(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-12
(45)【発行日】2024-03-21
(54)【発明の名称】同軸コネクタを備えた配線板及び電子部品試験装置、並びに、同軸コネクタ
(51)【国際特許分類】
H01R 24/38 20110101AFI20240313BHJP
H01R 24/30 20110101ALI20240313BHJP
H01R 12/75 20110101ALI20240313BHJP
G01R 31/28 20060101ALI20240313BHJP
【FI】
H01R24/38
H01R24/30
H01R12/75
G01R31/28 K
(21)【出願番号】P 2020091498
(22)【出願日】2020-05-26
【審査請求日】2023-02-15
(73)【特許権者】
【識別番号】390005175
【氏名又は名称】株式会社アドバンテスト
(73)【特許権者】
【識別番号】591043064
【氏名又は名称】モレックス エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110000486
【氏名又は名称】弁理士法人とこしえ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】瀬下 貴仁
(72)【発明者】
【氏名】渋谷 敦章
(72)【発明者】
【氏名】新井 政之
(72)【発明者】
【氏名】大山 誠敬
(72)【発明者】
【氏名】秋山 茂
(72)【発明者】
【氏名】松元 絢子
【審査官】鎌田 哲生
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-243414(JP,A)
【文献】特開2011-238495(JP,A)
【文献】特開2013-026145(JP,A)
【文献】国際公開第2009/034620(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R12/00-12/91
H01R13/56-13/72
H01R24/00-24/86
G01R31/28-31/3193
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配線板本体と、前記配線板本体に実装された同軸コネクタと、を備えた配線板であって、
前記同軸コネクタは、
複数の同軸端子と、
前記同軸端子を保持するハウジングと、を備え、
前記複数の同軸端子は、少なくとも一つの列を形成するように配置されており、
前記同軸端子は、
信号端子と、
間隔を空けて前記信号端子を覆うグランド端子と、を備え、
前記グランド端子は、
筒状の第1の本体部と、
前記配線板本体に接触している第1
の接触部及び第2の接触部をそれぞれ有し、前記第1の本体部からそれぞれ延出している第1
の接触片及び第2の接触片と、を備え、
前記配線板本体の法線方向に沿って前記配線板を透視した透過平面視において、前記同軸端子の前記第1の接触片の一部は、隣りの前記同軸端子の前記第2の接触片の一部と重なっている配線板。
【請求項2】
請求項1に記載の配線板であって、
前記第1の接触片は、
前記透過平面視において前記第1の本体部の外側に位置している前記第1の接触部と、
前記第1の本体部に接続された第1の根元部と、
前記第1の接触部と前記第1の根元部との間に介在して、前記透過平面視において前記第1の本体部の内側に位置する第1の屈曲部と、をさらに有し、
前記第2の接触片は、
前記透過平面視において前記第1の本体部の内側に位置している前記第2の接触部と、
前記第1の本体部に接続された第2の根元部と、
前記第2の接触部と前記第2の根元部との間に介在して、前記透過平面視において前記第1の本体部の外側に位置する第2の屈曲部と、をさらに有し、
前記透過平面視において、前記同軸端子の前記第1の接触部は、隣りの前記同軸端子の前記第2の屈曲部と重なっている配線板。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の配線板であって、
前記複数の同軸端子は、相互に並列に並べられた複数の列を形成するように配置され、
相互に隣り合う列の前記同軸端子は、互い違いに配置されており、
前記信号端子は、
第2の本体部と、
前記配線板本体に接触している第3の接触部を有し、前記第2の本体部から延出している第3の接触片と、を備え、
前記透過平面視において、前記同軸端子の前記第1の接触部は、第1の仮想直線上に位置しており、
前記第1の仮想直線は、前記同軸端子の前記第3の接触部と、隣りの列の前記同軸端子の前記第3の接触部とを通過する仮想上の直線である配線板。
【請求項4】
請求項3に記載の配線板であって、
前記第3の接触片は、前記透過平面視において、前記第2の本体部か
ら第1の方向側に延出しており、
前記第1の方向は、前記透過平面視において、同一の列を構成する前記同軸端子の配列方向に対して実質的に平行な方向であって、前記第2の接触片から前記第1の接触片に向かう方向である配線板。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載の配線板であって、
前記同軸端子は、一対の前記第2の接触片を備え、
前記透過平面視において、前記グランド端子の一対の
前記第2の接触片の一部は、前記信号端子の一部とそれぞれ重なっている配線板。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載の配線板であって、
前記複数の同軸端子は、相互に並列に並べられた複数の列を形成するように配置され、
隣り合う列の前記同軸端子は、互い違いに配置されており、
前記透過平面視において、前記同軸端子の前記信号端子の一部は、第2の仮想直線上に位置しており、
前記第2の仮想直線は、同一の列を構成する前記同軸端子の配列方向に対して実質的に直交する方向に延在し、且つ、隣りの列の前記同軸端子の前記第2の接触部を通過する仮想上の直線である配線板。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載の配線板であって、
前記複数の同軸端子は、相互に並列に並べられた複数の列を形成するように配置され、
隣り合う列の前記同軸端子は、互い違いに配置されており、
前記透過平面視において、前記同軸端子の前記信号端子の一部は、第3の仮想直線上に位置しており、
前記第3の仮想直線は、同一の列を構成する前記同軸端子の配列方向に対して実質的に直交する方向に延在し、且つ、隣りの列の前記同軸端子の前記信号端子の一部を通過する仮想上の直線である
配線板。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載の配線板であって、
前記グランド端子は、前記第1の本体部から前記第1
の接触片及び第2の接触片とは反対側に延出している第4の接触片を有する配線板。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一項に記載の配線板であって、
