IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ タイガー株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-アライグマ用前足式保定具支持柱 図1
  • 特許-アライグマ用前足式保定具支持柱 図2
  • 特許-アライグマ用前足式保定具支持柱 図3
  • 特許-アライグマ用前足式保定具支持柱 図4
  • 特許-アライグマ用前足式保定具支持柱 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-12
(45)【発行日】2024-03-21
(54)【発明の名称】アライグマ用前足式保定具支持柱
(51)【国際特許分類】
   A01M 23/34 20060101AFI20240313BHJP
【FI】
A01M23/34
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020031045
(22)【出願日】2020-02-26
(65)【公開番号】P2021132570
(43)【公開日】2021-09-13
【審査請求日】2023-02-27
(73)【特許権者】
【識別番号】391024722
【氏名又は名称】タイガー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100073689
【弁理士】
【氏名又は名称】築山 正由
(72)【発明者】
【氏名】古谷 益朗
(72)【発明者】
【氏名】尾田 英登
(72)【発明者】
【氏名】尾田 基根
【審査官】磯田 真美
(56)【参考文献】
【文献】特開平04-091743(JP,A)
【文献】実開平01-084582(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2010/0275503(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0232848(US,A1)
【文献】特開2014-217363(JP,A)
【文献】登録実用新案第3160342(JP,U)
【文献】北海道アライグマ防除技術指針,[online],2009年02月02日,[2023年09月26日検索],<URL:https://www.pref.hokkaido.lg.jp/fs/8/9/7/2/7/7/2/_/araigumasisinn.pdf>
【文献】阿部 豪 外7名,北海道におけるアライグマ捕獲のためのEggTM Trapの有効性と混獲防止効果の検証,哺乳類科学,日本哺乳類学会,2006年,46巻,2号,p.169-175,Online ISSN:1881-526X,<DOI:10.11238/mammalianscience.46.169>
【文献】今週の業務,[online],2015年06月21日,[2023年09月26日検索],<URL:https://researchmap.jp/blogs/blog_entries/view/79686/f863cee57ede59f36e506008e4a37e0b?frame_id=376397>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01M 23/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
支柱本体の上部に、アライグマ用前足式保定具を構成する筒状の本体を収容可能なホルダーを設けた、アライグマ用前足式保定具支持柱。
【請求項2】
ホルダーを複数設けた請求項1に記載のアライグマ用前足式保定具支持柱。
【請求項3】
ホルダーの取り付け位置を可変にした請求項1又は請求項2に記載のアライグマ用前足式保定具支持柱。
【請求項4】
ホルダーがサドルバンドである請求項1乃至請求項3いずれかに記載のアライグマ用前足式保定具支持柱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はアライグマの前足を保定し、捕獲する罠を支持するための支柱に関する。
【背景技術】
【0002】
昨今、農作物に対するアライグマによる食害等が深刻化している。原因としては、過疎化による山際での人口減少や耕作放棄地の増加、アライグマの人間の生活環境への対応能力の向上などで、アライグマの生息域が広がったことが考えられる。
【0003】
更には、住宅街でも屋根裏に棲みつき、糞尿による住居汚損や騒音を引き起こすなどの被害が発生している。
【0004】
また、アライグマはアライグマ回虫やレプトスピラ症等の人畜共通の感染症のキャリアになる可能性が有り、しかもその生息域が市街地周辺に及んでいることから、その捕獲処分が野性動物管理上の優先課題となっている。
【0005】
ところが、アライグマは夜行性であるなどの条件から狩猟されることが少ない。そのため、外来生物法に基づいた箱わなによる有害駆除の捕獲が主となっている。
【0006】
