(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-12
(45)【発行日】2024-03-21
(54)【発明の名称】成分含量が変化した緑茶抽出物を含む皮膚美白用又は皮膚しわ予防又は改善用組成物
(51)【国際特許分類】
A23L 33/105 20160101AFI20240313BHJP
A61K 8/49 20060101ALI20240313BHJP
A61K 8/9789 20170101ALI20240313BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20240313BHJP
A61Q 19/08 20060101ALI20240313BHJP
A61K 31/353 20060101ALI20240313BHJP
A61K 36/82 20060101ALI20240313BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20240313BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240313BHJP
A61Q 19/02 20060101ALI20240313BHJP
【FI】
A23L33/105
A61K8/49
A61K8/9789
A61Q19/00
A61Q19/08
A61K31/353
A61K36/82
A61P17/00
A61P43/00 111
A61Q19/02
(21)【出願番号】P 2019226797
(22)【出願日】2019-12-16
【審査請求日】2022-10-13
(31)【優先権主張番号】10-2019-0005248
(32)【優先日】2019-01-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2019-0005271
(32)【優先日】2019-01-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】506213681
【氏名又は名称】アモーレパシフィック コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】AMOREPACIFIC CORPORATION
【住所又は居所原語表記】100, Hangang-daero, Yongsan-gu, Seoul, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キム, ジェウォン
(72)【発明者】
【氏名】チョ, シ ヨン
(72)【発明者】
【氏名】キム, ヒョンス
(72)【発明者】
【氏名】パク, ウォンソク
(72)【発明者】
【氏名】チェ, ジュンホ
(72)【発明者】
【氏名】キム, ドン ヒョン
(72)【発明者】
【氏名】ユ, ジェウォン
(72)【発明者】
【氏名】パク, ミヨン
【審査官】高山 敏充
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2008-0101419(KR,A)
【文献】特表2009-507826(JP,A)
【文献】日本食品化学学会誌,2017年,Vol.24(1),10-15
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L
A61K
A61Q
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
抽出物の総重量を基準に、4~15重量%の(-)-ガロカテキンガレート((-)-gallocatechin gallate、GCG)及び4~15重量%の(-)-エピガロカテキンガレート((-)-epigallocatechin gallate、EGCG)を含む緑茶抽出物を有効成分として含
み、
前記抽出物中のEGCG、エピガロカテキン(epigallocatechin、EGC)、(-)エピカテキン((-)epicatechin、EC)、エピカテキン3-O-ガレート(epicatechin 3-O-gallate、ECG)、GCG、ガロカテキン(gallocatechin、GC)、カテキン(catechin、C)及びカテキンガレート(catechin gallate、CG)の総含量は、前記抽出物の総重量を基準に19~30重量%の範囲であり、
前記抽出物中のEGCG、EGC、EC及びECGの総含量は、前記抽出物の総重量を基準に20重量%以下である、
皮膚しわ予防又は改善用組成物。
【請求項2】
前記抽出物中のGCG:EGCGの重量比は、1:0.5~2の範囲である、請求項
1に記載の組成物。
【請求項3】
前記抽出物は、水及びC
1~C
4のアルコールのいずれか一方以上によって1回以上抽出した抽出物である、請求項
1または2に記載の組成物。
【請求項4】
当該組成物中の前記抽出物の含量は、当該組成物の全重量に対し、1重量%~100重量%の範囲である、請求項1~
3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記有効成分の投与量は、5mg/kg/日~1000mg/kg/日の範囲である、請求項1~
4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記抽出物は、MMP-1(matrix metalloproteinase-1)の発現を抑制する、請求項1~
5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
当該組成物は、食品、薬学又は化粧料組成物である、請求項1~
6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
抽出物の総重量を基準に、4~15重量%の(-)-ガロカテキンガレート((-)-gallocatechin gallate、GCG)及び4~15重量%の(-)-エピガロカテキンガレート((-)-epigallocatechin gallate、EGCG)を含む緑茶抽出物を有効成分として含
み、
前記抽出物中のEGCG、エピガロカテキン(epigallocatechin、EGC)、(-)エピカテキン((-)epicatechin、EC)、エピカテキン3-O-ガレート(epicatechin 3-O-gallate、ECG)、GCG、ガロカテキン(gallocatechin、GC)、カテキン(catechin、C)及びカテキンガレート(catechin gallate、CG)の総含量は、前記抽出物の総重量を基準に、19~30重量%の範囲であり、
前記抽出物中のEGCG、EGC、EC及びECGの総含量は、前記抽出物の総重量を基準に20重量%以下である、
皮膚美白用組成物。
【請求項9】
