(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-12
(45)【発行日】2024-03-21
(54)【発明の名称】エキシマランプ
(51)【国際特許分類】
H01J 65/04 20060101AFI20240313BHJP
H01J 61/067 20060101ALI20240313BHJP
H01J 61/36 20060101ALI20240313BHJP
H01J 5/50 20060101ALI20240313BHJP
【FI】
H01J65/04 A
H01J61/067 N
H01J61/36 Z
H01J5/50 H
(21)【出願番号】P 2020107802
(22)【出願日】2020-06-23
【審査請求日】2023-03-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000236436
【氏名又は名称】浜松ホトニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140442
【氏名又は名称】柴山 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100156395
【氏名又は名称】荒井 寿王
(72)【発明者】
【氏名】竹内 宏樹
(72)【発明者】
【氏名】大倉 友貴
【審査官】植木 隆和
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-112290(JP,A)
【文献】特開2001-143662(JP,A)
【文献】特開2002-033082(JP,A)
【文献】特開2016-143610(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0056513(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01J 65/04
H01J 61/067
H01J 61/36
H01J 5/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光透過性材料から成り、所定の軸線に沿って延在し、封止された内部空間を有する管状の筐体部と、
前記筐体部の一端側で保持され、前記内部空間に収容された内部電極と、
前記内部空間に充填された放電ガスと、を備え、
前記内部電極の一端側は、前記内部電極に電気的に接続される金属箔を備える給電部材と電気的に接続され、当該給電部材とともに前記筐体部の一端側に封着部を介して封着され、
前記内部電極の他端側は、前記内部空間内に突出し、
前記軸線に沿った方向において、前記内部空間内における前記内部電極の長さであって前記内部空間の一端から前記内部電極の他端までの長さである突出長さは、前記内部電極の他端から前記内部空間の他端までの長さ以下であ
り、
前記内部電極の径は、前記筐体部の内径の1/5以上且つ1/2以下である、エキシマランプ。
【請求項2】
光透過性材料から成り、所定の軸線に沿って延在し、封止された内部空間を有する管状の筐体部と、
前記筐体部の一端側で保持され、前記内部空間に収容された内部電極と、
前記内部空間に充填された放電ガスと、を備え、
前記内部電極の一端側は、前記内部電極に電気的に接続される金属箔を備える給電部材と電気的に接続され、当該給電部材とともに前記筐体部の一端側に封着部を介して封着され、
前記内部電極の他端側は、前記内部空間内に突出し、
前記軸線に沿った方向において、前記内部空間内における前記内部電極の長さであって前記内部空間の一端から前記内部電極の他端までの長さである突出長さは、前記内部電極の他端から前記内部空間の他端までの長さ以下であり、
前記筐体部の外面に当接する外部電極と、
絶縁性材料から成り、前記筐体部の一端側を包囲する筒状のソケットと、を備え、
前記ソケット内において、前記給電部材は第1の外部給電部材と電気的に接続され、前記外部電極は前記第1の外部給電部材とは別の第2の外部給電部材と電気的に接続され、
前記外部電極と前記第2の外部給電部材との電気的接続部は、前記ソケット内の、前記内部電極の一端側から他端側に向かう方向における端側の開口部である他端側開口部に配置されている、エキシマランプ。
【請求項3】