前記信号端子は、
第2の本体部と、
前記配線板本体に接触している第3の接触部を有し、前記第2の本体部から延出している第3の接触片と、
前記第2の本体部から前記第3の接触片とは反対側に延出している第5の接触片と、を有する配線板。
【請求項10】
請求項
4、6、及び7のいずれか一項に記載の配線板であって、
前記同軸端子は、
一対の前記第1の接触片と、
一対の前記第2の接触片と、を備え、
前記一対の第1の接触片は、前記透過平面視において、前記同一の列を構成する前記同軸端子の配列方向に実質的に平行な方向に沿って延在する前記同軸端子の中心線に対して線対称に配置され、
前記一対の第2の接触片も、前記透過平面視において、前記中心線に対して線対称に配置されている配線板。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか一項に記載の配線板であって、
前記同軸端子は、前記信号端子と前記グランド端子との間に介在する絶縁部材を備えた配線板。
【請求項12】
請求項
3、4、及び9のいずれか一項に記載の配線板であって、
前記配線板本体は、
前記グランド端子の前記第1
の接触部及び第2の接触部が接触している第1の配線パターンと、
前記信号端子の前記第3の接触部が接触している第2の配線パターンと、を有する配線板。
【請求項13】
DUTを試験する電子部品試験装置であって、
請求項1~12のいずれか一項に記載の配線板を備えた電子部品試験装置。
【請求項14】
複数の同軸端子と、前記同軸端子を保持するハウジングと、を備えた同軸コネクタであって、
前記複数の同軸端子は、少なくとも一つの列を形成するように配置されており、
前記同軸端子は、
信号端子と、
間隔を空けて前記信号端子を覆うグランド端子と、を備え、
前記グランド端子は、
筒状の第1の本体部と、
第1
の接触部及び第2の接触部を先端にそれぞれ有し、前記第1の本体部からそれぞれ延出している第1
の接触片及び第2の接触片と、を備え、
前記同軸コネクタを配線板本体に実装して配線板を構成した際に、前記配線板本体の法線方向に沿って前記配線板を透視した透過平面視において、前記同軸端子の前記第1の接触片の一部は、隣りの前記同軸端子の前記第2の接触片の一部と重なるように構成されている同軸コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体集積回路素子等の被試験電子部品(DUT:Device Under Test)を試験する電子部品試験装置に用いることのできる同軸コネクタを備えた配線板、及び、電子部品試験装置、並びに、その同軸コネクタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の同軸端子は、筒状本体を有するグランド端子と、筒状本体の内側に配置された信号端子と、を備え、グランド端子が、回路基板と接触する複数の接触部を有している(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の同軸端子を用いたコネクタでは、より多くの同軸端子を高密度に配置することが要求されている。その一方で、同軸端子を高密度に配置すると、所望の電気的特性を満たさなくなってしまう場合がある。
【0005】
本開示が解決しようとする課題は、同軸端子を高密度に配置すると共に所望の電気的特性を確保することが可能な同軸コネクタを備えた配線板及び電子部品試験装置、並びに、その同軸コネクタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
[1]本開示に係る配線板は、配線板本体と、前記配線板本体に実装された同軸コネクタと、を備えた配線板であって、前記同軸コネクタは、複数の同軸端子と、前記同軸端子を保持するハウジングと、を備え、前記複数の同軸端子は、少なくとも一つの列を形成するように配置されており、前記同軸端子は、信号端子と、間隔を空けて前記信号端子を覆うグランド端子と、を備え、前記グランド端子は、筒状の第1の本体部と、前記配線板本体に接触している第1及び第2の接触部をそれぞれ有し、前記第1の本体部からそれぞれ延出している第1及び第2の接触片と、を備え、前記配線板本体の法線方向に沿って前記配線板を透視した透過平面視において、前記同軸端子の前記第1の接触片の一部は、隣りの前記同軸端子の前記第2の接触片の一部と重なっている配線板である。
【0007】
[2]上記開示において、前記第1の接触片は、前記透過平面視において前記第1の本体部の外側に位置している前記第1の接触部と、前記第1の本体部に接続された第1の根元部と、前記第1の接触部と前記第1の根元部との間に介在して、前記透過平面視において前記第1の本体部の内側に位置する第1の屈曲部と、をさらに有し、前記第2の接触片は、前記透過平面視において前記第1の本体部の内側に位置している前記第2の接触部と、前記第1の本体部に接続された第2の根元部と、前記第2の接触部と前記第2の根元部との間に介在して、前記透過平面視において前記第1の本体部の外側に位置する第2の屈曲部と、をさらに有し、前記透過平面視において、前記同軸端子の前記第1の接触部は、隣りの前記同軸端子の前記第2の屈曲部と重なっていてもよい。
【0008】
[3]上記開示において、前記複数の同軸端子は、相互に並列に並べられた複数の列を形成するように配置され、相互に隣り合う列の前記同軸端子は、互い違いに配置されており、前記信号端子は、第2の本体部と、前記配線板本体に接触している第3の接触部を有し、前記第2の本体部から延出している第3の接触片と、を備え、前記透過平面視において、前記同軸端子の前記第1の接触部は、第1の仮想直線上に位置しており、前記第1の仮想直線は、前記同軸端子の前記第3の接触部と、隣りの列の前記同軸端子の前記第3の接触部とを通過する仮想上の直線であってもよい。
【0009】
[4]上記開示において、前記第3の接触片は、前記透過平面視において、前記第2の本体部から前記第1の方向側に延出しており、前記第1の方向は、前記透過平面視において、同一の列を構成する前記同軸端子の配列方向に対して実質的に平行な方向であって、前記第2の接触片から前記第1の接触片に向かう方向であってもよい。
【0010】
[5]上記開示において、前記同軸端子は、一対の前記第2の接触片を備え、前記透過平面視において、前記グランド端子の前記一対の第2の接触片の一部は、前記信号端子の一部とそれぞれ重なっていてもよい。
【0011】
[6]上記開示において、前記複数の同軸端子は、相互に並列に並べられた複数の列を形成するように配置され、隣り合う列の前記同軸端子は、互い違いに配置されており、前記透過平面視において、前記同軸端子の前記信号端子の一部は、第2の仮想直線上に位置しており、前記第2の仮想直線は、同一の列を構成する前記同軸端子の配列方向に対して実質的に直交する方向に延在し、且つ、隣りの列の前記同軸端子の前記第2の接触部を通過する仮想上の直線であってもよい。
【0012】
