転方向の全域に亘って隙間が形成されている。従って、ファン15に生成された気流は、通気孔4a1を介してシール部材5に送り込まれた後、フランジ部4の筐体4aに沿って上記隙間を通り、フランジ部4の下方へ導かれる。このため、ファン15に生成され、シール部材5に送り込まれた気流により、バッファ部4cに収容されたトナーを冷却することができ、トナーが溶融することを抑制することができる。
【0055】
なお、本実施形態では、ホルダ10に対してファン15とダクト部10eを一体的に設けるについて説明したものの、本発明はこれに限られるものではない。即ち、ファン15やダクト部10eをホルダ10とは別に設ける構成としても、上記同様の効果を得ることができる。
【0056】
また本実施形態では、フランジ部4の筐体4aに一つの通気孔4a1の形成する構成について説明したものの、本発明はこれに限られず、筐体4aの剛性などに応じて通気孔4a1の数を適宜変更してもよい。但し、ダクト部10eの出口10e1の断面積に対する通気孔4a1の断面積の比が低いと空気抵抗が大きくなって冷却効果も下がるため、上記比をできるだけ大きくするのが好ましい。
【0057】
またファン15を定着器114などが備えるヒータの近傍に配置する場合、高温の空気が補給容器1に取り込まれて冷却効果が下がる可能性がある。このため、できるだけ外気を直接取り込める位置にファン15を配置するのが好ましい。またダクト部10eの形状は適宜変更可能であるものの、例えば直線形状や緩やかな曲線形状など、できるだけ空気抵抗の少ない形状が好ましい。
【0058】
<制御部>
次に、画像形成装置Aのシステム構成について説明する。
【0059】
図11は、画像形成装置Aのシステム構成の一部を示すブロック図である。図11に示す様に、画像形成装置Aは、演算処理を行うCPU61(制御部)と、各種の制御プログラムなどが格納されているROM62と、CPU61が演算に用いるデータが一時的に格納されるRAM63を備える。RAM63は、不揮発性メモリであり、画像形成装置Aの電源をOFFにしても記憶された情報が保持される。
【0060】
また画像形成装置Aは、その設置環境の温度を検出する機外温度センサ69と、画像形成装置Aの内部の温度を検出する機内温度センサ68(温度検出部)を備える。機内温度センサ68、機外温度センサ69は、CPU61に接続されている。機内温度センサ68、機外温度センサ69は、画像形成装置Aの電源がONの状態で温度を逐次検出し、検出した温度情報をCPU61に入力する。
【0061】
またCPU61には、モータドライバ64、66を介して、ファンモータ65、駆動モータ67が接続されている。またCPU61には、トナーセンサ70が接続されている。CPU61は、機内温度センサ68、機外温度センサ69、トナーセンサ70の検出結果に基づいて、ROM62に格納された制御プログラムに従い、モータドライバ64、66を介して、ファンモータ65や駆動モータ67を制御する。
【0062】
またCPU61には、画像形成部100の各デバイスや、画像形成部100に向けてシートSを給送するシート給送部130が接続されている。シート給送部130は、ピックアップローラ107、給送ローラ120、レジストローラ110など搬送パス109に配置される各ローラ等で構成される。CPU61は、シート給送部130を構成するローラを駆動させる不図示のモータを制御し、シートSの給送の制御や、先行するシートSと後行するシートSとの間の間隔である紙間の設定を行う。
【0063】
<温度予測シーケンス>
次に、後述する昇温抑制シーケンスで用いられるシール部材5の予測温度Tを算出する温度予測シーケンスについて、図12のフローチャートを用いて説明する。図12に示す様に、まずCPU61は、画像形成装置Aの電源がONにされると、機内温度センサ68により検出された温度情報を受信する(S1)。CPU61は、受信した温度情報に基づいて、シール部材5の周囲の予測温度TAを、予めROM62に記憶された相関係数を用いて補正して算出する(S2)。なお、上記の相関係数を画像形成装置Aが備えるヒータやファンの駆動状況に応じて変更することで、予測温度TAの検出精度を向上させることができる。
【0064】
次に、CPU61は、補給容器1の駆動情報を検出する(S3)。本実施形態では、CPU61は、補給容器1の駆動情報として、補給容器1の回転角度を検出する。上述した通り、補給容器1は一回の補給動作で180度回転するため、CPU61は、駆動モータ67がステッピングモータの場合、補給動作を行う際のパルスから補給動作の回数をカウントし、所定時間内の補給容器1の回転角度を検出する。その後、CPU61は、補給容器1の駆動情報と、ROM62に予め記憶された補給容器1の回転抵抗の情報に基づいて、シール部材5における回転部2との摺動部分の発熱量Wを算出する(S4)。なお、補給容器1の駆動情報を検出する方法はこれに限られず、例えばフラグ式の光学センサや回転検出素子によって補給容器1の回転情報を検出する構成としてもよい。
【0065】