光透過性材料から成り、所定の軸線に沿って延在し、封止された内部空間を有する管状の筐体部と、
前記筐体部の一端側で保持され、前記内部空間に収容された内部電極と、
前記内部空間に充填された放電ガスと、を備え、
前記内部電極の一端側は、前記内部電極に電気的に接続される金属箔を備える給電部材と電気的に接続され、当該給電部材とともに前記筐体部の一端側に封着部を介して封着され、
前記内部電極の他端側は、前記内部空間内に突出し、
前記軸線に沿った方向において、前記内部空間内における前記内部電極の長さであって前記内部空間の一端から前記内部電極の他端までの長さである突出長さは、前記内部電極の他端から前記内部空間の他端までの長さ以下であり、
前記軸線に沿った方向において、前記突出長さは、前記内部空間の長さの1/5以上である、エキシマランプ。
【請求項4】
光透過性材料から成り、所定の軸線に沿って延在し、封止された内部空間を有する管状の筐体部と、
前記筐体部の一端側で保持され、前記内部空間に収容された内部電極と、
前記内部空間に充填された放電ガスと、を備え、
前記内部電極の一端側は、前記内部電極に電気的に接続される金属箔を備える給電部材と電気的に接続され、当該給電部材とともに前記筐体部の一端側に封着部を介して封着され、
前記内部電極の他端側は、前記内部空間内に突出し、
前記軸線に沿った方向において、前記内部空間内における前記内部電極の長さであって前記内部空間の一端から前記内部電極の他端までの長さである突出長さは、前記内部電極の他端から前記内部空間の他端までの長さ以下であり、
金属材料から成り、前記筐体部の外径に対応する内径の挿通孔と当該挿通孔に設けられた光出射開口とを含むランプ収容部を備え、
前記ランプ収容部には、外部給電部材が電気的に接続され、
前記挿通孔には、前記筐体部の全体が収容され、
前記光出射開口は、前記挿通孔に全体が収容された前記筐体部における放電領域の一部を露出させ、
前記挿通孔の内面における前記光出射開口以外の領域は、前記筐体部の外面に当接する外部電極を介さずに、前記筐体部の外面と当接する、エキシマランプ。
【請求項5】
前記軸線に沿った方向において、前記突出長さは、前記内部空間の長さの1/5以上である、請求項1
、2又は4に記載のエキシマランプ。
【請求項6】
前記内部電極の径は、前記筐体部の内径の1/5以上且つ1/2以下である、請求項
2~4の何れか一項に記載のエキシマランプ。
【請求項7】
前記給電部材は、前記金属箔に電気的に接続され筐体部の外部に導出される線状金属部材を含み、
前記線状金属部材の径は、前記内部電極の径よりも小さい、請求項1~
6の何れか一項に記載のエキシマランプ。
【請求項8】
前記筐体部の外面に当接する外部電極を備える、請求項1
又は3に記載のエキシマランプ。
【請求項9】
前記外部電極は、前記筐体部の外面を包囲するように設けられ、メッシュ状を呈する、請求項
8に記載のエキシマランプ。
【請求項10】
絶縁性材料から成り、前記筐体部の一端側を包囲する筒状のソケットを備え、
前記ソケット内において、前記給電部材は第1の外部給電部材と電気的に接続され、前記外部電極は前記第1の外部給電部材とは別の第2の外部給電部材と電気的に接続される、請求項
8又は
9に記載のエキシマランプ。
【請求項11】
前記給電部材と前記
第1の外部給電部材との電気的接続部と前記外部電極と前記
第2の外部給電部材との電気的接続部とは、前記軸線に沿った方向において離間している、請求項
10に記載のエキシマランプ。
【請求項12】
前記外部電極と前記
第2の外部給電部材との電気的接続部は、前記ソケット内の
、前記内部電極の一端側から他端側に向かう方向における端側の開口部である他端側開口部に配置されている、請求項
10又は
11に記載のエキシマランプ。
【請求項13】
前記外部電極の一端側は、前記ソケット内まで延在し、前記ソケット内の前記他端側開口部において固定部材によって固定されている、請求項
12に記載のエキシマランプ。
【請求項14】
金属材料から成り、前記筐体部の外径に対応する内径の挿通孔と当該挿通孔に設けられた光出射開口とを含むランプ収容部を備え、
前記ランプ収容部には、外部給電部材が電気的に接続されている、請求項1
又は3に記載のエキシマランプ。
【請求項15】
