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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-12
(45)【発行日】2024-03-21
(54)【発明の名称】コネクタ組立体
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/639 20060101AFI20240313BHJP
【FI】
H01R13/639 Z
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020111211
(22)【出願日】2020-06-29
(65)【公開番号】P2022010562
(43)【公開日】2022-01-17
【審査請求日】2023-05-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000231073
【氏名又は名称】日本航空電子工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117341
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 拓哉
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 智幸
【審査官】高橋 学
(56)【参考文献】
【文献】実開昭59-071582(JP,U)
【文献】特開2000-277210(JP,A)
【文献】特開平09-259979(JP,A)
【文献】特開平09-115612(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/639
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1コネクタと、前記第1コネクタに対して前後方向において後方から嵌合可能な第2コネクタとを備えるコネクタ組立体であって、
前記第1コネクタは、少なくとも一つの第1コンタクトと、絶縁体からなる第1ハウジングとを備えており、
前記第1コンタクトは、第1接触部と、前記第1ハウジングに保持される第1被保持部と、第1係止部とを有しており、
前記第1係止部は、前記前後方向において前方に向いた第1係止面を有しており、
前記第2コネクタは、少なくとも一つの第2コンタクトと、絶縁体からなる第2ハウジングとを備えており、
前記第2コンタクトは、前記第1コネクタと前記第2コネクタとの嵌合状態において前記第1接触部と接触する第2接触部と、前記第2ハウジングに保持される第2被保持部とを有しており、
前記第2ハウジングは、第2係止部を有しており、
前記第2係止部は、前記前後方向において後方に向いた第2係止面を有しており、
前記第1コンタクトと前記第2ハウジングの少なくとも一方は弾性変形可能な支持部を有しており、
前記第1係止部と前記第2係止部の少なくとも一方は、前記支持部により支持されており、前記支持部の弾性変形によって、前記前後方向と直交する上下方向に変位可能であり、
前記嵌合状態において、前記第1係止面は、前記前後方向において前記第2係止面の後方に位置しておりかつ前記第2係止面と対向しており、
前記第2ハウジングは、前記支持部を有しており、
前記第2コネクタが前記第1コネクタに対して後方へ移動しようとすると、前記第1係止面と前記第2係止面とが突き当たり、前記第2コネクタの抜けを防止する
コネクタ組立体。
【請求項2】
請求項1に記載のコネクタ組立体であって、
前記第2係止部は、前記支持部の前端に位置しており、
前記第2ハウジングの前端は突き当て部を構成しており、
前記第2係止部の前端は、前記突き当て部の一部としても機能するものであり、
前記第1ハウジングは、被突き当て部を有しており、
前記第1係止部は、前記前後方向において、前記第1接触部と前記第1被保持部との間に位置しており、
前記第1係止面は、前記前後方向において前記被突き当て部から離れていると共に前記第1コネクタと前記第2コネクタが未嵌合の状態において前記被突き当て部と対向しており、
前記嵌合状態において、前記第2係止部は、前記被突き当て部と前記第1係止面との間に位置している
コネクタ組立体。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のコネクタ組立体であって、
