(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-12
(45)【発行日】2024-03-21
(54)【発明の名称】サーバ、温度調整装置、および温度制御システム
(51)【国際特許分類】
A01K 1/015 20060101AFI20240313BHJP
A01K 29/00 20060101ALI20240313BHJP
【FI】
A01K1/015 A
A01K29/00 B
(21)【出願番号】P 2019219991
(22)【出願日】2019-12-05
【審査請求日】2022-09-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147304
【氏名又は名称】井上 知哉
(72)【発明者】
【氏名】藤田 司
(72)【発明者】
【氏名】野地 克哉
(72)【発明者】
【氏名】宮田 昭雄
(72)【発明者】
【氏名】加藤 文章
【審査官】坂田 誠
(56)【参考文献】
【文献】韓国登録実用新案第20-0485552(KR,Y1)
【文献】特開2016-86766(JP,A)
【文献】特開2011-99622(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 1/015
A01K 1/035
A01K 29/00
F24F 11/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
動物が接触可能な被調整物の温度を調整する温度調整装置と、前記温度調整装置に予め対応付けられた無線通信機器であるユーザ端末とに、ネットワークを介して接続されるサーバであって、
前記温度調整装置を含む少なくとも一つの機器から、前記動物に適した
前記被調整物の温度
調整に関連す
る関連情報を取得する情報取得部と、
取得された前
記関連情報に基づいて、前記被調整物の温度調整に関する複数の制御態様の中から推奨態様を決定する態様決定部と、
決定された前記推奨態様を、前記温度調整装置を操作するための操作部とは別に設けられた前記ユーザ端末に前記ネットワークを介して提示する態様提示部と、
前記ユーザ端末から前記ネットワークを介して前記推奨態様の実行要求を受け付けた場合、前記推奨態様に基づく前記温度調整の実行を、前記温度調整装置に指示する態様指示部と、を備え
、
前記動物に適した前記被調整物の温度調整に関連する関連情報は、
前記動物が前記被調整物に接触しているか否かを示す情報と、
前記動物に適した温度である推奨温度が予め対応付けられた前記動物の種別および前記動物の体毛の長さの少なくとも一つを示す情報と、
前記少なくとも一つの機器に含まれ、前記温度調整装置と予め対応付けられた連携機器であるエアコン、動物用給水器、または空気清浄機で検知された機器情報と、
金属製のプレートである前記被調整物に結露を生じさせる環境要素に関する環境情報とのうち、いずれかの情報であり、
前記機器情報は、前記動物に適した温度である推奨温度を推定するための情報であり、前記エアコンで検知された前記温度調整装置が配置された空間を冷やすもしくは暖めることを示す運転情報、前記動物用給水器で検知された前記動物への給水頻度を示す情報、または前記空気清浄機で検知された前記空間の湿度を示す情報であるサーバ。
【請求項2】
前
記関連情報は、前記動物が前記被調整物に接触しているか否かを示す情報
である場合、
前記態様決定部は、取得された前
記関連情報に基づいて、前記動物が前記被調整物に接触しているか否かに応じた前記推奨態様を決定する、
請求項1に記載のサーバ。
【請求項3】
前
記関連情報は、前記動物の
種別および前記動物の体毛の長さの少なくとも一つを示す情報
である場合、
前記態様決定部は、取得された前
記関連情報に基づいて、前記動物の
種別および前記動物の体毛の長さの少なくとも一つを示す情報に応じた前記推奨態様を決定する、
請求項1に記載のサーバ。
【請求項4】
前記関連情報は、前記連携機器で検知された
前記機器情報
である場合、
前記態様決定部は、取得された前記機器情報に基づいて前記推奨態様を決定する、
請求項1に記載のサーバ。
【請求項5】
前
記関連情報は、
前記環境情報
である場合、
前記態様決定部は、取得された前記環境情報に基づいて前記推奨態様を決定する、
請求項1に記載のサーバ。
【請求項6】
請求項1から5の何れか一項に記載のサーバに接続可能な温度調整装置であって、
前記被調整物が設けられた筐体と、
前記筐体に設けられており操作を入力する前記操作部である物理キーとを備え、
前記物理キーは、前記筐体の表面から露出しないように設けられた、
温度調整装置。
【請求項7】
サーバと、前記サーバにネットワークを介して接続される温度調整装置と、前記サーバに前記ネットワークを介して接続される無線通信機器であるユーザ端末とを含む温度制御システムであって、
前記温度調整装置は、動物が接触可能な被調整物の温度を調整し、
前記サーバは、
前記温度調整装置を含む少なくとも一つの機器から、前記動物に適した
前記被調整物の温度
調整に関連す
る関連情報を取得する情報取得部と、
取得された前
記関連情報に基づいて、前記被調整物の温度調整に関する複数の制御態様の中から推奨態様を決定する態様決定部と、
決定された前記推奨態様を、前記温度調整装置と予め対応付けられ、かつ前記温度調整装置を操作するための操作部とは別に設けられた前記ユーザ端末に前記ネットワークを介して提示する態様提示部と、
前記ユーザ端末から前記ネットワークを介して前記推奨態様の実行要求を受け付けた場合、前記推奨態様に基づく前記温度調整の実行を、前記温度調整装置に指示する態様指示部と、
を備え
、
前記動物に適した前記被調整物の温度調整に関連する関連情報は、
前記動物が前記被調整物に接触しているか否かを示す情報と、
前記動物に適した温度である推奨温度が予め対応付けられた前記動物の種別および前記動物の体毛の長さの少なくとも一つを示す情報と、
前記少なくとも一つの機器に含まれ、前記温度調整装置と予め対応付けられた連携機器であるエアコン、動物用給水器、または空気清浄機で検知された機器情報と、
金属製のプレートである前記被調整物に結露を生じさせる環境要素に関する環境情報とのうち、いずれかの情報であり、