前記抽出物中のGCG:EGCGの重量比は、1:0.5~2の範囲である、請求項
8に記載の組成物。
【請求項10】
前記抽出物は、水及びC1~C4のアルコールのいずれか一方以上によって1回以上抽出した抽出物である、請求項
8または9に記載の組成物。
【請求項11】
当該組成物中の前記抽出物の含量は、当該組成物の全重量に対し、1重量%~100重量%の範囲である、請求項
8~
10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
前記有効成分の投与量は、5mg/kg/日~1000mg/kg/日の範囲である、請求項
8~
11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
前記抽出物は、メラニン生成を抑制する、請求項
8~
12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
前記抽出物は、チロシナーゼ(tyrosinase)の活性を抑制する、請求項
8~
13のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
当該組成物は、食品、薬学又は化粧料組成物である、請求項
8~
14のいずれか一項に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、成分含量が変化した緑茶抽出物を含む皮膚美白用又は皮膚しわ予防又は改善用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
皮膚老化現象の原因は、大別して細胞の遺伝子変異、組織変化などの内的要因と、紫外線、湿度などの外的要因の二つに分けられる(非特許文献1)。このような内外的要因によって損傷を受けた皮膚の内部では細胞再生力の減少、細胞周辺環境の変化、細胞間ネットワークの弱化などの現象が起きて皮膚構造が散らばるようになり、結果的に、皮膚弾力の損失、角質化、しわの生成、皮膚のトーンダウン及び皮膚萎縮などの現象が発現するようになる。
【0003】
老化した皮膚中で起きる変化の最も大きな原因は、若い皮膚では活性化していた成長因子(Growth factor)の減少である。成長因子は皮膚中の再生過程における第一のスイッチの役割をするため、皮膚中の成長因子の減少は、皮膚中の多様な機能低下を誘発し、結局は皮膚中の成分の損失と皮膚構造の崩壊をもたらすようになる。
【0004】
また、紫外線による老化現象を光老化といい、このような光老化現象は、紫外線によって細胞内部に活性酸素ラジカル(ROS:Reactive Oxygen Radical)が生成され、この活性酸素は、炎症性反応を起こす信号伝逹系を介して真皮層の弾力繊維であるコラーゲン、エラスチンなどのタンパク質分解酵素(MMP-1、MMP-3及びMMP-9など)の合成を促進して(非特許文献2)真皮層の弾力を減少させることで皮膚しわが誘発されると知られている。このため、このような皮膚老化現象を防止し、且つより健康で弾力のある皮膚を保つために、しわ改善効果のある生理活性物質を開発しようとする研究活動が絶え間なく続けられてきた。代表的に、1995年に光老化した皮膚の改善のための治療剤としてのトレチノイン(tretinoin、trans-retinoic acid)がアメリカのFDA許可を受けており、さらには、これよりも副作用の少ないレチノールが1990年代の中・後半から化粧品の原料として使用され始めるのに伴い、本格的にしわ改善用化粧品が市販され始めた。それ以降、女性ホルモン類似物質、各種の植物から抽出した抗酸化剤などがしわ改善原料として化粧品に導入された。このように消費者らの皮膚老化に係る化粧品についての関心や需要が急増しているが、合成素材の機能性化粧品の副作用が持続的に提起され、このため、効果的且つ毒性のない天然物を用いた化粧品の開発・研究が活発に続けられている。
【0005】
一方、紫外線に曝された場合に備え、皮膚は物理的及び化学的防御因子を備えており、種々の光化学反応による皮膚障害を最小限にとどめるための作用機作を有する。皮膚の角質層は紫外線を反射及び拡散させることによってそのエネルギーを減衰させ、また、メラニン色素、SOD(Superoxide Dismutase)、その他の抗酸化成分などは、皮膚内部に浸透した紫外線を吸収し、そのエネルギーを減衰させたり紫外線が二次的に発生させる活性酸素を消去したりすることによって皮膚に対する障害を防御する。しかしながら、前記したような防御因子の能力を超える多量の紫外線を生体が受けたり、年を取るにつれてその能力が低下したりしていた場合、種々の皮膚障害が起きる。
【0006】
肌色の決定要因のうち最も大きな部分を占めるのが皮膚中のメラニンの分布状態及び量である。メラニンは、核の周りに帽子のような構造を形成し、紫外線から遺伝子を保護し、自由ラジカル(Free radical)を除去して細胞内タンパク質を保護するなどの重要な役割をするようになる。このようなメラニンを分解する酵素は生体内に存在せず、ただケラチノサイト(keratinocyte)が老化し、本来の機能を果たして表皮から脱離するときに一緒に皮膚から除去される。しかし、メラニンが必要以上に産生されると、シミやそばかす、斑点などのような過色素沈着症を誘発し、美容上、良くない結果をもたらす。
【0007】
メラニンの産生に影響を及ぼす因子としては、種々のものが知られているが、紫外線によって起きるメラニン産生の亢進、さらにこれによる色素沈着が化粧品分野で最も重要である。色素沈着の予防の目的から美白化粧品に配合される薬剤の基本的なメカニズムは、チロシナーゼ(Tyrosinase)作用抑制、チロシナーゼ生成抑制、メラニン生成中間体の抑制、既存メラニンの還元及び光酸化抑制、メラニン排泄の促進、及び紫外線カットなどである。
【0008】
皮膚色素異常症状や過色素沈着などの予防と改善についてのニーズが高まり、これに伴い、過度なメラニン生成を抑制する美白製品の開発が必要とされ、これまで多くの努力がなされてきた。その具体的な例として、コウジ酸(Kojic acid)、アルブチン(Arbutin)などのようなチロシナーゼ活性を阻害する抑制剤、ヒドロキノン(Hydroquinone)、ビタミンA、ビタミンC及びこれらの誘導体などがある。しかし、これらは、美白効果の不十分、剤形内での安定性及び皮膚に対する安全性などの問題からその使用が制限されていた。そこで、皮膚美白に高い効能を示しつつも剤形化が容易であり且つ皮膚に安全な天然物由来の原料についの研究が活発に進められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】大韓民国登録特許第10-1863053号公報
【文献】大韓民国公開特許第10-2017-0107943号公報
【非特許文献】
【0010】
【文献】市橋正光、皮膚の老化とシワの形成、Fragrance Journal, Vol. 32, No. 5, 24~30
