(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-12
(45)【発行日】2024-03-21
(54)【発明の名称】機器管理装置
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/20 20230101AFI20240313BHJP
B61L 25/04 20060101ALI20240313BHJP
G06Q 50/40 20240101ALI20240313BHJP
【FI】
G06Q10/20
B61L25/04
G06Q50/40
(21)【出願番号】P 2019226469
(22)【出願日】2019-12-16
【審査請求日】2022-10-05
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100118843
【氏名又は名称】赤岡 明
(74)【代理人】
【識別番号】100213654
【氏名又は名称】成瀬 晃樹
(72)【発明者】
【氏名】坂本 義行
(72)【発明者】
【氏名】弓削 晶郎
(72)【発明者】
【氏名】高橋 功
(72)【発明者】
【氏名】阿邊 優一
(72)【発明者】
【氏名】野澤 幸輝
(72)【発明者】
【氏名】望月 靖文
(72)【発明者】
【氏名】平井 潤
(72)【発明者】
【氏名】戸田 勇人
(72)【発明者】
【氏名】木村 由美
【審査官】▲高▼瀬 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-218559(JP,A)
【文献】特開2017-146846(JP,A)
【文献】特開2017-162102(JP,A)
【文献】特開2018-073368(JP,A)
【文献】特開2019-159569(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 -99/00
B61L 25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
設備機器の稼働データを取得し、前記設備機器に関する機器データと、前記設備機器の保守および管理に関する保守管理データと、を保存するデータ保存部に前記稼働データを保存する稼働情報入出力部と、
前記設備機器を特定するための特定情報を読み取り、前記特定情報および前記機器データに基づいて、前記設備機器を識別する識別情報を取得する機器情報読み取り部と、
前記設備機器の点検データの入力を受け付けるとともに、前記点検データを表示するように表示部を制御するデータ入出力部と、
点検対象の前記設備機器の前記識別情報と、前記データ入出力部に入力される前記点検データと、を関連付けて前記データ保存部に保存するとともに、前記識別情報に基づいて、点検対象の前記設備機器の過去の前記点検データを前記データ保存部から抽出し、抽出した前記点検データを前記表示部に表示するように前記データ入出力部を制御する機器情報管理部と、
前記識別情報に基づいて、点検対象の前記設備機器の前記保守管理データを前記データ保存部から抽出し、抽出した前記保守管理データを前記表示部に表示するように前記データ入出力部を制御する保守情報管理部と、
前記識別情報に基づいて、点検対象の前記設備機器の前記稼働データを前記データ保存部から抽出し、抽出した前記稼働データを前記表示部に表示するように前記データ入出力部を制御する稼働情報管理部と、
前記機器データに基づいて、前記データ保存部に保存されるデータを構造化し、構造化したデータ間を関連付ける情報モデル変換管理部と、を備
え、
前記機器情報管理部、前記保守情報管理部および前記稼働情報管理部の少なくとも1つは、第1設備機器と同じまたは類似する構成の第2設備機器のデータとして、前記第1設備機器と関連付けられたデータを前記データ保存部から抽出する、機器管理装置。
【請求項2】
前記データ入出力部は、データの少なくとも一部を無線通信により送受信する、請求項1に記載の機器管理装置。
【請求項3】
前記データ保存部は、前記機器情報管理部、前記保守情報管理部および前記稼働情報管理部の少なくとも1つとの間で、公衆回線を介して接続されている、請求項1または請求項2に記載の機器管理装置。
【請求項4】
前記データ入出力部は、前記機器情報管理部、前記保守情報管理部および前記稼働情報管理部の少なくとも1つとの間で、公衆回線を介して接続されている、請求項1または請求項2に記載の機器管理装置。
【請求項5】
前記情報モデル変換管理部は、オントロジーを用いて、前記データ保存部に保存されるデータを構造化する、請求項
1から請求項4のいずれか一項に記載の機器管理装置。
【請求項6】