次にCPU61は、シール部材5の周囲の予測温度TAと発熱量Wに基づいて、次の式1を用いてシール部材5の予測温度Tを算出する(S5)。式1において、Cはシール部材5の熱容量、Kはシール部材5の熱交換係数である。CPU61は、画像形成装置Aの電源がONの時、このようにシール部材5の予測温度Tを逐次算出する。
【0066】
(式1)
T=TA+W/C-K×(T-TA)/C・・・(1)
【0067】
なお、本実施形態では、機内温度センサ68の検出温度と補給容器1の駆動情報に基づいてシール部材5の予測温度Tを算出する構成について説明したものの、本発明はこれに限られるものではない。即ち、例えば機内温度センサ68ではなく、機外温度センサ69により検出された温度情報に基づいてシール部材5の周囲の予測温度TAを算出し、この予測温度TAから式1を用いてシール部材5の予測温度Tを算出する構成としてもよい。また式1を用いるのではなく、機内温度センサ68の検出温度とシール部材5の予測温度Tとを関連付けたテーブルを実験データから作成してROM62に記憶し、機内温度センサ68の検出温度からシール部材5の予測温度Tを求める構成としてもよい。
【0068】
<昇温抑制シーケンス>
補給容器1のシール部材5の昇温を抑制する昇温抑制シーケンスについて、図13に示すフローチャートを用いて説明する。
【0069】
図13に示す様に、まずCPU61は、上述した温度予測シーケンスを実行し、シール部材5の予測温度Tの監視を開始する(S11)。次に、CPU61は、予測温度TがROM62に予め記憶された閾値α1(第1閾値)より高いか否かを判定する(S12)。本実施形態では、閾値α1は42℃に設定されている。CPU61は、予測温度Tが閾値α1より高いと判定する場合、モータドライバ64に対してファンモータ65の駆動を指示し、ファン15を駆動させる(S13)。
【0070】
次に、CPU61は、新たに算出された予測温度Tが閾値α2(第3閾値)より高いか否かを判定する(S14)。閾値α2は、閾値α1より高い温度であり、トナーの溶融が懸念される温度であり、本実施形態では45℃に設定されている。ここでCPU61は、予測温度Tが閾値α2以下と判定する場合、予測温度Tが閾値α3(第2閾値)未満となるまでファン15の駆動を継続させる(S15)。閾値α3は、閾値α1及び閾値α2より低い温度であり、本実施形態では40℃に設定されている。
【0071】
次に、CPU61は、予測温度Tが閾値α3以下と判定する場合、モータドライバ64に対してファンモータ65の駆動停止を指示する(S16)。これによりファン15の駆動が停止される。このようにシール部材5の予測温度Tに応じてファン15を駆動させることで、ファン15を常時駆動させる構成と比較して、消費電力を抑えつつ、シール部材5の昇温を抑制することができる。また画像形成装置Aを静音化することができる。さらにファン15を駆動させる温度である閾値α1よりも、駆動を停止させる温度である閾値α3を低い温度とすることで、ファン15の駆動と駆動停止とが頻繁に繰り返されることを抑制することができる。
【0072】
一方、CPU61は、ステップS14において予測温度Tが閾値α2より高いと判定する場合、画像形成動作を実行中であるか否かを判定する(S17)。ここでCPU61は、画像形成動作を実行中の場合、新たに算出された予測温度Tが閾値α4未満となるまで画像形成動作の停止を画像形成部100に指示する(S18、S19)。閾値α4は、閾値α2より低い温度であり、本実施形態では42℃に設定されている。その後、CPU61は、新たに算出された予測温度Tが閾値α4未満であると判定したタイミングで画像形成動作の再開を画像形成部100に指示する(S20)。
【0073】
このようにファン15を駆動させても温度が下がらず、トナーの溶融が懸念される場合に、予測温度Tが下がるまで画像形成動作を停止させる。このような構成により、ファン15のみではシール部材5の昇温を抑制し切れない場合であっても、シール部材5の昇温の抑制を図ることができる。
【0074】
(第2実施形態)
次に、本発明に係る画像形成装置の第2実施形態について図を用いて説明する。第1実施形態と説明の重複する部分については、同一の図面、同一の符号を用いて説明を省略する。
【0075】
本実施形態の構成は、第1実施形態の構成と、図13に示す昇温抑制シーケンスにおけるステップS13、S16の部分のみ異なり、その他の構成は同様である。以下、本実施形態の昇温抑制シーケンスについて、図14に示すフローチャートを用いて説明する。なお、以下の説明において、第1実施形態で図13を用いて説明した工程と同じ処理を行う工程については、同じ符号を付してその説明を省略又は簡略化する。
【0076】
図14に示す様に、CPU61は、予測温度Tが閾値α1より高いと判定する場合、ステップS21において、1分間当たりの画像形成枚数を通常よりも減少させるCPM規制モードを実行する。具体的には、CPU61は、シート給送部130を制御し、先行するシートSと後行するシートSとの間の間隔である紙間を長くして画像形成の生産性を低下させる。またCPU61は、予測温度Tが閾値α3以下と判定する場合、ステップS22において、CPM規制モードを解除する。
【0077】