【文献】Gary J. Fisher, Subhash C. Datta, Harvinder S. Talwar, Zeng-Quan Wang, James Varani, Sewon Kang & John J. Voorhees, Molecular basis of sun-induced premature skin ageing and retinoid antagonism, Nature volume 379, pages 335-339(1996)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、毒性がなく且つ皮膚しわ予防又は改善効能に優れる天然植物由来の組成物及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0012】
また、本発明は、毒性がなく且つ皮膚美白効能に優れる天然植物由来の組成物及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記目的を達成するために、本発明は、一側面において、抽出物の総重量を基準に、4~15 重量%の(-)-ガロカテキンガレート((-)-gallocatechin gallate、GCG)及び4~15重量%の(-)-エピガロカテキンガレート((-)-epigallocatechin gallate、EGCG)を含む緑茶抽出物を有効成分として含む、皮膚しわ予防又は改善用組成物を提供する。
【0014】
本発明は、他の側面において、抽出物の総重量を基準に、4~15重量%の(-)-ガロカテキンガレート((-)-gallocatechin gallate、GCG)及び4~15重量%の(-)-エピガロカテキンガレート((-)-epigallocatechin gallate、EGCG)を含む緑茶抽出物を有効成分として含む、皮膚美白用組成物を提供する。
【0015】
本発明は、また他の側面において、皮膚しわ予防又は改善用組成物を製造するための、抽出物の総重量を基準に、4~15重量%の(-)-ガロカテキンガレート((-)-gallocatechin gallate、GCG)及び4~15重量%の(-)-エピガロカテキンガレート((-)-epigallocatechin gallate、EGCG)を含む緑茶抽出物の用途を提供する。
【0016】
本発明は、さらに他の側面において、皮膚美白用組成物を製造するための、抽出物の総重量を基準に、4~15重量%の(-)-ガロカテキンガレート((-)-gallocatechin gallate、GCG)及び4~15重量%の(-)-エピガロカテキンガレート((-)-epigallocatechin gallate、EGCG)を含む緑茶抽出物を提供する。
【0017】
本発明は、さらに他の側面において、皮膚しわ予防又は改善用途に用いるための、抽出物の総重量を基準に、4~15重量%の(-)-ガロカテキンガレート((-)-gallocatechin gallate、GCG)及び4~15重量%の(-)-エピガロカテキンガレート((-)-epigallocatechin gallate、EGCG)を含む緑茶抽出物を提供する。
【0018】
本発明は、さらに他の側面において、皮膚美白用途に用いるための、抽出物の総重量を基準に、4~15重量%の(-)-ガロカテキンガレート((-)-gallocatechin gallate、GCG)及び4~15重量%の(-)-エピガロカテキンガレート((-)-epigallocatechin gallate、EGCG)を含む緑茶抽出物を提供する。
【0019】
本発明は、さらに他の側面において、抽出物の総重量を基準に、4~15重量%の(-)-ガロカテキンガレート((-)-gallocatechin gallate、GCG)及び4~15重量%の(-)-エピガロカテキンガレート((-)-epigallocatechin gallate、EGCG)を含む緑茶抽出物を、これを必要とする対象に投与する段階を含む、皮膚しわ予防又は改善方法を提供する。
【0020】
本発明は、さらに他の側面において、抽出物の総重量を基準に、4~15重量%の(-)-ガロカテキンガレート((-)-gallocatechin gallate、GCG)及び4~15重量%の(-)-エピガロカテキンガレート((-)-epigallocatechin gallate、EGCG)を含む緑茶抽出物を、これを必要とする対象に投与する段階を含む皮膚美白方法を提供する。
【発明の効果】
【0021】
本発明の一側面に係る抽出物及び組成物は、皮膚への刺激が少なく且つ環境にやさしい天然植物由来の安全なものであり、これにより、MMP-1の発現を効果的に抑制し且つ優れた皮膚しわ予防又は改善効能を示すことができる。
【0022】
また、本発明の一側面に係る抽出物及び組成物は、皮膚への刺激が少なく且つ環境にやさしい天然植物由来の安全なものであり、これにより、メラニン生成及びチロシナーゼの活性を効果的に抑制し且つ優れた皮膚美白効能を示すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】実施例1の告示型緑茶抽出物(試料1)に対するクロマトグラムを示したものである。
【
図2】本発明の一側面に係る高温処理緑茶抽出物(試料2)に対するクロマトグラムを示したものである。
【
図3】試験例2に係る高温処理緑茶抽出物の細胞毒性確認の実験結果を示したものである。
【
図4】試験例3に係る高温処理緑茶抽出物のメラニン細胞生成抑制効果の評価結果を示したものである。
【
図5】試験例4に係る高温処理緑茶抽出物のチロシナーゼ活性抑制効果の評価結果を示したものである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本明細書において「緑茶抽出物」は、抽出方法、抽出溶媒、抽出された成分又は抽出物の形態を問わず、茶科チァグァに属する常緑樹である茶の木(カメリア・シネンシス;Camellia sinensis)から抽出したもの又はバチルス・サブチリス(Bacillus subtilis spp.)を接種し醗酵させた茶葉などから抽出したものを含み、前記抽出したものを特定の溶媒で分画して得た分画物を含む。前記茶は、茶木の葉、花、幹、実、根、幹、及び根の芯材からなる群より選択される一つ以上が含まれ、好ましくは、葉であってよい。また、前記抽出物の形態は、好ましくは、粉末状であってよい。前記抽出又は分画は、水、有機溶媒、又はこれらの混合溶媒を用いてよい。有機溶媒としては、アルコール、イソプロパノール、アセトン、ヘキサン、エチルアセテート、二酸化炭素、又はこれらの二種以上の混合溶媒を用いてよいが、これに限定されず、緑茶の有効成分が破壊されない又は最小化されない条件下、室温で又は加温して抽出又は分画してよい。前記アルコールは、C1~C5の低級アルコールであってよい。抽出又は分画の回数や方法は特に制限されず、例えば、冷浸抽出、超音波抽出、還流冷却抽出、熱水抽出などの方法を用いてよく、好ましくは、冷浸又は加温して有効成分を抽出又は分画しろ過した後、そのろ液を減圧濃縮して本発明の緑茶抽出物を得てよい。