[7]上記開示において、前記複数の同軸端子は、相互に並列に並べられた複数の列を形成するように配置され、隣り合う列の前記同軸端子は、互い違いに配置されており、前記透過平面視において、前記同軸端子の前記信号端子の一部は、第3の仮想直線上に位置しており、前記第3の仮想直線は、同一の列を構成する前記同軸端子の配列方向に対して実質的に直交する方向に延在し、且つ、隣りの列の前記同軸端子の前記信号端子の一部を通過する仮想上の直線であってもよい。
【0013】
[8]上記開示において、前記グランド端子は、前記第1の本体部から前記第1及び第2の接触片とは反対側に延出している第4の接触片を有していてもよい。
【0014】
[9]上記開示において、前記信号端子は、第2の本体部と、前記配線板本体に接触している第3の接触部を有し、前記第2の本体部から延出している第3の接触片と、前記第2の本体部から前記第3の接触片とは反対側に延出している第5の接触片と、を有していてもよい。
【0015】
[10]上記開示において、前記同軸端子は、一対の前記第1の接触片と、一対の前記第2の接触片と、を備え、前記一対の第1の接触片は、前記透過平面視において、前記同一の列を構成する前記同軸端子の配列方向に実質的に平行な方向に沿って延在する前記同軸端子の中心線に対して線対称に配置され、前記一対の第2の接触片も、前記透過平面視において、前記中心線に対して線対称に配置されていてもよい。
【0016】
[11]上記開示において、前記同軸端子は、前記信号端子と前記グランド端子との間に介在する絶縁部材を備えていてもよい。
【0017】
[12]上記開示において、前記配線板本体は、前記グランド端子の前記第1及び第2の接触部が接触している第1の配線パターンと、前記信号端子の前記第3の接触部が接触している第2の配線パターンと、を有していてもよい。
【0018】
[13]本開示に係る電子部品試験装置は、DUTを試験する電子部品試験装置であって、上記の配線板を備えた電子部品試験装置である。
【0019】
[14]本開示に係る同軸コネクタは、複数の同軸端子と、前記同軸端子を保持するハウジングと、を備えた同軸コネクタであって、前記複数の同軸端子は、少なくとも一つの列を形成するように配置されており、前記同軸端子は、信号端子と、間隔を空けて前記信号端子を覆うグランド端子と、を備え、前記グランド端子は、筒状の第1の本体部と、第1及び第2の接触部を先端にそれぞれ有し、前記第1の本体部からそれぞれ延出している第1及び第2の接触片と、を備え、前記同軸コネクタを配線板本体に実装して配線板を構成した際に、前記配線板本体の法線方向に沿って前記配線板を透視した透過平面視において、前記同軸端子の前記第1の接触片の一部は、隣りの前記同軸端子の前記第2の接触片の一部と重なるように構成されている同軸コネクタである。
【発明の効果】
【0020】
本開示によれば、透過平面視において、同軸端子の第1の接触片の一部は、隣りの同軸端子の第2の接触片の一部と重なっているため、相互に隣り合う同軸端子の間隔を狭めることができ、同軸端子を高密度に配置することができる。また、本開示では、相互に隣り合う信号端子同士の間に第1の接触片と第2の接触片を密に介在させることができるので、同軸端子のシールド性能を高めることができる。従って、本開示では、同軸端子を高密度に配置すると共に、所望の電気的特性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】
図1は、本開示の実施形態における配線板を上方から見た斜視図である。
【
図2】
図2は、本開示の実施形態における同軸コネクタの平面図である。
【
図3】
図3は、本開示の実施形態における同軸コネクタの底面図である。
【
図4】
図4は、本開示の実施形態における同軸コネクタを下方から見た分解斜視図である。
【
図5】
図5は、本開示の実施形態における同軸コネクタの変形例を示す平面図である。
【
図6】
図6は、本開示の実施形態における同軸端子を示す正面図である。
【
図7】
図7は、本開示の実施形態における同軸端子の分解斜視図である。
【
図8】
図8は、本開示の実施形態における信号端子を示す斜視図である。
【
図9】
図9は、本開示の実施形態における信号端子及ぶ絶縁部材を示す正面図である。
【
図10】
図10は、本開示の実施形態における同軸端子を正面から見た斜視図である。
【
図11】
図11は、本開示の実施形態における同軸端子を背面から見た斜視図である。
【
図12】
図12は、本開示の実施形態における同軸端子を示す底面図である。
【
図13】
図13は、本開示の実施形態におけるハウジングを示す拡大断面図であり、
図2のXIII-XIII線に対応する図である。
【
図14】
図14は、本開示の実施形態におけるハウジングの保持孔を示す拡大平面図である。
【
図15】
図15は、本開示の実施形態における配線板を下方から透視した透過平面図であり、同軸端子と配線パターンの位置関係を示す図である。
【
図16】
図16は、本開示の実施形態における配線板を下方から透視した透過平面図であり、グランド端子の外側接触片と相互に隣り合う列の信号端子との位置関係を示す図である。
【
図17】
図17は、本開示の実施形態における配線板を下方から透視した透過平面図であり、信号端子と隣りの列の内側接触片との位置関係を示す図である。
【
図18】
図18は、本開示の実施形態における配線板を下方から透視した透過平面図であり、相互に隣り合う列の信号端子同士の位置関係を示す図である。
【
図19】
図19は、本開示の実施形態における電子部品試験装置の構成を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本開示の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0023】
図1は本実施形態における配線板を示す斜視図である。
図2は本実施形態における同軸コネクタの平面図であり、
図3は本実施形態における同軸コネクタの底面図であり、
図4は本実施形態における同軸コネクタを下方から見た分解斜視図である。
図5は本実施形態における同軸コネクタの変形例を示す平面図である。
【0024】
本実施形態における配線板1は、
図1に示すように、配線板本体10と、当該配線板本体10に実装された同軸コネクタ20と、を備えている。この配線板1は、後述するように、例えば、電子部品試験装置100(
図19参照)のパフォーマンスボード120や試験モジュール141として用いることができる。
【0025】
配線板本体10は、電気絶縁性を有する絶縁基板11と、当該絶縁基板11の主面11a上に設けられた配線パターン12,13(
図15参照)と、を備えたプリント配線板である。同軸コネクタ20は、配線板本体10に固定された状態で、当該配線パターン12,13に電気的に接続されている。
【0026】
なお、配線板本体10に実装される同軸コネクタ20の数は、特に限定されず、任意の数の同軸コネクタ20を配線板本体10に実装することができる。例えば、電子部品試験装置100の用途で用いる場合には、電子部品試験装置100が有するソケット121(