前記保守情報管理部は、前記機器データに基づいて、前記設備機器の異常部位に関する前記保守管理データを前記データ保存部から抽出する、請求項1から請求項
5のいずれか一項に記載の機器管理装置。
【請求項7】
前記異常部位に関する前記保守管理データは、前記異常部位の交換部品、前記交換部品の保管場所、前記交換部品の交換方法、前記異常部位の保守作業手順および前記異常部位の保守作業履歴の少なくとも1つを含む、請求項
6に記載の機器管理装置。
【請求項8】
前記稼働情報管理部は、前記設備機器と関連する関連機器の前記稼働データを前記データ保存部から抽出し、
前記機器情報管理部は、前記関連機器の前記前記稼働データに基づいて、前記関連機器における前記異常部位を特定する、請求項
6または請求項
7に記載の機器管理装置。
【請求項9】
前記機器情報管理部は、前記機器データ、前記保守管理データおよび過去の前記稼働データの少なくとも1つに基づいて予め設定される条件を前記稼働データが満たす場合、前記異常部位を特定する、請求項
6から請求項
8のいずれか一項に記載の機器管理装置。
【請求項10】
前記機器情報管理部は、前記識別情報に基づいて、点検対象の前記設備機器の前記機器データを前記データ保存部から抽出し、抽出した前記機器データを前記表示部に表示するように前記データ入出力部を制御する、請求項1から請求項
9のいずれか一項に記載の機器管理装置。
【請求項11】
前記機器情報読み取り部は、無線通信により、前記識別情報を前記機器情報管理部に送る、請求項1から請求項
10のいずれか一項に記載の機器管理装置。
【請求項12】
前記設備機器は、鉄道車両および該鉄道車両に搭載される機器の少なくとも1つを含む、請求項1から請求項
11のいずれか一項に記載の機器管理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明による実施形態は、機器管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、IoT(Internet of Things)技術の進展により、鉄道などの車両の状況を地上で把握しやすくなった。種々のセンサ等で検出した車両データをサーバにアップロードしたり、アップロードした大量のデータを短時間でダウンロードしたりすることも可能になった。しかしながら、車両運行や、管理業務の効率化、車両および車両を構成する機器の管理・保守の品質向上または効率的実施に対しては、収集したデータが十分に活用しきれていない場合があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
機器の監視および管理・保守をより容易にすることができる機器管理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本実施形態による機器管理装置は、稼働情報入出力部と、機器情報読み取り部と、データ入出力部と、機器情報管理部と、保守情報管理部と、稼働情報管理部と、を備える。稼働情報入出力部は、設備機器の稼働データを取得し、設備機器の構成に関する機器データおよび設備機器の保守および管理に関する保守管理データを保存するデータ保存部に稼働データを保存する。機器情報読み取り部は、設備機器を特定するための特定情報を読み取り、機器データおよび特定情報に基づいて、設備機器を識別する識別情報を取得する。データ入出力部は、設備機器の点検データの入力を受け付けるとともに、点検データを表示するように表示部を制御する。機器情報管理部は、点検対象の設備機器の識別情報と、データ入出力部に入力される点検データと、を関連付けてデータ保存部に保存するとともに、識別情報に基づいて、点検対象の設備機器の過去の点検データをデータ保存部から抽出し、抽出した点検データを表示部に表示するようにデータ入出力部を制御する。保守情報管理部は、識別情報に基づいて、点検対象の設備機器の保守管理データをデータ保存部から抽出し、抽出した保守管理データを表示部に表示するようにデータ入出力部を制御する。稼働情報管理部は、識別情報に基づいて、点検対象の設備機器の稼働データをデータ保存部から抽出し、抽出した稼働データを表示部に表示するようにデータ入出力部を制御する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】第1実施形態による機器管理装置の構成を示すブロック図。
【
図2】第1実施形態による機器情報保持部および機器情報読み取り部を示す図。
【
図3】第2実施形態による機器管理装置の構成を示すブロック図。
【
図4】第3実施形態による機器管理装置の構成を示すブロック図。
【