【0025】
本明細書において「エピカテキン」とは、エピガロカテキン(epigallocatechin、EGC)、(-)エピカテキン((-)epicatechin、EC)、(-)-エピガロカテキンガレート((-)-epigallocatechin gallate、EGCG)、及びエピカテキン3-O-ガレート(epicatechin 3-O-gallate、ECG)を含むものである。
【0026】
本明細書において「エピカテキンエピマー」とは、ガロカテキン(gallocatechin、GC)、カテキン(catechin、C)、(-)-ガロカテキンガレート((-)-gallocatechin gallate、GCG)及びカテキンガレート(catechin gallate、CG)を含むものである。
【0027】
本発明は、一側面において、抽出物の総重量を基準に、4~15重量%の(-)-ガロカテキンガレート((-)-gallocatechin gallate、GCG)及び4~15重量%の(-)-エピガロカテキンガレート((-)-epigallocatechin gallate、EGCG)を含む緑茶抽出物を有効成分として含む、皮膚しわ予防又は改善用組成物に関するものであってよい。
【0028】
本発明は、他の側面において、抽出物の総重量を基準に、4~15重量%の(-)-ガロカテキンガレート((-)-gallocatechin gallate、GCG)及び4~15重量%の(-)-エピガロカテキンガレート((-)-epigallocatechin gallate、EGCG)を含む緑茶抽出物を有効成分として含む、皮膚美白用組成物に関するものであってよい。
【0029】
本発明は、また他の側面において、皮膚しわ予防又は改善用組成物を製造するための、抽出物の総重量を基準に、4~15重量%の(-)-ガロカテキンガレート((-)-gallocatechin gallate、GCG)及び4~15重量%の(-)-エピガロカテキンガレート((-)-epigallocatechin gallate、EGCG)を含む緑茶抽出物の用途に関するものであってよい。
【0030】
本発明は、さらに他の側面において、皮膚美白用組成物を製造するための、抽出物の総重量を基準に、4~15重量%の(-)-ガロカテキンガレート((-)-gallocatechin gallate、GCG)及び4~15重量%の(-)-エピガロカテキンガレート((-)-epigallocatechin gallate、EGCG)を含む緑茶抽出物に関するものであってよい。
【0031】
本発明は、さらに他の側面において、皮膚しわ予防又は改善用途に用いるための、抽出物の総重量を基準に、4~15重量%の(-)-ガロカテキンガレート((-)-gallocatechin gallate、GCG)及び4~15重量%の(-)-エピガロカテキンガレート((-)-epigallocatechin gallate、EGCG)を含む緑茶抽出物に関するものであってよい。
【0032】
本発明は、さらに他の側面において、皮膚美白用途に用いるための、抽出物の総重量を基準に、4~15重量%の(-)-ガロカテキンガレート((-)-gallocatechin gallate、GCG)及び4~15重量%の(-)-エピガロカテキンガレート((-)-epigallocatechin gallate、EGCG)を含む緑茶抽出物に関するものであってよい。
【0033】
本発明は、さらに他の側面において、抽出物の総重量を基準に、4~15重量%の(-)-ガロカテキンガレート((-)-gallocatechin gallate、GCG)及び4~15重量%の(-)-エピガロカテキンガレート((-)-epigallocatechin gallate、EGCG)を含む緑茶抽出物を、これを必要とするに投与する段階を含む、皮膚しわ予防又は改善方法に関するものであってよい。
【0034】
本発明は、さらに他の側面において、抽出物の総重量を基準に、4~15重量%の(-)-ガロカテキンガレート((-)-gallocatechin gallate、GCG)及び4~15重量%の(-)-エピガロカテキンガレート((-)-epigallocatechin gallate、EGCG)を含む緑茶抽出物を、これを必要とするに投与する段階を含む皮膚美白方法に関するものであってよい。
【0035】
一側面において、前記GCGは、前記抽出物の総重量を基準に、4重量%以上、5重量%以上、5.3重量%以上、5.59重量%以上、5.7重量%以上、6重量%以上、7重量%以上、8重量%以上、9重量%以上、10重量%以上、11重量%以上、12重量%以上、13重量%以上又は14重量%以上であってよい。他の側面において、前記GCGは、前記抽出物の総重量を基準に、15重量%以下、14重量%以下、13重量%以下、12重量%以下、11重量%以下、10重量%以下、9重量%以下、8重量%以下、7重量%以下、6重量%以下、5.7重量%以下、5.59重量%以下、5.3重量%以下又は5重量%以下であってよい。前記GCGが、前記含量範囲内に含まれると、優れたMMP-1抑制活性、メラニン生成抑制活性又はチロシナーゼ活性抑制効能を示すことができる。
【0036】
一側面において、前記EGCGは、前記抽出物の総重量を基準に、4重量%以上、5重量%以上、5.2重量%以上、5.27重量%以上、5.5重量%以上、6重量%以上、7重量%以上、8重量%以上、9重量%以上、10重量%以上、11重量%以上、12重量%以上、13重量%以上又は14重量%以上であってよい。他の側面において、前記EGCGは、前記抽出物の総重量を基準に、15重量%以下、14重量%以下、13重量%以下、12重量%以下、11重量%以下、10重量%以下、9重量%以下、8重量%以下、7重量%以下、6重量%以下、5.5重量%以下、5.27重量%以下、5.2重量%以下又は5重量%以下であってよい。
【0037】
他の具現例として、前記抽出物中のGCG及びEGCGの総含量は、前記抽出物の総重量を基準に、30重量%以下であってよい。一側面において、前記GCG及びEGCGの総含量は、前記抽出物の総重量を基準に、30重量%以下、25重量%以下、20重量%以下、18重量%以下、16重量%以下、15重量%以下、14重量%以下、12重量%以下、10.5重量%以下、10重量%以下又は9重量%以下であってよい。他の側面において、前記GCG及びEGCGの総含量は、前記抽出物の総重量を基準に、8重量%以上、9重量%以上、10重量%以上、10.5重量%以上、12重量%以上、13重量%以上、14重量%以上、16重量%以上、18重量%以上、20重量%以上又は25重量%以上であってよい。