前記機器情報は、前記動物に適した温度である推奨温度を推定するための情報であり、前記エアコンで検知された前記温度調整装置が配置された空間を冷やすもしくは暖めることを示す運転情報、前記動物用給水器で検知された前記動物への給水頻度を示す情報、または前記空気清浄機で検知された前記空間の湿度を示す情報である温度制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サーバ、温度調整装置、および温度制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1は、犬や猫その他の愛玩動物を対象とする冷却ベッド装置を開示する。特許文献2は、小容量の電子冷却部材を使用することができ、安価になり、消費電力が小さくなる動物用冷暖房装置を開示する。特許文献3は、ハムスターなどの小動物や犬や猫が涼む習性に合わせた、寝そべって体を冷やすことができる熱伝導板を備えた冷暖房装置を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実開平5-007068号公報
【文献】特開平10-191820号公報
【文献】特開2009-291165号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1~3に開示された装置では、ユーザが例えば外出時などで動物から離隔している場合、その動物に適した温度調整が行われているかを把握することが困難であった。本開示の一態様は、例えば動物から離隔しているユーザに、その動物に適した温度調整を提示できるサーバ、温度調整装置、および温度制御システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様のサーバは、動物が接触可能な被調整物の温度を調整する温度調整装置を含む少なくとも一つの機器から、前記動物に関連する少なくとも一つの関連情報を取得する情報取得部と、取得された前記少なくとも一つの関連情報に基づいて、前記被調整物の温度調整に関する複数の制御態様の中から推奨態様を決定する態様決定部と、決定された前記推奨態様を、前記温度調整装置と予め対応付けられたユーザ端末に提示する態様提示部と、を備える。
【0006】
本発明の一態様の温度制御システムは、温度調整装置とサーバとを含む温度制御システムであって、前記温度調整装置は、動物が接触可能な被調整物の温度を調整し、前記サーバは、前記温度調整装置を含む少なくとも一つの機器から、前記動物に関連する少なくとも一つの関連情報を取得する情報取得部と、取得された前記少なくとも一つの関連情報に基づいて、前記被調整物の温度調整に関する複数の制御態様の中から推奨態様を決定する態様決定部と、決定された前記推奨態様を、前記温度調整装置と予め対応付けられたユーザ端末に提示する態様提示部と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】第一実施形態における温度制御システムの一例を示す図である。
【
図2】温度調整装置の電気的構成の一例を示す図である。
【
図3】サーバの制御部の機能的構成の一例を示す図である。
【
図4】第一実施形態の温度調整装置で実行されるメイン処理フローの一例である。
【
図5】第一実施形態のサーバで実行されるメイン処理フローの一例である。
【
図6A】第一実施形態における温度調整装置の動作態様を示すタイミングチャートである。
【
図6B】第一実施形態における温度調整装置の動作態様を示すタイミングチャートである。
【
図7】第二実施形態の温度調整装置で実行されるメイン処理フローの一例である。
【
図8】第二実施形態のサーバで実行されるメイン処理フローの一例である。
【
図9】第二実施形態における温度調整装置の動作態様を示すタイミングチャートである。
【
図10】第三実施形態における制御パターンテーブルのデータ構成の一例を示す図である。
【
図11】第三実施形態の温度調整装置で実行されるメイン処理フローの一例である。
【
図12】第三実施形態のサーバで実行されるメイン処理フローの一例である。
【
図13】第四実施形態における温度制御システムの一例を示す図である。
【
図14】第四実施形態のサーバで実行されるメイン処理フローの一例である。
【
図15】第五実施形態のサーバで実行されるメイン処理フローの一例である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、図面については、同一または同等の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0009】
(第一実施形態)
本発明の第一実施形態について説明する。
図1は、第一実施形態の温度制御システム100の一例を示す図である。
図1に示すように、温度制御システム100は、温度調整装置101、サーバ102、ユーザ端末103を含む。温度調整装置101は、動物が接触可能な被調整物112の温度を調整する機器である。サーバ102は、ネットワーク104を介して、温度調整装置101とユーザ端末103とに接続される。ユーザ端末103は、ユーザが携行して操作可能な無線通信機器であり、例えば携帯電話、スマートフォン、タブレットが例示される。
【0010】
図1および
図2を参照して、温度調整装置101の詳細を説明する。
図2は、温度調整装置101の電気的構成の一例を示す図である。
図1に示すように、温度調整装置101の筐体111には、被調整物112およびセンサ部113が設けられる。被調整物112は、動物が接触可能な熱伝導性の高い部材であり、例えばその上面に動物が乗ることができる金属製の平板(例えば、アルミプレート)である。温度調整装置101は、被調整物112の温度を調整することで、被調整物112に接触している動物を温めたり冷やしたりすることができる。センサ部113は、温度調整装置101またはこれを使用する動物に関する情報を検知可能な各種センサを含む。
【0011】