図5】情報モデル変換管理部によるデータモデルの一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照して本発明に係る実施形態を説明する。本実施形態は、本発明を限定するものではない。図面は模式的または概念的なものであり、各部分の比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。明細書と図面において、既出の図面に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0008】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態による機器管理装置100の構成を示すブロック図である。機器管理装置100は、設備機器101に関するデータを用いて、設備機器101の監視および管理を行う。尚、設備機器101は、当該設備機器101を構成する機器や部品等を含む場合がある。以下では、特に断りのない限り、設備機器101は、鉄道車両および該鉄道車両に搭載される機器の少なくとも1つを含む。機器管理装置100は、データ保存部1と、稼働情報入出力部2と、機器情報保持部3と、機器情報読み取り部4と、データ入出力部5と、機器情報管理部6と、保守情報管理部7と、稼働情報管理部8と、を備える。
【0009】
データ保存部1は、種々のデータを保存する。データ保存部1は、例えば、設備機器101の稼働データと、設備機器101に関する機器データと、設備機器101の保守および管理に関する保守管理データと、設備機器101の点検データと、を保存する。稼働データは、例えば、鉄道車両の稼働情報や搭載機器の稼働状況を含む。鉄道車両の稼働情報は、例えば、車両の位置や速度等である。搭載機器の稼働状況は、例えば、起動または停止の状態や、電流、電圧、異常アラーム、車両の発停(発進または停車)状態等を含む。機器データは、例えば、設備機器101の設計データおよび設置位置データを含む。設計データは、例えば、設備機器101の設計情報に関する、図面や音声、写真、動画、数値などを含む。設置位置データは、例えば、設備機器101が設置される号車等を含む。保守管理データは、例えば、保守作業手順、作業マニュアル、保守作業履歴、前回の保守作業からの経過時間、過去のメンテナンスや故障の履歴、点検時期および機器寿命等を含む。作業手順は、例えば、AR(Augmented Reality)やVR(Virtual Reality)により表示されてもよい。点検データは、設備機器101の点検結果に関する情報を含む。点検データは、例えば、写真や数値等を含む。尚、データ保存部1は、機器管理装置100の外部に設けられていてもよい。
【0010】
稼働情報入出力部2は、設備機器101の稼働データを取得する。稼働情報入出力部2は、例えば、機器管理装置100の外部のクラウド上に設けられるデータサーバから、稼働データを取得する。データサーバには、設備機器101に設けられるセンサ等から送信される稼働データが蓄積される。また、稼働情報入出力部2は、機器データと、保守管理データと、を保存するデータ保存部1に稼働データを保存する。また、稼働情報入出力部2は、稼働データを収集するための装置や設備機器101の動作に関して、ソフトウェアの更新を行い、また、パラメータの設定情報を機器管理装置100の外部に出力する。
【0011】
図2は、第1実施形態による機器情報保持部3および機器情報読み取り部4を示す図である。
【0012】
機器情報保持部3は、設備機器101を特定するための特定情報を保持する。機器情報保持部3は、例えば、設備機器101毎に設けられるタグである。より詳細には、機器情報保持部3は、例えば、RFID(Radio Frequency Identifier)タグであり、機器情報読み取り部4と近距離の無線通信を行うことができる。尚、機器情報保持部3は、バーコードや、QRコード(登録商標)、カメラで情報を読み取るカラーコード等であってもよい。
【0013】
機器情報読み取り部4は、設備機器101を特定するための特定情報を読み取る。また、機器情報読み取り部4は、特定情報および機器データに基づいて、設備機器101を識別する識別情報を取得する。機器情報読み取り部4は、例えば、機器情報管理部6を介してデータ保存部1から機器データを取得する。機器情報読み取り部4は、例えば、機器データに含まれる設備機器101の設置位置データや設計データ等を用いて、設備機器101を識別する。尚、機器情報読み取り部4は特定情報を機器情報管理部6に送り、機器情報管理部6が識別情報を取得してもよい。機器情報読み取り部4は、例えば、設備機器101に設けられるタグの情報を読み取るリーダである。機器情報読み取り部4は、例えば、タブレット端末や、スマートフォン等であってもよい。
【0014】