箱わな以外では、錯誤捕獲を防ぐために特許文献1に開示されるエッグトラップという新しい罠も開発されている。このエッグトラップとは、前足式保定具の一種であり、筒状の本体の中にアライグマが前足を差し入れると、はじきバネが当該前足を固定して捕獲する仕組みとなっている。
【0007】
かかるエッグトラップ以外にも、アライグマが空洞部に差し入れた前足を捕獲するアライグマ用前足式保定具が汎用されている。特許文献2は係る保定具を示すものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】米国特許第4633610号公報
【文献】特許第4460022号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記エッグトラップやその他のアライグマ用前足式保定具には、猫やタヌキなどのアライグマ以外の動物が誤って捕獲されるという難点がある。また、地面に置いて設置すると、エッグトラップやその他のアライグマ用前足式保定具内に配する餌が腐りやすいという難点もある。
【0010】
更にはエッグトラップやその他のアライグマ用前足式保定具を単体で設置してもアライグマに対する誘因力が弱く、なかなか捕獲されないという実情もある。
【0011】
そこで本発明は、アライグマ以外の動物が誤って捕獲されることを抑制可能であり、また内部に配された餌の腐敗を地面に置いた場合よりも遅らせることが可能であり、更にはアライグマに対する誘因力を高めることが可能な、アライグマ用前足式保定具支持柱を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の目的を達成する本発明の構成は以下の通りである。
【0013】
(1) 請求項1に記載のアライグマ用前足式保定具支持柱は、支柱本体の上部にアライグマ用前足式保定具を支持するホルダーを設けて構成した。
【0014】
(2)請求項2に記載のアライグマ用前足式保定具支持柱は、請求項1に記載の発明において、ホルダーを複数設けて構成した。
【0015】
(3)請求項3に記載のアライグマ用前足式保定具支持柱は、請求項1又は請求項2に記載の発明において、ホルダーの取り付け位置を可変に構成した。
【0016】
(4)請求項4に記載のアライグマ用前足式保定具支持柱は、請求項1乃至請求項3いずれかに記載の発明において、ホルダーとしてサドルバンドを使用した。
【発明の効果】
【0017】
上記のように構成される本発明が、如何に作用して課題を解決するかを図面を参照しながら概説する。
【0018】
図1は本発明にかかるアライグマ用前足式保定具支持柱1の使用状態を示すものであり、アライグマ用前足式保定具Aをサドルバンド20内に配したうえで、地面Gに立設した状態を示している。
【0019】
図示されるように支柱本体10の上部に設けられたサドルバンド20内にアライグマ用前足式保定具Aが配設されることから、アライグマ用前足式保定具Aの設置高さを調節することで、アライグマ以外の動物が誤って捕獲されることを防ぐことが可能となるのである。
【0020】
すなわち、出願人は実験により、アライグマ用前足式保定具Aを地面から200mm以上の高さに設置すると、タヌキやアナグマ、猫などが捕獲されることがなくなる。これに対しアライグマは後ろ足で立つことが可能という習性、前足を用いて手探りでえさを探すという習性から、200mm以上に設置してもアライグマ用前足式保定具で捕獲が可能という知見を得た。また、700mmを超える位置にアライグマ用前足式保定具を設置すると、アライグマであってもアライグマ用前足式保定具内に前足を差し入れることが出来なくなり、捕獲されることはなくなるとの知見を得た。
【0021】
それゆえ、地面からアライグマ用前足式保定具Aまでの高さが200mm以上700mm未満になるように、アライグマ用前足式保定具支持柱1を地面に立設すれば、アライグマ以外の動物が誤って捕獲されることを防ぐことが可能となるのである。
【0022】
また、アライグマ用前足式保定具を地面ではなく空中に設置することから、風通しのよさや地中にいる腐敗菌との距離が保たれるといったことを理由に、保定具内に配された餌が腐敗しにくくなるという効果も奏する。
【0023】
請求項2に記載の発明のようにサドルバンド20を複数設ければ、設置できるアライグマ用前足式保定具の数を増やすことが可能となり、つまりは誘因のための餌が増えることになり、単体で設置する場合に比べて誘因力が増すことが可能となるのである。
【0024】
請求項3に記載の発明では、サドルバンド20の取り付け位置を可変とすることで、上述のアライグマ用前足式保定具Aの好ましい設置高さ200mm以上700mm未満に、容易に設置することが可能となるのである。
【0025】
なお、図3に示すようにアライグマ用前足式保定具AはワイヤA-1を介して地面に杭A-2で固定されており、更にアライグマ用前足式保定具Aはサドルバンド20内に緩挿されているので、アライグマが捕獲されるとアライグマ用前足式保定具Aは地面に落下し、アライグマは地上で捕獲されることになる。つまりは前足が宙づりにされた状態で捕獲されるもではないので、アライグマに与えられる苦痛が減少されるものである。