図2に示すように、温度調整装置101は、制御部201、記憶部202、通信部203、温度調整部204等を有する。制御部201は、例えばCPUで構成され、記憶部202に格納されるプログラムに従って各種の情報処理を実行することで、温度調整装置101の制御を司る。制御部201は、MCU、MPU等でもよい。記憶部202は、プログラムおよびデータを記憶可能な非一過性の記憶媒体であり、例えばフラッシュメモリである。通信部203は、ネットワーク104に接続して通信するためのインタフェースである。温度調整部204は、制御部201の温度制御に応じて、被調整物112を加熱および冷却することが可能であり、例えばペルチェ素子のような熱電素子である。なお温度調整部204は、加熱および冷却の何れか一つを実行可能でもよい。
【0012】
図1および
図3を参照して、サーバ102の詳細を説明する。
図3は、サーバ102の制御部121の機能的構成の一例を示す図である。
図1に示すように、サーバ102は、制御部121、記憶部122、通信部123を含む。制御部121は、例えばCPU、RAM、ROM等を含み、サーバ102の制御を司る。記憶部122は、プログラムおよびデータを記憶可能な非一過性の記憶媒体であり、例えばHDDによって構成される大容量の不揮発性メモリである。制御部121は、記憶部122に格納されるプログラムおよびデータに従って、各種処理を実行する。通信部123は、ネットワーク104に接続して通信するためのインタフェースである。
【0013】
本実施形態では、制御部121がプログラムを実行することで、
図3に例示する各機能ブロックが実現される。本実施形態の制御部121は、例えば、情報取得部301、態様決定部302、態様提示部303、態様指示部304として機能する。
【0014】
情報取得部301は、温度調整装置101を含む少なくとも一つの機器から、動物に関連する少なくとも一つの関連情報を取得する。態様決定部302は、取得された少なくとも一つの関連情報に基づいて、被調整物112の温度調整に関する複数の制御態様の中から推奨態様を決定する。態様提示部303は、決定された推奨態様を、温度調整装置101と予め対応付けられたユーザ端末103に提示する。態様指示部304は、ユーザ端末103から推奨態様の実行要求を受け付けた場合、推奨態様に基づく温度調整の実行を、温度調整装置101に指示する。なお、関連情報および推奨態様の具体的態様については、別途後述する。
【0015】
第一実施形態の温度制御システム100で実行される処理フローの一例について説明する。
図4は、第一実施形態の温度調整装置101で実行されるメイン処理フローの一例である。本例では、温度調整装置101が電源オンされると、制御部201は以下のメイン処理を開始する。なお、温度調整装置101の記憶部202には、ユーザ等が予め設定した目標温度およびタイマ設定が記憶されている。本例ではタイマ設定として、第一タイマ時間および第二タイマ時間の何れかを設定可能である。第二タイマ時間(例えば12時間)は第一タイマ時間(例えば4時間)よりも長い。
【0016】
図4に示すように、制御部201は、被調整物112の温度調整を開始する(S401)。例えば、制御部201は目標温度(一例として28℃)に応じて、温度調整部204の加熱および冷却を制御する。制御部201は、記憶部202に記憶されているタイマ設定が第一タイマ時間であるかを判断する(S402)。タイマ設定が第一タイマ時間である場合(S402:YES)、制御部201は、温度調整開始から計測した経過時間が、第一タイマ時間に達したかを判断する(S403)。経過時間が第一タイマ時間に達していない場合(S403:NO)、制御部201は処理をS403に戻すことで、被調整物112の温度調整を継続する。
【0017】
経過時間が第一タイマ時間に達した場合(S403:YES)、制御部201はタイマ終了をサーバ102に通知する(S404)。具体的には、タイマ終了通知がサーバ102に送信される。このように、タイマ設定が第一タイマ時間である場合に、経過時間が第一タイマ時間に達すると、温度調整装置101からサーバ102にタイマ終了が通知される(S402~S404)。なお、S402とS403の実行順序を逆にしても、同様の処理内容を実現できる。
【0018】
制御部201は、S404の実行後、動作延長の指示ありかを判断する(S405)。例えば、サーバ102から後述の動作延長指示を受信した場合、制御部201は動作延長の指示ありと判断し(S405:YES)、被調整物112の温度調整を延長する(S406)。一例として、制御部201は、タイマ設定を第一タイマ時間から第二タイマ時間に切り替えることで、温度調整のタイマ時間を延長する。
【0019】
制御部201は、S406の実行後、温度調整開始から計測した経過時間が第二タイマ時間に達したかを判断する(S407)。制御部201は、記憶部202に記憶されているタイマ設定が第二タイマ時間である場合も(S402:NO)、S407を実行する。経過時間が第二タイマ時間に達していない場合(S407:NO)、制御部201は処理をS407に戻すことで、被調整物112の温度調整を継続する。経過時間が第二タイマ時間に達した場合(S407:YES)、またはサーバ102から動作延長の指示がない場合(S405:NO)、制御部201は温度調整部204の制御を停止して、被調整物112の温度調整を終了する(S408)。以上により、温度調整装置101のメイン処理は終了する。
【0020】
図5は、第一実施形態のサーバ102で実行されるメイン処理フローの一例である。本例では、サーバ102が電源オンされると、制御部121は以下のメイン処理を開始する。
図5に示すように、情報取得部301は、タイマ終了を取得したかを判断する(S501)。例えば情報取得部301は、温度調整装置101から先述のタイマ終了通知を受信すると、タイマ終了を取得したと判断する(S501:YES)。
【0021】
この場合、態様決定部302は、タイマ終了に応じた推奨態様として、温度調整の動作延長を決定する(S502)。態様提示部303は、決定した推奨態様である動作延長を、ユーザ端末103に提示する(S503)。具体的には、動作延長を推奨する提示情報が、タイマ終了の通知元である温度調整装置101に予め対応付けられたユーザ端末103に送信される。
【0022】
これによりサーバ102は、温度調整装置101でタイマ終了が発生した場合、そのタイマ終了に対応する推奨態様である動作延長を、ユーザ端末103に提示できる。例えばユーザ端末103では、受信した提示情報に基づいて、動作延長を促す提示画面が、タイマ終了のメッセージと合わせて表示される。ユーザがこの提示画面において温度調整の動作延長を許可すると、動作延長要求がユーザ端末103からサーバ102に送信される。