前記封着部は、前記内部電極の一端側を前記給電部材とともに前記筐体部の一端側にピンチシールで封着するピンチシール部である、請求項1~1
4の何れか一項に記載のエキシマランプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エキシマランプに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のエキシマランプに関する技術として、特許文献1に記載された誘電体バリア放電ランプが知られている。特許文献1に記載された誘電体バリア放電ランプは、円筒状の外側電極と、外側電極の内側に同軸に隙間を有して配置された細長い内側電極(内部電極)と、両電極間に配置された円筒状誘電体管(筐体部)と、を有する。外側電極と内側電極との間には、誘電体バリア放電によってエキシマ分子を形成する放電用ガスが充填されている。内側電極は、その一端側がいわゆるグレーデットシール法により円筒状誘電体管に封着されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したような技術では、筐体部内において発光強度の高い領域が少なくなる場合があり、十分な光出力が得られない可能性がある。また、内部電極の一端側を封着する封着部について、内部電極の熱の影響を受けやすくなる場合があり、当該熱の影響で高温化して破損してしまう可能性がある。
【0005】
そこで、本発明は、十分な光出力を安定的に得ることができるエキシマランプを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るエキシマランプは、光透過性材料から成り、所定の軸線に沿って延在し、封止された内部空間を有する管状の筐体部と、筐体部の一端側で保持され、内部空間に収容された内部電極と、内部空間に充填された放電ガスと、を備え、内部電極の一端側は、内部電極に電気的に接続される金属箔を備える給電部材と電気的に接続され、当該給電部材とともに筐体部の一端側に封着部を介して封着され、内部電極の他端側は、内部空間内に突出し、軸線に沿った方向において、内部空間内における内部電極の長さであって内部空間の一端から内部電極の他端までの長さである突出長さは、内部電極の他端から内部空間の他端までの長さ以下である。
【0007】
本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、次の知見を得た。すなわち、軸線に沿った方向において、内部空間内における内部電極の長さであって内部空間の一端から内部電極の他端までの長さである突出長さ(以下、単に「突出長さ」ともいう)を、内部電極の他端から内部空間の他端までの長さ以下まで短くすると、筐体部内において発光強度の高い領域を十分に広げることができ、光出力を十分に得ることができるという知見を得た。よって、このような短い突出長さの内部電極を備える本発明では、十分な光出力を得ることが可能となる。一方、突出長さが短いと、内部電極において特に高温になる先端部から封着部が近くなり、封着部が高温化しやすいことが見出される。この点、本発明では、内部電極の一端側を、内部電極に電気的に接続される金属箔を備える給電部材と電気的に接続している。そして、内部電極の一端側を当該給電部材とともに筐体部の一端側に封着部を介して封着している。このように封着することにより、熱に強い特性を有することができ、封着部は高温化した場合でも破損し難くなる。したがって、本発明によれば、十分な光出力を安定的に得ることが可能となる。
【0008】
本発明に係るエキシマランプでは、軸線に沿った方向において、突出長さは、内部空間の長さの1/5以上であってもよい。突出長さを内部空間の長さの1/5よりも小さくした場合、光出力は変化し難い一方で、突出長さが短くなりすぎるために封着部が非常に高温となり、封着部が破損しやすいことが見出される。よって、突出長さが内部空間の長さの1/5以上の場合、十分な光出力を一層安定的に得ることが可能となる。
【0009】
本発明に係るエキシマランプでは、内部電極の径は、筐体部の内径の1/5以上且つ1/2以下であってもよい。内部電極が一端側で保持された片持ち構造であっても、内部電極の径が筐体部の内径の1/5以上であることで、内部電極が熱変形して垂れることを抑制することができる。加えて、内部電極の径が筐体部の内径の1/2以下であることで、内部電極の一端側での保持が難しくなることを抑制することができる。