前記第2コンタクトは、ケーブルの先端に接続されるものであり、
前記第2ハウジングは、抜け止め面を有する抜け止め部を有しており、
前記第2コンタクトは、被抜け止め部を有しており、
前記抜け止め面は、前記被抜け止め部の後方に位置し、前記第2コンタクトが前記第2ハウジングに対して相対的に後方へ移動することを防止しており、
前記前後方向と直交する面内において、前記抜け止め部は、前記支持部と異なる位置に設けられている
コネクタ組立体。
【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれか一つに記載のコネクタ組立体であって、
前記第2ハウジングは、前記嵌合状態において前記第1接触部を収容する収容部を有しており、
前記第2接触部は、前記収容部内に位置している
コネクタ組立体。
【請求項5】
請求項4に記載のコネクタ組立体であって、
前記第2係止部は、前記収容部内に向かって突出しており、
前記嵌合状態において、前記第1係止部は前記収容部内に位置している
コネクタ組立体。
【請求項6】
請求項4又は請求項5に記載のコネクタ組立体であって、
前記第2ハウジングは、周壁部を有しており、
前記支持部と前記周壁部とは、前記収容部を囲っている
コネクタ組立体。
【請求項7】
請求項4から請求項6までのいずれか一つに記載のコネクタ組立体であって、
前記第2ハウジングは、誘い部とガイド部とを有しており、
前記誘い部は、前記前後方向と交差しており、
前記ガイド部は、前記誘い部の後方に位置し、かつ前記前後方向に沿って延びており、
前記誘い部と前記ガイド部とは、前記第1接触部の前記収容部内への収容をガイドするものであり、
前記ガイド部は、互いに離れて対向する一対のガイド側面を有しており、
前記前後方向と前記上下方向との双方と直交する横方向において、前記ガイド側面の間のサイズは、前記第2係止部のサイズより小さい
コネクタ組立体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタ組立体に関し、特に、嵌合ロック機構を有するコネクタ組立体に関する。
【背景技術】
【0002】
嵌合ロック機構を備えるコネクタ組立体の一例は、特許文献1に開示されている。
【0003】
図17に示されるように、特許文献1に記載のコネクタ組立体90は、前後方向に沿って互いに嵌合する雄コネクタ92と雌コネクタ94とを備えている。雄コネクタ92は、雄端子920と、雄端子920を保持する雄ハウジング922とを有している。雄ハウジング922の上面には、前後方向と直交する上下方向において上方へ突出するロック用突起924が設けられている。一方、雌コネクタ94は、雌端子940と、雌端子940を保持する雌ハウジング942とを有している。雌ハウジング942には、ロック用アーム944が設けられている。
【0004】
図17に示されるように、雄コネクタ92と雌コネクタ94とが互いに嵌合したとき、雄ハウジング922は雌ハウジング942を部分的に受容する。このとき、ロック用アーム944のロック部は、前後方向において、ロック用突起924の前方に位置し、雌コネクタ94が雄コネクタ92に対して後方へ移動することを阻止する。換言すると、ロック用アーム944とロック用突起924とは嵌合ロック機構として機能する。こうして、雄コネクタ92と雌コネクタ94との嵌合状態が維持される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2008-52971号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載されたコネクタ組立体90は、雄コネクタ92が雌コネクタ94を部分的に受容し、かつ雄コネクタ92の上面に形成されたロック用突起924の上方に雌コネクタ94に設けられたロック用アーム944が部分的に位置するように構成されている。換言すると、コネクタ組立体90は、雄ハウジング922と雌ハウジング942とで、嵌合状態を維持するように構成されている。そのため、このコネクタ組立体90には、少なくとも上下方向において、そのサイズが大きいという問題点がある。
【0007】
本発明は、嵌合ロック機構を備えかつ小型化されたコネクタ組立体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、第1のコネクタ組立体として、第1コネクタと、前記第1コネクタに対して前後方向において後方から嵌合可能な第2コネクタとを備えるコネクタ組立体であって、