【0023】
S503の実行後、態様指示部304は動作延長の要求ありかを判断する(S504)。例えば態様指示部304は、先述の動作延長要求をユーザ端末103から受信した場合、動作延長の要求ありと判断する(S504:YES)。この場合、態様指示部304は、動作延長を温度調整装置101に指示する(S505)。具体的には、動作延長指示が温度調整装置101に送信される。
【0024】
これによりサーバ102は、ユーザの要求に応じて、タイマ終了が発生した温度調整装置101に、推奨態様である動作延長の温度調整を実行させることができる。S505の実行後、処理はS501に戻る。また、温度調整装置101からタイマ終了を取得しない場合(S501:NO)、またはユーザ端末103から動作延長の要求がない場合(S504:NO)、処理はS501に戻る。
【0025】
上記の処理フローに基づいて実行される温度調整装置101の動作態様を具体的に説明する。
図6Aおよび
図6Bは、第一実施形態における温度調整装置101の温度調整態様の一例を示す図である。例えば、タイマ設定が第一タイマ時間である温度調整装置101において、温度調整開始から第一タイマ時間が経過した場合、温度調整装置101からサーバ102にタイマ終了が通知され(S404)、サーバ102からユーザ端末103に動作延長が提示される(S503)。
【0026】
このとき、ユーザ端末103で温度調整の動作延長を許可されなかった場合、
図6Aに示すように、被調整物112の温度調整がそのまま終了される(S405:NO、S408)。一方、ユーザ端末103で温度調整の動作延長を許可された場合、ユーザ端末103からサーバ102に動作延長が要求され(S504:YES)、サーバ102から温度調整装置101に動作延長が指示され(S505)、温度調整装置101で被調整物112の温度調整が延長される(S406)。これにより、
図6Bに示すように、温度調整開始から第二タイマ時間が経過した時点で、被調整物112の温度調整が終了される(S407:NO、S408)。
【0027】
図1に示す例では、ユーザUは動物であるペットP(例えば、犬、猫等)を自宅で飼っている。温度調整装置101は、ユーザUの自宅内に設置されている。例えばペットPによって設定温度等が勝手に変更されないようにするため、温度調整装置101の筐体111のペットが容易に触れることができる箇所には、被調整物112の温度調整を操作するための物理キーが設けられていない。ユーザUは、例えばユーザ端末103のアプリケーションを使用することで、温度調整装置101の温度調整を容易に操作できる。なお、温度調整装置101は、例えば、温度調整の操作を入力するための物理キー、電源のオンオフの操作を入力するための物理キー、ネットワーク接続のトリガを入力するための物理キー、またはその他の操作を入力するための物理キーを備えている。上記の物理キーは、例えば、筐体111の底面、筐体111に設けられた窪み(図示を省略)、または蓋等の保護部材で覆われた箇所(図示を省略)等の、筐体111の表面から露出しない箇所に設けられている。このように、各種操作を入力する物理キーが筐体111の表面から露出しないように設けられることで、ペットPによる操作が困難となる。
【0028】
そして、以上説明した第一実施形態では、関連情報としてタイマ終了通知を例示し、推奨態様として動作延長を例示した。例えばユーザUは、温度調整装置101のタイマ終了時に、ペットPに適した推奨態様(動作延長)の提示を受けることができる。更にユーザUは、提示された推奨態様が適切であると判断した場合、温度調整装置101に温度調整を延長させることで、ペットPに適切な温度環境を提供できる。
【0029】
なお、第一実施形態の変形例として、ユーザがユーザ端末103において温度調整の動作延長を許可する場合に、タイマ時間の延長する時間を任意に指定してもよい。これにより、ユーザが所望する時間だけ、被調整物112の温度調整を延長できる。
【0030】
(第二実施形態)
本発明の第二実施形態について説明する。以下の各実施形態では、第一実施形態と実質的に共通の機能を有する構成および処理を共通の符号で参照して説明を省略し、第一実施形態と異なる点を説明する。第二実施形態では、温度調整装置101のセンサ部113は、動物が被調整物112に接触しているか否かを検知可能であり、人感センサ、接触センサ、赤外センサ、距測センサ、マイクセンサ、重量センサ等が例示される。
【0031】
第二実施形態の温度制御システム100で実行される処理フローの一例について説明する。
図7は、第二実施形態の温度調整装置101で実行されるメイン処理フローの一例である。
図7に示すように、制御部201は温度調整を開始する(S401)。本実施形態では、温度調整部204の加熱および冷却を目標温度に応じて制御する温度調整を、通常運転という。通常運転では、被調整物112を目標温度で冷却または加熱するために必要な電力が、温度調整部204に供給される。制御部201は、S401において通常運転を開始する。
【0032】
次いで、制御部201は通常運転中であるかを判断する(S702)。通常運転中である場合(S702:YES)、制御部201は、非接触状態への変化を検知したかを、センサ部113の検知結果に基づいて判断する(S703)。例えば、センサ部113が被調整物112上の動物を感知する人感センサである場合、センサ部113が感知状態から非感知状態に変化すると、制御部201は非接触状態への変化を検知したと判断する(S703:YES)。
【0033】
この場合、制御部201は状態変化をサーバ102に通知する(S704)。具体的には、状態変化通知がサーバ102に送信される。このように、通常運転中に非接触状態への変化が検知されると、温度調整装置101からサーバ102に状態変化が通知される(S702~S704)。なお、S702とS703の実行順序を逆にしても、同様の処理内容を実現できる。
【0034】