図1に示すように、データ入出力部5は、設備機器101の点検データの入力を受け付ける。また、データ入出力部5は、点検データを表示するように表示部を制御する。表示部(図示せず)は、例えば、データ入出力部5に設けられる。データ入出力部5は、ユーザが必要とするデータ等を表示部に表示する。
【0015】
より詳細には、データ入出力部5は、データの少なくとも一部を無線通信により送受信する。データは、例えば、機器データ、点検データ、保守管理データおよび稼働データを含む。データ入出力部5は、例えば、タブレット端末や、スマートフォン、パーソナルコンピュータ等である。タブレット端末やスマートフォンは、ユーザによって持ち運び可能である。また、パーソナルコンピュータは、司令所の指令員や地上で保守を行うユーザ等が用いることができるように設置されればよい。尚、データ入出力部5が機器情報読み取り部4の機能を有していてもよい。
【0016】
機器情報管理部6は、点検対象の設備機器101の識別情報と、データ入出力部5に入力される点検データと、を関連付けてデータ保存部1に保存する。これにより、設備機器101に対応する点検データがデータ保存部1に蓄積される。また、機器情報管理部6は、識別情報に基づいて、点検対象の設備機器101の過去の点検データをデータ保存部1から抽出する。また、機器情報管理部6は、抽出した点検データを表示部に表示するようにデータ入出力部5を制御する。これにより、ユーザは、例えば、現在の点検データと過去の点検データとを比較して、設備機器101をより詳細に監視および管理することができる。
【0017】
また、機器情報管理部6は、識別情報に基づいて、点検対象の設備機器101の機器データ(設計データおよび設置位置データの少なくとも1つ)をデータ保存部1から抽出する。また、機器情報管理部6は、抽出した機器データを表示部に表示するようにデータ入出力部5を制御する。従って、ユーザは、設計時の構造や、回路構成、位置情報等を確認しながら、点検を行うことができる。設計データおよび設置位置データの抽出および表示は、例えば、データ入出力部5を介したユーザの操作により開始される。尚、機器情報管理部6は、各種データを用いて異常判断を行う。機器情報管理部6による異常判断の詳細については、後で説明する。
【0018】
保守情報管理部7は、識別情報に基づいて、点検対象の設備機器101の保守管理データをデータ保存部1から抽出する。また、保守情報管理部7は、抽出した保守管理データを表示部に表示するようにデータ入出力部5を制御する。これにより、ユーザは、保守管理データを確認して、メンテナンスや保守作業を行うことができる。保守管理データの抽出および表示は、例えば、データ入出力部5を介したユーザの操作により開始される。
【0019】
また、保守情報管理部7は、機器データに基づいて、設備機器101の異常部位に関する保守管理データをデータ保存部1から抽出する。また、保守情報管理部7は、抽出した保守管理データを表示部に表示するようにデータ入出力部5を制御する。すなわち、保守情報管理部7は、点検により対策が必要とユーザが判断する場合、保守管理データを表示部に表示させる。例えば、データ入出力部5は、故障部位(異常部位)の情報を機器情報管理部6または保守情報管理部7に送る。その後、保守情報管理部7は、例えば、設計データに基づいて、異常部位に関する保守管理データを抽出する。異常部位に関する保守管理データは、異常部位の交換部品、交換部品の保管場所、交換部品の交換方法、異常部位の保守作業手順および異常部位の保守作業履歴の少なくとも1つを含む。保管場所は、例えば、路線上で区分けされた区所である。また、保守情報管理部7は、抽出した保守管理データを表示部に表示するようにデータ入出力部5を制御する。これにより、ユーザは、保守管理データを確認し、異常部位への対策を実行することができる。
【0020】
稼働情報管理部8は、識別情報に基づいて、点検対象の設備機器101の稼働データをデータ保存部1から抽出する。また、稼働情報管理部8は、抽出した稼働データを表示部に表示するようにデータ入出力部5を制御する。これにより、ユーザは、過去の走行履歴等の稼働データと併せて、設備機器101の状態をより適切に判断することができる。稼働データの抽出および表示は、例えば、データ入出力部5を介したユーザの操作により開始される。
【0021】
尚、機器情報管理部6、保守情報管理部7および稼働情報管理部8は、データ入出力部5で要求された形式または予め定義された形式にデータを加工し、データ入出力部5に送信する。
【0022】
次に、機器情報管理部6による異常判断の詳細について説明する。
【0023】