前記第1コネクタは、少なくとも一つの第1コンタクトと、絶縁体からなる第1ハウジングとを備えており、
前記第1コンタクトは、第1接触部と、前記第1ハウジングに保持される第1被保持部と、第1係止部とを有しており、
前記第1係止部は、前記前後方向において前方に向いた第1係止面を有しており、
前記第2コネクタは、少なくとも一つの第2コンタクトと、絶縁体からなる第2ハウジングとを備えており、
前記第2コンタクトは、前記第1コネクタと前記第2コネクタとの嵌合状態において前記第1接触部と接触する第2接触部と、前記第2ハウジングに保持される第2被保持部とを有しており、
前記第2ハウジングは、第2係止部を有しており、
前記第2係止部は、前記前後方向において後方に向いた第2係止面を有しており、
前記第1コンタクトと前記第2ハウジングの少なくとも一方は弾性変形可能な支持部を有しており、
前記第1係止部と前記第2係止部の少なくとも一方は、前記支持部により支持されており、前記支持部の弾性変形によって、前記前後方向と直交する上下方向に変位可能であり、
前記嵌合状態において、前記第1係止面は、前記前後方向において前記第2係止面の後方に位置しておりかつ前記第2係止面と対向している
コネクタ組立体を提供する。
【0009】
また、本発明は、第2のコネクタ組立体として、第1のコネクタ組立体であって、
前記第2ハウジングは、前記支持部を有している
コネクタ組立体を提供する。
【0010】
また、本発明は、第3のコネクタ組立体として、第2のコネクタ組立体であって、
前記第2係止部は、前記支持部の前端に位置しており、
前記第2ハウジングの前端は突き当て部を構成しており、
前記第2係止部の前端は、前記突き当て部の一部としても機能するものであり、
前記第1ハウジングは、被突き当て部を有しており、
前記第1係止部は、前記前後方向において、前記第1接触部と前記第1被保持部との間に位置しており、
前記第1係止面は、前記前後方向において前記被突き当て部から離れていると共に前記第1コネクタと前記第2コネクタが未嵌合の状態において前記被突き当て部と対向しており、
前記嵌合状態において、前記第2係止部は、前記被突き当て部と前記第1係止面との間に位置している
コネクタ組立体を提供する。
【0011】
また、本発明は、第4のコネクタ組立体として、第2または第3のコネクタ組立体であって、
前記第2コンタクトは、ケーブルの先端に接続されるものであり、
前記第2ハウジングは、抜け止め面を有する抜け止め部を有しており、
前記第2コンタクトは、被抜け止め部を有しており、
前記抜け止め面は、前記被抜け止め部の後方に位置し、前記第2コンタクトが前記第2ハウジングに対して相対的に後方へ移動することを防止しており、
前記前後方向と直交する面内において、前記抜け止め部は、前記支持部と異なる位置に設けられている
コネクタ組立体を提供する。
【0012】
また、本発明は、第5のコネクタ組立体として、第1から第4までのコネクタ組立体のいずれかであって、
前記第2ハウジングは、前記嵌合状態において前記第1接触部を収容する収容部を有しており、
前記第2接触部は、前記収容部内に位置している
コネクタ組立体を提供する。
【0013】
また、本発明は、第6のコネクタ組立体として、第5のコネクタ組立体であって、
前記第2係止部は、前記収容部内に向かって突出しており、
前記嵌合状態において、前記第1係止部は前記収容部内に位置している
コネクタ組立体を提供する。
【0014】
また、本発明は、第7のコネクタ組立体として、第5又は第6のコネクタ組立体であって、
前記第2ハウジングは、周壁部を有しており、
前記支持部と前記周壁部とは、前記収容部を囲っている
コネクタ組立体を提供する。
【0015】
また、本発明は、第8のコネクタ組立体として、第5から第7までのコネクタ組立体のいずれかであって、
前記第2ハウジングは、誘い部とガイド部とを有しており、
前記誘い部は、前記前後方向と交差しており、
前記ガイド部は、前記誘い部の後方に位置し、かつ前記前後方向に沿って延びており、
前記誘い部と前記ガイド部とは、前記第1接触部の前記収容部内への収容をガイドするものであり、
前記ガイド部は、互いに離れて対向する一対のガイド側面を有しており、
前記前後方向と前記上下方向との双方と直交する横方向において、前記ガイド側面の間のサイズは、前記第2係止部のサイズより小さい