このようにシール部材5の予測温度Tが所定の温度より高い場合に単位時間当たりの画像形成枚数を減少させることで、トナーの使用量が減少し、現像剤補給装置90によるトナーの補給動作の頻度が減少する。従って、補給容器1の回転する頻度も減少するため、シール部材5の昇温を抑制することができる。またシール部材5の昇温の抑制に際して他の部材を別途駆動させる構成ではないため、シール部材5の昇温の抑制に伴って消費電力が増加することもない。
【0078】
なお、CPM規制モードにより単位時間当たりの画像形成枚数を減少させる具体的な方法は、本実施形態の方法に限られるものではない。即ち、例えば現像剤補給装置90によるトナーの補給間隔を強制的に長くしてダウンシーケンスに突入させる方法など、実質的に画像形成の生産性を低下させる構成としてもよい。またCPM規制モードではなく、現像剤補給装置90によるトナーの補給間隔を強制的に長くして、補給容器1の回転する頻度を強制的に減少させ、シール部材5の昇温を抑制する構成としてもい。
【0079】
(第3実施形態)
次に、本発明に係る画像形成装置の第3実施形態について図を用いて説明する。第1実施形態、第2実施形態と説明の重複する部分については、同一の図面、同一の符号を用いて説明を省略する。
【0080】
本実施形態では、昇温抑制シーケンスにおいて、ファン15の制御とCPM規制モードの双方を実行する。以下、本実施形態の昇温抑制シーケンスについて、図15に示すフローチャートを用いて説明する。なお、以下の説明において、第1実施形態、第2実施形態で図13図14を用いて説明した工程と同じ処理を行う工程については、同じ符号を付してその説明を省略又は簡略化する。
【0081】
図15に示す様に、まずCPU61は、上述した温度予測シーケンスにより、シール部材5の予測温度Tの監視を開始する(S11)。次に、CPU61は、予測温度Tが閾値α1(第1閾値)より高いと判定する場合、モータドライバ64に対してファンモータ65の駆動を指示し、ファン15を駆動させる(S12、S13)。その後、CPU61は、新たに算出された予測温度Tが閾値α5(第2閾値)よりも高いか否か判定する(S31)。閾値α5は、閾値α1より高く、閾値α2より低い温度であり、本実施形態では43℃に設定されている。
【0082】
ここでCPU61は、予測温度Tが閾値α5以下と判定する場合、予測温度Tが閾値α6(第3閾値)未満となるまでファン15の駆動を継続させる(S32)。閾値α6は、閾値α1~α5より低い温度であり、本実施形態では39℃である。その後、CPU61は、予測温度Tが閾値α6未満と判定する場合、モータドライバ64に対してファンモータ65の駆動停止を指示し、ファン15の駆動を停止させる(S16)。
【0083】
一方、CPU61は、ステップS31において予測温度Tが閾値α5より高いと判定する場合、第2実施形態と同様のCPM規制モードを実行する(S21)。次に、CPU61は、新たに算出された予測温度Tが閾値α2より高いか否かを判定する(S14)。CPU61は、予測温度Tが閾値α2以下と判定する場合、予測温度Tが閾値α3未満の場合にはCPM規制モードを解除してステップS32に移行する(S15、S22)。
【0084】
これに対してCPU61は、ステップS14において予測温度Tが閾値α2(第4閾値)より高いと判定する場合、画像形成動作を実行中であるか否かを判定する(S17)。ここでCPU61は、画像形成動作を実行中の場合、新たに算出された予測温度Tが閾値α4未満となるまで画像形成動作の停止を画像形成部100に指示する(S18、S19)。その後、CPU61は、新たに算出された予測温度Tが閾値α4未満であると判定したタイミングで画像形成動作の再開を画像形成部100に指示する(S20)。なお、この時の画像形成動作は、CPM規制モードを実行した状態の画像形成動作である。
【0085】
このように本実施形態の構成によれば、ファン15を駆動させてもシール部材5の温度が下がらない場合にCPM規制モードを実行し、CPM規制モードを実行してもシール部材5の温度が下がらない場合に画像形成動作を停止させる。このような構成により、ファン15の駆動によりシール部材5の温度が下がらない場合に直ちに画像形成動作を停止させる構成と比較して、画像形成動作を停止させる頻度が減るため、ユーザビリティを向上させることができる。
【0086】
なお、第1実施形態、第2実施形態、第3実施形態の昇温抑制シーケンスにおいて、閾値α1~α6の大小関係に関しては上述した関係が好ましい。しかしながら、これらの具体的な値に関しては、トナーの耐熱性や補給容器1の構成、駆動条件(発熱量)などに応じて適宜変更してもよい。
【符号の説明】
【0087】
1…補給容器(収容部材)
2…回転部
3…現像器(現像部)
4…フランジ部(非回転部)
4a…筐体(収容部材の筐体)
4a1…通気孔
4b1…排出口(排出部)
5…シール部材(弾性体)
10a…装着部
10e…ダクト部(ダクト)
10e1…出口(ダクトの出口)
15…ファン
61…CPU(制御部)
68…機内温度センサ(温度検出部)
104…感光ドラム(感光体)
A…画像形成装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15