【0026】
以上はサドルバンドを用いた場合を概説したが、もちろんサドルバンド以外のアライグマ用前足式保定具を支持可能なホルダーを用いても、同様の効果を得られるものである。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明の使用状態を示す説明正面図。
図2】同、平面図。
図3】同、左側面図。
図4】ホルダーの一実施形態を示す説明図
図5】ホルダーの他の実施形態を示す説明図
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、好ましい発明の実施形態につき、図面を参照しながら概説する。なお、本発明構成要素の実施形態は、下記の実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態を採りうる。また、各図におけるUとは上方を、Dは下方を、Rは右方向を、Lは左方向を意味するものである。
【0029】
図1は、本発明に係るアライグマ用前足式保定具支持柱1の一実施形態を示す正面図、図2はその平面図であり、図3はその左側面図である。
【0030】
支柱本体10はその上端に当金11を、下端に剣先12を取り付けて構成されている。この実施形態においては、支柱本体10の長さは1500mm、外径は39mmとしているが、設置場所等に応じて適宜設計変更が可能である。なお、使用時においては支柱本体10の下端を300mm程度地中に埋め込めば、安定してホルダーを支持することが可能となる。
【0031】
この実施形態においては、支柱本体10は、鋼管の周囲をABS樹脂で被覆して作製されている。むろんかかる限定を受けるわけではなく、FRPで作製しても構わないし、その他所定の強度を有るものであれば、どのような材料で構成しても構わない。
【0032】
当金11は有底円筒体であり、支柱本体10の上端に被せて使用されるものである。素材はABS樹脂で作製されているが、むろんかかる限定を受けるものではなく、金属その他設置時にハンマー等で打ち付けられても破損しない強度を有する素材であれば、任意素材を採用できる。
【0033】
剣先12はその下端が尖った略円錐形状を呈する部材であり、図示されない突起を支柱本体10に嵌合して支柱本体10に固定されるものである。素材はABS樹脂を使用して作製されているが、むろんかかる限定を受けるものではなく、所定の強度を有るものであれば、どのような材料で構成しても構わない。
【0034】
本発明は図1等に示すように、一本の支柱本体10を用いているが、むろんかかる限定を受けるものではなく、例えば二本の支柱本体10・10を併設し、横桟をかけ渡して梯子状にするといった形態でも構わない。要はその上部に、アライグマ用前足式保定具を支持するホルダーを設けることが可能であれば、任意の形態を採用できる。
【0035】
支柱本体10の上部にはホルダー30が設けられている。ホルダー30は図4に示すようにリング形状でも構わないし、図5に示すように一対の板バネを対向させて設けるものでも構わない。要はアライグマ用前足式保定具を安定して支持可能であれば、任意の形態のものを採用できる。その個数も一個でも構わないし、複数個でも構わない。
【0036】
図4に示されるリング状のホルダー30は、板状の固定部31と、該脚部31から垂直方向に立設される板状の脚部32、及び脚部32の端部に設けられるリング部33とにより成る。固定部31及び支柱本体10には図示されない貫通孔が設けられており、ボルト・ナット等の緊締具50が緩挿され、ホルダー30は支柱本体10に固定されるものである。
【0037】
図5に示されるホルダー40は、対向する一対の板バネ41・41で形成されている。板バネ41は、板状の固定部42と、該脚部42から垂直方向に立設される板状の脚部43、及び脚部43の端部に設けられる円弧部44、及び円弧部44の端部から延設される板状部45とにより成る。固定部32及び支柱本体10には図示されない貫通孔が設けられており、ボルト・ナット等の緊締具50が緩挿され、ホルダー40は支柱本体10に固定されるものである。
【0038】
請求項4に記載の発明では、図1乃至図3に示すように、ホルダーとしてサドルバンド20を用いている。サドルバンド20は、一連の板状体であり、その両端に直線状の固定部21・21が設けられると共に、固定部21・21との間には円弧状の保持部22が形成されている。固定部21及び支柱本体10には図示されない貫通孔が設けられており、ボルト・ナット等の緊締具50が緩挿され、サドルバンド20は支柱本体10に固定されるものである。
【0039】
請求項3に記載の発明では、ホルダーの取り付け位置を可変に構成してある。上記ボルト・ナットを緩挿するために支柱本体10に設ける貫通孔を、上限方向に多数設けることで、ホルダーの取り付け位置を可変とするものである。
【符号の説明】
【0040】
10・・支柱本体
11・・当金
12・・剣先
20・・サドルバンド
30・・ホルダー
40・・ホルダー
図1
図2
図3
図4
図5