制御部201は、S704の実行後、縮小運転の指示ありかを判断する(S705)。縮小運転は、温度調整部204への供給電力を通常運転時よりも低い値に制御する温度調整である。例えばサーバ102から後述の縮小運転指示を受信した場合、制御部201は縮小運転の指示ありと判断し(S705:YES)、縮小運転を実行する(S706)。S706の実行後、処理はS707に移行する。縮小運転中である場合(S702:NO)、非接触状態への変化を検知しない場合(S703:NO)、またはサーバ102から縮小運転の指示がない場合(S705:NO)、処理はS707に移行する。
【0035】
制御部201は、温度調整開始から計測した経過時間が、記憶部202に記憶されているタイマ時間(例えば12時間)に達したかを判断する(S706)。経過時間がタイマ時間に達していない場合(S707:NO)、制御部201は処理をS702に戻すことで、被調整物112の温度調整を継続する。経過時間がタイマ時間に達した場合(S707:YES)、制御部201は温度調整を終了する(S408)。以上により、温度調整装置101のメイン処理は終了する。
【0036】
図8は、第二実施形態のサーバ102で実行されるメイン処理フローの一例である。
図8に示すように、情報取得部301は状態変化を取得したかを判断する(S801)。例えば情報取得部301は、先述の状態変化通知を温度調整装置101から受信した場合、状態変化を取得したと判断する(S801:YES)。
【0037】
この場合、態様決定部302は、状態変化に応じた推奨態様として、縮小運転を決定する(S802)。即ち態様決定部302は、取得された少なくとも一つの関連情報(状態変化)に基づいて、動物が被調整物112に接触しているか否かに応じた推奨態様(縮小運転)を決定する。態様提示部303は、決定した推奨態様である縮小運転を、ユーザ端末103に提示する(S803)。具体的には、縮小運転を推奨する提示情報が、状態変化の通知元である温度調整装置101に予め対応付けられたユーザ端末103に送信される。
【0038】
これによりサーバ102は、温度調整装置101で状態変化が発生した場合、その状態変化に対応する推奨態様である縮小運転を、ユーザ端末103に提示できる。例えばユーザ端末103では、受信した提示情報に基づいて、縮小運転を促す提示画面が、動物が温度調整装置101から離れた旨のメッセージと合わせて表示される。ユーザがこの提示画面において縮小運転を許可すると、縮小運転要求がユーザ端末103からサーバ102に送信される。
【0039】
S803の実行後、態様指示部304は縮小運転の要求ありかを判断する(S804)。例えば態様指示部304は、先述の縮小運転要求をユーザ端末103から受信した場合、縮小運転の要求ありと判断する(S804:YES)。この場合、態様指示部304は、縮小運転を温度調整装置101に指示する(S805)。具体的には、縮小運転指示が温度調整装置101に送信される。
【0040】
これによりサーバ102は、ユーザの要求に応じて、状態変化が発生した温度調整装置101に、推奨態様である縮小運転の温度調整を実行させることができる。S805の実行後、処理はS801に戻る。また、温度調整装置101から状態変化を取得しない場合(S801:NO)、またはユーザ端末103から縮小運転の要求がない場合(S804:NO)、処理はS801に戻る。
【0041】
上記の処理フローに基づいて実行される温度調整装置101の動作態様を具体的に説明する。
図9は、第二実施形態における温度調整装置101の温度調整態様の一例を示す図である。
図9に示すように、温度調整装置101において、温度調整開始から状態変化が検知されることなくタイマ時間が経過した場合、温度調整開始から温度調整終了まで通常運転が継続される(S703:NO、S707:YES、S708)。
【0042】
温度調整開始後に状態変化が検知されると、温度調整装置101からサーバ102に状態変化が通知され(S703:YES、S704)、サーバ102からユーザ端末103に縮小運転が提示される(S803)。このとき、ユーザ端末103で縮小運転が許可されなかった場合、温度調整装置101で通常運転が継続される(S804:NO、S705:NO)。
【0043】
一方、ユーザ端末103で縮小運転を許可された場合、ユーザ端末103からサーバ102に縮小運転が要求され(S804:YES)、サーバ102から温度調整装置101に縮小運転が指示され(S805)、温度調整装置101で縮小運転が実行される(S706)。一例として、通常運転時の供給電力を100%とした場合、縮小運転時の供給電力は30%に抑制される。
【0044】
以上説明した第二実施形態では、関連情報として状態変化通知を例示し、推奨態様として縮小運転を例示した。例えば
図1に示すユーザUは、ペットPが温度調整装置101から離れた場合に、ペットPに適した推奨態様(縮小運転)の提示を受けることができる。更にユーザUは、提示された推奨態様が適切であると判断した場合、温度調整装置101に縮小運転を実行させることで、ペットPに適切な温度環境を提供できる。
【0045】
なお、第二実施形態の変形例として、温度調整装置101がセンサ部113のセンサ情報を定期的にサーバ102に送信し、サーバ102が受信したセンサ情報に基づいて状態変化があるか否かを判断してもよい。また、ユーザがユーザ端末103において縮小運転を許可する場合に、縮小運転時の電力抑制幅を任意に指定してもよい。これにより、ユーザが所望する程度だけ、被調整物112の温度調整を抑制できる。
【0046】
(第三実施形態)
本発明の第三実施形態について説明する。
図10は、第三実施形態における制御パターンテーブル1000のデータ構成の一例を示す図である。センサ部113は、第二実施形態と同様に、動物が被調整物112に接触しているか否かを検知可能である。温度調整装置101は、被調整物112上を撮影するためのカメラを有する。制御パターンテーブル1000は、サーバ102の記憶部122に記憶されている。
【0047】
図10に例示するように、制御パターンテーブル1000では、温度調整装置101の使用対象である動物毎に制御パターンが設定されている。これらの制御パターンは、例えばユーザがユーザ端末103のアプリケーションを用いて、サーバ102において任意に登録、編集、削除等が可能である。各制御パターンには、装置ID、特徴情報、推奨温度、個体画像が対応付けられている。
【0048】