【0010】
本発明に係るエキシマランプでは、給電部材は、金属箔に電気的に接続され筐体部の外部に導出される線状金属部材を含み、線状金属部材の径は、内部電極の径よりも小さくてもよい。この場合、製造時及び使用時に応力のかかりやすい線状金属部材を変形しやすい構成とし、封着部の破損(クラック等)を抑制することが可能となる。
【0011】
本発明に係るエキシマランプは、筐体部の外面に当接する外部電極を備えていてもよい。本発明に係るエキシマランプでは、外部電極は、筐体部の外面を包囲するように設けられ、メッシュ状を呈していてもよい。この場合、筐体部内において広がった高い発光強度の領域から効率よく光を取り出すことが可能となる。
【0012】
本発明に係るエキシマランプは、絶縁性材料から成り、筐体部の一端側を包囲する筒状のソケットを備え、給電部材及び外部電極は、ソケット内でそれぞれ外部給電部材と電気的に接続されていてもよい。これにより、電気的に安定した状態で給電部材及び外部電極のそれぞれと外部給電部材とを接続することができる。
【0013】
本発明に係るエキシマランプでは、給電部材と外部給電部材との電気的接続部と外部電極と外部給電部材との電気的接続部とは、軸線に沿った方向において離間していてもよい。これにより、ソケット内の耐電圧特性を良好にすることが可能となる。
【0014】
本発明に係るエキシマランプでは、外部電極と外部給電部材との電気的接続部は、ソケット内の他端側開口部に配置されていてもよい。一般的に、安全のために外部電極を低電位側(例えば接地電位)とすることが多い。そのため、この外部電極との電気的接続部をソケット内の他端側開口部に配置すると、相対的に、高電位側の内部電極及びその給電部材との電気的接続部を、軸線に沿った方向においてソケット内の中央寄りに配置することができる。これにより、ソケット内の耐電圧特性を良好にすることが可能となる。
【0015】
本発明に係るエキシマランプでは、外部電極の一端側は、ソケット内まで延在し、ソケット内の他端側開口部において固定部材によって固定されていてもよい。これにより、外部電極を確実に固定することができ、安定的な放電が実現可能となる。
【0016】
本発明に係るエキシマランプでは、金属材料から成り、筐体部の外径に対応する内径の挿通孔と当該挿通孔に設けられた光出射開口とを含むランプ収容部を備え、ランプ収容部には、外部給電部材が電気的に接続されていてもよい。この場合、ランプ収容部を外部電極として用い、十分な光出力を安定的に得ることができる。
【0017】
本発明に係るエキシマランプでは、封着部は、内部電極の一端側を給電部材とともに筐体部の一端側にピンチシールで封着するピンチシール部であってもよい。この場合、封着部を熱に強いピンチシール部で構成することが可能となる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、十分な光出力を安定的に得ることができるエキシマランプを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1は、一実施形態に係るエキシマランプを示す正面図である。
【
図2】
図2は、
図1のエキシマランプを拡大して示す一部断面正面図である。
【
図3】
図3(a)は、
図1のエキシマランプの要部を示す一部断面正面図である。
図3(b)は、
図1のエキシマランプの要部を示す一部断面平面図である。
【
図4】
図4(a)は、変形例に係るエキシマランプを示す正面図である。
図4(b)は、
図4(a)のエキシマランプを示す左側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下の説明において、同一又は相当要素には同一符号を用い、重複する説明を省略する。また、以下の説明における寸法は、必ずしも図面には相当しない。
【0021】
図1は、一実施形態に係るエキシマランプ100を示す側面図である。
図2は、エキシマランプ100における筐体部2の一端側を拡大して示す一部断面正面図である。
図3(a)は、エキシマランプ100の要部を示す一部断面正面図である。
図3(b)は、エキシマランプ100の要部を示す一部断面平面図である。
図1及び