コネクタ組立体を提供する。
【発明の効果】
【0016】
本発明のコネクタ組立体において、第1コネクタと第2コネクタとが互いに嵌合したとき、第1コンタクトに設けられた第1係止部の第1係止面は、前後方向において第2ハウジングに設けられた第2係止部の第2係止面の後方に位置し、かつ第1係止面と対向する。これにより、第1係止部と第2係止部とは嵌合ロック機構として機能し、第1コネクタに対して第2コネクタが後方へ移動することを阻止する。第1係止部が第1コンタクトに設けられているので、第1係止部を第1ハウジングに設ける場合と比べて、少なくとも上下方向においてコネクタ組立体を小型化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の第1の実施の形態によるコネクタ組立体を示す斜視図である。第1コネクタと第2コネクタとは互いに嵌合していない。第2コネクタはケーブルの先端に接続されている。
図2図1のコネクタ組立体を示す別の斜視図である。
図3図1のコネクタ組立体を示す側面図である。
図4図3のコネクタ組立体を示すA-A線断面図である。
図5図1のコネクタ組立体を示す平面図である。第1コネクタと第2コネクタとは互いに嵌合している。
図6図5のコネクタ組立体を示すB-B線断面図である。
図7図5のコネクタ組立体を示す側面図である。
図8図7のコネクタ組立体を示すC-C線断面図である。
図9図1のコネクタ組立体に含まれる第2コネクタを示す分解斜視図である。
図10図9の第2コネクタを示す別の分解斜視図である。
図11図9の第2コネクタを示す側面図である。
図12図11の第2コネクタを示すD-D線断面図である。
図13図11の第2コネクタを示す正面図である。
図14図13の第2コネクタを示すE-E線断面図である。
図15図14の第2コネクタを示す断面図である。第2コンタクトは第2ハウジングに保持されている。
図16図6のコネクタ組立体の変形例を示す断面図である。
図17】特許文献1に開示されたコネクタ組立体を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1から図3を参照すると、本発明の一実施の形態によるコネクタ組立体10は、第1コネクタ20と第2コネクタ30とを備えている。本実施の形態において、第1コネクタ20は、電気機器(図示せず)に搭載される機器搭載型コネクタである。また、第2コネクタ30は、ケーブル50の先端に接続されている。ただし、本発明は、これに限られない。例えば、第1コネクタ20は、各種ケーブルに接続されるように構成されてもよい。また、第2コネクタ30は、電気機器や回路基板に搭載されるように構成されてもよい。
【0019】
図1図2図5及び図7から理解されるように、第1コネクタ20と第2コネクタ30とは、前後方向に沿って互いに嵌合可能である。詳しくは、第2コネクタ30は、第1コネクタ20に対して、後方から嵌合可能である。本実施の形態において、前後方向は、X方向である。-X方向が前方であり、+X方向が後方である。
【0020】
図4に示されるように、第1コネクタ20は、少なくとも一つの第1コンタクト22と、複数の付加的コンタクト24と、第1ハウジング26とを備えている。本実施の形態において、第1コンタクト22の数は二つである。また、付加的コンタクト24の数は四つである。ただし、本発明は、これに限られない。第1コネクタ20は一つでもよく、三つ以上であってもよい。また、付加的コンタクト24の数は特に限定されず、無くてもよい。
【0021】
図4に示されるように、第1コンタクト22及び付加的コンタクト24は、第1ハウジング26に保持されている。本実施の形態において、第1コンタクト22及び付加的コンタクト24のそれぞれは金属製である。詳しくは、第1コンタクト22及び付加的コンタクト24のそれぞれは、金属板を打ち抜き加工して形成されている。また、第1ハウジング26は絶縁体製、例えば絶縁性樹脂製である。本実施の形態において、第1コネクタ20は、第1コンタクト22及び付加的コンタクト24とともにインサート成型されている。なお、付加的コンタクト24は、本発明に直接関係がないので、以下ではその説明を省略する。
【0022】
図4及び図6に示されるように、第1コンタクト22のそれぞれは、板状であり、前後方向に延びている。ただし、本発明は、これに限られない。第1コンタクト22の形状は特に限定されず、少なくとも部分的に円柱状又は円筒状であってもよい。