装置IDは、温度調整装置101の識別情報である。特徴情報は、動物の個体または特徴(例えば、体毛の長さ、動物の種別等)を示す情報である。推奨温度は、動物の個体または特徴に適した温度である。個体画像は、動物を撮影した画像である。本例では、特徴情報が示す体毛が長いほど、より低い推奨温度が設定されている。なお、特徴情報は、動物の年齢、性別、体重、体調など、動物の体感温度に影響を与える他の特徴を含んでもよい。
【0049】
制御パターンテーブル1000では、一つの温度調整装置101に対して、複数の動物に関する制御パターンを設定できる。
図10に示す例では、装置ID「H01」の温度調整装置101に対して、3つの制御パターンが設定されている。これらの制御パターンは、「体毛5cmの猫」、「体毛10cmの猫」、および「チワワ」に対応し、それぞれ推奨温度および個体画像が異なる。
【0050】
第三実施形態の温度制御システム100で実行される処理フローの一例について説明する。
図11は、第三実施形態の温度調整装置101で実行されるメイン処理フローの一例である。
図11に示すように、制御部201は温度調整を開始する(S401)。制御部201は、センサ部113の検知結果に基づいて、動物を検知したかを判断する(S1102)。例えばセンサ部113の検知結果が、動物と被調整物112との接触ありを示す場合、制御部201は動物を検知したと判断する(S1102:YES)。
【0051】
この場合、制御部201は、カメラが被調整物112上を撮影した画像を、サーバ102に送信する(S1103)。このように、動物が被調整物112と接触していることが検知されると、その動物を被写体に含む画像が撮影され、サーバ102に送信される(S1102~S1103)。その後、制御部201は、温度設定の指示ありかを判断する(S1104)。例えばサーバ102から後述の温度設定指示を受信した場合、制御部201は温度設定の指示ありと判断し(S1104:YES)、温度設定を実行する(S1105)。一例として、制御部201は、温度設定指示に応じて目標温度を推奨温度に変更することで、被調整物112の温度を変更する。
【0052】
S1105の実行後、処理はS707に移行する。動物を検知しない場合(S1102:NO)、またはサーバ102から温度設定の指示がない場合(S1104:NO)、処理はS707に移行する。制御部201はタイマ時間に達したかを判断する(S707)。タイマ時間に達していない場合(S707:NO)、制御部201は処理をS1102に戻す。タイマ時間に達した場合(S707:YES)、制御部201は温度調整を終了する(S408)。以上により、温度調整装置101のメイン処理は終了する。
【0053】
図12は、第三実施形態のサーバ102で実行されるメイン処理フローの一例である。
図12に示すように、情報取得部301は、温度調整装置101から先述の撮影画像を取得したかを判断する(S1201)。情報取得部301が撮影画像を取得した場合(S1201:YES)、態様決定部302は、取得した撮影画像に基づいて推奨温度を決定する(S1202)。
【0054】
一例として、態様決定部302は、公知の画像認識処理によって、撮影画像に含まれる動物の画像を抽出し、その動物の個体または特徴を特定する。態様決定部302は、制御パターンテーブル1000を参照して、特定した個体または特徴に対応する特徴情報を有する制御パターンの推奨温度を決定する。即ち態様決定部302は、取得された少なくとも一つの関連情報(撮影画像)に基づいて、動物の個体または特徴に応じた推奨態様(推奨温度)を決定する。
【0055】
態様提示部303は、決定した推奨態様である推奨温度を、ユーザ端末103に提示する(S1203)。具体的には、推奨温度を推奨する提示情報が、撮影画像の送信元である温度調整装置101に予め対応付けられたユーザ端末103に送信される。これによりサーバ102は、温度調整装置101で動物が検知された場合、その動物に対応する推奨態様である推奨温度を、ユーザ端末103に提示できる。
【0056】
例えばユーザ端末103では、受信した提示情報に基づいて、推奨温度を促す提示画面が、動物が温度調整装置101に接触した旨のメッセージと合わせて表示される。このとき、制御パターンテーブル1000に登録されている複数の個体画像のうち、温度調整装置101に接触した動物に対応する個体画像が、ユーザ端末103に表示されてもよい。これにより、例えばユーザが複数の動物を飼っている場合でも、ユーザは何れの動物に関する提示情報であるかを正確に認識できる。ユーザがこの提示画面において推奨温度を許可すると、温度設定要求がユーザ端末103からサーバ102に送信される。
【0057】
S1203の実行後、態様指示部304は温度設定の要求ありかを判断する(S1204)。例えば態様指示部304は、先述の温度設定要求をユーザ端末103から受信した場合、温度設定の要求ありと判断する(S1204:YES)。この場合、態様指示部304は、温度設定を温度調整装置101に指示する(S1205)。具体的には、推奨温度を示す温度設定指示が、温度調整装置101に送信される。
【0058】
これによりサーバ102は、ユーザの要求に応じて、動物を検知した温度調整装置101に、推奨態様である推奨温度の温度調整を実行させることができる。S1205の実行後、処理はS1201に戻る。また、温度調整装置101から撮影画像を取得しない場合(S1201:NO)、またはユーザ端末103から温度設定の要求がない場合(S1204:NO)、処理はS1201に戻る。
【0059】
以上説明した第三実施形態では、関連情報として撮影画像を例示し、推奨態様として推奨温度を例示した。例えば
図1に示すユーザUは、ペットPが温度調整装置101に接触した場合に、ペットPに適した推奨態様(推奨温度)の提示を受けることができる。更にユーザUは、提示された推奨態様が適切であると判断した場合、温度調整装置101に推奨温度の温度調整を実行させることで、ペットPに適切な温度環境を提供できる。また、ユーザUが複数のペットPを飼っている場合でも、温度調整装置101に接触したペットP毎に適した推奨態様の提示および実行が可能である。
【0060】