【0038】
他の具現例として、前記抽出物中のエピカテキンの含量は、前記抽出物の総重量を基準に、20重量%以下であってよい。一側面において、前記エピカテキンの含量は、前記抽出物の総重量を基準に、20重量%以下、18重量%以下、16重量%以下、15重量%以下、14重量%以下、12重量%以下、11重量%以下又は10重量%以下であってよい。他の側面において、前記エピカテキンの含量は、前記抽出物の総重量を基準に、9重量%以上、10重量%以上、11重量%以上、12重量%以上、13重量%以上、14重量%以上、16重量%以上、又は18重量%以上であってよい。
【0039】
他の具現例として、前記抽出物中の8種のカテキンの総含量、すなわち、前記抽出物中のEGCG、(-)-エピガロカテキン((-)-epigallocatechin、EGC)、(-)エピカテキン((-)epicatechin、EC)、エピカテキン3-O-ガレート(epicatechin 3-O-gallate、ECG)、GCG、ガロカテキン(gallocatechin、GC)、カテキン(catechin、C)及びカテキンガレート(catechin gallate、CG)の総含量は、前記抽出物の総重量を基準に、19~30重量%の範囲であってよい。一側面において、前記8種のカテキンの総含量は、前記抽出物の総重量を基準に、19重量%以上、21重量%以上、23重量%以上、24重量%以上、24.5重量%以上、25重量%以上、26重量%以上、27重量%以上、28重量%以上又は29重量%以上であってよい。他の側面において、前記8種のカテキンの総含量は、前記抽出物の総重量を基準に、30重量%以下、29重量%以下、28重量%以下、27重量%以下、26重量%以下、25重量%以下、24.5重量%以下、24重量%以下、23重量%以下又は21重量%以下であってよい。
【0040】
また他の具現例として、前記抽出物中のGCG:EGCGの重量比は、1:0.5~2の範囲であってよい。一側面において、前記抽出物中のGCG:EGCGの重量比は、1:0.5、1:0.8、1:1、1:1.2、1:1.5、1:1.8又は1:2であってよい。
【0041】
また他の具現例として、前記抽出物は、水及びC1~C4のアルコールのいずれか一方以上によって1回以上抽出した抽出物であってよい。一側面において、前記アルコールはエタノールであってよい。他の側面において、前記アルコールは、20%以上、30%以上、40%以上、50%以上、60%以上又は70%以上のエタノールであってよい。また他の側面において、前記アルコールは、70%以下、60%以下、50%以下、40%以下又は30%以下のエタノールであってよい。
【0042】
また他の具現例として、前記皮膚しわ予防又は改善用組成物中の前記緑茶抽出物の含量は、前記組成物の全重量に対し、1重量%~100重量%の範囲であってよい。一側面において、前記組成物中の前記抽出物の含量は、1重量%以上、10重量%以上、20重量%以上、30重量%以上、40重量%以上、50重量%以上、60重量%以上、70重量%以上、80重量%以上又は90重量%以上であってよい。他の側面において、前記組成物中の前記抽出物の含量は、100重量%以下、90重量%以下、80重量%以下、70重量%以下、60重量%以下、50重量%以下、40重量%以下、30重量%以下又は20重量%以下であってよい。
【0043】
他の具現例として、前記有効成分の投与量は、5mg/kg/日~1000mg/kg/日の範囲であってよい。一側面において、前記投与量は、5mg/kg/日以上、100mg/kg/日以上、200mg/kg/日以上、300mg/kg/日以上、400mg/kg/日以上、500mg/kg/日以上、600mg/kg/日以上、700mg/kg/日以上、800mg/kg/日以上、又は900mg/kg/日以上であってよい。他の側面において、前記投与量は、1000mg/kg/日以下、900mg/kg/日以下、800mg/kg/日以下、700mg/kg/日以下、600mg/kg/日以下、500mg/kg/日以下、400mg/kg/日以下、300mg/kg/日以下、200mg/kg/日以下、100mg/kg/日以下、50mg/kg/日以下又は10mg/kg/日以下であってよい。
【0044】
一具現例として、前記抽出物は、MMP-1(matrix metalloproteinase-1)の発現を抑制することができる。すなわち、前記抽出物又は組成物は、MMP-1の発現抑制によって皮膚しわ予防又は改善効果を示すことができる。
他の具現例として、前記抽出物は、メラニン生成を抑制することができ、また他の具現例として、前記抽出物は、チロシナーゼ(tyrosinase)の活性を抑制することができる。すなわち、前記抽出物又は組成物は、メラニン生成を抑制し又はチロシナーゼの活性を抑制して皮膚美白効果を示すことができる。
【0045】
一具現例として、前記組成物は、食品、薬学又は化粧料組成物であってよい。
【0046】
前記食品組成物の剤形は特に限定されないが、例えば、錠剤、顆粒剤、丸剤、粉末剤、ドリンク剤といった液剤、キャラメル、ゲル、バー、ティーバッグなどに剤形化されてよい。各剤形の食品組成物は、有効成分の他、当該分野において通常的に用いられる成分を剤形又は使用目的に応じて当業者が難なく適宜選定して配合してよく、他の原料と併せて適用した場合、相乗効果が生じることがある。また、前記食品は、健康機能食品であってもよい。
【0047】
前記組成物は、単純摂取、飲用、注射投与、スプレー投与又はスクイーズ投与などの様々な方法で投与されてよい。
【0048】
本発明の一側面に係る食品組成物において、前記有効成分の投与量の決定は、当業界の通常の技術者の水準内にあり、且つ投与しようとする対象の年齢、健康状態、合併症などの様々な要因に応じて異なり得る。
【0049】
本発明の一側面に係る食品組成物は、例えば、チューイングガム、キャラメル製品、キャンデー類、氷果子類、お菓子類などの各種の食品類、清凉飲料、ミネラルウォーター、アルコール飲料などの飲料製品、ビタミンやミネラルなどを含む健康機能食品製品であってもよい。
【0050】
前記の他、本発明の一側面に係る食品組成物は、様々な栄養剤、ビタミン、鉱物(電解質)、合成風味剤及び天然風味剤などの風味剤、着色剤及び増進剤(チーズ、チョコレートなど)、ペクチン酸及びその塩、アルギン酸及びその塩、有機酸、保護性コロイド増粘剤、pH調節剤、安定化剤、防腐剤、グリセリン、アルコール、炭酸飲料に用いられる炭酸化剤などを含んでよい。その他、本発明の一側面に係る食品組成物は、天然果物ジュース並びに果物ジュース飲料及び野菜飲料の製造のための果肉を含んでよい。これらの成分は、独立で、或いは組み合わせて用いてよい。これらの添加剤の割合はそれほど重要ではないが、本発明の一側面に係る組成物100質量部当たり0~約60重量部の範囲で含まれるのが一般的である。