図2に示されるように、エキシマランプ100は、放電プラズマ(例えば誘電体バリア放電による放電プラズマ)を利用してエキシマ光(真空紫外光)を放射する放電ランプである。エキシマランプ100は、筐体部2、内部電極3、放電ガス4、外部電極5及び給電部材6を備える。
【0022】
筐体部2は、誘電体バリア放電における誘電体を構成する。筐体部2は、所定の軸線AX(以下、単に「軸線AX」ともいう)に沿って一端側(図示右側)から他端側(図示左側)に延在する円管状を呈する。本実施形態においては、筐体部2の中心軸は、軸線AXと同軸である。筐体部2は、光透過性材料であって絶縁性材料である例えば合成石英ガラスから成る。筐体部2は、その一端側にピンチシール部10を有する。筐体部2は、その一端側がピンチシール部10により気密に密閉されている。また、筐体部2は、その他端側が封じ切りにより気密に密閉されている。これにより、筐体部2は、封止された内部空間Rを有する。内部空間Rは、軸線AXを中心軸とする円柱形状の空間であり、例えば、その径は4mmである。
【0023】
内部電極3は、例えば径が1.2mmのタングステン製の線材から成り、軸線AXに沿って直線状に延在する。内部電極3は、筐体部2の一端側で保持されているとともに、その延在方向における中心軸が内部空間Rの中心軸(軸線AX)に略一致するように、内部空間Rに収容されている。放電ガス4は、内部空間Rに充填された放電用の希ガスである。放電ガス4としては、例えばキセノンガスが用いられている。
【0024】
外部電極5は、筐体部2の外面に当接した状態で固定されている。外部電極5は、ニッケルから成る。外部電極5は、軸線AXに沿って延在し、筐体部2の外面の略全面を包囲するように設けられている。外部電極5は、メッシュ状で且つ円管状を呈する網電極である。外部電極5は、その他端側が溶断により閉鎖されている。外部電極5の一端側は、束ねられ且つ縛られた状態で、筐体部2(ピンチシール部10)の外面上においてハンダ(固定部材及び電気的接続部)11により、導線(外部給電部材)12に電気的に接続されている。導線12は、軸線AXに沿って延在する。
【0025】
給電部材6は、内部電極3に給電するための部材である。給電部材6は、金属箔6A及び線状金属部材6Bを有する。金属箔6Aは、例えばモリブデンから成る箔状の金属部材であり、矩形状を呈する。金属箔6Aの他端側には、内部電極3の一端側が溶接されている。これにより、内部電極3の一端側は、金属箔6Aと電気的に接続される。線状金属部材6Bは、例えばモリブデンから成り、軸線AXに沿って直線状に延在する。線状金属部材6Bの他端側は、金属箔6Aの一端側に溶接されている。これにより、金属箔6Aの一端側は、線状金属部材6Bと電気的に接続される。線状金属部材6Bの径は、内部電極3の径よりも小さい。また、金属箔6Aの箔としての厚さは、内部電極3の径及び線状金属部材6Bの径よりも小さい。線状金属部材6Bの一端側は、筐体部2の外部に導出されている。線状金属部材6Bの一端側は、例えばニッケルから成る接続部材13(電気的接続部)を介して、導線(外部給電部材)14に電気的に接続されている。導線14は、軸線AXに沿って延在する。
【0026】
図2、
図3(a)及び
図3(b)に示されるように、本実施形態において、内部電極3の一端側は、給電部材6とともに筐体部2の一端側にピンチシール部10を介して封着されている。ピンチシール部10は、内部電極3の一端側を給電部材6とともに筐体部2の一端側にピンチシールで封着する封着部である。ピンチシールとは、加熱しながら外部から力を加えて封止する手法である。ピンチシール部10は、筐体部2の一端側において扁平形状を呈する部分である。ピンチシール部10には、内部電極3の一端側と金属箔6Aと線状金属部材6Bの他端側とが埋設されている。ピンチシール部10は、内部電極3を片持ち構造で保持する。
【0027】
内部電極3の他端側は、内部空間R内に突出する。
図3(a)及び
図3(b)に示されるように、軸線AXに沿った方向において、内部空間R内における内部電極3の長さであって内部空間Rの一端から内部電極3の他端までの長さである突出長さX(以下、単に「突出長さX」ともいう)は、内部電極3の他端から内部空間Rの他端までの長さ以下である。具体的には、軸線AXに沿った方向において、突出長さXは、内部空間Rの長さの1/5以上である。例えば、軸線AXに沿った方向において、内部空間Rの長さが約80mmである場合、突出長さXは、15mmであってもよい。内部電極3の径は、筐体部2の内径(内部空間Rの径)の1/5以上且つ1/2以下である。