なお、第三実施形態の変形例として、温度調整装置101が撮影画像を定期的にサーバ102に送信し、サーバ102が受信した撮影情報に基づいて動物を検知したか否かを判断してもよい。また、ユーザがユーザ端末103において推奨温度を許可する場合に、任意の推奨温度を指定してもよい。これにより、ユーザが所望する推奨温度で、被調整物112の温度調整を実行できる。
【0061】
(第四実施形態)
本発明の第四実施形態について説明する。
図13は、第四実施形態における温度制御システムの一例を示す図である。
図13に示すように、第四実施形態の温度制御システム100では、複数の連携機器130がネットワーク104を介してサーバ102に接続されている。複数の連携機器130は、温度調整装置101と同じ室内に配置された電子機器であり、一例として、エアコン、空気清浄機、動物用給水器、動物用給餌器、ネットワークカメラ、照明器具等を含む。サーバ102は、複数の連携機器130を、温度調整装置101と予め対応付けて記憶する。
【0062】
センサ部113は、第二実施形態と同様に、動物が被調整物112に接触しているか否かを検知可能である。温度調整装置101は、動物が被調整物112に接触しているか否かを示す機器情報を、センサ部113の検知結果に基づいて定期的にサーバ102に送信する。連携機器130であるエアコンは、運転状態、運転モード、温度設定、風向き、風量などを示す機器情報を、定期的にサーバ102に送信する。連携機器130である空気清浄機は、運転状態、設定情報、空気情報(PM2.5濃度、花粉濃度など)などを示す機器情報を、定期的にサーバ102に送信する。連携機器130である動物用給水器では、水の残量、水飲み頻度などを示す機器情報を、定期的にサーバ102に送信する。
【0063】
第四実施形態の温度制御システム100で実行される処理フローの一例について説明する。
図14は、第四実施形態のサーバ102で実行されるメイン処理フローの一例である。
図14に示すように、情報取得部301は、温度調整装置101および複数の連携機器130の何れかから、先述の機器情報を取得したかを判断する(S1401)。情報取得部301は、機器情報を取得した場合(S1401:YES)、取得した機器情報を記憶部122に記録する(S1402)。
【0064】
態様決定部302は、記憶部122に記録された複数の機器情報に基づいて、推奨温度を決定する(S1403)。一例として、態様決定部302は、記憶部122に記録されている多量の機器情報(所謂ビッグデータ)を、公知の人工知能によって解析することで、動物の特徴、環境、行動等を考慮した推奨温度を決定する。一般的に、犬の快適温度は28℃であり、猫の快適温度は25℃であるところ、この手法によれば、以下に例示するように快適温度とは異なる推奨温度が決定されうる。
【0065】
図13に示す例において、サーバ102が動物用給水器の機器情報に基づいて、ペットPが通常よりも高い頻度または大量に水を飲んでいることを特定したとする。または、サーバ102が温度調整装置101の機器情報に基づいて、ペットPが被調整物112から頻繁に離れることを特定したとする。あるいは、サーバ102が空気清浄機の機器情報に基づいて、温度調整装置101の設置場所の湿度が高いことを特定したとする。これらの場合、態様決定部302はペットPの体感温度が高いと推定して、快適温度も低い推奨温度を決定する。これにより、温度調整装置101と予め対応付けられた連携機器130の機器情報に基づいて、温度調整装置101によって動物に快適な温度環境を提供できる。
【0066】
サーバ102がエアコンの機器情報に基づいて、エアコンが冷房運転中であることを特定したとする。この場合、態様決定部302はペットPの体感温度が低いと推定して、快適温度も高い推奨温度を決定する。一方、サーバ102がエアコンの機器情報に基づいて、エアコンが暖房運転中であることを特定したとする。この場合、態様決定部302はペットPの体感温度が高いと推定して、快適温度も低い推奨温度を決定する。これにより、人間と動物が同室内に共存している場合、エアコンによって人間に快適な温度環境を提供でき、且つ温度調整装置101によって動物に快適な温度環境を提供できる。
【0067】
態様提示部303は、推奨温度をユーザ端末103に提示する(S1203)。これによりサーバ102は、温度調整装置101に対応付けられた複数の連携機器130の何れかから機器情報を取得した場合、その機器情報に対応する推奨態様である推奨温度を、ユーザ端末103に提示できる。
【0068】
S1203の実行後、態様指示部304は温度設定の要求ありかを判断する(S1204)。ユーザ端末103から温度設定の要求がある場合(S1204:YES)、態様指示部304は温度設定を温度調整装置101に指示する(S1205)。温度調整装置101は、温度設定指示が示す推奨温度に応じて、被調整物112の温度調整を実行する。
【0069】
これによりサーバ102は、ユーザの要求に応じて、機器情報の送信元である連携機器130に対応付けられた温度調整装置101に、推奨態様である推奨温度の温度調整を実行させることができる。S1205の実行後、処理はS1401に戻る。また、温度調整装置101から機器情報を取得しない場合(S1401:NO)、またはユーザ端末103から温度設定の要求がない場合(S1204:NO)、処理はS1401に戻る。
【0070】
以上説明した第四実施形態では、関連情報として機器情報を例示し、推奨態様として推奨温度を例示した。例えば
図1に示すユーザUは、温度調整装置101および複数の連携機器130から取得される機器情報に応じて、ペットPに適した推奨態様(推奨温度)の提示を受けることができる。更にユーザUは、提示された推奨態様が適切であると判断した場合、温度調整装置101に推奨温度の温度調整を実行させることで、ペットPに適切な温度環境を提供できる。また、複数の連携機器130によって、ペットPの見守り機能を実現できる。
【0071】
なお、第四実施形態の変形例として、ユーザがユーザ端末103において推奨温度を許可する場合に、任意の推奨温度を指定してもよい。これにより、ユーザが所望する推奨温度で、被調整物112の温度調整を実行できる。複数の連携機器130は、上記実施形態に限定されず、冷蔵庫、電気調理器、テレビ等の電子機器を含んでもよい。
【0072】
(第五実施形態)
本発明の第五実施形態について説明する。