図19参照)の数等に応じて、配線板本体10に実装される同軸コネクタ20の数が設定される。なお、本開示に係る配線板の用途は、電子部品試験装置に限定されない。また、本実施形態では、同軸コネクタ20を配線板本体10の主面に実装しているが、特にこれに限定されず、同軸コネクタ20を配線板本体10の側面(縁)に実装してもよい。
【0027】
同軸コネクタ20は、
図2~
図4に示すように、複数の同軸端子30と、当該同軸端子30を保持しているハウジング70と、を備えている。本実施形態では、92個の同軸端子30が千鳥状に配置されている。
【0028】
なお、同軸コネクタが有する同軸端子の数は、特に上記に限定されない。例えば、
図5に示すように、同軸コネクタ20Bが、千鳥状に配置された65個の同軸端子30を備えていてもよい。また、本実施形態では、複数の同軸端子30が千鳥状に配置されているが、同軸端子の配置は特にこれに限定されない。
【0029】
この同軸コネクタ20には、同軸ケーブル90(
図1参照)の端部に接続された相手方の同軸端子91が挿入される。この同軸ケーブル90の同軸端子91は、同軸コネクタ20の複数の同軸端子30にそれぞれ嵌合する。これにより、同軸端子91の信号端子92(
図4参照)が、同軸コネクタ20の同軸端子30の信号端子40(後述)に電気的に接続されると共に、当該同軸端子91のグランド端子93(
図4参照)が、同軸コネクタ20の同軸端子30のグランド端子60(後述)に電気的に接続される。
【0030】
図6は本実施形態における同軸端子を示す正面図であり、
図7は本実施形態における同軸端子の分解斜視図である。
図8は本実施形態における信号端子を示す斜視図であり、
図9は本実施形態における信号端子及ぶ絶縁部材を示す正面図である。
図10は本実施形態における同軸端子を正面から見た斜視図であり、
図11は本実施形態における同軸端子を背面から見た斜視図、
図12は実施形態における同軸端子を示す底面図である。
【0031】
本実施形態における同軸端子30は、
図6及び
図7に示すように、信号端子40と、絶縁部材50と、グランド端子60と、を備えている。グランド端子60は、所定の間隔を空けて信号端子40を筒状に囲んでいる。絶縁部材50は、信号端子40とグランド端子60との間に介在している。
【0032】
信号端子40は、例えば、金属材料等の導電性を有する材料から構成されており、金属製の板材を打ち抜き加工した後に折り曲げ加工を行うことによって形成されている。この信号端子40は、
図8に示すように、Z方向に沿って延在している本体部41と、当該本体部41から+Z方向側に延出している一対の上側接触片42と、当該本体部41から-Z方向側に向かって延出している下側接触片43と、を備えている。この本体部41、上側接触片42、及び、下側接触片43は、一体的に形成されている。
【0033】
なお、本実施形態における本体部41が本開示における「第2の本体部」の一例に相当し、本実施形態における上側接触片42が本開示における「第5の接触片」の一例に相当し、本実施形態における下側接触片43が本開示における「第3の接触片」の一例に相当する。
【0034】
一対の上側接触片42は、本体部41の上端411から+Z方向に向かって突出している。この一対の上側接触片42は、X方向において相互に対向しており、相互に離れる方向に弾性変形可能となっている。また、この上側接触片42は、先端に略U字状の接触部421をそれぞれ有し、先端に近づくに従って上側接触片42の間の間隔が狭くなっており、接触部421同士の間で最も狭くなっている。また、それぞれの上側接触片42は、Y方向に向かって突出する爪部422を、当該上側接触片42の根元部分の近傍に有している。
【0035】
相手方の同軸端子91が同軸端子30に嵌合する際には、当該同軸端子91の信号端子92(
図4参照)が一対の上側接触片42の間を押し広げながら進入する。そして、当該信号端子92が一対の上側接触片42の接触部421の間に挟まれることで、この信号端子40と相手方の同軸端子91の信号端子92とが電気的に接続される。
【0036】
これに対し、下側接触片43は、根元部431で本体部41の下端412に接続されている。この根元部431が湾曲していることで、当該下側接触片43は、本体部41の下端412から斜め下方に向かって突出している。この下側接触片43は、根元部431を支点として、上方に向かって弾性変形可能となっている。また、この下側接触片43は、先端に略U字状の接触部432を有している。この接触部432は、同軸コネクタ20が配線板本体10に実装された際に、配線板本体10の信号用配線パターン12(
図15参照)に接触する。
【0037】
絶縁部材50は、例えば、樹脂材料等の電気絶縁性を有する材料から構成されており、
図7及び
図9に示すように、インサート成形等の成形方法によって信号端子40と一体的に成型されている。この絶縁部材50は、略八角柱の形状を有しており、信号端子40の本体部41を覆っている。なお、絶縁部材50の形状は、柱形状であれば特に上記に限定されず、例えば円柱形状であってもよい。
【0038】
また、本実施形態の絶縁部材50は、-Y方向に開口する開口部51を有している。
図9に示すように、この開口部51は、下記の(1)式を満たすような長さを有しており、この開口部51を介して、信号端子40の本体部41の一部が絶縁部材50から露出している。
【0039】
L2≧1/2×L1 …(1)
【0040】
但し、上記の(1)式において、L1は、同軸端子30の軸方向(Z方向)に沿った絶縁部材50の長さであり、L2は、当該軸方向(Z方向)に沿った開口部51の長さである。
【0041】
ここで、同軸端子を単に小型化(小径化)すると、信号端子とグランド端子の間に介在する絶縁部材が薄くなるので、同軸端子のインピーダンスが低下してしまう。これに対し、本実施形態では、上記の(1)式を満たす開口部51が絶縁部材50に形成されていることで、樹脂よりも比誘電率の低い空気を信号端子40とグランド端子60との間に多く介在させることができ、同軸端子30を小型化しても同軸端子30のインピーダンスを維持することができる。
【0042】
また、この開口部51は、下記の(2)式を満たすような幅を有していることが好ましい。これにより、開口部51を十分大きくすることができる。
【0043】
W2>W1 …(2)
【0044】
但し、上記の(2)式において、W1は、本体部41において開口部51を介して露出している部分の幅であって、同軸端子30の軸方向(Z方向)に対して実質的に直交する幅方向(X方向)に沿った幅である。また、W2は、当該幅方向(X方向)に沿った開口部51の幅である。
【0045】
グランド端子60は、
図6、
図7、
図10及び