【0028】
図1及び
図2に示されるように、エキシマランプ100は、ソケット20を備える。ソケット20は、絶縁性材料から成り、例えばアルミナから成る。ソケット20は、筐体部2の一端側を包囲する円筒状を呈する。外部電極5及び給電部材6は、ソケット20内でそれぞれ導線12,14と電気的に接続される。ソケット20の他端側は、絶縁性樹脂(例えばアルミナ系無機接着剤)21により、筐体部2におけるピンチシール部10の他端側及びそれ近接する部分の外面に固定されている。なお、ソケット20の形状は円筒状に限られず、筒状であればよい。
図2では、ソケット20及び絶縁性樹脂21を断面化して示している。
【0029】
給電部材6と導線14との電気的接続部である接続部材13と、外部電極5と導線12との電気的接続部であるハンダ11と、は、軸線AXに沿った方向において離間している。ハンダ11は、ソケット20内においての他端側の開口側の部分(端部)である他端側開口部20Xに配置されている。外部電極5の一端側は、ソケット20内まで延在し、ソケット20内の他端側開口部20Xにおいてハンダ11によって固定されている。ハンダ11は、固定部材を構成する。
【0030】
以上に説明したエキシマランプ100では、例えば、内部電極3及び外部電極5に交流の高電圧を印加すると、内部空間Rにおいて誘電体バリア放電による放電プラズマが多数発生する。放電プラズマにより放電ガス4の原子が励起され、瞬間的にエキシマ状態となる。当該エキシマ状態から元の状態(基底状態)に戻るときに発光(エキシマ発光)し、その結果、エキシマ光(ここでは、真空紫外光)が放出される。
【0031】
ここで、軸線AXに沿った方向において、突出長さXを内部電極3の他端から内部空間Rの他端までの長さY以下まで短くすると、筐体部2内において発光強度の高い発光領域を十分に広げることができ、光出力を十分に得ることができるという知見が得られる。よって、このような短い突出長さXの内部電極3を備えるエキシマランプ100では、十分な光出力を得ることが可能となる。一方、突出長さXが短いと、内部電極3において特に高温になる先端部からピンチシール部10が近くなり、ピンチシール部10が高温化しやすく、破損しやすくなるおそれがある。この点、エキシマランプ100では、内部電極3の一端側を、内部電極3に電気的に接続される金属箔6Aを備える給電部材6と電気的に接続している。そして、内部電極3の一端側を当該給電部材6とともに筐体部2の一端側にピンチシール部10を介して封着している。このように封着することにより、熱に強い特性を有することができ、ピンチシール部10は高温化した場合でも破損し難い。
【0032】
すなわち、本実施形態では、管状の筐体部2の内部に片持ち構造の内部電極3を備えたエキシマランプ100において、内部電極3の一端側をピンチシール部10で封着固定するとともに、軸線AXに沿った方向において内部電極3の突出長さXを内部空間Rの半分以下としている。このようなエキシマランプ100によれば、十分な光出力を安定的に得ることが可能となる。
【0033】
エキシマランプ100では、軸線AXに沿った方向において、突出長さXは、内部空間Rの長さの1/5以上である。突出長さXを内部空間Rの長さの1/5よりも小さくした場合、光出力は変化し難い一方で、突出長さXが短くなりすぎるためにピンチシール部10が非常に高温となり、ピンチシール部10がより破損しやすいことが見出される。よって、突出長さXが内部空間Rの長さの1/5以上の場合、十分な光出力を一層安定的に得ることが可能となる。
【0034】
エキシマランプ100では、内部電極3の径は、筐体部2の内径の1/5以上且つ1/2以下である。内部電極3が一端側で保持された片持ち構造であっても、内部電極3の径が筐体部2の内径の1/5以上であることで、内部電極3が熱変形して垂れることを抑制することができる。加えて、内部電極3の径が筐体部2の内径の1/2以下であることで、内部電極3の一端側での保持が難しくなることを抑制することができ、例えば内部電極3の熱膨張の影響(例えばピンチシール部10の破損等)を抑制することができる。また例えば、内部電極3があまり太くなると、保持される一端側の部分においてアスペクト比が悪くなり、内部電極3が振動したとき等にピンチシール部10が割れやすくなったり、内部電極3が抜けやすくなったりするおそれがあるが、内部電極3の径が筐体部2の内径の1/2以下であることから、そのおそれを抑制することができる。したがって、安定した放電状態を得ることが可能となる。内部電極3において保持される一端側の長さ(筐体部2に埋入される長さ)を長くする必要がなくなり、エキシマランプ100の小型化を実現可能となる。