【0051】
本発明の一側面に係る前記薬学組成物は、経口、非経口、直腸、局所、経皮、静脈内、筋肉内、腹腔内、皮下などに投与されてよい。経口投与のための剤形は、錠剤、丸剤、軟質及び硬質カプセル剤、顆粒剤、散剤、細粒剤、液剤、乳濁剤又はペレット剤であってよいが、これらに制限されるものではない。非経口投与のための剤形は、溶液剤、懸濁剤、乳液剤、ゲル、注射剤、点滴剤、坐剤、パッチ又はスプレーであってよいが、これらに制限されるものではない。前記剤形は、当該分野の通常的な方法に従い容易に製造することができ、界面活性剤、賦形剤、水和剤、乳化促進剤、懸濁剤、浸透圧調節のための塩又は緩衝剤、着色剤、香辛料、安定化剤、防腐剤、保存剤又はその他常用する補助剤をさらに含んでよい。
【0052】
本発明の一側面に係る前記組成物は、薬学的に許容可能な塩を含んでもよいが、前記塩は、(1)塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などといった無機酸から形成されるか;又は、酢酸、プロピオン酸、ヘキサン酸、シクロペンテンプロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、乳酸、マロン酸、コハク酸、リンゴ酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、3-(4-ヒドロキシベンゾイル)安息香酸、桂皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、1,2-エタン-ジスルホン酸、2-ヒドロキシエタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、4-クロロベンゼンスルホン酸、2-ナフタレンスルホン酸、4-トルエンスルホン酸、カンファースルホン酸、4-メチルビシクロ[2,2,2]-oct-2-エン-1-カルボン酸、グルコヘプトン酸、3-フェニルプロピオン酸、トリメチル酢酸、tert-ブチル酢酸、ラウリル硫酸、グルコン酸、グルタミン酸、ヒドロキシナフトエ酸、サリチル酸、ステアリン酸、ムコン酸といった有機酸から形成される酸付加塩(acid addition salt);又は、(2)親化合物に存在する酸性プロトンが置換されるときに形成される塩を含んでよい。
【0053】
本発明の一側面に係る前記薬学組成物の適用量又は投与量は、投与を受ける対象の年齢、性別、体重、病理状態及びその深刻度、投与経路又は処方者の判断に応じて異なり得る。このような因子に基づく有効成分の投与量の決定は、当業界の通常の技術者の水準内にある。
【0054】
本発明の一側面に係る前記化粧料組成物は、化粧品学又は皮膚科学的に許容可能な媒質又は基剤を含有してよい。これは、局所適用に適したあらゆる剤形として、例えば、溶液、ゲル、固体、練り無水生成物、水相に油相を分散させて得たエマルジョン、懸濁液、マイクロエマルジョン、マイクロカプセル、微細顆粒球又はイオン型(リポーソム)及び非イオン型の小嚢分散剤の形態で、又はクリーム、スキン、ローション、パウダー、軟膏、スプレーまたはコンシーラースティックの形態で提供されてよい。また、前記化粧料組成物は、泡沫(foam)の形態で圧縮された推進剤をさらに含有したエアロゾル組成物の形態で用いられてもよい。
【0055】
前記化粧料組成物は、その剤形において特に限定されず、目的とするところに応じて適宜選択されてよい。例えば、スキンローション、スキンソフナー、スキントナー、ローション、ミルクローション、モイスチャーローション、栄養ローション、マッサージクリーム、栄養クリーム、モイスチャークリーム、ハンドクリーム、ファウンデーション、エッセンス、栄養エッセンス、パック、石鹸、クレンジングフォーム、クレンジングローション、クレンジングクリーム、クレンジングウォーター、パウダー、ボディーローション、ボディークリーム、ボディーオイル、ボディークレンザー、及びボディーエッセンスなどの剤形で製造されてよい。
【0056】
本発明の剤形がペースト、クリーム、又はゲルの場合は、担体成分として、動物繊維、植物繊維、ワックス、パラフィン、澱粉、トラガカント、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコン、ベントナイト、シリカ、タルク、又は酸化亜鉛などが用いられてよい。
【0057】
本発明の剤形がパウダー又はスプレーの場合は、担体成分として、ラクトース、タルク、シリカ、水酸化アルミニウム、ケイ酸カルシウム、又はポリアミドパウダーが用いられてよく、特にスプレーである場合は、さらに、クロロフルオロハイドロカーボン、プロパン/ブタン、又はジメチルエーテルのような推進剤を含んでよい。
【0058】
本発明の剤形が溶液又は乳濁液の場合は、担体成分として、溶媒、溶媒和剤、又は乳濁化剤が用いられ、例えば、水、エタノール、イソプロパノール、エチルカーボネート、エチルアセテート、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3-ブチルグリコールオイル、グリセロール脂肪族エステル、ポリエチレングリコール、又はソルビタンの脂肪酸エステルがある。
【0059】
本発明の剤形が懸濁液の場合は、担体成分として、水、エタノール、又はプロピレングリコールのような液状希釈剤、エトキシル化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトールエステル、及びポリオキシエチレンソルビタンエステルのような懸濁剤、微結晶性セルロース、アルミニウムメタヒドロキシド、ベントナイト、寒天、又はトラガカントなどが用いられてよい。
【0060】
本発明の剤形が界面活性剤含有クレンジングの場合は、担体成分として、脂肪族アルコールスルフェート、脂肪族アルコールエーテルスルフェート、スルホサクシネートモノエステル、イセチオン酸、イミダゾリウム誘導体、メチルタウレート、サルコシネート、脂肪酸アミドエーテルスルフェート、アルキルアミドベタイン、脂肪族アルコール、脂肪酸グリセリド、脂肪酸ジエタノールアミド、植物性油、ラノリン誘導体、又はエトキシル化グリセロール脂肪酸エステルなどが用いられてよい。
【0061】
前記化粧料組成物には、前記緑茶抽出物の他、機能性添加物及び一般的な化粧料組成物に含まれる成分がさらに含まれてよい。前記機能性添加物としては、水溶性ビタミン、油溶性ビタミン、高分子ペプチド、高分子多糖、スフィンゴ脂質及び海草エキスからなる群より選択された成分を含んでよい。
【0062】
前記組成物には、さらに、前記機能性添加物とともに、必要に応じて一般的な化粧料組成物に含まれる成分を配合してもよい。さらに含まれる配合成分としては、油脂成分、保湿剤、エモリエント剤、界面活性剤、有機及び無機顔料、有機粉体、紫外線吸収剤、防腐剤、殺菌剤、酸化防止剤、植物抽出物、pH調整剤、アルコール、色素、香料、血行促進剤、冷感剤、制汗剤、精製水などが挙げられる。