稼働情報管理部8は、設備機器101と関連する関連機器の稼働データをデータ保存部1から抽出する。関連機器は、例えば、他の車両に設けられる同種の設備機器101である。また、機器情報管理部6は、関連機器の稼働データに基づいて、関連機器における異常部位を特定する。これにより、他の車両における同様の異常を判定することができる。異常部位の特定のための条件は、例えば、機器データに含まれる設計データや、保守管理データに含まれる故障履歴やメンテナンス履歴、関連機器の過去の稼働データ等に基づいて、設定されればよい。他で設置される同種の設備機器101では、似たような、または、同様の異常が発生する可能性が高い。従って、異常を早期に発見することができる。
【0024】
また、機器情報管理部6は、機器データ、保守管理データおよび過去の稼働データの少なくとも1つに基づいて予め設定される条件を稼働データが満たす場合、異常部位を特定する。すなわち、機器情報管理部6は、過去に発生した問題と同様の問題が発生しているか否かを判定し、自動で異常を検知する。予め設定される条件は、例えば、ユーザによって予め設定される閾値等である。また、この条件は、例えば、機器データに含まれる設計データ(例えば、設計時のシミュレーションや試験結果情報等)に基づいて、保守管理データに含まれる故障履歴やメンテナンス履歴に基づいて、また、過去の稼働データ等に基づいて、設定されればよい。また、機器情報管理部6は、異常部位の特定を報知するように報知部を制御してもよい。報知部(図示せず)は、例えば、機器管理装置100内に設けられ、メンテナンス員に異常発生を自動的に通知する。
【0025】
また、保守情報管理部7は、機器情報管理部6が特定した異常部位に関する保守管理データをデータ保存部1から抽出してもよい。また、機器情報管理部6は、保守管理データと併せて設計データ等をデータ保存部1から抽出してもよい。
【0026】
以上のように、第1実施形態によれば、機器情報管理部6は、点検対象の設備機器101の識別情報と、点検データと、を関連付けてデータ保存部1に保存する。また、機器情報管理部6は、識別情報に基づいて、過去の点検データをデータ保存部1から抽出し、抽出した点検データを表示部に表示するようにデータ入出力部5を制御する。また、保守情報管理部7は、識別情報に基づいて、保守管理データをデータ保存部1から抽出し、抽出した保守管理データを表示部に表示するようにデータ入出力部5を制御する。また、稼働情報管理部8は、識別情報に基づいて、稼働データをデータ保存部1から抽出し、抽出した稼働データを表示部に表示するようにデータ入出力部5を制御する。これにより、点検に必要なデータや、メンテナンス等の作業手順を作業者や管理者に提示し、点検結果やメンテナンス等の作業結果を保存することができる。この結果、設備機器101の監視および管理・保守をより容易にすることができる。
【0027】
また、データ保存部1は、機器情報管理部6、保守情報管理部7および稼働情報管理部8の少なくとも1つとの間で、公衆回線を介して接続されていてもよい。公衆回線は、例えば、インターネットである。尚、接続は、有線であってもよく、無線であってもよい。データ保存部1は、例えば、クラウド上に設けられる。すなわち、データ保存部1は、データ入出力部5等から離れて設けられる。この場合、データ保存部1は、例えば、複数の機器管理装置100で共有されてもよい。例えば、複数の機器管理装置100のメンテナンスやバージョンアップは、1つのデータ保存部1に対して行われる。すなわち、複数の機器管理装置100に対してまとめて作業が行われる。これにより、機器管理装置100自体の管理をより容易にすることができる。
【0028】
また、データ入出力部5は、機器情報管理部6、保守情報管理部7および稼働情報管理部8の少なくとも1つとの間で、公衆回線を介して接続されていてもよい。公衆回線は、例えば、インターネットである。尚、接続は、有線であってもよく、無線であってもよい。データ保存部1、機器情報管理部6、保守情報管理部7および稼働情報管理部8は、例えば、クラウド上に設けられる。この場合も、データ保存部1は、データ入出力部5等から離れて設けられる。従って、機器管理装置100自体の管理をより容易にすることができる。
【0029】
尚、設備機器101は、鉄道車両および該鉄道車両に搭載される機器に限られない。設備機器101は、例えば、電力システムや、上下水道システム、ビル監視システム等の公共インフラシステムに用いられる機器でもよく、工場の生産システム等に用いられる機器であってもよい。
【0030】
(第2実施形態)
図3は、第2実施形態による機器管理装置100の構成を示すブロック図である。第2実施形態は、機器情報読み取り部4がデータ入出力部5を介さずに機器情報管理部6と通信する点で、第1実施形態と異なる。