【0035】
エキシマランプ100では、給電部材6は、内部電極3に電気的に接続される金属箔6Aに加え、金属箔6Aに電気的に接続され筐体部2の外部に導出される線状金属部材6Bを含む。線状金属部材6Bの径は、内部電極3の径よりも小さい。この場合、製造時及び使用時に応力のかかりやすい線状金属部材6Bを変形しやすい構成とし、ピンチシール部10の破損(クラック等)を抑制することができる。つまり、例えば線状金属部材6Bに多少無理な力がかかっても、線状金属部材6Bが曲がるだけで、ピンチシール部10にクラックが発生する可能性が低くなる。
【0036】
エキシマランプ100は、筐体部2の外面に当接する外部電極5を備えている。エキシマランプ100では、外部電極5は、筐体部2の外面を包囲するように設けられ、メッシュ状を呈している。この場合、筐体部2内の広い発光領域から効率よくエキシマ光を取り出すことが可能となる。
【0037】
エキシマランプ100は、ソケット20を備え、給電部材6及び外部電極5は、ソケット20内でそれぞれ導線14,12と電気的に接続されている。これにより、電気的に安定した状態で給電部材6及び外部電極5のそれぞれと導線14,12とを接続することができる。
【0038】
エキシマランプ100では、接続部材13とハンダ11とは、軸線AXに沿った方向において離間している。これにより、エキシマランプ100では、ソケット20内の耐電圧特性を良好にすることが可能となる。
【0039】
エキシマランプ100では、安全のために外部電極5を低電位側(例えば接地電位)としている。また、外部電極5との電気的接続部であるハンダ11をソケット20内の他端側開口部20Xに配置し、相対的に、高電位側の内部電極3及びその給電部材6との電気的接続部である接続部材13を、軸線AXに沿った方向においてソケット20内の中央寄りに配置している。よって、エキシマランプ100では、ソケット20内の耐電圧特性を良好にすることが可能となる。
【0040】
エキシマランプ100では、外部電極5の一端側は、ソケット20内まで延在し、ソケット20内の他端側開口部20Xにおいてハンダ11によって固定されている。これにより、外部電極5を確実に固定することができ、安定的な放電が実現可能となる。
【0041】
エキシマランプ100は、封着部として、内部電極3の一端側を給電部材6とともに筐体部2の一端側にピンチシールで封着するピンチシール部10を備える。この場合、封着部を熱に強いピンチシール部10で構成することが可能となる。
【0042】
下表1は、内部電極3の突出長さXを変化させた場合のエキシマランプの光出力の測定結果を示す表である。ここでの測定では、内部電極3の突出長さXを、10mm、15mm、30mm、45mm、60mm、75mmと変化させたときの光出力を光量計により測定した。なお、測定の各種の条件としては、一般的な測定試験の条件に準拠している。軸線AXに沿う方向において、筐体部2における一端側から他端側までの光出射領域を5つに分け、一端側から他端側の順に、根本部、後部、中央後部、中央前部及び前部とした。総和は、これら5つの光出射領域の光出力の合計値である。内部空間Rの全長は、約80mmとした。
【0043】
下表1によれば、内部空間Rの全長に対して内部電極3の突出長さXが長いうちは、突出長さXが短くなることで、入力電流の増加割合以上の光出力の増加が見られるが、光出力の総和は不十分であることがわかる。そして、内部電極3の突出長さXが短くなるに連れて、一旦、光出力の増加率は鈍るが、内部空間Rの全長に対して突出長さXが約1/2の場合から、光出力の当該増加が再び大きくなり、光出力の総和も十分になることがわかる。突出長さXが内部空間Rの1/2以下である本実施形態では、十分な光出力を得ることが可能となることがわかる。突出長さXが内部空間Rの長さの1/5よりも小さい10mmの場合には、突出長さXが15mmのときと光出力が略変わらないことがわかる。