【0063】
以下、実施例、試験例、及び剤形例を挙げて本明細書の構成及び効果をより具体的に説明する。なお、これらの例は本明細書に関する理解を助けるための目的から例示したものに過ぎず、本明細書の範疇及び範囲が下記の例によって制限されるものではない。
【0064】
[実施例1]一般告示型緑茶抽出物と高温処理緑茶抽出物の製造
100gの緑茶(Camellia sinensis、済州島のオソルロック農場)に50%エタノール1000mlを加え、60℃で1時間還流撹拌した。前記試料の温度を室温に下げ、ろ過して得た溶液を減圧蒸留して、濃い褐色粉末の一般告示型緑茶抽出物(GT-LE-35CAT、試料1)23gを収得した(収率23%)。
【0065】
一方、高温処理緑茶抽出物を製造するために、100gの緑茶(Camellia sinensis、済州島のオソルロック農場)に50%エタノール1000mlを加え、60℃で1時間還流撹拌した。これを濃縮後、スチーム1.5kgf/cm2で1~7時間撹拌させた。次いで、温度を室温に下げ、不溶性物質をろ過し減圧濃縮して、高温処理緑茶抽出物10gを収得した。このとき、前記撹拌時間帯(1~7時間)毎に得た前記高温処理緑茶抽出物に対し、下記の表1のような装置を用いて8種のカテキンの含量の変化を測定し、5時間目に熱によるEGCGのGCGへの転換が最も多く、且つ8種のカテキンの量もこれ以上減らないことを確認した。このときに収得した高温処理緑茶抽出物10g(High temperature processed green tea extract、HTP-GTE)を試料2とした。
【0066】
収得された前記2種の抽出物の組成を分析した条件と結果は、それぞれ下記の表1(試料1及び2の組成分析条件)、表2(試料1の組成分析結果)及び表3(試料2の組成分析結果)のとおりである。また、前記2種の抽出物に対するクロマトグラムは、
図1(試料1)及び
図2(試料2)のとおりである。すなわち、試料2の場合、既存の緑茶抽出物とは組成が異なることを確認した。具体的に、試料2の場合、試料1に比べて顕著に低いEGCG(5.27重量%)、EGC(3.53重量%)及び総カテキン(24.41重量%)を含有する反面、試料1では発見できていない成分である4種のエピカテキンエピマーがさらに生成されることを確認することができた。
【0067】
【0068】
【0069】
【0070】
(前記表2及び表3中、GCはガロカテキン、EGCはエピガロカテキン、Cはカテキン、ECは(-)エピカテキン、GCGはガロカテキンガレート、EGCGはエピガロカテキンガレート、CGはカテキンガレート、ECGはエピカテキン3-O-ガレートを表す)
【0071】
(前記表2及び表3における単位は、いずれも緑茶抽出物(試料1及び2)の全重量に対する当該物質の重量%である)
【0072】
[試験例1]MMP-1(Matrix metalloproteinase-1)抑制活性の評価試験
前記実施例1の試料1及び試料2の緑茶抽出物が老化したヒト皮膚線維芽細胞において皮膚組織分解酵素のMMP-1生成抑制に及ぼす影響、EGCGとGCGの重量比、及びGCGの含量によるMMP-1生成抑制効能を確認するために、MMP-1抑制活性評価を行った。具体的に、下記の段階にて行った。
【0073】
1-1.細胞株と細胞培養
ヒト真皮線維芽細胞(normal human dermal fibroblast、NHDF;Lonza、Switzerland)を10%ウシ血清(fetal bovin serum)を含むDMEM培地(Dulbecco’s modified Eagle’s Medium、Gibco 1210-0038)で培養し、培養はいずれも37℃、5% CO2培養器で行った。継代培養(sub culture)の回数が6~9回の細胞を若い細胞とし、継代培養の際に継代毎に細胞の数を数えて、全細胞数の1/5程度をさらに新たに培養する方式で37回の継代培養を行い、老化した真皮線維芽細胞を得た。老化した真皮線維芽細胞に対し、EGCG:GCGの割合、GCGの濃度に応じてEGCG、GCGを処理し、又は試料1又は試料2を処理した。
【0074】
1-2.MMP-1生成量の測定
MMP-1の生成量を確認するために、ELISA(enzyme-linked immunosorbent assay)法を用いた(Amersham、USA)。前記1-1.段階で試料を処理した細胞の培養液を回収し、1000xgで遠心分離して上澄液を分離した後、培養液をMMP-1抗体がコートされた96-ウェルプレートに入れて反応させた後、二次抗体(horse reddish peroxidase、HRP)を常温で1時間反応させ、100μLのPBSで洗浄した。TMB substrate solution(Pierce、USA)を用い、反応後の490nm波長における吸光度を測定して発色程度を確認することでMMP-1の生成量を確認し、MMP-1抑制活性(%)は、下記の式にて求めた。
MMP-1抑制活性(%)=(試料添加群のO.D. at 490nm/試料無添加群のO.D. at 490nm)×100
【0075】
その結果を下記の表4及び表5に表した。
【0076】
【0077】
【0078】
前記表4の結果から、本発明に係るGCGを5.59重量%、EGCGを5.27重量%で含み、エピカテキンを11.05重量%、エピカテキンエピマーを13.36重量%、そして8種のカテキンを総計24.41重量%で含む高温処理緑茶抽出物(試料2)の場合、一般緑茶抽出物(試料1)に比べ、MMP-1の抑制活性に優れることを確認することができた。特に、老化した線維芽細胞を24時間常温で放置してから処理した場合に、一般緑茶抽出物よりも8種のカテキンの総含量が少ないにも拘わらず、本発明に係る高温処理緑茶抽出物のほうが、顕著に優れるMMP-1抑制活性を示すことを確認することができた。
【0079】
また、前記表5の結果から、EGCG:GCGの重量比が2:1、1.5:1、1:1又は1:1.5の場合、EGCGだけを処理し、又は、GCGだけを処理し、又は、EGCG:GCGの重量比が4:1の場合に比べ、優れたMMP-1抑制活性を示し、それらの中でも、EGCG:GCGの重量比が1.5:1、1:1又は1:1.5の場合に、特に優れたMMP-1抑制活性を示すことを確認することができた。
【0080】
その結果、本発明に係る、4~15重量%のGCG及び4~15重量%のEGCGを含む高温処理緑茶抽出物の場合、優れたMMP-1抑制活性によって効果的に皮膚しわを予防又は改善することができることが分かり、また、本発明に係るGCG及びEGCGを特定の重量比で含む場合、MMP-1抑制活性による皮膚しわ予防又は改善効果がより高められることが分かった。