【0023】
図6に示されるように、第1コンタクト22のそれぞれは、第1接続部220と、第1被保持部222と、幅広部224と、第1接触部226とを有している。本実施の形態において、第1接続部220、第1被保持部222、幅広部224及び第1接触部226は、前後方向において、この順に並んでいる。
【0024】
図6に示されるように、第1コンタクト22の第1接続部220は、前後方向と直交する横方向に沿って見たとき、略正方形の形状を有している。本実施の形態において、横方向はY方向である。
【0025】
図6に示されるように、第1コンタクト22の第1被保持部222は、前後方向に長い矩形の形状を有し、第1接続部220から後方へ延びている。前後方向及び横方向の双方と直交する上下方向において、第1被保持部222のサイズは、第1接続部220のサイズよりも小さい。本実施の形態において、上下方向はZ方向である。+Z方向が上方であり、-Z方向が下方である。
【0026】
図6に示されるように、第1コンタクト22の幅広部224は、第1被保持部222から後方へ延びている。上下方向において、幅広部224のサイズは、第1被保持部222のサイズよりも大きい。幅広部224の後部は、後方へ向かうに従い、上下方向においてそのサイズが縮小するようにテーパー加工されている。
【0027】
図6に示されるように、第1コンタクト22の第1接触部226は、幅広部224から後方へ延びている。上下方向において、第1接触部226のサイズは、幅広部224のサイズよりも小さい。第1接触部226の後部は、後方へ向かうにしがたい、上下方向においてそのサイズが縮小するようにテーパーが形成されている。
【0028】
図4及び図6から理解されるように、第1被保持部222は、第1ハウジング26に保持されている。本実施の形態において、第1被保持部222のみならず、第1接続部220及び幅広部224のそれぞれも、部分的に第1ハウジング26に保持されている。ただし、本発明は、これに限られない。第1ハウジング26は、第1被保持部222を少なくとも部分的に保持していればよい。
【0029】
図6に示されるように、幅広部224の前後方向中央部には、上方へ凹んだ凹部228が形成されている。凹部228の存在により、幅広部224の一部は、上下方向において、下方へ突出する第1係止部230を構成する。換言すると、第1コンタクト22は、下方へ突出する第1係止部230を有している。本実施の形態において、第1係止部230は、前後方向において、第1接触部226と第1被保持部222との間に位置している。第1係止部230は、前後方向において前方に向いた第1係止面232を有している。
【0030】
図9から図11を参照すると、第2コネクタ30は、少なくとも一つ第2コンタクト32と、第2ハウジング36とを備えている。本実施の形態において、第2コンタクト32の数は二つである。第2コンタクト32の数は、第1コネクタ20の第1コンタクト22の数に対応する。第2コンタクト32のそれぞれは金属製である。詳しくは、第2コンタクト32のそれぞれは、一枚の金属板を打ち抜き加工及び曲げ加工して形成されている。第2ハウジング36は、絶縁体、例えば絶縁性樹脂からなる。第2ハウジング36は、第2コンタクト32を保持している。
【0031】
図11及び図12に示されるように、第2コンタクト32のそれぞれは、第2接続部320と、第2被保持部330と、一対の第2接触部340とを有している。第2接続部320は、第1バレル部322と第2バレル部324とを有し、ケーブル50に接続されている。第2被保持部330は、第2接続部320の前方に位置し、前部332と後部334とを有している。
【0032】
図9及び図10から理解されるように、第2被保持部330の後部334は四角筒形状に形成され前後方向に延びている。後部334の上面には、被抜け止め部342が設けられている。第2被保持部330の前部332は、後部334から前方へ延びている。前部332は、上方、前方及び横方向へ開いている。
【0033】
図12に示されるように、第2接触部340のそれぞれは、第2被保持部330の後部334から横方向内側に向かって斜め前方へ延びている。第2接触部340は、それぞれ接点を有している。接点は、横方向において互いに対向している。図8に示されるように、第2接触部340は、第1コネクタ20と第2コネクタ30が互いに嵌合した嵌合状態において、第1コンタクト22の第1接触部226と接触する。詳しくは、第2接触部340の接点が、第1コンタクト22の第1接触部226と接触する。