図11に示すように、2つの半筒部材61,65を重ね合わせることで構成されている。このグランド端子60は、略八角筒形状の本体部60aを有しており、絶縁部材50を介して信号端子40を囲んでおり、絶縁部材50を介して信号端子40を保持している。なお、グランド端子60の形状は、柱形状であれば特に上記に限定されず、絶縁部材50の形状に応じて設定され、例えば円柱形状であってもよい。また、グランド端子60を一つの部材で構成してもよい。
【0046】
第1の半筒部材61は、例えば、金属材料等の導電性を有する材料から構成されており、金属製の板材を打ち抜き加工した後に折り曲げ加工を行うことによって形成されている。この第1の半筒部材61は、本体部62と、一対の上側接触片63と、一対の内側接触片64と、を備えている。本体部62は、絶縁部材50の外周面に沿うように半八角筒状の形状を有している。上側接触片63は、本体部62から+Z方向側に延出している。一方、下側の内側接触片64は、本体部62から-Z方向側に延出している。本体部62、上側接触片63、及び、内側接触片64は、一体的に形成されている。
【0047】
本体部62の上端621から、一対の上側接触片63が+Z方向に向かって突出している。この上側接触片63は、本体部62の周方向の両端に配置され、X方向において相互に対向しており、相互に離れる方向に弾性変形可能となっている。また、この上側接触片63は、先端に略U字状の接触部631をそれぞれ有し、先端に近づくに従って内側に向かって傾斜している。この接触部631は、相手方の同軸端子91が同軸端子30に嵌合した際に、相手方の同軸端子91のグランド端子93(
図4参照)と電気的に接続される。
【0048】
また、本体部62の下端622には、一対の下側切欠部623が形成されている。この下側切欠部623の上縁に、内側接触片64の根元部641が接続されており、内側接触片64は、この根元部641で外側に屈曲している。また、それぞれの内側接触片64は、内側に屈曲した屈曲部642を有しており、全体として略L字形状を有している。この内側接触片64は、根元部641及び屈曲部642を支点として、上方に向かって弾性変形可能となっている。また、この内側接触片64は、先端に接触部643を有している。この接触部643は、同軸コネクタ20が配線板本体10に実装された際に、配線板本体10のグランド用配線パターン13(
図15参照)に接触する。
【0049】
また、本体部62は、一対の突起部624を有している。この突起部624は、本体部62の両端の近傍にそれぞれ形成されており、当該本体部62の外側(X方向)に向かって突出している。
【0050】
第2の半筒部材65も、上述の第1の半筒部材61と同様に、例えば、金属材料等の導電性を有する材料から構成されており、金属製の板材を打ち抜き加工した後に折り曲げ加工を行うことによって形成されている。この第2の半筒部材65は、本体部66と、一対の外側接触片67と、を備えている。本体部66は、絶縁部材50の外周面に沿うように半八角筒状の形状を有している。下側の外側接触片67は、本体部66から-Z方向側に向かって延出している。この本体部62と外側接触片67は、一体的に形成されている。なお、この第2の半筒部材65は上側の接触片を有していない。
【0051】
上述の第1の半筒部材61の本体部62と同様に、本体部66の下端662に、一対の下側切欠部663が形成されている。この下側切欠部663の上縁に、外側接触片67の根元部671が接続されており、当該外側接触片67は、この根元部671で内側に屈曲している。また、それぞれの外側接触片67は、外側に屈曲した屈曲部672を有しており、全体として略L字形状を有している。この外側接触片67は、根元部671及び屈曲部672を支点として、上方に向かって弾性変形可能となっている。また、この外側接触片67は、先端に接触部673を有している。この接触部673は、同軸コネクタ20が配線板本体10に実装された際に、配線板本体10のグランド用配線パターン13(
図15参照)に接触する。
【0052】
また、本体部66は、上側切欠部664と、複数(本例では4つ)の爪部665と、一対の貫通孔666と、を有している。上側切欠部664は、本体部66の周方向の中央に配置されており、本体部66の上端661で開口している。爪部665は、本体部66の両端から+Y方向に向かってそれぞれ突出している。貫通孔666は、上述の第1の半筒部材61の突起部624に対応するように、本体部66の両端の近傍に形成されている。
【0053】
本実施形態では、本体部66の上側切欠部664は、下記の(3)式を満たしており、
図6に示すように、グランド端子60の本体部60aで覆われている信号端子40の一部が、当該上側切欠部664を介して露出している。これにより、小型化された同軸端子30であっても、後述するハウジング70の連結部73(後述)の大きさを維持し、若しくは、太くすることができるので、同軸端子30をハウジング70に確実に圧入して固定することができる。
【0054】
W4>W3 …(3)
【0055】
但し、上記の(3)式において、W3は、信号端子40において上側切欠部664に対向している部分の幅であって、同軸端子30の軸方向(Z方向)に対して実質的に直交する幅方向(X方向)に沿った幅であり、W4は、当該幅方向(X方向)に沿った上側切欠部664の幅である。
【0056】
上述のように、グランド端子60は、以上に説明した第1及び第2の半筒部材61,65を重ね合わせることで構成されている。具体的には、
図7に示すように、絶縁部材50で覆われた信号端子40を第1及び第2の半筒部材61,65の間に介在させた状態で、第1の半筒部材61と第2の半筒部材65とを重ね合わせることで、グランド端子60を構成する。この際、第1の半筒部材61の両端の外側に第2の半筒部材65の両端が重ねられ、第2の半筒部材65の貫通孔666に第1の半筒部材61の突起部624が係合することで、第1及び第2の半筒部材61,65が固定される。
【0057】
なお、本実施形態では、上述のように、同軸端子30をハウジング70に挿入する前に、当該同軸端子30を組み立てているが、同軸端子30を組み立てるタイミングは、特にこれに限定されない。例えば、日本国特開2013-26145号公報に記載されているように、ハウジング70への同軸端子30の挿入動作を利用して、第1及び第2の半筒部材61,65を固定してもよい。
【0058】
上記のように組み立てられた同軸端子30のグランド端子60は、第1及び第2の半筒部材61,65の本体部62,66から構成された略八角筒形状の本体部60aを有している。
図12に示すように、一対の内側接触片64は、仮想直線VL
0を中心として対称の位置に配置されている。同様に、一対の外側接触片67も、仮想直線VL
0を中心として対称の位置に配置されている。なお、仮想直線VL
0は、同軸端子30の中心を通過し且つY方向に実質的に平行な仮想上の直線である。本実施形態における仮想直線VL
0が、本開示における「同軸端子の中心線」の一例に相当する。
【0059】
そして、内側接触片64は、
図10及び