【0081】
[試験例2]高温処理緑茶抽出物の細胞毒性確認の実験
Lonza社から購入のMelanocyte細胞株(皮膚細胞種)を96ウェルプレート(well plate、FALCON)にウェル当たり1×105ずつシードし(seeding)、37℃、5% CO2インキュベーターで24時間培養した後、前記実施例1の高温処理緑茶抽出物(試料2)を10ppm及び100ppm処理し、48時間さらに培養した。
【0082】
次いで、培地を除去し、cell counting kit-8(Dojindo)を用いて細胞生存率を確認した。RPMI1640(Lonza)100μlにcell counting kit-8(Dojindo)溶液10μlを添加して細胞に処理した後、450nmにおける吸光度を確認し、生きている細胞の数を定量化した。細胞の数又は細胞生存率(%)は下記の式にて求めた。
細胞生存率(%)=(試料処理群吸光度-反応試薬だけの吸光度)/(無処理群吸光度-反応試薬だけの吸光度)×100
【0083】
その結果は
図3のとおりであり、10ppm及び100ppmの高温処理緑茶抽出物(試料2)のいずれにおいても、細胞毒性が発現していないことを確認した。
【0084】
[試験例3]高温処理緑茶抽出物のメラニン生成抑制評価
メラニン生成が過度のヒト黒色腫細胞のMNT-1細胞(human melanoma cell line、Lonza、SWISS)を6ウェルプレートに1×10
6cell/wellでシートし(seeding)、37℃、5% CO
2条件下で24間培養した後、前記実施例1の試料1と試料2をそれぞれ10ppm及び100ppm処理し、37℃、5% CO
2インキュベーターで48時間培養した。48時間培養された前記細胞に破砕液(Lysis Buffer;1% NP-40、50mM Tris-HCL;pH7.5、150mM NaCl)を500μl処理した後、セルスクレーター(Cell scraper)を用いてマイクロチューブ(microtube)に集めた後、13,000rpmで15分間遠心分離(Eppendorf、centrifuge 5415R、ドイツ)した。次いで、沈殿物を分離し、1N 水酸化ナトリウム50μlを処理して沈殿物を溶解させた後、メラニン色素に特異的な450nm波長における吸光度を測定し、下記の式にてメラニンの量を全タンパク質の量に対する値に補正した。このとき、対照群(control)としては、試料を処理していないMNT-1細胞を用いて、その結果を
図4に示した。
メラニンの量(%)=吸光度/全タンパク質の量
【0085】
図4の結果から、一般緑茶抽出物(試料1)に比べ、本発明に係る高温処理緑茶抽出物(試料2)のほうが顕著に優れるメラニン生成抑制効能を示すことを確認することができた。
【0086】
特に、高温処理緑茶抽出物を100ppm処理した場合、顕著に高いメラニン生成抑制効果を示し、また、高温処理緑茶抽出物を10ppm処理した場合、一般緑茶抽出物を100ppm処理した場合と類似したレベルのメラニン生成抑制効果を示しており、本発明に係る高温処理緑茶抽出物のメラニン生成抑制効能が、一般緑茶抽出物に比べて10倍ほど優れることを確認することができた。
【0087】
[試験例4]高温処理緑茶抽出物のチロシナーゼ活性抑制評価
前記実験例2に係る細胞溶解物10μgにDOPA(ジヒドロキシフェニルアラニン;dihydroxyphenylalanine)10mM(同量10μg)を添加し、チロシナーゼの作用によって生成されたドーパクロム(dopachrome)の生成量を、490nmにおける吸光度を比較して測定した。チロシナーゼ活性を非処理群の吸光度に対する比率にて求め、
図5に示した。
【0088】
図5の結果から、本発明に係る高温処理緑茶抽出物を処理した場合、一般緑茶抽出物を処理した場合に比べ、チロシナーゼ活性抑制効果に顕著に優れることを確認することができた。
【0089】
[剤形例1]軟質カプセル
前記実施例1に係る試料2を150mg準備し、ラクトース440mg、とうもろこし澱粉430mg及びステアリン酸マグネシウム2mgを混合して軟質カプセル充填液を製造した。そして、該充填液とは別途に、ゼラチン66重量部、グリセリン24重量部及びソルビトール液10重量部の割合で軟質カプセルシートを製造し、前記充填液を充填させて、軟質カプセルを製造した。
【0090】
[剤形例2]錠剤
前記実施例1に係る試料2を150mg準備し、ビタミンE 15mg、ビタミンC 15mg、ガラクトオリゴ糖250mg、乳糖60mg及び麦芽糖140mgを混合してから、流動層乾燥幾を用いて顆粒化した後、糖エステル(sugar ester)8mgを添加した。この組成物を通常の方法にて打錠して、錠剤を製造した。
【0091】
[剤形例3]ドリンク剤
前記実施例1に係る試料2を80mg準備し、ビタミンE 9mg、ビタミンC 9mg、ブドウ糖10g、クエン酸0.6g、及び液状オリゴ糖25gを混合した後、精製水400mlを加えて瓶に充填した。瓶に充填した後、30℃で4~5秒間殺菌して、ドリンク剤を製造した。
【0092】
[剤形例4]顆粒剤
前記実施例1に係る試料2を150mg準備し、ビタミンE 9mg、ビタミンC 9mg、無水結晶ブドウ糖250mg及び澱粉550mgを混合した後、流動層造粒幾を用いて顆粒に成形した後、包に充填して、顆粒剤を製造した。
【0093】
[剤形例5]健康食品
前記実施例1に係る試料2を150mg準備し、ビタミン混合物(ビタミンAアセテート70μg、ビタミンE 1.0mg、ビタミンB1 0.13mg、ビタミンB2 0.15mg、ビタミンB6 0.5mg、ビタミンB12 0.2μg、ビタミンC 10mg、ビオチン10μg、ニコチン酸アミド1.7mg、葉酸50μg)と無気質混合物(硫酸第一鉄1.75mg、酸化亜鉛0.82mg、炭酸マグネシウム25.3mg、第一リン酸カリウム15mg、第二リン酸カルシウム55mg、クエン酸カリウム90mg、炭酸カルシウム100mg、塩化マグネシウム24.8mg)を組み合わせて、健康食品を製造した。
【0094】
[剤形例6]健康飲料
前記実施例1に係る試料2を50mg準備し、クエン酸1000mg、オリゴ糖100g、梅濃縮液2g、タウリン1g、残量して精製水を添加して、900mLの健康飲料を製造した。
【0095】
[剤形例7]アンプル剤
前記実施例1に係る試料2を10mg準備し、マルトデキストリンを混合してから精製水15mlを加え、アンプル瓶に充填した後、殺菌して、液状アンプル剤を製造した。
【0096】
以上、本明細書の特定の実施例などについて詳しく記述したが、当業界の通常の知識を有する者にとってこのような具体的な記述は単に好適な具現例であるに過ぎず、これによって本明細書の範囲が制限されるものではないことは明白であろう。したがって、本明細書の実質的な範囲は添付の請求項とそれらの等価物によって定義されるといえよう。