【0034】
図9及び図10に示されるように、第2ハウジング36は、前方及び後方へ開いた略直方体形状を有している。詳しくは、第2ハウジング36は、底板部360、一対の側板部362、中板部364、及び上板部366を備えている。また、第2ハウジング36は、その上部に一対の抜け止め部370を有している。加えて、第2ハウジング36は、その下部に一対の第2係止部380とそれらにそれぞれ対応する支持部384とを有している。
【0035】
図9及び図14から理解されるように、抜け止め部370のそれぞれは、ランスである。詳しくは、抜け止め部370は、片持ち梁状に形成され、斜め下前方へ延びている。抜け止め部370は、弾性変形可能である。また、抜け止め部370は、斜め上前方へ向かう抜け止め面372を有している。抜け止め面372は、抜け止め部370の弾性変形により、少なくとも上下方向において変位可能である。ただし、本発明は、これに限られない。抜け止め部370は、単純な凹部又は突起として形成されてもよい。
【0036】
図10及び図14から理解されるように、支持部384のそれぞれは、片持ち梁状に形成され、前方へ延びている。支持部384は、対応する第2係止部380を支持している。第2係止部380は、支持部384の前端に位置している。第2係止部380は、前後方向において後方に向いた第2係止面382を有している。本実施の形態において、第2係止面382は、支持部384から斜め上後方へ広がる傾斜面として形成されている。第2係止面382は、単一の平面又は曲面であってよい。また、第2係止面382は、連続する複数の平面若しくは曲面、又は平面と曲面の組み合わせであってもよい。第2係止面382は、第1コネクタ20(図6参照)と第2コネクタ30とが嵌合した嵌合状態において、第1係止面232(図6参照)と鋭角に接する。これにより、第1コネクタ20に対して第2コネクタ30を後方に引っ張ったときに、第2コネクタ30を第1コネクタ20から外れ難くしている。支持部384は、弾性変形可能である。第2係止部380は、支持部384の弾性変形により、少なくとも上下方向において変位可能である。
【0037】
図14に示されるように、本実施の形態において、抜け止め部370は、前後方向において支持部384よりも後方に位置している。ただし、本発明は、これに限られない。抜け止め部370は、支持部384と前後方向において少なくとも部分的に重なる位置にあってもよい。そうすることで、前後方向において第2コネクタ30のサイズを小さくすることができる。
【0038】
図9図10及び図14から理解されるように、本実施の形態において、抜け止め部370は、上板部366に設けられ、支持部384は、底板部360に設けられている。ただし、本発明は、これに限られない。抜け止め部370が底板部360に設けられ、支持部384が上板部366に設けられてもよい。あるいは、抜け止め部370及び支持部384のそれぞれは、側板部362に設けられてもよい。いずれにせよ、抜け止め部370と支持部384とは、前後方向と直交する面内において、互いに異なる位置に設けられる。第2ハウジング36の小型化と強度の確保を両立するためである。
【0039】
図12及び図14に示すように、第2ハウジング36は一対の収容部386を有している。収容部386は、第2コンタクト32にそれぞれ対応している。また、収容部386は、第1コネクタ20と第2コネクタ30とが互いに嵌合した嵌合状態において、第1コンタクト22の少なくとも第1接触部226を収容する。第2ハウジング36の底板部360、側板部362、中板部364、及び上板部366は、収容部386を囲う周壁部を構成する。図13から理解されるように、周壁部と支持部384とは、前後方向と直交する面内において、収容部386を囲っている。図6及び図8から理解されるように、収容部386のそれぞれは、対応する第2コンタクト32を収容する。本実施の形態において、第2係止部380は、対応する収容部386内に向かって突出している。
【0040】