図11に示すように、略八角筒形状の本体部60aから当該本体部60aの径方向内側であり且つ当該本体部60aの下方に向かって延出している。より具体的には、この内側接触片64は、根元部641で略八角筒形状の本体部60aの外側に向かって屈曲し、根元部641から屈曲部642との間の部分が本体部60aの外側に位置し、屈曲部642で本体部60aの内側に向かって屈曲している。そのため、
図12に示すように、同軸端子30の軸方向(Z方向)に沿って視た場合に、この内側接触片64の先端の接触部643は、略八角筒形状の本体部60aの内側に位置している。
【0060】
これに対し、外側接触片67は、
図10及び
図11に示すように、略八角筒形状の本体部60aから当該本体部60aの径方向外側であり且つ当該本体部60aの下方に向かって延出している。より具体的には、この外側接触片67は、根元部671で本体部60aの内側に向かって屈曲し、根元部671から屈曲部672との間の部分が本体部60aの内側に位置し、屈曲部642で本体部60aの外側に向かって屈曲している。そのため、
図12に示すように、同軸端子30の軸方向(Z方向)に沿って視た場合に、この外側接触片67の先端の接触部673は、本体部60aの外側に位置している。
【0061】
また、
図12に示すように、同軸端子30の軸方向(Z方向)に沿って視た場合に、信号端子40の下側接触片43が、グランド端子60の本体部60aの内側に位置している。この下側接触片43は、Y方向に沿って、-Y方向(内側接触片64から外側接触片67に向かう方向)側に向かって、当該信号端子40の本体部41の下端412から延出している。
【0062】
実施形態における本体部60aが本開示における「第1の本体部」の一例に相当する。また、本実施形態における上側接触片63が本開示における「第4の接触片」の一例に相当し、本実施形態における内側接触片64が本開示における「第2の接触片」の一例に相当し、本実施形態における外側接触片67が本開示における「第1の接触片」の一例に相当する。
【0063】
図13は本実施形態におけるハウジングを示す拡大断面図であり、
図14は本実施形態におけるハウジングの保持孔を示す拡大平面図である。
【0064】
ハウジング70は、例えば、樹脂材料等の電気絶縁性を有する材料から構成されており、
図1~
図4に示すように、略直方体の形状を有している。このハウジング70には、複数(本例では92個)の保持孔71が形成されている。また、このハウジング70には、同軸コネクタ20を配線板本体10に固定するための複数(本例では6個)のプレスフィット等と称される固定ピン80が埋設されている。
【0065】
それぞれの保持孔71は、
図13及び
図14に示すように、ハウジング70を上下方向(Z方向)に貫通している。この保持孔71は、グランド端子60の外径に対応した内径の八角形、又は、相手方端子としての同軸端子91の外形に対応した内径の円形の断面形状を有している。
【0066】
また、この保持孔71の内部には、略円柱状の保持部72が設けられている。この保持部72は、連結部73を介して保持孔71の内周面に連結されている。さらに、この保持部72には、当該保持部72を上下方向(Z方向)に貫通する貫通孔721が形成されている。この貫通孔721は、信号端子40の外径に対応した内径の円形の断面形状を有している。
【0067】
そして、同軸端子30がハウジング70に下方から挿入されると(
図4参照)、当該同軸端子30のグランド端子60が保持孔71内に下方から挿入されると共に、当該同軸端子30の信号端子40が貫通孔721内に下方から挿入される。そして、グランド端子60の上側切欠部664にハウジング70の連結部73が挿通すると共に、このグランド端子60の爪部665が保持孔71の内周面に食い込むことで、当該グランド端子60がハウジング70に固定される。また、信号端子40の爪部422がハウジング70の貫通孔721に食い込むことで、当該信号端子40がハウジング70に固定される。
【0068】
こうした複数の保持孔71は、ハウジング70に千鳥状に配置されている。具体的には、
図2に示すように、本実施形態のハウジング70は、5つの保持孔列75A~75Eを有している。それぞれの保持孔列75A~75Eは、Y方向に沿って実質的に同一のピッチP
1で並べられた複数の保持孔71で構成されている。
【0069】
図2において最上段の第1の保持孔列75Aは、18個の保持孔71が相互に隣り合うように等ピッチP
1で並べられている。同様に、中央段の第3の保持孔列75Cも、20個の保持孔71が相互に隣り合うように等ピッチP
1で並べられている。また、最下段の第5の保持孔列75Eも、18個の保持孔71が相互に隣り合うように等ピッチP
1で並べられている。
【0070】
これに対し、上から二段目の第2の保持孔列75Bは、18個の保持孔71が等ピッチP1で並べられているが、左側から6番目と7番目の保持孔71の間に歯抜け部分76を有している。同様に、下から二段目の第4の保持孔列75Dも、18個の保持孔71が等ピッチP1で並べられているが、右側から7番目と8番目の保持孔71の間に歯抜け部分76を有している。
【0071】
相互に隣り合う第1~第5の保持孔列75A~75E同士は、保持孔71が半ピッチ(P1/2)分だけ相互にずれるように平行に並べている。すなわち、相互に隣り合う保持孔列75A~75Eの保持孔71は、互い違いに配置されている。ここで、第2の保持孔列75Bにおける6番目と7番目の保持孔71は、保持孔71のピッチP1の整数倍(本例では3倍)に相当する距離だけ離れている。同様に、第4の保持孔列75Dにおける7番目と8番目の保持孔71も、保持孔71のピッチP1の整数倍(本例では3倍)に相当する距離だけ離れている。このため、第2及び第4の保持孔列75B,75Dが歯抜け部分76を有していても、第1~第5の保持孔列75A~75Eを互い違いに規則的に並べることができる。
【0072】
第1の保持孔列75Aの両側に固定ピン80がそれぞれ配置されている。同様に、第5の保持孔列75Eの両側に固定ピン80がそれぞれ配置されている。また、上記の第2の保持孔列75Bの歯抜け部分76に、固定ピン80が配置されている。同様に、上記の第2の保持孔列75Bの歯抜け部分76に、固定ピン80が配置されている。
図4に示すように、これらの固定ピン80は、ハウジング70内に埋設されていると共に、その先端がハウジング70の下面から下方に向かって突出している。
【0073】
このように、本実施形態では、複数の固定ピン80がハウジング70の上面の中心を対称点として非点対称の位置に配置されているので、配線板本体10への同軸コネクタ20の誤実装を防止することができる。また、本実施形態では、保持孔71の列75B,75Dの中に固定ピン80が配置されているので、同軸コネクタ20を配線板本体10に安定して固定することができる。
【0074】
図15~
図18は本実施形態において配線板を下方から透視した透過平面図である。
図15は、同軸端子と配線パターンの位置関係を示すと共に、同一列において相互に隣り合うグランド端子の外側接触片と内側接触片の位置関係を示す図である。また、