図15は、第五実施形態のサーバ102で実行されるメイン処理フローの一例である。第五実施形態の温度制御システム100では、サーバ102はネットワーク104を介して、天気予報および気象状態に関する環境情報を提供する情報提供サーバに接続されている。環境情報は、少なくとも、金属製のプレートである被調整物112に結露を生じさせる環境要素(気温、湿度等)に関する情報を含む。
【0073】
第五実施形態の温度制御システム100で実行される処理フローの一例について説明する。
図15は、第五実施形態のサーバ102で実行されるメイン処理フローの一例である。
図15に示すように、情報取得部301は、情報提供サーバから先述の環境情報を取得したかを判断する(S1501)。情報取得部301が環境情報を取得した場合(S1501:YES)、態様決定部302は取得した環境情報に基づいて、被調整物112の結露対策が必要かを判断する(S1502)。例えば態様決定部302は、取得した天気予報が示す気温および湿度に基づいて、温度調整装置101の設置場所の湿度を予測する。予測した湿度が閾値(例えば75%)以上である場合、態様決定部302は結露対策が必要であると判断する(S1502:YES)。
【0074】
この場合、態様決定部302は、取得した環境情報に対応する推奨態様として、結露防止制御を決定する(S1503)。即ち、態様決定部302は、取得された環境情報に基づいて推奨態様(結露防止制御)を決定する。結露防止制御は、被調整物112における結露の発生を防止するための温度制御である。例えば、被調整物112を冷やしすぎないように、目標温度をより低い温度に変更する。温度調整装置101の設置場所の温度が目標温度まで下がることが予測される場合、被調整物112の温度調整を停止(例えば、温度調整装置101の電源オフ)する。
【0075】
態様提示部303は、決定した結露防止制御をユーザ端末103に提示する(S1504)。これによりサーバ102は、温度調整装置101に結露対策が必要である場合、その結露対策に対応する推奨態様である結露防止制御を、ユーザ端末103に提示できる。
【0076】
S1504の実行後、態様指示部304は結露防止制御の要求ありかを判断する(S1505)。ユーザ端末103から結露防止制御の要求がある場合(S1505:YES)、態様指示部304は、結露防止制御を温度調整装置101に指示する(S1506)。温度調整装置101は、指示された結露防止制御に応じて、被調整物112の温度調整を実行する。
【0077】
これによりサーバ102は、ユーザの要求に応じて、結露対策が必要な温度調整装置101に、推奨態様である結露防止制御の温度調整を実行させることができる。S1506の実行後、処理はS1501に戻る。温度調整装置101から環境情報を取得しない場合(S1501:NO)、結露対策が不要な場合(S1502:NO)、またはユーザ端末103から結露防止制御の要求がない場合(S1505:NO)、処理はS1501に戻る。
【0078】
以上説明した第五実施形態では、関連情報として環境情報を例示し、推奨態様として結露防止制御を例示した。例えばユーザUは、被調整物112に結露が生じるおそれがある場合、ペットPに適した推奨態様(結露防止制御)の提示を受けることができる。更にユーザUは、提示された推奨態様が適切であると判断した場合、温度調整装置101に結露防止制御を実行させることで、ペットPに適切な温度環境を提供できる。
【0079】
なお、第五実施形態の変形例として、ユーザがユーザ端末103において結露防止制御を許可する場合に、任意の結露防止制御を指定してもよい。これにより、ユーザが所望する結露防止制御を、温度調整装置101に実行させることができる。また態様指示部304は、連携機器130に実行させる結露防止制御を決定してもよい。例えば態様指示部304は、エアコン、除湿器、空気清浄機などの空調装置が実行可能な結露防止制御(例えば、暖房、除湿など)を決定してもよい。
【0080】
また、サーバ102は、情報提供サーバから取得した環境情報(例えば、天気予報データ)と、複数の連携機器130から収集したデータ(例えば、温度データ、湿度データ)とをリンクさせたデータベースを作成してもよい。態様決定部302は、このデータベースを活用して結露防止制御を決定することで、より的確な結露防止制御を決定できる。
【0081】
本開示は、上記実施形態に限定されるものではなく、上記実施形態で示した構成と実質的に同一の構成、同一の作用効果を奏する構成または同一の目的を達成することができる構成で置き換えてもよい。上記の第一~第五実施形態および各種変形例を、適宜組み合わせてもよいことは言うまでもない。
【0082】
また、サーバ102からユーザ端末103に推奨態様の提示がない場合でも、ユーザはユーザ端末103のアプリケーションを用いた遠隔操作によって、必要に応じて温度調整装置101の電源をオンまたはオフしたり、被調整物112の温度を変更したりしてもよい。
【0083】
また、例えばユーザがユーザ端末103のアプリケーションを用いて自動運転を設定した場合、サーバ102はユーザ端末103に推奨態様を提示することなく、決定した推奨態様の実行指示を温度調整装置101に送信してもよい。これにより、温度調整装置101は、サーバ102による自動制御に従って、被調整物112の温度調整を実行できる。この場合、サーバ102は、温度調整装置101、連携機器130等から取得される各種情報のビッグデータを人工知能で解析することで、最適な推奨態様を決定してもよい。
【0084】
温度制御システム100で実行される各処理は、上記実施形態で例示した処理態様に限定されない。例えば、上記実施形態の温度調整装置101で実行される処理の一部は、温度調整装置101とは異なる機器で実行されてもよい。上記実施形態のサーバ102で実行される処理の一部は、サーバ102とは異なる機器で実行されてもよい。サーバ102の各機能ブロックは、集積回路等に形成された論理回路(ハードウェア)、またはCPUを用いたソフトウェアの何れを用いて実現してもよい。
【符号の説明】
【0085】
100 温度制御システム、101 温度調整装置、102 サーバ、103 ユーザ端末、111 筐体、112 被調整物、130 連携機器、301 情報取得部、302 態様決定部、303 態様提示部、304 態様指示部