図12から図14に示されるように、第2ハウジング36は、収容部386のそれぞれに対応する誘い部388とガイド部390とをさらに有している。誘い部388は、上板部366、側板部362及び中板部364に設けられた三つの平面からなる。これらの平面は、前後方向と交差している。第1コンタクト22の第1接触部226の収容部386への挿入を容易にするためである。ガイド部390は、誘い部388の後方に位置し、前後方向に沿って後方へ延びている。前後方向において、ガイド部390のサイズは大きい方がよい。収容部386に挿入される第1接触部226の傾きを抑制するためである。
【0041】
図12に示されるように、ガイド部390は、横方向において互いに離れて対向する一対のガイド側面392を有している。横方向において、ガイド側面392の間のサイズは、第1接触部226(図4参照)のサイズより僅かに大きい。第1接触部226の挿入を許容するためである。また、横方向において、ガイド側面392の間のサイズは、第2係止部380及び支持部384のサイズより小さい。支持部384及び第2係止部380の強度を確保するために、横方向において、それらのサイズを大きくしたからである。
【0042】
図14及ぶ図15から理解されるように、第2コンタクト32は、第2ハウジング36の収容部386に後方から挿入される。このとき、被抜け止め部342は、抜け止め部370を弾性変形させ、抜け止め部370の前方へ移動する。被抜け止め部342が抜け止め部370の前方へ移動すると、抜け止め部370の復元力により、抜け止め面372は被抜け止め部342の後方に位置する。被抜け止め部342の後方に位置した抜け止め面372は、第2コンタクト32が第2ハウジング36に対して相対的に後方へ移動することを防止する。
【0043】
図4及び図15に示されるように、第2コンタクト32が第2ハウジング36の収容部386に挿入されると、第2被保持部330は、第2ハウジング36の収容部386内面に接触し、第2ハウジング36に保持される。そして、第2接触部340は、収容部386内に位置する。
【0044】
図6及び図8から理解されるように、第1コネクタ20と第2コネクタ30とが互いに嵌合するとき、第1コンタクト22の第1接触部226は収容部386に収容される。このとき、第2ハウジング36の誘い部388とガイド部390とは、収容部386への第1接触部226の収容をガイドする。収容部386に収容された第1接触部226は、収容部386内に位置する第2接触部340と接触し、電気的に接続される。こうして、第1コネクタ20と第2コネクタ30とが互いに嵌合した嵌合状態において、第1接触部226及び第2接触部340は、収容部386内に位置し、第2ハウジング36によって外部から保護される。
【0045】
図6から理解されるように、第1コネクタ20と第2コネクタ30とが互いに嵌合するとき、幅広部224(第1係止部230)もまた収容部386に収容される。第1係止部230は、収容部386内に進入すると、第2係止部380に突き当たり、第2係止部380を下方へ押す。支持部384が弾性変形することにより、第2係止部380は下方へ移動する。第1係止面232が第2係止面382よりも後方へ移動すると、支持部384の復元力により、第1係止面232は、第2係止面382の後方に位置する。そして、第1係止部230は収容部386内に位置し、第1係止面232は第2係止面382と対向する。第2コネクタ30が第1コネクタ20に対して後方へ移動しようとすると、第1係止面232と第2係止面382とが突き当たり、第2コネクタ30の抜けを防止する。これにより、第1コネクタ20と第2コネクタ30との嵌合状態が維持される。
【0046】
図6及び図8から理解されるように、第2ハウジング36の前端は、第1ハウジング26に突き当たる突き当て部396を構成している。第2係止部380の前端は、突き当て部396の一部として機能する。第1ハウジング26は、第2ハウジング36の突き当て部396と対向する被突き当て部262を有している。本実施の形態において、被突き当て部262は、第1ハウジング26の後面である。
【0047】
図2図3及び図6から理解されるように、第1係止面232は、前後方向において被突き当て部262から離れていると共に未嵌合状態において凹部228の前縁229と対向している。本実施の形態において、第1コンタクト22の凹部228の前縁229は、第1ハウジング26の被突き当て部262と面一に形成されている。したがって、第1コンタクト22の凹部228の前縁229は、被突き当て部262の一部のように見える。それゆえ、第1係止面232は、被突き当て部262と対向しているということができる。また、凹部228の前縁229は、第1ハウジング26内に埋め込まれ、第1ハウジング26の後面より前後方向において前方に位置してもよい。その場合、第1係止面232は、第1ハウジング26の後面と対向する。したがって、この場合も、第1係止面232は、被突き当て部262と対向しているということができる。このように、第1係止面232は被突き当て部262と対向している。そして、第1コネクタ20と第2コネクタ30とが未嵌合状態のとき、第1係止部230と被突き当て部262との間に何も存在しない。