図16はグランド端子の外側接触片と相互に隣り合う列の信号端子との位置関係を示す図であり、
図17は信号端子と隣りの列の内側接触片との位置関係を示す図であり、
図18は相互に隣り合う列の信号端子同士の位置関係を示す図である。
である。
【0075】
なお、この
図15~
図18は、同軸コネクタ20が配線板本体10に実装された状態を示している。この状態においては、信号端子40の下側接触片43が配線板本体10により押圧されて弾性変形していると共に、グランド端子60の各接触片64,67も配線板本体10により押圧されて弾性変形している。これに対し、
図12は、同軸コネクタ20が配線板本体10に実装される前の状態を示している。この状態においては、同軸端子30の各接触片43,64,67はいずれも配線板本体10により押圧されておらず弾性変形していない。
【0076】
以上に説明した同軸コネクタ20は、配線板本体10に実装されている。同軸コネクタ20は、ハウジング70から突出する固定ピン80が絶縁基板11の取付孔(不図示)に挿入されることで、当該絶縁基板11に固定されている。
【0077】
本実施形態では、
図15に示すように、同軸コネクタ20が配線板本体10に実装された状態では、信号端子40の下側接触片43の接触部432が配線板本体10の信号用配線パターン12に接触している。この際、下側接触片43は根元部431を支点として弾性変形して、接触部432が信号用配線パターン12に押し付けられていることで、信号端子40が信号用配線パターン12と電気的に接続されている。また、この下側接触片43の弾性変形により、当該下側接触片43の接触部432は、配線板本体10に実装する前の状態(
図12参照)と比較して、-Y方向に移動している。
【0078】
また、同軸コネクタ20が配線板本体10に実施された状態では、グランド端子60の内側接触片64の接触部643が配線板本体10のグランド用配線パターン13に接触している。この際、内側接触片64は根元部641と屈曲部642を支点として弾性変形して、接触部643がグランド用配線パターン13に押し付けられている。
【0079】
同様に、同軸コネクタ20が配線板本体10に実施された状態では、グランド端子60の外側接触片67の接触部673が配線板本体10のグランド用配線パターン13に接触している。この際、外側接触片67は根元部671と屈曲部672を支点として弾性変形して、接触部673がグランド用配線パターン13に押し付けられている。
【0080】
このように、内側接触片64及び外側接触片67の接触部643,673がグランド用配線パターン13に押し付けられていることで、グランド端子60がグランド用配線パターン13と電気的に接続されている。なお、本実施形態では、
図15に示すように、配線板本体10の信号用配線パターン12は、略矩形の平面形状を有しているのに対し、グランド用配線パターン13は、略U字状の平面形状を有しており、信号用配線パターン12を囲んでいる。本実施形態における信号用配線パターン12が本開示における「第1の配線パターン」の一例に相当し、本実施形態におけるグランド用配線パターン13が本開示における「第2の配線パターン」の一例に相当する。
【0081】
本実施形態では、上記の外側接触片67の弾性変形により、当該外側接触片67の接触部673は、同軸コネクタ20を配線板本体10に実装する前の状態(
図12参照)と比較して、本体部60aの径方向外側に移動している。
【0082】
このため、本実施形態では、透過平面視(配線板本体10の法線方向(Z方向)に沿って配線板10を透視した場合)において、同軸端子30(
図15中の同軸端子30A)の外側接触片67の一部は、隣りの同軸端子30(
図15中の同軸端子30B)の内側接触片64の一部と重なっている。より具体的には、透過平面視において、同軸端子30Aの外側接触片67の接触部673は、隣りの同軸端子30Bの内側接触部64の屈曲部642と重なっている。この状態において、同軸端子30Aの外側接触片67は、隣りの同軸端子30Bの内側接触部64と接触してはいない。なお、同軸端子30A,30Bは、同一の保持孔列(
図15中の保持孔列75A)において相互に隣り合う保持孔71に挿入された同軸端子30である。
【0083】
このように、相互に隣り合う同軸端子30の外側接触片67と内側接触片64とが重なっていることで、同軸端子30の間隔を狭めることができるので、同軸端子30を高密度に配置することができる。また、相互に隣り合う同軸端子30の外側接触片67と内側接触片64とが重なっていることで、信号端子40同士の間に外側接触片67と内側接触片64を密に介在させることができるので、同軸端子30のシールド性能を高めることもできる。
【0084】
また、本実施形態では、上記の内側接触片64の弾性変形により、当該内側接触片64の接触部643は、同軸コネクタ20を配線板本体10に実装する前の状態(
図12参照)と比較して、本体部60aの径方向内側に移動している。このため、本実施形態では、透過平面視において、同軸端子30の一対の内側接触片64の一部は、同じ同軸端子30の信号端子40の一部とそれぞれ重なっている。より具体的には、一対の内側接触片64の接触部643は、信号端子40の本体部41の下端412とそれぞれ重なっている。なお、この状態において、内側接触片64は、信号端子40の本体部41と接触してはいない。
【0085】
このように、同軸端子30が有する一対の内側触片64が信号端子40とそれぞれ重なっていることで、信号端子40同士の間に内側接触片64を密に介在させることができるので、同軸端子30のシールド性能を高めることができる。また、同軸端子30が有する一対の内側触片64が信号端子40とそれぞれ重なっていることで、当該同軸端子30自体を小型化することができるので、同軸コネクタ20における同軸端子20の高密度化を図ることもできる。
【0086】
また、本実施形態では、
図16に示すように、透過平面視において、同軸端子30(
図16中の同軸端子30A)のグランド端子60の一方(図中において下側)の外側接触片67の接触部673が、仮想直線VL
1上に位置している。この仮想直線VL
1は、同軸端子30(
図16中の同軸端子30A)の信号端子40の接触部432と、隣りの保持孔列(
図16中の保持孔列75B)に挿入された同軸端子30(
図16中の同軸端子30C)の信号端子40の接触部432と、を通過する仮想上の直線である。具体的には、この仮想直線VL
1は、同軸端子30Aの接触部432の先端において隣りの同軸端子30C側(図中において下側)の端部と、当該同軸端子30Cの接触部432の先端において隣りの同軸端子30A側(図中において上側)の端部と、を通過している。
【0087】
このように、隣り合う列の同軸端子30A,30Cの信号端子40の接触部432の間に、同軸端子30Aのグランド端子60の一方の外側接触片67の接触部673が介在していることで、隣り合う列の同軸端子30間のシールド効果を高めることができる。本実施形態における仮想直線VL1が、本開示における「第1の仮想直線」の一例に相当する。