【0031】
機器情報読み取り部4は、無線通信により、識別情報を機器情報管理部6に送る。機器情報読み取り部4は、例えば、Wi-Fi(登録商標)無線機を有する。従って、機器情報読み取り部4は、データ入出力部5を介さずに、識別情報を機器情報管理部6に送る。機器情報読み取り部4は、例えば、機器情報保持部3付近等、特定情報を読み取ることができるように設置される。
【0032】
第2実施形態による機器管理装置100のその他の構成は、第1実施形態による機器管理装置100の対応する構成と同様であるため、その詳細な説明を省略する。
【0033】
第2実施形態では、機器情報読み取り部4が無線通信をすることができるため、特定情報を読み取るために、ユーザは設備機器101が設けられる場所に向かわなくてもよい。これにより、点検作業の手間を省くことができる。また、人が進入することが困難な領域に設けられる設備機器101の監視および管理をより容易にすることができる。
【0034】
第2実施形態による機器管理装置100は、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0035】
(第3実施形態)
図4は、第3実施形態による機器管理装置100の構成を示すブロック図である。第3実施形態は、利用者管理部9および情報モデル変換管理部10が設けられる点で、第1実施形態と異なる。
【0036】
機器管理装置100は、利用者管理部9と、情報モデル変換管理部10と、をさらに備える。
【0037】
利用者管理部9は、機器管理装置100の使用を特定のユーザに許可する。利用者管理部9は、例えば、ログイン管理等によって、データ入出力部5を操作可能なユーザか否かを判定する。これにより、セキュリティを強化することができる。また、利用者管理部9は、ユーザの利用状況をデータ保存部1に保存してもよい。
【0038】
情報モデル変換管理部10は、機器データに基づいて、データ保存部1に保存されるデータを構造化する。より詳細には、情報モデル変換管理部10は、機器データに含まれる設計データに基づいて、設備機器101の構成の階層構造データを作成し、該階層構造データに基づいて、データ保存部1に保存されるデータを構造化する。階層構造データは、設備機器101の構成部品に関する、階層構造状のデータである。より詳細には、情報モデル変換管理部10は、機器データ、点検データ、保守管理データおよび稼働データの少なくとも1つを構造化する。
【0039】
また、より詳細には、情報モデル変換管理部10は、オントロジーを用いて、データ保存部1に保存されるデータを構造化する。例えば、情報モデル変換管理部10は、設計データ中の用語等を用いて、設備機器101の構成部品を構造化により概念化(一般化)し、階層構造データを作成する。情報モデル変換管理部10は、例えば、設備機器101の階層構造に対応するように、データや人の動作を紐付けて、データを構造化する。人の動作は、例えば、点検する、動かす、数字を読む、音を聞く、臭いを嗅ぐ、触って温度の高低を確認する等を含む。オントロジーを用いた構造化により、設備機器101の構成要素を概念化し、構成要素の関係性(階層構造)を利用して、人間が理解することができ、かつ、コンピュータが処理できるようにデータを体系化することができる。この結果、データ間の関連付けを適切に行うことができる。
【0040】
また、情報モデル変換管理部10は、構造化したデータ間を関連付ける。より詳細には、情報モデル変換管理部10は、階層構造データと、構造化したデータ(機器データ、点検データ、保守管理データおよび稼働データの少なくとも1つ)と、の間を関連付ける。
【0041】
図5は、情報モデル変換管理部10によるデータモデルの一例を示す図である。
図5は、それぞれ、階層構造データ、構造化された稼働データおよび保守管理データのデータモデルを示す。構造化された項目ごとに、例えば、ID(Identification)が定義される。また、
図5に示す例では、共通する階層の名称「鉄道事業者情報」に、共通IDが設定されている。共通IDは、データ間を参照するために用いられる。情報モデル変換管理部10は、例えば、ID同士を紐付けるテーブル等を定義してもよく、また、階層的にID番号を定義してもよい。
【0042】