【0048】
図6から理解されるように、第1コネクタ20と第2コネクタ30とが互いに嵌合した嵌合状態において、第2係止部380は、被突き当て部262と第1係止面232との間に位置している。また、第2係止部380は収容部386内へ向かって突出し、第1コンタクト22の第1係止部230と係り合う。こうして、第1コンタクト22の第1係止部230と第2ハウジング36の第2係止部380とは、嵌合ロック機構として機能する。この嵌合ロック機構は、ハウジング同士をロックするものでない。それゆえ、この構成によれば、上下方向におけるコネクタ組立体10のサイズを、特許文献1のコネクタ組立体に比べて小さくすることができる。しかも、第2係止部380は、前後方向において、突き当て部396よりも前方に位置していない。この構成により、前後方向においても、コネクタ組立体10のサイズを小さくすることができる。
【0049】
以上、本発明について、実施の形態を掲げて具体的に説明してきたが、本発明はこれに限定されるものではなく、種々の変形、変更が可能である。例えば、上記実施の形態において、第1係止部230は幅広部224に凹部228を形成することによって形成されているが、第1接続部220と第1接触部226とを連結する連結部(幅広部224に相当)に、上下方向において下方へ突出する突起部を設けて第1係止部230としてもよい。
【0050】
また、上記実施の形態において、第1コンタクト22は板状であるが、円柱又は円筒状であってもよい。その場合、第1コンタクト22は、径の異なる複数の円柱又は円筒部が連続する構成とすることができる。また、その場合、第1係止部230は、凹部又は孔(凹部228に相当)を形成することによって設けてもよいし、突起部を形成することにより設けてもよい。
【0051】
さらに、上記実施の形態において、第1係止部230は上下方向において変位不可能である。しかしながら、図16に示されるように、片持ち梁状の支持部384Aに支持された第1係止部230を設けて、第1係止部230を少なくとも上下方向において変位可能にしてもよい。この場合、上下方向において、第2係止部380は変位可能であってもよいし、変位不可能であってもよい。本発明において、第1係止部230及び第2係止部380は、少なくとも一方が支持部384及び/又は384Aにより支持されて、支持部384及び/又は384Aの弾性変形によって上下方向に変位可能であればよい。なお、第1係止部230及び第2係止部380の双方が上下方向に移動可能である場合、第1コネクタ20と第2コネクタ30とが嵌合する際の支持部384及び384Aのそれぞれの変形量を小さくすることができる。一方、第1係止部230及び第2係止部380の一方のみが上下方向に移動可能である場合、構成が単純で、第1係止部230と第2係止部380の相対位置精度を高めることができる。
【符号の説明】
【0052】
10 コネクタ組立体
20 第1コネクタ
22 第1コンタクト
220 第1接続部
222 第1被保持部
224 幅広部
226 第1接触部
228 凹部
229 前縁
230 第1係止部
232 第1係止面
24 付加的コンタクト
26 第1ハウジング
262 被突き当て部
30 第2コネクタ
32 第2コンタクト
320 第2接続部
322 第1バレル部
324 第2バレル部
330 第2被保持部
332 前部
334 後部
340 第2接触部
342 被抜け止め部
36 第2ハウジング
360 底板部(周壁部)
362 側板部(周壁部)
364 中板部(周壁部)
366 上板部(周壁部)
370 抜け止め部
372 抜け止め面
380 第2係止部
382 第2係止面
384,384A 支持部
386 収容部
388 誘い部
390 ガイド部
392 ガイド側面
396 突き当て部
50 ケーブル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17