【0088】
また、本実施形態では、
図17に示すように、透過平面視において、同軸端子30(
図17中の同軸端子30A)の信号端子40の一部が、仮想直線VL
2上に位置している。この仮想直線VL
2は、同一の列を構成する同軸端子30の配列方向(Y方向)に対して実質的に直交する方向(X方向)に延在し、且つ、隣りの列の同軸端子30(
図17中の同軸端子30C)のグランド端子60の内側端子64の接触部643を通過する仮想上の直線である。
【0089】
このように、同軸端子30Aの信号端子40を、隣りの列の同軸端子30Cのグランド端子60の一対の内側接触片43の接触部432を通過する仮想直線VL2上に配置することで、同軸端子30間のピッチを狭くすることができるので、同軸コネクタ20の小型化を図ることができる。本実施形態における仮想直線VL2が、本開示における「第2の仮想直線」の一例に相当する。
【0090】
さらに、本実施形態では、
図18に示すように、透過平面視において、同軸端子30(
図18中の同軸端子30A)の信号端子40の一部が、仮想直線VL
3上に位置している。この仮想直線VL
3は、同一の列を構成する同軸端子30の配列方向(Y方向)に対して実質的に直交する方向(X方向)に延在し、且つ、隣りの保持孔列(
図16中の保持孔列75B)に挿入された同軸端子30(
図18中の同軸端子30C)の信号端子40の一部(より具体的には、信号端子40の本体部41の下端412)を通過する仮想上の直線である。
【0091】
このように、隣り合う列の同軸端子30A,30Cの信号端子40を直線VL3上に配置することで、同軸端子30間のピッチを狭くすることができ、同軸コネクタ20の小型化を図ることができる。
【0092】
また、本実施形態では、
図15~
図18に示すように、透過平面視において、X方向において相互に隣り合う同軸端子30(図中の同軸端子30A,30B)の各々の信号端子40の下側接触片43の接触部432の間に、一方の同軸端子30Bの信号端子40の根元部431が介在しており、しかも、この根元部431が当該同軸端子30Bのグランド端子61の一対の内側触片64の接触部643と重なっている。
【0093】
このように、同軸端子30Bの信号端子40の根本部431を、当該同軸端子30Bのグランド端子61の内側触片64の接触部643と重ねることで、信号端子40同士の間に内側接触片64を密に介在させることができるので、X方向に隣接する同軸端子30A,30B間のクロストークを低減させることができる。また、同軸端子30Bの信号端子40の根本部431を、当該同軸端子30Bのグランド端子61の内側触片64の接触部643と重ねることで、当該同軸端子30自体を小型化することができるので、同軸コネクタ20における同軸端子20の高密度化を図ることもできる。
【0094】
図19は本実施形態における電子部品試験装置の構成を示す概略図である。
【0095】
以上に説明した同軸コネクタ20を備えた配線板1は、
図19に示す電子部品試験装置100のパフォーマンスボード120や試験モジュール141として用いることができる。
【0096】
この電子部品試験装置100は、
図19に示すように、テストヘッド110とテスタ150を備えており、テストヘッド110は、パフォーマンスボード120と、マザーボード130と、テストヘッド本体140と、を備えている。なお、
図19に示す電子部品試験装置100の構成は一例に過ぎず、本開示に係る配線板を適用可能な電子部品試験装置の構成は、特にこれに限定されない。
【0097】
パフォーマンスボード120の上面には、DUT200がハンドラ(不図示)により押し付けられる複数のソケット121が実装されている。試験対象であるDUT200の具体例としては、特に限定されないが、SoC(System on a chip)、ロジック系のデバイス、或いは、メモリ系のデバイスを例示することができる。このパフォーマンスボード120の下面には、複数の同軸コネクタ122が実装されている。ソケット121と同軸コネクタ122とは配線パターン(不図示)等を介して電気的に接続されている。この同軸コネクタ122として、上述した同軸コネクタ20を用いることができる。
【0098】
マザーボード130は、複数の同軸ケーブル131を有している。この同軸ケーブル131は、上述した同軸ケーブル90と同様の構成を有している。この同軸ケーブル131の上端が、マザーボード130の上部に設けられたホルダ132に保持されており、同軸ケーブル131の下端も、マザーボード130の下部に設けられたホルダ133に保持されている。パフォーマンスボード120がマザーボード130に装着されると、パフォーマンスボード120の同軸コネクタ122と、マザーボード130の同軸ケーブル131の一端の同軸端子とが嵌合する。
【0099】
テストヘッド本体140は、複数の試験モジュール141(ピンエレクトロニクスカード)を備えている。それぞれの試験モジュール141の上縁には、同軸コネクタ142が取り付けられている。マザーボード130がテストヘッド本体140に装着されると、マザーボード130の同軸ケーブル131の他端の同軸端子と、テストヘッド本体140の同軸コネクタ142とが嵌合する。この同軸コネクタ142として、上述した同軸コネクタ20を用いることができる。各試験モジュール141は、ケーブル151を介してテスタ150に接続されており、テスタ150からの指示に応じて試験信号を生成し、DUT200に対して出力する。
【0100】
以上のように、本実施形態では、透過平面視において、同軸端子30の外側接触片67の一部は、隣りの同軸端子30の内側接触片64の一部と重なっているため、相互に隣り合う同軸端子30の間隔を狭めることができ、同軸端子30を高密度に配置することができる。また、本実施形態では、相互に隣り合う信号端子40同士の間に外側接触片67と内側接触片64を密に介在させることができるので、同軸端子30のシールド性能を高めることができる。従って、本実施形態では、同軸端子30を高密度に配置すると共に、所望の電気的特性を確保することができる。
【0101】
なお、以上説明した実施形態は、本開示の理解を容易にするために記載されたものであって、本開示を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本開示の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【符号の説明】
【0102】
1…配線板
10…配線板本体
12…信号用配線パターン
13…グランド用配線パターン
20,20B…同軸コネクタ
30…同軸端子
40…信号端子
41…本体部
42…上側接触片
43…下側接触片
50…絶縁部材
60…グランド端子
60a…本体部
63…上側接触片
64…内側接触片
641…根元部
642…屈曲部
643…接触部
67…外側接触片
671…根元部
672…屈曲部
673…接触部
70…ハウジング
100…電子部品試験装置