図4に示すように、機器情報管理部6、保守情報管理部7および稼働情報管理部8の少なくとも1つは、第1設備機器と同じ構成の第2設備機器のデータとして、第1設備機器と関連付けられたデータをデータ保存部1から抽出する。第1設備機器は、例えば、交換により取り外される古い設備機器101である。第2設備機器は、第1設備機器と異なる識別情報が対応付けられている、新しい設備機器101である。情報モデル変換管理部10は、構成部品を、抽象的な名称で管理する。すなわち、情報モデル変換管理部10は、第1設備機器および第2設備機器という別の機器を、同じ構成として定義する。例えば、第1設備機器と第2設備機器とは、概念上は同じであるため、保守および管理に関する共通の動作を利用することができる。従って、例えば、保守情報管理部7は、第1設備機器と第2設備機器との間で共通する保守管理データを抽出する。尚、保守管理データに限られず、階層構造データを除く機器データや、点検データ、稼働データの場合も、同様である。
【0043】
第3実施形態による機器管理装置100のその他の構成は、第1実施形態による機器管理装置100の対応する構成と同様であるため、その詳細な説明を省略する。
【0044】
第3実施形態では、データ間の関連付けにより、上記のように、保守の動作毎に保守管理データを第1設備機器から第2設備機器に紐付けし直す手間を少なくすることができる。これは、設備機器101の世代が変わっても、構成自体は大きく変わらないためである。また、第1設備機器が第2設備機器に更新されても、稼働データや点検データの取り扱いに関してもほぼ同じである可能性が高い。情報モデル変換管理部10は、例えば、テーブル等でIDの紐付けを管理する場合、第1設備機器から第2設備機器へデータの紐付けを移すことにより、データの割り付けを変更する。これにより、設備機器101の交換の場合や、設備機器101間で共通化できるデータが存在する場合において、データの割り付けを容易にすることができる。この結果、設備機器101の管理を容易にすることができる。尚、設備機器101の交換に関する情報は、例えば、保守管理データ等により管理されればよい。交換に関する情報は、例えば、第1設備機器および第2設備機器の情報や、交換時期を含む。
【0045】
もし、情報モデル変換管理部10が設けられない場合、例えば、設備機器101の構成とデータとを、一点一点可視化(データ表示)しながら紐付ける必要がある。これに対して、第3実施形態では、データの割り付けをまとめて管理することができる。
【0046】
尚、第1設備機器と第2設備機器とは、必ずしも同じ機器でなくてもよい。すなわち、機器情報管理部6、保守情報管理部7および稼働情報管理部8の少なくとも1つは、第1設備機器と類似する構成の第2設備機器のデータとして、第1設備機器のデータをデータ保存部1から抽出してもよい。「第1設備機器と類似する第2設備機器」は、例えば、複数ある同じ構成(車両)の一部に同種の設備機器101が用いられている場合や、機器データ上の名称が類似する場合等である。例えば、別の車両に設けられる同種の設備機器101と関連機器とは、稼働データや点検データの取り扱い、保守・管理の方法等に関しても互いにほぼ同じである可能性が高い。また、異なる設備機器101であっても、同じまたは類似する部品が用いられる場合がある。この場合も、保守・管理の方法等に関してもほぼ同じである可能性が高い。このように、類似する構成や構造を利用して、設備機器101の監視および管理をより容易にすることができる。
【0047】
第3実施形態による機器管理装置100は、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。また、第3実施形態による機器管理装置100に第2実施形態を組み合わせてもよい。
【0048】
尚、新しく設備機器101が追加される場合、モデルも再び作成されればよい。
【0049】
本実施形態による機器管理装置100におけるデータ処理方法の少なくとも一部は、ハードウェアで構成してもよいし、ソフトウェアで構成してもよい。ソフトウェアで構成する場合には、機器管理装置100の少なくとも一部の機能を実現するプログラムをフレキシブルディスクやCD-ROM等の記録媒体に収納し、コンピュータに読み込ませて実行させてもよい。記録媒体は、磁気ディスクや光ディスク等の着脱可能なものに限定されず、ハードディスク装置やメモリなどの固定型の記録媒体でもよい。また、機器管理装置100の少なくとも一部の機能を実現するプログラムを、インターネット等の通信回線(無線通信も含む)を介して頒布してもよい。さらに、同プログラムを暗号化したり、変調をかけたり、圧縮した状態で、インターネット等の有線回線や無線回線を介して、あるいは記録媒体に収納して頒布してもよい。
【0050】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0051】
100 機器管理装置、101 設備機器、1 データ保存部、2 稼働情報入出力部、3 機器情報保持部、4 機器情報読み取り部、5 データ入出力部、6 機器情報管理部、7 保守情報管理部、8 稼働情報管理部、9 利用者管理部、10 情報モデル変換管理部