【0044】
【0045】
以上、実施形態について説明したが、本発明の一態様は上記実施形態に限定されない。
【0046】
図4(a)及び
図4(b)は、変形例に係るエキシマランプ200を示す図である。
図4(a)及び
図4(b)に示されるように、本発明の一態様は、エキシマランプ200であってもよい。エキシマランプ200は、外部電極5(
図1参照)に代えてランプ収容部210を備える点で、上記実施形態と主に異なる。
【0047】
ランプ収容部210は、金属材料から成り、直方体状の外形を呈する部材である。ランプ収容部210の外面には、導線12の他端側がネジNで固定されている。これにより、ランプ収容部210は導線12と電気的に接続されている。ランプ収容部210は、挿通孔211と、当該挿通孔211に設けられた光出射開口212と、を含む。
【0048】
挿通孔211は、軸線AXに沿って延びる断面円形の貫通孔である。挿通孔211は、筐体部2の外径に対応する内径を有する。ここでの挿通孔211は、筐体部2の外形と略等しい内径を有するため、挿通孔211の内面の少なくとも一部は、筐体部2の外面と当接する。また、挿通孔211の内面はエキシマ光に対する反射面になっている。挿通孔211には、筐体部2、給電部材6、接続部材13及び導線14の他端側が収容されている。光出射開口212は、挿通孔211に連通し、軸線AXと直交する方向に開口する。光出射開口212は、軸線AXに沿う方向において、挿通孔211に収容された筐体部2における放電領域のうち、内部電極3の配置領域と他端部先端領域とを除く領域、より詳細には中央部一端寄りの位置から他端の手前までの領域を露出させる。このような変形例に係るエキシマランプ200では、ランプ収容部210を外部電極として用い、十分な光出力を安定的に得ることができる。また、発生させたエキシマ光を光出射開口212側に反射させ、光出射開口212から大きな光量のエキシマ光を得ることができる。
【0049】
上記実施形態及び上記変形例では、筐体部2及び外部電極5を円管状としたが、筐体部2及び外部電極5の形状は円管状に限定されず、管状であればよい。内部電極3の径とは、内部電極3の外形の横断面形状が内接する円の径であってもよい。筐体部2の内径とは、内部空間Rの横断面形状が内接する円の径であってもよい。筐体部2の外径とは、内部電極3の外形の横断面形状が内接する円の径であってもよい。線状金属部材6Bの径とは、線状金属部材6Bの外形の横断面形状が内接する円の径であってもよい。
【0050】
上記実施形態及び上記変形例では、内部電極3の径とは、最大径であってもよいし、最小径であってもよいし、平均径であってもよいし、その主要部分の径であってもよい。筐体部2の内径(内部空間Rの径)とは、最大径であってもよいし、最小径であってもよいし、平均径であってもよいし、その主要部分の径であってもよい。筐体部2の外径とは、最大径であってもよいし、最小径であってもよいし、平均径であってもよいし、その主要部分の径であってもよい。線状金属部材6Bの径とは、最大径であってもよいし、最小径であってもよいし、平均径であってもよいし、その主要部分の径であってもよい。挿通孔211の内径とは、最大径であってもよいし、最小径であってもよいし、平均径であってもよいし、その主要部分の径であってもよい。
【0051】
上記実施形態及び上記変形例における各構成には、上述した材料及び形状に限定されず、様々な材料及び形状を適用することができる。上記実施形態又は変形例における各構成は、他の実施形態又は変形例における各構成に任意に適用することができる。上記実施形態又は変形例における各構成の一部は、本発明の一態様の要旨を逸脱しない範囲で適宜に省略可能である。
【符号の説明】
【0052】
2…筐体部、3…内部電極、4…放電ガス、5…外部電極、6…給電部材、6A…金属箔、6B…線状金属部材、10…ピンチシール部(封着部)、11…ハンダ(電気的接続部,固定部材)、12…導線(外部給電部材)、13…接続部材(電気的接続部)、14…導線(外部給電部材)、20…ソケット、20X…他端側開口部、100,200…エキシマランプ、210…ランプ収容部、211…挿通孔、212…光出射開口、AX…軸線、R…内部空間、X…突出長さ。